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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20231201BHJP
   E04F 15/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
E04F15/02 G
E04F15/04 601Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019143770
(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2021025297
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】尼▲崎▼ 寛一
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-205927(JP,A)
【文献】特許第5249332(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を有する床材であって、
前記基材の側端部に設けられ、前記基材の一方の板面に連続して形成され前記板面に対して傾斜した第1傾斜面を有する凹部と、
前記基材の側端部に設けられ、前記凹部の前記第1傾斜面よりも前記基材の長さ方向先端側又は幅方向先端側に形成され前記板面に対して傾斜した第2傾斜面を有する凸部と、
前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の間に形成され、前記凹部における前記凸部側の端部よりも突出した突出部と、
を備え、
前記凹部は、別の床材の側端部に形成された前記凸部に対して接触して、互いに嵌合可能であり、
前記突出部の突出高さは、0.5mm以上2.5mm以下である床材。
【請求項2】
前記凹部の前記第1傾斜面、又は、前記凸部の前記第2傾斜面は、前記基材の他方の板面に対して20度以上70度以下である請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記突出部において前記凹部側に形成される係合面の傾斜角度は、前記基材の他方の板面に対して15度以上90度以下である請求項1又は2に記載の床材。
【請求項4】
前記凹部の前記第1傾斜面と前記凸部の前記第2傾斜面は、平行であり、断面が点対称となるように形成される請求項1からのいずれか1項に記載の床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
床材には、側端部に雄実と雌実が形成されたものがあり、複数の床材を配置するとき、隣り合う床材の雄実と雌実を組み合わせることで、複数の床材が一体化されて1枚ずつの床材の浮き上がりが防止されたり、床材の位置決めが行われたりする。
【0003】
特許文献1には、竹・木複合床板において、傾き端部に設けられたダブル係合構造を採用して、床板同士間を接続することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3216730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
床下地材又は既存の床材などの表面上に、複数の床材を新規に敷設する場合において、隣接する床材同士の間(継ぎ目)は、可能な限り小さく隙間(目隙)がないことが望ましい。しかし、床材が床下地材等に固定されていない状態では、新規に敷設する床材の位置決めが困難であり、施工中に目隙が生じやすいという難点がある。特に、床材に対して釘(例えばピンネイルなど)を打ち込むと破損しやすい薄板材の場合、釘で固定できないため上述した目隙が生じやすい。
【0006】
また、MDF(中密度繊維板)等の木質基材を主体とする床材は、木質材の性質上、床材が設置された後、木質基材が乾燥して収縮することがある。また、木質材以外の合成樹脂、ゴム又は金属などの材料を基材とする床材についても、冬期などの低温環境下において収縮するおそれがある。基材が収縮した結果、隣り合う床材同士の継ぎ目に目隙が生じたり、目隙が大きくなったりする。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、隣り合う床材同士の間に形成される隙間を低減することができ、容易に敷設作業を行うことが可能な床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の床材は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る床材は、基材を有する床材であって、前記基材の側端部に設けられ、前記基材の一方の板面に連続して形成され前記板面に対して傾斜した第1傾斜面を有する凹部と、前記基材の側端部に設けられ、前記凹部の前記第1傾斜面よりも前記基材の長さ方向先端側又は幅方向先端側に形成され前記板面に対して傾斜した第2傾斜面を有する凸部と、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面の間に形成され、前記凹部における前記凸部側の端部よりも突出した突出部とを備え、前記凹部は、別の床材の側端部に形成された前記凸部に対して接触して、互いに嵌合可能である。
【0009】
この構成によれば、基材の側端部に設けられた第1傾斜面を有する凹部と、基材の側端部に設けられた第2傾斜面を有する凸部と、第1傾斜面と第2傾斜面の間に形成された突出部を備え、凹部は、別の床材の側端部に形成された凸部に対して接触して、互いに嵌合可能である。凸部の第2傾斜面は、凹部の第1傾斜面よりも基材の長さ方向先端側又は幅方向先端側に形成され、突出部は、凹部における凸部側の端部よりも突出している。凹部、凸部及び突出部は、実を構成し、隣り合う床材同士は、実を介して組み合わせ可能である。突出部同士が係合することによって、隣り合う床材同士がずれにくくなる。
また、凹部の第1傾斜面が、基材の一方の板面に連続して形成されることから、鉛直下方に向かって移動させながら、既に設置されている床材に対して新たに設置する床材を配置可能である。
【0010】
上記発明において、前記凹部の前記第1傾斜面、又は、前記凸部の前記第2傾斜面は、前記基材の他方の板面に対して20度以上70度以下でもよい。
【0011】
傾斜角度が20度未満である場合、凸部の先端部が鋭角になり過ぎるため破損しやすくなる。他方、傾斜角度が70度を超える場合、傾斜が緩やかな場合と比べて、施工時において突出部同士を確実に係合できず、床材同士を正しく接合できないおそれがある。
【0012】
上記発明において、前記突出部の突出高さは、0.5mm以上2.5mm以下でもよい。
【0013】
突出高さが0.5mm未満である場合、突出部の強度が不十分となるため破損しやすくなり、また、突出部同士の係合が外れやすくなる。他方、突出高さが2.5mmを超える場合、突出部の先端が運搬や施工の際に作業者や他の物品に引っ掛かりやすくなり破損するおそれがある。
【0014】
上記発明において、前記突出部において前記凹部側に形成される係合面の傾斜角度は、前記基材の他方の板面に対して15度以上90度以下でもよい。
【0015】
傾斜角度が15度未満である場合、突出部同士の係合が外れやすくなる。他方、傾斜角度が90度を超える場合、突出部を形成する際の切削加工が困難になり、先端が鋭角となるため破損しやすくなる。
【0016】
上記発明において、前記凹部の前記第1傾斜面と前記凸部の前記第2傾斜面は、平行であり、断面が点対称となるように形成されてもよい。
【0017】
この構成によれば、凹部と凸部は、互いに全面にわたって接触して嵌合可能であり、突出部が基材の厚さ方向の中間近傍に形成されることから、先端部が破損しにくくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、凹部は、別の床材の側端部に形成された凸部に対して接触して、互いに嵌合可能であるため、隣り合う床材同士の間に形成される隙間を低減することができ、また、突出部同士が係合することによって、隣り合う床材同士がずれにくくなるため、容易に敷設作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る床材を示す縦断面図である。
図2】一の床材の側端部と他の床材の側端部を示す縦断面図であり、床材同士を接合する前の状態を示している。
図3】一の床材の側端部と他の床材の側端部を示す縦断面図であり、床材同士を接合した後の状態を示している。
図4】床材の突出部を示す部分拡大縦断面図であり、水平線と突出部の係合面のなす角度を示している。
図5】床材の突出部を示す部分拡大縦断面図であり、水平線と突出部の係合面のなす角度を示している。
図6図6(a)~図6(e)は、それぞれ本発明の一実施形態に係る床材の変形例を示す縦断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る床材の施工方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態に係る床材1について、図面を参照して説明する。
床材1は、一方向に長い長尺状部材であり、複数の床材1が側端部同士を対向させながら平行に配置されることによって、建築物の室内における床を形成する。床材1は、下地材上に敷設される新設の床や、既存の床上に敷設されるリフォームの床のいずれの場合にも適用可能である。
【0021】
床材1は、図1に示すように、基材2と、吸着材3などを有し、基材2と吸着材3が積層されている。図1は、本実施形態に係る床材1を示す縦断面図であって、床材1の長さ方向又は幅方向に対して平行に切断した図であり、床材1の長さ方向又は幅方向の中間部分を省略して示している。
【0022】
基材2の表面側には、化粧シートが更に積層されてもよい。化粧シートは、例えばオレフィンシートなどの合成樹脂シート、化粧紙、突板などである。
【0023】
基材2と吸着材3の間にはクッション材が積層されてもよい。クッション材は、例えば合成樹脂発泡体である。合成樹脂発泡体は、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィンなどである。クッション材が設けられることによって、歩行性を向上させるなどの利点が得られる場合がある。
【0024】
基材2は、例えばMDF(中密度繊維板)、ハードボード、インシュレーションボード、合板、無垢材、集成材、単板積層材(LVL)、パーティクルボードなどの木質材である。また、基材2は、木質材に限定されず、硬質又は軟質の合成樹脂板、天然ゴム又は合成ゴムなどのゴム板、アルミニウム合金などの金属板でもよい。基材2の側端部には、後述する実が形成される。
【0025】
吸着材3は、床材1を下地材や既存の床に対して固定させる。吸着材3は、例えばアクリル系樹脂発泡体である。アクリル系樹脂発泡体は、例えばフィルム又はシートであり、基材2又はクッション材に接着される。アクリル系樹脂発泡体は、塗布材であるアクリル樹脂が基材2又はクッション材に塗布されたものでもよい。アクリル系樹脂発泡体の表面に形成される複数の微細な気泡による凹部それぞれが吸盤となって、吸着材3が下地材や既存の床に吸着する。
【0026】
床材1の裏面側、すなわち、吸着材3の表面には、施工前の運搬時において離型紙が貼付されていることが望ましい。これにより、施工前に吸着材3の吸着性が低下することを防止できる。離型紙は、施工時に剥がされて、吸着材3を露出させてから、床材1が床下地材上などに敷設される。
【0027】
なお、本実施形態では、吸着材3が設けられる場合について説明したが、必ずしも吸着材3が床材1に設けられなくてもよい。この場合、吸着材3の代わりに、接着剤、両面テープ等の粘着剤、ピンネイル等の釘によって、床材1が下地材や既存の床に対して固定される。
【0028】
床材1がリフォームの床に適用されるリフォームフロアである場合、床材1は、例えば、化粧シート、基材2、クッション材、吸着材3、離型紙が表面側から順番に積層されたものである。床材1の厚さは、例えば基材2が1mm、クッション材が1mmで、総厚が約2mmである。リフォームフロアとしての床材1は、一般的な床材よりも基材2が薄いため、曲がり易く、床下地材に不陸がある場合でもなじみ易いという利点がある。また、施工時において床材1をハサミで切断でき、施工が容易である。
【0029】
なお、リフォームフロアとしての床材1の基材2は、例えばMDFであり、板厚は、上述した例に限定されず、例えば1mm以上5mm以下である。基材2の板厚が1mm未満である場合、曲げ強度が不十分となり、運搬や施工の際、折れや割れなどの破損が生じるおそれがある。他方、基材2の板厚が5mmを超える場合、床材1が既存の床の一部に施工されたとき、床材1の床面と、床材1が敷設されない既存の床面との段差が大きくなるため、歩行者が躓いて転倒するおそれがある。
なお、新設の床に適用される場合、床材1は、一般的な床材と同様に、例えば約12mmである。
【0030】
[実形状]
次に、本実施形態に係る床材1の基材2に形成される実について説明する。
実は、長尺状の床材1において、対向する短辺の側端部同士、又は、対向する長辺の側端部同士で対となるように形成される。図1では、一の床材1において対向する短辺又は長辺の側端部の断面を示している。実は、床材1の短辺又は長辺の側端部に沿って平行に形成される。
【0031】
実は、断面がほぼ直角三角形となるように、床材1の表面(床面)に対して傾斜した傾斜面を有する。隣り合う床材1の対向する実同士が組み合わされると、それぞれの実が点対称に配置されるように、対向する実に対応して実の形状が形成される。点対称の中心点は、基材2の厚さ方向の中間である。図3に示すように、隣り合う床材1の実同士が組み合わされ、床材1が接合された状態で、二つの床材1の表面は面一となる。
【0032】
床材1の表面側が上面となるように配置したとき、一側端側の実は、図1に示すように、例えば下向きに傾斜した傾斜面を有する凹部5a及び凸部6aを備える。凸部6aの傾斜面は、凹部5aの傾斜面よりも基材2の長さ方向先端側又は幅方向先端側に形成される。凹部5aの傾斜面と凸部6aの傾斜面は平行であり、断面が点対称となるように形成される。
【0033】
他側端側の実は、図1に示すように、例えば上向きに傾斜した傾斜面を有する凹部5b及び凸部6bを備える。凸部6bの傾斜面は、凹部5bの傾斜面よりも基材2の長さ方向先端側又は幅方向先端側に形成される。凹部5bの傾斜面と凸部6bの傾斜面は、平行であり、断面が点対称となるように形成される。
【0034】
凹部5aと凸部6b、又は、凸部6aと凹部5bは、全面にわたって接触して嵌合可能である。また、突出部4a,4bが基材2の厚さ方向の中間近傍に形成されることから、先端部が破損しにくくなる。
【0035】
凹部5aの傾斜面と凸部6aの傾斜面は、同一面ではなく、凹部5aと凸部6aが長辺に形成される場合は床材1の幅方向、短辺に形成される場合は床材1の長さ方向にずれた位置に形成される。凹部5bの傾斜面と凸部6bの傾斜面も、同様に床材1の幅方向又は長さ方向にずれた位置に形成される。凹部5aと凸部6aのずれ量と、凹部5bと凸部6bのずれ量は同一である。
【0036】
凹部5bにおいて基材2の表面側近傍の傾斜面は、基材2の表面に連続して形成される。特許文献1に示すように、床板の表面近傍において、凹部の傾斜面の上方を覆うように先端側に張り出した張出部が形成される場合、新たに敷設する床板の凸部が、既に設置されている床板の表面側の張出部に干渉しないように、既に設置されている床板の側端部よりも外側から斜め下方へ床板を移動させる必要がある。
【0037】
他方、本実施形態では、凹部5bの傾斜面と基材2の表面が90度よりも大きく180度未満で交わり、また、表面側において張出部が形成されずに、凹部5bの傾斜面が基材2の表面に連続して形成されているため、図2に示すように、鉛直下方に向かって、または、既に配置されている床材1の長さ方向又は幅方向の中間側から斜め下方へ移動しながら、床材1を配置できる。したがって、床材1を敷設する際、突出部4a,4bが係合しやすい方向に床材1を移動させることができるため、床材1の敷設作業が容易である。
【0038】
凹部5aにおいて床材1の裏面側近傍の傾斜面は、基材2の裏面に連続して形成される。特許文献1に示すように、床板の裏面近傍において、凹部の傾斜面の下方において先端側に張り出した張出部が形成される場合、新たに敷設する床板の裏面側の張出部が、既に設置されている床板の凸部に干渉しないように、既に設置されている床板の側端部よりも外側から斜め下方へ床板を移動させる必要がある。
【0039】
他方、本実施形態では、凹部5aの傾斜面と基材2の裏面が90度よりも大きく180度未満で交わり、また、裏面側において張出部が形成されないため、図2に示すように、鉛直下方に向かって、または、既に配置されている床材1の長さ方向又は幅方向の中間側から斜め下方へ移動しながら、床材1を配置できる。したがって、床材1を敷設する際、突出部4a,4bが係合しやすい方向に床材1を移動させることができるため、床材1の敷設作業が容易である。
【0040】
突出部4aと突出部4bは、互いに係合可能な形状を有している。突出部4aと突出部4bが係合することによって、隣り合う床材1同士がずれにくくなる。
【0041】
凹部5aの傾斜面と凸部6aの傾斜面の間には、凹部5aにおける凸部6a側の端部、すなわち、凹部5aの上端よりも下方に突出した突出部4aが形成される。突出部4aは、鉛直方向下向きに突出しており、突出部4aの断面における頂点は、凸部6aの下端と一致する。
【0042】
凹部5bの傾斜面と凸部6bの傾斜面の間には、凹部5bにおける凸部6b側の端部、すなわち、凹部5bの下端よりも上方に突出した突出部4bが形成される。突出部4bは、鉛直方向上向きに突出しており、突出部4bの断面における頂点は、凸部6bの上端と一致する。
【0043】
突出部4aには、凹部5a側に係合面が形成され、突出部4bには、凹部5b側に係合面が形成される。突出部4aに形成される係合面と突出部4bに形成される係合面は平行である。図1に示す例では、突出部4a,4bに形成される係合面は、基材2の板面に対して90度である。
【0044】
突出部4aは、凹部5aと凸部6aのずれ量に応じた突出高さを有し、突出部4bは、凹部5bと凸部6bのずれ量に応じた突出高さを有する。突出部4aの突出高さと突出部4bの突出高さは同一である。ここで、突出部4aの突出高さとは、凹部5aにおける凸部6a側の端部の高さ位置、すなわち、凹部5aの上端の高さ位置から、突出部4aの頂点の高さ位置までの鉛直方向の距離である。また、突出部4bの突出高さとは、凹部5bにおける凸部6b側の端部の高さ位置、すなわち、凹部5bの下端の高さ位置から、突出部4bの頂点の高さ位置までの鉛直方向の距離である。
【0045】
突出部4a,4bの頂点を含む稜線は、床材1の短辺又は長辺に沿って平行に形成される。突出部4aの稜線を間に挟んで、床材1の先端側は凸部6aの傾斜面であり、床材1の中間側は突出部4aに形成される係合面である。突出部4bの稜線を間に挟んで、床材1の先端側は凸部6bの傾斜面であり、床材1の中間側は突出部4bに形成される係合面である。これにより、基材2に形成される実は、突出部4aが突出部4bに引っ掛かりやすい構成を有している。
【0046】
以上より、隣り合う床材1が実を介して組み合わされたとき、凹部5aと凸部6bが全面にわたって接触して嵌合し、凸部6aと凹部5bが全面にわたって接触して嵌合する。また、突出部4aと突出部4bが互いに係合する。その結果、隣り合う床材1の実同士が隙間なく組み合わされて、二つの床材1の表面が面一となる。
【0047】
凹部5a,凸部6a,凹部5b及び凸部6bの傾斜面の傾斜角度は、例えば、基材2の裏面側の板面に対して20度以上70度以下である。凹部5a,凸部6a,凹部5b及び凸部6bの傾斜角度が20度未満である場合、実の先端部が鋭角になり過ぎて厚さの薄い領域が多くなるため、運搬や施工の際に破損しやすくなる。他方、凹部5a,凸部6a,凹部5b及び凸部6bの傾斜角度が70度を超える場合、傾斜が急であることから、傾斜が緩やかな場合と比べて、実を平面視したときの実の幅(実の領域の面積)が小さい。そのため、施工時において突出部4a,4b同士を確実に係合できず、床材1同士を正しく接合できないおそれがあり、床材1の敷設作業が困難になる。また、凸部6a,6bの傾斜角度が70度を超える場合、突出部4a,4bの係合面の傾斜角度が90度に近いとき、突出部4a,4bの先端が鋭くなり突出部4a,4bが破損しやすくなる。例えば、凸部6a,6bの傾斜面の傾斜角度が75度である場合、突出部4a,4bの係合面の傾斜角度が60度を超えると、凸部6a,6bの傾斜面と突出部4a,4bの係合面のなす角が45度未満になる。
【0048】
突出部4a及び突出部4bの突出高さは、例えば、0.5mm以上2.5mm以下である。突出高さが0.5mm未満である場合、突出部4a,4bの強度が不十分となるため破損しやすくなり、また、突出部4aと突出部4bの係合が外れやすくなる。その結果、隣り合う床材1同士の継目に目隙が生じるおそれがある。他方、突出高さが2.5mmを超える場合、突出部4a,4bの先端が運搬や施工の際に作業者や他の物品に引っ掛かりやすくなり破損するおそれがある。
【0049】
図4及び図5に示すように、突出部4a及び突出部4bの係合面の傾斜角度は、例えば、基材2の裏面側の板面(水平線)に対して15度以上90度以下である。傾斜角度が15度未満である場合、突出部4aと突出部4bの係合が外れやすくなる。その結果、隣り合う床材1同士の継目に目隙が生じるおそれがある。他方、傾斜角度が90度を超える場合、突出部4a,4bを形成する際の切削加工が困難になり、先端が鋭角となるため破損しやすくなる。
【0050】
次に、図7を参照して、本実施形態に係る床材1の施工方法について説明する。
まず、床下地材又は既存の床材の表面における汚れや塵埃を取り除いておく。
床材1を接着剤を用いて床下地材上又は既存の床材上に敷設する場合、床材1の裏面に接着剤を塗布する。その後、接着剤が塗布された床材1を床下地材上又は既存の床材上に配置して、床材1を接着させる。
【0051】
次に、別の床材1について、裏面に接着剤を塗布し、図7(a)及び図7(b)に示すように、既に配置された床材1の隣に、新たに接着剤が塗布された床材1を床下地材上又は既存の床材上に配置して接着させる。このとき、図7(c)に示すように、突出部4aが突出部4bに引っ掛かるように、凹部5aを凸部6bに接触させ、凸部6aを凹部5bに接触させて配置する。
【0052】
床材1において予め吸着材3又は粘着剤(例えば両面テープ)が設けられている場合、床材1の裏面に貼付された離型紙を剥がし、吸着材3又は粘着剤を露出させる。その後、吸着材3又は粘着剤が露出した床材1を床下地材上又は既存の床材上に配置して、床材1の表面側から押圧しつつ床材1を付着させる。
【0053】
次に、別の床材1について、裏面に貼付された離型紙を剥がし、図7(a)及び図7(b)に示すように、既に配置された床材1の隣に、新たに吸着材3又は粘着剤を露出させた床材1を床下地材上又は既存の床材上に配置して付着させる。このとき、図7(c)に示すように、突出部4aが突出部4bに引っ掛かるように、凹部5aを凸部6bに接触させ、凸部6aを凹部5bに接触させて配置する。
【0054】
なお、吸着材3による吸着性を高めるため、床下地材は、表面が平滑な材質であることが望ましい。床下地材は、例えばコンクリート、金属、合成樹脂、アルミ箔貼りの発泡スチロールなどである。また、床下地材上又は既存の床材上に合成樹脂を塗布又は合成樹脂シートを貼付することによって、表面を平滑にしてもよい。
【0055】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る床材1の基材2に形成される実の変形例について作成する。
上述した実施形態では、突出部4a,4bに形成される係合面が水平線に対して90度であるが、本発明はこの例に限定されず、図6(a)~図6(c)に示すように、突出部4a,4bに形成される係合面は、水平線に対して90度未満でもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、凹部5a,凸部6a,凹部5b及び凸部6bの傾斜面の傾斜角度が水平線に対して約30度であるが、本発明はこの例に限定されず、図6(a)に示すように、30度未満でもよいし、図6(b)及び図6(c)に示すように、45度より大きくてもよい。
【0057】
さらに、上述した実施形態では、凸部6aの傾斜面と突出部4aに形成される係合面が交わる部分や、凹部5aの傾斜面と突出部4aに形成される係合面が交わる部分において、屈曲形状、すなわち、断面が角形状を有する場合について示したが、本発明はこの例に限定されない。図6(b)に示すように、上記部分において、例えば円弧のような湾曲形状を有してもよい。
【0058】
またさらに、上述した実施形態では、隣り合う床材1が組み合わされたとき、床材1の表面又は裏面において、二つの床材1が密着する場合について説明したが、本発明はこの例に限定されず、図6(b)に示すように、側端部の先端が切断された形状、すなわち、表面側から下方に向かう傾斜面7、又は、裏面側から上方に向かう傾斜面7が設けられてもよい。この場合、隣り合う床材1が組み合わされたとき、床材1の表面又は裏面において、床材1同士の間に目地が形成される。なお、傾斜面7は、表面側又は裏面側の一方のみに形成されてもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、隣り合う床材1の対向する実同士が組み合わされると、点対称となるように両側端部の実が形成される場合、すなわち、突出部4a,4bが床材1の高さ方向のほぼ中間に形成される場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、図6(d)に示すように、突出部4a,4bが床材1の裏面側に形成されてもよいし、図6(e)に示すように、突出部4a,4bが床材1の表面側に形成されてもよい。
【0060】
以上、本実施形態によれば、突出部4aと突出部4bが互いに係合することから、複数の床材1が設置された後、それぞれの基材2が乾燥して収縮しようとする場合において、基材2の収縮が互いに拘束され合う。その結果、複数の床材1を新規に敷設する場合において、本実施形態に係る突出部4aと突出部4bが設けられていない床材と異なり、隣り合う床材1同士の間(継ぎ目)を可能な限り小さくしたり、隙間(目隙)を低減したりすることができる。
【0061】
また、突出部4aが突出部4bに引っ掛かる構成を有していることから、床材1の施工時において突出部4aを突出部4bに引っ掛けて新たに敷設する床材1の位置決めをすることができる。本実施形態に係る突出部4aと突出部4bが設けられていない床材では、床材同士の側端部を突き合わせて位置決めした後、固定されていない状態で、床材1を配置していく必要がある。そのため、敷設作業中において床材の位置がずれやすく、継ぎ目に目隙が生じた状態で固定されてしまうおそれがある。本実施形態によれば、床材1に形成された実によって位置決めをしながら床材1を配置できるため、床材同士の継目に目隙を生じさせることなく、容易に床材1の敷設作業を行うことができ、作業時間の短縮化を図ることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :床材
2 :基材
3 :吸着材
4a,4b :突出部
5a,5b :凹部
6a,6b :凸部
7 :傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7