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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 29/08 20060101AFI20231201BHJP
   H02K 11/215 20160101ALI20231201BHJP
【FI】
H02K29/08
H02K11/215
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019172629
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052455
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】武田 義弘
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-121104(JP,A)
【文献】実開平01-166471(JP,U)
【文献】特開2009-095172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 29/08
H02K 11/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの回転を検出する磁気センサを有するブラシレスモータであって、
マグネットを備え、回転軸を中心に回転可能なロータと、
複数の巻線コイルを備えたステータと、
このステータ側に設けられ、上記ロータの上記マグネットの磁気を検出するための磁束検出面を備えた複数の磁気センサと、
上記ロータの周囲を取り囲むように上記ステータ側に設けられ、上記磁気センサの上記磁束検出面を夫々当接させて取り付けるように構成された複数のセンサ取付面が外周に形成された、単一のセンサ保持部材と、
を有し、
上記センサ取付面は、上記回転軸を中心とする円の接線に平行な平面であり、且つ、上記回転軸を中心とする円の半径方向外方に向けられていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
上記ステータは、上記各巻線コイルが生成した磁束を夫々導くための磁性体部材を備え、上記センサ保持部材は、上記磁性体部材に対して位置決めされる請求項1記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
上記磁性体部材は、上記回転軸の周囲に、上記回転軸と概ね平行に延びるように構成され、上記センサ保持部材は、上記磁性体部材に対する位置が位置決めされるように、上記磁性体部材と嵌合する嵌合部を備えている請求項2記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
上記磁気センサは、上記磁束検出面の両側に設けられた側面を有し、上記センサ保持部材の上記センサ取付面には、上記磁気センサの上記側面と夫々合致する位置規制壁が設けられている請求項1乃至3の何れか1項に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
上記磁気センサは、上記磁気センサの両側の上記側面から夫々突出する電極を有し、上記位置規制壁は、上記磁気センサの上記側面の、上記電極が突出していない部分に当接する請求項4記載のブラシレスモータ。
【請求項6】
さらに、フレキシブル基板を有し、このフレキシブル基板には、上記磁気センサの上記磁束検出面を受け入れる切欠、この切欠の縁に設けられた上記磁気センサの電極に接続すべき接続部、及びこの接続部から延びる配線パターンが設けられ、上記センサ保持部材は概ね円筒形に形成されると共に、上記磁気センサは表面実装型の素子であり、上記磁気センサの電極は、上記センサ保持部材の外周に巻き付けられた上記フレキシブル基板の外周面で、上記接続部に電気的に接続される請求項1乃至5の何れか1項に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータに関し、特に、ロータの回転を検出する磁気センサを有するブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータには、磁気センサによってロータの位置を検出して、ステータのコイルに流す電流を制御する位置センサ付き駆動タイプのブラシレスモータと、センサを備えない位置センサレス駆動タイプのブラシレスモータがある。位置センサレス駆動タイプのブラシレスモータは、センサを備えていないため、安価に構成できるほか、高温の環境等、劣悪な環境でも使用することができる。一方、位置センサ付き駆動タイプのブラシレスモータは、ロータの位置を確実に検出することができるため、低速から高速までスムーズに回転制御が可能になるという利点がある。
【0003】
また、位置センサ付き駆動タイプのブラシレスモータは、ロータの位置に応じて適切な駆動電流を供給することができるため、位置センサレス駆動タイプよりも、応答性を高くすることができる。このため、動画又は静止画撮影用のカメラのレンズ鏡筒の中に配置され、鏡筒内に設けられたフォーカス用のレンズや、ズームレンズを駆動するためのブラシレスモータには、応答性の高い位置センサ付き駆動タイプのブラシレスモータを使用することが好ましい。
【0004】
一方、特開平1-190244号公報(特許文献1)には、無刷子電動機(ブラシレスモータ)が記載されている。このブラシレスモータは、磁気感応素子を備えた位置センサ付き駆動タイプのブラシレスモータであり、回転子(ロータ)と、ステータを構成する磁極子と、巻線体と、を備えている。ステータに備えられるコイルの巻線は、巻線体に巻かれると共に、磁気感応素子は、巻線体に設けられた素子収容部に収容されている。素子収容部に収容された状態において、磁気感応素子の検知部は、ロータに直接対向するように向けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-190244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の無刷子電動機(ブラシレスモータ)では、磁気感応素子(磁気センサ)の検知部(磁束検出面)の位置を正確に位置決めすることができないという問題がある。即ち、ロータの磁気を検出し、これに基づいてステータの巻線コイルに流す電流を正確に制御するためには、磁気センサの磁束検出面を高精度で位置決めする必要がある。磁気センサの磁束検出面の取り付け位置や、方向に誤差があると、正確なタイミングでステータの巻線コイルに電流を流すことができなくなり、これがブラシレスモータの出力を低下させたり、振動や騒音が発生したりするという問題が発生する。
【0007】
この問題は、動画又は静止画撮影用のカメラのレンズ鏡筒の中に配置されるブラシレスモータ等、小型のモータにおいて特に顕著となる。即ち、小型のブラシレスモータにおいては、磁気センサの磁束検出面の位置や、角度の僅かな誤差が、ブラシレスモータの制御に多大な影響を与える。このように、小型のブラシレスモータでは、磁気センサの磁束検出面に極めて高い取り付け位置精度が要求されることが、本件発明者の研究開発により明らかにされた。
【0008】
従って、本発明は、磁気センサの磁束検出面を正確に位置決めすることができ、出力の低下や、振動、騒音の発生を抑制することができるブラシレスモータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、ロータの回転を検出する磁気センサを有するブラシレスモータであって、マグネットを備え、回転軸を中心に回転可能なロータと、複数の巻線コイルを備えたステータと、このステータ側に設けられ、ロータのマグネットの磁気を検出するための磁束検出面を備えた複数の磁気センサと、ロータの周囲を取り囲むようにステータ側に設けられ、磁気センサの磁束検出面を夫々当接させて取り付けるように構成された複数のセンサ取付面が外周に形成された、単一のセンサ保持部材と、を有し、センサ取付面は、回転軸を中心とする円の接線に平行な平面であり、且つ、回転軸を中心とする円の半径方向外方に向けられていることを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、センサ保持部材のセンサ取付面が、回転軸を中心とする円の接線に平行に、回転軸を中心とする円の半径方向外方に向けられている。このセンサ取付面に、磁気センサの磁束検出面が当接されて取り付けられるので、磁束検出面がロータに向けられると共に、磁束検出面の角度がセンサ取付面によって規定される。これにより、磁気センサの磁束検出面を正確に位置決めすることができ、ブラシレスモータの出力の低下や、振動、騒音の発生を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブラシレスモータによれば、磁気センサの磁束検出面を正確に位置決めすることができ、出力の低下や、振動、騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるブラシレスモータを示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態によるブラシレスモータを示す側面図である。
図3】本発明の実施形態によるブラシレスモータの、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4】本発明の実施形態によるブラシレスモータを、フレキシブル基板を取り除いた状態で示す側面図である。
図5】本発明の実施形態によるブラシレスモータを、フレキシブル基板及びホール素子を取り除いた状態で示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態によるブラシレスモータに使用されているホール素子の平面図である。
図7】本発明の実施形態によるブラシレスモータに使用されているホール素子の、フレキシブル基板への取り付けを示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるブラシレスモータを説明する。
図1は、本発明の実施形態によるブラシレスモータを示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態によるブラシレスモータを示す側面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う本発明の実施形態によるブラシレスモータの断面図である。図4は、本発明の実施形態によるブラシレスモータを、フレキシブル基板を取り除いた状態で示す側面図である。図5は、本発明の実施形態によるブラシレスモータを、フレキシブル基板及びホール素子を取り除いた状態で示す斜視図である。図6は、本発明の実施形態によるブラシレスモータに使用されているホール素子の平面図である。図7は、本発明の実施形態によるブラシレスモータに使用されているホール素子の、フレキシブル基板への取り付けを示す部分拡大図である。
【0014】
図1乃至図3に示すように、本発明の実施形態によるブラシレスモータ1は、回転軸2aを中心に回転可能なロータ2と、このロータ2の周囲を取り囲むように設けられたステータ4と、このステータ4側に設けられた磁気センサであるホール素子6と、ステータ4の周囲に巻かれたフレキシブル基板8と、を有する。本実施形態のブラシレスモータ1は、ステータ4のコイルに所定のタイミングで電流を流すことにより、ステータ4とロータ2の間に磁力を作用させ、回転軸2aを中心にロータ2を回転させるように構成されている。また、ロータ2の磁気はホール素子6によって検出され、ホール素子6の検出信号に基づいて、制御装置(図示せず)により、ステータ4のコイルに電流を流すタイミングを制御するように構成されている。
【0015】
ロータ2は、ステータ4に対して回転可能に支持された回転軸2aと、この回転軸2aと同心円状に設けられた円筒形のマグネット2bと、を有する。
回転軸2aは金属製の円形断面のシャフトであり、その中間部が軸受け2c(図2)により回転可能に支持され、軸受け2cよりも下部が図2における下方に向けて突出している。なお、本実施形態においては、軸受け2cとして、焼結含油軸受けが使用されている。
【0016】
マグネット2bは円筒形に形成され、その中心軸線に沿って回転軸2aが貫通して延びている。また、マグネット2bの外周は、円周方向に沿ってN極とS極が交互に入れ替わるように着磁されている。マグネット2bは、回転軸2aと共に回転されるように、軸受け2cよりも上方で回転軸2aに取り付けられ、ステータ4によって周囲が取り囲まれている。なお、本実施形態においては、マグネット2bとして、希土類マグネットが使用されている。
【0017】
フレキシブル基板8は、薄い、可撓性のある基板であり、ステータ4の上部に、周囲を一周するように巻き付けられている。また、フレキシブル基板8上には、ステータ4の各コイルに電流を供給するための配線パターン、各ホール素子6に電流を供給するための配線パターン、及び各ホール素子6の検出信号を取り出すための配線パターン(以上、図1には図示せず)が形成されている。
【0018】
次に、図4及び図5を参照して、ステータ4の構成を説明する。図4はブラシレスモータ1からフレキシブル基板8を取り除いた状態を示し、図5はフレキシブル基板8及びホール素子6を取り除いた状態を示している。
図4及び図5に示すように、ステータ4は、磁性体部材であるステータ鉄心10と、このステータ鉄心10に取り付けられた複数の巻線コイル12と、ホール素子6を取り付けるためのセンサ保持部材14と、ステータ鉄心10が取り付けられたベース部材16と、を有する。
【0019】
ステータ鉄心10は磁性体材料製の部材であり、各巻線コイル12が生成した磁気をロータ2のマグネット2bに導くように構成されている。ステータ鉄心10はベース部材16に取り付けられ、ベース部材16には回転軸2aの軸受け2cが設けられている。ステータ鉄心10は6本の直線部10aを備え、これらの直線部10aは回転軸2aと平行に、ロータ2の周囲を取り囲むように延びている。また、直線部10aは長方形断面を有し、中心角60度ずつ隔てて、ロータ2の周囲に等間隔に延びている。このため、6本の直線部10aは、その長方形断面の長辺が互いに向かい合うように、3つの対を為すように配置される。
【0020】
また、各直線部10aの基端部は半径方向内方に向けて90度湾曲され、水平方向に延びる基部10bに続いている。各基部10bの先端は、回転軸2aの周囲で一体化されている。換言すれば、ステータ鉄心10の基部10bは、回転軸2aを中心に放射状に水平方向に延びた後、上方に向けて90度湾曲され、鉛直方向に延びる直線部10aに夫々連なっている。
【0021】
巻線コイル12は、ステータ鉄心10の各直線部10aの下部に夫々設けられたコイルであり、各直線部10aの周囲に夫々巻回されている。これらの巻線コイル12に電流を流すことにより、その内側を貫通するステータ鉄心10の直線部10aが磁化され、この磁気がロータ2のマグネット2bに作用して、ロータ2を回転させる駆動力が生成される。
【0022】
図4及び図5に示すように、センサ保持部材14は非磁性体材料製の概ね円筒状の部材であり、ロータ2を取り囲むように配置されている。なお、本実施形態においては、センサ保持部材14は、ガラス繊維で強化されたポリカーボネート樹脂製である。センサ保持部材14は、概ね円筒形の円筒部14aと、この円筒部14aから下方に延びる3つの嵌合部14b(図5には1つのみ図示)と、を有する。
【0023】
図5に示すように、円筒部14aは、概ね円筒形の部分であり、内側にロータ2のマグネット2bを回転可能に受け入れている。円筒部14aの外周面は3箇所で平面状に切り欠かれており、切り欠かれた平面の中央部に、ホール素子6を取り付けるためのセンサ取付面18が夫々構成されている。センサ取付面18は、円筒部14aの外周面に、120度ずつ間隔を空けて等間隔に3つ形成されている。各センサ取付面18は、回転軸2aを中心とする円の半径方向外方に向けられていると共に、回転軸2aを中心とする円の接線に沿って延びている。換言すれば、各センサ取付面18は、回転軸2aから半径方向に延びる直線と直交する方向に向けられている。
【0024】
また、各センサ取付面18の両側には、互いに対向するように位置規制壁18aが夫々設けられている。これらの位置規制壁18aは、センサ取付面18から直角に立ち上がるように設けられると共に、回転軸2aと平行な方向に延びている。後述するように、各ホール素子6は、対向する位置規制壁18aの間で、各センサ取付面18に取り付けられる。なお、センサ保持部材14は、非磁性体材料製であるため、ロータ2のマグネット2bからの磁束は容易にセンサ保持部材14を透過し、透過した磁束を各ホール素子6によって検出することができる。
【0025】
嵌合部14bは、円筒部14aの下端から下方に向けて突出するように、等間隔に3つ設けられている。即ち、円筒部14aの側壁面が、部分的に下方に突出するように延長され、この部分が嵌合部14bを構成している。また、円筒部14aの円周上において、センサ取付面18が等間隔に3つ設けられており、嵌合部14bは各センサ取付面18の間に1つずつ設けられている。図5に示すように、センサ保持部材14の円筒部14aは、ステータ鉄心10の上端部の上に配置され、円筒部14aの側面には、3つのセンサ取付面18が設けられている。さらに、嵌合部14bは、隣り合う2つのセンサ取付面18の間に、円筒部14aの下端から下方に垂下するように設けられている。各嵌合部14bは、ステータ鉄心10の、隣接して配置された2本の直線部10aの間に嵌まり込むように設けられている。即ち、嵌合部14bの両側の側面は、ステータ鉄心10の直線部10aの側面と夫々合致して、2つの直線部10aの間に嵌まり込むように構成されている。
【0026】
このように、センサ保持部材14は、その円筒部14aの下面が、ステータ鉄心10の直線部10aの上端面に当接する一方、円筒部14aの下面から垂下する各嵌合部14bが、直線部10aの間に嵌合するように構成されている。これにより、センサ保持部材14は、ステータ4の一部を構成するステータ鉄心10に対して正確に位置決めされ、センサ保持部材14に設けられた各センサ取付面18の位置が、ステータ鉄心10に対して位置決めされる。
【0027】
次に、図6及び図7を新たに参照して、ホール素子6の構成、及びその取り付け構造を説明する。
図6に示すように、ホール素子6は、直方体状の本体部6aと、本体部6aの両側の側面から突出する4本の電極6bを有する。また、本実施形態において、ホール素子6は、リード付きの表面実装型の素子である。即ち、ホール素子6は、本体部から延びる電極をプリント基板等の孔に貫通させた状態で電気的に接続されるタイプの素子ではなく、電極がプリント基板等の表面に載置された状態で実装されるタイプの素子である。
【0028】
本実施形態において、ホール素子6は、4本の電極6bのうちの2本に入力電流が流され、残りの2本の電極6bの間に、検出した磁束の密度に比例した電圧が出力されるように構成されている。また、直方体状の本体部6aの上面は磁束検出面6cであり、この磁束検出面6cを通る磁束の密度がホール素子6から検出信号として出力されるように構成されている。さらに、4本の電極6bは、本体部6aの両側の側面6dに2本ずつ設けられている。
【0029】
また、図3に示すように、ホール素子6は、その磁束検出面6cがセンサ保持部材14のセンサ取付面18に当接するように、センサ保持部材14に取り付けられる。さらに、磁束検出面6cの両側に設けられた、本体部6aの側面6dは、センサ保持部材14のセンサ取付面18に設けられた2つの位置規制壁18a(図5)と夫々合致するように構成されている。また、図4に示すように、位置規制壁18aは、ホール素子6の各側面6dに設けられた2本の電極6bの間に嵌まり込み、電極6bの間で各側面6dに夫々当接するように構成されている。換言すれば、各位置規制壁18aは、ホール素子6の電極6bが突出していない部分で、ホール素子6の各側面6dに当接する。
【0030】
このように、ホール素子6は、その磁束検出面6cの向きが、センサ保持部材14のセンサ取付面18によって規定され、磁束検出面6cの軸線方向の位置、及び円周方向の位置が、各位置規制壁18aによって規定される。また、半径方向外方に向くようにセンサ保持部材14に形成されたセンサ取付面18に、ホール素子6の磁束検出面6cを直接当接させて配置することにより、磁束検出面6cの向きを半径方向内方に向けて正確に規定することができる。即ち、磁束検出面6cがセンサ取付面18に直接当接されるので、ホール素子6の本体部6aに寸法誤差、形状誤差がある場合でも、磁束検出面6cの向きを正確に規定することができる。
【0031】
次に、図2図4及び図7を参照して、ホール素子6とフレキシブル基板8の接続構造を説明する。
まず、図4に示すように、3つのホール素子6を、センサ保持部材14の外周面に設けられた3つのセンサ取付面18に、夫々取り付ける。即ち、ホール素子6の磁束検出面6cを、センサ保持部材14のセンサ取付面18に接着する。この際、磁束検出面6cの両側の側面6dが、センサ取付面18に設けられた位置規制壁18aに夫々当接される。なお、磁束検出面6cをセンサ取付面18に接着する接着剤の層は、極めて薄く、均一に形成することが好ましい。これにより、各ホール素子6がセンサ保持部材14に対して正確に位置決めされる。
【0032】
次に、図2に示すように、フレキシブル基板8を、ステータ鉄心10の直線部10a及びセンサ保持部材14の周囲に巻き付ける。なお、フレキシブル基板8には、各ホール素子6の磁束検出面6cを受け入れる長方形の切欠8aが設けられており、これらの切欠8aの縁には、ホール素子6の電極6bを電気的に接続するための接続部である基板ランド8bが形成されている。また、フレキシブル基板8上には、各基板ランド8bから夫々延びるように配線パターン8cが設けられており、これらの配線パターン8cは、ホール素子6への電流の供給、及びホール素子6の検出信号の伝達に利用される。また、フレキシブル基板8上には、各巻線コイル12に電流を供給するための配線パターン(図示せず)も設けられている。
【0033】
各ホール素子6の磁束検出面6cが、フレキシブル基板8の切欠8aの内側に夫々受け入れられるように配置された状態においては、図7に示すように、フレキシブル基板8は、ホール素子6の磁束検出面6cと、ホール素子6の電極6bの先端との間に配置される。この状態においては、フレキシブル基板8の基板ランド8bは、巻き付けられたフレキシブル基板8の外周側に位置する。一方、ホール素子6の側面から突出する各電極6bは、フレキシブル基板8の切欠8aの中を通って、フレキシブル基板8の外周側まで延びている。フレキシブル基板8の切欠8aの縁に設けられた各基板ランド8bは、ホール素子6の各電極6bに対応する位置に設けられている。このため、各電極6bの先端を、巻き付けられたフレキシブル基板8の外周面で各基板ランド8bに半田付けし、電極6bを基板ランド8bに電気的に接続することができる。
【0034】
このように、各ホール素子6をセンサ保持部材14に接着した後、センサ保持部材14にフレキシブル基板8を巻き付け、その後、各ホール素子6の電極6bと、フレキシブル基板8の基板ランド8bを接合している。このため、フレキシブル基板8を巻き付ける際に、電極6bと基板ランド8bの接合部に半田クラックが生じるのを防止することができる。なお、電極6bと基板ランド8bは、導電性の接着剤により接合することもできる。
【0035】
本発明の実施形態のブラシレスモータ1によれば、センサ保持部材14のセンサ取付面18が、回転軸2aを中心とする円の接線に平行に、回転軸2aを中心とする円の半径方向外方に向けられている。このセンサ取付面18に、ホール素子6の磁束検出面6cが当接されて取り付けられるので、磁束検出面6cがロータ2に向けられると共に、磁束検出面6cの角度がセンサ取付面18によって規定される。これにより、ホール素子6の磁束検出面6cを正確に位置決めすることができ、ブラシレスモータ1の出力の低下や、振動、騒音の発生を効果的に抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態のブラシレスモータ1によれば、センサ保持部材14が、ステータ鉄心10に対して位置決めされるので、センサ保持部材14を確実に位置決めすることができ、これに形成されたセンサ取付面18を正確に位置決めすることができる。
【0037】
さらに、本実施形態のブラシレスモータ1によれば、センサ保持部材14がステータ鉄心10と嵌合する嵌合部14bを備えているので、センサ保持部材14のステータ鉄心10に対する位置を容易に位置決めすることができる。
【0038】
また、本実施形態のブラシレスモータ1によれば、センサ保持部材14のセンサ取付面18には、ホール素子6の側面6dと夫々合致する位置規制壁18aが設けられているので、ホール素子6の磁束検出面6cの角度に加え、磁束検出面6cの円周方向の位置も正確に位置決めすることができる。
【0039】
さらに、本実施形態のブラシレスモータ1によれば、位置規制壁18aは、ホール素子6の側面6dの、電極6bが突出していない部分に当接するので、ホール素子6の軸線方向の位置も、位置規制壁18aにより位置決めすることができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、ステータ鉄心10の、回転軸2aと平行に延びる直線部10aの周りに巻線コイル12が巻かれていたが、回転軸から放射状に延びるステータ鉄心の周りに巻線コイルが巻かれるタイプのブラシレスモータに本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 ブラシレスモータ
2 ロータ
2a 回転軸
2b マグネット
2c 軸受け
4 ステータ
6 ホール素子(磁気センサ)
6a 本体部
6b 電極
6c 磁束検出面
6d 側面
8 フレキシブル基板
8a 切欠
8b 基板ランド(接続部)
8c 配線パターン
10 ステータ鉄心(磁性体部材)
10a 直線部
10b 基部
12 巻線コイル
14 センサ保持部材
14a 円筒部
14b 嵌合部
16 ベース部材
18 センサ取付面
18a 位置規制壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7