(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】リアクトル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 37/00 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H01F37/00 F
H01F37/00 J
H01F37/00 M
(21)【出願番号】P 2019164957
(22)【出願日】2019-09-10
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 龍太
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033135(JP,A)
【文献】特開2016-219489(JP,A)
【文献】特開2015-126148(JP,A)
【文献】特開2011-049495(JP,A)
【文献】特開2019-110232(JP,A)
【文献】特開2018-041919(JP,A)
【文献】特開2006-009853(JP,A)
【文献】特開2018-50417(JP,A)
【文献】特開2018-14366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、
前記コアを樹脂で被覆した第1の樹脂部材と、
前記第1の樹脂部材に装着されるコイルと、
前記コイルと接続するバスバーと、
前記バスバーの下部に配置され、外部機器の配線を固定する金属部材と、
前記第1の樹脂部材で被覆された前記コア、前記コイル、前記バスバー及び前記金属部材を樹脂で一体に被覆した第2の樹脂部材と、
を備え、
前記第1の樹脂部材は、前記金属部材を収容する収容部を有
し、
前記収容部は、前記コアの上部に、かつ、前記第1の樹脂部材の表面に設けられていること、
を特徴とするリアクトル。
【請求項2】
前記収容部は、前記金属部材の外形に倣った内部空間を画成する側壁及び底部を有すること、
を特徴とする請求項
1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記底部は、前記側壁の延び方向と同じ方向に膨出する膨出部を有し、
前記金属部材は、前記膨出部の上面に設けられていること、
を特徴とする請求項
2に記載のリアクトル。
【請求項4】
コアと、前記コアに巻回するコイルと、前記コイルと接続するバスバーと、前記バスバーの下部に配置され、外部機器の配線を固定する金属部材と、を備えるリアクトルの製造方法であって、
前記コアを樹脂で被覆し、前記金属部材を収容する収容部を成形する第1のモールド工程と、
前記第1のモールド工程によって成形された前記収容部に収容した前記金属部材を前記バスバー及び前記コイルとともに一体成形する第2のモールド工程と、
前記バスバーと前記コイルを接続する接続工程と、
を備え、
前記第1のモールド工程において成形される収容部は、前記コアの上部に、かつ、前記樹脂の表面に設けられていること、
を特徴とするリアクトルの製造方法。
【請求項5】
前記第1のモールド工程によって成形された前記収容部は、前記金属部材の外形に倣った内部空間を画成する側壁及び底部を有し、
前記底部は、前記側壁の延び方向と同じ方向に膨出する膨出部を有し、
前記膨出部の厚さは、1mm以上4mm以下であること、
を特徴とする請求項
4に記載のリアクトルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルとバスバーを備えるリアクトル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルは、ハイブリッド自動車、電気自動車や燃料電池車の駆動システム等をはじめ、種々の用途で使用されている。例えば、車載用の昇圧回路に用いられるリアクトルとして、環状コアの周囲を樹脂によるモールド成型等によって被覆し、その外周にコイルを装着したものが知られている。
【0003】
この種のリアクトルは、コイルと外部機器を接続させるため、板状の導電性部材であるバスバーを有する端子台を備える。端子台のバスバーの下方には、ナット等の筒状の金属部材が設けられており、この金属部材に外部機器の端子がボルト等で固定される。バスバーは、一方端部をコイルの端部と、他方端部を外部機器の端子と、接続される。このように、リアクトルと外部機器は、バスバーを介して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バスバーの一方端部とコイルの端部の接続は、溶接によって接続されることが多い。溶接不具合を生じさせないためには、バスバーとコイルの溶接箇所の端面の位置合わせを精度良く行う必要がある。一方、端子台は、通常、金型内にバスバーや金属部材等を配置して、樹脂を注入することで製造される。即ち、端子台は、コイルが巻回された成形品とは別体として成形され、ボルト等によってこの成形品に固定されている。そのため、端子台を成形品に固定する際に、コイルとバスバーの溶接箇所の端面の位置を合わせる必要がある。しかし、コイルとバスバーの端面の位置を合わせて端子台を固定することは困難であった。
【0006】
また、コイルとバスバーの溶接箇所の端面の位置が合っていない状態で端子台が固定された場合、位置合わせをする作業が別途必要となる。この作業では、位置合わせした状態でコイル及びバスバーを固定するため、治具の配置位置の複雑化を生じさせ、溶接作業の非効率化を招く虞があった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コイルとバスバーの接続を容易に行うことができるリアクトル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のリアクトルは、コアと、前記コアを樹脂で被覆した第1の樹脂部材と、前記第1の樹脂部材に装着されるコイルと、前記コイルと接続するバスバーと、前記バスバーの下部に配置され、外部機器の配線を固定する金属部材と、前記第1の樹脂部材で被覆された前記コア、前記コイル、前記バスバー及び前記金属部材を樹脂で一体に形成した第2の樹脂部材と、を備え、前記第1の樹脂部材は、前記金属部材を収容する収容部を有し、前記収容部は、前記コアの上部に、かつ、前記第1の樹脂部材の表面に設けられていること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明のリアクトルの製造方法は、コアと、前記コアに巻回するコイルと、前記コイルと接続するバスバーと、前記バスバーの下部に配置され、外部機器の配線を固定する金属部材と、を備えるリアクトルの製造方法であって、前記コアを樹脂で被覆し、前記金属部材を収容する収容部を成形する第1のモールド工程と、前記第1のモールド工程によって成形された前記収容部に収容した前記金属部材を前記バスバー及び前記コイルとともに一体成形する第2のモールド工程と、前記バスバーと前記コイルを接続する接続工程と、を備え、前記第1のモールド工程において成形される収容部は、前記コアの上部に、かつ、前記樹脂の表面に設けられていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コイルとバスバーの接続を容易に行うことができるリアクトル及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るリアクトルの全体構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の樹脂部材で被覆されたコアを示す分解斜視図である。
【
図3】金属部材を収容部に収容した状態の樹脂体の断面図である。
【
図4】他の実施形態に係る金属部材を収容部に収容した状態の樹脂体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
本実施形態のリアクトルについて、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のリアクトルの全体構成を示す斜視図である。
図2は、コアを第1の樹脂部材で被覆した斜視図である。
【0013】
(概略構成)
リアクトル100は、電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積及び放出する電磁気部品であり、電圧の昇降圧等に使用される。本実施形態のリアクトル100は、例えばハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用されるリアクトルである。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のリアクトル100は、コア1、第1の樹脂部材2、コイル3、端子部4、センサ5及び第2の樹脂部材6を備える。コア1は、圧粉磁心等の磁性体から成る。コア1は、2つの略U字型形状のコアの端部を接合することで、環状形状を有する。コイル3は、2つあり、各コイル3はコア1に巻回される。2つのコイル3は、巻軸方向が平行になるように、隙間を介して横並びに配置される。コア1の外周は第1の樹脂部材2によって被覆される。第1の樹脂部材2は、コア1とコイル3の間に介在し、コア1とコイル3の絶縁を図る。
【0015】
第1の樹脂部材2を構成する樹脂の種類としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、BMC(Bulk Molding Compound)、PPS(Polyphenylene Sulfide)、PBT(Polybutylene Terephthalate)等が挙げられる。
【0016】
端子部4は、コイル3の端部31と接続するバスバー41と、バスバー41の下部に設けられ、外部機器の配線を固定する金属部材42を有する。バスバー41と金属部材42は接触している。これによって、金属部材42に外部機器の端子を接続することで、バスバー41及び金属部材42を介して、コイル3と外部機器が電気的に接続される。外部機器から電力供給されると、コイル3に電流が流れ、磁束が発生し、コア1内に閉じた磁気回路が形成される。
【0017】
センサ5はリアクトル100の状態を検出する。本実施形態では、センサ5は、温度センサであり、リアクトル100の温度を検出する。センサ5は、コイル3間に配置される。以上のリアクトル100を構成する第1の樹脂部材2に被覆されたコア1と、コイル3と、端子部4が有するバスバー41及び金属部材42と、センサ5は、第2の樹脂部材6によって一体に成形されている。なお、第2の樹脂部材6を構成する樹脂の種類としては、第1の樹脂部材2と同様の種類が挙げられ、第1の樹脂部材2と同一の樹脂を用いてもよいし、異なる樹脂を用いてもよい。
【0018】
(詳細構成)
第1の樹脂部材2は、
図2に示すように、2分割で構成され、2つの樹脂体21、22を有する。樹脂体21、22は、概略U字型形状のコア1をそれぞれ被覆している。即ち、樹脂体21、22は、一対の直線部23と、直線部を繋ぐ連結部24を有し、概略U字型形状となっている。この概略U字型形状の樹脂体21、22の端部を向かい合わせて、接合することで第1の樹脂部材2が形成される。なお、この直線部23が、コイルが巻回される箇所である。
【0019】
樹脂体21、22の連結部24の上面には、金属部材42が収容される収容部25が設けられている。換言すれば、収容部25は、コア1の上部に設けられている。なお、本実施形態では、収容部25の数は、各樹脂体21、22の連結部24にそれぞれ2つずつ合計4つ設けられているが、収容部25は1つであってもよい。例えば、収容部25は、樹脂体22には設けず、樹脂体21の連結部24に1つ設けるだけでもよい。
【0020】
収容部25は、上面開口及び有底の筒形形状を有する。即ち、収容部25は、底部251と、底部251の縁から延びる側壁252を有し、上面が開口している。この開口から、金属部材42を収容する。このように、収容部25を有することで、収容部25に金属部材42を挿入するだけで金属部材42の位置決めができる。
【0021】
収容部25の内周面は、金属部材42の外形形状に倣った形状を有する。即ち、底部251及び側壁252は、金属部材42の外形に倣った内部空間を画成する。そのため、金属部材42を収容部25に収容すると、金属部材42の外表面と収容部42の側壁252の内周面は接する。これは、第2の樹脂部材6でモールド成形する際に、樹脂の射出圧によって金属部材42が動くことを側壁252によって抑制できるためである。なお、ここでいう収容部25の内周面が金属部材42の外形形状に倣った形状とは、収容部25の全ての内周面が金属部材42の外形に倣っている必要はなく、一部分が倣っていればよい。例えば、収容部25の上部及び下部のみ金属部材42の外形に倣い、金属部材42と側壁252の上部及び下部が接触していればよい。
【0022】
図3は、金属部材42を収容部25に収容した状態の樹脂体22の断面図である。収容部25の底部251は、
図3に示すように、コア1と金属部材42の間に介在する。底部251は、膨出部251aを有する。膨出部251aは、コア1の上面を被覆する第1の樹脂部材2の表面より膨出した部分、即ち、底部251の上面から突出した部分のことである。底部251の上面とは、
図3の破線で示す部分であり、コア1の上面を被覆する樹脂部材2の表面と略同一平面上に位置する。膨出部251aは、底部251の上面から側壁252の延び方向と同じ方向に膨出している。金属部材42を収容部25に収容した際に、膨出部251aが金属部材42の下面と接触する。
【0023】
膨出部251aは、側壁252に囲われた領域内に設けられているが、側壁252とは接触していない。即ち、膨出部251aの周囲と側壁252の間には隙間253がある。つまり、膨出部251aの外径は、底部251の内径よりも小さい。また、膨出部251aの上面は平坦である方が好ましい。なお、本実施形態では、膨出部251aと側壁252の間に隙間253を設けているが、隙間253を設けず、膨出部251aは側壁252と接触していてもよい。
【0024】
側壁252の上端は、収容部25に収容した状態の金属部材42の上面より低く、金属部材42の中央部より高いことが好ましい。金属部材42の中央部とは、金属部材42を収容部25に収容した状態における金属部材42の上面から下面までの長さの半分の地点を指す。側壁252の上端が、金属部材42の上面と同一であると、後述するように、金型で金属部材42を押さえ込むことができず、モールド成型時の射出圧によって、金属部材42やバスバー41が、斜めに固定される虞がある。一方、中央部よりも低いと、金属部材42を側壁252によって支えづらくなるためである。
【0025】
バスバー41は、例えば、銅などの導電性部材である。バスバー6は、板状形状を有する。バスバー6の一方端部411には、孔があり、この孔が金属部材42の上面に配置され、第2の樹脂部材6によって固定されている。バスバー41は、一方端部411からコイル3の端部31に向かって延び、他方端部412は、コイル3の端部31と溶接により接合されている。なお、金属部材42としては、汎用の六角ナット等既知のものを用いることができる。
【0026】
(リアクトルの製造方法)
本実施形態に係るリアクトルの製造方法について説明する。本実施形態のリアクトルの製造方法は、(1)第1のモールド工程、(2)組立工程、(3)第2のモールド工程、(4)接続工程を備える。
【0027】
(1)第1のモールド工程
第1のモールド工程は、コア1を第1の樹脂部材2で被覆し、収容部を成形する工程である。この時、
図3に示す収容部25の膨出部251aの厚みT1が、1mm以上4mm以下となるように成形することが好ましい。膨出部251aの厚みT1とは、底部251の上面から金属部材42を収容部25に収容した時に金属部材42と接触する第1の樹脂部材2の端面の距離のことを指す。つまり、本実施形態における底部251の厚みT1は、底部251の上面から膨出部251aの上面までの距離である。1mmより薄いと、樹脂が流れ込みにくく、膨出部251aを形成することができない虞がある。一方、4mmより厚いと、樹脂のヒケが発生し、金属部材42の載置面に凹凸が生じることがあり、金属部材42が傾いて収容部25に収容される虞がある。換言すれば、1mm以上4mm以下にすることで、膨出部251aの上面が平坦に形成され、金属部材42が傾くことなく、収容部25に収容することができる。
【0028】
(2)組立工程
組立工程は、第2のモールド工程によって固定する構成部材を組立て、金型にセットする工程である。金属部材42は、収容部25に収容し、金属部材42の上部にバスバー41を配置し、バスバー41及び金属部材42を金型で押さえ込む。この金型で押さえ込んだ状態で、バスバー41の他方端部412の端面とコイル3の端部31の端面が面一になるようにする。
【0029】
金属部材42の下面は、樹脂から成る第1の樹脂部材と接触している。そのため、金属部材42を金型で押さえ込んだとしても、金属部材42が変形するよりも先に樹脂が変形するため、金属部材42の変形を抑制することができる。
【0030】
特に、本実施形態では、底面251の上面から膨出した膨出部251aを有する。この膨出部251aを有することで、金属部材42の上端に対する側壁252の上端の位置合わせを容易に行うことができる。例えば、作製した金型によって金属部材42の上端と側壁252の上端が所望の位置に合っていない場合、側壁252の高さを変更する、又は、底部251の厚みを変更する、即ち、コア1の上面を被覆する第1の樹脂部材2全体の厚みを変更するために金型を再度作製する必要がある。つまり、大掛かりな金型の修正を行う必要がある。
【0031】
一方、膨出部251aを設けることで、膨出部251aの厚みによって、金属部材42の上端と側壁252の上端の位置合わせを調整することができる。そのため、膨出部251aの寸法に対応する部分の金型のみを修正すればよいので、大掛かりな金型の修正が不要となり、金属部材42の上端と側壁252の上端の位置合わせを容易に行うことができる。
【0032】
なお、組立工程を経た後の底部251の厚みT1は、第1のモールド工程によって成形した厚みよりも、膨出部251aが金属部材42により押され、潰れた分薄くなる。即ち、本工程を経ると、第1のモールド工程によって成形した底部251の厚みよりも薄くなる。
【0033】
(3)第2のモールド工程
第2のモールド工程は、組立工程を経た金型内に第2の樹脂部材6となる樹脂を注入し、リアクトル100を構成する部材を固定する工程である。第2のモールド工程を経ることによって、第1の樹脂部材2に被覆されたコア1、コイル3、バスバー41、金属部材42及びセンサ5が一体成形され、各部材は固定される。
【0034】
この時、金属部材42は側壁252に支持され、かつ、金型によって押さえ込まれているため、樹脂を金型内に注入した射出圧による金属部材42の移動が抑制される。そのため、金属部材42の上面に配置されるバスバー41も移動することなく、一体成形される。よって、組立工程を経た状態、即ち、バスバー41の他方端部412の端面とコイル3の端部31の端面が面一の状態で一体成形される。
【0035】
(4)接続工程
接続工程は、コイル3の端部31とバスバー41の他方端部412を溶接によって接続する工程である。この溶接は、コイル3の端部31の端面とバスバー41の他方端部412の端面にのみ行われる。そのため、この接続工程では、コイル3の端部31の端面とバスバー41の他方端部412の端面が面一になるようにクランプする必要がある。
【0036】
本実施形態では、第2のモールド工程を経た成形品は、バスバー41の他方端部412の端面とコイル3の端部の端面が面一の状態で一体成形されているため、よって、クランプ作業を容易に行うことができ、溶接工程の作業効率が向上する。
【0037】
また、従来のように、別体でバスバーを固定した端子台を成形品にボルト等によって固定する場合にように、端子台を成形する工程、端子台を固定する工程を省くことができ、作業工程を削減することができる。
【0038】
(効果)
本実施形態に係るリアクトル100は、コア1と、コア1を樹脂で被覆した第1の樹脂部材2と、第1の樹脂部材2に装着されたコイル3と、コイル3と接続するバスバー41と、バスバー41の下部に配置され、外部機器の配線を固定する金属部材42と、第1の樹脂部材2で被覆されたコア1、コイル3、バスバー41及び金属部材42を樹脂で一体に形成した第2の樹脂部材6と、を備え、第1の樹脂部材2は、金属部材42を収容する収容部25を有する。
【0039】
これにより、金属部材42の位置決めを容易に行うことができ、作業性が向上する。また、第2の樹脂部材6によって一体に成形する際に、コイル3とバスバー41を位置決めできる。そのため、コイル3とバスバー41を溶接によって接続する溶接面が面一になるように位置合わせした状態で一体成形できる。よって、クランプ作業を容易に行うことができ、バスバー41の他方端部412とコイル3の端部31を容易に溶接することができ、作業性が向上する。さらに、別途端子台を成形し、端子台を固定する作業を行う必要もなくなるので、作業工程を削減することができる。
【0040】
収容部25は、コア1の上部に設けられている。例えば、収容部25をコイル3の巻軸方向と直交する連結部24の端面の外側に設けた場合、リアクトルの巻軸方向の長さが長くなり、大型化を招く。しかし、本実施形態では、収容部25は、コア1の上面に設けられている。これにより、リアクトル100の小型化を維持しつつ、収容部25を設けることができる。
【0041】
収容部25は、金属部材42の外形に倣った内部空間を画成する側壁252及び底部251を有する。これにより、第2の樹脂部材6で一体成形する際に、金属部材42を金型で押さえ込んでも、金属部材42とコア1の間に樹脂が介在しているので、金属部材42が変形することを防止することができる。また、収容部25の内部空間は金属部材42の外形に倣った形状となっているので、側壁252によっても金属部材42を固定できる。よって、金属部材42を固定するための大掛かりな治具が不要となり、コスト削減を図るとともに、治具の配置も簡略化でき、作業性も向上する。
【0042】
底部251は、側壁252の延び方向と同じ方向に膨出する膨出部251aを有し、膨出部251aは、側壁252と膨出部251aの間に隙間を有し、側壁252と接触していない。これにより、膨出部251aが潰れやすく、金属部材42の変形をより抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態のリアクトルの製造方法は、第1のモールド工程において成形される収容部25の膨出部251aの厚みT1は、1mm以上4mm以下である。これにより、膨出部251aの上面は平坦に形成することができるので、金属部材42が傾くことなく収容部25に収容させることができる。。
【0044】
(他の実施形態)
本明細書においては、本発明に係る実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。上記のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0045】
本実施形態では、底部251は膨出部251aを有していたが、
図4に示すように、膨出部251aは必ずしも設ける必要はなく、底部251の厚みは、コア1の上面を被覆する第1の樹脂部材2と略同一の厚みであってもよい。
【0046】
本実施形態では、
図2に示すように、底部251の縁の全周囲から側壁252が立ち上がっていたが、側壁252は、金属部材42を支えることができるのであれば、底部251の全周囲の縁から立ち上がっている必要はない。例えば、概略矩形状の底部251の角部の4箇所のみから立ち上がり、各側壁は接触せず、隙間を介して設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
100 リアクトル
1 コア
2 第1の樹脂部材
21 樹脂体
22 樹脂体
23 直線部
24 連結部
25 収容部
251 底部
251a 膨出部
252 側壁
253 隙間
3 コイル
31 端部
4 端子部
41 バスバー
411 一方端部
412 他方端部
42 金属部材
5 センサ
6 第2の樹脂部材