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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】投影レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
G02B13/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019214732
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021076817
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】512131977
【氏名又は名称】横浜リーディングデザイン合資会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140693
【弁理士】
【氏名又は名称】木宮 直樹
(72)【発明者】
【氏名】末永 豊
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-063966(JP,A)
【文献】特開平11-258505(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176721(US,A1)
【文献】国際公開第2019/097717(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/116567(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111427139(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、
全体として負屈折力の第1レンズ群と、
前記第1レンズ群の像側に配置され、全体として正屈折力の第2レンズ群と、
前記第2レンズ群の像側に配置され、前記物体側に最も近いレンズ面が、前記物体側に凹面である第3レンズ群と、
前記第3レンズ群の像側に配置され、前記物体側から最も離れたレンズ面が、前記物体側に凸面である第4レンズ群と、
前記第4レンズ群の像側に配置され、全体として正屈折力の第5レンズ群と、
前記第5レンズ群の像側に配置され、全体として負屈折力の第6レンズ群と、からなり
少なくとも、前記第3レンズ群中又は前記第4レンズ群中に、正屈折力の第1正レンズ及び負屈折力の第1負レンズから構成される貼り合わせ負レンズを含み、
前記第1レンズ群は、前記物体側から順に、前記物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズと、前記物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズと、からなり
前記第2レンズ群は、1枚の正レンズからなり、
前記第3レンズ群と前記第4レンズ群との間に絞りが配置され、
前記第5レンズ群は、1枚の正レンズからなり、
前記第6レンズ群は、1枚の負レンズからなるか、または、前記物体側から順
に、負レンズと、正レンズとからなり、
レンズ全長をLallとし、
前記第3レンズ群を構成する全てのレンズの光軸上の総厚をL3とし、
前記第4レンズ群を構成する全てのレンズの光軸上の総厚をL4とし、
前記第1負レンズの硝材の屈折率をn1とし、アッベ数をν1とし、
前記第1正レンズの硝材の屈折率をn2とし、アッベ数をν2とし、
前記第1レンズ群中の前記正メニスカスレンズの屈折率をn3とし、
前記第1レンズ群中の前記負メニスカスレンズの屈折率をn4とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影レンズ。
【請求項2】
前記貼り合わせ負レンズの貼り合わせ面の曲率半径をrc1とし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1記載の投影レンズ。
【請求項3】
前記第3レンズ群には少なくとも1枚の正屈折力の第2正レンズが配置され、
また、前記第4レンズ群には少なくとも1枚の正屈折力の第3正レンズが配置され、
前記第2正レンズの屈折率は1.55以上で、且つアッベ数は62以上で、
前記第3正レンズの屈折率は1.55以上で、且つアッベ数は62以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の投影レンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の屈折率1.65以上で且つアッベ数50以上の第4正レンズを含み、
前記第5レンズ群は、少なくとも1枚の屈折率1.65以上で且つアッベ数50以上の第5正レンズを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項5】
前記レンズ群全体の焦点距離をfallとし、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群の焦点距離をf4としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項6】
前記レンズ群全体の焦点距離をfallとし、前記第1レンズ群の焦点距離をf1としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項7】
前記レンズ群全体の焦点距離をfallとし、前記第2レンズ群の焦点距離をf2としたとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項8】
前記物体から前記第1レンズ群までの距離が変化するとき、前記第1レンズ群から前記第6レンズ群までのうち、少なくとも1つのレンズ群が光軸上に移動することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項9】
前記正メニスカスレンズの前記物体側に近い面の曲率半径をr1Pとし、前記正メニスカスレンズの前記物体側から遠い面の曲率半径をr2Pとし、前記負メニスカスレンズの前記物体側に近い面の曲率半径をr1Nとし、前記負メニスカスレンズの前記物体側から遠い面の曲率半径をr2Nとするとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【請求項10】
前記第6レンズ群は、前記物体側に凹面を向けた第2負メニスカスレンズを含み、
前記第2負メニスカスレンズの前記物体側に近い面の曲率半径をr3Nとし、前記第2負メニスカスレンズの前記物体側から遠い面の曲率半径をr4Nとするとき、以下の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の投影レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を撮像素子上に投影するための投影レンズに関する。特に、有限距離で検査撮影を行うための投影レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
投影レンズに関し、例えば、下記の特許文献1及び2に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-183797
【文献】特開平11-202197
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の投影レンズでは、ある程度の広い画角を投影することは出来るが、画面周辺部で、像がボケていたり、色が滲んでいたりした。また、像の歪みも発生していた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、ある程度の広い画角を投影することが出来、歪曲が無く、可視光全域で画面周辺部でも鮮鋭な画像となる投影レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
物体側から順に、全体として負屈折力の第1レンズ群G1と、全体として正屈折力の第2レンズ群G2と、前記物体側に最も近いレンズ面が、前記物体側に凹面である第3レンズ群G3と、前記物体側から最も離れたレンズ面が、前記物体側に凸面である第4レンズ群G4と、全体として正屈折力の第5レンズ群G5と、全体として負屈折力の第6レンズ群G6と、を含み、少なくとも、前記第3レンズ群G3中又は前記第4レンズ群G4中に、正屈折力の第1正レンズLP1及び負屈折力の第1負レンズLN1からなる貼り合わせ負レンズLNを含み、レンズ全長をLallとし、前記第3レンズ群G3を構成する全てのレンズの光軸上の総厚をL3とし、前記第4レンズ群G4を構成する全てのレンズの光軸上の総厚をL4とし、前記第1負レンズLN1の硝材の屈折率をn1とし、アッベ数をν1とし、前記第1正レンズLP1の硝材の屈折率をn2とし、アッベ数をν2とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする投影レンズを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ある程度の広い画角を投影することが出来、歪曲が無く、可視光全域で画面周辺部でも鮮鋭な画像となる投影レンズを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施例の投影レンズの断面図である。
図2図2は、第1実施例の投影レンズの諸収差図である。
図3図3は、第2実施例の投影レンズの断面図である。
図4図4は、第2実施例の投影レンズの諸収差図である。
図5図5は、第3実施例の投影レンズの断面図である。
図6図6は、第3実施例の投影レンズの諸収差図である。
図7図7は、第4実施例の投影レンズの断面図である。
図8図8は、第4実施例の投影レンズの諸収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明では、物体側から順に、全体として負屈折力の第1レンズ群G1と、全体として正屈折力の第2レンズ群G2と、前記物体側に最も近いレンズ面が、前記物体側に凹面である第3レンズ群G3と、前記物体側から最も離れたレンズ面が、前記物体側に凸面である第4レンズ群G4と、全体として正屈折力の第5レンズ群G5と、全体として負屈折力の第6レンズ群G6と、を含む構成にすることで、特に、コマ収差、像面湾曲、非点収差及び歪曲収差を良好に補正している。
【0010】
また、少なくとも、前記第3レンズ群G3中又は前記第4レンズ群G4中に、正屈折力の第1正レンズLP1及び負屈折力の第1負レンズLN1からなる貼り合わせ負レンズLNを含むようにする。これにより、色収差を広範囲にわたり良好に補正している。特に、各波長で非点収差の収差曲線の形状が大きく変化することを抑制している。
【0011】
条件(1)は、諸収差を良好に補正しつつ、更に色収差を良好に補正するための条件である。条件(1)の上限を上回ると、レンズ全長が長くなり過ぎ、好ましくない。条件(1)の下限を下回ると、特に色収差を含む諸収差を良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。
【0012】
尚、条件(1)の下限を0.25とし、上限を0.65とすれば、更に良い結果が得られる。
【0013】
条件(2)及び(3)は、色収差を広波長領域で良好に補正するための条件である。特に、各波長で非点収差の収差曲線の形状が大きく変化することを抑制するための条件である。
【0014】
条件(2)の上限を上回ると、色収差を広波長領域で良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。条件(2)の上限を0.10とすれば、更に良い結果が得られる。
【0015】
条件(3)の上限を上回ると、色収差を広波長領域で良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。条件(3)の下限を下回ると、レンズの製造が難しくなるため、好ましくない。尚、条件(3)の下限を1.3とし、上限を8.5とすれば、更に良い結果が得られる。
【0016】
前記貼り合わせ負レンズLNの貼り合わせ面の曲率半径をrc1とし、前記第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、以下の条件(4)を満足することが好ましい。
【0017】
条件(4)は、色収差を広波長領域で良好に補正するための条件である。条件(4)の上限を上回ると、色収差を広波長領域で良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。条件(4)の下限を下回ると、製造が困難になるため、好ましくない。
【0018】
尚、条件(4)の下限を0.10とし、上限を0.5とすれば、更に良い結果が得られる。
【0019】
前記第3レンズ群G3には少なくとも1枚の正屈折力の第2正レンズLP2が配置され、前記第4レンズ群G4には少なくとも1枚の正屈折力の第3正レンズLP3が配置され、前記第2正レンズLP2の屈折率は1.55以上で且つアッベ数は62以上で、前記第3正レンズLP3の屈折率は1.55以上で且つアッベ数は62以上であることが好ましい。
【0020】
これら屈折率及びアッベ数の限定は、色収差を広波長領域で良好に補正しつつ、特に、球面収差と非点収差とを同時に良好に補正するためである。これら屈折率及びアッベ数の値を下回ると、特に、球面収差と非点収差とが悪化するため、好ましくない。
【0021】
尚、第2正レンズLP2の屈折率及び第3正レンズLP3の屈折率を1.57以上とすれば、更に良い結果が得られる。また、第2正レンズLP2のアッベ数及び第3正レンズLP3のアッベ数を65以上とすれば、更に良い結果が得られる。
【0022】
前記第1レンズ群G1は、前記物体側から順に、前記物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLPM1と、前記物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLNM1と、を含み、前記第1レンズ群G1中の前記正メニスカスレンズLPM1の屈折率をn3とし、前記第1レンズ群G1中の前記負メニスカスレンズLNM1の屈折率をn4とするとき、以下の条件(5)及び(6)を満足することが好ましい。
【0023】
これら条件(5)及び(6)は、特に、歪曲収差と非点収差とを良好に補正するための条件である。条件(5)の下限を下回ったり、条件(6)の上限を上回ったりすると、歪曲収差と非点収差とを良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。
【0024】
尚、条件(5)の下限を1.75とすれば、更に良い結果が得られる。また、条件(6)の上限を1.65とすれば、更に良い結果が得られる。
【0025】
前記第2レンズ群G2は、少なくとも1枚の屈折率1.65以上で且つアッベ数50以上の第4正レンズLP4を含み、前記第5レンズ群G5は、少なくとも1枚の屈折率1.65以上で且つアッベ数50以上の第5正レンズLP5を含むことをが好ましい。これらを満たすことで、特に、コマ収差を良好に補正することが出来るようになる。
【0026】
前記第1レンズ群G1を構成するレンズの最大直径をφ1とし、前記第6レンズ群G6を構成するレンズの最大直径をφ2とするとき、以下の条件(7)及び(8)を満足することが好ましい。
【0027】
条件(7)及び条件(8)は、良好な性能と適切な大きさとを同時に保つための条件である。条件(7)の上限を上回ったり、条件(8)の上限を上回ったりすると、光学系全体が大きくなってしまい、製造上不利になるので、好ましくない。また、条件(7)の下限を下回ったり、条件(8)の下限を下回ったりすると、良好な性能を得られなくなるので、好ましくない。
【0028】
尚、条件(7)の下限を0.3とし、上限を0.6とすれば、更に良い結果が得られる。また、条件(8)の下限を0.18とし、上限を0.5とすれば、更に良い結果が得られる。
【0029】
前記高解像レンズ全体の焦点距離をfallとし、前記第3レンズ群G3の焦点距離をf3とし、前記第4レンズ群G4の焦点距離をf4としたとき、以下の条件(9)及び(10)を満足することが好ましい。
【0030】
これら条件(9)及び(10)は、色収差を良好に補正しつつ各ザイデル五収差とを同時に良好に補正するための条件である。条件(9)の上限を上回ったり、条件(10)の上限を上回ったりすると、特に、球面収差やコマ収差が大きくなってしまうため、好ましくない。
【0031】
尚、条件(9)の上限を0.55とすれば、更に良い結果が得られる。また、条件(10)の上限を0.5とすれば、更に良い結果が得られる。
【0032】
前記高解像レンズ全体の焦点距離をfallとし、前記第1レンズ群G1の焦点距離をf1としたとき、以下の条件(11)を満足することが好ましい。
【0033】
条件(11)は、特に、歪曲収差及び非点収差を良好に補正するための条件である。条件(11)の上限を上回ると、歪曲収差及び非点収差を良好に補正することが出来なくなり、好ましくない。条件(11)の下限を下回ると、レンズの製造が困難になるため、好ましくない。
【0034】
尚、条件(11)の下限を-0.6とし、上限を-0.15とすれば、更に良い結果が得られる。
【0035】
前記高解像レンズ全体の焦点距離をfallとし、前記第2レンズ群G2の焦点距離をf2としたとき、以下の条件(12)を満足することが好ましい。
【0036】
条件(12)は、特に、コマ収差を良好に補正するための条件である。条件(12)の上限を上回ったり、下限を下回ったりすると、コマ収差の補正が難しくなり、好ましくない。
【0037】
尚、条件(12)の下限を0.3とし、上限を0.8とすれば、更に良い結果が得られる。
【0038】
前記高解像レンズ全体の焦点距離をfallとし、前記第6レンズ群G6の焦点距離をf6としたとき、以下の条件(13)を満足することが好ましい。
【0039】
条件(13)は、歪曲収差及び非点収差を良好に補正するための条件である。条件(13)の上限を上回ると、歪曲収差及び非点収差を良好に補正することが出来なくなり、好ましくない。条件(13)の下限を下回ると、レンズの製造が困難になるため、好ましくない。
【0040】
尚、条件(13)の下限を-1.3とし、上限を-0.6とすれば、更に良い結果が得られる。
【0041】
前記高解像レンズ全体の焦点距離をfallとし、前記第5レンズ群G5の焦点距離をf5としたとき、以下の条件(14)を満足することが好ましい。
【0042】
条件(14)は、コマ収差を良好に補正するための条件である。条件(14)の上限を上回ったり、下限を下回ったりすると、コマ収差の補正が難しくなり、好ましくない。
【0043】
尚、条件(14)の下限を0.7とし、上限を1.3とすれば、更に良い結果が得られる。
【0044】
前記物体から前記第1レンズ群G1までの距離が変化するとき、前記第1レンズ群G1から前記第6レンズ群G6までのうち、少なくとも1つのレンズ群が光軸上に移動することが好ましい。この様な補正を行うことで、どの様な投影距離でも、良好な画像を得ることが出来るようになる。
【0045】
前記第1レンズ群G1は、前記物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLPM1と、前記物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLNM1と、を含み、前記正メニスカスレンズLPM1の前記物体側に近い面の曲率半径をr1Pとし、前記正メニスカスレンズLPM1の前記物体側から遠い面の曲率半径をr2Pとし、前記負メニスカスレンズLNM1の前記物体側に近い面の曲率半径をr1Nとし、前記負メニスカスレンズLNM1の前記物体側から遠い面の曲率半径をr2Nとするとき、以下の条件(15)及び(16)を満足することが好ましい。
【0046】
条件(15)及び(16)は、諸収差、特に、像面湾曲を良好に補正しながら適切な形状とするための条件である。条件(15)の上限を上回ったり、条件(16)の下限を下回ったりすると、諸収差を良好に補正することが困難になるため、好ましくない。また、条件(15)の下限を下回ったり、条件(16)の上限を上回ったりすると、製造が困難になるため、好ましくない。
【0047】
尚、条件(15)の下限を-0.5とし、上限を0.08とすれば、更に良い結果が得られる。また、条件(16)の下限を0.3とし、上限を0.9とすれば、更に良い結果が得られる。
【0048】
前記第6レンズ群G6は、前記物体側に凹面を向けた第2負メニスカスレンズLNM2を含み、該第2負メニスカスレンズLNM2の前記物体側に近い面の曲率半径をr3Nとし、前記第2負メニスカスレンズLNM2の前記物体側から遠い面の曲率半径をr4Nとするとき、以下の条件(17)を満足することが好ましい。
【0049】
条件(17)は、諸収差、特に像面湾曲を良好に補正しながら適切な形状とするための条件である。条件(17)の下限を下回ると、諸収差を良好に補正することが困難になるため、好ましくない。また、条件(17)の上限を上回ると、製造が困難になるため、好ましくない。
【0050】
尚、条件(17)の下限を-1.0とし、上限を-0.3とすれば、更に良い結果が得られる。
【0051】
前記第6レンズ群G6中の前記物体から最も離れたレンズ面から像面までの距離をLbfとしたとき、以下の条件(18)を満足することが好ましい。
【0052】
この条件(18)は、良好な投影レンズ全体の形状を決定する条件である。条件(18)の下限を下回ると、形状全体が大きくなり過ぎ、好ましくない。条件(18)の上限を上回ると、屈折力配置が偏るため、特に歪曲収差の補正が困難になり、好ましくない。条件(18)の下限を0.15とし、上限を0.8にすると更に良い結果が得られる。
【0053】
画角に関しては、半画角が15°以上、つまり、全画角が30°以上であることが好ましい。
【0054】
また、絞りSは、前記第3レンズ群G3と前記第4レンズ群G4との間に配置されることが好ましい。この様な構成とすることで、特に、歪曲収差の補正を容易にすることが出来る。
【0055】
以下の条件(19)及び(20)を満足することが好ましい。
【0056】
条件(19)及び(20)は、諸収差を良好に補正しつつ、更に色収差を良好に補正するための条件である。条件(19)の上限を上回ったり、条件(20)の上限を上回ると、レンズ全長が長くなり過ぎ、好ましくない。条件(19)の下限を下回ったり、条件(20)の下限を下回ると、特に色収差を含む諸収差を良好に補正することが難しくなるため、好ましくない。
【0057】
尚、条件(19)の下限を0.05とし、上限を0.40とすれば、更に良い結果が得られる。尚、条件(20)の下限を0.15とし、上限を0.40とすれば、更に良い結果が得られる。
【実施例
【0058】
以下に、各実施例を説明する。
【0059】
各実施例の広角レンズは、物体O側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、絞りSと、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5と、第6レンズ群G6とから構成されている。
【0060】
図1図3図5及び図7は、各実施例の断面図である。
【0061】
図2図4図6及び図8は、各実施例の諸収差図である。各収差を示す図は、左側から順に、(a)球面収差図、(b)非点収差図、(c)歪曲収差図である。
【0062】
球面収差図は、縦軸に相対的な入射高を示し、横軸に収差量を示している。図中、gはg線(波長436nm)を示し、FはF線(波長486nm)を示し、dはd線(波長588nm)を示し、CはC線(波長656nm)を示している。
【0063】
非点収差図は、縦軸に物体側からの主光線の入射角(半画角)を示し、横軸に収差量を示している。また、実線はメリディオナル像面Mを示し、点線はサジタル像面Sを示している。
【0064】
歪曲収差図は、縦軸に物体側からの主光線の入射角(半画角)を示し、横軸にパーセント表示の収差量を示している。
【0065】
また、各実施の基本データの表は、左側から順に、面番号、曲率半径r、面間隔d、d線屈折率nd、アッベ数νdを示している。
【0066】
各実施例の長さの単位はmm(ミリメートル)である。しかし、光学系は比例拡大または比例縮小しても同様の光学性能が得られるため、単位はmmに限られるものではない。
【0067】
(第1実施例)
第1実施例を、図1を参照しながら、説明する。
【0068】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、から構成される。第2レンズ群G2は、両凸レンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹レンズL31と、両凸レンズL32と両凹レンズL33との貼り合わせレンズと、両凸レンズL34と、から構成される。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41と、両凹レンズL42と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43との貼り合わせレンズと、から構成される。第5レンズ群G5は、両凸レンズL51から構成される。第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体O側に凹面を向けた負メニスカスレンズL61と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL62と、から構成される。
【0069】
物体から第1レンズ面までの距離は500.10であり、像高は33.5である。また、絞りSの直径は15.9である。
【0070】
(基本データ)
【0071】
(条件対応値)
L3=44.3、L4=37.4、f1=-150.48、f2=138.94、f3=117.09、f4=449.09、f5=64.53、f6=-66.94、fall=63.78、rc1=17.47、Lall=134.75、φ1=55.37、φ2=36.57、Lbf=32.19、n3=1.88300、n4=1.48749、
(L3+L4)/Lall=0.606、L3/Lall=0.329、L4/Lall=0.278、|n1-n2|=0.0411、ν1-ν2=2.68、|rc1/f2|=0.126、φ1/Lall=0.411、φ2/Lall=0.271、fall/f1=-0.424、fall/f2=0.459、fall/f3=0.545、fall/f4=0.142、fall/f5=0.988、fall/f6=-0.953、(r1P-r2P)/(r1P+r2P)=-0.148、(r1N-r2N)/(r1N+r2N)=0.750、(r3N-r4N)/(r3N+r4N)=-0.836、Lbf/fall=0.505、
【0072】
尚、上記n1、n2、ν1、ν2及びrc1は、第4レンズ群G4中の貼り合わせ負レンズLNのデータを採用したが、第3レンズ群G3中にも貼り合わせ負レンズがある。第3レンズ群G3中の貼り合わせ負レンズのデータを採用した場合は、|n1-n2|=0.0179、ν1-ν2=5.03、|rc1/f2|=0.229となる。
【0073】
図2に示す通り、本実施例の投影レンズは、諸収差が良好に補正されている。特に、非点収差図で、各波長の収差曲線の形状が酷似している。
【0074】
(第2実施例)
第2実施例を、図3を参照しながら、説明する。
【0075】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、から構成される。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ31と両凹レンズL32との貼り合わせレンズと、両凸レンズL33と、から構成される。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41と、両凹レンズL42と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43との貼り合わせレンズと、から構成される。第5レンズ群G5は、両凸レンズL51から構成される。第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL61と、両凸レンズL62と、から構成される。
【0076】
物体から第1レンズ面までの距離は、778.44であり、像高は33.5である。また、絞りSの直径は13.5である。
【0077】
(基本データ)
【0078】
(条件対応値)
L3=19.6、L4=31.2、f1=-213.92、f2=112.39、f3=846.09、f4=158.21、f5=61.83、f6=-61.59、fall=68.45、rc1=37.27、Lall=144.8、φ1=66.50、φ2=47.68、Lbf=20.08、n3=1.88300、n4=1.51600、
(L3+L4)/Lall=0.351、L3/Lall=0.135、L4/Lall=0.216、|n1-n2|=0.00047、ν1-ν2=7.32、|rc1/f2|=0.332、φ1/Lall=0.459、φ2/Lall=0.329、fall/f1=-0.320、fall/f2=0.609、fall/f3=0.081、fall/f4=0.433、fall/f5=1.107、fall/f6=-1.111、(r1P-r2P)/(r1P+r2P)=-0.236、(r1N-r2N)/(r1N+r2N)=0.572、(r3N-r4N)/(r3N+r4N)=-0.767、Lbf/fall=0.293、
【0079】
尚、上記n1、n2、ν1、ν2及びrc1は、第4レンズ群G4中の貼り合わせ負レンズLNのデータを採用したが、第3レンズ群G3中にも貼り合わせ負レンズがある。第3レンズ群G3中の貼り合わせ負レンズのデータを採用した場合は、|n1-n2|=0.0179、ν1-ν2=5.03、|rc1/f2|=0.241となる。
【0080】
図4に示す通り、本実施例の投影レンズは、諸収差が良好に補正されている。特に、非点収差図で、各波長の収差曲線の形状が酷似している。
【0081】
(第3実施例)
第3実施例を、図5を参照しながら、説明する。
【0082】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、から構成される。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズ31と両凹レンズL32との貼り合わせレンズと、両凸レンズL33と、から構成される。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41と、両凹レンズL42と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43との貼り合わせレンズと、から構成される。第5レンズ群G5は、両凸レンズL51から構成される。第6レンズ群G6は、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL61から構成される。
【0083】
物体から第1レンズ面までの距離は、941.13であり、像高は33.5である。また、絞りSの直径は15.6である。
【0084】
(基本データ)
【0085】
(条件対応値)
L3=28.1、L4=41.9、f1=-262.40、f2=123.32、f3=537.39、f4=202.23、f5=69.13、f6=-73.56、fall=76.74、rc1=24.33、Lall=137.2、φ1=60.73、φ2=37.83、Lbf=32.94、n3=1.83481、n4=1.51742、
(L3+L4)/Lall=0.510、L3/Lall=0.205、L4/Lall=0.305、|n1-n2|=0.0563、ν1-ν2=1.66、|rc1/f2|=0.197、φ1/Lall=0.443、φ2/Lall=0.276、fall/f1=-0.291、fall/f2=0.622、fall/f3=0.143、fall/f4=0.380、fall/f5=1.110、fall/f6=-1.043、(r1P-r2P)/(r1P+r2P)=-0.336、(r1N-r2N)/(r1N+r2N)=0.684、(r3N-r4N)/(r3N+r4N)=-0.668、Lbf/fall=0.429、
【0086】
尚、上記n1、n2、ν1、ν2及びrc1は、第4レンズ群G4中の貼り合わせ負レンズLNのデータを採用したが、第3レンズ群G3中にも貼り合わせ負レンズがある。第3レンズ群G3中の貼り合わせ負レンズのデータを採用した場合は、|n1-n2|=0.0179、ν1-ν2=5.03、|rc1/f2|=0.194となる。
【0087】
図6に示す通り、本実施例の投影レンズは、諸収差が良好に補正されている。特に、非点収差図で、各波長の収差曲線の形状が酷似している。
【0088】
(第4実施例)
第4実施例を、図7を参照しながら、説明する。
【0089】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、から構成される。第2レンズ群G2は、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21から構成される。第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凹レンズL31と、両凸レンズL32と、から構成される。第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズL41と、両凹レンズL42と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL43との貼り合わせレンズと、から構成される。第5レンズ群G5は、両凸レンズL51から構成される。第6レンズ群G6は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL61と、両凸レンズL62と、から構成される。
【0090】
物体から第1レンズ面までの距離は、803.44であり、像高は33.5である。また、絞りSの直径は15.1である。
【0091】
(基本データ)
【0092】
(条件対応値)
L3=10.5、L4=33.1、f1=-174.77、f2=112.30、f3=414.85、f4=290.36、f5=70.22、f6=-77.68、fall=67.17、rc1=25.65、Lall=131.7、φ1=59.84、φ2=44.63、Lbf=27.42、n3=1.88300、n4=1.51860、
(L3+L4)/Lall=0.331、L3/Lall=0.080、L4/Lall=0.251、|n1-n2|=0.00047、ν1-ν2=7.32、|rc1/Lall|=0.195、φ1/Lall=0.454、φ2/Lall=0.339、fall/f1=-0.384、fall/f2=0.598、fall/f3=0.162、fall/f4=0.231、fall/f5=0.957、fall/f6=-0.865、(r1P-r2P)/(r1P+r2P)=-0.260、(r1N-r2N)/(r1N+r2N)=0.544、(r3N-r4N)/(r3N+r4N)=-0.544、Lbf/fall=0.408、
【0093】
図8に示す通り、本実施例の投影レンズは、諸収差が良好に補正されている。特に、非点収差図で、各波長の収差曲線の形状が酷似している。
【符号の説明】
【0094】
G1:第1レンズ群
G2:第2レンズ群
G3:第3レンズ群
G4:第4レンズ群
G5:第5レンズ群
G6:第6レンズ群
S :絞り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8