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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20231201BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019093458
(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公開番号】P2020188223
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山本 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】松尾 誠一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 環樹
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-220544(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163377(WO,A1)
【文献】特開2003-023296(JP,A)
【文献】特開2005-050887(JP,A)
【文献】特開2005-116874(JP,A)
【文献】特開平08-340197(JP,A)
【文献】特開2007-214460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を供給する部品供給部と基板を保持する基板保持部との間で電子部品を保持する複数のノズルを有する搭載ヘッドを移動させて前記電子部品を前記基板に搭載する部品実装装置であって、
前記搭載ヘッドに前記複数のノズルの先端と前記基板を同時に撮像可能なカメラを有し、
前記搭載ヘッドには複数の前記ノズルが環状に配置されており、前記カメラは複数の前記ノズルで囲まれた内側の領域に配置された部品実装装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記複数のノズルの先端からの光を同時に撮像部に導くレンズを有する請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記カメラの光軸を前記搭載ヘッドの下方に向けている請求項2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ノズルが前記電子部品を保持して上昇したときの前記ノズルの先端の位置と同じ高さ、又は前記位置よりも上方に前記レンズが位置する請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記カメラによって取得した画像に基づき前記ノズルの先端の電子部品の有無と姿勢を検出する電子部品検出部を備えた請求項1から4のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記電子部品検出部は、前記画像の周辺部における前記ノズルの先端の像に基づいて、前記ノズルの先端に保持された前記電子部品の有無と姿勢を検出する請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記画像は、歪曲収差を有する画像である請求項5または6に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記カメラは前記複数のノズルの先端の像が互いに重ならないで撮像することができる位置に配置された請求項1から7のいずれかに記載の部品実装装置。
【請求項9】
2個以上の前記カメラが前記搭載ヘッドに配置された請求項1から7のいずれかに記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルで電子部品を保持して基板に搭載する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、テープフィーダなどの部品供給装置が供給する電子部品を搭載ヘッドが有するノズルで保持して取り出して基板に搭載する。部品実装装置は、電子部品を取り出して基板に搭載する間に、ノズルが保持している電子部品を部品認識カメラで下方から撮像し、ノズルが保持している電子部品の位置を認識して基板への搭載位置を補正する。また、電子部品を確実に基板に搭載するために、ノズルに流入する空気を流量計で計測して、電子部品の搭載前にはノズルが電子部品を保持していることを、搭載後には電子部品を保持していない(持ち帰っていない)ことを確認することが知られている。
【0003】
ところで、近年の電子部品の微小化に伴ってノズルの径も小さくなっており、ノズルに流入する空気の流量では微小な電子部品の有無を判定することが困難となり、他の手段による電子部品の有無の検出が望まれている。例えば、特許文献1では、光軸を水平方向に向けたカメラと回動可能に支持されて水平方向に移動可能なミラーを備えた撮像装置を搭載ヘッドに搭載することが記載されている。そして、特許文献1では、ミラーの位置と角度を変更することで、ミラーを使用せずにノズルが保持する電子部品を側方から撮像すること、斜め上方に傾けたミラーをノズルの下方に挿入して電子部品の下方から撮像することを、一つの撮像装置で実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-86847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、搭載ヘッドに配置する撮像装置は光軸を水平方向に向けたカメラの他、ミラーの回動手段、移動手段を備えているためサイズが大きくて重量も重くなっている。そのため、搭載ヘッドの移動速度が制限されて搭載作業の効率が低下したり、搭載ヘッドの停止位置の微細な制御が困難になるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、電子部品の搭載作業を阻害することなくノズルの先端の電子部品の有無を検出することができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、電子部品を供給する部品供給部と基板を保持する基板保持部との間で電子部品を保持する複数のノズルを有する搭載ヘッドを移動させて前記電子部品を前記基板に搭載する部品実装装置であって、前記搭載ヘッドに前記複数のノズルの先端と前記基板を同時に撮像可能なカメラを有し、前記搭載ヘッドには複数の前記ノズルが環状に配置されており、前記カメラは複数の前記ノズルで囲まれた内側の領域に配置された
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品の搭載作業を阻害することなくノズルの先端の電子部品の有無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の部分断面図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える搭載ヘッドの(a)底面図(b)部分前面図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える搭載ヘッドが有するヘッドカメラの撮像画像の例を示す図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるヘッド認識カメラの撮像画像の例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える部品認識カメラが撮像した部品認識画像の例を示す図
図8】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるヘッドカメラの撮像画像の認識処理を説明する図
図9】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備えるヘッド認識カメラの撮像画像の認識処理を説明する図
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える搭載ヘッドの他の実施例の底面図
図11】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える搭載ヘッドの他の実施例の底面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、搭載ヘッドの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0011】
まず図1図2を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。図1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する搭載ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。基板搬送機構2は、実装作業位置に基板3を保持する基板保持部2aを備えている。基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
【0012】
図2において、両方の部品供給部4には、それぞれ複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着された台車6が取り付けられている。台車6の前側には、電子部品Dを格納するポケットが形成されたキャリアテープ7が巻回されたリール8が保持されている。テープフィーダ5は、リール8に収納されているキャリアテープ7を部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、搭載ヘッドが電子部品Dをピックアップする部品取り出し位置に電子部品Dを供給する。
【0013】
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9が配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、搭載ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。図1図2において、搭載ヘッド11は、下端に電子部品Dを真空吸着して保持するノズル11bが装着されたノズルユニット11aを複数備えている。ノズルユニット11aは、ノズル11bを上下方向(Z方向)に昇降移動させる。この例では、搭載ヘッド11は、X方向に4つ、Y方向に2列の合計8つのノズルユニット11aを備えている。
【0014】
Y軸テーブル9およびビーム10は、搭載ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる搭載ヘッド移動機構12を構成する。搭載ヘッド移動機構12および搭載ヘッド11は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5の部品取り出し位置から電子部品Dをノズル11bによって真空吸着してピックアップし、基板保持部2aに保持された基板3の搭載位置に移送して実装する部品搭載作業の一連のターンを繰り返し実行する。
【0015】
図1図2において、搭載ヘッド11には、ビーム10の下面側に位置して搭載ヘッド11とともに一体的に移動する基板認識カメラ13が装着されている。搭載ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ13は基板保持部2aに保持された基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク3aを撮像する。撮像結果は制御部20(図6参照)に転送され、基板認識処理部21(図6参照)によって基板3の位置が認識される。
【0016】
前側の部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が設置されている。部品認識カメラ14は、部品供給部4から電子部品Dを取り出した搭載ヘッド11が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、ノズル11bに保持された電子部品Dを下方から撮像する。撮像結果は制御部20に転送され、部品認識処理部22(図6参照)によってノズル11bが保持する電子部品Dの位置が認識される。搭載ヘッド11による電子部品Dの基板3への部品実装作業では、基板認識カメラ13による基板3の認識結果と部品認識カメラ14による電子部品Dの認識結果とを加味して搭載位置の補正が行われる。
【0017】
図1図2において、搭載ヘッド11の下面には、ヘッドカメラ15が設置されている。ヘッドカメラ15は、搭載ヘッド11の複数のノズル11bの先端を撮像する。また。搭載ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ15は基板保持部2aに保持された基板3の上面を撮像する。撮像結果は制御部20に転送され、第一電子部品検出部23(図6参照)によってノズル11bに保持された電子部品Dの有無が認識され、基板上物検出部25(図6参照)によって基板3の上面の状態が認識される。
【0018】
ここで図3図4を参照して、ヘッドカメラ15の詳細について説明する。図3(a)、図3(b)において、ヘッドカメラ15は、搭載ヘッド11の下面の中央に配置されている。すなわち、ヘッドカメラ15は、搭載ヘッド11の下面において、X方向は4つ並んだノズル11bの2番目と3番目の間の位置に、Y方向は2列に配置されたノズル11bの列の間の位置に配置されている。ヘッドカメラ15は搭載ヘッド11に光軸15cを下方に向けて配置されている。ヘッドカメラ15は、撮像素子などの撮像手段を備える撮像部15aの上部に、広角を撮像するための魚眼レンズなどのレンズ15bが配置されて構成されている。
【0019】
図4は、8つのノズル11bにそれぞれ電子部品Dを吸着している搭載ヘッド11が基板保持部2aに保持された基板3の中央上空付近に位置する時に、ヘッドカメラ15が撮像したヘッドカメラ撮像画像15vを示している。ヘッドカメラ撮像画像15vは、レンズ15bの特性により歪曲収差を有する画像になっている。ヘッドカメラ撮像画像15vの4隅にある黒い部分は、レンズ15bの特性によりヘッドカメラ15が写せない領域である。ヘッドカメラ撮像画像15vの左右は、撮像部15aの特性によりヘッドカメラ15が写せない領域である。
【0020】
ヘッドカメラ撮像画像15vの周辺部には、搭載ヘッド11の有する8つのノズル11bの先端と、ノズル11bが保持する電子部品Dが互いに重ならないように写っている。また、ヘッドカメラ撮像画像15vの中央部には、基板3に形成された2つの基板マーク3aを含む基板3の上面が写っている。すなわち、ヘッドカメラ15は、ノズル11bの先端からの光と基板3の上面からの光を同時に撮像部15aに導くレンズ15bを有する。ヘッドカメラ15は搭載ヘッド11と一体となって移動するため、搭載ヘッド11が移動してもヘッドカメラ撮像画像15vに写っているノズル11bと電子部品Dの位置は変わらない。一方、中央部に写る基板3の像は搭載ヘッド11の移動に伴って移動する。
【0021】
図3(b)において、レンズ15bは、ノズル11bが電子部品Dを保持して上昇したときのノズル11bの先端の位置Hnと同じ高さ、又はノズル11bの先端の位置よりも上方に位置している。この例では、レンズ15bが撮像部15aと接する位置Hlは、ノズル11bの先端の位置Hnより高さΔHだけ高い位置に設置されている。これにより、ヘッドカメラ撮像画像15vに写る8つのノズル11bとノズル11bが保持する電子部品Dは、ヘッドカメラ15の撮像領域から外れることがない。
【0022】
なお、ヘッドカメラ15によって得られるヘッドカメラ撮像画像15vは、撮像部15aとレンズ15bの特性で異なるため、ヘッドカメラ15の配置位置はこれらの特性に応じて適宜変更される。すなわち、ヘッドカメラ15は、撮像部15aとレンズ15bの特性に応じて、複数のノズル11bの先端の像が互いに重ならないで撮像することができる位置に配置される。このように、搭載ヘッド11は、光軸15cを搭載ヘッド11の下方に向けており、ノズル11bの先端と基板3の上面とを同時に撮像可能なヘッドカメラ15を有している。
【0023】
図1図2において、後側の部品供給部4と基板搬送機構2との間には、ヘッド認識カメラ16が設置されている。ヘッド認識カメラ16は基台1a上に光軸16cを上方に向けて配置されている。ヘッド認識カメラ16は、撮像素子などの撮像手段を備える撮像部16aの上部に、広角を撮像するための魚眼レンズなどのレンズ16bが配置されて構成されている。ヘッド認識カメラ16は、上方にある搭載ヘッド11の下面を撮像する。撮像結果は制御部20に転送され、第二電子部品検出部24(図6参照)によってノズル11bに保持された電子部品Dの有無が認識される。
【0024】
図5は、8つのノズル11bにそれぞれ電子部品Dを吸着している搭載ヘッド11が上空にある時に、ヘッド認識カメラ16が撮像したヘッド認識カメラ撮像画像16vを示している。ヘッド認識カメラ撮像画像16vは、レンズ16bの特性により歪曲収差を有する画像になっている。ヘッド認識カメラ撮像画像16vの4隅にある黒い部分は、レンズ16bの特性によりヘッド認識カメラ16が写せない領域である。ヘッド認識カメラ撮像画像16vの左右は、撮像部16aの特性によりヘッド認識カメラ16が写せない領域である。
【0025】
ヘッド認識カメラ撮像画像16vの左上には、搭載ヘッド11の有する8つのノズル11bの先端と、ノズル11bが保持する電子部品Dが互いに重ならないで写っている。すなわち、ヘッド認識カメラは16、複数のノズル11bの先端からの光を撮像素子に導くレンズ16bを有する。ヘッド認識カメラ16の画角は広く、ヘッド認識カメラ16を部品供給部4と基板保持部2aの間に設定することで、部品搭載作業において部品供給部4と基板3の間を移動する搭載ヘッド11を広い範囲で撮像することができる。
【0026】
なお、ヘッド認識カメラ16によって得られるヘッド認識カメラ撮像画像16vは、撮像部16aとレンズ16bの特性で異なるため、ヘッド認識カメラ16の配置位置は特性に応じて適宜変更される。すなわち、ヘッド認識カメラ16は、撮像部16aとレンズ16bの特性に応じて、複数のノズル11bの先端の像が互いに重ならないで撮像することができる位置に配置されている。部品実装装置1は、2個以上のヘッド認識カメラ16を備えていてもよい。
【0027】
図1において、部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル17が設置されている。タッチパネル17は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0028】
次に図6を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1が備える制御部20は、基板搬送機構2、部品供給部4、搭載ヘッド11、搭載ヘッド移動機構12、基板認識カメラ13、部品認識カメラ14、ヘッドカメラ15、ヘッド認識カメラ16、タッチパネル17に接続されている。制御部20は、基板認識処理部21、部品認識処理部22、第一電子部品検出部23、第二電子部品検出部24、基板上物検出部25、実装制御部26、実装記憶部27を備えている。実装記憶部27は記憶装置であり、電子部品Dを基板3に実装する際に参照される電子部品Dの部品名(種類)、搭載位置(XY座標)などを含む生産データを記憶する。
【0029】
基板認識処理部21は、基板認識カメラ13を制御し、基板認識カメラ13による基板保持部2aに保持された基板3の撮像結果を認識処理して、基板マーク3aの位置を特定する。また、基板認識処理部21は、電子部品Dの搭載位置を含む撮像結果を認識処理して、搭載位置のゴミや誤って基板3に落下させた電子部品Dなどの基板3の上面に存在する異物を検出する。
【0030】
図6において、部品認識処理部22は、部品認識カメラ14を制御し、部品認識カメラ14によるノズル11bに保持された搭載前の電子部品Dの撮像結果を認識処理して、ノズル11bに対する電子部品Dの位置を検出する。
【0031】
ここで図7を参照して、部品認識カメラ14が撮像して部品認識処理部22によって認識処理されたノズル11bに保持された電子部品Dの部品認識画像14vについて説明する。部品認識画像14vには、X方向の中心線14xとY方向の中心線14yが重ねて表示されている。X方向の中心線14xとY方向の中心線14yの交点が、部品認識画像14vの中心14cである。部品認識カメラ14の取り付け位置とノズル11bの停止位置は、部品認識画像14vの中心14cとノズル11bの中心Cnとが一致するように調整されている。
【0032】
部品認識処理部22は、部品認識画像14vの電子部品Dの外形から電子部品Dの中心Cdを検出する。中心Cdが、ノズル11bの吸着目標位置である。さらに、部品認識処理部22は、部品認識画像14vの中心14cからの電子部品Dの中心Cdの位置を保持位置ずれ(Xm,Ym)として算出する。また、部品認識処理部22は、部品認識画像14vよりノズル11bに電子部品Dが保持されているか否か、保持されている電子部品Dの姿勢は正常か否かを検出する。
【0033】
このように、部品認識カメラ14は、基板3に搭載前のノズル11bに保持された電子部品Dを撮像する。また、部品認識処理部22は、部品認識カメラ14によって取得した画像に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する電子部品検出部である。
【0034】
図6において、第一電子部品検出部23は、ヘッドカメラ15を制御し、ヘッドカメラ15によるノズル11bを含む撮像結果を認識処理して、ノズル11bに保持された電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0035】
ここで図8を参照して、ヘッドカメラ15が撮像して第一電子部品検出部23によって認識処理されたヘッドカメラ撮像画像15v1の例について説明する。ヘッドカメラ撮像画像15v1の周辺部には、搭載ヘッド11の有する8つのノズル11bの先端が写っている。第一電子部品検出部23は、搭載ヘッド11に装着されたノズル11bの種類、保持された電子部品Dの種類に応じて予め設定された認識枠Wa1~Wa8の中を認識処理し、ノズル11bが保持する電子部品Dの有無と姿勢を検出する。第一電子部品検出部23は、例えばパターンマッチングによって認識枠Wa1~Wa8中の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0036】
図8において、認識枠Wa1、Wa2、Wa4、Wa5、Wa7、Wa8の中には正常な姿勢で保持された電子部品Dが写っている。そこで、第一電子部品検出部23は、認識枠Wa1、Wa2、Wa4、Wa5、Wa7、Wa8に対応するノズル11bは電子部品Dを正常な姿勢で保持していると判断する。また、第一電子部品検出部23は、認識枠Wa3の中には電子部品Dが写っていないため、認識枠Wa3に対応するノズル11bは電子部品Dを保持していないと判断する。また、第一電子部品検出部23は、認識枠Wa6の中には電子部品Dの一部が写っているもの、認識枠Wa6の中に納まっていないため、認識枠Wa6に対応するノズル11bは電子部品Dを正常な姿勢で保持していないと判断する。
【0037】
このように、第一電子部品検出部23は、ヘッドカメラ15によって取得したヘッドカメラ撮像画像15v1の周辺部におけるノズル11bの先端の像に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する電子部品検出部である。第一電子部品検出部23は、搭載ヘッド11が部品供給部4から電子部品Dをピックアップしてから基板保持部2aに保持された基板3に搭載するまでの間に、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。これにより、搭載ヘッド11が電子部品Dを搭載可能か否かを判断することができる。
【0038】
また、第一電子部品検出部23は、搭載ヘッド11が基板3に電子部品Dを搭載した後に、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無を検出する。これにより、ノズル11bが基板3に電子部品Dを実装できずに持ち帰っているか否かを判断することができる。このように、本実施の形態の部品実装装置1は、微小な電子部品用で内径が小さく、吸引される空気の流量の差では電子部品Dの有無が検出できないようなノズル11bであっても、ヘッドカメラ15によって電子部品Dの有無を検出することができる。
【0039】
また、ヘッドカメラ15は搭載ヘッド11に一体的に設置されているため、搭載ヘッド11が移動中でもノズル11bの先端の電子部品Dの有無を検出することができる。そのため、電子部品Dの有無の確認のために部品認識カメラ14の上空を経由する必要が無く、部品搭載作業を効率的に実行することができる。
【0040】
図6において、基板上物検出部25は、ヘッドカメラ15を制御し、ヘッドカメラ15による撮像結果を認識処理して、基板3上面に存在する物を検出する。図8において、基板上物検出部25は、基板保持部2aに保持された基板3に対する搭載ヘッド11の相対的な位置関係に基づいて、ヘッドカメラ撮像画像15v1の中央部に写っている基板3の基板マーク3aの位置を特定する。また、基板上物検出部25は、電子部品Dの搭載位置のゴミや誤って基板3に落下させた電子部品Dなどの基板3の上面に存在する異物を検出する。
【0041】
基板上物検出部25は、搭載ヘッド11の現在位置と基板3における基板マーク3aの座標、ヘッドカメラ15の撮像部15aとレンズ15bの特性で決まる歪曲収差に基づいて決定される認識枠Wb1,Wb2の中にある基板マーク3aの位置を認識する。また、基板上物検出部25は、実装記憶部27に記憶されている電子部品Dの搭載位置と歪曲収差に基づいて決定される認識枠Wc1,Wc2の中にゴミなどの異物が有るか無いかを判断する。このように、基板上物検出部25は、ヘッドカメラ15によって取得したヘッドカメラ撮像画像15v1の中央部における基板3の上面の像に基づき、基板3の上面に存在する物(基板マーク3a、異物など)を検出する。
【0042】
図6において、第二電子部品検出部24は、ヘッド認識カメラ16を制御し、ヘッド認識カメラ16によるノズル11bを含む撮像結果を認識処理して、ノズル11bに保持された電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0043】
ここで図9を参照して、ヘッド認識カメラ16が撮像して第二電子部品検出部24によって認識処理されたヘッド認識カメラ撮像画像16v1について説明する。ヘッド認識カメラ撮像画像16v1には、図8に示す搭載ヘッド11が写っており、搭載ヘッド11の有する8つのノズル11bの先端が写っている。第二電子部品検出部24は、搭載ヘッド11の現在位置と搭載ヘッド11に装着されたノズル11bの種類、保持された電子部品Dの種類、ヘッド認識カメラ16の撮像部16aとレンズ16bの特性で決まる歪曲収差に基づいて決定される認識枠Wd1~Wd8の中にあるノズル11bが保持する電子部品Dの有無と姿勢を検出する。第二電子部品検出部24は、例えばパターンマッチングによって認識枠Wd1~Wd8中の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0044】
図9において、認識枠Wd1、Wd2、Wd4、Wd5、Wd7、Wd8の中には正常な姿勢で保持された電子部品Dが写っている。そこで、第二電子部品検出部24は、認識枠Wd1、Wd2、Wd4、Wd5、Wd7、Wd8に対応するノズル11bは電子部品Dを正常な姿勢で保持していると判断する。また、第二電子部品検出部24は、認識枠Wd3の中には電子部品Dが写っていないため、認識枠Wd3に対応するノズル11bは電子部品Dを保持していないと判断する。また、第二電子部品検出部24は、認識枠Wd6の中には電子部品Dが写っているもの、認識枠Wa6の中の電子部品Dが所定の形状でないため、認識枠Wd6に対応するノズル11bは電子部品Dを正常な姿勢で保持していないと判断する。
【0045】
このように、第二電子部品検出部24は、ヘッド認識カメラ16によって取得したヘッド認識カメラ撮像画像16v1に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する電子部品検出部である。第二電子部品検出部24は、搭載ヘッド11が部品供給部4から電子部品Dをピックアップしてから基板保持部2aに保持された基板3に搭載するまでの間に、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。これにより、搭載ヘッド11が基板3に電子部品Dを搭載可能か否かを判断することができる。
【0046】
また、第二電子部品検出部24は、搭載ヘッド11が基板3に電子部品Dを搭載した後に、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無を検出する。これにより、ノズル11bが基板3に電子部品Dを移載できずに持ち帰っているか否かを判断することができる。このように、本実施の形態の部品実装装置1は、微小な電子部品用で内径が小さく、吸引される空気の流量の差では電子部品Dの有無が検出できないようなノズル11bであっても、ヘッド認識カメラ16によって電子部品Dの有無を検出することができる。
【0047】
また、ヘッド認識カメラ16の画角は広いため、電子部品Dの有無の検出のために搭載ヘッド11をヘッド認識カメラ16の真上まで接近させる必要が無く、部品搭載作業を効率的に実行することができる。なお、部品実装装置1は、2個以上のヘッド認識カメラ16を備えていてもよい。その場合、第二電子部品検出部24は、搭載ヘッド11に近いヘッド認識カメラ16が撮像したヘッド認識カメラ撮像画像16v1に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0048】
図6において、実装制御部26は、基板認識処理部21または基板上物検出部25によって認識された基板マーク3aの位置、基板3の上面に存在する異物の有無、部品認識処理部22によって認識されたノズル11bが保持する電子部品Dの位置、部品認識処理部22、第一電子部品検出部23、または第二電子部品検出部24によって検出されたノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢、実装記憶部27に記憶される生産データに基づいて、基板3に電子部品Dを搭載させる部品搭載作業を実行させる。
【0049】
上記の部品実装装置1は、基板認識カメラ13、部品認識カメラ14、ヘッドカメラ15、ヘッド認識カメラ16を備えているが、部品実装装置1はこれらのカメラを全て備える必要はない。例えば、部品実装装置1は、部品認識カメラ14、基板認識カメラ13、ヘッドカメラ15を備えていればよい。その場合、部品認識カメラ14は、上空を通過するノズル11bに保持され基板3に搭載前の電子部品Dを撮像する第一カメラである。また、基板認識カメラ13は、基板3の上面を撮像する第二カメラである。
【0050】
また、ヘッドカメラ15は、第一カメラ及び第二カメラの画角よりも広い画角を有し、ノズル11bが電子部品Dを基板3に搭載する搭載動作の後、部品供給部4へ移動する搭載ヘッド11が有するノズル11bを撮像する第三カメラである。なお、第一カメラの画角は0° から30°までのいずれかの値である。また、第二カメラの画角は0°から20°までのいずれかの値である。また、第三カメラの画角は100°から200°までのいずれかであり、特に185°から195°までのいずれかの画角であることが好ましい。
【0051】
そして、第一電子部品検出部23は、第三カメラによって取得した画像(ヘッドカメラ撮像画像15v1)に基いて、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。また、基板上物検出部25は、第三カメラによって取得した画像の中央部における基板3の上面の像に基づいて、基板3の上面に存在する物(基板マーク3a、異物など)を検出する。
【0052】
また、部品実装装置1は、部品認識カメラ14、基板認識カメラ13、ヘッド認識カメラ16を備えていればよい。その場合、部品認識カメラ14は、上空を通過するノズル11bに保持され基板3に搭載前の電子部品Dを撮像する第一カメラである。また、基板認識カメラ13は、基板3の上面を撮像する第二カメラである。また、ヘッド認識カメラ16は、第一カメラ及び第二カメラの画角よりも広い画角を有し、上空を通過する電子部品Dを基板3に搭載する搭載動作の後のノズル11bの先端を撮像する第三カメラである。そして、第二電子部品検出部24は、第三カメラによって取得した画像(ヘッド認識カメラ撮像画像16v1)に基いて、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0053】
また、部品実装装置1は、部品認識カメラ14とヘッド認識カメラ16との、上空を通過する物体を撮像する二つのカメラを備えていてもよい。その場合、部品認識カメラ14は、基板3に搭載前のノズル11bに保持された電子部品Dを撮像する第一カメラである。また、ヘッド認識カメラ16は、電子部品Dを基板3に搭載する搭載動作の後のノズル11bの先端を撮像する、第一カメラよりも画角が広い第二カメラである。そして、第二電子部品検出部24は、第二カメラによって取得した画像(ヘッド認識カメラ撮像画像16v1)に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する。
【0054】
また、部品実装装置1は、ヘッド認識カメラ16のみを備えていてもよい。その場合、ヘッド認識カメラ16は、上空を通過する物体を撮像し、基板3に電子部品Dを搭載する搭載動作の後の複数のノズル11bの先端を同時に撮像可能なカメラである。そして、第二電子部品検出部24は、カメラによって取得した画像(ヘッド認識カメラ撮像画像16v1)に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する電子部品検出部である。
【0055】
また、部品実装装置1は、ヘッドカメラ15のみを備えていてもよい。その場合、ヘッドカメラ15は、搭載ヘッド11が有する複数のノズル11bの先端を同時に撮像可能なカメラである。そして、第一電子部品検出部23は、カメラによって取得した画像(ヘッドカメラ撮像画像15v1)の周辺部におけるノズル11bの先端の像に基づき、ノズル11bの先端の電子部品Dの有無と姿勢を検出する電子部品検出部である。
【0056】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、搭載ヘッド11に複数のノズル11bの先端を同時に撮像可能なカメラ(ヘッドカメラ15)を有する。これによって、電子部品Dの搭載作業を阻害することなくノズル11bの先端の電子部品Dの有無を検出することができる。
【0057】
次に図10図11を参照して、搭載ヘッドの他の実施例について説明する。以下、上記の搭載ヘッド11と同じ部分は同じ符号を付して詳細な説明を省略する。図10(a)に示す他の搭載ヘッド(以下「第一搭載ヘッド30」と称する。)は、X方向に4つ、Y方向に2列、合計8つのノズル11bを有するところは搭載ヘッド11と同じであるが、ノズル11bの間隔が搭載ヘッド11より狭い。そのため、第一搭載ヘッド30の中央にはヘッドカメラ15を配置することができず、Y方向の一側面に1個のヘッドカメラ15が配置されている。このヘッドカメラ15は、複数のノズル11bの先端の像が互いに重ならないで撮像することができる位置に配置されている。
【0058】
図10(b)に示す他の搭載ヘッド(以下「第二搭載ヘッド31」と称する。)は、ノズル11bの数、配置は第一搭載ヘッド30と同じであるが、ヘッドカメラ15の配置が異なる。すなわち、第二搭載ヘッド31には、X方向の両側面にそれぞれヘッドカメラ15が配置されている。2個のヘッドカメラ15は、互いに補完しながら搭載ヘッド11が有する全て(8つ)のノズル11bの先端の像が互いに重ならないで撮像ができる位置に配置されている。このように、第二搭載ヘッド31に配置されるヘッドカメラ15は2個に限定されることはなく、2個以上のヘッドカメラ15が配置されていてもよい。
【0059】
図11に示す他の搭載ヘッド(以下「第三搭載ヘッド32」と称する。)は、複数(ここでは6つ)のノズル11bが環状に配置されているところが搭載ヘッド11、第一搭載ヘッド30、第二搭載ヘッド31と異なる。そして、ヘッドカメラ15は、複数のノズル11bで囲まれた内側の領域に配置されている。これにより、ヘッドカメラ15は、複数のノズル11bの先端の像が互いに重ならないで撮像することができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の部品実装装置は、電子部品の搭載作業を阻害することなくノズルの先端の電子部品の有無を検出することができるという効果を有し、電子部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 部品実装装置
2a 基板保持部
3 基板
4 部品供給部
11 搭載ヘッド
11b ノズル
15 ヘッドカメラ(カメラ)
15a 撮像部
15b レンズ
15c 光軸
15v、15v1 ヘッドカメラ撮像画像(画像)
30 第一搭載ヘッド(搭載ヘッド)
31 第二搭載ヘッド(搭載ヘッド)
32 第三搭載ヘッド(搭載ヘッド)
D 電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11