(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20231201BHJP
B65D 47/24 20060101ALI20231201BHJP
B65D 51/24 20060101ALI20231201BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B65D47/42 100
B65D47/24 120
B65D51/24 400
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2018143359
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-02-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】中野 裕之
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-46960(JP,A)
【文献】特開2018-34859(JP,A)
【文献】特開2016-141426(JP,A)
【文献】特開2010-260581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D47/42
B65D47/24
B65D83/00
B65D51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔が形成された中栓部材と、
前記中栓部材に対して移動可能に設けられ、かつ上下方向に延びる筒状のノズル部材と、
前記ノズル部材の内側に位置し、かつ前記中栓部材に間接的または直接的に固定支持された塗布体と、
前記口部に装着されるとともに前記塗布体の上端部を覆うキャップと、を備え、
前記塗布体と前記中栓部材との間には、前記内容液を前記連通孔から前記塗布体に向けて導く流路が設けられ、
前記ノズル部材は、前記流路が開放される第1位置と、前記流路が閉塞される第2位置と、の間で移動可能とされ、
前記キャップが前記口部に装着された状態では、前記ノズル部材が前記第1位置に位置し、
前記キャップと前記ノズル部材との間には、前記キャップが前記口部から取り外されるときに、前記ノズル部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させる連動機構が設けられ、
前記連動機構は、前記ノズル部材の外周面から径方向外側に向けて突出する第1係止部と、前記キャップの内周面から径方向内側に向けて突出して前記第1係止部にアンダーカット嵌合する第2係止部と、を有
し、
前記ノズル部材の外周面には、径方向外側に向けて突出する第2シール突起が形成され、前記第2シール突起は前記ノズル部材が前記第2位置にあるとき前記中栓部材と嵌合して前記流路を閉塞する、塗布容器。
【請求項2】
前記キャップの頂部には、前記容器本体が倒立姿勢となるように接地する接地部が設けられている、請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記容器本体の底面は下方に向けて凸の曲面状に形成されている、請求項1または2に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、下記特許文献1に示されるように、薬液等の内容液を例えば人体の頭皮や皮膚等の被塗布部に対して塗布する塗布容器が知られている。この塗布容器は、ノズル部材と、ノズル部材の内側に位置する塗布体と、を備えている。塗布体は下方に向けて移動可能に配設されており、下方移動させることで塗布体に内容液が染み込むように構成されている。この塗布容器によれば、塗布体を被塗布部に対して押し付けることで、塗布体を介して被塗布部に内容液を塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の塗布容器を使い始める際は、一般的に、塗布体を被塗布部に押し付けた状態にして、塗布体に内容液を染み込ませる。このため、内容液を被塗布部に塗布可能な状態となるまでにある程度の時間を要する場合があり、操作性について改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、使い始めの操作性を向上させた塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る塗布容器は、内容液が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着されると共に、前記容器本体内に連通する連通孔が形成された中栓部材と、前記中栓部材に対して移動可能に設けられ、かつ上下方向に延びる筒状のノズル部材と、前記ノズル部材の内側に位置し、かつ前記中栓部材に間接的または直接的に固定支持された塗布体と、前記口部に装着されるとともに前記塗布体の上端部を覆うキャップと、を備え、前記塗布体と前記中栓部材との間には、前記内容液を前記連通孔から前記塗布体に向けて導く流路が設けられ、前記ノズル部材は、前記流路が開放される第1位置と、前記流路が閉塞される第2位置と、の間で移動可能とされ、前記キャップが前記口部に装着された状態では、前記ノズル部材が前記第1位置に位置し、前記キャップと前記ノズル部材との間には、前記キャップが前記口部から取り外されるときに、前記ノズル部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させる連動機構が設けられ、前記連動機構は、前記ノズル部材の外周面から径方向外側に向けて突出する第1係止部と、前記キャップの内周面から径方向内側に向けて突出して前記第1係止部にアンダーカット嵌合する第2係止部と、を有し、前記ノズル部材の外周面には、径方向外側に向けて突出する第2シール突起が形成され、前記第2シール突起は前記ノズル部材が前記第2位置にあるとき前記中栓部材と嵌合して前記流路を閉塞する。
【0007】
上記態様によれば、キャップが口部に装着されて塗布容器が流通・保管されている状態において、ノズル部材が第1位置に位置しているため、内容液を連通孔から塗布体に向けて導く流路を開放させておくことができる。これにより、塗布容器が流通・保管されている間に、流路を通じて、内容液を塗布体に向けて流動させることができる。したがって、塗布容器を使い始める前に、あらかじめ塗布体に内容液を含浸させておき、塗布容器を使い始める際の操作性を向上させることができる。
また、塗布体が中栓部材に固定支持されているため、塗布体を被塗布部に押し付けた際の塗布体の位置や姿勢が安定する。したがって、内容液をより容易に塗布することができる。また、内容液を塗布する際にノズル部材を第2位置に位置させておくことで、連通孔と塗布体との間の流路が閉塞され、不意に多量の内容液が塗布されてしまうことを抑制できる。
さらに、例えば塗布部材を上方付勢するための部材や塗布部材を移動可能とするための構成が不要であるため、塗布容器の製造コストを低減することができる。
【0009】
また、内容液を被塗布部に塗布するためにキャップを外すことで、ノズル部材が自ずと第2位置に向けて移動するため、流路を閉塞させることができる。したがって、内容液を被塗布部に塗布する際に、流路Rが開放されて不意に多量の内容物が塗布されてしまうことをより確実に抑制できる。
【0010】
また、前記キャップの頂部には、前記容器本体が倒立姿勢となるように接地する接地部が設けられていてもよい。
【0011】
この場合、接地部を接地させることで、容器本体を倒立姿勢のまま維持することが容易になる。したがって、塗布容器が輸送・保管されている間に、内容液の自重によって、より確実に内容液を塗布体に供給することができる。
【0012】
また、前記容器本体の底面は下方に向けて凸の曲面状に形成されていてもよい。
【0013】
この場合、容器本体の底面が曲面状であるため、塗布容器が正立姿勢で輸送・保管されにくくなる。このため、内容液の自重によって、より一層確実に内容液を塗布体に供給することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、使い始めの操作性を向上させた塗布容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1施形態に係る塗布容器の半縦断面図である。
【
図3】
図1の位置からキャップを上方に移動させた状態を示す半縦断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る塗布容器の半縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本実施形態の塗布容器について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、塗布容器1Aは、内容液が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部2aに装着された塗布栓3と、塗布栓3を覆う有頂筒状のキャップ4と、を備えている。
なお、内容液としては、特に限定されないが、例えば人体の頭皮、皮膚、爪等に塗布する育毛剤、水虫薬等の薬剤、化粧料等の液体が挙げられる。また、内容液は、人体用に限定されるものではなく、人体以外に塗布する液体であってもよい。
【0017】
(方向定義)
図1に示すように、容器本体2およびキャップ4は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向(容器軸方向)という。また、上下方向に沿って、キャップ4側を上方といい、その反対側(容器本体2側)を下方という。また、上下方向から見た平面視で、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
図1に示すように、塗布栓3は、中栓部材10と、ノズル部材20と、塗布部材5と、を備えている。中栓部材10は、容器本体2の口部2aに装着されるとともに、容器本体2内に連通する連通孔16を有している。塗布部材5は、中栓部材10およびノズル部材20の内側に位置しており、上端部41がノズル部材20の上端開口部21aから上方に突出している。
【0019】
塗布部材5は、塗布体40と、支持部材30と、を有している。塗布部材5は、中栓部材10に固定支持されている。
ノズル部材20は、
図1に示す第1位置と、第1位置よりも上方の第2位置(
図3参照)と、の間で上下動可能に設けられている。
以下、より詳しく説明する。
【0020】
(中栓部材)
図1に示すように、中栓部材10は、底板部11と、シール筒部12と、軸部13と、フランジ部14と、支持筒部15と、を有している。中栓部材10は、全体として容器軸Oと同軸の筒状に形成されている。中栓部材10は、一体成形された合成樹脂製とされ、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0021】
底板部11は、上下方向から見て円板状に形成されている。シール筒部12は、底板部11の外周縁から上方に向けて延びている。シール筒部12の上下方向における中央部では、内径および外径が、上方に向かうに従って漸次大きくなっている。このため、シール筒部12の上端部の外径は、シール筒部12の下端部の外径よりも大きい。シール筒部12の上部は、容器本体2の口部2aの内側に密に嵌合されている。これにより、シール筒部12の外周面と口部2aの内周面との間には高いシール性が確保されている。
【0022】
軸部13は、底板部11の径方向中央部から、上方に向けて延びている。フランジ部14は、シール筒部12の上端部から径方向外側に向かって突出し、平面視で環状に形成されている。フランジ部14は、容器本体2の口部2aの上端開口縁上に配置されている。これにより、中栓部材10は、その下部が容器本体2の口部2aの内側に配設された状態で口部2aに装着されている。
支持筒部15は、シール筒部12の上端部(フランジ部14の内周縁)から上方に向かって延びている。
【0023】
中栓部材10には、底板部11およびシール筒部12を貫通する連通孔16が形成されている。
図2に示すように、連通孔16は、周方向に間隔を空けて複数形成されている。
図1に示すように、底板部11、シール筒部12、および軸部13によって画成された空間は、容器本体2内からの内容液を貯留する液室Sとして機能する。液室Sと容器本体2の内部とは、連通孔16によって連通している。
【0024】
(塗布部材)
塗布部材5は、塗布体40と、塗布体40をその下方から支持する支持部材30と、を備えている。塗布体40は、その上端部41がノズル部材20の上端開口部21aから上方に突出している。塗布部材5は全体として、容器軸Oと同軸上に配設されている。
【0025】
(支持部材)
図1に示すように、支持部材30は、嵌合筒部31と、中壁部32と、収容筒部33と、を有している。支持部材30は、全体として容器軸Oと同軸上に配設されている。支持部材30は、各部が一体成形された合成樹脂製とされている。
嵌合筒部31は、中栓部材10の軸部13に外嵌されている。これにより、支持部材30は中栓部材10に固定されている。
【0026】
中壁部32は、嵌合筒部31の上端部を閉塞するとともに、嵌合筒部31の上端部から径方向外側に向けて延びている。収容筒部33は、中壁部32の外周縁から上方に向けて延びている。収容筒部33は、支持筒部15の径方向内側に位置している。収容筒部33内に、塗布体40の一部が収容されている。収容筒部33と支持筒部15との間には、筒状の隙間が設けられている。この筒状の隙間に、ノズル部材20のノズル筒部21(後述)が挿入されている。
【0027】
支持部材30には、中壁部32および収容筒部33を貫通する貫通孔34が形成されている。貫通孔34により、収容筒部33の内側の空間と、収容筒部33の外側の空間とが連通している。
【0028】
(塗布体)
塗布体40は、内容液を含浸可能な含浸材で形成されている。
塗布体40に用いる含浸材としては、例えばスポンジ等の多孔質材料や、合成繊維が樹脂溶液によって固化され、毛細管現象を利用して内容液を含浸させることが可能な繊維体等が挙げられる。ただし、含浸材としては、上記に限定されず、内容液を含浸可能な各種の材料を選択することができる。
【0029】
なお、上記繊維体を含浸材として採用する場合には、例えば数μ~数十μの繊維径を有する合成繊維(例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維やアクリル繊維等)を複数束ねた状態で、樹脂溶液を利用して束状の合成繊維を固化させれば良い。その際、気孔率(固体部分である合成繊維と気孔(空隙)との容積比率或いは体積比率)が例えば40%~80%程度の範囲内に収まるように合成繊維の密度を調整すれば良い。これにより、毛細管現象を利用して内容液を適切に含浸させることが可能となる。なお、上記樹脂溶液としては例えばポリウレタン樹脂を溶液化したものを利用できる。
【0030】
図1に示すように、塗布体40は、容器軸Oと同軸に配設された円柱状に形成され、収容筒部33内に配設されている。塗布体40の上端部41は、ノズル部材20の上端開口部21aから上方に突出しており、上方に向けてドーム状(半球状)に膨らんだ形状とされている。
ただし、塗布体40の上端部41の形状は、上記に限定されず、被塗布部の形状や塗布容器1Aの用途等に応じて適宜変更してもよい。さらに、
図1では塗布体40全体の形状が円柱状となっているが、その形状は円柱状に限定されず、被塗布部や塗布容器1Aの用途等に応じて適宜変更してもよい。
【0031】
塗布体40は、収容筒部33に対して、その上方から差し込まれている。塗布体40は、収容筒部33内に嵌合されている。塗布体40の下端面42は、支持部材30の中壁部32の上端面に対して上方から接触している。この構成により、塗布体40と支持部材30とが組み合わされている。
ただし、上記に限定されず、例えば塗布体40の内側に支持部材30を下方から差し込むように連結することで、塗布体40と支持部材30とを組み合わせても良い。あるいは、支持部材30を設けず、軸部13を塗布体40に直接挿入することなどにより、塗布体40が直接的に中栓部材10に固定支持されていてもよい。
【0032】
(ノズル部材)
図1に示すように、ノズル部材20は、ノズル筒部21と、規制部22と、第1係止部23と、開閉筒部24と、を有している。ノズル部材20は、上下方向に延びる筒状に形成され、全体として容器軸Oと同軸上に配設されている。
ノズル筒部21は、中栓部材10の支持筒部15と支持部材30の収容筒部33との間の隙間に位置している。ノズル筒部21は、支持筒部15と収容筒部33との間に位置した状態で、中栓部材10に対して上下方向に摺動可能となっている。
【0033】
ノズル筒部21の下端部には、径方向外側に向けて突出する第1シール突起21bが形成されている。第1シール突起21bは、平面視で全周にわたって連続して延びる環状に形成されている。第1シール突起21bは、支持筒部15の内周面に対して摺動可能に嵌合している。これにより、ノズル筒部21と支持筒部15との間の隙間が閉塞されている。
規制部22および第1係止部23は、ノズル筒部21の外周面から径方向外側に向けて突出している。規制部22は、中栓部材10の支持筒部15に対して上下方向で対向している。
【0034】
開閉筒部24は、ノズル筒部21の下方に位置している。開閉筒部24の内径はノズル筒部21の内径より小さく、開閉筒部24の外径はノズル筒部21の外径より小さい。このため、開閉筒部24とノズル筒部21との接続部には段差28が形成されている。段差28は、上方を向いており、支持部材30の収容筒部33(中壁部32)と上下方向で対向している。
【0035】
開閉筒部24の外周面には、径方向外側に向けて突出する第2シール突起24aが形成されている。第2シール突起24aは、平面視で環状に形成されている。第2シール突起24aは、開閉筒部24の下端部に形成され、中栓部材10の連通孔16に向けて突出している。第2シール突起24aの一部は、連通孔16の内側に位置している。
図3に示すように、ノズル部材20が中栓部材10に対して上方に移動したとき、第2シール突起24aは中栓部材10のシール筒部12内に密に嵌合する。
【0036】
開閉筒部24の下端部には、径方向内側に向けて突出する環状部25と、環状部25の内周縁から上方に向けて突出するガイドリング26と、が形成されている。ガイドリング26は、中栓部材10の軸部13に対して、摺動可能に外嵌されている。
ノズル部材20には、ノズル筒部21を径方向に貫通する貫通孔27が形成されている。貫通孔27により、ノズル部材20の内側と外側とが連通している。
【0037】
(キャップ)
図1に示すように、キャップ4は、頂壁4aおよび周壁4bを有する有頂筒状に形成されている。周壁4bは、容器本体2の口部2aおよび塗布栓3を径方向外側から囲んでいる。頂壁4aは、周壁4bの上端部を塞いでいる。頂壁4aの上端面は、容器軸Oに直交する平面内に延びている。
【0038】
周壁4bのうち、容器本体2の口部2aを囲む部分の内周面には、容器本体2の口部2aに形成された雄ねじ部に螺着される雌ねじ部が形成されている。口部2aの雄ネジ部にキャップ4の雌ねじ部が螺着することで、キャップ4が口部2aに離脱自在に装着されている。
ただし、キャップ4の装着方法は螺着に限定されず、例えば容器本体2の口部2aに対するアンダーカット嵌合によって装着してもよい。
【0039】
頂壁4aには、下方に向けて延びる内筒部4cが形成されている。内筒部4cは、周壁4bの径方向内側に位置している。内筒部4cの下端部には、径方向外側に向けて突出する環状のシール突起4eが形成されている。シール突起4eは、ノズル部材20におけるノズル筒部21の内周面に対して離脱可能に嵌合している。これにより内筒部4cは、ノズル部材20の上端開口部21aをシールしている。内筒部4cと周壁4bとの間には、リブ4gが形成されている。リブ4gは、周方向に間隔を空けて複数形成されている。リブ4gは、ノズル筒部21と上下方向で対向しており、ノズル筒部21に当接している。
【0040】
周壁4bには、径方向内側に向けて突出する第2係止部4dが形成されている。第2係止部4dは、ノズル部材20の第1係止部23にアンダーカット嵌合している。第2係止部4dは、径方向内側に向けて凸となる曲面状に形成されている。キャップ4が上方移動すると、第1係止部23と第2係止部4dとが係止することで、ノズル部材20も上方移動する。これにより、ノズル部材20は第1位置(
図1)から第2位置(
図3)へと移動する。このように、第1係止部23および第2係止部4dは、キャップ4が口部2aから取り外されるときに、ノズル部材20を第1位置から第2位置に移動させる連動機構を構成している。
【0041】
頂壁4aの上端面は、平坦な形状に形成されているため、塗布容器1Aを倒立姿勢とした状態で机上などの載置面に載置する際の接地部4fとして用いることもできる。この場合、接地部4fは、塗布容器1A(容器本体2)が倒立姿勢となるように接地する。接地部4fが設けられていることで、塗布容器1Aを安定して倒立状態とすることができる。
【0042】
(流路)
ここで、上記した中栓部材10の連通孔16、液室S、ノズル部材20の貫通孔27、および支持部材30の貫通孔34は、容器本体2内と収容筒部33内とを連通させる流路Rを構成している。ノズル部材20が第1位置(
図1)にあるとき、流路Rは開放されており、ノズル部材20が第2位置(
図3)にあるとき、第2シール突起24aによって流路Rが閉塞される。
【0043】
(作用)
次に、上述のように構成された塗布容器1Aの作用について説明する。
【0044】
図1に示すように、塗布容器1Aが流通・保管されている状態では、キャップ4が口部2aに装着されており、ノズル部材20は第1位置にある。このため、流路Rは開放されており、容器本体2内と収容筒部33内とが連通している。したがって、塗布容器1Aが流通・保管されている段階で、容器本体2内の内容液を、流路Rを通じて塗布体40に供給し、塗布体40に内容液をあらかじめ含浸させておくことができる。また、キャップ4のシール突起4eにより、ノズル部材20の上端開口部21aがシールされている。このため、塗布体40に含浸した内容液が、ノズル部材20とキャップ4との間の隙間から漏れ出てしまうことが抑制される。
【0045】
なお、塗布容器1Aが流通・保管されている間に、接地部4fを接地させて塗布容器1Aを倒立姿勢とすることで、内容液の自重によって、流路Rを通じて内容液を塗布体40に向かわせてもよい。また、塗布容器1Aを横倒し姿勢にすることで、流路Rを通じて内容液を塗布体40に向かわせてもよい。
あるいは、流路Rを細溝で形成し、その流路R(細溝)に触れた内容液に毛管力が作用するようにしてもよい。この場合、例えば塗布容器1Aを正立姿勢として流通・保管している間にも、毛管力によって内容液を容器本体2から塗布体40へと供給することができる。
【0046】
塗布容器1Aを使用する場合には、
図3に示すように、キャップ4を容器本体2に対して容器軸O回りに回転させるなどによって、キャップ4を上昇させる。このとき、第2係止部4dが第1係止部23にアンダーカット嵌合していることにより、キャップ4とともにノズル部材20が上昇する。これにより、ノズル部材20の第2シール突起24aと中栓部材10のシール筒部12とが液密に嵌合し、流路Rの下端部が閉塞される。本実施形態では、このように流路Rが閉塞される位置を、ノズル部材20の「第2位置」という。つまり、ノズル部材20の第2位置とは、第1位置よりも上方であって流路Rが閉塞される位置をいう。
【0047】
ノズル部材20が所定量上昇すると、ノズル部材20の段差28が支持部材30に対して、その下方から当接する。これにより、ノズル部材20のそれ以上の上昇が規制され、ノズル部材20が最上昇位置に到達する。なお本実施形態では、ノズル部材20の最上昇位置が、第2位置に含まれている。ノズル部材20が最上昇位置にある状態で、さらにキャップ4を上昇させると、第2係止部4dが第1係止部23を上方に乗り越えて、アンダーカット嵌合が解除される。これにより、キャップ4を塗布栓3から取り外すことができる。
【0048】
内容液を塗布する場合には、キャップ4を容器本体2の口部2aから取り外して、被塗布部に塗布体40を当接させる。これにより、塗布体40に含浸している内容液を染み出させて、内容液を被塗布部に塗布することができる。
【0049】
被塗布部への内容液の塗布が完了した後、キャップ4を再び容器本体2の口部2aに装着させると、キャップ4のリブ4gがノズル部材20のノズル筒部21にその上方から当接する。そして、キャップ4に押し下げられることでノズル部材20が第1位置に向けて復元変位する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1Aでは、中栓部材10と塗布体40との間に、内容液を連通孔16から塗布体40に向けて導く流路Rが設けられている。ノズル部材20は、流路Rが開放される第1位置と、流路Rが閉塞される第2位置と、の間で移動可能とされている。そして、キャップ4が口部2aに装着された状態では、ノズル部材20が第1位置に位置している。
【0051】
この構成により、塗布容器1Aが流通・保管されているときに、流路Rを開放した状態とすることができる。そして、内容液を連通孔16から流路Rを通じて塗布体40へと導き、内容液を塗布体40にあらかじめ含浸させておくことができる。したがって、塗布体40を被塗布部に押し付けた際に、スムーズに内容液を塗布することが可能となり、塗布容器1Aの使い始めの操作性を向上させることができる。
【0052】
また、塗布体40が中栓部材10に固定支持されているため、塗布体40を被塗布部に押し付けた際の塗布体40の位置や姿勢が安定する。したがって、内容液をより容易に塗布することができる。また、内容液を塗布する際にノズル部材20を第2位置に位置させておくことで、流路Rが閉塞され、不意に多量の内容液が塗布されてしまうことを抑制できる。特に、揮発性および塗布体40への浸透性が高い内容液を用いた場合には、容器本体2を把持した際の体温などによって内容液が揮発して容器本体2の内圧が高まり、塗布体40に内容液が過剰に浸透してしまう場合がある。このような内容液を用いた場合でも、流路Rを閉塞させておくことで、容器本体2の内圧によって塗布体40に内容液が過剰に浸透することを規制できるため、不意に多量の内容物が塗布されたり、意図しない箇所に内容液が付着したりすることを抑制できる。
さらに、例えば塗布部材5を上方付勢するための部材や、塗布部材5を移動可能とするための構成が不要であるため、塗布容器1Aの製造コストを低減することができる。
【0053】
また、キャップ4とノズル部材20との間には、キャップ4が口部2aから取り外されるときに、ノズル部材20を第1位置から第2位置に移動させる連動機構(第1係止部23、第2係止部4d)が設けられている。このため、内容液を被塗布部に塗布するためにキャップ4を外すことで、ノズル部材20が自ずと第2位置に向けて移動するため、流路Rを閉塞させることができる。したがって、内容液を被塗布部に塗布する際に、流路Rが開放されて不意に多量の内容物が塗布されてしまうことをより確実に抑制できる。
【0054】
また、キャップ4の頂部には、容器本体2が倒立姿勢となるように接地する接地部4fが設けられている。このため、接地部4fを接地させることで、容器本体2を倒立姿勢のまま維持することが容易になる。したがって、塗布容器1Aが輸送・保管されている間に、内容液の自重によって、より確実に内容液を塗布体40に供給することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0056】
本実施形態の塗布容器1Bでは、
図4に示すように、容器本体2の底面2bが、下方(容器軸Oに沿う容器本体2側)に向けて凸の曲面状に形成されている。
【0057】
また、キャップ4の上端部には、径方向外側に向けて張り出した(膨出した)膨出部4hが形成されている。膨出部4hは、内筒部4cおよび頂壁4aを径方向外側から囲っている。膨出部4hは、上方(容器軸Oに沿うキャップ4側)に向かうに従い、漸次径方向外側に延びている。このように、膨出部4hはいわゆる末広がり状に形成されている。頂壁4aの上端面および膨出部4hの上端面は、容器軸Oに直交する平面内に延びる平面状に形成されている。本実施形態では、頂壁4aの上端面および膨出部4hの上端面が、キャップ4の接地部4fとなる。なお、頂壁4aの上端面を膨出部4hの上端面よりも下方に位置させてもよい。この場合、膨出部4hの上端面が単独で接地部4fとなる。
【0058】
本実施形態によれば、膨出部4hによって、キャップ4の接地部4fの径方向の寸法が大きくなっている。したがって、塗布容器1Bの倒立姿勢(
図4の姿勢)を維持しやすい。また、容器本体2の底面2bが曲面状であるため、塗布容器1Bが正立姿勢で輸送・保管されにくくなる。このため、塗布容器1Bがより確実に倒立姿勢や横倒し姿勢で輸送・保管されることとなり、内容液の自重によって、より一層確実に内容液を塗布体40に供給することができる。
【0059】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0060】
例えば、前記実施形態では、ノズル部材20の第2位置が第1位置よりも上方にあり、ノズル部材20が上下動することで流路Rの閉塞および開放が切り替えられた。しかしながら、これに限られず、例えばノズル部材20が中栓部材10に対して容器軸O回りに回転することで、流路Rの閉塞および開放が切り替えられてもよい。また、連動機構は、キャップ4を容器軸O回りに回転させる操作によって、ノズル部材20を容器軸O回りに回転させてもよい。この場合、第2位置は、第1位置からノズル部材20が容器軸O回りに所定量回転した位置となる。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B…塗布容器 2…容器本体 2a…口部 2b…底面 3…塗布栓 4…キャップ 4d…第2係止部(連動機構) 4f…接地部 5…塗布部材 10…中栓部材 16…連通孔 20…ノズル部材 23…第1係止部(連動機構) 30…支持部材 40…塗布体 41…上端部 R…流路