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特許7394379レーザー加工装置およびレーザー加工方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】レーザー加工装置およびレーザー加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/16 20060101AFI20231201BHJP
   B23K 26/12 20140101ALI20231201BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231201BHJP
   B23K 26/351 20140101ALI20231201BHJP
【FI】
B23K26/16
B23K26/12
B23K26/00 M
B23K26/351
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019208971
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021079405
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】早田 博
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇治
(72)【発明者】
【氏名】恒吉 拓央
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-112194(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064716(WO,A1)
【文献】特開平11-123576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
を備え
前記真空チャンバの内部において、真空チャンバを大気圧に戻すことなく前記加工粉捕捉ユニットを交換する交換機構をさらに備えた、レーザー加工装置。
【請求項2】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
開閉可能なゲートバルブを介して前記真空チャンバと連通可能なロードロック室と、
前記加工粉捕捉ユニットを前記ゲートバルブを通して、前記真空チャンバと前記ロードロック室との間で移動させる移動機構と、
を備えた、レーザー加工装置。
【請求項3】
前記ロードロック室の内部で前記加工粉捕捉ユニットをガスクリーニングするクリーニング機構をさらに備えた、請求項に記載のレーザー加工装置。
【請求項4】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
前記レーザー光を透過する前記透明体の傾きを検出する傾斜検出機構と、
を備えた、レーザー加工装置。
【請求項5】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
前記加工対象物の一つの前記加工領域を覆う前記加工粉捕捉ユニットを他の加工領域に移動させる加工粉捕捉ユニット移動機構と、
を備えた、レーザー加工装置。
【請求項6】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
を備え、
前記加工粉捕捉ユニットは、前記加工対象物の複数の加工領域をそれぞれ覆っている複数のサブ捕捉ユニットを有する、レーザー加工装置。
【請求項7】
前記加工対象物を前記真空チャンバとの間で搬入及び搬出する加工対象物用ロードロック室と、
前記加工対象物用ロードロック室と前記真空チャンバとの間で複数のサブ捕捉ユニットを有する前記加工粉捕捉ユニットを搬入及び搬出する加工粉捕捉ユニット搬入搬出機構と、
をさらに備えた、請求項又はに記載のレーザー加工装置。
【請求項8】
内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
を備え、
前記壁と前記透明体とは、樹脂からなっており、連続送り機構で送られる、レーザー加工装置。
【請求項9】
前記真空チャンバの内部において、真空チャンバを大気圧に戻すことなく前記加工粉捕捉ユニットを交換する交換機構をさらに備えた、請求項2から8のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項10】
開閉可能なゲートバルブを介して前記真空チャンバと連通可能なロードロック室と、
前記加工粉捕捉ユニットを前記ゲートバルブを通して、前記真空チャンバと前記ロードロック室との間で移動させる移動機構と、
をさらに備えた、請求項1、4から8のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項11】
前記レーザー光を透過する前記透明体の傾きを検出する傾斜検出機構をさらに備えた、請求項1から3、5から8のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項12】
前記加工対象物の一つの前記加工領域を覆う前記加工粉捕捉ユニットを他の加工領域に移動させる加工粉捕捉ユニット移動機構をさらに備えた、請求項1から4、6、8のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項13】
前記加工粉捕捉ユニットは、前記加工対象物の複数の加工領域をそれぞれ覆っている複数のサブ捕捉ユニットを有する、請求項1から5、8のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項14】
前記壁と前記透明体とは、樹脂からなっており、連続送り機構で送られる、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項15】
前記レーザー光を透過する前記透明体は、樹脂またはガラスである、請求項1からのいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項16】
前記透明体は、連続送り機構で送られるフィルム又はガラスである、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項17】
前記レーザー光照射部は、前記レーザー光を鉛直下方から前記加工対象物に向かって照射する、請求項1から16のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項18】
前記加工領域を囲む前記壁は、前記加工領域を含むより大きな面積を囲んでいると共に、
前記透明体は、前記加工領域の上部のみに設けられている、請求項1から17のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項19】
前記加工領域を囲む前記壁と前記透明体とで画成される空間は、前記真空チャンバの内部と連通されており、かつ、前記壁は、前記加工領域が前記真空チャンバの側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成している、請求項1から18のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項20】
前記レーザー光を透過する前記透明体は、前記加工領域より大きい、請求項1から19のいずれか一項に記載のレーザー加工装置。
【請求項21】
加工対象物の加工領域を囲む壁とレーザー光を透過させる透明体とを有し前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットを設けた前記加工対象物を真空チャンバの内部に配置する工程と、
前記レーザー光を透過する前記透明体を介して前記加工対象物の前記加工領域に前記レーザー光を照射してレーザー加工する工程と、
前記透明体を介してレーザー光を照射して、前記壁又は前記透明体に付着したアブレーション膜を除去する工程と、
を含む、レーザー加工方法。
【請求項22】
レーザー加工の加工対象物の加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットであって、
加工対象物の加工領域を囲む壁と、
レーザー光を透過させる透明体と、
を備え
前記加工対象物の複数の加工領域をそれぞれ覆っている複数のサブ捕捉ユニットを有する、加工粉捕捉ユニット。
【請求項23】
前記加工領域を囲む前記壁は、前記加工領域を含むより大きな面積を囲んでいると共に、
前記透明体は、前記加工領域の上部のみに設けられている、請求項22に記載の加工粉捕捉ユニット。
【請求項24】
前記加工領域を囲む前記壁と前記透明体とで画成される空間は、前記加工粉捕捉ユニットの外側と連通されており、かつ、前記壁は、前記加工領域が前記加工粉捕捉ユニットの外側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成している、請求項22又は23に記載の加工粉捕捉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空中で加工対象物をレーザー加工するレーザー加工装置およびレーザー加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンの表示画面として用いられる有機ELディスプレイの加工などには、真空中で有機EL基板をレーザー加工する装置が用いられている。有機ELディスプレイは、自発光であるため視認性、軽量性、耐衝撃性などに優れ、スマートフォンやタブレットなどの情報機器の表示画面への利用が進んでいる。
【0003】
有機EL基板は、ガラスまたは樹脂の基板の上に、TFT層、有機層、電極層、封止層を形成した構造になっている。有機層は、電子注入層、電子輸送層、有機EL発光層、正孔輸送層、正孔注入層などから成り立っている。表示機能は、TFT層、有機層、電極層によって担われるが、有機層の材料は水分に触れると劣化するため、水分を遮断する封止層が必要となる。
【0004】
また、有機層を形成する際は真空蒸着が使用され、封止層が形成されるまでは真空内で製造される。一方、近年、スマートフォンのデザイン性を高めるニーズがあり、有機層の一部を真空内でレーザーを用いて除去する加工装置が必要になっている。
【0005】
有機層をレーザーで除去するレーザー加工装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載された加工装置がある。
【0006】
図14を用いて従来技術を説明する。図14は、従来のレーザー加工装置の内部構造を示す概略図である。
図14において、従来のレーザー加工装置では、まず、有機層を真空蒸着するための真空チャンバ53を用いる。真空チャンバ53内には有機層の蒸着源54がTFT層が形成された有機EL基板11に対向して配置されている。有機EL基板11は、図示されていないロードロック室から図示されていない搬送機構によって真空チャンバ53に搬入される。ここでロードロック室とは内部の圧力を真空圧や大気圧に調整できる真空チャンバである。蒸着源54からは有機EL発光層の材料が蒸発し、基板上に有機EL発光層が形成される。また、有機EL発光層上の電極層も蒸着源54によって形成される。蒸着源54は層構成に応じて複数ある。また、ここではスパッタ源も蒸着源に含む。
【0007】
次に、基板はレーザー加工用の真空チャンバ1に送られる。電極層形成前にレーザー加工用の真空チャンバ(図示せず)に送られ、レーザー加工後、封止層形成前に電極層を形成する場合もある。有機EL材料は水分によって劣化するので有機EL基板11は真空雰囲気を通って真空チャンバ1に搬送される。真空チャンバ1の圧力は10-5Pa程度である。
【0008】
レーザー加工用の真空チャンバ1ではレーザー発振器2から出たレーザー光7を集光レンズ4を使い、有機層14に焦点を合わせてレーザー加工する。レーザー光7は真空チャンバ1の外部からガラス窓8を通して真空チャンバ1内に導入される。レーザー光7によって有機層14を所望の形に除去するために集光レンズ4の前にガルバノスキャナー3などを配置し、レーザー光7を基板上で走査するのが一般的である。
【0009】
有機層にレーザー光が照射されると有機層はアブレーションされ有機層の原子や分子が飛散し、有機層はエッチング加工される。レーザー光によって除去する有機層の厚みは10nm~1000nm程度である。レーザー光を照射された有機層はアブレーションされ、原子や分子の状態で周囲に飛び散る。飛び散った有機層は周囲に付着したり、再結合して粉状のレーザー加工粉となる。また、レーザー加工のエネルギーの一部は熱となり熱影響による加工粉を生成する。
【0010】
飛び散った有機層がガラス窓8に付着したり、レーザー加工粉がガラス窓8上に積もると、レーザー光7の導入を妨げ所望の加工ができなかったり、ガルバノスキャナーでレーザー光を走査した際にレーザー加工粉が影を作り所望の形状に加工できなかったりする問題がある。このような問題を防ぐために特許文献1においては基板11とガラス窓8との間にフィルム51を配置し、加工粉が溜まったら、フィルム巻き取り機構55でフィルムを送るという技術が開示されている。
【0011】
また、特許文献3においてはレーザー導入ガラスの付着物対策としてガラスの前に回転可能な透明プレートを設置し付着量に応じて回転させる技術が開示されている。
レーザー加工された基板11は、封止層成膜用の真空チャンバ75に送られる。封止層成膜用の真空チャンバ75にはプラズマ源76が配置されており、プラズマCVDによってSiNなどの封止層77を成膜する。特許文献2に記載されているように、有機層の上に水分を通さない膜を成膜することで、有機ELディスプレイの表示パネルとしての寿命を確保する。
【0012】
封止層が成膜された基板11は、図示していないロードロック室を経て、真空環境から大気環境に取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】WO2015/064716号公報
【文献】WO2012/081625号公報
【文献】特開2013-214513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の技術では、レーザーアブレーションされた原子や分子、およびそれらが再結合した加工粉が基板11に付着するという問題があった。
特に有機EL基板の製造においては基板に加工粉が付着すると、封止層を成膜しても加工粉が影をつくり封止できない箇所が発生する。そのため有機層の劣化を引き起こし、有機ELディスプレイ内に発光できない部分が発生するが、従来技術では十分に加工粉の付着を抑制できなかった。近年このようにレーザー加工装置において、加工粉の付着に関する要求は厳しくなっているが従来の技術では十分対応できていなかった。
【0015】
図14に示す特許文献1の装置ではフィルム51についた加工粉の付着は抑制できるが、基板11とフィルム51との間から基板の加工領域以外の部分に着く加工粉や、基板11とフィルム51との間を通って真空チャンバ1や真空チャンバに固定された部品についた加工粉の付着は防ぐことができない。
【0016】
なお、アブレーションされた原子や分子が真空チャンバや真空チャンバに固定された部分に付着・堆積し剥がれて浮遊したものも加工粉と呼ぶ。すなわち、アブレーションされた原子や分子が再結合して粉状になったもの、アブレーションの周辺の熱影響でできた粉状のもの、及び、アブレーションされた原子や分子が部品など付着した後、剥がれて粉状になったもの、を加工粉と呼ぶ。これらの加工粉は、真空チャンバの機械振動や圧力変動などによって基板に付着し有機ELディスプレイの劣化の原因となる。
【0017】
従来技術においては、真空チャンバを大気開放しメンテナンスすることで、真空チャンバに固定された部分からの加工粉の再付着を抑制していた。すなわち、パージ機構6からNを導入し、真空チャンバ1内を大気圧に戻し、アブレーションされた原子や分子が真空チャンバや真空チャンバに固定された部品に付着したアブレーション膜やそれが厚く堆積し剥がれた加工粉を拭き取ったり、掃除機等で吸い取ったりしていた。また、剥がれが発生する部分を図14に示すような着脱可能な部品52とし、交換することで、加工粉の基板11への付着を抑制してきた。
【0018】
しかしながら、真空チャンバ1を大気圧に戻した後、生産するためには、再び真空引きしなければならない。一方、有機EL基板は1m×1m程度の大きさがあるのでレーザー加工用の真空チャンバ1を有機層が劣化しない10-5Pa程度まで真空引きするには1時間以上の時間が必要で、レーザー加工装置の稼働率が低くくなり、生産性が低いという問題があった。
【0019】
本発明は、この従来技術の課題を解決するもので、真空中で加工対象物をレーザー加工する場合において、加工粉の加工対象物への付着を低減するとともに、加工粉除去メンテナンスによる稼働率低下を抑制することができるレーザー加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザー加工装置は、内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
を備える。
【0021】
本発明に係るレーザー加工方法は、加工対象物の加工領域を囲む壁とレーザー光を透過させる透明体とを有し前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットを設けた前記加工対象物を真空チャンバの内部に配置する工程と、
前記レーザー光を透過する前記透明体を介して前記加工対象物の前記加工領域に前記レーザー光を照射してレーザー加工する工程と、
を含む。
【0022】
本発明に係る加工粉捕捉ユニットは、レーザー加工の加工対象物の加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットであって、
加工対象物の加工領域を囲む壁と、
レーザー光を透過させる透明体と、
を備える。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係るレーザー加工装置によれば、加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットを配置しているので、真空中で加工対象物をレーザー加工する場合において、加工粉の加工対象物への付着を低減するとともに、加工粉除去メンテナンスによる稼働率低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態1に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略図である。
図2】実施の形態1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットの交換方法の一工程を示す概略図である。
図3】実施の形態1の変形例1に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略図である。
図4】実施の形態1の変形例2に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略図である。
図5-a-1】実施の形態1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図5-a-2】図5-a-1の加工粉捕捉ユニットを鉛直下方から見た概略図である。
図5-b-1】実施の形態2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図5-b-2】図5-b-1の加工粉捕捉ユニットを鉛直下方から見た概略図である。
図5-c-1】実施の形態2の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図5-c-2】図5-c-1の加工粉捕捉ユニットを鉛直下方から見た概略図である。
図6A】実施の形態2の変形例2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図6B】実施の形態2の変形例2に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図7】実施の形態2の変形例3に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図8】実施の形態3に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図9-a-1】実施の形態4に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットが第1の加工領域の位置にある場合の鉛直下方から見た概略図である。
図9-a-2】図9-a-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図9-b-1】実施の形態4に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットが第2の加工領域の位置にある場合の鉛直下方から見た概略図である。
図9-b-2】図9-b-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図9-c-1】実施の形態4に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットが第3の加工領域の位置にある場合の鉛直下方から見た概略図である。
図9-c-2】図9-c-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図10-a-1】実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットを用いて第1の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図である。
図10-a-2】図10-a-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図10-b-1】実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットを用いて第2の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図である。
図10-b-2】図10-b-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図10-c-1】実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットを用いて第3の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図である。
図10-c-2】図10-c-1の加工粉捕捉ユニットの内部構造を示す概略断面図である。
図11A】実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットを連結部で外枠を介して基板に連結した状態を示す概略図である。
図11B図11Aの加工粉捕捉ユニット及び外枠の概略断面図である。
図12-1】実施の形態5に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図12-2】実施の形態5の変形例1に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図13】実施の形態5の変形例2に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図14】従来のレーザー加工装置の内部構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
第1の態様に係るレーザー加工装置は、内部に加工対象物を配置する真空チャンバと、
前記真空チャンバの外部から前記真空チャンバの壁に設けられた窓を介して前記加工対象物にレーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記真空チャンバの内部において、前記加工対象物の加工領域を囲む壁と前記レーザー光を透過させる透明体とを有し、前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットと、
を備える。
【0026】
本構成によって、レーザー加工時にアブレーションされ、飛散する原子分子や加工粉が加工粉捕捉ユニットの内部に留まり、真空チャンバ内の内壁に付着することがないので、基板等の加工対象物に付着することを抑制できる。また、レーザー加工時にアブレーションされた原子や分子、およびそれらが再結合した加工粉を捕捉する領域が、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品に付着する領域と比べて狭い。そこで、真空チャンバを大気圧に戻さずとも加工粉捕捉ユニットを容易に交換することができる。これによって、加工粉除去メンテナンスによる稼働率低下を抑制することを目的とする。また、このレーザー加工装置を安価に提供することができる。
【0027】
第2の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1の態様において、前記レーザー光照射部は、前記レーザー光を鉛直下方から前記加工対象物に向かって照射してもよい。
【0028】
第3の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1又は第2の態様において、前記真空チャンバの内部において、真空チャンバを大気に戻すことなく前記加工粉捕捉ユニットを交換する交換機構をさらに備えてもよい。
【0029】
第4の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第3のいずれかの態様において、開閉可能なゲートバルブを介して前記真空チャンバと連通可能なロードロック室と、
前記加工粉捕捉ユニットを前記ゲートバルブを通して、前記真空チャンバと前記ロードロック室との間で移動させる移動機構と、
をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、ロードロック室を大気圧に戻したとしても、短時間で交換できる。これによって、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0030】
第5の態様に係るレーザー加工装置は、上記第4の態様において、前記ロードロック室の内部で前記加工粉捕捉ユニットをガスクリーニングするクリーニング機構をさらに備えてもよい。
【0031】
第6の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記加工領域を囲む前記壁は、前記加工領域を含むより大きな面積を囲んでいると共に、
前記透明体は、前記加工領域の上部のみに設けられていてもよい。
【0032】
第7の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記加工領域を囲む前記壁と前記透明体とで画成される空間は、前記真空チャンバの内部と連通されており、かつ、前記壁は、前記加工領域が前記真空チャンバの側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成していてもよい。
【0033】
第8の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第7のいずれかの態様において、前記レーザー光を透過する前記透明体は、前記加工領域より大きくてもよい。
【0034】
第9の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第8のいずれかの態様において、前記レーザー光を透過する前記透明体は、樹脂またはガラスであってもよい。
【0035】
第10の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第9のいずれかの態様において、前記レーザー光を透過する前記透明体の傾きを検出する傾斜検出機構をさらに備えてもよい。
【0036】
第11の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第10のいずれかの態様において、前記加工対象物の一つの前記加工領域を覆う前記加工粉捕捉ユニットを他の加工領域に移動させる加工粉捕捉ユニット移動機構をさらに備えてもよい。
【0037】
第12の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1から第10のいずれかの態様において、前記加工粉捕捉ユニットは、前記加工対象物の複数の加工領域をそれぞれ覆っている複数のサブ捕捉ユニットを有してもよい。
【0038】
第13の態様に係るレーザー加工装置は、上記第11又は第12の態様において、前記加工対象物を前記真空チャンバとの間で搬入及び搬出する加工対象物用ロードロック室と、
前記加工対象物用ロードロック室と前記真空チャンバとの間で複数のサブ捕捉ユニットを有する前記加工粉捕捉ユニットを搬入及び搬出する加工粉捕捉ユニット搬入搬出機構と、
をさらに備えてもよい。
【0039】
第14の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1の態様において、前記透明体は、連続送り機構で送られるフィルム又はガラスであってもよい。
【0040】
第15の態様に係るレーザー加工装置は、上記第1の態様において、前記壁と前記透明体とは、樹脂からなっており、連続送り機構で送られてもよい。
【0041】
第16の態様に係るレーザー加工方法は、加工対象物の加工領域を囲む壁とレーザー光を透過させる透明体とを有し前記加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットを設けた前記加工対象物を真空チャンバの内部に配置する工程と、
前記レーザー光を透過する前記透明体を介して前記加工対象物の前記加工領域に前記レーザー光を照射してレーザー加工する工程と、
を含む。
【0042】
第17の態様に係るレーザー加工方法は、上記第16の態様において、前記透明体を介してレーザー光を照射して、前記壁又は前記透明体に付着したアブレーション膜を除去する工程をさらに含んでもよい。
【0043】
第18の態様に係る加工粉捕捉ユニットは、レーザー加工の加工対象物の加工領域を覆う加工粉捕捉ユニットであって、
加工対象物の加工領域を囲む壁と、
レーザー光を透過させる透明体と、
を備える。
【0044】
第19の態様に係る加工粉捕捉ユニットは、上記第18の態様において、前記加工領域を囲む前記壁は、前記加工領域を含むより大きな面積を囲んでいると共に、
前記透明体は、前記加工領域の上部のみに設けられていてもよい。
【0045】
第20の態様に係る加工粉捕捉ユニットは、上記第18又は第19の態様において、前記加工領域を囲む前記壁と前記透明体とで画成される空間は、前記加工粉捕捉ユニットの外側と連通されており、かつ、前記壁は、前記加工領域が前記加工粉捕捉ユニットの外側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成していてもよい。
【0046】
第21の態様に係る加工粉捕捉ユニットは、上記第18から第20のいずれかの態様において、前記加工対象物の複数の加工領域をそれぞれ覆っている複数のサブ捕捉ユニットを有してもよい。
【0047】
以下、実施の形態に係るレーザー加工装置について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0048】
(実施の形態1)
図1から図4を用いて本実施の形態1に係るレーザー加工装置10について説明する。
図1は、本実施の形態1に係るレーザー加工装置10の内部構造を示す概略図である。図では、鉛直上方をz方向、水平面内の一方向をx方向、x方向に垂直なy方向を便宜上示している。
ここでは、一例として、有機ELディスプレイを使用したスマートフォンのデザイン性を高めるために、有機EL基板の有機層を除去するレーザー加工装置10を用いて説明する。ここで有機層は、電子注入層、電子輸送層、有機EL発光層、正孔輸送層、正孔注入層などから成り立っている。
【0049】
図1において、このレーザー加工装置10は、真空チャンバ1と、レーザー光照射部であるレーザー発振器2と、加工粉捕捉ユニット23と、を備える。真空チャンバ1の内部には、加工対象物である有機EL基板11を配置している。レーザー発振器2は、真空チャンバ1の外部から真空チャンバ1の壁に設けられたレーザー光導入ガラス8を介して加工対象物である有機EL基板11の加工領域31にレーザー光7を照射する。有機EL基板11の加工領域31は、例えばφ3mm~φ6mmの円形状をしている。図1では、加工領域31の有機層14をエッチングした状態を示している。加工粉捕捉ユニット23は、真空チャンバ1の内部において、有機EL基板11の加工領域31を囲む壁21とレーザー光7を透過させる透明体22とを有する。
【0050】
このレーザー加工装置10では、加工粉捕捉ユニット23によって、レーザー加工時にアブレーションされ、飛散する原子分子や加工粉が加工粉捕捉ユニット23の内部に留まり、真空チャンバ1内の内壁に付着することがないので、有機EL基板11に付着することを抑制できる。
【0051】
以下に、このレーザー加工装置10を構成する部材について説明する。
【0052】
<レーザー発振器>
レーザー発振器2で有機EL基板11の有機層を加工する際は、有機層が吸収する紫外波長のレーザー発振器を使用する。また、有機EL基板11にダメージを与えないよう非熱加工が可能なパルスレーザーを使用する。パルスの幅は、例えば1ナノ秒以下である。レーザー発振器2からは、2枚のミラーからなるガルバノスキャナー3と、集光レンズ4と、によって、レーザー光導入ガラス8を介して真空チャンバ1内の有機EL基板11にレーザー光7を導く。集光レンズには、ガルバノスキャナー3の制御を簡素にするためにfθレンズが使用される。
【0053】
<真空チャンバ>
真空チャンバ1内は、クライオポンプなどの排気装置5で10-5Pa程度まで排気する。パージ機構6で、Nを真空チャンバ1に導入することで真空チャンバ1を大気圧に戻す。なお、図1には、有機EL基板11の搬送機構や装置の制御部は図示していない。
有機EL基板11は、図14と同様に、前工程である蒸着室から搬送され、レーザー加工後、封止層を形成するための別の真空チャンバへ搬送される。その後、有機EL基板11を真空チャンバに導入するためのロードロック室から取り出される。図1には、図14の53で示した各層の蒸着に使用する真空チャンバや、図14に示した封止層の成膜に使用する真空チャンバや、有機EL基板11を封止層成膜用の真空チャンバ内に搬入し、封止層成膜後に大気中に取り出すためのロードロック室は図示していない。
【0054】
<加工粉捕捉ユニット>
加工粉捕捉ユニット23は、加工領域31を囲む壁21とレーザー光7を透過する透明体22とを有する。壁21は、例えば、樹脂からなるものであってもよい。透明体22は、レーザー光7を透過すればよく、例えば、樹脂、石英ガラスからなるものであってもよい。加工粉捕捉ユニット23には、レーザー光7でアブレーションされた原子や分子が直接付着することもあれば、それらが再結合した加工粉が付着したり、アブレーションの周辺の熱影響で生成された加工粉が付着したりすることもある。
ここで、「アブレーション」とは、レーザー光のエネルギーを極小領域に集中させることで光の吸収により原子や分子の結合を分断し飛散させる加工方法であり、エネルギーがほとんど熱にならないので、加工対象物への熱ダメージを小さくできる。ただし、わずかではあるがアブレーションの周辺には熱の影響がでる。
【0055】
<加工粉捕捉ユニットの交換機構>
加工粉捕捉ユニットの交換機構48は、真空チャンバ1とゲートバルブ42を介したロードロック室41内にある。この交換機構48では、アーム47を伸ばして真空チャンバ内1の加工粉捕捉ユニット23を、新たな、又は、加工粉が除去された加工粉捕捉ユニット24に交換することができる。加工粉捕捉ユニット24は、ロードロック室41内の交換装置44のアーム47の上に設けられた交換機構48の上に配置される。アーム47は、ゲートバルブ42を介して真空チャンバ1内に延びて、その上の交換機構48の上に配置した加工粉捕捉ユニット24を真空チャンバ1内に移動させることができる。つまり、アーム47は、加工粉捕捉ユニット24を真空チャンバ1とロードロック室41との間で移動させる移動機構ともいえる。また、アーム47は、ゲートバルブ43を介して外部に延びて、アーム47の上の交換機構48上に加工粉捕捉ユニット24を配置できる。
ロードロック室41は、排気機構45とパージ機構46とを有する。排気機構45は、クライオポンプなどを用いて10-5Paの圧力までロードロック室41を真空引きできる。また、パージ機構46はNなどをロードロック室41に導入し、ロードロック室41を大気圧に戻すことができる。
なお、加工粉捕捉ユニット23の交換時期は、例えば、レーザー加工の時間で判定してもよい。
【0056】
<レーザー加工方法>
次に、実施の形態1に係るレーザー加工方法の各工程について説明する。
(1)有機層まで成膜された有機EL基板11は、図示していない搬送機構により真空チャンバ1に導入される。
(2)次に、有機EL基板11の搬送機構と、図示していない認識装置を用いて、加工領域31と加工粉捕捉ユニット23の壁21の開口が合うように位置決めを行う。さらに、図示していない機構により、有機EL基板11と加工粉捕捉ユニット23とを密着させる。
(3)次に、レーザー発振器2よりレーザー光7を出射して、集光レンズ4によって有機EL基板11の有機層14に焦点を合わせて、レーザー光7を有機層14に照射する。有機EL基板11への熱影響を抑制するため加工には、例えば、パルス幅が1ナノ秒以下の短パルスのレーザー光7を、集光レンズ4で100μm以下の照射領域に絞って照射する。そのため、例えば、φ6mm程度の加工領域31の全体を加工するためにガルバノスキャナー3でレーザー照射位置を加工領域31の形状に合わせて走査する。
(4)有機層14にレーザー光7が照射されると有機層14はアブレーションされ、有機層14の原子や分子が飛散し、有機層14はエッチング加工される。飛散した有機層の原子や分子は直接加工粉捕捉ユニット23の壁21や透明体22に付着したり、再結合して粉状になり壁21や透明体22に捕捉される。アブレーション周辺の熱影響で発生した粉も加工粉捕捉ユニット23で捕捉される。
なお、再結合した粉やアブレーション周辺の熱影響で発生した粉を確実に加工粉捕捉ユニット23で捕捉するためには、図1に示すようにレーザー光7は、鉛直下方(z方向)から有機EL基板11に照射するのがよい。このように構成すれば、加工粉を重力によって確実に加工粉捕捉ユニット23内に捕捉することができる。
【0057】
<加工粉捕捉ユニットの交換方法>
次に、加工粉捕捉ユニット23の交換方法について図2を用いて説明する。図2は、実施の形態1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23の交換方法の一工程を示す概略図である。
加工粉捕捉ユニット23の透明体22にアブレーションされた原子や分子が付着したり、加工粉が溜まったりするとレーザー光7の侵入を妨げ、レーザー加工に不足が生じる。このようなレーザー加工の不具合が発生する前に、加工粉捕捉ユニット23を交換機構48を使用して交換する。
(a)まず、図1に示すように、真空チャンバ1とゲートバルブ42で仕切られたロードロック室41に交換用の新たな、又は、加工粉が除去された加工粉捕捉ユニット24を準備する。この場合、ロードロック室41は、真空チャンバ1とゲートバルブ42で仕切られているので、反対側のゲートバルブ43を開いて、交換装置44のアーム47の上に設けられた交換機構48の上に加工粉捕捉ユニット24を配置する。その後、アーム47を短縮させてロードロック室41内に加工粉捕捉ユニット24を配置する。
(b)次に、ゲートバルブ43を閉じて、排気機構45によってロードロック室41内を10-5Paの圧力まで減圧する。これによってロードロック室41と真空チャンバ1とを同程度の圧力とすることができ、その間のゲートバルブ42を開けることができる。
(c)次いで、図2に示すように、交換装置44のアーム47をゲートバルブ42より真空チャンバ1内に挿入し、加工粉が付着した加工粉捕捉ユニット23を加工粉を除去した加工粉捕捉ユニット24と交換する。
(d)交換後、アーム47を短縮して、使用済みの加工粉捕捉ユニット24をロードロック室41内に回収する。
(e)次に、パージ機構46でロードロック室41を大気圧に戻し、ゲートバルブ43を開いて加工に使用していた加工粉捕捉ユニット23をロードロック室41から外部に取り出す。
(f)取り出した加工粉捕捉ユニット23の付着物や加工粉を除去した後、加工粉が除去された加工粉捕捉ユニット23をロードロック室41の交換機構48にセットする。
(g)さらに、ロードロック室41内を排気機構45で10-5Pa程度まで排気し、次の交換時に備える。
【0058】
以上のように、本実施の形態1に係るレーザー加工装置10によれば、有機EL基板11等の加工対象物の加工領域31を壁21と透明体22からなる加工粉捕捉ユニット23で囲っている。そこで、レーザー加工時にアブレーションされた原子や分子および加工粉を従来技術のように真空チャンバ1や真空チャンバ1に固定された部品まで飛散させることがない。これによって、真空チャンバ1に飛散した加工粉が基板に付着することを防ぐことができるので、有機EL基板11へ付着する加工粉を低減することができる。
ここで「加工粉」とは、アブレーションされた原子や分子が再結合して粉状になったもの、アブレーションの周辺の熱影響でできた粉状のもの、アブレーションされた原子や分子が部品など付着した後剥がれて粉状になったものなどである。
【0059】
また、加工粉捕捉ユニット23が加工粉やアブレーションされた原子や分子で覆われ、交換が必要になった時は、交換機構48およびアーム47を有する交換装置44によって真空チャンバ1を大気開放せずに交換できる。そこで、レーザー加工装置10の稼働率を高く維持でき、生産性が高い。
【0060】
本実施の形態1においては加工粉捕捉ユニット23がアブレーションによって飛散した原子や分子、及び、加工粉を確実に捕捉するので、レーザー光導入ガラス8にそれらが付着することがない。このように、レーザー光導入ガラス8に着いた加工粉の除去のために真空チャンバ1を大気圧に戻す必要がないので稼働率が高く、生産性が高いレーザー加工装置を実現できる。
【0061】
なお、図14に示した場合において、真空チャンバに固定された部品52を同様の交換装置で交換する方法も考えられる。しかしながら、大気中でのレーザー加工とは異なり、真空中の加工においては飛散した原子や分子の飛散を妨げるものはなく、広範囲に付着する。すなわち加工粉が付着する部材は、本実施の形態1に係るレーザー加工装置では加工領域程度の大きさであるの対し、図14では真空チャンバ全体程度の大きさになる。このような大きさの部材を交換するためには、より大きなロードロック室が必要になる。レーザー加工するエッチング量が多い時など頻繁な交換が必要な時に大きなロードロック室を使用すると、ロードロック室の大気開放および真空引きが稼働率を低下させる。これに対して、本実施の形態1に係る加工粉捕捉ユニット23は、加工領域程度の大きさなので、ロードロック室41の大気開放および真空引きを迅速に実施できる。そこで、レーザー加工装置の稼働率を低下させることはなく、生産性が高い。
【0062】
(変形例1)
図3は、実施の形態1の変形例1に係るレーザー加工装置10aの内部構造を示す概略図である。
図1では、使用済みの加工粉捕捉ユニット23をロードロック室41から取り出し、加工粉を除去する方法を説明したが、この変形例1に係るレーザー加工装置10aでは、図3に示すようにロードロック室を兼用するクリーニング室61を設けている。クリーニング室61には、ガス導入装置62と、ガス活性化装置63と、を設けている。この場合、ゲートバルブ42を閉め、ガスクリーニングすることで、使用済みの加工粉捕捉ユニット23から加工粉を除去してもよい。
図3において、ガス導入装置62は、ガスボンベやバルブやマスフローコントローラーからなり、有機物を除去する際にはO、金属系材料を除去する際にはハロゲン系のガスを導入する。ガス活性化装置は、容量結合型プラズマ源や誘導結合型プラズマ源、UV照射装置などである。
【0063】
有機物の加工粉を除去する際は、例えば、下記化学式1のようにプラズマで活性化されたO によってCOを生成したり、下記化学式2のようにUV照射で生成されたOによってCOを生成する。COは気体であるので排気機構45により真空チャンバ外へ排気できる。
C+O →CO (化学式1)
3C+2O→3CO (化学式2)
【0064】
また、電極層なども同時にエッチングし、インジウムなどの金属化合物を含む加工粉を除去する際は、例えば、下記化学式3のようにプラズマで活性化されたハロゲンガスHIによってInI、HOを生成し、排気機構45でチャンバ外へ排気する。
In+6HI→2InI+3HO (化学式3)
【0065】
本方法によるとクリーニング室61を大気に戻す必要がなく、ガス導入時も10Pa程度の圧力なのでクリーニング後すぐにゲートバルブ42を開けることができて稼働率が高い。図1のようにロードロック室41を大気圧に戻してしまうと、水分がロードロック室41に吸着するので排気に時間がかかる。そこで、変形例1に係る本方法の方が、このようにロードロック室41を大気圧に戻して加工粉捕捉ユニット23から加工粉を除去するよりもレーザー加工装置の稼働率が高い。
【0066】
なお、図14の場合においても、真空チャンバに固定された部品52をクリーニング室61に取り込み、ガスクリーニングする方法が考えられる。しかし、真空チャンバサイズの部品52をガスクリーニングすることに比べ、本方法は、加工領域程度の大きさの加工粉捕捉ユニット23をクリーニングするだけでよいので、クリーニング時間も短く、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0067】
(変形例2)
図4は、実施の形態1の変形例2に係るレーザー加工装置10bの内部構造を示す概略図である。
図4に示すように、この変形例2に係るレーザー加工装置10bでは、真空チャンバ1内に加工粉捕捉ユニット23の交換機構48を設け、加工粉が溜まった加工粉捕捉ユニット23を未使用の加工粉捕捉ユニット24に交換できるようにしてもよい。この場合は、真空チャンバ1内に用意した交換用の加工粉捕捉ユニットを使い果たしたら真空チャンバ1を大気開放して加工粉のメンテナンスをしなければならないので、ロードロック室41がある図1の構成ほど稼働率を上げることはできない。しかしながら、加工粉が真空チャンバ1全体に飛散する従来技術に比べ加工粉が狭い範囲に捕捉されているのでメンテナンスにかかる時間は従来技術より短くなり、稼働率を上げることができる。また、確実にメンテナンスできるので基板に付着する加工粉を低減できる。
【0068】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るレーザー加工装置における加工粉捕捉ユニット23aについて、図5-a-1、図5-a-2、図5-b-1、図5-b-2を用いて説明する。図5-a-1は、実施の形態1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23の内部構造を示す概略断面図である。図5-a-2は、図5-a-1の加工粉捕捉ユニット23を鉛直下方から鉛直上方に向かって見た概略図である。図5-b-1は、実施の形態2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23aの内部構造を示す概略断面図である。図5-b-2は、図5-b-1の加工粉捕捉ユニット23aを鉛直下方から見た概略図である。
【0069】
図1に示すレーザー加工装置においては、図5-a-1のごとく壁21の形状を加工領域31の形状から鉛直下方(-Z方向)に延長した形としている。図5-a-2は、鉛直下方から鉛直上方(矢印)に向かって見た平面図である。一方、この実施の形態2に係るレーザー加工装置では、加工粉捕捉ユニット23aを図5-b-1に示すように、壁21の側面に凹んだ凹部形状71にしてもよい。図5-b-2は、鉛直下方から鉛直上方(矢印)に向かって見た平面図である。
図5-a-1に示す加工粉捕捉ユニット23では、レーザー光によってアブレーションされた原子や分子は、壁21に膜70となって付着するが加工枚数が増えると、膜70の厚みが厚くなる。すると膜の応力によって壁21から剥がれた加工粉となる。この加工粉が有機EL基板11に付着すると封止が不完全となり有機ELディスプレイが劣化する場合がある。そこで、図5-a-1に示す加工粉捕捉ユニット23では、膜70が壁21から剥がれる前に交換を行う必要がある。
【0070】
しかしながら、実施の形態2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23aでは、壁21を図5-b-1に示すように、側面に凹んだ凹部形状71にしている。これによりレーザー光によってアブレーションされた原子や分子の付着が凹部形状71の広い範囲に分散されるので、付着した膜70が剥離に至る膜厚になるまでの加工枚数を図5-a-1の構成よりも増やすことができる。ひとつの加工粉捕捉ユニット23aで対応できる加工枚数が増えれば、加工粉捕捉ユニットの交換回数が減り、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。一方、図5-b-1に示す加工粉捕捉ユニット23aでは、図5-a-1のような壁の形状にくらべ側面を凹ませた凹部形状71の壁は製作費が高価になったり、加工粉を除去する際に分解清掃が必要になる。このため、人手がかかるというデメリットはあるが、上記のように交換回数が減るため、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0071】
(変形例1)
次に、実施の形態2の変形例1に係るレーザー加工装置における加工粉捕捉ユニット23bについて図5-c-1、図5-c-2を用いて説明する。図5-c-1は、実施の形態2の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23bの内部構造を示す概略断面図である。図5-c-2は、図5-c-1の加工粉捕捉ユニット23bを鉛直下方から見た概略図である。
実施の形態2の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23bでは、壁21の形状は図5-c-1に示すように経路72によって真空チャンバ1と連通されている。さらに経路72は壁の一部をオーバーラップすることにより加工領域31が真空チャンバ側から直線的に到達できない構造、つまり、ラビリンス構造となっている。図5-c-2は、鉛直下方から鉛直上方(矢印)に向かって見た平面図である。壁21を構成する部分21aと部分21bは、例えば連結部21cにて連結されている。上記ラビリンス構造は、例えば、壁21が鉛直方向の上下で互いに櫛歯状の断面を有し、互いに噛み合って、ラビリンス構造を構成してもよい。
【0072】
加工粉捕捉ユニット23bの内部が、経路72によって真空チャンバ1と連通されているので、レーザー加工時にアブレーションされた原子や分子によって加工粉捕捉ユニット23b内の圧力が上がった際に、圧力を真空チャンバ1に逃がすことができる。そのためアブレーションされた原子や分子を加工粉捕捉ユニット23内に拡散することができる。
その結果、レーザー光によってアブレーションされた原子、分子の付着が広い範囲に分散されるので付着した膜70が剥離に至る膜厚になるまでの加工枚数を図5-a-1や図5-b-1の構成よりも増やすことができる。ひとつの加工粉捕捉ユニットで対応できる加工枚数が増えれば、加工粉捕捉ユニットの交換回数が減り、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0073】
一方、実施の形態2の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23bでは、図5-a-1、図5-b-1のような壁の形状にくらべ、側面を真空チャンバ1と連通されており、かつ、加工領域が真空チャンバ側から直線的に到達できない、いわゆるラビリンス構造となっている。このような形状の壁は製作費が高価になったり、加工粉を除去する際に分解清掃が必要になるため、人手がかかるというデメリットはあるが、上記のように交換回数が減るため、稼働率を上げることができる。
この時、加工領域31が真空チャンバ1と連通されている点においては従来例と同様であるが、加工領域31が真空チャンバ1側から直線的に到達できない構造となっているため、真空チャンバに到達できるアブレーションされた原子や分子は極めて少なく、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品の加工粉除去はほとんど必要なく、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0074】
(変形例2)
次に、実施の形態2の変形例2に係るレーザー加工装置10cおよびその加工粉捕捉ユニット23c、並びに、そのレーザー加工方法について図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、実施の形態2の変形例2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23cの内部構造を示す概略断面図である。図6Bは、実施の形態2の変形例2に係るレーザー加工装置10cの内部構造を示す概略断面図である。
変形例2に係るレーザー加工装置10cは、図6Aに示すようにレーザー光7を透過する透明体22の開口部81の大きさが加工領域31より大きくしてある。このような構成であると、ガルバノスキャナー3を用いて加工領域より広い範囲にレーザーを照射できるので、図6bに示すように加工用レーザー光7を壁の加工領域に隣接する部分73に付着した有機物70に照射し除去することできる。
【0075】
加工粉捕捉ユニット23の交換時期は、壁21に付着したアブレーション膜70が剥離して有機EL基板に付着することを防ぐように決まっている。すなわち、加工粉捕捉ユニット23cは、壁21に付着したアブレーション膜70が加工枚数を重ね厚くなり膜応力で剥離して、有機EL基板11に付着する前に交換しなくてはならない。基板に隣接する部分73でアブレーション膜70の膜剥離が発生すると、他の場所で膜剥離が発生した場合に比べ、その加工粉は基板に付着しやすい。
本レーザー加工方法によれば、基板に隣接する部分73からの膜剥離を抑制し、基板11への加工粉の付着を抑制できる。そこで、ひとつの加工粉捕捉ユニットで加工処理できる加工枚数を増やすことできる。ひとつの加工粉捕捉ユニットで加工処理できる加工枚数が増えれば、加工粉捕捉ユニットの交換回数が減り、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0076】
(変形例3)
次に、実施の形態2の変形例3に係るレーザー加工装置およびそのレーザー加工方法について図7を用いて説明する。図7は、実施の形態2の変形例3に係るレーザー加工装置の内部構造を示す概略断面図である。
図1に示す加工粉捕捉ユニット23の透明体22が樹脂の場合は、ロードロック室41で使用済み加工粉捕捉ユニット23を回収した後、透明体22を廃棄する。有機EL基板を加工するレーザー加工装置の場合、レーザー光には有機EL材料が吸収する紫外波長を用いる。この時、透明体22に用いる樹脂としては、紫外波長を透過するポリエチレンなどを使用する。アブレーションされた原子、分子は有機EL基板11法線からの角度をθとしての式1のfの割合で飛散することが知られている。ここでA<0.2、n>10である。
f=Acosθ+(1-A)cosθ (式1)
式1の第1項は熱的な蒸発による飛散に対応するもので、第2項は非熱的な過程による飛散に対応する。すなわち透明体22には最も多くアブレーションされた原子や分子が到達するので、使用済み透明体を廃棄し、交換することでメンテナンスを容易に確実にすることができる。透明体についたアブレーション膜は付着力が強いので人手で除去すると、付着膜残りのミスが発生しやすい。本レーザー加工装置によれば、メンテナンスに伴う人的なミスを低減し、装置の稼働率を上げることができる。
【0077】
一方、図7に示すように、変形例2に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット23の透明体22がガラスの場合は、レーザー光の焦点を透明体22のガラス上のアブレーション膜82に合わせることでガラス上のアブレーション膜を除去できる。図示していない機構によって、集光レンズ4の位置を基板83から遠ざける方向に移動し、レーザー光7の焦点をガラス上のアブレーション膜82に合わせる。この時、基板はダミー基板83として、透明体22のガラス上からアブレーションされた有機物を回収する。有機EL基板を加工するレーザー加工装置の場合、レーザー光は有機EL材料が吸収する紫外波長を用いる。この時、ガラスとしては、紫外波長を透過する石英ガラスなどを使用する。
透明体22に着いたアブレーション膜はレーザー加工の妨げになるので、所望の加工ができなくなる前に、加工粉捕捉ユニットをメンテナンスしなければならないが、透明体がガラスであれば、本レーザー加工方法によってひとつの加工粉捕捉ユニット23で加工できる枚数を増やすことができるので、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0078】
透明体22が、樹脂の場合はアブレーション膜を除去する際の熱で樹脂にダメージが入るので、この方法を使用することはできない。レーザー光によるアブレーション膜82の除去もアブレーションによってなされるが、アブレーションプロセスにおいては、上記式1の第一項に対応する熱プロセスが多少入る。そのため、透明体22が樹脂の場合は、本方法によって稼働率を上げることはできないが、透明体22がガラスの場合は本方法によって装置の稼働率を上げることができる。
また、透明体22のメンテナンス頻度が多い場合は、樹脂透明体を使い捨てにすると費用が掛かるのでガラスの方がよい。そうでない場合は、確実にメンテナンスできるよう透明体は樹脂の方望ましい。
【0079】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るレーザー加工装置10eについて図8を用いて説明する。図8は、実施の形態3に係るレーザー加工装置10eの内部構造を示す概略断面図である。
このレーザー加工装置10eは、図8に示すように透明体22の傾きを検出する傾斜検出機構84,85を備えることを特徴とする。
図8に示すように、透明体22の傾きを検出する傾斜検出機構は、投光器84と受光器85とからなる。投光器84から出た光86を、透明体22の表面で反射させ、受光器85で受ける。透明体22の周辺などを金属でコーティングして反射しやすくしてもよい。受光器85は光電素子で反射光の強度を測定し、透明体22の傾きを判定する。傾斜検出機構は上記の構成に限られない。例えば、このほかの傾きを検出する機構として、レーザー干渉で透明体22の表面位置を測定する機構や、透明体22の端にマークをつけておいて画像認識を用いる方法がある。
【0080】
加工粉捕捉ユニット23に加工粉が溜まると、有機EL基板11に付着して、封止を阻害し、有機ELディスプレイの劣化を引き起こす。また、加工粉捕捉ユニット23の透明体22に加工粉が溜まると、レーザー光の照射を妨げ、加工品質を落とす。よって、加工粉捕捉ユニット23は定期的にメンテナンスされる。メンテナンス時は、壁21と透明体22とを分解して、加工粉を除去する。これは、加工粉の除去を確実とするためである。しかしながら、分解後、組み立てる際に、透明体22が元の位置に戻っていない場合や、組み立てが不完全で交換中などに元の位置からずれた場合など、透明体22の屈折の仕方がメンテナンス前と変わり、焦点ずれを起こし所望の加工ができなくなる。本レーザー加工装置においては、透明体22の傾きを検出し、加工粉捕捉ユニット23のメンテナンス後の透明体の位置がメンテナンス前と変わっていないことを監視することができる。そこで、メンテナンス後の組み立て不具合による加工不良および加工不良の原因究明などの稼働ロスを低減することができる。
なお、傾きを検出する機構としては、加工粉をまきあげる振動を起こさないよう非接触な光学的検出機構が望ましい。本実施の形態3においては、加工粉が確実に加工粉捕捉ユニット23に留まり、他へ飛散しないので、これらの光学的検出機構を安定に使用することができる。
【0081】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係るレーザー加工装置について図9-a-1乃至図9-c-2を用いて説明する。図9-a-1は、実施の形態4に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット123が第1の加工領域の位置にある場合の鉛直下方から見た概略図である。図9-a-2は、図9-a-1の加工粉捕捉ユニット123の内部構造を示す概略断面図である。図9-b-1及び図9-b-2は、第2の加工領域の位置にある加工粉捕捉ユニット123に関する図であり、図9-c-1及び図9-c-2は、第3の加工領域の位置にある加工粉捕捉ユニット123に関する図である。
【0082】
図9-a-1において、加工対象物11は、有機層14を有する有機EL基板であり、複数の加工領域31を持つ。ここでは、複数の加工領域31は、第1の加工領域131~133、第2の加工領域134~136、第3の加工領域137~139を含む。なお、全体の加工粉捕捉ユニット123に対して各加工領域31を囲む壁21及び透明体22は、サブ捕捉ユニットに該当する。複数の加工領域の一部131~133は、それぞれに壁21とレーザー光7を透過する透明体22で囲われている。それぞれの壁21と透明体22は連結部91で連結され、一体の加工粉捕捉ユニット123を形成している。図9-a-2は、図9-a-1の側断面図である。なお、図9-a-1及び図9-a-2には、真空チャンバなど図1と同じ要素は図示していない。
【0083】
この一体の加工粉捕捉ユニット123は、上記のように3つの加工領域31を含む第1の加工領域131~133を同時に覆うことができる。そこで、この一体の加工粉捕捉ユニット123を移動させることで、3つの加工領域31を含む第1の加工領域131~133だけでなく、3つの加工領域31を含む第2の加工領域134~136、3つの加工領域31を含む第3の加工領域137~139を順に覆うことができる。
【0084】
このように構成されたレーザー加工装置によるレーザー加工方法の各工程について説明する。
(1)まず、図9-a-1に示すように加工粉捕捉ユニット123を第1の加工領域131~133に位置決めし、レーザー光7により有機層14をエッチング加工する。
(2)加工終了後、図9-b-1に示すように図示していない搬送機構により基板を移動し、第2の加工領域134~136をレーザー加工位置へ移動させる。その位置で加工粉捕捉ユニット123を第2の加工領域134~136に位置決めし、レーザー光によりエッチング加工する。なお、ガルバノスキャナー3によってレーザー加工位置を変化させることが可能であれば、基板と加工粉捕捉ユニット123との相対位置を変化させればよい。
(3)加工終了後、図9-c-1に示すように図示していない機構により基板を移動し第3の加工領域137~139をレーザー加工位置へ移動させる。その位置で加工粉捕捉ユニット123を第3の加工領域137~139に位置決めし、レーザー光によりエッチング加工する。なお、ガルバノスキャナー3によってレーザー加工位置を変化させることが可能であれば、基板と加工粉捕捉ユニット123との相対位置を変化させればよい。
このように壁21とレーザー光を透過する透明体22とで囲われた領域を順次切り替えながらレーザー加工することができる。
【0085】
このように、実施の形態4に係るレーザー加工装置では、真空チャンバ内に加工対象物を配置し、加工対象物内の複数の加工領域をレーザー加工する装置においてその一部の加工領域を壁とレーザー光を透過する透明体とを備えた一体的な加工粉捕捉ユニット123で囲い、加工粉捕捉ユニット123で囲われた領域を順次切り替えながら加工する機構を備えたことを特徴とする。
【0086】
本レーザー加工装置においては、加工時に加工領域は壁と透明体とを備えた加工粉捕捉ユニット123で囲まれているので加工粉が基板に付着することを抑制できる。また、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品まで飛散する加工粉はないので、それらを除去するためのメンテナンスが不要で、装置の稼働率を上げることができる。
また、複数の壁と透明体とを一体の加工粉捕捉ユニットとすることで、ひとつの加工粉捕捉ユニットで複数の加工領域に対応する場合に比べ、加工粉が溜まる時間が長くなるので交換頻度が減り、装置の稼働率を上げることができる。
さらに複数の壁と透明体とを一体の加工粉捕捉ユニットとすることで、複数個所を同時に加工して生産性を上げるとともに、加工粉捕捉ユニットを同時に交換できるので稼働率を上げることができる。
なお、レーザー発振器は高価であるので、すべての加工領域について複数のレーザー発振器を用いて同時加工することは困難である。本構成のように加工粉捕捉ユニットを移動させて加工領域を順次切り替えて使用することでレーザー加工装置の価格を抑えることができ、加工対象物である製品を安価に提供できる。
【0087】
(変形例1)
次に、実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット223について図10-a-1乃至図10-c-2、並びに、図11A及び図11Bを用いて説明する。図10-a-1は、実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット223を用いて第1の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図である。図10-a-2は、図10-a-1の加工粉捕捉ユニット223の内部構造を示す概略断面図である。図10-b-1及び図10-b-2は、変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット223を用いて第2の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図であり、図10-c-1及び図10-c-2は、変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット223を用いて第3の加工領域をレーザー加工する工程を示す概略図である。
【0088】
図10-a-1において、加工対象物11は、有機層14を有する有機EL基板であり、複数の加工領域31を持つ。ここでは、複数の加工領域31は、第1の加工領域131~133、第2の加工領域134~136、第3の加工領域137~139を含む。なお、全体の加工粉捕捉ユニット223に対して各加工領域31を囲む壁21及び透明体22は、サブ捕捉ユニットに該当する。複数の加工領域31のすべてが壁21とレーザー光7を透過する透明体22とで囲われている。それぞれの壁21と透明体22とは連結部91,92で連結され、一体の加工粉捕捉ユニット223を形成している。図10-a-2は、図10-a-1の側断面図である。なお、図10-a-1、図10-a-2には、真空チャンバなど図1と同じ要素は図示していない。
【0089】
このように構成されたレーザー加工装置によるレーザー加工方法の各工程について説明する。
(1)まず、図10-a-1に示すように加工粉捕捉ユニット223を第1の加工領域131~133に位置決めし、第1の加工領域131~133をレーザー加工する。この場合は、レーザー光7による有機層14のエッチングである。
(2)加工終了後、図10-b-1のように図示していない搬送機構により加工粉捕捉ユニット223と基板11とを、第2の加工領域134~136にレーザー光が照射できるレーザー加工位置に搬送し、第2の加工領域134~136をレーザー光7でエッチングする。
(3)加工終了後、図10-c-1のように図示していない搬送機構により加工粉捕捉ユニット223と基板11とを、第3の加工領域137~139にレーザーが照射できるレーザー加工位置に搬送し、第3の加工領域137~139をレーザー光7でエッチングする。
【0090】
このように、実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置は、真空チャンバ内に加工対象物を配置し、加工対象物内の複数の加工領域をレーザー加工する装置において、それぞれの加工領域を壁とレーザー光を透過する透明体とを備えた一体的な加工粉捕捉ユニット223で囲うことを特徴とする。この変形例1では、全ての加工領域31をあらかじめ壁21と透明体22とで囲っているので、加工粉捕捉ユニット223を移動させる必要がない。
本レーザー加工装置においては、加工時に加工領域31は、壁21と透明体22とで囲まれているので加工粉が基板に付着することを抑制できる。また、加工粉は、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品まで飛散することはないので、それらを除去するためのメンテナンスが不要で、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
また、複数の壁と透明体を一体の加工粉捕捉ユニットとすることで、ひとつの加工粉捕捉ユニットで複数の加工領域に対応する場合に比べ、加工粉が溜まる時間が長くなるので交換頻度が減り、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
【0091】
また、変形例1の加工粉捕捉ユニット223によれば、図9-a-1に示すレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットよりもさらに加工粉捕捉ユニットの交換期間を延ばすことができ、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
また、変形例1の加工粉捕捉ユニット223によれば、図9-a-1に示すレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニットに比べ、加工対象物である基板の加工領域と加工粉捕捉ユニット223との位置決めは一度で済むので稼働率を上げることができる。
【0092】
この場合、変形例1の加工粉捕捉ユニット223を交換装置44で交換するためには、上記加工粉捕捉ユニット123よりも大がかりな機構が必要となり、装置価格が高価になる。
ただし、基板11が軽く基板搬送系への負担が小さい場合など、例えば、図11A及び図11Bに示すように、基板11と略同じ大きさの外枠93を加工粉捕捉ユニット223に連結部94で連結すればよい。図11Aは、実施の形態4の変形例1に係るレーザー加工装置の加工粉捕捉ユニット223を連結部94で外枠93を介して基板11に連結した状態を示す概略図である。図11Bは、図11Aの加工粉捕捉ユニット223及び外枠93の概略断面図である。
このような構成によって、基板11と共通の搬送機構を用い、基板搬送用のゲートバルブを通って、加工粉捕捉ユニット223を基板搬送用のロードロック室(図示せず)から回収し、メンテナンスすることができる。これによって加工粉捕捉ユニット専用のロードロック室41は不要となり、レーザー加工装置の価格を安価にできる。
【0093】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係るレーザー加工装置10fについて図12-1を用いて説明する。図12-1は、実施の形態5に係るレーザー加工装置10fの内部構造を示す概略断面図である。
図12-1に示すように、実施の形態5に係るレーザー加工装置10fでは、壁21とともに加工領域を囲う透明体が樹脂フィルム95であり、樹脂フィルム95は連続送り機構56で送られる。連続送り機構56には、上下動機構101が設けられている。
有機EL基板11を加工するレーザー加工装置の場合、レーザー光は有機EL材料が吸収する紫外波長を用いる。この時、透明体である樹脂フィルム95を構成する樹脂としては、紫外波長を透過するポリエチレンなどを使用する。
レーザー加工を重ね、透明体である樹脂フィルム95にアブレーションされた膜が付着したり加工粉が溜まってくると連続送り機構56によって樹脂フィルム95を送り、レーザー光が妨げられないようにする。樹脂フィルム95を送る際は、上下動機構101により樹脂フィルム95を下降させ、透明な部分が加工領域の下に来るまで送ってから上昇させる。
【0094】
ここでは上下動機構101を使い樹脂フィルム95と壁21とを密着させる構成で説明したが、装置の構造上、上下動機構101の設置が困難な場合や、装置の価格を下げたい場合など、上下動機構101は必須ではない。上下動機構がなくとも壁21と樹脂フィルム95とによって、加工領域31が真空チャンバ1の側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成すれば、本実施の形態の効果を得ることができる。
【0095】
(変形例1)
図12-2は、実施の形態5の変形例1に係るレーザー加工装置10gの内部構造を示す概略断面図である。図12-2の変形例1に係るレーザー加工装置10gに示すように樹脂フィルムの代わりに、ガラス195を、ローラー156で送る構成としてもよい。この構成であれば、透明体であるガラス195をレーザー光でクリーニングすることもできる。
さらに、この構成においても、壁21とガラス195とによって、加工領域31が真空チャンバ1の側から直線的に到達できないラビリンス構造を構成すれば、本実施の形態の効果を得ることができる。
【0096】
一方、壁21に加工粉が溜まってきた場合、基板11に付着するまえに交換装置44を用いて壁21を交換する。
【0097】
本レーザー加工装置10f、10gにおいては、加工時に加工領域は壁と透明体で囲まれているので加工粉が基板に付着することを抑制できる。また、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品まで飛散する加工粉はないので、それらを除去するためのメンテナンスが不要で、レーザー加工装置の稼働率を上げることができる。
エッチングする材料や厚み等のエッチング条件によって、上記式1のAが小さい場合やnが大きい場合など、壁の汚れよりも透明体の汚れがかなり早く進む場合がある。この場合、ロードロック室41を使って加工粉捕捉ユニットを頻繁に交換する図1の装置より稼働率を上げることができる。
このレーザー加工装置10f、10gでは、透明体である樹脂フィルム95又はガラス195を使い切ると真空チャンバ1を大気開放しなければならないが、図1の装置で、加工粉捕捉ユニットをメンテナンスするために、頻繁にロードロック室41を大気開放するより、稼働率を上げることができる場合がある。
【0098】
しかしながら、加工粉のついた樹脂フィルム95又はガラス195を送る際、加工粉が真空チャンバ内に落下してしまうと、真空チャンバを大気開放する時に、加工粉がパージガスに巻き上げられ真空チャンバ上部に付着し、基板加工中に落下し、基板に付着する可能性がある。基板への加工粉の付着に対する制限が厳しい場合は、真空チャンバを大気開放しない図1のレーザー加工装置、すなわち、壁21と透明体22とをロードロック室を使って交換する構成が望ましい。
【0099】
(変形例2)
次に、実施の形態5の変形例2に係るレーザー加工装置10hについて図13を用いて説明する。図13は、実施の形態5の変形例2に係るレーザー加工装置10hの内部構造を示す概略断面図である。
図13に示すように、実施の形態5の変形例2に係るレーザー加工装置10hは、加工領域を囲う壁98および透明体97が樹脂であり、連続送り機構57で送られる。連続送り機構57には、上下動機構101が設けられている。
有機EL基板11を加工するレーザー加工装置の場合、レーザー光は有機EL材料が吸収する紫外波長を用いる。この時、透明体である樹脂フィルム97を構成する樹脂としては、紫外波長を透過するポリエチレンなどを使用する。
レーザー加工を重ねて壁98および透明体である樹脂フィルム97にアブレーションされた膜が付着したり加工粉が溜まってくると連続送り機構57によって壁98及び樹脂フィルム97を送り、レーザー光が妨げられないようにする。樹脂フィルム97を送る際は、上下動機構101により樹脂フィルム97を下降させ、透明な部分が加工領域の下に来るまで送って上昇させる。
【0100】
本レーザー加工装置においては、加工時に加工領域は壁と透明体で囲まれているので加工粉が基板に付着することを抑制できる。また、真空チャンバや真空チャンバに固定された部品まで飛散する加工粉はないので、それらを除去するためのメンテナンスが不要で、装置の稼働率を上げることができる。
エッチングする材料や厚み等のエッチング条件によって、壁および透明体への加工粉付着が早く進む場合、図1の装置より稼働率を上げることができる。
【0101】
樹脂を使い切るとチャンバを大気開放しなければならないが、図1の装置で、加工粉捕捉ユニットをメンテナンスするために、頻繁にロードロック室41を大気開放するより、稼働率を上げることができる場合がある。
この構成においては壁交換用のロードロック室も不要なので装置価格を安価にできる。加工に使用する波長に対して、このような形状の樹脂が安価に入手できる場合は、このような構成としてもよい。
【0102】
しかしながら、加工粉のついた樹脂フィルム97及び壁98を送る際、加工粉が真空チャンバ内に落下してしまうと、真空チャンバを大気開放する時に、加工粉がパージガスに巻き上げられ真空チャンバ上部に付着し、基板加工中に落下し、基板に付着する可能性がある。基板への加工粉の付着に対する制限が厳しい場合は、真空チャンバを大気開放しない図1の装置、すなわち、壁21と透明体22とをロードロック室を使って交換する構成が望ましい。
【0103】
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係るレーザー加工装置は、情報機器端末の表示画面に使用される有機ELディスプレイの製造などに用いられている真空チャンバ内でレーザー加工を施すレーザー加工装置およびレーザー加工方法に適用できる。
【符号の説明】
【0105】
1 真空チャンバ
2 レーザー発振器
3 ガルバノスキャナー
4 集光レンズ
5 排気機構
6 パージ機構
7 レーザー光
8 ガラス窓、レーザー光導入ガラス
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h レーザー加工装置
11 加工対象物(基板)
21 壁
21a、21b 部分
21c 連結部
22 透明体
23、24 加工粉捕捉ユニット
31 加工領域
41 ロードロック室
42 ゲートバルブ
44 交換装置
45 排気機構
46 パージ機構
47 アーム
48 交換機構
52 部品
53 真空チャンバ
54 蒸着源
56 連続送り機構
57 連続送り機構
61 クリーニング室
82 アブレーション膜
83 ダミー基板
84 投光器
85 受光器
86 光
91、92 連結部
93 外枠
94 連結部
95 樹脂フィルム
97 樹脂フィルム
98 壁
101 上下動機構
123 加工粉捕捉ユニット
131~133 第1の加工領域
134~136 第2の加工領域
137~139 第3の加工領域
156 ローラー
195 ガラス
図1
図2
図3
図4
図5-a-1】
図5-a-2】
図5-b-1】
図5-b-2】
図5-c-1】
図5-c-2】
図6A
図6B
図7
図8
図9-a-1】
図9-a-2】
図9-b-1】
図9-b-2】
図9-c-1】
図9-c-2】
図10-a-1】
図10-a-2】
図10-b-1】
図10-b-2】
図10-c-1】
図10-c-2】
図11A
図11B
図12-1】
図12-2】
図13
図14