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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】整流用多相変圧器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H02M7/06 U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020111978
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011088
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 彰訓
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153353(JP,A)
【文献】特表2004-521587(JP,A)
【文献】特開2018-139470(JP,A)
【文献】特開昭58-095807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相電力を直流電力に変換するための多相電力に変換して出力する整流用多相変圧器であって、
三相電力が接続される1次側の第1巻線と、2次側を構成する第2~第5巻線の4つの異なる三相の位相を生成する巻線とが共通する鉄心に巻回されて成り、
前記第1巻線はデルタ結線或いはスター結線の何れかで結線される一方、前記第2~第5巻線は何れもスター結線されて、前記第2巻線と前記第3巻線の中性点同士が連結されている一方、
前記第4巻線及び前記第5巻線は、前記第3巻線の途中の共通する所定の位置から分岐して形成され、
前記第2~第5巻線のそれぞれが異なる位相の3相電圧を出力し、多相の交流電圧を出力することを特徴とする整流用多相変圧器。
【請求項2】
前記第3巻線は、前記第2巻線に対して極性が反転して、且つ前記第2巻線の0.73倍の巻数で前記鉄心に巻回されることを特徴とする請求項1記載の整流用多相変圧器。
【請求項3】
前記第4巻線及び前記第5巻線は、前記第3巻線の中性点から56.5%の位置で分岐されて形成されることを特徴とする請求項2記載の整流用多相変圧器。
【請求項4】
前記第4巻線は、R相巻線が前記第3巻線のR相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のS相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、
S相巻線が前記第3巻線のS相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のT相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、
T相巻線が前記第3巻線のT相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のR相と共通の脚部鉄心に巻回されて成ることを特徴とする請求項3記載の整流用多相変圧器。
【請求項5】
前記第5巻線は、R相巻線が前記第3巻線のR相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のT相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、
S相巻線が前記第3巻線のS相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のR相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、
T相巻線が前記第3巻線のT相巻線の途中から分岐して引き出されて、前記第2巻線のS相と共通の脚部鉄心に巻回されて成ることを特徴とする請求項3又は4記載の整流用多相変圧器。
【請求項6】
前記第2~第5巻線の巻数比が、1:0.73:0.52:0.52であることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載の整流用多相変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相交流電力をリップルの少ない直流電力に変換するために、変圧器を使用して多相電力に変換する整流用多相変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リップルの少ない高電圧の直流電力を得るために、三相交流を変圧器を使用して多相の交流電力に変換する整流用多相変圧器がある。
例えば特許文献1では、1次側にスター結線された1次巻線を配置し、2次側にスター結線された2次巻線とデルタ結線された3次巻線を配置した変圧器を使用し、1次巻線に三相交流電源を接続し、2次巻線と3次巻線とで2系統の3相交流電圧を生成して全6相の交流電圧を生成し、これを整流して12相から成る電圧を整流した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-295155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている整流用多相変圧器の変圧器は、上述したように2次側にスター結線とデルタ結線の2つの巻線を設け、それぞれ3相交流を生成することで12相の直流電圧を生成した。そのため、三相交流から整流する場合に比べてリップルの小さい電圧を得ることができ、平滑化するための設備を簡素化できた。
そこで、この技術を更に進めてリップルの削減を図った場合、2次側に4系統の3相交流電圧を生成させることが考えられる。この場合12相の交流電圧を生成でき、結果24相から成る直流電圧を生成できるため、更なるリップルの削減が可能となる。
しかしながら、単純に従来の6相交流を出力する変圧器を2組設けたのでは、従来の2倍の設置スペースが必要であるし2倍のコストが掛かり、大きなメリットがない。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、例えば12相の交流電圧を生成する変圧器を、少ないコイル巻き数で実現し、従来の12相整流回路を2組連結した場合より、小型化できコストダウンを図ることができる整流用多相変圧器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、三相電力を直流電力に変換するための多相電力に変換して出力する整流用多相変圧器であって、三相電力が接続される1次側の第1巻線と、2次側を構成する第2~第5巻線の4つの異なる三相の位相を生成する巻線とが共通する鉄心に巻回されて成り、第1巻線はデルタ結線或いはスター結線の何れかで結線される一方、第2~第5巻線は何れもスター結線されて、第2巻線と第3巻線の中性点同士が連結されている一方、第4巻線及び第5巻線は、第3巻線の途中の共通する所定の位置から分岐して形成され、第2~第5巻線のそれぞれが異なる位相の3相電圧を出力し、多相の交流電圧を出力することを特徴とする。
この構成によれば、2次側を構成する4つの巻線のうち、第4巻線と第5巻線は、第3巻線の途中から分岐して形成されるため、それぞれの一部巻線を第3巻線に肩代わりさせることができ、単独で巻回形成するより巻回数を削減できる。よって、変圧器全体の巻回数を削減でき、従来の12相の直流電圧を生成する変圧器を2台連結して24相の直流電圧を生成するより小型化でき、コストダウンを図ることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、第3巻線は、第2巻線に対して極性が反転して、且つ第2巻線の0.73倍の巻数で鉄心に巻回されることを特徴とする。
この構成によれば、第3巻線による出力電圧は、第2巻線の出力位相に対して180度反転した位相の電圧であり、12相の交流電圧を生成する際に都合が良い。加えて、第2巻線より巻回数が少なく、変圧器の小型化に有効である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の構成において、第4巻線及び第5巻線は、第3巻線の中性点から56.5%の位置で分岐されて形成されることを特徴とする。
この構成によれば、第4、第5巻線の各相の一部を第3巻線の2分の1を超える領域で肩代わりさせるため、巻回数を大きく削減できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、第4巻線は、R相巻線が第3巻線のR相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のS相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、S相巻線が第3巻線のS相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のT相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、T相巻線が第3巻線のT相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のR相と共通の脚部鉄心に巻回されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、第4巻線による出力電圧の位相を、第2巻線の同一相の出力に対して15度の位相差を有するよう生成でき、12相の電圧生成に有効である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の構成において、第5巻線は、R相巻線が第3巻線のR相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のT相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、S相巻線が第3巻線のS相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のR相と共通の脚部鉄心に巻回されて成り、T相巻線が第3巻線のT相巻線の途中から分岐して引き出されて、第2巻線のS相と共通の脚部鉄心に巻回されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、第5巻線による出力電圧の位相を、第2巻線の同一相の出力に対して15度の位相差を有するよう生成でき、且つ第4巻線に対して第2巻線の同一相を挟んで30度の位相差を有するよう生成できる。よって、12相の電圧生成に有効である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の何れかに記載の構成において、第2~第5巻線の巻数比が、1:0.73:0.52:0.52であることを特徴とする。
この構成によれば、2次側に4個の巻線を配置しても、第4,第5巻線に加えて第3巻線の巻回数も削減でき、変圧器を小型化できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2次側を構成する4つの巻線のうち、第4巻線と第5巻線は、第3巻線の途中から分岐して形成されるため、それぞれの一部巻線を第3巻線に肩代わりさせることができ、単独で巻回形成するより巻回数を削減できる。よって、変圧器全体の巻回数を削減でき、従来の12相の直流電圧を生成する変圧器を2台連結して24相の直流電圧を生成するより小型化でき、またコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る整流用多相変圧器の一例を示す構成図である。
図2図1の整流用多相変圧器を使用して3相交流を直流変換する電力変換装置の概略構成図である。
図3】整流用多相変圧器の2次側巻線の個々の巻線のベクトル説明図である。
図4】2次側の位相説明図である。
図5図4に示す第2巻線のR1-T1端子間の出力が負荷に印加される様子を示す説明図である。
図6図4に示す第2巻線のR1端子と第4巻線のT3端子の間の出力が負荷に印加される様子を示す説明図である。
図7図4に示す第2巻線のR1端子と第3巻線のR2端子の間の出力が負荷に印加される様子を示す説明図である。
図8】第3巻線から第4巻線及び第5巻線を引き出す位置を示すベクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る整流用多相変圧器(以下、単に「変圧器」とする。)の一例を示す構成図であり、変圧器1は1次側巻線L1を構成する第1巻線11、2次側巻線L2を構成する4つの巻線(第2巻線12、第3巻線13、第4巻線14、第5巻線15)を備えている。
何れの巻線も、入力される三相電力Pに対応する3つの巻回部(11a~11c、12a~12c、13a~13c、14a~14c、15a~15c)を有している。
【0015】
図2はこの変圧器1を使用して3相交流を直流変換する電力変換装置の概略構成図であり、電力変換装置3は商用電力である三相電力Pを多相(ここでは12相)に変換する変圧器1と、変圧器1の2次側出力を全波整流する整流回路2とを有して構成される。
【0016】
変圧器の1次側の第1巻線11はデルタ結線され、3つの端子(Rin、Sin、Tin)に3相交流電力Pが接続される。
第2~第5巻線12,13,14,15は、全てスター結線されている(但し、後述するように、第4巻線、第5巻線は完全な形でのスター結線でなない)。以下、三相をR相、S相、T相として説明する。
【0017】
変圧器1の2次側は、第2巻線12の出力端子R1,S1,T1、第3巻線13の出力端子R2,S2,T2、第4巻線14の出力端子R3,S3,T3、第5巻線15の出力端子R4,S4,T4を有し、全12端子を備えている。
第2巻線12と第3巻線13のスター結線された中性点同士は連結され、第3巻線13は第2巻線12に対して極性が反転するよう鉄心4に巻回されている。また、第4巻線14と第5巻線15は、第3巻線13の途中の同一点から分岐して形成され、第4巻線14と第5巻線15とは、第3巻線13の中性点を兼用している。
【0018】
第4巻線14、第5巻線15は具体的に以下のように鉄心4に巻回されている。まず、第4巻線14の各相は次のように巻回されている。
R相巻線14aは、第3巻線13のR相巻線13aの途中から分岐して引き出され、1次側S相と共通の脚部鉄心4bに巻回されている。そして、先端が出力端子R3である。
S相巻線14bは、第3巻線13のS相巻線13bの途中から分岐して引き出され、第1巻線11のT相(或いは第2巻線12のT相)と共通の脚部鉄心4cに巻回されている。そして、先端が出力端子S3である。
またT相巻線14cは、第3巻線13のT相巻線13cの途中から分岐して引き出され、1次側R相と共通の脚部鉄心4aに巻回されている。そして、先端が出力端子T3である。
【0019】
第5巻線15の各相は次のように巻回されている。R相巻線15aは、第4巻線14と同一部位である第3巻線13のR相巻線13aの途中から分岐して引き出され、第1巻線11のT相(或いは第2巻線12のT相)と共通の脚部鉄心4cに巻回されている。そして、先端が出力端子R4である。
S相巻線15bは、第4巻線14と同一部位である第3巻線13のS相巻線13bの途中から分岐して引き出され、第1巻線11のR相(或いは第2巻線12のR相)と共通の脚部鉄心4aに巻回されている。そして、先端が出力端子S4である。
またT相巻線15cは、第4巻線14と同一部位である第3巻線13のT相巻線13cの途中から分岐して引き出され、第1巻線11のS相(或いは第2巻線12のS相)と共通の脚部鉄心4bに巻回されている。そして、先端が出力端子T4である。
【0020】
図3は2次側巻線L2の個々の巻線のベクトル説明図であり、第2巻線12のR1相を基準に各相を示している。この図3に示すように、第2巻線12の3相の巻線12a,12b,12cは、入力される三相電力Pと同様にそれぞれ120度の位相差を有する電圧を出力端子R1,S1,T1から出力する。
そして第3巻線13の各巻線13a,13b,13cの位相は、この第2巻線12に対して上述したように正反対の極性を示し、出力端子R2,S2,T2の位相は、第2巻線12のR1,S1,T1の各相に対して180度の位相差を有している。尚、第2巻線12に対する第3巻線13の巻回数は、0.73倍(√3-1倍)となっている。
【0021】
また図3に示すように、第4巻線14の第3巻線13から引き出した巻線14a,14b,14cの各出力端子R3,S3,T3の位相は、第2巻線12の各相と同位相の電圧を発生する。更に、第5巻線15の第3巻線13から引き出した巻線15a,15b,15cの各出力端子R4,S4,T4の位相は、第4巻線14と同様に第2巻線12の対応する各相の出力端子R1,S1,T1と同位相の電圧を発生する。
【0022】
図4は2次側の位相説明図で、第2巻線12のR1端子の位相に対する第3巻線13,第4巻線14,第5巻線15の出力位相を示している。
図4に示すように、第2巻線12の端子R1-T1間の電圧絶対値及び位相に対して、第2巻線12のR1端子と第4巻線14のT3端子間の電圧絶対値は等しく、位相は15度遅れている。また、第2巻線12のR1端子と第3巻線13のR2端子間の電圧絶対値は等しく、位相は30度遅れている。更に、第2巻線12のR1端子と第5巻線15のR4端子間の電圧絶対値は等しく、位相は45度遅れている。
【0023】
図5~7は、図4に示す特定の相間電圧が負荷6に印加される様子を示す説明図であり、変圧器1のベクトルで示す出力電圧が整流回路2で整流されて負荷6に印加される様子を示している。
図5は第2巻線12のR1-T1端子間の出力が負荷6に印加される様子を示し、図6は第2巻線12のR1端子と第4巻線14のT3端子の間の出力が負荷6に印加される様子を示し、図7は第2巻線12のR1端子と第3巻線13のR2端子の間の出力負荷6に印加される様子を示している。
このように、絶対値が等しい各相間電圧が整流されて負荷6に印加される。
【0024】
そして、このような各相の関係は、第2巻線12のS1端子の位相に対する第3巻線13,第4巻線14,第5巻線15の出力位相、第2巻線12のT1端子の位相に対する第3巻線13,第4巻線14,第5巻線15の出力位相も同様であり、絶対値が等しい相間電圧が生成されて負荷6に印加される。
【0025】
図8は、第3巻線13から第4巻線14及び第5巻線15を引き出す位置を示すベクトル説明図であり、以下このベクトル図を参照して第4巻線14、第5巻線15を引き出す位置Xを具体的に説明する。尚、図8に示すO点は、スター結線された第2巻線12及び第3巻線13の中性点、E1(O-R1間の電圧)は第2巻線12の出力電圧を示している。
図8に示すR1-T3間の電圧(A+B)を200Vとすると、R1-R2間の電圧も同様に200Vであり、電圧E1は200/√3=115.4Vとなる。
そして、 電圧A=電圧B/tan15°
また 電圧A=電圧B×3.723
であるため、電圧A=200-電圧Bを加味すると、
電圧A=200/(1+tan15°)=157.73V
となる。
【0026】
よって、
電圧B=200-電圧A=200-157.73=42.27V
R1-X間の電圧=A/cos15°=163.3V
R2-X間の電圧=(R1-R2間の電圧)-(R1-X間の電圧)=36.7V
となり、
O-X間の電圧=(R1-X間の電圧)-(R1-O間の電圧)
=163.3-115.46=47.83V
O-R2間の電圧=200-(R1-O間の電圧)
=200-115.46=84.54V
となる。
尚、電圧B=200-電圧A=42.27V
X-T3間の電圧=電圧B×√2=59.77V となる。
【0027】
これらの結果から、
(O-X間の電圧)/(O-R2間の電圧)=47.83/84.54=0.565
即ち、中性点(O点)から56.5%の位置となる。
また、2次側の各巻線を巻数比をみると、
第2巻線:第3巻線:第4巻線:第5巻線=1:0.73:0.52:0.52
となる。
【0028】
このように、2次側を構成する第2~第5の4つの巻線のうち、第4巻線14と第5巻線15は、第3巻線13の途中の中性点から56.5%の位置から分岐させるため、2分の1を超える領域で肩代わりさせることができ、単独で巻回形成するより巻回数を削減できる。よって、変圧器1全体の巻回数を削減でき、従来の12相の直流電圧を生成する変圧器1を2台連結して24相の直流電圧を生成するより小型化でき、またコストダウンを図ることができる。
また、第3巻線による出力電圧は、第2巻線の出力位相に対して180度反転した位相の電圧であり、12相の交流電圧を生成する際に都合が良いし、第3巻線13の巻回数も第2巻線12に比べて0.73倍に削減できるため、変圧器1を小型化できる。
加えて、第4巻線14による出力電圧の位相を、第2巻線12の同一相の出力に対して15度の位相差を生成でき、12相の電圧生成に有効である。また、第5巻線15による出力電圧の位相を、第2巻線12の同一相の出力に対して15度の位相差を生成でき、且つ第4巻線14に対して第2巻線12の同一相を挟んで30度の位相差を生成できる。よって、12相の電圧生成に有効である。
【0029】
尚、上記実施形態では、1次側巻線L1を構成する第1巻線11をデルタ結線としているが、2次側と同様にスター結線としても良い。
また、12相の電圧を出力する変圧器1を示したが、この変圧器1の第2巻線12の途中(中性点OとR1,S1,T1の各端子との間)から巻線を引き出せば、18相の多相電圧を出力させることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1・・変圧器(整流用多相変圧器)、2・・整流回路(整流手段)、4・・鉄心、4a,4b,4c・・脚部鉄心、11・・第1巻線、12・・第2巻線、13・・第3巻線、14・・第4巻線、15・・第5巻線、P・・三相電力、L1・・1次側巻線、L2・・2次側巻線、O・・中性点、X・・第4巻線及び第5巻線の引き出し位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8