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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/25 20180101AFI20231201BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20231201BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231201BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231201BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20231201BHJP
   G02B 3/06 20060101ALI20231201BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20231201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231201BHJP
【FI】
F21S41/25
F21S41/143
F21S2/00 330
F21V5/04
G02B3/00 A
G02B3/06
F21W102:135
F21Y115:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019173715
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021051897
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪口 知久
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要介
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/198527(WO,A1)
【文献】特開2018-206600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0176793(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 2/00
F21V 5/04
G02B 3/00
F21W 102/135
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子から出射された光を受けて、第1出射光を出射する第1レンズと、
前記第1出射光を受けて、第2出射光を出射する第2レンズと
を備え、
前記第2レンズは、
前記第1出射光を受ける凸状の第2入射面と、
前記第2入射面と対向する位置に設けられ、前記第2出射光を出射する凸状の第2出射面と、
前記第2入射面と前記第2出射面との間に形成された第2側面部と
を備え、
前記第2側面部は、前記発光素子の光軸方向に対して傾斜している面を含み、前記第1出射光の一部を透過させる
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記第2側面部の傾斜している面は、複数の平面によって形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2記載の照明装置において、
前記複数の平面は、
前記第2入射面の端部から前記第2出射面側に向かって延びるように形成された第1傾斜面と
前記第2出射面の端部から前記第2入射面側に向かって延び、前記第1傾斜面と接続されるように形成された第2傾斜面とを含み、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、それぞれ、前記発光素子の光軸方向となす角度が、30°以下となるように形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の照明装置において、
前記第1レンズは、
前記発光素子を覆うように凹状に形成され、前記発光素子により生成された光を受ける第1入射口と、
前記第1入射口と対向する位置に形成され、前記第1出射光を出射する第1出射面と、
前記第1入射口と前記第1出射面との間に形成された第1側面部と、
を備え、
前記第1側面部は、
前記発光素子から前記第1入射口に入射された光を前記第1出射面側に反射させる第1反射面と、
前記発光素子から前記第1入射口に入射された光、および、前記第1反射面によって反射された光を前記第1出射面側に反射させる第2反射面とを有している
ことを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項記載の照明装置において、
前記第2出射面は、上下方向の長さが、前記第1出射面の前記上下方向の長さの2倍以下であることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれ1項記載の照明装置において、
前記第1レンズおよび前記第2レンズの組み合わせが、アレイ状に配置されていることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットオフ機能を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用前照灯(ヘッドライト)等の照明装置は、すれ違い前照灯(ロービーム)である場合、対向車や歩行者が眩しくならないように上方へ照射される光がカットされる、カットオフ機能を備えている。また、屋外のグラウンドに用いられる投光器においても、グラウンド周辺部へ光が漏れないように、上方へ照射される光がカットされるような光度分布が求められる。
【0003】
特許文献1には、すれ違い前照灯である場合、上部の光がカットされるような光度分布を有する車両用前照灯が開示されている。特許文献1では、第1レンズに形成された第2反射面によって、第1レンズの上方に向かって入射された光が下方に向けて反射されるため、上部の光がカットされる。
【0004】
また、第2反射面によって反射された光は、第2反射面によって反射されなかった光と重ね合わせられて、第2レンズの下部に入射される。このため、光学効率の低下を防止することができる。
【0005】
また、第2レンズは、入光部が凸状に形成されている。このため、第2レンズの側壁(側面部)に対して入射される光を低減でき、第2レンズの側壁に入射した光が反射した場合に生じる迷光を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-206600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、第2レンズの側壁に対して入射される光を低減するために、第2レンズの入射面を第1レンズの出射面よりも大きくする必要がある。例えば、第2レンズの側壁に対して入射される光を遮断するために、第2レンズの入射面の上下方向の長さを、第1レンズの出射面の上下方向の長さの約3倍以上とする必要がある。このため、照明装置のサイズが大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、迷光や光学効率の低下を防止しつつ、サイズの大きさを抑えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る照明装置は、発光素子と、前記発光素子から出射された光を受けて、第1出射光を出射する第1レンズと、前記第1出射光を受けて、第2出射光を出射する第2レンズとを備える。前記第2レンズは、前記第1出射光を受ける凸状の第2入射面と、前記第2入射面と対向する位置に設けられ、前記第2出射光を出射する凸状の第2出射面と、前記第2入射面と前記第2出射面との間に形成された第2側面部とを備える。前記第2側面部は、前記発光素子の光軸の延びる方向に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、迷光や光学効率の低下を防止しつつ、照明装置のサイズの大きさを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る照明装置の側面図。
図2】本実施形態に係る第2レンズの側面図。
図3】本実施形態に係る照明装置の適用例を示す図。
図4】従来の照明装置の第2レンズの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0013】
図1は本実施形態に係る照明装置の側面図を示し、図2は本実施形態に係る第2レンズの側面図を示す。なお、以下の説明において、Z方向は発光素子の光軸が延びる方向(以下、発光素子1の光軸方向ともいう)、Y方向は上下方向、X方向はY方向およびZ方向と垂直をなす方向をそれぞれ示す。
【0014】
本実施形態に係る照明装置は、発光素子1と、第1レンズ2と、第2レンズ3とを備える。
【0015】
発光素子1は、LED等で構成され、Z方向に光軸を有する。
【0016】
第1レンズ2は、発光素子1から出射された光を受けて、第2レンズ3に第1出射光を出射する。具体的に、第1レンズ2は、第1入射口21と、第1出射面22と、第1入射口21と第1出射面22との間に設けられた第1側面部23とを有する。
【0017】
第1入射口21は、第1レンズ2の図面左側に形成されており、発光素子1を囲むように凹状に形成されている。第1入射口21は、発光素子1から出射された光を受ける。
【0018】
第1側面部23は、第1反射面24と、第2反射面25とを含む。
【0019】
第1反射面24は、第1入射口21の開口の上端部から図面右斜め上方およびX方向に広がるように形成されている。第1反射面24は、第1入射口21から第1レンズ2に入射した光を、第1出射面22側または第2反射面25側に反射させる。
【0020】
第2反射面25は、第1出射面22の下端部から図面左斜め下方およびX方向に広がるように形成されている。第2反射面25は、第1入射口21から第1レンズ2に入射した光を、第1出射面22側に反射させる。また、第2反射面25は、第1反射面24によって反射された光を第1出射面22側に反射させる。
【0021】
第1出射面22は、第1レンズ2の図面右側に形成されている。第1出射面22は、発光素子1から出射された光、第1反射面24により反射された光、および、第2反射面25により反射された光を、第1出射光として第2レンズ3に出射する。
【0022】
第1レンズ2では、発光素子1から図面下側に向かって出射された光は、第2反射面25によって反射され、第1出射面22から図面上側に向かって出射される。このため、第第2反射面25によって、第1出射面22から図面下側に向かって出射される光がカットされる。
【0023】
また、発光素子1から図面上側に向かって出射された光は、第1反射面24によって図面下側に向かって反射され、第2反射面25によって図面上側に向かって反射されるため、第1出射面22から図面上側に向かって出射される。このため、第1反射面24および第2反射面25によって、照明装置の光学効率を高めることができる。
【0024】
第2レンズ3は、第1レンズ2から出射された第1出射光を受けて、第2出射光を出射する。第2レンズ3は、Y方向とX方向とで曲率の異なるアナモルフィックレンズである。第2レンズ3は、Y方向の厚さが、Z方向の厚さよりも厚い。また、第2レンズ3のY方向の厚さは、第1レンズのY方向の厚さの2倍以下である。
【0025】
具体的に、第2レンズ3は、第2入射面31と、第2出射面32と、第2入射面31と第2出射面32との間に設けられた第2側面部33とを有する。
【0026】
第2入射面31は、第2レンズ3の図面左側に形成されており、Z方向に凸となるように形成されている。第2入射面31は、第1レンズ2の第1出射面22から出射された第1出射光を受ける。
【0027】
第2出射面32は、第2レンズ3の図面右側に形成されており、Z方向に凸となるように形成されている。第2出射面32は、第2レンズ3に入射した光を第2出射光として出射する。
【0028】
図4は従来の第2レンズの側面図を示す。従来の第2レンズ3aでは、第2側面部33の図面下部が、Z方向に沿って延びる平面36で形成されている。図4では、出射光R1は、第1レンズ2の第1反射面24によって反射され、第2入射面31に入射した光である。また、出射光R2は、第2反射面25によって反射され、第2入射面31に入射した光である。
【0029】
従来の第2レンズ3aでは、第2レンズ3aの図面下部に入射した出射光R1は、平面36に対する入射角が大きいので、平面36によって図面上側に向かって反射される。また、第2レンズ3aの図面上部に入射した出射光R2は、第2レンズ2の第2出射面32によって、一部が反射される。第2出射面32によって反射された出射光R3は、平面36および第2入射面31によって反射され、図面上側に向かって出射される。このため、従来の第2レンズ3aでは、出射光R1,R3がそれぞれ迷光となる。この迷光を防止するためには、第2レンズ2のZ方向の厚さを十分大きくする必要があった。
【0030】
そこで、本実施形態に係る第2レンズでは、第2側面部33の図面下部に第1傾斜面34と第2傾斜面35とが形成されている。第1傾斜面34と第2傾斜面35とは、下端部同士が接続されている。
【0031】
第1傾斜面34は、第2入射面31の下端部から図面右斜め下方に向かって延びるように形成された平面である。第1傾斜面34は、Z方向(発光素子1の光軸方向)となす角度θ1が20°となるように形成されている。
【0032】
第2傾斜面35は、第2出射面32の下端部から図面右斜め下方に向かって延びるように形成された平面である。第2傾斜面35は、Z方向(発光素子1の光軸方向)となす角度θ2が20°となるように形成されている。
【0033】
図2に示すように、第2傾斜面35とZ方向とのなす角度θ2が20°であるため、第2傾斜面35に対する出射光R1の入射角が小さくなる。このため、出射光R1は第2傾斜面35において反射されず、透過する。これにより、出射光R1が第2出射面32から出射されないため、出射光R1を容易に遮蔽することができる。
【0034】
また、第1傾斜面34とZ方向とのなす角度θ1が20°であるため、第1傾斜面34に対する出射光R3の入射角が小さくなり、出射光R3は第1傾斜面34において反射されず、透過する。これにより、出射光R3が第2出射面32から出射されないため、出射光R3を容易に遮蔽することができる。
【0035】
以上の構成により、第2レンズ3は、図面左側に設けられ、第1出射光を受ける凸状の第2入射面31と、図面右側に設けられ、第2出射光を出射する凸状の第2出射面32と、第2入射面31と第2出射面32との間に形成された第2側面部33とを備える。第2側面部33は、Z方向(発光素子1の光軸方向)に対して、傾斜するように形成された第1傾斜面34および第2傾斜面35を含む。すなわち、第2側面部33がZ方向に対して傾斜する第1傾斜面34および第2傾斜面35を含むため、第1傾斜面34および第2傾斜面35に対して入射される出射光R1,R3は、反射されにくくなり、第1傾斜面34および第2傾斜面35を透過しやすくなる。これにより、出射光R1,R3が第2出射面32から出射されにくくなるため、照明装置のサイズの大きさを抑えつつ、出射光R1,R3を容易に遮蔽することができる。したがって、迷光や光学効率の低下を防止しつつ、サイズの大きさを抑えることができる。
【0036】
また、第1傾斜面34および第2傾斜面35は平面である。これにより、第2レンズ3の表面形状が複雑になることを抑制することができるため、第2レンズ3を製造しやすくなる。
【0037】
また、第1傾斜面34および第2傾斜面35は、それぞれ、平面が延びる方向とZ方向とのなす角度が、20°となっている。これにより、第1反射面24によって反射され、第2側面部33に対して入射された出射光R1が第2傾斜面35を透過し、第2出射面32によって反射され、第2側面部33に対して入射した出射光R3が第1傾斜面34を透過するため、出射光R1,R3を容易に遮蔽することができる。また、第1傾斜面34および第2傾斜面35とZ方向とのなす角度がそれぞれ小さいため、照明装置のサイズを抑えることができる。
【0038】
図3は本実施形態に係る第1レンズおよび第2レンズがアレイ状に配置された照明装置を示す図である。図3に示すように、複数の第1レンズ2および複数の第2レンズ3が、Y方向にそれぞれ等間隔に配置されている。また、複数の第1レンズ2および複数の第2レンズ3は、Y方向に延びる固定部41および固定部42によってそれぞれ固定されている。本実施形態によると、第2レンズ3のY方向の厚みを、図4に示す従来の第2レンズ3aと比べて、薄くすることができる。これにより、図3に示すように、第1レンズ2および第2レンズ3をアレイ状に配置したときに、照明装置のサイズを抑えることが可能となる。
【0039】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0040】
なお、上記実施形態において、第2レンズ3の第1傾斜面34および第2傾斜面35がZ方向となす角度θ1,θ2は、20°に限られない。例えば、角度θ1,θ2は、それぞれ30°以下であればよい。これにより、照明装置のサイズを抑えることができる。
【0041】
また、上記実施形態において、第2レンズ3の第2側面部33は、第1傾斜面34および第2傾斜面35以外の平面を含んでもよい。また、第2レンズ3の第2側面部33は、第1傾斜面34および第2傾斜面35のいずれかを含まず、曲面を含んでもよい。ただし、第2レンズ3の第2側面部33は、Z方向に対して傾斜している面を含む。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の照明装置は、車両用前照灯やグラウンドに設置される投光器など、カットオフ機能を有する照明装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 発光素子
2 第1レンズ
3 第2レンズ
21 第1入射部
22 第1出射面
23 第1側面部
24 第1反射面
25 第2反射面
31 第2入射面
32 第2出射面
33 第2側面部
34 第1傾斜面
35 第2傾斜面
図1
図2
図3
図4