(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】光曝露下に適用されるビタミンK剤及びそれを用いた皮膚外用剤、点眼剤、眼軟膏剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20231201BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231201BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20231201BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20231201BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231201BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20231201BHJP
C07C 50/14 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q19/00
A61K31/122
A61P17/00
A61P27/02
A61K9/06
C07C50/14
(21)【出願番号】P 2019051295
(22)【出願日】2019-03-19
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】高田 二郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 和久
(72)【発明者】
【氏名】加留部 善晴
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 修一
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/018858(WO,A1)
【文献】特開昭46-002976(JP,A)
【文献】特開2005-119990(JP,A)
【文献】特開平05-004951(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0031651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/00- 31/327
A61P 1/00- 43/00
C07B 31/00- 61/00
C07B 63/00- 63/04
C07C 1/00-409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化5】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ水素原子、またはグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩から選ばれる置換基を意味し、R
1, R
2の少なくとも一方はグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩である。R3は下記一般式(2)
【化6】
もしくは下記一般式(3)
【化7】
で示される基を表す。n は1~7の整数を意味する。)で表される活性型ビタミンKのカルボン酸エステル類またはその塩の少なくとも一種類からなる、光曝露下に適用されるビタミンK剤。
【請求項2】
下記一般式(1)
【化5】
(式中、R
1
およびR
2
はそれぞれ水素原子、またはグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩から選ばれる置換基を意味し、R
1
, R
2
の少なくとも一方はグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩である。R3は下記一般式(2)
【化6】
もしくは下記一般式(3)
【化7】
で示される基を表す。n は1~7の整数を意味する。)で表される化合物またはその塩を含有する皮膚外用剤。
【請求項3】
下記一般式(1)
【化5】
(式中、R
1
およびR
2
はそれぞれ水素原子、またはグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩から選ばれる置換基を意味し、R
1
, R
2
の少なくとも一方はグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩である。R3は下記一般式(2)
【化6】
もしくは下記一般式(3)
【化7】
で示される基を表す。n は1~7の整数を意味する。)で表される化合物またはその塩を含有する点眼剤。
【請求項4】
下記一般式(1)
【化5】
(式中、R
1
およびR
2
はそれぞれ水素原子、またはグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩から選ばれる置換基を意味し、R
1
, R
2
の少なくとも一方はグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、グルタル酸ヘミエステル及びその塩である。R3は下記一般式(2)
【化6】
もしくは下記一般式(3)
【化7】
で示される基を表す。n は1~7の整数を意味する。)で表される化合物またはその塩を含有する眼軟膏剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビタミンK剤、特に光曝露下に生体に適用可能なビタミンK剤及びそれを用いた皮膚外用剤、点眼剤、眼軟膏剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンKはフィロキノン(ビタミンK1)、メナキノン-4(MK-4, ビタミンK2(20))、メナキノン-7(MK-7, ビタミンK2(35))など酸化に対して安定なキノン型で天然に存在している。臨床には、フィロキノン(ビタミンK1)とメナキノン-4(MK-4, ビタミンK2(20))がビタミンK欠乏、クマリン系薬物や抗生物質投与による低プロトロンビン血症の治療、新生児頭蓋出血の予防、骨粗鬆症の治療に適用されており、主としてビタミンK依存性タンパク質の生合成を介して作用する。ビタミンKは皮膚適用により、レーザー誘発性紫斑色素沈着の持続期間の短縮作用(非特許文献1、2)、cetuximab投与がん治療患者におけるざ瘡様副作用の発生抑制作用(非特許文献3-6)、ラットにおける創傷治癒促進効果が報告されている(非特許文献7)。また、MK-4は核内受容体steroid and xenobiotic receptor (SXR)やprotein kinase A(PKA)を介した遺伝子発現調節作用による骨代謝に関与することが報告されている(非特許文献8-10)。さらにMK-7はサプリメントに用いられている。
【0003】
ビタミンK依存性タンパク質は前駆体タンパク質として合成された後に、γ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)により特定のグルタミン酸(Glu)残基がγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)残基へ翻訳後修飾され活性化される。この翻訳後修飾では、キノン型ビタミンKの二電子還元体ビタミンKヒドロキノン(活性型)がGGCXの補因子として働きGluがGla化される。ビタミンKヒドロキノンはGla化に連動してビタミンKエポキシド(VKO)に変換される。VKOはさらにビタミンKエポキシドレダクターゼ(VKOR)によってキノン型ビタミンKに還元されビタミンKサイクルを形成して再利用される。ビタミンKヒドロキノン(VKH)は、活性型ビタミンKであるが極めて酸化され易いため、酸化に安定なキノン型ビタミンKが臨床に用いられており、活性型ビタミンKの送達剤として機能している。
【0004】
一方、古くからフィロキノン(ビタミンK1)は光に対して不安定で徐々にその効力が失われることが知られていた(非特許文献11-13)。現在では、天然型のキノン型ビタミンKであるメナキノン-4(MK-4, ビタミンK2(20))とメナキノン-7(MK-7, ビタミンK2(35))も光に対して極めて不安定な化合物であることが明らかになっている(非特許文献14、15)。従って、活性型ビタミンK送達剤としてこれらのキノン型ビタミンKを用いる場合、原料医薬品に始まり製剤化過程、流通過程、医療機関での保存期間を経由して患者への投与が完了するまで光に対する安定性を確保する必要がある。
【0005】
キノン型ビタミンKの製剤では、光分解に対する安定性確保のために様々な遮光方法がとられている。注射剤においては褐色アンプルだけでは光分解を完全に停止できないため、褐色アンプルをさらにLPEパック(Light Protect Easy open pack)に保存することで光安定性が確保されている。点滴静注時には、点滴バッグに遮光カバーをかけることで光分解を抑制している。カプセル剤ではカプセル皮膜に着色剤、安定化剤を含有させた遮光性皮膜で被覆した製剤化技術が知られており(特許文献1-3)、軟カプセル剤では酸化チタンや着色剤を添加した経口用メナテトレノン軟カプセル、ゼラチン皮膜にカラメルとアミノ酸を配合した遮光カプセルで光安定性を向上した硬カプセルが開示されている(特許文献3)。散剤等では黄色や赤色の着色剤と均一に乳化させた後に、造粒又はコーティングして光安定性を向上した製剤が開示されている(特許文献4)。また、散剤、顆粒剤等ではビタミンKを含有する核を、遮光着色剤を含有する遮光性皮膜で被覆する方法が開示されている(特許文献5)。以上のように、キノン型ビタミンK製剤では主として遮光によって光安定性が確保されている。しかし、院内における保管のあり方や病棟における混注等の取り扱いから患者投与までの投与手順のあり方によって遮光の確実性は大きく影響され安定性が大きく変動する可能性がある。すなわち遮光による方法では人為的要因による安定性の喪失が危惧される。また、製剤のプレフォーミュレーション段階においても光安定性が危惧される。
【0006】
特に、皮膚外用剤としてキノン型ビタミンKを適用する場合、適用後に適用部位を遮光することは困難であり、遮光による光安定性の確保ができないため、キノン型ビタミンKの皮膚外用剤としての用途は大きく損なわれる。さらに、キノン型ビタミンKであるフィロキノンは光照射によって細胞に対して光毒性を示すことから、EUでは化粧品への使用に警告が出されている(非特許文献16)。また、我々は本研究の実施例3で示すようにキノン型ビタミンKはUVA照射によって一重項酸素を発生することを明らかにした。紫外線照射により一重項酸素が発生するとスクワレンなどの皮表脂質の過酸化を引き起こすことが明らかにされており、紫外線の及ぼす皮膚での損傷機構の一端を担っている(非特許文献17)。紫外線により一重項酸素を生成する光増感剤としてポルフィリン、テトラサイクリン、ケトプロフェン、フラーレン60等が知られている。このような背景から、遮光を必要とせず遮光が困難な状態においても光安定性が確保され光毒性を示さない活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤が望まれている。
【0007】
発明者等は特定の構造を有するビタミンKヒドロキノン誘導体が、活性型ビタミンKのバイオアベイラビリティを高くでき、低プロトロンビン血症に対してすぐれた効果を呈することすなわち、活性型ビタミンKの送達剤として機能することを開示した(特許文献6、非特許文献18-20)。さらに、ビタミンKヒドロキノン誘導体が肝細胞癌細胞中や肝細胞癌に活性型ビタミンKを効率よく送達でき抗癌効果を示すことを開示している(特許文献7、非特許文献21、22)。他に、ビタミンKヒドロキノン誘導体に関して、ビタミンKとしての効果は開示されていないが、ジヒドロ-テトラプレニルメナキノン-ジサクシネートの製造法(特許文献8)が開示されている。
【0008】
しかし、いずれの従来技術も、ビタミンKヒドロキノン誘導体が、遮光を必要とせず遮光が困難な状態においても光安定性が確保され、且つ光毒性を示さない活性型ビタミンK送達を可能とするビタミンK剤として有効であるか否かを明らかにしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特公昭42-4062号
【文献】特開昭61-275214号
【文献】特開昭63-215641号
【文献】特開2000-7583号
【文献】特許4060027号
【文献】特許3088137号
【文献】特許4040082号
【文献】特公昭46-2976号
【非特許文献】
【0010】
【文献】Lou WW, et al., Dermatol Surg. 1999;25:942-4.
【文献】Lopes LB, et al., Eur J Pharm Sci. 2007;32:209-15.
【文献】Ocvirk J. Radiol Oncol. 2010;44:256-66.
【文献】Pinta F, et al. Clin Colorectal Cancer. 2014;13(1):62-7.
【文献】Tan EH, Chan A. Ann Pharmacother. 2009;43(10):1658-66.
【文献】Li TH, Perez-Soler R. Targ Oncol. 2009;4(2):107-19.
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【文献】Setoguchi, et al., Cancer Preven. Res., 8, 129-138 (2015).
【文献】Setoguchi, et al., Molecules 23(7), 1738 (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、遮光を必要とせず遮光が困難な状態においても、光安定性が高く且つ光毒性が低い活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述のとおり、本発明者等は特定の構造を有するビタミンKヒドロキノン誘導体が、ビタミンKヒドロキノンのバイオアベイラビリティを高くでき、低プロトロンビン血症に対してすぐれた効果を呈することすなわち、活性型ビタミンKの送達剤として機能することを開示した(特許文献6、非特許文献18-20)。さらに、ビタミンKヒドロキノン誘導体が肝細胞癌細胞中や肝細胞癌に活性型ビタミンKを効率よく送達でき、抗癌効果を示すことを開示している(特許文献7、非特許文献21、22)。引き続き有用性を検討した結果、ビタミンKヒドロキノン誘導体は、遮光を必要とせず、或いは遮光が困難な状態においても光安定性が高く、且つ光毒性を示さないで活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤として有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明にかかる光曝露下に適用されるビタミンK剤(ビタミンKヒドロキノン誘導体)は下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
【0014】
【化1】
(式中、R
1およびR
2はそれぞれ水素原子、またはグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、アシル、ジカルボン酸ヘミエステル及びその塩から選ばれる置換基を意味し、R
1, R
2の少なくとも一方はグリシン、N-アシルグリシン、N-アルキルグリシン、N,N-ジアルキルグリシン、N,N,N-トリアルキルグリシン、アシル、ジカルボン酸ヘミエステル及びその塩である。R
3は下記一般式(2)
【0015】
【0016】
【化3】
で示される基を表す。n は1~7の整数を意味する。)で表される活性型ビタミンKのカルボン酸エステル類またはその塩。
即ち、本発明は、前記一般式(1)で表されるビタミンKヒドロキノンのカルボン酸エステルまたはその塩の少なくとも一種類を含有する遮光を必要とせず、遮光が困難な状態においても光安定性が高く且つ光毒性を示さないで活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤を提供する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明にかかる遮光を必要とせず遮光が困難な状態においてさえも高い光安定性が確保され、且つ光毒性を示さないで活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤によれば、ビタミンKヒドロキノンのカルボン酸エステルまたはその塩を用いることにより、皮膚投与、点眼等の遮光が困難な状態においてさえも、光安定性が高く且つ光毒性を示さないで活性型ビタミンK送達を可能にできる。また、製剤化過程、流通過程、医療機関での保管のあり方や病棟における混注等の取り扱いから患者投与までの投与手順のあり方を通じて光安定性が大きく変動することなく、且つ光毒性の可能性を回避して活性型ビタミンK送達を可能にし、ビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾効果が発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】メナヒドロキノン誘導体の人工太陽に対する光安定性の説明図である。 ●;メナキノン-4, ◆;化合物27, ○;化合物10,◇;化合物29
【
図2】フィロヒドロキノン誘導体の人工太陽に対する光安定性の説明図である。 ■;フィロキノン, ▲;化合物30, □;化合物24, △;化合物32
【
図3】メナヒドロキノン誘導体の光安定性の波長特性の説明図であり、(A)はメナキノン-4、(B)は化合物10、(C)は化合物29である。 ■;279 nm, □;341 nm, ▲;373 nm, △;404 nm, ●;435 nm
【
図4】フィロヒドロキノン誘導体の光安定性の波長特性の説明図であり、(A)はフィロキノン、(B)は化合物24、(C)は化合物32である。 ■;279 nm, □;341 nm, ▲;373 nm, △;404 nm, ●;435 nm.
【
図5】キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体(各薬物濃度;200μM)のUVA照射(UVA照射量15J/cm
2)による一重項酸素生成の説明図である。(A)●;メナキノン-4, ○;化合物10,■;化合物27,□;化合物29,▲ケトプロフェン(陽性コントロール),△;スリソベンゾン(陰性コントロール)(B)●;フィロキノン, ○;化合物24,■;化合物30,□;化合物32,▲ケトプロフェン(陽性コントロール),△;スリソベンゾン(陰性コントロール)
【
図6】キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体のUVA光照射によるヒト表皮角化細胞株中の活性酸素種(ROS)量の説明図であり、(A)は化合物10、(B)は化合物24である。
【
図7】キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体のUVA光照射(UVA照射量15J/cm
2)によるヒト表皮角化細胞に対する光毒性の説明図であり、(A)は化合物10、(B)は化合物24である。
【
図8】光照射化合物と非光照射化合物投与によるヒト表皮角化細胞株への活性型ビタミンKの送達性とビタミンK依存性蛋白質のGla化の評価結果を示す説明図である。
【
図9】ビタミンKヒドロキノン誘導体によるヒト表皮角化細胞株への活性型ビタミンK送達性とビタミンK依存性蛋白質のGla化の評価結果を示す説明図である。 (A) □;メナキノン-4, ▲;化合物10, ●;化合物27, ◇;化合物29(B) □;フィロキノン, ▲;化合物24, ●;化合物30, ◇;化合物32
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細な説明を行う。
本発明は、上記一般式(1)で表される化合物またはその塩を用いる遮光を必要とせず遮光が困難な状態においても光安定性が高く且つ光毒性を示さないで活性型ビタミンK送達を可能にするビタミンK剤に関する。前記一般式(1)で表される化合物は、単独で製剤に含有させることもできるし、その塩として製剤に配合することもできる。本発明において、窒素置換基を有するカルボン酸残基R1、R2としては次のものが例示される。
窒素原子に対し水素原子ないし、1または2のアルキル基、アシル基が結合したもの。
前記アルキル基としては、炭素数1~6の直鎖、もしくは分枝のアルキル基であり次のものが例示される。メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、tert-ブチル基、1-エチルプロピル基、イソアミル基。上記アルキル基としてはメチル基、エチル基が好ましい。また、アシル基を有する場合の炭化水素鎖も同様に定義可能である。
【0020】
アミノ基とカルボニル基の間は、好ましくは炭素数1~7の直鎖、分枝または環状のアルキレン基で結合される。分枝状のアルキレン基としては、次のものが例示される。イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、1-エチルプロピルなどのアルキル基から誘導されたもの。
前記環状アルキレン基としては、次のものが例示される。
シクロペンタン環、シクロヘキサン環、あるいはメチルシクロヘキサン環などを構造中に含むもの。上記アルキレン基としては、メチレン基あるいはエチレン基が特に好ましい。
【0021】
ハロゲン化水素酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩などが好ましい。本発明において、ハロゲン化水素酸塩は結晶化ないし固形化する場合が多く、製剤にあたっての取り扱いが容易になるという利点がある。その他の塩としては次のものが例示される。アルキルスルホン酸塩としてはメタンスルホン酸塩等、糖酸塩としてはグルコン酸塩、グルコヘプタン酸塩、ラクトビオン酸塩等。
【0022】
本発明において、ジカルボン酸残基R1、R2はジカルボン酸及びそのアルカリ金属塩またはメグルミン塩の残基から選ばれる。ジカルボン酸残基のカルボニル基間は炭素数2~4の直鎖のアルキレン基で結合される。アルキレン基としては、エチレン基またはプロピレン基が特に好ましい。アルカリ金属塩としてナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
【0023】
また、本発明において、一般式(1)で表される化合物の製造方法は種々考えられるが,代表的な方法を述べれば以下の通りである.
【0024】
【0025】
一般式(4)で表されるビタミンK類を還元剤で還元し、一般式(5)で表されるビタミンKヒドロキノンとし、この ビタミンKヒドロキノンと、窒素置換基を有するカルボン酸、若しくはその反応性酸誘導体またはこれらのハロゲン化水素酸塩、または酸無水物とを常法によりエステル化反応を行なうことにより、本発明の目的物質(1)を得ることができる。ここで用いられる還元剤はビタミンK類のナフトキノン骨格をナフトヒドロキノン骨格に還元するものであり、水素化ホウ素ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、トリ-n-ブチルホスフィン、塩化亜鉛、塩化第一スズ、亜鉛末などを挙げることができる。
【0026】
ビタミンKヒドロキノンのエステル化反応は常法に従うが、1級、2級アミノ基あるいは側鎖に水酸基、チオール基を有するアミノ酸のエステル化を行なう際は、tert-ブトキシカルボニル基(以下 t-BOC 基と略記) 、ベンジルオキシカルボニル基(以下Z基と略記)、9-フルオレニルメトキシカルボニル基(以下FMOC基と略記) などの適切な保護基で保護して用い、N,N-ジアルキルアミノ酸はハロゲン化水素酸塩を用いて、ジシクロヘキシルカルボジイミド(以下DCC と略記) 、N,N-ジサクシニミドオキザレート(以下DSO と略記) などの活性エステル化試薬の存在下に反応を行なうことが好ましい結果を与える。この際溶媒としては無水ピリジンが好ましい。また、反応性酸誘導体を用いる方法では、酸ハロゲナイトとりわけ、酸クロリドを用いる方法が好ましい結果を与える。この際溶媒としては無水ベンゼン-無水ピリジン混合物が好ましい。ハロゲン化水素酸塩、アルキルスルホン酸塩、糖酸塩は常法により遊離のビタミンKヒドロキノン窒素含有カルボン酸エステルとハロゲン化水素酸、アルキルスルホン酸、酸性糖のラクトン体を反応させて製造する。また、 N-アシルアミノ酸エステルを製造した後、常法によりハロゲン化水素酸で脱保護基化することによってハロゲン化水素酸塩を製造することができる。
[皮膚外用剤]
本発明にかかるビタミンKヒドロキノン誘導体は、その優れた光安定性、低光毒性から、皮膚外用剤に用いることができる。
ビタミンKヒドロキノン誘導体を皮膚外用剤に用いる際の濃度は、0.01~1質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましく、0.05~0.5%が特に好ましい。この範囲内であれば、ビタミンKヒドロキノン誘導体を安定に配合することができ、優れた薬効を発揮することができる。
【0027】
本発明のビタミンKヒドロキノン誘導体は単独で皮膚外用剤として用いることができるが、一種又は二種以上の添加剤と混合することによって皮膚外用剤を調製することもできる。必要に応じて添加される添加剤としては、皮膚用化粧料や外用医薬品の製剤に一般的に用いられる、水(精製水、温泉水、深層水等)、アルコール、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、本発明の一重項酸素消去剤以外の活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類等が挙げられる。皮膚外用剤の調製は、常法に従って行うことができ、前記添加剤の配合量も本発明の効果を損なわない範囲で、常法に従って決定することができる。
【0028】
前記皮膚用外用剤の形態については限定されず、乳液、クリーム、化粧水、美容液、パック、洗顔料、メーキャップ化粧料等の皮膚用化粧料に属する形態;シャンプー、ヘアートリートメント、ヘアースタイリング剤、養毛剤、育毛剤等の頭髪化粧料に関する形態;及び分散液、軟膏、エアゾール、貼付剤、パップ剤等の外用医薬品の形態;のいずれであってもよい。
【0029】
[点眼剤]
本発明のビタミンKヒドロキノン誘導体は、その優れた光安定性、低光毒性から、投与剤型としては、点眼剤も採用できる。添加剤として、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、可溶化剤、増粘剤(分散剤)、安定化剤(抗酸化剤)、保存剤(防腐剤)等を適宜配合することにより、周知の方法で製剤化することができる。また、pH調節剤、増粘剤、分散剤等を添加し、薬物を懸濁化させることによって、安定な点眼剤を得ることもできる。
【0030】
等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、非イオン性等張化剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【0031】
緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、リン酸、リン酸塩、クエン酸、酢酸若しくはε-アミノカプロン酸等を挙げることができる。
【0032】
pH調節剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。点眼剤のpHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4.0~9.0であり、より好ましくは5.5~8.5となる範囲が挙げられる。
【0033】
可溶化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ビタミンE TPGS、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0034】
増粘剤及び分散剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子;ポリビニルアルコール;又はポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0035】
安定化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、エデト酸、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、エデト酸ナトリウムは水和物であってもよい。
【0036】
抗酸化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
保存剤(防腐剤)としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられ、これらの保存剤を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
[眼軟膏剤]
本発明のビタミンKヒドロキノン誘導体の投与剤型としては、眼軟膏剤も挙げられ、白色ワセリン、プラスチベース若しくは流動パラフィン等の汎用される基剤を用いて調製することができる。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
実施例1~31
下記の製造方法A~Iに示す方法により表1~5に示すビタミンKヒドロキノン誘導体を製造した。また、得られた物質の質量スペクトル(イオン化方法;FD法およびFAB法)、1H-NMR スペクトルを表6~8に示す。
【0040】
製造方法A
アミノ酸0.1 molを蒸留水-ジオキサン(1:1、v/v) 100mlに溶解し、トリエチルアミン30 mlを加え、ジ-tert-ブチルジカルボネートを徐々に加え30分間室温で撹拌する。減圧下ジオキサンを留去し、炭酸水素ナトリウム水溶液(0.5M)50 mlを加え酢酸エチル100 mlで洗う。酢酸エチル層を50 mlの炭酸水素ナトリウム液で洗い、水層を合わせて氷冷下でクエン酸水溶液(0.5M)を加えて酸性(pH3)とし、塩化ナトリウムを飽和させた後、酢酸エチルで抽出する(100 ml×3回)、抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、油状残渣をイソプロピルエーテルを加えるか、または冷却にて結晶化させて、N-t-BOC-アミノ酸を得る。ビタミンK6.75 mmolをイソプロピルエーテル40 mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム47 mmolをメタノール15 mlに溶解して加え、溶液の黄色が無色になるまで室温で撹拌する。反応液にイソプロピルエーテル60 mlと蒸留水100 mlを加え、イソプロピルエーテル層を分離し、更に水層にイソプロピルエーテル100 mlを加えて可溶画分を抽出し、イソプロピルエーテル層を合わせて無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下濃縮する。残渣に n-ヘキサンを加えて白色沈殿を析出させてビタミンKヒドロキノンを得る。
【0041】
ビタミンKヒドロキノン、 N-t-BOC-アミノ酸13.55 mmol 、DCC 13.55 mmolを無水ピリジン50 mlに加え室温で20時間撹拌する。溶媒を減圧下留去し、残渣に酢酸エチルを加えて可溶画分を抽出する(100ml×2回)、抽出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離溶媒; n-ヘキサン-イソプロピルエーテル)で分離精製し、ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N-t-BOC-アミノ酸を得る。ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N-t-BOC-アミノ酸を少量のアセトンに溶解し、塩酸-ジオキサン(2.5~4.0N) をエステル量の約20倍モル量の塩酸量に相当する量加え1時間撹拌後、減圧下溶媒を留去する。残渣をアセトン-メタノール系で再結晶してビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-アミノ酸エステルの塩酸塩を得る。
【0042】
製造方法B
ビタミンK 6.75 mmolをイソプロピルエーテル40 mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム47 mmolをメタノール15 mlに溶解して加え、溶液の黄色が無色になるまで室温で撹拌する。反応液にイソプロピルエーテル60mlと蒸留水100 mlを加え、イソプロピルエーテル層を分離し、更に水層にイソプロピルエーテル100 mlを加えて可溶画分を抽出、イソプロピルエーテル層を合わせて無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下濃縮する。残渣に n-ヘキサンを加えて白色沈殿を析出させてビタミンKヒドロキノンを得る。ビタミンKヒドロキノン、塩酸N,N-ジアルキルアミノ酸13.55 mmolまたは塩酸N,N,N-トリアルキルアミノ酸13.55 mmol、DCC 13.55 mmol を無水ピリジン50mlに加え室温で20時間撹拌する。溶媒を減圧下留去し、残渣を、蒸留水に懸濁させ炭酸水素ナトリウムを加えて溶液のpHを7~8にした後に酢酸エチルで抽出する(100 ml×3回)、抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離溶媒;イソプロピルエーテル-酢酸エチル)で分離精製し、ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N-ジアルキルアミノ酸エステルまたはビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N,N-トリアルキルアミノ酸エステルを得る。
【0043】
製造方法C
ビタミンK 6.75 mmolをイソプロピルエーテル40mlに溶解し、ハイドロサルファイトナトリウム50 mmolを蒸留水50mlに溶解して加え、イソプロピルエーテルが褐色を呈し、さらに無色になるまで室温で撹拌する。イソプロピルエーテル層を分離し、更に水層にイソプロピルエーテル100 mlを加えて可溶画分を抽出、イソプロピルエーテル層を合わせて無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下濃縮する。残渣にn-ヘキサンを加えて白色沈殿を析出させてビタミンKヒドロキノンを得る。ビタミンKヒドロキノンに塩酸N,N-ジアルキルアミノ酸6.75 mmol、DCC 6.75 mmolを加え無水ピリジン50ml中で20時間撹拌する。溶媒を減圧下留去し、残渣を、蒸留水に懸濁させ炭酸水素ナトリウムを加えて溶液のpHを7~8にした後酢酸エチルで抽出する(100 ml×3回)、抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離溶媒;イソプロピルエーテル-酢酸エチル、3:2)で分離精製し、ビタミンKヒドロキノン-1-N,N-ジアルキルアミノ酸エステルおよびビタミンKヒドロキノン-4-N,N-ジアルキルアミノ酸エステルを得る。
【0044】
製造方法D
ビタミンK 6.75mmolをイソプロピルエーテル40 mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム47 mmolをメタノール15 mlに溶解して加え、溶液の黄色が無色になるまで室温で撹拌する。反応液にイソプロピルエーテル60mlと蒸留水100 mlを加え、イソプロピルエーテル層を分離し、更に水層にイソプロピルエーテル100 mlを加えて可溶画分を抽出、イソプロピルエーテル層を合わせて無水硫酸ナトリウムで脱水後減圧下濃縮する。残渣に n-ヘキサンを加えて白色沈殿を析出させてビタミンKヒドロキノンを得る。ビタミンKヒドロキノンを無水ベンゼン-無水ピリジン(1:1、 v/v)30 mlに溶解し、塩酸ピリジンカルボン酸クロリドを加え室温で3時間撹拌する。不溶物を濾過で取り除き、濾液を減圧下濃縮する。残渣を蒸留水100 mlに懸濁させ、炭酸水素ナトリウムを加え(pH7~8)、酢酸エチルに可溶分画を抽出する(100ml×3回) 、抽出液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離溶媒;イソプロピルエーテル-酢酸エチル、9:1)で分離精製し、ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ピリジンカルボン酸エステルを得る。
【0045】
製造方法E
ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N-ジアルキルアミノ酸エステル又はビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ピリジンカルボン酸2mmolをアセトン20mlに溶解し、塩酸-ジオキサン(2.5~4.0 N)を塩酸量がエステルの10倍モル量に相当する量加え、溶媒を減圧下留去し、残渣をアセトン-メタノールで再結晶してビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N-ジアルキルアミノ酸又はビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ピリジンカルボン酸の塩酸塩を得る。
【0046】
製造方法F
ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N-ジアルキルアミノ酸又はビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ピリジンカルボン酸2mmolをジクロロメタン20mlに溶解し、アルキルスルホン酸2mmolを加え撹拌する。析出する結晶を濾取してビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-N,N-ジアルキルアミノ酸エステル又はビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ピリジンカルボン酸エステルのアルキルスルホン酸塩を得る。
【0047】
製造方法G
ビタミンK 4.55 mmolをイソプロピルエーテル40mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム31.5 mmolをメタノール15 mlに溶解して加え、溶液の黄色が無色になるまで室温で撹拌する。反応液にイソプロピルエーテル60mlと精製水100mlを加え、イソプロピルエーテル層を分離し、更に水層にイソプロピルエーテル100mlを加えて可溶画分を抽出、イソプロピルエーテル層を合わせて、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去する。残渣にジメチルアミノピリジン8.97 mmol、ジカルボン酸無水物18.0 mmolを加え、イソプロピルエーテル-ジオキサン(6:4、v/v)100mlに溶解して、室温で3時間撹拌後、50~60℃に加熱しながら2時間反応させ、さらに室温で放冷しながら10時間反応させる。反応液に精製水100mlを加え、イソプロピルエーテル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去する。残渣をイソプロピルエーテルに懸濁し、遠心して得た沈殿物に酢酸エチル100mlと精製水100mlを加え酢酸エチル可溶画分を抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去する。残渣をイソプロピルエーテルに懸濁し不溶物を酢酸エチルで再結晶して、ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ジカルボン酸ヘミエステルを得る。
【0048】
製造方法H
ビタミンK 6.75 mmol、亜鉛18.4 mmol、無水ジカルボン酸33.0 mmol、無水酢酸ナトリウム 13.8 mmol、酢酸161.5 mmolを100 mlのナスフラスコに入れ、ジムロートを取り付けよく撹拌しながら85℃で3時間加熱。室温冷却し生じた白い固形に酢酸エチル200 mlと精製水100mlを加え酢酸エチル可溶画分を抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下溶媒を留去する。残渣を酢酸エチルで再結晶して、ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ジカルボン酸ヘミエステルを得る。
【0049】
製造方法I
ビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ジカルボン酸ヘミエステル2mmolを2倍molの0.1N水酸化ナトリウム水溶液または2倍molのメグルミン水溶液を加え溶解させ凍結乾燥させる。メタノール-アセトニトリルで再結晶しビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ジカルボン酸ヘミエステル-ビス-ナトリウム塩またはビタミンKヒドロキノン-1,4-ビス-ジカルボン酸ヘミエステル-ビス-メグルミン塩を得る。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
次に本発明を具体的に説明するために以下に実施例をあげるが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
【0059】
本発明化合物の光安定性が高く且つ光毒性が低いビタミンKヒドロキノン送達剤としての有用性を示すため、まず、人工太陽光照射における光安定性をキノン型ビタミンKとの比較により評価した実験例をあげる。また、分光機による光照射により光安定性の波長特性をキノン型ビタミンKとの比較により評価した実施例をあげる。次に、UVA照射による一重項酸素の生成、細胞における活性酸素種(ROS)生成および細胞生存に及ぼす影響から光毒性を評価した実施例をあげる。
【0060】
実施例1
ビタミンKヒドロキノン誘導体の人工太陽光に対する光安定性の評価
メナキノン-4(MK-4)、フィロキノン(PK)、メナヒドロキノン誘導体(化合物10(MKH-DMG)、化合物11、化合物12、化合物16、化合物27(MKH-SUC)、化合物29(MKH-GLU))、およびフィロヒドロキノン誘導体(化合物24(PKH-DMG)、化合物30(PKH-SUC)、化合物32(PKH-GLU))のエタノール溶液を栓つき石英セルに入れ、温度25℃、垂直方向から人工太陽光(SOLAX 100W XC-100B、seric)を照度12000lxで照射し、経時的に薬物濃度をLC/MS/MSで測定した。照度は照度計 (デジタル照度計 LX-1108, マザーツール) を用いて測定した。人工太陽光照射による光分解の典型例として、
図1と
図2に薬物残存量の経時変化を示した。
図1はメナキノン-4とメナヒドロキノン誘導体)を、
図2はフィロキノンとフィロヒドロキノン誘導体を示し、いずれも擬一次反応に従って分解し、その半減期を表9に示した。キノン型ビタミンKであるメナキノン-4とフィロキノンの半減期はそれぞれ0.08時間と0.1時間であり、極めて短時間で分解した。コハク酸エステルでは化合物27の半減期は0.31時間で、メナキノン-4に比較して約4倍安定であり、化合物30の半減期は0.67時間で、フィロキノンに比較して約6倍安定となったが、大きくは安定性を改善しなかった。一方、ビタミンKヒドロキノン誘導体であるメナヒドロキノン誘導体(化合物10、11、12、16、29)とフィロヒドロキノン誘導体(化合物24、32)の半減期は、各キノン型ビタミンKの約50倍以上長くなり人工太陽光に対して高い光安定性を確保できることが明らかとなった。
LC/MS/MS測定条件:質量分析装置:LCMS-8050 LIQUID CHROMATOGRAPH MASS SPECTROMETER (SHIMADZU)、高速クロマトグラフィー (HPLC)装置:Shimadzu HPLC System [System controller (CBM-20A), Pump (LD-20AD), Degasser (DGU-20As), UV detector (SPD-20A), Auto injector (SIL-20AC HT) ] を用いた。カラム CAPCELL PAK C
18 MGII, 2.0mm I.D.×100mm, 3μm, SHISEIDO)を用いた。移動相は10mM 酢酸アンモニウムと0.1%酢酸を含む水及びメタノールをグラジエントモードで用いた。流速は0.4mL/min、サンプルクーラーは4℃、カラムオーブンは40℃、サンプル注入量は5μLとした。イオン化はElectrospray ionization (ESI) 法を用い、MRMモードで測定した。
【0061】
【0062】
実施例2
ビタミンKヒドロキノン誘導体の光安定性の波長特性
メナキノン-4、フィロキノン、メナヒドロキノン誘導体(化合物10、11、12、27、29)およびフィロヒドロキノン誘導体(化合物24、30、32)のエタノール溶液を栓つき石英セルに入れ、温度25℃、分光照射器 (MM-3 多波長照射分光器, 分光計器) を用いて波長279-435 nmの光を照射し、経時的に試料中の薬物濃度を前述のLC/MS/MSで測定した。薬物残存率の対数値を照射エネルギーに対してプロットし、直線を得た。典型例として
図3にメナキノン-4とメナヒドロキノン誘導体(化合物10、29)を、
図4にフィロキノンとフィロヒドロキノン誘導体(化合物24、32)を示した。各波長における薬物量が初濃度の半分になる照射エネルギーを半減照射エネルギーとし、表10と表11に示した。照射エネルギーは(MM-3 多波長照射分光器照射エネルギー測定用パワーメータ, 分光計器)で測定した。メナキノン-4とフィロキノンは波長が短いほど低エネルギーで分解し、373 nm以下の波長では顕著に分解した(表10、11)。ビタミンKヒドロキノン誘導体の光安定性は、修飾基の数と種類に依存した(表10、11)。ビス-エステルタイプの化合物10、29、24、30は435-341 nmでは分解が観察されず、279nmで光分解が観察された。ビス-エステルの中でコハク酸エステル(化合物27と30)は、共に435-341 nmでは光に依存しない分解が観察され279 nmにおいて光分解が観察された。モノ-エステルの化合物11、12は435-373 nmでは分解が観測されないが、341 nm以下の波長では光分解が観察されビスエステルに比較して光分解を受ける波長が広かった。
【0063】
【0064】
【0065】
実施例3
キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体のUVA照射による一重項酸素の生成
試験化合物(200μM)を0.2%ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 (日光ケミカルズ) 、 0.2% エタノール、 0.1 %グリセリン (wako) をリン酸緩衝液 (20 mM、pH7.4)に溶解し、さらに イミダゾール(50μM、wako)とp-ニトロソジメチルアニリン (50μM、東京化成) を溶解し、 96 ウェルプレートに200μL /well加え、UVA(UV Crosslinker CL-1000L 365 nm, UVP) を照射した。経時的に440 nm の吸光度を測定した。陽性対象としてケトプロフェン(wako)、陰性対象としてスリソベンゾン(Combi-Blocks)を使用した。
図5に薬物にUVA照射時のUVA照射エネルギーに対する一重項酸素生成を示している。メナキノン-4はUVA照射量に依存して一重項酸素生成したが、メナヒドロキノン誘導体ではUVA照射では一重項酸素生成は極めて低かった(
図5A)。フィロキノンは照射量に依存して一重項酸素生成したが、フィロヒドロキノン誘導体ではUVA照射による一重項酸素生成は極めて低かった(
図5B)。キノン型ビタミンKはUVA照射によって一重項酸素を生成する光増感作用が観察されたことから、紫外線照射による一重項酸素発生によって皮表脂質の過酸化が引き起こされることが明らかであり、紫外線の皮膚に及ぼす損傷機構の一端を担う可能性が明らかになった。一方、ビタミンKヒドロキノン誘導体はUVA照射による一重項酸素の生成を起こさず、一重項酸素生成による皮表脂質過酸化の毒性を誘発しないことが示された。
【0066】
実施例4
キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体のUVA光照射によるヒト表皮角化細胞株中の活性酸素種(ROS)生成
ヒト表皮角化細胞株(HaCaT細胞)を96 well プレートに(1.0×10
4 cells/well)播種し、24時間培養後、培地をDCFH-DA(Invitrogen)のPBS溶液に置換し1時間37℃処理後PBSで洗浄、培地を試験化合物(メナキノン-4、メナヒドロキノン誘導体(化合物10)、フィロキノン、フィロヒドロキノン誘導体(化合物24))のPBS溶液(200μM)100 μl/well に置換し、UVA照射機(UV Crosslinker CL-1000L 365 nm, UVP)を用いてUVAを照射(15 J/cm
2)。照射後プレートリーダーを用いて(励起波長 485nm 発光波長 530 nm )細胞内ROS量を測定した。
図5に薬物投与時のUVA照射による細胞内ROS量の変化をコントロール群のUVA非照射と照射をそれぞれ0%と100%として示している。メナキノン-4存在下でUVA照射はヒト表皮角化細胞内のROS量を用量依存的に増加した(
図5A)。一方、メナヒドロキノン誘導体(化合物10)存在下でのUVA照射は細胞内ROSを増加させなかった(
図6A)。フィロキノンの場合はUVA照射によって細胞内ROSを用量依存的に増加し(
図5B)、フィロヒドロキノン誘導体(化合物24)では細胞内ROSを増加させなかった(
図6B)。キノン型ビタミンKは光照射によって細胞内ROSが高くなり光酸化毒性による細胞障害の可能性が示された。一方、ビタミンKヒドロキノン誘導体はROS生成をしないので光酸化毒性の可能性がないことが示された。
【0067】
実施例5
キノン型ビタミンKとビタミンKヒドロキノン誘導体のUVA光照射によるヒト表皮角化細胞株に対する光毒性
ヒト表皮角化細胞株(HaCaT細胞)を96 well プレートに(1.0×10
4 cells/well)播種し24時間培養後、培地を試験化合物のPBS溶液(200μM)100 μl/well に置換しUVA(15 J/cm
2)照射、試験化合物溶液を取り除き培地に交換し23時間培養後cell titer blue viability assay (Promega)試薬を用いて細胞生存率を測定した。メナキノン-4のUVA照射によってヒト表皮角化細胞死がメナキノン-4の用量依存的に増加した(
図7A)。一方、メナヒドロキノン誘導体(化合物10)のUVA照射はヒト表皮角化細胞死を示さなかった(
図7A)。フィロキノンのUVA照射によってヒト表皮角化細胞死が用量依存的に増加し(
図7B)、フィロヒドロキノン誘導体(化合物24)ではヒト表皮角化細胞死を増加させなかった(
図7B)。薬物濃度200μMにおけるヒト表皮角化細胞生存率を表12に示した。
図6と
図7と表12の結果から、キノン型ビタミンKはUVA照射によって細胞内ROSが高くなり細胞毒性が誘発されたことから光酸化毒性が誘起されたと考えられる。一方、ビタミンKヒドロキノン誘導体はUVA照射によって細胞内ROS生成が高くならず細胞毒性も誘発されなかったことから、光酸化毒性による細胞障害がないことが示された。
【0068】
【0069】
実施例6
ビタミンKヒドロキノン誘導体によるヒト表皮角化細胞株への活性型ビタミンK送達性とビタミンK依存性タンパク質のGla化の評価
ヒト表皮角化細胞株(HaCaT細胞)を24 ウェルプレートに播種(5.0×104cells/well) し48 時間培養後、試験化合物を添加した。継時的に細胞中のVKO量をLC-MS/MSで測定した。抽出法:各培養細胞にPBS 500μl加えスクレープ、ソニケートして得た細胞ホモジネート液 (200 μl) にメタノール(200μl)、n-ヘキサン(600μl)を加え攪拌後、4℃、3000 rpm、10分間遠心し上清500μlを窒素ガスで濃縮。残渣をメタノール(50μl)に再溶解しLC-MS/MS試料とした。タンパク濃度はBCA protein assay kit (Thermo Fisher Scientific)を用いて測定した。試験化合物のエタノール溶液(200μM)を人工似太陽光12000 lxで3時間照射し濃縮後エタノールで再溶解し培地で5μMとしヒト表皮角化細胞に加え48時間培養し人工太陽光照射群とした。試験化合物のエタノール溶液を遮光下で同様に操作しヒト表皮角化細胞に加え48時間培養し遮光群とした。
【0070】
前述したようにビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾において、ビタミンKヒドロキノン(活性型ビタミンK)はGGCXの補因子として働きGluをGla化すると同時にビタミンKエポキシド(VKO)に化学量論的に変換される。従って、VKO量は活性型ビタミンKの送達量とビタミンK依存性タンパク質のカルボキシル化量を反映することになる。
図8のオープンカラムで示した遮光群は、メナキノン-4投与、メナヒドロキノン誘導体(化合物10、27、29)投与のいずれにおいてもヒト表皮角化細胞中のMKOが高くなったことからこれらの化合物はヒト表皮角化細胞中でメナヒドロキノン-4(活性体)に変換し、ビタミンK依存性タンパク質のGla化を行うことが明らかになった(
図8)。一方、
図8のクローズドカラムで示した光照射群では、メナキノン-4投与では細胞中にMKOは観察されず、メナヒドロキノン誘導体(化合物10、27、29)投与ではヒト表皮角化細胞中のMKOが高くなりビタミンK依存性タンパク質のGla化を行うことが明らかになった。メナヒドロキノン誘導体と同様にフィロヒドロキノン誘導体もヒト表皮角化細胞中のVKOを高くできた(
図9)。以上の結果、光で分解されたキノン型ビタミンKはビタミンK依存性タンパク質のGla化が困難であることが明らかであり、ビタミンKヒドロキノン誘導体は、遮光が困難な皮膚外用においても活性型ビタミンKを送達できビタミンK依存性タンパク質のGla化が可能であることが明らかとなった。
【0071】
以上の結果、ビタミンKヒドロキノン誘導体は、遮光を必要とせず遮光が困難な状態においても光安定性が高く且つ光毒性の低い活性型ビタミンKの送達剤として機能することが明らかである。
【0072】
以下に、本発明にかかるビタミンKヒドロキノン誘導体を皮膚外用剤に配合した配合例を示す。
[化粧水]
下記成分(3)、(4)及び(8)~(10)を混合溶解した溶液と、下記成分(1)、(2)、(5)~(7)及び(11)を混合溶解した溶液とを混合して均一にし、化粧水を得た。
(成分) (%)
(1)グリセリン 5.0
(2)1,3-ブチレングリコール 6.5
(3)ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル
(4)エチルアルコール 8.0
(5)ビタミンKヒドロキノン誘導体 0.05
(6)乳酸 0.05
(7)乳酸ナトリウム 0.1
(8)パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル 3.0
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
(11)精製水 残量
【0073】
[水中油型乳液]
下記成分(8)~(9)を成分(12)に添加し膨潤後、成分(10)を加えて混合し、70℃に加温し水相を調製した。下記成分(1)~(6)を70℃に加温し、これを前記水相に添加して、乳化した。この乳化物を室温まで冷却し、下記成分(7)、(11)及び(13)を添加し、均一に混合して乳液を得た。
(成分) (%)
(1)ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン 1.0
モノステアレート
(2)ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット 0.5
テトラオレエート
(3)グリセリルモノステアレート 1.0
(4)ステアリン酸 0.5
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)スクワラン 8.0
(7)ビタミンKヒドロキノン誘導体 0.1
(8)防腐剤 0.1
(9)カルボキシビニルポリマー 0.1
(10)水酸化ナトリウム 0.05
(11)エチルアルコール 5.0
(12)精製水 残量
(13)香料 適量