(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20230101AFI20231201BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20231201BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B05B11/00 102Z
B05B11/00 102G
B65D47/34 100
F04B9/14 C
(21)【出願番号】P 2020130646
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213497(JP,A)
【文献】特開2001-301798(JP,A)
【文献】特開2021-160740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B11/00-11/10
B65D47/00-47/44
F04B 9/00- 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔に導く射出筒部と、
前記射出筒部の上方に配置された第1板部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記ノズル部材は、
前記射出筒部に前方から外嵌された装着筒部と、
前記装着筒部の上方に配置されると共に、前記第1板部に対して前記第1板部の下方から重なる第2板部と、を備え、
前記第2板部には、前記第1板部に形成された第1係止部に対して前記第1係止部の後方から係止する第2係止部が形成され、
前記第2板部は、前記第1板部と前記射出筒部との間で上下方向に挟み込まれていることを特徴とするトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
請求項1項に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記射出筒部のうち前記装着筒部よりも後方に位置する基端部には、上方に向けて突設され、前記第1板部との間で前記第2板部を下方から挟み込む突起部が形成されている、トリガー式液体噴出器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記噴出器本体は、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、
前記射出筒部は、前記貯留シリンダ内を通じて前記縦供給筒部内に連通している、トリガー式液体噴出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器において、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の移動に伴って前後に移動する主ピストンと、
前記主ピストンの移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部が前記縦供給筒部内に連通する主シリンダと、を備え、
前記トリガー部は、上下方向に延びるように形成されていると共に、前記射出筒部の下方に配置され、且つ上端部が前記ノズル部材に前後に揺動可能に軸支され、
前記主ピストンは、前記トリガー部における上下方向の中間部に係止され、
前記主シリンダ内には、前記主ピストンを介して前記トリガー部を前方に付勢する金属製の付勢部材が配設されている、トリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。
この種のトリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1に示されるように、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、液体を噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備えたトリガー式液体噴出器が知られている。
【0003】
噴出器本体は、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部から前方に向けて延びる射出筒部と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設され、後方への移動によって液体を縦供給筒部内及び射出筒部内を通じて噴出孔側に射出させるトリガー部と、トリガー部の前後動に伴って前後動する主ピストンと、縦供給筒部内に連通すると共に主ピストンの前後動に伴って内部が加圧及び減圧される主シリンダと、を主に備えている。
ノズル部材は、射出筒部に装着されることで噴出器本体に対して組み合わされている。
【0004】
上述のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を操作することで主ピストンを前後動させることができ、主シリンダ内の液体を縦供給筒部内及び射出筒部内を通じて噴出孔から外部に噴出させることや、容器体内の液体を、縦供給筒部内を通じて主シリンダ内に吸い上げることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでトリガー式液体噴出器では、一般的にトリガー部の上方にノズル部材が配設され、ノズル部材によってトリガー部の上端部が軸支されている構成とされている。それに加えてトリガー部は、常に前方に付勢されている状態とされている。そのため、ノズル部材には、トリガー部に加えられる前方付勢力に起因して、常に上方に向けた応力が加わり易い。従って、ノズル部材は時間経過と共に応力が蓄積することによって、例えば部分的に凹む或いは反る等の経時的な変形(経時劣化)が生じるおそれがあり、噴出器本体からノズル部材が外れてしまう可能性があった。
【0007】
特に、近年の浴室乾燥機の普及等によって、比較的高い温度環境下において使用、保管等がなされる状況が増えており、主に合成樹脂材料によって成形されるノズル部材の剛性が低下し易い状況が想定される。このような状況下においては、ノズル部材の経時劣化を早めてしまうので、上記不都合が生じ易くなってしまう。そのため、高い温度環境下での使用、保管等を想定した場合、より高い耐久性が求められる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、噴出器本体に対してノズル部材を強固に組付けることができ、耐久性の向上化、及び安定した噴出性能を維持することができるトリガー式液体噴出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延在し、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に配設され、前記縦供給筒部内の液体を前記噴出孔に導く射出筒部と、前記射出筒部の上方に配置された第1板部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記射出筒部内を通じて前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記ノズル部材は、前記射出筒部に前方から外嵌された装着筒部と、前記装着筒部の上方に配置されると共に、前記第1板部に対して前記第1板部の下方から重なる第2板部と、を備え、前記第2板部には、前記第1板部に形成された第1係止部に対して前記第1係止部の後方から係止する第2係止部が形成され、前記第2板部は、前記第1板部と前記射出筒部との間で上下方向に挟み込まれていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、トリガー部を操作して後方に移動させることで、液体を縦供給筒部内から射出筒部を通じて噴出孔側に向けて流通させることができる。これにより、ノズル部材の噴出孔を通じて液体を前方に向けて噴出させることができる。
【0011】
特にノズル部材は、射出筒部に対して装着筒部が外嵌されていることで噴出器本体に組付けられているだけでなく、第2係止部が第1係止部に後方から係止した状態で第2板部が第1板部に下方から重なり、且つ第2板部が第1板部と射出筒部との間で上下方向に挟み込まれている。従って、射出筒部に対してノズル部材が前方に相対移動するような抜け止め(ノズル抜けの抑制)を行いつつ、噴出器本体に対してノズル部材が上下方向に変位するような挙動を抑制することができる。
そのため、トリガー部に加えられる前方付勢力に起因して、ノズル部材を上方に押上げるような応力がノズル部材に加わったとしても、ノズル部材の上方への変位を抑制することができる。従って、第1係止部と第2係止部とを適切に係止させた状態を維持することができると共に、射出筒部と装着筒部との間に例えばがたつき或いは緩み等が生じることを抑制することができる。従って、噴出器本体に対してノズル部材を強固に組付けることができ、耐久性の向上化を図ることができると共に安定した噴出性能を維持することができる。さらに、比較的に高い温度環境下での使用や保管等にも対応することができ、利便性を高めることができる。
【0012】
(2)前記射出筒部のうち前記装着筒部よりも後方に位置する基端部には、上方に向けて突設され、前記第1板部との間で前記第2板部を下方から挟み込む突起部が形成されても良い。
【0013】
この場合には、突起部を形成するだけの簡便な構成で、第2板部を第1板部と射出筒部との間で上下方向に挟み込むことができる。特に、射出筒部に突起部を部分的に形成するだけで済むので、例えば射出筒部を全周に亘って肉厚に形成する必要がない。そのため、材料コストの削減化や、重量軽減化等を図り易い。さらに、射出筒部の基端部(根元)に突起部が形成されているので、トリガー部側からの応力によって、射出筒部の基端部付近でノズル部材が部分的に凹む或いは反る等の変形が生じることを効果的に抑制することができる。これにより、第1係止部と第2係止部との係止状態を確実に維持し易い。
【0014】
(3)前記噴出器本体は、前記トリガー部の後方への移動によって、前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内に前記貯留シリンダの中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動すると共に、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、を備え、前記射出筒部は、前記貯留シリンダ内を通じて前記縦供給筒部内に連通しても良い。
【0015】
この場合には、トリガー部を操作して後方に移動させることで、縦供給筒部内を通じて貯留シリンダ内に液体を供給しながら噴出させることができると共に、貯留シリンダ内を加圧することができる。これにより、貯留プランジャを前方付勢に抗して軸方向の一方側に向けて押圧することができ、液体を噴出しながら貯留プランジャを軸方向の一方側に向けて移動させることができる。従って、トリガー部を引く操作を行う毎に、貯留プランジャを軸方向の一方側に移動させて、貯留シリンダ内に液体を溜めながら(充填しながら)、液体を噴出することができる。
なお、貯留シリンダ内への液体の充填後、トリガー部の操作を停止すると、縦供給筒部内を通じた貯留シリンダ内への液体の供給が停止するが、貯留プランジャが軸方向の他方側に向けて復元移動しはじめる。これにより、貯留シリンダ内に充填した液体を、貯留シリンダ内から射出筒部を通じて噴出孔側に向けて押し出すことができ、噴出孔から噴出させることができる。従って、液体の連続噴出を行うことが可能となる。
【0016】
このような液体の連続噴出を行う場合、貯留プランジャを前方付勢に抗して軸方向の一方側に向けて押圧する必要があるので、トリガー部を操作する際に、トリガー部を強く牽引することが求められる。そのため、トリガー部を前方付勢する付勢力を高めに設定する必要があり、これによってノズル部材を上方に押上げるような応力が特に加わり易い。
しかしながら、このような場合であっても、先に述べたようにノズル部材の上方に向けた変位を抑制することができるので、噴出器本体に対するノズル部材の組付けを強固に維持しながらトリガー部の操作を行うことができる。
【0017】
(4)前記トリガー機構は、前記トリガー部の移動に伴って前後に移動する主ピストンと、前記主ピストンの移動に伴って内部が加圧及び減圧し、且つ内部が前記縦供給筒部内に連通する主シリンダと、を備え、前記トリガー部は、上下方向に延びるように形成されていると共に、前記射出筒部の下方に配置され、且つ上端部が前記ノズル部材に前後に揺動可能に軸支され、前記主ピストンは、前記トリガー部における上下方向の中間部に係止され、前記主シリンダ内には、前記主ピストンを介して前記トリガー部を前方に付勢する金属製の付勢部材が配設されても良い。
【0018】
この場合には、トリガー部を操作して後方に移動させることで、主ピストンを最前方位置から後方に移動させて主シリンダ内を加圧することができる。これにより、主シリンダ内の液体を縦供給筒部内に供給することができ、加圧した液体を、噴出孔を通じて勢いよく噴出させることができる。なお、トリガー部の操作を停止すると、該トリガー部は付勢部材による弾性復元力(付勢力)によって前方に復元移動するので、これに伴って主ピストンを主シリンダ内で前方に向けて復元移動させることができる。これにより、主シリンダ内の圧力を減圧させて容器体内の圧力よりも負圧にすることができ、容器体内の液体を縦供給筒部内に吸い上げて主シリンダ内に導入することができる。そのため、次回の噴出に備えることができる。
【0019】
特に金属製の付勢部材を利用するので、弾性復元力の低下を招き難く、トリガー部を長期に亘って安定して前方付勢することができる。さらに、トリガー部を操作する際の牽引力を高めることが可能である。そのため、液体の噴出圧を高めることができ、液体をさらに勢いよく噴出させることが可能である。従って、上述した連続噴出と併用して組み合わせることが有効である。
【0020】
さらにトリガー部は上端部(支点)がノズル部材に前後に揺動可能に軸支され、トリガー部の中間部(作用点)に主ピストンが係止されているので、例えばトリガー部の下端部(力点)を操作することで、いわゆるてこの原理を利用して、主ピストンを効率良く移動させることができる。そのため、トリガー部の操作性を向上することができる。
なお、トリガー部の上端部がノズル部材に軸支されていることで、付勢部材による前方付勢力(弾性復元力)に起因して、ノズル部材を上方に押上げるような応力がさらに加わり易い。しかしながら、先に述べたように、上方に向けたノズル部材の変位を抑制することができるので、噴出器本体に対するノズル部材の強固な組付けを維持しながら、トリガー部の操作を行うことができる。それに加え、比較的に高い温度環境下での使用や保管等にも適切に対応することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るトリガー式液体噴出器によれば、噴出器本体に対してノズル部材を強固に組付けることができ、耐久性の向上化、及び安定した噴出性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示すトリガー式液体噴出器における貯留プランジャの周辺を拡大した縦断面図である。
【
図3】
図2に示す射出筒部の後端部の周辺をさらに拡大した縦断面図である。
【
図4】
図3に示すA-A線に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0025】
(噴出器本体)
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、装着キャップ14と、射出筒部11と、トリガー機構50と、貯留シリンダ90と、支持部材60と、貯留プランジャ80と、付勢部材81と、ボール弁(第1逆止弁)19、貯留弁(第2逆止弁)20と、カバー体100と、を主に備えている。
【0026】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0027】
さらに本実施形態では、貯留シリンダ90の中心軸線を軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向に延びている。従って、本実施形態において前後方向は、貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向に相当する。
また、本実施形態において後方は、貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向のうちの一方側に相当し、前方は貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向のうちの他方側に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向と一致していなくても良い。
【0028】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、有頂筒状の外筒12と、外筒12内に嵌合された内筒13とを有している。外筒12及び内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸より後方に位置している。
【0029】
外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配置され、且つ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結した環状連結部12cとを有している。小径部12bは、有頂円筒状に形成され、軸線O1と同軸に配設されている。
図2に示すように、小径部12bの頂壁部12dは、貯留シリンダ90と一体に形成されている。
【0030】
図1に示すように、内筒13は、大径部13aと、大径部13aの上方に配置され、且つ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下側部分とを連結した環状連結部13cとを有している。
【0031】
大径部13aは、外筒12の大径部12a内に配設されている。大径部13aの下端部は、外筒12の大径部12aよりも下方に突出している。大径部13aのうち外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、大径部13aの径方向の外側に向けて突出した環状の鍔部13dが形成されている。鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止している。鍔部13dは、装着キャップ14の上端部と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
【0032】
小径部13bは、軸線O1と同軸に配設され、上下方向の両方に開口した円筒状に形成されている。小径部13bは、外筒12の小径部12b内に配設されている。なお、小径部13bの上端開口縁は、外筒12の頂壁部12dから僅かに下方に離れている。小径部13bの下側部分の内側には、上下方向に延びるパイプ15の上部が嵌合されている。なお、パイプ15の下端開口部は、容器体Aの図示しない底部に位置している。
【0033】
環状連結部13cの上面と、外筒12の環状連結部12cの下面との間には、上下方向に隙間S1が設けられている。
【0034】
図2に示すように、内筒13の内周面には、弁座部13eが形成されている。図示の例では、弁座部13eは、内筒13のうち弁座部13eよりも上側に位置する部分の内径を、弁座部13eより下側に位置する部分の内径よりも大きくする段差によって形成されている。弁座部13eの上面に、貯留弁20が着座している。
【0035】
図1に示すように、内筒13の内周面のうち、弁座部13eより下側に位置し、且つパイプ15の上端部より上側に位置する部分には、外径が内筒13の内径より小さい円筒状の支持筒部16が設けられている。支持筒部16は、軸線O1と同軸に配設され、内筒13の内周面から上方に向けて突出している。支持筒部16の上端開口縁には、ボール弁19が上方に向けて離反可能に配置されている。
【0036】
外筒12と内筒13との間には、回収通路17が設けられている。回収通路17は、軸線O1よりも後方に位置していると共に、上下方向に延び、且つ上下方向の両方に開口している。
具体的に回収通路17は、内筒13の小径部13bの外周面に形成された縦溝とされている。回収通路17は、小径部13bにおける上下方向の全長に亘って設けられ、下端部が大径部13a内に開口している。これにより、回収通路17は、容器体A内と連通している。
【0037】
図1及び
図2に示すように、縦供給筒部10の上端部には、前方に向けて延びる接続筒部30が設けられている。
接続筒部30は、前方に開口し、後方が閉塞された有底筒状に形成されている。接続筒部30の底部31は、外筒12の上端部と一体に形成されている。底部31には、底部31を前後方向に貫通する貫通孔31aが形成されている。
【0038】
貫通孔31aは、内筒13の上端部に形成された貫通孔13fに向けて開口している。なお、貫通孔13fは、内筒13の小径部13bのうち弁座部13eよりも上方に位置する部分に形成されている。これにより、接続筒部30内は、貫通孔31a及び貫通孔13fを通じて、内筒13内のうち弁座部13eより上方に位置する部分に連通している。
なお、接続筒部30の内径は、内筒13の内径以上となっている。また接続筒部30の前端部内には、閉塞栓32が密に嵌合されている。
【0039】
閉塞栓32は、栓本体32aと、フランジ部32bとを備えている。
栓本体32aは、前方に向けて開口し、且つ後方が閉塞された有底筒状に形成され、接続筒部30の前端部内に密に嵌合されている。これにより、閉塞栓32は、接続筒部30の前端開口部を閉塞している。
フランジ部32bは、栓本体32aの前端開口縁から外側に張り出している。フランジ部32bは、栓本体32aが接続筒部30に装着された状態において、接続筒部30の前端開口縁に前方から突き当たっている。
【0040】
図1に示すように、接続筒部30の下方には、シリンダ用筒部40が設けられている。
シリンダ用筒部40は、外筒12の小径部12bから前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。なお、シリンダ用筒部40の下端部の後側部分は、外筒12の環状連結部12cと一体に形成されている。
【0041】
シリンダ用筒部40の周囲には、上側リブ45及び下側リブ46が設けられている。
上側リブ45は、シリンダ用筒部40と接続筒部30との間に架け渡されるように形成されている。この際、上側リブ45は、例えばシリンダ用筒部40の直上を回避した位置で、シリンダ用筒部40の軸線回りの周方向に間隔をあけて一対設けられている。各上側リブ45は、下端がシリンダ用筒部40の外周面に接続され、上端が接続筒部30の外周面に接続された状態で前後方向に延びている。
【0042】
下側リブ46は、シリンダ用筒部40と大径部12aとの間に架け渡されるように形成されている。この際、下側リブ46は、例えばシリンダ用筒部40の直下を回避した位置で、シリンダ用筒部40の軸線回りの周方向に間隔をあけて一対設けられている。各下側リブ46は、上端がシリンダ用筒部40の外周面に接続され、後端が大径部12aの外周面に接続されている。
なお、上側リブ45はシリンダ用筒部40の直上に設けられていても良く、また下側リブ46はシリンダ用筒部40の直下に設けられていても良い。
【0043】
シリンダ用筒部40の内側には、外筒12の小径部12bから前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口した嵌合筒部41が設けられている。
嵌合筒部41は、シリンダ用筒部40と同軸に配設されている。なお、嵌合筒部41の前端部は、シリンダ用筒部40の前端部よりも後方に位置している。
【0044】
外筒12の内周面と、内筒13の外周面との間には、上下方向に延びると共に、嵌合筒部41内と内筒13の大径部13a内とを連通する接続通路18が形成されている。これにより、接続通路18は、大径部13a内を通じて嵌合筒部41内と容器体A内とを連通している。なお、接続通路18は、回収通路17に対して軸線O1回りに離れていると共に、軸線O1よりも前方に位置している。
【0045】
射出筒部11は、前後方向に延びていると共に、貯留シリンダ90内及び接続筒部30内を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。射出筒部11は、貯留シリンダ90における前壁部92から前方に向けて延び、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通過した液体を噴出孔4に導いている。射出筒部11の中心軸線は、軸線O2と平行に配置されている。なお、図示の例では、射出筒部11の中心軸線は貯留シリンダ90の軸線O2よりも上方に位置している。
【0046】
トリガー機構50は、トリガー部51と、主シリンダ53と、主ピストン52と、コイルばね(付勢部材)54とを備え、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0047】
トリガー部51は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部51は、上下方向に延びるように形成されていると共に、射出筒部11の下方に配置されている。
【0048】
トリガー部51は、上端部がノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支されている。具体的にトリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材51aと、主板部材51aの左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材51bと、を備えている。
一対の側板部材51bの上端部には、ノズル部材3の側方に至るまで上方に延出し、ノズル部材3を左右方向から挟み込む一対の連結板51cが形成されている。一対の連結板51cには、左右方向の外側に向けて回転軸部55が突設されている。これら回転軸部55は、ノズル部材3の側方に設けられた軸受部56に回動可能に支持されている。
これにより、トリガー部51は、回転軸部55を中心に前後方向に揺動可能に支持されている。
【0049】
図1及び
図2に示すように、主シリンダ53は、トリガー部51の後方に配置され、トリガー部51に対して前後方向に対向して配置されている。主シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部53aと、外筒部53aの後端開口を塞ぐ後壁部53bと、後壁部53bの中央部分から前方に向けて突出した筒状のピストンガイド53cと、後壁部53bのうちピストンガイド53cよりも上方に位置する部分から後方に向けて突出し、前後方向の両方に開口した筒状の連通筒部53dと、を有している。
【0050】
外筒部53aは、シリンダ用筒部40と同軸に配置されて、シリンダ用筒部40内に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部53aの外周面とは、前後方向の両端部において互いに密接している。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部53aの外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部には、環状の隙間S2が設けられている。
【0051】
外筒部53aの前端開口縁には、位置決め片53fが形成されている。位置決め片53fは、外筒部53aの前端開口縁から直上に延びた後、外筒部53aの軸線に沿って後方に延びている。なお、位置決め片53fは、上述した一対の上側リブ45の間に挿入されている。位置決め片53fは、主シリンダ53をシリンダ用筒部40に組み付ける際に、シリンダ用筒部40に対する主シリンダ53の周方向の位置決めを行う役割を果たしている。
なお、位置決め片53fは、外筒部53aの直上に配置されている場合に限られるものではなく、例えば外筒部53aの直下に配置され、一対の下側リブ46の間に挿入されていても構わない。
【0052】
外筒部53aには、外筒部53aの内側と隙間S2とを連通させる第1通気孔53gが形成されている。
図1に示すように、外筒12の環状連結部12cには、上記隙間S2と、外筒12の環状連結部12cと内筒13の環状連結部13cとの間の隙間S1と、を連通させる第2通気孔12fが形成されている。さらに、内筒13の環状連結部13cには、隙間S1と、装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔13gが形成されている。
【0053】
連通筒部53dは、外筒12及び内筒13に形成された各貫通孔に一体に嵌合されている。縦供給筒部10の内筒13内と主シリンダ53内とは、連通筒部53d内を通じて互いに連通している。なお、連通筒部53dの後端部は、内筒13の内部に突出している。
連通筒部53dが嵌合された貫通孔は、内筒13の小径部13b内のうち、弁座部13eと支持筒部16との間に位置する部分に開口している。従って、支持筒部16の上端開口縁に離反可能に着座したボール弁19は、容器体A内と主シリンダ53内との連通及びその遮断を切り替えることが可能とされている。
【0054】
ボール弁19は、主シリンダ53内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ53内との連通を遮断すると共に、主シリンダ53内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ53内との連通を許容する逆止弁とされている。
ボール弁19の上方には、貯留弁20が配置されているため、貯留弁20によってボール弁19の上方への過度の変位が規制される。なお、ボール弁19は、連通筒部53dの後端部によって、上方への過度の変位が規制されてもよい。
【0055】
ピストンガイド53cは、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成され、外筒部53aの内側に配置されている。ピストンガイド53cの前端部は、外筒部53aの前端部よりも後方に位置している。ピストンガイド53cの底部は環状に形成され、内側に嵌合筒部41が嵌合されている。なお、嵌合筒部41の前端部は、ピストンガイド53cの内部に突出している。
ピストンガイド53cは、嵌合筒部41と同軸に配設されている。ピストンガイド53cの後端部における外周面には、環状の窪み部53eが形成されている。
【0056】
主ピストン52は、主シリンダ53の内部に前後方向に移動可能に配置され、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動可能とされている。主シリンダ53の内部は、主ピストン52の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。
主ピストン52は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成され、主シリンダ53と同軸に配設されている。なお、主ピストン52は、トリガー部51における上下方向の中間部に係止されている。
【0057】
主ピストン52は、トリガー部51と共にコイルばね54の付勢力によって前方に付勢されている。主ピストン52は、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。
主ピストン52は、後方に開口して内部にピストンガイド53cが挿入されたピストン本体部52aと、ピストン本体部52aの後端部からその径方向の外側に向けて突出し、且つ外筒部53aの内周面に摺接する摺動筒部52bと、を有している。
【0058】
ピストン本体部52aは、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。ピストン本体部52aの内径は、ピストンガイド53cの外径よりも僅かに大きく形成されている。ピストン本体部52aの前端部は、トリガー部51の後方からトリガー部51に当接することで、トリガー部51に係止されている。
ピストン本体部52aの後端部には、その径方向の内側に向けて突出し、ピストンガイド53cの外周面に対して摺接する環状の内側リップ部52cが形成されている。これにより、内側リップ部52cとピストンガイド53cの外周面との間に、シール性が確保されている。
【0059】
なお、主ピストン52が後方に移動することで、内側リップ部52cがピストンガイド53cの窪み部53eに達すると、内側リップ部52cと窪み部53eとの間に若干の隙間が形成される。この隙間を通じて、主シリンダ53の外筒部53a内と、ピストン本体部52aの内周面とピストンガイド53cの外周面との間の隙間と、が連通する。これにより、外筒部53a内が、ピストンガイド53c内を通じて嵌合筒部41内に連通する。
なお、内側リップ部52cは、主ピストン52が最後方位置に位置したときに窪み部53eに達する。
【0060】
摺動筒部52bは、前後方向の中央部から前方及び後方に向かうに従って各別に拡径している。摺動筒部52bは、前後方向の両端部に位置する外側リップ部52dを有している。外側リップ部52dは、外筒部53aの内周面に対して密に摺接する。これにより、外側リップ部52dと外筒部53aの内周面との間に、シール性が確保されている。
【0061】
主ピストン52は、トリガー部51が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。この際、摺動筒部52bは、外筒部53aに形成された第1通気孔53gを閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によって主ピストン52が最前方位置から所定量だけ後方に移動したときに、摺動筒部52bは第1通気孔53gを開放する。これにより、第1通気孔53gは、外筒部53a内を通してトリガー式液体噴出器1の外部に開放される。
このことによって、容器体Aの内部は、内筒13の環状連結部13cに形成された第3通気孔13g、隙間S1、第2通気孔12f、隙間S2及び第1通気孔53gを通じてトリガー式液体噴出器1の外部に連通することが可能とされている。
【0062】
コイルばね(付勢部材)54は、金属製とされ、主ピストン52及び主シリンダ53と同軸に配設され、主ピストン52を介してトリガー部51を前方に付勢している。
コイルばね54は、ピストンガイド53cの内部とピストン本体部52aの内部とに跨って配置されている。コイルばね54の後端部は、嵌合筒部41の前端部を囲んだ状態で、ピストンガイド53cの底部(後壁部53b)に支持されている。コイルばね54の前端部は、ピストン本体部52a内に形成された後方を向く段面に支持されている。
【0063】
上述のように構成されたトリガー部51と、主シリンダ53との間の前後方向の隙間には、ストッパTが着脱可能に設けられている。
ストッパTは、トリガー部51及び主シリンダ53のそれぞれに当接することで、トリガー部51の後方への揺動を規制する規制部材である。なお、使用者は、取り外したストッパTを廃棄しても構わないし、トリガー式液体噴出器1の使用が終了した後に再びストッパTを取り付けてトリガー部51の後方への揺動を規制しても構わない。
【0064】
図1及び
図2に示すように、貯留シリンダ90は、縦供給筒部10及び接続筒部30の上方に配置されている。貯留シリンダ90の内部には、トリガー部51の後方への揺動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通過した液体が供給される。貯留シリンダ90は、縦供給筒部10を前後方向に跨ぐように前後方向に延びており、図示の例では接続筒部30及びシリンダ用筒部40に対してほぼ平行に配置されている。なお、貯留シリンダ90の下端部は、縦供給筒部10の上端部及び接続筒部30の上端部と一体に形成されている。
【0065】
貯留シリンダ90は、前端部に位置する前壁部92と、前壁部92から後方に向けて延びたシリンダ筒93とを有し、全体として後方に開口し、且つ前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
【0066】
前壁部92は、接続筒部30における前後方向の中間部分から上方に向けて突出している。前壁部92には、前壁部92を前後方向に貫通する連通孔95が形成されている。連通孔95は、円形状に形成されていると共に軸線O2と同軸に配設されている。これにより、貯留シリンダ90内のうち後述する貯留空間90aと、噴出孔4に連通する射出筒部11の内部とは、連通孔95を通じて連通する。なお、連通孔95は、シリンダ筒93に形成されてもよい。
【0067】
シリンダ筒93は、前壁部92から後方に向けて延びる前筒部96と、前筒部96よりも外径及び内径が大きく、前筒部96よりも後方に位置する後筒部97と、前筒部96及び後筒部97を前後方向に連結する段部98とを有している。
段部98は、前方から後方に向かうに従い拡径している。前筒部96と段部98との接続部分には、外筒12の頂壁部12dが接続されている。後筒部97は、縦供給筒部10よりも後方に位置している。
【0068】
さらに貯留シリンダ90には、供給孔91と、連絡溝94と、回収孔99と、が形成されている。
供給孔91は、前筒部96における前端部の下側部分に形成され、接続筒部30内において栓本体32aより後方に位置する部分に開口している。これにより、貯留シリンダ90内には、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通過した液体が供給孔91を通じて供給される。
【0069】
連絡溝94は、前筒部96の後部における内周面に形成され、軸線O2回りに間隔をあけて複数配置されている。
回収孔99は、前筒部96と段部98との接続部分、及び外筒12の頂壁部12dを一体に上下方向に貫通している。回収孔99は、縦供給筒部10に設けられた回収通路17の上端部に向けて開口している。これにより、回収孔99は、回収通路17を通じて容器体A内に連通している。なお、回収孔99の前端部に、複数の連絡溝94のうち下側に位置する連絡溝94の後端部が開口している。
【0070】
支持部材60は、貯留シリンダ90の後端部に固定され、軸線O2と同軸に配設されている。支持部材60は、後端部に位置する支持壁部62と、支持壁部62から前方に向けて延びる固定筒部61とを有し、全体として前方に開口すると共に、後方が閉塞された有底筒状に形成されている。
【0071】
固定筒部61は、貯留シリンダ90の後端部内に、後方への移動、及び軸線O2回りの回転移動が規制された状態で嵌合されている。支持壁部62は環状に形成されており、支持壁部62の内側を通じて、外部と、貯留シリンダ90内において貯留プランジャ80より後方に位置する部分と、が連通可能とされている。
支持壁部62には、前方に向けて突出した係止突起63が形成されている。係止突起63は、軸線O2回りに間隔をあけて複数設けられ、後筒部97に形成された係止凹部97a内に前方から係止されている。これにより、固定筒部61は、貯留シリンダ90からの後方への抜けが規制されている。
【0072】
貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内に軸線O2に沿う前後方向に移動可能に配置されている。貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留プランジャ80は、連通孔95を通じた縦供給筒部10内と噴出孔4との連通を遮断し、且つ後方に移動したときに、連通孔95を通じて縦供給筒部10内と噴出孔4とを連通する。
【0073】
貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内を前後方向に摺動する摺動部材24と、摺動部材24内に嵌合された受け部材33と、を有している。摺動部材24及び受け部材33は、前後方向に延びる筒状に形成され、軸線O2と同軸に配設されている。
【0074】
摺動部材24は、例えば受け部材33及び貯留シリンダ90よりも軟質の材料により形成され、前後方向に延びるプランジャ筒25と、プランジャ筒25の前端開口を閉塞する閉塞壁26と、を有している。
プランジャ筒25の外周面には、全周に亘って前側リップ部25a及び後側リップ部25bが突設されている。
【0075】
前側リップ部25aは、シリンダ筒93における前筒部96の内周面上を前後方向に密に摺動する。これにより、前側リップ部25aと前筒部96の内周面との間には、シール性が確保されている。
【0076】
具体的に前リップ部25aは、プランジャ筒25の外周面から前方に向けて突出した円筒状に形成されている。前側リップ部25aの内周面と、プランジャ筒25の前端部の外周面との間には、隙間が設けられている。さらに、プランジャ筒25のうち前側リップ部25aより前方に位置する前端部は、該前端部より後方に位置する部分よりも縮径している。プランジャ筒25の前端部の外周面と、貯留シリンダ90の内周面との間には、隙間が設けられている。
そして、上記隙間に、前側リップ部25aの内側、及び貯留シリンダ90に形成された供給孔91が開口している。従って、上記隙間は、縦供給筒部10内を通過した液体が貯留され、且つ液体の供給によって貯留プランジャ80が後方に向けて移動することで拡張する貯留空間90aとして機能する。
【0077】
後側リップ部25bは、シリンダ筒93における後筒部97の内周面上を前後方向に密に摺動する。これにより、後側リップ部25bと後筒部97の内周面との間に、シール性が確保されている。後側リップ部25bは、プランジャ筒25の後端外周縁から前方に向けて突出した円筒状に形成されている。後側リップ部25bの内周面と、プランジャ筒25の後端部の外周面と、の間に隙間が設けられている。
【0078】
閉塞壁26は、貯留シリンダ90の前壁部92の後面のうち連通孔95の開口周縁部に位置する部分に押し付けられている。閉塞壁26の前面には、前方に突出する突出部26aが形成されている。
突出部26aは、軸線O2と同軸に配設された円錐台状に形成され、後方から前方に向かうに従って外径が小さくなっている。これにより、突出部26aの外周面が連通孔95の後端部内に当接することで、連通孔95が閉塞されている。
【0079】
受け部材33は、受け筒34と、受け座部35とを有している。
受け筒34は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されており、プランジャ筒25の内側に配置されている。受け筒34の後側部分は、プランジャ筒25の後端開口部よりも後方に突出すると共に、シリンダ筒93の後筒部97内に進出している。受け筒34の外径は、後筒部97の内径よりも小さくなっている。これにより、受け筒34の後側部分の外周面と後筒部97の内周面との間には、環状の隙間が設けられている。そして、上記隙間に付勢部材81の前側部分が差し込まれている。
【0080】
受け座部35は、受け筒34における後側部分の外周面から突出したフランジ状に形成されている。受け座部35の前面は、プランジャ筒25の後端開口縁に当接、若しくは近接している。
【0081】
付勢部材81は、貯留プランジャ80を前方に向けて付勢している。付勢部材81は、受け筒34の後側部分を囲みつつ、受け座部35と支持部材60における支持壁部62との間に、前後方向に圧縮された状態で配置されている。これにより、付勢部材81は、前端縁が受け座部35の後面に当接し、且つ後端縁が支持壁部62の前面に当接している。
なお、付勢部材81は、軸線O2と同軸に配設された金属製のコイルばねとされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば付勢部材81として樹脂製のばねを用いても良いし、その他の弾性を有する部材を用いても構わない。
【0082】
上述のように構成された貯留プランジャ80が、付勢部材81に抗して後方に移動することで、閉塞壁26が貯留シリンダ90の前壁部92から後方に離れたときに、連通孔95が開放される。従って、貯留プランジャ80が後方に移動するまでは、貯留シリンダ90の貯留空間90aで液体が加圧される。そして、貯留空間90aの液圧が所定値に達すると、貯留プランジャ80が付勢部材81に抗して後方に移動する。これにより、貯留空間90aの液体を、連通孔95を通じて噴出孔4側に供給することが可能とされている。従って、貯留プランジャ80は蓄圧弁として機能する。
【0083】
貯留弁20は、縦供給筒部10の内筒13内に設けられている。
貯留弁20は、縦供給筒部10内から貯留シリンダ90内への液体の供給を許容すると共に、貯留シリンダ90内から縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。具体的に貯留弁20は、内筒13の上端部内に固定された固定部21と、弁座部13eの上面に配置された弁本体部22と、固定部21と弁本体部22とを連結する弾性変形部23と、を有している。
【0084】
固定部21は、円板状に形成され、内筒13の上端部内に密に嵌合されている。
弁本体部22は、上下方向に延びる柱状に形成され、連通筒部53dの後端開口に対して前後方向に対向している。弁本体部22の下端面は、ボール弁19に対して上下方向に対向している。
弁本体部22の外周面において、連通筒部53dより上方に位置する部分には、弁座部13eの上面に上方に離反可能に配置されたフランジ状の弁板部22aが形成されている。弾性変形部23は、上下方向に弾性変形可能に形成されている。弾性変形部23は、主シリンダ53内が加圧されたときに、弁本体部22が上方に変位することで、上方に向けて圧縮変形する。これにより、弁板部22aが弁座部13eから上方に離反し、縦供給筒部10内から貯留シリンダ90内への液体の供給を許容することが可能とされている。
【0085】
カバー体100は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部11の全体、及び貯留シリンダ90の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0086】
上述のように構成された噴出器本体2において、
図1~
図3に示すように、射出筒部11の上方には第1連結プレート(第1板部)110が形成されている。
第1連結プレート110は、貯留シリンダ90における前壁部92の上端部から前方に向けて延びるプレート状に形成されている。これにより、第1連結プレート110は、前後方向及び左右方向に延びる平面視矩形状に形成されている。
第1連結プレート110には、該第1連結プレート110を上下方向に貫通する係止孔(第1係止部)111が形成されている。なお係止孔111の形状は、特に限定されるものではないが、例えば平面視矩形状に開口するように形成されている。
【0087】
さらに第1連結プレート110の上面には、
図3及び
図4に示すように、上方に向けて突設され、カバー体100に対して下方から接触する膨出部112が形成されている。
具体的に膨出部112は、上方に向けて縦断面視で半球状に膨らむように形成されていると共に、第1連結プレート110の全長に亘って前後方向に延びるように横長に形成されている。さらに、膨出部112は、係止孔111を挟んで左右方向に平行に並ぶように一対設けられている。
ただし、膨出部112の形状や形成位置は、この場合に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0088】
第1連結プレート110は、上述した膨出部112によって、カバー体100に対して下方から接触しており、上方に向けた変位が抑制されている。
【0089】
(ノズル部材)
図1及び
図2に示すように、ノズル部材3は、主に射出筒部11を利用して噴出器本体2に組付けられている。
ノズル部材3は、射出筒部11に前方から外嵌された装着筒部120と、装着筒部120から下方に向けて延びる規制壁121と、装着筒部120から上方に向けて延びる連結壁122と、装着筒部120における前端部の内側に位置するノズル軸部123と、連結壁122から後方に向けて延びる第2連結プレート(第2板部)124とを備えている。
【0090】
装着筒部120は、規制壁121及び連結壁122よりも前方に向けて延びる前側筒部120aと、規制壁121及び連結壁122よりも後方に向けて延びる後側筒部120bと、を備えている。装着筒部120は、後側筒部120bが射出筒部11に対して前方側から密に外嵌されている。
装着筒部120における後側筒部120bは、射出筒部11の全長に亘って外嵌されているわけではなく、射出筒部11のうち基端部、すなわち後端部(根元側)を除いた部分に外嵌されている。これにより、後側筒部120bの後端縁は、前壁部92との間に前後方向の隙間をあけた状態で前壁部92の前方側に配置されている。
【0091】
ノズル軸部123は、装着筒部120における前側筒部120aの内側に射出筒部11と同軸に配置されている。なお、ノズル軸部123の中心軸線は、貯留シリンダ90の軸線O2に対して僅かに上方に位置している。ノズル軸部123の前端部は、装着筒部120における前側筒部120aの前端部よりも僅かに後方に位置している。
【0092】
ノズル軸部123には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されたノズルキャップ125が装着されている。なお、噴出孔4は、射出筒部11と同軸に配設されている。なお、ノズル軸部123の外面とノズルキャップ125の内面との間には、装着筒部120における前側筒部120aの内部のうちノズル軸部123よりも後方に位置する部分と、噴出孔4とを連通する図示しない連絡路が設けられている。
【0093】
規制壁121は、その下端縁がトリガー部51の上端部に対して上方から当接することで、トリガー部51を最前方揺動位置に位置決めしており、トリガー部51のそれ以上の前方への揺動を規制している。
【0094】
第2連結プレート124は、連結壁122の上端部側から後方に向けて延びるプレート状に形成されている。これにより、第2連結プレート124は、前後方向及び左右方向に延びる平面視矩形状に形成され、第1連結プレート110に対して平行に配置されている。第2連結プレート124は、装着筒部120と第1連結プレート110との間に位置するように形成されていると共に、第1連結プレート110に対して下方から重なるように配置されている。
【0095】
図3及び
図4に示すように、第2連結プレート124には、上方に向けて突出すると共に、第1連結プレート110に形成された係止孔111内に入り込んで、該係止孔111に対して後方から係止された係止突起(第2係止部)126が形成されている。これにより、ノズル部材3の全体は、射出筒部11に対して前方に相対移動するような抜け止めがされた状態で組み合わされている。
【0096】
さらに第2連結プレート124は、
図3に示すように、装着筒部120よりも後方に向けて延びており、射出筒部11の後端部側を囲んでいる。それに加え、第2連結プレート124は、第1連結プレート110と射出筒部11との間で上下方向に挟み込まれている。具体的には、射出筒部11のうち、装着筒部120よりも後方に位置する後端部側の外周面には、上方に向けて突設され、第1連結プレート110との間で第2連結プレート124の後端部を下方から挟み込む突起部127が形成されている。図示の例では、突起部127は、前後方向に沿って延びたリブ状に形成されている。
【0097】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0098】
図1に示すストッパTを取り外した後、トリガー部51をコイルばね54の付勢力に抗して、後方に引くように操作すると、主ピストン52が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ53内が加圧される。これにより、主シリンダ53内の液体が、連通筒部53d内を通じて縦供給筒部10の内筒13内に供給される。すると、内筒13に供給された液体は、支持筒部16の上端開口縁に配置されているボール弁19を下方に押し付けると共に、貯留弁20の弁本体部22を押し上げて、弁板部22aを弁座部13eの上面から離反させる。
【0099】
これにより、縦供給筒部10内の液体を、
図2に示される貫通孔13f、貫通孔31a、接続筒部30内及び供給孔91を通じて貯留シリンダ90の貯留空間90aに供給することができ、貯留空間90aを加圧することができる。そのため、貯留空間90aの加圧に伴って、貯留プランジャ80を付勢部材81の付勢力に抗して最前進位置から後方に向けて移動させることができ、液体を貯留空間90aに溜める(充填する)ことができる。
【0100】
なお、貯留空間90aに液体が導入されはじめた初期段階では、液体は、前側リップ部25aの内周面と、プランジャ筒25の前端部の外周面との間の隙間に入り込む。そのため、貯留プランジャ80を後方に向けて移動させ易い。
【0101】
貯留プランジャ80が後方に移動することで、閉塞壁26は、貯留シリンダ90の前壁部92から後方に離れる。これにより、連通孔95を開放することができ、連通孔95及び射出筒部11内を通じて、圧力が高まった貯留空間90aの液体を噴出孔4に導くことができる。従って、噴出孔4から前方に向けて液体を噴出させることができる。
【0102】
上述のように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ80を後方に移動させて、貯留空間90a内に液体を溜めることができる。
【0103】
その後、トリガー部51を解放すると、コイルばね54の弾性復元力(付勢力)によって主ピストン52が主シリンダ53内を前方に向けて復元移動するので、これに伴ってトリガー部51も前方に復元移動する。そのため、主シリンダ53内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、貯留弁20の弁本体部22を弁座部13eの上面に押し付けたままの状態で、ボール弁19を支持筒部16の上端開口縁から上方に離反させることができる。従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げることができると共に、支持筒部16内及び連通筒部53d内を通じて主シリンダ53内に導入することができる。
これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0104】
なお、トリガー部51の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通じた貯留空間90aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材81の付勢力によって貯留プランジャ80が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。
なお、この際、貯留空間90aから縦供給筒部10内への液体の流出は、貯留弁20によって規制される。
【0105】
これにより、貯留空間90aに溜まった液体を、連通孔95及び射出筒部11内を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に向けて液体を引き続き噴出させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0106】
なお、貯留プランジャ80が最後退位置に位置した状態で、仮にトリガー部51を後方に引く操作を行った場合には、貯留空間90a内に液体が過剰に供給されて、例えば液漏れや各部の破損等が発生することが考えられる。
【0107】
しかしながら本実施形態では、貯留プランジャ80がある程度後方に移動すると、前側リップ部25aが連絡溝94に到達することで、貯留空間90a内が、連絡溝94、回収孔99及び回収通路17を通じて容器体A内に連通する。つまり、貯留プランジャ80が後方に移動したときに、回収通路17を利用して、貯留空間90a内と容器体A内とを連通させることができる。
従って、貯留空間90a内の液体の一部を容器体A内に戻すことができ、貯留空間90a内に液体が過剰に供給されることを抑制することができる。これにより、貯留空間90a内の圧力が過度に高くなることを抑制することができ、液漏れや各部の破損等が発生することを抑制することができる。
【0108】
以上説明したように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1によれば、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
なお、トリガー部51は、上端部(支点)がノズル部材3に揺動可能に軸支され、トリガー部51の中間部(作用点)に主ピストン52が係止されているので、例えばトリガー部51の下端部(力点)を操作することで、いわゆるてこの原理を利用して、主ピストン52を効率良く移動させることができる。そのため、トリガー部51の操作性を向上することができる。
【0109】
さらに、金属製のコイルばね54による弾性復元力を利用して、トリガー部51を長期に亘って安定して前方付勢することができる。特に、金属製のコイルばね54を利用しているので、弾性復元力の低下を招き難いうえ、トリガー部51を操作する際の引き圧力を高めることが可能である。これにより、液体の噴出圧を高めることができ、液体をさらに勢いよく噴出させることが可能である。
【0110】
さらに本実施形態のトリガー式液体噴出器1では、ノズル部材3が射出筒部11に対して装着筒部120が外嵌されていることで噴出器本体2に組付けられているだけでなく、
図3に示すように、係止突起126が係止孔111に対して後方から係止した状態で第2連結プレート124が第1連結プレート110に対して下方から重なり、且つ第2連結プレート124が第1連結プレート110と射出筒部11との間で上下方向に挟み込まれている。
【0111】
従って、射出筒部11に対してノズル部材3が前方に相対移動するような抜け止め(ノズル抜けの抑制)を行いつつ、噴出器本体2に対してノズル部材3が上下方向に変位するような挙動を抑制することができる。
そのため、トリガー部51に加えられる前方付勢力(コイルばね54の弾性復元力)に起因して、ノズル部材3を上方に押上げるような応力がノズル部材3に加わったとしても、ノズル部材3の上方への変位を抑制することができる。従って、係止孔111と係止突起126とを適切に係止させた状態を維持することができると共に、射出筒部11と装着筒部120との間に例えばがたつき或いは緩み等が生じることを抑制することができる。
【0112】
従って、噴出器本体2に対してノズル部材3を強固に組付けることができ、耐久性の向上化を図ることができると共に安定した噴出性能を維持することができる。さらに、比較的に高い温度環境下での使用や保管等にも対応することができ、利便性を高めることができる。
【0113】
さらに、突起部127を形成するだけの簡便な構成で、第2連結プレート124を第1連結プレート110と射出筒部11との間で上下方向に挟み込むことができる。特に、射出筒部11の後端部側に突起部127を部分的に形成するだけで済むので、例えば射出筒部11を全周に亘って肉厚に形成する必要がない。そのため、材料コストの削減化や、重量軽減化等を図り易い。さらに、射出筒部11の後端部に突起部127が形成されているので、トリガー部51側からの応力によって、射出筒部11の後端部付近でノズル部材3が部分的に凹む或いは反る等の変形が生じることを効果的に抑制することができる。
【0114】
なお、射出筒部11の後端部付近でノズル部材3が反るような変形が生じてしまうと、第2連結プレート124が第1連結プレート110に対して強く押し付けられてしまう。そのため、上記変形の経時的な繰り返しによって、第2連結プレート124が下方に撓むように湾曲し、第2連結プレート124に反り変形を生じさせてしまう可能性がある。このような反り変形が第2連結プレート124に生じてしまうと、係止孔111と係止突起126との間の係止が不十分になり、係止が解除されてしまうおそれがある。そのため、ノズル部材3が射出筒部11から抜けてしまい、組付け不良を招くおそれがある。
本実施形態によれば、このような不都合が生じることを効果的に抑制することができる。
【0115】
なお、本実施形態では、トリガー部51の上端部がノズル部材3に軸支されていることで、コイルばね54による前方付勢力(弾性復元力)に起因して、ノズル部材3を上方に押上げるような応力が加わり易い。しかしながら、先に述べたように上方に向けたノズル部材3の変位を抑制することができるので、噴出器本体2に対するノズル部材3の強固な組付けを維持しながら、トリガー部51の操作を行うことができる。それに加え、比較的に高い温度環境下での使用や保管等にも適切に対応することができる。
【0116】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0117】
例えば、トリガー部51及び主ピストン52を前方に付勢する部材として、金属製のコイルばね54を利用したが、例えばこれに代えて、トリガー部51に連結された一対の樹脂ばね等を採用してもよい。
【0118】
さらに上記実施形態では、貯留プランジャ80が、連通孔95を閉塞し、且つ付勢部材81に抗して後方に移動したときに連通孔95を開放する構成を示したが、例えば貯留プランジャ80が、貯留シリンダ90に形成された供給孔91を閉塞し、且つ付勢部材81に抗して後方に移動したときに供給孔91を開放する構成等を採用してもよい。
【0119】
さらに上記実施形態では、貯留シリンダ90が縦供給筒部10に対して後方に突出している構成について説明したが、この構成に限られない。例えば貯留シリンダ90は、縦供給筒部10に対して上下方向や左右方向に突出していても良い。さらには、貯留シリンダ90は、縦供給筒部10からの突出量を小さくした上で、外径を大きくしても良い。
特に、本発明において、貯留シリンダ90及び貯留プランジャ80は必須なものではなく、具備しなくても構わない。すなわち、本発明に係るトリガー式液体噴出器は、連続噴出に限定されるものではない。
【0120】
また、上記実施形態において、第1連結プレート110と射出筒部11との間で第2連結プレート124を挟み込む関係上、例えば第2連結プレート124を肉厚に形成して厚みを増し、第2連結プレート124自体の剛性を高めることが好ましい。
また、上記実施形態では、リブ状の突起部127を利用して、第1連結プレート110と射出筒部11との間で第2連結プレート124を挟み込んだが、例えば射出筒部11の後端部側を肉厚に形成することで、第2連結プレート124を第1連結プレート110との間で挟み込んでも構わない。
【符号の説明】
【0121】
A…容器体
1…トリガー式液体噴出器
2…噴出器本体
3…ノズル部材
4…噴出孔
10…縦供給筒部
11…射出筒部
19…ボール弁(第1逆止弁)
20…貯留弁(第2逆止弁)
50…トリガー機構
51…トリガー部
52…主ピストン
53…主シリンダ
54…コイルばね(付勢部材)
80…貯留プランジャ
90…貯留シリンダ
110…第1連結プレート(第1板部)
111…係止孔(第1係止部)
120…装着筒部
124…第1連結プレート(第2板部)
126…係止突起(第2係止部)
127…突起部