(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】2重容器、および2重容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/40 20060101AFI20231201BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20231201BHJP
B29C 49/22 20060101ALI20231201BHJP
B29C 49/06 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B65D1/40 100
B65D1/02 220
B29C49/22
B29C49/06
(21)【出願番号】P 2019157756
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-03-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】中山 忠和
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-141428(JP,A)
【文献】特開2019-094072(JP,A)
【文献】特開2005-170386(JP,A)
【文献】特開2000-072123(JP,A)
【文献】特開2003-192031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/40
B65D 1/02
B29C 49/22
B29C 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、
前記外容器に、前記内容物の減少に伴い、前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔が形成され、
前記外容器の胴部に、互いに異なる向きに延びて接続された2つのリブを少なくとも有するエア貯留部が形成され、
前記エア貯留部と、前記内容器の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に隙間が設けられ、
前記エア貯留部は、前記外容器の胴部に
おける周方向の全長にわたって周方向に間隔をあけて複数設けられ
てエア貯留部列をなし、
前記エア貯留部列が、ボトル軸方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記エア貯留部が有する2つの前記リブは、ボトル軸方向に尖る角部をなして互いに接続されている、2重容器。
【請求項2】
複数の前記リブは、
ボトル軸方向に延び、かつ周方向に間隔をあけて設けられた一対の縦リブと、
一対の前記縦リブ同士を連結した中間リブと、を備えている、請求項1に記載の2重容器。
【請求項3】
前記中間リブは、ボトル軸方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びている、請求項2に記載の2重容器。
【請求項4】
複数の前記リブは、
ボトル軸方向の一方側に向かうに従い、周方向の一方側に向けて延びる第1傾斜リブと、
ボトル軸方向の一方側に向かうに従い、周方向の他方側に向けて延びる第2傾斜リブと、を備え、
前記第1傾斜リブ、および前記第2傾斜リブそれぞれの、ボトル軸方向の他方側の端部同士が互いに接続されている、請求項1に記載の2重容器。
【請求項5】
前記外容器を形成するための外側プリフォーム内に、前記内容器を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、前記外側プリフォームおよび前記内側プリフォームを一体にブロー成形することにより、請求項1から4のいずれか1項に記載の2重容器を形成する、2重容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2重容器、および2重容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、外容器に、前記内容物の減少に伴い、内容器との間に外気を導入する外気導入孔が形成された2重容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の2重容器では、内容器の外周面が外容器の内周面に密着し、内容器が、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形しないおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容器を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる2重容器、および2重容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の2重容器は、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装された外容器を備えるとともに、口部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に配設され、前記外容器に、前記内容物の減少に伴い、前記内容器との間に外気を導入する外気導入孔が形成され、前記外容器の胴部に、互いに異なる向きに延びて接続された2つのリブを少なくとも有するエア貯留部が形成され、前記エア貯留部と、前記内容器の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に隙間が設けられ、前記エア貯留部は、前記外容器の胴部における周方向の全長にわたって周方向に間隔をあけて複数設けられてエア貯留部列をなし、前記エア貯留部列が、ボトル軸方向に間隔をあけて複数設けられ、前記エア貯留部が有する2つの前記リブは、ボトル軸方向に尖る角部をなして互いに接続されている。
【0007】
本発明の2重容器の製造方法は、前記外容器を形成するための外側プリフォーム内に、前記内容器を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、前記外側プリフォームおよび前記内側プリフォームを一体にブロー成形することにより、本発明の2重容器を形成する。
【0008】
本発明によれば、外容器の胴部に、互いに異なる向きに延びて接続された2つのリブを少なくとも有するエア貯留部が形成されているので、外容器を形成するための外側プリフォーム内に、内容器を形成するための内側プリフォームを嵌合した状態で、外側プリフォームおよび内側プリフォームを一体にブロー成形したときに、外側プリフォームと内側プリフォームとの間に介在していたエアが、エア貯留部と、内容器の胴部の外周面と、の間のなかでも特に、角部をなす2つのリブの接続部分に集まりやすくなる。
したがって、前述のブロー成形後、内容器に内容物を充填する前に、内容器のみを収縮変形させ、内容器の外周面を外容器の内周面から強制的に離間させた後に、再度、内容器を復元変形させる等の工程を経なくても、前述のブロー成形時に、エア貯留部と、内容器の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間を設けることができる。
これにより、内容器の外周面が、外容器の内周面のうちエア貯留部以外の部分に密着していても、内容器内の内容物の減少時に、エア貯留部と、内容器の胴部の外周面と、の間の隙間を起点として、内容器の外周面を外容器の内周面から確実に離間させることが可能になり、製造工数を増大させずに、内容器を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【0009】
複数の前記リブは、ボトル軸方向に延び、かつ周方向に間隔をあけて設けられた一対の縦リブと、一対の前記縦リブ同士を連結した中間リブと、を備えてもよい。
【0010】
この場合、複数のリブが、一対の縦リブと、一対の縦リブ同士を連結した中間リブと、を備えているので、前述のブロー成形時に、エア貯留部と、内容器の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間を設けることが可能になり、内容器を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【0011】
前記中間リブは、ボトル軸方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びてもよい。
【0012】
この場合、中間リブが、ボトル軸方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びているので、周方向に真直ぐ延びている構成と比べて、前述のブロー成形時に、キャビティ内面のうち中間リブを成形する部分に、外側プリフォームの樹脂材料を引っ掛かりにくくすることが可能になり、中間リブ、およびその周辺部が局所的に肉厚になるのを抑制することができる。
【0013】
複数の前記リブは、ボトル軸方向の一方側に向かうに従い、周方向の一方側に向けて延びる第1傾斜リブと、ボトル軸方向の一方側に向かうに従い、周方向の他方側に向けて延びる第2傾斜リブと、を備え、前記第1傾斜リブ、および前記第2傾斜リブそれぞれの、ボトル軸方向の他方側の端部同士が互いに接続されてもよい。
【0014】
この場合、複数のリブが、第1傾斜リブおよび第2傾斜リブを備え、第1傾斜リブ、および第2傾斜リブそれぞれの、ボトル軸方向の他方側の端部同士が互いに接続されているので、前述のブロー成形時に、エア貯留部と、内容器の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間を設けることが可能になり、内容器を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
第1傾斜リブおよび第2傾斜リブが、ボトル軸方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びているので、前述のブロー成形時に、キャビティ内面のうち第1傾斜リブおよび第2傾斜リブを成形する部分に、外側プリフォームの樹脂材料を引っ掛かりにくくすることが可能になり、エア貯留部が局所的に肉厚になるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、内容器を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る第1実施形態として示した2重容器を径方向の外側から見た一部縦断面を含む側面図である。
【
図3】本発明に係る第2実施形態として示した2重容器の要部を径方向の外側から見た展開図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態として示した2重容器の製造方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
2重容器1は、
図1および
図2に示されるように、収容される内容物の減少に伴い減容変形する内容器12、および内容器12が内装された外容器11を備えている。外容器11の内面に、内容器12の外面が離間可能に設けられている。2重容器1は、
図4に示されるように、外容器11を形成するための外側プリフォームP1内に、内容器12を形成するための内側プリフォームP2を嵌合した状態で、外側プリフォームP1および内側プリフォームP2を一体にブロー成形することで形成されている。
【0018】
内容器12および外容器11の材質は合成樹脂材料とされ、互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。合成樹脂材料の一例としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、ナイロン(ポリアミド)、およびEVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)等が挙げられる。
【0019】
2重容器1は、口部13、肩部15、胴部16および底部14を備えている。口部13、肩部15、胴部16および底部14は、共通軸と同軸にこの順に配設されている。
以下、この共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿う2重容器1の口部13側を上側、2重容器1の底部14側を下側という。ボトル軸O方向から見て、ボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、ボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
2重容器1の口部13は、内容器12の口部と外容器11の口部とが積層されることで構成され、2重容器1の肩部15は、内容器12の肩部と外容器11の肩部とが積層されることで構成され、2重容器1の胴部16は、内容器12の胴部と外容器11の胴部とが積層されることで構成され、2重容器1の底部14は、内容器12の底部と外容器11の底部とが積層されることで構成されている。
以下の説明において、特に断りのない限り、内容器12および外容器11の双方が同様の形態となっているものとする。
【0021】
2重容器1の口部13は、肩部15の上端部から上方に向けて延びる円筒状に形成されている。
内容器12の口部の上端部に、径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びるフランジ部が形成されている。フランジ部は、外容器11の口部の上端開口縁に載置されている。
【0022】
外容器11の口部の外周面に、図示されないキャップの周壁部が、アンダーカット嵌合される係止突部18と、図示されないキャップの周壁部の下端部が外嵌される被シール突部19と、が上方から下方に向けてこの順に形成されている。係止突部18および被シール突部19は、外容器11の口部から径方向の外側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びている。被シール突部19の外周面と、図示されないキャップの周壁部の下端部の内周面と、の間は、気密にシールされる。
【0023】
外容器11の口部に、内容物の減少に伴い、内容器12との間に外気を導入する外気導入孔17が形成されている。外気導入孔17は、係止突部18より上方に位置している。
なお、外気導入孔17の形成位置は、外容器11の口部に限定されるものではなく、例えば外容器11のうち、口部以外の胴部、肩部、若しくは底部であってもよい。図示されないキャップは、外容器11の口部に螺着されてもよい。
【0024】
肩部15は、口部13の下端部から下方に向かうに従い、径方向の外側に向けて延びている。肩部15に、縦溝15aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
胴部16の下部16aは、ボトル軸O方向に真直ぐ延びている。胴部16のうち、下部16aより上方に位置する部分は、ボトル軸O方向に沿って外側から内側に向かうに従い、径方向の内側に向けて延びるくびれ部21となっている。くびれ部21のうち、ボトル軸O方向の中央部に位置し、かつ最も径方向の内側に位置する部分に、周方向の全長にわたって連続して延びる周溝21aが形成されている。
【0025】
外容器11のうちの少なくとも胴部が、スクイズ変形(弾性変形)可能とされ、外容器11のスクイズ変形に伴って内容器12がしぼみ変形する。図示の例では、外容器11の肩部もスクイズ変形可能となっている。なお、外容器11を、実質的にスクイズ変形不能な剛体として、2重容器1を、ポンプ等を用いて内容物を吐出する吐出容器に適用してもよい。
胴部16と、肩部15および底部14と、がボトル軸O方向に段差なく連なっている。
【0026】
そして、本実施形態では、外容器11の胴部に、互いに異なる向きに延びて接続された2つのリブ22、23を少なくとも有するエア貯留部24が形成されている。
図2に示されるように、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に隙間Aが設けられている。エア貯留部24は、前述のブロー成形時に、外側プリフォームP1の外周面が、キャビティ内面のうちエア貯留部24を成形する部分に押し付けられることによって成形される。
図示の例では、リブ22、23は、外容器11の胴部の外周面に形成された溝部となっている。なお、リブ22、23は、外容器11の胴部の外周面に形成した突部であってもよい。
【0027】
複数のリブ22、23は、ボトル軸O方向に延び、かつ周方向に間隔をあけて設けられた一対の第1縦リブ(縦リブ)22と、一対の第1縦リブ22同士を連結した中間リブ23と、を備えている。第1縦リブ22および中間リブ23は、径方向の外側から見て真直ぐ延びている。第1縦リブ22および中間リブ23は、径方向の外側から見て長方形状を呈する。第1縦リブ22は、ボトル軸Oとほぼ平行に延びている。
なお、第1縦リブ22および中間リブ23は、径方向の外側から見て例えば湾曲等してもよい。また、第1縦リブ22は、ボトル軸Oに対して傾斜してもよい。
【0028】
中間リブ23は、ボトル軸O方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びている。図示の例では、中間リブ23は、一対の第1縦リブ22のうち、いずれか一方の第1縦リブ22の上端部と、いずれか他方の第1縦リブ22の下端部と、を連結している。エア貯留部24は、径方向の外側から見て、ループ状に閉じられた部分を有さない形態を呈する。エア貯留部24は、径方向の外側から見てN字状を呈する。
【0029】
エア貯留部24は、外容器11の胴部に、周方向に間隔をあけて複数設けられている。複数のエア貯留部24は、外容器11の胴部における周方向の全長にわたって設けられている。周方向で互いに隣り合うエア貯留部24同士の間隔は、エア貯留部24の周方向の大きさより小さくなっている。複数のエア貯留部24のボトル軸O方向の向きは、全て同じになっている。つまり、周方向で互いに隣り合う中間リブ23は、径方向の外側から見てほぼ平行に延びている。
【0030】
周方向に間隔をあけて設けられた複数のエア貯留部24からなるエア貯留部列25が、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数設けられている。エア貯留部列25は、2つ設けられ、外容器11の胴部の上部および下部に1つずつ設けられている。上側のエア貯留部列25は、胴部16のくびれ部21に位置している。下側のエア貯留部列25のうち、下部は胴部16の下部16aに位置し、上部は胴部16のくびれ部21に位置している。
【0031】
複数のリブ22、23の長さは、互いに同等になっている。複数のリブ22、23の幅は全て、全域にわたって互いに同等になっている。
第1縦リブ22の深さは、ボトル軸O方向に沿って外側から内側に向かうに従い、深くなっている。中間リブ23の深さは、第1縦リブ22の中央部の深さより浅くなっている。
なお、複数のリブ22、23は、全ての深さを全域にわたって互いに同等にする等、適宜変更してもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態による2重容器1、およびその製造方法によれば、外容器11の胴部に、互いに異なる向きに延びて接続された2つのリブ22、23を少なくとも有するエア貯留部24が形成されているので、外容器11を形成するための外側プリフォームP1内に、内容器12を形成するための内側プリフォームP2を嵌合した状態で、外側プリフォームP1および内側プリフォームP2を一体にブロー成形したときに、外側プリフォームP1と内側プリフォームP2との間に介在していたエアが、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間のなかでも特に、角部をなす2つのリブ22、23の接続部分に集まりやすくなる。
【0033】
したがって、前述のブロー成形後、内容器12に内容物を充填する前に、内容器12のみを収縮変形させ、内容器12の外周面を外容器11の内周面から強制的に離間させた後に、再度、内容器12を復元変形させる等の工程を経なくても、前述のブロー成形時に、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間Aを設けることができる。
これにより、内容器12の外周面が、外容器11の内周面のうちエア貯留部24以外の部分に密着していても、内容器12内の内容物の減少時に、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間の隙間Aを起点として、内容器12の外周面を外容器11の内周面から確実に離間させることが可能になり、製造工数を増大させずに、内容器12を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【0034】
複数のリブ22、23が、一対の縦リブ22と、一対の縦リブ22同士を連結した中間リブ23と、を備えているので、前述のブロー成形時に、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間Aを設けることが可能になり、内容器12を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【0035】
中間リブ23が、ボトル軸O方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びているので、周方向に真直ぐ延びている構成と比べて、前述のブロー成形時に、キャビティ内面のうち中間リブ23を成形する部分に、外側プリフォームP1の樹脂材料を引っ掛かりにくくすることが可能になり、中間リブ23、およびその周辺部が局所的に肉厚になるのを抑制することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る2重容器2を、
図3を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0037】
本実施形態では、エア貯留部24を構成する複数のリブ31、32、33が、ボトル軸O方向の一方側に向かうに従い、周方向の一方側に向けて延びる第1傾斜リブ31と、ボトル軸O方向の一方側に向かうに従い、周方向の他方側に向けて延びる第2傾斜リブ32と、を備え、第1傾斜リブ31、および第2傾斜リブ32それぞれの、ボトル軸O方向の他方側の端部同士が互いに接続されている。
【0038】
図示の例では、複数のリブ31~33は、第1傾斜リブ31、および第2傾斜リブ32それぞれの、ボトル軸O方向の他方側の端部からボトル軸O方向の他方側に向けて延びる第2縦リブ33を備えている。なお、エア貯留部24は、第2縦リブ33を有しなくてもよい。
第1傾斜リブ31、第2傾斜リブ32、および第2縦リブ33は、外容器11の胴部の外周面に形成された溝部となっている。なお、第1傾斜リブ31、第2傾斜リブ32、および第2縦リブ33は、外容器11の胴部の外周面に形成した突部であってもよい。
【0039】
第1傾斜リブ31、第2傾斜リブ32、および第2縦リブ33は、径方向の外側から見て真直ぐ延びている。第1傾斜リブ31、第2傾斜リブ32、および第2縦リブ33は、径方向の外側から見て長方形状を呈する。第2縦リブ33は、ボトル軸Oとほぼ平行に延びている。
なお、第1傾斜リブ31、第2傾斜リブ32、および第2縦リブ33は、径方向の外側から見て例えば湾曲等してもよい。また、第2縦リブ33は、ボトル軸Oに対して傾斜してもよい。
【0040】
周方向で互いに隣り合うエア貯留部24のボトル軸O方向の向きは、逆向きになっている。
複数のリブ31~33の長さは、互いに同等になっている。複数のリブ31~33の幅は全て、全域にわたって互いに同等になっている。複数のリブ31~33の深さは全て、全域にわたって互いに同等になっている。
【0041】
以上説明したように、本実施形態による2重容器2、およびその製造方法によれば、複数のリブ31~33が、第1傾斜リブ31および第2傾斜リブ32を備え、第1傾斜リブ31、および第2傾斜リブ32それぞれの、ボトル軸O方向の他方側の端部同士が互いに接続されているので、前述のブロー成形時に、エア貯留部24と、内容器12の胴部の外周面と、の間の少なくとも一部に確実に隙間Aを設けることが可能になり、内容器12を、収容される内容物の減少に伴って円滑に減容変形させることができる。
【0042】
第1傾斜リブ31および第2傾斜リブ32が、ボトル軸O方向および周方向それぞれに対して傾斜する向きに延びているので、前述のブロー成形時に、キャビティ内面のうち第1傾斜リブ31および第2傾斜リブ32を成形する部分に、外側プリフォームP1の樹脂材料を引っ掛かりにくくすることが可能になり、エア貯留部24が局所的に肉厚になるのを抑制することができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
例えば、前記第1実施形態では、エア貯留部24として、径方向の外側から見てN字状を呈する構成を示したが、H字状、若しくはM字状等を呈する構成を採用してもよいし、周方向に延びる中間リブが、ボトル軸O方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向の外側から見てループ状に閉じられた部分を有する構成等を採用してもよい。
外容器11の胴部に、エア貯留部24を1つのみ設けてもよいし、エア貯留部24をボトル軸O方向に間隔をあけて3つ以上設けてもよいし、エア貯留部列25を1つ若しくは3つ以上設けてもよい。
リブ22、23、31~33の長さ、幅、および深さは、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
【0045】
前記第1実施形態では、複数のエア貯留部24のボトル軸O方向の向きを、全て同じにしたが、前記第2実施形態のように、周方向で互いに隣り合うエア貯留部24のボトル軸O方向の向きを、逆向きにする等、適宜変更してもよい。
前記第2実施形態では、周方向で互いに隣り合うエア貯留部24のボトル軸O方向の向きを、逆向きにしたが、前記第1実施形態のように、複数のエア貯留部24のボトル軸O方向の向きを、全て同じにする等、適宜変更してもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、第1実施形態、第2実施形態、および前記変形例等を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、2 2重容器
11 外容器
12 内容器
13 口部
14 底部
16 胴部
17 外気導入孔
22 第1縦リブ(縦リブ)
23 中間リブ
24 エア貯留部
31 第1傾斜リブ
32 第2傾斜リブ
A 隙間
O ボトル軸
P1 外側プリフォーム
P2 内側プリフォーム