(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ポジ型感光性組成物、パターン硬化膜およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20231201BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231201BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20231201BHJP
C08G 77/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 501
G03F7/20 501
C08G77/04
(21)【出願番号】P 2019224049
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】藤本 耕平
(72)【発明者】
【氏名】稲成 浩史
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-263522(JP,A)
【文献】特開2012-189875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G03F 7/20
C08G 77/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物;
(B)成分:光酸発生剤;
(C)成分:分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物を含み、
前記(A)成分100重量部に対する前記(C)成分の含有量が1~20重量部であり、
前記(A)成分が、フェノール性水酸基が保護基により保護された構造と、ポリシロキサン化合物を含む、ポジ型感光性組成物。
【請求項2】
(D)成分として、前記(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2つ以上含む化合物をさらに含む、請求項1
に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項3】
前記シロキサン化合物が環状シロキサン構造を有する、請求項
2に記載のポジ型感光性組成物。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物の硬化物からなるパターン硬化膜。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物を基板上に塗布し、露光およびアルカリ現像によりパターニングを実施する、パターン硬化膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型感光性組成物に関する。また、本発明はポジ型感光性組成物を用いたパターン硬化膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイなどのディスプレイ分野において、ポジ型のパターニングが可能で、高感度且つ高信頼性の絶縁膜を形成しうる感光性組成物が求められている。ポジ型感光性樹脂組成物は活性光線を照射していない部分を像として残すタイプの樹脂組成物である。高感度のポジ型樹脂組成物を得る為には樹脂の分子量を下げ、架橋度を下げて溶解性を高める必要がある。一方で、層間絶縁膜用途では層間絶縁膜形成後の透明電極膜のパターン形成に使用されるレジストの剥離液や、液晶配向膜形成時に使用される薬品に曝されることとなるため、これらの層間絶縁膜に用いられる一般的な薬品に対する十分な耐性が必要とされている。
【0003】
従来からこのような要求特性に対してポリイミドやポリベンゾオキサゾール、それらの前駆体などに挙げられる様に耐薬品性の高いベース樹脂組成物が使用されているが、これらの樹脂は塗布後の反応温度が300℃以上必要であることが多く、近年要求される低温プロセスに応えることは難しい。この様な課題に対して、例えば、特許文献1ではフェノール樹脂とアルコキシ化メチロール基を有する架橋剤を用いることで300℃以下の低温プロセスで機械的特性の優れた硬化膜を作製できることが記載されている。しかしながら、パターニング時の露光感度については200mJ/cm2以上が必要であり、露光感度の低感度化について改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑み、アルコキシ化メチロール基を含有する化合物の添加によりポジ型感光性樹脂のアルカリ溶解性を損なうことなく高感度を維持し、且つ続くポストベイクポストベイク工程によりアルコキシ化メチロール基を架橋させることで耐薬品性に優れた硬化膜を与え得るポジ型感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(A)成分として酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物、(B)成分として光酸発生剤、(C)成分として分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物を含有し、前記(A)成分100重量部に対する前記(C)成分の含有量が1~20重量部であるポジ型感光性組成物。
【0007】
ポジ型感光性組成物は前記(A)成分が、フェノール性水酸基が保護基により保護された構造を含むことが好ましい。
【0008】
ポジ型感光性組成物は(D)成分として、前記(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2つ以上含む化合物であることが好ましい。
【0009】
(A)成分は、例えばポリシロキサン化合物である。ポリシロキサン化合物は、環状シロキサン構造を有するものでもよい。
【0010】
上記のポジ型感光性組成物を基板上に塗布し、露光およびアルカリ現像によりパターニングを実施することにより、パターン膜が得られる。現像の後に加熱によりパターン膜の硬化を行ってもよい。
【発明の効果】
【0011】
アルコキシ化メチロール基を含有する化合物を添加することにより、ポジ型感光性樹脂の露光部の溶解性を維持し、続くポストベイクプロセスにより未露光部のアルコキシ化メチロール基が架橋することにより耐薬品性に優れた硬化膜を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[感光性組成物]
本発明の感光性組成物は、(A)酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物、(B)光酸発生剤、(C)分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物を有するポジ型感光性組成物であり、前記(A)成分100重量部に対する前記(C)成分の含有量が1~20重量部であるポジ型感光性組成物である。
【0013】
以下では、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する化合物を「(A)成分」、光酸発生剤を「(B)成分」、分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物を「(C)成分」と記載する。感光性組成物は、さらに(D)成分として架橋剤((A)成分に架橋構造を導入可能な官能基を有する化合物)を含んでいてもよい。本明細書に例示の化合物や官能基等は、特記しない限り、単独で用いてもよく、2種以上を併用(併存)してもよい。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は、アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている化合物であり、光酸発生剤から発生する酸との反応により保護基が外れ(脱保護)、アルカリ溶解性が増大する。そのため、(A)成分と(B)光酸発生剤を含むことにより、ポジ型のパターン形成が可能となる。アルカリ溶解性付与基としては、カルボン酸やフェノール性水酸基等の酸性基が挙げられる。
【0015】
フェノール性水酸基の保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基およびトリアルキルシリル基等が挙げられる。例えば、Boc化試薬を用いた反応により、フェノール性水酸基をtert-ブトキシカルボニル基により保護できる。フェノール性水酸基の保護基としてのトリアルキルシリル基におけるアルキル基は、酸による脱保護のしやすさの観点から、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン等のシリル化剤を用いた反応により、フェノール性水酸基をトリメチルシリル基により保護できる。
【0016】
カルボン酸の保護基としては、第三級アルキルエステル、アセタール等が挙げられる。カルボン酸の第三級アルキルエステルにおける第三級アルキル基としては、tert-ブチル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0017】
(A)成分におけるアルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造の含有量は、ジブロモエタンを標準物質とした当量換算で0.1~15mmol/gが好ましく、0.2~10mmol/gがより好ましく、0.3~7mmol/gがさらに好ましい。
【0018】
ポジ型感光性組成物により、永久レジストを作製する場合、(A)成分は重合性官能基を有することが好ましい。露光および現像の後に加熱(ポストベイク)を行うと、(A)成分の重合性官能基と後述の(D)成分とが反応して、架橋構造が導入されることによりパターン硬化膜が得られる。
【0019】
(A)成分は、アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造、および上記の重合性官能基以外のポリマー骨格構造を含むことが好ましい。ポリマー骨格構造としては、ポリアクリル、ポリフェノール、ポリアミド、ポリ酸無水物、ポリカーボネート、ポリジエン、ポリエステル、ポリハロオレフィン、ポリイミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリフェニレン、ポリホスファゼン、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリビニル等が挙げられる。
【0020】
<ポリシロキサン構造を有する(A)成分>
高耐熱性および低誘電率の硬化膜を形成可能であることから、(A)成分はポリシロキサン構造を有することが好ましく、特に環状ポリシロキサン構造を有することが好ましい。ポリシロキサン構造を含む(A)成分は、「シロキサン単位を有する化合物」を主骨格として、「アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造」が導入された化合物であり、その具体例として、WO2014/007231等に開示のポリシロキサン化合物が挙げられる。
【0021】
本明細書において、「ポリシロキサン構造」とは、シロキサン単位Si-O-Siを有する構造骨格を意味し、「環状ポリシロキサン構造」とは、環の構成要素にシロキサン単位(Si-O-Si)を有する環状分子構造骨格を意味する。環状ポリシロキサン構造を含有する化合物は、鎖状のポリシロキサン構造のみを含有する化合物と比較して、製膜性および得られる硬化膜の耐熱性に優れる傾向がある。
【0022】
「アルカリ溶解性付与基が保護基により保護されている構造」(以下では、「構造X」と記載する)が導入されたポリシロキサン化合物は、例えば、ヒドロシリル化反応により得られる。ヒドロシリル化反応は、化学的に安定なケイ素-炭素結合(Si-C結合)を介してポリシロキサン骨格に構造Xを導入できるとの利点を有する。
【0023】
ヒドロシリル化反応は、1分子中に少なくとも2個のSiH基(ヒドロシリル基)を有するポリシロキサン化合物と、SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を有する化合物との反応である。これらの化合物(出発物質)の少なくとも一方が、上記の官能基に加えて構造Xを有することにより、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる。
【0024】
例えば、炭素-炭素二重結合を有する化合物が構造Xを有する場合は、下記の化合物(α)および(β)を出発物質とするヒドロシリル化反応により、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる。
化合物(α):1分子中に、SiH基(ヒドロシリル基)との反応性を有する炭素-炭素二重結合と構造Xとを有する化合物;
化合物(β):1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物。
【0025】
(化合物(α):構造Xおよびエチレン性不飽和基を含む化合物)
化合物(α)は、構造X、およびSiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む化合物である。SiH基との反応性を有する炭素-炭素二重結合を含む基(以下、単に「エチレン性不飽和基」と称することがある)としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2-ヒドロキシ-3-(アリルオキシ)プロピル基、2-アリルフェニル基、3-アリルフェニル基、4-アリルフェニル基、2-(アリルオキシ)フェニル基、3-(アリルオキシ)フェニル基、4-(アリルオキシ)フェニル基、2-(アリルオキシ)エチル基、2,2-ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3-アリルオキシ-2,2-ビス(アリルオキシメチル)プロピル基およびビニルエーテル基等が挙げられる。
【0026】
化合物(α)は1分子中に複数のエチレン性不飽和基を有することが好ましい。1分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する場合は、ヒドロシリル化反応により複数のポリシロキサン化合物(化合物(β))が架橋されるため、(A)成分の分子量が高められ、製膜性および硬化膜の耐熱性が向上する傾向がある。
【0027】
構造Xとしては、上述のように、カルボン酸やフェノール性水酸基等の酸性基に保護基が結合した構造が挙げられる。(A)成分がポリシロキサン化合物である場合、構造Xはフェノール性水酸基に保護基が結合したものが好ましい。また、硬化膜の耐薬品性、および絶縁性等の観点から、構造Xはビスフェノール構造を含むことが好ましい。
【0028】
ビスフェノール構造としては、ビスフェノールA構造、ビスフェノールAP構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールBP構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールM構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールPH構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールG構造、ビスフェノールTMC構造およびビスフェノールZ構造等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ現像液への溶解性に優れ、コントラストに優れるパターンが得られやすいことから、ビスフェノールA構造、ビスフェノールB構造、ビスフェノールC構造、ビスフェノールE構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAP構造またはビスフェノールPH構造が好ましく、中でも、酸による脱保護のしやすさの観点から、ビスフェノールS構造またはビスフェノールF構造が好ましい。
【0029】
フェノール性水酸基の保護基は、炭素数1~50の有機基または有機ケイ素基であることが好ましく、中でもトリアルキルシリル基が好ましい。ビスフェノールのフェノール性水酸基がトリアルキルシリル基に保護されており、かつエチレン性不飽和基を有する化合物(α)としては、下記の一般式(I)で表される化合物を例示できる。
【0030】
【0031】
一般式(I)において、R1は2価の有機基であり、ビスフェノール構造として取り得る構造であればよい。例えば、化合物(α)がビスフェノールS構造を有する場合、R1はSO2であり、化合物(α)がビスフェノールF構造を有する場合のR1はCH2である。複数のR2は、それぞれ独立に炭素数1~6のアルキル基であり、好ましくは、全てのR2がメチル基である。一般式(I)で表される化合物は、例えばジアリルビスフェノールとシリル化剤との反応により得られる。
【0032】
(化合物(β):ポリシロキサン化合物)
化合物(β)は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物であり、例えば、WO96/15194号に記載の化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。化合物(β)の具体例としては、直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサン、分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサン、およびヒドロシリル基を含有する環状ポリシロキサンが挙げられる。環状ポリシロキサンは多環構造でもよく、多環は多面体構造を有していてもよい。多面体骨格耐熱性および機械強度の高い硬化膜を形成するためには、化合物(β)として、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリシロキサン化合物を用いることが好ましい。化合物(β)は、好ましくは1分子中に3個以上のSiH基を含む。耐熱性および耐光性の観点から、Si原子上に存在する基は、水素原子およびメチル基のいずれかであることが好ましい。
【0033】
直鎖構造を有するヒドロシリル基含有ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ならびにジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン等が例示される。
【0034】
分子末端にヒドロシリル基を有するポリシロキサンとしては、ジメチルハイドロジェンシリル基によって末端が封鎖されたポリシロキサン、ならびにジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CH3)2SiO1/2単位)と、SiO2単位、SiO3/2単位およびSiO単位からなる群より選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位とからなるポリシロキサン等が例示される。
【0035】
環状ポリシロキサンは、例えば下記一般式(II)で表される。
【0036】
【0037】
式中のR4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1~20の有機基を表す。mは2~10の整数、nは0~10の整数を表す。mは3以上が好ましい。m+nは3~12が好ましい。
【0038】
R4、R5およびR6としては、C、HおよびOからなる群から選択される元素により構成される有機基が好ましい。R4、R5およびR6の例として、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキルキル基、オキシアルキル基、アリール基等が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の鎖状アルキル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基等の環状アルキル基、またはフェニル基が好ましい。化合物(β)の入手性の観点から、R4、R5およびR6は、メチル基、プロピル基、ヘキシル基またはフェニル基であることが好ましい。R4およびR5は、炭素数1~6の鎖状アルキル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0039】
一般式(II)で表される環状ポリシロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジハイドロジェン-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリハイドロジェン-1,3,5-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタハイドロジェン-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサハイドロジェン-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が例示される。中でも、入手容易性およびSiH基の反応性の観点から、1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(一般式(II)において、m=4、n=0であり、R4がメチル基である化合物)が好ましい。
【0040】
化合物(β)は、多環の環状ポリシロキサンでもよい。多環は多面体構造でもよい。多面体骨格を有するポリシロキサンは、多面体骨格を構成するSi原子の数が6~24であるものが好ましく、6~10であるものがより好ましい。多面体骨格を有するポリシロキサンの具体例としては、下記一般式(III)で示されるシルセスキオキサン(Si原子数=8)が挙げられる。
【0041】
【0042】
上記式中、R10~R17は、それぞれ独立に、水素原子、鎖状アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基等)、アリール基(フェニル基およびトリル基等)、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子またはシアノ基等で置換した基(クロロメチル基、トリフルオロプロピル基およびシアノエチル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、ブテニル基およびヘキセニル基等)、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、およびメルカプト基またはアミノ基を含有する有機基等から選択され1価の基である。上記炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10である。
【0043】
環状ポリシロキサンは、多面体骨格を有するシリル化ケイ酸でもよい。多面体骨格を有するシリル化ケイ酸の具体例としては、下記一般式(IV)で示される化合物(Si原子数=8)が挙げられる。
【0044】
【0045】
上記式中、R18~R41は、前述の一般式(III)におけるR10~R17の具体例と同様である。
【0046】
ポリシロキサンは、公知の合成方法により得られる。例えば、一般式(II)で表される環状ポリシロキサンは、WO96/15194号等に記載の方法により合成できる。シルセスキオキサン等の多面体骨格を有するポリシロキサンおよび多面体骨格を有するシリル化ケイ酸は、例えば、特開2004-359933号公報、特開2004-143449号公報、特開2006-269402号公報等に記載の方法により合成できる。化合物(β)として、市販のポリシロキサン化合物を用いてもよい。
【0047】
(他の出発物質)
ヒドロシリル化反応による(A)成分の合成において、上記の化合物(α)および化合物(β)に加えて、他の出発物質を用いてもよい。例えば、出発物質として、上記の化合物(α)以外のエチレン性不飽和基含有化合物を用いてもよい。
【0048】
例えば、化合物(α)および化合物(β)に加えて、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「化合物(γ)」)を出発物質として用いることが好ましい。化合物(γ)を用いれば、ヒドロシリル化反応により複数のポリシロキサン化合物(化合物(β))が架橋されるため、成分(A)の分子量が高められ、製膜性および硬化膜の耐熱性が向上する傾向がある。
【0049】
化合物(γ)は、有機重合体系化合物および有機単量体系化合物のいずれでもよい。有機重合体系化合物としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール-ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)またはポリイミド系の化合物が挙げられる。有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼンまたはナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系および脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物が挙げられる。
【0050】
化合物(γ)の具体例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,1,2,2-テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロへキサンジメタノールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、1,3-ビス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3-ビス(ビニルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(アリルオキシ)アダマンタン、1,3,5-トリス(ビニルオキシ)アダマンタン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキセン、1,5-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、ジアリルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,5-ジアリルフェノールアリルエーテル、およびそれらのオリゴマー、1,2-ポリブタジエン(1,2比率10~100%のもの、好ましくは1,2比率50~100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、その他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。また、上記例示の化合物におけるアリル基を(メタ)アクリロイル基に置き換えた化合物(例えば、多官能(メタ)アクリレート)も、化合物(γ)として好適に用いられる。
【0051】
化合物(γ)は、2個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物でもよい。2個以上のエチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物の具体例としては、上記の化合物(β)のSiに結合した水素原子の一部または全部をエチレン性不飽和基に置き換えたものが挙げられる。中でも、硬化膜の耐熱性を向上する観点から、2個以上のエチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物が好ましい。
【0052】
2個以上のエチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物の具体例として、Si原子にエチレン性不飽和基としてビニル基が結合した環状ポリシロキサンが挙げられる。Si原子に結合したビニル基を2個以上有する環状ポリシロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジビニル-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサビニル-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。
【0053】
ヒドロシリル化反応の出発物質として、1分子中に、ヒドロシリル化反応に関与する官能基を1個のみ有する化合物(以下「化合物(δ)」)を用いてもよい。ヒドロシリル化反応に関与する官能基とは、SiH基、またはエチレン性不飽和基である。ヒドロシリル化反応に関与する官能基を1つのみ含む化合物を用いることにより、ポリマーの末端に特定の官能基を導入できる。
【0054】
例えば、化合物(δ)として1つのSiH基を有するシロキサン化合物を用いることにより、ポリマーの末端にシロキサン構造部位を導入できる。1つのSiH基を有するシロキサン化合物の具体例としては、前述の一般式(II)においてm=1である環状ポリシロキサン化合物、前述の一般式(III)においてR10~R17のうち1つが水素原子である多面体ポリシロキサン化合物、前述の一般式(IV)においてR18~R41のうち1つが水素原子であるシリル化ケイ酸化合物等が挙げられる。1つのSiH基を有するシロキサン化合物は、鎖状シロキサン化合物でもよい。
【0055】
化合物(δ)として、1つのエチレン性不飽和基を含む化合物を用いることにより、ポリマーの末端に所望の官能基を導入できる。上記の他に、2個以上のSiH基を有する鎖状ポリシロキサン等のヒドロシリル化反応に関与する化合物を、出発物質に含めてもよい。
【0056】
(ヒドロシリル化反応)
ヒドロシリル化反応の順序および方法は特に限定されない。合成工程を簡便とする観点からは、全ての出発物質を1ポットに仕込んでヒドロシリル化反応を行い、最後に未反応の化合物を除去する方法が好ましい。一方、低分子量体の生成を抑制する観点からは、複数のエチレン性不飽和基を含む化合物(例えば化合物(α)および化合物(γ))と複数のSiH基を含む化合物(例えば化合物(β))とを、一方を過剰量としてヒドロシリル化反応を行い、未反応の化合物を除去後に、1分子中にヒドロシリル化反応に関与する官能基を1個のみ有する化合物(例えば化合物(δ))添加してヒドロシリル化反応を行う方法が好ましい。
【0057】
ヒドロシリル化反応における各化合物の割合は特に限定されないが、出発物質のエチレン性不飽和基の総量AとSiH基の総量Bとが、1≦B/A≦30を満たすことが好ましく、1≦B/A≦10を満たすことがより好ましい。B/Aが1以上であれば、未反応のエチレン性不飽和基が残存し難く、B/Aが30以下であれば、未反応の化合物(β)が残存しにくいため、硬化膜の特性を向上できる。
【0058】
ヒドロシリル化反応には、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等のヒドロシリル化触媒を用いてもよい。ヒドロシリル化触媒と助触媒とを併用してもよい。ヒドロシリル化触媒の添加量は特に限定されないが、出発物質に含まれるエチレン性不飽和基の総量(モル数)に対して、好ましくは10-8~10-1倍、より好ましくは10-6~10-2倍である。
【0059】
ヒドロシリル化の反応温度は適宜に設定すればよく、好ましくは30~200℃、より好ましくは50~150℃である。ヒドロシリル化反応には適宜の溶媒を使用してもよい。ヒドロシリル化反応においては、必要に応じて、ゲル化抑制剤を用いてもよい。
【0060】
上記では、構造Xを有するポリシロキサン化合物を得る方法として、1分子中に構造Xおよびエチレン性不飽和基を有する化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合(β)とのヒドロシリル化反応を例として説明したが、成分(A)の合成方法はこれに限定されない。上記以外の出発物質を用いたヒドロシリル化反応により成分(A)を得ることもできる。
【0061】
例えば、化合物(α)に代えて、1分子中にSiH基と構造Xを有する化合物を出発物質として、構造Xを有するポリシロキサン化合物を合成してもよい。この場合、SiH基と構造Xを含む化合物と、エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応により、構造Xを有するポリシロキサン化合物が得られる。エチレン性不飽和基を有するポリシロキサン化合物は、複数のエチレン性不飽和基を含んでいてもよい。
【0062】
エチレン性不飽和基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1-プロピル-3,5,7-トリビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5-ジビニル-3,7-ジヘキシル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9-ペンタビニル-1,3,5,7,9-ペンタメチルシクロシロキサンおよび1,3,5,7,9,11-ヘキサビニル-1,3,5,7,9,11-ヘキサメチルシクロシロキサン等が挙げられる。エチレン性不飽和基を有する環状ポリシロキサン化合物は、耐熱性および耐光性の観点から、Si原子上に存在する有機基が、ビニル基またはメチル基であることが好ましい。
【0063】
<(B)光酸発生剤>
感光性組成物は、(B)成分として光酸発生剤を含有する。露光により光酸発生剤に活性エネルギー線が照射されると酸が発生する。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、およびγ線等が挙げられる。光酸発生剤から発生した酸が、上記(A)成分を分解し、酸性基または水酸基を発現させることにより、アルカリ溶解性が増大する。
【0064】
感光性組成物に含まれる光酸発生剤は、露光によりルイス酸を発生するものであれば特に限定されない。光酸発生剤の具体例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、オニウム塩等のイオン性光酸発生剤;イミドスルホネート類、オキシムスルホネート類、スルホニルジアゾメタン類等の非イオン性光酸発生剤が挙げられる。イオン性光酸発生剤に含まれるアニオンとしては、B(C6F5)4
-、PF6
-、SbF6
-、CF3SO3
-およびC4F9SO3
-等が挙げられる。光感度が高いことから、光酸発生剤としては、イミドスルホネート類およびオキシムスルホネート類が好ましい。
【0065】
感光性組成物における光酸発生剤の含有量は、(A)成分100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.3~7重量部がより好ましく、0.5~5重量部がさらに好ましい。光酸発生剤の量が上記範囲であれば、露光部の(A)成分のアルカリ溶解性を十分に高めてパターニング性を向上できるとともに、過剰の酸に起因するコントラストの低下を抑制できる。
【0066】
<(C)分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物>
感光性組成物は、(C)成分として分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を有する化合物を含有する。分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物としてはホルマリン又はホルマリン-アルコールにより変性されたアミノ縮合物、一分子中に平均して2個以上のアルコキシ化メチロール基を有するフェノール化合物から選ばれる1種又は2種以上である。
【0067】
本発明で使用される(C)成分は、上述した(A)成分中の構造Xの脱保護した官能基と硬化反応を起こし、硬化物の架橋度を更に上げるものである。そのような(C)成分の樹脂としては、重量平均分子量が200~10,000、特に300~8,000のものが好ましい。重量平均分子量が200に満たないと充分な光硬化性が得られない場合があり、10,000を超えると(A)成分との相溶性が悪化する場合がある。
【0068】
上記(C)成分のホルマリン又はホルマリン-アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、例えばホルマリン又はホルマリン-アルコールにより変性されたメラミン縮合物、又はホルマリン又はホルマリン- アルコールにより変性された尿素縮合物が挙げられる。
【0069】
上記変性メラミン縮合物の調製は、例えば先ず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルマリンでメチロール化して変性した後、更にアルコールでアルコキシ化して変性して、下記(V)で示される変性メラミンとすることができる。なお、上記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1~4のアルコールが好ましい。
【0070】
【化5】
(式中、X42~X47は同一でも異なってもよく、メチロール基、炭素数1~4のアルコキシ基を含むアルコキシメチル基又は水素原子であるが、少なくとも2つ以上は上記アルコキシメチル基である。)
【0071】
上記X42~X47としては、例えばメチロール基、メトキシメチル、エトキシメチル等のアルコキシメチル基及び水素原子等が挙げられ、少なくとも2つ以上は上記アルコキシメチル基である。
【0072】
上記一般式(V)の変性メラミンとして、具体的にはトリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等が挙げられる。
【0073】
次いで、一般式(V)の変性メラミン又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)を常法に従ってホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させることにより、(C)成分のホルマリン又はホルマリン-アルコールにより変性されたメラミン縮合物が得られる。なお、1種以上の変性メラミン縮合物を(C)成分として使用することができる。
【0074】
また、ホルマリン又はホルマリン-アルコールにより変性された尿素縮合物の調製は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルマリンでメチロール化して変性し、更にアルコールでアルコキシ化して変性する。
【0075】
上記変性尿素縮合物の具体例としては、例えばメトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。なお、これら1種以上の変性尿素縮合物を(C)成分として使用することができる。
【0076】
また(C)成分の一分子中に平均して2個以上のアルコキシ化メチロール基を有するフェノール化合物としてはフェノール構造を有する重合体系化合物および単量体系化合物のいずれでもよい。重合体系化合物としては繰り返し単位としてアルコキシ化メチロール基を有し、その樹脂単位構造がポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシスチレン/スチレン、クレゾール、フルオレン、ビスフェノールなどで構成されるオリゴマー、ポリマーが挙げられる。単量体系化合物としては4-(1,1-ジメチルエチル)-2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール、3,3’,5,5’-テトラキス(メトキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジオール、(2-ヒドロキシ-5-メチル)-1,3-ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’-テトラメトキシメチルビスフェノールAなどが挙げられる。
【0077】
感光性組成物における(C)成分の含有量は、耐薬品性の観点からは(A)成分100重量部に対して、5~20重量部が好ましく、8~20重量部がより好ましく、10~20重量部がさらに好ましい。感度の観点からは(A)成分100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、0.5~8重量部がより好ましく、0.5~5重量部がさらに好ましい。分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を有する化合物の含有量が上記範囲であれば、露光部における(A)成分のアルカリ溶解性を維持し、パターニングが可能であるとともに、続くベークプロセスにおいてアルコキシ化メチロール基の架橋反応が進行することで耐薬品性を向上することができる。
【0078】
<(D)架橋剤>
感光性組成物は、上記の(C)成分以外に(A)成分に架橋構造を導入可能な架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、上記(A)成分と反応可能な官能基を1分子中に2以上含む化合物が好ましい。
【0079】
例えば、(A)成分がポリシロキサン化合物であり、ヒドロシリル化反応に使用されなかったSiH基を含んでいる場合は、架橋剤として1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を感光性組成物に含めておけば、(A)成分と架橋剤とのヒドロシリル化反応により、架橋構造が導入される。1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、上記(A)成分の合成に関して例示した化合物(γ)と同様の化合物等を用いることができる。
【0080】
感光性組成物が架橋剤を含有する場合、架橋剤の含有量は、(A)成分100重量部に対し、0.5~40重量部が好ましく、1~35重量部がより好ましく、2~30重量部がさらに好ましい。感光性組成物が架橋剤を含む場合、露光および現像によるパターニング後に、加熱(ポストベイク)により(A)成分と架橋剤とを反応させて、架橋構造を導入することが好ましい。架橋構造の導入によりパターン膜が硬化さるため、パターン膜の絶縁性、耐熱性、および耐溶剤性等を向上できる。
【0081】
<溶媒>
上記の(A)成分、(B)成分および(C)成分、ならびに必要に応じて(D)成分を溶媒中に溶解または分散させることにより、感光性組成物が得られる。感光性組成物は、各成分を製膜直前に混合調製してもよく、全成分を予め混合調製した一液の状態で貯蔵しておいてもよい。
【0082】
溶媒は(A)成分を溶解可能であればよく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよびジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、イソ酪酸イソブチル、酪酸イソブチル等のエステル系溶媒;クロロホルム、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。製膜安定性の観点から、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテートおよびジエチレングリコールジエチルエーテル、酢酸ブチルが好ましい。溶媒の使用量は適宜設定すればよい。感光性組成物の固形分1gに対する溶媒の好ましい使用量は0.1~10mLである。
【0083】
<その他の成分>
感光性組成物は、上記(A)~(D)以外の樹脂成分や添加剤等を含有していてもよい。例えば、感光性組成物は、特性改質等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂シクロオレフィン系樹脂、オレフィン-マレイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、天然ゴムおよびEPDM等のゴム状樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂は、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基およびアルコキシシリル基等の架橋性基を有していてもよい。
【0084】
感光性組成物は、アルカリ現像液への溶解性が向上等の観点から、上記(A)成分以外のアルカリ可溶性成分を含有していてもよい。アルカリ可溶性成分としては、アルカリ可溶性官能基を有する樹脂が挙げられる。樹脂としては、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アミド系樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボキシ基、下記のZ1またはZ2で表されるイソシアヌル酸誘導体構造等が挙げられる。
【0085】
【0086】
アルカリ溶解性の向上と、硬化膜の絶縁性、耐熱性および耐溶剤性等とを両立する観点から、アルカリ可溶性成分としては、上記の構造Z1および/または構造Z2を有する樹脂が好ましく、中でも上記の構造Z1および/または構造Z2を有するポリシロキサン樹脂が好ましい。
【0087】
構造Z1および/またはZ2を有するポリシロキサン樹脂は、例えば、上記の構造Z1とエチレン性不飽和基を含む化合物(ジアリルイソシアヌレート等)および/または上記の構造Z2とエチレン性不要和基を含む化合物(モノアリルイソシアヌレート等)と、SiH基を有するポリシロキサン化合物とのヒドロシリル化反応により得られる。SiH基を有するポリシロキサン化合物としては、化合物(β)として先に例示した、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するポリシロキサン化合物が好適に用いられる。
【0088】
感光性組成物は、上記の他に、増感剤、酸拡散防止剤(クエンチャー)、接着性改良剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、劣化防止剤、ヒドロシリル化反応抑制剤、重合禁止剤、重合触媒(架橋促進剤)、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および物性調整剤等を、本発明の目的および効果を損なわない範囲において含有していてもよい。
【0089】
感光性組成物は、充填材や着色剤を含んでいてもよい。充填材としては、シリカ系充填材(石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカおよび超微粉無定型シリカ等)、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウムおよび無機バルーン等が挙げられる。着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。
【0090】
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の合計量は、感光性組成物の固形分全量の50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
【0091】
[製膜およびパターン硬化膜の形成]
上記のポジ型感光性組成物を各種基材にコーティングして塗膜を形成し、所定形状のマスクを介して露光を行い、アルカリ現像により露光部を溶解および除去することにより、パターン膜を形成できる。現像後にポストベイクを行うことにより、パターン硬化膜が得られる。
【0092】
<塗膜の形成>
感光性組成物を基材上に塗布する方法は、均一に塗布が可能である方法であれば特に限定されず、スピンコーティング、スリットコーティング、スクリーンコーティング等の一般的なコーティング法を使用できる。塗膜の厚みは特に限定されない。パターン膜が永久レジストである場合は、信頼性の観点から、厚みは0.05~100μmが好ましく、0.1~80μmがより好ましく、0.2~50μmがさらに好ましい。
【0093】
<プリベイク>
露光前に、溶媒を乾燥するために加熱(プリベイク)を行ってもよい。加熱温度は適宜設定され得るが、好ましくは50~200℃、より好ましくは60~150℃である。さらに、露光前に真空脱揮を行ってもよい。真空脱揮は加熱前もしくは加熱と同時に行われてもよい。熱硬化性の成分(例えば、上記の(C)成分および(D)成分)を含む感光性組成物は、加熱により硬化が進むと現像性が低下する場合がある。そのため、プリベイクにおける加熱温度は120℃以下が好ましい。
【0094】
<露光>
露光の光源は、感光性組成物に含まれる光酸発生剤および増感剤の感度波長に応じて選択すればよい。通常は、200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)が用いられる。
【0095】
露光量は特に制限されないが、1~5000mJ/cm2が好ましく、5~1000mJ/cm2がより好ましく、10~500mJ/cm2がさらに好ましい。露光量が過度に少ないと硬化が不十分となりパターンのコントラストが低下する場合があり、露光量が過度に多いとタクトタイムの増大による製造コスト増加を招く場合がある。
【0096】
<ポストエクスポージャーベイク>
露光後、現像前に、酸と成分(A)との反応促進等を目的として、ポストエクスポージャーベイク(PEB)を行ってもよい。ポストエクスポージャーベイクにおける加熱温度は、40~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましく、60~100℃がさらに好ましい。
【0097】
<現像>
露光後の塗膜に、浸漬法またはスプレー法等によりアルカリ現像液を接触させ、露光部の塗膜を溶解および除去することによりパターン膜が得られる。露光部では、光酸発生剤への活性エネルギー線の照射により発生した酸の作用により、(A)成分のアルカリ溶解性が増大するため、アルカリ現像により塗膜が溶解する。
【0098】
アルカリ現像液は、一般に使用されるものを特に限定なく使用できる。アルカリ現像液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。現像液のアルカリ濃度は0.01~25重量%が好ましく、0.1~10重量%がより好ましく、0.3~5重量%がさらに好ましい。溶解速度の調整等を目的として、現像液には界面活性剤等が含まれていてもよい。
【0099】
<ポストベイク>
現像により露光部を溶解および除去した後、ポストベイクを行い、残存した非露光部の膜の組成物の硬化を行ってもよい。例えば(A)成分がSiH基を含む化合物であり、感光性組成物が(D)成分として複数のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む場合、ポストベイクを行うと、(A)成分のSiH基と(D)成分のエチレン性不飽和基とのヒドロシリル化反応により硬化が進行する。本発明の感光性樹脂組成物は(D)成分を含有する。(D)成分のエチレン性不飽和基と全てもしくは部分的に架橋反応することにより、(A)成分との架橋構造が形成されることによりポストベイクによる耐熱性や耐薬品性を向上することができる。ポストベイク条件は適宜に設定され得る。ポストベイク温度は、好ましくは100~400℃、より好ましくは120~350℃である。
【0100】
[用途]
本発明の感光性組成物は、アルカリ現像性透明レジストとして使用可能であり、特にFPD用材料として好適な材料である。より具体的には、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料等が挙げられる。また、感光性組成物は、カラーフィルターやブラックマトリクス等の着色膜の材料として使用することもできる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0102】
[ポリシロキサン化合物の合成]
反応容器内に、ジアリルビスフェノールS:100重量部、およびテトラヒドロフラン(THF)400重量部を入れ、室温で攪拌した。均一な溶液を得た。反応容器にヘキサメチルジシラザン:50重量部を添加し、室温で2時間反応させ、1H-NMRにより、トリメチルシリル基由来のピークの存在および水酸基由来のピークの消失を確認した後、THFおよび反応残渣を減圧留去して、水酸基がトリメチルシリル基で保護されたジアリルビスフェノールS(化合物1)を得た。
【0103】
反応容器に、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン:60重量部、およびトルエン:400重量部を入れ、気相部を窒素置換した後、内温を100℃に加熱し、攪拌下で、上記の化合物1を100重量部、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンを15重量部、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有)0.14重量部、およびトルエン100重量部の混合液を滴下した。滴下後、1H-NMRにより、アリル基由来のピーク消失を確認した後、トルエンを減圧留去し、無色透明の液体(反応物A)を得た。1H-NMRにより、反応物Aは、トリメチルシリル基で保護されたビスフェノールS構造を有し、ジブロモエタン当量換算で3.0mmol/gのSiH基を有するポリシロキサン系化合物であることを確認した。
【0104】
[ポジ型感光性組成物の調製]
上記の反応物Aを100.00重量部、光酸発生剤としてイミドスルホネート化合物(ADEKA製「SP-606」)を2重量部および(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロブタン-1-スルホナート(東洋合成化学工業製「TTBPS-PFBS」)を1重量部、増感剤として9,10-ジブトキシアントラセンを4重量部、触媒として[Pt-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の3重量%イソプロパノール溶液(エヌイーケムキャット製)を0.05重量部、可塑剤として、「ビス(2-エチルへキシル)アジペート](大八化学製)を5重量部、遅延剤として2-メチル-3-ブチン-2-オールを2重量部、シリコーン系表面調整剤(SiVance製「MQV6レジン」)を0.5重量部、酸拡散防止剤として1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン(三国製薬工業製「1,3-PBO」)を0.1重量部、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン(IGM製「OMNIRAD907」)を0.15重量部、酸化防止剤として「アデカスタブAO-80」(ADEKA製)を1重量部、ならびに溶媒としてプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート143.91重量部を混合して、ポジ型感光性組成物を調製した。この組成を「標準組成」(比較例1)とする。
【0105】
実施例および比較例では、上記の標準組成に、分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を有する化合物を、(A)成分100重量部に対して、表1に示す割合で添加して、ポジ型感光性組成物を調製した。(C)成分の有機単量体として4-(1,1-ジメチルエチル)-2,6-ビス(メトキシメチル)フェノール(本州化学工業製)、有機重合体系化合物としてヒドロキシフェノールの重合体(群栄化学工業製)、ビスフェノールの重合体(群栄化学工業製)、ヒドロキシフェノールのオリゴマー体(群栄化学工業製)を使用した。
【0106】
[パターン硬化膜の形成およびホール幅の評価]
50mm×50mmの無アルカリガラス基板上に、実施例および比較例のポジ型感光性組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレートを使用して110℃で2分間加熱(プリベイク)を行い、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。マスクアライナー(大日本科研製「MA-1300」)を用い、フォトマスク(ホール10μm)越しに、各積算照射量で露光を行った。露光から2分後に、23℃のアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、多摩化学工業製)に60秒間浸漬して、現像処理を行った。さらにさらにオーブンにて230℃で30分ポストベイクを行ってパターン硬化膜を形成した。
【0107】
[感度の評価]
各実施例および比較例の組成物に関して、前記条件で露光量を変えて製膜し、10μmのホールパターンにおいて、ボトム(塗膜が溶解してガラス基板が露出している部分)から高さ1.25μmの位置の幅をレーザー顕微鏡(オリンパス製「OLS4000」)にて観察し、膜厚が10±0.2μmに収まる露光量を最適感度とした。
【0108】
[耐薬品性試験用硬化膜の形成および耐薬品性試験の評価]
50mm×50mmの無アルカリガラス基板上に、実施例および比較例のポジ型感光性組成物をスピンコートにより塗布し、ホットプレートを使用して110℃で2分間加熱(プリベイク)を行い、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。マスクアライナー(大日本科研製「MA-1300」)を用い、前記最適感度の積算照射量で全面露光を行った。露光から2分後に、23℃のアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液、多摩化学工業製)に60秒間浸漬して、現像処理を行った。さらにさらにオーブンにて230℃で30分ポストベイクを行って硬化膜を形成した。
耐薬品性試験として得られた硬化膜を混合酸水溶液(硝酸6.5%/リン酸71.5%/酢酸10%)に液温45℃で2分30秒浸漬を行い、続いてTOK106剥離液(東京応化工業製)に65℃で2分30秒浸漬した。得られた膜の試験前後の外観を観察し、試験後変化がないものを○、試験後変色しているものを△、試験後、硬化膜に穴が開いたり、硬化膜がなくなっているものを×とした。また試験前後の膜厚を測定し、試験後の膜厚を試験前の膜厚で除して百分率にしたものを膜保持率とした。実施例および比較例の組成、また上記評価結果を表1に示す。
【0109】
(C)成分を含有しない比較例1では感度は高いものの、耐薬品性試験後は硬化膜がすべて基板から剥がれ、膜厚は測定できない結果であった。一方で実施例1から12では分子内に二つ以上のアルコキシ化メチロール基を含有する化合物の種類と添加量を変えて検討したところ、添加部数に応じて感度はやや低なるが、耐薬品性が向上することを確認した。さらに実施例13から15では実施例4から6に対して(D)成分としてジアリルモノメチルイソシアヌレートを添加したところ、同様の傾向が認められた。(D)成分の添加により感度はやや低下するものの、耐薬品性の観点からは(C)成分を減らすことができ、両者の添加部数を調整することでより高感度且つ耐薬品性の高い硬化膜を得ることができる。
【0110】