(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】眼科装置、及び眼科システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/13 20060101AFI20231201BHJP
A61F 9/007 20060101ALI20231201BHJP
A61F 9/008 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61B3/13
A61F9/007 200C
A61F9/008 130
(21)【出願番号】P 2020024897
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100124626
【氏名又は名称】榎並 智和
(72)【発明者】
【氏名】大森 和宏
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-018290(JP,A)
【文献】特開2011-177273(JP,A)
【文献】特開2018-157969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0033575(US,A1)
【文献】特開2009-110004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
A61F 9/00-11/30
G02B 21/00-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズと、
第1光源と、第1コンデンサーレンズとを含み、前記対物レンズの光軸と略同軸に配置され前記対物レンズを介して被検眼に第1照明光を照射可能な第1照明光学系と、
前記対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、前記対物レンズを介して前記被検眼に前記第1照明光と異なる色温度の第2照明光を照射可能な第2照明光学系と、
前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能な左眼用観察光学系と、
前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能な右眼用観察光学系と、
前記第1照明光学系の光軸の傾きを変更する第1移動機構と、
前記第2照明光学系を前記対物レンズの光軸に交差する方向に移動する第2移動機構と、
を含む眼科装置。
【請求項2】
対物レンズと、
第1光源と、第1コンデンサーレンズとを含み、前記対物レンズの光軸と略同軸に配置され前記対物レンズを介して被検眼に第1照明光を照射可能な第1照明光学系と、
前記対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、前記対物レンズを介して前記被検眼に前記第1照明光と異なる色温度の第2照明光を照射可能な第2照明光学系と、
前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能な左眼用観察光学系と、
前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能な右眼用観察光学系と、
前記第1照明光学系の光軸の傾きを変更する第1移動機構と、
を含み、
前記第1照明光の色温度は、前記第2照明光の色温度より低い、眼科装置。
【請求項3】
前記第1移動機構は、前記第1光源及び前記第1コンデンサーレンズを一体的に傾ける
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記第1移動機構は、前記第1光源に対する前記第1コンデンサーレンズの前記光軸に交差する方向の相対位置を変更する
ことを特徴とする請求項1
~請求項3のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記第1移動機構は、前記第1コンデンサーレンズに対して前記第1光源を移動する
ことを特徴とする請求項
4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記第1移動機構は、前記第1光源に対して前記第1コンデンサーレンズを移動する
ことを特徴とする請求項
4に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記左眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果と前記右眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果とに基づいて前記被検眼の画像を表示手段に表示させる表示制御部を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記左眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果に基づいて生成された左眼用画像と、前記右眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果に基づいて生成された右眼用画像とを前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項
7に記載の眼科装置。
【請求項9】
請求項
7又は請求項
8に記載の眼科装置と、
前記表示手段と、
を含む眼科システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼科装置、及び眼科システムに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科装置には、被検眼の画像を得るための眼科撮影装置や、被検眼の特性を測定するための眼科測定装置などが含まれる。
【0003】
眼科撮影装置の例として、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いる光干渉断層計、眼底カメラ、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)、スリットランプなどがある。眼科測定装置の例として、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ)、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザなどがある。また、眼科装置には、手術顕微鏡、レーザ光凝固装置なども含まれる。
【0004】
このような眼科装置において、左眼用の観察光学系と右眼用の観察光学系とを備え、被検眼を双眼で観察可能なものがある。例えば、手術用顕微鏡は、照明光で被手術眼を照明し、観察光学系により照明光の戻り光により結像される像を観察するための装置である。観察光学系において変倍レンズ系を用いることで、被手術眼の拡大像の観察が可能になる。このような手術用顕微鏡は、白内障手術、網膜・硝子体手術等の眼科手術に用いられる。
【0005】
双眼で被手術眼を観察可能な手術用顕微鏡に関する技術については、例えば、特許文献1~特許文献4に開示されている。この種の手術用顕微鏡は、左右の観察光学系を備え、術者等が左右の接眼レンズをのぞき込むことで被手術眼を観察するように構成されている。それにより、術者等は被手術眼を立体的に認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-27536号公報
【文献】特開2004-139002号公報
【文献】特開2018-198928号公報
【文献】特開2019-41833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被手術眼を双眼で観察する場合、認識される立体感の度合いが観察者によって異なる。従って、手術用顕微鏡において、観察者により認識される立体感の度合いを変更するための機構を設けることが望ましい。
【0008】
また、手術用顕微鏡だけではなく眼科装置全般についても、観察者により認識される立体感の度合いを変更するための機構を設けることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、観察者に応じて適切に被検眼を立体的に認識させるための新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態の第1態様は、対物レンズと、第1光源と、第1コンデンサーレンズとを含み、前記対物レンズの光軸と略同軸に配置され前記対物レンズを介して被検眼に第1照明光を照射可能な第1照明光学系と、前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能な左眼用観察光学系と、前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能な右眼用観察光学系と、前記第1照明光学系の光軸の傾きを変更する第1移動機構と、を含む眼科装置である。
【0011】
いくつかの実施形態の第2態様では、第1態様において、前記第1移動機構は、前記第1光源及び前記第1コンデンサーレンズを一体的に傾ける。
【0012】
いくつかの実施形態の第3態様では、第1態様又は第2態様において、前記第1移動機構は、前記第1光源に対する前記第1コンデンサーレンズの前記光軸に交差する方向の相対位置を変更する。
【0013】
いくつかの実施形態の第4態様では、第3態様において、前記第1移動機構は、前記第1コンデンサーレンズに対して前記第1光源を移動する。
【0014】
いくつかの実施形態の第5態様では、第3態様において、前記第1移動機構は、前記第1光源に対して前記第1コンデンサーレンズを移動する。
【0015】
いくつかの実施形態の第6態様は、第1態様~第5態様のいずれかにおいて、透過方向の前記左眼用観察光学系の光路及び前記右眼用観察光学系の光路に対して反射方向の前記第1照明光学系の光路を略同軸に結合するビームスプリッタを含み、前記第1移動機構は、前記ビームスプリッタの反射面の傾きを変更する。
【0016】
いくつかの実施形態の第7態様は、第6態様において、前記対物レンズと前記ビームスプリッタとの間の光路に対して挿脱可能なステレオバリエータを含む。
【0017】
いくつかの実施形態の第8態様は、第1態様~第7態様のいずれかにおいて、前記対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、前記対物レンズを介して前記被検眼に前記第1照明光と異なる色温度の第2照明光を照射可能な第2照明光学系を含む。
【0018】
いくつかの実施形態の第9態様は、第8態様において、前記第2照明光学系を前記対物レンズの光軸に交差する方向に移動する第2移動機構を含む。
【0019】
いくつかの実施形態の第10態様は、対物レンズと、前記対物レンズの光軸と略同軸に配置され前記対物レンズを介して被検眼に第1照明光を照射可能な第1照明光学系と、前記対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、前記対物レンズを介して被検眼に第2照明光を照射可能な第2照明光学系と、前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光又は前記第2照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ又は左眼用撮像素子に導くことが可能な左眼用観察光学系と、前記被検眼から前記対物レンズを介して入射した前記第1照明光又は前記第2照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ又は右眼用撮像素子に導くことが可能な右眼用観察光学系と、前記第2照明光学系を前記対物レンズの光軸に交差する方向に移動する第2移動機構と、を含む眼科装置である。
【0020】
いくつかの実施形態の第11態様では、第8態様~第10態様のいずれかにおいて、前記第1照明光の色温度は、前記第2照明光の色温度より低い。
【0021】
いくつかの実施形態の第12態様は、第1態様~第11態様のいずれかにおいて、前記左眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果と前記右眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果とに基づいて前記被検眼の画像を表示手段に表示させる表示制御部を含む。
【0022】
いくつかの実施形態の第13態様では、第12態様において、前記表示制御部は、前記左眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果に基づいて生成された左眼用画像と、前記右眼用撮像素子により得られた前記戻り光の受光結果に基づいて生成された右眼用画像とを前記表示手段に表示させる。
【0023】
いくつかの実施形態の第14態様は、第12態様又は第13態様の眼科装置と、前記表示手段と、を含む眼科システムである。
【0024】
なお、上記した複数の態様に係る構成を任意に組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るいくつかの実施形態によれば、観察者に応じて適切に被検眼を立体的に認識させるための新たな技術を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態に係る眼科システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の光学系の構成の一例を示す概略図である。
【
図3】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図4A】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図4B】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図5A】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図5B】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図6】第1実施形態に係る手術用顕微鏡の制御系の構成の一例を示す概略図である。
【
図7】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の光学系の構成の一例を示す概略図である。
【
図8A】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図8B】第2実施形態に係る手術用顕微鏡の動作を説明するための概略図である。
【
図9】第3実施形態に係る手術用顕微鏡の光学系の構成の一例を示す概略図である。
【
図10】第3実施形態に係る手術用顕微鏡の制御系の構成の一例を示す概略図である。
【
図11】第4実施形態に係る手術用顕微鏡の光学系の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明に係る眼科装置、及び眼科システムの実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
【0028】
以下、被検眼を双眼で観察するための眼科装置として、被検眼としての被手術眼を双眼で観察可能な手術用顕微鏡を例に説明する。しかしながら、以下の実施形態は、手術用顕微鏡だけではなく、被検眼を双眼で観察可能な任意の眼科装置に適用可能である。
【0029】
実施形態に係る眼科システムは、眼科分野における手術(又は診療)において手術用顕微鏡を用いて被検眼の拡大像を観察(撮影)するために使用される。観察対象部位は、被手術眼の前眼部又は後眼部における任意の部位であってよい。前眼部における観察対象部位として、例えば、角膜、隅角、硝子体、水晶体、毛様体などがある。後眼部における観察対象部位として、例えば、網膜(眼底)、脈絡膜、硝子体などがある。観察対象部位は、瞼や眼窩など眼の周辺部位であってもよい。
【0030】
実施形態に係る手術用顕微鏡は、例えば、被手術眼と対物レンズとの間にレンズを挿入又は退避させることで、被手術眼の眼底及び前眼部を観察可能に構成することが可能である。
【0031】
手術用顕微鏡は、被手術眼を拡大観察するための顕微鏡としての機能に加え、他の眼科装置としての機能を有してよい。例えば、他の眼科装置としての機能として、OCT機能、レーザ治療、眼軸長測定、屈折力測定、高次収差測定などの機能がある。他の眼科装置は、被手術眼の検査や測定や画像化を光学的手法で行うことが可能な任意の構成を備えるものであってよい。
【0032】
<第1実施形態>
図1に、実施形態に係る眼科システムの構成例を示す。
【0033】
実施形態に係る眼科システム1は、操作装置2と、表示装置3と、手術用顕微鏡10とを含む。いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、操作装置2及び表示装置3の少なくとも1つを含む。
【0034】
(操作装置2)
操作装置2は、操作デバイス又は入力デバイスを含む。操作装置2には、ボタンやスイッチ(たとえば操作ハンドル、操作ノブ等)や、操作デバイス(マウス、キーボード等)が含まれる。また、操作装置2は、トラックボール、操作パネル、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでいてよい。
【0035】
(表示装置3)
表示装置3は、手術用顕微鏡10により取得された被手術眼の画像を表示させる。表示装置3は、LCD(Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイなどの表示デバイスを含んで構成される。また、表示装置3は、タッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
【0036】
なお、操作装置2と表示装置3は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、操作機能と表示機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作装置2は、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作装置2に対する操作内容は、電気信号として制御部(不図示)に入力される。また、表示装置3に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作装置2とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、操作装置2及び表示装置3の機能は、タッチスクリーンにより実現される。
【0037】
(手術用顕微鏡10)
手術用顕微鏡10は、仰臥位の患者の被手術眼の拡大像を観察するために用いられる。いくつかの実施形態では、被手術眼の撮影画像を表示装置3に表示させることにより拡大像の観察が可能になる。いくつかの実施形態では、被手術眼からの戻り光を接眼レンズ(不図示)に導くことにより拡大像の観察が可能になる。
【0038】
いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、操作装置2と電気信号を送受信するための通信部を含む。手術用顕微鏡10は、有線又は無線の信号路を経由して操作装置2から入力された電気信号に対応した操作内容に従って制御される。
【0039】
いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡10は、表示装置3と電気信号を送受信するための通信部を含む。手術用顕微鏡10は、有線又は無線の信号路を経由して表示装置3に出力した電気信号に対応した表示制御内容に従って、表示装置3の画面に画像を表示させる。
【0040】
[光学系の構成]
以下では、説明の便宜上、対物レンズの光軸方向をz方向(手術時には垂直方向、鉛直方向)とし、z方向に直交する水平方向(手術時には水平方向)をx方向とし、z方向及びx方向の双方に直交する水平方向をy方向とする。
【0041】
また、以下では、主として、観察光学系が双眼で観察するための光学系を有している場合について説明する。しかしながら、実施形態に係る構成は、観察光学系が単眼で観察するための光学系を有している場合にも適用することが可能である。
【0042】
図2に、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の光学系の構成例を示す。
図2は、光学系を上から見た模式的な上面図と光学系を側方から見た模式的な側面図とを対応付けて図示したものである。図示を簡略化するため、対物レンズ20の上方に配置される照明光学系30の図示が省略されている。
【0043】
手術用顕微鏡10は、対物レンズ20と、ダイクロイックミラーDM1と、照明光学系30と、観察光学系40とを含む。観察光学系40は、ズームエキスパンダ50と、撮像カメラ60とを含む。いくつかの実施形態では、照明光学系30又は観察光学系40は、ダイクロイックミラーDM1を含む。
【0044】
(対物レンズ20)
対物レンズ20は、被手術眼に対向するように配置される。対物レンズ20の光軸は、z方向にのびるものとする。いくつかの実施形態では、対物レンズ20は、被手術眼に対向するように配置されたレンズを含む2以上のレンズを含む。
【0045】
(ダイクロイックミラーDM1)
ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを結合する。ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30と対物レンズ20との間に配置される。ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30からの照明光を透過して対物レンズ20に導くと共に、対物レンズ20からの照明光の戻り光を反射して観察光学系40の撮像カメラ60に導く。
【0046】
ダイクロイックミラーDM1は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを同軸に結合する。ダイクロイックミラーDM1は、左眼用照明光学系(第1照明光学系31L)の光路と左眼用観察光学系40Lの光路とを同軸に結合し、且つ、右眼用照明光学系(第1照明光学系31R)の光路と右眼用観察光学系40Rの光路とを同軸に結合する。
【0047】
(照明光学系30)
照明光学系30は、対物レンズ20を介して被手術眼を照明するための光学系である。照明光学系30は、色温度が異なる2以上の照明光のいずれかで被手術眼を照明することが可能である。照明光学系30は、後述の制御部からの指示を受けて、指定された色温度を有する照明光で被手術眼を照明する。
【0048】
実施形態に係る照明光学系30は、第1照明光学系31L、31Rと、第2照明光学系32とを含む。
【0049】
第1照明光学系31L、31Rの光軸OL、ORのそれぞれは、対物レンズ20の光軸と略同軸になるように配置される。これにより、いわゆる「0度照明」で眼底を照明し、眼底上で拡散反射されることで発生する徹照像を取得することが可能である。この場合、被手術眼の徹照像を双眼で観察することが可能になる。
【0050】
第2照明光学系32の光軸OSは、対物レンズ20の光軸に対して偏心するように配置される。対物レンズ20の光軸に対する光軸OSの変位が対物レンズ20の光軸に対する光軸OL、ORの変位より大きくなるように、第1照明光学系31L、31R、及び第2照明光学系32が配置される。これにより、いわゆる「角度付き照明(斜め照明)」で眼底又は前眼部を照明し、角膜等からの反射に基づくゴーストの影響を回避しつつ被手術眼(徹照像)を双眼で観察することが可能になる。また、被手術眼の所定部位の凹凸を詳細に観察することも可能になる。
【0051】
第1照明光学系31Lは、光源31LAと、コンデンサーレンズ31LBとを含む。光源31LAは、例えば、3000K(ケルビン)の色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源31LAから出力された照明光は、コンデンサーレンズ31LBを通過し、ダイクロイックミラーDM1を透過し、対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
【0052】
第1照明光学系31Rは、光源31RAと、コンデンサーレンズ31RBとを含む。光源31RAもまた、例えば、3000Kの色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源31RAから出力された照明光は、コンデンサーレンズ31RBを通過し、ダイクロイックミラーDM1を透過し、対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
【0053】
第2照明光学系32は、光源32Aと、コンデンサーレンズ32Bとを含む。光源32Aは、例えば、4000K~6000Kの色温度を有する可視領域の波長を有する照明光を出力する。光源32Aから出力された照明光は、コンデンサーレンズ32Bを通過し、ダイクロイックミラーDM1を経由することなく対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
【0054】
すなわち、第1照明光学系31L、31Rからの照明光の色温度は、第2照明光学系32からの照明光の色温度より低い。それにより、第1照明光学系31L、31Rを用いて暖色系の色で被手術眼を観察することが可能になり、被手術眼の形態を詳細に把握することができるようになる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれは、対物レンズ20の光軸に対して、対物レンズ20の光軸に交差する方向(x方向及びy方向の少なくとも一方)に移動可能である。いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれは独立に移動可能である。いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれは一体的に移動可能である。例えば、手術用顕微鏡10は、第1照明光学系31L、31Rを独立に又は一体的に移動する移動機構(31d)を備え、移動機構により第1照明光学系31L、31Rを独立に又は一体的に対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動する。それにより、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構が光軸OL、ORが移動される。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれの向き(光軸の傾き)は、変更可能である。いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれの向きは独立に変更可能である。いくつかの実施形態では、第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれの向きは一体的に変更可能である。
【0057】
図3に、第1実施形態に係る第1照明光学系31Rを側面から見た模式図を示す。
図3では、第1照明光学系31Rが図示されているが、第1照明光学系31Lも同様である。
図3において、
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0058】
手術用顕微鏡10は、第1照明光学系31L、31Rの光軸を独立に又は一体的に傾ける移動機構(不図示、移動機構31d)を備える。第1照明光学系31Lの光軸を傾ける(光軸の向きを変更する)場合、移動機構は、光源31LAと、コンデンサーレンズ31LBとを一体的に傾ける。同様に、第1照明光学系31Rの光軸を傾ける場合、移動機構は、光源31RAと、コンデンサーレンズ31RBとを一体的に傾ける。それにより、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構(31d)が第1照明光学系31Lの光軸、及び第1照明光学系31Rの光軸のそれぞれを傾ける。
【0059】
いくつかの実施形態では、光軸OSは、対物レンズ20の光軸に対して、対物レンズ20の光軸に交差する方向(x方向及びy方向の少なくとも一方)に移動可能である。
【0060】
第1例では、手術用顕微鏡10は、第2照明光学系32を移動する移動機構(不図示、移動機構32d)を備える。移動機構は、第2照明光学系32を対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動する。すなわち、移動機構は、光源32Aと、コンデンサーレンズ32Bとを一体的に対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動する。それにより、被手術眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、術者等の好みに合わせた立体感で被手術眼を観察することができる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構(32d)が第2照明光学系32を移動する。
【0061】
第2例では、手術用顕微鏡10は、第2照明光学系32を構成する光学素子(光源32A又はコンデンサーレンズ32B)を移動する移動機構(不図示、移動機構32d)を備える。移動機構は、光源32Aに対するコンデンサーレンズ32Bの相対位置(第2照明光学系32の光軸に交差する方向の相対位置)を変更する。
【0062】
図4A及び
図4Bに、第1実施形態に係る第2照明光学系32を側面から見た模式図を示す。
図4A及び
図4Bにおいて、
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0063】
移動機構(32d)は、第2照明光学系32の光軸に直交する方向に光源32Aを移動することにより、コンデンサーレンズ32Bに対する光源32Aの相対位置を変更する。
【0064】
例えば、
図4A又は
図4Bに示すように、移動機構は、基準状態(光軸OSのシフト前の状態)からコンデンサーレンズ32Bに対して光源32Aを矢印の方向に移動する。それにより、光軸OSの位置が変更される。すなわち、光源32Aからの照明光の照射位置は、コンデンサーレンズ32Bのレンズ面及び対物レンズ20のレンズ面において変更され、被手術眼における照明光の照射角度を変更することが可能になる。
【0065】
図5A及び
図5Bに、第1実施形態に係る第2照明光学系32を側面から見た模式図を示す。
図5A及び
図5Bにおいて、
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
移動機構(32d)は、第2照明光学系32の光軸に直交する方向にコンデンサーレンズ32Bを移動することにより、光源32Aに対するコンデンサーレンズ32Bの相対位置を変更する。
【0067】
例えば、
図5A又は
図5Bに示すように、移動機構は、基準状態から光源32Aに対してコンデンサーレンズ32Bを矢印の方向に移動する。それにより、光軸OSの位置が変更される。すなわち、光源32Aからの照明光の照射位置は、コンデンサーレンズ32Bのレンズ面及び対物レンズ20のレンズ面において変更され、被手術眼における照明光の照射角度を変更することが可能になる。
【0068】
いくつかの実施形態では、後述の制御部は、移動機構(32d)を制御することにより光源32A及びコンデンサーレンズ32Bを
図4A、
図4B、
図5A又は
図5Bに示す基準状態に設定することが可能である。
【0069】
以上のように、対物レンズ20の直上においてダイクロイックミラーDM1の透過方向に照明光学系30が配置され、且つ、ダイクロイックミラーDM1の反射方向に観察光学系40が配置される。例えば、観察光学系40の光軸と対物レンズ20の光軸に直交する平面(xy平面)とのなす角が±20度以下になるように、観察光学系40を配置することが可能である。
【0070】
それにより、一般的に照明光学系30より光路長が長い観察光学系40がxy平面と略平行な方向に光路長が長くなるように配置される。従って、術者の正面に観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面(或いは、正面の状況)を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
【0071】
更に、第1照明光学系31L、31Rの光軸の向きを変更可能に構成したので、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。
【0072】
また、第2照明光学系32を対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動可能に構成したので、被手術眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、術者等の好みに合わせた立体感で被手術眼を観察することができる。
【0073】
(観察光学系40)
観察光学系40は、対物レンズ20を介して被手術眼から入射した照明光の戻り光により結像される像を観察するための光学系である。この実施形態では、観察光学系40は、撮像カメラ60の撮像素子の撮像面に戻り光を結像させる。
【0074】
図2に示すように、観察光学系40は、左眼用観察光学系40Lと、右眼用観察光学系40Rとを含む。左眼用観察光学系40Lの構成は、右眼用観察光学系40Rの構成と同様である。いくつかの実施形態では、左眼用観察光学系40L及び右眼用観察光学系40Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
【0075】
ズームエキスパンダ50は、左眼用ズームエキスパンダ50Lと、右眼用ズームエキスパンダ50Rとを含む。左眼用ズームエキスパンダ50Lの構成は、右眼用ズームエキスパンダ50Rの構成と同様である。いくつかの実施形態では、左眼用ズームエキスパンダ50L及び右眼用ズームエキスパンダ50Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
【0076】
左眼用ズームエキスパンダ50Lは、複数のズームレンズ51L、52L、53Lを含む。複数のズームレンズ51L、52L、53Lのそれぞれは、変倍機構(不図示)により光軸方向に移動可能である。
【0077】
右眼用ズームエキスパンダ50Rは、複数のズームレンズ51R、52R、53Rを含む。複数のズームレンズ51R、52R、53Rのそれぞれは、変倍機構により光軸方向に移動可能である。
【0078】
変倍機構は、左眼用ズームエキスパンダ50Lの各ズームレンズ及び右眼用ズームエキスパンダ50Rの各ズームレンズを独立に又は一体的に光軸方向に移動する。それにより、被手術眼を撮影する際の拡大倍率が変更される。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、変倍機構が制御される。
【0079】
(撮像カメラ60)
撮像カメラ60は、観察光学系40を導かれてきた照明光の戻り光により結像される像を撮影するための光学系である。
【0080】
撮像カメラ60は、左眼用撮像カメラ60Lと、右眼用撮像カメラ60Rとを含む。左眼用撮像カメラ60Lの構成は、右眼用撮像カメラ60Rの構成と同様である。いくつかの実施形態では、左眼用撮像カメラ60L及び右眼用撮像カメラ60Rは、左右で独立に光学配置を変更することが可能に構成される。
【0081】
左眼用撮像カメラ60Lは、結像レンズ61Lと、撮像素子62Lとを含む。結像レンズ61Lは、左眼用ズームエキスパンダ50Lを通過した戻り光を撮像素子62Lの撮像面に結像させる。撮像素子62Lは、2次元のエリアセンサである。撮像素子62Lは、後述の制御部から制御を受け、受光結果に対応した電気信号(検出信号)を出力する。
【0082】
右眼用撮像カメラ60Rは、結像レンズ61Rと、撮像素子62Rとを含む。結像レンズ61Rは、右眼用ズームエキスパンダ50Rを通過した戻り光を撮像素子62Rの撮像面に結像させる。撮像素子62Rは、2次元のエリアセンサである。撮像素子62Rは、後述の制御部から制御を受け、受光結果に対応した電気信号を出力する。
【0083】
[制御系の構成]
図6に、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の制御系の構成例を示す。
図6において、
図1又は
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0084】
図6に示すように、手術用顕微鏡10の制御系は、制御部200を中心に構成される。すなわち、制御部200は、手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
【0085】
(制御部200)
制御部200は、各種の制御を実行する。制御部200は、主制御部201と記憶部202とを含む。
【0086】
(主制御部201)
主制御部201は、プロセッサを含み、手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部を制御する。
【0087】
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路(記憶部202)や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
【0088】
例えば、主制御部201は、照明光学系30の光源31LA、31RA、32A、観察光学系40の撮像素子62L、62R、移動機構31d、32d、変倍機構50Ld、50Rd、操作装置2、表示装置3などを制御する。
【0089】
光源31LAの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。光源31RAの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。主制御部201は、光源31LA、31RAに対する排他制御を行う。光源32Aの制御には、光源の点灯、消灯、光量調整、絞りの調整などがある。
【0090】
照明光学系30が色温度を変更可能な光源を含む場合、主制御部201は、光源を制御することにより所望の色温度を有する照明光を出力させることが可能である。
【0091】
撮像素子62Lの制御には、露光調整、ゲイン調整、撮影レート調整などがある。撮像素子62Rの制御には、露光調整、ゲイン調整、撮影レート調整などがある。また、主制御部201は、撮像素子62L、62Rの撮影タイミングが一致するように、又は両者の撮影タイミングの差が所定時間以内になるように、撮像素子62L、62Rを制御することが可能である。更に、主制御部201は、撮像素子62L、62Rにおける受光結果の読み出し制御を行うことが可能である。
【0092】
移動機構31dは、第1照明光学系31L、31Rの光軸の向きを独立に又は一体的に変更する。第1照明光学系31Lの光軸の向きを変更する場合、移動機構31dは、光源31LAと、コンデンサーレンズ31LBとを一体的に傾ける。同様に、第1照明光学系31Rの光軸の向きを変更する場合、移動機構31dは、光源31RAと、コンデンサーレンズ31RBとを一体的に傾ける。主制御部201は、移動機構31dを制御することにより、第1照明光学系31L、31Rの光軸の向きを独立に又は一体的に変更することが可能である。
【0093】
移動機構32dは、対物レンズ20の光軸に略直交(交差)する方向に光源32Aを独立に又は一体的に移動する。主制御部201は、移動機構32dを制御することにより、対物レンズ20の光軸に対して、光軸OSを移動することが可能である。
【0094】
また、移動機構32dは、光源32Aに対するコンデンサーレンズ32Bの相対位置(第2照明光学系32の光軸に交差する方向の相対位置)を変更する。いくつかの実施形態では、移動機構32dは、第2照明光学系32の光軸に略直交する方向に光源32Aを移動することにより、コンデンサーレンズ32Bに対する光源32Aの相対位置を変更する。いくつかの実施形態では、移動機構32dは、第2照明光学系32の光軸に略直交する方向にコンデンサーレンズ32Bを移動することにより、光源32Aに対するコンデンサーレンズ32Bの相対位置を変更する。主制御部201は、移動機構32dを制御することにより、光源32Aとコンデンサーレンズ32Bとの相対位置を変更することが可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、移動機構31d、32dは連動するように構成される。この場合、主制御部201は、移動機構31d、32dの一方を制御することにより他方を移動させることが可能である。
【0096】
いくつかの実施形態では、主制御部201は、移動機構32dを制御することにより光源32A及びコンデンサーレンズ32Bを
図4A、
図4B、
図5A又は
図5Bに示す基準状態に設定することが可能である。主制御部201は、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構32dを制御することにより光源32A及びコンデンサーレンズ32Bを
図4A、
図4B、
図5A又は
図5Bに示す基準状態に設定することが可能である。これにより、常に基準状態から光源32A又はコンデンサーレンズ32Bを移動することができ、立体感の調整のずれをなくすことができるようになる。
【0097】
変倍機構50Ldは、左眼用ズームエキスパンダ50Lの複数のズームレンズ51L~53Lの少なくとも1つを光軸方向に移動する。主制御部201は、変倍機構50Ldを制御することにより、左眼用ズームエキスパンダ50Lの複数のズームレンズ51L~53Lの少なくとも1つを左眼用観察光学系40Lの光軸方向に移動することが可能である。
【0098】
変倍機構50Rdは、右眼用ズームエキスパンダ50Rの複数のズームレンズ51R~53Rの少なくとも1つを光軸方向に移動する。主制御部201は、変倍機構50Rdを制御することにより、右眼用ズームエキスパンダ50Rの複数のズームレンズ51R~53Rの少なくとも1つを右眼用観察光学系40Rの光軸方向に移動することが可能である。
【0099】
操作装置2に対する制御には、操作許可制御、操作禁止制御、操作装置2に対する操作内容の受信制御などがある。主制御部201は、操作装置2から受信した操作内容に対応した電気信号を受信することにより、操作装置2に対する操作内容に従って手術用顕微鏡10(又は眼科システム1)の各部を制御することが可能である。
【0100】
表示装置3に対する制御には、各種の情報の表示制御などがある。主制御部201は、表示制御部として、撮像素子62L、62Rの受光結果を読み出して被手術眼の画像を形成し、形成された被手術眼の画像を表示装置3の画面に表示させることが可能である。
【0101】
また、主制御部201は、表示制御部として、撮像素子62L、62Rの受光結果を読み出して被手術眼の左眼用画像と右眼用画像とを形成し、形成された被手術眼の左眼用画像及び右眼用画像を表示装置3の画面に立体視可能な態様で表示させることが可能である。例えば、被手術眼の左眼用画像及び右眼用画像から術者等の観察者の右眼用と左眼用の2つの視差画像を形成し、形成された2つの視差画像を観察者の左眼及び右眼のそれぞれに提示させる。
【0102】
術者は、公知の手法で、裸眼で被手術眼の画像を観察したり、偏光眼鏡を通して被手術眼の画像を観察したりすることで、被手術眼を立体的に視認することが可能である。
【0103】
移動機構31dは、実施形態に係る「第1移動機構」の一例である。光源31LA又は光源31RAは、実施形態に係る「第1光源」の一例である。コンデンサーレンズ31LB又はコンデンサーレンズ31RBは、実施形態に係る「第1コンデンサーレンズ」の一例である。移動機構32dは、実施形態に係る「第2移動機構」の一例である。光源32Aは、実施形態に係る「第2光源」の一例である。コンデンサーレンズ32Bは、実施形態に係る「第2コンデンサーレンズ」の一例である。制御部200又は主制御部201は、実施形態に係る「表示制御部」の一例である。表示装置3は、実施形態に係る「表示手段」の一例である。
【0104】
以上説明したように、第1実施形態によれば、対物レンズ20の上方に位置するダイクロイックミラーDM1の透過方向に照明光学系30が配置され、ダイクロイックミラーDM1の反射方向に観察光学系40が配置される。一般的に照明光学系30の光路長より観察光学系40の光路長が長いため、術者の正面に観察光学系40が配置されることなく、被手術眼の上方の空間の空きスペースを増やすことができる。それにより、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
【0105】
更に、第1照明光学系31L、31Rの光軸の向きを変更可能に構成したので、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。
【0106】
また、第2照明光学系32を対物レンズ20の光軸に交差する方向に移動可能に構成したので、被手術眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、術者等の好みに合わせたコントラストで被手術眼を観察することができる。
【0107】
<第2実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、第1実施形態に係る構成に限定されるものではない。第2実施形態では、対物レンズ20の上方に反射ミラーが配置され、反射ミラーにより偏向された光路において、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合及び分離が行われる。以下、第2実施形態に係る構成について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0108】
図7に、第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの光学系の構成例を示す。
図7において、
図2と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0109】
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aを適用することが可能である。
【0110】
第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの構成が第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の構成と異なる点は、ダイクロイックミラーDM1に代えて反射ミラーRM1が設けられている点と、反射ミラーRM1により偏向された光路にダイクロイックミラーDM2が配置されている点である。ダイクロイックミラーDM2は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合及び分離を行う。
【0111】
反射ミラーRM1は、第1照明光学系31L、31Rからの照明光を対物レンズ20に向けて反射すると共に、被手術眼からの照明光の戻り光を観察光学系40に向けて反射する。反射ミラーRM1により偏向された光路には、ダイクロイックミラーDM2が配置されている。ダイクロイックミラーDM2は、反射ミラーRM1と観察光学系40のズームエキスパンダ50との間に配置されている。
【0112】
ダイクロイックミラーDM2は、ダイクロイックミラーDM1と同様に、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを結合する。ダイクロイックミラーDM2は、第1照明光学系31L、31Rからの照明光を反射ミラーRM1(対物レンズ20)に向けて反射すると共に、被手術眼からの照明光の戻り光を透過してズームエキスパンダ50(観察光学系40)に導く。
【0113】
ダイクロイックミラーDM2は、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路とを同軸に結合する。ダイクロイックミラーDM2は、左眼用照明光学系(第1照明光学系31L)の光路と左眼用観察光学系40Lの光路とを同軸に結合し、且つ、右眼用照明光学系(第1照明光学系31R)の光路と右眼用観察光学系40Rの光路とを同軸に結合する。すなわち、ダイクロイックミラーDM2は、透過方向の左眼用観察光学系40Lの光路及び右眼用観察光学系40Rの光路に対して反射方向の第1照明光学系31L、31Rの光路を略同軸に結合する。
【0114】
ダイクロイックミラーDM2は、移動機構(31d)により第1照明光学系31L、31Rからの照明光の反射方向を変更可能に構成される。それにより、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。
【0115】
図8A及び
図8Bに、第2実施形態に係る第1照明光学系31Rを側面から見た模式図を示す。
図8A及び
図8Bでは、第1照明光学系31Rが図示されているが、第1照明光学系31Lも同様である。
図8A及び
図8Bにおいて、
図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0116】
手術用顕微鏡10aは、ダイクロイックミラーDM2の反射面の向きを変更する移動機構(不図示、移動機構31d)を備える。それにより、ダイクロイックミラーDM2により反射された照明光の反射ミラーRM1における照射位置が変更され、被手術眼における照射角度が変更される。従って、第1実施形態と同様に、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。いくつかの実施形態では、後述の制御部からの制御を受け、移動機構(31d)がダイクロイックミラーDM2の反射面(反射方向)の向きを変更する。
【0117】
第2照明光学系32からの照明光は、反射ミラーRM1を経由することなく対物レンズ20を通過して被手術眼に入射する。
【0118】
第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの制御系は、第1実施形態に係る手術用顕微鏡10の制御系と同様である。
【0119】
第2実施形態において、ダイクロイックミラーDM2は、実施形態に係る「ビームスプリッタ」の一例である。
【0120】
以上説明したように、第2実施形態によれば、対物レンズ20の上方に反射ミラーRM1を配置し、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路を対物レンズ20に導くようにしたので、反射ミラーRM1の反射方向に照明光学系30及び観察光学系40が配置される。それにより、術者の正面に光路長が長い観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。また、術者の正面に配置される筐体により術者に圧迫感を与えることがなくなり、術者の負担を小さくすることができるようになる。
【0121】
また、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、被手術眼の見え具合を調整することが可能になる。更に、被手術眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、術者等の好みに合わせた立体感で被手術眼を観察することができる。
【0122】
<第3実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、上記の実施形態に係る構成に限定されるものではない。被手術眼が小瞳孔眼である場合、瞳孔を通じて左右の照明光を眼内に入射することが難しくなる。そのため、第3実施形態では、左右の光軸幅を変更するための光軸幅変更部材が照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路に対して挿脱可能に構成されている。以下、第3実施形態に係る構成について、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0123】
図9に、第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの光学系の構成例を示す。
図9において、
図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0124】
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bを適用することが可能である。
【0125】
第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの構成が第2実施形態に係る手術用顕微鏡10aの構成と異なる点は、光軸幅変更部材としてのステレオバリエータ70が光路に対して挿脱可能に設けられている点である。
【0126】
ステレオバリエータ70は、例えば特許文献2に開示されているように、例えば、それぞれ平行な2面を有する第1光学部材と第2光学部材とが結合された光学素子である。ステレオバリエータ70が観察光学系40の光路に配置されたとき、第1光学部材の平行な2面は、左眼用観察光学系40Lの光軸OLに対して所定の角度だけ傾斜するように配置され、第2光学部材の平行な2面は、右眼用観察光学系40Rの光軸ORに対して所定の角度だけ傾斜するように配置される。それにより、光軸OL、ORの相対位置が変更され、小瞳孔用に光軸OL、ORの幅を狭くすることができる。
【0127】
ステレオバリエータ70は、図示しない移動機構(70d)により観察光学系40の光軸に対して挿脱される。いくつかの実施形態では、後述の制御部200bからの制御を受け、この移動機構が制御される。
【0128】
図10に、第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの制御系の構成例を示す。
図10において、
図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0129】
図10に示すように、手術用顕微鏡10bの制御系は、制御部200bを中心に構成される。すなわち、制御部200bは、手術用顕微鏡10b(又は眼科システム1)の各部の制御を実行する。
【0130】
制御部200bは、制御部200と同様に各種の制御を実行する。制御部200bは、主制御部201bと記憶部202bとを含む。
【0131】
制御部200bにより実行される制御内容が制御部200により実行される制御内容と異なる点は、移動機構70dの移動制御が追加された点である。
【0132】
移動機構70dは、観察光学系40の光軸(OL、OR)に対してステレオバリエータ70を配置したり、観察光学系40の光軸からステレオバリエータ70を退避したりする。主制御部201bは、移動機構70dを制御することにより、観察光学系40の光軸に対してステレオバリエータ70を挿脱することが可能である。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、操作装置2に対する操作内容に基づいて移動機構70dを制御する。いくつかの実施形態では、主制御部201bは、被手術眼の前眼部像の解析結果に基づいて移動機構70dを制御する。例えば、前眼部像の解析結果に基づいて被手術眼が小瞳孔眼であると判定されたとき、主制御部201bは移動機構70dを制御し、観察光学系40の光軸にステレオバリエータ70を配置することが可能である。
【0133】
以上説明したように、第3実施形態によれば、対物レンズ20の上方に反射ミラーRM1を配置し、照明光学系30の光路と観察光学系40の光路との結合光路を対物レンズ20に導くようにしたので、反射ミラーRM1の反射方向に照明光学系30及び観察光学系40が配置される。そして、反射ミラーRM1の反射方向に配置された観察光学系40の光路に対してステレオバリエータ70を挿脱させるようにしたので、被手術眼が小瞳孔眼である場合でも、術者の正面に光路長が長い観察光学系40が配置されることなく、術者は無理なく正面の表示装置3の画面を見ることができるようになる。
【0134】
<第4実施形態>
実施形態に係る手術用顕微鏡の構成は、第1実施形態~第3実施形態に係る構成に限定されるものではない。第4実施形態では、接眼レンズを通して、術者又は助手が裸眼で被手術眼の観察が可能に構成される。以下、第4実施形態に係る構成について、第3実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第4実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態に適用することが可能である。
【0135】
図11に、第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの光学系の構成例を示す。
図11において、
図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0136】
図1に示す眼科システム1において、手術用顕微鏡10に代えて第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cを適用することが可能である。
【0137】
第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの構成が第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの構成と異なる点は、観察光学系40が接眼レンズ系63を含む点である。
【0138】
接眼レンズ系63は、左眼用接眼レンズ系63Lと、右眼用接眼レンズ系63Rとを含む。左眼用接眼レンズ系63Lの構成は、右眼用接眼レンズ系63Rの構成と同様である。左眼用接眼レンズ系63Lの光路は、左眼用観察光学系40Lの光路と同軸に結合される。右眼用接眼レンズ系63Rの光路は、右眼用観察光学系40Rの光路と同軸に結合される。
【0139】
左眼用ズームエキスパンダ50Lと左眼用撮像カメラ60Lとの間に、ビームスプリッタBSLが配置される。ビームスプリッタBSLの反射方向に、左眼用接眼レンズ系63Lが配置される。ビームスプリッタBSLの透過方向に、左眼用撮像カメラ60Lが配置される。ビームスプリッタBSLは、左眼用接眼レンズ系63Lの光路と左眼用撮像カメラ60Lの光路とを同軸に結合する。
【0140】
左眼用接眼レンズ系63Lは、結像レンズ64Lと、接眼レンズ65Lとを含む。左眼用観察光学系40Lの光路を導かれてきた照明光の戻り光は、ビームスプリッタBSLによって左眼用撮像カメラ60Lと左眼用接眼レンズ系63Lとに導かれる。左眼用接眼レンズ系63Lに入射した戻り光は、結像レンズ64Lを通過し、接眼レンズ65Lに導かれる。
【0141】
右眼用ズームエキスパンダ50Rと右眼用撮像カメラ60Rとの間に、ビームスプリッタBSRが配置される。ビームスプリッタBSRの反射方向に、右眼用接眼レンズ系63Rが配置される。ビームスプリッタBSRの透過方向に、右眼用撮像カメラ60Rが配置される。ビームスプリッタBSRは、右眼用接眼レンズ系63Rの光路と右眼用撮像カメラ60Rの光路とを同軸に結合する。
【0142】
右眼用接眼レンズ系63Rは、結像レンズ64Rと、接眼レンズ65Rとを含む。右眼用観察光学系40Rの光路を導かれてきた照明光の戻り光は、ビームスプリッタBSRによって右眼用撮像カメラ60Rと右眼用接眼レンズ系63Rとに導かれる。右眼用接眼レンズ系63Rに入射した戻り光は、結像レンズ64Rを通過し、接眼レンズ65Rに導かれる。
【0143】
第4実施形態に係る手術用顕微鏡10cの制御系は、第3実施形態に係る手術用顕微鏡10bの制御系と同様である。
【0144】
以上説明したように、第4実施形態によれば、術者又は助手は裸眼で被手術眼を確認しつつ、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0145】
[効果]
実施形態に係る眼科装置、及び眼科システムの効果について説明する。
【0146】
実施形態に係る眼科装置(手術用顕微鏡10、10a、10b、10c)は、対物レンズ(20)と、第1照明光学系(31L、31R)と、左眼用観察光学系(40L)と、右眼用観察光学系(40R)と、第1移動機構(移動機構31d)とを含む。第1照明光学系は、第1光源(光源31LA、RA)と、第1コンデンサーレンズ(コンデンサーレンズ31LB、31RB)とを含み、対物レンズの光軸と略同軸に配置され対物レンズを介して被検眼(被手術眼)に第1照明光を照射可能に構成される。左眼用観察光学系は、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ(接眼レンズ65L)又は左眼用撮像素子(撮像素子62L)に導くことが可能に構成される。右眼用観察光学系は、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ(接眼レンズ65R)又は右眼用撮像素子(撮像素子62R)に導くことが可能に構成される。第1移動機構は、第1照明光学系の光軸の傾きを変更する。
【0147】
このような構成によれば、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成したので、被検眼の見え具合を調整することが可能になる。例えば、角膜等からの反射に基づくゴーストを低減したり、凹凸の状態を詳細に観察したりすることが可能になる。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1移動機構は、第1光源及び第1コンデンサーレンズを一体的に傾ける。
【0149】
このような構成によれば、簡素な構成により、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、第1移動機構は、第1光源に対する第1コンデンサーレンズの光軸に交差する方向の相対位置を変更する。
【0151】
このような構成によれば、簡素な構成及び制御により、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成することができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、第1移動機構は、第1コンデンサーレンズに対して第1光源を移動する。
【0153】
このような構成によれば、簡素な構成及び制御により、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成することができる。
【0154】
いくつかの実施形態では、第1移動機構は、第1光源に対して第1コンデンサーレンズを移動する。
【0155】
このような構成によれば、簡素な構成及び制御により、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成することができる。
【0156】
いくつかの実施形態は、透過方向の左眼用観察光学系の光路及び右眼用観察光学系の光路に対して反射方向の第1照明光学系の光路を略同軸に結合するビームスプリッタ(ダイクロイックミラーDM2)を含み、第1移動機構は、ビームスプリッタの反射面の傾きを変更する。
【0157】
このような構成によれば、簡素な構成及び制御により、第1照明光学系の光軸の向きを変更可能に構成することができる。
【0158】
いくつかの実施形態は、対物レンズとビームスプリッタとの間の光路に対して挿脱可能なステレオバリエータ(70)を含む。
【0159】
このような構成によれば、小瞳孔用に左右の観察光学系の光軸の幅を調整することができる。
【0160】
いくつかの実施形態は、対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、対物レンズを介して被検眼に第1照明光と異なる色温度の第2照明光を照射可能な第2照明光学系(32)を含む。
【0161】
このような構成によれば、角膜等からの反射に基づくゴーストの影響を回避しつつ、被検眼を観察することが可能になる。
【0162】
いくつかの実施形態では、第2照明光学系を対物レンズの光軸に交差する方向に移動する第2移動機構(移動機構32d)を含む。
【0163】
このような構成によれば、第2照明光学系を対物レンズの光軸に交差する方向に移動可能にしたので、被検眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、観察者の好みに合わせた立体感で被検眼を観察することができる。
【0164】
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、(手術用顕微鏡10、10a、10b、10c)は、対物レンズ(20)と、第1照明光学系(31L、31R)と、第2照明光学系(32)と、左眼用観察光学系(40L)と、右眼用観察光学系(40R)と、第2移動機構(移動機構32d)とを含む。第1照明光学系は、対物レンズの光軸と略同軸に配置され対物レンズを介して被検眼に第1照明光を照射可能に構成される。第2照明光学系は、対物レンズの光軸に対して偏心するように配置され、対物レンズを介して被検眼に第2照明光を照射可能に構成される。左眼用観察光学系は、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光又は第2照明光の戻り光を左眼用接眼レンズ(接眼レンズ65L)又は左眼用撮像素子(撮像素子62L)に導くことが可能に構成される。右眼用観察光学系は、被検眼から対物レンズを介して入射した第1照明光又は第2照明光の戻り光を右眼用接眼レンズ(接眼レンズ65R)又は右眼用撮像素子(撮像素子62R)に導くことが可能に構成される。第2移動機構は、第2照明光学系を対物レンズの光軸に交差する方向に移動する。
【0165】
このような構成によれば、第2照明光学系を対物レンズの光軸に交差する方向に移動可能にしたので、被検眼の所定部位における凹凸の見え具合を調整することが可能になる。例えば、観察者の好みに合わせた立体感で被検眼を観察することができる。
【0166】
いくつかの実施形態では、第1照明光の色温度は、第2照明光の色温度より低い。
【0167】
このような構成によれば、暖色系の色で被検眼を観察することが可能になり、被検眼の形態を詳細に把握することができるようになる。
【0168】
いくつかの実施形態は、左眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果と右眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果とに基づいて被検眼の画像を表示手段(表示装置3)に表示させる表示制御部(制御部200、200b、主制御部201、201b)を含む。
【0169】
このような構成によれば、観察者は無理なく被検眼の画像を把握することができるようになる。
【0170】
いくつかの実施形態では、表示制御部は、左眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果に基づいて生成された左眼用画像と、右眼用撮像素子により得られた戻り光の受光結果に基づいて生成された右眼用画像とを表示手段に表示させる。
【0171】
このような構成によれば、観察者は無理なく被検眼の画像を立体視することができるようになる。
【0172】
いくつかの実施形態に係る眼科システム(1)は、上記に記載の眼科装置と、表示手段と、を含む。
【0173】
このような構成によれば、観察者に応じて適切に被検眼を立体的に認識させることが可能な眼科システムを提供することができるようになる。
【0174】
上記の実施形態は、本発明を実施するための例示に過ぎない。本発明を実施しようとする者は、本発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加、置換等を施すことが可能である。以下、上記の実施形態における図面を適宜に参照する。
【符号の説明】
【0175】
1 眼科システム
2 操作装置
3 表示装置
10、10a、10b、10c 手術用顕微鏡
20 対物レンズ
30 照明光学系
31L、31R 第1照明光学系
32 第2照明光学系
40 観察光学系
40L 左眼用観察光学系
40R 右眼用観察光学系
50 ズームエキスパンダ
50L 左眼用ズームエキスパンダ
50R 右眼用ズームエキスパンダ
60 撮像カメラ
60L 左眼用撮像カメラ
60R 右眼用撮像カメラ
62L、62R 撮像素子
63 接眼レンズ系
63L 左眼用接眼レンズ系
63R 右眼用接眼レンズ系
70 ステレオバリエータ
200、200b 制御部
201、201b 主制御部
202、202b 記憶部
31d、32d、70d 移動機構
50Ld、50Rd 変倍機構
BSL、BSR ビームスプリッタ
DM1、DM2 ダイクロイックミラー
RM1 反射ミラー