(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20231201BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/02
B25F5/00 H
(21)【出願番号】P 2019155014
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山根 剛志
(72)【発明者】
【氏名】中村 敦
(72)【発明者】
【氏名】大川 敦司
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0106490(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0143576(US,A1)
【文献】中国実用新案第201887197(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108346934(CN,A)
【文献】特開2012-157932(JP,A)
【文献】特開2003-017178(JP,A)
【文献】特開2017-087330(JP,A)
【文献】特開2009-196013(JP,A)
【文献】特開2005-169532(JP,A)
【文献】特開2012-190736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B23B1/00-51/14
B23D1/00-81/00
B24B1/00-57/04
B25B1/00-33/00
B25D1/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に孔が形成された筐体内に収容される回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続されるケーブルと、
前記回路基板と前記ケーブルとを電気的に接続するコネクタと、
前記コネクタにおける開口部を覆うカバーと、
を備え、
前記ケーブルはフレキシブルプリント基板であり、
前記カバーは
、ヒンジ部で連結される一対の挟持部を有し、
前記一対の挟持部は、前記ヒンジ部を中心として互いに近づく方向及び離れる方向に移動可能に形成され、
前記一対の挟持部が結合することにより、前記カバーは前記ケーブルの一部を挟み込んで取り付けられ
、
前記カバーに設けたピン部が、前記ケーブルに形成された孔部に差し込まれて前記カバーが前記ケーブルの挿抜方向に位置決めされる、
電動工具。
【請求項2】
前記開口部は、前記孔に通じる空間側に向いている、
請求項
1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記コネクタは、前記回路基板に実装された固定側コネクタを含み、
前記カバーは、前記固定側コネクタの少なくとも一部まで覆う、
請求項
1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記ケーブルは前記コネクタに対して挿抜可能である、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記筐体は、前記孔を含む本体部と、前記回路基板が収容される電池パック取付部と、前記本体部と前記電池パック取付部とをつなぐグリップ部とを含み、
前記本体部と前記電池パック取付部との内部空間は、前記グリップ部を介してつながる、
請求項
1~4のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電動工具に関し、より詳細には、回路基板と、ケーブルと、コネクタ及びカバーを備えている電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動工具が記載されている。この電動工具は、モータと、前記モータを収容するハウジングと、前記ハウジングの内部に配線される電線に対して設けられる電線中間電気構造と、を有している。前記ハウジングの内部には、前記電線中間電気構造を配置させておくための配置部位が設定されており、前記配置部位には、前記電線中間電気構造の周囲のうち前記電線が引き出される方向以外の5方向に、前記ハウジングの内部と該配置部位とを区画する区画部が設けられている。
【0003】
そして、特許文献1に記載された電動工具によれば、区画部がハウジングの内部と配置部位とを区画するので、電線中間電気構造の周囲のうち電線が引き出される方向以外の5方向を閉塞する。これによって、電線の中間部分の電線中間電気構造に対しての水や粉塵の浸入を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、回路基板とケーブルとを電気的に接続するコネクタに異物の侵入を少なくすることができる電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、回路基板と、ケーブルと、コネクタ及びカバーを備える。前記回路基板は、少なくとも一部に孔が形成された筐体内に収容される。前記ケーブルは前記回路基板に電気的に接続される。前記コネクタは前記回路基板と前記ケーブルとを電気的に接続する。前記カバーは前記コネクタにおける開口部を覆う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回路基板とケーブルとを電気的に接続するコネクタに異物の侵入を少なくすることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る電動工具の実施形態1を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上のコネクタとケーブル及びカバーを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上のコネクタとケーブル及びカバーを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上のコネクタとケーブル及びカバーを示す断面図である。
【
図6】
図6は、同上のコネクタとケーブル及びカバーを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7A~Cは、本開示に係る電動工具の実施形態2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
(1)概要
図1に示すように、本実施形態に係る電動工具1は、手持ち型の電動工具であり、例えば、電動ドライバ、電動ドリル、電動レンチ及び電動グラインダ等が挙げられる。
【0010】
本実施形態に係る電動工具1は、回路基板2と、ケーブル3と、コネクタ4及びカバー5を備えている。回路基板2は筐体11内に収容されている。回路基板2は電動工具1の制御を行う制御回路を有している。筐体11は少なくとも一部に孔12が形成されている。孔12は、例えば、筐体11からの空気を排出する排気口として使用されている。また孔12は、例えば、筐体11へ空気を取り入れる吸気口として使用されている。ケーブル3は回路基板2に電気的に接続されている。ケーブル3は、例えば、回路基板2から駆動部101の制御基板へ電気信号を送信する伝送路として使用されている。コネクタ4は回路基板2とケーブル3とを電気的に接続している。カバー5はコネクタ4における開口部41を覆っている。開口部41は、例えば、ケーブル3を挿入する挿入口である。
【0011】
そして、本実施形態に係る電動工具1では、回路基板2とケーブル3とを電気的に接続するコネクタ4に異物の侵入を少なくすることができる、という利点がある。例えば、孔12から筐体11内に入り込んだ鉄粉等の異物が、筐体11内を通じて回路基板2にまで達することがある。そして、異物がコネクタ4内に開口部41から入り込み、コネクタ4内の端子がショートすることによる誤動作が生じることがある。そこで、本実施形態に係る電動工具1では、コネクタ4の開口部41をカバー5で覆うことにより、異物がコネクタ4内に開口部41から入り込みにくくしている。これにより、コネクタ4内の端子がショートすることによる誤動作が生じにくくなる。
【0012】
(2)詳細
(2.1)全体構成
本実施形態に係る電動工具1は、回路基板2と、ケーブル3と、コネクタ4及びカバー5を備える。すなわち、回路基板2と、ケーブル3と、コネクタ4及びカバー5は電動工具1の構成要素である。
【0013】
電動工具1において、回路基板2は、少なくとも一部に孔12が形成された筐体11内に収容される。すなわち、筐体11の一部には厚み方向で貫通する孔12が形成されている。また筐体11は内部に回路基板2を収容している。
【0014】
図1のように、筐体11は、例えば、電気的な絶縁性を有するプラスチックの成形品で形成されている。筐体11は、本体部111と、電池パック取付部112及びグリップ部113とを含む。すなわち、本体部111と、電池パック取付部112及びグリップ部113のそれぞれは、筐体11を部分的に構成している。
【0015】
本体部111は孔12を含む。すなわち、孔12は少なくとも本体部111に形成されている。したがって、孔12は電池パック取付部112及びグリップ部113に形成されていてもよい。孔12は一個であっても複数であってもよい。
【0016】
電池パック取付部112には回路基板2が収容される。すなわち、電池パック取付部112は回路基板2を収容している。電池パック取付部112は電池パック20を取り付ける部分である。電池パック20は電動工具1が動作するための電源となる。電池パック20は、充電式である。例えば、電池パック20は、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。電池パック20は、電池パック20の情報を示す電池情報を通信するための通信用コネクタを備えていてもよい。電池パック20は、電動工具1の構成要素であってもよく、構成要素でなくてもよい。
【0017】
グリップ部113は本体部111と電池パック取付部112とをつなぐ。すなわち、本体部111と電池パック取付部112とは、グリップ部113でつながれている。グリップ部113は、作業者が電動工具1を使用する際又は運搬する際に、手で握る部分である。本体部111と電池パック取付部112との内部空間114は、グリップ部113を介してつながる。すなわち、筐体11には内部空間114が形成されており、内部空間114が本体部111と電池パック取付部112及びグリップ部113にわたって形成されている。つまり、本体部111と電池パック取付部112及びグリップ部113は内部空間114によりつながっている。また本体部111に形成された孔12は内部空間114に通じている。したがって、内部空間114は筐体11の外部の空間と孔12により通じている。孔12は、内部空間114からの空気を排出する排気口として使用されている。また孔12は、内部空間114へ空気を取り入れる吸気口として使用されている。
【0018】
グリップ部113は本体部111から下方に向かって延びている。また電池パック取付部112はグリップ部113の下方に設けられている。電池パック20は電池パック取付部112の下に取り付けられる。なお、本開示では、
図1の状態において、本体部111からのグリップ部113が延びる方向を上下方向として本実施形態を説明する。また本開示では、
図1の状態において、上下方向と直交し、本体部111が延びる方向を前後方向として本実施形態を説明する。また本開示では、
図1の状態において、前後方向及び上下方向と直交する電動工具1の幅方向を左右方向として本実施形態を説明する。上下方向、前後方向及び左右方向は、本実施形態の説明のために、適宜設定したものであり、電動工具1の使用等が各方向に限定されるものではない。
【0019】
電動工具1は、
図2のように、筐体11の内部に、駆動部101、駆動伝達部102と、出力部103と、チャック104、先端工具105、トリガ106及び制御部107とを更に備えている。本実施形態に係る駆動部101は、先端工具105を駆動するためのモータである。すなわち、先端工具(ビットとも言う)105は、駆動部101であるモータの駆動力で駆動する工具である。つまり、駆動部101は、先端工具105を駆動する駆動源である。モータは、例えば、ブラシレスモータである。またモータは、正転と逆転の両方が可能に形成されている。
【0020】
駆動伝達部102は、駆動部101の出力(駆動力)を調整して出力部103に出力する。出力部103は、駆動伝達部102から出力された駆動力で駆動(例えば回転)される部分である。チャック104は、出力部103に固定されており、先端工具105が着脱自在に取り付けられる部分である。先端工具105は、例えば、ドライバ、ソケット又はドリル等である。各種の先端工具105のうち用途に応じた先端工具105が、チャック104に取り付けられる。なお、本実施形態の電動工具1はチャック104を備えることで、先端工具105が、用途に応じて交換可能であるが、先端工具105が交換可能である必要は無い。例えば、本実施形態の電動工具1は、特定の先端工具105のみ用いることができる電動工具であってもよい。
【0021】
駆動部101、駆動伝達部102及び出力部103は、本体部111における内部空間114に収容されている。駆動伝達部102は駆動部101の前方に位置し、出力部103は駆動伝達部102の前方に位置している。チャック104は本体部111の前方に設けられている。
【0022】
トリガ106は、駆動部101の回転を制御するために、使用者からの操作を受け付ける操作部である。トリガ106を引く操作により、駆動部101のオンオフが切替可能である。また、トリガ106を引き込む操作の操作量で、出力部103の回転速度、つまり駆動部101の回転速度が調整可能である。
【0023】
トリガ106はグリップ部113の前方に設けられている。またトリガ106は本体部111の下方に設けられている。トリガ106は、主に、使用者がグリップ部113を握っている手の指で操作される。
【0024】
電池パック取付部112はグリップ部113の下端に設けられている。電池パック取付部112はグリップ部113の周囲に略水平に突出するように形成されている。電池パック取付部112は操作パネル115を有している。操作パネル115は電池パック取付部112の上面に露出して設けられている。操作パネル115は、例えば、電動工具1のモード切り替えの操作が可能なスイッチで形成されている。操作パネル115は電池パック取付部112における内部空間114に収容されている制御部107の回路基板2に電気的に接続されている。電池パック取付部112の下方(底面)には電池パック20が着脱可能に取り付けられる。電池パック取付部112の下方に取り付けられた電池パック20は電池パック取付部112における内部空間114に収容されている制御部107の回路基板2に電気的に接続される。
【0025】
(2.2)制御部
電池パック取付部112における内部空間114には、制御部107が収容されている。制御部107は、トリガ106に入力された操作に応じて、駆動部101を回転又は停止させ、また、駆動部101の回転速度を制御する。本実施形態の電動工具1では、先端工具105がチャック104に取り付けられる。そして、トリガ106への操作によって駆動部101の回転速度が制御されることで、先端工具105の回転速度が制御される。制御部107は、回路基板2、コネクタ4及びケース6を含んでいる。
【0026】
回路基板2は、駆動部101を制御するための制御回路を備えている。回路基板2は、例えば、リジットなプリント配線に集積回路などの電気部品を実装して形成することができる。回路基板2は電池パック取付部112における内部空間114に略水平に配置されている。
【0027】
図6に示すように、コネクタ4は、回路基板2に設けられている。コネクタ4は、回路基板2に実装された固定側コネクタ42を含む。すなわち、コネクタ4は、例えば、回路基板2の上面に固定されている。この場合、コネクタ4は、回路基板2の上面から立ち上がるような状態で固定されている。
【0028】
コネクタ4はハウジング45と複数の端子部とを有している。ハウジング45は電気的な絶縁性を有する成形品で形成され、例えば、プラスチックの成形品が用いられる。複数の端子部はハウジング45の内部に設けられている。すなわち、ハウジング45の内部には挿入空間47が設けられており、挿入空間47内に複数の端子部が配置されている。複数の端子部は回路基板2の制御回路に電気的に接続されている。コネクタ4の外周には補強部材48が設けられている。補強部材48は電気的な絶縁性を有する成形品で形成されている。補強部材48は例えばプラスチックで形成することができる。補強部材48はコネクタ4の下部を覆っている。
【0029】
コネクタ4は開口部41を有する。開口部41はケーブル3をコネクタ4に挿抜する部分である。すなわち、開口部41は挿入空間47に通じている。したがって、開口部41から挿入空間47にケーブル3が挿入される。また開口部41と通じて挿入空間47からケーブル3が抜かれる。開口部41は、孔12に通じる空間13側に向いている。すなわち、孔12と開口部41は空間13を介して配置されている。本実施形態においては、開口部41はコネクタ4の上面に形成されている。すなわち、開口部41は上向きで開口している。またグリップ部113における内部空間114である。すなわち、空間13は内部空間114の一部であって、空間13は本体部111における内部空間114を通じて孔12と通じている。
【0030】
回路基板2はケース6に収容されている。ケース6は電気的な絶縁性を有する成形品であり、例えば、プラスチックの成形品が用いられる。ケース6は、少なくとも回路基板2の上面を覆うように配置される。本実施の形態では、ケース6は回路基板2の全体を覆っている。コネクタ4は上端部がケース6よりも上方に位置している。この場合、ケース6の内部と外部に通じる孔を形成し、この孔にケース6の内部から外部に向かってコネクタ4の上端部を差し込んで、コネクタ4の上端部をケース6の外部に露出させることができる。またコネクタ4の開口部41はケース6の上方に位置している。
【0031】
ケーブル3は回路基板2に電気的に接続される。すなわち、回路基板2の制御回路とケーブル3とが電気的に接続されている。ケーブル3は、例えば、回路基板2から制御信号を伝送するための信号線である。ケーブル3は、フレキシブルプリント基板である。すなわち、ケーブル3は、絶縁性を持った薄く柔らかいベースフィルム(例えば、ポリイミド等)と、銅箔等の導電性金属の導体とを貼り合わせて形成されている。ケーブル3は、装着部31と線状部32とを有している。装着部31は線状部32よりも幅広に形成されている。装着部31は線状部32の先端に設けられている。装着部31の先端には導体が露出する接続部33が形成されている。
【0032】
コネクタ4は回路基板2とケーブル3とを電気的に接続する。すなわち、回路基板2とケーブル3とは、コネクタ4を介して電気的に接続される。ケーブル3は接続部33をコネクタ4の開口部41から挿入空間47内に差し込むようにする。挿入空間47に差し込まれた接続部33に露出する導体と、挿入空間47内に露出する端子部とが接触する。これにより、ケーブル3の導体と端子部とが電気的に接続される。そして、端子部は回路基板2の制御回路と電気的に接続されているため、ケーブル3の導体と回路基板2の制御回路と電気的に接続される。
【0033】
ケーブル3のもう一方の端部(接続部33と反対側の端部)は、駆動部101の制御基板に電気的に接続されている。したがって、制御部107はケーブル3により駆動部101の制御基板に電気的に接続されている。ケーブル3は電池パック取付部112の内部空間114からグリップ部113の内部空間114を通って本体部111の内部空間114にまで配置されている。また制御部107は、配線49により駆動部101の制御基板と電気的に接続されている。ケーブル3は、例えば、制御信号等を送信する信号線であり、配線49は、例えば、電池パック20から電力を供給する電力線である。
【0034】
図3及び
図4に示すように、カバー5はコネクタ4における開口部41を覆う。すなわち、開口部41はカバー5により覆われている。カバー5は開口部41に接続部33を差し込んだ状態で、開口部41を覆う。カバー5はケーブル3の一部を挟み込んで取り付けられる。すなわち、カバー5はケーブル3の一部を挟み込んでコネクタ4に取り付けられる。
【0035】
カバー5は電気的な絶縁性を有する成形品で形成されている。カバー5は、例えば、プラスチックで形成することができる。カバー5は左右方向に延びるように形成されており、左右方向の寸法は開口部41の左右方向の寸法よりも大きい。カバー5は一対の挟持部51を有している。一対の挟持部51は左右方向の一方の側端部に設けたヒンジ部53により連結されている。一対の挟持部51はヒンジ部53を中心として回転可能に形成されている。すなわち、一対の挟持部51はヒンジ部53を中心として互いに近づく方向及び離れる方向に移動可能に形成されている。この場合、一対の挟持部51は左右方向の他方の側端部(ヒンジ部53と反対側の側端部)が互いに近づく方向及び離れる方向に移動可能に形成されている。
【0036】
また一対の挟持部51には左右方向の他方の側端部には結合機構が設けられている。結合機構は係止突起541と係止孔部542とで構成されている。係止突起541は一対の挟持部51のうちの一方に設けられ、係止孔部542は一対の挟持部51のうちの他方に設けられている。そして、一対の挟持部51は互いに近づいた状態で結合機構により結合可能である。すなわち、一対の挟持部51は互いに近づいた状態で、係止突起541を係止孔部542に挿入して引っ掛けることにより、一対の挟持部51は結合される。この場合、一対の挟持部51は互いに近づいた状態を保持し、離れにくくなる。また一対の挟持部51が互いに近づいて結合された状態から、係止突起541と係止孔部542との引っ掛けた状態を解除すると、一対の挟持部51の結合が解かれて、一対の挟持部51は互いに離れた状態に移動することができる。
【0037】
図5及び
図6に示すように、ケーブル3はコネクタ4の上方から下方に移動させ、コネクタ4に近づけて接続される。すなわち、ケーブル3の接続部33をコネクタ4の開口部41に差し込んで挿入空間47まで挿入する。これにより、ケーブル3とコネクタ4とが電気的及び機械的に接続される。またケーブル3はコネクタ4から上方に移動させ、コネクタ4から遠ざけて接続が解除される。すなわち、ケーブル3の接続部33をコネクタ4の挿入空間47から開口部41を通して引き抜く。これにより、ケーブル3とコネクタ4との電気的及び機械的な接続が解除される。
【0038】
このようにケーブル3はコネクタ4に対して挿抜可能である。すなわち、ケーブル3はコネクタ4に対して抜き差し可能である。ケーブル3は接続部33をコネクタ4の開口部41に差し込み可能である。またケーブル3は接続部33をコネクタ4の開口部41から引き抜き可能である。ケーブル3をコネクタ4に対して抜く場合又は差す場合、カバー5はケーブル3及びコネクタ4から外すことができる。またカバー5がコネクタ4の開口部41を覆う位置からずらした状態で、ケーブル3をコネクタ4に対して抜く又は差すようにしてもよい。このようにカバー5で接続部33及び開口部41が覆われない状態にすると、接続部33を開口部41に対して抜き差ししやすくなる。
【0039】
カバー5はケーブル3が差し込まれた状態の開口部41を覆うように配置される。本実施形態に係る電動工具1では、カバー5は開口部41の上方に位置して覆っている。したがって、カバー5は開口部41が空間13と通じないように、開口部41をほとんど閉塞している。よって、空間13にある異物が開口部41からコネクタ4の内部に侵入しにくくすることができる。なお、異物は孔12などから内部空間114に入った鉄粉等であり、主に、電動工具1を使用することにより生じる切削粉である。
【0040】
カバー5は、固定側コネクタ42の少なくとも一部まで覆う。すなわち、カバー5は固定側コネクタ42の一部を覆う突出部511を有している。一対の挟持部51は、各々、覆い部510と突出部511とを有している。突出部511は覆い部510の下に突出して設けられている。そして、一対の覆い部510が開口部41の上方を覆うようにして配置される。また一対の突出部511で固定側コネクタ42の上端部を前後方向で挟むことにより、一対の突出部511で固定側コネクタ42の上端部が覆われる。これにより、開口部41の周囲のコネクタ4の一部が突出部511で覆われることになり、開口部41からの異物の侵入がより少なくなる。
【0041】
カバー5は、ケーブル3の挿抜方向に位置決めされる。すなわち、カバー5は開口部41を覆う状態で上下方向(ケーブル3の挿抜方向)の位置決めがされる。カバー5には位置決め機構が設けられている。位置決め機構は一対の円柱状のピン部57と、一対の凹部58とで構成されている。各ピン部57は各凹部58に挿入可能なように対向して形成されている。一対のピン部57は一方の挟持部51の対向面(他方の挟持部51に向き合う面)に突出されている。一対のピン部57は左右方向に並んで設けられている。一対の凹部58は他方の挟持部51の対向面(一方の挟持部51に向き合う面)に設けられている。またケーブル3には一対の孔部34が設けられている。各孔部34は装着部31を厚み方向で貫通して設けられている。
【0042】
そして、ケーブル3をコネクタ4に接続した状態で、カバー5を取り付けると、一対の挟持部51が結合した状態となる。この場合、一対の挟持部51の間にケーブル3の装着部31が挟まれるが、ピン部57が孔部34を通るように差し込まれた状態となる。またピン部57は凹部58に差し込まれた状態となる。したがって、カバー5はピン部57が孔部34に内周部に引っ掛かることができ、カバー5は上下方向に動きにくくなって位置決めされる。
【0043】
本実施形態に係る電動工具1は、孔12から内部空間114と通じて電池パック取付部112に流れ込んできた鉄粉等の異物が、制御部107に設けられたコネクタ4とケーブル3との間の隙間に入り込みにくくなり、コネクタ4内の端子がショートすることによる誤動作が生じにくくなる。
【0044】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0045】
上記では、電池パック20で動作する電動工具1について説明したが、これに限らず、外部の交流電源を電源として動作するように構成されていてもよい。この場合、電動工具1は、交流電源から供給された交流を直流に変換するように構成された変換器を備えることができる。
【0046】
上記では、カバー5は回路基板2に固定された固定側コネクタ42の開口部41を覆うものであったが、これに限られない。例えば、カバー5は回路基板2に固定されていないコネクタ4の開口部41を覆ってもよい。またカバー5はケーブル3を挿抜する開口部41だけでなく、コネクタ4の内部に通じる他の開口部も覆うことが好ましい。
【0047】
上記では、カバー5は、固定側コネクタ42の上端部を覆っていたが、これに限られず、カバー5はコネクタ4の全体を覆ってもよい。
【0048】
上記では、ケーブル3はフレキシブルプリント基板で形成されていたが、これに限らず、同軸ケーブルなどの他の種類のケーブルであってもよい。
【0049】
(実施形態2)
本実施形態に係る電動工具1は、カバー9の構成が実施形態1に係るカバー5と相違する。
【0050】
以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0051】
実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0052】
本実施形態に係る電動工具1に使用するカバー9は、筒状に形成されている。カバー9はカバー部91と通し部92とで構成されている。カバー部91は通し部92よりも内径が大きい筒状に形成されている。カバー部91の下端部は装着口93として開口している。また通し部92の上端部は引き出し口94として開口している。カバー9は電気的な絶縁性を有する成形品で形成されている。またカバー9は弾性変形可能な材料で形成されていることが好ましい。例えば、カバー9はゴムで形成される。
【0053】
そして、
図7Aに示すように、回路基板2の上面に設けたコネクタ4に上方からケーブル3を近づける。ここで、ケーブル3にはカバー9が装着されている。すなわち、ケーブル3は引き出し口94から通し部92及びカバー部91の内側に差し込まれ、装着口93から突出している。
【0054】
次に、
図7Bのように、コネクタ4の開口部41にケーブル3の接続部33を差し込んで、コネクタ4とケーブル3とを電気的及び機械的に接続する。この後、ケーブル3の延びる方向に沿ってコネクタ4に近づくようにカバー9を移動させる。そして、装着口93からカバー部91の内側にケーブル3の装着部31を入れる。またコネクタ4を装着口93からカバー部91の内側に入れる。このようにして、コネクタ4の全体をカバー部91で覆って開口部41を覆う。
【0055】
この後、
図7Cのように、閉塞部材95を用いて引き出し口94を閉じる。閉塞部材95としては粘着テープなどを使用することができる。また引き出し口94が閉じるように通し部92を変形させて閉塞部材95で変形状態を保持することができる。これにより、引き出し口94からの開口部41への異物の侵入を少なくすることができる。
【0056】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電動工具(1)は、回路基板(2)と、ケーブル(3)と、コネクタ(4)と、カバー(5,9)と、を備える。回路基板(2)は、少なくとも一部に孔(12)が形成された筐体(11)内に収容される。ケーブル(3)は回路基板(2)に電気的に接続される。コネクタ(4)は回路基板(2)とケーブル(3)とを電気的に接続する。カバー(5,9)はコネクタ(4)における開口部(41)を覆う。
【0057】
この態様によれば、カバー(5,9)で開口部(41)への異物の侵入を少なくすることができる、という利点がある。
【0058】
第2の態様に係る電動工具(1)は、第1の態様において、ケーブル(3)は、フレキシブルプリント基板である。
【0059】
この態様によれば、筐体(11)の内部空間(114)が狭くてもケーブル(3)を屈曲させながら配置しやすい、という利点がある。
【0060】
第3の態様に係る電動工具(1)は、第1又は2の態様において、開口部(41)は、孔(12)に通じる空間(13)側に向いている。
【0061】
この態様によれば、異物が侵入しやすい孔(12)の方に開口部(41)が向いていても、カバー(5,9)で開口部(41)への異物の侵入を少なくすることができる、という利点がある。
【0062】
第4の態様に係る電動工具(1)は、第1~3のいずれか1つの態様において、カバー(5,9)はケーブル(3)の一部を挟み込んで取り付けられる。
【0063】
この態様によれば、カバー(5,9)でケーブル(3)の一部も覆うことができ、開口部(41)への異物の侵入をさらに少なくすることができる、という利点がある。
【0064】
第5の態様に係る電動工具(1)は、第1~4のいずれか1つの態様において、カバー(5,9)は、ケーブル(3)の挿抜方向に位置決めされる。
【0065】
この態様によれば、カバー(5,9)がケーブル(3)の挿抜方向に位置ずれしにくくなる、という利点がある。
【0066】
第6の態様に係る電動工具(1)は、第1~5のいずれか1つの態様において、コネクタ(4)は、回路基板(2)に実装された固定側コネクタ(42)を含む。カバー(5,9)は、固定側コネクタ(42)の少なくとも一部まで覆う。
【0067】
この態様によれば、カバー(5,9)で固定側コネクタ(42)の一部まで覆って、開口部(41)の異物の侵入をさらに少なくすることができる、という利点がある。
【0068】
第7の態様に係る電動工具(1)は、第1~6のいずれか1つの態様において、ケーブル(3)はコネクタ(4)に対して挿抜可能である。
【0069】
この態様によれば、ケーブル(3)をコネクタ(4)に対して容易に接続することができ、また容易に接続を解除することができる、という利点がある。
【0070】
第8の態様に係る電動工具(1)は、第1~7のいずれか1つの態様において、筐体(11)は、本体部(111)と、電池パック取付部(112)及びグリップ部(113)を含む。本体部(111)は孔(12)を含む。電池パック取付部(112)には回路基板(2)が収容される。グリップ部(113)は本体部(111)と電池パック取付部(112)とをつなぐ。本体部(111)と電池パック取付部(112)との内部空間(114)は、グリップ部(113)を介してつながる。
【0071】
この態様によれば、本体部(111)からグリップ部(113)を通じて電池パック取付部(112)にまで達する異物であっても、カバー(5,9)で開口部(41)への侵入を少なくすることができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0072】
1 電動工具
11 筐体
111 本体部
112 電池パック取付部
113 グリップ部
114 内部空間
12 孔
13 空間
2 回路基板
3 ケーブル
4 コネクタ
41 開口部
42 固定側コネクタ
5 カバー
9 カバー