(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07H 19/048 20060101AFI20231201BHJP
C07D 213/82 20060101ALI20231201BHJP
C07F 9/6558 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C07H19/048
C07D213/82
C07F9/6558
(21)【出願番号】P 2022094949
(22)【出願日】2022-06-13
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】202110677769.7
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522233728
【氏名又は名称】邦泰生物工程(深▲セン▼)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】522235146
【氏名又は名称】中山市邦泰合盛生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チン ミン
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112094362(CN,A)
【文献】特開2018-065876(JP,A)
【文献】特表2010-522153(JP,A)
【文献】特表2018-534265(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108929265(CN,A)
【文献】国際公開第2007/136744(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07H
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分として、
イソニコチンアミドを共結晶形成剤として使用し、溶液合成法を使用して前記ニコチンアミドモノヌクレオチドと前記イソニコチンアミドを混合して結晶を析出し、前記混合および前記結晶の析出プロセスはいずれも、有機溶媒と水との混合系で行われ、前記有機溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはアセトンであることを特徴とする、ニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項2】
前記ニコチンアミドモノヌクレオチドと前記イソニコチンアミドとの混合比は、モル比に応じて1:1であることを特徴とする、請求項1に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項3】
前記有機溶媒と水との混合系において、前記有機溶媒と前記水との体積比は1:1~5であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項4】
前記混合プロセスにおいて、前記有機溶媒と水との混合系の温度は30~55℃に保たれることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項5】
前記有機溶媒と水との混合系は、前記有機溶媒を前記水に滴下して得られ、前記有機溶媒を滴下する前に、前記ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび前記イソニコチンアミドを前記水に溶解することを特徴とする、請求項1又は2に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項6】
前記有機溶媒を前記水に滴下する過程において、前記有機溶媒と水との混合系の温度は、30~55℃に保たれることを特徴とする、請求項5に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【請求項7】
前記結晶の析出プロセスは、前記有機溶媒と水との混合系の温度を4~8℃に下げて、静置した状態で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物結晶の調製の技術分野に関し、特にニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチンアミドモノヌクレオチド(Nicotinamide mononucleotide、略してNMNという)は生体細胞内の固有な生化学物質の一種であり、細胞内にニコチンアミドヌクレオチドアデノシルトランスフェラーゼによってアデニル化されて生体細胞の生存にとって重要物質であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(略してNAD、補酵素Iともいい、すべての細胞に存在し、数千の生体触媒反応に関与し、生物学的細胞エネルギーの生成に重要な役割を果たす)に変換される。NMNはNADの直接的な前駆体であり、生体細胞内のNADの補充合成経路の重要な中間体として、その生体細胞内のレベルはNADの濃度に直接影響する。
【0003】
研究によると、NMNを体外から補充することは細胞内のNAD濃度を上げる最も理想的な方式であることがわかっている。さらに、NMNを体外から補充すると、老化の遅延、パーキンソン病などの老年病の治療、インスリン分泌の調節、mRNA発現への影響などのような多くの医療保健の効果を取得できることもわかっており、それにますます多くのNMNの新しい医学的使用が絶えず報告されている。さらに、李嘉誠がNMN「エリクサー」に投資したというニュースが速く広まり、NMNはしばらくの間人気が高くなり、多くの投資家から支持を集め、一般の人々もNMNの医薬品またはヘルスケア製品を追求するために急いでいる。市場には、NMN医薬品またはヘルスケア製品に対する需要量は日増しに増えている。
【0004】
NMNの安定性が十分でないため、NMNアモルファス粉末を使用して製造された医薬品またはヘルスケア製品は、保管および輸送中に薬剤活性を失いやすくなり、したがって、NMNの結晶が開発され、例えば、中国の特許出願CN108697722Aで開示された無水結晶(形態1)およびジメチルスルホキシド溶媒和物結晶(形態2)というβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドの2つの結晶形態がある。現在、関連企業はNMNを結晶形態のNMNを使用して、医薬品またはヘルスケア製品を製造し、製品の安定性が大幅に向上されたが、NMNの流動性が低いなどの問題があり、製品の充填量/重量に大きな違いがあり、品質が不均一である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の背景技術に言及された欠点に鑑みて、本発明は、従来のニコチンアミドモノヌクレオチド結晶の流動性が低く、NMN医薬品またはヘルスケア製品の充填量/重量に大きな違いがあり、品質が不均一な技術的問題を解決するために、より流動性の高いニコチンアミドモノヌクレオチド結晶を得ることができるニコチンアミドモノヌクレオチドの調製方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、ニコチンアミドモノヌクレオチドを有効成分として、イソニコチンアミドを共結晶形成剤として使用し、溶液合成法を使用してニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドを混合して結晶化することを含む、ニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶を調製する方法を提供する。
【0007】
FDAが公布した『薬物共結晶の規制上分類のためのガイドライン(2011)』の定義によると、いわゆる共結晶とは、同じ結晶格子内に2つ以上の異なる分子を含む結晶性物質を指し、共結晶成分は非イオン相互作用によって中性状態になる。共結晶成分には2つの種類があり、1つは有効成分(Active Pharmaceutical Ingredient、略してAPIという)で、もう1つは共結晶形成剤(Cocrystal Former、略してCCFという)であり、この2つの共結晶成分は、水素結合、π-πスタッキング、ファンデルワールス力、またはその他の非共有結合の作用下で一定の化学量論比で結合されて、新しい固体形態を形成する。
【0008】
共結晶を調製する一般的な方法は、調製時の各成分の形態に応じて、溶液合成法と固体合成法の2つの種類に分類できる。いわゆる溶液合成法とは、蒸発晶析、冷却晶析、懸濁法などを含む合成時にAPIとCCFの両方が流動状態であることを意味する。いわゆる固体合成法とは、昇華法、溶融法、粉砕法を含む合成時にAPIとCCFの両方が固体形態であることを意味する。
【0009】
溶液合成法を使用して共結晶を調製する場合、APIとCCFの計量比が共結晶の析出量に影響を及ぼし、計量比が適切でない場合、そのうちの1つの物質が個別析出されるおそれがあり、それによって共結晶の析出速度に影響を及ぼす。本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、好ましくは、ニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドをモル比1:1で混合させ、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を最大限に析出させることができる。
【0010】
本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、混合および結晶化のプロセスはいずれも、有機溶媒と水との混合系において行われる。該方法における有機溶媒の種類は、結晶をうまく析出させることができるか否かに重要な役割を果たす。本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法における有機溶媒は、好ましくはテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはアセトンである。
【0011】
より好ましくは、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法における有機溶媒と水との混合系において、有機溶媒と水との体積比は1:1~5である。
【0012】
好ましくは、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、混合プロセス全体の間、有機溶媒と水との混合系の温度を、30~55℃に保ち、後続の冷却と結晶化の準備だけでなく、混合プロセスをスピードアップし、時間を節約することができる。
【0013】
本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、有機溶媒と水との混合系は、有機溶媒と水を直接混合するか、または有機溶媒を水に徐々に滴下することによって得ることができる。前者の方法では、有機溶媒を水と混合した後にニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドを加えることができる。後者の方法では、有機溶媒を水に滴下する前にニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチノイドを水に溶解する。
【0014】
好ましくは、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、上記の後者の方法を使用して、有機溶媒と水との混合系を調製し、即ち、まずニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドを水に溶解し、次に、有機溶媒を徐々に水に滴下する。該方法は、結晶のかさ密度をさらに高めることができ、それにより、より流動性の高い結晶を得る。
【0015】
より好ましくは、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、有機溶媒を徐々に水に滴下するプロセスに、有機溶媒と水との混合系の温度が、30~55℃に保たれ、この利点は、後続の冷却と結晶化の準備をするだけでなく、混合プロセスをスピードアップし、時間を節約できることである。
【0016】
好ましくは、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法において、結晶化プロセスは、有機溶媒と水との混合系の温度を4~8°Cに下げて静置した状態で行われる。
【0017】
本発明者らは、長期にわたって多くの実験模索および創造的労働を行って、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を最終的に開発し、該方法は、共結晶の形態で示されるニコチンアミドモノヌクレオチドの新しい結晶形を成功に調製することができ、成功率が100%であることが繰り返しの実験によって確認された。
【0018】
本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法によって調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶に対して、Cu-Kα照射、2θ角で示されるX-線粉末回折を使用して、9.6±0.2°、約13.3±0.3°、約22.8±0.2°および約36.5±0.2°で回折ピークを有する。示差走査熱量測定分析図において、55.8±3°Cと151.9±3°Cで吸熱ピークを有する。
【0019】
さらに、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法によって調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶に対して、Cu-Kα照射、2θ角で示されるX-線粉末回折を使用し、約9.6±0.2°、約9.8±0.2°、約10.6±0.2°、約13.3±0.3°、約16.3±0.2°、約21.3±0.2°、約22.8±0.2°、約32.1±0.2°および約36.5±0.2°で回折ピークを有する。
【0020】
実験により、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法によって調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶は、ニコチンアミドモノヌクレオチド自体の薬物活性に影響を及ぼさなかっただけでなく、従来の結晶よりもより高いかさ密度を有し、ニコチンアミドモノヌクレオチドの流動性を大幅に向上させることがわかっている。かさ密度の大きさは、結晶の形態および粒度などの特性に関係し、結晶の形態および粒度などの特性は、調製プロセスにおけるステップ、溶媒の種類、温度などの制御条件によって決まる。したがって、より高いかさ密度を有する結晶の取得は、本発明によって提供される上記のニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法における特定のプロセス条件の選択および設定に完全に依存する。
【発明の効果】
【0021】
従来技術と比べると、本発明は、以下の利点を有する。
1、本発明は、共結晶の形態で示されるニコチンアミドモノヌクレオチドの新しい結晶を調製することができるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を提供し、ニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶のブランクを充填し、該方法は、操作が簡単で、適用範囲が広い。
2、実験により、本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法によって調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶は、ニコチンアミドモノヌクレオチド自体の薬物活性に影響を及ぼさないだけでなく、従来の結晶よりもより高いかさ密度を有し、ニコチンアミドモノヌクレオチドの流動性を大幅に向上させ、企業の生産におけるNMN薬品またはヘルスケア製品の充填量/重量に大きな違いがあり、品質が不均一である技術的問題を解決できることがわかっている。
3、本発明は、ニコチンアミドモノヌクレオチド結晶のかさ密度を高めることができる調製方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶のX-線粉末回折パターンである。
【
図2】本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶の示差走査熱量測定分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明について添付の図面および具体的な実施例を参照してさらに詳細に説明する。以下の実施例は本発明に対する説明であり、本発明は以下の実施例に限定されるわけではない。
【0024】
以下の実施例で使用される原料と試薬は、特記しない限り、市場から購入されるものである。
【0025】
中国特許出願CN108697722Aの実施例1に開示される方法を参照して、ニコチンアミドモノヌクレオチド無水結晶(形態1)を調製する。
【0026】
中国特許出願CN108697722Aの実施例4に開示される方法を参照して、ニコチンアミドモノヌクレオチドジメチルスルホキシド溶媒和物結晶(形態2)を調製する。
【0027】
具体的には、本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法は、以下の2つの解決手段(そのうちの有機溶媒がテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはアセトンである)を含む。
【0028】
(解決手段一)
有機溶媒と水を1:1~5の体積比で混合し、有機溶媒と水との混合系を得、混合系の温度を30~55℃に調整し、ニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドをモル比1:1で、混合系に加えて均一に混合し、その後、混合系の温度を4~8°Cに下げ、結晶が析出するように静置する。
【0029】
(解決手段二)
ニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドをモル比1:1で、水に溶解し、水の体積の0.2~1倍を占める有機溶媒を、ニコチンアミドモノヌクレオチドとイソニコチンアミドが溶解された水に徐々に滴下して、有機溶媒と水との混合系を得、滴下過程において、有機溶媒と水との混合系の温度を30~55℃に保ち、滴下しながら攪拌を行い、滴下完了した後、混合系の温度を4~8℃に下げ、結晶が析出するように静置する。
【実施例1】
【0030】
本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を使用して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を調製する。
67gのβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドと24gのイソニコチンアミドを2Lの水に溶解し、2Lのテトラヒドロフランを徐々に滴下し、滴下しながら攪拌し、滴下過程において、溶液の温度を45℃に保ち、滴下完了した後、溶液の温度を6℃に下げ、結晶が析出するように静置して、結晶の析出が終わった後溶液を濾過して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を得る。
【実施例2】
【0031】
本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を使用して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を調製する。
67gのβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび24gのイソニコチンアミドを2Lの水に溶解し、そして2Lのアセトニトリルを徐々に滴下し、滴下しながら攪拌し、滴下過程において溶液の温度を55℃に保ち、滴下完了した後、溶液の温度を4℃に下げ、結晶が析出するように静置して、結晶の析出が終わった後、溶液を濾過して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を得る。
【実施例3】
【0032】
本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を使用して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を調製する。
67gのβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび24gのイソニコチンアミドを2Lの水に溶解し、そして2Lのアセトンを徐々に滴下し、滴下しながら攪拌し、滴下過程において溶液の温度を30℃に保ち、滴下完了した後に、溶液の温度を8℃に下げ、結晶が析出するように静置して、結晶の析出が終わった後、溶液を濾過して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を得る。
【実施例4】
【0033】
本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド共結晶の調製方法を使用して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を調製する。
2Lのアセトンと2Lの水を混合して、アセトンと水との混合溶液を得、混合溶液の温度を30℃に調整し、67gのβ-ニコチンアミドモノヌクレオチドおよび24gのイソニコチンアミドを混合溶液に加え、攪拌して溶解させ、均一に混合し、混合溶液の温度を8℃に下げ、結晶が析出するように静置して、結晶の析出が終わった後、溶液を濾過して、ニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を得る。
【実施例5】
【0034】
実施例1~4で調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶に対して、X-線粉末回折を行う。
パナリティカルX’PertEmpyreanX-線粉末回折計(PW3040/60、PANalytical B.V(オランダ))を使用して、Cu-Kα照射を行い、そのうち、波長が1.54Åで、発散スリットが1°で、X-線管の電圧が45kV、X線管の電流が40mA、走査範囲が2~40°(2θ)で、ステップサイズが0.0130°で、ステップ時間が78.7950秒である。粉末サンプルを平らにしてマイクロサンプルパンに置いて検出する。本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶のX-線粉末回折パターンを
図1に示し、回折角2θに対応するピークおよび強度を表1に示す。
【表1】
【実施例6】
【0035】
実施例1~4で調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶に対して、示差走査熱量測定曲線(DSC)を測定する。
DSC測定は、TA Instruments Q2000内で密閉されたパン装置で行われる。サンプル(約1~3mg)をアルミニウム製のパンに秤量し、Tzeroで蓋をして、100分の1ミリグラムまで正確に記録し、サンプルを機器に移して測定する。機器に対して50mL/minで窒素ブローを施す。10°C/minの加熱速度で室温~220°Cの間でデータを収集する。吸熱ピークを下向きにプロットし、データをTA Universal Analysisで分析する。本発明によって提供されるニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチンアミドアミド共結晶の示差走査熱量測定分析図を
図2に示し、横軸に温度(Temperature、°C)を表し、縦軸に単位質量あたりの物質から放出された熱流(Heat Flow、W/g)を表す。
【実施例7】
【0036】
かさ密度の測定
それぞれ形態1の結晶、形態2の結晶および実施例1~4で調製したニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶の適量なサンプルを取って、スクリーン(1.00mm番号18)を通過し、正確に秤量し、ガラス製メスシリンダーにゆっくりと注ぎ、トップを平に擦って、見かけの体積を記録し、かさ密度を算出し、実験結果を表2に示す。
【表2】
【実施例8】
【0037】
充填量の差異測定
それぞれ形態1の結晶、形態2の結晶、および実施例1~4で調製されたニコチンアミドモノヌクレオチド-イソニコチノイド共結晶を適量取って、200メッシュのスクリーンを通過し、カプセルシェルをカプセルプレートに固定し、ボディプレートに粉末を充填し、ボディプレートに粉末を注ぎ、スクレーパで往復にこすり、カプセルシェルが粉末で満たされた後、ボディプレートの余分な粉末をこすり落として、カプセルを得る。次に、「中華人民共和国薬典」(2020年版)を参照して、0103カプセル剤通則において、カプセル剤[充填量の差異]の検査方法については、充填されたカプセル剤を測定し、それぞれ形態1の結晶、形態2の結晶および実施例1~4の共結晶の各グループに対応する各粒の充填量をそのグループの平均充填量と比較した後の充填量の差異値X(%)を算出し、各充填量の差異値の絶対値を求め、各グループの平均値 ̄Xを、式 ̄X=(X
1+X
2+…X
n)/nで算出し、結果を表3に示す。ここで、平均値を示すバー付きXを ̄Xで表す。
【表3】