(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】照明装置付サービスホールカバー
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20231201BHJP
B60Q 3/30 20170101ALI20231201BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20231201BHJP
【FI】
B60R13/02 B
B60Q3/30
B60Q3/54
B60R13/02 Z
(21)【出願番号】P 2020074288
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】副島 慶人
(72)【発明者】
【氏名】正平 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山内 一樹
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-158998(JP,A)
【文献】特開平03-025039(JP,A)
【文献】実開昭61-087143(JP,U)
【文献】特開2012-206643(JP,A)
【文献】特開2006-007845(JP,A)
【文献】特開2000-001141(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215198(JP,U)
【文献】特開2015-048018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
B60Q 3/00- 3/88
B60J 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装トリムに開口するサービスホールを閉止可能なカバー部材と、
前記カバー部材の裏面に設置された、発光素子と、
前記発光素子を電源に接続するためのハーネスとを備え、
前記カバー部材には、貫通孔が設けられており、
前記発光素子から出射した光が、透光部材を介さず、前記貫通孔から直接出光するように構成されて
おり、
前記ハーネスを電源に接続したまま、前記カバー部材をサービスホールより取り外した際、内装トリムの表面より、5~20cm引き出し得る長さを前記ハーネスが有し、その際、前記カバー部材は前記ハーネスに連結されている、
照明装置付サービスホールカバー。
【請求項2】
ドアトリムのサービスホールカバーとして使用される、請求項
1に記載の照明装置付サービスホールカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装トリムに開口するサービスホールに取り付けられるサービスホールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフ、ドア、フロア等の内装には、メンテナンス等を行う目的で、各所に開口(サービスホール)が設けられており、それらはサービスホールカバーで閉止されている。
【0003】
バックドア、サイドドア等の車両のドアは、車体の外殻を構成するアウターパネルと、アウターパネルの内側(車室側)に配置されるインナーパネルと、インナーパネルの内側に取り付けられるドアトリムを備えている。インナーパネルとドアトリムの間には、電気配線部材が延出しており、ドアトリムに配置された照明装置や、ウィンドウリフタ、ドアロック装置などに電源を供給している。ドアトリムには、これらの電装のメンテナンスや、ウィンドウの組付け、ドアロックの緊急手動解除等の操作を行うため、サービスホールが設けられる。
【0004】
サービスホールを閉止する着脱可能なカバー(以下、サービスホールカバーという)として、例えば特許文献1には、車両の内装トリムに形成された孔をキャップにより閉止する構造に関し、キャップに設けられた脚や爪を遊挿可能な切欠部を孔の周縁に配設することなどを記載している。
【0005】
内装トリムには、サービスホールカバー以外に照明装置なども設けられている。照明装置は、通常、光源の裏面に配置された反射板や、出射面側に配置されたレンズ部材を有し、内装トリムとインナーパネルの間の空間に一定の体積を占有して配置されている。例えば、特許文献2は、車両内装構造に関し、ラゲージサイドトリムの中央部に、光源とリフレクタを内蔵する筐体を設置し、筐体の開口部に取り付けたレンズを通して車室内を照明する実施態様を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第2886074号明細書
【文献】特許第5818527号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サービスホールを介したメンテナンスやロック解除等の際には、カバーをはずして作業が行われる。これらの作業は、長時間駐車中に行われる場合もあるが、車両運行中、臨時に行われる場合もある。後者の臨時の作業の際、特に夜間の作業においては、作業時にはずしたカバーを探すのに手間取る場合がある。
【0008】
他方、意匠性の面から見ると、内装トリムの美観を向上するためには、部品点数を低減して視認される境界線などを削減することが好ましい。しかし通常の照明装置はスペースをとるため、作業対象の位置に設けられるサービスホールのカバーと組み合わせることは難しい。
【0009】
上記のような事情に鑑み、本発明は、照明機能とサービスホールを閉止する機能を兼ね備え、取り外した後の再設置の手間も低減し得るサービスホールカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のサービスホールカバーは、
車両の内装トリムに開口するサービスホールを閉止可能なカバー部材と、
前記カバー部材の裏面に設置された発光素子と、
前記発光素子を電源に接続するためのハーネスとを備え、
前記カバー部材には、貫通孔が設けられており、
前記発光素子から出射した光が、前記貫通孔から出光するように構成されている、照明装置付サービスホールカバーである。
【0011】
上記構成のサービスホールカバーによれば、発光素子(例えばLED)と、カバー部材を組み合わせることにより、ドアトリム等の内装トリムにおける部品点数を抑制し、内装トリムの意匠性を向上できる。また、カバーをサービスホールに設置して使用する際には、発光素子はハーネスを介して電源に接続されるので、作業のためカバーを外した際に置き場所を探す必要はない。また照明光として発光素子からの出射光を直接用い、透光部材、反射部材などは用いないので、部品点数の低減、カバー取付け時の作業の簡略化、薄型化等の効果がある。
【0012】
上記の照明装置付サービスホールカバーにおいて、前記ハーネスを電源に接続したまま、前記カバー部材をサービスホールより取り外した際、内装トリムの表面より、5~20cm引き出し得る長さを前記ハーネスが有することが好ましい。ハーネスの長さに余裕を持たせることにより、必要に応じ、カバーを取り外して任意の方向を照らす電灯として使用することができる。
【0013】
上記サービスホールカバーが設置される内装トリムは、ドアトリムであってもよい。上記サービスホールカバーは発光素子を備えているので、ドアを閉じた状態では、車室内の照明に用い得るとともに、ドアを開けた状態では、足元や後方を照射し、例えば(パルス発光により)警告灯としての機能も発揮できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サービスホールカバーに照明装置を組み合わせ、作業効率の向上と美観の向上の両方を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサービスホールカバーが設置された車両の内装トリムを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すサービスホールカバーを設置した部分の正面図である。
【
図3】
図2に示すサービスホールカバーを裏面側から見た斜視図である。
【
図4】
図2に示すサービスホールカバーの概略側面図である。
【
図5】車両のバックドアに設置したサービスホールカバーで車室内を照明する様子を示す、切り欠き側面図である。
【
図6】車両のバックドアを開けた状態で、サービスホールカバーを照明に用いる様子を示す、切り欠き側面図である。
【
図7】サービスホールカバーをサービスホールからはずして、ハーネスを引き出した状態で照明に用いる様子を示す、切り欠き側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のサービスホールカバーの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかるサービスホールカバー1を設置した内装トリム2の斜視図であり、ここでは、
図5に示すバックドア下部トリム21を一例として示しているが、バックドア上部トリム22にも本発明を適用できる。内装トリム2の下部には、バックドアのロック解除機構(図示せず)を操作するためにサービスホール3が設けられており、サービスホールカバー1で閉止されている。
【0017】
図2は、
図1に示した内装トリム2において、サービスホールカバー1を設置した部分を、車室内側から見た正面図である。サービスホールカバー1の本体を構成するカバー部材10には、貫通孔(開口)10aが設けられており、カバー部材10の背面に設置された発光素子11から出光した光が貫通孔10aから出光するよう構成されている。
【0018】
図3は、
図2に示すサービスホールカバー1を背面側(パネル側)から見た斜視図であり、
図4は同じサービスホールカバー1の概略側面図である。
図3のサービスホールカバー1のカバー部材10の背面には、サービスホール3(
図2)に嵌着するための係止フック10bおよび係止爪10c、および発光素子11をはさみこんで保持するための保持部10dが設けられている。発光素子11は
図4のハーネス12先端のコネクタ12aを介して電源(図示せず)に接続される。
【0019】
この構成では、
図2の発光素子11と貫通孔10aとの間に透光部材によるレンズは設けられておらず、発光素子11の背面に反射材も設けられていない。従って、発光素子11から出光した光は、貫通孔10aから直接出光する。発光素子11は例えばLEDであり、厚み方向に大きなスペースをとらないため、インナーパネル側に設置された作業対象(例えばロック解除機構)をカバーするサービスホールカバー1に組み込んで、サービスホールカバー1に照明機能を付与することができる。
【0020】
カバー部材10は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂からなるものであってもよく、内装トリム2と同様の材質で形成してもよい。カバー部材10の大きさや形状は、設置されるサービスホール3の形状に応じ適宜変化させればよい。
【0021】
図5,6,7は、本発明に係るサービスホールカバー1を照明装置として利用する形態を説明するための一部切り欠き側面図であり、車両100のバックドア20の内装トリム2に、サービスホールカバー1が設置された様子を示している。サービスホールカバー1は、通常、
図2の貫通孔10aを介して車室内に光L1を照射している。この場合、
図5に示すように照射範囲は狭いが、サービスホールカバー1そのものに光源があるため、夜間の作業でもサービスホールの位置を探すのに手間取ることはない。
【0022】
図6はバックドア20を開けた状態を示す図である。サービスホールカバー1のハーネス12(
図4)は、内装トリム2とインナーパネル(図示せず)の間に配索されているため、サービスホールカバー1をはずして任意の方向に傾けたまま、
図2のサービスホール3の近傍に保持することもできる。そのため、発光素子11から出光する光を、
図6に示す車室内を照らす光L2、足元を照らす光L3、あるいは車両100の後方を照らす光L4として利用することができる。
【0023】
図7は、サービスホールカバー1を内装トリム2からはずし、ハーネス12を引き出した状態を示す図である。本発明では、ハーネス12にある程度余剰の長さをもたせることにより、サービスホールカバー1をはずして任意の方向に光L5を照射する電灯の機能も付与することができる。この場合、ハーネス12が短すぎればサービスホールカバー1を電灯として使いにくく、長すぎると、収納時にスペースをとる。そこで、ハーネス12を電源(図示せず)に接続したまま、カバー部材1をサービスホール3より取り外した際、内装トリム2の表面より、引き出し得るハーネス12の長さを、5~20cm程度とすることが好ましい。
【0024】
以上、本発明のサービスホールカバー1を一実施形態に基づいて説明したが、本発明は図示されたものに限定されず、各種の変更が可能である。例えば、照明装置付サービスホールカバー1を設置する内装トリム2は、バックドアトリムに限定されず、サイドドアトリム、ルーフライニング、フロアカーペット等であってもよい。カバー部材10が大型となる場合には、上述の電灯としての機能を発揮させるため、カバー部材10の一部を取り外し可能なものとし、これに発光素子11を設置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、サービスホールを介した作業効率を改善するとともに、サービスホールカバーを照明装置として利用することができ、車両の内装技術の分野での応用性が高い。
【符号の説明】
【0026】
1 サービスホールカバー
2 内装トリム
3 サービスホール
10 カバー部材
10a 貫通孔
10b 係止フック
10c 係止爪
10d 保持部
11 発光素子
12 ハーネス
12a コネクタ
20 バックドア
100 車両