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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】熱交換コア
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20231201BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
F28F3/08 301Z
F28D9/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020031627
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134990
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓央
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】亀山 達也
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-228916(JP,A)
【文献】特開2005-180806(JP,A)
【文献】特開平06-201287(JP,A)
【文献】特開2004-347267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0251013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/02
F28F 1/02
F28D 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準平面に沿って配列された複数の第1流路により形成される第1流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第1流路を互いに隔てる複数の第1区画壁と、
前記第1流路列に対して前記基準平面の直交方向における隣りに配置され、前記基準平面に沿って配列された複数の第2流路により形成される第2流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第2流路を互いに隔てる複数の第2区画壁と、
前記基準平面の前記直交方向において前記第1流路列と前記第2流路列との間に位置し、前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とを隔てる隔壁と、
を備え
前記隔壁の構成材料は、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有する
熱交換コア。
【請求項2】
前記隔壁は、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方よりも大きな厚さを有する
請求項1に記載の熱交換コア。
【請求項3】
基準平面に沿って配列された複数の第1流路により形成される第1流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第1流路を互いに隔てる複数の第1区画壁と、
前記第1流路列に対して前記基準平面の直交方向における隣りに配置され、前記基準平面に沿って配列された複数の第2流路により形成される第2流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第2流路を互いに隔てる複数の第2区画壁と、
前記基準平面の前記直交方向において前記第1流路列と前記第2流路列との間に位置し、前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とを隔てる隔壁と、
を備え、
(a)前記直交方向に関する断面係数は、前記隔壁の方が、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方よりも大きい、
又は、
(b)前記隔壁の構成材料は、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有する、
また、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方は、亀裂起点部を有す
交換コア。
【請求項4】
前記亀裂起点部を介して、隣り合う一対の前記第1流路又は前記第2流路が互いに連通する
請求項3に記載の熱交換コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミニウム押出扁平多穴管を用いてなる熱交換器が開示されている。かかる熱交換器では、複数の流路の隣り合うものの間に存在する内部隔壁部のうち、扁平形状の長手方向の両端部に位置する内部隔壁部は、それぞれ、他の内部隔壁部よりも厚さが厚くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-36906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱交換器では、熱交換器に大きな温度変動がある場合には熱伸びを拘束することによる応力が発生し、複数の第1流路と複数の第2流路とを隔てる隔壁が損傷する虞がある。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述する事情に鑑みてなされたもので、複数の第1流路と複数の第2流路とを隔てる隔壁の損傷リスクを低減できる熱交換コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る熱交換コアは、
基準平面に沿って配列された複数の第1流路により形成される第1流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第1流路を互いに隔てる複数の第1区画壁と、
前記第1流路列に対して前記基準平面の直交方向における隣りに配置され、前記基準平面に沿って配列された複数の第2流路により形成される第2流路列と、
前記基準平面に交差するように設けられ、前記複数の第2流路を互いに隔てる複数の第2区画壁と、
前記基準平面の前記直交方向において前記第1流路列と前記第2流路列との間に位置し、前記複数の第1流路と前記複数の第2流路とを隔てる隔壁と、
を備え、
(a)前記直交方向に関する断面係数は、前記隔壁の方が、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方よりも大きい、
又は、
(b)前記隔壁の構成材料は、前記第1区画壁又は前記第2区画壁のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の熱交換コアによれば、(a)基準平面の直交方向に関する断面係数は、隔壁の方が、第1区画壁又は第2区画壁のいずれか一方よりも大きいことで、隔壁に発生する応力の方が、第1区画壁又は第2区画壁のいずれか一方に発生する応力よりも小さくなり、第1区画壁又は第2区画壁のいずれか一方が隔壁よりも優先的に破損する。これにより、隔壁に発生する応力が解放され、隔壁の損傷リスクが低減される(隔壁の損傷リスクを低減できる)。また、(b)隔壁の構成材料は、第1区画壁又は第2区画壁のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有することで、第1区画壁又は第2区画壁のいずれか一方が隔壁よりも優先的に破損する。これにより、隔壁に発生する応力が解放され、隔壁の損傷リスクが低減される(隔壁の損傷リスクを低減できる)。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の少なくとも一実施形態による熱交換コアを概略的に示す図である。
図2図1に示した熱交換コアのII-II線断面図である。
図3図1に示した熱交換コアのIII-III線断面図である。
図4図1に示した熱交換コアのIV-IV線断面図である。
図5図1に示した熱交換コアのV-V線断面図である。
図6図3に示した熱交換コアの流路断面を示す拡大図である。
図7】熱伸びによって生じる曲げに対する剛性の考え方を説明するための図である。
図8】第1区画壁又は第2区画壁が有する亀裂起点部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の実施の形態による熱交換コア1について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0010】
[熱交換コア1]
本開示の実施形態による熱交換コア1は、単独で、又は熱交換器に組み込まれて用いられる構成要素であり、熱交換コア1に供給される第1流体と第2流体との間で熱交換が行われる。熱交換コア1に供給される第1流体及び第2流体はそれぞれ液体であってもよいし気体であってもよいが、通常は両者の温度は異なっている。図1に示すように、例えば、熱交換コア1は、直方体形状とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0011】
図2及び図3に示すように、本開示の実施形態による熱交換コア1は、第1流路列2、複数の第1区画壁3、第2流路列4、複数の第2区画壁5及び隔壁6を備えている。
【0012】
図3に示すように、第1流路列2は、基準平面RPに沿って配列された複数の第1流路21により形成されている。例えば、第1流路列2は複数であって、例えば、図1に示すように熱交換コア1が直方体形状である場合、基準平面RPは直方体の長手方向に沿って設定され、複数の第1流路列2はこの基準平面RPに対して平行に設定される。
【0013】
図4に示すように、複数の第1区画壁3は、基準平面RPに交差するように設けられ、複数の第1流路21を互いに隔てている。例えば、複数の第1区画壁3は互いに平行且つ等間隔に設けられ、複数の第1流路21を平行且つ等間隔に配列している。
【0014】
図3に示すように、第2流路列4は、第1流路列2に対して基準平面RPの直交方向における隣りに配置され、基準平面RPに沿って配列された複数の第2流路41により形成されている。例えば、第2流路列4は複数であって、例えば、図1に示すように熱交換コア1が直方体形状である場合、複数の第2流路列4のそれぞれは基準平面RPの直交方向(図3においてY方向)に複数の第1流路列2のそれぞれと交互に配列される。
【0015】
図5に示すように、複数の第2区画壁5は、基準平面RPに交差するように設けられ、複数の第2流路41を互いに隔てている。例えば、複数の第2区画壁5は互いに平行且つ第1区画壁3と同じ間隔で設けられ、複数の第2流路41を平行且つ第1流路21と同じ間隔で配列しているが、これに限られるものではない。
【0016】
図3に示すように、隔壁6は、基準平面RPの直交方向において第1流路列2と第2流路列4との間に位置し、複数の第1流路21と複数の第2流路41とを隔てている。例えば、隔壁6は複数であって、例えば、図1に示すように熱交換コア1が直方体形状である場合、複数の隔壁6は基準平面RPの直交方向(図3においてY方向)に平行且つ等間隔に配列される。
【0017】
図4及び図5に示すように、複数の第1流路列2のそれぞれが複数の第1流路21により形成され、複数の第2流路列4のそれぞれが複数の第2流路41により形成されている場合、複数の第1流路列2のそれぞれの一端部と他端部、及び複数の第2流路列4のそれぞれの一端部と他端部にそれぞれ中間流路が設けられる。図4に示すように、複数の第1流路列2のそれぞれの一端部(上端部)に設けられた中間流路61(以下「第1中間流路61」という)は第1流路21の延在方向における第1流路21の一端部において複数の第1流路21に連通する。図5に示すように、複数の第2流路列4のそれぞれの一端部(上端部)に設けられた中間流路62(以下「第2中間流路62」という)は第2流路41の延在方向における第2流路41の一端部において複数の第2流路41に連通する。図示しないが、複数の第1流路列2のそれぞれの他端部(下端部)に設けられた中間流路(以下「第3中間流路」という)は、第1流路21の延在方向における第1流路21の他端部において複数の第1流路21に連通する。複数の第2流路列4のそれぞれの他端部(下端部)に設けられた中間流路(以下「第4中間流路」という)は、第2流路41の延在方向における第2流路41の他端部において複数の第2流路41と連通する。
【0018】
図4及び図5に示すように、複数の第1中間流路61はそれぞれ第1ヘッダ流路71に連通し、複数の第2中間流路62はそれぞれ第2ヘッダ流路72に連通する。また、複数の第3中間流路はそれぞれ第3ヘッダ流路73に連通し、複数の第4中間流路はそれぞれ第4ヘッダ流路74に連通する。
【0019】
図4に示すように、第1ヘッダ流路71は、複数の第1流路列2の一端部(上端部)において複数の第1中間流路61の延在方向と直交する方向に延在し、複数の第1中間流路61を介して複数の第1流路21に連通する。図5に示すように、第2ヘッダ流路72は複数の第2流路列4の一端部(上端部)において複数の第2中間流路62の延在方向と直交する方向に延在し、複数の第2中間流路62を介して複数の第2流路41に連通する。図示しないが、第3ヘッダ流路73は、複数の第1流路列2の他端部(下端部)において複数の第3中間流路の延在方向と直交する方向に延在し、複数の第3中間流路を介して複数の第1流路21に連通する。第4ヘッダ流路74は、複数の第2流路列4の他端部(下端部)において複数の第4中間流路の延在方向と直交する方向に延在し、複数の第4中間流路を介して複数の第2流路41に連通する。
【0020】
図1に示すように、熱交換コア1を直方体形状とする場合、例えば、第1ヘッダ流路71、第2ヘッダ流路72、第3ヘッダ流路73及び第4ヘッダ流路74は、直方体の同一平面において四隅に位置する。第1流体と第2流体とが互いに向かい合う方向に流れる熱交換コア1(以下「対向流の熱交換コア1」という)では第1ヘッダ流路71が第1流体を第1流路21に供給するための流路となり、第2ヘッダ流路72が第2流体を第1流路21から排出するための流路となる。また、第3ヘッダ流路73が第1流体を第1流路21から排出するための流路となり、第4ヘッダ流路74が第2流体を第2流路41に供給するための流路となる。尚、第1流体と第2流体とが同じ方向に流れる熱交換コア1(以下「並流の熱交換コア1」という)では、第2ヘッダ流路72が第2流体を第2流路41に供給するための流路となり、第4ヘッダ流路74が第2流体を第2流路41から排出するための流路となる。
【0021】
例えば、第1ヘッダ流路71、第2ヘッダ流路72、第3ヘッダ流路73及び第4ヘッダ流路74は、直方体の外側に設けることができるが、これに限られるものではない。図1に示すように、例えば、第1ヘッダ流路71、第2ヘッダ流路72、第3ヘッダ流路73及び第4ヘッダ流路74を直方体の外側に設ける場合、第1ヘッダ部11、第2ヘッダ部12、第3ヘッダ部13及び第4ヘッダ部14のそれぞれが直方体の幅方向外側に張り出すように設けられる。そして、これら第1ヘッダ部11、第2ヘッダ部12、第3ヘッダ部13、第4ヘッダ部14のそれぞれに第1ヘッダ流路71、第2ヘッダ流路72、第3ヘッダ流路73、第4ヘッダ流路74のそれぞれが設けられる。
【0022】
[基準平面RPの直交方向に関する断面係数]
図6に示すように、基準平面RPの直交方向に関する断面係数は、隔壁6の方が、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも大きい。例えば、基準平面RPの直交方向に関する断面係数は、第1区画壁3と第2区画壁5とで同一であるが、異なるものであってもよい。
【0023】
【数1】
【0024】
例えば、隔壁6の厚さbを3、高さhを1とし、第1区画壁3及び第2区画壁5の厚さbを0.4、高さhを1とすると、隔壁6の断面係数は0.5となり、第1区画壁3及び第2区画壁5の断面係数Zは0.04となる。そして、隔壁6に発生する応力と第1区画壁3又は第2区画壁5に発生する応力は、断面係数Zに反比例し、隔壁6に発生する応力が第1区画壁3又は第2区画壁5に発生する応力よりも小さい。これにより、同じ加重が加わっても隔壁6に発生する応力は第1区画壁3又は第2区画壁5に発生する応力よりも小さくなる。これにより、隔壁6よりも第1区画壁3又は第2区画壁5が優先して破損する。
【0025】
[構成材料]
隔壁6の構成材料は、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有する。例えば、第1区隔壁3又は第2区隔壁5のいずれか一方を隔壁6よりも脆性の低い構成材料とすることで、隔壁6の構成材料が第1区隔壁3又は第2区隔壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有するものとする。また、例えば、第1区隔壁3又は第2区隔壁5のいずれか一方をラティス構造(格子構造)とすることで、隔壁の構成材料が第1区画壁3又は第2区隔壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有するものとしてもよい。また、例えば、第1区画壁3と第2区画壁5の構成材料は同一の破断強度を有するが、異なる破断強度を有するものでもよい。
【0026】
上述した本開示の実施形態による熱交換コア1によれば、(a)基準平面RPの直交方向における断面係数は、隔壁6の方が、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも大きいことで、隔壁6に発生する応力の方が、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方に発生する応力よりも小さくなり、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。これにより、隔壁6に発生する応力が解放され、隔壁6の損傷リスクが低減される(隔壁6の損傷リスクを低減できる)。また、(b)隔壁6の構成材料は、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有することで、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。これにより、隔壁6に発生する応力が解放され、隔壁6の損傷リスクが低減される(隔壁6の損傷リスクを低減できる)。
【0027】
[隔壁6の厚さ]
図6に示すように、熱交換コア1は、隔壁6は第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも大きな壁の厚さ(以下「壁厚」という)を有する。ここで、「壁厚」は第1流路21の延在方向と直交する方向の壁の厚さをいい、図6では隔壁6の壁厚がt1、第1区画壁3の壁厚がt2、第2区画壁5の壁厚がt3で示される。そして、隔壁6の壁厚をt1、第1区画壁3の壁厚t2、第2区画壁5の壁厚t3とすると、隔壁6の壁厚t1>第1区画壁3の壁厚t2、又は、隔壁6の壁厚t2>第2区画壁5の壁厚t3となる。尚、第1区画壁3の壁厚t2と第2区画壁5の壁厚t3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0028】
このような構成によれば、隔壁6と第1区画壁3又は第2区画壁5との壁厚に差をつけることで、上記の断面係数の大小を実現できる。また、第1流体と第2流体とに圧力差がある場合であっても、隔壁6の壁厚を相対的に大きくしていることから、圧力差に起因した隔壁6の損傷リスクを低減できる。
【0029】
[亀裂起点部31(51)]
図8に示すように、熱交換コア1は、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方は、亀裂起点部31(51)を有する。例えば、亀裂起点部31(51)は、亀裂、孔、切り欠き、スリット等であり、これらを組み合わせたものも含まれる。例えば、第1区画壁3は亀裂と穴を組み合わせた亀裂起点部31を有し、第2区画壁5はスリットによる亀裂起点部51を有する。
【0030】
このような構成によれば、基準平面RPの直交方向に関する断面係数は、亀裂起点部31(51)を有する第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも隔壁6の方が大きくなる。これにより、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方に発生する応力よりも隔壁6に発生する応力の方が小さくなり、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。例えば、第1区画壁3の亀裂起点部31又は第2区画壁5の亀裂起点部51から亀裂が生じることで、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも先に破損する。
【0031】
[流路の連通]
図8に示すように、熱交換コア1は、亀裂起点部31(51)を介して、隣り合う一対の第1流路21又は第2流路41が互いに連通する。
【0032】
このような構成によれば、隣り合う一対の第1流路21又は第2流路41において亀裂起点部31(51)を介して流体が移動することで、隣り合う一対の第1流路21又は第2流路41において圧力分布の均一化を図ることができる。
【0033】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0034】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0035】
(1)一の態様に係る熱交換コア1は、
基準平面RPに沿って配列された複数の第1流路21により形成される第1流路列2と、
前記基準平面RPに交差するように設けられ、前記複数の第1流路21を互いに隔てる複数の第1区画壁3と、
前記第1流路列2に対して前記基準平面RPの直交方向における隣りに配置され、前記基準平面RPに沿って配列された複数の第2流路41により形成される第2流路列4と、
前記基準平面RPに交差するように設けられ、前記複数の第2流路41を互いに隔てる複数の第2区画壁5と、
前記基準平面RPの前記直交方向において前記第1流路列2と前記第2流路列4との間に位置し、前記複数の第1流路21と前記複数の第2流路41とを隔てる隔壁6と、
を備え、
(a)前記直交方向に関する断面係数(=直交方向に関する断面二次モーメントと言い換えても大小関係は同じ。)は、前記隔壁6の方が、前記第1区画壁3又は前記第2区画壁5のいずれか一方よりも大きい、
又は、
(b)前記隔壁6の構成材料は、前記第1区画壁3又は前記第2区画壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有する。
【0036】
本開示に係る熱交換コア1によれば、(a)基準平面RPの直交方向に関する断面係数は、隔壁6の方が、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも大きいことで、隔壁6に発生する応力の方が第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方に発生する応力よりも小さくなり、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。これにより、隔壁6に発生する応力が解放され、隔壁6の損傷リスクが低減される(隔壁6の損傷リスクを低減できる)。また、(b)隔壁6の構成材料は、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方の構成材料よりも大きな破断強度を有することで、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。これにより、隔壁6に発生する応力が解放され、隔壁6の損傷リスクが低減される(隔壁6の損傷リスクを低減できる)。
【0037】
(2)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)に記載の熱交換コア1であって、
前記隔壁6は、前記第1区画壁3又は前記第2区画壁5のいずれか一方よりも大きな厚さを有する。
【0038】
このような構成によれば、隔壁6と区画壁(第1区画壁3又は第2区画壁5)との壁厚に差をつけることで、上記(1)(a)の断面係数の大小関係を実現できる。また、第1流体と第2流体とに圧力差がある場合であっても、隔壁6の壁厚を相対的に大きくしていることから、圧力差に起因した隔壁6の損傷リスクを低減できる。
【0039】
(3)さらに別の態様に係る熱交換コア1は、(1)又は(2)に記載の熱交換コア1であって、
前記第1区画壁3又は前記第2区画壁5のいずれか一方は、亀裂起点部31(51)を有する。
例えば、亀裂起点部31(51)は、亀裂、孔、切り欠き、スリット等であり、これらを組み合わせたものも含まれる。
【0040】
このような構成によれば、基準平面RPの直交方向に関する断面係数は、亀裂起点部31(51)を有する第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方よりも隔壁6の方が大きくなる。これにより、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方に発生する応力よりも隔壁6に発生する応力の方が小さくなり、第1区画壁3又は第2区画壁5のいずれか一方が隔壁6よりも優先的に破損する。
【0041】
(4)さらに別の態様に係る熱交換コア1は、(3)に記載の熱交換コア1であって、
前記亀裂起点部31(51)を介して、隣り合う一対の前記第1流路21又は前記第2流路41が互いに連通する。
【0042】
このような構成によれば、隣り合う一対の第1流路21又は第2流路41において亀裂起点部を介して流体が移動することで、隣り合う一対の第1流路21又は第2流路41において圧力分布の均一化を図ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 熱交換コア
11 第1ヘッダ部
12 第2ヘッダ部
13 第3ヘッダ部
14 第4ヘッダ部
2 第1流路列
21 第1流路
3 第1区画壁
31 亀裂起点部
4 第2流路列
41 第2流路
5 第2区画壁
51 亀裂起点部
6 隔壁
61 第1中間流路
62 第2中間流路
71 第1ヘッダ流路
72 第2ヘッダ流路
73 第3ヘッダ流路
74 第4ヘッダ流路
RP 基準平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8