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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20231201BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H05K5/02 A
G06F1/16 312L
G06F1/16 312J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019183206
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021061283
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 順一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 圭太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 毅充
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】深川 莉穂
(72)【発明者】
【氏名】山本 功樹
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-163297(JP,A)
【文献】特開2010-282493(JP,A)
【文献】特開2018-116949(JP,A)
【文献】特開2012-053611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースとを有する矩形状の筐体と、
前記筐体に収納される表示部と、
前記筐体の長手方向の両端にそれぞれ設けられる複数の位置ずれ抑制機構と、
前記筐体の短手方向の端部において、前記筐体の一部を形成するアンテナカバーと、
前記筐体の長手方向の両端にそれぞれ設けられ、前記第1ケースと前記第2ケースとをそれぞれ接続する複数の係止機構と、
を備え、
前記第1ケースの端面と前記第2ケースの端面とが当接されて、
前記位置ずれ抑制機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとの位置ずれを抑制
前記複数の位置ずれ抑制機構と前記複数の係止機構とは交互に配置される、
電子機器。
【請求項2】
前記位置ずれ抑制機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとの端面に設けられている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記複数の位置ずれ抑制機構のそれぞれは、前記第1ケースおよび前記第2ケースの一方の端面に設けられたリブと、他方の端面に設けられ前記リブが挿入される穴部とを有する、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記位置ずれ抑制機構の前記リブは、前記筐体の前記短手方向に長手方向を有する細長形状である、
請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記複数の位置ずれ抑制機構と前記複数の係止機構とはそれぞれ、所定の間隔をあけて設けられている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記所定の間隔は、1.0cm以上3cm以下である、
請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1ケースと前記第2ケースとで形成される前記筐体の側壁は平坦である、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の表示装置は、フレームとケースとを、フレームに設けられた凹部にケースに設けられた凸部を嵌合することによって筐体が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-121929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示装置は、取り付け性を向上させることが困難であるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、取り付け性を向上した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子機器は、
第1ケースと第2ケースとを有する矩形状の筐体と、
前記筐体に収納される表示部と、
前記筐体の長手方向の両端にそれぞれ設けられる複数の位置ずれ抑制機構と、
前記筐体の短手方向の端部において、前記筐体の一部を形成するアンテナカバーと、
を備え、
前記第1ケースの端面と前記第2ケースの端面とが当接され、
前記位置ずれ抑制機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとの位置ずれを抑制する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、取り付け性を向上した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一態様に係る電子機器のクローズ状態を示す斜視図である。
図2図1の電子機器のオープン状態を示す斜視図である。
図3図1の電子機器のフロントケースの内側を示す図である。
図4図1の電子機器のリアケースの内側を示す図である。
図5図2の電子機器の表示装置におけるA-A断面図である。
図6図1の電子機器のフロントケースの一部を拡大した部分拡大図である。
図7図2の電子機器の表示装置におけるB-B断面図である。
図8図1の電子機器のアンテナカバーを外したときの概略斜視図である。
図9図8の一部を拡大した部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至った経緯)
ノートパソコン等の電子機器に搭載される表示装置は、例えば、表示部が配置されたフロントケースと、フロントケースを背面から覆うリアケースとにより筐体が構成されている。
【0010】
近年、表示装置の枠部分の幅を狭めることにより、コンピュータの審美性を向上させることが検討されている。フロントケースによりリアケースを外側から覆う構造の場合、フロントケースとリアケースとが枠部分で重なり合うため、枠部分の幅を狭めることが困難であるという課題がある。
【0011】
そこで、フロントケースとリアケースとの端面同士を突き合わせることにより、枠部分の幅を狭くする方法が検討されている。この場合、表示装置の側壁が平坦に形成され、表示装置の枠部分の幅を小さく見せることができる。
【0012】
フロントケースとリアケースとの端面同士を突き合せる場合、フロントケースをリアケースが背面から覆う場合と比較して、フロントケースとリアケースとの位置ずれが発生しやすいという課題がある。
【0013】
また、表示装置は、修理等により分解することがある。例えば、フロントケースによりリアケースを外側から覆う構造とすると、フロントケースを外側に変形させることにより容易に分解することが可能となる。
【0014】
しかし、側壁が平坦であると、フロントケースによりリアケースを外側から覆う構造と比較して、フロントケースまたはリアケースを容易に変形させることができず、分解が困難になるという問題がある。
【0015】
そこで、本発明者らは、これらの課題を解決するための電子機器を検討し、以下の構成を考案した。
【0016】
本開示の一態様にかかる電子機器は、
第1ケースと第2ケースとを有する矩形状の筐体と、
前記筐体に収納される表示部と、
前記筐体の長手方向の両端にそれぞれ設けられる複数の位置ずれ抑制機構と、
前記筐体の短手方向の端部において、前記筐体の一部を形成するアンテナカバーと、
を備え、
前記第1ケースの端面と前記第2ケースの端面とが当接され、
前記位置ずれ抑制機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとの位置ずれを抑制する。
【0017】
この構成によると、取り付け性を向上した電子機器を提供することができる。
【0018】
前記位置ずれ抑制機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとの端面に設けられていてもよい。
【0019】
この構成によると、第1ケースの端面と第2ケースの端面とを当接するため、筐体内にスペースを確保することができ、ケーブル等の配線が可能になる。
【0020】
さらに
前記筐体の長手方向の両端にそれぞれ設けられ、前記第1ケースと前記第2ケースとをそれぞれ接続する複数の係止機構、
を備えていてもよい。
【0021】
この構成によると、第1ケースと第2ケースとが意図せず外れてしまうことを防止することができる。
【0022】
前記複数の位置ずれ抑制機構のそれぞれは、前記第1ケースおよび前記第2ケースの一方の端面に設けられたリブと、他方の端面に設けられ前記リブが挿入される穴部とを有していてもよい。
【0023】
この構成によると、第1ケースと第2ケースとの位置ずれを抑制することができる。
【0024】
前記位置ずれ抑制機構の前記リブは、前記筐体の前記短手方向に長手方向を有する細長形状であってもよい。
【0025】
この構成によると、第1ケースと第2ケースとの位置ずれを抑制することができる。
【0026】
前記複数の位置ずれ抑制機構は、前記複数の係止機構に間隔を有し隣り合って設けられていてもよい。
【0027】
この構成によると、電子機器の分解性を確保しつつ、係止機構が意図せず外れてしまうことを防止することができる。
【0028】
前記複数の位置ずれ抑制機構と前記複数の係止機構とはそれぞれ、所定の間隔をあけて設けられていてもよい。
【0029】
この構成によると、電子機器の分解性を確保しつつ、係止機構が意図せず外れてしまうことを防止することができる。
【0030】
前記所定の間隔は、1.0cm以上3cm以下であってもよい。
【0031】
この構成によると、電子機器の分解性を確保しつつ、係止機構が意図せず外れてしまうことを防止することができる。
【0032】
前記第1ケースと前記第2ケースとで形成される前記筐体の側壁は平坦であってもよい。
【0033】
この構成によると、筐体の枠部分の幅を小さくすることができる。
【0034】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、本開示の一態様に係る電子機器10のクローズ状態を示す斜視図である。図2は、図1の電子機器10のオープン状態を示す斜視図である。なお、図に示すX-Z-Y座標系は、実施の形態の理解を容易にするためのものであって、実施の形態を限定するものではない。X-Y-Z座標系において、X軸方向は電子機器の幅方向であり、Y方向は電子機器の厚さ方向であり、Z方向は電子機器の奥行き方向である。
【0035】
図1および図2に示すように、電子機器10は、いわゆるラップトップ型パーソナルコンピュータである。電子機器10は、本体12と、本体12に対して回動可能に取り付けられた表示装置14とを有する。電子機器10の本体12は、幅方向(X軸方向)および奥行き方向(Z軸方向)のサイズに比べて、厚さ方向(Y軸方向)のサイズが小さい、プレート状である。本体12には、CPU、バッテリ、ハードディスクドライブ(HDD)またはソリッドステートドライブ(SSD)、各種の入出力端子、およびその他の部品等を備える。また、本体12の上面12aにはキーボード16aおよびタッチパッド16bが設けられている。
【0036】
本体12と表示装置14とは、ヒンジ18により相対的に360°回動可能に支持されている。これにより、電子機器10は、例えば、クローズ状態、オープン状態、およびタブレット状態にすることができる。なお、図1に示すように本体12と表示装置14とが閉じられた状態がクローズ状態である。また、図2に示すように表示装置14が開けられてキーボード16aまたはタッチパッド16bが使用可能な状態がオープン状態である。さらに、本体12の上面12aと表示装置14の第1主面14aとの角度が360°に開かれた状態がタブレット状態であり、タブレット型端末として使用することもできる。
【0037】
表示装置14は、筐体20を有し、筐体20の内部に表示部28が格納されている。表示部28は、筐体20の孔22aから露出され、ユーザにより表示内容を視認できるようになっている。筐体20は、後述するフロントケース22、リアケース24、およびアンテナカバー26により構成されている。なお、フロントケースが本開示の「第1ケース」に相当し、リアケースが本開示の「第2ケース」に相当する。
【0038】
表示装置14には、上述した構成要素のほか、例えば表示部28を駆動する回路等の他の構成要素を備えるが、これらの他の構成要素の説明および図示は省略する。表示部28、フロントケース22、リアケース24、およびアンテナカバー26を含む筐体20について、以下に説明する。
【0039】
<表示部>
表示部28は、例えば液晶パネルまたは有機ELパネル等の映像を投射するパネルであり、フロントケース22に固定されている。フロントケース22には、後述する図3に示すように、表示部28を露出するための孔22aが設けられており、表示部28が外部に露出されて表示内容を確認することができる。
【0040】
<筐体>
筐体20は、矩形状であり、後述する図5および図7に示すように、凹状のフロントケース22の端面と凹状のリアケース24の端面とが当接されて形成されている。また、アンテナカバー26も筐体20の一部を形成している。アンテナカバー26は、表示装置14の端部E1に取り付けられている。フロントケース22、リアケース24、およびアンテナカバー26は、着脱可能に取り付けられているため、筐体20を分解することができる。本実施の形態では、筐体20に表示部28が収納され、表示装置14を構成している。
【0041】
フロントケース22とリアケース24とは、後述するフロントケース22に設けられた複数の凸部31、32とリアケース24に設けられた複数の溝部33、34とがそれぞれ嵌合することにより固定される。また、後述するリアケース24に設けられた複数のリブ44がフロントケース22に設けられた複数の穴部42それぞれに挿入されることにより、フロントケース22とリアケース24とのX軸方向の位置ずれを抑制している。
【0042】
<フロントケース>
図3は、図1の電子機器10のフロントケース22の内側を示す図である。
【0043】
フロントケース22には、図3に示すように、複数の凸部31、32および複数の穴部42が設けられている。
【0044】
本実施の形態では、複数の凸部31、32は、筐体20(フロントケース22)の長手方向の両端のそれぞれに設けられている。すなわち、複数の凸部31、32は、筐体20の短辺のそれぞれに沿って設けられている。複数の凸部31はそれぞれ、フロントケース22からリアケース24の方向に向かって突出して形成され、基部31aと延伸部31bとを有する鉤爪形状である。複数の凸部32も同様の形状を有する。
【0045】
なお、複数の凸部は、筐体20のアンテナカバー26が配置される短手方向(Y方向)の端部E1からそれぞれ所定の距離d1をあけて設けられている2つの凸部31と、2つの凸部31それぞれに対してアンテナカバー26と反対側に設けられている4つの凸部32とを有する。凸部31、32の数はこれに限定されず、筐体20の短辺のそれぞれに1つ以上設けられていればよい。
【0046】
所定の距離d1は、例えば、3.5cm以上7.5cm以下であるとよい。より好ましくは、4.5cm以上6.0cm以下であるとよい。
【0047】
さらに、複数の穴部42が、筐体20の長手方向の両端のそれぞれに設けられている。複数の穴部42は、本実施の形態では、フロントケース22に設けられた矩形状の貫通孔である。穴部42の形状はこれに限定されず、後述するリアケース24に設けられたリブ44が挿入できる形状であればよい。本実施の形態では、筐体20の長手方向の両端のそれぞれに3つずつの穴部42が設けられている。
【0048】
複数の穴部42はそれぞれ、凸部31または凸部32と間隔を有し隣り合って設けられる。また、複数の凸部31、32と複数の穴部42とはそれぞれ、所定の間隔d2をあけて設けられる。所定の間隔d2は、例えば、1.0cm以上3.0cm以下であるとよい。より好ましくは、1.5cm以上2.5cm以下であるとよい。
【0049】
フロントケースは、例えば合成樹脂等により構成される。
【0050】
<リアケース>
図4は、図1の電子機器10のリアケース24の内側を示す図である。
【0051】
リアケース24は、表示装置14の第2主面14bを覆うように配置され、フロントケース22と着脱可能に接続されている。リアケース24には、図4に示すように、複数の溝部33、34および複数のリブ44が設けられている。
【0052】
本実施の形態では、複数の溝部33、34は、筐体20(リアケース24)の長手方向の両端にそれぞれに設けられている。すなわち、複数の溝部33、34は、筐体20の短辺のそれぞれに沿って設けられている。なお、複数の溝部は、筐体20のアンテナカバー26が配置される短手方向の端部E1からそれぞれ所定の距離d1をあけて設けられている2つの溝部33を有する。また、2つの溝部33それぞれに対してアンテナカバー26と反対側に設けられている4つの溝部34を有する。溝部33、34の数はこれに限定されず、筐体20の短辺のそれぞれに1つ以上設けられていればよい。
【0053】
上述のように、凸部31と溝部33とが設けられることにより、2つの凸部31と2つの溝部33とはそれぞれ、フロントケース22とリアケース24とが接続されたときに、凸部31が溝部33に嵌合するように構成される。同様に、複数の凸部32が複数の溝部34に嵌合される。このようにして、フロントケース22とリアケース24とを接続することができる。
【0054】
さらに、複数のリブ44が、筐体20の長手方向の両端のそれぞれに設けられている。複数のリブ44は、リアケース24からフロントケース22に向かって突出して形成されている。リブ44は、筐体20の短手方向に長手方向を有する細長形状に形成されている。本実施の形態では、筐体20の長手方向の両端のそれぞれに3つずつのリブ44が設けられている。複数のリブ44はそれぞれ、溝部33または溝部34と間隔を有し隣り合って設けられる。また、複数の溝部33、34と複数のリブ44とはそれぞれ、所定の間隔d2をあけて設けられる。
【0055】
リアケース24は、例えばマグネシウム合金等の金属材料により構成される。
【0056】
フロントケース22とリアケース24とで形成される筐体20の側壁14cは平坦である(後述の図5および図7参照)。側壁14cを平坦にすることで、表示装置14の枠部分の幅を小さく見せることができる。
【0057】
<アンテナカバー>
アンテナカバー26は、図1に示すように、表示装置14の第2主面14bの短手方向の端部E1に取り付けられている。本実施の形態では、表示装置14の短手方向の端部E1にアンテナ基板27(図8参照)が配置されており、アンテナカバー26は、アンテナ基板27を覆いアンテナ基板27が外部に露出しないようにするものである。なお、表示装置14の短手方向の端部とは、本実施の形態では、表示装置14においてヒンジ18と反対側の端部をいう。
【0058】
アンテナカバーは、合成樹脂等により構成される。
【0059】
[係止機構の構成]
図5は、図2の電子機器10の表示装置14におけるA-A断面図であり、凸部31と溝部33とが嵌合した状態を示す図である。図6は、図1の電子機器10のフロントケース22の一部を拡大した部分拡大図である。
【0060】
本実施の形態では、電子機器10は、第1係止機構および第2係止機構を有する。第1係止機構は、第1ケース(フロントケース22)および第2ケース(リアケース24)の一方に設けられた凸部31と、他方に設けられ凸部31が嵌合する溝部33を有する。第2係止機構は、筐体20の長手方向の両端それぞれの、第1係止機構とアンテナカバー26と反対側の筐体20の端部との間に設けられている。第1係止機構および第2係止機構は、フロントケース22とリアケース24とが、表示装置14の厚み方向にずれるのを抑制している。
【0061】
第1係止機構と第2係止機構とは、筐体20の短手方向において、等間隔に設けられている。なお、本実施の形態では、第1ケースおよび第2ケースの一方とは、フロントケース22であり、他方とはリアケース24である。
【0062】
図5に示すように、複数の凸部31はそれぞれ、鉤爪形状に形成されている。すなわち、複数の凸部32はそれぞれ、フロントケース22からリアケース24に向かって延びる基部31aと、基部31aの先端から筐体20の側壁14cに向かって延びる延伸部31bとを有する。複数の凸部31それぞれにおいて、延伸部31bが、筐体20の側壁(表示装置14の側壁14c)の内側に形成された溝部33に嵌合するように形成されている。なお、本実施の形態では、複数の凸部32も同様の形状を有しているが、複数の凸部32は異なる形状であってもよい。
【0063】
複数の凸部31、32が鉤爪形状に形成されているため、複数の溝部33、34との嵌合により、フロントケース22とリアケース24とが固定される。これにより、フロントケース22とリアケース24とが、表示装置14の厚み方向(図5のZ軸方向)に対してずれることを防止することができる。
【0064】
また、図6に示すように、複数の凸部31は、延伸部31bの一方側の面に傾斜部31cを有する。すなわち、複数の凸部31はそれぞれ、延伸部31bの複数の凸部31はそれぞれ、延伸部31bのフロントケース22側の面、傾斜部31cが設けられている。傾斜部31cは、凸部31の延伸部31bが溝部33に接触する部分であり、この部分に傾斜部31cを設けることにより、フロントケース22とリアケース24との着脱が容易になる。なお、本実施の形態では、複数の凸部32にも同様に傾斜部が設けられている(図示省略)が、複数の凸部32には、必ずしも傾斜部が設けられていなくてもよい。
【0065】
[位置ずれ抑制機構の構成]
図7は、図2の電子機器10の表示装置14におけるB-B断面図であり、リブ44が穴部42に挿入された状態を示す図である。
【0066】
本実施の形態では、電子機器10は、位置ずれ抑制機構を有する。位置ずれ抑制機構は、第1ケース(フロントケース22)および第2ケース(リアケース24)の一方の端面に設けられたリブ44と、他方の端面に設けられたリブ44が挿入される穴部42とを有する。位置ずれ抑制機構は、フロントケース22とリアケース24とが、表示装置14の幅方向(X方向)にずれるのを抑制する。なお、本実施の形態では、第1ケースおよび第2ケースの一方とは、フロントケース22であり、他方とはリアケース24である。
【0067】
図7に示すように、リアケース24の端面24aに設けられたリブ44が、フロントケース22の端面22bに設けられた穴部42に挿入されている。リブ44は、リアケース24の端面24aが表示装置14の厚み方向(図7のZ軸方向)に延伸して形成されている。穴部42は、フロントケース22の端面22bに形成された穴である。本実施の形態では、穴部42は貫通孔であるが、リブ44が挿入できるものであれば、例えば凹部または溝等であっても構わない。
【0068】
複数のリブ44は、筐体20の短手方向に長手方向を有する細長形状である。このように複数のリブ44が形成されることにより、フロントケース22とリアケース24との幅方向(図7のX軸方向)に対する位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0069】
上述した複数の凸部31、32が溝部33、34にそれぞれ嵌合すること、および複数のリブ44が複数の穴部42にそれぞれ挿入されることによって、フロントケース22とリアケース24とが固定され、筐体20を形成する。
【0070】
上述した係止機構および位置ずれ抑制機構は、どちらもフロントケース22の端面22bとリアケース24の端面24aとに形成されているため、図5および図7に示すように、表示装置14の側壁14cを、段差のない平坦な面とすることができる。側壁14cを平坦な面にすることで、表示装置14の枠部分の幅を小さくすることができる。
【0071】
[筐体の組み立て]
筐体20の組み立ては、まず、フロントケース22の凸部31とリアケース24の溝部33との位置、およびフロントケース22の凸部32とリアケース24の溝部34との位置を合わせる。凸部31、32がそれぞれ溝部33、34に挿入されるようにフロントケース22にリアケース24を嵌め込む。その後、アンテナカバー26を同様にフロントケース22に嵌め込むことにより、筐体20を組み立てることができる。
【0072】
[筐体の分解]
図8は、図1の電子機器10のアンテナカバー26を外したときの概略斜視図である。図9は、図8の一部を拡大した部分拡大図である。
【0073】
筐体20を分解する場合は、まず、アンテナカバー26を筐体20から取り外す。アンテナカバーを取り外すと、図8に示すように、表示装置14の短手方向の端部E1に配置されたアンテナ基板27が露出される。また、図9に示すように、アンテナカバー26を取り外すと、フロントケース22の端面22bの一部も露出される。
【0074】
アンテナカバー26を取り外すと、露出したフロントケース22の端面22bに触れることができる。この端面22bを切っ掛けとして、フロントケース22を撓ませることにより、筐体20の長手方向の両端のそれぞれに設けられた凸部31と溝部33との嵌合を外すことができる。凸部31と溝部33との嵌合が外れると、その他の凸部32と溝部34との嵌合は、フロントケース22を撓ませることにより容易に外すことができる。
【0075】
筐体20を分解する際、図3および図4に示す、所定の距離d1が3.5cmよりも小さいと、フロントケース22を十分に撓ませることができずに凸部31と溝部33との嵌合を外すことが困難である。一方、所定の距離d1が7.5cmよりも大きいと、電子機器10の使用中にフロントケース22またはリアケース24の撓みが発生し、フロントケース22とリアケース24とが意図せず外れてしまう可能性がある。したがって、所定の距離d1は、3.5cm以上7.5cm以下であるとよい。より好ましくは、4.5cm以上6.0cm以下であるとよい。この場合、分解性を確保しつつ、製品を使用中に筐体20が開いてしまうことを防ぐことができる。
【0076】
[効果]
本開示の電子機器10によると、フロントケース22の端面22bとリアケース24の端面24aとを当接して、表示装置14の筐体20を形成しているため、表示装置14の側壁14cが平坦に形成される。このため、表示装置14の枠部分の幅を小さくすることができる。このとき、第1係止機構および第2係止機構とが、表示装置14の厚み方向のずれを抑制することができる。また、位置ずれ抑制機構が表示装置14の幅方向のずれを抑制することができる。したがって、フロントケース22とリアケース24とを、位置ずれが発生しないように固定することができる。
【0077】
また、アンテナカバー26を取り外すことで、フロントケース22の端面22bを露出させ分解する際の切っ掛けとすることができるため、容易に分解することが可能である。このため、筐体20のフロントケース22とリアケース24との取り付け性を向上させることができる。
【0078】
フロントケース22とリアケース24と、第1係止機構および第2係止機構により固定されている。すなわち、フロントケース22とリアケース24とは、フロントケース22に設けられた複数の凸部31、32と、リアケース24に設けられた複数の溝部33、34とがそれぞれ嵌合することにより固定されている。このとき、筐体20の端部E1と凸部31との間に所定の距離d1をあけることにより、フロントケース22とリアケース24とを容易に外せる構造となっている。
【0079】
凸部31は、基部31aと延伸部31bとを有し、延伸部31bには傾斜部31cが形成されている。傾斜部31cが形成されていることにより、フロントケース22とリアケース24とを取り外す際に、凸部31と溝部33との嵌合を容易に外すことができる。
【0080】
また、フロントケース22とリアケース24とは、位置ずれ抑制機構が設けられている。すなわち、電子機器10は、フロントケース22に設けられた複数の穴部42とリアケース24に設けられた複数のリブ44とを有する。複数のリブ44がそれぞれ複数の穴部42に挿入されることにより、フロントケース22とリアケース24との位置ずれを抑制することができる。また、リアケース24の端面24aにリブ44を設けることにより、筐体20の内部においてリブ44が占めるスペースを小さくすることができ、ケーブル配線等のためのスペースを確保することができる。
【0081】
上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。
【0082】
例えば、上述した実施の形態では、フロントケース22に複数の凸部31、32が形成され、リアケース24に複数の溝部33、34が形成されているが、リアケース24に複数の凸部が形成され、フロントケース22に複数の溝部が形成されていてもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態では、リアケース24に複数のリブ44が形成され、フロントケース22に複数の穴部42が形成されているが、フロントケース22に複数のリブが形成され、リアケース24に複数の穴部が形成されていてもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態では、第1係止機構および第2係止機構と位置ずれ抑制機構の両方が配置されている例を説明したが、第1係止機構および第2係止機構は必須の構成ではない。
【0085】
また、上述した実施の形態では、電子機器10はラップトップ型パーソナルコンピュータであるが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。例えば、電子機器10は、タッチスクリーンディスプレイを備えるタブレット型端末またはスマートフォン等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、表示装置を備える電子機器に幅広く適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 電子機器
12 本体
12a 上面
14 表示装置
14a 第1主面
14b 第2主面
14c 側壁
20 筐体
22 フロントケース(第1ケース)
22a 孔
22b 端面
24 リアケース(第2ケース)
24a 端面
26 アンテナカバー
28 表示部
31 凸部
31a 基部
31b 延伸部
31c 傾斜部
32 凸部
33 溝部
34 溝部
42 穴部
44 リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9