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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】主に接続要素としてのホース末端部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/22 20060101AFI20231201BHJP
   F16L 27/12 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
F16L33/22
F16L27/12 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019567311
(86)(22)【出願日】2018-06-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 IB2018054185
(87)【国際公開番号】W WO2018225044
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】PUV50056-2017
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SK
(31)【優先権主張番号】PUV50058-2018
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SK
(73)【特許権者】
【識別番号】519429163
【氏名又は名称】ビージェイブイ リサーチ エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】マーティアース、ティボル
(72)【発明者】
【氏名】ヤシュ、ブランコ
(72)【発明者】
【氏名】トマシュ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ココシュ、バレル
(72)【発明者】
【氏名】バトー、ガーボル ヤーノス
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-101219(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189765(US,A1)
【文献】特開平05-018485(JP,A)
【文献】実開昭57-103321(JP,U)
【文献】実開昭51-082015(JP,U)
【文献】実開昭48-039515(JP,U)
【文献】実開平07-006592(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/00-27/12
F16L 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続要素としてのホース用末端部材であって、前記末端部材は、本体(3)と、前記本体(3)に接続されたマウスピース(1)とを備え、前記マウスピース(1)は、ホースの端部を押しかぶせることができるように設計され、前記マウスピース(1)は、その外側端部に、前記マウスピース(1)に前記ホースを保持するように設計された肉厚部(2)を有し、前記末端部材は、前記マウスピース(1)の軸上に配置された前記ホースに対する開口部を有する周上ストッパ(4)を有し、前記マウスピース(1)は、前記ホースを取り付けるためのくびれ部(8)を有し、前記くびれ部(8)は前記肉厚部(2)の後ろに続いている、接続要素としてのホース用末端部材において、
前記マウスピース(1)は、前記マウスピース(1)が前記ストッパ(4)に対して自由に動くことを達成するために、摺動可能に前記本体(3)の内部に配置され、
前記ストッパ(4)は、前記本体(3)に接続され、前記ストッパ(4)は、その円周上に接触面を有し、前記接触面は、内部に向けられ前記マウスピース(1)の前記肉厚部(2)に対面し、
前記肉厚部(2)の外径は、前記ストッパ(4)の内径よりも大きい、または前記肉厚部(2)の前記外径と前記ストッパ(4)の前記内径との差は、前記ホースの壁の厚みの2倍よりも小さく、ホースは前記末端部材を取り付ける対象であり、
前記マウスピース(1)は、可撓性ベローズを介して前記本体(3)に接続される
ことを特徴とする接続要素としてのホース用末端部材。
【請求項2】
前記マウスピース(1)は、前記本体(3)の円筒形の前記空洞に配置され、前記マウスピース(1)の軸、前記本体(3)の軸および前記開口部を有する前記ストッパ(4)の軸は同じである
請求項1に記載の接続要素としてのホース用末端部材。
【請求項3】
前記ストッパ(4)は、少なくとも2つのドローロッドを介して前記本体(3)に接続される
請求項1に記載の接続要素としてのホース用末端部材。
【請求項4】
前記マウスピース(1)は、円筒形または楕円形または平坦な断面、または角が丸い矩形または多角形の断面を有する
請求項1ないし3のいずれかに記載の接続要素としてのホース用末端部材。
【請求項5】
前記本体(3)は、配管システムの一部になるように適応している
請求項1ないし4のいずれかに記載の接続要素としてのホース用末端部材。
【請求項6】
前記本体(3)はプラスチックであり、
前記マウスピース(1)は、プラスチックまたは金属である
請求項1ないし5のいずれかに記載の接続要素としてのホース用末端部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術的解決策は、ホースまたは可撓性導管の末端部材に関する。本末端部材は、主に、ホースの端部と、接続要素、端部ブラインド材、フランジ接続材、構造体などの一部であり得る他の要素との継手(接続)部を作り出すように設計されている。
【背景技術】
【0002】
可撓性ホースの端部を固体接続要素と接続するために様々な技術的解決策が用いられており、ホースはマウスピースに付けられ、様々な機械的接続部材で保持される。ホースクリップは、金属製の引っ張りストラップのような一般的なもので、これによってホースはマウスピースに固定される。
【0003】
円錐面を有する外スリーブ(ソケット)を用いる解決策があり、このスリーブは、ねじ締めする過程で末端部材の周囲に点在するセグメントを押しつけ、これらのセグメントがホースの末端部材をマウスピースに押しつけるようになっている。このような解決策は、比較的簡易だが、信頼性が十分ではない。というのも、高い圧力がかかる過程でホースをマウスピースに保持することには問題があり、小さいセグメントは破損しやすいからである。同様に、日本国特許第2016044763号公報(特許文献1)による解決策は、マウスピースの肉厚部を利用するもので、ホースは、ねじスリーブによってこの部分に押しつけられる。この解決策は、比較的難しく、ホースの取り付けには常にねじ込みが必要になる。
【0004】
米国公開特許第2012/0274064A1号(特許文献2)は、端部に肉厚部がある堅固なマウスピースを有し、ホース本体の空洞に入る摺動式スリーブを有するホースの末端部材を開示している(主に図17を参照)。スリーブは、摺動しながらマウスピース上のホースを取り囲む。十分な圧力を生成するため、スリーブの外側を押圧する必要がある。その際、ホース内の圧力は、ホースをマウスピースから引っ張ると同時にスリーブとの接続部から引っ張る方向に作用する。スリーブが分離する可能性が別の欠点である。スリーブは、取り付け過程または動作過程で紛失するおそれがある。スリーブは、末端部材の本体の空洞内部で比較的正確な案内を必要とする。
【0005】
英国公報第2251044A号(特許文献3)は、分割したマウスピースを有する構成を開示しており、このマウスピースは、末端部材の本体の一部として製造された堅固な部分と、マウスピースの堅固な部分の中に配置される摺動式部分とを有する。肉厚部は、比較的似ている2つの部分に分割され、マウスピースの堅固な部分およびマウスピースの摺動式部分にも作られている。ホースは、肉厚部を超えてマウスピースの堅固な部分まで伸ばされて引っ張られる。マウスピースの摺動式部分の肉厚部に対して作用するストッパは、スリーブに作られ、ねじ山を介して末端部材の本体に接続される。このような解決策は、多数の部品を必要とし、ホースはマウスピースの堅固な部分に不適切に接続され、ホース内の圧力によって、同じ力でマウスピースがそれ以上ストッパを押圧することなくホースがマウスピースの堅固な部分から抜け出る。ストッパと肉厚部との間にホースを把持することは、スリーブとストッパを末端部材の本体にねじ締めすることによってのみ起こり、これは後で緩むおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国特許第2016044763号公報
【文献】米国公開特許第2012/0274064A1号
【文献】英国公報第2251044A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
道具なしで末端部材をホースに迅速に取り付けることができ、動作中の信頼性が高く、製造しやすいというような単純な技術的解決策が望まれており、これは知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
先行技術の欠点は、主に接続要素としてのホースの末端部材によって著しく改善され、本末端部材は、開口部を有する本体と、本体に接続されたマウスピースとを備え、マウスピースは、ホースの末端部材に摺動されるか押し込められるよう設計され、マウスピースは、外側端部に、本技術的解決策によるマウスピースにホースを保持するように設計された肉厚部を有し、本技術的解決策の本質は、マウスピースが摺動可能に本体の内部に配置され、末端部材がホースに対する開口部を有する周上ストッパを有し、ホースがマウスピースの軸上に配置されることにある。ストッパは、本体に接続され、ストッパは、円周に沿って接触面を有し、この面は本体内部に向けられマウスピースの肉厚部に対面している。マウスピースは、本体に対してシールされる。このシーリングは、マウスピースを摺動可能に本体内部に配置するのを妨げるものではない。通常、マウスピースは、本体の軸上に配置される。周上ストッパの場所にある開口部の直径は、通常ホースの外径と一致する。あるいは、場合によっては、ホースの挿入、摺動がしやすいようにいくらかの間隙がある。外側から、つまり周上ストッパの反対側から、円錐部が開口部の後ろに続いていてよく、これによってホースを開口部の中に誘導しやすくなる。
【0009】
ホースの外面が十分になめらかであれば、マウスピースを末端部材の本体に対してシールする必要はない。周上ストッパとホースの外面との接触部は、シーリングの場所になる。マウスピースの中にシーリング領域を設けることで信頼性がより高くなるが、これが摺動を妨げることはなく、これによってマウスピースを末端部材の本体からシールする。
【0010】
摺動可能に配置することで、マウスピースを本体内部でストッパの方へ動かし、末端部材の本体内部で摺動させて戻すことができる。一方の側では、末端部材の境界は、内部から本体の開口部に挿入されているマウスピースを有する本体とすることができ、もう一方の端部では、末端部材の境界はストッパとすることができる。ストッパは、末端部材の大きさおよび断面形状に応じて様々な方法で末端部材の本体に接続され得る。末端部材が円形の断面を有する場合、これはホースの断面が円形である場合に一般的なことだが、ストッパが末端部材の本体の延長部である円周壁の端部に作られることが好ましい。このような場合、ストッパを含む円周壁は空洞を生み出し、この空洞の中にマウスピースがあり、円周壁とマウスピースとの間には間隙があり、その厚みは、少なくともホースの壁の厚みに一致している。このように、空洞によってホースをマウスピース上で動かすことが可能になる。そのため、本体の空洞は、ホースを空洞内部に導入してマウスピースにかぶさるように設計される。このような構成では、ストッパ、円周壁および末端部材の本体も、単一の本体で形成することができ、それによって独立部品が2つしかない単純な構造が達成される。
【0011】
別の構成では、ストッパは、2つまたは複数のドローロッドを介して末端部材の本体に接続され得る。ストッパと本体との接続部では、力をストッパから末端部材の本体へ伝達することが可能でなければならない。マウスピースが末端部材の本体から動く過程でマウスピースを捕捉することがストッパの役割である。ストッパと末端部材の本体との間、例えば円周壁との間を機械的に接続する、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのコード、ドローロッドなどがこの役割に相当する。
【0012】
ホースがマウスピースに取り付けられていれば、ストッパはマウスピースが本体の空洞から摺動して出ないようにする。ホースがマウスピースの肉厚部にかぶさって取り付けられる変形箇所では、ホースの直径は周上ストッパの内径よりも大きい。ホースをマウスピースに取り付けた後、マウスピースと周上ストッパとの対は、自己ロックする継手となり、媒体の圧力増大となり、引っ張る力が大きくなると、ロック(把持)力が大きくなる。ストッパの接触面の内径とマウスピースの肉厚部の外面との差は、ホースの壁の厚みの2倍未満のため、ホースの面を捕捉するのは周上ストッパで起こる。
【0013】
マウスピースは、一方の端部に肉厚部を有する。この肉厚部は、外側を向いた、つまりホースと接続する方を向いた端部にある。マウスピースは、ホースの端部と密接するように設計されるくびれ部を有する。くびれ部の直径は、肉厚部の直径よりも小さい。通常、くびれ部の直径は、ホースの内径と一致する。例えばホース内の媒体の圧力によって引き起こされて、または外力によって引き起こされて引っ張られる過程では、これらの力は、くびれ部に取り付けられたホースからマウスピースへと伝達され、これによってマウスピースは、本体からストッパの方へ引っ張られる。
【0014】
マウスピースのくびれ部の後ろにはマウスピースのシーリング領域が続いている。この領域の役割は、マウスピースを摺動可能に末端部材の本体に当接させて配置してシールすることである。マウスピースのシーリング領域は、一群の実施形態では、くびれ部の延長部に、同じ直径または肉厚部の直径よりも小さい直径で形成され得る。このような場合、マウスピースは、肉厚部の場所で直径が最大であり、同時に肉厚部の直径は、周上ストッパの開口部の直径以下である。これによってマウスピースを周上ストッパの開口部を通して摺動させて本体に取り付けることができる。このような場合の末端部材の本体は、周上ストッパに対面する側に取付部(またはフランジ)を有していてよく、この取付部は、本体内部でのマウスピースの極端の位置を定める。
【0015】
別の群の実施形態では、マウスピースを、本体の別の側から挿入するものとみなすことができる。このような場合、肉厚部は、外径が周上ストッパの開口部の内径よりも大きくてよい。マウスピースのシーリング領域は、この構成では、外径が肉厚部の外径と同じまたは外径よりも大きい。シーリング領域の外径の方が大きいことで、マウスピースを周上ストッパに押し付ける力がより大きくなる。これによって水圧の力が数倍になる。シーリング領域の断面で圧力によって媒体が作用する面は、直径が大きくなると二次的に大きくなる。シーリング領域でマウスピースの直径が2倍になると、マウスピースが周上ストッパに押し付けられる力は4倍に増大する。あまり可撓性ではないホースであっても信頼性の高いシーリングを達成するためにこの作用を利用できる。
【0016】
第2の群の実施形態では、マウスピースの本体の周上ストッパに対面する側に、肉厚部の外径よりも大きい開口部がなくてはならない。通常この開口部は、マウスピースのシーリング領域の外径よりも大きい。本体のこのような形状は、例えば水バルブに接続するように設計されているより大きな末端部材に使用されることが好ましく、この場合、末端部材の本体の端部には、対応する構造体または装着品に接続するための内ねじがある。
【0017】
本明細書での「マウスピース」という用語は、主に円筒形断面の導管を指し、この導管にホースの末端部材が取り付けられる、または装着される。マウスピースは、様々に異なる断面を有することができ、例えば楕円形、平坦または角が丸い矩形であってよい。マウスピースの肉厚部は、導管の端部の直径を拡大したものであり、例えば円錐形状であってよく、円錐形状は、ホースが引っ張りテープまたは固定具を用いてマウスピースに固定される場合に一般的で、通常、複数の円錐形肉厚部が1つずつ順に配置され、最後には直径が急激に小さくなってマウスピースのくびれ部の直径になる。「外側端部」または「外側」とは、末端部材に接続されるホースの端部側の端部または側である。「ホース」という用語は、それを構成している素材に関係なく任意の導管要素を指し、肉厚部を有するマウスピースに装着できるプラスチック製、ゴム製、またはその他の導管であってよい。
【0018】
提供する技術的解決策の重大な特徴は、末端部材の本体内にあるマウスピースが、末端部材の本体に対して部分的に動けるように配置されるという点である。マウスピースの動きまたは摺動の限界点がストッパによって定められることが好ましいであろう。摺動は約数ミリメートルで十分である。一方の側では、マウスピースのひだは、末端部材の本体の開口部を徐々に変化させることによって制限され得る。
【0019】
ホースの端部は、末端部材の内部に挿入され、マウスピースの端部は、周上ストッパの中央開口部を通って誘導される。マウスピースの端部は、ホースの端部を少なくともマウスピースの始まりまで誘導できる直径を有する。さらに圧力がホースの端部を動かして肉厚部を通過させる。ホースをこのように案内する過程で、マウスピースは末端部材の本体の方へ動き、マウスピースの前面は、末端部材の本体の開口部内部にある取付部(フランジ)に密接する。ホースの端部は、可撓性であることにより肉厚部のある領域を通過し、通常は、マウスピースのくびれ部に押し付けられ、末端部材の本体の方へ向かう。ホースは、ここでマウスピースに取り付けられるが、ホースの素材の可撓性は別として、ホースにはマウスピースにロックするまたは把持する手段が他にない。ホース内に何らかの圧力がかかると、マウスピースは末端部材の本体の外側へ押される。この動きで、ホースがマウスピースの肉厚部を取り囲んでいる場所の接触面を押圧する状態が生じる。マウスピースが外向きに動くことによって、ストッパの接触面と肉厚部のある領域でのホースの外面とが接近し、接触面の直径と肉厚部の直径との差は、ホースの壁厚の2倍未満になるため、ホースは、接触面と肉厚部との間の圧力によってマウスピース上に維持される。マウスピースを本体の開口部で動かすのに必要な力は、ホースをマウスピースから引き離すのに必要な力よりも小さくなければならず、これは単純に肉厚部の寸法およびマウスピースの長さによって実現される。このような構成でのホース内の過剰圧力は、主にマウスピースをストッパへ摺動させる作用をし、それによって肉厚部の場所でホースからマウスピースへの圧力が生じる。
【0020】
ストッパの面とマウスピースとの間でホースをロックすることで、―ホースをマウスピースに機械的にロックする場合を除いて―ホースをマウスピースに締め付け、シールすることが確実にでき、あるいはホースとマウスピースとの間にシーリング材を挿入できる。
【0021】
マウスピースは、マウスピースのシーリング領域に取り付けられるシールリングリング(ガスケット)によって末端部材の本体に対してシールされ得る。シールリングリングは、その外径が円周壁の内側または末端部材の本体の開口部に密接し得る。このシールリングリングは、ホースがマウスピースに取り付けられていない場合に、マウスピースが本体から出る動きに対してストッパとしても機能できる。ホースを取り付けた後は、マウスピースを周上ストッパに沿って動かすことは不可能である。
【0022】
肉厚部は、様々な形状であってよく、円錐形であることが好ましく、それによってホースの端部はマウスピースにかぶさるように誘導される。また、ストッパの接触面は、マウスピースの肉厚部の円錐形状と一致する円錐形状であることが好ましい。これによって2つの平行な円錐面ができ、両面の間にホースの素材が把持される。肉厚部は、マウスピースの射出成形過程で作製でき、あるいは、マウスピースが金属の場合、肉厚部は、マウスピースの端部を形作って回転させることで作製できる。
【0023】
第1の群の実施形態の好適な構成では、末端部材の本体は円筒形状である。ホースを挿入するように設計された側では、末端部材は、末端部材の空洞へ通じる中央開口部を有する。本体の軸には、円筒形のマウスピースが配置され、マウスピースは摺動して末端部材の本体の開口部に誘導される。この開口部は、マウスピースの肉厚部とストッパの接触面との間に間隙ができる位置で、マウスピースの内前面が末端部材の本体の開口部にある取付部に密接するように徐々に変化し、この間隙は少なくともホースの壁の厚みと一致する。ホースをマウスピースに押しかぶせる過程で、ストッパの接触面およびホースの外面に作用する大きな力はなく、それによってホースがマウスピース上で摺動するのを防止できる。マウスピースの本体の空洞は、ホースの端部を肉厚部を通ってマウスピースに柔軟に押しかぶせられる寸法および形状である。マウスピースがホースの本体の中に押し込まれるときの位置にある肉厚部の場所での空洞の内径は、肉厚部の直径とホースの壁の厚みの2倍との和よりも大きい。
【0024】
第2の群の実施形態の場合、ホースの端部をまずマウスピースなしで末端部材の本体に装着し、その後、ホースをマウスピースに装着することが好ましいであろう。この段階でホースをマウスピースに取り付けると本体の内部に隠れないため、装着するのが簡単になる。続いて本体は、マウスピースに向かってホース上を移動し、ホースを装着したマウスピースは本体の中に押し込まれる。第2の群の実施形態の利点は、末端部材が小型で短い構造になることであり、これによって直径の大きいねじ山、例えば水の出口または灌漑バルブに接続することが可能になる。適切な直径を有する末端部材の内ねじ山の後ろには、マウスピースのシーリング領域がある本体の空洞が続く。本体は、直径が徐々に変化する効果的な形状になっており、比較的簡易な型を用いる射出成形によって生産的に製造できるものである。マウスピースにも本体にも、成形を複雑にする小さい突起部分または可撓性要素はない。
【0025】
一方の側では、ホースは末端部材の本体に入り、別の側では、末端部材は様々な接続形状をとることができるか、あるいは末端部材でホースを閉じる必要がある場合はブラインドにできる。末端部材の別の側は、別の要素と接続するためのねじ山および/またはシーリング材を備えていてよく、かつ/またはフランジを備えていてよく、または全体を形成する別の部品の一部として続いていてよい。末端部材は、主に例えば他の上位部品の一部になる場合は、外形が必ずしも円筒形である必要はない。肝心なことは、マウスピースは摺動可能にマウスピースの肉厚部に当接して配置され、ホースの外部かつ末端部材の内部に作られ向けられたストッパの接触面があるということである。つまり、ストッパの力作用は、取り付けた(装着した)ホースがマウスピースから引き離されるのに反する作用をする。末端部材の別の側では、摺動可能のマウスピースを有する同様の構成が続いていてもよく、この場合、末端部材は2つのホースを接続する接続要素を形成する。
【0026】
円筒形のマウスピースは、末端部材の本体内部に摺動して挿入される。摺動を可能にするため、異なる構成のマウスピースは、可撓性部材、例えばベローズ、蛇腹の継手を介して末端部材の本体に接続されてよい。このような解決策により、末端部材の本体を例えば射出成形によってマウスピースと一緒に製造できる。
【0027】
提供する技術的解決策の利点は、部品数が少ない簡易な構造で、主に、道具なしでホースを末端部材に簡単かつきわめて迅速に取り付ける点であり、末端部材の空洞内で、または別々に、ホースの端部をマウスピースに押し付ければ十分である。ホース内の圧力が増すとホースからマウスピースへの圧力が増し、それによって継手のシーリング効果が増すため、製造される継手は極めて信頼性が高い。この継手は、ホースの素材劣化に対抗する弾力性もあるが、それまでは後で末端部材のねじを締め付ける必要があった。提供する技術的解決策は、末端部材が例えば車両のエンジン空間で振動に暴露されるという用途であっても、ホースとマウスピースとの境界を一続きにしてその接続部を締め付ける。別の利点は、ホースの断面の形状が自由なことである。本解決策は、ねじ取付部(ソケット)の場合のような円筒形の断面に限定されない。本解決策は、矩形形状のホースの場合であっても使用でき、ホースからマウスピースへの圧力は、それでも円周沿いになり、輪郭の角で制限されない。
【0028】
本技術的解決策を適切に設計することで、ホースを末端部材に対して自由回転させることも達成できる。媒体の圧力がないとすると、ホースは、マウスピースと一緒に末端部材の本体内で自由に回転できる。このような解決策は、末端部材を介してホースを接続する対象の要素に対してホースの一定の相対運動があるという多くの技術的用途の場合に好ましいものである。
【0029】
両主要部品―本体およびマウスピース―は、公知の解決策の事例ではホースをマウスピースへ押し付ける手段となっている壊れやすい突起部および可撓性薄片のない堅固な形態である。これにより本解決策は、小型であり、粗雑で軽率に使用されても耐久性がある。
【0030】
提供する解決策の別の利点は、ホースと末端部材との接続部を分離不能にするという選択肢である。ホースをマウスピースから摺動させて引っ張ると、マウスピース内でホースにさらに強いロックがかかるが、これはマウスピースがホースの本体内部を向いているストッパに保持されている場合のみである。例えば単純な道具を用いることで、ホースを簡単に引き抜くことが可能である。
【0031】
本技術的解決策は、図1図8を用いてさらに開示される。図面に用いた尺度および個々の要素の大きさの比率、例えばマウスピースと末端部材の本体との大きさの比率は、実施例における説明と一致している必要はなく、これらの尺度および大きさの比率は、保護範囲を限定するものとは解釈できない。
【0032】
図1図4は、第1の群の実施形態の末端部材を描いており、マウスピースは、周上ストッパの開口部を通って本体に挿入される。
図6図8は、第2の群の実施形態からの末端部材を描いており、マウスピースは、本体がホース用開口部を含む周上ストッパを有する場合とは反対側から本体に押し込められる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ホースを末端部材の開口部に挿入する過程の末端部材の説明図であり、ホースがマウスピースに誘導され、矢印は、ホースをマウスピースに押しかぶせる方向を指している。
図2】ホースをマウスピースに押しかぶせる様子を描いており、ホースが本体の開口部にあるストッパに密接している説明図
図3】末端部材とホースとを接続する動作面の図であり、ホースがストッパとマウスピースの肉厚部との間に把持されている説明図であり、矢印は、ホースが付いたマウスピースを周上ストッパに押し付ける力の方向を指している。
図4】マウスピースの個々の部分を描いた説明図であり、くびれ部が徐々にシーリング領域に移る。
図5】可撓性ベローズを用いてマウスピースを末端部材の本体に接続する解決策を描いた説明図であり、ベローズのひだは、明瞭にするために拡大されている。実際にはベローズはこれとは異なる形状および大きさであってよい。
図6】ホースをマウスピースに装着する過程のホースを描いた説明図であり、矢印は、マウスピースがホースの内部に入る方向を示している。
図7】ホースを取り付けた末端部材が作動状態にある様子を描いた説明図
図8】第2の群の実施形態からマウスピースの個々の部分を描いた説明図であり、マウスピースのシーリング領域は、外径がくびれ部および肉厚部よりも大きい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施例1
図1図4に準拠するこの実施例では、末端部材は、水を放流するホースに接続される。末端部材は、プラスチックから製造された本体3を有し、この本体は、構造体と接続するように設計されている。末端部材は、マウスピース1の円錐面5と対面する向きになっている内円錐面6を含むストッパ4を有する。マウスピース1は、末端部材の空洞内に配置され、摺動して本体3内に誘導され、シールリングリング7によって本体3に対してシールされる。マウスピース1には、肉厚部2がある。マウスピース1のさらにその先には、直径がホースの内径と一致するくびれ部8が続いている。シーリング領域9は、くびれ部8の後ろに続いている。この実施例でのマウスピース1は、周上ストッパ4の開口部を通って本体3の内部に挿入される。肉厚部2の外径は、周上ストッパ4の開口部の内径よりも小さいと同時に、ストッパ4の直径と肉厚部2の内径との差は、ホースの壁の厚みの2倍未満である。
【0035】
ホースは、末端部材の開口部に挿入され、圧力によってマウスピース1に押しかぶせられる。それによってマウスピース1は、本体3の中に押し込められる。その後にホースを引っ張ることで、あるいはホース内部の媒体の過剰圧力による作用で、マウスピース1が取り付けたホースとともに本体3の外部に動こうとする。肉厚部2の領域で変形したホースは、直径がストッパ4の開口部よりも大きく、本体3からマウスピース1を押し出そうとするとストッパ4で停止する。ストッパ4の円錐面6およびマウスピース1の円錐面5はホースを保持し、それによってホースをマウスピース1に密着させる。
【0036】
ホース内の圧力を解放したあと、マウスピース1を再び末端部材の本体3の中に動かすことができる。ホースがマウスピース1とともに動く目に見える間隔は、接合部の締め付けには影響しない。
【0037】
この実施例では、末端部材の空洞内に作られた内円錐面がある。第1の円錐面は、マウスピース1に押しかぶせる過程でホースを誘導する。第2の円錐面は、シールリングリング7に対する補助材となり、マウスピース1を引っ張る過程でシールリングリングが動く行程の境界を定める。
【0038】
この実施例では、円周壁およびストッパ4を有する本体3は、プラスチックから単一部品としてプレスされる。末端部材の他の独立した部品は、プラスチックのマウスピース1である。シールリングリング7は、ホースを取り付けていない状態でマウスピース1を本体3内に保持する。ホースを取り付けた後、マウスピース1を末端部材から引き抜くことはできない。
【0039】
実施例2
図5に準拠するこの実施例での末端部材は、エンジンの吸気管の一部を形成している。マウスピース1および本体3は、プラスチックから一体品として製造される。マウスピース1が本体3に対して動けるように、マウスピース1は、可撓性ベローズ、いわゆる蛇腹を介して本体3と接続される。ホースは、断面がほぼ矩形で角が丸いマウスピース1に取り付けられる。ホースの付いたマウスピース1を逆に動かすことで、ホースをストッパ4でロックする。この実施例でのストッパ4は、ホースの輪郭およびマウスピース1の輪郭と一致する開口部を有するリング形状であり、4つのドローロッドによって本体3に接続される。ドローロッドは、有利には、ホースを本体3の中に半固定状態で固定し、それによってベローズは予圧を起こし、この予圧でストッパ4のホースへの圧力を維持し、吸気管内が低圧であっても継手の締め付けを確保する。
【0040】
実施例3
図6図8に準拠するこの例では、末端部材は、ホースと水バルブとの接続用に設計されている。末端部材は、本体3を水バルブの外ねじに簡単にねじ締めするために外周に溝を有するプラスチックの本体3を有する。平坦な環状シール(シーリング)10は、本体3の取付部に密接し、末端部材を水バルブに対してシールするために使用される。
【0041】
本体3は、一方の端部に周上ストッパ4を有し、ストッパ4は、マウスピース1の肉厚部2に対面して向けられている。マウスピース1は、水バルブに接続するためのねじ山を有する側から本体3の内部に挿入される。マウスピース1は、円錐面5を含む肉厚部2を有し、また、くびれ部8も有し、くびれ部の後ろにはシーリング領域9が続いている。この実施例でのシーリング領域9は、直径が肉厚部2の外径よりも大きいディスクを有する。ディスクには溝があり、この溝の中にシーリングリング7がある。マウスピース1は、末端部材の空洞内に配置される。マウスピースは、摺動して本体3内に誘導され、シールリングリング7を介して本体3に対してシールされる。ディスクは、本体3の筒状の空洞内に摺動して誘導される。
【0042】
ホースは、最初にマウスピース1なしで本体3に取り付けられる。その後、ホースの端部はマウスピース1に装着される。ホースの端部は、シーリング領域9にあるディスクに向かって肉厚部2およびくびれ部8に装着される。本体は、ホースの端部まで動かされ、ホースの端部はマウスピース1と一緒に本体3の中に押し込められる。シーリング材10を含む本体3は、水バルブの出口に接続される。水圧はマウスピース1をストッパ4に対して押し付け、ストッパは、肉厚部2の場所でホースの表面を押圧する。解放後、継手および末端部材は、取り外しが容易で、直径および壁の厚みがほぼ同じである他のホースに繰り返し使用できる。
【0043】
ホースを外側に引っ張ると、例えばホースを手動で引っ張る過程では、マウスピース1が取り付けたホースとともに本体3の外部へ動く方向に作用する。肉厚部2の領域にあるホースは、直径がストッパ4の開口部よりも大きく、マウスピース1を本体3から引き抜こうとするとストッパ4で停止する。
【0044】
この実施例では、溝は、周上ストッパ4の開口部の内径に設けられ、「O」リングが溝の中に挿入され、それによってリングはホースを保持し、ホースをマウスピース1とともに本体3に対して回転させる。
【0045】
本体3は、プラスチックから単一部品としてプレスされる。マウスピース1は、他の部品としてプレスされる。両主要部品は、先行技術で公知のもののように壊れやすい突起部および可撓性の薄片のない堅固な形態である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本技術的解決策の産業上の利用可能性は自明である。本技術的解決策によれば、ホースの本末端部材を産業界で繰り返し製造し、産業または車両、農業および家庭での空気、水またはその他の液体の放出などの様々な用途に使用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 マウスピース
2 肉厚部
3 本体
4 ストッパ
5 マウスピースの円錐面
6 ストッパの円錐面
7 シールリングリング
8 マウスピースのくびれ部
9 シーリング領域
10 シール/シーリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8