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特許7394390対価設定方法、対価設定システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】対価設定方法、対価設定システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20231201BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20231201BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231201BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231201BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231201BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/00 180
H02J3/38 130
H02J13/00 301Z
H02J3/32
H02J7/35 K
H02J3/38 120
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020110944
(22)【出願日】2020-06-26
(62)【分割の表示】P 2019120591の分割
【原出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021006999
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 興
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】塩津 吉洋
【審査官】宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-230101(JP,A)
【文献】特開2017-102816(JP,A)
【文献】特開2016-062202(JP,A)
【文献】特開2017-027586(JP,A)
【文献】特開2018-041371(JP,A)
【文献】特開2009-146010(JP,A)
【文献】特許第6473841(JP,B1)
【文献】特開2012-063821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
H02J3/00-5/00
H02J7/35
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービス提供者が顧客に提供するサービスに関する対価を設定する対価設定システムとして機能するコンピュータシステムが実行する対価設定方法であって、
前記サービスは、前記顧客からの電気エネルギの買取りであり、
前記顧客が、前記サービス提供者が提供する前記サービスに係る負担を低減する1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、前記顧客の認証を行う認証ステップと、
前記顧客によって実施された前記関連行動に対応する値から、前記関連行動を実施した前記顧客に対する前記対価を決定する決定ステップと、を有する、
対価設定方法。
【請求項2】
前記1以上の関連行動は、前記サービスに関連する特定機器の購入と借用との少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の対価設定方法。
【請求項3】
前記特定機器は、前記サービス提供者の前記サービスに係る支出を低減する機器を含む、
請求項2に記載の対価設定方法。
【請求項4】
前記顧客によって実施された前記関連行動に対応する前記値は、対応する前記関連行動の前記サービスへの寄与度に応じて決められている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項5】
前記顧客が複数の前記関連行動を実施した場合には、
実施された複数の前記関連行動に対応する複数の前記値から、複数の前記関連行動を実施した前記顧客に対する前記対価を決定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項6】
記サービスに係る負担を低減する前記関連行動は、前記電気エネルギの買取り負担を低減する前記関連行動である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項7】
前記1以上の関連行動を前記顧客に実施させるための関連サービスを提供する協賛者が、前記サービス提供者とは別に存在する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項8】
前記1以上の関連行動を前記顧客に実施させるための関連サービスを提供する協賛者が、前記サービス提供者とは別に存在し、
前記サービスの提供に際して、前記1以上の関連行動により前記協賛者が得る報酬の少なくとも一部を前記協賛者から前記サービス提供者に引き渡す譲渡ステップを更に有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項9】
記1以上の関連行動は、少なくとも前記サービスに係るエネルギを蓄積する機能を有するエネルギ蓄積機器の購入と借用との少なくとも一方を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の対価設定方法。
【請求項10】
サービス提供者が顧客に提供するサービスに関する対価の設定に用いられ、
前記サービスは、前記顧客からの電気エネルギの買取りであり、
前記顧客が、前記サービスに関連する1以上の関連行動であって、前記サービス提供者の前記サービスに係る負担を低減する前記1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、前記サービス提供者での前記顧客の認証を行う認証部と、
前記顧客によって実施された前記関連行動に対応する値に基づいて、前記関連行動を実施した前記顧客に対する前記対価を決定する決定部と、を備える、
対価設定システム。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の対価設定方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に対価設定方法、対価設定システム及びプログラムに関し、より詳細には、サービス提供者が顧客に提供するサービスに関する対価を設定するための対価設定方法、対価設定システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多様化する電気料金プランに対応して電気料金を抑制するための充放電制御装置が記載されている。
【0003】
特許文献1においては、電気料金プランが多様化することで、系統からの系統電力の買電単価(電気料金)、及び発電電力の余剰電力の売電単価について、例えば、日毎に変化するようなことが想定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-004529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、上述したように電力(電気エネルギ)の売買が行われるケースにおいて、サービス提供者が電気エネルギの買取りのようなサービスを提供するにあたり、そのサービスの対価となる買取単価(上述の売電単価)を適正に設定することは難しい。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、サービスに関する対価を設定しやすい、対価設定方法、対価設定システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る対価設定方法は、サービス提供者が顧客に提供するサービスに関する対価を設定する対価設定システムとして機能するコンピュータシステムが実行する対価設定方法であって、認証ステップと、決定ステップと、を有する。前記サービスは、前記顧客からの電気エネルギの買取りである。前記認証ステップは、前記顧客が、前記サービス提供者が提供する前記サービスに係る負担を低減する1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、前記顧客の認証を行うステップである。前記決定ステップは、前記顧客によって実施された前記関連行動に対応する値から、前記関連行動を実施した前記顧客に対する前記対価を決定するステップである。
【0009】
本開示の一態様に係る対価設定システムは、サービス提供者が顧客に提供するサービスに関する対価の設定に用いられ、認証部と、決定部と、を備える。前記サービスは、前記顧客からの電気エネルギの買取りである。前記認証部は、前記顧客が、前記サービスに関連する1以上の関連行動であって、前記サービス提供者の前記サービスに係る負担を低減する前記1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、前記サービス提供者での前記顧客の認証を行う。前記決定部は、前記顧客によって実施された前記関連行動に対応する値に基づいて、前記関連行動を実施した前記顧客に対する前記対価を決定する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記対価設定方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る対価設定方法及び認証方法の前提とする、サービス提供者、顧客、協賛者及び需要家の関係を模式的に表す模式図である。
図2図2は、実施形態1に係る対価設定システム及び認証システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、同上の対価設定方法における登録ステップで登録され得る候補値の一例を示す概念図である。
図4図4は、同上の対価設定方法における決定ステップで決定され得る対価の一例を示す概念図である。
図5図5は、同上の対価設定方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、同上の認定方法に関し、顧客が関連行動を実施する際の手順の一例を示す概念図である。
図7図7は、同上の認定方法に関し、関連行動を実施した顧客の認証を実施する際の手順の一例を示す概念図である。
図8図8は、同上の認定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
(1)概要
まず、本実施形態に係る対価設定方法、認証方法、対価設定システム10及び認証システム100の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る対価設定方法は、図1に示すように、サービス提供者1が顧客2に提供するサービスに関する対価を設定するための方法である。また、本実施形態に係る認証方法は、サービス提供者1からサービスの提供を受ける顧客2の認証を行うための方法である。
【0015】
対価設定システム10(図2参照)は、本実施形態に係る対価設定方法を具現化する一態様である。認証システム100(図2参照)は、本実施形態に係る認証方法を具現化する一態様である。つまり、対価設定システム10は、サービス提供者1が顧客2に提供するサービスに関する対価を設定する。認証システム100は、サービス提供者1からサービスの提供を受ける顧客2の認証を行う。
【0016】
すなわち、対価設定方法及び認証方法のいずれについても、サービス提供者1が顧客2に「サービス」を提供する態様を前提とする。言い換えれば、「サービス」を提供するサービス提供者1と、「サービス」が提供される顧客2と、が存在することを前提とする。このような前提のもと、対価設定方法では、サービスに関する対価を設定することができ、認証方法では、顧客2の認証を行うことができる。よって、対価設定方法及び認証方法によれば、認証方法にて顧客2の認証を行った上で、対価設定方法にてサービスの対価を設定することで、サービス提供者1が顧客2にサービスを提供することを支援できる。
【0017】
ところで、本実施形態に係る対価設定方法は、サービス提供者1が顧客2に提供するサービスに関する対価を設定する方法であって、登録ステップと、決定ステップと、を有している。登録ステップは、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録するステップである。決定ステップは、顧客2が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、実施された関連行動に対応する候補値から、この関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定するステップである。
【0018】
すなわち、本実施形態に係る対価設定方法によれば、登録ステップにて登録されている関連行動と候補値との対応関係を用いて、決定ステップにて、顧客2に対する対価を決定することができる。つまり、顧客2がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、この関連行動に対応付けられている候補値から、この顧客2に対する対価が決定されることになる。したがって、顧客2にとっては、自らが実施した関連行動に応じて、自らが受けるサービスの対価が決定されることになるため、他の顧客に適用される対価と比較しても、適正な対価が設定されやすくなる。また、サービス提供者1にとっては、顧客2ごとに多様な対価を設定することができるので、適正な対価が設定されやすくなる。結果的に、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【0019】
また、本実施形態に係る認証方法は、サービス提供者1と協賛者3とが別に存在する場合において、顧客2の認証を行うための方法であって、認証ステップを有している。サービス提供者1は、顧客2にサービスを提供する。協賛者3は、サービスに関連する1以上の関連行動を顧客2に実施させるための関連サービスを提供する。認証ステップは、(サービス提供者1による)サービスの提供に際して、証明情報に基づいて、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証を行うステップである。証明情報は、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す情報である。
【0020】
すなわち、本実施形態に係る認証方法によれば、認証ステップにて、証明情報に基づいて、サービス提供者1にて顧客2を認証することができる。つまり、顧客2がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、そのことを示す証明情報に基づいて、サービス提供者1での顧客2の認証が可能となる。しかも、認証ステップでは、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証が行われるので、協賛者3が顧客2に関連サービスを提供した記録と整合させることで、確かに顧客2が関連行動を実施したことを証明でき、証明情報の信頼性が向上する。結果的に、サービス提供者1での顧客2の認証を容易にできる、という利点がある。
【0021】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る対価設定方法、認証方法、対価設定システム10及び認証システム100の詳細について、図1図8を参照して説明する。
【0022】
(2.1)前提
本開示でいう「サービス」は、サービス提供者1が顧客2に提供する役務であって、一例として、電気エネルギの買取り、電気エネルギの販売、物品の販売、物品の貸与、情報(データ)の配信、又は情報(データ)の買取り等の種々の役務を含む。このようなサービスを、サービス提供者1が顧客2に提供することで、サービスに関する対価が発生する。本実施形態では一例として、「サービス」が電気エネルギの買取り、つまり電気エネルギの購入である場合を想定して説明する。
【0023】
すなわち、従来、法人又は個人が、分散電源(例えば、太陽光発電設備又は風力発電設備)から出力される電力(電気エネルギ)を、自家消費するのではなく、電力系統に逆潮流する等して電気エネルギを販売する「売電」が知られている。このような「売電」の仕組みは、売電を行う主体を顧客2とした場合に、顧客2に対して電気エネルギの買取りというサービスを提供するサービス提供者1が存在して初めて成立する。そこで、本実施形態では一例として、このような「売電」の仕組みを実現するべく、サービス提供者1が顧客2に対して、電気エネルギの買取りのサービスを提供する場合を想定する。
【0024】
本開示でいう「サービス提供者」は、顧客2に対してサービスを提供する者であって、法人と個人とのいずれであってもよいし、複数の法人又は個人の集合からなる団体(組織)であってもよい。本実施形態では一例として、サービス提供者1は、電力会社等の電気事業者(小売電気事業者、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者及び発電事業者を含む)である場合を想定する。
【0025】
本開示でいう「顧客」は、サービス提供者1からサービスの提供を受ける者であって、法人と個人とのいずれであってもよいし、複数の法人又は個人の集合からなる団体(組織)であってもよい。本実施形態では一例として、顧客2は、戸建住宅に住む個人である場合を想定する。
【0026】
本開示でいう「対価」は、サービスの提供に対して発生するインセンティブ又はペナルティである。「対価」は、例えば、金銭(クレジット及び仮想通貨等を含む)、ポイント(点数)、物品、又は機器のメンテナンス等のサービスを含む特典等で実現される。本実施形態では「サービス」が電気エネルギの買取りであるので、一例として、「対価」は電気エネルギの買取単価である場合を想定して説明する。ここでは、「買取単価」は、単位量(例えば1kWh)当たりの電気エネルギに掛かる金額を意味する。そのため、サービス提供者1が顧客2から電気エネルギの買取りを行うと、買い取った電気エネルギの量に対価(買取単価)を掛けた額の金銭等が、サービス提供者1から顧客2に支払われることになる。
【0027】
本開示でいう「関連行動」は、サービスに関連し、顧客2が実施し得る行動である。つまり、顧客2が関連行動を実施することで、サービス提供者1が顧客2に提供するサービスには少なからず影響が生じる。本実施形態では「サービス」が電気エネルギの買取りであるので、「関連行動」についても、電気エネルギの買取りに関連する行動である。本実施形態では一例として、関連行動は、サービス(電気エネルギの買取り)に関連する特定機器5(図1参照)の購入と借用との少なくとも一方を含む。ここでは特に、関連行動は、特定機器5の購入である場合を想定する。特定機器5は、例えば、ヒートポンプ式の給湯器51、蓄電設備52又は電力計測器53等の機器(据置型又は可搬型の設備、装置及びシステム等を含む)である。
【0028】
本開示でいう「関連サービス」は、関連行動を顧客2に実施させるために、協賛者3が顧客2に提供するサービス(役務)である。つまり、顧客2は、協賛者3から提供される関連サービスを利用して関連行動を実施することができる。本実施形態では関連行動が特定機器5の購入と借用との少なくとも一方を含むので、関連サービスは、一例として、特定機器5の販売と貸与との少なくとも一方を含む。ここでは特に、関連サービスは、特定機器5の販売である場合を想定する。
【0029】
本開示でいう「協賛者」は、サービス提供者1とは別に存在し、顧客2に対して関連サービスを提供する者であって、法人と個人とのいずれであってもよいし、複数の法人又は個人の集合からなる団体(組織)であってもよい。協賛者3は、例えば、サービス提供者1によるサービスの提供に賛同した上で、サービス提供者1と協力し合う目的で、関連サービスの提供を行う。本実施形態では一例として、協賛者3は、特定機器5の販売と貸与との少なくとも一方を行う企業(法人)である場合を想定する。
【0030】
本開示でいう「候補値」は、対価を決定するために使用される値であって、対価そのものであってもよいし、何らかの演算を経て対価が求まる値であってもよい。本実施形態では、対価は電気エネルギの買取単価であるので、候補値は、一例として電気エネルギの買取単価を決定するために使用される。具体的には、対価が、ベースとなる基本料金に対して、プレミアム値を加算した買取単価である場合に、「候補値」は、基本料金にプレミアム値を加算した買取単価そのものに相当する値であってもよいし、プレミアム値に相当する値であってもよい。本実施形態では一例として、基本料金にプレミアム値を加算した買取単価そのものに相当する値が「候補値」である場合を想定して説明する。
【0031】
本開示でいう「認証」は、対象の正当性及び真正性を確かめることを意味する。つまり、認証方法によれば、認証の対象である顧客2の本人確認を行うことで、顧客2の正当性及び真正性を確かめることができる。本実施形態では一例として、サービス提供者1が保有する情報(証明情報)と、協賛者3が保有する情報(証明情報)と、を照合することで認証が行われる場合を想定して説明する。
【0032】
また、実際には、一のサービス提供者1から多数の顧客2がサービスの提供を受けるように、一のサービス提供者1に多数の顧客2が対応付けられている。ただし、説明を簡単にするために、以下では、特に断りが無い限り、一のサービス提供者1から一の顧客2がサービスの提供を受ける場合を想定して説明する。
【0033】
(2.2)全体構成
次に、本実施形態に係る対価設定方法及び認証方法の前提となる、サービス提供者1が顧客2に「サービス」を提供するためのシステムの全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、サービス提供者1、顧客2、協賛者3及び需要家4の関係を模式的に表す模式図である。
【0034】
すなわち、本実施形態では、サービス提供者1と顧客2との間でサービスとしての電気エネルギE1の売買が行われる。具体的には、サービス提供者1は、顧客2から電気エネルギE1の買取り(購入)を行い、顧客2に対して、電気エネルギE1に見合った対価の支払いを行う。勿論、対価の支払いの方法(態様)は、例えば、振込、集金又はクレジットカード決済等、適宜選択可能である。
【0035】
ここで、顧客2が所有する住宅H1(図1参照)には、太陽光発電設備50が設置されている。太陽光発電設備50のような分散電源で発生した電気エネルギの一部は、住宅H1内の各種設備等にて消費される(自家消費)が、自家消費しきれない電気エネルギE1は、例えば、電力系統に逆潮流され、電力系統を経由してサービス提供者1に送られる。つまり、太陽光発電設備50で生成された電気エネルギの余剰分(余剰電力)が、サービス提供者1による買取りの対象となる。このように、本実施形態では、顧客2の太陽光発電設備50で生成された電気エネルギの少なくとも一部が、顧客2からサービス提供者1に送られる(送電される)ことで、サービス提供者1による電気エネルギE1の買取りが可能となる。
【0036】
ここにおいて、太陽光発電設備50で生成される電気エネルギは、再生可能エネルギ(RE:Renewable Energy)である。本開示でいう「再生可能エネルギ」は、利用する以上の速度で自然に再生するエネルギ全般を意味し、グリーンパワー又は新エネルギ等と同義(又は類似)である。または、「再生可能エネルギ」は、枯渇せず、地球上のどこにでも存在し、かつCOを排出しない(増加させない)エネルギ全般を意味する。再生可能エネルギは、例えば、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱及びバイオマス等、並びにこれらのエネルギから生成された電気エネルギ等を含む。
【0037】
このように、本実施形態では、サービス提供者1が顧客2から買い取る電気エネルギE1は、再生可能エネルギである。サービス提供者1は、顧客2から取得した(買い取った)電気エネルギE1を、自ら使用してもよいが、本実施形態では、需要家4に対して販売する。つまり、上述したように、実際には、一のサービス提供者1から多数の顧客2がサービスの提供を受けるように、一のサービス提供者1に多数の顧客2が対応付けられている。よって、サービス提供者1は、実際には、多数の顧客2から少しずつでも電気エネルギE1を買い取ることで、全体としてそれなりに大量の電気エネルギE1を取得することが可能である。そこで、サービス提供者1は、このような大量の電気エネルギE1を、大口の需要家4に対して販売することで、利益を得ることが可能である。言い換えれば、サービス提供者1は、顧客2から取得した電気エネルギE1を需要家4に供給し、その見返りとして需要家4から販売金額の対価(報酬)を取得する。
【0038】
ここでいう「需要家」は、サービス提供者1から電気エネルギの供給を受け、電気エネルギを使用する者であって、法人と個人とのいずれであってもよいし、複数の法人又は個人の集合からなる団体(組織)であってもよい。本実施形態では一例として、需要家4は、例えば、「RE100」のように、事業運営の100%を再生可能エネルギで行うことを目標とした環境イニシアチブ(initiative)の加盟企業である。このような需要家4においては、化石燃料等を利用した電力供給源からの電気エネルギに代えて、太陽光及び風力等の再生可能エネルギによる電力供給源からの電気エネルギE1を使用することで、「RE100」という目標を達成しやすくなる。
【0039】
また、サービス提供者1は、協賛者3と連携し、顧客2を相手にした事業を行う。ここで、サービス提供者1は、顧客2を相手に「サービス」としての電気エネルギE1の買取りを行い、協賛者3は、顧客2を相手に「関連サービス」としての特定機器5の販売と貸与との少なくとも一方を行う。
【0040】
要するに、協賛者3は、関連行動を顧客2に実施させるための関連サービスを、顧客2に対して提供する。関連行動は、上述したように、サービス提供者1が提供するサービスに関連する顧客2の行動であって、本実施形態では、サービス(電気エネルギの買取り)に関連する特定機器5の購入と借用との少なくとも一方を含んでいる。ここでは特に、関連行動は、特定機器5の購入である場合を想定している。そこで、協賛者3は、顧客2に関連行動を実施させるために、顧客2を相手に「関連サービス」としての特定機器5の販売(及び/又は貸与)を行う。協賛者3が販売を行う特定機器5は、上述したように、サービスに関連する機器であって、一例として、ヒートポンプ式の給湯器51、蓄電設備52又は電力計測器53等の機器である。本実施形態では、これら給湯器51、蓄電設備52又は電力計測器53の各々を特に区別しない場合、給湯器51、蓄電設備52又は電力計測器53の各々を単に「特定機器5」という。
【0041】
ただし、これらの特定機器5は、使用に際して設置及び施工等が必要となるため、本実施形態では、協賛者3が直接的に特定機器5の販売を行うのではなく、仲介業者6(図2参照)を介して間接的に特定機器5の販売を行う。つまり、例えば、販売店又は施工業者等の仲介業者6が、顧客2と協賛者3との仲介をしており、特定機器5の設置及び施工に係る作業は仲介業者6によって実施される。
【0042】
このように、協賛者3が提供する関連サービスは、関連行動を顧客2に実施させるためのサービス(役務)であって、関連行動は、サービス提供者1が提供するサービスに関連する顧客2の行動である。したがって、協賛者3にとっては、関連サービスを顧客2が利用することで利益が発生し得る。また、サービス提供者1にとっては、協賛者3が関連サービスを提供し、顧客2による関連行動の実施が促進されることで、サービスの利用者数の増加等につながり、利益が発生し得る。
【0043】
ただし、サービス提供者1が、顧客2から取得した(買い取った)電気エネルギE1を需要家4に販売することは必須ではなく、本実施形態に係る対価設定方法及び認証方法を具現化するに当たり、需要家4の存在は必須でない。そのため、以下の説明では、需要家4については深く触れないこととする。例えば、サービス提供者1は、顧客2から取得した(買い取った)電気エネルギE1を、自ら使用してもよいし、又は別の顧客2に融通してもよい。
【0044】
(2.3)対価設定システム及び認証システムの構成
次に、本実施形態に係る対価設定システム10及び認証システム100の構成について、図2を参照して説明する。
【0045】
本実施形態では一例として、対価設定システム10は、サービス提供者1が所有するシステムである。対価設定システム10は、協賛者3が所有する協賛者側システム30と共に、認証システム100を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る認証システム100は、対価設定システム10と、協賛者側システム30と、を備えている。また、顧客2は、ユーザ端末20を有しており、仲介業者6は、仲介端末60を有している。
【0046】
ここで、対価設定システム10、協賛者側システム30、ユーザ端末20及び仲介端末60は、互いに通信可能に構成されている。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。本実施形態では、対価設定システム10、協賛者側システム30、ユーザ端末20及び仲介端末60は、いずれも直接的又はルータ等を介して間接的に、インターネット等のネットワークNT1に接続されている。対価設定システム10、協賛者側システム30、ユーザ端末20及び仲介端末60は、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を介してネットワークNT1に接続されてもよい。
【0047】
ユーザ端末20は、一例として、顧客2が所有するパーソナルコンピュータ、又はスマートフォン若しくはタブレット端末等の携帯端末である。同様に、仲介端末60は、一例として、仲介業者6が所有するパーソナルコンピュータ、又はスマートフォン若しくはタブレット端末等の携帯端末である。これらのユーザ端末20及び仲介端末60は、それぞれ人の操作を受け付ける機能として、例えば、タッチパネルディスプレイ又は外付けの操作デバイス(キーボード及びポインティングデバイス等)からの入力信号を受け付ける操作入力機能を有している。また、ユーザ端末20及び仲介端末60は、それぞれ人に情報を提示する機能として、例えば、ディスプレイに情報を表示する表示機能を有している。
【0048】
本実施形態では一例として、対価設定システム10及び協賛者側システム30は、いずれも1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステム(サーバを含む)を主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、対価設定システム10及び協賛者側システム30の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、対価設定システム10及び協賛者側システム30として機能させるためのプログラムである。
【0049】
対価設定システム10は、図2に示すように、登録部11と、決定部12と、認証部13と、提供者側記憶部14と、演算部15と、を備えている。これらの構成のうち、特に登録部11、決定部12、認証部13及び演算部15については、1以上のプロセッサを主構成として実現される。
【0050】
登録部11は、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録する機能を有している。つまり、登録部11は、対価設定方法における登録ステップに相当する処理を実行する。
【0051】
決定部12は、対価を決定する機能を有している。ここでは、決定部12は、顧客2が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、登録部11で登録済みの候補値のうち、実施された関連行動に対応する候補値に基づいて、関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定する。つまり、決定部12は、対価設定方法における決定ステップに相当する処理を実行する。
【0052】
本実施形態では一例として、対価(買取単価)のうち基本料金に加算されるプレミアム値が、関連行動によって異なるので、決定部12は、関連行動に対応する候補値に基づいて、関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定する。詳しくは「(2.5)対価設定方法」の欄で説明するが、基本的には、顧客2が関連行動を実施すると、対価が高くなるように、対価を決定する。つまり、顧客2が特定機器5を購入することで、サービス提供者1による電気エネルギの買取りにおける買取単価は高くなる。
【0053】
認証部13は、サービスの提供に際して、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証を行う機能を有している。つまり、認証部13は、認証方法における認証ステップに相当する処理を実行する。
【0054】
提供者側記憶部14は、少なくとも、登録部11で登録された候補値を、1以上の関連行動の各々に対応付けた状態で記憶する。さらに、提供者側記憶部14は、決定部12で決定された顧客2に対する対価を記憶する。実際には、一のサービス提供者1から多数の顧客2がサービスの提供を受けるので、提供者側記憶部14には、複数(多数)の顧客2についての対価が顧客2ごとに記憶される。また、提供者側記憶部14は、認証部13での認証に必要な情報等を更に記憶する。提供者側記憶部14は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモ
リで実現されてもよいし、データベースで実現されていてもよい。
【0055】
演算部15は、決定部12で決定された対価、つまり買取単価を用いて、買取金額の演算を行う。つまり、演算部15は、精算期間内に、サービス提供者1が顧客2から買い取った電気エネルギの量と、対価(買取単価)との積を、買取金額として算出する。
【0056】
協賛者側システム30は、図2に示すように、履歴管理部31と、発行部32と、外部認証部33と、協賛者側記憶部34と、譲渡部35と、を備えている。これらの構成のうち、特に履歴管理部31、発行部32、外部認証部33及び譲渡部35については、1以上のプロセッサを主構成として実現される。
【0057】
履歴管理部31は、協賛者3が顧客2に提供した関連サービスの履歴を管理する機能を有している。本実施形態では、関連サービスは特定機器5の販売であるので、履歴管理部31は、特定機器5の販売の履歴を管理する。ここでいう「履歴」には、販売した日時、顧客2の情報及び販売した特定機器5の情報等を含む。顧客2の情報には、顧客2の氏名(又は名称)、住所及び連絡先等を含む。特定機器5の情報には、特定機器5の台数、種類(給湯器/蓄電設備/電力計測器等)、品番、性能(成績係数等)、仕様(定格電力及び定格出力等)及び設置場所等を含む。
【0058】
発行部32は、1以上の関連行動の実施と引き換えに顧客2に対して証明書を発行する機能を有する。詳しくは「(2.6)認証方法」の欄で説明するが、発行部32は、顧客2からの申請により証明書を発行する。
【0059】
外部認証部33は、サービスの提供に際して、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、顧客2の認証を行う機能を有している。つまり、外部認証部33は、対価設定システム10の認証部13と協働して、認証方法における認証ステップに相当する処理を実行する。
【0060】
協賛者側記憶部34は、少なくとも、履歴管理部31で管理される関連サービスの履歴を記憶する。さらに、協賛者側記憶部34は、発行部32が発行した証明書の情報についても記憶する。また、協賛者側記憶部34は、外部認証部33での認証に必要な情報等を更に記憶する。協賛者側記憶部34は、EEPROMのような書き換え可能な不揮発性メモリで実現されてもよいし、データベースで実現されていてもよい。
【0061】
譲渡部35は、サービスの提供に際して、1以上の関連行動により協賛者3が得る報酬の少なくとも一部を協賛者3からサービス提供者1に引き渡す機能を有している。譲渡部35の機能、つまり譲渡ステップについて詳しくは、「(2.6)認証方法」の欄で説明する。
【0062】
また、対価設定システム10及び協賛者側システム30の各々は、上述した構成に加えて、通信モジュール及びユーザインタフェース等の各種の機能を更に備えている。
【0063】
本実施形態では、協賛者側システム30、ユーザ端末20及び仲介端末60は、対価設定システム10の構成要素に含まれない。ただし、協賛者側システム30、ユーザ端末20及び仲介端末60の少なくとも1つは、対価設定システム10の構成要素に含まれてもよい。同様に、本実施形態では、ユーザ端末20及び仲介端末60は、認証システム100の構成要素に含まれないが、ユーザ端末20及び仲介端末60の少なくとも1つは、認証システム100の構成要素に含まれてもよい。
【0064】
(2.4)特定機器
次に、特定機器5について簡単に説明する。上述したように、本実施形態では、特定機器5は、ヒートポンプ式の給湯器51、蓄電設備52又は電力計測器53等を含んでいる。
【0065】
これらの特定機器5を顧客2が購入する行為は、本実施形態では、サービス(電気エネルギの買取り)に関連する関連行動に含まれている。そして、協賛者3は、このような関連行動を実施させるための関連サービスとして、特定機器5の販売を行う。要するに、協賛者3は、顧客2を相手に関連サービスとして特定機器5の販売を実施する。顧客2においては、協賛者3から、特定機器5を購入することで、関連行動を実施することになる。
【0066】
顧客2は、関連行動として特定機器5を購入する場合に、仲介業者6を介して間接的に協賛者3から特定機器5を購入する。顧客2が特定機器5を購入すると、仲介業者6が、この特定機器5の設置及び施工に係る作業を実施する。つまり、顧客2が購入した特定機器5は、仲介業者6によって、顧客2の住宅H1に設置され、さらに必要な電気配線等の施工が実施される。
【0067】
ここにおいて、特定機器5は、サービス提供者1のサービスに係る負担を低減する機器を含んでいる。本実施形態では、複数の特定機器5のうち、少なくともヒートポンプ式の給湯器51及び蓄電設備52が、サービス提供者1のサービスに係る負担を低減する機器に該当する。特に本実施形態では、上述したように、サービス提供者1が顧客2から電気エネルギを買取るサービスを、サービス提供者1が顧客2に提供している。そのため、特定機器5は、少なくともサービスに係るエネルギを蓄積する機能を有するエネルギ蓄積機器(給湯器51及び蓄電設備52)を含んでおり、これらのエネルギ蓄積機器が、サービス提供者1のサービスに係る負担を低減する機器に該当する。
【0068】
例えば、ヒートポンプ式の給湯器51は、湯水を貯める貯湯タンクと、貯湯タンクに貯められる湯水を加熱する加熱装置とを有し、貯湯タンク内の湯水によって給湯を行う貯湯式の給湯器である。加熱装置は、ヒートポンプ式であって、屋外に設置されている。
【0069】
貯湯タンクは、内部の湯水の熱を逃がしにくいように断熱構造を採用している。貯湯タンクは、内部が湯水で充満されており、給水口から給水されて加熱された湯水を上部から戻すので、内部において湯水は上方ほど高温となる。ここで、貯湯タンク内には上下方向に複数配置された温度センサが設けられ、特定機器5は、温度センサの出力により貯湯タンク上端からどの位置まで湯水が所定温度(例えば90℃)の湯となっているかを検出し、湯量を判断する。特定機器5は、貯湯タンク内の湯量が所定の沸上湯量に達していれば沸上完了状態にあると判断し、加熱装置の運転を停止する。ここでいう「湯量」は、貯湯タンク内の湯水のうち所定温度以上の湯の量を意味する。
【0070】
加熱装置は、大気中の熱(空気熱)を冷媒(例えば、自然冷媒)に集め、この冷媒をコンプレッサにて圧縮して高温にした後、冷媒の熱を熱交換器にて湯水に伝達することで湯水を加熱する。
【0071】
すなわち、ヒートポンプ式の給湯器51は、貯湯タンクを有しており、電気エネルギを熱エネルギに変換して、加熱された湯の熱エネルギとして、貯湯タンクに蓄積する機能を有している。そのため、給湯器51は、サービス(電気エネルギの買取り)に係るエネルギ(熱エネルギ)を蓄積する機能を有する、エネルギ蓄積機器である。
【0072】
一方で、蓄電設備52は、蓄電池と、電力変換装置と、を有している。蓄電設備52は、屋内又は屋外に設置されている。すなわち、蓄電設備52は、電気エネルギを蓄電池に蓄積する機能を有している。そのため、蓄電設備52は、サービス(電気エネルギの買取り)に係るエネルギ(電気エネルギ)を蓄積する機能を有する、エネルギ蓄積機器である。
【0073】
これらのエネルギ蓄積機器(ヒートポンプ式の給湯器51及び蓄電設備52)によれば、太陽光発電設備50で生成された電気エネルギの余剰分(余剰電力)を、熱エネルギとして又は電気エネルギのまま、蓄積することができる。そのため、エネルギ蓄積機器は、太陽光発電設備50で生成された電気エネルギの余剰分(余剰電力)の発生量を低減することができ、結果的に、サービス提供者1による電気エネルギの買取り量を少なく抑えることができる。
【0074】
そして、電気エネルギの買取りというサービスを提供するサービス提供者1にとっては、電気エネルギの買取り量が少なくなれば、顧客2への支払額(買取り量と買取単価との積)を少なく抑えることができる。よって、これらのエネルギ蓄積機器(ヒートポンプ式の給湯器51及び蓄電設備52)によれば、サービス提供者1にとっては、支出が減って、サービスに係る負担(支出)を低減することができる。
【0075】
ただし、特定機器5は、エネルギ蓄積機器(ヒートポンプ式の給湯器51及び蓄電設備52)に限らず、電力計測器53等を含んでいてもよいし、更に他の機器を含んでいてもよい。一例として、特定機器5は、スマートメータ、燃料電池、電力変換装置、電気自動車、空調装置、照明器具又は家電機器(冷蔵庫若しくは洗濯機等)等を含んでいてもよい。
【0076】
(2.5)対価設定方法
次に、本実施形態に係る対価設定方法について、図3図5を参照して説明する。
【0077】
本実施形態に係る対価設定方法は、上述したように、サービス提供者1が顧客2に「サービス」を提供する態様を前提として、サービスに関する対価を設定するための方法である。本実施形態では一例として、サービス提供者1が提供するサービスは電気エネルギの買取りであって、対価は買取単価である。本実施形態では、対価設定システム10にて対価設定方法が実施される。
【0078】
対価設定方法は、上述したように、登録ステップと、決定ステップと、を有している。本実施形態では、対価設定方法は、登録ステップ及び決定ステップに加えて、認証ステップ及び譲渡ステップを更に有している。
【0079】
認証ステップは、サービスの提供に際して、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証を行うステップである。また、譲渡ステップは、サービスの提供に際して、1以上の関連行動により協賛者3が得る報酬の少なくとも一部を協賛者3からサービス提供者1に引き渡すステップである。ただし、認証ステップ及び譲渡ステップは、認証方法との関連が深い処理であるため、認証ステップ及び譲渡ステップについて詳しくは「(2.6)認証方法」の欄で説明する。
【0080】
登録ステップは、対価設定システム10の登録部11にて行われる。つまり、登録ステップは、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録するステップである。具体的には、登録ステップでは、図3に示すように、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応させた態様で、複数の候補値を登録する。図3は、登録ステップで登録され得る候補値の一例を示す概念図である。図3では、基本料金にプレミアム値を加算した買取単価そのものに相当する候補値を、関連行動(購入した特定機器5)と対応付けて概念的に示している。
【0081】
すなわち、図3では、「プランA」~「プランF」の6種類のプランが登録されている。このうち、プランAは、関連行動が実施されていない場合、つまり、顧客2が、協賛者3から特定機器5を購入していない場合のプランである。そのため、プランAにおける候補値(買取単価)は、顧客2が関連行動を実施しているか否かに関わらず確保される、買取単価の基本料金である。ここでは一例として、プランAの候補値、つまり買取単価の基本料金は、8〔円/kWh〕である。言い換えれば、関連行動なしに対応付けて、8〔円/kWh〕という候補値が登録されている。
【0082】
一方、プランBは、ある関連行動が実施された場合、つまり、顧客2が、協賛者3から、特定機器5であるヒートポンプ式の給湯器51を購入している場合のプランである。そのため、プランBにおける候補値(買取単価)は、顧客2がヒートポンプ式の給湯器51を購入することに応じて付与されるプレミアム値が基本料金に加算された値となる。ここでは一例として、プランBの場合のプレミアム値は1〔円/kWh〕であって、このプレミアム値が基本料金に加算されたプランBでの候補値は9〔円/kWh〕である。言い換えれば、ヒートポンプ式の給湯器51の購入という関連行動に対応付けて、9〔円/kWh〕という候補値が登録されている。
【0083】
また、プランCは、別の関連行動が実施された場合、つまり、顧客2が、協賛者3から、特定機器5である蓄電設備52を購入している場合のプランである。そのため、プランCにおける候補値(買取単価)は、顧客2が蓄電設備52を購入することに応じて付与されるプレミアム値が基本料金に加算された値となる。ここでは一例として、プランCの場合のプレミアム値は3〔円/kWh〕であって、このプレミアム値が基本料金に加算されたプランCでの候補値は11〔円/kWh〕である。言い換えれば、蓄電設備52の購入という関連行動に対応付けて、11〔円/kWh〕という候補値が登録されている。
【0084】
また、プランDは、更に別の関連行動が実施された場合、つまり、顧客2が、協賛者3から、特定機器5である給湯器51及び蓄電設備52を購入している場合のプランである。そのため、プランDにおける候補値(買取単価)は、顧客2が給湯器51及び蓄電設備52を購入することに応じて付与されるプレミアム値が基本料金に加算された値となる。ここでは一例として、給湯器51及び蓄電設備52の両方を購入した場合のプレミアム値は、給湯器51及び蓄電設備52の各々を購入した場合のプレミアム値の合計である。ここでは、給湯器51のみを購入した場合のプレミアム値が1〔円/kWh〕、蓄電設備52のみを購入した場合のプレミアム値が3〔円/kWh〕であるので、プランDの場合のプレミアム値は4〔円/kWh〕である。よって、このプレミアム値が基本料金に加算されたプランDでの候補値は12〔円/kWh〕である。言い換えれば、給湯器51及び蓄電設備52の購入という関連行動に対応付けて、12〔円/kWh〕という候補値が登録されている。
【0085】
その他のプランE及びプランFにおいても同様に、関連行動に対応付けて候補値が登録されている。プランEでは、関連行動は、顧客2が協賛者3から蓄電設備52及び電力計測器53を購入することであって、プランFでは、関連行動は、顧客2が協賛者3から給湯器51、蓄電設備52及び電力計測器53を購入することである。そして、プランE及びプランFでは、それぞれの関連行動に対応付けて、14〔円/kWh〕及び15〔円/kWh〕という候補値が登録されている。
【0086】
登録ステップでは、上述したように、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応させた態様で、複数の候補値が登録される。具体的には、登録ステップでは、候補値が、1以上の関連行動の各々に対応付けた状態で、提供者側記憶部14に記憶されることによって、登録される。登録ステップは、ある判定条件に従って、又は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)等を用いて自動的に行われてもよいし、ユーザインタフェース等を用いて人が手動で行ってもよい。
【0087】
ただし、候補値は、対応する関連行動のサービスへの寄与度に応じて決められている。すなわち、候補値は、対応する関連行動の、サービス(ここでは電気エネルギの買取り)への寄与度、つまり貢献度によって異なることが好ましい。例えば、上述したように、特定機器5の中でも、給湯器51及び蓄電設備52のようなエネルギ蓄積機器は、サービス提供者1のサービスに係る負担を低減するという点で、サービス提供者1のサービスに寄与(貢献)する。そして、給湯器51と蓄電設備52とを比較すると、電気エネルギを直接的に蓄積する蓄電設備52の方が、太陽光発電設備50で生成された電気エネルギの余剰分(余剰電力)を、より有効に活用できる。したがって、給湯器51と蓄電設備52とを比較すると、電気エネルギを直接的に蓄積する蓄電設備52の方が、サービス提供者1による電気エネルギの買取り量をより低減でき、サービスへの寄与度は大きい。したがって、本実施形態では、給湯器51の購入という関連行動に対応するプランBの候補値に比較して、蓄電設備52の購入という関連行動に対応するプランCの候補値の方が、高く設定されている。
【0088】
決定ステップは、対価設定システム10の決定部12にて行われる。つまり、決定ステップは、顧客2が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、実施された関連行動に対応する候補値から、この関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定するステップである。具体的には、決定ステップでは、図4に示すように、登録ステップにおいて1以上の関連行動の各々に対応させた態様で登録された複数の候補値に基づいて、対応する関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定する。図4は、決定ステップで決定され得る対価(買取単価)の一例を示す概念図である。図4では、横軸を時間軸とし、縦軸を対価(買取単価)として、関連行動ごとに適用される対価を概念的に示している。
【0089】
ここでは一例として、「プランA」~「プランF」の6種類のプランが登録されている場合を想定している。つまり、関連行動が実施されていない場合のプランAでは、対価(買取単価)としては、基本料金である8〔円/kWh〕が適用される。これに対して、何らかの関連行動が実施された場合のプランB~プランFでは、対価(買取単価)としては、基本料金である8〔円/kWh〕に対して、プレミアム値が加算された額が適用される。
【0090】
すなわち、対価(買取単価)のうち基本料金に加算されるプレミアム値は、関連行動によって異なるので、決定ステップでは、関連行動に対応する候補値に基づいて、関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定する。基本的には、顧客2が関連行動を実施すると、関連行動が実施されていない場合のプランAに比較して、対価が高くなるように、対価が決定される。つまり、顧客2が特定機器5を購入することで、サービス提供者1による電気エネルギの買取りにおける買取単価は高くなる。
【0091】
特に、本実施形態では、顧客2が複数の関連行動を実施した場合には、実施された複数の関連行動に対応する複数の候補値から、複数の関連行動を実施した顧客2に対する対価が決定することができる。すなわち、例えば、プランDのように、給湯器51及び蓄電設備52の両方を購入した場合のプレミアム値は、給湯器51及び蓄電設備52の各々を購入した場合のプレミアム値の合計である。そのため、プランDのような、複数の関連行動を実施した場合の候補値を登録していなくても、各々の関連行動(プランB及びプランC)に対応する候補値が登録されていれば、これらの組み合わせから、複数の関連行動を実施した場合の候補値を算出できる。
【0092】
言い換えれば、給湯器51を購入する関連行動に対応するプレミアム値と、蓄電設備52を購入する関連行動に対応するプレミアム値と、の各々が登録されていれば、これらの両方を購入する場合のプレミアム値は、両プレミアム値の合計から求まる。このように、複数の関連行動を実施した場合のプレミアム値を、複数の関連行動のそれぞれ実施した場合のプレミアム値の単純な合計値とすることで、より多様な対価の設定が可能となる。
【0093】
ところで、本実施形態では、図4から明らかなように、決定ステップで決定される対価が適用される期間は、所定長さ(例えば1年間)の適用期間に制限されている。すなわち、本実施形態に係る対価設定方法で設定される対価は、永久に適用されるのではなく、期間限定で適用されることになる。この場合、例えば、対価設定方法にて基本料金にプレミアム値を加算した対価が設定されるとしても、この対価が適用されるのは適用期間のみに制限され、適用期間が経過すると、基本料金が対価として適用されることになる。
【0094】
図4の例では、サービス提供者1によるサービスの提供開始(買取開始)時点から、一定期間(ここでは1年)が経過するまでの期間が、適用期間である。そのため、例えば、協賛者3から特定機器5である蓄電設備52を購入した顧客2に適用されるプランCにおいては、サービスの提供開始時点から1年が経過するまでの適用期間に限り、11〔円/kWh〕という対価(買取単価)が適用される。そして、適用期間の経過後、つまりサービスの提供開始時点から1年が経過した以降は、プランCの顧客2に対しても、プランAと同じ基本料金である8〔円/kWh〕という対価(買取単価)が適用される。
【0095】
適用期間の始点は、サービスの提供開始時点に限らず、例えば、関連行動が実施されたタイミング、認証に成功したタイミング、又は認証を経て契約が成立したタイミングであってもよい。
【0096】
図5は、対価設定方法の一例を示すフローチャートである。
【0097】
すなわち、図5に示すように、対価設定システム10は、まず候補値を登録するための登録ステップを、登録部11にて実行する(S1)。その後、対価設定システム10は、顧客2を認証するための認証ステップを、認証部13にて実施する(S2)。認証ステップ(S2)について詳しくは「(2.6)認証方法」の欄で説明する。
【0098】
認証ステップS2での顧客2の認証に成功すれば(S3:YES)、対価設定システム10は、顧客2による関連行動の実施の有無を判定する。(S4)。このとき、顧客2が関連行動を実施していなければ(S4:NO)、対価設定システム10は、決定部12にてプランAを選択する(S5)。一方、顧客2が関連行動を実施していれば(S4:YES)、対価設定システム10は、顧客2が購入した特定機器5に応じてプランB~プランFのいずれか1つを選択する(S6)。
【0099】
そして、対価設定システム10は、選択したプランA~プランFに対応する候補値を決定部12にて選択する(S7)。それから、対価設定システム10は、この顧客2に対して適用する対価を、選択した候補値に基づいて決定する決定ステップを、決定部12にて実行する(S8)。これにより、対価設定方法に係る一連の処理が完了する。
【0100】
認証ステップS2での顧客2の認証に失敗すれば(S3:NO)、対価設定システム10は、処理S4~S8をスキップして対価設定方法に係る一連の処理が完了する。
【0101】
対価設定システム10は、処理S1~S8を繰り返し実行することで、対価を設定する。このように決定(設定)される対価(買取単価)は、設定される都度、例えば、サービス提供者1から顧客2に対して提示される。図5のフローチャートは、対価設定方法の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0102】
要するに、本実施形態に係る対価設定方法は、サービス提供者1が顧客2から電気エネルギを買取るサービスに関する対価を設定する方法である。この対価設定方法は、登録ステップと、決定ステップと、を有している。登録ステップは、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録するステップである。決定ステップは、顧客2が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、実施された関連行動に対応する候補値から、関連行動を実施した顧客2に対する対価を決定するステップである。ここで、1以上の関連行動は、少なくともサービスに係るエネルギを蓄積する機能を有するエネルギ蓄積機器(ヒートポンプ式の給湯器51及び蓄電設備52)の購入と借用との少なくとも一方を含んでいる。
【0103】
(2.6)認証方法
次に、本実施形態に係る認証方法について、図6図8を参照して説明する。
【0104】
本実施形態に係る認証方法は、上述したように、サービス提供者1が顧客2に「サービス」を提供する態様を前提として、サービス提供者1からサービスの提供を受ける顧客2の認証を行うための方法である。本実施形態では、認証システム100にて認証方法が実施される。
【0105】
認証方法は、上述したように、認証ステップを有している。本実施形態では、認証方法は、認証ステップに加えて、譲渡ステップ及び発行ステップを更に有している。
【0106】
認証ステップは、認証システム100の認証部13及び外部認証部33にて行われる。つまり、認証ステップは、(サービス提供者1による)サービスの提供に際して、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証を行うステップである。証明情報は、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す情報である。
【0107】
具体的には、認証ステップでは、対価設定システム10の認証部13と協賛者側システム30の外部認証部33とが協働して、顧客2が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、顧客2の認証を行う。ここで、認証ステップでは、サービス提供者1が協賛者3との間で行う証明情報の比較結果に基づいて顧客2の認証を行う。すなわち、顧客2は、協賛者3が提供する関連サービスを利用して、関連行動を実施する。本実施形態では、関連行動が特定機器5の購入であるので、協賛者3は、関連サービスとして特定機器5の販売を行っている。要するに、関連行動の実施は、協賛者3と顧客2との間で実施されるため、協賛者3であれば、顧客2による関連行動の実施状況を正確に把握可能である。そこで、認証ステップでは、サービス提供者1側で把握される証明情報と、協賛者3側で把握される証明情報とを比較し、その比較結果に基づいて顧客2の認証を行う。
【0108】
ここで、認証ステップでは、証明書を、証明情報として用いて認証を行っている。本開示でいう「証明書」は、1以上の関連行動の実施と引き換えに顧客2に対して発行される。本実施形態では、関連行動は特定機器5の購入であるので、証明書は、例えば特定機器5の保証書等である。つまり、顧客2が、関連行動として協賛者3から特定機器5を購入すると、この関連行動と引き換えに、協賛者3から顧客2に対しては、特定機器5の保証書等が発行される。本実施形態に係る認証方法では、このように発行される保証書等の証明書を、認証ステップでの証明情報として利用する。証明書は、実際に印刷された書面であってもよいし、ユーザ端末20等で閲覧可能なデータ上の書面であってもよい。
【0109】
発行ステップは、認証システム100における協賛者側システム30の発行部32にて行われる。つまり、発行ステップは、顧客2からの申請により証明書を発行するステップである。要するに、本実施形態においては、認証ステップで用いられる証明書は、協賛者3が能動的に発行するのではなく、顧客2からの申請があって初めて協賛者3が発行する。
【0110】
また、譲渡ステップは、認証システム100における協賛者側システム30の譲渡部35にて行われる。つまり、譲渡ステップは、サービスの提供に際して、1以上の関連行動により協賛者3が得る報酬の少なくとも一部を協賛者3からサービス提供者1に引き渡すステップである。すなわち、顧客2が関連行動として、特定機器5の購入を実施した場合には、特定機器5を販売している協賛者3が報酬を得ることになる。そこで、その報酬の少なくとも一部を協賛者3からサービス提供者1に引き渡すことで、サービス提供者1においては、サービスに係る原資の回収を図ることができる。つまり、サービス提供者1にとっては、関連行動を実施した顧客2に対しては、対価(買取単価)を引き上げる(増額する)ための原資が必要となる。この原資として、譲渡ステップで協賛者3からサービス提供者1に引き渡される報酬の少なくとも一部が利用される。
【0111】
図6及び図7は、本実施形態に係る認証方法を用いて顧客2の認証を行う場合の具体例を示す。図6は、顧客2が関連行動を実施する際の手順の一例を示す概念図である。図7は、関連行動を実施した顧客2の認証を実施する際の手順の一例を示す概念図である。
【0112】
すなわち、顧客2が関連行動を実施するに際しては、図6に示すように、協賛者3は、販売店又は施工業者等の仲介業者6を介し、特定機器5の販売を行う(P1,P2)。このとき、仲介業者6は、顧客2に対して、関連行動と対価との関係を表す上記プランA~プランFの説明を含めて、特定機器5の紹介及び説明等を行う。そして、顧客2が特定機器5を購入すると、仲介業者6は、特定機器5の設置及び施工に係る作業を実施する。このとき、協賛者3においては、協賛者側システム30の履歴管理部31に、特定機器5の販売の履歴を記録する。
【0113】
その後、顧客2は、仲介業者6を介して、協賛者3に対して特定機器5の購入の証明書(保証書)の発行申請を行う(P3,P4)。このとき、顧客2は、特定機器5を購入した日時、顧客2の情報及び購入した特定機器5の情報等を、申請情報として協賛者3に送ることで、発行申請を実施する。これにより、協賛者3に対し、証明書としての特定機器5の保証書の発行が申請されることになる。
【0114】
証明書の発行申請を受けた協賛者3は、仲介業者6を介して、証明書としての保証書を発行する発行ステップを実行する(P5,P6)。このとき、証明書(保証書)には、少なくとも証明書を特定可能な識別情報(一例として保証書番号等)が付される。協賛者3は、証明書(保証書)の識別情報を、顧客2からの申請情報と対応付けて、協賛者側システム30の履歴管理部31に記録する。
【0115】
上述のように顧客2が関連行動(特定機器5の購入)を実施した後、顧客2の認証を実施するに際しては、図7に示すように、サービス提供者1と仲介業者6との間で、サービス加入依頼等が行われる(P11)。具体的には、仲介業者6は、申し込みサイトのリンク及びIDを発行するよう、サービス提供者1に依頼する。ここでいう申し込みサイトは、サービス提供者1が提供しているサービスの申し込みのためのWebサイトであって、例えば、サービス提供者1が管理している。この依頼を受けて、サービス提供者1は、申し込みサイトのリンク及びIDを発行する。発行された申し込みサイトのリンク及びIDは、仲介業者6から顧客2に通知される(P12)。
【0116】
顧客2は、通知された申し込みサイトのリンク及びIDを用いて、例えば、ユーザ端末20等で申し込みサイトD1にアクセスする(P13)。このとき、顧客2は、顧客2の情報等を申し込みサイトD1上で入力する。これを受けて、サービス提供者1は、申し込みサイトD1上で、顧客2に対して、申込みID及びパスワードを発行する(P14)。
【0117】
申込みID及びパスワードが発行されると、顧客2は、申込みID及びパスワードと共に、証明書(保証書)等の必要書類の情報を仲介業者6に通知する(P15)。これにより、仲介業者6が、顧客2を代理して、申し込みサイトD1上で、サービスの申し込みを行う(P16)。
【0118】
サービスの申し込みが行われると、サービス提供者1は、仲介業者6及び顧客2に対して、契約申し込みがあった旨の通知を行う(P17)。ここで、サービス提供者1は、協賛者3に対して、証明書(保証書)の確認申請を行う(P18)。すなわち、協賛者3は、協賛者側システム30の履歴管理部31にて、証明書(保証書)の識別情報を、顧客2からの申請情報と対応付けて記録しているので、サービス提供者1からの確認申請を受けて、識別情報等の突き合わせを行う。このとき、サービス提供者1側の認証部13と協賛者3側の外部認証部33とが協働して、顧客2の認証、つまり認証ステップを実行する。
【0119】
そして、顧客2の認証に成功すると、協賛者3は、サービス提供者1に対して、認証結果の通知を行う(P19)。このとき、協賛者3は、サービス提供者1に対して、原資としての報酬の少なくとも一部の支払う譲渡ステップを併せて実施する。これにより、サービス提供者1は、顧客2に対してサービスを提供するための処理を全て完了することになり、顧客2に対してサービス開始の通知等を行う(P20)。サービス開始の通知には、対価設定方法で決定(設定)された対価(買取単価)の情報が含まれていてもよい。
【0120】
図8は、認証方法の一例を示すフローチャートである。
【0121】
すなわち、図8に示すように、認証システム100は、顧客2による関連行動の実施の有無を判定する(S11)。関連行動が実施されると(S11:YES)、認証システム100は、発行申請の有無を判定する(S12)。顧客2からの発行申請が行われると、認証システム100は、証明書(保証書)を発行するための発行ステップを、発行部32にて実行する(S13)。その後、認証システム100は、顧客2の情報等を含む申請情報を、履歴管理部31に保存する(S14)。
【0122】
その後、認証システム100は、サービスの申し込みの有無を判定する(S15)。サービスの申し込みが行われると、認証システム100は、サービス提供者1側の認証部13と協賛者3側の外部認証部33とが協働して、顧客2の認証、つまり認証ステップを実行する(S16)。このとき、サービス提供者1と協賛者3との間で、証明書(保証書)に関する情報(証明情報)の照合が実施され、両者が一致するか否かが判定されることによって(S17)、顧客2の認証を行われる。
【0123】
互いの証明情報が一致すれば(S17:YES)、認証システム100は、認証成功と判断し(S18)、協賛者3からサービス提供者1に対して、原資としての報酬の少なくとも一部の支払う譲渡ステップを実施する(S19)。互いの証明情報が不一致であれば(S17:NO)、認証システム100は、認証失敗と判断する(S20)。
【0124】
これにより、認証方法に係る一連の処理が完了する。認証システム100は、処理S11~S20を繰り返し実行することで、顧客2の認証を行う。図8のフローチャートは、認証方法の一例に過ぎず、処理を適宜省略又は追加してもよいし、処理の順番が適宜変更されていてもよい。
【0125】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0126】
実施形態1に係る対価設定方法と同様の機能は、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、対価設定方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0127】
また、実施形態1に係る認証方法と同様の機能は、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、認証方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0128】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0129】
本開示における対価設定システム10又は認証システム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における対価設定システム10又は認証システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムさ
れる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0130】
また、対価設定システム10又は認証システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは対価設定システム10又は認証システム100に必須の構成ではない。対価設定システム10又は認証システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、対価設定システム10の機能の一部が、対価設定システム10とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、対価設定システム10又は認証システム100の少なくとも一部の機能が、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0131】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている対価設定システム10又は認証システム100の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、対価設定システム10と協賛者側システム30とに分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0132】
また、顧客2は、戸建住宅(住宅H1)に住む個人に限らず、例えば、集合住宅の各住戸に住む個人、又は集合住宅の管理者等であってもよい。さらに顧客2が所有する住宅H1に限らず、非住宅の施設が、サービスの提供対象(実施形態1では電気エネルギの買取り対象)であってもよい。非住宅の施設の例として、工場、ビル、店舗、オフィス、学校、福祉施設若しくは病院等がある。
【0133】
また、対価設定方法で決定(設定)される対価が適用される期間は、所定長さの適用期間に制限されていることは必須ではなく、例えば、可変長の適用期間に制限されてもよいし、制限されていなくてもよい。適用期間が可変長である場合、一例として、関連行動に応じて適用期間の長さが変わってもよい。
【0134】
また、サービス提供者1が提供するサービスが電気エネルギの販売であるような場合には、関連行動を実施した顧客2に対しては、対価である販売単価を割り引くように、対価が決定されることが好ましい。この場合、候補値は、例えば、基本料金から値引き額を減算した買取単価そのものに相当する値であってもよいし、値引き額に相当する値であってもよい。さらに、候補値は、基本料金に対する増額率又は割引率等であってもよい。
【0135】
また、顧客2への関連サービスの提供は、協賛者3に限らず、サービス提供者1によって実施されてもよい。この場合、サービス提供者1自身が、関連サービスの提供主体となるので、サービス提供者1と協賛者3との間で、報酬のやり取り(譲渡)等は生じない。
【0136】
また、協賛者3と顧客2との間に仲介業者6が介在することは必須でなく、協賛者3と顧客2とが直接的に取引を行ってもよい。すなわち、例えば、協賛者3は、関連サービスとしての特定機器5の販売等を、仲介業者6を介さずに、顧客2に対して直接的に行ってもよい。
【0137】
また、一の顧客2が複数のサービス提供者1からサービスの提供を受けるように、複数のサービス提供者1に一の顧客2が対応付けられていてもよい。
【0138】
また、実施形態1では、認証ステップにおいて、サービス提供者1が協賛者3との間で行う証明情報の比較結果に基づいて顧客2の認証を行うが、これに限らず、例えば、協賛者3単独で顧客2の認証が行われてもよい。すなわち、認証ステップは、証明情報に基づいて、協賛者3を通してサービス提供者1での顧客2の認証を行えばよく、認証を行う主体は、例えば、協賛者3であってもよい。この場合、認証ステップでは、協賛者3が顧客2の認証を行い、サービス提供者1は、協賛者3での認証結果に基づいて顧客2の認証を行うことになる。
【0139】
(実施形態2)
本実施形態に係る対価設定方法は、時間帯によって対価が異なる点で、実施形態1に係る対価設定方法と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0140】
すなわち、本実施形態では、例えば、午前中(6時から12時)と午後(12時から19時)とで対価(買取金額)が異なる等、時間帯ごとに対価が設定される。この場合において、対価設定方法では、複数の時間帯の対価をそれぞれ設定(決定)してもよいし、いずれか一つの時間帯の対価のみを基準対価として設定し、他の時間帯の対価は基準対価をベースに求めてもよい。
【0141】
本実施形態の構成によれば、一律の対価ではなく、時間帯によって異なる対価を設定することができるので、更に適切な対価を設定しやすくなる。
【0142】
また、実施形態2の変形例として、1日(24時間)を複数に分割した時間帯に限らず、例えば、曜日、週、月又は季節といった期間ごとに、対価が異なってもよい。
【0143】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0144】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る対価設定方法は、サービス提供者(1)が顧客(2)に提供するサービスに関する対価を設定する方法であって、登録ステップと、決定ステップと、を有する。登録ステップは、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録するステップである。決定ステップは、顧客(2)が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、実施された関連行動に対応する候補値から、関連行動を実施した顧客(2)に対する対価を決定するステップである。
【0145】
この態様によれば、登録ステップにて登録されている関連行動と候補値との対応関係を用いて、決定ステップにて、顧客(2)に対する対価を決定することができる。つまり、顧客(2)がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、この関連行動に対応付けられている候補値から、この顧客(2)に対する対価が決定されることになる。したがって、顧客(2)にとっては、自らが実施した関連行動に応じて、自らが受けるサービスの対価が決定されることになるため、他の顧客に適用される対価と比較しても、適正な対価が設定されやすくなる。また、サービス提供者(1)にとっては、顧客(2)ごとに多様な対価を設定することができるので、適正な対価が設定されやすくなる。結果的に、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【0146】
第2の態様に係る対価設定方法では、第1の態様において、1以上の関連行動は、サービスに関連する特定機器(5)の購入と借用との少なくとも一方を含む。
【0147】
この態様によれば、顧客(2)による特定機器(5)の購入と借用との少なくとも一方の促進を図ることができる。
【0148】
第3の態様に係る対価設定方法では、第2の態様において、特定機器(5)は、サービス提供者(1)のサービスに係る負担を低減する機器を含む。
【0149】
この態様によれば、顧客(2)による特定機器(5)の購入と借用との少なくとも一方が促進されることで、サービス提供者(1)のサービスに係る負担の低減を図ることができる。
【0150】
第4の態様に係る対価設定方法では、第1~3のいずれかの態様において、候補値は、対応する関連行動のサービスへの寄与度に応じて決められている。
【0151】
この態様によれば、サービスへの顧客(2)の寄与度に応じて対価が決定されることになる。
【0152】
第5の態様に係る対価設定方法は、第1~4のいずれかの態様において、顧客(2)が複数の関連行動を実施した場合には、実施された複数の関連行動に対応する複数の候補値から、複数の関連行動を実施した顧客(2)に対する対価を決定する。
【0153】
この態様によれば、複数の関連行動の組み合わせに対応する候補値を登録しなくても、これら複数の関連行動に対応する複数の候補値から、複数の関連行動を実施した顧客(2)に対する対価を決定することができる。
【0154】
第6の態様に係る対価設定方法では、第1~5のいずれかの態様において、サービスは、顧客(2)からの電気エネルギ(E1)の買取りを含む。
【0155】
この態様によれば、電気エネルギ(E1)の買取りに関する対価を設定しやすい。
【0156】
第7の態様に係る対価設定方法は、第1~6のいずれかの態様において、認証ステップを更に有する。この場合、1以上の関連行動を顧客(2)に実施させるための関連サービスを提供する協賛者(3)が、サービス提供者(1)とは別に存在する。認証ステップは、サービスの提供に際して、顧客(2)が1以上の関連行動を実施したことを示す証明情報に基づいて、協賛者(3)を通してサービス提供者(1)での顧客(2)の認証を行うステップである。
【0157】
この態様によれば、協賛者(3)が提供する関連サービスの顧客(2)による利用の促進を図ることができる。
【0158】
第8の態様に係る対価設定方法は、第1~7のいずれかの態様において、譲渡ステップを更に有する。この場合、1以上の関連行動を顧客(2)に実施させるための関連サービスを提供する協賛者(3)が、サービス提供者(1)とは別に存在する。譲渡ステップは、サービスの提供に際して、1以上の関連行動により協賛者(3)が得る報酬の少なくとも一部を協賛者(3)からサービス提供者(1)に引き渡すステップである。
【0159】
この態様によれば、サービス提供者(1)は、協賛者(3)から受け取った報酬の少なくとも一部を、サービスに関する原資に回すことができる。
【0160】
第9の態様に係る対価設定方法は、サービス提供者(1)が顧客(2)から電気エネルギ(E1)を買取るサービスに関する対価を設定する方法であって、登録ステップと、決定ステップと、を有する。登録ステップは、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録するステップである。決定ステップは、顧客(2)が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、実施された関連行動に対応する候補値から、関連行動を実施した顧客(2)に対する対価を決定するステップである。1以上の関連行動は、少なくともサービスに係るエネルギを蓄積する機能を有するエネルギ蓄積機器の購入と借用との少なくとも一方を含む。
【0161】
この態様によれば、登録ステップにて登録されている関連行動と候補値との対応関係を用いて、決定ステップにて、顧客(2)に対する対価を決定することができる。つまり、顧客(2)がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、この関連行動に対応付けられている候補値から、この顧客(2)に対する対価が決定されることになる。したがって、顧客(2)にとっては、自らが実施した関連行動に応じて、自らが受けるサービスの対価が決定されることになるため、他の顧客に適用される対価と比較しても、適正な対価が設定されやすくなる。また、サービス提供者(1)にとっては、顧客(2)ごとに多様な対価を設定することができるので、適正な対価が設定されやすくなる。結果的に、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【0162】
第10の態様に係る対価設定システム(10)は、サービス提供者(1)が顧客(2)に提供するサービスに関する対価の設定に用いられ、登録部(11)と、決定部(12)と、を備える。登録部(11)は、サービスに関連する1以上の関連行動の各々に対応する候補値を登録する。決定部(12)は、顧客(2)が1以上の関連行動のいずれかを実施すると、登録部(11)で登録済みの候補値のうち、実施された関連行動に対応する候補値に基づいて、関連行動を実施した顧客(2)に対する対価を決定する。
【0163】
この態様によれば、登録部(11)にて登録されている関連行動と候補値との対応関係を用いて、決定部(12)にて、顧客(2)に対する対価を決定することができる。つまり、顧客(2)がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、この関連行動に対応付けられている候補値から、この顧客(2)に対する対価が決定されることになる。したがって、顧客(2)にとっては、自らが実施した関連行動に応じて、自らが受けるサービスの対価が決定されることになるため、他の顧客に適用される対価と比較しても、適正な対価が設定されやすくなる。また、サービス提供者(1)にとっては、顧客(2)ごとに多様な対価を設定することができるので、適正な対価が設定されやすくなる。結果的に、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【0164】
第11の態様に係るプログラムは、第1~9のいずれかの態様に係る対価設定方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0165】
この態様によれば、登録ステップにて登録されている関連行動と候補値との対応関係を用いて、決定ステップにて、顧客(2)に対する対価を決定することができる。つまり、顧客(2)がサービスに関連する関連行動のいずれかを実施することで、この関連行動に対応付けられている候補値から、この顧客(2)に対する対価が決定されることになる。したがって、顧客(2)にとっては、自らが実施した関連行動に応じて、自らが受けるサービスの対価が決定されることになるため、他の顧客に適用される対価と比較しても、適正な対価が設定されやすくなる。また、サービス提供者(1)にとっては、顧客(2)ごとに多様な対価を設定することができるので、適正な対価が設定されやすくなる。結果的に、サービスに関する対価を設定しやすい、という利点がある。
【0166】
第2~9の態様に係る構成については、対価設定方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0167】
1 サービス提供者
2 顧客
3 協賛者
5 特定機器
10 対価設定システム
11 登録部
12 決定部
51 給湯器(エネルギ蓄積機器)
52 蓄電設備(エネルギ蓄積機器)
E1 電気エネルギ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8