(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】保持力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20231201BHJP
B23B 31/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G01L5/00 103Z
B23B31/00 D
(21)【出願番号】P 2020179010
(22)【出願日】2020-10-26
【審査請求日】2023-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】高碕 達郎
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-221699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0003642(US,A1)
【文献】特開平7-308808(JP,A)
【文献】実開平6-22941(JP,U)
【文献】特開2003-334729(JP,A)
【文献】国際公開第2017/115415(WO,A1)
【文献】実開平3-40006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00,1/22
B23B 31/00-31/08
B23Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャックに把持されて該チャックの保持力を測定する保持力センサであって、
ベース部と、
前記ベース部の一方側に配置された複数の起歪体であって、各々が前記ベース部により片持ち支持されて自由端を有する起歪体と、
前記複数の起歪体の少なくとも一つに取り付けられたひずみゲージとを備え、
前記保持力の測定のために、前記複数の起歪体の前記ひずみゲージよりも前記自由端側が前記チャックにより一体として把持される保持力センサであり、
前記複数の起歪体の各々は、前記ひずみゲージよりも前記自由端側に、前記保持力センサを把持するために前記チャックが当接される被当接部を有し、
前記保持力センサは前記チャックに把持された状態において前記チャックの中心軸に一致するセンサ中心軸を有し、
前記被当接部が、前記センサ中心軸を中心とする仮想円上に位置し、
前記複数の起歪体の各々が、前記
チャックが前記
保持力センサを把持するときに前記チャックの先端に当接する位置合わせ面を有し、該位置合わせ面が前記被当接部よりも前記ひずみゲージ側において前記センサ中心軸に直交する面内に延びている保持力センサ。
【請求項2】
前記複数の起歪体の各々は、前記センサ中心軸を中心として弧状に湾曲する第1曲面、前記センサ中心軸を中心として第1曲面よりも小さい曲率半径で弧状に湾曲する第2曲面、及び前記センサ中心軸に直交する面内に延びて第1曲面と第2曲面とを連結する連結面を含み、
前記複数の起歪体の少なくとも1つの第1曲面に、前記ひずみゲージが取り付けられており、
前記複数の起歪体の各々の第2曲面が前記被当接部を有する請求項1に記載の保持力センサ。
【請求項3】
チャックに把持されて該チャックの保持力を測定する保持力センサであって、
ベース部と、
前記ベース部の一方側に配置された複数の起歪体であって、各々が前記ベース部により片持ち支持されて自由端を有する起歪体と、
前記複数の起歪体の少なくとも一つに取り付けられたひずみゲージとを備え、
前記保持力の測定のために、前記複数の起歪体の前記ひずみゲージよりも前記自由端側が前記チャックにより一体として把持される保持力センサであり、
前記複数の起歪体の各々は、前記ひずみゲージよりも前記自由端側に、前記保持力センサを把持するために前記チャックが当接される被当接部を有し、
前記保持力センサは前記チャックに把持された状態において前記チャックの中心軸に一致するセンサ中心軸を有し、
前記被当接部が、前記センサ中心軸を中心とする仮想円上に位置し、
前記複数の起歪体の各々は、前記センサ中心軸を中心として弧状に湾曲する第1曲面、前記センサ中心軸を中心として第1曲面よりも小さい曲率半径で弧状に湾曲する第2曲面、及び前記センサ中心軸に直交する面内に延びて第1曲面と第2曲面とを連結する連結面を含み、
前記複数の起歪体の少なくとも1つの第1曲面に、前記ひずみゲージが取り付けられており、
前記複数の起歪体の各々の第2曲面が前記被当接部を有する保持力センサ。
【請求項4】
前記複数の起歪体の前記被当接部は、前記仮想円に沿って等間隔で設けられている請求項
1~3のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項5】
前記複数の起歪体の各々の前記被当接部は、前記センサ中心軸を中心とする仮想円に沿って延びる曲面である請求項
1~4のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項6】
前記複数の起歪体はスリット又は隙間を介して隣接しており、
前記ひずみゲージから延びる配線が、前記スリット又は前記隙間を通って前記ベース部へと延びる請求項1~
5のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項7】
前記複数の起歪体の厚さが、前記ひずみゲージが取り付けられた位置において他の位置よりも小さい請求項1~
6のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項8】
前記ベース部に取り付けられた温度補償用ひずみゲージを更に備える請求項1~
7のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項9】
前記複数の起歪体は少なくとも2つの起歪体である請求項1~
8のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【請求項10】
前記複数の起歪体の各々に前記ひずみゲージが取り付けられている請求項1~
9のいずれか一項に記載の保持力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
機械加工においては、回転可能なチャックによって被加工物(ワーク)を把持し、回転するワークを固定工具に接触させて切削等を行う。あるいは、回転可能なチャックによって工具(ツール)を把持し、これを固定された被加工物に接触させて穿孔等を行う。
【0003】
ここで、チャックの把持力を測定するために、チャックの外筒にひずみゲージを取り付けることが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、回転体であるチャックにひずみゲージを取り付けているため、ひずみゲージに対する環境的な負荷が大きい。即ち、ひずみゲージは高速回転や振動にさらされ、且つ切削油にもさらされる。そのため、ひずみゲージの精度が損なわれることもある。
【0006】
本発明は、チャックの保持力をより容易に測定でき、且つ測定の信頼性が高い保持力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、
チャックに把持されて該チャックの保持力を測定する保持力センサであって、
ベース部と、
前記ベース部の一方側に配置された複数の起歪体であって、各々が前記ベース部により片持ち支持されて自由端を有する起歪体と、
前記複数の起歪体の少なくとも1つに取り付けられたひずみゲージとを備え、
前記保持力の測定のために、前記複数の起歪体の前記ひずみゲージよりも前記自由端側が前記チャックにより一体として把持される保持力センサが提供される。
【0008】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の各々は、前記ひずみゲージよりも前記自由端側に、前記保持力センサを把持するために前記チャックが当接される被当接部を有してもよく、前記保持力センサは前記チャックに把持された状態において前記チャックの中心軸に一致するセンサ中心軸を有してもよく、前記被当接部が、前記センサ中心軸を中心とする仮想円上に位置してもよい。
【0009】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の前記被当接部は、前記仮想円に沿って等間隔で設けられていてもよい。
【0010】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の各々が、前記保持力センサが前記チャックを把持するときに前記チャックの先端に当接する位置合わせ面を有してもよく、該位置合わせ面が前記被当接部よりも前記ひずみゲージ側において前記センサ中心軸に直交する面内に延びていてもよい。
【0011】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の各々の前記被当接部は、前記センサ中心軸を中心とする仮想円に沿って延びる曲面であってもよい。
【0012】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の各々は、前記センサ中心軸を中心として弧状に湾曲する第1曲面、前記センサ中心軸を中心として第1曲面よりも小さい曲率半径で弧状に湾曲する第2曲面、及び前記センサ中心軸に直交する面内に延びて第1曲面と第2曲面とを連結する連結面を含んでもよく、前記複数の起歪体の少なくとも1つの第1曲面に、前記ひずみゲージが取り付けられていてもよく、前記複数の起歪体の各々の第2曲面が前記被当接部を有してもよい。
【0013】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体はスリット又は隙間を介して隣接していてもよく、前記ひずみゲージから延びる配線が、前記スリット又は前記隙間を通って前記ベース部へと延びてもよい。
【0014】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の厚さが、前記ひずみゲージが取り付けられた位置において他の位置よりも小さくてもよい。
【0015】
第1の態様の保持力センサは、前記ベース部に取り付けられた温度補償用ひずみゲージを更に備えてもよい。
【0016】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体は少なくとも2つの起歪体であってもよい。
【0017】
第1の態様の保持力センサにおいて、前記複数の起歪体の各々に前記ひずみゲージが取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の保持力センサは、チャックの保持力をより容易に測定でき、且つ測定の信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、第1実施形態の保持力センサユニットの斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1のIIa-IIa線に沿った保持力センサの断面図である。
図2(b)は、保持力センサの中心軸の方向に見た、保持力センサの側面図である。
【
図3】
図3は、リングアダプタの中心軸の方向に見た、リングアダプタの前面図である。
【
図4】
図4は、保持力センサと、該保持力センサを保持するコレットチャックの斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、コレットチャックが保持力センサを直接把持する様子を示す説明図である。
図5(b)は、コレットチャックがリングアダプタを介して保持力センサを把持する様子を示す説明図である。
【
図6】
図6(a)は、コレットチャックが保持力センサを直接把持する様子を示す断面図である。
図6(b)は、コレットチャックがリングアダプタを介して保持力センサを把持する様子を示す断面図である。いずれの図も、断面の位置は
図2(a)と同一である。
【
図7】
図7は、変形例の保持力センサと、該保持力センサを保持するダイヤフラムチャックの斜視図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態の保持力センサの斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8のIXa-IXa線に沿った保持力センサの断面図である。
図9(b)は、保持力センサの中心軸の方向に見た、保持力センサの側面図である。
【
図10】
図10(a)は、コレットチャックが保持力センサの第4扇状板部の外面を把持する様子を示す説明図である。
図10(b)は、コレットチャックが保持力センサの第3扇状板部の外面を把持する様子を示す説明図である。
【
図11】
図11(a)は、コレットチャックが保持力センサの第4扇状板部の外面を把持する様子を示す断面図である。
図11(b)は、コレットチャックが保持力センサの第3扇状板部の外面を把持する様子を示す断面図である。いずれの図も、断面の位置は
図9(a)と同一である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
第1実施形態の保持力センサユニット(把持力センサユニット)1000について、保持力センサユニット1000を用いてコレットチャック2000(
図4)の保持力(把持力)を測定する場合を例として説明する。説明においては、
図1~
図6を参照する。
【0021】
図1に示す通り、保持力センサユニット1000は、保持力センサ100と、保持力センサ100に着脱可能に取り付けられるリングアダプタ(環状アダプタ)500とを含む。保持力センサ100は中心軸(センサ中心軸)X
100を有する略筒状である。リングアダプタ500は中心軸X
500を有する環状である。リングアダプタ500は保持力センサ100に同軸状に取り付けられる。
【0022】
以下の説明においては、中心軸X100の延びる方向を保持力センサ100の軸方向と呼び、保持力センサ100に対してリングアダプタ500が取り付けられる側を軸方向の前側とする。軸方向を中心とする放射方向を保持力センサ100の径方向、軸方向回りの方向を保持力センサ100の周方向と呼ぶ。
【0023】
以下の説明においては、中心軸X500の延びる方向をリングアダプタ500の軸方向と呼び、保持力センサ100に取り付けた際に保持力センサ100に対向する側を軸方向の後ろ側とする。軸方向を中心とする放射方向をリングアダプタ500の径方向、軸方向回りの方向をリングアダプタ500の周方向と呼ぶ。
【0024】
保持力センサ100は、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示す通り、ベース部11と、起歪部12と、起歪部12に取り付けられた3つの測定用ひずみゲージGと、ベース部11に取り付けられた3つの温度補償用ひずみゲージCGとを主に含む。ベース部11と起歪部12とは、金属(一例としてステンレス)等により一体に形成されていてもよい。
【0025】
ベース部11は保持力センサ100の土台となる部分であり、測定対象のチャックの保持力を測定する際に変形(ひずみ)を生じない部分である。ベース部11は、ディスク部111と畝部112とを含む。
【0026】
ディスク部111は円板状であり、前面111fと後面111rとを有する。ディスク部111の径方向の中央部には、中心軸X100を中心として軸方向に延びる円形の貫通穴111hが設けられている。
【0027】
畝部112は、ディスク部111の後面111rから後方に起立している。畝部112は、後面111rの外周近傍において、周方向の全域にわたって延びている。第1実施形態では、畝部112の高さ(軸方向の寸法)はディスク部111の厚さ(軸方向の寸法)に略等しい。
【0028】
起歪部12はベース部11に支持された部分であり、測定対象のチャックの保持力を測定する際に、保持力の大きさに応じた変形(ひずみ)を呈する部分である。
【0029】
概略として、起歪部12は、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示す通り、径の異なる2つの円筒を軸方向に沿って同軸状に連結し、これを周方向において3つに分割した形状を有する。
【0030】
具体的には、起歪部12は、周方向に沿って第1起歪体F1、第2起歪体F2、及び第3起歪体F3を有する。第1起歪体F1、第2起歪体F2、及び第3起歪体F3は互いに同一の形状を有する。
【0031】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の各々は、大径曲板部120と、連結部121と、小径曲板部122とを含む。
【0032】
大径曲板部120は、中心軸X100を中心として弧状に湾曲した曲板である。大径曲板部120の後端(固定端)120Erは、ベース部11のディスク部111の前面111fに固定的に支持されている。
【0033】
大径曲板部120の外面(第1曲面)120oの周方向中央部には凹部Rが設けられている。凹部Rの底面Rbは、径方向に直交する平坦面である。
【0034】
連結部121は、径方向に沿って放射状に延びる扇形の平板である。連結部121の外側端部121Eoにおいて、連結部121の後面121rに、大径曲板部120の前端120Efが固定されている。なお、本明細書及び本発明において「扇形」は、円弧とその両端を通る半径で囲まれた形状のみならず、同心である大径円弧及び小径円弧とそれらの両端を通る半径で囲まれた形状(円環の周方向の一部分を切り出した形状)も含む。
【0035】
小径曲板部122は、中心軸X100を中心として弧状に湾曲した曲板である。小径曲板部122の後端122Erは、連結部121の内側端部121Eiにおいて、連結部121の前面121fに固定されている。
【0036】
第1起歪体F1~第3起歪体F3はそれぞれ、上記の構成を有する。第1起歪体F1~第3起歪体F3はそれぞれ、大径曲板部120の後端120Erを固定端、小径曲板部122の前端122Efを自由端とする片持ち状の起歪体である。
【0037】
第1起歪体F1と第2起歪体F2との間、第2起歪体F2と第3起歪体F3との間、及び第3起歪体F3と第1起歪体F1との間にはそれぞれ、スリットSLが画定されている。スリットSLはそれぞれ、軸方向に沿って小径曲板部122の前端122Efから大径曲板部120の後端120Erの近傍まで伸びている。
【0038】
なお、
図1に示す通り、第1実施形態ではスリットSLの後端が大径曲板部120の後端120Erよりも前側にあり、第1起歪体F1~第3起歪体F3の大径曲板部120は、後端120Erの近傍において周方向に連結している。しかしながらこれには限られず、軸方向におけるスリットSLの後端の位置と大径曲板部120の後端120Erの位置とが同じであってもよい。
【0039】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の大径曲板部120は周方向に沿って互いに隣接している。第1起歪体F1~第3起歪体F3の大径曲板部120をそれぞれ、中心軸X100を中心軸とする仮想大径円筒の一部とみなすこともできる。大径曲板部120の外面120oは、仮想大径円筒の外周面に沿って延びている。即ち、第1起歪体F1~第3起歪体F3の大径曲板部120の外面120oは、中心軸X100を中心とする大径仮想円に沿って延びる曲面である。
【0040】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121は周方向に沿って互いに隣接している。第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121をそれぞれ、中心軸X100を中心軸とする仮想円板の一部とみなすこともできる。連結部121の前面121fは、仮想円板の前面に沿って延びている。即ち、第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121の前面121fは、中心軸X100に直交する平面に沿って延びる平坦面である。
【0041】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121の前面121fは、チャックの先端及び/又はリングアダプタ500の後面が当接される位置合わせ面として機能する(詳細後述)。
【0042】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122は周方向に沿って互いに隣接している。第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122をそれぞれ、中心軸X100を中心軸とする仮想小径円筒の一部とみなすこともできる。小径曲板部122の外面(第2曲面)122oは、仮想小径円筒の外周面に沿って延びている。即ち、第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122の外面122oは、中心軸X100を中心とする小径仮想円に沿って延びる曲面である。小径仮想円の直径は大径仮想円(大径曲板部120の外面120oが沿う面)の直径よりも小さい。
【0043】
第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122の外面(第2曲面)122oは、リングアダプタ500を取り付ける際にはリングアダプタ500の内周面が当接され、チャックにより保持力センサ100を直接把持する際にはチャックが当接される被当接面として機能する(詳細後述)。
【0044】
3つの測定用ひずみゲージGはそれぞれ、第1起歪体F1~第3起歪体F3の大径曲板部120において、凹部Rの底面Rbに貼り付けられている。測定用ひずみゲージGの構造は任意であるが、一例として4つのひずみ受感素子を備えるひずみゲージを用いてよい。
【0045】
3つの温度補償用ひずみゲージCGは、ベース部11のディスク部111の後面111rに、周方向に等間隔に離間して貼り付けられている。温度補償用ひずみゲージCGの構造は任意であるが、測定用ひずみゲージGと同一のひずみゲージを使用し得る。
【0046】
3つの測定用ひずみゲージGの1つ、3つの温度補償用ひずみゲージCGの1つ、及び2つの固定抵抗(不図示)が配線W(
図1)により接続されてホイートストンブリッジ回路が構成されている。即ち、保持力センサ100は、3つの測定用ひずみゲージGと、3つの温度補償用ひずみゲージCGと6つの固定抵抗(不図示)とにより構成された3つのホイートストンブリッジ回路を含む。測定用ひずみゲージGから延びる配線Wは、スリットSLを通る。
【0047】
3つのホイートストンブリッジ回路はそれぞれ、第1起歪体F1~第3起歪体F3に加えられた荷重の測定に用いられる。3つのホイートストンブリッジ回路はそれぞれ、1つの温度補償用ひずみゲージCGを含むため、温度誤差が抑制されている。固定抵抗や、ホイートストンブリッジ回路の出力に基づいて荷重値を算出する算出部は外部に設けられていてもよく、ベース部11に設けられていてもよい。
【0048】
リングアダプタ500は、測定対象のチャックの把持可能範囲(チャックが把持可能なワーク/工具の直径の範囲)の下限が保持力センサ100の第2曲板部122の外面122oが沿う小径仮想円の直径よりも大きく、チャックが保持力センサ100を直接把持できない場合に、チャックと保持力センサ100との間に配置されるアダプタである。
【0049】
リングアダプタ500は、
図3に示す通り、3つの本体部501を3つの弾性連結部502により連結した環形状を有する。
【0050】
3つの本体部501は、チャックの爪と保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3との間に配置されて、チャックの保持力を保持力センサ100に伝える部分である。3つの本体部501はそれぞれ、金属(一例としてSU材やSUS材)等の弾性率の大きい材料で形成される。
【0051】
3つの本体部501は互いに同一の構成を有する。3つの本体部501はそれぞれ、角柱をその中心軸に沿って円弧上に湾曲させた形状を有する。
【0052】
3つの本体部501はそれぞれ、前面501f、後面501r(
図1)、内面501i、外面501o、及び一対の側面501sを有する。前面501fと後面501rとは同一形状であり、軸方向に見て扇形である。内面501i、外面501oはそれぞれ、周方向に沿って延びる曲面である。一対の側面501sはそれぞれ、略矩形である。内面501iの曲率半径は、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122の外面122oの曲率半径に等しい。
【0053】
3つの弾性連結部502は、3つの本体部501を相対移動可能に連結する部分である。3つの弾性連結部502はそれぞれ、樹脂(一例としてNBRなどのゴム)等の弾性率の小さい材料で形成される。
【0054】
3つの弾性連結部502は互いに同一の構成を有する。3つの弾性連結部502はそれぞれ、角柱をその中心軸に沿って円弧上に湾曲させた形状を有する。
【0055】
3つの弾性連結部502はそれぞれ、前面502f、後面502r(
図1)、内面502i、外面502o、及び一対の側面502sを有する。前面502fと後面502rとは同一形状であり、軸方向に見て扇形である。内面502i、外面502oはそれぞれ、周方向に沿って延びる曲面である。一対の側面502sはそれぞれ、略矩形である。
【0056】
弾性連結部502の一対の側面502sは、弾性連結部502の周方向の両側に位置する本体部501の側面501sに、それぞれ固定されている。本体部501と弾性連結部502との固定は例えば接着剤によりなし得る。
【0057】
保持力センサユニット1000を用いたコレットチャック2000の保持力の測定は、次のようにして行う。
【0058】
コレットチャック2000は、
図4に示す通り、本体部Mと、3つの爪Nとを有する。3つの爪Nはそれぞれ、コレットチャック2000の中心軸X
2000を中心とする周方向に湾曲した曲板である。コレットチャック2000は、3つの爪Nを中心軸X
2000を中心とする放射方向(径方向)に移動させて、3つの爪Nの内面Ni(
図5(a))により保持対象を保持(把持)する。保持対象は具体的には例えば、被加工材(ワーク)又は工具(ツール)である。
【0059】
まず、コレットチャック2000把持可能範囲(チャックが把持可能なワーク/工具の直径の範囲)の下限が保持力センサ100の第2曲板部122の外面122oが沿う小径仮想円の直径よりも小さい場合について説明する。この場合は、コレットチャック2000により保持力センサ100を直接把持できるため、リングアダプタ500は使用しない。
【0060】
コレットチャック2000の保持力を計測する際には、
図4に示す通り、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122を挿入する。
【0061】
この時、保持力センサ100の中心軸X
100がコレットチャック2000の中心軸X
2000と平行となるように位置合わせをする。この位置合わせは、コレットチャック2000の爪Nの前面Nf(保持力センサ100に対向する面、
図6(a))を保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121の前面(位置合わせ面)121fに当接させることにより、容易に行うことができる(
図6(a))。
【0062】
また、保持力センサ100の周方向の位置を、コレットチャック2000の3つの爪Nの各々が、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3のいずれか1つの小径曲板部122の外面(被当接面、第2曲面)122oにのみ当接するように調節する(
図5(a))。
【0063】
保持力センサ100を挿入した状態でコレットチャック2000を作動させて3つの爪Nを径方向内側に移動させると、3つの爪Nの内面Niが第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122の外面122oに当接し、コレットチャック2000が第1起歪体F1~第3起歪体F3を一体として(まとめて)把持する(
図5(a)、
図6(a))。この状態において、保持力センサ100の中心軸X
100はコレットチャック2000の中心軸X
2000に一致する。なお、本明細書及び本発明において、チャックの中心軸と保持力センサの中心軸が一致するとは、両者が完全に一致する場合のみならず、両者がほぼ一致しているものの測定の精度を保ち得る範囲内でわずかにずれている場合も含むものとする。
【0064】
その後、コレットチャック2000の3つの爪Nを径方向内側に更に移動させると、第1起歪体F1~第3起歪体F3の自由端側が径方向内側に押圧され、第1起歪体F1~第3起歪体F3にひずみが生じる。
【0065】
第1起歪体F1に貼り付けられた測定用ひずみゲージGを含むホイートストンブリッジを介して、第1起歪体F1に当接した爪Nにより第1起歪体F1に付加される荷重(保持力)の大きさを求めることができる。同様に、第2、第3起歪体F2、F3に貼り付けられた測定用ひずみゲージGを含むホイートストンブリッジを介して、第2、第3起歪体F2、F3に当接した爪Nにより第2、第3起歪体F2、F3に付加される荷重(保持力)の大きさを求めることができる。
【0066】
第1起歪体F1~第3起歪体F3に付加された荷重の合計から、コレットチャック2000の保持力(把持力)を算出することができる。また、第1起歪体F1~第3起歪体F3に付加された荷重のバランスに基づいて、コレットチャック2000の各爪による保持力のバランスを把握することができる。第1起歪体F1~第3起歪体F3に付加された荷重の大きさが互いに同一であれば、コレットチャック2000は周方向においてバランスよくワークやツールを保持できることがわかる。反対に、第1起歪体F1~第3起歪体F3に付加された荷重の大きさにばらつきがあれば、コレットチャック2000の3つの爪Nの保持力にばらつきがあることがわかる。
【0067】
次に、コレットチャック2000の把持可能範囲の下限が保持力センサ100の第2曲板部122の外面122oが沿う小径仮想円の直径よりも大きい場合について説明する。この場合は、コレットチャック2000により保持力センサ100を直接把持することができないため、リングアダプタ500を使用する。
【0068】
コレットチャック2000の保持力を測定する際には、
図5(b)、
図6(b)に示す通り、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122の周囲にリングアダプタ500を配置する。上記の通り、リングアダプタ500の本体部501の内面501iの曲率半径が小径曲板部122の外面122oの曲率半径に等しい。そのためリングアダプタ500を保持力センサ100に取り付けて、リングアダプタ500の本体部501の内面501iを小径曲板部122の外面122oに当接させ、リングアダプタ500の本体部501の後面501rを第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結板部121の前面(位置合わせ面)121fに当接させると、リングアダプタ500の中心軸X
500は保持力センサ100の中心軸X
100に一致する。
【0069】
また、リングアダプタ500の周方向の位置を、リングアダプタ500の3つの本体部501の各々が、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3のいずれか1つの小径曲板部122にのみ当接するように調整する。
【0070】
次に、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に、保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の小径曲板部122、及びリングアダプタ500を挿入する。この時、保持力センサ100の中心軸X
100がコレットチャック2000の中心軸X
2000と平行となるように位置合わせをする。この位置合わせは、コレットチャック2000の爪Nの前面Nfを保持力センサ100の第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121の前面(位置合わせ面)121fに当接させることにより、容易に行うことができる(
図6(b))。第1実施形態では、リングアダプタ500の本体部501の径方向の寸法が連結部121の前面121fの径方向の寸法より小さいため、リングアダプタ500を保持力センサ100に取り付けた状態でも、前面121fを用いた位置合わせを行うことができる。
【0071】
また、保持力センサ100及びリングアダプタ500の周方向の位置を、コレットチャック2000の3つの爪Nの各々が、リングアダプタ500のいずれか1つの本体部501の外面501oにのみ当接するように調節する(
図5(b))。
【0072】
保持力センサ100及びリングアダプタ500を挿入した状態でコレットチャック2000を作動させて3つの爪Nを径方向内側に移動させると、3つの爪Nの内面Niがリングアダプタ500の3つの本体部501の外面501oに当接し、コレットチャック2000が、リングアダプタ500を介して、第1起歪体F1~第3起歪体F3を一体として(まとめて)把持する(
図5(b)、
図6(b))。この状態において、保持力センサ100の中心軸X
100はコレットチャック2000の中心軸X
2000に一致する。
【0073】
その後、コレットチャック2000の3つの爪Nを径方向内側に更に移動させると、リングアダプタ500の本体部501を介して第1起歪体F1~第3起歪体F3の自由端側が径方向内側に押圧され、第1起歪体F1~第3起歪体F3にひずみが生じる。リングアダプタ500の3つの本体部501は弾性連結部502を介して相対移動可能に連結されている。そのため、3つの本体部501は、コレットチャック2000の爪Nの移動に応じて、径方向内側に互いに対して実質的に独立して移動する。
【0074】
これにより、リングアダプタ500を使用しない場合と同様に、コレットチャック2000の保持力を算出することができ、コレットチャック2000の各爪による保持力のバランスを把握することができる。
【0075】
第1実施形態の保持力センサ100、及び保持力センサユニット1000の効果を以下にまとめる。
【0076】
第1実施形態の保持力センサ100では、チャックとは別体である保持力センサ100に測定用ひずみゲージGを設けている。したがって、チャックにより保持力センサ100を把持するだけで容易にチャックの保持力を測定できる。また、回転体であり、切削油等がかかる恐れのあるチャックに測定用ひずみゲージを設ける場合に比較して、測定の信頼性が高い。
【0077】
第1実施形態の保持力センサ100は、第1起歪体F1、第2起歪体F2、第3起歪体F3を有し、コレットチャック2000が有する3つの爪Nを、第1起歪体F1、第2起歪体F2、第3起歪体F3にそれぞれ当接させて、3つの爪Nによる荷重を独立して測定する。したがって、チャック全体としての保持力のみではなく、周方向におけるチャックの保持力のバランスも測定することができる。ワークに対して高精度の仕上げを行う際には、ワークを周方向にバランスよく保持することが重要となる。そのため、チャックの保持力の周方向のバランスを測定できることは有利である。
【0078】
第1実施形態の保持力センサ100は、測定用ひずみゲージGが、第1起歪体F1、第2起歪体F2、第3起歪体F3の大径曲板部120に取り付けられている。したがって、大径曲板部120の厚さを調節するだけで荷重測定の感度を調節することができる。例えば、大径曲板部120の厚さを小さくするだけで、精密仕上げ用のチャックの保持力測定に用い得る高感度の保持力センサを容易に得ることができる。
【0079】
第1実施形態の保持力センサ100は、第1起歪体F1~第3起歪体F3の連結部121の前面121fにより構成される位置合わせ面を有する。そのため、チャックにより保持力センサ100を把持する際に、保持力センサ100の中心軸X100がチャックの中心軸と平行となった適切な姿勢に容易に調整することができる。
【0080】
第1実施形態の保持力センサユニット1000は、リングアダプタ500を含む。したがって、測定対象のチャックの把持可能範囲に応じてリングアダプタ500を用いることで、把持可能範囲が異なる多種類のチャックの保持力を測定することができる。
【0081】
第1実施形態の保持力センサユニット1000において、次の変形態様を用いることもできる。
【0082】
第1実施形態の保持力センサ100は、周方向に配置された3つの起歪体を有しているが、これには限られない。保持力センサ100が有する起歪体の数は2つ以上の任意の数であってよく、例えば5個、8個、11個等であってよい。より具体的には例えば、周方向の寸法が第1起歪体F1~第3起歪体F3よりも大きい点を除いて第1起歪体F1~第3起歪体F3と同様の構造を有する起歪体を周方向に2つ配置してもよい。あるいは、周方向の寸法が第1起歪体F1~第3起歪体F3よりも小さい点を除いて第1起歪体F1~第3起歪体F3と同様の構造を有する起歪体を周方向に4つ以上配置してもよい。任意の数の起歪体は、周方向に等間隔に配置されてもよい。チャックの保持力の周方向のバランスは、起歪体の数が3以上である場合に良好に測定することができ、起歪体の数が4以上である場合により良好に測定することができる。
【0083】
n個(nは2以上の整数)の起歪体を有する保持力センサユニット100は、n個の爪を有するチャックに対して好適に使用し得る。
図7には、8個の起歪体を有する保持力センサ101を用いて、8個の爪を有するダイアフラムチャック2001の保持力を測定する様子を示す。
【0084】
第1実施形態の保持力センサ100においては、第1起歪体F1~第3起歪体F3はそれぞれ大径曲板部120、連結部121、及び小径曲板部122を有するが、これには限られない。保持力センサ100の起歪部12が有する起歪体は、ベース部11により片持ち支持されて自由端を有する任意の形状とし得る。
【0085】
具体的には例えば、大径曲板部120の軸方向の寸法を大きくして、連結部121及び小径曲板部122を除いた形状を採用し得る。この場合は、大径曲板部120の前端120Efが自由端となり、前端120Efの近傍の外面120oがチャックの爪が当接する被当接面として機能する。
【0086】
起歪部12が有する起歪体は、角棒や丸棒をベース部11により片持ち支持した梁状の起歪体であってもよい。この場合は、梁状起歪体の自由端近傍の径方向外側の面が被当接面となる。
【0087】
被当接面は、必ずしも保持力センサ100の中心軸X100を中心とする仮想円に沿った曲面である必要はなく、起歪体の形状に応じた任意の態様とし得る。例えば各棒が片持ち支持された梁状の起歪体を備える態様では、被当接面は径方向に直交して延びる平坦面である。即ち被当接面は、測定対象のチャックの爪が当接し得る任意の態様とし得る。
【0088】
起歪体の形状にかかわらず、被当接面は、それぞれが保持力センサ100の中心軸X100から等距離の位置にあってもよい。即ち、複数の起歪体の各々の被当接面は、保持力センサ100の中心軸X100を中心とする仮想円上に位置していてもよい。例えば被当接面が平坦面である場合は、その一部又は中心部が仮想円上にある場合に、当該被当接面が仮想円上にあるとみなし得る。これにより、測定対象のチャックの爪が複数の当接面に均等に当接し、測定の精度が向上する。
【0089】
なお、チャックの爪は、一般的に、チャックの中心軸回りに等間隔で配置されている。したがって、保持力センサ100の複数の起歪体が有する被当接面も、保持力センサ100の中心軸X100を中心とする仮想円に沿って等間隔で配置されていてもよい。
【0090】
起歪体がどのような形状である場合も、測定用ひずみゲージGが取り付けられた領域において起歪体の径方向の厚さを、当該起歪体の他の領域における厚さよりも小さくすることにより、保持力測定の感度を高めることができる。
【0091】
第1実施形態の保持力センサ100においては、第1起歪体F1~第3起歪体F3のそれぞれに測定用ひずみゲージGが取り付けられているが、これには限られない。測定用ひずみゲージGを第1起歪体F1~第3起歪体F3の少なくとも1つに取り付けた態様を用いることもできる。同様に、n個(nは2以上の整数)の起歪体を有する保持力センサ100において、少なくとも1つの起歪体にひずみゲージGを貼り付けてもよい。この場合も、把持力の強弱を容易に且つ高い信頼性をもって求めることができる。
【0092】
第1実施形態の保持力センサ100において、温度補償用ひずみゲージCGを省略してもよい。
【0093】
第1実施形態のリングアダプタ500においては、ゴム等の樹脂により形成された湾曲柱状の弾性連結部502を用いているが、これには限られない。例えば、弾性連結部502としてコイルバネを用いることもできる。
【0094】
なお、上記の通り、チャックの爪は、一般的に、チャックの中心軸回りに等間隔で配置されている。したがってリングアダプタ500の本体部501も、周方向に等間隔で設けられていてもよい。
【0095】
第1実施形態のリングアダプタ500は、周方向の一部が除去されたC環状であってもよい。この場合は、C環状のリングアダプタ500をC環状の本体部501のみにより構成してもよい。或いは、C環状のリングアダプタ500を、複数の本体部501と、1つ又は複数の弾性連結部502により構成してもよい。
【0096】
<第2実施形態>
第2実施形態の保持力センサ(把持力センサ)200について、保持力センサ200を用いてコレットチャック2000(
図4)の保持力(把持力)を計測する場合を例として説明する。説明においては、
図8~
図11を参照する。
【0097】
保持力センサ200は、
図8、
図9(a)及び
図9(b)に示す通り、中心軸(センサ中心軸)X
200を有する円環状のベース部21と、起歪部22と、起歪部22に取り付けられた3つの測定用ひずみゲージGと、ベース部21に取り付けられた3つの温度補償用ひずみゲージCGとを主に含む。ベース部21と起歪部22とは、金属(一例としてステンレス)等により一体に形成されていてもよい。
【0098】
以下の説明においては、中心軸X200の延びる方向を保持力センサ200の軸方向と呼び、起歪部22が位置する側を前側、ベース部21が位置する側を後側とする。軸方向を中心とする放射方向を保持力センサ200の径方向、軸方向回りの方向を保持力センサ200の周方向と呼ぶ。
【0099】
ベース部21は保持力センサ200の土台となる部分であり、測定対象の保持力を測定する際に変形(ひずみ)を生じない部分である。
【0100】
ベース部21は円環状であり、前面21fと後面21rとを有する。ベース部21の径方向の中央部には、中心軸X200を中心として軸方向に延びる円形の貫通穴21hが設けられている。
【0101】
起歪部22はベース部21に支持された部分であり、測定対象の保持力を測定する際に、保持力の大きさに応じた変形(ひずみ)を呈する部分である。
【0102】
概略として、起歪部22は、
図8、
図9(a)及び
図9(b)に示す通り、外径の異なる4つの円筒を中心軸X
200に沿って同軸状に連結し、これを周方向において6つに分割して、1つおきに計3つを除去した形状を有する。
【0103】
具体的には、起歪部22は、周方向に沿って第1起歪体FF1、第2起歪体FF2、及び第3起歪体FF3を有する。第1起歪体FF1、第2起歪体FF2、及び第3起歪体FFは互いに同一の形状を有する。
【0104】
第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の各々は、大径曲板部220、第1扇状板部221、第2扇状板部222、第3扇状板部223、及び第4扇状板部224を含む。
【0105】
大径曲板部220は、中心軸X200を中心として湾曲した曲板である。大径曲板部220の後端220Erは、ベース部21の前面21fに固定されている。
【0106】
大径曲板部220の外面220oの周方向中央部には凹部Rが設けられている。凹部Rの底面Rbは、径方向に直交する平坦面である。
【0107】
第1扇状板部221、第2扇状板部222、第3扇状板部223、及び第4扇状板部224はそれぞれ、径方向に沿って放射状に延びる扇形の平板である。第1扇状板部221、第2扇状板部222、第3扇状板部223、及び第4扇状板部224の外径は、この順番で小さくなっている。一方で、第1扇状板部221、第2扇状板部222、第3扇状板部223、及び第4扇状板部224の内径は互いに等しい。
【0108】
第1扇状板部221の外面221oに沿って、第1扇状板部221の後面221rに大径曲板部220の前端220Efが固定されている。
【0109】
第1扇状板部221の外径(半径)は、大径曲板部220の外面220oの曲率半径に等しい。即ち、第1扇状板部221の外面221oと大径曲板部220の外面220oとは段差なく接続されて一連の曲面を構成している。
【0110】
第2扇状板部222の後面が第1扇状板部221の前面221fに固定されている。第2扇状板部222と第1扇状板部221とは、周方向の両端面がそれぞれ面一となり、且つ内周側の面が面一となるように位置合わせされている。この状態において、第2扇状板部222の外面222oと第1扇状板部221の外面221oとは中心軸X200を中心として同軸状に延びる。
【0111】
第3扇状板部223の後面が第2扇状板部222の前面222fに固定されている。第3扇状板部223と第2扇状板部222とは、周方向の両端面がそれぞれ面一となり、且つ内周側の面が面一となるように位置合わせされている。この状態において、第3扇状板部222の外面223oと第2扇状板部222の外面222oとは中心軸X200を中心として同軸状に延びる。
【0112】
第4扇状板部224の後面が第3扇状板部223の前面223fに固定されている。第4扇状板部224と第3扇状板部223とは、周方向の両端面がそれぞれ面一となり、且つ内周側の面が面一となるように位置合わせされている。この状態において、第4扇状板部224の外面224oと第3扇状板部223の外面223oとは中心軸X200を中心として同軸状に延びる。
【0113】
第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の大径曲板部220は周方向に沿って等間隔で配置されている。第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の大径曲板部220をそれぞれ、中心軸X200を中心軸とする仮想大径円筒の一部とみなすこともできる。大径曲板部220の外面220oは、仮想大径円筒の外周面に沿って延びている。即ち、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の大径曲板部220の外面220oは、中心軸X200を中心とする大径仮想円に沿って延びる曲面である。
【0114】
第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第1扇状板部221、第2扇状板部222、第3扇状板部223、及び第4扇状板部224はそれぞれ、周方向に沿って等間隔で配置されている。第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第1扇状板部221を、中心軸X200を中心軸とする第1仮想円板の一部とみなすこともできる。同様に、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第2扇状板部222、第3扇状板部223、第4扇状板部224を、中心軸X200を中心軸とする第2仮想円板、第3仮想円板、第4仮想円板の一部とみなすこともできる。
【0115】
即ち、第1扇状板部221の外面221o、第2扇状板部222の外面222o、第3扇状板部223の外面223o、及び第4扇状板部224の外面224oはそれぞれ、中心軸X200を中心とする第1仮想円、第2仮想円、第3仮想円、第4仮想円に沿って延びる曲面である。第1仮想円、第2仮想円、第3仮想円、第4仮想円の直径は、この順番で小さくなる。
【0116】
第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第2扇状板部222の外面222o、第3扇状板部223の外面223o、及び第4扇状板部224の外面224oはそれぞれ、チャックにより保持力センサ200を把持する際にチャックが当接される被当接面として機能する(詳細後述)。
【0117】
また、第1扇状板部221の前面221f、第2扇状板部222の前面222f、及び第3扇状板部223の前面223fはそれぞれ、中心軸X200に直交する平面に沿って延びる平坦面である。
【0118】
第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第1扇状板部221の前面221f、第2扇状板部222の前面222f、及び第3扇状板部223の前面223fはそれぞれ、チャックの先端が当接される位置合わせ面として機能する(詳細後述)。
【0119】
3つの測定用ひずみゲージGは、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の大径曲板部220において、凹部Rの底面Rbに貼り付けられている。測定用ひずみゲージGの構造は任意であるが、一例として4つのひずみ受感素子を備えるひずみゲージを用いてよい。
【0120】
3つの温度補償用ひずみゲージCGは、ベース部21の後面21rに、周方向に等間隔に離間して貼り付けられている。温度補償用ひずみゲージCGの構造は任意であるが、測定用ひずみゲージGと同一のひずみゲージを使用し得る。
【0121】
3つの測定用ひずみゲージG、3つの温度補償用ひずみゲージCG、及び6つの固定抵抗(不図示)を用いて、第1実施形態の保持力センサ100と同様に3つのホイートストンブリッジが構成されている。測定用ひずみゲージGから延びる配線W(
図8)は第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の間の隙間を通る。
【0122】
3つのホイートストンブリッジ回路はそれぞれ、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3に加えられた荷重の計測に用いられる。固定抵抗や、ホイートストンブリッジ回路の出力に基づいて荷重値を算出する算出部は外部に設けられていてもよく、ベース部21に設けられていてもよい。
【0123】
保持力センサ200を用いたコレットチャック2000(
図4)の保持力の計測は、次のようにして行う。
【0124】
保持力センサ200を用いてコレットチャック2000の保持力を計測する場合には、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に、保持力センサ200の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3を挿入する。そして第2扇状板部222の外面222o、第3扇状板部223の外面223o、及び第4扇状板部224の外面224oのうち、コレットチャック2000の把持可能範囲(チャックが把持可能なワーク/工具の直径の範囲)に応じた最適な部位をコレットチャック2000の爪Nにより保持する。
【0125】
まず、コレットチャック2000の把持可能範囲が、保持力センサ200の第4仮想円板(即ち、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224を含む仮想円板)の外径を含む場合は、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224を挿入する。
【0126】
この時、保持力センサ200の中心軸X
200がコレットチャック2000の中心軸X
2000と平行となるように位置合わせをする。この位置合わせは、コレットチャック2000の爪Nの前面Nfを第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第3扇状板部223の前面(位置合わせ面)223fに当接させることにより、容易に行うことができる(
図11(a))。
【0127】
また、保持力センサ200の周方向の位置を、コレットチャック2000の3つの爪Nの各々が、保持力センサ200の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3のいずれか1つの第4扇状板部224の外面(被当接面)224oにのみ当接するように調節する(
図10(a))。
【0128】
コレットチャック2000の把持可能範囲が、保持力センサ200の第3仮想円板(即ち、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第3扇状板部223を含む仮想円板)の外径を含む場合は、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224及び第3扇状板部223を挿入する。
【0129】
この時、保持力センサ200の中心軸X
200とコレットチャック2000の中心軸X
2000との位置合わせには、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第2扇状板部222の前面(位置合わせ面)222fを用いる(
図11(b))。
【0130】
また、保持力センサ200の周方向の位置を、コレットチャック2000の3つの爪Nの各々が、保持力センサ200の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3のいずれか1つの第3扇状板部223の外面(被当接面)223oにのみ当接するように調節する(
図10(b))。
【0131】
コレットチャック2000の把持可能範囲が、保持力センサ200の第2仮想円板(即ち、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第3扇状板部223を含む仮想円板)の外径を含む場合は、コレットチャック2000の3つの爪Nの内側に第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224、第3扇状板部223、及び第2扇状板部222を挿入する。
【0132】
この時、保持力センサ200の中心軸X200とコレットチャック2000の中心軸X2000との位置合わせには、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第1扇状板部221の前面(位置合わせ面)221fを用いる。また、保持力センサ200の周方向の位置を、コレットチャック2000の3つの爪Nの各々が、保持力センサ200の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3のいずれか1つの第2扇状板部222の外面(被当接面)222oにのみ当接するように調節する。
【0133】
保持力センサ200を挿入した状態でコレットチャック2000を作動させて3つの爪Nを径方向内側に移動させると、3つの爪Nの内面Niが第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224の外面224o(又は第3扇状板部223の外面223o、又は第2扇状板部222の外面222o)に当接し、コレットチャック2000が第1起歪体FF1~第3起歪体FF3を一体として(まとめて)把持する(
図10(a)、
図10(b)、
図11(a)、
図11(b))。この状態において、保持力センサ200の中心軸X
200はコレットチャック2000の中心軸X
2000に一致する。
【0134】
その後、コレットチャック2000の3つの爪Nを径方向内側に更に移動させると、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の自由端側が径方向内側に押圧され、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3にひずみが生じる。これにより、第1実施形態の保持力センサ100と同様に、コレットチャック2000の保持力の算出や、コレットチャック2000の各爪による保持力のバランスの測定を行うことができる。
【0135】
第2実施形態の保持力センサ200の効果を以下にまとめる。
【0136】
第2実施形態の保持力センサ200は、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の各々が、互いに外径の異なる第2扇状板部222~第4扇状板部224を有し、測定対象のチャックの把持可能範囲に応じて、第2扇状板部222の外面222o、第3扇状板部223の外面223o、及び第4扇状板部224の外面224oのいずれかに、測定対象のチャックを当接させることができる。したがって、把持可能範囲が異なる多種類のチャックの保持力を測定することができる。
【0137】
第2実施形態の保持力センサ200は、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第1扇状板部221の前面221f、第2扇状板部222の前面222f、及び第3扇状板部223の前面223fにより構成される位置合わせ面を有する。そのため、チャックにより保持力センサ200を把持する際に、保持力センサ200の中心軸X200がチャックの中心軸と平行となった適切な姿勢に容易に調整することができる。
【0138】
第2実施形態の保持力センサ200は、第1実施形態の保持力センサ100と同様に、測定が容易であり、測定の信頼性が高く、且つチャック全体としての保持力のみではなく、周方向におけるチャックの保持力のバランスも測定することができる。
【0139】
第2実施形態の保持力センサ200は、第1実施形態の保持力センサ100と同様に、大径曲板部220の厚さを小さくするだけで荷重測定の感度を高めることができ、精密仕上げ用のチャックの保持力測定に用い得る高感度の保持力センサを容易に得ることができる。
【0140】
第2実施形態の保持力センサ200において、次の変形態様を用いることもできる。
【0141】
第2実施形態の保持力センサ200は、周方向に配置された3つの起歪体を有しているが、これには限られない。保持力センサ200が有する起歪体の数は2つ以上の任意の数であってよく、例えば5個、9個、11個等であってよい。より具体的には例えば、周方向の寸法が第1起歪体FF1~第3起歪体FF3よりも大きい点を除いて第1起歪体FF1~第3起歪体FF3と同様の構造を有する起歪体を周方向に2つ配置してもよい。あるいは、周方向の寸法が第1起歪体FF1~第3起歪体FF3よりも小さい点を除いて第1起歪体FF1~第3起歪体FF3と同様の構造を有する起歪体を周方向に4つ以上配置してもよい。任意の数の起歪体は、周方向に等間隔に配置されてもよい。
【0142】
n個(nは2以上の整数)の起歪体を有する保持力センサ200は、n個の爪を有するチャックに対して好適に使用し得る。
【0143】
第2実施形態の保持力センサ200においては、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3はそれぞれ大径曲板部220、及び第1扇状板部221~第4扇状板部224を有するが、これには限られない。保持力センサ200の起歪部22が有する起歪体は、ベース部21により片持ち支持されて自由端を有し、且つ中心軸X200を中心とする第1仮想円上の被当接部、及び当該被当接部の自由端側において中心軸X200を中心とし第1仮想円より直径の小さい第2仮想円上に位置する被当接部を有する任意の形状とし得る。
【0144】
具体的には例えば、第2実施形態の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3から第4扇状板部224を除いた形状を採用し得る。この場合は、第3扇状板部223の前面223fが自由端となり、第3扇状板部223の外面223o及び第2扇状板部222の外面222oが被当接面となる。
【0145】
起歪部22が有する起歪体は、角棒や丸棒を2回直角に折り曲げた略Z字状の部材や、角棒や丸棒を複数回直角に折り曲げて階段状とした部材を、ベース部21により片持ち支持した構成であってもよい。この場合は、自由端近傍の径方向外側の面が最も小さい仮想円上の被当接面として機能し、段部をまたいで固定端側の領域における径方向外側の面が次に小さい仮想円上の被当接面として機能する。段部の前面は位置合わせ面として機能する。
【0146】
第2実施形態の起歪部22の第1起歪体FF1~第3起歪体FF3は、互いに直径が異なる3つの仮想円上に位置する3つの被当接部を有しているが、これには限られない。起歪体の軸方向に沿って設けられ、且つ互いに直径の異なる仮想円上に位置する被当接面の数は、2つ以上の任意の数とし得る。起歪体が有する被当接面の数が多いほど、保持力センサの汎用性が高まる。
【0147】
被当接面の数を増やすためには、具体的には例えば、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の第4扇状板部224の前面に、第4扇状板部224よりも外径の小さい扇状板部の後面を接続する。これにより、当該扇状板部の外面が、中心軸X200を中心とし、第4仮想円よりも小さい直径を有する仮想円上に位置する被当接面となる。
【0148】
被当接面は、必ずしも保持力センサ200の中心軸X200を中心とする仮想円に沿った曲面である必要はなく、起歪体の形状に応じた任意の態様とし得る。例えば各棒を折り曲げた形状の起歪体を備える態様では、被当接面は径方向に直交して延びる平坦面である。即ち被当接面は、測定対象のチャックの爪が当接し得る任意の態様とし得る。例えば被当接面が平坦面である場合は、その一部又は中心部が仮想円上にある場合に、当該被当接面が仮想円上にあるとみなし得る。
【0149】
なお、上記の通り、チャックの爪は一般的に、チャックの中心軸回りに等間隔で配置されている。したがって、保持力センサ200の複数の起歪体が有する被当接面も、保持力センサ200の中心軸X200を中心とする仮想円に沿って等間隔で配置されていてもよい。
【0150】
起歪体がどのような形状である場合も、測定用ひずみゲージGが取り付けられた領域において起歪体の径方向の厚さを、当該起歪体の他の領域における厚さよりも小さくすることにより、保持力測定の感度を高めることができる。
【0151】
第2実施形態の保持力センサ200においては、第1起歪体FF1~第3起歪体FF3のそれぞれに測定用ひずみゲージGが取り付けられているが、これには限られない。測定用ひずみゲージGを第1起歪体FF1~第3起歪体FF3の少なくとも1つに取り付けた態様を用いることもできる。同様に、n個(nは2以上の整数)の起歪体を有する保持力センサ200において、少なくとも1つの起歪体にひずみゲージGを貼り付けてもよい。この場合も、把持力の強弱を容易に且つ高い信頼性をもって求めることができる。
【0152】
第2実施形態の保持力センサ200において、温度補償用ひずみゲージCGを省略してもよい。
【0153】
上記の各態様は、互いに矛盾が生じない限り、組み合わせて適用し得る。例えば、第2実施形態の保持力センサ200と第1実施形態のリングアダプタ500とを組み合わせて保持力センサユニットを構成してもよい。
【0154】
上記の説明では、チャックの例としてコレットチャック及びダイアフラムチャックに言及したが、チャックはこれらには限られない。例えばスクロールチャックであってもよい。
【0155】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0156】
11,21 ベース部、21,22 起歪部、100,200 保持力センサ、1000 保持力センサユニット、2000 コレットチャック、2001 ダイアフラムチャック、F1,F2,F3,FF1,FF2,FF3 起歪体、G 測定用ひずみゲージ、CG 温度補償用ひずみゲージ