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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】照明装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/12 20200101AFI20231201BHJP
【FI】
H05B47/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019117833
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021005470
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹口 直輝
(72)【発明者】
【氏名】林 和彦
(72)【発明者】
【氏名】城戸 大志
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-161694(JP,A)
【文献】特開2000-347659(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187712(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を点灯させる照明装置であって、
周囲で流れる音楽の音を収集し、電気信号に変換するマイクと、
前記電気信号から前記音楽のテンポを抽出し、前記テンポに基づいて前記光源を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、前記電気信号から得られる音の強度に関する情報から、前記音の強度の変化率の周波数成分を抽出することによって、前記テンポを抽出し、前記テンポに応じて前記光源の発光状態の変化の度合いを変える
照明装置。
【請求項2】
前記マイクから前記電気信号が入力され、前記電気信号を増幅して、前記制御回路に出力するアンプをさらに備える
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記テンポが速くなるにしたがって、前記光源の発光状態の変化の度合いを大きくする
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記電気信号を所定の周期でサンプリングする
請求項1~のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記電気信号のうち所定の周波数以下の周波数成分を抽出するローパスフィルタを有する
請求項1~のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の照明装置と、
前記光源とを備える
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入力されたオーディオ信号に基づいて照明システムを制御する装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2004-501497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、オーディオ信号のデコードマッピングなどを行うことで、音楽のビートなどを決定する。このように、上記従来技術では、オーディオ信号に対する処理工程が多いため、構成が複雑となり、音楽に連動してリアルタイムで照明システムの制御を行うことが難しい。
【0005】
そこで本発明は、簡素化された構成を有し、音楽のテンポに合わせて光源を制御できる照明装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の照明装置は、光源を点灯させる照明装置であって、周囲で流れる音楽の音を収集し、電気信号に変換するマイクと、前記電気信号から前記音楽のテンポを抽出し、前記テンポに基づいて前記光源を制御する制御回路とを備える。
【0007】
上記課題を解決するために本発明の照明器具は、上記照明装置と、上記光源とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素化された構成を有し、音楽のテンポに合わせて光源を制御できる照明装置及び照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係る照明装置を備える照明器具の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る照明器具の詳細構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、実施の形態1に係る制御回路のMCUの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係るマイクから出力される電気信号の時間波形の一例を示すグラフである。
図5図5は、実施の形態1に係るアンプによって増幅された電気信号の時間波形の一例を示すグラフである。
図6図6は、実施の形態1に係る電気信号のサンプリング周期を示す図である。
図7図7は、実施の形態1に係る電気信号の周波数と強度との関係を示すグラフである。
図8図8は、実施の形態1に係るテンポと光源の発光色温度との関係を示すグラフである。
図9図9は、実施の形態1の変形例1に係るテンポと光源の輝度との関係を示すグラフである。
図10図10は、実施の形態1の変形例2に係るテンポと光源の発光状態の変化の度合いとの関係を示すグラフである。
図11図11は、実施の形態1の変形例2に係るテンポと光源の色温度の変化の範囲との関係を示すグラフである。
図12図12は、実施の形態2に係る照明装置の制御回路におけるテンポの抽出方法を示す図である。
図13図13は、実施の形態3に係る照明装置の制御回路におけるテンポの抽出方法を示す図である。
図14図14は、実施の形態4に係る照明装置の制御回路の機能構成を示すブロック図である。
図15図15は、実施の形態1に係る照明装置を備える照明器具の外観例を示す図である。
図16図16は、実施の形態1に係る照明装置を備える照明器具の他の外観例を示す図である。
図17図17は、実施の形態1に係る照明装置を備える照明器具のさらに他の外観例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る照明装置及び照明器具について説明する。
【0013】
[1-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る照明装置及びそれを備える照明器具の構成例について図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る照明装置20を備える照明器具10の構成例を示すブロック図である。図1には、照明器具10と併せて入力電源12も示されている。入力電源12は、照明器具10に交流電力を供給する系統電源である。入力電源12は、例えば、商用交流電源である。
【0015】
図1に示されるように、照明器具10は、照明装置20と、光源60とを備える。
【0016】
光源60は、照明器具10の照明光を出射する発光部である。光源60によって、照明光が照射される空間である照明空間が形成される。本実施の形態では、光源60は、第1発光素子61と第2発光素子62とを有する。第1発光素子61は、第2発光素子62より高い発光色温度(以下、単に「色温度」ともいう。)を有する白色光源である。第2発光素子62は、第1発光素子61より低い発光色温度を有する白色光源である。ここで、白色光とは、人に色相の感覚を与えない色の光であり、例えば、色温度(相関色温度)が2600K~7100Kの光である。例えば、第1発光素子61は、6500Kの色温度を有する白色光を出射し、第2発光素子62は、2700Kの色温度を有する白色光を出射する。第1発光素子61及び第2発光素子62の構成は、特に限定されないが、本実施の形態では、LED(Light Emitting Diode)と蛍光体とからなる。
【0017】
照明装置20は、光源60を点灯させる装置である。照明装置20は、マイク24と、制御回路40とを備える。本実施の形態では、照明装置20は、AC-DCコンバータ22と、DC-DCコンバータ30と、アンプ26とをさらに備える。
【0018】
マイク24は、周囲で流れる音楽の音を収集し、電気信号に変換する機器である。本実施の形態では、マイク24は、生成した電気信号をアンプ26に出力する。
【0019】
アンプ26は、マイク24から電気信号が入力され、電気信号を増幅して、制御回路40に出力する回路である。アンプ26により、制御回路40に入力される電気信号の強度を、制御回路40に適した強度に増幅することができる。
【0020】
制御回路40は、電気信号から音楽のテンポを抽出し、当該テンポに基づいて光源60を制御する回路である。本実施の形態では、制御回路40は、DC-DCコンバータ30を制御することで、光源60の発光状態を制御する。制御回路40の制御態様については、後述する。
【0021】
AC-DCコンバータ22は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する回路である。本実施の形態では、AC-DCコンバータ22は、入力電源12から入力された交流電力を直流電力に変換して、DC-DCコンバータ30に出力する。AC-DCコンバータ22の構成は特に限定されない。AC-DCコンバータ22は、例えば、ダイオードブリッジなどの整流回路、平滑コンデンサ、ブーストコンバータなどを有する。
【0022】
DC-DCコンバータ30は、光源60に電流を供給する回路である。本実施の形態では、DC-DCコンバータ30は、AC-DCコンバータ22からの直流電力を電圧の異なる直流電力に変換し、変換した直流電力を光源60に供給する。本実施の形態では、DC-DCコンバータ30は、第1コンバータ31と第2コンバータ32とを有する。第1コンバータ31及び第2コンバータ32は、それぞれ、第1発光素子61及び第2発光素子62に直流電力を供給するコンバータである。第1コンバータ31及び第2コンバータ32は、例えば、降圧チョッパ回路である。
【0023】
[1-2.詳細構成]
次に、本実施の形態に係る照明器具10の詳細構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る照明器具10の詳細構成の一例を示す回路図である。図2には、本実施の形態に係る照明器具10のうち、アンプ26、制御回路40、DC-DCコンバータ30及び光源60の詳細構成が示されている。図3は、本実施の形態に係る制御回路40のMCU46の機能構成を示すブロック図である。
【0024】
図2に示されるように、DC-DCコンバータ30の第1コンバータ31は、降圧チョッパ回路であり、第1スイッチング素子M1と、第1ダイオードD1と、第1インダクタL1と、第1コンデンサC1とを有する。第1ダイオードD1のカソードはDC-DCコンバータ30の高電位側の入力端子に接続され、アノードは、第1スイッチング素子M1のドレイン端子に接続される。第1コンデンサC1の高電位側の端子はDC-DCコンバータ30の高電位側の入力端子に接続され、低電位側の端子は第1インダクタL1に接続される。なお、第1コンデンサC1に、第1発光素子61が並列接続される。第1インダクタL1の一端は、第1コンデンサC1の低電位側の端子に接続され、他端は、第1ダイオードD1と第1スイッチング素子M1のドレイン端子との接続点に接続される。第1スイッチング素子M1は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。第1スイッチング素子M1のドレイン端子は、第1ダイオードD1のアノード及び第1インダクタL1に接続される。第1スイッチング素子M1のソース端子は、DC-DCコンバータ30の低電位側の入力端子に接続される。
【0025】
DC-DCコンバータ30の第2コンバータ32は、第1コンバータ31と同様に、降圧チョッパ回路であり、第2スイッチング素子M2と、第2ダイオードD2と、第2インダクタL2と、第2コンデンサC2とを有する。第2ダイオードD2のカソードはDC-DCコンバータ30の高電位側の入力端子に接続され、アノードは、第2スイッチング素子M2のドレイン端子に接続される。第2コンデンサC2の高電位側の端子はDC-DCコンバータ30の高電位側の入力端子に接続され、低電位側の端子は第2インダクタL2に接続される。なお、第2コンデンサC2に、第2発光素子62が並列接続される。第2インダクタL2の一端は、第2コンデンサC2の低電位側の端子に接続され、他端は、第2ダイオードD2と第2スイッチング素子M2のドレイン端子との接続点に接続される。第2スイッチング素子M2は、MOSFETである。第2スイッチング素子M2のドレイン端子は、第2ダイオードD2のアノード及び第2インダクタL2に接続される。第2スイッチング素子M2のソース端子は、DC-DCコンバータ30の低電位側の入力端子に接続される。
【0026】
アンプ26は、マイク24からの電気信号が入力される入力端子Tmを有する。アンプ26は、増幅した電気信号を制御回路40に出力する。
【0027】
制御回路40は、レギュレータ(REG)44と、MCU(Micro Controller Unit 又はMicro Computer Unit)46と、第1ドライバ41と、第2ドライバ42とを有する。
【0028】
レギュレータ44は、MCU46、第1ドライバ41及び第2ドライバ42に駆動用の電圧を供給する電源回路である。レギュレータ44は、例えば、AC-DCコンバータ22が出力する140V程度の直流電圧を供給され、15V程度の直流電圧を出力する。
【0029】
MCU46は、プロセッサ、メモリ及びタイマを内蔵する集積回路であり、アンプ26から入力された電気信号から音楽のテンポを抽出し、テンポに基づいて決定された駆動信号を第1ドライバ41及び第2ドライバ42に出力する。図3に示されるように、MCU46は、機能的には、抽出部46aと、発光状態決定部46bとを有する。
【0030】
抽出部46aは、MCU46に入力された電気信号から音楽のテンポを抽出する処理部である。抽出部46aは、抽出したテンポに対応する信号を発光状態決定部46bに出力する。抽出部46aの具体的な動作については後述する。
【0031】
発光状態決定部46bは、抽出部46aから入力されたテンポに対応する信号に基づいて、光源60の発光状態を決定し、当該発光状態に対応する駆動信号を第1ドライバ41及び第2ドライバ42に出力する。発光状態決定部46bは、駆動信号として例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。
【0032】
図2に示される第1ドライバ41及び第2ドライバ42は、それぞれ、第1コンバータ31及び第2コンバータ32を駆動する回路である。より詳しくは、第1ドライバ41は、第1コンバータ31の第1スイッチング素子M1のゲート端子に駆動信号を出力し、第2ドライバ42は、第2コンバータ32の第2スイッチング素子M2のゲート端子に駆動信号を出力する。
【0033】
[1-3.動作]
次に、本実施の形態に係る照明装置20及び照明器具10の動作例について、図4図8を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係るマイク24から出力される電気信号の時間波形の一例を示すグラフである。図5は、本実施の形態に係るアンプ26によって増幅された電気信号の時間波形の一例を示すグラフである。図4及び図5の各グラフの縦軸は、電気信号が示す音の強度を表す。図6は、本実施の形態に係る電気信号のサンプリング周期を示す図である。図7は、本実施の形態に係る電気信号の周波数と強度との関係を示すグラフである。
【0034】
本実施の形態では、図4に示される電気信号は、アンプ26によって、ほぼリニアに増幅されて、図5に示されるような電気信号となる。
【0035】
図4に示されるように、マイク24によって収集される音楽の音は、音楽のテンポに応じて、周期的に強度が高くなる。言い換えると、音楽のテンポに対応する周期で、複数の楽器の音が重なることによって音が大きくなる。例えば、ベース、ドラムなどの音が、他の楽器の音と重なって音が大きくなる周期がテンポに対応する。
【0036】
本実施の形態に係る制御回路40のMCU46の抽出部46aは、電気信号から音楽のテンポを抽出する。抽出部46aにおけるテンポの抽出方法は特に限定されない。抽出部46aは、例えば、図6に示されるように電気信号を所定のサンプリング周期でサンプリングし、サンプリングした電気信号をフーリエ変換することによって、図7に示されるような電気信号の周波数と強度との関係を取得できる。ここで、サンプリング周期は、テンポに対応する周波数の信号の波形を十分に再現できる程度に短ければよい。例えば、テンポの最大値が20BPM(Beats Per Minute)と仮定すると、テンポの最大値に対応する周波数は20Hz、周期は1/20secとなる。この場合、サンプリング周期は、テンポの最大値に対応する周期1/20secの1/10程度以下であればよい。これにより、テンポを抽出するために必要な電気信号の時間波形を取得できる。
【0037】
抽出部46aは、図7に示されるような電気信号の周波数と強度との関係に基づいてテンポに対応する周波数を抽出してもよい。具体的には、所定の閾値ft未満の周波数のうち、最も強度が高い周波数をテンポと決定してもよい。閾値ftは、テンポとして想定される最大周波数より大きければよい。閾値は、例えば、可聴周波数の下限値であってもよいし、20Hzなどであってもよい。図7に示される例では、閾値ft未満の周波数のうち、最も強度が高い周波数f0がテンポとなる。
【0038】
MCU46の抽出部46aが、以上のように音楽のテンポを抽出した後、抽出部46aが抽出したテンポに基づいて発光状態決定部46bが、第1ドライバ41及び第2ドライバ42を介して光源60を制御する。本実施の形態では、発光状態決定部46bは、テンポに応じて光源60の発光状態を変える。以下、本実施の形態に係るMCU46による光源60の制御態様について図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係るテンポと光源60の発光色温度との関係を示すグラフである。本実施の形態では、MCU46の発光状態決定部46bは、抽出したテンポに応じて光源60の発光色温度を変える。図8に示されるように、発光状態決定部46bは、テンポが速くなるにしたがって、発光色温度を高くする。具体的には、発光状態決定部46bは、テンポが速くなるにしたがって、第1ドライバ41を用いて第1スイッチング素子M1を制御することにより、第1発光素子61に供給する電流を増大させ、かつ、第2ドライバ42を用いて第2スイッチング素子M2を制御することにより、第2発光素子62に供給する電流を減少させる。これにより、テンポが速くなるにしたがって、第2発光素子62より発光色温度が高い第1発光素子61の輝度が高くなり、第2発光素子62の輝度が低くなるため、光源60の発光色温度が高くなる。
【0039】
一般に、音楽のテンポが速くなるほど、ユーザは活動的な印象を受ける。また、照明空間の色温度が高くなるほど、ユーザは活動的な印象を受ける。このため、音楽のテンポが速くなるにしたがって、光源60の発光色温度を高くすることで、音楽及び照明空間がユーザに与える印象を合致させることができる。したがって、本実施の形態に係る照明装置20及び照明器具10によって、ユーザにとって快適な空間を実現できる。
【0040】
また、本実施の形態では、周囲で流れる音楽の情報としてテンポを用いる。このようなテンポは、音の強度の時間変化の情報だけから容易に抽出できる。したがって、本実施の形態では、簡素化された構成を有する制御回路40によって、光源60を上述のように制御できる。また、制御回路40において、複雑な信号処理が不要であり、瞬時に信号処理を行うことが可能であるため、音楽に合わせてリアルタイムで光源60を制御できる。
【0041】
[1-4.効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明装置20は、光源60を点灯させる照明装置20であって、周囲で流れる音楽の音を収集し、電気信号に変換するマイク24と、電気信号から音楽のテンポを抽出し、テンポに基づいて光源60を制御する制御回路40とを備える。
【0042】
このように、照明装置20の周囲で流れる音楽のテンポに合わせて光源60を制御することで、流れている音楽に適した照明空間を実現できる。これにより、照明器具10を制御しない場合より、ユーザにとって快適な空間を実現できる。また、照明装置20では、周囲で流れる音楽の情報としてテンポを抽出するため、音の強度の時間変化の情報だけから容易にテンポを抽出できる。したがって、本実施の形態では、簡素化された構成を有する制御回路40によって、光源60を上述のように制御できる。また、制御回路40において、複雑な信号処理が不要であり、瞬時に信号処理を行うことが可能であるため、音楽に合わせてリアルタイムで光源60を制御できる。
【0043】
また、照明装置20は、マイク24から電気信号が入力され、電気信号を増幅して、制御回路40に出力するアンプ26をさらに備えてもよい。
【0044】
これにより、制御回路40に入力される電気信号の強度を、制御回路40に適した強度に増幅することができる。
【0045】
また、照明装置20において、制御回路40は、テンポに応じて光源60の発光状態を変えてもよい。
【0046】
このように、光源60の発光状態を変えることで、音楽がユーザに与える印象に適した印象を照明空間によってユーザに与えることができる。これにより、ユーザにとって快適な空間を実現できる。また、光源60の発光状態は、DC-DCコンバータ30などを制御することで容易に変化させることができるため、制御回路40の構成を複雑化させる必要がない。
【0047】
また、照明装置20において、制御回路40は、テンポが速くなるにしたがって、光源60の発光色温度を高くしてもよい。
【0048】
これにより、音楽及び照明空間がユーザに与える印象を合致させることができる。したがって、照明装置20によって、ユーザにとって快適な空間を実現できる。
【0049】
また、照明装置20において、制御回路40は、電気信号を所定の周期でサンプリングしてもよい。
【0050】
このように電気信号をサンプリングすることで、電気信号の時間波形を取得できる。また、サンプリング周期をテンポに対応する周期より十分小さくすることで、テンポを検出するために必要な電気信号の時間波形を取得できる。
【0051】
また、本実施の形態に係る照明器具10は、照明装置20と、光源60とを備える。
【0052】
本実施の形態に係る照明器具10によれば、照明装置20と同様の効果が奏される。
【0053】
[1-5.変形例]
次に、本実施の形態に係る照明装置20及び照明器具10の変形例1及び変形例2について説明する。変形例1及び変形例2に係る照明装置及び照明器具は、制御回路による光源60の制御態様において、実施の形態1に係る照明装置20及び照明器具10と相違し、その他の点において一致する。以下、各変形例に係る照明装置及び照明器具の制御態様について図9及び図10を用いて説明する。図9は、変形例1に係るテンポと光源60の輝度との関係を示すグラフである。図10は、変形例2に係るテンポと光源60の発光状態の変化の度合いとの関係を示すグラフである。
【0054】
図9に示されるように、変形例1に係る制御回路は、抽出したテンポが速くなるにしたがって、光源60の輝度を高くする。具体的には、変形例1に係る制御回路は、テンポが速くなるにしたがって、DC-DCコンバータ30を制御することにより、第1発光素子61及び第2発光素子62に供給する電流を増大させる。これにより、テンポが速くなるにしたがって、第1発光素子61及び第2発光素子62の輝度が高くなるため、光源60の輝度が高くなる。
【0055】
上述したとおり、音楽のテンポが速くなるほど、ユーザは活動的な印象を受ける。また、照明空間の輝度が高くなるほど、ユーザは活動的な印象を受ける。このため、音楽のテンポが速くなるにしたがって、光源60の輝度を高くすることで、音楽及び照明空間がユーザに与える印象を合致させることができる。したがって、変形例1に係る照明装置によって、ユーザにとって快適な空間を実現できる。
【0056】
変形例2に係る制御回路は、抽出したテンポに応じて光源60の発光状態の変化の度合いを変える。図10に示されるように、変形例2に係る制御回路は、抽出したテンポが速くなるにしたがって、光源60の発光状態の変化の度合いを大きくする。光源60の発光状態の変化の度合いとは、発光色温度、輝度などの発光状態の変化の範囲を意味する。以下、発光状態の変化の度合いとして、発光色温度の変化の範囲を採用する場合について図11を用いて説明する。図11は、変形例2に係るテンポと発光色温度の変化の範囲との関係を示すグラフである。図11においては、テンポに対する、発光色温度の変化の範囲の最大値及び最小値がそれぞれ実線及び破線で示されている。図11に示されるように、変形例2に係る光源60の発光色温度の変化の範囲は、テンポが速くなるにしたがって大きくなる。このようなテンポと発光色温度との関係を実現するために、変形例2に係る制御回路は、テンポが速くなるにしたがって、DC-DCコンバータ30を制御することにより、第1発光素子61に供給する電流に対する第2発光素子62に供給する電流の比の範囲を増大させる。変形例2に係る制御回路は、例えば、光源60の発光色温度を周期的に変化させ続けて、テンポが速くなるにしたがって、変化させる発光色温度の範囲を大きくしてもよい。なお、変形例2において発光状態の変化の度合いとして、発光色温度以外の変化の度合いを採用してもよい。例えば、発光状態の変化の度合いとして、光源60の輝度の変化の範囲を採用してもよい。
【0057】
このように、光源60の発光状態の変化の度合いを変えることで、音楽がユーザに与える印象に適した印象を照明空間によってユーザに与えることができる。これにより、ユーザにとって快適な空間を実現できる。また、光源60の発光状態の変化の度合いは、DC-DCコンバータ30などを制御することで容易に変化させることができるため、制御回路40の構成を複雑化させる必要がない。
【0058】
一般に、音楽のテンポが速くなるほど、音楽がユーザに与える刺激が強くなる。また、照明空間の状態の変化の度合いが大きくなるほど、照明空間がユーザに与える刺激が強くなる。このため、音楽のテンポが速くなるにしたがって、光源60の発光状態の変化の度合いを大きくすることで、音楽及び照明空間がユーザに与える印象を合致させることができる。したがって、変形例2に係る照明装置によってユーザにとって快適な空間を実現できる。
【0059】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る照明装置及びそれを備える照明器具について説明する。本実施の形態に係る照明装置及び照明器具は、制御回路におけるテンポの抽出方法において実施の形態1及びその各変形例に係る照明装置及び照明器具と相違し、その他の点において一致する。以下、本実施の形態に係る照明装置の制御回路について、実施の形態1に係る制御回路40との相違点を中心に図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る照明装置の制御回路におけるテンポの抽出方法を示す図である。
【0060】
本実施の形態に係る制御回路は、電気信号から得られる音の強度に関する情報から、周期的に現れる音量ピークを検出し、当該音量ピークの現れる周波数からテンポを抽出する。具体的には、図12に示される電気信号が示す音の強度の時間波形において、強度がピークとなる複数の点、つまり、複数の音量ピークを検出する。音量ピークとなる点は、例えば図12に示されるグラフでは、強度を示す曲線と点線との交点に相当する。続いて、検出された複数の音量ピークの現れる周波数を算出し、算出された音量ピークの現れる周波数からテンポを抽出する。なお、音量ピークの検出においては、所定の閾値以上のピークだけを検出してもよい。これにより、ノイズ成分などのテンポと関連しない音量ピークの検出を低減できる。
【0061】
本実施の形態に係る照明装置においても、実施の形態1及びその各変形例に係る照明装置と同様の効果が奏される。さらに、本実施の形態においては、テンポの抽出方法が実施の形態1における抽出方法よりさらに簡素化される。したがって、本実施の形態においては、より一層簡素化された構成を有する照明装置及び照明器具を実現できる。
【0062】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る照明装置及びそれを備える照明器具について説明する。本実施の形態に係る照明装置及び照明器具は、制御回路におけるテンポの抽出方法において実施の形態1に係る照明装置及び照明器具と相違し、その他の点において一致する。以下、本実施の形態に係る照明装置の制御回路について、実施の形態1に係る制御回路40との相違点を中心に図13を用いて説明する。図13は、本実施の形態に係る照明装置の制御回路におけるテンポの抽出方法を示す図である。
【0063】
本実施の形態に係る制御回路は、電気信号から得られる音の強度に関する情報から、音の強度の変化率の周波数成分を抽出することによって、テンポを抽出する。具体的には、図13に示される電気信号が示す音の強度の時間波形において、音の強度の変化率が所定の値となる点を検出する。例えば、図13に示されるように、音の強度がピークとなる点付近に現れる音の強度の変化率が大きい点を検出する。続いて、検出された複数の点の現れる周期から周波数を算出し、算出された周波数からテンポを抽出する。
【0064】
本実施の形態に係る照明装置においても、実施の形態1に係る照明装置と同様の効果が奏される。さらに、本実施の形態においては、テンポの抽出方法が実施の形態1における抽出方法よりさらに簡素化される。したがって、本実施の形態においては、より一層簡素化された構成を有する照明装置及び照明器具を実現できる。
【0065】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る照明装置及びそれを備える照明器具について説明する。本実施の形態に係る照明装置及び照明器具においては、制御回路において、電気信号をフィルタリングする点において実施の形態1に係る照明装置20及び照明器具10と相違し、その他の点において一致する。以下、本実施の形態に係る照明装置の制御回路について、実施の形態1に係る制御回路との相違点を中心に図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態に係る照明装置の制御回路140の機能構成を示すブロック図である。
【0066】
図14に示されるように、本実施の形態に係る照明装置の制御回路140は、MCU146と、第1ドライバ41と、第2ドライバ42とを有する。なお、制御回路140は、実施の形態1に係る制御回路40と同様にレギュレータ44を有してもよい。第1ドライバ41及び第2ドライバ42は、それぞれ、実施の形態1に係る第1ドライバ41及び第2ドライバ42と同様の構成を有する。
【0067】
MCU146は、プロセッサ、メモリ及びタイマを内蔵する集積回路であり、入力された電気信号から音楽のテンポを抽出し、テンポに基づいて決定された駆動信号を第1ドライバ41及び第2ドライバ42に出力する。MCU146は、機能的には、ローパスフィルタ146aと、抽出部146bと、発光状態決定部146cとを有する。抽出部146b及び発光状態決定部146cは、それぞれ、実施の形態1に係る抽出部46a及び発光状態決定部46bと同様の構成を有する。
【0068】
ローパスフィルタ146aは、電気信号のうち所定の周波数以下の周波数成分を通過させるフィルタである。本実施の形態に係るローパスフィルタ146aは、例えば、電気信号のうち、音楽のうち低音域に対応する100Hz程度以下の周波数成分だけを通過させる。これにより、電気信号のうち、テンポに対応して音の強度が変化する低音域の成分だけを抽出できる。これにより、ローパスフィルタ146aを用いない場合より、電気信号に含まれるテンポに対応する周波数成分以外の周波数成分を低減できるため、抽出部146bにおいて、容易に、かつ、正確にテンポを抽出できる。
【0069】
(実施の形態5)
実施の形態5では、上記実施の形態1に係る照明装置20を備える照明器具10の例について、図15図17を用いて説明する。
【0070】
図15は、実施の形態1に係る照明装置20を備える照明器具10の外観例を示す図である。図15では、照明器具10の例として、ダウンライト100aの外観を示す。
【0071】
ダウンライト100aは、回路ボックス101a、灯体102a及び配線103aを備える。回路ボックス101aは、上記実施の形態1に係る照明装置20の全部又は一部を収納する筐体である。灯体102aは、光源60を装着した灯体である。配線103aは、回路ボックス101aと灯体102a内の光源60とを電気的に接続する。
【0072】
図16は、上記実施の形態1に係る照明装置20を備える照明器具10の他の外観例を示す図である。図16では、照明器具10の例として、スポットライト100bの外観を示す。スポットライト100bは、回路ボックス101b、灯体102b及び配線103bを備える。これらの回路ボックス101b、灯体102b及び配線103bは、それぞれ図15の回路ボックス101a、灯体102a及び配線103aと同様である。
【0073】
図17は、上記実施の形態1に係る照明装置20を備える照明器具10のさらに他の外観例を示す図である。図17では、照明器具10の例として、スポットライト100cの外観を示す。スポットライト100cは、回路ボックス101c及び灯体102cを備える。これらの回路ボックス101c及び灯体102cも、それぞれ図15の回路ボックス101a及び灯体102bと同様である。
【0074】
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果が得られる。また、本実施の形態に係る各照明器具の例において、実施の形態2~実施の形態4に係る照明装置を用いてもよい。
【0075】
(その他の変形例など)
以上、本開示の複数の態様に係る照明装置及び照明器具について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0076】
例えば、上記各実施の形態に係るアンプ26は、必須の構成要素ではなく、マイク24は、アンプ26を介さずに、制御回路40に電気信号を出力してもよい。
【0077】
また、上記各実施の形態に係る光源60は、第1発光素子61及び第2発光素子62の二つの色温度の異なる発光素子を有したが、光源60は、三つ以上の色温度の異なる発光素子を有していてもよい。その場合、照明装置は、三つ以上の発光素子にそれぞれ電流を供給する三つ以上のコンバータを備えてもよい。
【0078】
また、上記各実施の形態に係る各発光素子は、白色光を出射したが、白色光以外の光を出射してもよい。例えば、各発光素子は、赤色、緑色、青色などの光を出射してもよい。
【0079】
また、上記各実施の形態に係る各発光素子は、LEDであったが、LED以外の発光素子であってもよい。各発光素子は、例えば、有機EL発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)、レーザ発光素子などの固体発光素子でもよい。
【0080】
また、上記各実施の形態では、テンポに応じて、発光状態などが連続的に変化する例を示したが、発光状態などは、必ずしも連続的に変化しなくてもよい。例えば、発光状態などは、ステップ状に不連続的に変化してもよい。
【0081】
また、上記各実施の形態では、テンポに応じて、発光色温度又は輝度を変化させたが、発光色温度及び輝度の両方を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 照明器具
20 照明装置
24 マイク
26 アンプ
40、140 制御回路
60 光源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図17