(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】日報管理装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20231201BHJP
【FI】
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2020189182
(22)【出願日】2020-11-13
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500205792
【氏名又は名称】株式会社サンロフト
(73)【特許権者】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【氏名又は名称】的場 成夫
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】松田 敏孝
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 広樹
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-098436(JP,A)
【文献】特開2010-102691(JP,A)
【文献】特開2007-226677(JP,A)
【文献】特開2018-136597(JP,A)
【文献】特開2006-107143(JP,A)
【文献】特開2018-190271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに前記の許諾端末にて前記の日報データが閲覧可能であるようにする日報管理装置であって、
前記の許諾端末にて入力された日報データを受信する日報受信手段と、
その日報受信手段が受信した日報データを蓄積する日報データ蓄積手段と、
その日報データ蓄積手段に蓄積した日報データを、他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手段と、
その日報開示手段にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データにおけるテキストデータの一部に対して、当該日報データを閲覧した許諾端末に備えられた強調入力手段にてマーキングした強調データを受信する強調データ受信手段と、
前記の日報開示手段にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データに対して、当該許諾端末に備えられた評価入力手段にて予め用意された複数種類の成長バッジの中から選択された成長バッジによる評価データを受信する評価データ受信手段と、
その評価データ受信手段が受信した評価データおよび前記の強調データ受信手段が受信した強調データを集計して閲覧用の集計データを作成する評価集計手段と、
その評価集計手段が作成した集計データを、所定の権限を許諾された許諾端末が閲覧可能であるように開示する集計データ開示手段と、
を備えた日報管理装置。
【請求項2】
前記の強調データ受信手段にて受信した強調データを言語処理する言語処理手段を備え、
その言語処理手段にて処理した処理後データは、前記の評価集計手段にて作成する集計データへ反映させることとした
請求項1に記載の日報管理装置。
【請求項3】
一般用語を収録した一般辞書データベースと、
前記の日報データ蓄積手段からテキストデータを抽出するテキストデータ抽出手段と、
そのテキストデータ抽出手段が抽出したテキストデータに対して前記の一般辞書データベースとの比較によって社内用語を抽出する社内用語抽出手段と、
その社内用語抽出手段が抽出した社内用語を蓄積する社内用語辞書データベースと、
を備えた請求項2に記載の日報管理装置。
【請求項4】
前記の社内用語データベースへ蓄積した社内用語に対する定義を所定の方法にて入手して社内用語データベースへ登録する用語定義受信手段と、
前記の許諾端末にて入力され送信された検索用語を受信する検索用語受信手段と、
その検索用語受信手段が受信した検索用語に対する定義データを前記の社内用語データベースから抽出する回答作成手段と、
その回答作成手段が抽出した定義データを前記の許諾端末へ返信する回答返信手段と、
を備えた請求項3に記載の日報管理装置。
【請求項5】
前記の評価集計手段は、前記の評価データ受信手段が所定期間に受信した複数種類の評価データを用いてレーダーチャートを作成することとした
請求項1から請求項4のいずれかに記載の日報管理装置。
【請求項6】
所定の日報管理装置に対して所定の権限に係る双方向通信を許諾され、前記の日報管理装置にて閲覧可能とされたテキストデータを含んだ日報データに対して、所定のデータを入力可能な端末であって、
前記の日報データを閲覧可能である日報閲覧手段と、
その日報閲覧手段にて閲覧した日報データにおけるテキストデータに対して部分的に強調する箇所を特定し、強調データとして前記の日報管理装置へ送信する強調入力手段と、
前記の日報データに対して予め決められた複数種類の成長バッジから所定の成長バッジを特定し、評価データとして前記の日報管理装置へ送信する評価入力手段と、
前記の日報管理装置において受信した前記の強調データおよび前記の評価マークを集計して閲覧可能とされた集計データを閲覧する集計データ閲覧手段と、
を備えた端末。
【請求項7】
所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに前記の許諾端末にて前記の日報データが閲覧可能であるようにする日報管理装置を制御するコンピュータプログラムであって、
そのコンピュータプログラムは、
前記の許諾端末にて入力された日報データを受信する日報受信手順と、
その日報受信手順にて受信した日報データを蓄積する日報データ蓄積手順と、
その日報データ蓄積手順にて蓄積した日報データを、他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手順と、
その日報開示手順にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データにおけるテキストデータの一部に対して、当該日報データを閲覧した許諾端末に備えられた強調入力手段にてマーキングした強調データを受信する強調データ受信手順と、
前記の日報開示手順にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データに対して、当該許諾端末に備えられた評価入力手段にて予め用意された複数種類の成長バッジの中から選択された成長バッジによる評価データを受信する評価データ受信手順と、
その評価データ受信手順にて受信した評価データおよび前記の強調データ受信手順にて受信した強調データを集計して閲覧用の集計データを作成する評価集計手順と、
その評価集計手順にて作成した集計データを、所定の権限を許諾された許諾端末が閲覧可能であるように開示する集計データ開示手順と、
を前記の日報管理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の強調データ受信手順にて受信した強調データを言語処理する言語処理手順と、
その言語処理手順にて処理した処理後データを、前記の評価集計手順にて作成する集計データへ反映させる言語処理反映手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとした
請求項7に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
一般用語を一般辞書データベースへ予め収録しており、
前記の日報データ蓄積手順に蓄積したテキストデータを抽出するテキストデータ抽出手順と、
そのテキストデータ抽出手順にて抽出したテキストデータに対して前記の一般辞書データベースとの比較によって社内用語を抽出する社内用語抽出手順と、
その社内用語抽出手順にて抽出した社内用語を社内用語辞書データベースへ蓄積する社内用語蓄積手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の社内用語データベースへ蓄積した社内用語に対する定義を所定の方法にて入手して社内用語データベースへ登録する用語定義受信手順と、
前記の許諾端末にて入力され送信された検索用語を受信する検索用語受信手順と、
その検索用語受信手順にて受信した検索用語に対する定義データを前記の社内用語データベースから抽出する回答作成手順と、
その回答作成手順にて抽出した定義データを前記の許諾端末へ返信する回答返信手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとした
請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の評価集計手順には、前記の評価データ受信手段が所定期間に受信した複数種類の評価データを用いてレーダーチャートを作成するレーダーチャート作成手順を含むこととした
請求項7から請求項10のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
所定の日報管理装置に対して所定の権限に係る双方向通信を許諾され、前記の日報管理装置にて閲覧可能とされたテキストデータを含んだ日報データに対して、所定のデータを入力可能な端末を制御するコンピュータプログラムであって、
前記の日報データを閲覧可能である日報閲覧手順と、
その日報閲覧手順にて閲覧した日報データにおけるテキストデータに対して部分的に強調する箇所を特定し、強調データとして前記の日報管理装置へ送信する強調入力手順と、
前記の日報データに対して予め決められた複数種類の成長バッジから所定の成長バッジを特定し、評価データとして前記の日報管理装置へ送信する評価入力手順と、
前記の日報管理装置において受信した前記の強調データおよび前記の評価マークを集計して閲覧可能とされた集計データを閲覧する集計データ閲覧手順と、
を前記の端末に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社などの組織内において組織構成員が記録する日報を、効率的で効果的に活用することに寄与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
組織の管理者(主に管理職)は、組織構成員(主に従業員)の仕事の管理のため、日報を記載することを義務化している場合が多い。
日報は、一日の業務や作業内容を記載する報告書であり、従業員の業務の進捗を管理職が把握したり、現場で発生する課題を発見したりする、などの役割を果たす。
【0003】
日報は、記入者、日付、記入内容、上司などのコメント欄など、組織の業務内容や経営者の考え方などに応じて様々なフォーマットがあるが、共通しているのは、「業務内容の把握」である。「業務内容の把握」をするのは、管理者に限られない。日報を記載することによって、記載している本人にとってもその日に何をやったのかを客観的に見つめる機会となるからである。
【0004】
日報は、手書きのノート、遠隔地で記載された内容のファックス化、電子メール化など、情報通信技術の発達によって、進化している。その一方で、日報のフォーマットやその内容の共有範囲などが仕事の効率化に直結するため、特定の組織に特化した日報システムが望まれることが多い。
既製品を使えば、日報システムの導入のコストや手間が圧縮できる一方、組織の独自性はある程度犠牲になる。組織の独自性を重視すれば、独自開発またはオーダーメードすることとなり、導入コストや手間は増大する。
【0005】
既製品でありながら、組織毎のカスタマイズが容易に行えることを目的とした技術として、たとえば特許文献1に開示された技術がある。
【0006】
コールセンターにおける記録業務や、その管理という分野は、日報とは異なるものの類似点が多い。そうしたコールセンター業務において、特許文献2に開示された話し言葉やノイズといった談話データを効率的に処理する技術がある。テキストデータにすると膨大な量になりがちな話し言葉の中から、談話構造を解析するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-9278号公報
【文献】特開2011-123565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
日報を書く社員A,Bや、日報を読んで管理する管理職Cにおける日報を巡る課題を、
図1を用いて説明する。
多くの社員が直面するのは、日報を書き続ける動機を(必要性をアタマでは理解しているものの)見失いがちになることである。また、自らが成長している実感を持ちにくいこと、日々の頑張りから湧き出る承認欲求が満たされないこと、組織への貢献度(エンゲージメント)が不明であることによる不安、などを抱きやすい社員は少なくない(社員Aとして
図1に例示)。しかし、動機の疲弊、成長実感の欠如、承認欲求への渇望、エンゲージメント不明による不安、といった不満不平の解消に対して、一般的な日報は機能していない。
【0009】
また、日報を管理職のみが読めるようにしている組織にあっては、社員としては同僚との比較ができない。また、同僚が自分をどのように見ているのか、上司が自分をどのように見ているのか、といった客観的な評価も不明である(社員Bとして
図1に例示)。
【0010】
管理職としては、部下の数に応じた日報を読んでいくこととなる。対面できない状況下では、日報を読み込む必要性も増すが、読み込みには多くの時間を要することとなる。加えて、社員同士が理解を深め、組織としての結束力につなげたいと管理職が考えたとしても、一般的な日報が、その機能を果たすことはない(管理職Cとして
図1に例示)。
【0011】
前述した問題点については、特許文献2に開示された膨大なテキストデータを処理解析する技術では、解決できない。特許文献1に開示された技術もまた、解決できるとは言い難い。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、日報の効果的な運用や日報の効率的な読み込みに寄与する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した課題を解決するため、日報管理装置に係る第一の発明、第一の発明に係る日報管理装置を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0014】
(第一の発明)
第一の発明は、所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに前記の許諾端末にて前記の日報データが閲覧可能であるようにする日報管理装置に係る。
すなわち、前記の許諾端末にて入力された日報データを受信する日報受信手段と、
その日報受信手段が受信した日報データを蓄積する日報データ蓄積手段と、
その日報データ蓄積手段に蓄積した日報データを、他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手段と、
その日報開示手段にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データにおけるテキストデータの一部に対して、当該日報データを閲覧した許諾端末に備えられた強調入力手段にてマーキングした強調データを受信する強調データ受信手段と、
前記の日報開示手段にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データに対して、当該許諾端末に備えられた評価入力手段にて予め用意された複数種類の成長バッジの中から選択された成長バッジによる評価データを受信する評価データ受信手段と、
その評価データ受信手段が受信した評価データおよび前記の強調データ受信手段が受信した強調データを集計して閲覧用の集計データを作成する評価集計手段と、
その評価集計手段が作成した集計データを、所定の権限を許諾された許諾端末が閲覧可能であるように開示する集計データ開示手段と、
を備えた日報管理装置に係る(
図2における「日報管理サーバ」参照)。
【0015】
(用語説明)
「所定の権限に係る双方向通信」とは、データ閲覧やデータ送信などに関し、予め定められた権限に基づいてデータの送受信が可能である双方向通信のことである。たとえば、日報の送信、閲覧および評価データの送信ができる権限、日報を閲覧してコメントデータを書き込める権限などを、IDやパスワードとともに予め定めている(許諾端末に対して、日報管理装置(サーバ)を介して、サーバ管理者が設定する)。
【0016】
「日報開示手段」は、日報データを入力および送信した許諾端末とは別の許諾端末にて閲覧可能である、としている。それは、日報データを入力および送信した許諾端末においては、強調入力手段および評価入力手段を機能させないように設定することが一般的だからである。しかし、日報データを入力および送信した許諾端末においても閲覧可能であるように設定することを妨げない。
【0017】
「成長バッジ」とは、たとえば、様々で細かな解釈も可能であるテキストデータに対して、ニュアンスを省くことで代表的な意味だけを象徴化したマークである(
図5、
図7参照)。
【0018】
(作用)
許諾端末にて入力された日報データを日報受信手段が受信し、受信した日報データは日報データ蓄積手段が蓄積する。蓄積した日報データは、他の許諾端末が閲覧可能であるように日報開示手段が開示する。
【0019】
日報を閲覧した許諾端末の操作者は、日報データの中で目に止まった(共感したり、賞賛したくなったりした)フレーズに対して強調入力手段を用いてマーキングする。日報データの中でマーキングされた箇所は、強調データとなり、日報管理装置における強調データ受信手段が受信する。
また、日報を閲覧した許諾端末の操作者は、目を通した日報データに対して、予め用意された複数種類のマークの中から成長バッジを選択し、評価データとして日報管理装置へ送信する(象徴化)。日報管理装置は、評価データ受信手段にて、選択された成長バッジによる評価データを受信する。
【0020】
評価データ受信手段が受信した評価データおよび前記の強調データ受信手段が受信した強調データを集計して閲覧用の集計データを、評価集計手段が作成する。作成した集計データは、所定の権限を許諾された許諾端末が閲覧可能であるように、集計データ開示手段が開示する。
【0021】
日報を閲覧する管理職(例えばC)は、強調データを中心に読み進める(拾い読み)ことで、効率的に日報データを読むことができる。評価データによる成長バッジは、象徴化されているので、効率的な読み込みに寄与する。
日報を閲覧する被管理者(組織の従業者、たとえば社員A,B)は、自分以外の被管理者(同僚や上司など)がどのように自分を見ているかといった客観的な評価を、成長バッジにて可視化することができる。客観的な評価を得ることができることで、日報を書き続ける動機の疲弊、成長実感の欠如、承認欲求への渇望、エンゲージメント不明による不安などを和らげることに寄与することが期待できる。また、成長バッジや強調データによって効率的な評価閲覧が可能である。
【0022】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の強調データ受信手段にて受信した強調データを言語処理する言語処理手段を備え、
その言語処理手段にて処理した処理後データは、前記の評価集計手段にて作成する集計データへ反映させることとするのである(
図3参照)。
【0023】
(用語説明)
「言語処理手段」は、未処理のテキストデータ(
図3では強調データ、
図4では日報データ)では閲覧した人が読みにくかったり意味が分かりにくかったりすることを想定してテキストデータを加工したり、キーワードを抽出したりする手段である。頻出したキーワードは、「バズワード」として抽出するような機能を備えても良い(
図6における「アノテートしたキーワード」として例示)。
言語処理としては、たとえば、テキストデータに対する形態素解析を実行したり、強調データにて切り取られた文字列では省略されている語句(たとえば主語や目的語)を補ったりする。
【0024】
(作用)
強調データ受信手段にて受信した強調データは、言語処理手段が言語処理を実行する。処理された処理後データは、評価集計手段にて作成される集計データへ反映される。
強調データが言語処理されることで、閲覧者としては読みやすくなる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明におけるバリエーション1は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 一般用語を収録した一般辞書データベースと、
前記の日報データ蓄積手段からテキストデータを抽出するテキストデータ抽出手段と、
そのテキストデータ抽出手段が抽出したテキストデータに対して前記の一般辞書データベースとの比較によって社内用語を抽出する社内用語抽出手段と、
その社内用語抽出手段が抽出した社内用語を蓄積する社内用語辞書データベースと、
を備えるのである(
図4参照)。
【0026】
(用語説明)
「一般辞書データベース」とは、言語処理をするのに用いられるデータベースである。日報管理サーバ内に備えている場合の他、外部サーバに備えている一般辞書データベースへアクセス可能としている場合も含む。
「社内用語辞書データベース」へ蓄積する社内用語についての定義などは、社内に公募するなどして構築することとする。
図4では、ベテラン社員Dへ依頼するシステムとして例示するが、これに限らない。
【0027】
(作用)
日報データ蓄積手段からテキストデータをテキストデータ抽出手段が抽出する。抽出したテキストデータに対し、社内用語抽出手段は、一般辞書データベースと比較することによって(一般辞書データベースには存在しない用語を発見するなどした場合)、社内用語を抽出する。抽出した社内用語は、社内用語辞書データベースへ蓄積する。
【0028】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明におけるバリエーション2は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の社内用語データベースへ蓄積した社内用語に対する定義を所定の方法にて入手して社内用語データベースへ登録する用語定義受信手段と、
前記の許諾端末にて入力され送信された検索用語を受信する検索用語受信手段と、
その検索用語受信手段が受信した検索用語に対する定義データを前記の社内用語データベースから抽出する回答作成手段と、
その回答作成手段が抽出した定義データを前記の許諾端末へ返信する回答返信手段と、
を備えるのである(
図4参照)。
【0029】
(作用)
社内用語データベースへ蓄積した社内用語に対する定義を、所定の方法にて入手し、社内用語データベースへ用語定義受信手段が登録しておく。
許諾端末(たとえば、新入社員Eに係る許諾端末)から入力され送信された検索用語を、検索用語受信手段が受信する。受信した検索用語に対する定義データは、回答作成手段が社内用語データベースから抽出し、抽出した定義データは、回答返信手段が許諾端末へ返信する。
【0030】
社内用語の場合、インターネット上を探しても適切な定義が見当たらない。したがって、新卒社員や中途採用社員などの新入社員は、社内用語を理解できない。誤解をしてしまっては、仕事上の失敗につながることもある。一方で、他の先輩社員には尋ねにくい状況(テレワーク中であるなどの物理的状況の他、仕事の邪魔をしてしまうという遠慮などの心理的な状況も含む)もある。加えて、一般社員は、「社内用語」という自覚がないので、中途社員や新入社員から尋ねられるまで、答えようがない。
一般社員が入社後に自覚を失っていく「社内用語」を自動的に抽出するとともに、その定義を収集し、必要に応じて調べることができる。
【0031】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の評価集計手段は、前記の評価データ受信手段が所定期間に受信した複数種類の評価データを用いてレーダーチャートを作成することとするのである(
図6参照)。
【0032】
(用語説明)
「所定期間」とは、たとえば一ヶ月、一週間などの単位である。
レーダーチャートは、日報を入力した被管理者ごとに作成する場合、被管理者のグループごと(たとえば部署ごと)に作成する場合など、さまざまある。
レーダーチャートの出力形態については、「所定期間を一ヶ月で被管理者ごと」というように予め定めておいてもよいし、管理者が自らの端末を操作して「指定する十日間で部署ごと」といった出力を求められるようにしておいても良い。
【0033】
(作用)
評価データ受信手段が所定期間に受信した複数種類の評価データは、評価集計手段がレーダーチャートを作成する。レーダーチャートは、閲覧者にとって見やすく、評価もしやすい。
【0034】
(第二の発明)
第二の発明は、所定の日報管理装置に対して所定の権限に係る双方向通信を許諾され、前記の日報管理装置にて閲覧可能とされたテキストデータを含んだ日報データに対して、所定のデータを入力可能な端末に係る(
図2における「端末B」、「端末C」参照)。
すなわち、前記の日報データを閲覧可能である日報閲覧手段と、
その日報閲覧手段にて閲覧した日報データにおけるテキストデータに対して部分的に強調する箇所を特定し、強調データとして前記の日報管理装置へ送信する強調入力手段と、
前記の日報データに対して予め決められた複数種類の成長バッジから所定の成長バッジを特定し、評価データとして前記の日報管理装置へ送信する評価入力手段と、
前記の日報管理装置において受信した前記の強調データおよび前記の成長バッジを集計して閲覧可能とされた集計データを閲覧する集計データ閲覧手段と、
を備えた許諾端末である。
【0035】
(作用)
許諾端末の操作者は、日報閲覧手段にて日報データを閲覧することができる。
許諾端末の操作者は、閲覧した日報データにおけるテキストデータに対し、部分的に強調する箇所を強調データとして特定し、その強調箇所を強調データとして日報管理装置へ送信することができる。その機能は、強調入力手段が実施する。
許諾端末の操作者は、日報データに対し、予め決められた複数種類の成長バッジから選択した成長バッジを特定し、その成長バッジによる評価データを日報管理装置へ送信することができる。その機能は、評価入力手段が実施する。
【0036】
日報管理装置においては、許諾端末から送信されてきた強調データおよび評価データを集計し、閲覧可能であるように集計データへ加工する。許諾端末の操作者は、閲覧可能とされた集計データを、集計データ閲覧手段にて閲覧することができる。
【0037】
日報を閲覧する管理職(例えばC)は、強調データを中心に読み進める(拾い読み)ことで、効率的に日報データを読むことができる。評価データによる成長バッジは、象徴化されているので、効率的な読み込みに寄与する。
日報を閲覧する被管理者(組織の従業者、たとえば社員A,B)は、自分以外の被管理者(同僚や上司など)がどのように自分を見ているかといった客観的な評価を、成長バッジにて可視化することができる。客観的な評価を得ることができることで、日報を書き続ける動機の疲弊、成長実感の欠如、承認欲求への渇望、エンゲージメント不明による不安などを和らげることに寄与することが期待できる。また、成長バッジや強調データによって効率的な評価閲覧が可能である。
【0038】
(第三の発明)
第三の発明は、所定の権限に係る双方向通信を許諾された許諾端末にて入力され送信された日報データを蓄積するとともに前記の許諾端末にて前記の日報データが閲覧可能であるようにする日報管理装置を制御するコンピュータプログラムに係る(
図2における「日報管理サーバ」参照)。
そのコンピュータプログラムは、
前記の許諾端末にて入力された日報データを受信する日報受信手順と、
その日報受信手順にて受信した日報データを蓄積する日報データ蓄積手順と、
その日報データ蓄積手順にて蓄積した日報データを、他の許諾端末が閲覧可能であるように開示する日報開示手順と、
その日報開示手順にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データにおけるテキストデータの一部に対して、当該日報データを閲覧した許諾端末に備えられた強調入力手段にてマーキングした強調データを受信する強調データ受信手順と、
前記の日報開示手順にて開示されて許諾端末にて閲覧した日報データに対して、当該許諾端末に備えられた評価入力手段にて予め用意された複数種類の成長バッジの中から選択された成長バッジによる評価データを受信する評価データ受信手順と、
その評価データ受信手順にて受信した評価データおよび前記の強調データ受信手順にて受信した強調データを集計して閲覧用の集計データを作成する評価集計手順と、
その評価集計手順にて作成した集計データを、所定の権限を許諾された許諾端末が閲覧可能であるように開示する集計データ開示手順と、
を前記の日報管理装置に実行させるコンピュータプログラムである。
【0039】
(第三の発明のバリエーション1)
第三の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の強調データ受信手順にて受信した強調データを言語処理する言語処理手順と、
その言語処理手順にて処理した処理後データを、前記の評価集計手順にて作成する集計データへ反映させる言語処理反映手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとするのである(
図3参照)。
【0040】
(第三の発明のバリエーション2)
第三の発明におけるバリエーション1は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、 一般用語を一般辞書データベースへ予め収録しており、
前記の日報データ蓄積手順に蓄積したテキストデータを抽出するテキストデータ抽出手順と、
そのテキストデータ抽出手順にて抽出したテキストデータに対して前記の一般辞書データベースとの比較によって社内用語を抽出する社内用語抽出手順と、
その社内用語抽出手順にて抽出した社内用語を社内用語辞書データベースへ蓄積する社内用語蓄積手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとするのである(
図4参照)。
【0041】
(第三の発明のバリエーション3)
第三の発明におけるバリエーション2は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の社内用語データベースへ蓄積した社内用語に対する定義を所定の方法にて入手して社内用語データベースへ登録する用語定義受信手順と、
前記の許諾端末にて入力され送信された検索用語を受信する検索用語受信手順と、
その検索用語受信手順にて受信した検索用語に対する定義データを前記の社内用語データベースから抽出する回答作成手順と、
その回答作成手順にて抽出した定義データを前記の許諾端末へ返信する回答返信手順と、
を前記の日報管理装置に実行させることとするのである(
図4参照)。
【0042】
(第三の発明のバリエーション4)
第三の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、前記の評価集計手順には、前記の評価データ受信手段が所定期間に受信した複数種類の評価データを用いてレーダーチャートを作成するレーダーチャート作成手順を含むこととするのである(
図6参照)。
【0043】
(第四の発明)
第四の発明は、所定の日報管理装置に対して所定の権限に係る双方向通信を許諾され、前記の日報管理装置にて閲覧可能とされたテキストデータを含んだ日報データに対して、所定のデータを入力可能な端末を制御するコンピュータプログラムに係る(
図2における「端末B」、「端末C」参照)。
すなわち、前記の日報データを閲覧可能である日報閲覧手順と、
その日報閲覧手順にて閲覧した日報データにおけるテキストデータに対して部分的に強調する箇所を特定し、強調データとして前記の日報管理装置へ送信する強調入力手順と、
前記の日報データに対して予め決められた複数種類の成長バッジから所定の成長バッジを特定し、評価データとして前記の日報管理装置へ送信する評価入力手順と、
前記の日報管理装置において受信した前記の強調データおよび前記の成長バッジを集計して閲覧可能とされた集計データを閲覧する集計データ閲覧手順と、
を前記の端末に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0044】
第三の発明および第四の発明に係るコンピュータプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
また、第三の発明または第四の発明に係るコンピュータプログラムを記録媒体へ記憶させて提供することもできる。 ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、ハードディスク、CD-R、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
【発明の効果】
【0045】
第一の発明によれば、日報の効果的な運用や日報の効率的な読み込みに寄与する日報管理装置を提供することができた。
第二の発明によれば、日報の効果的な運用や日報の効率的な読み込みに寄与する端末を提供することができた。
第三の発明によれば、日報の効果的な運用や日報の効率的な読み込みに寄与する日報管理装置の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
第四の発明によれば、日報の効果的な運用や日報の効率的な読み込みに寄与する端末の制御用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】従来の社内日報に関する問題点を、社員や管理職の立場で指摘する様子を示す概念図である。
【
図2】本発明における第一の実施形態の構成を示すためのブロック図である。
【
図3】本発明における第二の実施形態の構成を示すためのブロック図である。
【
図4】本発明における第二の実施形態に採用した言語処理機能を応用した実施形態の構成を示すためのブロック図である。
【
図5】本発明における実施形態における集計データ開示手段が開示したことで閲覧できる画面(社員の成長促進に寄与する出力)の一例である。
【
図6】本発明における実施形態における集計データ開示手段が開示したことで閲覧できる画面(振り返りレポートの出力)の一例である。
【
図7】本発明における実施形態における集計データ開示手段が開示したことで閲覧できる画面(管理職に係る端末での出力)の一例である。
【
図8】本発明における実施形態における集計データ開示手段が開示したことで閲覧できる画面(管理職に係る端末での出力)の一例である。
【
図9】本発明における実施形態に係る日報管理装置を導入した組織において、組織の構成員毎の効果を示す概念図である。
【
図10】本発明における実施形態に係る日報管理装置における時間経過と、組織におけるステップアップとの関係を示す概念図である。
【
図11】
図4に示した言語処理機能が外部の別サーバに存在する場合の実施形態の構成を示すためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明を図面および実施形態に基づいて、説明する。ここで使用する図面は、
図2から
図11である。必要に応じて、
図1も参照する。なお、図中の矢印については、実線がシリアル通信、二点破線が無線通信を示している。
【0048】
(
図2)
図2では、ある会社組織に社員Aおよび社員B、そして管理職Cが在籍し、その会社組織が社員に日報を義務づけ、その日報の電子データを日報管理サーバにて管理している状況を前提としている。
社員Aは端末A(ノート型パソコン)を、社員Bは端末B(スマートフォン)を、管理職Cは端末C(ノート型パソコン)にて、日報管理サーバとの双方向通信を行っている。
【0049】
端末A,B,Cは、日報管理サーバとの通信の際に、社員IDとパスワードの入力を求めるなどして、社員である旨の個人認証を前提として双方向通信が可能となる。すなわち、社員IDとパスワードの入力をすれば、別の端末からも日報管理サーバとの通信が可能となる。
ただし、会社によっては、予め認証を取った端末からのアクセスしか認めないようにする、というようなこともある。
【0050】
社員Aが日報として、「今日の目標」や「今日の気付き」といったテキストデータを、端末Aの日報入力手段を介して入力し、日報管理サーバへ送信する。社員Bも端末Bの日報入力手段を介して入力し、日報管理サーバへ送信する。
【0051】
日報管理サーバにおいては、端末Aや端末Bから送信されてくる日報データを日報受信手段にて受信し、日報データ蓄積手段(日報データベース)へ蓄積する。そして、日報開示手段にて端末A,B,Cが日報を閲覧可能とする。
【0052】
さて、説明の便宜上、端末Bの日報閲覧手段および端末Cの日報閲覧手段が日報開示手段へアクセスして、社員Aが入力および送信した日報データを閲覧したとする。
社員Bは、「今日の目標」における「40台のセットアップ」という箇所に強い関心を抱き、自らの端末B上での強調入力手段を用いて当該箇所へマーキング(マーキング機能)し、の情報を日報管理サーバへ送信する。また、その強い関心を象徴するマークを選択し(マーク選択機能、またはアノテーション機能)、評価入力手段を用いて、どのマークを選択したかについての評価データを日報管理サーバへ送信する。マークの種類や評価データについては、
図5において詳述する。
【0053】
端末Bの強調入力手段から日報管理サーバに送信されてきたマーキング箇所を示す強調データ、および評価入力手段から日報管理サーバに送信されてきた評価データは、強調データ受信手段が受信し、評価データ蓄積手段へ蓄積する。
なお、端末Cにおいても強調入力手段および評価入力手段を備えているが、使わなかったことを意味する意図で、図中では破線にて囲っている。
【0054】
評価データ蓄積手段へ蓄積された強調データや評価データは、所定の期間ごと(たとえば一ヶ月単位や一週間単位で)評価集計手段が集計し、その集計データを社員に係る端末が閲覧可能であるように集計データ開示手段にて開示する。
社員に係る端末は、集計データ閲覧手段にて集計データを閲覧する。
【0055】
なお、管理職Cには、評価データ蓄積手段に蓄積された状態のデータ(評価集計手段が集計する前の生データ)へアクセスできる権限が与えられる場合がある、ということを意味する意図で、図中には、「評価閲覧手段」を備えるとともに、それを破線にて囲っている。
【0056】
(
図3)
図3に示す実施形態は、
図2に示す実施形態に「言語処理手段」を加えた点が異なるのみである。
ここでは、強調データ受信手段にて受信した強調データに対して言語処理手段が機能し、処理した強調データを評価データ蓄積手段へ蓄積させることとしている。
【0057】
なお、言語処理手段とは、たとえば、テキストデータに対する形態素解析を実行したり、強調データにて切り取られた文字列では省略されている語句(たとえば主語や目的語)を補ったりする機能を果たす。
【0058】
(
図4)
図4では、言語処理手段を詳述するとともに、
図3で示した機能とは別の機能(社内用語の収集や管理)を果たす場合を示している。
【0059】
言語処理手段の中には、言語処理を実行するのに必要な一般用語を収めた一般辞書データベースが備えられている。
社員が作成送信して集まってきた日報データを蓄積する日報データ蓄積手段から、テキストデータ抽出手段がテキストデータを抽出する。抽出されたテキストデータに対して、一般辞書データベースに存在する用語であるか否かを検証する。そして、一般辞書データベースに存在しない用語を社内用語として社内用語抽出手段が抽出する。
【0060】
抽出した社内用語は、たとえば、ベテラン社員Dに係る端末Dへ送信する。その社内用語に対する定義をしてもらうためである。
端末Dは、社内用語受信手段にて社内用語を受信し、用語定義を作成して用語定義送信手段にて返信する。 端末Dから送信された用語定義は、用語定義受信手段にて受信し、定義データとして社内用語データベースへ蓄積する。
【0061】
さて、新入社員Eは、先輩社員の日報を読んでいて分からない用語が出てきた場合、自らに係る端末Eにて日報管理サーバへアクセスし、分からない用語を特定して用語検索手段にて送信する。
日報管理サーバは、検索用語を検索用語受信手段にて受信し、言語処理手段の社内用語データベースおよび一般辞書データベースを検索し、回答作成手段にて回答データを作成する。社内用語データベースのみならず一般辞書データベースをも検索することとしているのは、検索用語が社内用語とは限らないからである。
【0062】
作成した回答データは、回答返信手段にて端末Eへ送信し、端末Eでは回答受信手段が回答データを受信する。
なお、検索用語が社内用語データベースにも一般所諸データベースにも存在しない場合もあり得る。その場合には、インターネット上での検索に切り替えるなどするが、ここでは説明を省略する。
【0063】
社内用語の抽出や、その定義データの作成などは、全てが自動化できない場合、日報管理サーバの管理者などが手動で作成することもある。
また、社内用語の定義データは、ここではベテラン社員Dから頂戴することとして説明したが、社内公募をするようなシステムとすることでも良い。
【0064】
(
図5)
図5では、社員の端末に表示される画面の一例を示している。
端末の日報閲覧手段にてアクセスした画面の左上には、カレンダーが表示されており、そのカレンダーの下には、社員の一覧が表示されている。そしてそれらの右隣には、入力履歴が表示されている。
【0065】
画面の中央上側には、この端末の操作者が選択した社員(三宅陽平)による10月15日の日報が表示される。
「今日の目標」と、「今日の気づき」という欄が表示されており、「今日の気づき」の2行目に、印象的な記載を見つけたとすると、その印象的な記載をラインマーカーのように指定することができる強調入力手段を使うことができる。
【0066】
強調入力手段にて指定した箇所は、別のウィンドウに表示される。そして、その別ウィンドウにおいて、5種類のマークから選択するように促される。それが評価入力手段である。5種類のマークについては、「いいね!」、「チャレンジ」、「創意工夫」、「共感した」、「スキルアップ」の5種類である。
図7に大きく示しているのでそこで詳述する。
【0067】
(
図6)
図6もまた、社員の端末に表示される画面の一例を示している。
端末の集計データ閲覧手段にてアクセスした画面の左上には、レーダーチャートが表示されている。このレーダーチャートは、5種類のマークを5つの頂点としたレーダーチャートである。
【0068】
レーダーチャートの右側には、評価データの集計結果が表示されている。自らが獲得したマーク(バッジ)の数と、他の社員に対して強調入力手段にて配布したマーク(バッジ)の数とを一覧表示している。
【0069】
レーダーチャートおよび評価データ集計結果の下には、言語処理手段が処理した結果が表示される。「自分の日報で評価の高いキーワード」をベスト5で列挙している。その左側には、「自分の強みやオリジナリティ」をベスト5で列挙している。
二種類のベスト5の表示の下には、「自分がアノテートしたキーワード」、「(他の」社員がアノテートしたキーワード)が表示される。「アノテート」とは、強調入力手段にて指定した記載である。
アノテートしたキーワードの表示法は、多かったキーワードを大きく表示する、という方式を採用している。
【0070】
アノテートしたキーワードの表示の下には、1ヶ月間の統計処理の結果が表示される。たとえば、プロジェクトAに関する今月の対応案件が78件、といった「今月対応案件」の集計である。
その右側の欄には、前年同月との比較をするための表示が用意されており、ハイパーリンクによってクリックすると所望するデータを表示させることができる。
【0071】
(
図7)
図7は、管理職(経営層)に係る端末において許諾された閲覧表示の一例を表示している。
画面の上側には、所定期間での全社における評価データ(成長バッジ)の集計数を、バッジ(マーク)の種類毎に累計表示している。
【0072】
なお、評価データについての定義は、組織毎に決定するが、概ねの意味を以下に記す。
「いいね!」のバッジ(マーク)は、「承認」、「賞賛」などの意味を示す際に使うこととしている。
「チャレンジ」のバッジ(マーク)は、「挑戦したことへの賞賛」、「失敗したことに対する慰め」などの意味を示す際に使うこととしている。
「創意工夫」のバッジ(マーク)は、「改善提案への賞賛」、「改善が達成できた事項の承認」などの意味を示す際に使うこととしている。
「共感した」のバッジ(マーク)は、「共感」、「全社へ拡散したい」などの意味を示す際に使うこととしている。
「スキルアップ」のバッジ(マーク)は、「成長したことへの承認」、「成長途中にあることへの応援」などの意味を示す際に使うこととしている。
【0073】
評価データ集計の欄の下には、キーワード集計の結果を、バッジの種類毎に表示している。図面の都合で、「いいね!」を獲得したキーワードの頻度のみを表示している。
【0074】
(
図8)
図8もまた、管理職(経営層)に係る端末において許諾された閲覧表示の一例を表示している。
図7は全社的な俯瞰を表示していたが、
図8では部署毎の表示である。
【0075】
図面の上側には、所定期間での営業部における評価データ(成長バッジ)の集計数を、社員毎に累計表示している。それぞれの社員が獲得したマークの種類は、棒グラフにおける棒の色を変更することで示すこととしている。
【0076】
営業部における評価データ(成長バッジ)集計の欄の下には、キーワード集計の結果を、バッジの種類毎に表示している。
獲得したキーワードと、配布したキーワードと別の表にして示している。獲得した集計は、他の社員からの評価が客観化できるのであるが、配布した集計は、他の社員に対しての関わり方が積極的か否かの指標となると考えられる。
【0077】
(
図9)
図9は、
図1に示した日報を書く社員A,Bや、日報を読んで管理する管理職Cにおける日報を巡る課題が、
図2~8を用いて前述してきた実施形態に係る日報管理システムのどのような機能(特に、集計データ開示手段)に基づいて解消できる可能性があるか、を示している。
【0078】
社員Aは、日報を書き続ける動機が疲弊していく感覚や日々の仕事に対する承認欲求が満たされないといった点に、従来の日報への不安、不満を抱えていた。これに対して、前述してきた日報管理システムでは、他の社員から評価データ(マーク、特に「いいね!」)を獲得し、獲得したマークやその集計を可視化することができる。これによって、日報を書く動機が再活性されたり、承認欲求が満たされたりする可能性がある。
【0079】
また、日報に限らないが、日々の仕事を通じた成長実感に乏しい、といった不安、不満に対しても、他の社員から評価データ(マーク、特に「チャレンジ」や「スキルアップ」)を獲得し、獲得したマークやその集計を可視化することができる。これによって、成長を実感できたり、失敗したことに対する承認を得ることができたりする可能性がある。
【0080】
更に、これも日報に限らないが、組織に対する貢献を実感できないといった不安、不満に対しても、他の社員から評価データ(マーク、特に「創意工夫」)を獲得し、獲得したマークやその集計を可視化することができる。これによって、組織貢献に対する承認を得ることができたりする可能性がある。
【0081】
社員Bは、他者(特に同年代社員や同じ部署の社員)との比較欲求が満たされず、客観評価も不明であるといった点に、不安、不満を抱えていた。そうした不安や不満は、従来の日報ではなかなか解消されない。
これに対して、前述してきた日報管理システムでは、他の社員から評価データ(マーク、特に「共感した」)を獲得し、獲得したマークやその集計を可視化することができる。加えて、獲得したマークがレーダーチャート化されるので、客観的な数字がマーク毎に把握できる。これによって、他者との比較欲求が満たされたり、客観評価を自ら獲得した実感を持てたりする可能性がある。
【0082】
管理職Cは、自分以外の多くの社員の日報に目を通し、リアクションすることに対する管理負荷が大きかった。これに対して、前述してきた日報管理システムでは、マーキング機能(強調入力手段による強調データの抽出)があるため、日報データの中に軽重(メリハリ)を実感できる。そのため、いわゆる拾い読みをしていくとしても、強調データを中心とした重要な記載を見落としにくく、リアクションもしやすい。それによって管理負荷を軽減することに寄与する。
【0083】
加えて、言語解析機能を介してキーワード(あるいは「バズワード」)が抽出されるため、過去をふり返った際に記憶が活性化されやすい、といった効果も期待できる。
【0084】
管理職としては、管理対象となっている社員における共感、その共感事項の共有不足を懸念事項として抱えていることが多い。これに対して、他の社員から評価データ(マーク、特に「共感した」)を獲得し、獲得したマークやその集計を可視化することができる。これによって、共感事項の共有不足という懸念を解消できる可能性がある。
【0085】
(
図10)
図10は、会社(組織)の成長に応じた日報システムの機能強化(ステップアップ)を時間軸に沿って示している。
時間軸では、手書き日報を採用している組織がデジタル化し(第一段階)、デジタル化した情報を分析できるようになり(第二段階)、作業時間を意識した働き方への変革期(第三段階)を経て、自分の働き方をふり返って成長を実感できるようになる(第四段階)、という順に推移する。
【0086】
各段階とステップについては、以下のような関係(予想であり、理想である)にある。
第一段階では、前述してきた日報管理システムにおける基本的機能を、会社(組織)に使ってもらうことでステップ1を昇る。
第二段階では、日報管理システムにおける集計機能を活用し、社内を見える化(可視化)することでステップ2を昇る。
第三段階では、各社員の端末をテレワークに対応させる予実管理機能を介し、社員の自律化を促進することでステップ3を昇る。
第四段階では、日報管理システムが提供する各機能を介して個々の社員が成長し、働き方に変化をもたらすことでステップ4を昇る。
【0087】
(
図11)
図11は、
図4に示した言語処理機能を担う部位を、日報管理サーバとは別のサーバとして独立させた実施形態を示す。
言語処理機能の全てを自らの組織に抱える(所有する)ということは、組織の規模によっては合理的ではない。また、社会一般における言語処理機能の進歩は早く激しいので、言語処理機能を閉じた組織で運用すると進歩しない、という問題点もある。
そうした観点から、日報管理サーバとは別のサーバとして言語処理サーバを用いることとするのは合理的である。
【0088】
なお、図示は省略するが、日報管理サーバの主要機能も自らの組織に抱える(所有する)ことを避け、インターネットを介してサービスそのものを提供して貰う、といった日報管理システムの構築も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、組織内の日報を電子化する情報通信サービス業、日報の電子化の運営に必要な機器の製造業やメンテナンス業、社員データを扱うデータサービス業、などにおいて、利用可能性を有する。