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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】カメラおよび吸盤装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20231201BHJP
   F16B 47/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G03B17/56 A
F16B47/00 M
F16B47/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020088108
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021182107
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】弘中 順平
(72)【発明者】
【氏名】木原 隆嗣
(72)【発明者】
【氏名】野見山 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】竹重 亮汰
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3105066(JP,U)
【文献】特開2010-276182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02-17/58
G03B 15/00-15/035
G03B 15/06-15/16
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
F16M 1/00-13/08
F16B 45/00-47/00
H04N 7/18
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材に吸着固定され、前記透明部材越しに撮影するカメラであって、
開口を有する平面部と、
前記平面部の吸着面側の反対側において、前記開口に負圧を形成するための可動部と、
前記平面部の表面に貼付され、前記平面部の開口に連通し、前記平面部の開口よりも小さい穴が形成され、前記透明部材に当接される板状の補助部材と、
前記平面部の開口に負圧を形成することにより、前記補助部材を前記透明部材に吸着させる吸着部と、
を備え、
前記補助部材は、前記平面部の部材より柔らかい、
カメラ。
【請求項2】
前記補助部材は、硬度5以上20以下のシリコンによって形成される、
請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記平面部は、硬度50以上70以下のシリコンによって形成される、
請求項1又は2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記吸着部は、
前記平面部の法線方向に可動する前記可動部と、
前記可動部の縁から前記平面部に向かって伸び、前記可動部と前記平面部とを連結する連結部と、
を有する請求項1からのいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項5】
前記連結部の厚さは、0.5mm以上1mm以下である、
請求項に記載のカメラ。
【請求項6】
前記連結部は、折れ曲がった形状を有する、
請求項に記載のカメラ。
【請求項7】
前記補助部材の前記透明部材に当接される面とは反対側の面には、前記平面部の開口に連通する穴が形成され、前記補助部材より硬いシートが貼付される、
請求項1からのいずれか一項に記載のカメラ。
【請求項8】
平面部材に吸着固定される吸盤装置であって、
開口を有する平面部と、
前記平面部の吸着面側の反対側において、前記開口に負圧を形成するための可動部と、
前記平面部の表面に貼付され、前記平面部の開口に連通し、前記平面部の開口よりも小さい穴が形成され、前記平面部材に当接される板状の補助部材と、
前記平面部の開口に負圧を形成することにより、前記補助部材を前記平面部材に吸着させる吸着部と、
を備え、
前記補助部材は、前記平面部の部材より柔らかい、
吸盤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラおよび吸盤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、窓ガラス等の平面な透明部材に固定されるカメラユニットが開示されている。このカメラユニットは、交通流計測システムに用いられる。カメラユニットは、撮像部と、透明部材にカメラユニットを固着させるための固着部である吸盤と、撮像された撮像画像に透明部材からの反射光が映り込まないようにするための映り込み防止手段とを備え、道路の周辺の透明部材により仕切られた窓部を有する建築物の屋内に設置され、透明部材を介して、道路を撮影する。
【0003】
特許文献2には、フックに物を掛けたとき、テコの原理で吸着力が増す構造にした吸盤付きフックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-25967号公報
【文献】実願平8-7359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸盤の吸着力は、時間の経過とともに低下する。カメラの吸盤の吸着力が低下すると、例えば、カメラの透明部材への設置位置がずれたり、カメラが透明部材から落下したりするおそれがある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、透明部材に対する吸着力の低下を抑制したカメラおよび吸盤装置の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係るカメラは、透明部材に吸着固定され、前記透明部材越しに撮影するカメラであって、開口を有する平面部と、前記平面部の表面に貼付され、前記平面部の開口に連通する穴が形成され、前記透明部材に当接される板状の補助部材と、前記平面部の開口に負圧を形成することにより、前記補助部材を前記透明部材に吸着させる吸着部と、を備え、前記補助部材は、前記平面部の部材より柔らかい。
【0008】
本開示の一実施例に係る吸盤装置は、平面部材に吸着固定される吸盤装置であって、開口を有する平面部と、前記平面部の表面に貼付され、前記平面部の開口に連通する穴が形成され、前記平面部材に当接される板状の補助部材と、前記平面部の開口に負圧を形成することにより、前記補助部材を前記平面部材に吸着させる吸着部と、を備え、前記補助部材は、前記平面部の部材より柔らかい、吸盤装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、透明部材に対する吸着力の低下を抑制できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係るカメラの正面側斜視図
図2】カメラの背面側斜視図
図3】カバーを外したカメラの背面側斜視図
図4】カバーを外したカメラの背面側斜視図
図5】吸盤補助部材を外したカメラの正面側斜視図
図6】カメラの正面図
図7図6のカメラのAA矢視断面図
図8図6のカメラのBB矢視断面の一部を示した図
図9】負圧を説明する図
図10】負圧を説明する図
図11】連結部の他の例を説明する図
図12図6のカメラのAA矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
図1は、本開示の実施の形態に係るカメラ1の正面側斜視図である。図2は、カメラ1の背面側斜視図である。図1および図2において、同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0015】
図2に示すように、カメラ1は、カバー2と、筐体3と、を有する。カバー2は、カメラ1の背面側を覆う形状を有し、正面側が開口している。筐体3は、図1および図2に示すように、長方形状の枠状の形状を有する。
【0016】
カバー2の開口は、筐体3の外形(輪郭)に沿った形状を有する。例えば、カバー2の開口は、長方形状を有する。カバー2は、カバー2の開口部分において、筐体3に着脱される。別言すれば、カバー2は、筐体3から取り外せる。例えば、図3および図4には、筐体3からカバー2を取り外した状態が示してある。
【0017】
図1に示すように、カメラ1は、撮像部4と、吸盤補助部材5と、リップ6と、を有する。撮像部4および吸盤補助部材5は、カバー2および筐体3内に収容される。リップ6は、筐体3の正面側であって、筐体3の全周にわたって設けられる。
【0018】
撮像部4は、例えば、長方形状の筐体3の2つの対角線の交点上に配置される。別言すれば、撮像部4は、筐体3を正面から見て、筐体3の中心部に配置される。筐体3は、例えば、撮像部4の撮像領域と同一のアスペクト比で形成されてもよい。
【0019】
カメラ1は、カメラ1の正面側において、例えば、窓ガラス等の透明部材に吸着固定される。別言すれば、カメラ1は、吸盤補助部材5およびリップ6が透明部材に接触させられ、透明部材に吸着固定される。なお、撮像部4の右側におけるカメラ1の面S1は、筐体3の正面側の縁より下がった位置に配置され、透明部材に接触しない。
【0020】
撮像部4の撮影方向は、カメラ1の正面方向を向く。従って、透明部材に吸着固定されたカメラ1は、透明部材越しに撮影する。カメラ1は、例えば、監視カメラとして用いられてもよい。
【0021】
吸盤補助部材5は、長方形状を有した板状の部材であって、両面が平状となっている。吸盤補助部材5は、柔らかく、例えば、硬度5以上30以下のシリコンによって形成される。好ましくは、吸盤補助部材5は、硬度5以上20以下のシリコンによって形成される。
【0022】
吸盤補助部材5は、撮像部4と重ならないように配置される。例えば、吸盤補助部材5は、カメラ1の正面側から見て、撮像部4の左側に配置される。吸盤補助部材5は、中心部に円形状の穴5aを有する。
【0023】
リップ6は、カメラ1の正面側に向かって突出するよう筐体3に設けられる。リップ6は、例えば、ゴム等の弾性部材であって、光を通さない部材によって形成される。リップ6は、カメラ1が透明部材に吸着固定されたとき、筐体3と透明部材との間から、例えば、屋内光が入射するのを抑制する。
【0024】
なお、図2には、カメラ1に着脱される配線7が示してある。カメラ1は、例えば、配線7を介して、電源が供給される。カメラ1は、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信を介して、撮像部4の映像信号を他の装置に送信してもよいし、配線7を介して、撮像部4の映像信号を他の装置に送信してもよい。
【0025】
また、カバー2の開口および筐体3の形状を長方形状としたが、これに限られない。カバー2の開口および筐体3の形状は、正方形状であってもよいし、円形状、または、楕円形状であってもよい。
【0026】
図3は、カバー2を外したカメラ1の背面側斜視図である。図3において、図1および図2と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0027】
図3に示すように、カメラ1は、吸盤ベース11を有する。後述するが、カメラ1は、吸盤ベース11が形成する負圧によって、透明部材に吸着固定される。
【0028】
吸盤ベース11は、レバー12を有する。吸盤ベース11は、レバー12の回転によって負圧を形成する。
【0029】
例えば、レバー12が下げられた状態(例えば、図4に示すレバー12の状態)において、カメラ1の正面を透明部材に接触させる。より具体的には、レバー12が下げられた状態において、図1に示した吸盤補助部材5を透明部材に当接(密着)させる。吸盤補助部材5を透明部材に密着させた状態において、レバー12を上方に回転させ、図3に示す状態にすると、吸盤ベース11は、負圧を形成し、カメラ1を透明部材に吸着固定する。
【0030】
図3に示すように、カメラ1は、表示装置13を有する。表示装置13は、撮像部4が撮影した映像を表示する。カメラ1のユーザは、例えば、表示装置13の映像を確認しながら、カメラ1を透明部材に吸着固定する。
【0031】
図4は、カバー2を外したカメラ1の背面側斜視図である。図4において、図3と同じ構成要素には同じ符号が付してある。図4には、レバー12が下げられた状態のカメラ1が示してある。
【0032】
吸盤ベース11は、レバー12が下げられると、負圧を解除する。これにより、透明部材に吸着固定されたカメラ1は、透明部材から取り外される。
【0033】
図5は、吸盤補助部材5を外したカメラ1の正面側斜視図である。図5において、図1図4と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0034】
図5に示すように、吸盤ベース11は、四角形状の平面部21と、円形状の吸着部22と、を有する。吸盤ベース11(平面部21および吸着部22)は、図1に示した吸盤補助部材5より硬く、例えば、硬度40以上70以下のシリコンによって形成される。
【0035】
吸盤ベース11は、撮像部4と重ならないように配置される。例えば、吸盤ベース11は、カメラ1の正面側から見て、撮像部4の左側に配置される。
【0036】
平面部21は、板状の部材によって形成され、正面側が平状になっている。平面部21は、カメラ1の正面側の中心部分に円形状の開口A1を有する。
【0037】
図1に示した吸盤補助部材5は、平面部21の正面側表面に貼付される。吸盤補助部材5の穴5aは、吸盤補助部材5が平面部21に貼付されたとき、平面部21の開口A1上に位置するように形成される。別言すれば、吸盤補助部材5の穴5aは、吸盤補助部材5が平面部21に貼付されたとき、平面部21の開口A1に重なり、開口A1に連通する。
【0038】
吸着部22は、平面部21の開口A1部分に形成される。吸着部22は、図5に示すように、可動部23と、連結部24と、を有する。
【0039】
可動部23は、例えば、円形状の板状の部材によって形成される。可動部23の径は、平面部21の開口A1の径より小さい。
【0040】
連結部24は、可動部23の周囲(縁)に、同心円状に形成され、可動部23と平面部21とを連結する。従って、平面部21の開口A1は、可動部23と連結部24とによって閉じられている。すなわち、平面部21の開口A1は、カメラ1の背面側に貫通していない。なお、連結部24は、スカート部と称されてもよい。
【0041】
可動部23は、図3および図4に示したレバー12に連動して、平面部21の法線方向に可動する。例えば、レバー12を、図4の状態から図3の状態に動かしたとき、可動部23は、カメラ1の背面側に移動する。レバー12を、図3の状態から図4の状態に動かしたとき、可動部23は、カメラ1の正面側に移動する。
【0042】
上記したように、平面部21の開口A1は、可動部23と連結部24とによって閉じられている。カメラ1の正面を透明部材に密着させた状態で、図3および図4に示したレバー12を、図4の状態から図3の状態に動かすと、可動部23がカメラ1の背面側に移動し、平面部21の開口A1部分に負圧が形成される。負圧は、図1に示した吸盤補助部材5の穴5aを介し、透明部材に達する。これにより、吸盤補助部材5は、透明部材に吸着固定され、カメラ1は、透明部材に吸着固定される。
【0043】
図6は、カメラ1の正面図である。図6において、図1と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0044】
図6に示すように、吸盤補助部材5は、図5に示した吸盤ベース11の平面部21の正面側表面に貼付される。図5で説明したように、吸盤補助部材5の穴5aは、平面部21の開口A1に重なる。吸盤補助部材5の穴5aの中心を通る中心軸と、平面部21の開口A1の中心を通る中心軸とは、一致してもよい。吸盤補助部材5の穴5a径は、図5で説明した平面部21の開口A1の径より小さい。
【0045】
図7は、図6のカメラ1のAA矢視断面図である。図8は、図6のカメラ1のBB矢視断面の一部を示した図である。図7および図8において、図1図6と同じ構成要素には同じ符号が付してある。なお、図7および図8では、吸盤補助部材5の穴5aの符号、および、平面部21の開口A1の符号の図示を省略している。
【0046】
図7および図8に示すカメラ1は、吸着部22の可動部23がカメラ1の背面側に移動しているときの状態を示している。別言すれば、図7および図8に示すカメラ1は、吸着部22が負圧を形成するときの状態を示している。
【0047】
図7および図8に示すように、吸盤ベース11は、ばね31を有する。ばね31は、一端が可動部23に連結され、他端が筐体3に連結される。ばね31は、可動部23の動きに伴って伸縮する。
【0048】
吸盤補助部材5は、吸盤ベース11の平面部21の上面に貼付される。従って、吸盤補助部材5が透明部材に密着されたとき、吸盤ベース11の平面部21は、吸盤補助部材5を介して(吸盤補助部材5を挟んで)、透明部材に接する。
【0049】
円形状の可動部23の周囲には、同心円状の連結部24が形成され、同心円状の連結部24は、可動部23と平面部21とを連結する。これによって、図7および図8に示すように、平面部21の開口A1は、カメラ1の背面側に貫通していない。
【0050】
吸盤補助部材5の穴5aの径は、平面部21の開口A1の径より小さい。例えば、図7および図8に示す吸盤補助部材5の穴5aの径D1は、図7および図8に示す平面部21の開口A1の径D2より小さい。すなわち、吸盤補助部材5は、平面部21の開口A1の中心に向かって延出され、これにより、吸盤ベース11が透明部材に接触する面積は、吸盤補助部材5が無い場合に比べ、大きくなる。
【0051】
筐体3の外形に沿って設けられるリップ6は、図7および図8に示すように、カメラ1の正面側に突出するよう形成される。リップ6は、ゴム等の弾性部材によって形成される。弾性部材によって形成されたリップ6は、カメラ1が透明部材に取り付けられたとき、押しつぶされ、吸盤補助部材5が透明部材に接触する。
【0052】
図9および図10は、負圧を説明する図である。図9および図10には、図8に示したカメラ1の吸着部22付近が示してある。図9および図10において、図8と同じ構成要素には同じ符号が付してある。なお、図9には、吸盤ベース11の吸着部22が負圧を解除したときの状態が示してある。図10には、吸盤ベース11の吸着部22が負圧を形成したときの状態が示してある。
【0053】
カメラ1を透明部材に吸着固定する場合、例えば、カメラ1のユーザは、図3および図4に示したレバー12を下方に回転し(レバー12を図4に示す状態にし)、吸着部22の可動部23を、図9に示す状態にする。可動部23は、レバー12の下方への回転に応じて、図9に示すように、正面側の面S11が、平面部21の面S12と面一となる。カメラ1のユーザは、図9に示す状態において、カメラ1の吸盤補助部材5を透明部材に密着させる。
【0054】
カメラ1のユーザは、カメラ1の吸盤補助部材5を透明部材に密着させた状態において、図3および図4に示したレバー12を上方に回転する(レバー12を図3に示す状態にする)。可動部23は、レバー12の上方への回転に応じて、図10に示すように、正面側の面S11が、平面部21の面S12より下がる。別言すれば、可動部23は、レバー12の上方への回転に応じて、正面側の面S11が、カメラ1の背面側に移動する。
【0055】
これにより、透明部材と可動部23との間には、図10に示すように、空間が形成され、透明部材と可動部23との間に負圧が形成される。
【0056】
なお、ばね31は、図3および図4に示したレバー12が上方に回転されると(図4に示す状態から図3に示す状態に回転されると)、図10に示すように縮む。ばね31は、常に伸びる方向に付勢力が働く。別言すれば、ばね31は、図9に示す状態になろうとする。
【0057】
吸盤ベース11の平面部21と吸盤補助部材5との2層構造と、透明部材との接触面積と、連結部24の厚さと、について説明する。
【0058】
・吸盤ベース11の平面部21と吸盤補助部材5との2層構造について
吸盤ベース11は、平面部21の上面に、平面部21の部材より柔らかい吸盤補助部材5が貼付される。平面部21の部材より柔らかい吸盤補助部材5は、透明部材の表面に凹凸があっても、透明部材に密着し、空気が流入するのを抑制する。これにより、吸盤ベース11は、吸着力の低下が抑制される。
【0059】
また、吸盤補助部材5より硬い平面部21は、透明部材に吸着固定されたカメラ1の自重による、面の湾曲等の変形を抑制し、吸盤補助部材5と透明部材との間の隙間の発生を抑制する。これにより、吸盤ベース11は、吸着力の低下が抑制される。
【0060】
なお、平面部21に吸盤補助部材5を貼付せず、平面部21にゲルを塗布することも考えられるが、ゲルは、一般的に太陽光等によって生じる熱によって吸着力が低下する。一方、シリコン等によって構成される吸盤補助部材5は、熱による吸着力の低下がゲルよりも低く、吸盤ベース11の吸着力の低下を抑制できる。
【0061】
・透明部材との接触面積について
吸盤補助部材5の穴5aは、平面部21の開口A1に重なる位置に配置される。また、吸盤補助部材5の穴5aの径は、平面部21の開口A1の径より小さい。従って、吸盤補助部材5が貼付された吸盤ベース11と透明部材との接触面積は、吸盤補助部材5が貼付されない場合の吸盤ベース11と透明部材との接触面積より大きくなる。
【0062】
例えば、図7の両矢印A11a,A11bおよび図8の両矢印A12a,A12bに示すように、吸盤補助部材5は、平面部21の開口A1の中心に向かって延出する。これにより、吸盤ベース11は、吸盤補助部材5が平面部21に貼付されない場合に比べ、透明部材との接触面積が増加する。
【0063】
透明部材との接触面積の増加により、吸盤ベース11は、吸着力の低下が抑制される。例えば、吸盤補助部材5の縁から流入する空気の経路は、図7の両矢印A11a,11bおよび図8の両矢印A12a,12bに示すように、吸盤補助部材5によって延出した分、長くなる。吸盤ベース11は、空気が流入する経路が長くなることによって、負圧が形成される部分に空気が流入しにくくなり、吸着力の低下が抑制される。
【0064】
また、例えば、図5に示すように、縦長の吸盤ベース11では、平面部21の水平方向における端から、開口A1までの距離は、垂直方向における端から、開口A1までの距離より小さい。例えば、図8の両矢印A31a,A31bに示す距離は、図7の両矢印A32a,A32bに示す距離より小さい。
【0065】
このように、吸盤ベース11は、縦長であって、平面部21の水平方向における端から、開口A1までの距離が小さくても、吸盤補助部材5によって、負圧を形成する部分までの距離(例えば、図8の両矢印A12a,A12bに示す距離)が延出され、空気の流入経路を長くできる。吸盤ベース11が横長の場合であっても同様である。
【0066】
・連結部24の厚さについて
連結部24は、可動部23の可動に応じて伸縮する厚さを有する。これにより、例えば、可動部23がカメラ1の背面側に移動したとき、平面部21の開口A1の縁が、連結部24によってカメラ1の背面側に引っ張られ、吸盤補助部材5が透明部材から浮くのを抑制できる。吸盤ベース11は、吸盤補助部材5が透明部材から浮くのが抑制されることにより、負圧が形成される部分に空気が流入しにくくなり、吸着力の低下が抑制される。
【0067】
また、連結部24が、可動部23の可動に応じて伸縮することにより、透明部材に密着した吸盤補助部材5が透明部材に対して移動するのが抑制され、吸盤補助部材5の表面にしわが発生するのを抑制できる。吸盤ベース11は、吸盤補助部材5の表面にしわが発生するのが抑制されることにより、負圧が形成される部分に空気が流入しにくくなり、吸着力の低下が抑制される。
【0068】
なお、連結部24を薄くしすぎると、可動部23が平面部21の法線方向以外の方向にも動き、位置が安定しなくなる。従って、連結部24は、可動部23が平面部21の法線方向以外の方向に動かないよう、所定値以上の厚さを有する。
【0069】
各部の大きさの一例について説明する。吸盤補助部材5の厚さは、例えば、1.0mm以上1.5mm以下であってもよい。吸盤補助部材5の穴5aの直径は、吸盤補助部材5の大きさにもよるが、例えば、3mm以上10mm以下であってもよく、例えば、5mmであってもよい。
【0070】
平面部21の開口A1の直径は、平面部21の大きさにもよるが、例えば、20mm以上40mm以下であってもよく、例えば、30mmであってもよい。可動部23の移動幅は、例えば、1.0mm以上2.0mm以下であってもよく、例えば、5mmであってもよい。連結部24の厚さは、例えば、0.5mm以上1mm以下であってもよい。
【0071】
以上説明したように、透明部材に吸着固定され、透明部材越しに撮影するカメラ1は、開口A1を有する平面部21と、平面部21の開口A1に負圧を形成する吸着部22と、を有する吸盤ベース11を有する。カメラ1は、平面部21の表面に貼付され、平面部21の開口A1に対応する部分に穴5aが形成された、透明部材に当接される板状の吸盤補助部材5を有する。吸盤補助部材5は、平面部21の部材より柔らかい。
【0072】
これにより、カメラ1は、透明部材に対する吸着力の低下を抑制できる。例えば、平面部21の部材より柔らかい吸盤補助部材5は、透明部材の表面に凹凸があっても、透明部材に密着し、空気が流入するのを抑制するので、カメラ1は、透明部材に対する吸着力の低下を抑制できる。また、吸盤補助部材5より硬い平面部21は、透明部材に吸着固定されたカメラ1の自重による、面の湾曲等の変形を抑制し、吸盤補助部材5と透明部材との間の隙間の発生を抑制するので、カメラ1は、透明部材に対する吸着力の低下を抑制できる。
【0073】
なお、吸盤補助部材5を備えないカメラは、数日で吸着力が低下し、透明部材に対し、設置位置がずれたり、落下したりしたが、カメラ1は、数か月間、透明部材に対し、設置位置がずれず、また、落下しななかった。
【0074】
(変形例1)
図11は、連結部24の他の例を説明する図である。図11において、図9と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0075】
図11に示すように、連結部41は、カメラ1の背面側に折れ曲がっている。連結部41は、可動部23がカメラ1の背面側に移動すると、直線状に伸びる。
【0076】
このように、連結部41は、折れ曲がった形状を有する。これにより、吸盤ベース11は、吸盤補助部材5が透明部材から浮くのを抑制し、空気が開口A1に流入するのを抑制できる。また、吸盤ベース11は、吸盤補助部材5の表面にしわが発生するのを抑制し、空気が開口A1に流入するのを抑制できる。
【0077】
なお、連結部41は、1回折れ曲がった形状を有しているが、これに限られない。連結部41は、蛇腹状に複数回折れ曲がってもよい。
【0078】
(変形例2)
図12は、図6のカメラ1のAA矢視断面図である。図12において、図7と同じ構成要素には同じ符号が付してある。
【0079】
図12に示すように、カメラ1は、板状のシート51を有している。シート51は、吸盤補助部材5より硬い部材で形成される。シート51は、例えば、PC(Poly Carbonate)等で形成された樹脂シートであってもよい。シート51の厚さは、例えば、0.5mmであってもよい。また、シート51の厚さは、0.2mm以上0.5mm以下であってもよい。
【0080】
シート51は、例えば、吸盤補助部材5と同様の形状を有し、吸盤補助部材5の穴5aに対応する位置に穴を有する。シート51は、吸盤補助部材5の背面側に貼付される。別言すれば、シート51は、吸盤補助部材5の透明部材に当接される面とは反対側の面に貼付される。また、別言すれば、シート51は、吸盤補助部材5と吸盤ベース11との間に挿入される。
【0081】
このように、吸盤補助部材5と吸盤ベース11との間には、吸盤補助部材5より硬いシート51が配置されてもよい。これにより、シート51は、透明部材に吸着固定されたカメラ1の自重による、接触面の湾曲等の変形を抑制し、吸盤補助部材5と透明部材との間の隙間の発生を抑制する。従って、吸盤ベース11は、吸着力の低下が抑制される。
【0082】
(その他変形例)
穴5a、開口A1、および可動部23の形状は、円形状に限られない。穴5a、開口A1、および可動部23の形状は、例えば、楕円形状、または、四角形状等の多角形状であってもよい。
【0083】
吸盤ベース11は、カメラ1の正面側から見て撮像部4の左側に配置されるとしたが、これに限られない。吸盤ベース11は、カメラ1の正面側から見て撮像部4の左側に配置されてもよい。また、吸盤ベース11は、カメラ1の正面側から見て撮像部4の左右両側に配置されてもよい。吸盤ベース11は、カメラ1の正面側から見て撮像部4の上下両側または撮像部4の上下の一方側に配置されてもよい。
【0084】
吸盤補助部材5および吸盤ベース11を有する吸盤装置は、カメラ1以外に適用されてもよい。吸盤装置は、例えば、窓や壁等の平面部材に吸着され、荷物等を掛ける吸盤フックに適用されてもよい。平面部材は、透明であってもよいし、透明でなくてもよい。
【0085】
吸盤ベース11の正面から見た外形は、長方形に限られない。吸盤ベース11の正面から見た外形は、例えば、円形状、楕円形状、または、四角形状等の多角形状であってもよい。
【0086】
吸盤補助部材5は、粘着性を有したシリコンで形成されてもよい。
【0087】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、窓ガラスに吸着して設置され、窓ガラス越しに撮影するカメラに有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 カメラ
2 カバー
3 筐体
4 撮像部
5 吸盤補助部材
5a 穴
6 リップ
11 吸盤ベース
12 レバー
21 平面部
22 吸着部
23 可動部
24 連結部
31 ばね
41 連結部
A1 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12