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特許7394359革小物、サーバー、及び、革小物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】革小物、サーバー、及び、革小物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/04 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G06K19/04 010
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022165628
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-10-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年12月1日に下記アドレスにて発表 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000050431.html 令和3年12月1日にKeepAlive株式会社の直営店及びオンラインサイトにて販売 令和4年6月1日に下記アドレスにて発表 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000050431.html 令和4年6月1日から2022年6月3日にメッセフランクフルトジャパン(株)によって主催されたインテリアライフスタイル2022にて展示 令和4年6月8日から2022年6月12日にKeepAlive株式会社によって開催された「Onemiler&Detrans」SEASON-2個展にて展示
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521043674
【氏名又は名称】KeepAlive株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 敦
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146570(JP,A)
【文献】特表2019-518267(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2021-0000368(KR,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0188971(US,A1)
【文献】登録実用新案第3205249(JP,U)
【文献】特開平10-129165(JP,A)
【文献】中国実用新案第201215660(CN,Y)
【文献】特開2020-009280(JP,A)
【文献】特開2000-322665(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153903(WO,A1)
【文献】田川 晃一,“世界初の家電タグ”をきっかけにNFCは一気に普及する,日経エレクトロニクス,日本,日経BP社,2011年03月21日,第1052号,pp.64-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NFCタグと、
表面と、前記表面と反対側の裏面と、を有する皮革と、
前記裏面の一部を少なくとも覆う裏地と、を備え、
前記NFCタグが、前記裏面の一部と前記裏地との間に保持された、革小物であって、
前記NFCタグに、当該革小物の識別情報と、当該革小物に関連する情報であって少なくとも当該革小物の皮革の種別、産地及びトレーサビリティのいずれか一の情報を含むウェブページへのアクセスを誘導するための情報と、が格納され
前記皮革は、前記表面を構成する第1皮革と、前記第1皮革に積層され、前記裏面を構成する第2皮革とを備え、
前記裏地は、第3皮革を備え、
前記裏面と前記裏地の少なくともいずれか一方には、前記NFCタグが格納された状態において、前記裏面と前記裏地との隙間がなく、かつ、前記NFCタグがずれることのない形状と大きさを有するくぼみが形成され、
前記NFCタグは、前記くぼみに格納されることにより前記裏面の一部と前記裏地との間に保持されている、革小物。
【請求項2】
前記皮革は、前記表面における、前記NFCタグが配置された箇所に対応する箇所に、標示を有する、
請求項1に記載の革小物。
【請求項3】
前記標示は、刻印されたロゴである、
請求項2に記載の革小物。
【請求項4】
前記NFCタグに、サーバーから当該革小物に関する情報を取得するための識別子が格納され、当該識別子は、前記ウェブページへのアクセスを誘導するための情報に含まれる、
請求項1に記載の革小物。
【請求項5】
前記革小物に関連する情報は、所有者情報、価格情報、及び保証情報の少なくともいずれか1を含む、
請求項1に記載の革小物。
【請求項6】
通信端末と通信可能なサーバーであって、
前記サーバーは、
請求項1に記載の革小物に関連する情報を、当該革小物の識別情報に対応付けて管理する管理部と、
前記革小物に関連する情報を、前記通信端末に送信する通信部と、を有する、
サーバー。
【請求項7】
前記革小物に関連する情報は、所有者情報、価格情報、及び保証情報の少なくともいずれか1を含む、
請求項に記載のサーバー。
【請求項8】
請求項1に記載の革小物の製造方法であって、
前記皮革の前記裏面における一部に、前記NFCタグを配置するタグ配置工程と、
前記NFCタグを覆うように、前記裏地を前記裏面に配置する裏地配置工程と、
前記NFCタグが間に挟まれた状態で、前記皮革と前記裏地とを接合する接合工程とを含む、
革小物の製造方法。
【請求項9】
前記皮革の前記表面にロゴを刻印する刻印工程を含む、
請求項に記載の革小物の製造方法。
【請求項10】
前記刻印工程は、前記接合工程の後に、前記表面における、前記NFCタグが配置された箇所に対応する箇所に、前記ロゴを刻印することを含む、
請求項に記載の革小物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、革小物、システム、及び、革小物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の製品にNFC(近距離無線通信;Near Field Communication)を可能とするNFCタグを搭載し、例えば企業とユーザとの間でコミュニケーションを活発にすることが試みられている。ユーザはスマートフォンの様な通信端末を用いて、NFCタグに格納された情報を読み込むことにより、より多くの情報を入手することができる。
【0003】
特許文献1は、近距離無線通信モジュールが内蔵された衣類用アクセサリーを開示している。近距離無線通信モジュールであるNFCモジュールが、衣類用アクセサリーの所定位置に設置され、近距離無線通信モジュールを有する電子デバイスとデータ通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3204785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、衣類用アクセサリーの具体例としてボタンを挙げ、ボタンの凹溝にNFCモジュールを内蔵する構成を開示している。ところで、革小物もNFCモジュールを搭載する製品になり得るが、革小物は必ずしも特許文献1の様なボタンを有しておらず、NFCモジュールを革小物に搭載する技術は発展途上である。
【0006】
本発明は、外観を損なうことなくNFCタグを保持した革小物、及び革小物の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、NFCタグに格納された情報に基づき、ユーザが、革小物を接点として、所望の情報にアクセス可能となるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の革小物は、NFCタグと、表面と、前記表面と反対側の裏面と、を有する皮革と、前記裏面の一部を少なくとも覆う裏地と、を備え、前記NFCタグが、前記裏面の一部と前記裏地との間に保持されている。
【0008】
前記皮革は、前記表面における、前記NFCタグが配置された箇所に対応する箇所に、標示を有するものであってよい。
【0009】
前記標示は、刻印されたロゴであってよい。
【0010】
前記NFCタグに、当該革小物に関連する情報を含むウェブページへのアクセスを誘導するための情報が格納されてもよい。
【0011】
前記NFCタグに、当該革小物に関連する情報が格納されてもよい。
【0012】
前記NFCタグに、当該革小物の識別情報、及び、サーバーから当該革小物に関する情報を取得するための識別子が格納されてもよい。
【0013】
前記革小物に関連する情報は、所有者情報、価格情報、保証情報、前記皮革の種別、産地、及びトレーサビリティの少なくともいずれか1を含んでもよい。
【0014】
前記皮革は、互いに重ねられた第1皮革と第2皮革とを含み、前記裏地は、前記第2皮革に重ねられた第3皮革であり、前記NFCタグは、前記第2皮革と前記第3皮革との間に保持されてもよい。
【0015】
本発明は、上記記載の革小物と、通信端末と、サーバーと、を備えたシステムであって、前記通信端末は、前記NFCタグとの近距離無線通信により、前記NFCタグに格納された情報を読み取るリーダーと、ウェブページへのアクセスを誘導するための情報に基づいて、前記サーバーとの通信を行う通信部と、前記サーバーから取得した情報を提示する提示部と、を有し、前記サーバーは、前記革小物に関連する情報を、当該革小物の識別情報に対応付けて管理する管理部と、前記革小物に関連する情報を、前記通信端末に送信する通信部と、を有する。
【0016】
前記革小物に関連する情報は、所有者情報、価格情報、保証情報、前記皮革の種別、産地、及びトレーサビリティの少なくともいずれか1を含んでもよい。
【0017】
本発明は、上記記載の革小物の製造方法であって、前記皮革の前記裏面における一部に、前記NFCタグを配置するタグ配置工程と、前記NFCタグを覆うように、前記裏地を前記裏面に配置する裏地配置工程と、前記NFCタグが間に挟まれた状態で、前記皮革と前記裏地とを接合する接合工程とを含む。
【0018】
前記製造方法は、前記皮革の前記表面にロゴを刻印する刻印工程を含んでよい。
【0019】
前記刻印工程は、前記接合工程の後に、前記表面における、前記NFCタグが配置された箇所に対応する箇所に、前記ロゴを刻印することを含んでよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外観を損なうことなく革小物にNFCタグを保持させ、NFCタグに格納された情報に基づき、ユーザが、革小物を接点として、所望の情報にアクセス可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ユーザが通信端末を用いて革小物から情報を読み取る状況および本発明のシステムを示す概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る革小物の一部分の層構成図および革小物から情報を読み取る通信端末のブロック図である。
図3】革小物のNFCタグに格納された情報テーブルの図である。
図4】サーバーの管理テーブルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る革小物およびシステムの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、ユーザ110が通信端末30を用いて革小物10から情報を読み取る状況を示すとともに、本発明の実施形態に係るシステム100を示す概念図である。ユーザ110は、通信端末30を用いて、革小物10に搭載されたNFCタグ20から各種の情報を読み取ることができる。さらにユーザ110は、NFCタグ20に格納されたアクセス先の情報を元に、システム100のネットワーク40を介してアクセス先のサーバー50にアクセスすることができる。これによりユーザは、サーバー50から革小物10に関するさらに詳細な情報を入手することができる。
【0024】
システム100は、革小物10と、通信端末30と、サーバー50と、を備えている。ユーザ110は、通信端末30を用いて革小物10に搭載されたNFCタグ20(後述)から革小物10に関する種々の情報を読み取ることができるとともに、ネットワーク40を介して、サーバー50からも革小物10に関する種々の情報を読み出すことができる。これにより、ユーザ110は、革小物10に関し多くの情報を入手できるとともに、革小物10の提供者は、ユーザ110とのコミュニケーションを活発なものとすることができる。システム100の詳細は後述する。
【0025】
図2は、本発明の実施形態に係る革小物10の一部分の層構成図および革小物10から情報を読み取る通信端末30のブロック図である。通信端末30は、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、腕時計型デバイス、手首装着型デバイス等であってよく、特にその種類は限定されない。特に通信端末30はユーザ110により持ち運び可能な電子デバイスであることにより、ユーザ110は店舗などにて気軽に革小物10のNFCタグ20から当該革小物10の各種情報を読み取ることができる。
【0026】
革小物10は、素材に皮革を用いた製品であり、鞄、財布、カードケース等を含むが、その種類は限定されない。革小物10は、NFCタグ20と、皮革13と、裏地15と、を備える。
【0027】
皮革13は、表面13Aと、表面13Aと反対側の裏面13Bと、を有する。皮革13は、天然皮革、ビニールレザーなどの合成皮革、人工皮革などを含む。皮革13は一枚の皮革であってよいが、複数の皮革を積層して構成してよい。本実施形態では、後述するように、二枚の皮革(第1皮革11および第2皮革12)が重ねられて構成されている。
【0028】
裏地15は、皮革13の裏面13Bの一部を少なくとも覆う。裏地15は、植物繊維、動物繊維、合成繊維等などの布生地であってよいが、後述するように皮革(第3皮革)であってもよい。裏地15の厚さは、NFCタグ20から発生する信号の強さに応じて調整するようにしてよい。
【0029】
そして、本実施形態の革小物10においては、NFCタグ20が、裏面13Bの一部と裏地15との間に保持されている。裏面13Bと裏地15のいずれか一方又は双方にNFCタグ20を格納するためのくぼみを設けてよい。このとき、当該くぼみはNFCタグ20を丁度良く格納できる形状および大きさが好ましい。これにより、革小物10の厚さに影響することなくNFCタグ20を格納することができる。また、NFCタグ20を保持した状態において裏面13Bの一部と裏地15との間の隙間をなくすことができ、使用中におけるNFCタグ20のズレを防止し、革小物の安定性と使用感を向上させることができる。NFCタグ20は、情報を格納するNFCチップと、外部の機器と近距離無線通信により情報をやり取りするアンテナとを含む。NFCタグ20は、接着、縫い付け等の方法により、皮革13の裏面13B、または皮革13と裏地15との間に固定、保持されるが、固定の方法は限定されない。
【0030】
NFCタグ20は、例えば、NFCフォーラムにより認証済みのタグであってよく、具体的にはType1~5の分類に属するものを、例えば取付対象の皮革13の厚さ等に応じて選択して使用することができる。NFCタグ20の具体的な仕様は特に限定されない。
【0031】
本構成により、NFCタグ20が素材である皮革13と裏地15との間に保持されるので、外観を損なうことなく革小物10にNFCタグ20を保持させることができる。また、NFCタグ20に所望の情報を格納させることにより、ユーザ110が、革小物10をタッチポイント(接点)として、所望の情報にアクセス可能となる。
【0032】
さらに皮革13は、表面13Aにおける、NFCタグ20が配置された箇所に対応する箇所に、標示17を有する。ユーザ110は、標示17を目印にして、NFCタグ20のリーダー31(後述)を近接させることで、NFCタグ20に格納された情報を読み取り可能となる。よって、標示17をタッチポイントとして機能させることができる。
【0033】
標示17は、皮革13の表面13Aに印刷、刻印されてもよいし、シールなどの独立した部材により皮革13の上に張り付けてられてもよい。標示17は、図2においては表面13Aから突出しているように示されるが、実際には、突出せず表面13Aと同一面又は略同一面に位置する場合や、刻印された場合のように少なくとも部分的に窪んだ位置に配置される場合がある。ユーザ110は、標示17を目印にして、NFCタグ20のリーダー31を近接させることでNFCタグ20に格納された情報を読み取り可能となる。標示17は、好ましくは刻印されたロゴであってよい。ロゴをタッチポイントとして機能させることによって、革小物10に別途タッチポイントを示すマーク等を付すことなく、革小物10の外観を影響せずにユーザ110をタッチポイントに誘導できる。
【0034】
上述したように、本実施形態では皮革13は、互いに重ねられた第1皮革11と第2皮革12とを含み、また、裏地15は、第2皮革12に重ねられた第3皮革である。NFCタグ20は、第2皮革12と第3皮革、すなわち裏地15、との間に保持されている。これにより、革小物10の耐久性が高まるとともに、外観を上質なものとすることができる。また、NFCタグ20を、二枚の皮革の間に強固に保持することができる。さらに第2皮革12と第3皮革(裏地15)のいずれか一方または双方にNFCタグ20を格納するためのくぼみを設けることが好ましい。これにより、革小物10の厚さに影響することなくNFCタグ20を格納することができる。また、NFCタグ20を保持した状態において第2皮革12の一部と第3皮革(裏地15)との間の隙間をなくすことができ、使用中におけるNFCタグ20のズレを防止し、革小物の安定性と使用感を向上させることができる。
【0035】
通信端末30は、リーダー31と、通信部32と、提示部33と、制御部34とを有する。リーダー31は、NFCタグ20との近距離無線通信により、NFCタグ20に格納された情報を読み取る装置であり、例えばNFCタグ20と通信可能なアンテナを含む。通信部32は、リーダー31がNFCタグ20から取得した革小物10のアクセス先に関する情報、識別情報(後述)と、に基づいて、ネットワーク40を介してサーバー50との通信を行う。通信部32は、ネットワーク40にアクセス可能な通信デバイスにより構成される。
【0036】
提示部33は、通信部32がサーバー50から取得した情報を提示する。提示部33は、取得した情報を画像、動画等の形式で提示するディスプレイ等であってよいし、音声の形式で提示するスピーカ等であってもよい。提示部33は、タッチパネルの様に通信端末30を操作する操作部を兼ねてもよい。制御部34は、通信端末30の全体制御を司る制御装置、すなわちコンピュータであり、上述した各部分の動作を制御する。
【0037】
図3は、革小物10のNFCタグ20に格納された情報テーブルの図である。NFCタグ20は、例えばこのような情報テーブルの形式で革小物10に関する種々の情報を格納している。情報テーブルには、例えば、革小物10の識別情報である製品IDに対し、アクセス先に関する情報、保証情報、製品情報が対応付けられた状態で格納されている。ユーザ110の操作により、通信端末30のリーダー31がNFCタグ20から情報テーブルを読み取ると、通信端末30の提示部33が、この情報テーブルに含まれる情報を提示することができる。
【0038】
アクセス先に関する情報は、URL(Uniform Resource Locator)等の、革小物10の情報の所在を示す。アクセス先に関する情報は、サーバーから当該革小物に関する情報を取得するための識別子を含んでもよい。ユーザ110は、NFCタグ20に格納された製品IDと、アクセス先に関する情報を、リーダー31を用いて読み取ることで取得でき、革小物10を起点として、所定のアクセス先にアクセス可能となる。よって、革小物10の関連情報をサーバー側で一元的に管理することができる。
【0039】
保証情報は、革小物10の保証に関する情報であり、例えば購入日、購入場所、及び保証期間などの複数の情報の組み合わせであってもよいし、単に保証期間の満了日の情報だけであってよい。ユーザ110は、NFCタグ20に格納された保証情報を、リーダー31を用いて読み取ることで取得でき、保証書を革小物10と別に保管する必要がなくなる。よって、革小物10の修理依頼時等に有用である。
【0040】
製品情報は、革小物10に関する情報であり、例えば、使用されている皮革の種別、産地、及びトレーサビリティの少なくともいずれか一を含む。ユーザ110は、NFCタグ20に格納された製品情報を、リーダー31を用いて読み取ることで取得でき、革小物10に関する情報を把握できるので、革小物10の所有者が製品の詳細について調べられるだけでなく、革小物10の販売、購入、修理等の際に有用である。
【0041】
本例の情報テーブルは、アクセス先に関する情報、保証情報、トレーサビリティ情報を、リンク先のアドレスの形式で格納している。ユーザ110が、タッチパネルの提示部33に表示された情報テーブルから、「ここをクリック」と表示されたリンクをタッチすることにより、アクセス先に関する情報、保証情報、トレーサビリティ情報の詳細が、後述するサーバー50から取得され、表示される。ただし、情報テーブルにおける各種情報の格納の形式は特に限定されない。また、リーダー31がNFCタグ20から情報テーブルを読み取ると、ユーザ110の操作を要することなく、提示部33が、この情報テーブルに含まれるいずれかの情報、例えば保証情報を表示してもよい。さらに、情報テーブルは、アクセス先に関する情報、保証情報、トレーサビリティ情報のそれぞれを直接格納してもよい。NFCタグ20に革小物10に関する情報を直接格納することにより、通信端末30は、インターネットを介することなく、革小物10に関する情報をNFCタグ20から直接取得して提示することができるため、ネット環境に依存することなく情報を提示することができる。
【0042】
本実施形態では提示部33が情報テーブルを表示する例を示したが、NFCタグ20に当該革小物に関連する情報を含むウェブページへのアクセス誘導するための情報を格納し、ユーザ110を特定のウェブページに誘導するものであってもよい。この構成によれば、関連情報をサーバー側で一元的に管理することができるだけでなく、ウェブページの仕様を変更することにより広告などのさまざまな用途にも使用できる。
【0043】
図1に戻り、サーバー50について説明する。サーバー50は、管理部51と、通信部52と、管理テーブル53とを有する。管理部51は、製品情報、所有者情報、保証情報、及び価格情報の少なくともいずれか一の情報を、識別情報に対応付けて管理する。管理テーブル53は、この対応付けを格納している。通信部52は、製品情報、所有者情報、保証情報、及び価格情報の少なくともいずれか一の情報を、ネットワーク40を介して通信端末30に送信する。
【0044】
図4は、サーバー50の管理テーブル53の図である。管理テーブル53には、例えば、革小物10の識別情報である製品IDに対し、製品情報、所有者情報、保証情報、価格情報が対応付けられた状態で格納されている。製品情報および保証情報は、NFCタグ20に格納されたものと共通である(図3)。所有者情報は現在の革小物10の所有者に関する情報、価格情報は革小物10の価格に関する情報である。
【0045】
通信端末30は、革小物10に保持されたNFCタグ20から、情報を読み取ってサーバー50にアクセスし、サーバー50から、製品情報、所有者情報、保証情報、及び価格情報の少なくともいずれか一の情報(以下、製品情報等という。)を取得して提示する。よって、ユーザ110は、通信端末30を製品内のNFCタグ20に近接させることで、通信端末30を介して、サーバー50から製品情報等を取得して把握することができる。
【0046】
上述した革小物10は、例えば次のような工程を含む製造方法によって製造可能である。
【0047】
・皮革13の裏面13Bにおける一部に、NFCタグ20を配置するタグ配置工程
・NFCタグ20を覆うように、裏地15を裏面13Bに配置する裏地配置工程
・NFCタグ20が皮革13と裏地15との間に挟まれた状態で、皮革13と裏地15とを接合する接合工程
【0048】
革小物10の製造方法は、皮革13の表面13Aに標示17であるロゴを刻印する刻印工程を含んでもよい。この刻印工程は、上述した接合工程の後に、表面13Aにおける、NFCタグ20が配置された箇所に対応する箇所に、ロゴを刻印するものであってよい。
【0049】
なお、タグ配置工程および裏地配置工程においては、NFCタグ20の一面に接着剤を塗布し、塗布面を裏地15と反対向きにした状態で、裏地15の所定位置にNFCタグ20を配置し、上から皮革13を重ねてもよい。これにより、NFCタグ20の配置箇所を押圧して、接着剤を均一に広げて、皮革13と裏地15との間にNFCタグ20を保持させることができる。また、押圧と同時に上述の刻印工程を実施し、ロゴを刻印してもよい。
【0050】
上記のほか、接合工程の前に、裏面13Bと裏地15のいずれか一方又は双方にNFCタグ20を格納するためのくぼみを設ける工程があってもよい。このとき、当該くぼみはNFCタグ20を丁度良く格納できる形状および大きさが好ましい。これにより、革小物10の厚さに影響することなくNFCタグ20を格納することができる。また、NFCタグ20を保持した状態において裏面13Bの一部と裏地15との間の隙間をなくすことができ、使用中におけるNFCタグ20のズレを防止し、革小物の安定性と使用感を向上させることができる。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0052】
10 革小物
11 第1皮革
12 第2皮革
13 皮革
13A 表面
13B 裏面
15 裏地(第3皮革)
20 NFCタグ
30 通信端末
31 リーダー
32 通信部
33 提示部
34 制御部
40 ネットワーク
50 サーバー
51 管理部
52 通信部
53 管理テーブル
100 システム
【要約】
【課題】外観を損なうことなく革小物にNFCタグを保持させ、NFCタグに格納された情報に基づき、ユーザが、革小物を接点として、所望の情報にアクセス可能となる。
【解決手段】革小物10は、NFCタグ20と、表面13Aと、表面13Aと反対側の裏面13Bと、を有する皮革13と、裏面13Bの一部を少なくとも覆う裏地15と、を備え、NFCタグ20が、裏面13Bの一部と裏地15との間に保持される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4