特許 7394389 内飾り板及び内飾り板を備えた軒樋構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-11-30

(45)【発行日】2023-12-08

(54)【発明の名称】内飾り板及び内飾り板を備えた軒樋構造

(51)【国際特許分類】

   E04D 13/064 20060101AFI20231201BHJP

【ＦＩ】

E04D13/064 503K

E04D13/064 501Z

【請求項の数】 2

(21)【出願番号】P 2020094967

(22)【出願日】2020-05-29

(65)【公開番号】P2021188376

(43)【公開日】2021-12-13

【審査請求日】2023-02-20

(73)【特許権者】

【識別番号】314012076

【氏名又は名称】パナソニックＩＰマネジメント株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002527

【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】幸山 枝里香

【審査官】山口 敦司

(56)【参考文献】

【文献】特開平１１－１３２２９（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭５６－３２７３８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平１１－２４１４６９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開平１１－１３２３０（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０４Ｄ １３／０６４

Ｅ０４Ｄ １３／０４

Ｅ０４Ｄ １３／１５

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

屋根の入隅に配置された軒樋の前耳部に取付けられる内飾り板であって、
前記内飾り板は、壁部と、前記壁部の下方に設けられる取付け部と、を有し、
前記壁部は、前記取付け部より上方へ突出する垂直板を備え、
前記取付け部は、異なる複数の種類の前記軒樋の前記前耳部に選択的に取り付けられる当接部と、嵌合部と、先端部と、を有し、
前記当接部は、一の軒樋の前記前耳部の上部形状に対応した形状を有する第一当接部と、前記第一当接部を切り取ることにより二の軒樋の前記前耳部の上部形状に対応した形状を有する第二当接部と、を含み、
前記嵌合部は、前記一の軒樋の前記前耳部の下部形状に対応した形状を有して、前記第一当接部とあわせて前記一の軒樋の前記前耳部を嵌合し、
前記先端部は、前記二の軒樋の前記前耳部の下部形状に対応して取り付けられる軒樋ストッパーの形状に対応した形状を有して、前記嵌合部を切り取ることにより、前記軒樋ストッパーに係合し、前記第二当接部と合わせて前記二の軒樋の前耳部に取付けられ、
前記第一当接部と前記嵌合部とを用いて、前記一の軒樋に取付けられ、
前記第二当接部と前記先端部とを用いて、前記二の軒樋に取付けられることで、選択的に複数の軒樋に取付けられることを特徴とする内飾り板。

【請求項2】

請求項１に記載の内飾り板と、軒先の入隅に設けられた軒樋と、を備えた軒樋構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、屋根の入隅に配置された軒樋の耳部に嵌合して取り付けられて、雨水が軒樋を飛び越えることを抑制する内飾り板及び内飾り板を備えた軒樋構造に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、入隅の屋根から軒樋に流れ込む雨水が跳ね返って飛散しても、鼻板を濡らすことが無いように、軒樋に内飾り板が取り付けられる（特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０１０－２２９６７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、特許文献１に記載された内飾り板は、一の軒樋の耳部の形状に応じた取付け部であり、軒樋の耳部の形状が異なれば軒樋に取付けすることができず、軒樋の耳部の形状が異なるごとに内飾り板を準備しなければならなかった。

【0005】

本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、一の内飾り板にて複数の軒樋に取付けられる。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の一様態に係る内飾り板は、屋根の入隅に配置された軒樋の前耳部に取付けられる。前記内飾り板は、壁部と、前記壁部の下方に設けられる取付け部と、を有する。前記壁部は、前記取付け部より上方へ突出する垂直板を備える。前記取付け部は、異なる複数の種類の前記軒樋の前記前耳部に選択的に取り付けられる当接部と、嵌合部と、先端部と、を有する。前記当接部は、一の軒樋の前耳部の上部形状に対応した形状を有する第一当接部と、前記第一当接部を切り取ることにより二の軒樋の前耳部の上部形状に対応した形状を有する第二当接部と、を含む。前記嵌合部は、前記一の軒樋の前耳部の下部形状に対応した形状を有して、前記第一当接部とあわせて前記一の軒樋の前耳部を嵌合する。前記先端部は、前記二の軒樋の前耳部の下部形状に対応して取り付けられる軒樋ストッパーの形状に対応した形状を有して、前記嵌合部を切り取ることにより、前記軒樋ストッパーに係合し、前記第二当接部と合わせて前記二の軒樋の前耳部に取付けられる。前記第一当接部と前記嵌合部とを用いて前記一の軒樋に取付けられ、また前記第二当接部と前記先端部とを用いて前記二の軒樋に取付けられることで、選択的に複数の軒樋に取付けられることを特徴とする。

【0007】

本開示の一態様に係る軒樋構造は、前記内飾り板と、軒先の入隅に設けられた軒樋と、を備える。

【発明の効果】

【0008】

本開示の内飾り板は、一の内飾り板で複数の軒樋に取り付けることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】実施の形態に係る内飾り板を軒樋に取り付けた状態を示す屋根の入隅の平面図である。

【図2】実施の形態に係る内飾り板を一の軒樋に取り付けた状態を示した断面図である。

【図3】実施の形態に係る内飾り板の取付け部を拡大した側面図である。

【図4】実施の形態に係る内飾り板の取付け部の第一当接部及び嵌合部を切り取った状態の側面図である。

【図5】実施の形態に係る内飾り板を二の軒樋に取り付けた状態を示した断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。

【0011】

なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。

【0012】

また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。

【0013】

（実施の形態）
図１は、実施の形態に係る内飾り板１００を用いて軒樋２００に取り付けた状態を示す屋根３００の入隅の平面図である。図２は、実施の形態に係る内飾り板１００を一の軒樋２００に取り付けた状態を示した断面図である。図３は、実施の形態に係る内飾り板１００の取付け部１２０を拡大した側面図である。図４は、実施の形態に係る内飾り板１００の取付け部１２０の第一当接部１３１及び嵌合部１４０を切り取った状態の側面図である。図５は、実施の形態に係る内飾り板１００を二の軒樋２００に取り付けた状態を示した断面図である。

【0014】

図１、図２に示すように、内飾り板１００は、屋根３００の入隅に配置された軒樋２００に取付けられるものである。雨水は、Ｗで示されるように、屋根３００から軒樋２００へ流れるものと、屋根３００の入隅に向かって流れ、合流して軒樋２００の入隅に流れるもの等があり、雨水の量によっては、雨水が軒樋２００を飛び越えてしまう場合があるため、内飾り板１００を用いて雨水が軒樋２００を飛び越えしにくくするようにしている。

【0015】

軒樋２００は、前壁２２０と底壁２３０と後壁２４０と、を有し、さらに前壁２２０の上部に前耳部２１０と、後壁２４０の上部に後耳部２５０と、を有する。内飾り板１００は、壁部１１０と、壁部１１０の下方に設けられ、前耳部２１０に取付ける取付け部１２０と、を有する。壁部１１０は、取付け部１２０より上方へ突出する垂直板１１１を備える。垂直板１１１は、軒樋２００を飛び越えようとする雨水を軒樋２００へ流すような形状であれば、厳密な垂直でなくても良い。

【0016】

内飾り板１００の取付け部１２０について、図３から図５を用いてさらに詳細に説明する。

【0017】

取付け部１２０は、異なる種類の軒樋２００の前耳部２１０に選択的に取り付けられる当接部１３０と、嵌合部１４０と、先端部１５０と、を有する。当接部１３０は、一の軒樋２００の前耳部２１０の上部形状に対応した形状を有する第一当接部１３１と、第一当接部１３１を切り取ることにより二の軒樋２００の前耳部２１０の上部形状に対応した形状を有する第二当接部１３２とを含む。

【0018】

嵌合部１４０は、一の軒樋２００の前耳部２１０の下部形状に対応した形状を有して、当接部１３０から切り取る前の第一当接部１３１と合わせて、一の軒樋２００の前耳部２１０を嵌合する。

【0019】

以上のことにより、一の軒樋２００に内飾り板１００を取付けることができる。

【0020】

先端部１５０は、二の軒樋２００の前耳部２１０の下部形状に対応した形状を有して前耳部２１０に取付けられる軒樋ストッパー２８０の形状に対応した形状を有して、嵌合部１４０を切り取ることにより、軒樋ストッパー２８０に係合する。当接部１３０から第一当接部１３１を切り取ることにより、二の軒樋２００の前耳部２１０の形状に対応する第二当接部１３２と、あわせて二の軒樋２００に内飾り板１００を取付けることが可能となる。

【0021】

軒樋ストッパー２８０は、軒樋２００の前耳部２１０もしくは後耳部２５０に取付けられて、軒樋吊具にて前耳部２１０を吊り支持された軒樋２００を、軒樋吊具に対して軒樋２００が軒樋の長手方向に移動することを抑止するために用いられる。本実施形態では、軒樋２００の移動防止のために取付けられた軒樋ストッパー２８０を、使用しても良いし、内飾り板１００を取付けるために、前耳部２１０に取付けられた軒樋ストッパー２８０を使用しても良い。

【0022】

以上のことにより、二の軒樋２００に内飾り板１００を取付けることができる。

【0023】

第一当接部１３１と嵌合部１４０を切り取る箇所は、図３にて破線で示した箇所で示す。切り取る方法は、鋸を用いても良いし、鋏を用いても良く、切り取り後に前耳部２１０もしくは、軒樋ストッパー２８０に取り付けることが出来れば、方法は問わない。

【0024】

以上のことから、第一当接部１３１と嵌合部１４０により、一の軒樋２００に内飾り板１００を取付けることが出来、第二当接部１３２と先端部１５０により二の軒樋２００に内飾り板１００を取り付けることが出来、一つの内飾り板１００にて、選択的に複数の軒樋２００に取り付けることが出来る。よって、内飾り板１００の種類を削減することが可能となる。

【0025】

また、本実施の形態の内飾り板１００と、建物の軒先に取り付けられた軒樋２００と、を備えることにより、雨水が軒樋２００を飛び越えしにくくなる軒樋構造を提供することができる。

【符号の説明】

【0026】

１００ 内飾り板
１１０ 壁部
１１１ 垂直板
１２０ 取付け部
１３０ 当接部
１３１ 第一当接部
１３２ 第二当接部
１４０ 嵌合部
１５０ 先端部
２００ 軒樋
２１０ 前耳部
２２０ 前壁
２３０ 底壁
２４０ 後壁
２５０ 後耳部
２８０ 軒樋ストッパー
３００ 屋根

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】