IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社丸島アクアシステムの特許一覧

<>
  • 特許-除塵装置 図1
  • 特許-除塵装置 図2
  • 特許-除塵装置 図3
  • 特許-除塵装置 図4
  • 特許-除塵装置 図5
  • 特許-除塵装置 図6
  • 特許-除塵装置 図7
  • 特許-除塵装置 図8
  • 特許-除塵装置 図9
  • 特許-除塵装置 図10
  • 特許-除塵装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
E02B5/08 104C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022153882
(22)【出願日】2022-09-27
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591073337
【氏名又は名称】株式会社丸島アクアシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】矢延 孝也
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆行
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3157790(JP,U)
【文献】特開昭58-024010(JP,A)
【文献】特開昭54-056227(JP,A)
【文献】特開2008-280754(JP,A)
【文献】特開2006-138087(JP,A)
【文献】特開平02-136416(JP,A)
【文献】特開平08-326035(JP,A)
【文献】特開平09-328736(JP,A)
【文献】特開2002-069978(JP,A)
【文献】特開2002-273107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路内に傾斜した姿勢で配置される除塵用のスクリーンと、
前記スクリーンの幅方向における所定間隔を隔てた位置で、当該スクリーンと平行に上下方向に延在し、上端部がスプロケットに掛け渡されて当該スプロケットの回転に伴い楕円軌道で周回移動する一対の無端状のチェーンと、
前記幅方向における自身の両端部で前記一対のチェーンに連結ピンを介して揺動自在に連結され、当該一対のチェーンの移動に伴い前記スクリーンに沿って上昇するレーキと、
前記幅方向における前記レーキの両端部であって、かつ前記連結ピンよりも上方に配置されたガイドローラと、
前記スプロケットの上方で前記ガイドローラを案内することにより、前記レーキの姿勢を、前記連結ピンを支点として変化させる上部ガイドレールと、を備え、
前記上部ガイドレールは、
前記スクリーンに沿った姿勢で上昇してくる前記レーキの前記ガイドローラが水路下流側から当接するガイドレールであって、前記スプロケットに沿ったチェーン上部の反転移動に伴い、前記レーキが自重で漸次垂直姿勢となるように当該ガイドローラを案内する第1ガイドレールと、
前記垂直姿勢となった前記レーキの前記ガイドローラを、前記チェーン上部の反転移動に伴い前記第1ガイドレールから受け継ぐ、前記第1ガイドレールとは別のガイドレールであって、前記ガイドローラが水路下流側から当接し、かつ前記レーキが前記スクリーンと平行な直線に沿った姿勢となるように当該ガイドローラを案内する第2ガイドレールと、を備えている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除塵装置において、
前記水路の幅方向一方側から視たときに、
前記第1ガイドレールのガイド面は、前記スクリーンと平行に上下方向に延びる第1ガイド面下部と、この第1ガイド面下部の上端から水路上流側に向かって延びる上向きに凸の湾曲した第1ガイド面上部と、を備え、
前記第2ガイドレールのガイド面は、水路上流側かつ上方に向かって凸の湾曲した第2ガイド面上部と、この第2ガイド面上部の下端から前記直線に沿って下方に延在する第2ガイド面下部とを備え、前記チェーン上部の反転移動に伴い、前記第1ガイド面上部から前記第2ガイド面上部に前記ガイドローラを受け継ぐように設けられている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項2に記載の除塵装置において、
前記第1ガイド面上部は、垂直姿勢となった前記レーキの当該姿勢を維持しながら水路上流側に向かって当該レーキを平行移動させる部分を含み、
当該除塵装置は、前記レーキの平行移動の際に当該レーキに当接して、当該レーキが掻き上げた塵芥を除去するスクレーパを備える、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項4】
請求項3に記載の除塵装置において、
前記第1ガイド面上部のうち、前記レーキを平行移動させる部分は、前記スプロケットの曲率と同等の曲率を有する円弧状に形成されている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の除塵装置において、
前記ガイドローラを第1ガイドローラと定義したときに、
前記レーキのうち、前記幅方向における両端部であって、かつ前記連結ピンと同軸上に配置される第2ガイドローラと、
前記スプロケットの中心よりも下方、かつ前記スクリーンよりも水路下流側の位置で、前記直線に沿って上下方向に延在し、前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラを案内する下降用ガイドレールと、を備え、
前記下降用ガイドレールは、前記第1ガイドローラを水路下流側から当接させて案内する第1ガイド面と、前記第2ガイドローラを水路上流側から当接させて案内する第2ガイド面とを備え、かつ前記第1ガイド面と前記第2ガイド面との間隔が上方から下方に向かって漸次大きくなる部分を含む、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の除塵装置において、
前記スクリーンの下端部であってかつ当該スクリーンの水路上流側に設けられ、チェーン下部の反転移動に伴う前記レーキの移動に伴い、当該レーキの下端部が水路上流側から前記スクリーンに向かって漸次接近するように当該下端部を案内する誘導ガイド板を備えている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の除塵装置において、
前記スクリーンの上端に連続するように設けられ、前記レーキの下端部を支持することにより、前記スクリーンに沿って上昇する前記レーキの姿勢を維持しながら当該レーキを案内するエプロンを備え、
前記第1ガイドレールは、前記エプロンの上端部分に前記レーキの下端部が支持されている状態で、前記ガイドローラを案内し始めるように設けられている、ことを特徴とする除塵装置。
【請求項8】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の除塵装置において、
前記一対のチェーンに対して、複数の前記レーキがチェーン周方向に間隔を隔てて連結されている、ことを特徴とする除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川、取水路、上下水処理場、廃水処理場等の水路、あるいは取水口等に配設され、流木、藻類、草等の塵芥(ゴミ類)を捕捉して除去する除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水路の取水口等に配設されるスクリーンと、このスクリーンに沿って上昇するレーキとを備え、流水中の塵芥をスクリーンで捕捉しながらレーキで掻き上げて除去するように構成された除塵装置が知られている。出願人も、特許文献1に開示されるような除塵装置を開発し、提案している。この特許文献1に係る除塵装置について、図11を用いて説明する。図11は、除塵装置の概略側面図である。
【0003】
除塵装置80は、水路等に傾斜姿勢で配置されたスクリーン70の上方に、このスクリーン70と略平行に上下方向に延在して、スプロケット81の回転に伴い楕円軌道で周回移動する無端状のチェーン82を備える。
【0004】
レーキ83は、連結ピン84でチェーン82に回動自在に連結されており、チェーン82と共に移動する。図示の例では、2つのレーキ83がチェーン82に連結されている。連結ピン84の上下両側には、上部ガイドローラ86と下部ガイドローラ85とが設けられている。これらのガイドローラ85、86は、チェーン82の楕円軌道にほぼ沿うように設けられたガイドレール90に沿って案内される。
【0005】
ガイドレール90は、後方(図中右方)の上昇用ガイドレール91と、前方(図中左方)の下降用ガイドレール92とで構成され、各ガイドレール91、92は上下方向に延在している。上昇用ガイドレール91の上端には、前下向きに屈曲する屈曲部91aが設けられている。
【0006】
レーキ83は、チェーン82と共に反時計回り(図11で反時計回り)に移動する。具体的には、上昇用ガイドレール91に沿ってガイドローラ85、86が案内されることにより、図中実線に示す水底位置からスクリーン70に沿って上昇する。この上昇によりスクリーン70に捕捉された塵芥がレーキ83によって掻き上げられる。レーキ83は、上昇用ガイドレール91に沿って上昇端位置まで移動する。上昇端位置に達すると、上部ガイドローラ86が上昇用ガイドレール91の屈曲部91aに当接する。この状態で、スプロケット81に沿ってチェーン82が反転移動するのに伴い、レーキ83が揺動しながら前方に揺動する。その後、下部ガイドローラ85が下降用ガイドレール92の前面(上流側面)に、上部ガイドローラ86が下降用ガイドレール92の後面(下流側面)に乗り移ることにより、やや前方に傾斜した姿勢を維持しながらレーキ83が下降する。
【0007】
レーキ83が下降端に移動すると、下部ガイドローラ85が下降用ガイドレール92から上昇用ガイドレール91に乗り移り、上部ガイドローラ86が下降用ガイドレール92の下端部で案内される。これにより、水中でスクリーン70に沿った元の位置にレーキ83が配置される。レーキ83がスクリーン70に当接する直前に上部ガイドローラ86は、上昇用ガイドレール91に乗り移っており、レーキ83がスクリーン70に当接すると、レーキ92の上昇が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】登録実用新案第3157790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の除塵装置のように、上昇端位置において、上昇用ガイドレール91の屈曲部91aに対して上部ガイドローラ86を突き当て、この状態でレーキ83を揺動させながら前方へ移動させる場合には、上部ガイドローラ86が屈曲部91aに当接しながら、スプロケット81に沿って連結ピン84がチェーン82と共に上昇する期間が少なからず発生する。この間は、上部ガイドローラ86が上昇用ガイドレール91の屈曲部91aに衝突する衝撃荷重に加え、レーキ83の自重と、屈曲部91aによるレーキ83(上部ガイドローラ86)の押し下げ荷重とが連結ピン84に作用し続ける。これが連結ピン84の摩耗や破損の原因となり、また、上部ガイドローラ86やレーキ83に繰り返し力が作用することで、レーキ83の故障原因になることが考えられる。そのため、レーキ83の耐久性向上、ひいては除塵装置の耐久性向上に鑑みた場合、長期的な使用に向け、従来の除塵装置には改善の余地がある。
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、より耐久性を高めることが可能な除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであって、水路内に傾斜した姿勢で配置される除塵用のスクリーンと、前記スクリーンの幅方向における所定間隔を隔てた位置で、当該スクリーンと平行に上下方向に延在し、上端部がスプロケットに掛け渡されて当該スプロケットの回転に伴い楕円軌道で周回移動する一対の無端状のチェーンと、前記幅方向における自身の両端部で前記一対のチェーンに連結ピンを介して揺動自在に連結され、当該一対のチェーンの移動に伴い前記スクリーンに沿って上昇するレーキと、前記幅方向における前記レーキの両端部であって、かつ前記連結ピンよりも上方に配置されたガイドローラと、前記スプロケットの上方で前記ガイドローラを案内することにより、前記レーキの姿勢を、前記連結ピンを支点として変化させる上部ガイドレールと、を備え、前記上部ガイドレールは、前記スクリーンに沿った姿勢で上昇してくる前記レーキの前記ガイドローラが水路下流側から当接するガイドレールであって、前記スプロケットに沿ったチェーン上部の反転移動に伴い、前記レーキが自重で漸次垂直姿勢となるように当該ガイドローラを案内する第1ガイドレールと、前記垂直姿勢となった前記レーキの前記ガイドローラを、前記チェーン上部の反転移動に伴い前記第1ガイドレールから受け継ぐ、前記第1ガイドレールとは別のガイドレールであって、前記ガイドローラが水路下流側から当接し、かつ前記レーキが前記スクリーンと平行な直線に沿った姿勢となるように当該ガイドローラを案内する第2ガイドレールと、を備えていることを特徴とする。
【0012】
この除塵装置の構成によると、スクリーンに沿った姿勢で上昇端位置まで上昇してくるレーキは、スプロケットに沿ったチェーン上部の反転移動に伴い上部ガイドレールに沿って案内される。これによりレーキが揺動しながら(姿勢を変化させながら)水路下流側から上流側に移動する。この場合、まず、ガイドローラが第1ガイドレールに対して水路下流側から当接し、当該第1ガイドレールに沿って案内される。これによりレーキが連結ピンを支点として揺動し、自重で漸次垂直姿勢となる。その後、第1ガイドレールからガイドローラが離脱しながら第2ガイドレールに水路下流側から当接する。これにより、ガイドローラが第2ガイドレールに受け継がれる。そして、当該第2ガイドレールに沿ってガイドローラが案内されることにより、レーキがスクリーンと平行な直線に沿った姿勢となる。
【0013】
つまり、この除塵装置では、上昇端位置においてレーキの姿勢を変化させながら水路下流側から上流側に移動させる際に、従来のように、ガイドレールに対してガイドローラを下側から突き当てることがない。そのため、従来のように、ガイドレールによる押し下げ荷重が連結ピンに作用することがなく、レーキとチェーンの連結部分の摩耗や破損が抑制乃至防止される。よって、この除塵装置の構成によれば、長期的な使用におけるレーキの耐久性向上、ひいては除塵装置の耐久性向上に寄与する。
【0014】
より具体的には、前記水路の幅方向一方側から視たときに、前記第1ガイドレールのガイド面は、前記スクリーンと平行に上下方向に延びる第1ガイド面下部と、この第1ガイド面下部の上端から水路上流側に向かって延びる上向きに凸の湾曲した第1ガイド面上部と、を備え、前記第2ガイドレールのガイド面は、水路上流側かつ上方に向かって凸の湾曲した第2ガイド面上部と、この第2ガイド面上部の下端から前記直線に沿って下方に延在する第2ガイド面下部とを備え、前記チェーン上部の反転移動に伴い、前記第1ガイド面上部から前記第2ガイド面上部に前記ガイドローラを受け継ぐように設けられている。
【0015】
この構成によると、第1ガイドレールの第1ガイド面下部に沿ってガイドローラが案内されることにより、スクリーンに沿った姿勢を維持しながらレーキが上昇し、その後、第1ガイド面下部に沿ってガイドローラが案内されることにより、レーキが連結ピンを支点として揺動し、自重で漸次垂直姿勢となる。そして、第1ガイド面上部から第2ガイド面上部にガイドローラが受け継がれ、当該ガイドローラが第2ガイド面下部に沿って案内されることにより、レーキがスクリーンと平行な直線に沿った姿勢となる。そのため、上昇端位置において、上部ガイドレールによる押し下げ荷重を連結ピンに作用させることなく、レーキの姿勢を変化させながら当該レーキを水路下流側から上流側に移動させることが可能となる。
【0016】
上記の除塵装置において、前記第1ガイド面上部は、垂直姿勢となった前記レーキの当該姿勢を維持しながら水路上流側に向かって当該レーキを平行移動させる部分を含み、当該除塵装置は、前記レーキの平行移動の際に当該レーキに当接して、当該レーキが掻き上げた塵芥を除去するスクレーパを備える、構成であってもよい。
【0017】
この構成によれば、レーキが掻き上げた塵芥を、当該レーキの動き(平行移動)を利用してスクレーパで除去することが可能となる。よって、スクレーパ側に機械的な複雑な仕組みを設けること無く、レーキから塵芥を除去することが可能となる。
【0018】
この場合、前記第1ガイド面上部のうち、前記レーキを平行移動させる部分は、前記スプロケットの曲率と同等の曲率を有する円弧状に形成することができる。
【0019】
この構成によれば、ガイドローラと連結ピンとがほぼ同等の軌道に沿って移動することとなるため、前記レーキを平行移動させることが可能となる。なお、この場合のスプロケットの曲率は、スプロケットのピッチ円の曲率であってもよい。
【0020】
上記の除塵装置においては、前記ガイドローラを第1ガイドローラと定義したときに、前記レーキのうち、前記幅方向における両端部であって、かつ前記連結ピンと同軸上に配置される第2ガイドローラと、前記スプロケットの中心よりも下方、かつ前記スクリーンよりも水路下流側の位置で、前記直線に沿って上下方向に延在し、前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラを案内する下降用ガイドレールと、を備え、前記下降用ガイドレールは、前記第1ガイドローラを水路下流側から当接させて案内する第1ガイド面と、前記第2ガイドローラを水路上流側から当接させて案内する第2ガイド面とを備え、かつ前記第1ガイド面と前記第2ガイド面との間隔が上方から下方に向かって漸次大きくなる部分を含む構成であってもよい。また、下降用ガイドレールは、平板もしくは平板の組合せで構成されていてもよい。
【0021】
この構成によれば、比較的簡単な構成で、レーキの姿勢を前記直線(スクリーンと平行な直線)に沿った姿勢よりもさらに傾斜した姿勢に漸次変化させながら、当該レーキを下降端位置に向かって移動させることが可能となる。
【0022】
また、上記除塵装置は、前記スクリーンの下端部であってかつ当該スクリーンの水路上流側に設けられ、チェーン下部の反転移動に伴う前記レーキの移動に伴い、当該レーキの下端部が水路上流側から前記スクリーンに向かって漸次接近するように当該下端部を案内する誘導ガイド板を備えているのが好適である。
【0023】
この構成によると、レーキが水路上流側から下流側へ移動する際にレーキがスクリーンに衝突することが抑制される。
【0024】
また、上記除塵装置は、前記スクリーンの上端に連続するように設けられ、前記レーキの下端部を支持することにより、前記スクリーンに沿って上昇する前記レーキの姿勢を維持しながら当該レーキを案内するエプロンを備え、前記第1ガイドレールは、前記エプロンの上端部分に前記レーキの下端部が支持されている状態で、前記ガイドローラを案内し始めるように設けられているのが好適である。
【0025】
この構成によれば、スクリーンに沿って上昇するレーキの姿勢をエプロンで維持しながら、そのまま第1ガイドレールで案内することが可能となる。つまり、エプロンと第1ガイドレールとの間でガイドローラを中継するガイドレールを別途設ける必要がない。よって構造の簡素化に寄与する。
【0026】
なお、上記除塵装置においては、前記一対のチェーンに対して、複数の前記レーキがチェーン周方向に間隔を隔てて連結されていてもよい。
【0027】
この構成によれば、スクリーンに捕捉された塵芥を、複数のレーキを周回移動させながら効率良く掻き上げることが可能となる。そのため、除塵能力の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、より耐久性を高めることが可能な除塵装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る除塵装置の概略的な側面図(レーキ上昇時)である。
図2】前記除塵装置の概略的な側面図(レーキ下降時)である。
図3】レーキの正面図(図1のA矢視図)である。
図4】上部ガイドレールを含む除塵装置上部を示す図1の要部拡大図である。
図5】上昇端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
図6】上昇端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
図7】上昇端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
図8】下降端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
図9】下降端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
図10】レーキの一状態を示す除塵装置の概略的な側面図である。
図11】従来の除塵装置を示す概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0031】
[除塵装置の全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る除塵装置の概略的な側面図である。図1に示す除塵装置の基本的な構成は、背景技術で説明した特許文献1に記載された除塵装置と共通している。すなわち、この除塵装置は、水路100の流水に含まれる塵芥(ゴミ類)を捕捉するスクリーン1と、スクリーン1に捕捉された塵芥を掻き上げるレーキ2と、レーキ2を駆動する駆動機構3と、掻き上げた塵芥をレーキ2から除去するスクレーパ6と、エプロン7と、廃棄コンベア8とを備える。
【0032】
スクリーン1は、水路100内に配置されている。スクリーン1は、上下方向に延在する複数のバーが水路幅方向に一定間隔で並んだバースクリーンであり、下端に対して上端がやや下流側に位置するように傾斜した姿勢で水路100を横断するように配置されている。図1では、左が水路100の上流側、右が下流側である。
【0033】
なお、以下の除塵装置の説明における方向関係については、水路100の上流側を「前」、下流側を「後」、水の流れる方向を「前後方向」と称する場合がある。また、単に「幅方向」と言うときは、特に言及する場合を除き水路100の幅方向と平行な方向である。
【0034】
スクリーン1の上方には、エプロン7が配置されている。エプロン7は、スクリーン1に沿ってレーキ2が掻き上げた塵芥を、スクレーパ6による掻き落とし高さ位置まで案内する金属製のプレート部材であり、スクリーン1と同じ傾斜角度で、当該スクリーン1の上端に隙間なく連続して配置されている。
【0035】
エプロン7の幅方向外側には、当該幅方向に互いに対向する左右一対のレーキガイド側板31が配置されている。図1では便宜上、レーキガイド側板31は二点鎖線で示されている。これらレーキガイド側板31は、除塵装置のフレーム部材でもあり、水路100を跨ぐように設けられた門型架構30に固定されている。
【0036】
これらレーキガイド側板31の間にレーキ2が配置されている。図3は、レーキ2の正面図である。レーキ2は、前方視(図1のA矢視)において、幅方向に細長い長方形の枠体からなるレーキフレーム22と、このレーキフレーム22の両端部分から下方に延びる左右一対のレーキアーム21と、これら一対のレーキアーム21の下端部に固定されたレーキ本体20とを備えている。
【0037】
レーキ本体20は、幅方向に延在する断面L字型のプレート状の部材である。レーキ本体20の先端部(後端部)には誘導ローラ20aが備えられている。誘導ローラ20aは、レーキ本体20の幅方向に一定間隔で複数備えられている。これら誘導ローラ20aがスクリーン1のバーに沿って案内されることにより、スクリーン1に沿ってレーキ2が安定的に上昇する。
【0038】
左右のレーキガイド側板31の内側面(対向面)の近傍位置には、各々、当該内側面に沿ってスクリーン1及びエプロン7と平行に上下方向に延在し、楕円軌道で周回移動する一対の無端状のチェーン33が配置されている。レーキ2は、これらチェーン33に連結されている。詳しくは、図3に示すように、レーキフレーム22の側部(幅方向両側面)であってその下端近傍の位置が各々連結ピン23を介してチェーン33に回動(揺動)自在に連絡されている。
【0039】
各チェーン33の上端部は、各々、スプロケット34に掛け渡されている。これらスプロケット34は、レーキガイド側板31に支持された共通(一本)の駆動軸(図示省略)に固定されており、当該駆動軸を介して、モータ32により同期して回転駆動される。これらスプロケット34の回転に伴い各チェーン33が周回移動し、当該チェーン33と共にレーキ2が周回移動する。つまり、モータ32、チェーン33、スプロケット34及び駆動軸等が、レーキ2の前記駆動機構3に相当する。
【0040】
レーキ2の概略的な動きは次の通りである。図1に示すように、スクリーン1に沿って水底に配置されたレーキ2は、チェーン33の周回移動に伴いスクリーン1及びエプロン7に沿って上昇し(図1中の白抜き矢印参照)、上昇端位置で前方に移動する。すなわち、スプロケット34の中心O(図4参照)を通りスクリーン1と平行に伸びる直線L1の後方から前方に移動する。そして、直線L1より前方の位置で、図2に示すように下降し(図2中の白抜き矢印参照)、下降端位置で直線L1の前方から後方に移動し、スクリーン1に沿った元の位置に戻る。なお、図2では、除塵装置の主要部のみを図示しており、門型架構30、レーキガイド側板31及び廃棄コンベア8等は省略されている。
【0041】
各チェーン33は、上端部がスプロケット34に掛け渡されている以外は、各レーキガイド側板31の内側面に設けられた図外のチェーンガイドに沿って案内される。これにより、楕円軌道でチェーン33が周回移動可能となっている。
【0042】
なお、当例は、各チェーン33の下端部は、図1に示すように、水路100の水面よりも上方に配置されており、下降端位置では、レーキ2のうち、レーキ本体20とレーキアーム21の一部のみが水面下に侵入するように、レーキアーム21の長さ寸法が設定されている。これにより、駆動機構3(特にチェーン33)への塵芥の噛み込みや絡みつき等のトラブルが防止される。
【0043】
レーキ2の両側部(幅方向両側面)には、各々上下2つのガイドローラが備えられている。具体的には、図1及び図3に示すように、前記連結ピン23を枢軸とする下部ガイドローラ24(本発明の「第2ガイドローラ」に相当する)と、その上方に位置する上部ガイドローラ25(本発明の「ガイドローラ」及び「第1ガイドローラ」に相当する)とが備えられている。レーキフレーム22の上端部には、側面視で後方に延びる逆L字型の部分が形成されており、上部ガイドローラ25は、この部分に設けられている。従って、上部ガイドローラ25は、下部ガイドローラ24に対して後方、すなわち下部ガイドローラ24の中心(連結ピン23)を通ってレーキアーム21の長手方向に延びる直線よりも後方にオフセットされている。
【0044】
一方、各レーキガイド側板31の内側面には、複数のガイドレールが設けられており、当例では、上部ガイドレール36、下降用ガイドレール40、分岐レール41、及び中継レール44が各々設けられている。これらのガイドレール40~44は、上述したレーキ2の周回移動の際に、レーキ2の姿勢を維持する、又はレーキ2の姿勢を変化させるべく、前記ガイドローラ24、25等を案内する。
【0045】
前記上部ガイドレール36は、レーキ2が上昇端位置で前記直線L1の後方から前方に移動する際に、スプロケット34の上方でガイドローラ24、25を案内するガイドレールである。
【0046】
図1及び図4に示すように、上部ガイドレール36は、互いに独立した(不連続な)、第1ガイドレール37と第2ガイドレール38とを備えている。図4は、上部ガイドレールを含む除塵装置上部を示す図1の要部拡大図である。
【0047】
第1ガイドレール37は、上昇してくるレーキ2の上部ガイドローラ25を後方から当接させ、チェーン上部のスプロケット34に沿った反転移動に伴い、レーキ2が自重で漸次垂直姿勢となるように、当該上部ガイドローラ25を案内する形状を有している。詳しくは、第1ガイドレール37は、図4に示すように、ガイド面として、上下方向に延びる第1ガイド面下部37aと、この第1ガイド面下部37aの上端から前方に向かって延びる第1ガイド面上部37bとを備えている。
【0048】
第1ガイド面下部37aは、図1中の二点鎖線に示すように、レーキ2の下端部(誘導ローラ20a)がエプロン7の上端部分に支持されている状態で上部ガイドローラ25が当接し始める、つまり、上部ガイドローラ25を案内し始めように設けられている。また、第1ガイド面下部37aは、前記直線L1と平行に上下方向に延びており、これにより、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡3時の位置P3に到達するまで、レーキ2の姿勢(エプロン7と平行な姿勢)が維持される。なお、スプロケット34の3時の位置P3とは、図4において、スプロケット34の外縁と前記直線L1との上側の交点の位置を0時としてクロックポジションで連結ピン23の位置を表現したものである。後述する位置P0、P1、P9も同様であり、各々「0時」、「1時」、「9時」の位置を示す。
【0049】
第1ガイド面上部37bは、第1ガイド面下部37aの上端から前方に向かって延びる上向きに凸の湾曲した形状を有している。これにより、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡3時の位置P3から大凡1時の位置P1に変位する間に、レーキ2が自重で漸次垂直姿勢へと変位する。
【0050】
第1ガイド面上部37bのうち、その前端領域370は円弧状に形成されており、その曲率は、スプロケット34の曲率、すなわちスプロケット34のピッチ円の曲率と略同等に設定されている。これにより、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡1時の位置P1から大凡0時の位置P0に変位する間に、レーキ2は、垂直姿勢を維持しながら前方へと平行移動する。連結ピン23の位置がスプロケット34の0時の位置P0から前方(9時の位置P9側)に移動すると、これに伴い、上部ガイドローラ25は第1ガイド面上部37bから離脱する。
【0051】
一方、第2ガイドレール38は、垂直姿勢となったレーキ2の上部ガイドローラ25を、チェーン上部の反転移動に伴い第1ガイドレール37から受け継ぎ、レーキ2が前記直線L1に沿った傾斜姿勢(直線L1と平行な姿勢)となるように上部ガイドローラ25を案内する形状を有している。詳しくは、第2ガイドレール38は、ガイド面として、図4に示すように、第1ガイドレール37の先端上方の位置から前方かつ下方に延びる第2ガイド面上部38bと、この第2ガイド面上部38bの下端からさらに下方に延びる第2ガイド面下部38aとを備えている。
【0052】
第2ガイド面上部38bは、前方かつ上方に向かって凸の湾曲した形状を有している。これにより、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡0時の位置P0から前方に変位するのに伴い、第1ガイドレール37(第1ガイド面上部37b)から離脱する上部ガイドローラ25が後方から当接する。つまり、上部ガイドローラ25を第1ガイド面上部37bから受け継ぐ。
【0053】
第2ガイド面下部38aは、第2ガイド面上部38bの下端から下方に向かって前記直線L1と平行に延在する。これにより、スプロケット34の回転に伴い連結ピン23が前方に変位する一方で、上部ガイドローラ25の前方への変位が規制される。その結果、レーキ2の姿勢が垂直姿勢から前記直線L1に沿った傾斜姿勢へと変位する。
【0054】
前記下降用ガイドレール40は、上昇端位置からレーキ2が下降する際にガイドローラ24、25を案内するガイドレールである。下降用ガイドレール40は、前記直線L1の前方に配置され、総じて当該直線L1と平行に上下方向に延在している。
【0055】
下降用ガイドレール40は、前方のフロントガイド面40a(本発明の「第2ガイド面」に相当する)と後方のリアガイド面40b(本発明の「第1ガイド面」に相当する)とを備えている。フロントガイド面40aはレーキ2の下部ガイドローラ24を案内するガイド面であり、リアガイド面40bは、上部ガイドローラ25を案内するガイド面である。第2ガイドレール38の第2ガイド面下部38aにより前記直線L1に沿った傾斜姿勢へと変位したレーキ2は、下部ガイドローラ24がフロントガイド面40aに沿って、上部ガイドローラ25がリアガイド面40bに沿って各々案内されることにより、当該下降用ガイドレール40に沿って下降する。
【0056】
なお、第2ガイドレール38の下端と下降用ガイドレール40との上端との間には、前記スプロケット34が介在しており、この区間はガイドレールを設けることができない。そこで、当例では前記中継レール44が設けられている。
【0057】
中継レール44は、下降用ガイドレール40の上下方向中間部分であって、その後方に配置されている。中継レール44は、レーキ2の先端(誘導ローラ20a)を後方から支持するガイド面44aを備えている。当該ガイド面44aは、前記直線L1と平行な平面で形成されている。つまり、中継レール44は、ガイドローラ24、25が下降用ガイドレール40に乗り移るまでの間、レーキ2の先端を支持することにより、その姿勢(直線L1に沿った傾斜姿勢)を維持する(図2中の実線のレーキ2を参照)。
【0058】
図1に示すように、下降用ガイドレール40うち、その上端から一定の区間401は、フロントガイド面40aとリアガイド面40bとの前後間隔が、上方から下方に向かって漸次大きくなるように形成されている。当例では、フロントガイド面40aを基準として、リアガイド面40bが後方に離れるように下降用ガイドレール40が構成されている。換言すると、フロントガイド面40aが前記直線L1と平行に設けられる一方で、リアガイド面40bが前記直線L1に対して傾斜するように設けられている。これにより、レーキ2の下降に伴い、前記直線L1に沿った姿勢からレーキ2が漸次前方に開く、すなわちレーキ2の下端が前記直線L1から前方に離れるように、レーキ2の傾斜角度が漸次変化する。
【0059】
なお、下降用ガイドレール40の前記区間401より下方は、フロントガイド面40aとリアガイド面40bの前後間隔は一定である。従って、当該区間401より下方では、レーキ2は、当該区間401での変更後の傾斜角度(図2中の二点鎖線のレーキ2を参照)を維持しながら下降する。なお、当該区間401の下方において、フロントガイド面40aとリアガイド面40bの前後間隔をさらに漸次広げる、換言すれば、当該区間401の距離をより長く設定することにより、レーキ2がより前方に開きながら下降するようにしてもよい。
【0060】
前記分岐レール41は、下降端位置において、レーキ2が前記直線L1の前方から後方に移動する際に、上部ガイドローラ25を案内するガイドレールである。
【0061】
分岐レール41は、下降用ガイドレール40の下端近傍(下端より少し上側)の位置で、下降用ガイドレール40から分岐して後方に延びるように形成されている。分岐レール41は、下降用ガイドレール40のリアガイド面40bに連続した、下向きに凸の湾曲したガイド面41aを有している。
【0062】
分岐レール41のガイド面41aは、図1の実線に示すように下降用ガイドレール40に沿って下降するレーキ2の姿勢が、チェーン下部の反転移動に伴い、漸次スクリーン1に近づくように形成されている。
【0063】
前記スクレーパ6は、エプロン7の上方、詳しくは、エプロン前面の延長線上に配置されている。図1に示すように、スクレーパ6は、幅方向に延在する除去プレート61と、その長手方向両端に備えられる一対のアーム62とを備える。各アーム62は、枢軸6aを介して各レーキガイド側板31に回動自在に支持されている。これにより、スクレーパ6は、除去プレート61が直立に近い状態となる下端位置(図1の実線位置)と、この位置から上方に変位した位置(図1の二点鎖線位置)とに亘って揺動自在に設けられている。なお、塵芥の掻き落とし時以外は、スクレーパ6は、自重により下端位置に配置される。
【0064】
前記廃棄コンベア8は、スクレーパ6によってレーキ2から掻き落とされる塵芥を受け取って所定の回収位置まで搬送するコンベアである。廃棄コンベア8は、エプロン7の後方に配置されており、水路100の幅方向に塵芥を搬送する。
【0065】
[レーキ2の詳細動作]
次に、上記除塵装置におけるレーキ2の詳細動作について、図1図2に加え、図5図9を参照しつつ説明する。図5図7は、上昇端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図であり、図8及び図9は、下降端位置及びその近傍におけるレーキの動きを示す模式図である。
【0066】
既述の通り、レーキ2は、チェーン33の周回移動に伴い、水底からスクリーン1に沿って上昇する。この上昇により、スクリーン1に捕捉された塵芥が、スクリーン1及びエプロン7に沿ってレーキ2により掻き上げられる。
【0067】
レーキ2の先端(誘導ローラ20a)がエプロン7の上端近傍に達すると、上部ガイドローラ25が第1ガイドレール37に当接し、当該第1ガイドレール37に沿って上部ガイドローラ25が案内されながらレーキ2が上昇する。
【0068】
この際、まず第1ガイド面下部37aに沿って上部ガイドローラ25が案内されることにより、誘導ローラ20aがエプロン7から離脱した後も、レーキ2は、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡3時の位置P3に到達するまで、エプロン7に沿った傾斜姿勢を維持しながら上昇する(図1及び図5(a))。
【0069】
その後、第1ガイド面上部37bに沿って上部ガイドローラ25が案内されることにより、レーキ2は、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡3時の位置P3から大凡1時の位置P1に変位する間に、傾斜姿勢から自重で漸次垂直姿勢へと変位しながら上昇する(図5(b)、(c))。このようにレーキ2が垂直姿勢に変位しながら上昇することにより、スクレーパ6がレーキ2により持ち上げられる。詳しくは、除去プレート61の先端(下端)に、レーキ本体20の根元部分(図5(c)の左端部分)が当接した状態でスクレーパ6が持ち上げられる。
【0070】
この状態で、さらに第1ガイド面上部37b(前端領域370)に沿って上部ガイドローラ25が案内されることにより、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡1時の位置P1から大凡0時の位置P0に変位する間、レーキ2は、垂直姿勢を維持しながら前方に平行移動する(図6(a)、(b))。すなわち、スクレーパ6を持ち上げた状態で前方へと平行移動する。レーキ2が平行移動することで、掻き上げられた塵芥が除去プレート61によりレーキ本体20の後方に押し出されて除去される。除去された塵芥は、廃棄コンベア8上に落下し、当該廃棄コンベア8によって所定の回収場所へと搬送される。
【0071】
その後、連結ピン23の位置がスプロケット34の大凡0時の位置P0から前方に変位するのに伴い、第1ガイドレール37から第2ガイドレール38の第2ガイド面上部38bに上部ガイドローラ25が受け継がれ(図6(c))、当該第2ガイド面上部38bに沿って上部ガイドローラ25が案内される。これによりレーキ2が下降し始めるとともに、スクレーパ6が元の下降位置に変位する。
【0072】
さらに第2ガイド面下部38aに沿って上部ガイドローラ25が案内されることにより、レーキ2は、垂直姿勢から前記直線L1に沿った傾斜姿勢へと変位しながら下降する(図7(a)、(b))。上部ガイドローラ25が第2ガイド面下部38aの下端近傍に達すると、レーキ2の前端(誘導ローラ20a)が中継レール44に当接し、レーキ2は、当該中継レール44に誘導ローラ20aが支持(案内)された状態で下降する(図7(c))。これにより、第2ガイドレール38から上部ガイドローラ25が離脱した後も、レーキ2は、前記直線L1に沿った傾斜姿勢を維持しながら下降する。
【0073】
そして、レーキ2の下降に伴い、まず、下部ガイドローラ24が下降用ガイドレール40のフロントガイド面40aに当接し、続いて上部ガイドローラ25が下降用ガイドレール40のリアガイド面40bに当接して各々案内される。この際、下降用ガイドレール上部に、フロントガイド面40aとリアガイド面40bとの前後間隔が漸次大きくなる前記区間401が設けられているため、レーキ2は、図2の二点鎖線に示すように前方に開いた姿勢(以下、「下降姿勢」という)へと変位し、この下降姿勢を維持しながら下降端位置に向かって移動する。
【0074】
レーキ2が下降位置に近づくと、上部ガイドローラ25が分岐レール41に沿ってより案内される。これにより、レーキ2は、下降姿勢から前記直線L1に沿った姿勢に変位し、さらにチェーン下部の反転移動に伴い、当該平行姿勢よりもレーキ2の先端(誘導ローラ20a)がスクリーン1に接近するように変位し、スクリーン1の下端に配置された誘導ガイド板12に誘導ローラ20aが当接する(図8(a)~(c))。誘導ガイド板12は、スクリーン1の前側下端に設けられたガイド板であり、下方から上方に向かって先細りの側面視三角形状に形成されている。すなわち、チェーン下部の反転移動に伴い、レーキ2の下端部(誘導ローラ20a)を前方からスクリーン1に向かって漸次接近させるように形成されている。
【0075】
なお、誘導ガイド板12は、スクリーン1のうち、誘導ローラ20aに対応する位置にのみ部分的に設けられていてもよいし、スクリーン1の幅方向全体に亘って連続的に設けられていてもよい。また、誘導ガイド板12における誘導ローラ20aの当接面(すなわち、ガイド面)は、図1に示すような側面視直線形状でもよいし、後方に凸の側面視湾曲形状であってもよい。
【0076】
その後、分岐レール41に沿って上部ガイドローラ25が案内されることで、レーキ2は、前記直線L1の前方から後方へと移動し、上昇し始める(図9(a))。
【0077】
そしてこの上昇に伴い、上部ガイドローラ25が分岐レール41から離脱し、これによりレーキ2がスクリーン1に沿った元の傾斜姿勢に変位する(図9(b)、(c))。なお、この場合、仮に前記誘導ガイド板12が無いとすると、上部ガイドローラ25が分岐レール41から離脱した時点でレーキ2が連結ピン23を支点として自重で揺動し、レーキ先端がスクリーン1に衝突するおそれがある。しかし、既述の通り、この時点では、レーキ2の先端(誘導ローラ20a)が既に誘導ガイド板12に当接しているため、レーキ2がスクリーン1に衝突することが未然に防止される。
【0078】
[効果等]
以上のような除塵装置によると、スクリーン1に沿った姿勢で上昇端位置まで上昇してくるレーキ2は、チェーン上部の反転移動に伴い上部ガイドレール36に沿って案内される。これによりレーキ2が揺動しながら前記直線L1の後方から前方へと移動する。この場合、まず、上部ガイドローラ25が第1ガイドレール37に対して後方(水路下流側)から当接し、当該第1ガイドレール37に沿ってその上方に案内される。これによりレーキ2は、連結ピン23を支点として自重で漸次垂直姿勢となる。垂直姿勢となったレーキ2は、第1ガイドレール37から前方に離脱しながら第2ガイドレール38に対して後方(水路下流側)から当接し、第2ガイドレールに受け継がれる。その後、この第1ガイドレール37に沿って上部ガイドローラ25が下方に案内されることにより、レーキ2は、前記直線L1(スクリーン1)と平行な姿勢となる。つまり、この除塵装置では、レーキ2の姿勢を変化させながら前記直線L1の後方から前方にレーキ2を移動させる際に、従来のように、ガイドレールに対してガイドローラを下側から突き当てることがない。そのため、上部ガイドレール36による押し下げ荷重が連結ピン23に作用することがなく、従来の除塵装置に比べ、レーキ2とチェーン33との連結部分の摩耗や破損が抑制乃至防止される。よって、この除塵装置よると、長期的な使用において、レーキ2の耐久性向上、ひいては除塵装置の耐久性向上に寄与する。
【0079】
また、上記除塵装置では、レーキ2を案内するガイドローラは、下部ガイドローラ24及び上部ガイドローラ25の片側2つであり、しかも、下部ガイドローラ24は、レーキ2をチェーン33に連結する連結ピン23を枢軸として設けられている。換言すれば、下部ガイドローラ24は、連結ピン23を中心として当該連結ピン23と同心状(同軸状の一例)に配置されている。加えて、上記除塵装置では、スクリーン1に沿ったレーキ2の上昇中にガイドローラ24、25を案内するガイドレール(従来の上昇用ガイドレール)が設けられていない。そのため、上記除塵装置は、この点でも、レーキ2の耐久性向上、ひいては除塵装置の耐久性向上に寄与する、という利点がある。以下、この点について説明する。
【0080】
図10は、レーキ2による塵芥掻き上げ中の除塵装置の概略的な側面図であり、スクリーン1に多くの塵芥Gが絡まっている状態を示している。このような場合実施形態の除塵装置によれば、図中に矢印で示すように、レーキ2は、自ずと塵芥Gの主に表面をトレースするように連結ピン23を支点として揺動しながら上昇する。そのため、連結ピン23に無理な力(荷重)が作用し難くい。一方、図11に示した従来の除塵装置のように、レーキ83の連結ピン84の上下両側にガイドローラ85、86が設けられ、これらガイドローラ85、86が上昇用レーキガイド68により案内される構成の場合には、レーキ2の上昇中に、連結ピン84を支点としてレーキ83の姿勢が変化することは困難である。これは、連結ピン84を支点としてレーキ83が前方(水路上流側)へ変位しようとすると、上部ガイドローラ86が上昇用ガイドレールに当接して当該変位が規制されるためである。従って、塵芥の表面を掻き上げるようにレーキ83が変位しようとすると、連結ピン84に無理な力が作用し、このような状態が繰り返し発生すると、最悪の場合レーキ2とチェーン33との連結部分、特に連結ピン84が破損することが考えられる。従って、レーキ2とチェーン33との連結部分に無理な力が作用し難い、上記実施形態の除塵装置によれば、長期的な使用におけるレーキ2の耐久性向上、ひいては除塵装置の耐久性向上により一層寄与すると言える。
【0081】
また、実施形態の除塵装置では、第1ガイドレール37の第1ガイド面上部37bに、レーキ2の姿勢を維持しながら当該レーキ2を後方から前方に平行移動させる部分(先端領域370)が設けられ、レーキ2の当該平行移動の際に、レーキ2から塵芥を除去するようにスクレーパ6が設けられている。そのため、機械的な複雑な仕組みをスクレーパ6側に設けること無く、掻き上げた塵芥をレーキ2から良好に除去する事ができる、という利点もある。
【0082】
また、実施形態の除塵装置では、レーキ2の下降時にガイドローラ24、25を案内する下降用ガイドレールとして、フロントガイド面40aとリアガイド面40bとを備えた下降用ガイドレール40を設け、当該下降用ガイドレール40に、フロントガイド面40aとリアガイド面40bとの前後の間隔が上方から下方に向かって漸次大きくなる区間401が設けられている。これにより、レーキ2の姿勢を、前記直線L1に平行な姿勢から所定の下降姿勢(図2中の二点鎖線で示すレーキ2の姿勢)に変化させる。そのため、単一の下降用ガイドレール40を用いた合理的かつ簡素な構成で、下降時のレーキ2の姿勢を変化させることができるという利点もある。
【0083】
[変形例]
以上説明した除塵装置は、本発明に係る除塵装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態では、除塵装置が備えるレーキ2は一つであるが、複数のレーキ2を備える構成であってもよい。すなわち、前記一対のチェーン33に対して、複数のレーキ2がチェーン周方向に間隔を隔てて連結されていてもよい。例えば、一方のレーキ2の上昇中に他方のレーキ2が下降するように、2つのレーキ2を対称な位置関係でチェーン33に連結するようにしてもよい。この構成によれば、スクリーン1に捕捉される塵芥を、複数のレーキ2を周回移動させながら効率良く掻き上げることが可能となり、除塵能力の向上に寄与する。
【0085】
また、上記実施形態では、下降用ガイドレール40のうち、レーキ2の下降中に当該レーキ2の姿勢を変化させるための前記区間401が、当該下降用ガイドレール40の上端部分に設けられている。しかし、当該区間401は、下降用ガイドレール40の上下方向中央部分や、当該中央部分より下方に設けられていてもよい。また、既述のように、2つのレーキ2(複数のレーキ2)を周回移動させる場合には、下降中のレーキ2と上昇中のレーキ2とがすれ違う領域(前後に重なる領域)までは下降中のレーキ2が前記直線L1と平行な姿勢に維持され、当該領域よりも下方でレーキ2の姿勢が前記下降姿勢に変位するように前記区間401が設けられていてもよい。この構成によれば、下降中のレーキ2と上昇中のレーキ2とを、それらの干渉を回避しながらより少ないスペースで移動させることが可能となる。
【0086】
また、上記実施形態では、第1ガイドレール37(第1ガイド面上部37b)の前端領域370が円弧状に形成され、その曲率がスプロケット34の曲率と略同等に設定されることによりレーキ2が平行移動するように構成されている。しかし、レーキ2を平行移動させるための構成は、これには限定されず、適宜変更可能である。
【0087】
また、図2に示すレーキ2の下降姿勢(二点鎖線で示すレーキ2の姿勢)は、レーキ2の下降姿勢の一例であり、当該下降姿勢は、前記直線L1に対してレーキ先端がより前方に離れた姿勢であっても良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 スクリーン
2 レーキ
6 スクレーパ
7 エプロン
10 スクリーン本体
12 誘導ガイド板
20 レーキ本体
23 連結ピン
24 下部ガイドローラ(第2ガイドローラ)
25 上部ガイドローラ(ガイドローラ/第1ガイドローラ)
31 レーキガイド側板
33 チェーン
34 スプロケット
36 上部ガイドレール
37 第1ガイドレール
37a 第1ガイド面下部
37b 第1ガイド面上部
38 第2ガイドレール
38a 第2ガイド面下部
38b 第2ガイド面上部
40 下降用ガイドレール
40a フロントガイド面(第2ガイド面)
40b リアガイド面(第1ガイド面)
【要約】
【課題】より耐久性を高めることが可能な除塵装置を提供する。
【解決手段】除塵装置は、スクリーン1と、楕円軌道で周回移動する無端状のチェーン33と、連結ピン23を介してチェーン33に連結されるレーキ2と、レーキ2における連結ピン23の上方に配置された上部ガイドローラ25と、上部ガイドレール36とを備える。上部ガイドレール36は、チェーン上部の反転移動に伴い、レーキ2が自重で漸次垂直姿勢となるように上部ガイドローラ25を案内する第1ガイドレール37と、第1ガイドレール37とは別のガイドレールであって、垂直姿勢となったレーキ2の上部ガイドローラ25が後方から当接し、かつレーキ2がスクリーン1と平行な直線L1に沿った姿勢となるように当該上部ガイドローラ25を案内する第2ガイドレール38とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11