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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】手動プライヤ工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 7/22 20060101AFI20231201BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20231201BHJP
   H01R 43/042 20060101ALI20231201BHJP
   B21F 15/00 20060101ALN20231201BHJP
【FI】
B25B7/22
B25B25/00 D
H01R43/042
B21F15/00 A
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019091429
(22)【出願日】2019-05-14
(65)【公開番号】P2019206073
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-01-05
(31)【優先権主張番号】18173803.0
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523076368
【氏名又は名称】ウェザーク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】トマス グロックセイセン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0011022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0293720(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0165813(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 7/22
B25B 25/00
H01R 43/042
B21F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械的プライヤ部品(3)を有する手動のプライヤ工具(1)であり、前記機械的プライヤ部品(3)は、
a)2つの相対的に旋回可能なハンドレバー(8、9)、
b-1)2つの相対的に運動可能なプライヤジョー(11、12)、
b-2)2つの前記ハンドレバー(8、9)と2つの前記プライヤジョー(11、12)の間に配置され、前記ハンドレバー(8、9)の相対的な旋回と前記プライヤジョー(11、12)の相対的な運動に伴って動かないプライヤヘッド部品(15)、
c)前記ハンドレバー(8、9)の旋回を介して前記プライヤジョー(11、12)が作業ストロークに亘って動かされうるように前記プライヤジョー(11、12)を前記ハンドレバー(8、9)と連結する駆動機構(19)であって、当該駆動機構(19)の少なくとも1つの部分が前記プライヤヘッド部品(15)の領域にある駆動機構(19)
を有し、
d)電子アセンブリ(6)が存在し、それが
da)前記機械的プライヤ部品(3)とは別に形成され、
db)前記プライヤヘッド部品(15)の領域に配置され、
dc)前記プライヤヘッド部品(15)の外側に固定され、
e)前記電子アセンブリ(6)が、前記プライヤ工具(1)の長手軸(13)を横切る断面で前記プライヤヘッド部品(15)の、前記長手軸(13)を横切る断面の少なくとも3つの近接する外面に沿って延在する
ことを特徴とする機械的プライヤ部品(3)を有するプライヤ工具(1)。
【請求項2】
前記電子アセンブリ(6)が
a)電子制御ユニット(57)および/または
b)入力部材(46)および/または
c)出力部材および/または
d)表示部材(48)および/または
e)照明器具(58、59)および/または
f)聴覚的出力部材および/または
g)センサ
を備えることを特徴とする請求項1に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項3】
前記電子アセンブリ(6)が貫通した縁の閉じた凹部(32)を備え、それを通して前記機械的プライヤ部品(3)が延在することを特徴とする請求項1または2に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項4】
前記電子アセンブリ(6)のハウジング(26)が2つの半分のシェル状ハウジング部品(27、28)を備え、それらが組み立てられた状態で周囲方向に閉じて前記機械的プライヤ部品(3)の周りに延在することを特徴とする請求項3に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項5】
前記電子アセンブリ(6)のハウジング(26)がハウジング部品(29)を備え、それが前記プライヤジョー(11、12)の方向を向く前記電子アセンブリ(6)の前面を形成することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項6】
前記プライヤジョー(11、12)の方向を向く前記電子アセンブリ(6)の前面を形成する前記ハウジング部品(29)が前記半分のシェル状ハウジング部品(27、28)と形状結合を前記プライヤ工具(1)の長手方向(13)への継合方向(35)で形成し、前記半分のシェル状ハウジング部品(27、28)は互いに形状結合を前記プライヤ工具(1)の長手方向(13)に垂直な継合方向(31)で形成することを特徴とする請求項4を引用する請求項5に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項7】
前記電子アセンブリ(6)のハウジング(26)が前記ハンドレバー(8、9)の方向を向く前面の上でプライヤヘッド面(10)上への上面図でV字型に形成され、前記ハンドレバー(8、9)がそれぞれV字の脚(38、39)から、前記ハウジング(26)から突出することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項8】
前記プライヤヘッド部品(15)のそれぞれ一面上に回路基板(40、41)が配置されることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項9】
両前記回路基板(40、41)が周囲方向に前記機械的プライヤ部品(3)の周りに延在するケーブル(43)を介して互いに接続されることを特徴とする請求項8に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項10】
前記電子アセンブリ(6)の前記または1つのハウジング(26)が透光性または部分的に透明な部分領域(74)を備え、前記ハウジング(26)の内部に照明器具(58、59)が配置され、それは前記照明器具(58、59)から放出される光が透光性または部分的に透明な部分領域(74)を印加するように配置され配向されることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項11】
前記電子アセンブリ(6)が電池またはアキュムレータ(25)を介して電力供給されることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項12】
前記電池または前記アキュムレータ(25)が前記ハンドレバー(8、9)に統合されていることを特徴とする請求項11に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項13】
前記ハンドレバー(8、9)が金属製ハンドレバー支柱(22、23)および合成樹脂製のグリップ(4、5)を備え、前記電池または前記アキュムレータ(25)が前記ハンドレバー支柱(22、23)と前記グリップ(4、5)の間の間隙に配置されることを特徴とする請求項12に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項14】
前記駆動機構(19)が駆動部材を有し、それが外で前記機械的プライヤ部品(3)に配置され、前記電子アセンブリ(6)のセンサに相関して運動し、前記センサは前記駆動機構(19)の運動を前記駆動部材の前記センサに対する相関的な運動の検知によって検知することを特徴とする請求項1~13の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項15】
前記機械的プライヤ部品(3)がプライヤヘッド(7)の領域で蓋部材(75)を有し、それが蓋板(17、18)の間に形成された間隙を外に向かって前記プライヤヘッド (7)の少なくとも1つの部分円周に亘って閉じることを特徴とする請求項1~14の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【請求項16】
前記電子アセンブリ(6)が電子制御ユニット(57)を備え、
前記電子制御ユニット(57)が制御ユニットを備え、それは
a)電池またはアキュムレータ(25)の充電状態を評価し、および/または、
b)センサまたは前記センサによって検出されるプライヤジョー力および/またはプライヤジョー経路を評価し、および/または、
c)実施された作業ストロークの数を検出しまたは評価し、および/または、
d)前記実施された作業ストロークの検出された数と閾値との比較を行い、および/または、
e)前記プライヤ工具により実施された加工工程の評価を行い、および/または、
f)データの保存を行い、および/または、
g)スタンバイモードで加速度計を介して識別された前記プライヤ工具(1)の運動の際に待機モードを有効化し、当該待機モードの中でセンサが前記プライヤ工具(1)の作動を検知し、および/または前記加速度計を介して識別された設定された期間に持続する前記プライヤ工具(1)の静止状態がスタンバイモードを有効化し、および/または、
h)前記プライヤ工具(1)の作動の検知の際前記センサを介してディスプレイ(48)および/または照明器具(58、59)を有効化し、および/または、
i)設定された第1期間に前記プライヤ工具(1)の作動が行われず、または設定された第2期間に前記プライヤ工具(1)の作動が行われないことが検知された場合、前記ディスプレイ(48)および/または照明器具(58、59)が無効化され、第1期間は第2期間より長く、および/または、
j)無線送信および/または受信装置を作動し、および/または、
k)少なくとも1つの前記照明器具(58、59)の制御を制御し、および/または、
l)前記電池またはアキュムレータ(25)の充電状態が閾値を超えたことが識別されたとき前記照明器具(58、59)を減光し、および/または、
m)ボタン(47)の設定が、前記ボタン(47)の第1期間での作動の際に前記照明器具(58、59)が有効化され、前記ボタン(47)の第2期間での作動の際に無線接続が有効化されるように評価され、および/または、
n)前記プライヤ工具(1)の構成を可能にし、および/または、
o)前記ハンドレバー(8、9)の閉位置の到達を検知し、および/または、
p)前記プライヤ工具(1)の位置決めのための位置決め機能を制御し、および/または、
q)前記プライヤ工具(1)の盗難防止装置を制御し、および/または、
r)前記プライヤ工具(1)の聴覚的出力を制御し、および/または、
s)工作物の規則に基づいた前記プライヤジョー(11、12)への挿入の検査のための電子的挿入検査を実施し、および/または、
t)表示部材(48)に表示を生成し、それは
-製造者、所有者または使用者の名前または標識および/または、
-前記電池またはアキュムレータ(25)の充電状態および/または、
測定されたプライヤジョー力または測定されたプライヤジョー経路または前記測定されたプライヤジョー力の経過および/または、
-実施された前記作業ストロークの数および/または、
-前記プライヤ工具(1)で実施された加工工程の評価結果および/または、
-実施された前記作業ストロークの検出された数の閾値との比較結果および/または、
-前記プライヤ工具(1)の必要な整備に関する指示
であり、ここで関連することを特徴とする請求項1~15の何れか1項に記載のプライヤ工具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプライヤ力が少なくとも部分的におよび好ましくは完全に手の力によって生成される手動プライヤ工具に関する。プライヤ工具は特に圧着プライヤである。圧着プライヤを使ってハンドレバーの手動作動を介して工作物の圧縮または圧着が行われることができる。ここではプライヤ工具が特に継続的な機械的接続および電気的接触の生成のために使われる。これは好ましくはプラグの任意の設計のケーブルまたは電気導体との圧着によって行われる。使用されるダイの形状によって異なる圧着工程が圧着プライヤで実施されることができる。例えば、導体がプラグの閉じた圧着ゾーンの中にまたは閉じたスリーブの中に導入され、圧着ゾーンまたはスリーブの塑性変形によって圧着される閉じた圧着であることができる。しかし、プラグがその中に導体が上から挿入されることができる開いた圧着ゾーンを備える開いた圧着が生成されることも可能である。いくつかの本発明を限定しない例のみを挙げると、ここでは関連する圧着工具である
-DIN4623に準拠したケーブル端子、
-DIN46329に準拠したアルミニウムコネクタ、
-DIN48201に準拠したアルミニウム圧縮ケーブル端子、
-DIN46234に準拠した圧着ケーブル端子、
-DIN46230に準拠したピンケーブル端子または、
- “Werkzeuge fur die professionelle Anwendung”,(独),WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,Veroffentlichungs-Nr.10/11に記述されているようなケーブルまたは導体との接続のためのコネクタ、プラグまたはケーブル端子
によって圧着されることができる。
【0002】
生成された圧着は例えば閉じた圧着のための六角または六角形圧着、正方形圧着、B圧着、台形圧着、修正された台形圧着、楕円形圧着、心金圧着または2心金圧着でありうる。開いた圧着は例えばV圧着またはB圧着、ロール圧着または二重ロール圧着として形成されうる。
【0003】
付加的にケーブルまたは導体とプラグの間の電気接続の生成のために機械的な接続がいわゆる絶縁圧着を使って生成されることができる。ここでは閉じた絶縁圧着または開いた絶縁圧着(特にV圧着またはB圧着、O圧着またはOV圧着)が使用されることができる。
-一般的な圧着プライヤの形成、
-一般的な圧着プライヤの可能な使用領域および/または
-一般的な圧着プライヤを使って生成できる圧着接続の様々な可能な型式
についてのさらなる情報は
- “Crimptechnik, Herstellung prozesssicherer Verbindungen von elektrischen Leitern und Steckern”,(独),WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,Moderne Industrie,Bibliothek der Technik 342
を参照されたい。
【0004】
近年、手動プライヤ工具は益々それによって(例えばプライヤジョーの作業ストロークのプライヤ力または圧着力の監視またはプライヤ工具による作業工程の実施の評価のような)付加的な機能が提供されるべき電子アセンブリとともに形成されるようになった。
【0005】
本発明は使用者の手によってハンドレバー上に適用される作動力が特に電気駆動である駆動によって支持されまたは強化されるため、プライヤ力または圧着力が作動力および駆動力の総合から(場合により作動力および/または駆動機構による駆動力の伝導により)生成される。ここではプライヤ力または圧着力および/または駆動力の大きさの制御が使用者によって適用される作動力によって行われる。
【背景技術】
【0006】
ウェブサイトwww.rennsteig.comでは「MicroCrimp」という標識の、それを使って回転するピンまたはソケット接続の圧着が行われるべき4マンドレル圧着プライヤが提供されている。圧着マンドレルの供給は段階的に0,01mm毎に調整可能である。基本設定の検査は真空計を使って行われることができる。この4マンドレル圧着プライヤの変形は「DigiCrimp」という標識で提供される。この変形は警報機能付き電子的摩耗監視および様々な設定機能の検索を可能にする電子アセンブリを有する。4マンドレル圧着プライヤの固定的プライヤ部品の蓋板の間の電子アセンブリの電気的および電子的部材の受けを可能にするために、「MicroCrimp」の標識で印付けられた4マンドレル圧着プライヤの変形に向き合う蓋板がマンドレルおよび受けのハンドレバーとは反対側で工作物のために延長される。延長の領域で蓋板は中にデジタル
表示が配置される窓のような凹部を備える。相応な実施形態は特許公報欧州特許第2313235号明細書に記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0233043号明細書は圧着プライヤの実施された圧着ストローク数のためのカウント装置を装備する圧着プライヤを開示する。カウント装置は、ハンドレバーの固定プライヤ部品に対する相対運動によってスイッチが入るリードスイッチを形成し、他の接触なしのまたは接触に基づいたスイッチも使用されることができる。一実施形態では電池およびカウント回路が固定プライヤ部品の内部に配置される。補完的にここではカウント結果の無線送信のためのモジュールも統合されることができる。圧着ストロークの設定された数が終わったときLEDを使って使用者に表示されることもできる。他の実施形態ではブロックの中にカウント回路および固定プライヤ部品の外側の無線送信のためのモジュールが保持されることができる。
【0008】
米国特許出願公開2017/0165813号明細書は口語的に「コンビプライヤ」とも言われる鋏のような駆動運動を有する圧着プライヤおよび切断プライヤを開示する。コンビプライヤの2つのプライヤ部品の間にその中に中子が受けられる外に開いた空間が成形される。中子は2つの皿型のハウジング部分を有し、それらは照明器具付き電気回路、接続ケーブル、スイッチ、電池を受ける。照明器具によりクランプジョーおよび切断ジョーの間の領域およびそれによってコンビプライヤによって加工される工作物が照明されることができる。
【0009】
中国実用新案第203804813号明細書は工作物の切断および挟み込み以外に、プライヤジョーの端領域がネジの回転のための機能先端として形成されるため、ネジの回転も可能にするプライヤを開示する。鋏型の作動運動を有するプライヤのハンドレバーの領域に視覚的または聴覚的な信号装置が配置され、それを使って使用者が、プライヤに特に機能先端の領域に電圧が印加されるときに知らせを受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第2313235号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0233043号明細書
【文献】米国特許出願公開2017/0165813号明細書
【文献】中国実用新案第203804813号明細書
【非特許文献】
【0011】
【文献】“Werkzeuge fur die professionelle Anwendung”,(独),WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,Veroffentlichungs-Nr.10/11
【文献】“Crimptechnik, Herstellung prozesssicherer Verbindungen von elektrischen Leitern und Steckern”,(独),WEZAG GmbH Werkzeugfabrik,Moderne Industrie,Bibliothek der Technik 342
【文献】www.rennsteig.com
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、
-電子アセンブリの形成並びに統合および/または
-電子アセンブリの部材の形成並びに統合および/または
-製造および/または組み立ておよび/または
-狭いスペース条件でのプライヤ工具での作業を可能にすることおよび/または
-機能の統合
という観点で改善された手動プライヤ工具を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題は本発明の独立請求項の特徴により解決される。さらなる好ましい実施形態は、従属請求項から明らかになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は使用者による手動手力の適用によって駆動可能な手動プライヤ工具に関わる。手動プライヤ工具は機械的プライヤ部品を有し、それを使ってプライヤ工具の機械的機能が提供される。機械的プライヤ部品は2つの旋回可能なハンドレバー並びに2つの互いに相対運動が可能な(特に旋回可能または相互伝動によって運動可能な)プライヤジョーを有する。ハンドレバーとプライヤジョーは歯車の伝動も有することができ、例えばトグル駆動に基づく駆動機構を介して互いに結合される。それによって使用者によってもたらされるハンドレバーの旋回によりプライヤジョーは作業ストロークに亘って運動されることができる。すると作業ストローク中に工作物が加工される。圧着プライヤとしてのプライヤ工具の形成のために作業ストロークに亘って工作物の圧着が行われ、それはプライヤジョーによって形成されるかまたは担持されるダイを使って行われる。本発明の適用は機械的プライヤ部品の具体的な形成という観点から特定の駆動機構に限定されない。本発明を限定しないいくつかの例のみを挙げると、非公開の欧州特許申請である欧州特許出願第18166739.5号明細書または独国特許発明第102008005472号明細書、独国特許発明第4023337号明細書、独国特許発明第4026332号明細書、独国特許発明第19713580号明細書、独国特許発明第19753436号明細書、独国特許発明第19807737号明細書、独国特許発明第102005003615号明細書、独国実用新案第202008003703号明細書に準拠した駆動機構が形成されることができ、するとこれらの実施形態に従いプライヤジョーの自由度が形成されることができ、プライヤジョーおよびハンドレバーの互いに相関的な配置が行われることができ、プライヤ工具がマルチマンドレル圧着工具として形成される場合、互いに相関的にねじれた作動リングまたは作動板も「プライヤジョー」として見なされうる。
【0015】
本発明はまず、電子アセンブリが機械的プライヤ部品とは独立して形成されることを提案する。これは、電子アセンブリが存在しないときにプライヤ工具の機械的機能も提供されうることを意味する。これは例えばプライヤ工具が2つの変形で製造されることができ、プライヤ工具の1つの変形が電子アセンブリなしで形成され、もう1つの変形が電子アセンブリとともに形成されることを可能にするという結果をもたらす。すると両変形のために同じ機械的プライヤ部品が適用されうる。
【0016】
場合により電子アセンブリの形成は製造および/または組み立ての簡易化のためにも機械的プライヤ部品とは別に行われる。なぜなら一方で機械的プライヤ部品および電子アセンブリが異なる製造場所で製造され、場合により予め組み立てられることもでき、および/または異なる材料から製造されうるためである。
【0017】
さらに本発明は電子アセンブリの配置がプライヤ工具の特別な領域に行われることを提案する:本発明により電子アセンブリは機械的プライヤ部品のプライヤヘッド部品の中に配置される。このプライヤヘッド部品はハンドレバーとプライヤジョーの間に配置されるプライヤヘッドの部分である。このプライヤヘッド部品の領域に場合によりトグル駆動のような駆動部材を有する駆動機構の少なくとも1つの部分がある。プライヤヘッド部品がハウジングまたは蓋板を有するとき、ハウジングまたは蓋板は電子アセンブリのプライヤヘッド部品へのおよびそれによってプライヤ工具への固定のために適応する。
【0018】
本発明の形態はそのようにして何れにせよ存在するプライヤヘッド部品を使用し、それによってプライヤ工具のコンパクトな形態が生じる。反面、本発明の形態は、これが冒頭で説明された製品「DigiCrimp」で行われるような、プライヤヘッドの工作物およびプライヤジョーのための受けを超える延長がプライヤ工具のサイズという観点においてのみならず不利であるという知見に基づく;電子アセンブリのこのような配置のためにまさにプライヤ工具のプライヤヘッドが拡大され、それはプライヤ工具を、その領域で例えば導体圧着が生成されることが必要となる、狭まれた設計空間の中に導入することを困難にし、または不可能にさえもする。
【0019】
本発明の枠内で電子アセンブリは直接プライヤヘッド部品に固定され、それは特に螺合、接着、固定、錠止などの任意の固定可能性によって行われうる。
【0020】
本発明により電子アセンブリはプライヤヘッド部品の領域の断面の中で断面の1辺に沿ってだけではなく、むしろプライヤヘッド部品の断面の隣接する3辺に沿って延在する。
【0021】
例示的にまたは大まかな近似として、機械的プライヤ部品がその領域に電子アセンブリが配置されるプライヤヘッド部品の中に、その向き合う辺がプライヤヘッドの蓋板によって成形された長方形の断面を有するならば、本発明により電子アセンブリはU字型に2つの角で長方形の断面の3つの近接する辺に沿って延在することを前提とする。電子アセンブリが長方形の断面の向き合う辺の領域に配置された部分ユニットを備えることも可能であり、機械的プライヤ部品の前述の長方形の場合の断面のこれらの向き合う辺は好ましくは機械的プライヤ部品の蓋板によって形成されうる長方形の長辺である。すると長方形のこれらの長辺の領域内に電子アセンブリのU字型断面の両辺が延在する。この形態は一方で特にプライヤヘッドの前述の蓋板への電子アセンブリの良好な固定が保証されるという利点を有する。もう一方でプライヤヘッド部品はこれらの向き合う辺の領域に拡大された延在を有するため、電子アセンブリの部材の大多数も、またはこれらの辺の領域のより大きな部材も配置されることができる。すると電子アセンブリのこれらの両部分領域の接続は電子アセンブリのU字型断面の底辺を介して行われる。すると底辺の領域の中には電子アセンブリのさらなる部材が配置されることができる。底辺の領域の中に、U字型断面の側辺の領域の中に配置された部材を互いに接続する電気的な接続回線が設けられることが代替的または累積的に可能である。しかしこれらの部材の電気的接続が機械的プライヤ部品の凹部を通って延在する接続回線によって行われることも全く可能である。
【0022】
本発明の特別な提案では電子アセンブリが貫通した縁部が閉じた凹部を有することが可能である。すると縁部が閉じた凹部を通して機械的プライヤ部品が延在する。換言すると、この形態のための電子アセンブリは貫通して機械的プライヤ部品の周りの周囲方向に延在する。例えばこの形態のために電子アセンブリは一種のリングとして形成されることが可能である。貫通した縁部が閉じた凹部のため、電子アセンブリは前方開口部並びに後方開口部を有する。前方開口部の領域で電子アセンブリからプライヤジョーが延び、電子アセンブリの縁部が閉じた凹部の後方開口部からはハンドレバーが延びる。しかしプライヤジョーあるいはハンドレバーが割り当てられた開口部の上流あるいは下流に配置され、この場合、駆動機構の駆動部材またはプライヤヘッドのハウジングが開口部から延びることも可能である。
【0023】
本発明の枠内で電子アセンブリが任意の電気的および電子的部材によって形成されることができ、これについては従来技術の電子アセンブリも比較されたい。本発明のプライヤ工具のさらなる実施形態では電子アセンブリが電子的制御装置を有し、それは複数の相互接続された副制御装置とも理解されうる。本発明を限定しない一例のみを挙げると、制御
装置は「NXP Kinetis KW41Z、ARM Cortex-MO+、48MHz」型式のCPUであり、CPUには(特に512kB Flashまでおよび128kB SRAMまでの)メモリも分類されうる。代替的または付加的に電子アセンブリが入力部材を有することも可能である。このような入力部材の形態には多様な可能性がある。そのため入力部材は使用者の要望または信号の直接の入力に使われることができる。この場合入力部材は例えばスイッチ、回転ボタン、またはキーボードであることさえもできる。しかし近接する構成要素との通信のための入力部材が電子アセンブリの中に存在することも可能である。すると例えば入力部材が有線インタフェース(例えばUSBインタフェース)または無線インタフェース(例えばWLANまたはBluetooth(登録商標))でありうる。相応に無線または有線出力部材が存在することができ、するとそれを介して(無線または有線で)電子アセンブリが使用者による手動設定の送信および/または電子アセンブリによる操作変数、測定量またはその他の信号の出力のための外部装置と通信することができる。電子アセンブリが表示部材、特に(一桁または複数桁の)ディスプレイを備えることが代替的または付加的に可能である。電子アセンブリが例えば作動状態の表示として、不適切な作業プロセスの警告として、電池の充電状態のための信号装置などとして使用できる照明器具を備えることが代替的または付加的に可能である。そのような照明器具は例えば任意のカラーのLEDまたはRBG-LEDでありうる。しかしプライヤ工具の構成要素、特にロケータまたは工作物の受けおよび/またはプライヤ工具の周囲を照明するために照明器具を使用することも可能である。最終的に、プライヤ工具を光学的に可視化し、例えば暗くした空間または工具箱の中でおよび/または照明器具を介してプライヤ工具あるいは電子アセンブリの動作準備ができたことを知らせるために、照明器具を介してプライヤ工具の基礎照明が行われることも可能である。電子アセンブリが聴覚的出力部材を有することが代替的または付加的に可能である。電子アセンブリを介して使用者との通信が行われることができ、それによって例えば動作準備ができたことを知らせ、プライヤジョーが終了位置に達したことにより作業ストロークが完全に終了したことを知らせ、計測されたプライヤ力経過の評価、および/またはプライヤジョーの測定された撓みの評価および/または経過という観点から信号が送られる。電子アセンブリがセンサを備えることが代替的または付加的に可能である。このようなセンサは例えば加速度計でありうる。本発明を限定しない一例のみを挙げると、加速度計はNXP社のセンサ「MMA8652FC」でありうる。このような加速度計を介してプライヤ工具が格納されているか、使用者の手の中で動かされているかが識別されることができる。加速度計を介してプライヤ工具の受容が比較的長い静止後に発生した加速によって識別されると、入力という観点から最適化されたスタンバイ状態から待機モードへの交替が行われることにより、電子アセンブリの「覚醒」が行われる。本発明を限定しないセンサの形態のためのさらなる例のみを挙げると、センサは、それを介してプライヤ力または圧着力が測定される力センサ、またはプライヤジョーまたは駆動機構の任意の駆動部材の作動ストロークを検出する変位センサでありうる。プライヤ工具との無線通信のためにIEEE802.15.4規格の無線技術2,4GHzが適用されることが可能であり、「Bloetooth Low Energy 4.2」技術も使用されうる。センサが特に標識「AMS TCS 73327」で販売されるIR-Proximityセンサとして形成されうるカウンターであることが可能である。表示部材として例えばOLEDディスプレイが使用されることができ、ここでは例えば標識「VGM 096064 A5W01」で販売され96×64ピクセルの白いモノクロームの解像度を有する製品を備える。
【0024】
電子アセンブリのハウジングの材料の選択並びにその形態には本発明の枠内で多様な可能性がある。例えばハウジングは任意の数の合成樹脂から成るハウジング部品によって製造されることができる。本発明の提案では電子アセンブリのハウジングは2つの半分のシェル状ハウジング部品を備える。2つの半分のシェル状ハウジング部品は組み立てられた状態で周囲方向に閉じており、それによってこれらは一種のリングを形成する。すると両ハウジング部品は組み立てられた状態で機械的プライヤ部品の周囲に延在する。するとこ
れらの2つの半分のシェル状ハウジング部品の中に機械的プライヤ部品が配置されるため、その中に電子アセンブリの部材が受容される電子アセンブリの内部空間は、外で2つの半分のシェル状ハウジング部品によって画定され、するとこの内部空間は中では機械的プライヤ部品によって、特に蓋板によって画定される。好ましくは2つの半分のシェル状のハウジング部品は中で緊密におよび場合によっては気密にさえも機械的プライヤ部品に接続する。本発明の枠内で両ハウジング部品の互いのおよび/または機械的プライヤ部品との接続は任意に行われうる。そのため例えば両ハウジング部品が互いにおよび/または機械的プライヤ部品と圧着、接着、固定、錠止、押圧および/または螺合されることが可能である。
【0025】
電子アセンブリのハウジングがプライヤジョーの方向を向く電子アセンブリの前面を形成するハウジング部品を備えることも可能である。本発明の特別な提案では電子アセンブリのハウジングが2つの前述の半分のシェル状のハウジング部品およびプライヤジョーの方向を向く電子アセンブリの前面を形成するもう1つのハウジング部品の3部分によって形成される。
【0026】
この後者の実施形態の発展形態では2つの前述の半分のシェル状ハウジング部品が互いにプライヤ工具の長手軸に垂直に方向付けられた継合方向で生成される形状結合を形成する。基本的にこのように互いに継合された半分のシェル状ハウジング部品の解除は、これらが継合方向に向かってプライヤ工具の長手軸に垂直に力によって印加されるときに行われうる。プライヤジョーの方向を向く電子アセンブリの前面を形成するもう1つのハウジング部品はこの場合半分のシェル状ハウジング部品と形状結合を形成し、この形状結合のためにプライヤ工具の長手軸の方向に向けられる継合方向が使用されうる。もう1つのハウジング部品の2つの互いに組み合わされた半分のシェル状ハウジング部品とのこのような形状結合的接続は、両半分のシェル状ハウジング部品の解除が少なくとも困難になることを保証する。なぜならこれが半分のシェル状ハウジング部品のプライヤ工具の長手軸に垂直な運動を要求するが、これがハウジング部品によって阻止されるためである。
【0027】
電子アセンブリのハウジングの基本的形状には本発明の枠内で多様な可能性がある。本発明の提案では電子アセンブリのハウジングがプライヤヘッド面への上面図でハンドレバーの方向に向けられる前面の上でV字型に形成され、V字の両脚の結合領域が丸みを帯び平らでありうる。ハンドレバーはこの場合それぞれV字の脚からハウジングから突出する。これによって、そこでV字の脚の結合領域が両ハンドレバーの間に成形される間隙の中に延びうる特にコンパクトな形態が生じる。
【0028】
本発明の枠内で電子アセンブリは少なくとも1つの回路基板を備え、それは電子アセンブリの電気的および電子的部材および/または電子制御ユニットを担持する。本発明の提案ではそれぞれ1つのプライヤヘッド部品の側に1つの回路基板が配置される。ここでは回路基板がハウジング部品と螺合されるためこれらが機械的プライヤ部品と接続されなくてもよいことがある。簡単な場合、電子アセンブリの全部材がハウジングに固定され、それはその後またも機械的プライヤ部品に固定される。
【0029】
プライヤヘッド部品の向き合う側に配置された2つの回路基板の使用では両回路基板がケーブルを介して互いに接続されうる。ここではケーブルが機械的プライヤ部品の凹部を通って延びることが可能である。但し本発明のさらなる提案では両回路基板が機械的プライヤ部品の周りの周囲方向に1つの回路基板からもう1つの回路基板へと延びるケーブルを介して互いに接続される。機械的プライヤ部品が電子アセンブリの領域で長方形の断面を有し、その長辺が蓋板によって成形される前述の例では、両回路基板がそれぞれ蓋板の外側の領域に配置され、するとケーブルが長方形の断面のこれらの長辺から長方形の角の周りおよび長方形の断面の短辺に沿って1つの回路基板からもう1つの回路基板へと延び
る。ケーブルは例えば柔軟なリボンケーブルでありうる。ケーブルはこの場合、機械的プライヤ部品により並びに外では電子アセンブリのハウジングによって画定される円環状の内部空間の中に延びる。
【0030】
プライヤ工具の本発明の形態では電子アセンブリのハウジングが透明または部分透明の部分領域を有する。例えばこの部分領域はプライヤジョーの方向を向く電子アセンブリの前面を形成するもう1つのハウジング部品によって形成されることができる。この形態では電子アセンブリのハウジングの内部に照明器具が配置される。この照明器具は、照明器具から放出される光が透明または部分透明の部分領域を印加するように配置され方向付けられる。部分領域が透明であれば照明器具を使って電子アセンブリの周囲領域、つまり例えば圧着プライヤのロケータまたは工作物用の受けの照明が行われうる。照明器具の光が透明な部分領域を通って差し込み、それを介してプライヤ工具の周囲が照明されることができる一種の懐中電灯の機能の使用も可能になる。それに対して照明器具から放出される光が部分透明な部分領域上に発生し、その領域で反射も起こると、部分領域のバックライトが生じることができ、それによって例えば一種のカラーのリングが電子アセンブリに生成されることができる。この後ろから照明される部分領域を介して電子アセンブリの様々な作動状態が照明に応じて可視化されることができる。そのように例えば点滅する部分領域を介して、連絡が無線接続を介して試みられることが知らされることができ、その間に恒久的バックライトにより、連絡が無線接続を介して行われることが知らされる。部分領域のバックライトにより場合によっては別のカラーで、電子アセンブリがスタンバイしていることを知らせることが代替的または付加的に可能である。照明器具から放出される光の使用、照明器具の配向およびプライヤ工具への統合のさらなる可能性という観点では例示的に米国特許出願公開第2011/0235312号明細書並びに欧州特許出願公開第3312949号明細書を参照されたい。
【0031】
電子アセンブリがプライヤ工具に接続されたケーブルを介して電気エネルギーを供給されることが全く可能である。しかし好ましくは電子アセンブリが電池またはアキュムレータを介してエネルギー供給される。電池またはアキュムレータ、特にボタン電池は例えば電子アセンブリ中に統合されうる。本発明の別の提案では電池またはアキュムレータがハンドレバー中に統合されるため、電池またはアキュムレータは電子アセンブリとは別に形成され配置され、これと電気供給ケーブルによって接続される。本発明のこの形態は何れにせよハンドレバー領域中にある設計空間を使用する。
【0032】
特別な形態ではハンドレバーが金属ハンドレバー支柱を備える。この金属ハンドレバー支柱の周りに合成樹脂から成るグリップが延在する。この場合グリップとハンドレバー支柱の間に間隙が形成され電池またはアキュムレータは間隙中に配置される。ここでは電池またはアキュムレータ用の受けは例えばハンドレバー支柱に保持されうる。
【0033】
本発明のさらなる提案は駆動機構の運動およびそれによってプライヤジョーの運動の検出に従事する。駆動機構が外で機械的プライヤ部品に配置される駆動部材を備えることが提案される。本発明を限定しない一例のみを挙げると、これは未公開の欧州特許申請書である欧州特許公開第18166739.5号明細書によって形成されたプライヤ工具の押レバーでありえ、そこでは押レバーがプライヤヘッドの蓋板の外に配置される。この駆動部材は(場合により小さな間隔を置いて)電子アセンブリのセンサに相関的に移動される。するとセンサは駆動部材およびそれによって駆動機構およびプライヤジョーの運動を検知することができる。ここではセンサが経路を検知できる。しかしセンサが作業ストロークの設定された部分ストロークの達成、例えば作業ストロークの15%の超過または閉位置の達成のための切り替えのみを知らせることも可能である。例えばここでは「IR-Proximityセンサ」の型式のセンサがカウンターとともに使用されることができる(商業的に販売されている製品「AMS TCS 73327」参照)。
【0034】
機械的プライヤ部品がプライヤヘッドの領域にそれらの間でプライヤジョーおよび/または駆動機構の駆動部材が配置される蓋板を有するとき、蓋板の間に成形される間隙が外に向かって開くことがあり、それは視覚的に好感を与えないことがあり、物体の侵入または汚染を結果として招くこともある。この外に向かって開く間隙を介して電子アセンブリへのアクセスがもたらされることも可能になり、それは望ましくないことでありうる。これを防止するために本発明は、機械的プライヤ部品がプライヤヘッドの領域でカバー部材を備えることを提案する。カバー部材は蓋板の間に形成された間隙を外に対して少なくともプライヤヘッドの部分周囲に亘って閉じ、それは好ましくは電子アセンブリに隣接する周囲領域中および/または電子アセンブリの内部の場合である。本発明を限定しない一例のみを挙げると、カバー部材はT字型の断面を有しうる。ここではT字の上部横脚の長さが蓋板の間隔に相応する。それによってT字の上部横脚は蓋板の前面に着接し、間隙を閉じる。T字の上部横脚は間隙の中に進入し、例えば形状結合および/または摩擦結合式に間隙の中あるいは間隙を画定する蓋板により押圧されまたは圧着されることができる。
【0035】
本発明のさらなる形態は電子制御ユニットの制御ロジックによるさらなる機能の保証を対象とする:
-電子制御ユニットの制御ロジックを使用し、電池またはアキュムレーターの充電状態の評価が行われることが可能である。例えば低い充電状態が識別された場合、表示がLEDまたはディスプレイを介して行われることが可能である。電池の充電状態の閾値が超過された場合、省エネルギーモードが有効化されることも可能であり、その場合例えば照明器具またはディスプレイが減光または無効化される。
-電子制御ユニットの制御ロジックがセンサによって算出されたプライヤジョー力または(あるいは駆動機構の部材のそれと相関する経路の)プライヤジョー経路が評価されることが可能であり、それは校正係数、後のさらなる加工のための保存、閾値との比較、予定曲線との比較などを考慮して行われうる。
-電子制御ユニットの制御ロジックが実施された作業ストロークの数を算出することが可能であり、それは例えばプライヤ工具から製造または最後の整備以来実施された作業ストロークあるいは1日でまたは予定された期間内に実施された全作業ストロークでありうる。実施された作業ストロークの数は閾値と比較されることが可能であり、すると閾値の超過により、プライヤ工具がすぐにまたはさらなる作業ストロークの一定の数の後、待たれなければならず、または使用不可能でさえあることが使用者に知らされることができる。実施される最大作業ストロークのための設定の超過によりプライヤ工具の無効化が電子制御ユニットによりもたらされることも考えられ、それは例えばプライヤ工具の可動部品の錠止または駆動機構中に統合された連結の1つの解除の元で行われることができる。実施される作業ストロークの算出および評価のさらなる細部の観点については例えば欧州特許申請である欧州特許出願公開第2995424号明細書を参照されたい。
-電子制御ユニットの制御ロジックがプライヤ工具によって実施された加工工程の評価を行うことも可能である。この評価は例えば検知されたプライヤ力(例えば圧着力の最大値または作業ストロークの設定された部分ストロークの達成のための圧着力)がプライヤ力の設定された領域内にあるか、またはプライヤ力の経過が理想的なプライヤ力の経過のための設定された交差内にあることによって行われることができる。
-電子制御ユニットの制御ロジックが特に実施された作業ストロークの数、離散値またはプライヤ力の経過および/またはプライヤジョーの経路などのデータの保存を行うことができる。するとこのような保存されたデータは後に選り分けられプライヤ工具によって生成された作業成果の記録に使用されることができる。
-本発明は例えば実施された作業ストロークの数のようなデータが保存される実施形態も含むが、このような保存されたデータの選り分けは製造者のみによって行われることができ、その後それによって製造者がこれらのデータに基づきプライヤ工具の起こりうる故障の診断を行うことができる。プライヤ工具が全く使用されておらず、例えば工具箱の中ま
たは机上に置かれているとき、電子アセンブリが電気エネルギーを使い過ぎることを防ぐように、電子制御ユニットの制御ロジックがエネルギーマネージメントを行うことが可能である。この形態ではプライヤ工具が基本的にその中で消費電力が最小化されるスタンバイモードを採る。しかしこの場合スタンバイモードで加速度計の信号が、プライヤ工具の運動が特に発生する測定された加速によって識別されるように評価される。プライヤ工具のこのような運動がプライヤ工具の使用者による受容によって識別されるとき、電子制御ユニットの制御ロジックが待機モードを有効化するため、スタンバイモードが終わる。すると待機モードで電子アセンブリの拡張された機能が保証されるため電子アセンブリは「覚醒」される。本発明の形態では待機モードでプライヤ工具の作動が行われるかどうかが例えばセンサを介して検知される。センサは例えば作業ストロークの実施が行われるかを検知することができ、それは変位センサまたはリミットスイッチを介して行われることができる。プライヤ工具の作動が行われるかどうかのこのような監視は例えば待機モードに交替する後、設定された期間(特に10秒)で行われる。この期間内にプライヤ工具の作動が行われないとき、スタンバイモードへの自動的復帰が行われる。待機モードの有効化後、プライヤ工具が設定された期間内に静止状態で発生する運動がないことが加速度計を介して識別されるとき、スタンバイモードへの復帰が制御ロジックによってもたらされることも可能である。
-(場合により前述されたようなスタンバイモードから待機モードへの交替の後)プライヤ工具の作動がセンサを介して識別される場合、電子制御ユニットの制御ロジックを使ってディスプレイおよび/または照明器具が有効化されることが可能である。照明器具のために例えば使用者にプライヤ工具の待機モードが知らされることができる。さらにディスプレイの有効化を使って使用者にとって重要な情報の表示をディスプレイに提示することができる。
-設定された第1期間にプライヤ工具の作動が行われず、しかしまた設定された第2期間にプライヤ工具の作動が行われないことが制御ロジックを使って検知されるとき、ディスプレイおよび/または照明器具が無効化されることができる。この形態では好ましくは第1期間が第2期間より長い。
-電子制御ユニットの制御ロジックが無線通信装置および/または受信装置の操作の役割を果たすことができる。受信装置を介して例えばプライヤ工具および/または電子アセンブリの構成が行われることができる。それに対して無線通信装置を介して例えば実施された作業プロセスの観点からのデータの外部評価装置への伝達が行われうる。
-電子制御ユニットの制御ロジックが少なくとも1つの照明器具、例えば(LED)の制御を行うことが可能である。この制御は照明器具の有効化および無効化、照明器具のカラーの変化、照明器具の恒常的作動から点滅作動への交替などから成りうる。
-電池またはアキュムレータの充電状態が閾値を超え、それによってプライヤ工具のエネルギー消費が削減されるとき、電子制御ユニットの制御ロジックが照明器具または表示を減光することも可能である。
-第1期間のためのボタンの作動の際に照明器具が有効化され、第2期間のためのボタンの作動の際に無線接続が有効化されることにより、電子制御ユニットの制御ロジックが使用者によって作動されうるボタンの設定を評価することが可能である。このようにして例えば第1期間のためのボタンの作動の際に照明器具が有効化され、それによってプライヤ工具の周辺の照明、つまり懐中電灯に似た機能が有効化され、第2期間のためのボタンの作動のために(例えばBluetooth(登録商標)を介して)接続の構築が可能になる。
-制御ロジックがプライヤ工具の(再構成)を可能にし、それが無線または有線通信を使ってまたはプライヤ工具の入力フィールドへの直接の入力によって行われうることが可能である。いくつかの本発明を限定しない例のみを挙げると、構成が使用者またはプライヤ工具が使用される企業の名前または製造者の名前または標識がプライヤ工具に「反映」されることで成り立つ。しかし構成が、プライヤ工具の中に導入されたセンサのための校正要因が伝達され、またはプライヤ工具にもどのような種類の工作物が加工されるべきかと
いう知識をもたらすことで成立可能であり、すると場合によってプライヤ工具の様々な作動の仕方も制御ロジックによって制御されることができる。
-制御ロジックが、ハンドレバーの閉位置が到達されたかを検知することが可能である。これは継続的な経路を検知するセンサのまたはリミットスイッチの信号の評価によっても行われうる。これは一方でプライヤ工具の作業ストロークをカウントするため、およびもう一方でプライヤ工具の作業ストロークが規則通り実施されたかの評価のために使用される。
-電子制御ユニットの制御ロジックがそれを介してプライヤ工具の位置決めが可能になる位置検出機能を制御することが可能である。代替的または付加的に制御ロジックがプライヤ工具の盗難防止装置を制御することが可能である。プライヤ工具が例えばGPSおよび例えばモバイルカードのような送信および/または受信装置を有するとき、プライヤ工具を探す際に例えばスマートフォンにプライヤ工具の現在位置が伝達されうる。しかし位置検出機能がスマートフォンのような外部機器を介して有効化され、プライヤ工具が光を発しまたは聴覚信号を送ることのみで成立し、それを基礎にしてプライヤ工具の発見が簡易化されることも可能である。さらに盗難防止のために盗難防止装置の有効化の信号がプライヤ工具に伝達されることが可能であり、するとそれによってプライヤ工具がアクチュエータによって制御される錠止によってブロックされることができ、または駆動機構の連結が開いた状態に移行される。
-さらに電子制御ユニットの制御ロジックが、それを介して工作物のプライヤジョーへの規則通りの挿入が行われたかの検査が行われる電子的挿入検査を保証することが可能である。これは例えばプライヤ工具の工作物用の受けの領域での接触によって行われる。すると接触力または接触の起動に従い制御ロジックを使って、工作物が正しく受けに挿入されたかどうかが結論づけられることができる。
-さらに制御ロジックが、表示の制御を担当し、それは例えば製造者、所有者または使用者の名前または標識、電池またはアキュムレータの充電状態、測定されたプライヤジョー力または測定されたプライヤジョー経路またはその経過、実施された作業ストローク数またはまだ残っている作業ストローク数、プライヤ工具によって実施された加工工程の評価結果、実施された作業ストロークの検知された数と閾値との比較結果、および/またはプライヤ工具の必要な整備に関する指示を表示する。
【0036】
本発明の有利な発展形態は、特許請求の範囲、明細書、および図面から明らかになる。明細書中に挙げられた特徴、および複数の特徴の組合せの利点は単に例示的なものであり、代替的または累積的に効果を表してもよく、その際、これらの利点が本発明による実施形態によって必ずしも達成される必要はない。これによって、添付の請求項の主題が変更されることはなく、出願時の出願書類および特許の開示内容に関しては次のとおりである:さらなる特徴は、図面、-特に複数の構造要素の図示された形状および相対寸法、ならびにそれらの相対配置および作用結合から読み取れる。本発明の異なる実施形態の特徴、または異なる請求項の特徴の組合せが同様に、請求項の選択された引用との逸脱も可能であり、当該組み合わせによって示唆される。このことは、別個の図面に示されているか、またはこれらの図面の説明に挙げられた特徴にも関する。これらの特徴は、異なる請求項の特徴と組み合わせることもできる。同様に、特許請求の範囲に記載された本発明の他の実施形態に係る特徴が省略されてもよい。
【0037】
請求項および明細書に挙げられた特徴は、その数に関して、まさにその数または挙げられた数よりも大きい数が存在することと解されるべきである。その際に「少なくとも」という副詞の明示的な使用は必要でない。すなわち、例えば照明器具、回路基板または制御機器のことが問題である場合、これは正確に1つの照明器具、回路基板または制御機器、2つの照明器具、回路基板または制御機器、またはそれ以上の照明器具、回路基板または制御機器が存在し得ると解されるべきである。これらの特徴に別の特徴が補足されてもよいし、それぞれの成果物をなす特徴だけであってもよい。
【0038】
請求項に含まれる参照符号は、請求項により保護される対象の範囲を限定するものではない。これらの参照符号は、請求項を容易に理解する目的で用いられるにすぎない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
以下に本発明が図示された好適な実施形態例を元にさらに解説され説明される。
図1図1は圧着プライヤとして形成されたプライヤ工具の空間図を示す。
図2図2はここではプライヤ工具が部分的に解体された図1のプライヤ工具を示す。
図3図3はさらに部分的に解体された状態の図1および図2のプライヤ工具を示す。
図4図4図1~3のプライヤ工具のハンドレバーのグリップを空間図で示す。
図5図5図1~3のプライヤ工具の電子アセンブリを取り外された蓋およびケーブルを介した電池またはアキュムレータ用ホルダーとの接続とともに示す。
図6図6図5の電子アセンブリから取り外された蓋を空間図で示す。
図7図7は、その中に配置された、ケーブルを介して互いに接続される回路基板を有する電子アセンブリの半分のシェル状ハウジング部品、および電子アセンブリのケーブルを介した電池またはアキュムレータとの接続を示す。
図8図8図7の電子アセンブリの構成要素を分解図で示す。
図9図9図1~3のプライヤ工具を空間的分解図で示す。
図10図10はプライヤ工具1の電子制御ユニット6の制御ロジックを使って実施されうる方法を例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1がプライヤ工具1、ここでは圧着プライヤ2を閉位置で完全に取り付けられた状態で示すのに対し、図2および図3は圧着プライヤ2を異なる部分解体状態で示す。図3では解体の結果、機械的プライヤ部品3のみが残る(但し機械的プライヤ部品3は図3から逸脱して図3で取り外されたグリップ4、5も備える)。機械的プライヤ部品3は完全に機能するプライヤ工具1’であり、それを使って工作物の所望の加工が行われうる。機械的プライヤ部品3から取り外されたさらなる部材、特に電子アセンブリ6は工作物の本来の機械的加工に参画しないさらなる機能のみを供給する。
【0041】
機械的プライヤ部品3はプライヤヘッド7並びに(図3では示されないグリップ4、5とともに成形されうる)ハンドレバー8、9を備える。プライヤヘッド7はプライヤヘッド面10に平行に延在する。プライヤヘッド面10は非常に小さい鋭角の元で図1~3の図面に対して傾斜する。
【0042】
ハンドレバー8、9並びにプライヤジョー11、12は圧着プライヤ2の作業ストロークに亘ってプライヤヘッド面10の中で運動し、それは図示された実施形態例ではプライヤヘッド面10に垂直に方向付けられた旋回軸を中心とした旋回によって行われる。圧着プライヤ2は長手軸13を有し、それは圧着プライヤ2の主要延在方向に相応し、ハンドレバー8、9の角の二等分に相応するか、または固定ハンドレバー8に垂直に、および/または固定プライヤジョー11に垂直に方向付けられる。
【0043】
プライヤヘッド7は、その領域にプライヤジョー11、12が配置される第1プライヤヘッド部分14、並びに第1プライヤヘッド部分14とハンドレバー8、9の間に配置された第2プライヤヘッド部品15を備える。
【0044】
プライヤヘッド部品15の領域に圧着プライヤ2が作業ストロークに亘って不動のハウジング16を有する。図示された実施形態例では圧着プライヤ2がパネル状構造で製造される。この場合ハウジング16は蓋板17、18とともに成形される。
【0045】
図示された実施形態例ではハウジング16あるいは蓋板17、18が固定ハンドレバー8並びに固定プライヤジョー11と固定的に結合されるため、プライヤジョー11は圧着プライヤ2の作業ストロークに亘りハンドレバー8に対して相関運動を行わない。この固定的に互いに結合する部材は固定的プライヤ部分21を成形する。プライヤヘッド部品15の領域で駆動機構19を介したハンドレバー8、9のプライヤジョー11、12との連結が行われ、これは図示された実施形態例では可動ハンドレバー9の可動プライヤジョーとの連結のみに該当する。ここでは任意の駆動機構19が使用されることができ、これは好ましくは押レバー20を有するトグル駆動を備える。駆動機構19の駆動部材はここでは蓋板17、18の間に配置されおよび/またはこの外に配置されうる。
【0046】
図3では駆動機構19の押レバー20が蓋板17の外にある。作業ストロークに亘って押レバー20の、ハンドレバー8、ハウジング16、ここでは蓋板17、18および固定プライヤジョー11とともに成形される固定プライヤ部分21に対する相対運動が行われる。
【0047】
駆動機構19のさらなる形態、ここで使用される駆動部材、駆動部材の相互のおよびハンドレバー8、9との並びにプライヤジョー11、12との連結という観点から、および駆動部材、ハンドレバー8、9およびプライヤジョー11、12のための駆動部材およびピボット軸受の形態は未公開の欧州特許出願である欧州特許出願公開第18166739.5号明細書を参照されたい。しかし本発明の枠内では、例えばプライヤジョーが互いに相関して旋回されず、プライヤジョーが互いに並進運動を行い、および/またはハンドレバーが他の駆動機構を介してプライヤジョーと連結される任意の他のプライヤ工具も使用されることができ、冒頭で挙げられた従来技術によるプライヤ工具の実施形態も比較されたい。プライヤ工具がハウジング16を備え、プライヤジョー11、12とハンドレバー8、9の間に配置されるプライヤヘッド部品15を有することがむしろ決定的である。
【0048】
ハンドレバー8、9はそれぞれパネル状のハンドレバー支柱22、23を備え、その上でグリップ4、5がプライヤヘッド7とは逆の方向を向く端部領域から押し動かされることができ、そこに固定されることができ、それは例えばプレス接続および/または接着によって行われうる。固定プライヤ部分21の構成要素であるハンドレバー支柱22に電池またはアキュムレータ25用のホルダー24が固定される。
【0049】
電子アセンブリ6はハウジング26を備える。ハウジング26は2つの半分のシェル状ハウジング部品27、28並びに一種の蓋30を成形するさらなるハウジング部品29を備える。
【0050】
図5は2つのハウジング部品27、28の互いに対する取り付けを示し、図6は蓋30を示す。ハウジング部品27、28は(ここではプライヤヘッド面10に相応する)ハウジング部品27、28の分離面に垂直に方向付けられた継合方向31に互いに継合される。ここでハウジング部品27、28の栓または突起またはハウジング部品27、28とは別に形成されたピン(接続ピン55と比較のこと)も継合方向31にハウジング部品27、28の相応の凹部に嵌入し、それは好ましくはプレス接続の形成の元で行われる。
【0051】
両ハウジング部品27、28は長手軸方向に方向付けられた貫通する凹部32をプライヤヘッド部分14の方向に向けられた前方開口部33、およびハンドレバー8、9の方向に向けられた後方開口部34とともに成形する。
【0052】
ハウジング26の完全な取り付けのために蓋30は、長手軸13に平行に方向付けられた継合方向35に、取り付けられたハウジング部品27、28と結合される。蓋30は継合方向35に突起する、特に締まり嵌めとともにハウジング部品27、28の凹部または
孔37に嵌入する栓36を備える。
【0053】
ハウジング26はハンドレバー8、9の方向に向けられた前面の領域でプライヤヘッド面10に垂直な視線のとき、脚38、39によってほぼV字型に形成される。脚38、39の領域で後方開口部34を介してハンドレバー8、9が電子アセンブリ6のハウジング26から突出する。
【0054】
ハウジング16の内部に電子アセンブリ6の電気的および電子的部材が配置され、それも外に向かってハウジング部品27、28によって画定され、並びに中でここでは蓋板17、18である機械的プライヤ部品3のハウジング16によって画定された内部空間の中である。
【0055】
電子アセンブリ6は2つの回路基板40、41を有する。回路基板41はケーブル42を介して電池またはアキュムレータ25によって電気エネルギーを供給される。回路基板40、41は柔軟なケーブル43を介して互いに接続される。ケーブル43はここで、一方で回路基板41による(およびそれによって電池またはアキュムレータ25による)回路基板40のエネルギー供給を保証する。もう一方でケーブル43を介して両回路基板40、41間のデータ交換が行われる。回路基板はネジ44を介してそれぞれ割り当てられたハウジング部品27、28と螺合される。電子アセンブリ6が機械的プライヤ部品3に取り付けられるとき、回路基板40、41は外でここでは蓋板17、18であるハウジング16からそれぞれハウジング16あるいは蓋板17、18の外側に延在し、好ましくはハウジング16と回路基板40、41の間に電気接触は行われない。この組み立てられた状態でケーブル43は機械的プライヤ部品3の断面でU字型に機械的プライヤ部品3の前面45の周りを機械的プライヤ部品3の前側から機械的プライヤ部品3の後側まで延在する(図2参照)。
【0056】
回路基板40の領域にここではボタン47である入力部材46が配置される。回路基板41の領域に表示またはディスプレイ48が配置される。回路基板40は入力部材46を介する使用者によって行われる入力の処理に使われ、回路基板41は表示48の制御に使われる。
【0057】
ハウジング部品48はその下にボタン47が配置されるタング状切断面を有する。使用者が指で押圧力をハウジング部品28のタング状切断面49に加えると、ボタン47の作動が行われうる。
【0058】
ハウジング部品27は窓状部分50を有する。部分50の中および後ろに、その後ろに配置された表示48を保護するカバープレート51がある。特に図8で分かるように、回路基板40はここでは長孔で成形された凹部52を有する。接続ケーブル53が凹部52を通って表示48から回路基板40の別面に導かれ、そこで接続ケーブル53はそれを介して回路基板40が表示48を制御する電気的接続部材54と接続される。
【0059】
図9の分解図で蓋30はU字型に形成される。U字の底辺は機械的プライヤ部品3の上側上で前面45に着接し、それは固定プライヤ部分21の領域で行われる。それに対してU字の側脚はここでは蓋板17、18であるハウジング16に沿って延在する。蓋30は可動プライヤジョー12および可動ハンドレバー9の側で開くため、場合によりプライヤジョー11、12の大きな開口角度のために可動プライヤジョー12が下方に蓋30から飛び出すこともできる。場合によりハウジング部品27、28も下面に相応の可動プライヤジョー12の大きな開口角度を可能にするスリットを有する。
【0060】
図3および図9では継合方向31にハウジング部品27、28の凹部または孔56に嵌
合される接続ピン55も見られる。
【0061】
回路基板40、41を介して照明器具58、59の制御が行われる。照明器具58は例えば白色LEDであり、照明器具59はRGB-LEDである。図示された実施形態例では回路基板40、41はそれぞれ照明器具58a、58b並びに照明器具59a、59bを有する。
【0062】
ハウジング部品27、28は不透光性である。それに対してハウジング部品29は完全にまたは照明器具58、59に割り当てられた領域で部分的にまたは完全に透明または半透明である。好ましくは、ハウジング部品29は白色照明器具58の領域で透明であり、そのため照明器具58によって模造された光を使って電子アセンブリ6の外の領域が照明されることができる。それに対してRGB照明器具59はハウジング部品29の部分透明のまたは光を拡散する部分領域74に配置されることができるため、この部分領域はRGB照明器具59によって後方から照明されることができ、そのため外へと蓋30の領域中でカラーのストライプまたはカラーのリングがRGB照明器具59の適合した制御の際に生成されることができる。
【0063】
少なくとも1つの回路基板40、41は電子制御ユニット57を有し、両回路基板40、41も共同で1つの電子制御ユニット57を成形することができる。制御ユニット57は以下に挙げられる、および図10で示された工程ステップの特に部分または全体を実施できる制御ユニットを有する:
【0064】
工程ステップ60で電子アセンブリ6の接続がPC、スマートフォンなどの外部機器によって行われ、この接続は有線または無線で行われうる。無線接続が(例えばBluetooth(登録商標)により)生成されるべき場合、工程ステップ61でボタン47がより長い期間、特に少なくとも5秒間作動される。ボタン47のこのより長い作動により接続の構築が行われるべきことが制御ユニット57によって識別されるとき、工程ステップ62で制御ユニット57によりRGB照明器具59が適合するカラーでこれが点滅するように制御される。それによって使用者は蓋30の点滅するバックライトにより接続の構築の機能が有効化されたことを認識する。その後、工程プロセス63で制御ユニット57の接続ルーティンが開始され、接続構築が外部機器によって行われる。機器が発見されるとこの機器に例えば「プライヤ工具番号xxを連結しますか? はい/いいえ」のような指示が表示される。すると接続は使用者による相応の承認の後初めて生成されることができる。生成された接続は自動的に例えば120秒後、接続がこの期間内に使用されなかったとき、分離されることができる。接続が生成されたとき、工程ステップ64で照明器具59の制御が、これが無効化されるかまたは恒常的な照明作用が生成されることによって変更され、それによって接続構築が行われたことが使用者の目にも見える。この方法で接続が生成された後、工程ステップ65で電子アセンブリ6のプログラミングまたはこれにデータ送信が行われうる。例えば生成された接続を介してプライヤ工具1の製造者、プライヤ工具の使用者またはこれを適用する企業の名前または標識の伝達、または使用者または技術者の名前が伝達されることができる。さらに工程ステップ65で電子アセンブリに導入されたセンサのための校正要因が制御ユニット57に伝達されることが可能である。プライヤ工具1の作動法の個別化も可能であり、例えば使用者のカラーが設定されることができ、その中で照明器具58、59が光を放出するべきであり、またはセンサによって記録された測定信号の評価のための閾値が設定されることができる。
【0065】
それに対して設定された期間、特に60秒内に接続構築を試みる間に連結のための機器が発見されないとき、接続構築は自動的に終了し、RGB照明器具59が再び無効化される。それに対して機器との連結が成功裏に成し遂げられたとき、RGB照明器具59は特に5秒である設定された期間に恒常的に照明されその後再び無効化されうる。
【0066】
プライヤ工具1が前述のようにその使用のために準備されたとき、その本来の作動が行われることができる。まずプライヤ工具1は工程ステップ66で静止状態にあるためこれは動かされない。工程ステップ66でプライヤ工具1はスタンバイモードにあり、その中で電子アセンブリ6の消費電力は最小化される。しかし電子アセンブリ6は同じく電子アセンブリ6に統合されうる加速度計が存在する加速を検知するかを監視し、それによってプライヤ工具1が使用者によって手に取られたことを識別する。ここで好ましくは制御ユニット57が加速度計の信号を閾値と比較する。プライヤ工具1の運動が識別されるとき、工程ステップ67の電子アセンブリ6がスタンバイモードから待機モードに交替し、その中で拡大された機能範囲が保証され、スタンバイモードにおけるよりも高い電力消費が行われる。待機モードでは、プライヤ工具1の作動が行われるかが工程ステップ68で検査される。これは例えばハンドレバーが接触されるか、またはプライヤ工具1の部材の運動が行われるか、またはハンドレバー、駆動機構またはプライヤジョーに力が作用するかが検査されることによって行われうる。この検査の間におよび待機モード中に照明器具58、59はまだ無効化されていることができ、表示48はまだ無効化されていることができる。設定された期間、例えば60秒内の待機モード中にプライヤ工具1の作動が行われないとき、工程ステップ69でスタンバイモードへの復帰が自動的に行われる。それに対してプライヤ工具1の作動が行われるとき、工程ステップ70で表示48および少なくとも照明器具58、59が有効化される。すると表示48に所望の表示が生成されることができ、これは例えば実施された作業ストローク数を表示し、電池またはアキュムレータ25の充電状態(好ましくはパーセントでまたはバーを使って)、製造者、所有者または使用者の名前または標識、および、実施された作業ストロークが閾値よりも大きいためプライヤ工具1のサービスが必要であることなどについての指示が表示される。すると作業ストロークが実施された後、工程ステップ71で表示48に例えばプライヤ力経過の評価の結果も表示されうる。加速度計を介して例えば5秒より長くプライヤ工具1の運動が行われないことが認識されるとき、工程ステップ72で自動的に電子アセンブリ6のスタンバイモードへの復帰が行われることができる。
【0067】
電子アセンブリ6の周囲を照明する好ましくは白色の照明器具58のスイッチを入れるべきとき、これはボタン47の短い作動によって行われることができ、ボタン47のさらなる短い作動は照明器具58の無効化をもたらし、または照明器具58は自動的に時間の経過の際またはプライヤ工具が放置されることが加速度計によって識別された際に無効化される。そのようにボタン47は多機能的であり、その中では作動の仕方、ここでは作動期間により、ボタンを介して接続の構築が開始されることができ、または照明器具58の有効化が行われることができる。
【0068】
ディスプレイは特に2行または複数のテキストの行を有し、それらは例えばそれぞれ10字以上を有することができる。この文字コードは8ビットASCII文字コードであることができるためこれは英数字もアクセント符号もウムラウトも内容として含みうる。
【0069】
制御ユニット57が電池またはアキュムレータ25の充電状態が不十分であることを識別するとき、照明器具58、59および/または表示48の減光が制御ユニット57またはその無効化によってさえももたらされうる。
【0070】
プライヤ工具1、特に押レバー20の構成要素の運動の検知のためのセンサとしてこの場合2つの機能を満たすことができるいわゆるIR近接センサが使用されうる。センサは、それによって作動ストロークの実施およびそれによってプライヤ工具1の作動が結論づけられることができる、プライヤ工具1の部材の運動が行われるかどうかを識別することができる。その他センサは実施される作業ストロークを数えるために使用されることができる。プライヤ工具が開閉されるとき、カウンターの数が1つ上昇する。スタンバイモー
ドから待機モードへの交替の際、IR近接センサが有効化される。
【0071】
解説された実施形態ではプライヤ工具1の作動前の電子アセンブリのスイッチまたはボタンを介した手動有効化は必要ない。図示された実施形態例では押レバー20が突起部73を有し、それはIR近接センサに沿って動かされるため、IR近接センサは突起部73の相対運動を検知することができる。
【0072】
蓋板17、18の間にプライヤヘッド7の領域で外に向かって開いた間隙が成形される。この間隙はプライヤヘッド7の少なくとも1つの部分円周に亘り、および特に電子アセンブリ6の内部で並びにこれに近接して蓋部材75によって閉じられる。蓋部材75はT字型の断面を有する。T字の垂直脚は蓋板17、18の間の間隙の中に差し込まれそこに固定され、それは蓋板17、18とのクリッピングまたは摩擦結合、またはそれらへの別の固定方法により行われうる。T字の水平脚は蓋板17、18の間隙を外に向かって覆い、T字の水平脚は蓋板17、18の前面に着接する。好ましくは蓋部材75が合成樹脂で製造される。ここではT字の垂直脚が貫通して成形され、それによってこれが蓋板17、18との接続を可能にする一種の肋骨を成形することが可能である。するとT字の垂直脚がプライヤヘッド7の部分周囲領域のみに形成され、するとそれによってこの部分周囲領域中にのみ蓋部材75の蓋板17、18への固定が行われることも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 プライヤ工具
2 圧着工具
3 機械的プライヤ部品
4 グリップ
5 グリップ
6 電子アセンブリ
7 プライヤヘッド
8 ハンドレバー(固定)
9 ハンドレバー
10 プライヤヘッド面
11 プライヤジョー(固定)
12 プライヤジョー
13 長手軸
14 第1プライヤヘッド部分
15 第2プライヤヘッド部品
16 ハウジング(プライヤヘッド部品)
17 蓋板
18 蓋板
19 駆動機構
20 押レバー
21 固定プライヤ部分
22 ハンドレバー支柱
23 ハンドレバー支柱
24 ホルダー
25 電池、アキュムレータ
26 ハウジング(電子アセンブリ)
27 半分のシェル状ハウジング部品
28 半分のシェル状ハウジング部品
29 さらなるハウジング部品
30 蓋
31 継合方向
32 凹部
33 前方開口部
34 後方開口部
35 継合方向
36 栓
37 凹部、孔
38 脚
39 脚
40 回路基板
41 回路基板
42 ケーブル
43 ケーブル
44 ネジ
45 前面
46 入力部材
47 ボタン
48 表示、ディスプレイ
49 切断面
50 部分
51 蓋板
52 凹部
53 接続ケーブル
54 接続部材
55 接続ピン
56 凹部、孔
57 電子制御ユニット
58 照明器具
59 照明器具
60 工程ステップ
61 工程ステップ
62 工程ステップ
63 工程ステップ
64 工程ステップ
65 工程ステップ
66 工程ステップ
67 工程ステップ
68 工程ステップ
69 工程ステップ
70 工程ステップ
71 工程ステップ
72 工程ステップ
73 突起部
74 部分領域
75 蓋部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10