(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】作業装置、及び制振ユニット
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231201BHJP
B25J 9/02 20060101ALI20231201BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20231201BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
B25J9/02 A
H02K41/02 Z
F16F15/02 C
(21)【出願番号】P 2019020374
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小坂 和明
(72)【発明者】
【氏名】西原 正二郎
(72)【発明者】
【氏名】深美 尚樹
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-077694(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096627(WO,A1)
【文献】特開2016-115845(JP,A)
【文献】特開2018-030365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B25J 9/02
H02K 41/02
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象物に第2対象物を実装する実装部、及び前記実装部が第1方向に沿って移動可能な状態で前記実装部を保持する軸部材を有する移動体と、
前記軸部材が前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動可能な状態で前記軸部材を保持する保持部材と、
前記軸部材の動作に連動して前記第2方向に沿って移動する制振部材を含み、少なくとも一部が前記保持部材に接している制振ユニットと、を備え、
前記制振部材は、前記軸部材の前記第2方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記第2方向に沿って移動可能に構成される、
作業装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記制振ユニットが前記移動体よりも上方に位置している状態で前記制振ユニットを支持する、
請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記制振ユニットは、前記制振部材を駆動する制振用リニアモータを更に含む、
請求項1又は2に記載の作業装置。
【請求項4】
前記軸部材の両端部を保持する一対の前記保持部材を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項5】
前記一対の
前記保持部材は、それぞれ前記制振ユニットを備える、
請求項4に記載の作業装置。
【請求項6】
前記制振ユニットの固定子が、前記保持部材の上面に設けられ、
前記制振部材は、前記第2方向に移動可能な状態で前記固定子に挿通されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項7】
前記制振ユニットは、可動子としての前記制振部材と、固定子とを有しており、
前記制振部材には複数の錘が設けられ、
前記複数の錘は、それぞれ前記制振部材の長手方向の両端部に設けられる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項8】
前記軸部材が移動する際の移動速度と、前記制振部材が移動する際の移動速度と、を異ならせる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項9】
前記実装部としての第1実装部とは異なる第2実装部、及び前記軸部材としての第1軸部材とは異なり、前記第2実装部が前記第1方向に沿って移動可能な状態で前記第2実装部を保持する第2軸部材を有し、前記移動体としての第1移動体とは異なる第2移動体と、
前記制振部材としての第1制振部材とは異なり、前記第2軸部材の動作に連動して前記第2方向に沿って移動する第2制振部材を含み、前記制振ユニットとしての第1制振ユニットとは異なる第2制振ユニットと、を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項10】
前記保持部材としての第1保持部材と共に、前記第1軸部材及び前記第2軸部材が前記第2方向に沿って移動可能な状態で前記第1軸部材及び前記第2軸部材を保持する第2保持部材を更に備え、
前記第2制振ユニットの少なくとも一部が前記第2保持部材に接している、
請求項9に記載の作業装置。
【請求項11】
前記実装部の動作に連動して前記第1方向に沿って移動する実装部用制振部材を含み、少なくとも一部が前記軸部材に接している実装部用制振ユニットを更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項12】
前記軸部材の移動を開始する第1開始時間と前記制振部材の移動を開始する第2開始時間とが一致し、かつ前記軸部材の移動が完了する第1完了時間と前記制振部材の移動が完了する第2完了時間とが一致している、
請求項1~11のいずれか1項に記載の作業装置。
【請求項13】
前記軸部材は、前記第1開始時間と前記第1完了時間とで規定される第1移動期間において、複数の加加速度点で加速度が変化するように移動し、
前記制振部材は、前記複数の加加速度点のうち少なくとも1つの加加速度点において発生する振動を制振するように構成されている、
請求項12に記載の作業装置。
【請求項14】
所定の作業を行う作業部、及び前記作業部が第1方向に沿って移動可能な状態で前記作業部を保持する軸部材を有する移動体と、
前記軸部材が前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動可能な状態で前記軸部材を保持する保持部材と、
前記軸部材の動作に連動して前記第2方向に沿って移動する制振部材を含み、少なくとも一部が前記保持部材に接している制振ユニットと、を備え、
前記制振部材は、前記軸部材の前記第2方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記第2方向に沿って移動可能に構成される、
作業装置。
【請求項15】
移動体と、
前記移動体が一の方向に沿って移動可能な状態で前記移動体を保持する保持部材と、
前記移動体の動作に連動して前記一の方向に沿って移動する制振部材を含む制振ユニットと、を備え、
前記保持部材は、床面に固定された装置本体に固定されており、
前記制振部材は、前記移動体の前記一の方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記一の方向に沿って移動可能に構成される、
作業装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の作業装置に用いられる、
制振ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業装置、及び制振ユニットに関する。より詳細には、本開示は、電子部品を基板に実装する実装機等の作業装置、及び制振ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品を基板に実装する部品実装装置が記載されている。特許文献1に記載の部品実装装置は、複数の実装ヘッドが搭載されたヘッドユニットと、ヘッドユニットをX軸方向に沿って移動可能に支持する実装ヘッド支持部材と、実装ヘッド支持部材をY軸方向に沿って移動可能に支持する固定レールと、を備える。ヘッドユニットは、X軸サーボモータによりボールねじを介してX軸方向に駆動される。実装ヘッド支持部材は、Y軸サーボモータによりボールねじを介してY軸方向に駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような部品実装装置(作業装置)では、生産性を向上させるために、ヘッドユニット(実装部)及び実装ヘッド支持部材(軸部材)の高速化が進められている。しかしながら、ヘッドユニット及び実装ヘッド支持部材を高速で移動させることで機械振動が大きくなり、この機械振動によって実装精度が低下したり、他の設備が誤動作したりする可能性があった。
【0005】
本開示の目的は、移動体の動作時に保持部材に発生する機械振動を低減することができる作業装置、及び制振ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る作業装置は、移動体と、保持部材と、制振ユニットと、を備える。前記移動体は、実装部、及び軸部材を有する。前記実装部は、第1対象物に第2対象物を実装する。前記軸部材は、前記実装部が第1方向に沿って移動可能な状態で前記実装部を保持する。前記保持部材は、前記軸部材が前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動可能な状態で前記軸部材を保持する。前記制振ユニットは、制振部材を含み、少なくとも一部が前記保持部材に接している。前記制振部材は、前記軸部材の動作に連動して前記第2方向に沿って移動する。前記制振部材は、前記軸部材の前記第2方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記第2方向に沿って移動可能に構成される。
【0007】
本開示の一態様に係る作業装置は、移動体と、保持部材と、制振ユニットと、を備える。前記移動体は、作業部、及び軸部材を有する。前記作業部は、所定の作業を行う。前記軸部材は、前記作業部が第1方向に沿って移動可能な状態で前記作業部を保持する。前記保持部材は、前記軸部材が前記第1方向と交差する第2方向に沿って移動可能な状態で前記軸部材を保持する。前記制振ユニットは、制振部材を含み、少なくとも一部が前記保持部材に接している。前記制振部材は、前記軸部材の動作に連動して前記第2方向に沿って移動する。前記制振部材は、前記軸部材の前記第2方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記第2方向に沿って移動可能に構成される。
【0008】
本開示の一態様に係る作業装置は、移動体と、保持部材と、制振ユニットと、を備える。前記保持部材は、前記移動体が一の方向に沿って移動可能な状態で前記移動体を保持する。前記制振ユニットは、前記移動体の動作に連動して前記一の方向に沿って移動する制振部材を含む。前記保持部材は、床面に固定された装置本体に固定されている。前記制振部材は、前記移動体の前記一の方向における可動範囲を複数の区域に区分した場合に、前記複数の区域の一部の区域で前記一の方向に沿って移動可能に構成される。
【0009】
本開示の一態様に係る制振ユニットは、上述の作業装置に用いられる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、移動体の動作時に保持部材に発生する機械振動を低減することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aは、本開示の実施形態1に係る作業装置を模式的に表した図である。
図1Bは、同上の作業装置の要部を模式的に表した図である。
【
図2】
図2は、同上の作業装置の作業部を示す概略図である。
【
図3】
図3Aは、同上の作業装置の制振ユニットを示す概略図である。
図3Bは、本開示の実施形態1の変形例1に係る作業装置の制振ユニットを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態1に係る作業装置のブロック図である。
【
図5】
図5Aは、同上の作業装置の移動体の速度、加速度、及び加加速度の指令値を示すグラフである。
図5Bは、同上の作業装置の移動体の実際の速度、加速度、及び加加速度の変化を示すグラフである。
【
図6】
図6A~
図6Cは、同上の作業装置の移動体及び制振部材の速度変化を示すグラフである。
【
図7】
図7A~
図7Cは、同上の作業装置の移動体及び制振部材の速度変化を示すグラフである。
【
図8】
図8A~
図8Dは、本開示の実施形態1の変形例2~5に係る作業装置を模式的に表した図である。
【
図9】
図9は、同上の作業装置の作業部を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態2に係る作業装置を模式的に表した図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態2の変形例に係る作業装置を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態1,2に係る作業装置、及び制振ユニットについて、図面を参照して説明する。
【0014】
【0015】
(実施形態1)
(1)概要
以下、実施形態1に係る作業装置10の概要について、
図1A、
図1B、及び
図2を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る作業装置10は、所定の作業を行うための装置である。本開示でいう「所定の作業」とは、第1対象物100に第2対象物200を実装する実装作業、第1対象物100にはんだ、導電性接着剤等を塗布する塗布作業、及び第1対象物100に導電性パターン等を印刷する印刷作業等をいう。本実施形態では、所定の作業は、例えば、第1対象物100に第2対象物200を実装する実装作業である。つまり、本実施形態では、作業装置10は部品実装機(チップマウンター)である。
【0017】
第1対象物100は、例えば、矩形状のプリント基板(以下、「基板100」ともいう)である。第2対象物200は、例えば、コンデンサ、抵抗、インダクタ、トランス、IC(Integrated Circuit)、コネクタ、又はスイッチ等の電子部品(以下、「部品200」ともいう)である。基板100は、部品200が実装される実装面101(
図2参照)を有している。なお、部品200は、上記の電子部品に限らず、基板100に対して実装可能であれば他の部品であってもよい。
【0018】
本実施形態に係る作業装置10は、
図1A及び
図1Bに示すように、第1移動体1A(移動体)と、第1保持部材2A(保持部材)と、第1制振ユニット3A(制振ユニット)と、を備えている。第1移動体1Aは、
図1B及び
図2に示すように、第1実装部11A(実装部)と、第1軸部材12A(軸部材)と、を有している。第1実装部11Aは、第1対象物100に第2対象物200を実装する。第1軸部材12Aは、第1実装部11Aが第1方向に沿って移動可能な状態で第1実装部11Aを保持する。第1方向は、例えば、X方向である。
【0019】
第1保持部材2Aは、第1軸部材12Aが第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材12Aを保持する。第2方向は、第1方向と交差(直交)する方向であり、例えば、Y方向である。第1制振ユニット3Aは、第1制振部材31A(制振部材)を含み、少なくとも一部が第1保持部材2Aに接している。第1制振部材31Aは、第1軸部材12Aの動作に連動して第2方向に沿って移動する。つまり、本実施形態に係る第1制振ユニット3Aは、上述の作業装置10に用いられる。
【0020】
本実施形態に係る作業装置10では、第1制振ユニット3Aの少なくとも一部が第1保持部材2Aに接しており、第1軸部材12Aが第2方向に沿って移動する動作に連動して第1制振部材31Aを第2方向に沿って移動させている。そのため、第1制振ユニット3Aが設けられていない場合、又は第1制振ユニット3Aが第1保持部材2Aに接していない場合に比べて、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0021】
(2)構成
以下、本実施形態に係る作業装置10の構成について、
図1A、
図1B、
図2、及び
図3Aを参照して説明する。以下の説明では、第1保持部材2Aと第2保持部材2Bとが並ぶ方向をX方向、第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの長手方向をY方向、第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの短手方向をZ方向と規定する。ただし、これらの方向は、作業装置10の使用方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。さらに、図面中のドットは、該当部分を際立たせるために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。なお、
図2では、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの図示を省略している。
【0022】
本実施形態に係る作業装置10は、
図1Aに示すように、第1移動体1A(移動体)と、第1保持部材2A(保持部材)と、第1制振ユニット3A(制振ユニット)と、装置本体4と、を備えている。また、作業装置10は、第2保持部材2Bと、第2制振ユニット3Bと、を更に備えている。言い換えると、本実施形態に係る作業装置10は、保持部材としての第1保持部材2Aと共に、第1軸部材12Aが第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材12Aを保持する第2保持部材2Bを更に備えている。また、本実施形態に係る作業装置10は、制振ユニットとしての第1制振ユニット3Aとは異なる第2制振ユニット3Bを更に備えている。
【0023】
(2.1)第1移動体
第1移動体1Aは、
図1B及び
図2に示すように、第1実装部11Aと、第1軸部材12Aと、を有している。第1実装部11Aは、第1吸着ノズル13Aを含む。
【0024】
第1実装部11Aは、第1吸着ノズル13AをZ方向に移動可能な状態で保持している。そのため、第1吸着ノズル13Aは、基板100に対して部品200を実装する場合には、基板100に近づく向き、及び基板100から離れる向きに移動可能である。また、第1吸着ノズル13Aは、部品200を吸着する場合には、部品200を供給する部品供給部(例えば、テープフィーダ)に近づく向き、及び部品供給部から離れる向きに移動可能である。第1吸着ノズル13Aは、部品200を吸着する吸着状態と、部品200の吸着状態を解除する解除状態と、を切替可能である。
【0025】
第1軸部材12Aは、例えば、X方向に長い部材(Xビーム)である。第1軸部材12Aは、第1実装部11AがX方向に沿って移動可能な状態で第1実装部11Aを保持している。言い換えると、第1実装部11Aは、第1リニアモータ121(
図4参照)からの駆動力によって第1軸部材12Aの長手方向(X方向)に沿って移動可能である。本実施形態では、X方向が第1方向である。
【0026】
(2.2)第1保持部材及び第2保持部材
第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの各々は、例えば、Y方向に長い部材(Yビーム)である。第1保持部材2A及び第2保持部材2Bは、X方向において所定の間隔を空けた状態で並んでいる。所定の間隔は、例えば、第1軸部材12Aの長さ寸法に等しい。そして、第1保持部材2Aは、X方向(第1方向)における第1軸部材12Aの一端部を保持し、第2保持部材2Bは、X方向における第1軸部材12Aの他端部を保持している。第1保持部材2A及び第2保持部材2Bは、第1軸部材12Aが第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材12Aを保持している。言い換えると、第1軸部材12Aは、第2リニアモータ122(
図4参照)からの駆動力によって第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの長手方向(Y方向)に沿って移動可能である。本実施形態では、Y方向が第2方向である。つまり、第2方向は、第1方向と交差(直交)する方向である。
【0027】
(2.3)第1制振ユニット及び第2制振ユニット
第1制振ユニット3Aは、第1移動体1A(第1軸部材12A)がY方向に移動する際に第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減するためのユニットである。第2制振ユニット3Bは、第1移動体1A(第1軸部材12A)がY方向に移動する際に第2保持部材2Bに発生する機械振動を低減するためのユニットである。
【0028】
第1制振ユニット3Aは、
図3Aに示すように、第1可動子としての第1制振部材31Aと、第1固定子32Aと、を有している。第2制振ユニット3Bは、
図3Aに示すように、第2可動子としての第2制振部材31Bと、第2固定子32Bと、を有している。なお、第1制振ユニット3Aと第2制振ユニット3Bとは同じ構成であるため、ここでは第1制振ユニット3Aについてのみ説明し、第2制振ユニット3Bについては説明を省略する。第2制振ユニット3Bについては、以下の説明において、「第1制振ユニット3A」を「第2制振ユニット3B」に、「第1制振部材31A」を「第2制振部材31B」に、「第1固定子32A」を「第2固定子32B」に、「第1保持部材2A」を「第2保持部材2B」に読み替えるだけでよい。
【0029】
第1制振部材31Aは、
図3Aに示すように、シャフト311と、複数(
図3Aでは2つ)の錘312と、を含む。シャフト311は、一方向に長い円筒状に形成されている。シャフト311の内部には、上記一方向に沿って積層された複数の永久磁石(マグネット)が収納されている。複数の錘312は、シャフト311の長手方向の両端部にそれぞれ固定されている。第1制振部材31Aの質量は、シャフト311の質量と複数の錘312の質量とを合わせた質量である。そのため、複数の錘312の質量を変えることによって、第1制振部材31Aの質量を調節することができる。
【0030】
第1固定子32Aは、一方向に長い角筒状に形成されている。第1固定子32Aは、上記一方向に沿って貫通する貫通孔を有している。この貫通孔は、第1制振部材31Aのシャフト311が挿通可能な大きさに形成されている。第1固定子32Aの内部には、第1固定子32Aの長手方向(一方向)に沿って巻かれた導線からなるコイルが収納されている。
【0031】
この第1制振ユニット3Aでは、第1固定子32Aのコイルに励磁電流を流すと、コイルと永久磁石との間に電磁力が作用し、この電磁力によって生じる推進力にて第1制振部材(第1可動子)31Aが直進移動する。つまり、第1制振ユニット3Aは、第1制振部材31Aを駆動する制振用リニアモータ30A(
図4参照)を有している。
【0032】
第1制振ユニット3Aは、
図1Aに示すように、後述する装置本体4が固定されている床面300側(
図1Aにおける下側)から見て、第1保持部材2Aにおける床面300から遠い側の端部(
図1Aにおける上端部)に位置している。この構成によれば、第1制振ユニット3Aによるモーメント力が大きくなり、第1制振ユニット3Aによる制振効果を高めることができる。さらに、第1制振ユニット3Aは、Y方向(第2方向)における第1保持部材2Aの端部に位置している。ここで、Y方向における第1保持部材2Aの中間部分には、第1移動体1A(第1軸部材12A)の移動に伴って可動するケーブルベア(登録商標)5が配置されている(
図1A参照)。そのため、Y方向における第1保持部材2Aの端部に第1制振ユニット3Aを配置することにより、ケーブルベア(登録商標)5の可動時に邪魔になりにくいという利点がある。
【0033】
第1制振ユニット3Aは、シャフト311の長手方向(一方向)が第1保持部材2Aの長手方向(Y方向)に沿った状態で、第1固定子32Aにて第1保持部材2Aに取り付けられている。つまり、第1制振ユニット3Aは、少なくとも第1固定子32Aで第1保持部材2Aに接している。同様に、第2制振ユニット3Bは、少なくとも第2固定子32Bで第2保持部材2Bに接している。
【0034】
ところで、X方向(第1方向)における第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの幅寸法H1(
図10参照)は、X方向における第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの幅寸法H2(
図10参照)以下であることが好ましい。この構成によれば、X方向において、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bが第1保持部材2A及び第2保持部材2B内に収まっており、作業装置10の大型化を抑えることができる。
【0035】
(2.4)装置本体
装置本体4は、第1移動体1A、第1保持部材2A、第2保持部材2B、第1制振ユニット3A、及び第2制振ユニット3Bを支持する支持台である。装置本体4は、例えばボルト等の締結具によって床面300に固定されている。また、装置本体4には、例えばボルト等の締結具によって第1保持部材2A及び第2保持部材2Bが固定されている。
【0036】
(2.5)回路構成
本実施形態に係る作業装置10は、
図4に示すように、制御回路110と、第1,第2駆動回路111,112と、制振用駆動回路113と、第1,第2リニアモータ121,122と、制振用リニアモータ30A,30Bと、を更に備えている。
【0037】
制御回路110は、第1,第2駆動回路111,112及び制振用駆動回路113を各別に制御するように構成されている。具体的には、制御回路110は、第1実装部11Aの第1吸着ノズル13Aが目標位置に到達するように、第1駆動回路111に対して第1制御信号を出力し、第2駆動回路112に対して第2制御信号を出力する。本実施形態では、目標位置は、第1対象物100における第2対象物200の実装位置である。第1制御信号には、目標位置の位置情報のうちX方向の位置情報が含まれている。第2制御信号には、目標位置の位置情報のうちY方向の位置情報が含まれている。また、制御回路110は、第1移動体11AのY方向への移動時に第1保持部材2A及び第2保持部材2Bに発生する機械振動を低減するために、制振用駆動回路113に対して第3制御信号を出力する。第3制御信号には、Y方向における第1制振部材31A及び第2制振部材31Bの速度、移動時間等の情報が含まれている。
【0038】
制御回路110は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。そして、コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムを、コンピュータシステムのプロセッサが実行することにより、制御回路110の機能が実現される。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0039】
第1駆動回路111は、第1リニアモータ121と対応しており、制御回路110からの第1制御信号に基づいて第1駆動信号を作成し、作成した第1駆動信号を第1リニアモータ121に出力する。第1リニアモータ121は、第1駆動回路111からの第1駆動信号に従ってX方向に沿って移動する。その結果、第1リニアモータ121からの駆動力によって第1実装部11AもX方向に沿って移動し、第1吸着ノズル13AがX方向における目標位置に到達する。
【0040】
第2駆動回路112は、第2リニアモータ122と対応しており、制御回路110からの第2制御信号に基づいて第2駆動信号を作成し、作成した第2駆動信号を第2リニアモータ122に出力する。第2リニアモータ122は、第2駆動回路112からの第2駆動信号に従ってY方向に沿って移動する。その結果、第2リニアモータ122からの駆動力によって第1移動体1AもY方向に沿って移動し、第1吸着ノズル13AがY方向における目標位置に到達する。
【0041】
制振用駆動回路113は、制振用リニアモータ30A,30Bと対応しており、制御回路110からの第3制御信号に基づいて第3駆動信号を作成し、作成した第3駆動信号を制振用リニアモータ30A,30Bに出力する。制振用リニアモータ30A,30Bは、制振用駆動回路113からの第3駆動信号に従ってY方向に沿って移動する。その結果、制振用リニアモータ30A,30Bからの駆動力によって第1制振部材31A及び第2制振部材31BもY方向に沿って移動する。つまり、第1制振部材31Aは、制振用リニアモータ30Aからの駆動力によってY方向(第2方向)に沿って直線的に移動する。なお、制振用リニアモータ30A,30Bが移動する向きと第2リニアモータ122が移動する向きとは逆向きである。
【0042】
図5Aは、Y方向における第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度、加速度、及び加加速度の指令値の一例を示すグラフである。
図5Bは、Y方向における第1移動体1Aの実際の速度、加速度、及び加加速度の変化の一例を示すグラフである。第1移動体1Aの速度が変化している点P1~点P2の区間、及び点P3~点P4の区間において、
図5Aでは速度が線形に変化しているのに対して、
図5Bでは、一次遅れ要素の応答遅れによって非線形に変化している。なお、点P1~点P4は、第1移動体1Aの加速度が変化する加加速度点(以下、「第1~第4加加速度点P1~P4」ともいう)である。つまり、第1軸部材12Aは、第1開始時間t11(後述する)と第1完了時間t12(後述する)とで規定される第1移動期間T1(後述する)において、複数の加加速度点P1~P4で加速度が変化するように構成されている。
【0043】
(3)動作
次に、本実施形態に係る第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの動作について、
図6A~
図7Cを参照して説明する。ただし、第1制振ユニット3Aの動作と第2制振ユニット3Bの動作は同様であるため、ここでは第1制振ユニット3Aの動作についてのみ説明し、第2制振ユニット3Bの動作については説明を省略する。第2制振ユニット3Bについては、以下の説明において、「第1制振ユニット3A」を「第2制振ユニット3B」に、「第1制振部材31A」を「第2制振部材31B」に、「第1保持部材2A」を「第2保持部材2B」に読み替えるだけでよい。
【0044】
以下の説明では、第1移動体1Aの質量をM1、第1移動体1Aの加速度をA1、第1移動体1Aの速度をV1とする。また、第1制振部材31Aの質量をMc、第1制振部材31Aの加速度をAc、第1制振部材31Aの速度をVcとする。
【0045】
ところで、第1移動体1Aの移動時において第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減するためには、第1移動体1Aを進行方向に移動させるための第1推力F1と反対向きの第2推力(カウンタ推力)F2を、第1制振部材31Aによって発生させる必要がある。第1推力F1は、第1移動体1Aの質量M1と、第1移動体1Aの加速度A1とで求められる(F1=M1×A1)。第2推力Fcは、第1制振部材31Aの質量Mcと、第1制振部材31Aの加速度Acとで求められる(F2=Mc×Ac)。したがって、第1制振部材31Aについて、質量Mcと加速度Acとの少なくとも一方を調節することによって、第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減することが可能になる。
【0046】
また、上述の第1~第4加加速度点P1~P4では、第1移動体1Aの加速度の変化に伴って第1推力F1も変化しており、第1保持部材2Aに与える衝撃が大きい。そのため、第1保持部材2Aに発生する機械振動への影響も大きく、第1~第4加加速度点P1~P4において第2推力Fcによる衝撃を与えることがより効果的である。この場合、第1~第4加加速度点P1~P4のすべてで第2推力Fcによる衝撃を与えることが最も好ましいが、第1~第4加加速度点P1~P4のうちの2点で第2推力Fcによる衝撃を与えてもよい。特に、第1移動体1Aの移動を開始する第1加加速度点P1、及び第1移動体1Aの移動が完了する第4加加速度点P4において発生する第1推力F1による衝撃が相対的に大きいため、これらの点において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させるのがよい。つまり、第1制振部材31Aは、第1~第4加加速度点P1~P4のうち少なくとも1つの加加速度点において発生する振動(機械振動)を制振するように構成されていることが好ましい。以下、各動作例について説明する。
【0047】
以下の各動作例では、第1移動体1A(第1軸部材12A)の移動を開始する第1開始時間t11と、第1制振部材31Aの移動を開始する第2開始時間t21とを一致させている。さらに、第1移動体1Aの移動が完了する第1完了時間t21と、第1制振部材31Aの移動が完了する第2完了時間t22とを一致させている。つまり、各動作例では、第1開始時間t11と第1完了時間t12とで規定される第1移動期間T1と、第2開始時間t21と第2完了時間t22とで規定される第2移動期間Tcとを一致させている。
【0048】
(3.1)第1動作例
まず、第1制振ユニット3Aの第1動作例について、
図6Aを参照して説明する。
図6Aの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図6Aの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0049】
第1動作例では、第1移動体1Aの質量M1と、第1制振部材31Aの質量Mcとが等しい。また、第1移動体1Aの速度V1と、第1制振部材31Aの速度Vcとが等しく、その大きさは、例えば0.544m/sである。さらに、第1移動体1Aの加速度A1と、第1制振部材31Aの加速度Acとが等しく、その大きさは、例えば3Gである。ただし、第1移動体1Aの速度V1が正の値であるのに対して、第1制振部材31Aの速度Vcは負の値になっている。つまり、第1移動体1Aが移動する向きと第1制振部材31Aが移動する向きとは逆向きである。
【0050】
そして、第1動作例では、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しく、かつ第1移動体1Aの加速度A1と第1制振部材31Aの加速度Acとが等しい。つまり、第1推力F1と第2推力Fcとの大きさが等しく、かつ第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが逆向きである。さらに、第1動作例では、第1完了時間t12と第2完了時間t22とを一致させ、かつ第1移動期間T1と第2移動期間Tcとを一致させている。そのため、第1動作例では、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制動効果が大きくなるという利点がある。
【0051】
また、第1動作例では、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4(
図6Aでは、加加速度点P2と加加速度点P3とが一致)において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0052】
ここで、第1動作例では、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcが共に、例えば0.037secである。そのため、第1移動体1A、及び第1制振部材31Aの各々の移動距離は、0.037sec×0.544m/sec×1/2=0.01mとなる。
【0053】
図6Aの下段のグラフは、第1制振部材31Aの加速度Acを1.5Gとした場合の速度変化を示すグラフである。この場合、第1制振部材31Aの速度Vcの大きさは0.272m/secとなる。ただし、第1制振部材31Aの速度Vcは負の値であるため、第1移動体1Aが移動する向きと第1制振部材31Aが移動する向きとは逆向きである。また、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcは共に0.037secであるため、第1制振部材31Aの移動距離は、0.037sec×0.272m/sec×1/2=0.005mとなる。つまり、第1制振部材31Aの移動距離は、
図6Aの中段のグラフの場合の半分になる。
【0054】
この場合、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しいため、
図6Aの中段のグラフの場合に比べて、第2推力Fcの大きさが半分になる。そのため、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制振効果は小さくなる。一方、第1制振部材31Aの移動距離は短くなっており、そのため第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0055】
この場合においても、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4(
図6Aでは、加加速度点P2と加加速度点P3とが一致)において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0056】
(3.2)第2動作例
次に、第1制振ユニット3Aの第2動作例について、
図6Bを参照して説明する。
図6Bの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図6Bの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0057】
第2動作例では、第1動作例に比べて、第1移動体1Aの速度V1、及び第1制振部材31Aの速度Vcを大きくしている。さらに、第2動作例では、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcを長くしている。その結果、第1移動体1A及び第1制振部材31Aの各々の移動距離も長くなっている。
【0058】
第2動作例では、第1移動体1Aの速度V1及び第1制振部材31Aの速度Vcの各々の大きさは、例えば3m/secであり、その向きは逆向きである。また、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.204secである。したがって、第1移動体1A及び第1制振部材31Aの各々の移動距離は、0.204sec×3m/sec×1/2=0.306mとなる。
【0059】
第2動作例においても、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しく、かつ第1移動体1Aの加速度A1と第1制振部材31Aの加速度Acとが等しい。つまり、第1推力F1と第2推力Fcとの大きさが等しく、かつ第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが逆向きである。さらに、第1完了時間t12と第2完了時間t22とを一致させ、かつ第1移動期間T1と第2移動期間Tcとを一致させている。そのため、第2動作例では、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制振効果が大きくなるという利点がある。
【0060】
また、第2動作例では、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4(
図6Bでは、加加速度点P2と加加速度点P3とが一致)において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0061】
図6Bの下段のグラフは、第1制振部材31Aの加速度Acを1.5Gとした場合の速度変化を示すグラフである。この場合、第1制振部材31Aの速度Vcの大きさは1.5m/secとなる。ただし、第1制振部材31Aの速度Vcは負の値であるため、第1移動体1Aが移動する向きと第1制振部材31Aが移動する向きとは逆向きになる。また、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.204secである。したがって、第1制振部材31Aの移動距離は、0.204sec×1.5m/sec×1/2=0.153mとなる。つまり、第1制振部材31Aの移動距離は、
図6Bの中段のグラフの場合の半分になる。
【0062】
この場合、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しいため、
図6Bの中段のグラフの場合に比べて、第2推力Fcの大きさが半分になる。そのため、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制振効果は小さくなる。一方、第1制振部材31Aの移動距離は短くなっており、そのため第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0063】
この場合においても、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4(
図6Bでは、加加速度点P2と加加速度点P3とが一致)において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0064】
(3.3)第3動作例
次に、第1制振ユニット3Aの第3動作例について、
図6Cを参照して説明する。
図6Cの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図6Cの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0065】
第3動作例では、第2動作例に比べて、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcが長くなっている。そのため、第3動作例では、第1移動体1Aの速度V1、及び第1制振部材31Aの速度Vcが一定(低速)となる期間(第2~第3加加速度点P2~P3の期間)がある(
図6Cの上段のグラフ参照)。
【0066】
第3動作例では、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.2688secである。したがって、第1移動体1A及び第1制振部材31Aの各々の移動距離は、{(0.2688sec-0.204sec)+0.2688sec}×3m/sec×1/2=0.5mとなる。
【0067】
第3動作例においても、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しく、かつ第1移動体1Aの加速度A1と第1制振部材31Aの加速度Acとが等しい。つまり、第1推力F1と第2推力Fcとの大きさが等しく、かつ第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが逆向きである。さらに、第1完了時間t12と第2完了時間t22とを一致させ、かつ第1移動期間T1と第2移動期間Tcとを一致させている。そのため、第2動作例では、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制振効果が大きくなるという利点がある。
【0068】
また、第3動作例では、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0069】
図6Cの下段のグラフは、第1制振部材31Aの加速度Acを1.5Gとした場合の速度変化を示すグラフである。この場合、第1制振部材31Aの速度Vcの大きさは1.976m/secとなる。ただし、第1制振部材31Aの速度Vcは負の値であるため、第1移動体1Aが移動する向きと第1制振部材31Aが移動する向きとは逆向きになる。また、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は0.2688secである。したがって、第1制振部材31Aの移動距離は、0.2688sec×1.976m/sec×1/2=0.2655mとなる。つまり、第1制振部材31Aの移動距離は、
図6Cの中段のグラフの場合の半分程度になる。
【0070】
この場合、第1移動体1Aの質量M1と第1制振部材31Aの質量Mcとが等しいため、
図6Cの中段のグラフの場合に比べて、第2推力Fcの大きさが半分になる。そのため、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動の制振効果は小さくなる。一方、第1制振部材31Aの移動距離は短くなっており、そのため第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0071】
また、この場合では、第1移動体1Aの加速度A1が変化する第1~第4加加速度点P1~P4のうち第1、第4加加速度点P1,P4において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を発生させている。そのため、第1、第4加加速度点P1,P4において第1保持部材2Aに発生する機械振動についても低減することができる。
【0072】
(3.4)第4動作例
次に、第1制振ユニット3Aの第4動作例について、
図7Aを参照して説明する。
図7Aの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図7Aの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0073】
第4動作例では、第1移動体1Aの質量M1が第1制振部材31Aの質量Mcよりも大きく、かつ第1制振部材31Aの加速度Acが第1移動体1Aの加速度A1よりも大きくなっている点で第1~第3動作例と異なっている。具体的には、第1移動体1Aの加速度A1は、例えば3Gであり、第1制振部材31Aの加速度Acは、例えば6Gである。また、第1移動体1Aの速度V1は、例えば0.544m/secであり、第1制振部材31Aの速度Vcは、例えば0.3186m/secである。そして、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.037secである。この場合、第1制振部材31Aの移動距離は0.01mとなる。
【0074】
第4動作例では、第1~第4加加速度点P1~P4のうち、第1移動体1Aの動作開始点である第1加加速度点P1と、第1移動体1Aの動作完了点である第4加加速度点P4において、第1推力F1による衝撃を低減するように構成されている。なお、
図7Aでは、第2加加速度点P2と第3加加速度点P3とが一致している。ここで、第1推力F1による衝撃は、上述したように、第1移動体1Aの動作開始時及び動作完了時に相対的に大きくなることが分かっている。そのため、第1~第4加加速度点P1~P4のうち、第1加加速度点P1及び第4加加速度点P4において第2推力Fcによる逆向きの衝撃を与えることで、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0075】
図7Aの下段のグラフは、第1制振部材31Aの別の動作例を示すグラフである。
図7Aの中段のグラフの場合、第1、第4加加速度点P1,P4において第1推力F1による衝撃を低減しているが、
図7Aの下段のグラフの場合には、第2、第3加加速度点P2,P3において第1推力F1による衝撃を低減するように構成されている。なお、
図7Aでは、第2加加速度点P2と第3加加速度点P3とが一致している。ただし、この場合には、第3加加速度点P3~第4加加速度点P4の期間において、第1制振部材31Aが第1移動体1Aと同じ向きに移動しているため、第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが同じ向きになっている。そのため、上記期間では、第2推力Fcが大きくならないように、第1制振部材31Aの速度Vcを徐々に変化させることが好ましい。
【0076】
また、この場合、第1制振部材31Aは、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きに移動した後、第1移動体1Aが移動する向きと同じ向きに移動しており、第2完了時間t22においては元の位置(初期位置)に戻っている。そのため、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きにのみ第1制振部材31Aを移動させる場合に比べて、第1制振部材31Aの移動距離(ストローク)が短くてすみ、第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0077】
(3.5)第5動作例
次に、第1制振ユニット3Aの第5動作例について、
図7Bを参照して説明する。
図7Bの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図7Bの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0078】
第5動作例では、第4動作例に比べて、第1移動体1Aの速度V1、及び第1制振部材31Aの速度Vcを大きくしている。さらに、第5動作例では、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcを長くしている。その結果、第1移動体1A及び第1制振部材31Aの各々の移動距離も長くなっている。
【0079】
第5動作例では、第1移動体1Aの速度V1は、例えば3m/secであり、第1制振部材31Aの速度Vcは、例えば1.758m/secである。また、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.204secである。この場合、第1制振部材31Aの移動距離は0.306mとなる。
【0080】
第5動作例においても、第1~第4加加速度点P1~P4のうち、第1移動体1Aの動作開始点である第1加加速度点P1と、第1移動体1Aの動作完了点である第4加加速度点P4において、第1推力F1による衝撃を低減している。なお、
図7Bでは、第2加加速度点P2と第3加加速度点P3とが一致している。したがって、第5動作例においても、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0081】
図7Bの下段のグラフは、第1制振部材31Aの別の動作例を示すグラフである。
図7Bの中段のグラフの場合、第1、第4加加速度点P1,P4において第1推力F1による衝撃を低減しているが、
図7Bの下段のグラフの場合には、第2、第3加加速度点P2,P3において第1推力F1による衝撃を低減するように構成されている。なお、
図7Aでは、第2加加速度点P2と第3加加速度点P3とが一致している。ただし、この場合には、第3加加速度点P3~第4加加速度点P4の期間において、第1制振部材31Aが第1移動体1Aと同じ向きに移動しているため、第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが同じ向きになっている。そのため、上記期間では、第2推力Fcが大きくならないように、第1制振部材31Aの速度Vcを徐々に変化させることが好ましい。
【0082】
また、この場合、第1制振部材31Aは、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きに移動した後、第1移動体1Aが移動する向きと同じ向きに移動しており、第2完了時間t22においては元の位置(初期位置)に戻っている。そのため、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きにのみ第1制振部材31Aを移動させる場合に比べて、第1制振部材31Aの移動距離(ストローク)が短くてすみ、第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0083】
(3.6)第6動作例
次に、第1制振ユニット3Aの第6動作例について、
図7Cを参照して説明する。
図7Cの上段のグラフは、第1移動体1A(第1軸部材12A)の速度変化を示すグラフである。
図7Cの中段のグラフは、第1制振ユニット3Aの第1制振部材31Aの速度変化を示すグラフである。
【0084】
第6動作例では、第5動作例に比べて、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcが長くなっている。そのため、第6動作例では、第1移動体1Aの速度V1が一定(低速)となる期間(第2加加速度点P2~第3加加速度点P3の期間)がある(
図7Cの上段のグラフ参照)。
【0085】
第6動作例では、第1移動期間T1及び第2移動期間Tcの各々は、例えば0.2688secである。また、第6動作例では、第1制振部材31Aの加速度Acが、例えば6Gであり、第1制振部材31Aの速度Vcが、例えば2.155m/secである。この場合、第1制振部材31Aの移動距離は0.5mとなる。
【0086】
第6動作例においても、第1~第4加加速度点P1~P4のうち、第1移動体1Aの動作開始点である第1加加速度点P1と、第1移動体1Aの動作完了点である第4加加速度点P4において、第1推力F1による衝撃を低減している。したがって、第6動作例においても、第1移動体1Aの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0087】
図7Cの下段のグラフは、第1制振部材31Aの別の動作例を示すグラフである。
図7Cの中段のグラフの場合、第1、第4加加速度点P1,P4において第1推力F1による衝撃を低減しているが、
図7Cの下段のグラフの場合には、第2、第3加加速度点P2,P3において第1推力F1による衝撃を低減している。ただし、この場合には、第3加加速度点P3~第4加加速度点P4の期間において、第1制振部材31Aが第1移動体1Aと同じ向きに移動しているため、第1推力F1の向きと第2推力Fcの向きとが同じ向きになっている。そのため、上記期間では、第2推力Fcが大きくならないように、第1制振部材31Aの速度Vcを徐々に変化させることが好ましい。
【0088】
また、この場合、第1制振部材31Aは、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きに移動した後、第1移動体1Aが移動する向きと同じ向きに移動しており、第2完了時間t22においては元の位置(初期位置)に戻っている。そのため、第1移動体1Aが移動する向きとは逆向きにのみ第1制振部材31Aを移動させる場合に比べて、第1制振部材31Aの移動距離(ストローク)が短くてすみ、第1制振ユニット3Aを小型化することができる。
【0089】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、作業装置10の第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bと同様の機能は、制振方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。
【0090】
一態様に係る制振方法では、第1軸部材12A(軸部材)を第2方向に沿って移動させる際に、第1軸部材12Aの動作に連動して第2方向に沿って第1制振部材31A(制振部材)を移動させる。第1軸部材12Aは、所定の作業(実施形態1では、実装作業)を行う第1実装部11A(作業部)が第1方向に沿って移動可能な状態で第1実装部11Aを保持する。第2方向は、第1方向と交差する方向である。
【0091】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0092】
本開示における作業装置10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における作業装置10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0093】
作業装置10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは作業装置10に必須の構成ではなく、作業装置10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、作業装置10の少なくとも一部の機能(例えば、制御回路110)がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0094】
(4.1)変形例1
実施形態1では、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの各々が、制振用リニアモータ30A,30Bを備えている。これに対して、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの各々は、偏心モータ30Cを備えていてもよい。偏心モータ30Cは、
図3Bに示すように、モータ33と、偏心用錘34と、を有している。偏心用錘34は、モータ33の回転軸に取り付けられている。
【0095】
変形例1に係る第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの各々では、偏心モータ30Cを回転させることで発生する力のうち、Y方向に作用する力を第2推力Fcとして利用する。この構成によれば、第1制振部材31A及び第2制振部材31Bの各々を直進移動させる場合に比べて、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの各々を小型化することができる。
【0096】
(4.2)変形例2
作業装置10は、
図8Aに示すように、第2移動体1Bを更に備えていてもよい。言い換えると、作業装置10は、移動体としての第1移動体1Aとは異なる第2移動体1Bを更に備えていてもよい。以下、変形例2に係る作業装置10について、
図8A及び
図9を参照して説明する。なお、変形例2に係る作業装置10は、第2移動体1Bを備えている点を除いて、実施形態1に係る作業装置10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0097】
変形例2に係る作業装置10は、第1移動体1Aと、第1保持部材2Aと、第2保持部材2Bと、複数(
図8Aでは2つ)の第1制振ユニット3Aと、複数(
図8Aでは2つ)の第2制振ユニット3Bと、装置本体4と、を備えている。また、作業装置10は、第2移動体1Bを更に備えている。
【0098】
第2移動体1Bは、
図9に示すように、第2実装部11Bと、第2軸部材12Bと、を有している。第2実装部11Bは、第2吸着ノズル13Bを含む。言い換えると、第2移動体1Bは、第1実装部11Aとは異なる第2実装部11B、及び第1軸部材12Aとは異なり、第2実装部11Bが第1方向(X方向)に沿って移動可能な状態で第2実装部11Bを保持する第2軸部材12Bを有する。
【0099】
第2実装部11Bは、第1リニアモータ121(
図4参照)からの駆動力によって、第2軸部材12Bに沿ってX方向に移動可能である。第2軸部材12Bは、第2リニアモータ122(
図4参照)からの駆動力によって、第1保持部材2A及び第2保持部材2Bに沿ってY方向に移動可能である。
【0100】
変形例2に係る作業装置10では、
図8Aに示すように、複数の第1制振ユニット3Aは、Y方向における第1保持部材2Aの両端部にそれぞれ位置している。また、複数の第2制振ユニット3Bは、Y方向における第2保持部材2Bの両端部にそれぞれ位置している。一方(
図8A中の下側)の第1制振ユニット3A及び一方(
図8A中の下側)の第2制振ユニット3Bは、第1移動体(第1軸部材12A)に対応している。また、他方(
図8A中の上側)の第1制振ユニット3A及び他方(
図8A中の上側)の第2制振ユニット3Bは、第2移動体1B(第2軸部材12B)に対応している。
【0101】
変形例2に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、複数の第1制振部材31A及び複数の第2制振部材31Bのすべてを動作させてもよいし、少なくとも1つを動作させてもよい。一例として、第1移動体1Aを動作させる場合には、対応する一方の第1制振部材31A及び第2制振部材31Bを動作させ、第2移動体1Bを動作させる場合には、対応する他方の第1制振部材31A及び第2制振部材31Bを動作させる。これにより、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時に第1保持部材2A及び第2保持部材2Bに発生する機械振動を低減することができる。
【0102】
(4.3)変形例3
図8Bに示すように、Y方向における第1保持部材2Aの一端部に第1制振ユニット3Aを配置し、Y方向における第2保持部材2Bの他端部に第2制振ユニット3Bを配置してもよい。以下、変形例3に係る作業装置10について、
図8Bを参照して説明する。なお、変形例3に係る作業装置10は、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの配置を除いて、変形例2に係る作業装置10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
変形例3に係る作業装置10は、
図8Bに示すように、第1移動体1Aと、第2移動体1Bと、第1保持部材2Aと、第2保持部材2Bと、第1制振ユニット3Aと、第2制振ユニット3Bと、装置本体4と、を備えている。
【0104】
第1制振ユニット3Aは、Y方向における第1保持部材2Aの一端部、つまり第1移動体1A側の端部に位置している。第2制振ユニット3Bは、Y方向における第2保持部材2Bの他端部、つまり第2移動体1B側の端部に位置している。言い換えると、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bは、床面300に設置された作業装置10を上方から見て、対角線上に位置している。
【0105】
変形例3に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの両方を動作させてもよい。また、第1移動体1Aの動作時に第1制振ユニット3Aのみを動作させ、第2移動体1Bの動作時に第2制振ユニット3Bのみを動作させてもよいし、その逆であってもよい。
【0106】
変形例3に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの少なくとも一方を動作させることになる。そのため、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動及び第2保持部材2Bに発生する機械振動の少なくとも一方を低減することができる。
【0107】
なお、
図8Bにおいて、第1制振ユニット3Aと第2制振ユニット3Bとの配置が逆であってもよい。
【0108】
(4.4)変形例4
図8Cに示すように、Y方向における第1保持部材2Aの中央部に第1制振ユニット3Aを配置し、Y方向における第2保持部材2Bの中央部に第2制振ユニット3Bを配置してもよい。以下、変形例4に係る作業装置10について、
図8Cを参照して説明する。なお、変形例4に係る作業装置10は、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの配置を除いて、変形例2に係る作業装置10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
変形例4に係る作業装置10は、
図8Cに示すように、第1移動体1Aと、第2移動体1Bと、第1保持部材2Aと、第2保持部材2Bと、第1制振ユニット3Aと、第2制振ユニット3Bと、装置本体4と、を備えている。
【0110】
第1制振ユニット3Aは、Y方向における第1保持部材2Aの中央部に位置している。第2制振ユニット3Bは、Y方向における第2保持部材2Bの中央部に位置している。
【0111】
変形例4に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの両方を動作させてもよい。また、第1移動体1Aの動作時に第1制振ユニット3Aのみを動作させ、第2移動体1Bの動作時に第2制振ユニット3Bのみを動作させてもよいし、その逆であってもよい。
【0112】
変形例4に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、第1制振ユニット3A及び第2制振ユニット3Bの少なくとも一方を動作させることになる。そのため、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動及び第2保持部材2Bに発生する機械振動の少なくとも一方を低減することができる。
【0113】
(4.5)変形例5
作業装置10は、
図8Dに示すように、複数の第1移動体1Aと、複数の第2移動体1Bと、を備えていてもよい。以下、変形例5に係る作業装置10について、
図8Dを参照して説明する。なお、変形例5に係る作業装置10は、複数の第1移動体1A及び複数の第2移動体1Bを備えている点を除いて、変形例2に係る作業装置10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
変形例5に係る作業装置10は、複数(
図8Dでは2つ)の第1移動体1Aと、複数(
図8Dでは2つ)の第2移動体1Bと、第1保持部材2Aと、第2保持部材2Bと、を備えている。さらに、作業装置10は、複数(
図8Dでは2つ)の第1制振ユニット3Aと、複数(
図8Dでは2つ)の第2制振ユニット3Bと、装置本体4と、を備えている。
【0115】
複数の第1移動体1Aの一方、及び複数の第2移動体1Bの一方は、第1保持部材2Aに保持されている。これらの第1移動体1A及び第2移動体1Bは、X方向の一端部(
図8Dの右端部)において第1保持部材2Aに保持されている。複数の第1移動体1Aの他方、及び複数の第2移動体1Bの他方は、第2保持部材2Bに保持されている。これらの第1移動体1A及び第2移動体1Bは、X方向の他端部(
図8Dの左端部)において第2保持部材2Bに保持されている。
【0116】
複数の第1制振ユニット3Aは、Y方向における第1保持部材2Aの両端部にそれぞれ位置している。複数の第2制振ユニット3Bは、Y方向における第2保持部材2Bの両端部にそれぞれ位置している。
【0117】
変形例5に係る作業装置10では、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時において、複数の第1制振ユニット3A及び複数の第2制振ユニット3Bのうち、少なくとも1つの制振ユニットを動作させる。これにより、第1移動体1A又は第2移動体1Bの動作時に第1保持部材2Aに発生する機械振動、及び第2保持部材2Bに発生する機械振動のうち少なくとも一方の機械振動を低減することができる。
【0118】
(4.6)その他の変形例
以下、実施形態1のその他の変形例を列挙する。
【0119】
実施形態1に係る作業装置10は、第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの両方を備えているが、少なくとも第1保持部材2Aを備えていればよい。つまり、第2保持部材2Bについては省略されていてもよい。この場合、第2保持部材2Bに取り付けられている第2制振ユニット3Bについても省略することができる。
【0120】
実施形態1に係る作業装置10は、第1対象物100に第2対象物200を実装する部品実装機であるが、作業装置10は、部品実装機に限らず、例えば第1対象物100にはんだ、導電性接着剤等を塗布する塗布機であってもよい。また、作業装置10は、第1対象物100に導電性パターン等を印刷する印刷機であってもよい。
【0121】
実施形態1に係る作業装置10では、第1制振ユニット3Aが第1保持部材2Aの上面に配置されているが、第1制振ユニット3Aは、第1保持部材2Aの側面に配置されていてもよいし、第1保持部材2A内に配置されていてもよい。特に、第1制振ユニット3Aが第1保持部材2A内に配置されている場合には、振動源である第1軸部材12Aに近くなるので、第1保持部材2Aに発生する機械振動をより効果的に低減することができる。第2制振ユニット3Bについても同様である。
【0122】
実施形態1に係る作業装置10では、コイルを含む第1固定子32Aを第1保持部材2Aに固定し、第1固定子32Aに対して第1制振部材31Aを可動させている。これに対して、第1制振部材31Aを第1保持部材2Aに固定し、第1制振部材31Aに対して第1固定子32Aを可動させてもよい。また、第2制振ユニット3Bについても同様である。
【0123】
さらに、実施形態1に係る作業装置10では、シャフト311が挿通される第1固定子32A側にコイルを設けているが、シャフト311側にコイルを設けてもよい。この場合、第1固定子32A内に複数の永久磁石(マグネット)を収納することになる。また、第2制振ユニット3Bについても同様である。
【0124】
実施形態1に係る作業装置10では、Y方向に並ぶ2つの保持部材(第1保持部材2A及び第2保持部材2B)を備えているが、作業装置10は、Y方向に並ぶ3つ以上の保持部材を備えていてもよい。
【0125】
(実施形態2)
実施形態2に係る作業装置10Aは、第1実装部11Aの動作時において第1軸部材12Aに発生する機械振動を低減するために、第1軸部材12Aに取り付けられる実装部用制振ユニット6を備えている点で、実施形態1に係る作業装置10と相違している。なお、それ以外の構成については、実施形態1に係る作業装置10と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0126】
実施形態2に係る作業装置10Aは、
図10に示すように、第1移動体1A(移動体)と、第1保持部材2A(保持部材)と、第2保持部材2Bと、第1制振ユニット3A(制振ユニット)と、第2制振ユニット3Bと、装置本体4と、を備えている。また、作業装置10は、実装部用制振ユニット6を更に備えている。
【0127】
実装部用制振ユニット6は、第3可動子としての実装部用制振部材61と、第3固定子62と、を有している。実装部用制振部材61は、シャフト611と、複数(
図10では2つ)の錘612と、を含む。シャフト611は、一方向に長い円筒状に形成されている。シャフト611の内部には、上記一方向に沿って積層された複数の永久磁石(マグネット)が収納されている。複数の錘612は、シャフト611の長手方向の両端部にそれぞれ固定されている。実装部用制振部材61の質量は、シャフト611の質量と複数の錘612の質量とを合わせた質量である。そのため、複数の錘612の質量を変えることによって、実装部用制振部材61の質量を調節することができる。
【0128】
第3固定子62は、一方向に長い角筒状に形成されている。第3固定子62は、一方向に沿って貫通する貫通孔を有している。この貫通孔は、実装部用制振部材61のシャフト611が挿通可能な大きさに形成されている。第3固定子62の内部には、第3固定子62の長手方向(一方向)に沿って巻かれた巻線からなるコイルが収納されている。
【0129】
実装部用制振ユニット6は、
図10に示すように、第3固定子62において第1軸部材12Aに固定されており、少なくとも第3固定子62において第1軸部材12Aに接している。
【0130】
実装部用制振ユニット6では、第3固定子62のコイルに励磁電流を流すと、コイルと永久磁石との間に電磁力が作用し、この電磁力によって生じる推進力にて実装部用制振部材(第3可動子)61が直進移動する。
【0131】
実施形態2に係る作業装置10Aでは、第1実装部11Aの動作に連動してX方向(第1方向)に沿って実装部用制振部材61を移動させている。その結果、第1実装部11Aの動作時において第1軸部材12Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0132】
ところで、上述のように、実装部用制振ユニット6を第1軸部材12Aに取り付けた場合には、第1移動体1Aの質量が増加することになり、第1移動体1Aの動作時における第1保持部材2A及び第2保持部材2Bの負荷が大きくなる。そのため、第1保持部材2A及び第2保持部材2Bへの負荷が大きくならないように、実装部用制振ユニット6を連結部材7に取り付けることが好ましい(
図11参照)。連結部材7は、第1保持部材2Aと第2保持部材2Bとを端部同士で連結する部材である。
【0133】
この場合においても、実装部用制振ユニット6にて発生させた推力を、連結部材7を介して第1軸部材12Aに伝達することで、第1実装部11Aの動作時に第1軸部材12Aに発生する機械振動を低減することができる。
【0134】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、移動体としての第1移動体(1A)と、保持部材としての第1保持部材(2A)と、制振ユニットとしての第1制振ユニット(3A)と、を備える。第1移動体(1A)は、実装部としての第1実装部(11A)、及び軸部材としての第1軸部材(12A)を有する。第1実装部(11A)は、第1対象物(100)に第2対象物(200)を実装する。第1軸部材(12A)は、第1実装部(11A)が第1方向(例えば、X方向)に沿って移動可能な状態で第1実装部(11A)を保持する。第1保持部材(2A)は、第1軸部材(12A)が第1方向と交差する第2方向(例えば、Y方向)に沿って移動可能な状態で第1軸部材(12A)を保持する。第1制振ユニット(3A)は、制振部材としての第1制振部材(31A)を含み、少なくとも一部が第1保持部材(2A)に接している。第1制振部材(31A)は、第1軸部材(12A)の動作に連動して第2方向に沿って移動する。
【0135】
この態様によれば、第1制振部材(31A)によって、第1移動体(1A)の動作時に第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0136】
第2の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第1の態様において、第1保持部材(2A)は、床面(300)に固定された装置本体(4)に取り付けられている。第1制振ユニット(3A)は、床面(300)側から見て、第1保持部材(2A)における床面(300)から遠い側の端部に位置している。
【0137】
この態様によれば、第1制振ユニット(3A)によるモーメント力を大きくすることができる。
【0138】
第3の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第2の態様において、第1制振ユニット(3A)は、第2方向における第1保持部材(2A)の端部に位置している。
【0139】
この態様によれば、第1保持部材(2A)に取り付けられている他の部材(例えば、ケーブルベア(登録商標)5)の邪魔になりにくいという利点がある。
【0140】
第4の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第1~3のいずれかの態様において、第1方向における第1制振ユニット(3A)の幅寸法(H1)は、第1方向における第1保持部材(2A)の幅寸法(H2)以下である。
【0141】
この態様によれば、作業装置(10;10A;10B)の大型化を抑えることができる。
【0142】
第5の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第1~4のいずれかの態様において、第1制振ユニット(3A)は、制振用リニアモータ(30A)を更に含む。制振用リニアモータ(30A)は、第1制振部材(31A)を駆動する。
【0143】
この態様によれば、第1制振ユニット(3A)を小型化することができる。
【0144】
第6の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第5の態様において、第1制振部材(31A)は、制振用リニアモータ(30A)からの駆動力によって第2方向に沿って直線的に移動する。
【0145】
この態様によれば、第1移動体(1A)の動作によって第1保持部材(2A)に発生する機械振動をより効果的に低減することができる。
【0146】
第7の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、第1~6のいずれかの態様において、第2保持部材(2B)を更に備える。第2保持部材(2B)は、保持部材としての第1保持部材(2A)と共に、第1軸部材(12A)が第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材(12A)を保持する。第1保持部材(2A)は、第1方向における第1軸部材(12A)の一端部を保持する。第2保持部材(2B)は、第1方向における第1軸部材(12A)の他端部を保持する。
【0147】
この態様によれば、第1保持部材(2A)のみで第1軸部材(12A)を保持する場合に比べて強固に保持することができる。
【0148】
第8の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、第7の態様において、第2制振ユニット(3B)を更に備える。第2制振ユニット(3B)は、制振ユニットとしての第1制振ユニット(3A)とは異なる。第2制振ユニット(3B)は、第2制振部材(31B)を含み、少なくとも一部が第2保持部材(2B)に接している。第2制振部材(31B)は、制振部材としての第1制振部材(31A)とは異なり、第1軸部材(12A)の動作に連動して第2方向に沿って移動する。
【0149】
この態様によれば、第1保持部材(2A)のみに第1制振ユニット(3A)が接している場合に比べて、より効果的に機械振動を低減することができる。
【0150】
第9の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、第1~8のいずれかの態様において、第2移動体(1B)と、第2制振ユニット(3B)と、を更に備える。第2移動体(1B)は、第2実装部(11B)、及び第2軸部材(12B)を有する。第2実装部(11B)は、実装部としての第1実装部(11A)とは異なる。第2軸部材(12B)は、軸部材としての第1軸部材(12A)とは異なり、第2実装部(11B)が第1方向に沿って移動可能な状態で第2実装部(11B)を保持する。第2移動体(1B)は、移動体としての第1移動体(1A)とは異なる。第2制振ユニット(3B)は、第2制振部材(31B)を含む。第2制振部材(31B)は、制振部材としての第1制振部材(31A)とは異なり、第2軸部材(12B)の動作に連動して第2方向に沿って移動する。第2制振ユニット(3B)は、制振ユニットとしての第1制振ユニット(3A)とは異なる。
【0151】
この態様によれば、第1制振ユニット(3A)のみで制振する場合に比べて、より効果的に機械振動を低減することができる。
【0152】
第10の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、第9の態様において、第2保持部材(2B)を更に備える。第2保持部材(2B)は、保持部材としての第1保持部材(2A)と共に、第1軸部材(12A)及び第2軸部材(12B)が第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材(12A)及び第2軸部材(12B)を保持する。第2制振ユニット(3B)の少なくとも一部が第2保持部材(2B)に接している。
【0153】
この態様によれば、第1保持部材(2A)のみに第1制振ユニット(3A)が接している場合に比べて、より効果的に機械振動を低減することができる。
【0154】
第11の態様に係る作業装置(10A;10B)は、第1~10のいずれかの態様において、実装部用制振ユニット(6)を更に備える。実装部用制振ユニット(6)は、実装部用制振部材(61)を含み、少なくとも一部が第1軸部材(12A)に接している。実装部用制振部材(61)は、第1実装部(11A)の動作に連動して第1方向に沿って移動する。
【0155】
この態様によれば、第1実装部(11A)の動作によって第1軸部材(12A)発生する機械振動についても低減することができる。
【0156】
第12の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第1~11のいずれかの態様において、第1開始時間(t11)と第2開始時間(t21)とが一致し、かつ第1完了時間(t12)と第2完了時間(t22)とが一致している。第1開始時間(t11)は、第1軸部材(12A)の移動を開始する時間である。第2開始時間(t21)は、第1制振部材(31A)の移動を開始する時間である。第1完了時間(t12)は、第1軸部材(12A)の移動が完了する時間である。第2完了時間(t22)は、第1制振部材(31A)の移動が完了する時間である。
【0157】
この態様によれば、第1軸部材(12)の動作によって第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0158】
第13の態様に係る作業装置(10;10A;10B)では、第12の態様において、第1軸部材(12A)は、第1開始時間(t11)と第1完了時間(t12)とで規定される第1移動期間(T1)において、複数の加加速度点(P1~P4)で加速度が変化するように移動する。第1制振部材(31A)は、複数の加加速度点(P1~P4)のうち少なくとも1つの加加速度点(例えば、P4)において発生する振動を制振するように構成されている。
【0159】
この態様によれば、第1軸部材(12)の動作によって第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0160】
第14の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、移動体としての第1移動体(1A)と、保持部材としての第1保持部材(2A)と、制振ユニットとしての第1制振ユニット(3A)と、を備える。第1移動体(1A)は、作業部(第1実装部11A)、及び軸部材としての第1軸部材(12A)を有する。作業部は、所定の作業(例えば、基板への部品の実装)を行う。第1軸部材(12A)は、作業部が第1方向に沿って移動可能な状態で作業部を保持する。第1保持部材(2A)は、第1軸部材(12A)が第1方向と交差する第2方向に沿って移動可能な状態で第1軸部材(12A)を保持する。第1制振ユニット(3A)は、制振部材としての第1制振部材(31A)を含み、少なくとも一部が第1保持部材(2A)に接している。第1制振部材(31A)は、第1軸部材(12)の動作に連動して第2方向に沿って移動する。
【0161】
この態様によれば、第1移動体(1A)の動作時に第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0162】
第15の態様に係る作業装置(10;10A;10B)は、移動体としての第1移動体(1A)と、保持部材としての第1保持部材(2A)と、制振ユニットとしての第1制振ユニット(3A)と、を備える。第1保持部材(2A)は、第1移動体(1A)が一の方向(例えば、X方向)に沿って移動可能な状態で第1移動体(1A)を保持する。第1制振ユニット(3A)は、制振部材としての第1制振部材(31A)を含む。第1制振部材(31A)は、第1移動体(1A)の動作に連動して一の方向に沿って移動する。第1保持部材(2A)は、床面(300)に固定された装置本体(4)に固定されている。
【0163】
この態様によれば、第1移動体(1A)の動作時に第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0164】
第16の態様に係る制振ユニット(3)は、第1~15のいずれかの態様に係る作業装置(10;10A;10B)に用いられる。
【0165】
この態様によれば、第1移動体(1A)の動作時に第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0166】
第17の態様に係る制振方法は、軸部材としての第1軸部材(12A)を第1方向と交差する第2方向に沿って移動させる際に、第1軸部材(12A)の動作に連動して第2方向に沿って制振部材としての第1制振部材(31A)を移動させる。第1軸部材(12A)は、所定の作業を行う作業部(第1実装部11A)が第1方向に沿って移動可能な状態で作業部を保持する。
【0167】
この態様によれば、第1移動体(1A)の動作時に第1保持部材(2A)に発生する機械振動を低減することができる。
【0168】
第2~15の態様に係る構成については、作業装置(10;10A;10B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0169】
1A 第1移動体(移動体)
11A 第1実装部(実装部)
12A 第1軸部材(軸部材)
1B 第2移動体
11B 第2実装部
12B 第2軸部材
2A 第1保持部材(保持部材)
2B 第2保持部材
3A 第1制振ユニット(制振ユニット)
31A 第1制振部材(制振部材)
3B 第2制振ユニット
31B 第2制振部材
4 装置本体
6 実装部用制振ユニット
61 実装部用制振部材
10,10A,10B 作業装置
100 第1対象物
200 第2対象物
300 床面
H1,H2 幅寸法
P1~P4 加加速度点
T1 第1移動期間
t11 第1開始時間
t12 第1完了時間
t21 第2開始時間
t22 第2完了時間