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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】水上移動装置及び水上移動方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/44 20060101AFI20231201BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B63B35/44 G
B63H25/42 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023130293
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-08-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523304607
【氏名又は名称】Oceanos株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】前田 陵
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智史
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-58570(JP,A)
【文献】特開平10-90017(JP,A)
【文献】特開平10-258276(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112874703(CN,A)
【文献】実開昭48-44199(JP,U)
【文献】特開2012-224291(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2748717(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第112854160(CN,A)
【文献】特開平2-114084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63B 35/34
B63B 35/44
B63H 25/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上に浮き、周縁部に対しての内側部に水中につながる空洞部が配されたフロート部と、
前記空洞部に対して着脱可能になり、前記空洞部に装着された場合に水中に位置する複数のスラスタが配され、測位信号を受信する受信部及び前記スラスタを制御する制御部を含むユニット部と、を備え、
前記制御部は、コントローラ部に配された帰巣ボタンが操作された場合、又は、外部から帰巣信号を受け付けた場合、前記受信部で受信された測位信号に基づいて前記フロート部の位置を取得し、前記フロート部の位置と、予め基準となる帰巣位置とに基づいて、前記フロート部の位置から前記帰巣位置までの方向を推定し、前記帰巣位置に前記フロート部が移動するよう複数の前記スラスタそれぞれを制御する、
水上移動装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数の位置に基づいて外縁で示される領域が予め指定される場合、測位信号に基づく前記フロート部の位置と、前記領域とを比較して、前記フロート部の位置が前記領域の外に出ると、複数の前記スラスタを停止し、又は、複数の前記スラスタを後進する制御を行う
請求項1に記載の水上移動装置。
【請求項3】
前記ユニット部は、
前記フロート部の動きに関連する物理量を検出する物理量検出部と、
前記コントローラ部によって入力操作された前記フロート部の動きを受け付ける通信部と、
前記通信部で受け付けた前記フロート部の動きと、前記物理量検出部で検出された物理量に基づいて推定される前記フロート部の動きとが異なる場合、推定された前記フロート部の動きを補正して前記コントローラ部で入力された前記フロート部の動きとなるように複数の前記スラスタそれぞれを制御する前記制御部と、
を備える請求項1に記載の水上移動装置。
【請求項4】
前記制御部は、物理量に基づいて推定された前記フロート部の動きを補正する方向に前記フロート部が動き、且つ、前記コントローラ部で入力された方向に前記フロート部が動くように、複数の前記スラスタそれぞれを独立して制御する
請求項3に記載の水上移動装置。
【請求項5】
前記制御部は、複数の前記スラスタそれぞれの回転数を互いに独立して制御する
請求項3に記載の水上移動装置。
【請求項6】
前記制御部は、複数の位置に基づいて予め示される移動経路と、測位信号に基づく前記フロート部の位置とに基づいて、前記フロート部が前記移動経路に沿って移動する制御を行う
請求項1に記載の水上移動装置。
【請求項7】
1つの前記フロート部と1つの前記ユニット部とを1組とした装置が複数あり、
複数の前記装置のうち1つをマスタとし、複数の前記装置のうち前記マスタを除く他の装置をスレーブとし、
前記マスタの前記制御部は、取得される位置を、前記スレーブの前記制御部に送信し、
前記スレーブの前記制御部は、前記マスタから取得した位置の軌跡に沿って前記フロート部が動くように複数の前記スラスタそれぞれを制御する
請求項1に記載の水上移動装置。
【請求項8】
フロート部、複数のスラスタが配され、測位信号を受信する受信部を含むユニット部及びコントローラ部を備える水上移動装置が、
前記フロート部の動きに関連する物理量を物理量検出部によって検出する物理量検出ステップと、
前記コントローラ部によって入力操作された前記フロート部の動きを通信部によって受け付ける通信ステップと、
前記通信部で受け付けた前記フロート部の動きと、前記物理量検出部で検出された物理量に基づいて推定される前記フロート部の動きとが異なる場合、推定された前記フロート部の動きを補正して前記コントローラ部で入力された前記フロート部の動きとなるように複数の前記スラスタそれぞれを制御部によって制御する第1制御ステップと、
前記コントローラ部に配された帰巣ボタンが操作された場合、又は、前記通信部を介して外部から帰巣信号を受け付けた場合、前記受信部で受信された測位信号に基づいて前記フロート部の位置を取得し、前記フロート部の位置と、予め基準となる帰巣位置とに基づいて、前記フロート部の位置から前記帰巣位置までの方向を推定し、前記帰巣位置に前記フロート部が移動するよう複数の前記スラスタそれぞれを前記制御部によって制御する第2制御ステップと、
を実行する水上移動方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水上移動装置及び水上移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体力増強、並びに、水上ハンドボール及び水上サッカ等のゲームに用いられる水上ボートがある(特許文献1参照)。その水上ボートは、オペレータによるハンドルの往復回動操作に応じてひれ部材のひれ動作を行い、そのハンドルの操作に応じた方向及び速度で移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-096214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水上では、趣味及びスポーツ等を始めとする様々な活動及び行動が行われている。そのような活動及び行動は、例えば、「アクティビティ」と言われる場合がある。
ところで、水上でのアクティビティは、ボート等を利用して単に水上に浮いていることを楽しむ場合、及び、ボート等を利用して水上を移動することを楽しむ場合等、ユーザそれぞれによって楽しみ方が異なることがある。特許文献1に記載の水上ボートは、ユーザがハンドルを操作してボートを動かさなければならず、観光等のユーザが気軽に楽しむ観点では、ユーザの満足度を向上させることができない。
【0005】
本開示は、ユーザが気軽に楽しむことが可能な水上移動装置及び水上移動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の水上移動装置は、水上に浮き、周縁部に対しての内側部に水中につながる空洞部が配されたフロート部と、空洞部に対して着脱可能になり、空洞部に装着された場合に水中に位置する複数のスラスタが配されたユニット部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の水上移動装置及び水上移動方法は、ユーザが気軽に楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る水上移動装置について説明するための第1の図である。
図2】一実施形態に係る水上移動装置について説明するための第2の図である。(A)は水上移動装置を上方からみた斜視図であり、(B)は水上移動装置を下方から見た斜視図である。
図3】一実施形態に係る水上移動装置について説明するためのブロック図である。
図4】水上移動装置が帰巣位置に移動する場合について説明するための図である。
図5】マスタの移動に応じてスレーブが移動する場合について説明するための図である。
図6】一実施形態に係る水上移動方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[水上移動装置1の概要]
まず、一実施形態に係る水上移動装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る水上移動装置1について説明するための第1の図である。
図2は、一実施形態に係る水上移動装置1について説明するための第2の図である。図2(A)は水上移動装置1を上方からみた斜視図であり、図2(B)は水上移動装置1を下方から見た斜視図である。
【0011】
図1,2に示す水上移動装置1は、例えば、ユーザが水上でのアクティビティ(水上アクティビティ)を楽しむ際に用いられる種々の電動装置(水上アクティビティ装置)等であってもよい。アクティビティとは、趣味及びスポーツ等を始めとする様々な活動及び行動等のことである。したがって、水上アクティビティとは、海、湖、川及びプール等の水上で行われる種々の活動及び行動等のことである。水上移動装置1は、そのような水上アクティビティを楽しむために、穏やかな水面で利用可能であってもよい。
【0012】
水上移動装置1は、フロート部10、ユニット部20及びコントローラ部30を備える(図1参照)。
【0013】
フロート部10は、水上(水面)に浮き、1人又は複数人が乗ることが可能である。フロート部10の平面形状は、例えば、円形、矩形及び多角形等を始めとする種々の形状であってもよい。一例として、フロート部10は、内部に空気を挿入可能な浮き輪状(浮き具)等であってもよい。なお、フロート部10は、収納する場合、内部から空気を出すことにより、相対的に小さく折り畳むことが可能であってもよい。
【0014】
フロート部10は、周縁部101に対しての内側部102に水中につながる空洞部110が配される。周縁部101は、例えば、フロート部10の平面形状の外縁となる部分等であってもよい。内側部102は、例えば、フロート部10の平面形状の外縁よりも内側となる部分等であってもよい。内側部102の具体的な一例は、フロート部10の平面形状の中央部(略中央部)等であってもよい。空洞部110は、水中につながるような孔(開口)であってもよい。空洞部110は、開口部又は孔部と言い換えてもよい。
【0015】
フロート部10には、例えば、屋根が配されてもよく、またフロート部10に乗るユーザが脚を水中に入れることが可能なように、空洞部110とは異なる他の空洞(開口)が配されてもよい。
【0016】
ユニット部20は、空洞部110に対して着脱可能になり、空洞部110に装着された場合に水中に位置する複数のスラスタ230が配される。ユニット部20は、空洞部110に対して装着可能な、防水性を有する筐体を備えてもよい。筐体は、フロート部10から取り外し可能であってもよい。筐体の下面(水中側)には、複数のスラスタ230が配される。
【0017】
複数のスラスタ230は、筐体の下面に固定されてもよく、それぞれの向きを可変可能に筐体の下面に配されてもよい。複数のスラスタ230は、筐体の下面に固定される場合、それぞれの回転軸を同一方向に向けて(各回転軸を平行にして)配されてもよく、それぞれの回転軸を異なる方向に向けて配されてもよい。ユニット部20は、複数のスラスタ230の出力差によりフロート部10の動きを制御する。複数のスラスタ230としては、図1,2に例示するように2つのスラスタであってもよく、3つ以上のスラスタであってもよい。スラスタ230は、スクリュ又はプロペラ等と言われる場合がある。スラスタ230には、指等の身体が入らないようにするための保護カバーが配されてもよい。
【0018】
ユニット部20は、例えば、内部に電源を備える。電源は、1次電池又は2次電池等であってもよい。
ユニット部20には、キルスイッチ240(図1参照)等が配されてもよい。水上移動装置1を使用する場合にはキルスイッチ240がユニット部20に装着され、緊急時にキルスイッチ240がユニット部20から外れると、スラスタ230が停止する構成であってもよい。
【0019】
コントローラ部30は、フロート部10に乗るユーザによって操作される指示入力装置等であってもよい。コントローラ部30は、フロート部10に乗るユーザによってそのフロート部10の移動方向及びフロート部10の移動の停止等を指示する場合に、その指示の入力を受け付ける。コントローラ部30は、例えば、ジョイスティックを備え、スティック(レバー)が傾けられた方向にフロート部10を移動させるような入力操作を受け付けてもよい。また、コントローラ部30は、例えば、ジョイスティックに限らず、移動方向を指定する複数のボタンを備え、複数のボタンのうち1つが操作された方向にフロート部10を移動させるような入力操作を受け付けてもよい。
コントローラ部30は、防水性を有し、水に落とした場合でも浮く仕様であってもよい。
コントローラ部30は、無線又は有線により、ユニット部20の内部に配される装置(例えば、制御部210(後述する図3参照)等)に、入力を受け付けたユーザの指示を送信してもよい。制御部210は、例えば、プロセッサ及びコンピュータ等の情報処理装置であってもよい。
【0020】
水上移動装置1は、フロート部10に乗るユーザがコントローラ部30を操作することにより、その操作に応じた方向(例えば、前後左右それぞれの方向、右回転、及び、左回転等)にフロート部10を移動することが可能である。この場合、水上移動装置1は、コントローラ部30の操作に応じて複数のスラスタ230を互いに独立して制御(例えば、回転数の制御等)を行うことにより、その操作に応じた方向にフロート部10を移動させることが可能である。すなわち、水上移動装置1は、複数のスラスタ230それぞれの回転軸が同一方向を向く(各回転軸を平行にした)場合、それぞれの回転軸の回転数(複数のスラスタ230の回転数)に差(出力差)を設けることで、コントローラ部30によって指定された方向に移動することとしてもよい。
【0021】
一例として、水上移動装置1は、前進をする場合には複数(例えば、2つ)のスラスタ230の回転数を同じにしてもよい。また、一例として、水上移動装置1は、右方向に進む場合には複数(例えば、2つ)のスラスタ230のうち平面視して左側に配置されるスラスタ230の回転数を右側に配置されるスラスタ230の回転数よりも多くしてもよい。また、一例として、水上移動装置1は、左方向に進む場合には複数(例えば、2つ)のスラスタ230のうち平面視して右側に配置されるスラスタ230の回転数を左側に配置されるスラスタ230の回転数よりも多くしてもよい。
なお、複数(例えば、2つ)のスラスタ230は、水上移動装置1の前進方向に対して交差する方向(例えば、直交方向等)に沿って並列配置し、さらにそれぞれの回転軸を前進方向に沿うように配置してもよい。又は、複数のスラスタ230は、上記に限定されず、任意の位置に配置されてもよい。
また、複数のスラスタ230が3つ以上有る場合についても、上述したものと同様に、3つ以上の各スラスタ230の回転数を変えることにより(複数のスラスタ230に出力差を設けることにより)、水上移動装置1は、コントローラ部30によって指定された方向に移動することが可能である。
【0022】
[水上移動装置1の詳細]
次に、一実施形態に係る水上移動装置1について詳細に説明する。特に、ユニット部20の機能について説明する。
図3は、一実施形態に係る水上移動装置1について説明するためのブロック図である。
【0023】
ユニット部20は、通信部221、記憶部222、物理量検出部223、受信部224及び制御部210を備える。
【0024】
通信部221は、例えば、水上移動装置1の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。外部装置は、例えば、コントローラ部30及び地上基地400(後述する図4参照)等であってもよい。すなわち、通信部221は、例えば、コントローラ部30によって入力操作されたフロート部10の動きを受け付ける。
【0025】
記憶部222は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部222の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。
【0026】
物理量検出部223は、フロート部10の動きに関連する物理量を検出する。物理量は、例えば、地磁気、角速度及び加速度等のうち少なくとも1つであってもよい。したがって、物理量検出部223は、例えば、地磁気センサ、角速度(ジャイロ)センサ及び加速度センサ等のうち少なくとも1つの物理量センサであってもよい。
【0027】
受信部224は、測位信号を受信する。測位信号は、例えば、GNSS衛星から送信される信号(GNSS信号)等であってもよい。測位信号は、例えば、GNSS信号に限らず、地上(例えば、2地点等)から送信され、複数の信号の到達時間差又は位相差等に基づいて水上で位置を特定することが可能なその信号等であってもよい。
【0028】
制御部210は、通信部221で受け付けたフロート部10の動きと、物理量検出部223で検出された物理量に基づいて推定されるフロート部10の動きとが異なる場合、推定されたフロート部10の動きを補正(相殺)してコントローラ部30で入力されたフロート部10の動きとなるように複数のスラスタ230それぞれを制御する。
【0029】
具体的な一例として、制御部210は、通信部221で受け付けたフロート部10の動き(動き方向)が前進(直進)の場合に、物理量検出部223によって検出された物理量に基づいて推定されるフロート部10の実際の動き(動き方向)が右(斜め右)(又は、左(斜め左))方向の際には、PID制御のように入力値(実際のフロート部10の動き)と目標値(通信部221で受け付けたフロート部10の動き)とが一致するように、複数のスラスタ230を制御して、左方向(斜め左)(又は、右(斜め左))方向にフロート部10が移動するようにする。この場合、制御部210は、複数のスラスタ230それぞれの回転数を互いに独立して制御してもよい。すなわち、一例として、制御部210は、フロート部10の前進方向に対して交差する方向(例えば、直交方向)に沿って並列配置された複数のスラスタ230のうち、右(又は、左)に配置されたスラスタ230の回転数を左(又は、右)に配置されたスラスタ230の回転数よりも多くするように各スラスタ230を制御してもよい。
【0030】
また、具体的な一例として、制御部210は、通信部221によって受け付けたフロート部10の動きが中立(停止)の場合に、物理量検出部223によって検出された物理量に基づいて推定されるフロート部10の実際の動きが右(時計回り)(又は、左(反時計回り))方向に水平に回転する(その場で回転する)際には、複数のスラスタ230を制御して、並列配置された複数のスラスタ230のうち、右(又は、左)に配置されたスラスタ230の回転数を左(又は、右)に配置されたスラスタ230の回転数よりも多くするように各スラスタ230を制御してもよい。
【0031】
すなわち、制御部210は、物理量に基づいて推定されたフロート部10の動きを補正(相殺)する方向にフロート部10が動き、且つ、コントローラ部30で入力された方向にフロート部10が動くように、複数のスラスタ230それぞれを独立して制御してもよい。
なお、制御部210は、1又は複数の物理量検出部223で検出される物理量に基づいて、公知の技術を利用してフロート部10の実際の動きを推定してもよい。制御部210は、例えば、そのように推定されるフロート部10の実際の動き(動き方向)と、コントローラ部30によって入力された(通信部221で受け付けた)フロート部10の動き(動き方向)とが異なる(又は、略異なる等の異なるとみなせる)場合、フロート部10の実際の動きを補正(相殺)するように並列配置されたスラスタ230それぞれの回転数を互いに独立して制御することにより、コントローラ部30によって入力された(通信部221で受け付けた)方向にフロート部10が動くように(中立の場合も含む)制御する。
【0032】
図4は、水上移動装置1が帰巣位置に移動する場合について説明するための図である。
【0033】
制御部210は、受信部224で受信された測位信号に基づいてフロート部10の位置を取得し、所定のタイミングで予め指定された位置(帰巣位置)にフロート部10が移動するよう複数のスラスタ230それぞれを制御してもよい(図4参照)。記憶部222には、予め基準となる位置(帰巣位置)についての情報(基準位置情報)が記憶されてもよい。制御部210は、例えば、コントローラ部30に配される所定ボタン(例えば、帰巣ボタン等)301が操作された場合、又は、地上基地400から所定の信号(帰巣信号)が送信された場合、通信部221によってコントローラ部30の操作(帰巣ボタン301等の操作)又は帰巣信号を受け付け、受信部224によって受信された測位信号に基づいてフロート部10の現在位置(位置情報)を取得する。制御部210は、現在位置と帰巣位置とに基づいて、現在位置から帰巣位置までの方向(方位)を推定する。制御部210は、推定された方向にフロート部10が進むように複数のスラスタ230それぞれを制御して、フロート部10を現在位置から帰巣位置に向けて移動させる。制御部210は、フロート部10が帰巣位置に到達すると、複数のスラスタ230それぞれの回転を停止させるよう制御してもよい。
【0034】
なお、制御部210は、複数の位置情報で外縁が示される領域R(図4参照)が予め指定される場合、フロート部10の現在位置とその領域Rとを比較して、フロート部10がその領域Rの外部に出ないように、複数のスラスタ230を制御してもよい。すなわち、制御部210は、例えば、フロート部10の現在位置とその領域Rとを比較して、フロート部10の現在位置が領域Rの外に出た場合、複数のスラスタ230を停止し、又は、複数のスラスタ230を後進するような制御等を行ってもよい。
【0035】
図5は、マスタ1Mの移動に応じてスレーブ1Sが移動する場合について説明するための図である。
【0036】
1つのフロート部10と1つのユニット部20とを1組とした水上移動装置1が複数あってもよい。この場合、複数の水上移動装置1のうち1つをマスタ(主装置)1Mとし、複数の水上移動装置1のうちマスタ1Mを除く他の水上移動装置1をスレーブ(従装置)1Sとしてもよい。
【0037】
マスタ1Mの制御部210は、取得される位置を、1又は複数のスレーブ1Sの制御部210に送信する。すなわち、マスタ1Mとなる水上移動装置1(主装置)に配される制御部210(マスタ1Mの制御部210)は、受信部224で受信された測位信号に基づいて、現在位置を取得する。
マスタ1Mの制御部210は、取得した現在位置(位置501)(マスタ位置情報)を随時スレーブ1Sの制御部210に送信するよう通信部221を制御する。又は、マスタ1Mの制御部210は、取得した現在位置の情報を所定期間記憶して、位置501の軌跡502を生成する。マスタ1Mの制御部210は、位置501の軌跡502(マスタ位置情報)をスレーブ1Sの制御部210に送信するよう通信部221を制御する。スレーブ1Sの制御部210は、スレーブ1Sとなる水上移動装置1(従装置)に配される制御部210であってもよい。
【0038】
スレーブ1Sの制御部210は、マスタ1Mから取得した位置501の軌跡502(マスタ位置情報)に沿ってフロート部10が動くように複数のスラスタ230それぞれを制御してもよい。スレーブ1Sの制御部210は、スレーブ1Sの通信部221を介して取得したマスタ1Mの位置501(軌跡502)と、スレーブ1Sの受信部224で受信された測位信号に基づくスレーブ1Sの現在位置とに基づいて、マスタ1Mの位置501の軌跡502に沿ってスレーブ1Sのフロート部10が移動するように、スレーブ1Sに配される複数のスラスタ230それぞれを制御してもよい。すなわち、スレーブ1Sの制御部210は、マスタ1Mの位置501(軌跡502)に、スレーブ1Sの現在位置が一致(略一致)して、マスタ1Mの動きに追従するように、スレーブ1Sの複数のスラスタ230それぞれを制御する。
【0039】
[水上移動方法]
次に、一実施形態に係る水上移動方法について説明する。
図6は、一実施形態に係る水上移動方法について説明するためのフローチャートである。
【0040】
ステップST101において、制御部210は、通信部221を介して、コントローラ部30によって入力操作されたフロート部10の動きを受け付ける。
【0041】
ステップST102において、物理量検出部223は、フロート部10の動きに関連する物理量を検出する。物理量検出部223は、例えば、地磁気センサ、角速度(ジャイロ)センサ及び加速度センサ等のうち少なくとも1つの物理量センサであってもよい。
【0042】
ステップST103において、制御部210は、ステップST101で受け付けたフロート部10の動きと、ステップST102で検出された物理量に基づいて推定されるフロート部10の動きとが異なる場合、推定されたフロート部10の動きを補正してコントローラ部30で入力されたフロート部10の動きとなるように複数のスラスタ230それぞれを制御する。この場合、制御部210は、複数のスラスタ230それぞれの回転数を互いに独立して制御してもよい。
ここで、制御部210は、ステップST102で検出された物理量に基づいて推定されたフロート部10の動きを補正する方向にフロート部10が動き、且つ、ステップST101で受け付けたコントローラ部30で入力された方向にフロート部10が動くように、複数のスラスタ230それぞれを独立して制御してもよい。
【0043】
ステップST104において、受信部224は、測位信号を受信する。
【0044】
ステップST105において、制御部210は、ステップST104で受信された測位信号に基づいてフロート部10の位置を取得し、所定のタイミングで予め指定された位置(帰巣位置)にフロート部10が移動するよう複数のスラスタ230それぞれを制御する。
【0045】
ステップST106において、複数の水上移動装置1のうち1つをマスタ(主装置)1Mとし、複数の水上移動装置1のうちマスタ1Mを除く他の水上移動装置1をスレーブ(従装置)1Sとする場合、スレーブ1Sの制御部210は、マスタ1Mから取得した位置501の軌跡502(マスタ位置情報)に沿ってスレーブ1Sのフロート部10が移動するように、そのスレーブ1Sに配される複数のスラスタ230それぞれを制御する。ここで、マスタ1Mの制御部210は、そのマスタ1Mで取得される位置501(軌跡502)(マスタ位置情報)を、1又は複数のスレーブ1Sの制御部210に送信する。
【0046】
なお、上述したステップST101~ステップST103の処理と、ステップST104~ステップST105の処理と、ステップST104及びステップST106の処理とは、連続して行われてもよく、連続して行われずに互いに独立して行われてもよい。
【0047】
[変形例]
次に、変形例について説明する。
【0048】
水上移動装置1は、例えば、カメラ部(図示せず)を備えてもよい。カメラ部は、静止画及び動画(画像)を撮像可能である。なお、カメラ部は、水上に配されてもよく、水中に配されてもよい。また、カメラ部は、水上移動装置1の移動に追従するように飛行するドローンに配されてもよい。水上移動装置1は、カメラ部で撮像された画像を、通信部221を介して、ユーザが使用する端末(例えば、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等)に送信可能であってもよい。
【0049】
水上移動装置1は、例えば、地上基地400に配されるコントローラ部30を利用して、遠隔操作が可能であってもよい。この場合、水上移動装置1は、地上基地400に配されるコントローラ部30の操作に応じて入力された方向(入力指示)を、通信部221を介して取得し、その入力指示に応じた方向に移動するよう複数のスラスタ230それぞれを制御してもよい。
【0050】
水上移動装置1は、例えば、地上基地400に配される監視装置(監視端末)(図示せず)によって監視可能であってもよい。この場合、水上移動装置1は、自機の識別情報、電源に蓄えられる電力の残量(例えば、電池残量)、現在位置及び画像を、通信部221を介して、監視装置に送信してもよい。監視装置は、水上移動装置1から取得した情報を表示部(図示せず)に表示し、また取得した情報をログとして記憶部(図示せず)に記憶して、1又は複数の水上移動装置1を監視してもよい。なお、監視装置は、水上移動装置1から画像を取得した場合、その画像をストリーミング配信してもよい。
【0051】
水上移動装置1は、例えば、移動経路を予め指定可能であってもよい。すなわち、水上移動装置1は、例えば、複数の位置情報(例えば、位置座標等)で示される移動経路に沿って、又は、複数の位置情報をウェイポイント(Waypoint)として通過するように、予め指定された複数の位置情報(移動経路情報)を、通信部221を介して取得可能であってもよい。水上移動装置1は、測位信号に基づいて取得されるフロート部10の位置情報と、予め指定された位置情報(移動経路情報)とに基づいて、フロート部10が移動するように複数のスラスタ230それぞれを制御してもよい。
【0052】
上述した水上移動装置1は、ユーザが水上でのアクティビティを楽しむ装置に限定されず、水路等における標識(ブイ)として用いられてもよく、エネルギハーベスティングを行いながら電力を確保して種々のセンサを用いて計測を行う計測装置として用いられてもよい。
なお、水上移動装置1は、例えば、市販の浮き輪にユニット部20を嵌め込むようにしてもよい。
【0053】
水上移動装置1は、複数が連結可能であってもよい。連結された複数の水上移動装置は、所定期間毎にスラスタを駆動させることにより、水上での位置が入れ替わるように制御してもよい。
【0054】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0055】
(態様1)
一態様の水上移動装置は、水上に浮き、周縁部に対しての内側部に水中につながる空洞部が配されたフロート部と、空洞部に対して着脱可能になり、空洞部に装着された場合に水中に位置する複数のスラスタが配されたユニット部と、を備える。
これにより、水上移動装置は、フロート部に乗るユーザに水上で行われるアクティビティを気軽に楽しませることができる。
【0056】
(態様2)
一態様の水上移動装置では、複数のスラスタは、それぞれの回転軸が同一方向を向き、それぞれの回転軸の回転数に差を設けることで、コントローラ部によって指定された方向に移動することとしてもよい。
これにより、水上移動装置は、フロート部に乗るユーザがコントローラ部を操作することにより指定された方向に移動することができる。
【0057】
(態様3)
一態様の水上移動装置では、ユニット部は、フロート部の動きに関連する物理量を検出する物理量検出部と、コントローラ部によって入力操作されたフロート部の動きを受け付ける通信部と、通信部で受け付けたフロート部の動きと、物理量検出部で検出された物理量に基づいて推定されるフロート部の動きとが異なる場合、推定されたフロート部の動きを補正してコントローラ部で入力されたフロート部の動きとなるように複数のスラスタそれぞれを制御する制御部と、を備えることとしてもよい。
すなわち、水上移動装置は、通信部で受け付けたフロート部の動きに、物理量検出部によって検出される物理量に基づいて推定されるフロート部の実際の動きを一致(又は、略一致)させるように、複数のスラスタを互いに独立して制御する。したがって、水上移動装置は、フロート部に乗るユーザの指示に応じてそのフロート部が動くので、そのユーザに水上アクティビティを気軽に楽しませることができる。
【0058】
(態様4)
一態様の水上移動装置では、制御部は、物理量に基づいて推定されたフロート部の動きを補正する方向にフロート部が動き、且つ、コントローラ部で入力された方向にフロート部が動くように、複数のスラスタそれぞれを独立して制御することとしてもよい。
これにより、水上移動装置は、通信部で受け付けたフロート部の動きに、物理量検出部によって検出される物理量に基づいて推定されるフロート部の実際の動きを一致(又は、略一致)させることができる。
【0059】
(態様5)
一態様の水上移動装置では、制御部は、複数のスラスタそれぞれの回転数を互いに独立して制御することとしてもよい。
これにより、水上移動装置は、複数のスラスタそれぞれの回転数を変えることにより、フロート部に乗るユーザの指示に従ってそのフロート部を動かすことができる。
【0060】
(態様6)
一態様の水上移動装置では、ユニット部は、測位信号を受信する受信部を備え、制御部は、受信部で受信された測位信号に基づいてフロート部の位置を取得し、所定のタイミングで予め指定された位置にフロート部が移動するよう複数のスラスタそれぞれを制御することとしてもよい。
これにより、水上移動装置は、フロート部に乗るユーザの指示がなくとも、帰巣位置(基準となる位置)に自動的に戻ることができる。
【0061】
(態様7)
一態様の水上移動装置では、1つのフロート部と1つのユニット部とを1組とした装置が複数あり、複数の装置のうち1つをマスタとし、複数の装置のうちマスタを除く他の装置をスレーブとし、マスタの制御部は、取得される位置を、スレーブの制御部に送信し、スレーブの制御部は、マスタから取得した位置の軌跡に沿ってフロート部が動くように複数のスラスタそれぞれを制御することとしてもよい。
水上移動装置は、マスタ(主装置)の動きに1又は複数のスレーブ(従装置)の動きを追従させることができる。これにより、水上移動装置は、マスタにガイド(例えば、観光ガイド等)が乗り、スレーブに観光客が乗る場合、観光客がコントローラ部を操作しなくともスレーブがマスタの動きに自動的に追従するので、観光客に水上を移動する観光(アクティビティ)を楽しませることができる。
【0062】
(態様8)
一態様の水上移動方法では、フロート部、ユニット部及びコントローラ部を備える水上移動装置が、フロート部の動きに関連する物理量を物理量検出部によって検出する物理量検出ステップと、コントローラ部によって入力操作されたフロート部の動きを通信部によって受け付ける通信ステップと、通信部で受け付けたフロート部の動きと、物理量検出部で検出された物理量に基づいて推定されるフロート部の動きとが異なる場合、推定されたフロート部の動きを補正してコントローラ部で入力されたフロート部の動きとなるように複数のスラスタそれぞれを制御部によって制御する制御ステップと、を実行する。
これにより、水上移動方法は、上述した一態様の水上移動装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 水上移動装置
1M マスタ(主装置)
1S スレーブ(従装置)
10 フロート部
20 ユニット部
210 制御部
221 通信部
222 記憶部
223 物理量検出部
224 検出部
230 スラスタ
240 キルスイッチ
30 コントローラ部
400 地上基地
501 位置(マスタ1Mの位置)
502 軌跡(マスタ1Mの位置(移動)の軌跡)
【要約】
【課題】ユーザが気軽に楽しむことが可能な水上移動装置及び水上移動方法を提供する。
【解決手段】水上移動装置は、水上に浮き、周縁部に対しての内側部に水中につながる空洞部が配されたフロート部と、空洞部に対して着脱可能になり、空洞部に装着された場合に水中に位置する複数のスラスタが配されたユニット部と、を備える。ユニット部は、例えば、複数のスラスタそれぞれの回転数等を互いに独立して制御する制御部を備えてもよい。複数のスラスタは、それぞれの回転軸の回転数に差を設けることで、コントローラ部によって指定された方向に移動してもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6