(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20231201BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G01N21/89 T
G01N21/85 Z
(21)【出願番号】P 2019175071
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】脇山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】李 文卿
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-42942(JP,A)
【文献】特開2010-279921(JP,A)
【文献】特開昭61-21016(JP,A)
【文献】特開平9-132321(JP,A)
【文献】特開2010-160039(JP,A)
【文献】特開2018-66660(JP,A)
【文献】特開平4-292324(JP,A)
【文献】特開2002-307916(JP,A)
【文献】画像検査機 VIシリーズ 商品カタログ,エフ・エー・テクノ,2019年07月,[online],[2023年8月29日検索],インターネット<URL:https://www.fa-techno.co.jp/member/admin/product_image/product_1480_pdf_DM1058C.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
B07C 1/00-B07C 99/00
B65G 47/00-B65G 47/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の直角三角柱状からなる物品が搬送され、当該物品を撮像する撮像位置に、間隙からなる撮像領域が設けられた搬送路と、
前記搬送路上の撮像位置において、前記撮像領域を介して、搬送中の当該物品を前記搬送路の下方から撮像する撮像手段と、
搬送中の前記物品が撮像される前記撮像位置において、直角を挟む側面の一つを搬送路の路面に当接させると共に直角を挟まない側面を上流側に向けさせた状態で前記物品を搬送させて、前記物品を搬送方向下流側に付勢するエアー吹付手段と、を備え、
前記エアー吹付手段は、エアーを噴射させる噴射口を有し、
前記物品が当該噴射口が設けられた箇所に到達したタイミングで前記上流側に向けられた直角を挟まない側面の中腹へエアー吹付を行い、当該噴射口は前記撮像領域の上流側において、前記搬送路の路面に向けて設けられている、
ことを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記搬送路は、上流側から下流側に向かって下方へ傾斜した複数のローラによって構成され、
前記撮像領域は、隣り合う前記ローラ間に所定の長さで設けられた間隙によって構成される、
請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記エアー吹付手段は、前記物品に応じてエアー吹付するエアー吹付の圧力を変更する、
請求項1または2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいては、搬送路上の物品にラベルを貼付したり、物品の包装やラベルが適切か否かを検査したりする。
物品の検査を行う装置としては例えば、搬送面と向き合うように配置され、搬送面を通過中の包装物の静止画像又は動画像を撮像する撮像部を有する撮像ユニットと、撮像部が撮像した包装物の静止画像又は動画像から抽出された包装物の静止画像を検査画像とし、当該検査画像と基準画像とを比較して包装物の良否を判定する画像処理判定部とを備える検査装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、検査対象の物品を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像される物品の撮像位置とは異なる位置から物品の識別情報を取得する取得手段と、検査物品の比較対象となる正情報を記憶する記憶手段と、物品を搬送する搬送手段と、撮像手段による撮像画像と取得手段による識別情報を、記憶手段が記憶する正情報と比較し正否判定を行う制御手段とを有する検査装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第2017-83403号公報
【文献】特開第2018-66660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品の検査では、搬送中の物品を撮像したり、物品に付されたコードをスキャニング等したりするが、物品は搬送路上を移動しているため、物品の姿勢が安定していないと、精度よく検査することが難しかった。
【0005】
そこで本発明は、搬送中の物品を精度よく、検査することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査装置は、検査対象の物品が搬送される搬送路上の撮像位置において、搬送中の当該物品を撮像する撮像手段と、搬送中の前記物品が撮像される前記撮像位置において、搬送中の前記物品の姿勢を安定させる姿勢安定化手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
なお、上記本発明に係る検査装置は、これを有する検査システム、搬送ライン、あるいは搬送システムの発明として構成することもできる。また、上記検査装置が備える各手段によって実行される処理を実行する方法の発明として構成したり、当該処理を検査装置等に実行させるコンピュータプログラムの発明として構成したりすることもできる。なお、コンピュータプログラムに係る発明として構成した場合には、コンピュータプログラムは、各種のコンピュータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査装置を示した外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る検査装置を備えた搬送ライン全体の一例を示した側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検査装置によって検査される物品としてのサンドイッチの一例を示した図であって、(a)包装されたサンドイッチを正面側からみた外観斜視図、(b)包装されたサンドイッチを背面側からみた外観斜視図、(c)包装シートのみを正面側からみた外観斜視図、を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る検査装置を搬送方向に沿って斜め上方から示した外観図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る検査装置について、物品にエアーを吹き付ける際の様子を示した図であって、(a)正面図、(b)側面図、である。
【
図6】本発明の実施形態に係る検査装置により、物品を撮像する様子を示した側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る検査装置によって物品が搬送されると同時に検査される様子を示した図であって、(a)センサによって物品が検知される工程、(b)撮像カメラによって物品が撮像される工程、(c)検査を終えた物品が下流側の搬送路へ搬送される工程、を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る検査装置について、図を参照して説明する。
図1に示されるように、検査装置1は、包装シートで包装された食品等の商品である物品Wについて、その包装や貼付されたラベル等が適切か否かを搬送過程で検査する装置である。この検査装置1は、検査対象の物品Wを搬送する上流側の搬送路21と下流側の搬送路31の間に設けられており、搬送路11、センサ12、エアー吹付装置13、及び撮像カメラ14によって構成される。検査装置1はかかる構成により、搬送方向上流側から下流側へ物品Wを搬送しつつ、搬送中に物品Wの検査を実行する。
【0010】
検査装置を備えた物品Wの搬送システム全体でみると、
図2の例に示す通り、検査装置1や搬送路21、31のほかに、表示操作部41、ラベル貼付装置42、43、搬送路22、駆動ローラ23が備えられている。
表示操作部41は、ユーザが搬送システムを操作したり、搬送システムの稼働状況等を確認したりするための機能部であって、タッチパネル式ディスプレイ等によって構成される。
ラベル貼付装置42、43はそれぞれ、物品Wが搬送される搬送路21、22の上下それぞれから物品Wにラベルを貼付する装置である。本例では、ラベル貼付装置42は、搬送路21、22の上方に設けられており、所定の情報が印字されたラベルを発行し、ラベル貼付部421によって当該ラベルを物品Wに貼付する。ラベル貼付装置43は、搬送路21、22の下方に設けられており、ラベル発行部44からラベルの発行を受け、当該発行を受けたラベルを物品Wに貼付する。
搬送路21の上流にはさらに搬送路22が設けられており、搬送路21と搬送路22の間には、駆動ローラ23が設けられている。
なお、このような搬送システム全体の構成は一例にすぎず、他の異なる構成からなる搬送システムについても、本実施形態に係る検査装置1を適用することができる。
【0011】
ここで、検査対象物たる物品Wは特に限定されないが、本実施形態では、検査装置1を食品工場等に導入した例が想定されており、物品Wとしてはコンビニエンスストア等に供給されるおにぎりやサンドイッチといった商品が想定されている。本実施形態では、物品Wとして、ポリプロピレン製フィルム等の包装シートによって包装されたサンドイッチを例にとる。
【0012】
本例の物品Wとして例にとったサンドイッチは、
図3に示されるように、内容物たるサンドイッチを包装シート51で包装してなる。包装シート51は、内容物たるサンドイッチの形状に即して、直角三角形を底面とした三角柱形状からなり、矩形状の側面の一の側端には舌片状に延び出したつまみ部52が設けられている。つまみ部52には、短い切込みによる分断可能部が設けられており、当該分断可能部を摘んで下方に引っ張り、ラベル53が貼付してある面を経てその背面側へ引き裂くことによって、包装シート51を左右に二分し、内容物を取り出すことができる。
【0013】
このような包装シート51の一側面には、
図3(a)に示されるように、内容物の名称が印字されている。
また、
図3(b)に示されるように、他の一側面にはラベル53が貼付されている。ラベル53には、商品名、本体価格、バーコード531(他の2次元コード等であってもよい)、商品詳細情報などが印字されている。商品詳細情報は、例えば、原材料名、アレルゲン名、食品添加物名、消費期限、保存方法、栄養成分表示(カロリー、栄養成分名、その含有量)、製造者名、住所などが記載されている。
また、
図3(c)に示されるように、包装シート51そのものにも、ラベル53が貼付される位置にバーコード54が印字されている。このバーコード54には、商品名等、ラベル53に印字する内容に係る情報が含まれており、これにより、ラベル53が貼付されていない物品Wと、当該物品Wに貼付すべきラベル53とが一致するか否かといった検査を行うことができる。
【0014】
なお、上述したラベル53に記載される情報は、包装シート51に直接印字されていてもよい。また、ラベル53は一つでなくてもよく、上述したラベル53に記載される情報を適宜に分けて、複数のラベルに記載されるようになっていてもよい。
【0015】
検査装置1は、このような物品Wを検査対象として検査し、不適切な状態が認められた場合には報知や機械の停止を行う。詳細には、包装シート51に直接印字されている内容を示すバーコード54と貼付後のラベル53の印字内容が合っているか否かの検査を行う。この場合、物品Wを搬送する上流側の搬送路21のさらに上流側にも検査装置を設けておいて、その検査装置でまず包装シート51に直接印字されているバーコード54を読み取る。次に搬送途中で物品Wにラベル53を貼付した後、上流側の搬送路21と下流側の搬送路31の間に設けられている検査装置1で貼付されたラベル53の印字内容が示されたバーコード531を読み取り、これらを比較して包装シート51に直接印字されている内容とラベル53の印字内容が正しいかの検査を行う。例えば、包装シート51に直接「たまごサンド」と印字されていて、貼付されたラベル53にも「たまごサンド」と印字されていれば、包装シート51の印字内容とラベル53の印字内容が正しいと判断してそのまま作業を続ける。
また、別の検査方法として貼付されたラベル53の印字内容があっているかどうかも検査することができる。即ち、検査装置1の撮像手段でラベル53を撮像し、あらかじめ保存してある正しい印字データと比較してラベル53の印字内容が正しいかどうか、または印字に欠け、抜け、擦れが無いかどうかを判断することもできる。
【0016】
検査装置1の搬送方向上流側に設けられている搬送路21やその上流側の搬送路22は、物品Wを搬送する搬送手段を構成するものであって、所謂ベルトコンベアである。この搬送路21、22は、一又は一直線上に連設する複数のベルトコンベアによって構成され、所定距離だけ離れて配置された一対のプーリー、当該一対のプーリーに掛け渡された無端ベルト、プーリーの一方又は両方を回転駆動させる駆動部等からなる。
この搬送路21、22上では例えば、検査対象物たる物品Wについて、ラベル貼付装置42、43などのラベラーによるラベル53の貼付、所定のセンサによる物品Wの寸法や重量の測定などが行われる。
さらに、この搬送路21の上流側に別の検査装置を設けることで複数の場所で検査を行うこともできる。
【0017】
また、検査装置1の搬送方向下流側に設けられている搬送路31は、枠状の固定体に回転体を支持した所謂ローラートラックであり、この搬送路31より下流側には、物品Wを良品と不良品に振り分ける振分部や、不良品を一時的に収納する容器、良品を出荷先等に応じて仕分ける仕分部などが設けられている。
なお、本実施形態では、搬送路31はローラートラックによって構成されているが、これに限らず、搬送路21と同様のベルトコンベアによって構成することもできる。
【0018】
●搬送路11
搬送路11は、上流側の搬送路21と下流側の搬送路31に連設しており、搬送方向に回動自在な複数のフリーローラ111によって構成されている。複数のフリーローラ111は、搬送方向に沿って設けられた一対の保持部112の間に保持されている。
この搬送路11は、搬送方向上流側から下流側に向かって下方へ傾斜しており、これにより搬送路11の路面上に到達した物品Wは、その自重によって上流側から下流側へ移動する。
なお、本実施形態では、フリーローラ111によって物品Wを搬送しているが、これに限らず、平ベルトや丸ベルトを搬送手段として使用することもできる。
【0019】
また、搬送路11には、撮像カメラ14により搬送路11上の物品Wを下方から撮像するための撮像領域11aが設けられている。ここで、撮像領域11aとは、撮像カメラ14によって物品Wを撮像する際に、撮像を妨げることなく、撮像のための視野を確保する領域をいう。本実施例において、撮像領域11aは、隣り合う所定のフリーローラ111間に所定の長さで設けられた間隙によって構成され、搬送方向の中心より僅かに下流寄りに設けられている。
図1の例では、上流側に5本のフリーローラ111、下流側に2本のフリーローラ111が夫々、隙間なく隣接して設けられており、上流側から数えて5本目のフリーローラ111と6本目のフリーローラ111は一定の長さだけ互いと離間し、当該離間した部分が物品Wの撮像位置となる撮像領域11aを構成している。
【0020】
なお、撮像領域11aを構成する間隙の搬送方向の長さは少なくとも、搬送路11上に物品Wを搬送させる際に物品Wが搬送方向に有する長さよりも短く、搬送時に物品Wに付与される勢いによって、物品Wが当該撮像領域11aから落ちることのない長さであると同時に、撮像カメラ14によって物品Wのラベル53を撮像できる範囲に収まるように設計又は調整される。
【0021】
●センサ12
撮像領域11aよりも搬送方向上流側の所定の位置には、物品Wを検知するセンサ12として、搬送路11の幅方向に対向して設けられた発光部と受光部からなるフォトセンサ等が設けられている。本実施形態では、センサ12は、エアー吹付装置13が取り付けられているフレーム131の支持脚1311の内側であって、搬送路11の路面よりも僅かに高い位置に設けられている。
物品Wがセンサ12により検知された時点から、搬送速度に応じた所定時間後、エアー吹付装置13によって物品Wにエアーが吹き付けられると共に、撮像領域11aに物品Wが到達するタイミングで撮像カメラ14によって物品Wが撮像される。
【0022】
なお、本実施形態にかかわらず、センサ12によって物品Wを検知すると同時にエアーを物品Wに吹き付けることもできる。また、センサ12によって撮像のタイミングを測ることなく、撮像カメラ14が物品Wを常時撮像するようにしてもよい。
【0023】
●エアー吹付装置13
エアー吹付装置13は、搬送中の物品Wが撮像される撮像位置において、搬送中の物品Wの姿勢を安定させる姿勢安定化手段を構成する。なお、ここでいうところの姿勢の安定化とは、搬送中の物品Wを撮像する際に物品Wがブレたり、傾いたりすることなく、また、撮像領域11aに物品Wのラベル53全体が撮像可能に収まるような姿勢を維持させることを意味する。
このエアー吹付装置13は、撮像位置において物品Wにエアーを吹き付け、物品Wを搬送路11の路面上に押し付けるエアーブローであって、
図4に示されるように、エアーを噴射させる噴射口1321と、エアーを供給するエアー供給機構(図示省略)、エアー供給機構から供給されたエアーを噴射口へ供給するエアーチューブ1322等からなる。
【0024】
なお、エアー吹付装置13は、搬送路11及び撮像カメラ14と一体的に構成されたユニットにすることも可能であり、このように構成すれば、既存の装置と装置の間(本例であれば、搬送路21と搬送路31の間)に後付けで設けることができる。
また、エアー供給機構自体は、工場でラベル貼付装置などに使用しているものを流用して使えるので、特に新たにエアー供給機構を増設する必要もない。
【0025】
ここで、エアー吹付装置13の噴射口1321は、搬送路11の上流側の端部近傍に設けられたフレーム131に取り付けられており、当該フレーム131は一対の支持脚1311と掛架部1312によって構成される。
一対の支持脚1311は、搬送路11の幅方向の両端に設けられている保持部112上に立設している。本実施形態において、支持脚1311は、搬送路11の路面に対して直角に上方へ伸び出すと共に、その上端において搬送方向上流側へ屈曲し、僅かに搬送方向上流側へ伸び出している。なお、一対の支持脚1311は、その高さが、搬送される物品Wの高さよりも高く、一対の支持脚1311上に掛け渡された掛架部1312に物品Wが引っかからない高さからなる。
【0026】
掛架部1312は、平板状の部材であって、搬送路21の路面と略平行をなして、一対の支持脚1311の上端に掛け渡されている。この掛架部1312には、幅方向に長さを有する係止孔1312aが設けられており、この係止孔1312aには、エアーチューブ1322の噴射口1321側の一端部がナット1323によって係止されている。係止孔1312aは、幅方向に長さを有するため、噴射口1321の位置を幅方向に任意の位置に固定することができるし、幅方向に複数のエアー吹付装置13の噴射口1321を取り付けることもできる。もっとも、搬送路21の路面上やさらに上流の場所等に、物品Wを幅方向中央にガイドする部材を設ければ、本実施形態のように、掛架部1312の幅方向中央に噴射口1321を設けた状態において、物品Wに確実にエアーを吹き付けることができる。
【0027】
また、図示しないが、支持脚1311の根元等に、搬送路11、21の路面に対する支持脚1311の角度を調整可能な調整機構を設けてもよく、このような調整機構を設けた場合には、支持脚1311の傾きを調整し、物品Wに対してエアーを吹き付ける位置や角度を簡単に変更できる。
【0028】
ここで、本実施形態において、
図3を参照して例示した物品Wは、包装シート51によって包装されたサンドイッチであって直角三角形を両側面とした三角柱形状からなるが、
図5(b)に示されるように、つまみ部52を上流側に向けると共に、直角を挟む側面の一つを搬送路21の路面に当接させた状態で搬送される。このように物品Wが搬送されることを前提として、エアー吹付装置13によってエアーを吹きつけるのに最適な物品Wの位置は、
図5に示されるように、直角を挟まない側面の中腹辺りである。かかる位置に上方からエアーを吹き付けることで、物品Wを下流側へ押し出す効果と搬送路11、21の路面に押し付けて安定させる両方の効果を得ることができる。
【0029】
このような効果を得るべく、エアー吹付装置13を構成するエアーの噴射口1321は、搬送路11、21の路面上の物品Wにエアーを吹き付けられるよう、搬送路11、21の路面に向けられた状態で、搬送路11上のフレーム131の掛架部1312の中央に取り付けられている。このように、噴射口1321が搬送路11、21の路面に対向する位置に設けられていることで、エアーによって物品Wを搬送路11、21の路面上に押し付けることができる。
【0030】
また、支持脚1311の上端が上流側に伸び出すと共に当該伸び出した部分に掛架部1312が設けられ、当該掛架部1312に、エアーの吹き付ける位置を規定する噴射口1321が設けられている。この結果、
図5に示されるように、センサ12によって物品Wを検出したときに、物品Wを搬送方向下流側へ付勢するのに適切な位置にエアーを吹き付けることができる。
また、フリーローラ111上で物品Wにエアーを吹きつけると、エアーによって物品Wのつまみ部52がフリーローラ111のローラとローラの間に押し込まれて絡まるというトラブルの原因にもなりかねない。これに対しては、搬送路21上で物品Wにエアーを吹き付けられるよう、支持脚1311の上端と噴射口1321が取り付けられる掛架部1312が搬送方向上流側へ伸び出しており、その結果、物品Wのつまみ部52がフリーローラ111に絡んでしまうのを回避することができる。
【0031】
なお、エアー吹付装置13のエアーを物品Wに吹きつける時間は、物品Wがセンサ12を通過する瞬間がよく、0.15~0.2秒くらいが好適である。逆に吹きつける時間が長くなると、つまみ部52にエアーが強く吹き付けられ、エアーによって路面に押し付けられたつまみ部52がフリーローラ111に絡まる原因にもなるし、つまみ部52を搬送路11、21の路面に押し付けてブレーキをかけてしまうという逆効果にもなる。
また、エアーが物品Wの搬送方向上流側の先端部に吹き付けられると、物品Wを下流側へ付勢する力が強くなりすぎ、不安定となる場合があるので、センサ12によって物品Wを検知したタイミングからエアーを吹き付けるまでの時間を調整し、エアーが物品Wの搬送方向上流側の先端部に吹き付けられないようにするとよい。
また、エアーによって物品Wの姿勢を安定化させると共に、下流側へ付勢する効果を確実なものとするには、エアーは広角に吹き付けられるよりも、的を絞って物品Wに対してピンポイントでエアーが吹き付けられるほうが好適である。
【0032】
●撮像カメラ14
撮像カメラ14は、
図6に示されるように、検査対象の物品Wが搬送される搬送路11上の所定の撮像位置において、搬送中の物品Wを撮像する撮像手段である。
この撮像カメラ14は、搬送路11の下方に設けられており、搬送路11に設けられている撮像領域11aを介して、搬送路11を搬送される物品Wを搬送路11の下方から撮像する。
【0033】
撮像カメラ14によって撮像された物品Wの撮像画像は、撮像画像に基づいた検査を実行する所定の情報処理部に供給され、当該情報処理部において、包装やラベルに不具合がないかが判断される。
なお、所定の情報処理部は、ネットワークを介して接続されたコントロールパネルや上位のコンピュータなど、各種の機器に備えられるものであってもよいし、単独の情報処理装置を構成するものであってもよい。
また、
図6に示す本実施形態では、フリーローラ111の傾きに対して真下ではなく斜め下から物品Wを撮像している。これは撮像カメラ14のフラッシュがラベルに反射した結果、反射光が撮像カメラに入り込むのを防ぐためであるが、カメラの種類によっては真下に設けてもよい。
【0034】
●工程
次に、物品Wの搬送過程において、本実施形態に係る検査装置1により物品Wが検査される工程を
図7により説明する。
なお、
図7の例では、検査対象たる物品Wとして、
図3を参照して説明したサンドイッチを例示している。また、このサンドイッチは、直角を挟む一対の長方形状の側面のうち、つまみ部52が延設する側面を搬送路11の路面上に当接させると共に、直角を挟まない側面を上流側に向けて、搬送路11上を搬送される。この場合、搬送路11の路面上に当接している面にラベル53を貼付して下流側でラベル53を検査する。
【0035】
まず、
図7(a)に示すように、搬送方向上流側の搬送路21から、搬送路11上へ物品Wが搬送されてくる。これに応じてセンサ12は、物品Wが搬送路11上に到達したことを検知する。センサ12による検知情報に基づき、エアー吹付装置13と撮像カメラ14は夫々、エアーを物品Wに吹き付けるタイミングと、物品Wを撮像するタイミングを測る。
また、搬送路21に到達した物品Wは、これまで搬送路21上を搬送されてきた際の慣性と自重により、下り勾配をなす搬送路11上を下流側へ移動していく。
【0036】
物品Wが、エアー吹付装置13の噴射口1321の下方に到達すると、エアーが物品Wに吹き付けられる。物品Wは、エアーが吹き付けられると、搬送路21の路面上に押し付けられる。また、物品Wが搬送路21上を移動する過程を経て、エアーが物品Wの上流側の端部に吹き付けられる結果、物品Wはエアーによって搬送方向下流側へ付勢される。特に、物品Wが上述したような形状と向きからなり、直角を挟まない側面にエアーが吹き付けられることで、搬送方向下流側へ強く付勢される。
【0037】
このようにエアーが物品Wに作用する結果、物品Wは搬送路21に押し付けられると共に下流側へ付勢され、搬送路11上で浮いたり転がったり、あるいは撮像領域11aから下方へ落下したりといった不安定な挙動をとることなく、安定した姿勢を維持したまま撮像領域11aを通過することができる。また、エアーによって物品Wが搬送方向下流側へ付勢されることにより、撮像領域11aを広くしても撮像領域11aから物品Wが落下せず、撮像カメラ14が物品Wを撮像するのに十分な撮像視野を確保することができる。
特に、
図7の例では、検査対象たる物品Wとして、包装シート51によって包装された、直角三角柱状からなるサンドイッチを例示しているが、エアーを吹きつけることで直角三角柱状の直角の部分が撮像領域11aに嵌らない効果がある。
【0038】
図7(b)に示すように、物品Wがエアーによって安定した姿勢を維持すると共に、下流方向へ付勢されながら撮像領域11aへ搬送されてくると、撮像カメラ14は搬送路11の下方から、撮像領域11aを介して物品Wの下面側を撮像する。これに応じて、撮像画像は所定の情報処理部へ供給され、当該所定の情報処理部において、当該撮像画像に基づいた検査が実行される。
【0039】
図7(c)に示すように、物品Wは撮像領域11aを跨ぐようにして更に下流側の搬送路31上へ搬送される。搬送路31上に搬送された物品Wは適宜、予め設定されている情報に基づいて、さらには所定の情報処理部による検査結果に基づいて、仕分け部で仕分けられたり、振分部で振り分けられたり、廃棄箱等に送られたりする。
【0040】
以上のとおり、いままでは物品Wが搬送によって動いている状態で検査されるため、物品Wの姿勢が安定していないと、精度よく検査することが難しかったが、本実施形態に係る検査装置1により、搬送中の物品Wを精度よく、検査することができる。
【0041】
また、搬送ラインにおいては、いままでラベル53を貼付するラベル貼付装置や物品Wの検査を行う検査装置を順次、配設しているため、搬送ラインは全体として長大なものになっていた。しかし、本実施形態によれば、検査装置1が大掛かりにならず、搬送ラインが全体として長大になることもない。さらに、搬送路11がフリーローラ111によって構成されているため、設備の負担も軽くすることができる。
【0042】
なお、上述した本実施形態に係る検査装置1において、撮像領域11aは、隣り合う所定のフリーローラ111間に所定の長さで設けられた間隙によって構成されるものしたが、当該隣り合う所定のフリーローラ111間にアクリル樹脂等からなる透明なパネルを設け、物品Wをパネル越しに撮像することもできる。このような透明なパネルを設ければ、撮像領域11aから物品Wが落下するのを確実に防ぐことができる。
【0043】
また、上述した本実施形態に係る検査装置1は、上述した例にかかわらず、搬送ラインの仕様に応じて適宜の位置に設けることができ、例えば、ラベラーの装置の上流側又は下流側など、仕様に応じた任意の位置に配設することができる。
【0044】
また、上述した本実施形態に係る検査装置1において、物品Wの重量に応じて、エアーの圧力を変えるようにしてもよい。この場合には、エアー吹付装置13よりも上流の搬送路21等に路面上の物品Wの重量を測定する計量センサを設けると共に、測定された重量に応じたエアーの設定圧力に係る情報を所定の参照用テーブルに保持しておく。そして、検査する物品Wの重量を測定すると、参照用テーブルを参照して、当該測定された重量に応じたエアーの圧力に係る情報をエアー吹付装置13に提供し、エアー吹付装置13は物品Wの重量に応じた圧力のエアーを物品Wに吹き付ける。これにより、例えば、重量の大きい物品Wに対しては高い圧力でエアーを吹き付ける一方、重量の小さい物品Wに対しては相対的に低い圧力でエアーを吹き付けることができる。その結果、物品Wの重量によらず、物品Wの姿勢をより安定した状態とすることができる。
【0045】
●実施例総括
本発明は、検査装置に関する。
【0046】
物流システムにおいては、搬送路上の物品にラベルを貼付したり、物品の包装やラベルが適切か否かを検査したりする。
物品の検査を行う装置としては例えば、搬送面と向き合うように配置され、搬送面を通過中の包装物の静止画像又は動画像を撮像する撮像部を有する撮像ユニットと、撮像部が撮像した包装物の静止画像又は動画像から抽出された包装物の静止画像を検査画像とし、当該検査画像と基準画像とを比較して包装物の良否を判定する画像処理判定部とを備える検査装置が提案されている(特開第2017-83403号公報)。
また、検査対象の物品を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像される物品の撮像位置とは異なる位置から物品の識別情報を取得する取得手段と、検査物品の比較対象となる正情報を記憶する記憶手段と、物品を搬送する搬送手段と、撮像手段による撮像画像と取得手段による識別情報を、記憶手段が記憶する正情報と比較し正否判定を行う制御手段とを有する検査装置が提案されている(特開第2018-66660号公報)
【0047】
搬送ラインにおいては、ラベルを貼付するラベラー装置や物品の検査を行う検査装置を順次、配設しているため、搬送ラインは全体として長大なものになっていた。
また、物品の検査では、搬送中の物品を撮像したり、物品に付されたコードをスキャニング等したりするが、物品は搬送路上を移動しているため、物品の姿勢が安定していないと、精度よく検査することが難しかった。
【0048】
そこで本発明は、搬送中の物品を精度よく、検査することを目的の一つとする。
【0049】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査装置は、検査対象の物品が搬送される搬送路上の撮像位置において、搬送中の当該物品を撮像する撮像手段と、搬送中の前記物品が撮像される前記撮像位置において、搬送中の前記物品の姿勢を安定させる姿勢安定化手段と、を有することを特徴とする。
【0050】
前記搬送路には、前記撮像手段により前記物品を下方から撮像するための撮像領域が設けられており、前記撮像手段は、前記撮像領域を介して、前記物品を前記搬送路の下方から撮像するものとしてもよい。
【0051】
前記姿勢安定化手段は、前記物品にエアーを吹き付け、前記物品を前記搬送路の路面上に押し付けるエアー吹付手段であり、前記撮像位置において前記物品の姿勢を安定させた状態で前記撮像手段により前記物品を撮像するものとしてもよい。
【0052】
前記搬送路は、上流側から下流側に向かって下方へ傾斜した複数のローラによって構成され、前記撮像領域は、隣り合う前記ローラ間に所定の長さで設けられた間隙によって構成される
【0053】
本発明によれば、搬送中の物品を精度よく、検査することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 検査装置
11 搬送路
11a 撮像領域
111 フリーローラ
112 保持部
12 センサ
13 エアー吹付装置
131 フレーム
1311 支持脚
1312 掛架部
1321 噴射口
1322 エアーチューブ
1323 ナット
14 撮像カメラ
21 搬送路
22 搬送路
23 駆動ローラ
31 搬送路
41 表示操作部
42 ラベル貼付装置
421 ラベル貼付部
43 ラベル貼付装置
44 ラベル発行部
51 包装シート
52 つまみ部
53 ラベル
531 バーコード
54 バーコード
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