IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -開閉制御システム 図1
  • -開閉制御システム 図2
  • -開閉制御システム 図3
  • -開閉制御システム 図4
  • -開閉制御システム 図5
  • -開閉制御システム 図6
  • -開閉制御システム 図7
  • -開閉制御システム 図8
  • -開閉制御システム 図9
  • -開閉制御システム 図10
  • -開閉制御システム 図11
  • -開閉制御システム 図12
  • -開閉制御システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】開閉制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20231201BHJP
   E05F 15/605 20150101ALI20231201BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20231201BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/605
E05F15/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020023741
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021127638
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 設置日 :令和 2年 1月 8日 設置した場所 :東京消防庁赤羽消防署庁舎
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】増本 隆生
(72)【発明者】
【氏名】寺本 文子
(72)【発明者】
【氏名】神 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】川井 竣也
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-209652(JP,A)
【文献】特開平09-242421(JP,A)
【文献】特開2012-001969(JP,A)
【文献】特開2005-036578(JP,A)
【文献】米国特許第04577437(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、
前記開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知する障害物検知手段であって、前記障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、前記開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、
前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、
前記開閉体の開閉状態に応じて、前記障害物検知領域を複数の前記設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備え、
前記開閉体は、折り戸用の開閉体であり、
前記障害物検知手段を、前記開閉体におけるせり出し側の側面の戸先側部分に設け、
前記複数の設定領域は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態時の前記障害物検知領域である全閉設定領域と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態時の前記障害物検知領域である全開設定領域とを含み、
前記全閉設定領域を、前記全閉状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定し、
前記全開設定領域を、前記全開状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定し、
前記全閉状態時における前記障害物検知手段の位置と前記全閉設定領域の位置との相対的な位置関係と、前記全開状態時における前記障害物検知手段の位置と前記全開設定領域の位置との相対的な位置関係とを、相互に異ならせた、
開閉制御システム。
【請求項2】
前記全閉設定領域は、前記全開状態から前記全閉状態に至る前記開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域のうち、前記全閉状態時の前記開閉体に対応する領域以外の領域全体を含む領域であり、
前記全開設定領域は、前記全開状態から前記全閉状態に至る前記開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域のうち、前記全開状態時の前記開閉体に対応する領域以外の領域全体を含む領域である、
請求項1に記載の開閉制御システム。
【請求項3】
建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、
前記開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知する障害物検知手段であって、前記障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、前記開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、
前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、
前記開閉体の開閉状態に応じて、前記障害物検知領域を複数の前記設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備え、
前記開閉制御手段は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態とも異なる半開状態において、前記障害物検知手段の検知結果に関わらず、前記開閉体を開閉移動させる、
開閉制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に設けられている電動の折り戸を対象として、折り戸の開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知するためのシステムの一つとして、折り戸の無目に設けられたセンサの検知領域であって、開口部よりも見込方向側においてセンサと床との間に位置する平面状の検知領域内で障害物が存在するか否かに基づいて、開閉体の開閉制御を行うシステムが提案されている。なお、このセンサの検知領域は、開閉体の開閉状態に関わらず同じ領域に設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-36578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、開閉体の開閉状態に応じて、開閉体の開閉移動を阻害することなく障害物を正確に検知したいというニーズが高まっている。しかしながら、上記従来の技術においては、上述したように、センサの検知領域が開閉体の開閉状態に関わらず同じ領域に設定されているに過ぎないので、開閉体の開閉状態に応じて障害物を正確に検知することが非常に難しくなることから、システムの使用性の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術における課題を解決するためのものであって、開閉制御システムの使用性を高めることが可能になる、開閉制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の開閉制御システムは、建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、前記開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知する障害物検知手段であって、前記障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、前記開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、前記開閉体の開閉状態に応じて、前記障害物検知領域を複数の前記設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備え、前記開閉体は、折り戸用の開閉体であり、前記障害物検知手段を、前記開閉体におけるせり出し側の側面の戸先側部分に設け、前記複数の設定領域は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態時の前記障害物検知領域である全閉設定領域と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態時の前記障害物検知領域である全開設定領域とを含み、前記全閉設定領域を、前記全閉状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定し、前記全開設定領域を、前記全開状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定し、前記全閉状態時における前記障害物検知手段の位置と前記全閉設定領域の位置との相対的な位置関係と、前記全開状態時における前記障害物検知手段の位置と前記全開設定領域の位置との相対的な位置関係とを、相互に異ならせた。
【0007】
請求項2に記載の開閉制御システムは、請求項1に記載の開閉制御システムにおいて、前記全閉設定領域は、前記全開状態から前記全閉状態に至る前記開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域のうち、前記全閉状態時の前記開閉体に対応する領域以外の領域全体を含む領域であり、前記全開設定領域は、前記全開状態から前記全閉状態に至る前記開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域のうち、前記全開状態時の前記開閉体に対応する領域以外の領域全体を含む領域である。
【0008】
請求項3に記載の開閉制御システムは、建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、前記開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知する障害物検知手段であって、前記障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、前記開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、前記開閉体の開閉状態に応じて、前記障害物検知領域を複数の前記設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態とも異なる半開状態において、前記障害物検知手段の検知結果に関わらず、前記開閉体を開閉移動させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の開閉制御システムによれば、障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、障害物検知手段の検知結果に基づいて、開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備えるので、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知手段の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替えることができ、開閉体の開閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、開閉体の開閉移動を阻害することなく、開閉体の開閉状態に応じて障害物を正確に検知することができ、開閉制御システムの使用性を高めることができる。
また、全閉設定領域を、全閉状態時における障害物検知手段の位置を起点として設定し、全開設定領域を、全開状態時における障害物検知手段の位置を起点として設定したので、全閉状態及び全開状態に応じた障害物検知手段の障害物検知領域を設定しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を一層高めやすくなる。
また、開閉体が、折り戸用の開閉体であり、障害物検知手段を、開閉体におけるせり出し側の側面の戸先側部分に設けたので、例えば、障害物検知手段を開口部の近傍に位置する特殊な支持手段(例えば、ポール等)に別途設ける必要がないことから、障害物検知手段の設置性を確保できる。また、開閉体におけるせり出し側の側面の戸尻側部分に設ける場合に比べて、全開状態において障害物が検知しにくくなることを回避でき、障害物の検知精度を確保できる。
【0013】
請求項2に記載の開閉制御システムによれば、全閉設定領域及び全開設定領域が、全開状態から全閉状態に至る開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域を少なくとも含むので、全閉状態又は全開状態において開閉体と衝突する可能性がある障害物を検知しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を高めることができる。
また、全閉設定領域が、全閉状態時の開閉体に対応する領域を含まない領域であり、全開設定領域が、全開状態時の開閉体に対応する領域を含まない領域であるので、全閉状態及び全開状態において開閉体が障害物として検知されることを回避でき、開閉体の開閉移動が阻害されることを防止できる。
【0014】
請求項3に記載の開閉制御システムによれば、障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、障害物検知手段の検知結果に基づいて、開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備えるので、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知手段の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替えることができ、開閉体の開閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、開閉体の開閉移動を阻害することなく、開閉体の開閉状態に応じて障害物を正確に検知することができ、開閉制御システムの使用性を高めることができる。
また、開閉制御手段が、半開状態において、障害物検知手段の検知結果に関わらず、開閉体を開閉移動させるので、半開状態において障害物検知手段の検知結果に関わらず、開閉体を開閉移動させることができる。よって、半開状態において障害物検知手段によって開閉体が障害物として検知されることを回避でき、開閉体の開閉移動が阻害されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係る開閉装置を示す正面図である(一部図示省略)。
図2図1の開閉装置のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
図3図1の開閉装置のB-B矢視断面図(一部図示省略)であり、(a)は全閉状態を示す図、(b)は全開状態を示す図である。
図4図3の第1開閉体周辺の拡大図である。
図5図1の開閉装置のC-C矢視断面図である(一部図示省略)。
図6】開閉制御システムの電気的構成を示したブロック図である。
図7】全閉設定領域を示す図である。
図8】全開設定領域を示す図である。
図9】実施の形態に係る開閉処理のフローチャートである。
図10】全閉状態処理のフローチャートである。
図11】全開状態処理のフローチャートである。
図12】半開状態処理のフローチャートである。
図13】半開設定領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る開閉制御システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムに関するものである。
【0021】
ここで、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、消防署や病院等の公共施設、商業施設、工場施設、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、又は床等)において窓や入り口を設置するために形成された開口部である。また、開閉体を備える開閉装置は、建物の開口部に設置される構造体であって、開口部の出入りを抑制又は制限するための構造体を意味する。また、開閉装置の開閉構造は任意であり、例えば、片開式の開き戸、両開式の開き戸、片開式の折れ戸、両開式の折れ戸、片開式の引き戸、両開式の引き戸として構成することができるが、実施の形態では、両開式の折れ戸として説明する。また、開閉装置の取り付け位置や用途は任意であるが、例えば、車庫に設置される「車庫用開閉装置」、玄関に設置される「玄関用開閉装置」、勝手口や通用口に設置される「勝手口用開閉装置」、建物内部に設置される「室内用開閉装置」等を含む概念である。また、開閉装置の駆動方式は任意であり、例えば、「電動式の開閉装置」が該当する。以下、実施の形態では、開閉装置が、消防署の如き建物の近傍の道路に面する位置に配置された両開式且つ電動式の車庫用折り戸(具体的には、2つの開閉体を同時開閉する折り戸)である場合について説明する。
【0022】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0023】
(構成)
最初に、実施の形態に係る開閉制御システムが適用される開閉装置の構成について説明する。以下の説明では、図1のX方向を開閉装置の左右方向(-X方向を開閉装置の左方向、+X方向を開閉装置の右方向)、図2のY方向を開閉装置の前後方向(+Y方向を開閉装置の前方向(建物の屋外側の方向)、-Y方向を開閉装置の後方向(建物の屋内側の方向))、図1のZ方向を開閉装置の上下方向(+Z方向を開閉装置の上方向、-Z方向を開閉装置の下方向)と称する。
【0024】
図1に示すように、開閉装置1は、後述する第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉制御を行うためのシステムであり、概略的に、枠体10、第1開閉体20a、第2開閉体20b、第1戸尻側ヒンジ部51a、第2戸尻側ヒンジ部51b、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、第2施錠部53b、及び開閉制御システム60を備えている。ただし、開閉装置1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。なお、開閉装置1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)、溶接、接着剤、両面テープ等によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。
【0025】
ここで、図2図3に示すように、第1開閉体20a及び第2開閉体20bは、開口部3よりも建物の屋外側に設けられている。このため、第1開閉体20a及び第2開閉体20bは、開口部3の開口面よりも建物の屋外側において開口部3を開閉することになるが、このような開閉であっても、開口部3を介した通行対象(例えば、人、動物、物等)の出入りを制限するための開閉を行う点において同様であるため、「開口部3を開閉する」ものとして説明する。
【0026】
また、建物の躯体2(具体的には、壁)に形成された開口部3において、「第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態」とは、「全閉状態」、「全開状態」、及び「半開状態」を含む概念である。このうち、「全閉状態」とは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bによって開口部3を全閉した状態であり、実施の形態では、全閉状態における第1開閉体20a及び第2開閉体20bの位置を「全閉位置」と称する。また、「全開状態」とは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bによって開口部3を全開した状態であり、実施の形態では、全開状態における第1開閉体20a及び第2開閉体20bの位置を「全開位置」と称する。また、「半開状態」とは、全閉状態と全開状態とも異なる状態であり、具体的には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bが全閉位置と全開位置との間に位置している状態であって、第1開閉体20a及び第2開閉体20bが開放移動している状態(以下、「半開開放移動状態」と称する)、閉鎖移動している状態(以下、「半開閉鎖移動状態」と称する)、及び開閉移動を停止している状態(以下、「半開停止状態」と称する)を含む概念である。
【0027】
また、この開閉装置1を構成する各構成要素の接続形態については、後述する制御ユニット70と、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、及び第2施錠部53bの各々と図示しない配線を介して電気的に接続されている。これにより、後述する制御ユニット70と、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、又は第2施錠部53bとの相互間で通信又は電力供給を直接的又は間接的に行うことができる。
【0028】
(構成-枠体)
図1に戻り、枠体10は、開口部3の周縁に設置されるものである。この枠体10は、図1に示すように、開口部3よりも建物の屋外側に設けられており、複数の鋼製(一例として、スチール、ステンレス等)の枠材を相互に組み合わせることによって構成されている。具体的には、図1に示すように、開口部3の左側に位置する左側縦枠材11、開口部3の右側に位置する右側縦枠材12、及び開口部3の上側に位置する上枠材13を備えている。そして、これら左側縦枠材11、右側縦枠材12、及び上枠材13は、それぞれ開口部3の周縁における躯体2に対して固定具等によって固定されている。
【0029】
ここで、上枠材13は、開閉装置1の各部を収納するためのものである。この上枠材13は、左右方向に略沿って長尺な中空体であり、躯体2に取り付けられている。また、この上枠材13の内部には、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、並びに後述する開閉制御システム60の全閉検知部63、全開検知部64、第1減速検知部65、第2減速検知部66、及び制御ユニット70が収納されている。また、この上枠材13の一側面(例えば、建物の屋外側の側面)に点検口(図示省略)と、上枠材13に対して開閉自在に取り付けられた点検カバー(図示省略)であって、点検口を覆うための点検カバー(図示省略)とを設けているので、上枠材13に収納されている第1開閉駆動部52a等を点検できる。
【0030】
また、図2に示すように、この上枠材13には、ガイドレール14が設けられている。ガイドレール14は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開口部3の開閉方向(具体的には、左右方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール14は、上枠材13の下端部の一部を切り欠き且つ折り曲げることにより形成されており、上枠材13の下端部の左右方向の略全長にわたって設けられている。
【0031】
(構成-第1開閉体、第2開閉体)
図1に戻り、第1開閉体20a及び第2開閉体20bは、開口部3を開閉するための開閉体である。これら第1開閉体20a及び第2開閉体20bは、例えば公知の折り戸用の開閉体等を用いて構成されており、図1から図4に示すように、戸尻側開閉体本体30a、戸先側開閉体本体30b、中間ヒンジ部41、被ガイド部42、戸尻側カバー部43、上側カバー部44、下側カバー部45、戸先側戸当たり部46、及び中間戸当たり部47をそれぞれ備えている。
【0032】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側開閉体本体、戸先側開閉体本体)
戸尻側開閉体本体30aは、第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の基本構造体の一部であって、第1戸尻側ヒンジ部51a(又は第2戸尻側ヒンジ部51b)によって軸支されるものである。戸先側開閉体本体30bは、第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の基本構造体の他の一部であって、戸尻側開閉体本体30aよりも戸先側に位置するものである。これら戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bの各々は、例えば公知の折り戸用の開閉体本体等を用いて構成されており、図1図2図4に示すように、開閉体フレーム31、屋外側表面材32、窓部33、及び取手部34を備えている。
【0033】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側開閉体本体、戸先側開閉体本体-開閉体フレーム)
開閉体フレーム31は、戸尻側開閉体本体30a(又は戸先側開閉体本体30b)の剛性を主として担うものである。この開閉体フレーム31は、複数の鋼製の長尺な力骨を組み合わせることによって、正面形状が矩形環状となるように形成されており、具体的には、図2図4に示すように、左右一対の縦力骨31a、31b及び上下一対の横力骨31dから構成されている。このうち、左右一対の縦力骨は、上下方向に略沿うように配置されており、上下一対の横力骨は、長手方向の長さが相互に略同一となるように形成されており、左右方向に略沿うように配置されている。以下では、必要に応じて、縦力骨31a、31bのうち、戸尻側の縦力骨31aを「戸尻側縦力骨31a」と称し、戸先側の縦力骨31bを「戸先側縦力骨31b」と称する。また、横力骨31dのうち、上側の横力骨(図示省略)を「上側横力骨」と称し、下側の横力骨31dを「下側横力骨31d」と称する。
【0034】
また、上側横力骨と下側横力骨31dとの相互間には、図示しない中間横力骨が相互に間隔を隔てて上下方向に沿って複数並設されている。中間横力骨は、開閉体フレーム31を補強するものである。この中間横力骨は、鋼製の長尺な力骨を用いて構成されており、具体的には、長手方向(左右方向)の長さが上側横力骨(又は下側横力骨31d)の長手方向(左右方向)の長さと略同一となるように形成されている。また、この中間横力骨は、左右方向に略沿うように配置されており、戸尻側縦力骨31a又は戸先側縦力骨31bに対して固定具又は溶接等によって固定されている。
【0035】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側開閉体本体、戸先側開閉体本体-屋外側表面材)
屋外側表面材32は、開閉体フレーム31を覆うためのものである。この屋外側表面材32は、例えば公知の表面材(一例として、鋼製の化粧板)等を用いて構成され、図2図4に示すように、開閉体フレーム31を建物の屋外側から覆うように(ただし、窓部33は除く)設けられており、開閉体フレーム31に対して固定具又は溶接等によって固定されている。
【0036】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側開閉体本体、戸先側開閉体本体-窓部)
窓部33は、例えば公知のガラス材等で構成されており、図2図4に示すように、戸尻側開閉体本体30a(又は戸先側開閉体本体30b)に形成された窓開口部(図示省略)内に設けられ、窓開口部の周縁に設けられた窓枠材35に対して固定具等によって固定されている。
【0037】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側開閉体本体、戸先側開閉体本体-取手部)
取手部34は、通行対象が戸尻側開閉体本体30a(又は戸先側開閉体本体30b)の開閉操作を行うためのものであり、例えば公知の折り戸用の取手(一例として、非突出状の取手)を用いて構成されており、図1に示すように、戸尻側開閉体本体30a(又は戸先側開閉体本体30b)における建物の屋外側にそれぞれ配置されている。
【0038】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-中間ヒンジ部)
中間ヒンジ部41は、戸尻側開閉体本体30aを戸先側開閉体本体30bに対して回動自在に軸支するためのヒンジ部である。この中間ヒンジ部41は、例えば公知の折り戸用の中間ヒンジ(一例として、丁番)等を用いて構成され、図1に示すように、戸尻側開閉体本体30aと戸先側開閉体本体30bとの相互間において上下方向に略沿って複数並設されており、上記戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bに対して固定具等によって固定されている。
【0039】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-被ガイド部)
被ガイド部42は、戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bを上枠材13のガイドレール14にスライド移動させるためのものである。この被ガイド部42は、例えば公知の折り戸用のガイドローラ等を用いて構成され、図2に示すように、戸先側開閉体本体30bの上端部において、ガイドレール14に摺動可能となるように取り付けられていると共に、戸先側開閉体本体30bに対して固定具等によって接続されている。
【0040】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸尻側カバー部)
戸尻側カバー部43は、全閉状態において戸尻側開閉体本体30aの戸尻側端部と左側縦枠材11又は右側縦枠材12との相互間の隙間を覆うためのものである。この戸尻側カバー部43は、例えば公知のカバー材(一例として、ゴム製のカバー材)等を用いて構成され、図1図4に示すように、建物の屋内側において、戸尻側開閉体本体30aの戸尻側端部の略全体にわたって設けられており、戸尻側開閉体本体30aに対して固定具等によって固定されている。
【0041】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-上側カバー部)
上側カバー部44は、全閉状態において戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bの各々の上端部と上枠材13との相互間の隙間を覆うためのものである。この上側カバー部44は、例えば公知のカバー材(一例として、樹脂ブラシ製のカバー材)等を用いて構成され、図1図2に示すように、建物の屋外側において、戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bの各々の上端部の略全体にわたって設けられていると共に、建物の屋内側において、上枠材13の下端部の略全体にわたって設けられており、戸尻側開閉体本体30a、戸先側開閉体本体30b、及び上枠材13に対して固定具等によって固定されている。
【0042】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-下側カバー部)
下側カバー部45は、全閉状態において戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bの各々の下端部と床4との相互間の隙間を覆うためのものである。この下側カバー部45は、例えば公知のカバー材(一例として、樹脂ブラシ製のカバー材)等を用いて構成され、図1図2に示すように、建物の屋外側及び屋内側において、戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bの各々の下端部の略全体にわたって設けられており、戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bに対して固定具等によって固定されている。
【0043】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-戸先側戸当たり部)
戸先側戸当たり部46は、第1開閉体20a側の戸先側開閉体本体30bと第2開閉体20b側の戸先側開閉体本体30bとの相互間の隙間を覆うものであると共に、これら戸先側開閉体本体30bによって通行対象又は障害物が挟まれた際の衝撃を緩和するためのものである。この戸先側戸当たり部46は、例えば公知の緩衝材(一例として、緩衝ゴム等)を用いて構成され、具体的には、図1図4に示すように、第1開閉体20a側の戸先側戸当たり部46は、凹状に形成されており、第2開閉体20b側の戸先側戸当たり部46は、第1開閉体20a側の戸先側戸当たり部46に嵌合可能な凸状に形成されている。また、この戸先側戸当たり部46は、戸先側開閉体本体30bの戸先側端部の略全体にわたって設けられており、戸先側開閉体本体30bに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0044】
(構成-第1開閉体、第2開閉体-中間戸当たり部)
中間戸当たり部47は、全閉状態において戸尻側開閉体本体30aと戸先側開閉体本体30bとの相互間の隙間を維持するためのものである。この中間戸当たり部47は、図4に示すように、全閉状態において上記隙間に位置するように複数配置されており、戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bに対して固定具又は接着剤等によって固定されている。
【0045】
(構成-第1戸尻側ヒンジ部)
図2に戻り、第1戸尻側ヒンジ部51aは、第1開閉体20aを枠体10に対して回動自在(具体的には、開口部3から建物の屋外側に至る範囲で回動自在)に軸支するためのヒンジ部である。この第1戸尻側ヒンジ部51aは、例えば公知の折り戸用のヒンジ等を用いて構成されており、図2図5に示すように、第1開閉体20aの戸尻側開閉体本体30aの戸尻側の上端側及び下端側にそれぞれ設けられている。
【0046】
また、第1戸尻側ヒンジ部51aの取付方法については任意であるが、実施の形態では以下の通りに固定している(なお、第2戸尻側ヒンジ部の取付方法についても略同様とする)。すなわち、図5に示すように、上端側に位置する第1戸尻側ヒンジ部51aについては、当該第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51cの上側部分を上枠材13の内部において上枠材13に設けられた軸受部に対して回動自在に固定していると共に、上記軸部51cの下側部分を戸尻側開閉体本体30aの内部において連結部材を介して戸尻側開閉体本体30aに対して固定している。また、下端側に位置する第1戸尻側ヒンジ部51aについては、当該第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51cの上側部分を戸尻側開閉体本体30aの内部において連結部材を介して戸尻側開閉体本体30aに対して固定していると共に、上記軸部51cの下側部分を床4に形成された溝部内において床4に設けられた軸受部に対して回動自在に固定している。
【0047】
(構成-第2戸尻側ヒンジ部)
第2戸尻側ヒンジ部51bは、第2開閉体20bを枠体10に対して回動自在(具体的には、開口部3から建物の屋外側に至る範囲で回動自在)に軸支するためのヒンジ部である。この第2戸尻側ヒンジ部51bは、例えば公知の折り戸用のヒンジ等を用いて構成されており、図5に示すように、第2開閉体20bの戸尻側開閉体本体30aの戸尻側の上端側及び下端側にそれぞれ設けられている。
【0048】
これら第1戸尻側ヒンジ部51a及び第2戸尻側ヒンジ部51bにより、例えば、図3(b)に示すように、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを全閉位置から全開位置に向けてそれぞれスライド移動させた際に、図3(b)の想像線で示す軌跡を描きながら第1開閉体20a及び第2開閉体20bを折り畳むことが可能となる(具体的には、全開状態及び半開状態において第1開閉体20a及び第2開閉体20bの各々の中間ヒンジ部41が建物の屋外側に向けてせり出すように、折り畳むことができる)。
【0049】
(構成-第1開閉駆動部)
第1開閉駆動部52aは、電動で第1開閉体20aを開閉移動させるための第1開閉駆動手段である。この第1開閉駆動部52aは、例えば公知の折り戸用の開閉駆動部等を用いて構成されており、具体的には、図5に示すように、駆動源としての駆動部本体52c(例えば、公知のモータ)と、上方側に位置する第1戸尻側ヒンジ部51aの上端側の軸部51cに接続された伝達部52dであって、駆動部本体52cからの駆動力を上記軸部51cに対して伝達するための伝達部52dとを備えている(なお、第2開閉駆動部52bの構成についても略同様とする)。
【0050】
(構成-第2開閉駆動部)
第2開閉駆動部52bは、電動で第2開閉体20bを開閉移動させるための第2開閉駆動手段であり、例えば公知の折り戸用の開閉駆動部等を用いて構成されている。
【0051】
(構成-第1施錠部)
図1に戻り、第1施錠部53aは、第1開閉体20aを施錠するためのものである。この第1施錠部53aは、例えば公知の電気錠(一例として、図示しないデッドボルトを備える電気錠)等を用いて構成されており、図1に示すように、第1開閉体20aの戸先側開閉体本体30bの内部において戸先側の位置且つ下方位置に設けられている。
【0052】
また、第1施錠部53aの施錠動作については任意であるが、例えば、後述する開閉制御システム60の制御部74が後述する入力部71を介して後述の全閉状態信号の入力を受け付けることで、後述の制御ユニット70から施錠を指示する施錠信号を受信した場合に、デッドボルトを下方に向けて張り出すことで床4に設けられた図1の受け部53cに係止させることにより、第1開閉体20aを施錠してもよい(なお、第2施錠部53bの施錠動作についても略同様とする)。なお、第1施錠部53aによって第1開閉体20aが施錠されている状態については、後述する制御部74から解錠を指示する解錠信号を受信するまで継続してもよい。
【0053】
また、第1施錠部53aの解錠動作については任意であるが、例えば、第1施錠部53aによって第1開閉体20aが施錠されている状態において、後述する制御部74が後述する入力部71を介して後述の開放信号の入力を受け付けることで、後述の制御ユニット70から解錠信号を受信した場合に、張り出したデッドボルトを張り出す前の状態に戻すことでデッドボルトと受け部53cとの係止を解除することにより、第1開閉体20aを解錠してもよい(なお、第2施錠部53bの解錠動作についても略同様とする)。
【0054】
(構成-第2施錠部)
第2施錠部53bは、第2開閉体20bを施錠するためのものである。この第2施錠部53bは、例えば公知の電気錠(一例として、図示しないデッドボルトを備える電気錠)等を用いて構成されており、図1に示すように、第2開閉体20bの戸先側開閉体本体30bの内部において戸先側の位置且つ下方位置に設けられている。
【0055】
(構成-開閉制御システム)
開閉制御システム60は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を制御するためのシステムであり、図1図2図5図6に示すように、第1障害物検知部61、第2障害物検知部62、全閉検知部63、全開検知部64、第1減速検知部65、第2減速検知部66、操作部67、及び制御ユニット70を備えている。
【0056】
(構成-開閉制御システム-第1障害物検知部)
第1障害物検知部61は、第1開閉体20a又は第2開閉体20bの開閉移動の障害になる障害物(例えば、人、動物、物等。以下、単に「障害物」と称する。)を検知する障害物検知手段である。この第1障害物検知部61は、平面状の障害物検知領域を、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な公知の検知センサ(一例として、エリアセンサ)等を用いて構成されており、図1に示すように、第1開閉体20aに設けられ、第1開閉体20aに対して固定具等によって固定されている。ここで、「設定領域」には、実施の形態では、全閉状態時の障害物検知領域である全閉設定領域A1と、全開状態時の障害物検知領域である全開設定領域A2とが含まれる。
【0057】
また、第1障害物検知部61の設置方法については任意であるが、実施の形態では、図2図3に示すように、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸先側部分(具体的には、第1開閉体20aの戸先側開閉体本体30bにおける建物の屋外側の側面)において、当該戸先側部分の下端よりも所定高さ(例えば、300mm程度等)上方の位置に設けている。このような設置により、水平方向に略沿った面状の障害物検知領域を上記所定高さ位置のみに設定することができる。また、第1障害物検知部61を開口部3の近傍に位置する特殊な支持手段(例えば、ポール等)に別途設ける必要がないことから、第1障害物検知部61の設置性を確保できる。また、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸尻側部分に設ける場合に比べて、全開状態において障害物が検知しにくくなることを回避でき、障害物の検知精度を確保できる。
【0058】
また、第1障害物検知部61の設定領域の設定方法については任意であるが、実施の形態では、以下の通りに設定している。
【0059】
すなわち、全閉設定領域A1については、全開状態から全閉状態に至る第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の軌跡(図3(b)の想像線で示す軌跡)に略対応する領域(つまり、平面方向から見て当該軌跡と略重複する領域)を少なくとも含むように設定している。具体的には、全閉状態時における第1障害物検知部61の位置を起点として設定していると共に、全閉状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bに対応する領域を含まないように設定している。より具体的には、図7に示すように、第1障害物検知部61の図示しない検知可能領域(例えば、第1障害物検知部61の位置から所定距離内(例えば、8m程度等)の検知可能領域)内において、開口部3よりも若干建物の屋外側に位置し、且つ建物の近傍に位置する道路よりも建物側に位置するように設定している。また、全閉設定領域A1の左右方向の長さが左側縦枠材11の左端部から右側縦枠材12の右端部に至る長さと略同一の長さとなると共に、全閉設定領域A1の前後方向の長さが全開状態時の第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の前後方向の長さと略同一の長さとなるように、設定している。
【0060】
また、全開設定領域A2については、全閉設定領域A1とは異なる領域であって、全開状態から全閉状態に至る第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の軌跡に略対応する領域を少なくとも含むように設定している。具体的には、全開状態時における第1障害物検知部61の位置(全閉状態時における第1障害物検知部61の位置とは異なる位置)を起点として設定していると共に、全開状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bに対応する領域を含まないように設定している。より具体的には、図8に示すように、第1障害物検知部61の検知可能領域内において、全開状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bよりも若干左右方向の内側に位置すると共に、開口部3よりも若干建物の屋外側に位置し、且つ建物の近傍に位置する道路よりも建物側に位置するように設定している。また、全開設定領域A2の左右方向の長さが全閉状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bの左右方向の長さよりも短い長さになると共に、全開設定領域A2の前後方向の長さが全開状態時の第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の前後方向の長さと略同一の長さとなるように、設定している。
【0061】
以上のような設定領域の設定により、全閉状態及び全開状態において第1開閉体20a又は第2開閉体20bと衝突する可能性がある障害物を検知しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を高めることができる。また、全閉状態及び全開状態において、第1開閉体20a、第2開閉体20b、及び道路の通行者が障害物として検知されることを回避でき、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が阻害されることを防止できる。さらに、全閉状態及び全開状態に応じた第1障害物検知部61の障害物検知領域を設定しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を一層高めやすくなる。
【0062】
また、第1障害物検知部61がエリアセンサである場合の検知動作については、例えば、第1障害物検知部61から照射されたレーザ光が障害物によって反射され、当該反射されたレーザ光が第1障害物検知部61によって受光された場合には、障害物を検知した旨を示す情報を含む信号(以下、「第1障害物検知信号」と称する)を出力する。一方、第1障害物検知部61から照射されたレーザ光が障害物によって反射されず、レーザ光が第1障害物検知部61によって受光されない場合には、第1障害物検知信号を出力しない。
【0063】
(構成-開閉制御システム-第2障害物検知部)
第2障害物検知部62は、障害物を検知するものである。この第2障害物検知部62は、例えば公知の検知センサ(一例として、タッチセンサ)等を用いて構成されており、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの各々に設けられており、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの各々に対して固定具等によって固定されている。
【0064】
また、第2障害物検知部62の設置方法については任意であるが、実施の形態では、図1に示すように、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの各々の戸先側開閉体本体30bの戸先側端面のうち、当該戸先側端面の下端から所定高さ(例えば、2000mm程度等)上方の位置に至る部分に設けられている。このような設置により、第1開閉体20a及び第2開閉体20bによって挟まれる可能性がある障害物を正確に検知することが可能となる。
【0065】
また、第2障害物検知部62がタッチセンサである場合の検知動作については、例えば、第1開閉体20a及び第2開閉体20bによって障害物が挟まれることで第1開閉体20a又は第2開閉体20bに設けられた第2障害物検知部62が押圧された場合には、障害物を検知した旨を示す情報を含む信号(以下、「第2障害物検知信号」と称する)を出力する。一方、上記第2障害物検知部62が押圧されていない場合には、第2障害物検知信号を出力しない。
【0066】
(構成-開閉制御システム-全閉検知部)
全閉検知部63は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態が全閉状態を検知する全閉検知手段である。この全閉検知部63は、例えば公知の検知センサ(一例として、リミットスイッチ)等を用いて構成されており、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)の近傍に設けられている。
【0067】
また、全閉検知部63がリミットスイッチである場合の検知動作については、例えば、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)のシリンダの伸縮量が全閉状態に対応する伸縮量である場合に、全閉状態である旨を示す信号(以下、「全閉状態信号」と称する)を出力する。一方、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)のシリンダの伸縮量が全閉状態に対応する伸縮量でない場合に、全閉状態信号を出力しない。
【0068】
(構成-開閉制御システム-全開検知部)
全開検知部64は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態が全開状態を検知する全開検知手段である。この全開検知部64は、例えば公知の検知センサ(一例として、リミットスイッチ)等を用いて構成されており、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)の近傍に設けられている。
【0069】
また、全開検知部64がリミットセンサである場合の検知動作については、例えば、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)のシリンダの伸縮量が全開状態に対応する伸縮量である場合に、全開状態である旨を示す信号(以下、「全開状態信号」と称する)を出力する。一方、第1開閉駆動部52a(又は第2開閉駆動部52b)のシリンダの伸縮量が全開状態に対応する伸縮量でない場合に、全開状態信号を出力しない。
【0070】
(構成-開閉制御システム-第1減速検知部)
第1減速検知部65は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を減速させるタイミングを検知する第1減速検知手段である。
【0071】
この第1減速検知部65は、例えば公知の検知センサ(一例として、リミットスイッチ)等を用いて構成されており、図2に示すように、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の近傍に設けられている。
【0072】
また、第1減速検知部65がリミットセンサである場合の検知動作については、例えば、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の回転角度が、半開位置のうち全閉位置の近傍位置から全閉位置に至る範囲に対応する角度である場合に、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を減速させる旨を示す信号(以下、「第1減速信号」と称する)を出力する。一方、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の回転角度が上記範囲に対応する角度でない場合に、第1減速信号を出力しない。
【0073】
(構成-開閉制御システム-第2減速検知部)
第2減速検知部66は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を減速させるタイミングを検知する第2減速検知手段である。
【0074】
この第2減速検知部66は、例えば公知の検知センサ(一例として、リミットスイッチ)等を用いて構成されており、図2に示すように、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の近傍に設けられている。
【0075】
また、第2減速検知部66がリミットセンサである場合の検知動作については、例えば、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の回転角度が、半開位置のうち全開位置の近傍位置から全開位置に至る範囲に対応する角度である場合に、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を減速させる旨を示す信号(以下、「第2減速信号」と称する)を出力する。一方、第1戸尻側ヒンジ部51aの軸部51c(又は第2戸尻側ヒンジ部51bの軸部51c)の回転角度が上記範囲に対応する角度でない場合に、第2減速信号を出力しない。
【0076】
(構成-開閉制御システム-操作部)
操作部67は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの閉鎖移動又は開放移動に関する操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部67は、例えば公知の折り戸用の操作手段(一例として、押しボタン式スイッチ等)を用いて構成されており、図1に示すように、上枠材13の外部において開口部3の近傍位置(例えば、躯体2における建物の屋内側の側面)に設けられており、開放ボタン、閉鎖ボタン、及び停止ボタンを備えている(いずれも図示省略)。
【0077】
このうち、開放ボタンは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを電動で開放移動させるボタンである。また、閉鎖ボタンは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを電動で閉鎖移動させるボタンである。また、停止ボタンは、電動による第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動又は閉鎖移動を停止させるボタンである。なお、これら開放ボタン、閉鎖ボタン、又は停止ボタンの操作入力が受け付けられると、上記受け付けられたボタンに応じた操作信号(すなわち、開放信号、閉鎖信号、停止信号)を制御ユニット70を介して第1開閉駆動部52a及び第2開閉駆動部52bに出力することで、第1開閉駆動部52a及び第2開閉駆動部52bによって第1開閉体20a及び第2開閉体20bを電動で閉鎖移動又は開放移動させたり、又は電動による第1開閉体20a及び第2開閉体20bの閉鎖移動又は開放移動を停止させることができる。
【0078】
また、操作部67の具体的な構成については任意であるが、実施の形態では、制御ユニット70と有線で通信する有線式操作端末で構成されている。ただし、これに限らず、例えば、制御ユニット70と無線で通信する無線式操作端末で構成されてもよい。あるいは、有線式操作端末及び無線式操作端末の両方を設置してもよい。
【0079】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット)
制御ユニット70は、開閉制御システム60の各部を相互に連動させるものである。この制御ユニット70は、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、第2施錠部53b、全閉検知部63、全開検知部64、第1減速検知部65、第2減速検知部66、及び操作部67と図示しない配線を介して電気的に接続されており、図6に示すように、入力部71、出力部72、電源部73、制御部74、及び記憶部75を備えている。
【0080】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット-入力部)
入力部71は、各種の信号(具体的には、操作信号、第1障害物検知信号、第2障害物検知信号、全閉状態信号、全開状態信号、第1減速信号、第2減速信号、解錠信号、施錠信号等)の入力を受け付ける入力手段であり、例えば公知の入力端子等を用いて構成されている。
【0081】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット-出力部)
出力部72は、各種の信号を第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、及び第2施錠部53b等に出力する出力手段であり、例えば公知の出力端子等を用いて構成されている。
【0082】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット-電源部)
電源部73は、図示しない商用電源又は電池(例えば、バッテリ等)から供給された電力を、制御ユニット70の各部に供給すると共に、第1開閉駆動部52a、第2開閉駆動部52b、第1施錠部53a、第2施錠部53b、全閉検知部63、全開検知部64、第1減速検知部65、第2減速検知部66、又は操作部67にも供給する電源手段である。
【0083】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット-制御部)
制御部74は、制御ユニット70の各部を制御する制御手段である。この制御部74は、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0084】
また、この制御部74は、図6に示すように、機能概念的に、開閉制御部74a及び切替部74bを備えている。
【0085】
開閉制御部74aは、第1障害物検知部61の検知結果に基づいて、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開閉移動させる開閉制御手段である。
【0086】
切替部74bは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて、第1障害物検知部61の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替える切替手段である。
【0087】
(構成-開閉制御システム-制御ユニット-記憶部)
記憶部75は、制御ユニット70の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段であり、書き換え可能な公知の記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。
【0088】
(開閉処理)
次に、このように構成された開閉装置1における制御ユニット70の制御部74によって実行される開閉処理について説明する。以下の説明では、図9から図12に示す各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0089】
開閉処理は、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を制御するための処理である。この開閉処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態では、開閉装置1の電源が投入された後に起動されるものとして説明する。なお、上述したように、制御ユニット70による全閉状態信号又は開放信号の入力の有無に基づいて第1施錠部53a及び第2施錠部53bによる施錠動作又は解錠動作が行われるものの、これに関しては説明の都合上割愛するものとする。
【0090】
開閉処理が起動されると、図9に示すように、SA1において開閉制御部74aは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態が全閉状態であるか否かを判定する。
【0091】
この全閉状態であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって全閉状態信号の入力が受け付けられているか否かに基づいて判定し、全閉状態信号の入力が受け付けられている場合には、全閉状態であると判定し、全閉状態信号の入力が受け付けられていない場合には、全閉状態でないと判定する。
【0092】
そして、開閉制御部74aは、全閉状態であると判定された場合(SA1、Yes)には全閉状態処理(SA2)に移行し(なお、第1開閉体20a及び第2開閉体20bが開閉移動中である場合には、当該開閉移動を停止させた後に全閉状態処理(SA2)に移行し)、全閉状態でないと判定された場合(SA1、No)にはSA3に移行する。また、SA2の全閉状態処理が実行された後には、開閉制御部74aはSA1に移行する。なお、全閉状態処理の処理内容の詳細については後述する。
【0093】
SA3において開閉制御部74aは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態が全開状態であるか否かを判定する。
【0094】
この全開状態であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって全開状態信号の入力が受け付けられているか否かに基づいて判定し、全開状態信号の入力が受け付けられている場合には、全開状態であると判定し、全開状態信号の入力が受け付けられていない場合には、全開状態でないと判定する。
【0095】
そして、開閉制御部74aは、全開状態であると判定された場合(SA3、Yes)には全開状態処理(SA4)に移行し(なお、第1開閉体20a及び第2開閉体20bが開閉移動中である場合には、当該開閉移動を停止させた後に全開状態処理(SA4)に移行し)、全開状態でないと判定された場合(SA3、No)には半開状態処理(SA5)に移行する。また、SA4の全開状態処理が実行された後には開閉制御部74aはSA1に移行し、SA5の半開状態処理が実行された後には開閉制御部74aはSA1に移行する。なお、全開状態処理及び半開状態処理の処理内容の詳細については後述する。
【0096】
(開閉処理-全閉状態処理)
次に、図9のSA2の全閉状態処理について説明する。全閉状態処理は、全閉状態に対応する第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の制御を行うための処理である。
【0097】
全閉状態処理が起動されると、図10に示すように、SB1において切替部74bは、第1障害物検知部61の障害物検知領域を図7の全閉設定領域A1に設定する(すなわち、全閉設定領域A1及び全開設定領域A2のうち、全閉設定領域A1に切り替える)。これにより、第1障害物検知部61によって全閉設定領域A1に存在する障害物を検知することが可能となる。
【0098】
SB2において開閉制御部74aは、入力部71によって開放信号の入力が受け付けられているか否かを判定する。そして、開閉制御部74aは、開放信号の入力が受け付けられていると判定されるまで待機し(SB2、No)、開放信号の入力が受け付けられていると判定された場合(SB2、Yes)にはSB3に移行する。
【0099】
SB3において開閉制御部74aは、第1障害物検知部61及び第2障害物検知部62の検知結果に基づいて、障害物が検知されているか否かを判定する。
【0100】
この障害物が検知されているか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって第1障害物検知信号又は第2障害物検知信号の入力が受け付けられたか否かを判定し、第1障害物検知信号又は第2障害物検知信号の入力が受け付けられている場合には、障害部が検知されていると判定し、第1障害物検知信号及び第2障害物検知信号の入力が受け付けられていない場合には、障害部が検知されていないと判定する(なお、後述するSC3の処理についても同様とする)。
【0101】
そして、開閉制御部74aは、障害物が検知されていると判定された場合(SB3、Yes)にはSB4に移行し、障害物が検知されていないと判定された場合(SB3、No)にはSB5に移行する。
【0102】
SB4において開閉制御部74aは、開放信号の入力の有無に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の停止を継続させる。その後、開閉制御部74aは、SB2に移行し、SB3において障害物が検知されていないと判定されるまでSB2からSB4の処理を繰り返す。
【0103】
SB5において開閉制御部74aは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開放移動させ、その後全閉状態処理を終了する。
【0104】
この開放移動の制御方法については任意であるが、実施の形態では以下の通り制御する(なお、後述するSC5の処理、後述するSD4の処理についても略同様とする)。
【0105】
すなわち、SB2にて開放信号の入力が受け付けられた場合には、その後開放信号の入力の受け付けが継続していなくても第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動を行わせ、SB2以降の処理において停止信号又は閉鎖信号の入力が受け付けられ、又は第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を停止させる処理が行われるまで、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を継続させる(いわゆる、「自己保持操作による制御」を行う)。これにより、SB2にて開放信号の入力が受け付けられた場合において、開放信号の入力が受け付けられている間にのみ第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動を行わせる場合(いわゆる、「押切操作による制御」を行う)に比べて、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を簡易に行うことができる。ただし、これに限らず、例えば、押切操作による制御を行ってもよい。
【0106】
また、SB2の処理中に、入力部71によって第1減速信号及び第2減速信号の入力が受け付けられていない場合には、通常速度で第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開放移動させ、上記第1減速信号又は第2減速信号の入力が受け付けられている場合には、通常速度よりも遅い速度(例えば、通常速度の半分の速度等)で第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開放移動させる。これにより、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動時の安全性を確保しやすくなると共に、第1開閉体20a、第2開閉体20b、第1開閉駆動部52a、及び第2開閉駆動部52bの負荷を軽減できる。
【0107】
このような全閉状態処理により、第1障害物検知部61の障害物検知領域を全閉設定領域A1に切り替えることができ、全閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動を阻害することなく、障害物を正確に検知することができる。
【0108】
(開閉処理-全開状態処理)
次に、図9のSA4の全開状態処理について説明する。全開状態処理は、全開状態に対応する第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の制御を行うための処理である。
【0109】
全開状態処理が起動されると、図11に示すように、SC1において切替部74bは、第1障害物検知部61の障害物検知領域を図8の全開設定領域A2に設定する(すなわち、全閉設定領域A1及び全開設定領域A2のうち、全開設定領域A2に切り替える)。これにより、第1障害物検知部61によって全開設定領域A2に存在する障害物を検知することが可能となる。
【0110】
SC2において開閉制御部74aは、入力部71によって閉鎖信号の入力が受け付けられているか否かを判定する。そして、開閉制御部74aは、閉鎖信号の入力が受け付けられていると判定されるまで待機し(SC2、No)、閉鎖信号の入力が受け付けられていると判定された場合(SC2、Yes)にはSC3に移行する。
【0111】
SC3において開閉制御部74aは、第1障害物検知部61及び第2障害物検知部62の検知結果に基づいて、障害物が検知されているか否かを判定する。そして、開閉制御部74aは、障害物が検知されていると判定された場合(SC3、Yes)にはSC4に移行し、障害物が検知されていないと判定された場合(SC3、No)にはSC5に移行する。
【0112】
SC4において開閉制御部74aは、閉鎖信号の入力の有無に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の停止を継続させる。その後、開閉制御部74aは、SC2に移行し、SC3において障害物が検知されていないと判定されるまでSC2からSC4の処理を繰り返す。
【0113】
SC5において開閉制御部74aは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを閉鎖移動させ、その後全開状態処理を終了する。
【0114】
このような全開状態処理により、第1障害物検知部61の障害物検知領域を全開設定領域A2に切り替えることができ、全開状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの閉鎖移動を阻害することなく、障害物を正確に検知することができる。
【0115】
(開閉処理-半開状態処理)
次に、図9のSA5の半開状態処理について説明する。半開状態処理は、半開状態(半開開放移動状態、半開閉鎖移動状態、又は半開停止状態)に対応する第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の制御を行うための処理である。
【0116】
半開状態処理が起動されると、図12に示すように、SD1において開閉制御部74aは、第2障害物検知部62の検知結果のみに基づいて、障害物が検知されているか否かを判定する。
【0117】
この障害物が検知されているか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって第2障害物検知信号の入力が受け付けられたか否かを判定し、第2障害物検知信号の入力が受け付けられている場合には、障害部が検知されていると判定し、第2障害物検知信号の入力が受け付けられていない場合には、障害部が検知されていないと判定する。
【0118】
そして、開閉制御部74aは、障害物が検知されていると判定された場合(SD1、Yes)にはSD2に移行し、障害物が検知されていないと判定された場合(SD1、No)にはSD2に移行する。
【0119】
SD2において開閉制御部74aは、閉鎖信号又は開放信号の入力の有無に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を停止させる。具体的には、半開開放移動状態又は半開閉鎖移動状態である場合には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動又は閉鎖移動を停止させ、半開停止状態である場合には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の停止を継続させる。その後、開閉制御部74aは、SD1に移行し、SD2において障害物が検知されていないと判定されるまでSD1、SD2の処理を繰り返す。
【0120】
SD3において開閉制御部74aは、入力部71によって閉鎖信号、開放信号、又は停止信号の入力が受け付けられているか否かを判定する。そして、開閉制御部74aは、閉鎖信号等の入力が受け付けられていると判定された場合(SD3、Yes)にはSD4に移行する。一方、閉鎖信号等の入力が受け付けられていないと判定された場合(SD3、No)にはSD5に移行する。
【0121】
SD4において開閉制御部74aは、SD3にて入力された閉鎖信号、開放信号、又は停止信号に基づいて、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを閉鎖移動又は開放移動させ、又は第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を停止させる(なお、例えば、半開開放移動状態において開放信号の入力を受け付けると、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開放移動を継続させる(すなわち、移動状態と対応する操作信号の入力を受け付けると、その移動状態を継続させる)。
【0122】
SD5において開閉制御部74aは、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態が半開状態であるか否かを判定する。
【0123】
この半開状態であるか否かの判定方法については任意であるが、実施の形態では、入力部71によって全閉状態信号及び全開状態信号の入力が受け付けられているか否かに基づいて判定し、全閉状態信号及び全開状態信号の入力が受け付けられていない場合には半開状態であると判定し、全閉状態信号又は全開状態信号の入力が受け付けられている場合には、半開状態でないと判定する。
【0124】
そして、開閉制御部74aは、半開状態であると判定された場合(SD5、Yes)にはSD1に移行し、その後SD5において半開状態でないと判定されるまで、SD1からSD5の処理を繰り返す。一方、半開状態でないと判定された場合(SD5、No)には半開状態処理を終了する。
【0125】
このような半開状態処理により、半開状態において第1障害物検知部61の検知結果に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開閉移動させることができる。よって、半開状態において第1障害物検知部61によって第1開閉体20a及び第2開閉体20bが障害物として検知されることを回避でき、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が阻害されることを防止できる。
【0126】
以上のような開閉処理により、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて、第1障害物検知部61の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替えることができ、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を阻害することなく、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて障害物を正確に検知することができ、開閉制御システム60の使用性を高めることができる。
【0127】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、第1障害物検知部61における略平面状の障害物検知領域を、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な第1障害物検知部61と、第1障害物検知部61の検知結果に基づいて、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開閉移動させる開閉制御部74aと、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて、障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替える切替部74bと、を備えるので、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて、第1障害物検知部61の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替えることができ、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を阻害することなく、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉状態に応じて障害物を正確に検知することができ、開閉制御システム60の使用性を高めることができる。
【0128】
また、全閉設定領域A1及び全開設定領域A2が、全開状態から全閉状態に至る第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の軌跡に略対応する領域を少なくとも含むので、全閉状態及び全開状態において第1開閉体20a又は第2開閉体20bと衝突する可能性がある障害物を検知しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を高めることができる。
【0129】
また、全閉設定領域A1が、全閉状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bに対応する領域を含まない領域であり、全開設定領域A2が、全開状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bに対応する領域を含まない領域であるので、全閉状態及び全開状態において第1開閉体20a及び第2開閉体20bが障害物として検知されることを回避でき、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が阻害されることを防止できる。
【0130】
また、第1障害物検知部61を、第1開閉体20a及び第2開閉体20bに設け、全閉設定領域A1を、全閉状態時における第1障害物検知部61の位置を起点として設定し、全開設定領域A2を、全開状態時における第1障害物検知部61の位置を起点として設定したので、全閉状態及び全開状態に応じた第1障害物検知部61の障害物検知領域を設定しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を一層高めやすくなる。
【0131】
また、第1開閉体20aが、折り戸用の開閉体であり、第1障害物検知部61を、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸先側部分に設けたので、例えば、第1障害物検知部61を開口部3の近傍に位置する特殊な支持手段(例えば、ポール等)に別途設ける必要がないことから、第1障害物検知部61の設置性を確保できる。また、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸尻側部分に設ける場合に比べて、全開状態において障害物が検知しにくくなることを回避でき、障害物の検知精度を確保できる。
【0132】
また、開閉制御部74aが、半開状態において、第1障害物検知部61の検知結果に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開閉移動させるので、半開状態において第1障害物検知部61の検知結果に関わらず、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを開閉移動させることができる。よって、半開状態において第1障害物検知部61によって第1開閉体20a及び第2開閉体20bが障害物として検知されることを回避でき、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が阻害されることを防止できる。
【0133】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0134】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0135】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、制御ユニット70を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部74を設けると共に、これら複数の装置の他の一部に記憶部75を設けてもよい。
【0136】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0137】
(開閉装置について)
上記実施の形態では、開閉装置1が、両開式の折り戸であると説明したが、これに限らず、例えば、片開式の折り戸であってもよい。この場合には、戸尻側ヒンジ部、開閉駆動部、及び施錠部を1つずつ設けられる。
【0138】
また、上記実施の形態では、開閉装置1が、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを同時開閉する折り戸であると説明したが、これに限らず、例えば、第1開閉体20a及び第2開閉体20bを個別開閉する折り戸であってもよい。この場合には、第1開閉体20aに対応する開閉制御システム60と、第2開閉体20bに対応する開閉制御システム60とが設けられて、第1開閉体20aに対応する開閉処理と、第2開閉体20bに対応する開閉処理とが行われてもよい。また、第1開閉体20aに設けられた第1障害物検知部61の設定領域、及び第2開閉体20bに設けられた第1障害物検知部61の設定領域の設定方法については任意であるが、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が阻害されないようにそれぞれ設定することが望ましく、一例として、全閉状態における第1開閉体20aと第2開閉体20bとの境界を境にして、相互に重複しない領域をそれぞれ設定してもよい。
【0139】
(第1開閉体、第2開閉体について)
上記実施の形態では、第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の開閉体本体の個数が2つであると説明したが、これに限らず、例えば、3つ以上であってもよい。この場合には、上記開閉体本体のうち最も戸先側の開閉体本体に、第1障害物検知部61が設けられることが望ましい。
【0140】
また、上記実施の形態では、第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の戸尻側開閉体本体30a及び戸先側開閉体本体30bが、開閉体フレーム31、屋外側表面材32、窓部33、及び取手部34を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、窓部33を省略してもよく、又は、開閉体フレーム31を建物の屋内側から覆う屋内側表面材をさらに備えてもよい。
【0141】
(開閉制御システムについて)
上記実施の形態では、開閉制御システム60が、第2障害物検知部62、第1減速検知部65、及び第2減速検知部66を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第2障害物検知部62、第1減速検知部65、又は第2減速検知部66を省略してもよい。なお、第2障害物検知部62を省略する場合には、半開状態処理のSD1、SD2を省略できる。
【0142】
(第1障害物検知部について)
上記実施の形態では、第1障害物検知部61が、第1開閉体20aに設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第2開閉体20bに設けられてもよく、第1開閉体20a及び第2開閉体20b以外の他の部材(一例として、開口部3の近傍に位置する特殊な支持手段(例えば、ポール等)、又は枠体10等)に設けられてもよい。
【0143】
また、上記実施の形態では、第1障害物検知部61が、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸先側部分に設けられていると説明したが、これに限らない。例えば、第1開閉体20aにおけるせり出し側の側面の戸尻側部分に設けられてもよく、又は第1開閉体20aにおけるせり出し側とは反対側の側面に設けられてもよい。
【0144】
(設定領域について)
上記実施の形態では、全開設定領域A2と全閉設定領域A1とはそれぞれ異なるように設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、同一(絶対座標的に同一)にそれぞれ設定されてもよく、一例として、図8の領域にそれぞれ設定されてもよい。
【0145】
また、上記実施の形態では、全閉設定領域A1について、全閉設定領域A1の左右方向の長さが、左側縦枠材11の左端部から右側縦枠材12の右端部に至る長さと略同一の長さとなると共に、全閉設定領域A1の前後方向の長さが、全開状態時の第1開閉体20a及び第2開閉体20bの前後方向の長さと略同一の長さとなるように、設定されていると説明したが、これに限らない。例えば、全閉設定領域A1の左右方向の長さが、左側縦枠材11の左端部から右側縦枠材12の右端部に至る長さよりも短い長さに設定されてもよい。また、全閉設定領域A1の前後方向の長さが、全開状態時の第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の前後方向の長さよりも長い長さに設定されてもよい。
【0146】
また、上記実施の形態では、全開設定領域A2について、開口部3よりも若干建物の屋外側に位置するように設定していると説明したが、これに限らない。例えば、開口部3よりも建物の屋外側の領域と、開口部3の領域又は開口部3よりも建物の屋内側の領域とを含むように設定してもよい。また、全開設定領域A2の前後方向の長さが、全開状態時の第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の前後方向の長さと略同一の長さに設定されていると説明したが、これに限らず、例えば、全開状態時の第1開閉体20a(又は第2開閉体20b)の前後方向の長さよりも長い長さに設定されてもよい。
【0147】
また、上記実施の形態では、設定領域には、全閉設定領域A1及び全開設定領域A2が含まれていると説明したが、これに限らず、例えば、これに加えて、半開状態時の障害物検知領域である半開設定領域A3が含まれてもよい。この場合において、半開設定領域A3の設定方法については任意であるが、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を阻害しないように設定することが望ましく、例えば、全閉設定領域A1(又は全開設定領域A2)よりも狭い領域に設定してもよい。一例として、図13に示すように、半開設定領域A3の長手方向の長さを全閉設定領域A1(又は全開設定領域A2)の左右方向の長さの半分以下に設定し、半開設定領域A3の短手方向の長さを全閉設定領域A1(又は全開設定領域A2)の前後方向の長さの半分以下に設定してもよい。また、半開状態処理において、切替部74bによって第1障害物検知部61の障害物検知領域が図13の半開設定領域A3に設定された後に、SD1からSD5の処理が実行されると共に、SD1において第1障害物検知部61及び第2障害物検知部62の検知結果に基づいて、障害物が検知されているか否かが判定されてもよい。
【0148】
また、上記実施の形態では、全閉設定領域A1(又は全開設定領域A2)において障害物が検知された場合には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が停止されると説明したが、これに限らない。例えば、全閉設定領域A1又は全開設定領域A2を複数に区分けして、各区分に応じて第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の制御を異ならせてもよい。一例として、全閉設定領域A1のうち上記第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の軌跡に対応する領域において障害物が検知された場合には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が停止される。一方、全閉設定領域A1のうち上記第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動の軌跡に対応しない領域において障害物が検知された場合には、第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動が継続されるものの、当該開閉移動の速度が通常速度よりも減速されてもよい。
【0149】
(開閉処理について)
上記実施の形態では、SD1及びSD2が行われると説明したが、SD1及びSD2を省略してもよい。
【0150】
また、上記実施の形態では、SB4、SC4、及びSD2において第1開閉体20a及び第2開閉体20bの開閉移動を停止させると説明したが、これに限らない。例えば、このような処理に加えて、図示しない出力手段(表示手段又は音声出力手段)によって、障害物が検知されている旨を示す情報を出力させてもよい。
【0151】
(付記)
付記1の開閉制御システムは、建物の開口部を開閉する開閉体の開閉移動を制御するための開閉制御システムであって、前記開閉体の開閉移動の障害になる障害物を検知する障害物検知手段であって、前記障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、前記開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、前記障害物検知手段の検知結果に基づいて、前記開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、前記開閉体の開閉状態に応じて、前記障害物検知領域を複数の前記設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備える。
【0152】
付記2の開閉制御システムは、付記1に記載の開閉制御システムにおいて、前記複数の設定領域は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態時の前記障害物検知領域である全閉設定領域と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態時の前記障害物検知領域である全開設定領域とを含み、前記全閉設定領域及び前記全開設定領域は、前記全開状態から前記全閉状態に至る前記開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域を少なくとも含む。
【0153】
付記3の開閉制御システムは、付記2に記載の開閉制御システムにおいて、前記全閉設定領域は、前記全閉状態時の前記開閉体に対応する領域を含まない領域であり、前記全開設定領域は、前記全開状態時の前記開閉体に対応する領域を含まない領域である。
【0154】
付記4の開閉制御システムは、付記2又は3に記載の開閉制御システムにおいて、前記障害物検知手段を、前記開閉体に設け、前記全閉設定領域を、前記全閉状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定し、前記全開設定領域を、前記全開状態時における前記障害物検知手段の位置を起点として設定した。
【0155】
付記5の開閉制御システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉体は、折り戸用の開閉体であり、前記障害物検知手段を、前記開閉体におけるせり出し側の側面の戸先側部分に設けた。
【0156】
付記6の開閉制御システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の開閉制御システムにおいて、前記開閉制御手段は、前記開閉体によって前記開口部を全閉した全閉状態と、前記開閉体によって前記開口部を全開した全開状態とも異なる半開状態において、前記障害物検知手段の検知結果に関わらず、前記開閉体を開閉移動させる。
【0157】
(付記の効果)
付記1に記載の開閉制御システムによれば、障害物検知手段における略平面状の障害物検知領域を、開閉体の開閉状態に応じた設定領域に複数設定することが可能な障害物検知手段と、障害物検知手段の検知結果に基づいて、開閉体を開閉移動させる開閉制御手段と、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替える切替手段と、を備えるので、開閉体の開閉状態に応じて、障害物検知手段の障害物検知領域を複数の設定領域のいずれかに切り替えることができ、開閉体の開閉状態に応じた障害物の検知を行うことができる。よって、開閉体の開閉移動を阻害することなく、開閉体の開閉状態に応じて障害物を正確に検知することができ、開閉制御システムの使用性を高めることができる。
【0158】
付記2に記載の開閉制御システムによれば、全閉設定領域及び全開設定領域が、全開状態から全閉状態に至る開閉体の開閉移動の軌跡に略対応する領域を少なくとも含むので、全閉状態又は全開状態において開閉体と衝突する可能性がある障害物を検知しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を高めることができる。
【0159】
付記3に記載の開閉制御システムによれば、全閉設定領域が、全閉状態時の開閉体に対応する領域を含まない領域であり、全開設定領域が、全開状態時の開閉体に対応する領域を含まない領域であるので、全閉状態及び全開状態において開閉体が障害物として検知されることを回避でき、開閉体の開閉移動が阻害されることを防止できる。
【0160】
付記4に記載の開閉制御システムによれば、障害物検知手段を、開閉体に設け、全閉設定領域を、全閉状態時における障害物検知手段の位置を起点として設定し、全開設定領域を、全開状態時における障害物検知手段の位置を起点として設定したので、全閉状態及び全開状態に応じた障害物検知手段の障害物検知領域を設定しやすくなるため、全閉状態及び全開状態において障害物の検知精度を一層高めやすくなる。
【0161】
付記5に記載の開閉制御システムによれば、開閉体が、折り戸用の開閉体であり、障害物検知手段を、開閉体におけるせり出し側の側面の戸先側部分に設けたので、例えば、障害物検知手段を開口部の近傍に位置する特殊な支持手段(例えば、ポール等)に別途設ける必要がないことから、障害物検知手段の設置性を確保できる。また、開閉体におけるせり出し側の側面の戸尻側部分に設ける場合に比べて、全開状態において障害物が検知しにくくなることを回避でき、障害物の検知精度を確保できる。
【0162】
付記6に記載の開閉制御システムによれば、開閉制御手段が、半開状態において、障害物検知手段の検知結果に関わらず、開閉体を開閉移動させるので、半開状態において障害物検知手段の検知結果に関わらず、開閉体を開閉移動させることができる。よって、半開状態において障害物検知手段によって開閉体が障害物として検知されることを回避でき、開閉体の開閉移動が阻害されることを防止できる。
【符号の説明】
【0163】
1 開閉装置
2 躯体
3 開口部
4 床
10 枠体
11 左側縦枠材
12 右側縦枠材
13 上枠材
14 ガイドレール
20a 第1開閉体
20b 第2開閉体
30a 戸尻側開閉体本体
30b 戸先側開閉体本体
31 開閉体フレーム
31a 戸尻側縦力骨
31b 戸先側縦力骨
31d 下側横力骨
32 屋外側表面材
33 窓部
34 取手部
35 窓枠材
41 中間ヒンジ部
42 被ガイド部
43 戸尻側カバー部
44 上側カバー部
45 下側カバー部
46 戸先側戸当たり部
47 中間戸当たり部
51a 第1戸尻側ヒンジ部
51b 第2戸尻側ヒンジ部
51c 軸部
52a 第1開閉駆動部
52b 第2開閉駆動部
52c 駆動部本体
52d 伝達部
53a 第1施錠部
53b 第2施錠部
53c 受け部
60 開閉制御システム
61 第1障害物検知部
62 第2障害物検知部
63 全閉検知部
64 全開検知部
65 第1減速検知部
66 第2減速検知部
67 操作部
70 制御ユニット
71 入力部
72 出力部
73 電源部
74 制御部
74a 開閉制御部
74b 切替部
75 記憶部
A1 全閉設定領域
A2 全開設定領域
A3 半開設定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13