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特許7394295キャンディ製剤、及び、キャンディ製剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】キャンディ製剤、及び、キャンディ製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/185 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 45/08 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 31/4425 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 35/57 20150101ALI20231201BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K31/185
A61K9/22
A61K47/26
A61K45/08
A61P1/02
A61P31/04
A61P29/00
A61K47/10
A61K47/14
A61K31/4425
A61K47/44
A61K47/46
A61K47/36
A61K47/42
A61K35/57
A61K47/22
A61K47/28
A61K47/38
A61K31/704
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019226816
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021084908
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390011017
【氏名又は名称】ダイヤ製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517277030
【氏名又は名称】金橋ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】守金 眞滋
(72)【発明者】
【氏名】守金 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】真弓 陽香
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-006736(JP,A)
【文献】特開2019-006737(JP,A)
【文献】特開2011-184422(JP,A)
【文献】特開2011-162529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項2】
薬効成分と甘味剤を含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項3】
薬効成分と甘味剤を含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤。
【請求項4】
薬効成分と甘味剤と、更に多価アルコールを含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項5】
薬効成分と甘味剤と、更に多価アルコールを含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤。
【請求項6】
薬効成分と甘味剤と、更に多価アルコールを含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上 であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項7】
薬効成分と甘味剤と、更に多価アルコールを含有してなるハードキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤を含有しなく、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールを含有し、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤。
【請求項8】
前記多価アルコールの含有量が、全量に対して、1~20重量%であり、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴とする請求項4乃至7のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項9】
水の含有量が、全量に対して、7重量%以下である、
ことを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項10】
薬効成分と甘味剤と、油脂と水を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤。
【請求項11】
薬効成分と甘味剤と、油脂と水を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項12】
薬効成分と甘味剤と、油脂と水を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤はマルチトールであり、
前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤を含有しなく、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項13】
水の含有量が、全量に対して、4~15重量%である、及び/又は、
油脂の含有量が、全量に対して、2~15重量%である、
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項14】
薬効成分と甘味剤と、ゲル化剤と水を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤。
【請求項15】
薬効成分と甘味剤と、ゲル化剤と水を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項16】
薬効成分と甘味剤と、ゲル化剤と水を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤を含有しなく、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴するキャンディ製剤(但し、アミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項17】
水の含有量が、全量に対して、10~35重量%である、及び/又は、
ゲル化剤含有量が、全量に対して、5~25重量%である、
ことを特徴とする請求項14乃至16のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項18】
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第一薬効補助成分を含有し、
前記第一薬効補助成分は、塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウムであり、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中における塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項19】
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第二薬効補助成分を含有し、
前記第二薬効補助成分は、抗菌剤、抗菌性生薬、コロカリア、ビタミン剤、ミネラル剤、鎮咳去痰剤、及び、鎮痛消炎剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの第二薬効補助成分であり、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項20】
更に、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味補助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加助剤を含有してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載のキャンディ製剤。
【請求項21】
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、第一甘味剤としてのマルチトールが溶解されてなるマルチトール溶解液を、第一所定温度に加熱して流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した後、マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げ、該第二所定温度に下げられた前記マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程を備えてなり、
前記第二所定温度は70~150℃であり、
製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤の製造方法(但し、キャンディ製剤がアミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項22】
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、
前記キャンディ製剤は、ハードキャンディの形態を有し、
(A)マルチトールと水を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、7重量%以下の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は120℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤の製造方法(但し、キャンディ製剤がアミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項23】
薬効成分と甘味剤と多価アルコールを含有してなる固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
前記多価アルコールは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なくとも一つの多価アルコールであり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、
前記キャンディ製剤は、ハードキャンディの形態を有し、
(A)マルチトールと水と多価アルコールを混合して、マルチトールが溶解されたマルチ トール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加 熱して、水を蒸発除去して、7重量%以下の水の含有量を含有する加熱された流動 状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチ トール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げ た状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホ ン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含 有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加 熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態 で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は120℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、
保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制され、
保管中における表面変質が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤の製造方法
【請求項24】
薬効成分と甘味剤と、油脂と水を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、
前記キャンディ製剤は、ソフトキャンディの形態を有し、
(A)マルチトールと油脂と水を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、4~15重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は100℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤の製造方法(但し、キャンディ製剤がアミノ安息香酸エ チルを含有する構成を除く)
【請求項25】
薬効成分と甘味剤と、ゲル化剤と水を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、
前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、
前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、
前記第一甘味剤は、マルチトールであり、
前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であり、
前記アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%以上であり、
前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上であり、
人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、
前記キャンディ製剤は、グミキャンディの形態を有し、
(A)マルチトールと水とゲル化剤を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、10~35重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、
を備えてなり、
前記第一所定温度は100℃以上であり、
前記第二所定温度は、前記第一所定温度よりも低いであって、70~150℃であり、
第三所定温度は70℃未満であり、
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とするキャンディ製剤の製造方法(但し、キャンディ製剤がアミノ安息香酸エチルを含有する構成を除く)
【請求項26】
(i)前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第一薬効補助成分を含有し、
前記第一薬効補助成分は、塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウムであり、
及び/又は、
(ii)前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第二薬効補助成分を含有し、
前記第二薬効補助成分は、抗菌剤、抗菌性生薬、コロカリア、ビタミン剤、ミネラル剤、鎮咳去痰剤、及び、鎮痛消炎剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの第二薬効補助成分であり、
前記薬効成分は前記甘味剤の中に含有され、
及び/又は、
(iii)前記甘味剤は、前記第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、第二甘味剤を含有し、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記第一甘味剤と前記第二甘味剤とを含有する前記甘味剤の中に前記薬効成分が均一に含有されてなり、
前記第一甘味剤と前記第二甘味剤とを含有する前記甘味剤の中に前記薬効成分が均一に含有されてなり、
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、
ことを特徴とする請求項21乃至25のいずれか1項に記載のキャンディ製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形状を有するキャンディ製剤に関し、更に詳しくは、本発明は薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを含有してなり、口中に服用された時に薬効成分が徐々に口内に放出されるキャンディ製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口内の炎症を低減・治癒するための医薬品、口内の殺菌、又は、口内の消毒のための医薬品においては、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する種々の形態の医薬品が知られ、液状医薬品を口中に噴霧またはスプレーして患部に接触する噴霧スプレータイプの液剤型の製剤、液体を口に含んで患部に接触させてから吐き出す嗽タイプの液剤型の製剤が公知である。
【0003】
アズレンスルホン酸ナトリウムは、熱、温度、光、及び、空気中の酸素等により分解や変質等が生じる不安定な物質であり、長期間の品質安定性を保つことが課題であることは周知のことである。この課題を解決する種々の方策が提案されている。
【0004】
例えば、特開平6-65071(特許文献1)には、アズレンスルホン酸ナトリウムと多価アルコール(グリセリン、ソルビトール、キシリトール)と水を含有する構成であって、常温保存で3年以上のアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が予測された口腔咽喉用水性溶液製剤が開示されている。
特開2003-81822(特許文献2)には、アズレンスルホン酸ナトリウムと塩化セチルピリジニウムと精製水を含有する構成であって、アズレン安定性を有すると共に、白濁劣化を防止できる水溶性アズレン液剤が開示されている。
特開平11-246513(特許文献3)には、アズレンスルホン酸ナトリウムと非イオン性界面活性剤とアルコール類と水を含有する構成であって、光、熱、酸素に対する安定性を保証したアズレン水性液剤が開示されている。
特開2007-1884(特許文献4)には、グアイアズレンスルホン酸塩と四級アンモニウム塩(塩化セチルピリジニウム)と非イオン性界面活性剤と緩衝材と溶媒(精製水)を含有する構成であって、優れたグアイアズレンスルホン酸塩の安定性を有し、長期間の品質及び薬効の安定性を保証できる液剤が開示されている。
【0005】
上記のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する液剤型製剤の他の製剤として、長時間持続して消炎・殺菌・消毒効果が期待できるチューインガム型の製剤が提案されている。
例えば、特開2005-278428(特許文献5)には、ポピドンヨード、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化デカリニウム、臭化ドミファン、グルコン酸クロルヘキシジン、サリチル酸メチル、塩化セチルピリジニウムなどが選択的に含有された薬効成分を含有するチューインガムであって、チューインガムを噛むことによって、日常的に口の中、喉を消毒、殺菌することができ、また唾液の分泌が促されて口腔内が常に潤い、乾燥が防止されて風邪症候群に感染する恐れを低減することができる作用効果が開示されている。
【0006】
一方、口腔用であって製剤形態がトローチ剤であるキャンディ製剤が提案されている。
例えば、特開2000-212094(特許文献6)には、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化シクロヘキシジン等の殺菌成分と、茶末またはそのエキスを配合した構成を有し、風邪による咽喉の痛みの改善に有効なトローチ剤が開示されている。
特開2012-214402(特許文献7)には、ケイヒの水抽出物と塩化セチルピリジニウムを含む構成を有し、口腔内でバイオフィルムを形成している状態の細菌に対して優れた殺菌作用を示す製剤形態がトローチである口腔用組成物が開示されている。
しかしながら、上記のトローチ剤においては、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムについては、記載なく示唆もされていない。
【0007】
薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、製剤形態がトローチ剤、キャンディ剤、飴剤、ソフトキャンディ剤、グミキャンディ剤のようなキャンディ製剤については、先行技術は少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平6-65071号公報
【文献】特開2003-81822号公報
【文献】特開平11-246513号公報
【文献】特開2007-1884号公報
【文献】特開2005-278428号公報
【文献】特開2000-212094号公報
【文献】特開2012-214402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような噴霧スプレータイプ及び嗽タイプの液剤型製剤は、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの口内滞留時間が限定されており、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの口内滞留時間が更に長時間を確保できる製剤が望まれている。
また、チューインガム型製剤は、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの長時間の口内滞留時間を確保できるが、しかしながら、チューインガム型製剤を服用した後にガム基剤を廃棄する必要があり、路上等への直接廃棄による社会問題発生の懸念があり、このような廃棄の必要のない製剤が望まれている。
また長時間の薬効を維持できると共に廃棄の必要のない製剤としてキャンディや飴のようなキャンディ製剤が期待できるが、しかしながら、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディや飴のようなキャンディ製剤については、公開されている先行技術は少ない。
【0010】
本発明のキャンディ製剤は、上記に鑑みて、服用後の廃棄の必要が無く、服用時に甘味服用感を有すると共に、特に、保管中における、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できるアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤を提供することを目的とする。
【0011】
本発明のキャンディ製剤の製造方法は、服用後の廃棄の必要が無く、服用時に甘味服用感を有するキャンディ製剤の製造方法であって、特に、製造中における薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されると共に、保管中における、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できるアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のキャンディ製剤は、薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
【0013】
本発明のキャンディ製剤の製造方法は、薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、第一甘味剤としてのマルチトールが溶解されてなるマルチトール溶解液を、第一所定温度に加熱して流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した後、該マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げ、該第二所定温度に下げられた前記マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程を備えてなり、前記第二所定温度は70℃~150℃であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキャンディ製剤により、[製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果):服用時に、甘味服用感を有すると共に、保管中における、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できる効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0015】
本発明のキャンディ製剤の製造方法により、[製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果):製造中及び/又は製造時における薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されて所望の含有割合のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤が得られる。特に、甘味剤としてマルチトールを含有することにより、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程の温度を高くした状態においてもアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を生じなくする(又はアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する)ことが可能になり、約70℃~約150℃の高温において混合して製造する工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果が得られる。更に、製造されたキャンディ製剤の保管中における薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できる保管安定性向上効果が得られる。更に、服用した場合に、良好な甘味服用感を有するキャンディ製剤が得られる]を有するキャンディ製剤の製造方法が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明のキャンディ製剤、及び、キャンディ製剤の製造方法について、詳細に説明する。
本発明は、服用後の廃棄の必要が無く、服用時に甘味服用感を有すると共に、特に、保管中における、アズレンスルホン酸ナトリウムの熱及び/又は温度に対する薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できるアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤を提供することを目的として、種々の実験を行った結果、下記の構成を有するキャンディ製剤が優れた効果を有することを見出した。
【0017】
本発明のキャンディ製剤は、薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
【0018】
本発明のキャンディ製剤により、[製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果):服用時に、甘味服用感を有すると共に、保管中における、アズレンスルホン酸ナトリウムの熱及び/又は温度に対する薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できる効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0019】
本発明のキャンディ製剤において、服用時に、甘味剤は、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、薬効成分が口内に放出されて口内に滞留し、甘味剤が甘味を呈するマルチトールを含有してなることにより、甘味服用感が得られる。好ましくは、甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有する。
すなわち、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムが甘味剤の中に含有された固形状を有してなるキャンディ製剤を、口の中に服用して長時間繰り返して舐め、及び/又は、噛み砕いて使用することにより、薬効成分が、徐々に、唾液と共に口内に放出されて、口内に滞留し、そして、咽喉を通過して、長時間、口中及び咽喉の炎症患部に接触して、アズレンスルホン酸ナトリウムの有する薬効を奏することが期待できる。例えば、キャンディ製剤を約10分から60分の間、服用して舐めている間、薬効成分が徐々に口内に放出され、長時間、薬効成分が口内及び咽喉に滞留されて、限られた薬効成分の含有量が最大限に利用されて、薬効効能の利用効率が高められることが期待できる。
【0020】
なお、本発明および本実施例において、「口内」と「口中」は同じ意味であり、また、「口内」と「口中」は、「咽喉」、「喉頭」、「のど」、などを含むものである。また、キャンディ製剤の「保管」は、「保存」と同じ意味である。
【0021】
アズレンスルホン酸ナトリウム(以下、AZとも言う)は、公知物質であり、抗炎症作用を有することが知られており、消化器系、眼科系、耳鼻科系、口腔咽喉系等における炎症性疾患の抗炎症薬、予防薬、治療薬として使用され、また、含嗽薬としても使用されている。
アズレンスルホン酸ナトリウムの性質としては、「日本薬局方外医薬品規格」に、「アズレンスルホン酸ナトリウムは、暗青色の結晶又は結晶性の粉末で、におい及び味はない」、「アズレンスルホン酸ナトリウムは光により変化する」、「アズレンスルホン酸ナトリウムは、メタノールにやや溶けやすく、水又は酢酸にやや溶けにくく、エタノールに溶けにくい」等が記載されている。また、アズレンスルホン酸ナトリウムは、通常には、化学構造式において、水和物の形で存在すると言われている。
【0022】
また、発明者らの予備実験により、アズレンスルホン酸ナトリウムは、約100℃以下の低温では結晶性の粉末又は固体形状であって、空気雰囲気中の約100℃を超える高温領域で分解して劣化しやすい性質を有することを確認している。
【0023】
また、発明者は、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤についての予備実験中における液体クロマトグラフィ分析によるアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を測定実験している時に、アズレンスルホン酸ナトリウムと砂糖等の甘味剤を含有するキャンディ製剤は、含有される甘味剤の種類に起因して、キャンディ製剤の保管中において、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が減少することを偶然に確認した。
すなわち、含有される甘味剤の種類に起因して、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤を保管または保存している間に、アズレンスルホン酸ナトリウムの何らかの劣化が生じる場合があることを確認した。キャンディ製剤の保存中又は保管中においてアズレンスルホン酸ナトリウムが、化学的に劣化して、何らかの他の物質に変化したものと想到される。
【0024】
本発明は、種々の実験により、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有すると共に甘味を有するキャンディ製剤であって、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制した劣化抑制効果を有するキャンディ製剤を見出したものである。
【0025】
マルチトールは、還元麦芽糖ともいわれ、マルトースを還元して得えられるものが一般的であり、甘味を呈する甘味料として知られており、常温で結晶性の固形状の塊状物又は粉末であり、水に溶けやすい性質を有する。マルチトールとしては、製法や粒径等の形状に限定されることなく、あらゆるマルチトールを使用できる。また、マルチトールは、糖アルコールの一種であって、蔗糖の80~90%の甘味を有し、腸管から比較的吸収されにくく低カロリー甘味料として使用可能であることも知られている。
また、発明者らの予備実験により、マルチトールは、高温においても褐変反応(メイラード反応)等の高温劣化が起こりにくく、約190℃においても劣化が認められなく耐熱性に優れる性質を有することを確認している。
【0026】
本発明のキャンディ製剤において、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量は、特に限定されないが、例えば、全量に対して、0.001重量%以上であるキャンディ製剤が好ましく実施可能である。更に好ましくは、0.001~10重量%、更に好ましく0.005~5重量%、更に好ましく0.01~1重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%未満の場合には、薬効成分の含有量が少なすぎるために、薬効が十分に発揮されないことが予想される。
アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が増加するに従って、薬効が増加するが、しかしながら、アズレンスルホン酸ナトリウムの単価が高いことに起因して、コストが高くなる傾向がある。また、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、10重量%を超える場合には何らかの健康に対する副作用を及ぼす懸念が予測される。
【0027】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第一薬効補助成分を含有し、前記第一薬効補助成分は、塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウムであり、人の口中に服用された時に、前記甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、前記薬効成分(アズレンスルホン酸ナトリウムと第一薬効補助成分)が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、キャンディ製剤が、好ましく、実施可能である。
【0028】
この構成により、[製剤効果B-a(AZ・塩化セチルピリジニウム・グリチルリチン酸ジカリウム含有効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、更に、[製剤効果B-aa:保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの保管安定性に影響を与えることなく、塩化セチルピリジニウム・グリチルリチン酸ジカリウムが有する殺菌・抗炎症作用奏する効果]、及び、「製剤効果B-ab:服用時に、薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、該薬効成分が徐々に口内に放出されている間の長時間、持続して薬効成分の有する薬効を奏することが期待できる効果」を有するキャンディ製剤が得られる。
【0029】
第一薬効補助成分の含有量は、特に限定されないが、全量に対して、0.001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%であるキャンディ製剤が、好ましく、実施可能である。更に好ましくは、第一薬効補助成分の含有量が全量に対して0.01~5重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
第一薬効補助成分の含有量が、全量に対して、10重量%を超える場合には、第一薬効補助成分の単価が高いことに起因して、コストが高くなり過ぎる傾向があり、また、キャンディ製剤を服用した時に、何らかの副作用を及ぼす懸念が予測される。
【0030】
塩化セチルピリジニウムは、公知物質であり、殺菌作用を有することが知られており、液体歯磨剤やトローチ剤に含有されて使用されている。「日本薬局方外医薬品規格」には、塩化セチルピリジニウムは、常温で白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦く、水に溶けやすい性質を有することが記載されている。
【0031】
グリチルリチン酸ジカリウムは、公知物質であり、抗炎症作用を有することが知られており、「日本薬局方外医薬品規格」には、グリチルリチン酸ジカリウムは、常温で白色~淡黄色の粉末で、においはなく、特異な甘味を有し、水に溶けやすい性質を有することが記載されている。
【0032】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
前記甘味剤は、前記第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、第二甘味剤を含有し、前記マルチトールと前記第二甘味剤とを含有し、前記甘味剤の中に前記薬効成分が均一に含有されてなる、キャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
【0033】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
前記甘味剤は、前記第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、第二甘味剤を含有し、前記第二甘味剤は、少なくとも、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの第二甘味剤であるキャンディ製剤も、好ましく実施可能である。
【0034】
この構成により、[製剤効果C(甘味剤含有効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0035】
前述のように、マルチトールは甘味剤の一種であり、甘味料として慣用されており、この甘味料としてのマルチトールに加えて、更に、マルチトール以外の他の甘味剤(第二甘味剤)を含有することにより、キャンディ製剤の服用時に、含有するそれぞれの甘味剤に起因する特有の甘味服用感が得られる。
【0036】
蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール等の甘味剤は、甘味を奏する甘味剤として食品や菓子に慣用されている。これらの甘味剤は、その種類により、甘味度合い、風味等は微妙に異なり、それぞれの甘味剤特有の甘味や風味を有する。
蔗糖は、スクロースとも言われ、砂糖の主成分であり、グラニュー糖は蔗糖の一種であり、常温で結晶性固形状を有し、高い水溶性を有する。
ぶどう糖は、グルコースとも言われ、常温で結晶性固形状を有し、高い水溶性を有する。
果糖は、フルクトースとも言われ、常温で固形状を有し、水溶性を有する。
麦芽糖は、マルトースとも言われ、常温で固形状を有し、水溶性を有する。
水飴は、デンプンを糖化酵素や酸で糖化して作られた甘味剤であり、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、麦芽水飴等の種類がある。
キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトールは、糖アルコールの一種であり、常温で結晶性固形状を有し、水溶性を有する。
【0037】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
前記甘味剤が、少なくとも第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤がマルチトールであるキャンディ製剤において、前記マルチトールの含有量は、特に限定されないが、全量に対して、5重量%以上を含有してなるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
また、前記甘味剤が、少なくとも、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に第二甘味剤を含有してなり、前記マルチトールの含有量は、特に限定されないが、全量に対して、5重量%以上を含有してなるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
この構成により、前述の[製剤効果C(甘味剤含有効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果]を最大限に発揮できるキャンディ製剤が得られる。
【0038】
甘味剤が、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、甘味を呈する第二甘味剤を含有するキャンディ製剤において、マルチトールの含有量が少なくなるに従って、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果が少なくなる傾向にあり、キャンディ製剤の全量に対して、マルチトールの含有量が5重量%未満を含有してなるキャンディ製剤の場合には、アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果が十分に得られなくなる傾向がある。
【0039】
さらに好ましくは、薬効成分は、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、更に、第二薬効補助成分を含有し、前記第二薬効補助成分は、抗菌剤、抗菌性生薬、コロカリア、ビタミン剤、ミネラル剤、鎮咳去痰剤、及び、鎮痛消炎剤、からなる群から選ばれる少なくとも一つの第二薬効補助成分であり、前記薬効成分は前記甘味剤の中に含有され、人の口中に服用された時に、前記甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、アズレンスルホン酸ナトリウムと第二薬効補助成分等の薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留して咽喉及び胃腸を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、キャンディ製剤が好ましく実施可能である。
【0040】
なお、甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウムと第二薬効補助成分とを含有するキャンディ製剤は互いに均一に形成された均質な固形状態を有する。
【0041】
この構成により、[製剤効果B-b(第二薬効補助成分含有効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、更に服用時に、口内、咽喉、胃腸に滞留及び/又は通過して、それぞれの第二薬効補助成分が有する薬効を奏することが期待できる効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0042】
殺菌剤としては、塩化ベンゾトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化リゾチウム、マレイン酸クロルフェニラミン、サリチル酸メチル、ホピドンヨード、等が使用できる。これらの殺菌剤は、口腔の殺菌又は消毒等の口腔咽喉薬として周知の物質である。
【0043】
抗菌性生薬としては、茶粉末、茶エキス、ハーブエキス、南天エキス、その他の抗菌性生薬、等が使用できる。
【0044】
コロカリアは、燕の巣を酵素処理等により加工して得られ、シアル酸を含み、インフルエンザの感染抑制剤として知られている。
【0045】
ビタミン剤としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、その他のビタミン、等の各種ビタミン剤等が使用できる。
【0046】
ミネラル剤としては、カルシウム、鉄、マグネシウム・その他のミネラル類等が使用できる。
【0047】
鎮咳去痰剤としては、塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメトルファン、テオフィリン、鎮咳性生薬、その他の鎮咳去痰剤等が使用できる。
【0048】
鎮痛消炎剤としては、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、メフェナム酸、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、ロキソニン、リドカイン、その他の鎮痛消炎剤等が使用できる。
【0049】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであるキャンディ製剤であって、更に、多価アルコールを含有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、保管中におけるキャンディ製剤の表面変質が抑制されてなるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
【0050】
この構成により、[製剤効果D(多価アルコール含有外観変質抑制効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有してなるキャンディ製剤において、キャンディ製剤の保管中に、保管中の温度、湿度及び空気等の保管環境に依存して、キャンディ製剤の表面に白濁現象、白化現象、又は、微細気泡発生現象等の外観変質が生じる場合がある。このようなキャンディ製剤の表面に発生する白濁現象や白化現象の原因は明確でないが、マルチトールの部分的な結晶化、又は、空気中の水分や空気との接触に起因する何らかの表面の外観変質であるものと思われる。このキャンディ製剤の表面の外観変質に対して、甘味剤としてマルチトールを含有すると共に、多価アルコールを含有してなるキャンディ製剤は、キャンディ製剤の保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果が得られることを見出した。
【0051】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、特に好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及びグリセリンからなる群から選ばれる少なくひとつの多価アルコールが使用可能である。ブチレングリコールとしては、1,3-ブチレングリコールが好ましく使用可能である。
常温において、マルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムと多価アルコールとは互いに混合された均質な固形状態を有する。また、常温において、マルチトールと、アズレンスルホン酸ナトリウムと、薬効補助成分と、多価アルコールと、は互いに混合された均質な固形状態を有する。
多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、全量に対して、1~20重量%であるキャンディ製剤が、好ましく、実施可能である。更に好ましくは、多価アルコールの含有量が全量に対して3~15重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
多価アルコールの含有量が全量に対して、1重量%未満の場合には、キャンディ製剤の保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質を抑制する効果が十分に得られなくなる傾向がある。
多価アルコールの含有量が全量に対して20重量%を超える場合には、キャンディ製剤の表面にベタツキ現象(「べた付き」又は「ベタつき」とも言う)を生じた製剤、粘着現象を生じた製剤、又は、著しく柔らかい軟質の製剤、等が得られ、表面ベタツキ・粘着現象の無い固形状を有するキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0052】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであるキャンディ製剤であって、更に、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味補助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加助剤を含有してなるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
【0053】
この構成により、[製剤効果E(添加助剤含有効果):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、更に、含有する添加助剤が奏する作用に対応する作用効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0054】
賦形剤としては、ゼラチン、デンプン、α化デンプン、カルボキシアルキルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム粉末、デキストリン、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、アルキル硫酸ナトリウムやその他のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体やその他の非イオン系界面活性剤、コーンスターチ、タルク粉末、シリカ粉末、炭酸マグネシウム粉末、酸化チタ粉末、ケイ酸カルシウム粉末、無水ケイ酸(エアロジル)、タール色素、カラメル、ベンガラ、リボフラビン、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、などが、好ましく実施可能である。
【0055】
ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、寒天、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、カラヤガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム等が好ましく実施可能である。
【0056】
油脂としては、特に限定されないが、例えば、植物油脂、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、シア脂、動物性油脂、サラダ油、こめ油、糠油、椿油、キャノーラ油、サフラワー油、ベニバナ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、などが使用可能である。
【0057】
乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、ショ糖脂肪酸エステル類(例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル)、有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン、等が使用できる。
【0058】
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、リン酸、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び/又は、前記酸の塩等が、好ましく実施可能である。
【0059】
香料としては、レモン、ライム、オレンジ、ミカン、ブルーベリー、ブドウ、イチゴ、バナナ、その他の果実のエキス、ペパーミント、茶粉末、茶エキス、ライム油、タンジェリン油、マンダリン油などの柑橘精油類、オールスパイス、アニスシード、バジル、ミント、ローレル、カルダモン、セロリー、クローブ、シナモン、クミン、ディル、ガーリック、パセリ、メース、マスタード、オニオン、パプリカ、ローズマリー、ペッパーのような公知のスパイス精油類またはオレオレジン類、リモネン、リナロール、ネロール、シトロネロール、ゲラニオール、シトラール、オイゲノール、シンナミックアルデハイド、アネトール、ペリラアルデハイド、バニリン、γ-ウンデカラクトン、カプロン酸アリル、L-カルボン、マルトールなどのような公知の単離、または合成香料、および、これら柑橘精油類、スパイス精油類、合成香料を目的に沿った割合で混合したシトラスミックス、各種フルーツなどを表現させた調合香料を用いることができる。
【0060】
清涼感剤としては、メントールやハッカ等の粉末やオイル油、等が好ましく実施可能である。
【0061】
甘味補助剤としては、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、α-グルコシルトランスフェラーゼ処理ステビア、アセスルファムカリウム、アリテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、グリチルリチン酸三アンモニウム、グリチルリチン酸三カリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸二アンモニウム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、クルクリン、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラメート、スクラロース、ズルチン、タウマチン(ソーマチン)、テンリョウチャ抽出物、ナイゼリアベリー抽出物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、フラクトシルトランスフェラーゼ処理ステビア、ブラジルカンゾウ抽出物、ミラクルフルーツ抽出物、ラカンカ抽出物、酵素処理カンゾウ、酵素分解カンゾウ、等が好ましく実施可能である。
【0062】
これらの添加助剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、全量に対して30重量%以下であるキャンディ製剤が好ましく実施可能である。添加助剤の含有量が全量に対して30重量%を超える場合には、所望の形態のキャンディ製剤が得られなく、又は、服用時に、何らかの副作用が生じる懸念がある。
【0063】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであるキャンディ製剤であって、比較的に硬い服用感を有する硬い飴、トローチ、又は、ドロップ等のハードキャンディの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
【0064】
上記の第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、第二甘味剤を含有するキャンディ製剤において、比較的に硬い服用感を有する硬い飴、トローチ、又は、ドロップ等のハードキャンディの形態が実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有するハードキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0065】
また、上記の甘味剤を含有するキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、第二甘味剤を含有しないハードキャンディの形態も、好ましく実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有するハードキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有しなく、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0066】
また、上記のハードキャンディの形態のキャンディ製剤において、水の含有量としては、特に限定さないが、全量に対して、7重量%以下であるキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。更に好ましくは、水の含有量は全量に対して5重量%以下であるキャンディ製剤が実施可能である。更に更に好ましくは、水の含有量は全量に対して3重量%以下であるキャンディ製剤が実施可能である。
水の含有量が多くなるに従って生成するキャンディ製剤が軟質で柔らかい性質を有する状態になる傾向があり、水の含有量が全量に対して7重量%を超える場合には、柔らかい形状のキャンディ製剤が得られ、硬い形状を有するキャンディ製剤が得られなくなり、また、表面にべたつき現象が発生する傾向がある。
【0067】
ハードキャンディは、その製造方法において、比較的に高い温度の条件下で加熱して、約7%以下の水分になるまで、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下の水分になるまで、煮詰めて製造されて、常温において比較的に硬い固形状態を有する。
【0068】
この構成により、[製剤効果F(ハードキャンディ):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、所望のキャンディ形態を有する硬い硬さを有すると共に、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制される効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0069】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであるキャンディ製剤であって、前述のハードキャンディよりも比較的柔らかい服用感を有するキャラメル、ファッジ、ヌガー、タフィ、ファンダン、マシュマロ等のソフトキャンデイの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
例えば、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、第二甘味剤を含有してなる下記のソフトキャンデイの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有するソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が、口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0070】
また、本発明のソフトキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、第二甘味剤を含有しない構成を備えたソフトキャンディの形態を有するキャンディ製剤も、好ましく実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有してなるソフトキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有しなく、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0071】
本発明のソフトキャンディの形態を有するキャンディ製剤においては、前記薬効成分と前記甘味剤に加えて、更に、水と油脂を含有する構成が好ましく実施可能である。
更に好ましくは、水の含有量が全量に対して4~15重量%である構成、及び/又は、油脂の含有量が全量に対して2~15重量%である構成が好ましく実施可能である。
水の含有量が、特に限定されないが、全量に対して、4~15重量%、好ましくは5~10重量%の水分、更に好ましくは5~7%である構成が、好ましく実施可能である。
ソフトキャンディは、比較的に中温の条件下(ハードキャンディよりも低い温度)で加熱して、所望の水分になるまで煮詰めて、製造されて、常温においてハードキャンディよりも比較的に柔らかい軟質の固形状態を有する。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が多くなるに従って、生成するソフトキャンディの柔軟性が増していき、ソフト感を有する服用感が得られなくなる傾向にあり、ソフトキャンディに含有される水の含有量が15重量%を超える場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく柔らかい性質又は柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなるキャンディ製剤が得られる傾向がある。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が少なくなるに従って、生成するソフトキャンディの硬さが硬くなる傾向にあり、4重量%未満の場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく硬い硬さを有し、柔軟性、ソフト感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。
【0072】
油脂の含有量は特に制限されないが、例えば、キャンディ製剤の全量に対して、油脂を2~15重量%を含有する構成が、好ましく実施可能である。
油脂の含有量が増加するにしたがって生成するソフトキャンディの硬さが柔らかく軟質になる傾向にある。油脂の含有量が全量に対して15重量%を超える場合には、柔らかくなり過ぎて所望の柔らかさを有するソフトキャンディが得られなくなる傾向がある。また、油脂の含有量が全量に対して2重量%未満の場合には、比較的に硬いキャンディが生成して、所望の柔らかさ有するソフトキャンディが得られなくなる傾向がある。
ソフトキャンディに使用される油脂としては、特に限定されることなく、、例えば、植物油脂、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、シア脂、動物性油脂、サラダ油、こめ油、糠油、椿油、キャノーラ油、サフラワー油、ベニバナ油、エゴマ油、アマニ油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウォルナッツオイル、グレープシードオイル、カカオバター、ピーナッツバター、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、乳脂、バター、マーガリン、ショートニング、生クリーム、などの前述の油脂が使用可能である。
ソフトキャンディは、上記の油脂に加えて、更に、乳化剤、アラビアガム、ゼラチン、タンパク質、セルロース、甘味剤、香料等を適宜含有できる。
また、ソフトキャンディは、糖衣などのコーティングを施してもよいし、コーティングを施さなくてもよい。
【0073】
この構成により、[製剤効果G(ソフトキャンディ):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、所望のソフトキャンディ形態を有する軟質の柔らかい硬さを有するキャンディ製剤]が得られる。
【0074】
本発明のキャンディ製剤において、好ましくは、下記の構成を備える。
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであるキャンディ製剤であって、そのキャンディ製剤の形態としては、前述のハードキャンディよりも比較的柔らかく、弾性を有する服用感を有するグミキャンデイの形態のキャンディ製剤が実施可能である。
例えば、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、第二甘味剤を含有してなる下記のグミキャンデイの形態のキャンディ製剤が、好ましく実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤と第二甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0075】
また、本発明のグミキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、第二甘味剤を含有しない構成を備えたグミキャンディの形態を有するキャンディ製剤が実施可能である。
すなわち、「前記薬効成分と前記甘味剤を含有してなるグミキャンディの形態を有する固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、前記甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有しなく、前記マルチトールの含有量が、全量に対して、5重量%以上を含有し、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴するキャンディ製剤」が実施可能である。
【0076】
グミキャンディにおいては、前記薬効成分と前記甘味剤に加えて、更に、少なくとも、水とゲル化剤を含有する構成が好ましく実施可能である。
水の含有量が、全量に対して、10~35重量%であ構成、及び/又は、ゲル化剤含有量が、全量に対して、5~25重量%である構成が、更に好ましく実施可能である。
グミキャンディとしては、油脂を含有しない構成、又は、油脂を含有する構成が実施可能であるが、油脂を含有しないグミキャンディがより好ましく実施可能である。
【0077】
ゲル化剤としては、特に限定されないが、例えば、前述のゼラチン、ペクチン、アラビアガム、及び、寒天、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、タラガム、トラガントガム、カラヤガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム等が使用できる。なかでも、食感の点から、ゼラチン、ペクチン、アラビアガムが好ましく、ゼラチンがより好ましい。ゼラチンは、例えば、牛、豚、鶏、魚等の皮、骨、腱等を原料としたゼラチンが使用できる。ゼラチンは、特に限定されず、酸又はアルカリで処理して得られるもの等を使用できる。
ゲル化剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
本発明のグミキャンディにおいて、ゲル化剤の含有量は、特に制限されないが、弾力を有する服用感を得る観点から、全量に対して、好ましくは5~25重量%であり、より好ましくは10~20重量%以上である。特に、ゲル化剤としてゼラチンを用いる場合、グミキャンディ中のゼラチンの含有量は、同様の点から、好ましくは5~25重量%であり、より好ましくは10~20重量%である。ゲル化剤の含有量が増加するにしたがって、生成するグミキャンディの硬さが弾力を有すると共に柔らかくなる傾向がある。特に、ゲル化剤の含有量が全量に対して5重量%未満の場合には、所望の弾力を有するグミキャンディが得られない傾向がある。また、ゲル化剤の含有量が全量に対して25重量%を超える場合には、生成するグミキャンディの硬さが柔らかくなり過ぎて、所望の弾力を有するグミキャンディが得られない傾向がある。
【0079】
グミキャンディに含有される水の含有量は、特に限定されないが、10~35重量%、好ましくは15~25重量%が実施可能である。
グミキャンディに含有される水の含有量が10重量%未満の場合には、所望の弾力が得られなく硬い性質を有し、所望の弾性、軟質感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。グミキャンディに含有される水の含有量が35重量%を超える場合には、所望の弾力が得られなく柔らかい性質を有し、また、固形形状を保持できないキャンディ製剤が得られる傾向がある。
【0080】
この構成により、[製剤効果H(グミキャンディ):前述の(製剤効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、所望のグミキャンディ形態を有する弾性を有する軟質硬さを有するキャンディ製剤]が得られる。
【0081】
本発明のキャンディ製剤は、人の口に服用されることにより、前記甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、前記薬効成分が口中において唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有し、咽喉の不快感の改善、声がれの改善、及び/又は、口内不快感の改善に適している。
また、本発明のキャンディ製剤は、上記に限定されることなく、咽喉の炎症の改善、咽喉の炎症の治療、咽喉の腫れの改善、咽喉の痛みの改善、咽喉の不快感の改善、声がれの改善、口内炎の改善、口内炎の治療、口内炎の予防、等にも使用可能である。
ハードキャンディ、ソフトキャンディ、又は、グミキャンディの形態を有するキャンディ製剤は、人の口中に服用された時に、口の中で長時間にわたって舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に、口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過し、この間、咽喉の炎症の改善、咽喉の炎症の治療、咽喉の腫れの改善、咽喉の痛みの改善、咽喉の不快感の改善、声がれの改善、口内炎の改善、口内炎の治療、口内炎の予防、等の効果が期待できる。
【0082】
本発明のキャンディ製剤の製造方法は、薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有するキャンディ製剤の製造方法であって、第一甘味剤としてのマルチトールが溶解されてなるマルチトール溶解液を、第一所定温度に加熱して流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した後、該マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げ、第二所定温度に下げられた前記マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程を備えてなり、前記第二所定温度は70℃~150℃であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
【0083】
本発明のキャンディ製剤の製造方法により、[製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果):製造時及び/又は製造時における薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されて所望の含有割合のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤が得られる。特に、甘味剤としてマルチトールを含有することにより、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程の温度を高くすることが可能になり、マルチトールを含有しない甘味剤と比べて、高い温度で混合して製造する工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果が得られる。特に、甘味剤としてマルチトールを含有することにより、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程の温度を高くした状態においてもアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を生じなくする(又はアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する)ことが可能になり、約70℃~約150℃の高温において混合して製造する工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果が得られる。更に、製造されたキャンディ製剤の保管中における、アズレンスルホン酸ナトリウムの熱及び/又は温度に対する薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できる保管安定性向上効果が得られる。更に、服用した場合に、良好な甘味服用感を有するキャンディ製剤が得られる]を有するキャンディ製剤の製造方法が得られる。特に、150℃の高温でアズレンスルホン酸ナトリウムを混合した場合にも、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できるキャンディ製剤が得られる。
【0084】
第二所定温度が150℃を超える場合には、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程において、アズレンスルホン酸ナトリウムが化学的変化に劣化する傾向があり、アズレンスルホン酸ナトリウムの有する薬効を十分に発揮できない恐れがある。第二所定温度が70℃未満の場合には、甘味剤の粘性が大きく、甘味剤が流動性を有しない形態になり、その為に、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合できなくなる傾向があり、薬効成分が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0085】
本発明のキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
ハードキャンディの形態を有し、(A)マルチトールと水を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、7重量%以下の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は120℃以上であり、前記第二所定温度は前記第一所定温度よりも低い温度であって70~150℃であり、第三所定温度は70℃未満であり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~130℃が実施可能であり、第一所定温度が121℃の場合には、第二所定温度は70~121℃が実施可能である。
【0086】
上記製造方法により、[製造方法効果F(ハードキャンディ):前述の[製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果)]が得られると共に、特に(A)工程により、[製造方法効果F-a:マルチトールを容易に溶解できると共に所定量の水分を効率よく蒸発除去できる効果が得られ、更に、水の含有量が全量に対して7重量%以下の含有により、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制されるとともに、保管中におけるキャンディ製剤表面の白化現象、白濁現象、気泡発生現象等のキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果]、及び、特に(B)工程により、[製造方法効果F-b:前述の(製造方法効果A)を有すると共に、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を容易に調製することが可能になるとともに、アズレンスルホン酸ナトリウムの温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0087】
前記(B)工程において、マルチトール含有加熱流動甘味剤の温度が高くなるに従って薬効成分(アズレンスルホン酸ナトリウム)の化学的な劣化が生じやすい傾向があり、特に、マルチトール含有加熱流動甘味剤の温度が150℃を超える場合には、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程において、キャンディ製剤の薬効成分の劣化が起こりやすくなる。
マルチトール含有加熱流動甘味剤の温度が低くなるに従ってマルチトール含有加熱流動甘味剤の粘性が高くなり、特に、第二所定温度が70℃未満の場合には、マルチトール含有加熱流動甘味剤の粘性が著しく高くなり、マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとの混合が十分に行えなくなる傾向があり、薬効性が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0088】
前記第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、好ましくは70~140℃、更に好ましくは70~120℃が可能である。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~140℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~140℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~120℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が121℃の場合には、第二所定温度は70~120℃が好ましく実施可能である。
【0089】
前記(A)工程におけるマルチトールと水との混合割合は、特に限定されなく、例えば、「(A)マルチトール50~90重量%と、水50~10重量%を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程」、更に好ましくは、「(A)マルチトール60~90重量%と、水40~10重量%を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程」、更に更に好ましくは、「(A)マルチトール70~90重量%と、水30~10重量%を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程」が、実施可能である。
【0090】
また、前記(A)工程における「前記マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程」において、更に好ましくは「前記マルチトール溶解液を120℃~200℃の温度」、更に更に好ましくは「前記マルチトール溶解液を120℃~190℃の温度」に加熱して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程」が実施可能である。
加熱温度が高くなるに従って水を蒸発除去する時間が短くなる利点があるが、加熱温度が高くなるに従ってマルチトールを含有する甘味剤の褐変反応(メイラード反応)等の劣化が生じる傾向があり、マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去する温度としては、好ましくは、120℃~200℃の温度が好ましく、更に好ましくは、120℃~190℃が好ましい。
【0091】
また、更に好ましくは、前記(A)工程における「前記マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程」において、水含有量が、「5重量%以下」、更に好ましくは「3重量%以下」の加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程」が実施可能である。
キャンディ製剤に含有される水の含有割合が増加するに従って、製造直後及び保管中の約25℃の常温において、キャンディ製剤がネバネバ現象等の粘性であって軟質を有する形状の製剤になる傾向があり、水の含有量が、全量に対して、7重量%を超える場合には、製造直後及び/又は保管中の約25℃の常温において、キャンディ製剤がネバネバ現象等の粘性軟質を有する形状、又は、キャンディ製剤の表面がベタ付き現象を有する製剤になる傾向があり、このような現象を有するキャンディ製剤においては、個別包装や高い気密性を有する密封包装の形態で対処し、包材費用が高くなるとともに包装工程が煩雑になる課題が生じる。
【0092】
前述の「前記マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱して、水を蒸発除去して、水含有量が7重量%以下の加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程」としては、特に限定されないが、例えば、減圧雰囲気中で、マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱する方法」、又は、空気雰囲気中で、マルチトール溶解液を120℃以上の温度に加熱する方法」が実施可能である。減圧雰囲気中で水を蒸発することにより、甘味剤の熱劣化が抑制されると共に、水の蒸発に要する時間を短くできる利点がある。
【0093】
第三所定温度は70℃未満が好ましく、第三所定温度が70℃以上の場合には、薬効成分含有マルチトール含有成形製剤が流動性を有する状態を維持し、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0094】
本発明のキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
ソフトキャンディの形態を有し、(A)マルチトールと水を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、水を蒸発除去して、4重量%~15重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は100℃以上であり、前記第二所定温度は前記第一所定温度よりも低い低い温度であって、70~150℃であり、第三所定温度は70℃未満であり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~130℃が実施可能であり、第一所定温度が101℃の場合には、第二所定温度は70~101℃が実施可能である。
【0095】
上記製造方法において、[製造方法効果G(ソフトキャンディ):前述の[製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果)]が得られると共に、特に(A)工程により、[製造方法効果G-a:マルチトールを容易に溶解できると共に所定量の水分を効率よく蒸発除去できる効果が得られ、更に、水の含有量が全量に対して4重量%~15重量%の含有により、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制されるとともに、服用時に、所望の軟質の柔らかい服用感を有するキャンディ製剤]、及び、特に(B)工程により、[製造方法効果G-b:薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を容易に調製することが可能になるとともに、アズレンスルホン酸ナトリウムの温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0096】
(B)工程において、第二所定温度が150℃を超える場合には、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程において、アズレンスルホン酸ナトリウムが化学的変化に劣化する傾向があり、アズレンスルホン酸ナトリウムの有する薬効を十分に発揮できない恐れがある。第二所定温度が70℃未満の場合には、甘味剤の粘性が大きく、甘味剤が流動性を有しない形態になり、その為に、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合できなくなる傾向があり、薬効性が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0097】
(A)工程において、第一所定温度としては、100℃以上であり、好ましくは、100℃~150℃の温度、更に好ましくは110℃~130℃の温度、に加熱して、マルチトール溶解液に含有されている水を蒸発除去して、流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程が、好ましく実施可能である。
また、(A)工程において、マルチトール含有加熱流動甘味剤に含有される水の含有量は、好ましくは5~10重量%、更に好ましくは5~7%になるまで煮詰める工程が好ましく実施可能である。
【0098】
(B)工程において、第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70℃~150℃の温度が好ましく実施可能であり、更に好ましくは、70℃~120℃の温度が好ましく実施可能である。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~120℃が好ましく実施可能であり、第一所定温度が101℃の場合には、第二所定温度は70~101℃が好ましく実施可能である。
【0099】
ソフトキャンディに含有される水の含有量が多くなるに従って、生成するソフトキャンディの柔軟性が増していき、ソフト感を有する服用感が得られなくなる傾向にあり、ソフトキャンディに含有される水の含有量が15重量%を超える場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく柔らかい性質又は柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなるキャンディ製剤が得られる傾向がある。
ソフトキャンディに含有される水の含有量が少なくなるに従って、生成するソフトキャンディの硬さが硬くなる傾向にあり、4重量%未満の場合には、所望の軟質、柔軟性が得られなく硬い硬さを有し、柔軟性、ソフト感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。
水の含有量が15重量%を超えるキャンディ製剤は、柔らかくなり過ぎて、固形形状を保持できなくなる傾向がある。
【0100】
第三所定温度が70℃以上の場合には、薬効成分含有マルチトール含有成形製剤が流動性を有する状態を維持した状態であり、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0101】
本発明のキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
グミキャンディの形態を有し、(A)マルチトールと水を混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製する工程、及び、前記マルチトール溶解液を第一所定温度に加熱して、10重量%~35重量%の水の含有量を含有する加熱された流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程、ここで、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度を維持し、(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動状態を維持する第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、ここで、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度を維持し、及び、(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度に下げた状態で、所定の形状に成形して薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製する工程、を備えてなり、前記第一所定温度は100℃以上であり、前記第二所定温度は前記第一所定温度よりも低い温度であって、70~150℃であり、第三所定温度は70℃未満であり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、ことを特徴とする。
例えば、第一所定温度が150℃を超える温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が150℃以下の温度の場合には、第二所定温度は70~150℃が実施可能であり、第一所定温度が130℃の場合には、第二所定温度は70~130℃が実施可能であり、第一所定温度が101℃の場合には、第二所定温度は70~101℃が実施可能である。
【0102】
上記製造方法により、[製造方法効果H(グミキャンディ)、前述の[製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果)]が得られると共に、特に(A)工程により、[製造方法効果H-a:マルチトールを容易に溶解できると共に所定量の水分を含有するとともに、更に、水の含有量が全量に対して10重量%~35重量%の含有により、製造直後及び保管中におけるキャンディ製剤表面の水分に起因するベタツキ現象が抑制されるとともに、服用時に快適な弾性、軟質の服用感を有するキャンディ製剤]、及び、特に(B)工程により、[製造方法効果H-b:薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を容易に調製することが可能になるとともに、アズレンスルホン酸ナトリウムの温度による化学的な劣化を抑制することができる効果]が得られる。
【0103】
(B)工程において、第二所定温度が150℃を超える場合には、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程において、アズレンスルホン酸ナトリウムが化学的変化に劣化する傾向があり、アズレンスルホン酸ナトリウムの有する薬効を十分に発揮できない恐れがある。第二所定温度が70℃未満の場合には、甘味剤の粘性が大きく、甘味剤が流動性を有しない形態になり、その為に、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合できなくなる傾向があり、薬効性が甘味剤の中に均一に含有されてなる所望のキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0104】
(A)工程において、第一所定温度としては、100℃以上であり、好ましくは、100℃~150℃の温度、更に好ましくは110℃~130℃の温度、に加熱して、流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製する工程が、好ましく実施可能である。
【0105】
(B)工程において、第二所定温度としては、前記第一所定温度よりも低い温度であって、70℃~150℃の温度が好ましく実施可能であり、更に好ましくは70℃~120℃の温度であり、更に更に好ましくは70~100℃が好ましく実施可能である。
【0106】
グミキャンディに含有される水の含有量が10重量%未満の場合には、所望の弾力が得られなく硬い性質を有し、所望の弾性、軟質感を有するキャンディ製剤が得られる傾向がある。グミキャンディに含有される水の含有量が35重量%を超える場合には、所望の弾力が得られなく柔らかい性質を有し、また、固形形状を保持できないキャンディ製剤が得られる傾向がある。
【0107】
第三所定温度が70℃以上の場合には、薬効成分含有マルチトール含有成形製剤が流動性を有する状態を維持した状態であり、所定の形状に成形できない傾向がある。
【0108】
本発明の薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有しキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の(i)、及び/又は、(ii)、及び/又は(iii)の構成を備え、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなることを特徴とする、構成が、好ましく実施可能である。
(i)前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第一薬効補助成分を含有し、前記第一薬効補助成分は、塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウムである。
(ii)前記薬効成分は、少なくとも、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第二薬効補助成分を含有し、前記第二薬効補助成分は、抗菌剤、抗菌性生薬、コロカリア、ビタミン剤、ミネラル剤、鎮咳去痰剤、及び、鎮痛消炎剤からなる群から選ばれる少なくとも一つの第二薬効補助成分であり、前記薬効成分は前記甘味剤の中に含有されてなる。
(iii)前記甘味剤は、前記第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、第二甘味剤を含有し、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤であり、前記第一甘味剤と前記第二甘味剤とを含有する前記甘味剤の中に前記薬効成分が均一に含有されてなり、前記第一甘味剤と前記第二甘味剤とを含有する前記甘味剤の中に前記薬効成分が均一に含有されてなる。
【0109】
口腔用消炎剤、ビタミン剤、消炎剤、鎮咳去痰剤等の第二薬効補助成分としては、前述のそれぞれの第二薬効補助成分の使用が実施可能である。
【0110】
上記の「前記薬効成分が第一薬効補助成分を含有する構成」により、[製造方法効果B-a(第一薬効補助成分含有効果):前述の(製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、製造中及び/又は製造時における薬効成分の熱に起因する劣化が抑制されると共に、更に服用時に、それぞれの第一薬効補助成分が有する薬効が期待できる効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0111】
上記の「前記薬効成分が第二薬効補助成分を含有する構成」により、[製造方法効果B-b(第二薬効補助成分含有効果):前述の(製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、製造中及び/又は製造時における薬効成分の熱に起因する劣化が抑制されると共に、更に服用時に、それぞれの第二薬効補助成分が有する薬効が期待できる効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0112】
上記の「前記甘味剤が前記第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、さらに、甘味を呈する第二甘味剤を含有し、前記第二甘味剤は、蔗糖、ぶどう糖、果糖、麦芽糖、水飴、キシリトール、還元パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、及び、ラクチトール、とからなる群から選ばれる少なくともひとつの甘味剤を含有する構成」により、[製造方法効果C(甘味剤含有効果):前述の(製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、製造中及び/又は製造時における甘味剤の熱に起因する劣化が抑制され、更に、甘味剤と薬効成分とが均一に混合された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を容易に調製することができると共に、含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0113】
本発明の薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有しキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、下記の構成を備える。
前記(A)工程、又は、前記(B)において、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味補助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加助剤を混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、を備える、ことを特徴とする。
賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、甘味補助剤等の添加助剤の具体的物質としては、前述のそれぞれの添加助剤の使用が実施可能である。
【0114】
この構成により、[製造方法効果E(添加助剤含有効果):前述の(製造方法効果A(マルチトール・AZ劣化抑制効果))を有すると共に、製造中及び/又は製造時における添加助剤の熱劣化が抑制されると共に、更に、含有する添加助剤が奏する作用に対応する作用効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0115】
本発明の薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有してなるキャンディ製剤の製造方法において、「前記(A)工程、又は、前記(B)において、更に、多価アルコールを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、を備え、流動状態を有する前記第二所定温度は、前記70~150℃よりも低い温度の60~120℃であり、製造工程中及び保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなるとともに、保管中における表面変質が抑制されてなる、ことを特徴とする」キャンディ製剤の製造方法が好ましく実施可能である。
【0116】
この構成により、[製造方法効果D(多価アルコール含有効果):前述の(製造方法効果A)を有すると共に、流動状態を有する第二所定温度としての温度が多価アルコールを含有しない構成と比べて、更に低い温度においても流動性を有する状態を維持することが可能になり、その結果、多価アルコールを含有しない構成と比べて、低い温度において、アズレンスルホン酸ナトリウム等の薬効成分の劣化を起こすことなく薬効成分を混合可能になり、薬効成分の劣化が抑制された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製することができると共に、更に、薬効成分保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質が抑制される効果]を有するキャンディ製剤が得られる。
【0117】
多価アルコールとしては、特に限定されないが、特に好ましくは、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、及び、グリセリンからなる群から選ばれる少なく利根一つの多価アルコールが使用可能である。
上記の多価アルコールは、約190℃以下の温度において液状を有し、アズレンスルホン酸ナトリウム、及びマルチトールや甘味剤と混合して均質な混合液を形成可能であり、また、常温において、マルチトールと、アズレンスルホン酸ナトリウムと、薬効補助成分と、多価アルコールと、は互いに混合された均質な固形状態を有する。
多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、全量に対して、1~20重量%であるキャンディ製剤が、好ましく、実施可能である。更に好ましくは、多価アルコールの含有量が全量に対して3~15重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
多価アルコールの含有量が全量に対して、1重量%未満の場合には、キャンディ製剤の保管中におけるキャンディ製剤表面の外観変質を抑制する効果が十分に得られなくなる傾向がある。
多価アルコールの含有量が全量に対して20重量%を超える場合には、キャンディ製剤の表面にベタツキ現象(「べた付き」又は「ベタつき」とも言う)又は粘着現象を生じた製剤、又は、粘質形状の製剤が得られ、表面ベタツキ現象の無い固形状を有するキャンディ製剤が得られない傾向がある。
【0118】
本発明の薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有してなるキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量は、特に限定されないが、例えば、全量に対して、0.001重量%以上であるキャンディ製剤が好ましく実施可能である。更に好ましくは、0.001~10重量%、更に好ましく0.005~5重量%、更に好ましく0.01~1重量%であるキャンディ製剤が実施可能である。
アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、0.001重量%未満の場合には、薬効成分の含有量が少なすぎるために、薬効が十分に発揮されないことが予想される。
アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が、全量に対して、10重量%を超える場合には、アズレンスルホン酸ナトリウムの単価が高いことに起因して、コストが高くなり過ぎる傾向があり、また、キャンディ製剤を服用した時に、アズレンスルホン酸ナトリウムが口中から胃や腸に達した場合に、胃や腸に何らかの副作用を及ぼす懸念が予測される。
【0119】
本発明の薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有してなるキャンディ製剤の製造方法において、好ましくは、「前記マルチトールの含有量が、キャンディ製剤の全量に対して、5重量%以上を含有してなる」キャンディ製剤の製造方法が実施可能である。
この構成により、前述の[製造方法効果C:前述の(製造方法効果A)を有すると共に、含有される甘味剤に起因する所望の甘味を奏する効果]を最大限に発揮できるキャンディ製剤が得られる。
【0120】
なお、本発明においては、医薬品または食品添加物に関する条令・法令などの法規において許容される範囲内で、その含有成分の種類、含有成分の組み合わせ、含有成分の含有濃度、等を選択して含有させることができる。さらに、厚生労働省より出されている「医薬品製造販売指針」を参酌して製造することができる。
【実施例
【0121】
以下に、本発明のキャンディ製剤およびキャンディ製剤の製造方法について、実施例を説明する。
本実施例において、甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)を含有する種々のキャンディ製剤を調製し、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、アズレンスルホン酸ナトリウムの保管中における劣化に対する保管安定性を評価した。
アズレンスルホン酸ナトリウムは、熱、温度の影響により劣化しやすいことが知られており、キャンディ製剤を50℃の雰囲気中で、0~6週間、保管し、その経時的なアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を測定した加速試験を行って、アズレンスルホン酸ナトリウムの保管中における劣化に対する保管安定性を評価した。
【実施例1】
【0122】
薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと、種々の甘味剤とを含有する試料1~8のキャンディ製剤を調製した。
(試料1)
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、甘味を呈する甘味剤を含有し、前記甘味剤は、少なくとも、第一甘味剤を含有し、前記第一甘味剤は、マルチトールであり、人の口中に服用された時に、口の中で、舐めて使用され、及び/又は、噛み砕いて使用され、前記甘味剤が口中唾液に溶解し、甘味を有すると共に、前記薬効成分が、口中において唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留し、そして、咽喉を通過する性質を有し、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、キャンディ製剤を調製した。
本キャンディ製剤の製造方法は、第一甘味剤としてのマルチトールが溶解されてなるマルチトール溶解液を、第一所定温度に加熱して流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した後、該マルチトール含有加熱流動甘味剤を、前記第一所定温度よりも低い温度であって流動状態を維持する第二所定温度に下げ、第二所定温度に下げられた前記マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程を備えてなり、前記第二所定温度は70℃~150℃であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されてなる、キャンディ製剤の製造方法である。
【0123】
すなわち、下記の工程により、キャンディ製剤を調製した。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、所定量のマルチトール(210g)所定量の精製水(90g)を投入し、混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製した。すなわち、70重量%のマルチトールと30重量%の精製水を含有するマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
なお、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、120℃~200℃、又は、120℃~190℃の流動性を有する温度範囲で実施する方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
マルチトールとしては、「三菱商事ライフサイエンス株式会社製マルチトール」を使用した。
【0124】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動基を第二所定温度としての流動性を維持する70~150℃の温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤に、所定量(0.21g)の薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。この間、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は流動性を有する第二所定温度に維持される。
なお、本工程において、第一所定温度として、120℃~200℃、又は、120℃~190℃の流動性を有する温度範囲で実施される場合には、その第一所定温度よりも低い温度であって、流動性を有する温度にまで下げて実施される。
また、本工程において、第二所定温度として、使用するマルチトール又は甘味剤の種類に応じて、70~150℃の温度であって、流動性を有する温度にまで下げた。例えば、第二所定温度として、100~120℃で、流動性を有する温度にまで下げた。使用する甘味剤の種類によっては、70~120℃の温度であって、流動性を有する温度にまで下げて実施することも可能である。
アズレンスルホン酸ナトリウムとしては、「アルプス薬品工業株式会社製のアズレンスルホン酸ナトリウム」を使用した。
【0125】
(C)工程:前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
本工程において、第三所定温度として、40℃~50℃未満に限定されることなく、70℃未満、又は、50℃未満の温度まで下げた状態で成形する方法も実施可能である。
【0126】
(D)工程:複数個の前記薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。本工程において、25℃に限定されることなく、冷蔵庫内の温度等の25℃以下の温度まで下げた方法も実施可能である。
更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0127】
なお、薬効成分及びマルチトールの重量測定は、秤(Satorious TE3102S、精度0.01~3100g)を用いて測定した。
それぞれの温度は、非接触赤外線温度計(SATO KEURYOKI ISK-8700II)を用いて計測した。
【0128】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製したキャンディ製剤の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
【0129】
(試料2)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤として蔗糖を使用して、試料1と同じ調製方法によりキャンディ製剤を調製した。なお、蔗糖としてはグラニュー糖を使用した。蔗糖・グラニュー糖としては「三井製糖株式会社製グラニュー糖」を使用した。
【0130】
(試料3)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤として蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%・15%の水分を含有)との混合甘味剤を使用して、試料1と同じ調製方法によりキャンディ製剤を調製した。なお、蔗糖としてはグラニュー糖を使用した。酵素糖化水飴としては、日本食品化工株式会社製」を使用した。
また、(A)工程において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く甘味剤の合計重量が210gになるように算出して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%・15%の水分を含有)との混合甘味剤を添加混合した。
【0131】
(試料4)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤としてぶどう糖を使用して、試料1と同じ調製方法により、キャンディ製剤を調製した。
【0132】
(試料5)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤として還元パラチノースを使用して、試料1と同じ調製方法により、キャンディ製剤を調製した。還元パラチノースとしては、三井製糖(株)製、粉末還元パラチノース」を使用した。
【0133】
(試料6)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤としてキシリトールを使用して、試料1と同じ調製方法により、キャンディ製剤を調製した。キシリトールとしては、物産フードサイエンス(株)製のキシリトールを使用した。
【0134】
(試料7)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤としてエリスリトールを使用して、試料1と同じ調製方法により、キャンディ製剤を調製した。
【0135】
(試料8)
前述の試料1と同じ方法により、甘味剤として、マルチトールに替えて、第二甘味剤としてソルビトールを使用して、試料1と同じ調製方法により、キャンディ製剤を調製した。
【0136】
[製造後のキャンディ製剤の中に含有されているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有率の測定]
調製したそれぞれの試料のキャンディ製剤について、キャンディ製剤に含有しているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィ-分析により測定した。
この製造されたキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量の測定値と、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量とから、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)を算出した。
【0137】
[キャンディ製剤を50℃に保管したときにおけるアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)の測定・算出]
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィ装置により測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
室温保管(30℃以下の室温保管)と50℃の加速試験の安定性は相関することを前提として、50℃雰囲気中における加速試験を行って、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの継時的な劣化度合いを測定して、アズレンスルホン酸ナトリウムの保管安定性を評価した。
【0138】
[液体クロマトグラフィ-分析によるアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量の測定方法]
調製したそれぞれの試料のキャンディ製剤について、キャンディ製剤に含有しているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィ-分析により測定した。
キャンディ製剤の中に含有されているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量は、[液体クロマトグラフィ-装置]を使用して、[第17改正・日本薬局方解説書]の「B:一般的試験法]・[2.物理的試験法]の[2.01液体クロマトグラフィ]に準じて下記の方法により測定した。
液体クロマトグラフィ-装置としては、「HITACHI製作所製・液体クロマトグラフィ装置、UVDelector:HITACH L-7400、Autosampler:HITACH L-7200、Integrator:HITACH L-7100、Oven:Shodex Ao-30」を使用した。
【0139】
調製したそれぞれのキャンディ製剤0.6gを正確に秤量し、そのキャンディ製剤を精製水10mLに溶解して調製したそれぞれのキャンディ製剤溶解液について、紫外吸光光度計により波長246nmの吸光度を測定して、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を測定した。
また、別途、所定量のアズレンスルホン酸ナトリウム0.1gを所定量のメタノールに溶かして調製した標準溶液を使用した。
なお、試料であるキャンディ製剤中に含有されているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有濃度が異なるキャンディ製剤試料の場合には、上記キャンディ製剤溶解液の調製方法に限定されることなく、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量に応じて、キャンディ製剤と精製水との量を調節して、液体クロマトグラフィ-分析に最適な希釈濃度のキャンディ製剤溶解液を調製して使用した。また、アズレンスルホン酸ナトリウとメタノールとの標準溶液についても、アズレンスルホン酸ナトリウムとメタノールとの希釈濃度を適正に調節して、標準溶液を調製して使用した。
【0140】
本実施例における液体クロマトグラフィ-装置によるアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量の経時的な変化量を測定することにより、アズレンスルホン酸ナトリウムの経時的な化学的な劣化の度合いを知ることができる。例えば、キャンディ製剤の保管中に、アズレンスルホン酸ナトリウムが何らかの作用により化学的に変質して劣化した度合いを知ることができる。
【0141】
前述のように、調製したキャンディ製剤の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0142】
実験結果、測定結果及び評価結果を表1に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表の「キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合」欄において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。すなわち、調製したそれぞれのキャンディ製剤には、表の「キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合」欄に記載のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤と、水とが含有され、水の含有量は、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤と水との合計含有量に対して、約3重量%以下が含有されている。
また、[アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果]として、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
また、表において、「AZ」は「アズレンスルホン酸ナトリウム」を意味する。
また、50℃に保管したときにおける保管経過時間後における「0週間後」は「保管開始前」又は「保管開始当初」を意味する。
【0143】
【表1】
【0144】
調製した試料1~8のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
【0145】
また、表1から明らかのように、キャンディ製剤中に含有するアズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合は、甘味剤としてマルチトールを含有する試料1が99%であった。これに対して、甘味剤として、マルチトールを含有しない試料2~8のキャンディ製剤の仕込み量に対するアズレンスルホン酸ナトリウムの製造後の含有割合は、いずれも91~96%であった。すなわち、マルチトールを含有するキャンディ製剤はマルチトールを含有しないキャンディ製剤よりも製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合が多い。
すなわち、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールを含有する試料1のキャンディ製剤は、マルチトールを含有しない試料2~8のキャンディ製剤と比べて、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なく、マルチトールを含有するキャンディ製剤が、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果を有することが解かる。
【0146】
キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は、甘味剤としてマルチトールを含有する試料1が94%であり、アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少ない。
【0147】
これに対して、甘味剤として、第二甘味剤としての蔗糖を含有する試料2の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が37%であり、蔗糖と酵素糖化水飴との混合甘味剤を含有する試料3の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が39%であり、ぶどう糖を含有する試料4の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が35%であり、還元パラチノースを含有する試料5の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が28%であり、キシリトールを含有する試料6の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が49%であり、エリスリトールを含有する試料7の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が36%であり、ソルビトールを含有する試料8の6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が27%であった。
試料2~8のいずれのキャンディ製剤も、50℃に保管したときにおける6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は50%以下であり、アズレンスルホン酸ナトリウムが何らかの化学的変化して、劣化していた。
【0148】
すなわち、甘味剤として第一甘味剤としてのマルチトールを含有する試料1のキャンディ製剤は、マルチトールを含有しない試料2~8のキャンディ製剤と比べて、50℃で6週間保管経過後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なく、マルチトールを含有するキャンディ製剤が、保管中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果を有することが解かる。換言すれば、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールを含有することにより保管中及び保管後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制される効果が得られることが解る。
【実施例2】
【0149】
(試料21~試料26)
薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと第一甘味剤としてのマルチトールを含有するキャンディ製剤であって、アズレンスルホン酸ナトリウムとマルチトールとの含有量が異なるキャンディ製剤を調製した。
第一甘味剤として所定量のマルチトールと、薬効成分としての所定量のアズレンスルホン酸ナトリウムを使用して、実施例1の試料1と類似の方法により、試料21~26のキャンディ製剤を調製した。なお、試料23は実施例1の試料1と同じキャンディ製剤である。
すなわち、実施例1の(A)工程~(D)工程において、アズレンスルホン酸ナトリウムとマルチトールとの合計重量が210.21gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0150】
(試料27)
甘味剤として、マルチトールに替えて、蔗糖(60%)と酵素糖化水飴(40%)との混合甘味剤を含有すると共に、所定量のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤を調製した。
(A)工程において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く甘味剤の合計重量が207.9gになるように算出して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%・15%の水分を含有)との混合甘味剤を添加混合した。
(B)工程におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量は2.1gである。
【0151】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0152】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
なお、本実施例において、液体クロマトグラフィ分析によるアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量の分析方法において、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が著しく多いキャンディ製剤の場合、又は、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量が著しく少ないキャンディ製剤の場合には、実施例1の液体クロマトグラフィ分析方法に限定されることなく、アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量に応じて、キャンディ製剤と精製水の量を調節して最適な希釈濃度のキャンディ製剤溶解液を調製すると共に、アズレンスルホン酸ナトリウとメタノールとの希釈濃度を適正に調節して粗衣的な標準溶液を調製して使用した。そのキャンディ製剤溶解液と標準溶液を用いてアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を測定した。
【0153】
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
実験結果、測定結果及び評価結果を表2に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0154】
【表2】
【0155】
調製した試料21~27のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表2から明らかのように、キャンディ製剤に含有するアズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合は、甘味剤としてマルチトールを含有する試料21~26のそれぞれのキャンディ製剤が98%以上であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が著しく少ないことが解かる。
【0156】
キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は、甘味剤としてマルチトールを含有する試料21~26が93%以上であり、保管中及び保管後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なかった。
すなわち、甘味剤として第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、アズレンスルホン酸ナトリウムが、全量に対して、0.005~5重量%であるキャンディ製剤が、アズレンスルホン酸ナトリウムの優れた劣化抑制効果を有することを確認した。
【0157】
これに対して、マルチトールを含有することなく、甘味剤として、蔗糖(60%)と酵素糖化水飴(40%)との混合甘味剤を含有すると共に、所定量のアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する試料27におけるキャンディ製剤を50℃に6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は38%であり、50℃に保管中及び保管後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムが著しく劣化していた。
【実施例3】
【0158】
甘味剤としてマルチトールを含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)に加えて、さらに、第一薬効補助成分としての塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを含有するキャンディ製剤を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、更に、第一薬効補助成分としての塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを使用する工程を備える。すなわち、特に、上記工程の(B)工程として、下記の(B)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
また、それぞれの工程において、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと、第一薬効補助成分としての塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムと、マルチトールとの合計重量が210.21gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0159】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動甘味剤が第二所定温度としての70~150℃の温度になるまで下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤に、所定量のアズレンスルホン酸ナトリウムと、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。
塩化セチルピリジニウとしては、「和光純薬工業(株)製、塩化セチルピリジニウ」を使用した。グリチルリチン酸ジカリウムとしては、「丸善製薬(株)製、局外規グリチルリチン酸ジカリウム」を使用した。
【0160】
その他の工程は、実施例1の試料1の製造方法において、「薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを使用する」を「薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、さらに、第一薬効補助成分としての塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを使用する」に替えた構成と同じである。
【0161】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0162】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「それぞれの薬効成分の仕込み量(100%)に対する製造後の薬効成分の含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のそれぞれの薬効成分の残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のそれぞれの薬効成分の含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のそれぞれの薬効成分の残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のそれぞれの薬効成分の残存率(%)」が50%以上である場合を、「それぞれの薬効成分の劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のそれぞれの薬効成分の残存率(%)」が50%未満である場合を、「それぞれの薬効成分の劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
実験結果、測定結果及び評価結果を表3に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0163】
なお、液体クロマトグラフィ分析において、測定用試料及び標準溶液の調製方法は、前述の実施例1と類似の方法により調製した。
また、吸光度測定において、アズレンスルホン酸ナトリウムについては、波長246nm、塩化セチルピリジニウムについては波長260nm、グリチルリチン酸ジカリウムについては波長254nm、におけるそれぞれの吸光度を測定した。
【0164】
【表3】
【0165】
調製した試料31~33のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表3から明らかのように、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合は、甘味剤としてマルチトールを含有する試料31~33のそれぞれのキャンディ製剤が99%であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が著しく少ないことが解かった。
また、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムの仕込み量に対する製造したキャンディ製剤中の塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムの含有割合は、それぞれ99%であり、製造中における塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムの劣化が著しく少ないことが解かった。
【0166】
試料31~33のいずれの試料についても、キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は95%であり、アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なかった。
また、試料31、試料33のいずれの試料についても、キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過後の塩化セチルピリジニウムの残存率は98%であり、塩化セチルピリジニウムの劣化が少なかった。
また、試料32、試料33のいずれの試料についても、キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過後のグリチルリチン酸ジカリウムの残存率は98%であり、グリチルリチン酸ジカリウムの劣化が少なかった。
【0167】
すなわち、甘味剤としてマルチトールを含有すると共に、アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、更に、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムを含有するキャンディ製剤において、アズレンスルホン酸ナトリウムの優れた劣化抑制効果を有すると共に、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムの劣化も殆ど認められないことが解かった。また、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムはアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化安定性に対してなんらの影響を及ぼしていないことが解かった。
【実施例4】
【0168】
甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に所定量の第二甘味剤(蔗糖:60%と酵素糖化水飴:40%の混合甘味剤)を含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤であって、マルチトールと第二甘味剤との含有割合を替えた種々のキャンディ製剤を実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、甘味剤として、マルチトールに加えて更に所定量の第二甘味剤を含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを使用する工程を備え、上記工程の(A)工程として、下記の(A)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
【0169】
(A)500mlガラス製ビーカーの中に、所定量のマルチトールと所定量の混合甘味剤(蔗糖:60%と酵素糖化水飴:40%の混合甘味剤)と、所定量の精製水を投入し、混合して、マルチトールと甘味剤が溶解されたマルチトール溶解液を調製した。
蔗糖:60%と酵素糖化水飴:40%の混合甘味剤を含有するそれぞの試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0170】
その他の(B)工程、(C)工程、(D)工程は、実施例1の試料1の製造方法において、「甘味剤としてマルチトールを使用する」を「甘味剤として、マルチトールと第二甘味剤を使用する」に替えた構成と同じである。
【0171】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0172】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
実験結果、測定結果及び評価結果を表4に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0173】
【表4】
【0174】
調製したそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表4から明らかのように、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するとともに、第一甘味剤としてのマルチトールと、第二甘味剤としての蔗糖・酵素糖化水飴混合甘味剤とを含有するキャンディ製剤において、マルチトールの含有割合が多くなるにしたがって、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合が多くなり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されることが解かった。
なお、試料1、試料3は前述の実施例1の試料1、試料3に関する実験結果である。
【0175】
また、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するとともに、マルチトールと蔗糖・酵素糖化水飴混合甘味剤とを含有するキャンディ製剤において、マルチトールの含有割合が多くなるにしたがって、50℃に保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が多くなり、保管中及び保管後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されることが解かった。
特に、第一甘味剤としてのマルチトールと第二甘味剤とを含有するキャンディ製剤において、マルチトールの含有割合が5重量%以上を含有するキャンディ製剤(試料42、43、44、45、46)は、キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が50%以上であり、良好なアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果が得られることが解った。
【0176】
すなわち、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するとともに、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に甘味を呈する第二甘味剤を含有してなるキャンディ製剤が実施可能であり、マルチトールの含有量が多くなるに従って、保管中及び保管後におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されることが解った。特に、マルチトールの含有割合が5重量%以上含有するキャンディ製剤が優れたアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を奏することが解った。
【実施例5】
【0177】
甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に種々の第二甘味剤を含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)を含有するキャンディ製剤を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に種々の第二甘味剤を含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを使用する工程を備える。すなわち、上記工程の(A)工程として、下記の(A)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
【0178】
(A)500mlガラス製ビーカーの中に、所定量のマルチトールと、所定量の第二甘味剤と、精製水を投入し、混合して、マルチトールと甘味剤が溶解されたマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
なお、本工程において、マルチトールと第二甘味剤との合計重量が210gになるように、それぞれの試料を調製した。また、酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、第二甘味剤を添加混合した。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0179】
その他の(B)工程、(C)工程、(D)工程は、実施例1の試料1の製造方法において、「甘味剤としてマルチトールを使用する」を「甘味剤として、マルチトールと第二甘味剤を使用する」に替えた構成と同じである。
【0180】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0181】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
実験結果、測定結果及び評価結果を表5に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0182】
【表5】
【0183】
調製した試料52~58のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表5から明らかのように、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するとともに、マルチトールと第二甘味剤とを含有するキャンディ製剤(試料52~58)は、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合が91%以上であった。
すなわち、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有するとともに、第一甘味剤としてのマルチトールと第二甘味剤とを含有するキャンディ製剤(試料52~58)は、甘味剤として、マルチトールを含有することなく第二甘味剤のみを含有する実施例1の試料2~7と比較して、マルチトールの含有により、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されることが解かった。
【0184】
また、甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールと第二甘味剤とを含有するキャンディ製剤において、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて更に甘味を有する第二甘味剤を含有するキャンディ製剤も実施可能であり、本実施例のそれぞれの試料52~58のキャンディ製剤は、甘味剤としてマルチトールを含有することなく第二甘味剤のみを含有する実施例1の試料2~7と比較して、50℃に保管したときにおける6週間保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が向上して、50%以上であり、良好なアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果が得られることが解かった。
【実施例6】
【0185】
薬効成分として、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて、更に所定量の第二薬効補助成分、又は、甘味補助剤を含有するキャンディ製剤を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、薬効成分として、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて更に所定量の第二薬効補助成分を含有する工程を備える。すなわち、上記工程の(B)工程として、下記の(B)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
【0186】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動基を第二所定温度としての70~150℃の温度になるまで下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤に、所定量の薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと第二薬効補助成分、又は、甘味補助剤を添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。この間、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度としての70~150℃の温度に維持される。
第二薬効補助成分としては、コロカリア、塩酸クロペラスチン、塩化ベンゾトニウム、又は、茶粉末と茶エキスの混合物を使用した。
甘味補助剤としては、ステビアを使用した。
【0187】
その他の(A)工程、(C)工程、(D)工程は、実施例1の試料1の製造方法において、「薬効成分として、前記アズレンスルホン酸ナトリウムを使用する」を「薬効成分として、前記アズレンスルホン酸ナトリウムに加えて更に所定量の第二薬効補助成分を使用する」に替えた構成と同じである。
【0188】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0189】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
これらの測定・実験結果を表6に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の含有成分の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の含有成分の含有割合を記載して示した。
【0190】
【表6】
【0191】
調製した試料61~66のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表6から明らかのように、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと、甘味剤として第一甘味剤としてのマルチトールを含有すると共に、第二薬効補助成分又は甘味補助剤とを含有するキャンディ製剤において、マルチトールの含有により、第二薬効補助成分又は甘味補助剤を含有するキャンディ製剤においても、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が抑制されることが解かった。
【0192】
また、アズレンスルホン酸ナトリウムと、マルチトールを含有すると共に、種々の第二薬効補助成分又は甘味補助剤を含有するキャンディ製剤は、いずれも、50℃、6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が50%以上であり、優れたアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有することが解かった。
【実施例7】
【0193】
甘味剤として、第一甘味剤としてのマルチトールに加えて、更に多価アルコールを含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)を含有するキャンディ製剤(試料72~77)を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
本実施例において、多価アルコールとして、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、又は、グリセリンを使用して、それぞれのキャンディ製剤を調製した。
また、アズレンスルホン酸ナトリウムと第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、多価アルコールを含有しないキャンディ製剤(試料71)を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、甘味剤として、マルチトールに加えて更に所定量の多価アルコールを含有し、薬効成分として、アズレンスルホン酸ナトリウムを使用する工程を備える。すなわち、上記工程の(A)工程として、下記の(A)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
【0194】
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、所定量のマルチトールと所定量の多価アルコールと所定量の精製水を投入し、混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
なお、本工程において、マルチトールと多価アルコールとの合計重量が210gになるように、それぞれの試料を調製した。
また、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、120℃超~200℃、又は、120℃超~190℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0195】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動基を第二所定温度としての70~150℃の温度になるまで下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤に、所定量の薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムと第二薬効補助成分、又は、甘味補助剤を添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。この間、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度としての70~150℃の温度に維持される。
【0196】
また、別途、多価アルコールを含有しなく、アズレンスルホン酸ナトリウムとマルチトールのみを含有する試料71と同じ組成であって、前記(B)工程の第二温度として、60℃で実施して、試料71bを調製する実験を行った。
また、グリセリン10重量%を含有する試料74と同じ組成であって、第二所定温度として、60℃で実施して、試料74bを調製する実験を行った。
【0197】
その他の工程は、実施例1の試料1の製造方法において、「甘味剤としてマルチトールを使用する」を「甘味剤として、マルチトールと多価アルコールを使用する」に替えた構成と同じである。
【0198】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0199】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
【0200】
更に、キャンディ製剤を室温(20~27℃、湿度50~70%)に保管したときにおける6週間保管経過時間後のキャンディ製剤の表面の白濁、白化、及び、表面のベタツキ現象、等の表面変質の有無を観察し、これにより、多価アルコール含有によるキャンディ製剤の表面変質抑制効果の有無を判定した。
これらの測定・実験結果を表7に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤と多価アルコールの含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤と多価アルコールの割合を記載した。
【0201】
【表7】
【0202】
調製した試料71~77のそれぞれのキャンディ製剤は固形状を有し、服用した時に甘味を有していた。
また、表7から明らかのように、アズレンスルホン酸ナトリウムとマルチトールとを含有するキャンディ製剤において、多価アルコールを含有するキャンディ製剤も実施可能であり、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合はいずれの試料においても99%であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なく、マルチトールを含有するキャンディ製剤が、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制する効果を有することが解かった。
【0203】
また、アズレンスルホン酸ナトリウムと、マルチトールを含有すると共に、多価アルコールを含有するキャンディ製剤は、50℃に6週間保管後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は、いずれの試料(試料71~77)においてもが93%以上であり、マルチトールを含有すると共に多価アルコールを含有するキャンディ製剤は、アズレンスルホン酸ナトリウムの保管中における劣化を抑制する効果を有することが解かった。
【0204】
また、アズレンスルホン酸ナトリウムと、マルチトールを含有すると共に、多価アルコールを含有するキャンディ製剤において、多価アルコールの含有量が多くなるに従って、キャンディ製剤の表面の白化・白濁現象が抑制される傾向があり、また、多価アルコールの含有量が多くなるに従って、キャンディ製剤の表面のベタツキが発生する傾向があり、特に、多価アルコールの含有量が1~20重量%であるキャンディ製剤(試料72、73、74、75、76)が、表面の白化・白濁現象が認められないと共に表面のベタツキ現象も認められなく、良好な表面変質抑制効果を有することが解かった。これに対して、多価アルコールの含有量が20重量%を超えるキャンディ製剤(試料77)は、表面のベタツキ現象が認められた。
すなわち、アズレンスルホン酸ナトリウムと、マルチトールを含有するキャンディ製剤において、更に多価アルコールを含有することにより、キャンディ製剤の表面の白化・白濁現象が抑制され良好な表面変質抑制効果を有することが解かった。但し、多価アルコールの含有量が20重量%以下であるキャンディ製剤が更に好ましいことも解った。
【0205】
別途に実験した多価アルコールを含有しない試料71に関連して、(B)工程の第二所定温度として、60℃で実施した実験を行った試料71bの実験結果において、薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤の粘性が大きく流動性を有しなく、アズレンスルホン酸ナトリウムの均一な混入が不可能であった。
これに対して、多価アルコールとしてグリセリン10重量%を含有する試料74に関連して、(B)工程の第二所定温度として、60℃で実施した実験を行った試料74bの実験結果において、薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤の粘性が小さく流動性を維持し、アズレンスルホン酸ナトリウムとの均一な混入が可能であった。
すなわち、(A)工程、又は、前記(B)において、多価アルコールを混合し、薬効成分が溶解された薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程、を備えた構成により、前記第二所定温度としては、70~150℃よりも低い温度の60~120℃であっても、流動状態を有する薬効成分含有マルチトール含有加熱流動製剤を得ることができることが実証された。
【実施例8】
【0206】
甘味剤としても第一甘味剤としてのマルチトールを含有し、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)を含有するキャンディ製剤において、水の含有量が異なるキャンディ製剤を実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
すなわち、実施例1の試料1の(A)工程、(B)工程、(C)工程、及び(D)工程を備えた製造工程において、上記(A)工程として、下記の(A)工程を備えて、キャンディ製剤を調製した。
【0207】
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、210gのマルチトールと90gの精製水を投入し、混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が所望の含有量になるまで撹拌加熱し続け、種々の所望の水含有量を有する流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
なお、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、120℃超~200℃、又は、120℃超~190℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が所望の含有量になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0208】
その他の工程は、前述の実施例1の試料1と同じである。
【0209】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有割合を算出した。
すなわち、(A)工程において、上記の重量測定と計算を繰返し行って、水含有量が所望の含有量なるまで撹拌加熱し続け、所望の水含有量を有する流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
調製したそれぞれのキャンディ製剤中の水の含有割合は、AZとマルチトールとの合計100重量部に対する水の含有割合を重量部で計算した数値を記した。
【0210】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
これらの測定・実験結果を表8に示す。
なお、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0211】
【表8】
【0212】
表8から明らかのように、キャンディ製剤の約25℃の常温における硬さにおいて、キャンディ製剤に含有される水の含有割合が約0.8重量%のキャンディ製剤(試料81)が最も硬く、水の含有割合が増加するに従って、常温におけるキャンディ製剤の硬さが柔らかくなり、軟質・粘性を有する形状の製剤になる傾向があった。
水の含有量が全量に対して約5重量%以下のキャンディ製剤(試料81、82、84)は、硬い固形状態を有するとともに表面のベタ付きやネバネバ等の表面粘着現象は認められなく、正常の外観形状を有していた。水の含有量が全量に対して約6.3重量%の試料84のキャンディ製剤は流動性なく形状を維持できる固形状態を有するが、試料81~83と比べて柔らかい硬さを有していた。
これに対して、水の含有量が、全量に対して、7重量%を超える製剤(試料85)は、約25℃の常温において、やや粘性を有する硬さであり、ベタ付きやネバネバ等の表面粘着現象が認められた。また、水の含有量が、全量に対して約12重量%を超える製剤(試料86)は、約25℃の常温において、全体が粘性を有するネバネバ感を有する状態であった。
すなわち、水の含有量が、全量に対して、7重量%以下のキャンディ製剤が、粘性なく、固形形状を有するとともに、優れたアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有することが解かった。
試料86については、製造されたキャンディ製剤の常温(25℃)における硬さが粘性を有するために、キャンディ製剤を50℃に保管におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化安定性試験を行わなかった。
【0213】
試料81、試料82、試料83、試料84について、製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウム含有割合は96%以上であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化は認められなかった。
【0214】
また、試料81、試料82、試料83、試料84において、キャンディ製剤を50℃で保管したときにおける6週間保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は81%以上であり、優れたアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有することが解かった。
【実施例9】
【0215】
甘味剤としてマルチトールを含有し、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)を含有するキャンディ製剤において、さらに、賦形剤、ゲル化剤、油脂、乳化剤、pH調整剤、香料、清涼感剤、及び、甘味補助剤とからなる群から選ばれる少なくともひとつの添加助剤、第一薬効補助成分、第二薬効補助成分、第二甘味剤、等を含有するキャンディ製剤を、実施例1の試料1と類似の方法により製造した。
本実施例におけるキャンディ製剤は、ハードキャンディ、硬い飴、又は、トローチの形態を有するキャンディ製剤であり、キャンディ製剤が、人の口中に服用された時に、長時間にわたって舐めて使用され、前記甘味剤が口中温度による熔融及び/又は口中唾液に溶解するとともに、前記薬効成分が口中において唾液と一緒に長時間にわたって徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有する。好ましくは、口の中で噛み砕くことなく長時間にわたって舐めて使用されることが好ましい。
【0216】
下記の工程により、それぞれの試料を調製した。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、所定量の第一甘味剤(マルチトール)と第二甘味剤(蔗糖と酵素糖化水飴)と精製水を投入し、混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
なお、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、110℃~200℃、又は、110℃~190℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
【0217】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動基を第二所定温度としての流動性を有する70~150℃の温度になるまで下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤に、所定量の薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウム(0.21g)に加えて、所定量の、第一薬効補助成分(塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸ジカリウム)、第二薬効補助成分(コロカリア)、賦形剤(ショ糖ステアリン酸エステル)、香料(ブルーベりエキス)、清涼感剤(メントール)、甘味補助剤(アスパルテーム)、多価アルコール(プロピレングリコール)を添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。この間、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度としての流動性を有する70~150℃の温度に維持される。
また、本工程において、マルチトールと、塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸ジカリウム、賦形剤、香料、清涼感剤、薬効補助成分、多価アルコール、甘味補助剤と、の合計重量が210gになるように、それぞれの試料を調製した。
コロカリアとしては「コンビ(株)製コロカリア」を使用した。ショ糖ステアリン酸エステルとしては三菱化学フーズ(株)製S-1170」を使用した。ブルーベリーエキスとしては小川香料(株)JL54253」を使用した。
【0218】
(C)工程:前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
本工程において、第三所定温度として、40℃~50℃未満に限定されることなく、50℃未満の温度まで下げた状態で成形する方法も実施可能である。
【0219】
(D)工程:複数個の前記薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。本工程において、25℃に限定されることなく、冷蔵庫内の温度等の25℃以下の温度まで下げた方法も実施可能である。
更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0220】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
すなわち、(A)工程において、上記の重量測定と計算を繰返し行って、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
【0221】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水含有量は3重量%以下であることを確認した。
【0222】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
これらの測定・実験結果を表9に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合を記載して示した。
【0223】
【表9】
【0224】
製造したキャンディ製剤は、いずれも、硬い硬さを有し、ハードキャンディ、硬い飴、又は、トローチとして使用できることを確認した。また、製造したキャンディ製剤は、いずれも、甘味を有することを確認した。
また、人の口中に服用された時に、前記甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、薬効成分が口中において唾液と一緒に徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有することを確認した。
【0225】
表9から明らかのように、マルチトールを含有するキャンディ製剤(試料91、92、93、94)は、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の仕込量に対するキャンディ製剤中のAZの含有割合94以上であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化は認められないと共に、更に、50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は52%以上であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の良好な劣化抑制効果を有することが解かった。
これに対して、マルチトールを含有しない試料96のキャンディ製剤を50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は38%であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果を有しないことが解かった。
【0226】
また、マルチトールと第二甘味剤(蔗糖60%と酵素糖化水飴40%)とを含有するキャンディ製剤であって、マルチトールの含有量が多くなるに従って50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が多くなり、マルチトールがアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の良好な劣化抑制効果を有することが解かった。
特に、マルチトールの含有量が5重量%以上を含有するキャンディ製剤(試料91、92、93、94)は優れた劣化抑制効果を有することが解かった。
また、アズレンスルホン酸ナトリウム10重量%とマルチトール50重量%とを含有するキャンディ製剤(試料97)においても、アズレンスルホン酸ナトリウムの優れた劣化抑制効果を有することが解かった。
【0227】
また、本実施例の試料91と実施例1の試料1とに関して、50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率がほとんど同じであることから、塩化セチルピリジニウム等の第一薬効補助成分、アスパルテーム等の甘味補助剤、コロカリアや塩酸クロペラスチン等の第二薬効補助成分、ショ糖ステアリン酸エステル等の賦形剤等は、アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化に何ら影響を及ぼしていなことが解かる。
【実施例10】
【0228】
甘味剤としてマルチトールを含有し、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤として、ソフトキャンディの形態を有するキャンディ製剤を製造した。
【0229】
(A)工程:甘味剤として、マルチトールと、更に、第二甘味剤(蔗糖と酵素糖化水飴)、ゲル化剤(アラビアガム、ゼラチン)、賦形剤(ヒドロキシアルキルセルロース、大豆タンバク)、油脂(植物油脂)、乳化剤(ショ糖ステアリン酸エステル)、等を仕込み、60~80℃で水に溶解して、溶液中の固形分濃度が約70%になるように調製し、これを約120℃~130℃に加熱した状態で水分が約10%前後になるまで減圧濃縮して、流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
なお、本工程において、約120℃~130℃に限定されることなく、120℃~150℃、又は、120℃~200℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
【0230】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、流動性を維持する70℃~150℃の温度に下げた状態で、マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分(アズレンスルホン酸ナトリウム0.21g)と、第一薬効補助成分(塩化セチルピリジニウム、及び/又は、グリチルリチン酸ジカリウム)と、第二薬効補助成分(コロカリア)、甘味補助剤(アセスルファムカリウム)、香料(レモンエキス)、等を混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。この間、該薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤は第二所定温度としての流動性を維持する70℃~150℃の温度に維持される。
【0231】
なお、前記(A)工程と前記(B)工程において、マルチトールと、第二甘味剤、塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸ジカリウム、賦形剤、香料、薬効補助成分、甘味補助剤との合計重量が210gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0232】
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を40℃~50℃未満の温度に下げて、、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。本実施例では、約40~約50℃度の温度まで下げた状態で成形した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
本工程において、第三所定温度として、40℃~50℃未満に限定されることなく、50℃未満の温度まで下げた状態で成形する方法も実施可能である。
【0233】
(D)複数個の前記薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。
また、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計の重量を測定した。
【0234】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
すなわち、(A)工程において、上記の重量測定と計算を繰返し行って、水含有量が10重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が約10重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
【0235】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水の含有量は7~10重量%の範囲にあることを確認した。
【0236】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。これらの測定・実験結果を表10に示す。
なお、それぞれの試料には7~10重量%の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合を記載して示した。
【0237】
【表10】
【0238】
製造したキャンディ製剤は、キャラメル等のソフトキャンディの形態を有するキャンディ製剤であり、キャンディ製剤が、人の口中に服用された時に、口の中で長時間にわたって舐めて使用され、又は、噛んで使用され、甘味剤が口中唾液に溶解するとともに、薬効成分が口中において唾液と一緒に長時間にわたって徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有することを確認した。また、人の口中に服用された時に、キャンディ製剤は甘味を有することを確認した。
【0239】
表10から明らかのように、マルチトールを含有するキャンディ製剤(試料101、102、103、104)は、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の仕込量に対する製造後のキャンディ製剤中のAZの含有割合93%以上であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化は認められないと共に、更に、50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は51%以上であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果を有することが解かった。
これに対して、マルチトールを含有しないキャンディ製剤(試料106)を50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は35%であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果を有しないことが解かる。
【0240】
また、マルチトールと第二甘味剤(蔗糖60%と酵素糖化水飴40%)とを含有するキャンディ製剤であって、マルチトールの含有量が多くなるに従って50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が多くなり、マルチトールがアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の良好な劣化抑制効果を有することが解かった。
特に、マルチトールの含有量が5重量%以上を含有するキャンディ製剤(試料101、102、103、104)は優れた劣化抑制効果を有することが解かった。
【実施例11】
【0241】
甘味剤としてマルチトールを含有し、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤として、グミキャンディの形態を有するキャンディ製剤を製造した。
【0242】
(A)第一甘味剤としてのマルチトールに水を加えて約120℃に加温溶解した後、次いで、第二甘味剤(蔗糖と酵素糖化水飴)、ゲル化剤(アラビアガム、ゼラチン)、等を仕込み、約80~約110℃で約30分間撹拌混合して溶解して、溶液中の固形分濃度が約70~75%になるように調製して、流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。
酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
【0243】
(B)前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を.約70~約120℃の温度で、マルチトール含有加熱流動甘味剤と第一薬効補助成分(アズレンスルホン酸ナトリウム0.21gと、塩化セチルピリジニウム及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムの薬効補助成分)、と、第二薬効補助成分(コロカリア)、香料(イチゴエキス)、甘味補助剤(アセスルファムカリウム)、等を混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。
【0244】
なお、前記(A)工程と前記(B)工程において、マルチトールと、薬効補助成分、第二甘味剤、添加助剤の合計重量が210gになるように、それぞれの試料を調製した。
【0245】
(C)前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤をシリコーン樹脂製の成形型に流し込み、その後、冷蔵庫内で冷却固化させた。このようにして、複数個の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
【0246】
(D)複数個の前記薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。また、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計の重量を測定した。
【0247】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールと薬効成分と添加助剤の合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
【0248】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水の含有量は25~30重量%の範囲にあることを確認した。
【0249】
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
これらの測定・実験結果を表11に示す。
なお、それぞれの試料には25~30重量%の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤とその他の成分の含有割合を記載して示した。
【0250】
【表11】
【0251】
製造したキャンディ製剤は、弾力を有するグミキャンディの形態を有するキャンディ製剤であり、キャンディ製剤が、人の口中に服用された時に、口の中で噛み及び/又は舐めて長時間にわたって使用され、前記甘味剤口中唾液に溶解するとともに、前記薬効成分が口中において唾液と一緒に長時間にわたって徐々に口内に放出されて口内に滞留して咽喉を通過する性質を有することを確認した。また、人の口中に服用された時に、キャンディ製剤は甘味を有することを確認した。
【0252】
表11から明らかのように、マルチトールを含有するキャンディ製剤(試料111、112、113、114)は、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の仕込量に対する製造後のキャンディ製剤中のAZの含有割合は93%以上であり、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化は認められないと共に、更に、50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は51%以上であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果を有することが解かった。
これに対して、マルチトールを含有しないキャンディ製剤(試料116)を50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は33%であり、アズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の劣化抑制効果を有しないことが解かった。
【0253】
また、マルチトールと第二甘味剤(蔗糖60%と酵素糖化水飴40%)とを含有するキャンディ製剤であって、マルチトールの含有量が多くなるに従って50℃で6週間保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率が多くなり、マルチトールがアズレンスルホン酸ナトリウム(AZ)の良好な劣化抑制効果を有することが解かった。
特に、マルチトールの含有量が5重量%以上を含有するキャンディ製剤(試料111、112、113、104)は優れた劣化抑制効果を有することが解かった。
【実施例12】
【0254】
甘味剤としてマルチトールと第二甘味剤を含有し、薬効成分としてアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤の製造方法において、甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程において、種々の温度で甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合して、キャンディ製剤を製造した。
【0255】
具体的には、以下の工程により、甘味剤と薬効成分とを含有する種々のキャンディ製剤を調製した。
(A)工程:500mlガラス製ビーカーの中に、マルチトールと第二甘味剤と精製水を投入し、混合して、マルチトールが溶解されたマルチトール溶解液を調製した。前記マルチトール溶解液を、フッ素樹脂塗膜加工したアルミ製鍋に投入して、第一所定温度としての約185℃(非接触赤外線温度計で計測した)まで温度を上げて、撹拌しながらマルチトール溶解液を加熱して水を蒸発除去し、水含有量が3重量%以下になるまで撹拌加熱し続け、水含有量が3重量%以下の流動状態を有するマルチトール含有加熱流動甘味剤を調製した。この間、該マルチトール含有加熱流動甘味剤は第一所定温度としての約170~約185℃の温度に維持した。
酵素糖化水飴を含有する試料において、酵素糖化水飴は15%の水を含有しているため、この15%の水に相当する水を除く第二甘味剤の合計重量が所望量になるように計算して、蔗糖(60重量%)と酵素糖化水飴(40重量%)との混合甘味剤を添加混合した。
なお、本工程において、第一所定温度として、約170~約185℃に限定されることなく、120℃超~200℃、又は、120℃超~190℃の温度範囲で実施される方法も実施可能である。
また、本工程において、調製中のマルチトール含有加熱流動甘味剤の重量を数回測定して、水含有量が3重量%以下になるように加熱し続けて水を蒸発除去した。
なお、本工程における第一所定温度で水を蒸発除去するに要する時間は、30分以内の範囲の時間で操作した。
【0256】
(B)工程:前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、フッ素樹脂製シートを敷いた冷却盤上に取出して、マルチトール含有加熱流動甘味剤を所望の種々の温度に設定した状態で、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを添加してステンレス棒を使用して混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製した。
なお、本工程におけるそれぞれの温度におけるマルチトール含有加熱流動甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウムとの混合に要する時間は、5分~10分の範囲の時間で操作した。
【0257】
(C)工程:前記薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を第三所定温度としての40℃~50℃未満の温度に下げて、ステンレス製の直径15mm円筒刃を用いて円形塊状に分割切断して成形して、複数個の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状の薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を調製した。
本工程において、第三所定温度として、40℃~50℃未満に限定されることなく、50℃未満の温度まで下げた状態で成形する方法も実施可能である。
【0258】
(D)工程:複数個の前記薬効成分含有マルチトール含有成形製剤を25℃の室温に置いて、25℃まで下げた。このようにして、1個当たり約1.2gの円形塊状のキャンディ製剤を調製した。本工程において、25℃に限定されることなく、冷蔵庫内の温度等の25℃以下の温度まで下げた方法も実施可能である。
更に、成形調製した全ての複数個のキャンディ製剤を集めた合計のキャンディ製剤の重量を測定した。
【0259】
調製したキャンディ製剤に残存して含有される水の含有量は、調製した複数個のキャンディ製剤の合計の重量と、加熱蒸発する前の使用した精製水とマルチトールとアズレンスルホン酸ナトリウムとの合計重量との差異から、蒸発した水分量を算出するとともに、キャンディ製剤の中に残存している水の含有率を算出した。
【0260】
調製したそれぞれのキャンディ製剤中に含有される水の含有量は3重量%以下の範囲にあることを確認した。
【0261】
[製造したキャンディ製剤の中に含有されているアズレンスルホン酸ナトリウムの含有率の測定]
調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、実施例1と同じ液体クロマトグラフィ分析により、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量(100%)に対する製造後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合(%)」を算出した。
更に、調製したそれぞれのキャンディ製剤について、50℃雰囲気中に保管当初のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率を100%として、50℃雰囲気中に保管した所定の経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を液体クロマトグラフィにより測定して、経過時間後におけるそれぞれのキャンディ製剤のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)を算出した。
また、「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%以上である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有する」として、「良好」として評価した。
「キャンディ製剤を50℃に保管したときにおける6週間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率(%)」が50%未満である場合を、「アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化抑制効果を有しない」として、「不良」として評価した。
これらの測定・実験結果を表12と表13に示す。
なお、それぞれの試料には3重量%以下の水が含有されているが、表において、キャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤の含有割合において、水の含有量を除いて、アズレンスルホン酸ナトリウムと甘味剤との含有割合を記載した。
【0262】
【表12】
【0263】
表12から明らかのように、キャンディ製剤の製造方法における(B)工程の「前記マルチトール含有加熱流動甘味剤を、第二所定温度に下げた状態で、該マルチトール含有加熱流動甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムを混合し、薬効成分が含有された薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤を調製する工程」において、「第二所定温度が高くなるに従って、アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造したキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合」が少なくなる傾向があった。
第二所定温度が60℃のキャンディ製剤(試料121)の場合には、薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤の粘性が大きく流動性を有しなく、AZの混入が不可能であった。
【0264】
第二所定温度が80℃~150℃のキャンディ製剤(試料122、試料123、試料124、試料125)の場合には、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造したキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合」は90%~99%であり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少なかった。
これに対して、第二所定温度が180℃のキャンディ製剤(試料126)の場合には、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造したキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合」は48%であり、製造工程中においてアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が生じていた。
【0265】
但し、第二所定温度が80℃である試料122において、薬効成分含有加熱マルチトール含有加熱流動製剤の粘性がやや大きく、強力な撹拌によりアズレンスルホン酸ナトリウムを混入、混合した。
【0266】
以上の実験から、薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分は、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、前記甘味剤は、少なくとも、マルチトールを含有するキャンディ製剤であって、甘味剤がマルチトールを含有することにより、甘味剤と薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムとを混合する工程の温度を高くすることが可能になり、約150℃の高温においても、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少ないことが解かった。
【0267】
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少ない試料(試料122、試料123、試料124、試料125)について、50℃に保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は、いずれも93%以上であり、良好な保管安定性を有していた。
なお、試料121については、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有する試料を得られなかったために、50℃保管実験を行わなかった。試料126については、製造中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が生じていたために、50℃保管実験を行わなかった。
【0268】
【表13】
【0269】
表13から明らかのように、甘味剤としてマルチトールと第二甘味剤(蔗糖60%と酵素糖化水飴40%との混合甘味剤、又は、還元パラチノース)とを含有するキャンディ製剤の製造工程において、第二所定温度が60℃から130℃に高くなるに従って、「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造後のキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合」が少なくなり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が進んでいることが確認された
特に、第二所定温度が130℃であって、甘味剤としてマナルチトールを含有しなく第二甘味剤のみを含有するキャンディ製剤(試料134、試料138)の「アズレンスルホン酸ナトリウムの仕込み量に対する製造したキャンディ製剤中のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有割合」は77%~78%であり、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が著しいことが確認された。
【0270】
すなわち、甘味剤としてマルチトールを含有することにより、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムが著しく抑制されることが解かった。また、甘味剤としてマルチトールを含有することにより、第二甘味剤のみを含有するキャンディ製剤よりも、より高い温度で甘味剤とアズレンスルホン酸ナトリウムとを、アズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制して混合して製造可能になり、製造方法の効率化が可能になる。
【0271】
製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が少ない試料(試料131~133、試料135~137)について、50℃に保管したときにおける保管経過時間後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存率は、いずれも63%以上であり良好な保管安定性を有していた。
なお、製造工程中におけるアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化が多い試料(試料134、試料)については、50℃保管安定性試験を行わなかった。
【産業上の利用可能性】
【0272】
薬効成分と甘味剤を含有してなる固形状を有し、前記薬効成分が、少なくとも、アズレンスルホン酸ナトリウムを含有し、人の口に服用された時に、服用後の廃棄の必要が無く、服用時に甘味服用感を有すると共に、特に、保管中における、薬効成分としてのアズレンスルホン酸ナトリウムの劣化を抑制できるアズレンスルホン酸ナトリウムを含有するキャンディ製剤を提供する。