(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】パネル体と枠材との配設構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20231201BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
E04B2/82 521A
E04B2/74 561A
(21)【出願番号】P 2019195494
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】村山 思保
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069855(JP,A)
【文献】実公昭49-012424(JP,Y1)
【文献】特開平03-115690(JP,A)
【文献】特開2002-294909(JP,A)
【文献】登録実用新案第3178601(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/74 - 2/82
E04B 1/00
E06B 1/02
E06B 1/56
E06B 1/60
E06B 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、
前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、
前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、
パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ
、
該延出部は、前記脚片部同士を固定するためのビスを覆蓋する位置にまでさらに至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造。
【請求項2】
前記枠材は、開き戸用戸体、引き戸用戸体、間仕切りの各パネル体の何れかの縦枠材であることを特徴とする請求項
1記載のパネル体と枠材との配設構造。
【請求項3】
建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、
前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、
前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、
パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、
パネル体は開き戸用または引き戸用の戸体、枠材は戸体の戸先側縦枠であり、延出部は、戸体の戸先側端縁部に設けられ、戸体が閉鎖姿勢の状態で前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造。
【請求項4】
建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、
前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、
前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、
パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、
パネル体は開き戸用の戸体、枠材は戸体の戸尻側縦枠であり、延出部は、戸体を開閉揺動自在に支持するための蝶番と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造。
【請求項5】
建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、
前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、
前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、
パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、
パネル体は間仕切り、枠材は該間仕切りの端縁部を支持するための支持枠であり、枠部材には、間仕切りに係止して該間仕切りを支持するための支持金具が取付けられ、延出部は、該支持金具と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造。
【請求項6】
レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する脚片部同士の重合および該重合部位のビス固定は、跨部を挟んだ前後両側の脚片部同士で行われ、間仕切りは、前後一対のものが支持金具と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るようそれぞれ延出部が形成されたものであることを特徴とする請求項
5記載のパネル体と枠材との配設構造。
【請求項7】
レール材と枠部材とのあいだには、枠部材の姿勢を調節するための姿勢調節手段が設けられていることを特徴とする
請求項1乃至6の何れか1記載のパネル体と枠材との配設構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き戸、引き戸、さらには間仕切り等のパネル体を壁面や天井面等の躯体側面に取付けるための配設構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の空間部を前後に仕切る開き戸や引き戸、間仕切り等のパネル体を、壁面等の躯体側面から左右方向に延出するようにして取付ける場合、該躯体側面に枠材を取付け、該枠材に隣接(連接)する状態でパネル体を取付けるようにしている。そしてこのような枠材のなかには、躯体側面に取付けられるコ字形をしたレール材に、同じくコ字形をした枠部材を、両脚片同士が互いに嵌合するようにして取付けたものとし、そして該枠部材に隣接するようにしてパネル体を取付ける構成にしたものが従来から知られている(例えば特許文献1、[
図10]参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものでは、パネル体の端縁部が、枠部材側の跨部に対向する位置までの設定になっていて、この間に凹溝状になった目地部が形成された構成になっているため、パネル体の端縁部と躯体側面とのあいだの間隔が広く離間した状態になって不自然さ(違和感)が醸成されるという問題がある。しかも脚片部同士の重合部位において、前後方向外側となる枠部材側の先端縁が外部から視認されるため外観性が損なわれるだけでなく、レール材側の脚片部が、枠部材側の脚片部に対して前後方向内側にあるため躯体側が前後方向の幅が狭くなっている、という強度的な面での不安定感(脆弱感)を与える等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、該延出部は、前記脚片部同士を固定するためのビスを覆蓋する位置にまでさらに至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造である。
請求項2の発明は、前記枠材は、開き戸用戸体、引き戸用戸体、間仕切りの各パネル体の何れかの縦枠材であることを特徴とする請求項1記載のパネル体と枠材との配設構造である。
請求項3の発明は、建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、パネル体は開き戸用または引き戸用の戸体、枠材は戸体の戸先側縦枠であり、延出部は、戸体の戸先側端縁部に設けられ、戸体が閉鎖姿勢の状態で前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造である。
請求項4の発明は、建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、パネル体は開き戸用の戸体、枠材は戸体の戸尻側縦枠であり、延出部は、戸体を開閉揺動自在に支持するための蝶番と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造である。
請求項5の発明は、建物内の空間部を前後に仕切るため設けられるパネル体と、壁面等の躯体側面に設けた枠材との配設構造であって、前記枠材は、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部が躯体側面に固定され、脚片部が躯体側面からパネル体側に向けて突出するレール材と、跨部と脚片部とが設けられたコ字形をし、跨部がパネル体側に配され、脚片部がパネル体側から躯体側面に向けて突出する枠部材とを備え、これら枠部材とレール材との脚片部同士が前後に重合し、該重合部位をビス固定することでレール材と枠部材とが一体化されることで構成されると共に、前記脚片部同士の重合は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する重合であり、パネル体には、前記脚片部同士の重合部位に対して前後方向外側に位置する状態で、前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至って、先端縁が躯体側面に近接対向する延出部が設けられ、パネル体は間仕切り、枠材は該間仕切りの端縁部を支持するための支持枠であり、枠部材には、間仕切りに係止して該間仕切りを支持するための支持金具が取付けられ、延出部は、該支持金具と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るように設けられていることを特徴とするパネル体と枠材との配設構造である。
請求項6の発明は、レール材側脚片部が枠部材側脚片部に対して前後方向外側に位置する脚片部同士の重合および該重合部位のビス固定は、跨部を挟んだ前後両側の脚片部同士で行われ、間仕切りは、前後一対のものが支持金具と前記前後方向外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する位置にまで少なくとも至るようそれぞれ延出部が形成されたものであることを特徴とする請求項5記載のパネル体と枠材との配設構造である。
請求項7の発明は、レール材と枠部材とのあいだには、枠部材の姿勢を調節するための姿勢調節手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1記載のパネル体と枠材との配設構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、躯体側面に固定されるレール材の脚片部が、枠部材の脚片部に対して前後方向外側に位置する状態で重合する脚片部同士がビス固定されることで枠材が形成され、しかも該枠材に隣接する状態で設けられるパネル体に設けた延出部が、前記外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する状態になって躯体側面に近接対向している結果、枠材は、前後方向外側のレール材側脚片部の先端縁が目隠しされる状態で、該レール材側脚片部のみが幅狭な目地となった一枚板の状態で視認されるだけになって、不安定感や不自然さが払拭されると共に外観性が向上する。しかも重合する脚片部同士を固定するビスまでがパネル体に設けた延出部によって覆蓋されるため、目地として視認されるレール材側脚片部の幅がさらに狭いものとなって外観性が一段と向上する。
請求項2の発明とすることにより、枠材が、開き戸用戸体、引き戸用戸体、間仕切りの各パネル体の縦枠材として兼用されることになって、部品点数の低減が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、躯体側面に固定されるレール材の脚片部が、枠部材の脚片部に対して前後方向外側に位置する状態で重合する脚片部同士がビス固定されることで枠材が形成され、しかも該枠材に隣接する状態で設けられるパネル体に設けた延出部が、前記外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する状態になって躯体側面に近接対向している結果、枠材は、前後方向外側のレール材側脚片部の先端縁が目隠しされる状態で、該レール材側脚片部のみが幅狭な目地となった一枚板の状態で視認されるだけになって、不安定感や不自然さが払拭されると共に外観性が向上する。しかもパネル体を開き戸用または引き戸用の戸体とし、枠材を該戸体の戸先側縦枠として用いたものに利用することができる。
請求項4の発明とすることにより、躯体側面に固定されるレール材の脚片部が、枠部材の脚片部に対して前後方向外側に位置する状態で重合する脚片部同士がビス固定されることで枠材が形成され、しかも該枠材に隣接する状態で設けられるパネル体に設けた延出部が、前記外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する状態になって躯体側面に近接対向している結果、枠材は、前後方向外側のレール材側脚片部の先端縁が目隠しされる状態で、該レール材側脚片部のみが幅狭な目地となった一枚板の状態で視認されるだけになって、不安定感や不自然さが払拭されると共に外観性が向上する。しかもパネル体を開き戸用の戸体とし、枠材を戸尻側縦枠として用いたものに利用することができる。
請求項5の発明とすることにより、躯体側面に固定されるレール材の脚片部が、枠部材の脚片部に対して前後方向外側に位置する状態で重合する脚片部同士がビス固定されることで枠材が形成され、しかも該枠材に隣接する状態で設けられるパネル体に設けた延出部が、前記外側に重合するレール材側脚片部の先端縁を覆蓋する状態になって躯体側面に近接対向している結果、枠材は、前後方向外側のレール材側脚片部の先端縁が目隠しされる状態で、該レール材側脚片部のみが幅狭な目地となった一枚板の状態で視認されるだけになって、不安定感や不自然さが払拭されると共に外観性が向上する。しかもパネル体を間仕切りとし、枠材を該間仕切りの端縁部を支持するための支持枠として用いたものにすることができる。
請求項6の発明とすることにより、枠材の前後方向両側に前後一対の間仕切りを配したものに利用することができる。
請求項7の発明とすることにより、躯体側面が傾斜していた場合に、姿勢調節手段によって枠部材を所望の姿勢に調節できることになって施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(A)(B)は戸体の概略正面図、概略平面図である。
【
図2】(A)(B)は枠材の正面図、姿勢調節をした状態を示す枠材の正面図である。
【
図4】(A)(B)は枠材の分解図、水平断面図である。
【
図5】(A)(B)(C)は姿勢調節手段の側面図、正面図、底面図である。
【
図6】開き戸用戸体の戸尻側部位の拡大水平断面図である。
【
図7】引き戸用戸体の戸先側部位の拡大水平断面図である。
【
図8】開き戸用戸体の戸先側部位を枠材に対向させた実施の形態の拡大水平断面図である。
【
図9】パネル体として間仕切りを設けた場合の実施の形態の拡大水平断面図である。
【
図10】(A)(B)は間仕切りを設けた場合の枠材の要部側面図、間仕切りの要部背面図である。
【
図11】間仕切りを両面に設けた場合の拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は壁面や天井面等の躯体側面Wに設けられる枠材、2は該枠材1に隣接する状態で通常では人が入り込む(入室する)ことのない設備室、あるいは機械室、物置等の空間(以下「設備室」という。)Sと、人の出入りが通常にある執務室や住居室、さらには廊下等の空間(以下「室内空間」という。)Tとを前後に仕切るため建て付けられるパネル体であって、前記枠材1は、左右の縦枠3、3aと天井側の横枠(上枠)3bとを備えたものとして構成されるが、本実施の形態では、これら縦枠3、3a、横枠3bに本発明が実施されている。一方、パネル体1としては、一方の縦枠3を戸尻側縦枠として前後方向開閉揺動自在に設けられる開き戸用の戸体4と、該戸体4に隣接すると共に、他方の縦枠3aを戸先側縦枠として左右方向開閉移動自在に設けられる引き戸用の戸体5とを備えて構成されている。尚、引き戸用戸体5は、開き戸用戸体4が開放されている状態で左右方向に開閉移動できるよう構成されたものであって、下レール式、ハンガーレール式のもの等、通常知られた構造で左右開閉移動をするものであり、また引き戸用戸体5には、落とし錠装置11が設備室S側に設けられている。
また、本発明が実施されたものを天井側の横枠3bとして用いる場合、
図2に示すように、レール材6を、躯体側面Wを構成する天井板14に取付けることになるが、このものでは、天井板14はさらに天井下地材14aに固定された構成になっている。
【0009】
前記枠材1は、躯体側面(縦枠3、3aについては壁面、横枠3bについては天井面)Wに固定されるレール材6と、該レール材6に固定される枠部材7とを用いて構成されている。以下、縦枠3について説明をする。
レール材6は、断面コ字形をしたスチール製の曲げ材として形成されたものであって、跨部6aと前後両脚片部6bとを備えているが、跨部6aが躯体側面Wに当接する状態でビス6cを介して固定され、脚片部6bが躯体側面Wから戸体2側に向けて(開口部内方)に向けて突出するようにして取付けられている。
【0010】
一方、枠部材7も、断面コ字形をしたスチール製の曲げ材として形成されたものであって、跨部7aと前後両脚片部7bとを備えているが、跨部7aが戸体2側(開口部内方側)に配され、脚片部7bが戸体2側から躯体側面Wに向けて突出する状態でレール材6に組付けられるが、その場合に脚片部6b、7b同士は、レール材側両脚片部6bが枠部材側両脚片部7bに外嵌する状態の前後の重合となっており、この結果、枠材1だけであった場合に、レール材側脚片部6bの先端縁6dが前後方向外側から視認され、枠部材7側脚片部7bの先端縁7dはレール材側脚片部6bに覆蓋されて前後方向外側からは視認できないように構成されている。
そしてこのように脚片部6b、7b同士が重合された状態で、該重合部同士がビス(本実施の形態ではドリルビスが採用されている。)6eによって固定されており、このようにして枠材1が構成されている。
【0011】
前述したように枠材1はレール材6と枠部材7とにより構成されるが、レール材6と枠部材7とのあいだには、枠部材7の姿勢(縦姿勢)を調節するための姿勢調節手段8が上下方向に間隙を存した状態で複数が設けられている。
姿勢調節手段8は、ビス8aを介してレール材跨部6aに固定される基材8bと、該基材8bに左右方向出没自在に螺入していて、螺子頭8dが枠部材跨部7aの内面に当接する調節螺子8cとを備えて構成されている。そして調節螺子8cを、上下の螺子頭8dが鉛直(垂直)方向同位置に位置するよう調節した状態で、枠部材7を、跨部7aの内面が螺子頭8dに当接するよう組付け、前記重合した脚片部6b、7b同士をビス6eを介して固定することで、枠部材7は、跨部7aが鉛直姿勢になるようレール材6に組付けられるようになっている。
そしてこのようにして建付けられた枠材1を、縦枠3、3aとし、パネル体2である開き戸用、引き戸用の戸体4、5が左右に隣接する状態で組付けられることになる。
【0012】
前記開き戸用の戸体4は、該側に配される縦枠3が戸尻側縦枠として機能し、蝶番9を介して開閉揺動自在に軸支されるが、蝶番9は、戸尻側縦枠3に取付けられる躯体側プレート部9aと、戸体4側に取付けられる戸体側プレート部9bと、両プレート部9a、9bを揺動自在に軸支する軸支部9cとを備えて構成される。
躯体側プレート部9aは枠部材跨部7aにビス9dを介して固定され、戸体側プレート9bは戸体4の戸尻側縦框4aの設備室S側面にビス9dを介して固定され、そしてこれらプレート部9a、9bが折曲されることで、軸支部9cが、室内空間T側において戸尻側縦枠3のレール材脚片部6bの先端縁6dよりも躯体側面W側に至る設定になっている。
【0013】
一方、開き戸用の戸体4については、前記戸尻側縦框4aの室内空間T側の片部が延出部4bとなって延出しており、該延出部4bは、室内空間T側において、戸尻側縦枠3のレール材脚片部6bの先端縁6dを越え、脚片部6b、7b同士を固定するビス6eまでをも覆蓋する位置にまで至るようになっており、この様に構成することで、延出部4bの端縁4cは、躯体側面Wに対して近接対向することになって、左右幅が僅かな凹溝状の空間が目地Mとして認識され、そしてこの目地Mを通して視認されるものはレール材脚片部6bだけとなる設定になっている。
【0014】
また引き戸用の戸体5については、該側の縦枠3aが戸先側縦枠として機能することになるが、該戸体5の戸先側縦框5aにも、室内空間T側の片部が延出部5bとなって延出しており、該延出部5bは、室内空間T側において、戸先側縦枠3aのレール材脚片部6bの先端縁6dを越え、脚片部6b、7b同士を固定するビス6eまでをも覆蓋する位置にまで至るようになっており、この様に構成することで、延出部5bの端縁5cは、躯体側面Wに対して近接対向することになって、左右幅が僅かな凹溝状の空間が目地Mとして認識され、そしてこの目地Mを通して視認されるものはレール材脚片部6bだけとなる設定になっている。
尚、開き戸用戸体4の戸先側縦框4dには、室内空間T側から錠操作ができる錠装置10が設けられ、引き戸用戸体5の戸尻側縦框5dには、該錠装置10のラッチ片10aが係止するラッチ係り10bが設けられている。さらに引き戸用戸体5の設備室S側の面には落とし錠装置11が設けられている。
また、戸体4、5の上端縁部についても、前記延出部4b、5bと同様の延出部が設けられているが、この詳細は省略する。
【0015】
叙述の如く構成された本実施の形態において、設備室Sと室内空間Tとを仕切るため、仕切り用のパネル体2として開き用の戸体4と引き戸用の戸体5とが閉鎖姿勢において面一状(平面状)になるよう設けられているが、これら戸体4、5を建て付けるため躯体側面Wに取付けられる枠材1として縦枠3、3a、横枠3bが用いられているが、これらの枠材1は、躯体側面Wに跨部6aが固定されるコ字形をしたレール材6と、該レール材6とは逆向きになったコ字形の枠部材7とが用いられ、そしてレール材側脚片部6bが枠部材側脚片部7bに外嵌する状態、つまりレール材側脚片部6bが枠部材側脚片部7bに対して前後方向外側に位置する状態で重合し、そしてこの重合部位がビス6eで固定されたものとなっている。
一方で、戸体4、5については、縦枠3、3aに対向する部位の室内空間T側において延出部4b、5bが形成されていて、該延出部4b、5bの端縁4c、5cが前後方向外側に位置するレール材側脚片部6bの先端縁6dを越えて躯体側面Wに近接する位置まで覆蓋するようになっている。
【0016】
このため、戸体4、5が閉鎖している状態では、戸体4、5の縦枠3、3aに対向する端縁4c、5cが躯体側面Wに近接対向する状態となって、戸体4、5と躯体側面Wとのあいだには僅かな隙間となる目地Mが存在するだけの構成になって、従来のレール材側脚片6bと枠部材側脚片7bとの両者が視認される場合のように不自然さ、脆弱性が惹起されるようなことが回避され外観性に優れたものとなる。
しかもこのものでは、延出部4b、5bが、互いに重合するレール材側脚片部6b、枠部材側脚片部7bを固定するビス6eまでをも覆うよう延出形成されているため、目地Mとしては、ビス6eが視認されることがなくなって更なる外観性の向上が図れることになる。
【0017】
そのうえこのものでは、レール材6と枠部材7とのあいだには、枠部材7の姿勢を調節(調整)するための姿勢調節手段8が設けられているため、例えば躯体側面Wに傾斜があったような場合に、該姿勢調節手段8の調節部材である調節螺子8cの出没を調節して枠部材7が垂直姿勢となるように設定することで、寸法取りがなされた戸体4、5の建付けができることになる。
【0018】
またこのものでは、開き戸用戸体4についてみたときに、蝶番9が設けられる戸尻側部位においては、延出部4bが蝶番9を覆蓋する位置にまで至っているため、蝶番9が室内空間Tから直接視認されることがないため、外観性に優れ、戸体4が蝶番9のある開き戸であることを一般の人に認識させることが殆どなく、単なる壁パネル体として認識させるものとなる。
【0019】
このように本発明が実施された枠材1は、開き戸用戸体4、引き戸用戸体5の枠材1として兼用できることになって利便性に優れたものとなるが、開き戸用戸体4の場合、
図8に示すように、戸先側部位についても、同様にして実施することができる。この場合には、戸先側縦枠3aを構成する枠部材側跨部7aにラッチ係り10bが設けられたものであり、そして戸体4の戸先側框4dに延出部4eが形成されたものとなっている。
【0020】
また
図9、10に示す実施の形態のものは、パネル体2としてフィックス(固定)の間仕切り12を用いたものであり、この場合には、間仕切り12の端縁部が延出部12aとなって、重合するレール材側脚片部6b、枠部材側脚片部7bにまで至って、レール材側脚片部6bの先端縁6dと共に、ビス6eまでをも覆蓋するようになっているが、延出部12aに係止孔12bが形成され、この係止孔12bに、枠部材側跨部7aにビス13aを介して固定した係止具13を嵌入係止することで間仕切り12の取付けができるように構成されている。そしてこのものでは、延出部12aの端縁12cと躯体側面Wとのあいだに、前記各実施の形態と同様、幅狭な目地Mが構成されている。
そしてこの実施の形態のものでは、設備室S側は、通常外部(室内空間T)側から視認されないものであるから、レール材側脚片部6bと枠部材側脚片部7bとの重合関係を逆に構成しており、本発明はこの様にしても実施することができるが、この場合には、レール材6と枠部材7とを同じ部材で形成することができ、この様にした場合には部材の兼用化が図れることになる。
さらにまた、
図11に示すものは、前後両側が室内空間Tとなっている場合に、該両側に間仕切り12を設けた構成になっており、このようにしても本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、建物内の空間を前後に仕切るため建て付けられるパネル体と枠材との配設構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 枠材
2 パネル体
3、3a縦枠
3b 横枠
4 開き戸用戸体
4a 戸尻側縦框
4b 延出部
5 引き戸用戸体
5a 戸先側縦框
5b 延出部
6 レール材
6a 跨部
6b 脚片部
6d 先端縁
6e ビス
7 枠部材
7a 跨部
7b 脚片部
7d 先端縁
8 姿勢調節手段
9蝶番
M 目地
S 設備室
T 室内空間
W 躯体側面