(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】オリゴ核酸化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6558 20060101AFI20231201BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20231201BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C07F9/6558
C07D403/04
C07H21/00
(21)【出願番号】P 2020518368
(86)(22)【出願日】2019-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2019018828
(87)【国際公開番号】W WO2019216433
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2018091231
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004156
【氏名又は名称】日本新薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】壽 悠太朗
(72)【発明者】
【氏名】浦辺 郁也
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/060135(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/189142(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0234281(US,A1)
【文献】国際公開第2013/074834(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/043730(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/
C07D 403/
C07H 21/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有する化合物[A]と、次の一般式[1]:
【化1】
[式中、
**は結合位置を表し;
Dはハロゲン、5~6員の飽和環状アミノまたはジ(C
1-6アルキル)アミノを表し;
W
0は孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化2】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化3】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。]
で表されるリン原子を含む置換基を有する化合物[B]を縮合反応に付し、次の一般式[C]:
【化4】
[式中、
W
0、Xは前記と同義であり;
Aは化合物[A]から当該化合物が有する水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基の1個の水素原子を除いた残基を表し;および
Bは化合物[B]から上記一般式[1]で表される置換基を除いた残基を表す。]
で表される化合物[C]を製造するための方法であって
、
化合物[A]および化合物[B]がその分子内に1個~複数個のヌクレオシドユニットを含む化合物であり、その分子内に複数個のヌクレオシドユニットを含み、当該化合物中の隣接するヌクレオシドユニットは互いにリン結合を介して結合され、
化合物[A]を構成するヌクレオシドユニットが、それぞれ同一または異なって、次の一般式[4a]~[4d]:
【化5】
[式中、
*は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)次の一般式[6]:
【化6】
(式中、
*は化合物[A]の残基との結合位置を表し;
Gは、
(1)ケイ素置換基、
(2)長鎖アルキル-カルボニル、
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは
(4)次の一般式[7]:
【化7】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、
(1)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ、
(2)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ、
(3)長鎖アルキルオキシ、
(4)固相担体または
(5)次の一般式[8A]~[8N]:
【化8】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
jは0~4の整数を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8a
は水素原子またはC
1-6
アルキルを表し;
R
8b
は、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8c
は、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]~[9E]:
【化9】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9
は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8d
は、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8e
は
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8f
は、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基を表し;および
Lは一般式[10]:
【化10】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1
は置換されていてもよいC
2-10
アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10
アリーレンを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表される置換基を表し;および
Tは単結合または次の一般式[11]:
【化11】
(式中、
Xは、前記一般式[1]におけるXと同義であり、
Wは孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基を表すが、Gがケイ素置換基である場合、Tは単結合である。)
で表される置換基との結合位置を表し;
**は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)一般式[6]で表される置換基との結合位置を表し;
dは0または1を表し;
B
P
は保護されていてもよい核酸塩基を表し;
R
4a
は水素原子、中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、C
1-6
アルキル、C
1-6
アルコキシ、C
1-6
アルコキシ-C
1-6
アルキル、ハロゲン、ニトロまたはシアノを表し;
R
4b1
およびR
4b2
は、それぞれ同一または異なって、水素原子またはC
1-6
アルキルを表すか、R
4b1
とR
4b2
とが隣接する炭素原子と一緒になって、カルボニルを形成し;および
Jは酸素原子またはN-R
4b3
(R
4b3
はC
1-6
アルキルを表す。)を表す。]
で表されるヌクレオシドユニットであり、
化合物[B]を構成するヌクレオシドユニットが、それぞれ同一または異なって、次の一般式[4e]~[4h]:
【化12】
[式中、
d、B
P
、R
4a
、R
4b1
およびR
4b2
は前記一般式[4a]~[4d]におけるd、B
P
、R
4a
、R
4b1
およびR
4b2
と同義であり;
***は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)次の一般式[1]:
【化13】
(式中、
**は結合位置を表し;
Dはハロゲン、5~6員の飽和環状アミノまたはジ(C
1-6
アルキル)アミノを表し;
W
0
は孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6
アルキル)グアニジル、C
1-6
アルコキシ、ジ(C
1-6
アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6
アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6
アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化14】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2
、CH-A
1
またはN-A
2
を表し;
A
1
は、C
1-6
アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6
アルキル)アミノ-C
1-6
アルキル、ジ(C
1-6
アルキル)アミノ-C
1-6
アルキル、トリ(C
1-6
アルキル)アンモニオ-C
1-6
アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6
アルキル)アミノ、ジ(C
1-6
アルキル)アミノ、トリ(C
1-6
アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化15】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11
はC
1-6
アルキルを表し;および
MはCH
2
、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2
はC
1-6
アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6
アルキル)アミノ-C
1-6
アルキル、ジ(C
1-6
アルキル)アミノ-C
1-6
アルキル、トリ(C
1-6
アルキル)アンモニオ-C
1-6
アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表されるリン原子を含む一般式[1]で表される置換基との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表し;および
****は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)一般式[1]で表される置換基との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表す。]
で表されるヌクレオシドユニットである、極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中において行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
極性溶媒がジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、N-メチルピペリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンおよびN,N’-ジメチルプロピレン尿素からなる群から選択される溶媒であって、ハロゲン系溶媒がクロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンおよび1,2-ジクロロエチレンからなる群から選択される溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物[A]および化合物[B]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合が、それぞれ同一または異なって、次の一般式[5]:
【化16】
[式中、
*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子または3’位の窒素原子との結合位置を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表し;
Wは酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化17】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化18】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。]
で表される結合である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
化合物[A]を構成するヌクレオシドユニットが、それぞれ同一または異なって、次の一般式[4d]:
【化19】
[式中、
*は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)次の一般式[6]:
【化20】
(式中、
*は化合物[A]の残基との結合位置を表し;
Gは、
(1)ケイ素置換基、
(2)長鎖アルキル-カルボニル、
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは
(4)次の一般式[7]:
【化21】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、
(1)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ、
(2)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ、
(3)長鎖アルキルオキシ、
(4)固相担体または
(5)次の一般式[8A]~[8N]:
【化22】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
jは0~4の整数を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]~[9E]:
【化23】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基を表し;および
Lは一般式[10]:
【化24】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表される置換基を表し;および
Tは単結合または次の一般式[11]:
【化25】
(式中、
Xは、前記一般式[1]におけるXと同義であり、
Wは孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基を表すが、Gがケイ素置換基である場合、Tは単結合である。)
で表される置換基との結合位置を表し;
**は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)
一般式[6]で表される置換基との結合位置を表し;および
B
Pは保護されていてもよい核酸塩基を表す。]
で表されるヌクレオシドユニットであって、
化合物[B]を構成するヌクレオシドユニットが、それぞれ同一または異なって、次の一般式[4h]:
【化26】
[式中、
B
Pは
一般式[4d]におけるB
P
と同義であり;
***は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)次の一般式[1]:
【化27】
(式中、
**は結合位置を表し;
Dはハロゲン、5~6員の飽和環状アミノまたはジ(C
1-6アルキル)アミノを表し;
W
0は孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化28】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1は、C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化29】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表されるリン原子を含む
一般式[1]で表される置換
基との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表し;および
****は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)
一般式[1]で表される置換
基との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表す。]
で表されるヌクレオシドユニットである、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
化合物[A]および化合物[B]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合が、それぞれ同一または異なって、次の一般式[5]:
【化30】
[式中、
*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子との結合位置を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表し;
Wは酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化31】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化32】
(式中、
*は、Eとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。]
で表される結合である、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
化合物[B]が次の一般式[B-1]:
【化33】
[式中、
B
Pは、それぞれ同一または異なって、保護されていてもよい核酸塩基を表し;
Dはハロゲン、5~6員の飽和環状アミノまたはジ(C
1-6アルキル)アミノを表し;
pは1~10の整数を表し;
Q
1は酸性条件下で除去可能な基を表し;
Wは、それぞれ同一または異なって、酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは、それぞれ同一または異なって、中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化34】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化35】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で除去可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表す。]
で表される化合物であり、化合物[A]が次の一般式[A-1]:
【化36】
[式中、
B
P、W
、およびXは前記
一般式[B-1]におけるB
P
、W、およびXと同義であり;
Gは、
(1)ケイ素置換基
(2)長鎖アルキル-カルボニル、
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは
(4)次の一般式[7]:
【化37】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、
(1)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ、
(2)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ、
(3)長鎖アルキルオキシ、
(4)固相担体または
(5)次の一般式[8A]~[8N]:
【化38】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
jは0~4の整数を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]~[9E]:
【化39】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基を表し;および
Lは一般式[10]:
【化40】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表される置換基を表し;
nは1~50の整数を表し;および
Tは単結合または次の一般式[11]:
【化41】
(式中、
Xは、前記一般式[1]におけるXと同義であり、
Wは孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基を表すが、Gがケイ素置換基である場合、Tは単結合である。]
で表される化合物であり、
化合物[C]が一般式[C-1]
:
【化42】
[式中、p、B
P
、Q
1
、W、およびXは、前記一般式[B-1]におけるp、B
P
、Q
1
、W、およびXと同義であり、n、G、およびTは前記一般式[A-1]におけるn、G、およびTと同義である。]
で表される化合物である、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
更に、請求項
6に記載の方法で製造される化合物[C-1]を含む反応混合物に酸を含む溶液を添加することにより、Q
1の脱離反応を同一系内で連続して実施して、次の一般式[E-1]:
【化43】
[式中、
B
Pは、それぞれ同一または異なって、保護されていてもよい核酸塩基を表し;
Gは、
(1)ケイ素置換基
(2)長鎖アルキル-カルボニル、
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは
(4)次の一般式[7]:
【化44】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、
(1)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ、
(2)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ、
(3)長鎖アルキルオキシ、
(4)固相担体または
(5)次の一般式[8A]~[8N]:
【化45】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
jは0~4の整数を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]~[9E]:
【化46】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基を表し;および
Lは一般式[10]:
【化47】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基を表す。)
で表される置換基を表し;
nは1~50の整数を表し;
pは1~10の整数を表し;
Wは、それぞれ同一または異なって、酸素原子または硫黄原子を表し;
Xは、それぞれ同一または異なって、中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化48】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化49】
(式中、
*は、Eとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;および
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で除去可能な基)を表す。)
で表される置換基を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で除去可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基を表し;および
Tは単結合または次の一般式[11]:
【化50】
(式中、
Xは、前記一般式[1]におけるXと同義であり、
Wは孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基を表すが、Gがケイ素置換基である場合、Tは単結合である。]
で表される化合物を形成することを含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中、
一般式[A-1-1]:
【化51】
[式中、
B
Pは、保護されていてもよい核酸塩基であり;
Q
1は、酸性条件下で脱離可能な基であり;
Wは、酸素原子または硫黄原子であり;
Xは、ジ(C1-6アルキル)アミノであるか、または一般式[2-1]~[2-8]:
【化52】
[式中、*はPとの結合位置を表す]
で表される置換基から選択され、
Gは、一般式[7]:
【化53】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、一般式[8A]~[8D]、[8E]、[8G]、[8H]、[8J]、[8K]、[8N]:
【化54】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]:
【化55】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基であり;
Lは一般式[10]:
【化56】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基である。)
で表される置換基から選択され;
Tは単結合であるか、または次の一般式[11]:
【化57】
(式中、
Xは、前記一般式[1]におけるXと同義であり、
Wは孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基であり、
nは、1~25である。]
の化合物より、Q
1を除去して、
一般式[A-1]:
【化58】
[式中、B
P、W、X、G、T、およびnは前記
一般式[A-1-1]におけるB
P
、W、X、G、T、およびnと同義である。]
の化合物を形成し、該一般式[A-1]の化合物と、
一般式[B-1]:
【化59】
[式中、B
P、Q
1、W、
およびXは前記
一般式[A-1-1]におけるB
P
、Q
1
、W、およびXと同義であり;
Dは、ハロゲンであり、
pは1~10の整数である]
の化合物とを反応させて、
一般式[C-1]:
【化60】
[式中、n
、B
P、Q
1、W、X、G、およびTは前記
一般式[A-1-1]におけるn、B
P
、Q
1
、W、X、G、およびTと同義であ
り、pは前記一般式[B-1]におけるpと同義である。]
の化合物を調製する、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項9】
混合溶媒が、
ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピぺリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、およびN,N’-ジメチルプロピレン尿素からなる群より選択される少なくとも1つの極性溶媒と、
クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタンからなる群より選択される少なくとも1つのハロゲン系溶媒との混合溶媒であり、そして
混合溶媒中、極性溶媒が1%~50%(v/v)である、
請求項
8に記載の一般式[C-1]の化合物を調製する方法。
【請求項10】
一般式[A-1-1]:
【化61】
[式中、
Q
1が、トリチル、モノメトキシトリチル、またはジメトキシトリチルであり、そして
n、B
P、W、X、G、およびTが
請求項10に記載の一般式[A-1-1]におけるn、B
P
、W、X、G、およびTと同義である。]
の化合物より、
トリフルオロ酢酸および2,2,2-トリフルオロエタノール、および場合によりトリイソプロピルシランまたはエタノールの存在下、
Q
1を除去することを含む、
請求項
8または
9に記載の一般式[C-1]の化合物を調製する方法。
【請求項11】
前記一般式[A-1]の化合物を含有する溶液と前記一般式[B-1]の化合物を含有する溶液を流通反応器に供給して、前記一般式[C-1]の化合物を形成し、そして、場合により
前記一般式[C-1]の化合物を含有する溶液と酸を含有する溶液を流通反応器に供給してQ
1を除去して
一般式[E-1]:
【化62】
[式中、n、p、B
P
、W、X、G、およびTは前記一般式[C-1]におけるn、p、B
P
、W、X、G、およびTと同義である。]の化合物を形成することを含む、
請求項
8~
10に記載の式[C-1]の化合物を調製する方法。
【請求項12】
前記一般式[A-1-1]の化合物を含有する溶液と酸を含有する溶液を流通反応器に供給してQ
1を除去して式[A-1]の化合物を形成し、そして、
前記一般式[A-1]の化合物を含有する溶液と前記一般式[B-1]の化合物を含有する溶液を次の流通反応器に供給して、前記一般式[C-1]の化合物を形成することを含む、
請求項
8~
10に記載の式[C-1]の化合物を調製する方法。
【請求項13】
一般式[A-1-2]:
【化63】
[式中、
B
Pが、保護されていてもよい
アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、チミン、ウラシルまたはそれらの修飾塩基であり;
Q
2が、Hであるか、または
トリチル、モノメトキシトリチルもしくはジメトキシトリチルであり;
Wが、酸素原子であり;
X
が、ジ(C1-6アルキル)アミノであり;
Gが、下記の式:
【化64】
[式中、
*はTとの結合位置を表す。]からなる群より選択され;
Tが、単結合であり;
nが、1~25である。]
の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオリゴ核酸化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オリゴ核酸化合物の製造方法として、固相法と液相法が知られている。固相法は固相担体に担持された基質と反応試薬を含む溶液とを接触させながら核酸を伸長する不均一系の反応方法である。固相法ではフィルター付きの反応容器を使用して、容器内で反応を行う、いわゆるバッチ法が使用される(例えば、非特許文献1、特許文献1を参照。)。また、核酸自動合成機(例えば、DNA、RNAシンセサイザー)のように、固相担体をカラムに入れて、そのカラムに反応試薬を含む溶液を流すことで反応させる擬似的なフロー合成法も知られている。
一方、液相法は基質と反応試薬の両方を含む溶液中で反応させることによって核酸を伸長する均一系の反応方法である。液相法も容器内で反応を行うバッチ法が使用される(例えば、特許文献2、特許文献3を参照。)。
【0003】
固相法、液相法、バッチ法、擬似的なフロー合成法のいずれの場合であっても、オリゴ核酸化合物の化学的合成法では、核酸化合物上の酸素原子またはアミノ基の保護基を除去する「脱保護」反応と、脱保護されて反応できるようになった酸素原子または窒素原子とリン原子との結合形成を行う「縮合」反応を何度も繰り返すことで核酸を伸長していく。
なかでも、リン原子と酸素原子または窒素原子との結合形成を行う「縮合」反応における反応効率や反応速度を制御することはオリゴ核酸化合物の製造において非常に重要であり、この縮合反応の条件はオリゴ核酸化合物の製造期間に大きなインパクトを与える要素となる。
【0004】
固相法は固相担体と溶液との不均一系の反応であるため、固相担体による立体障害が原因で縮合反応の反応性が落ちることが知られている。固相担体としては、一般的にポリスチレン樹脂が使用されるが、反応中は使用する反応溶媒によって膨潤し、乾燥状態よりその体積が大きくなる。その膨潤度は反応溶媒に依存する。
したがって、固相法における縮合反応の反応効率および反応速度は使用する反応溶媒に依存する。特に、ポリスチレン樹脂はオリゴ核酸化合物の合成に一般的に使用されるアセトニトリルのような極性溶媒では、膨潤度がそれほど大きくなく、固相法において極性溶媒を使用するということは、縮合反応の反応効率および反応速度を向上するという側面から好ましいとはいえない。
【0005】
一方、均一系の反応方法としては、液相法と疎水性基結合ヌクレオシドや擬似固相保護ヌクレオシド等を用いた合成法が知られている。
液相法は、基質と反応試薬の両方を含む溶液中で反応させる均一系の反応方法であり、固相法と比較して反応効率は高く、反応速度は速いが、不純物となる反応試薬や反応溶媒を除去するため、カラム精製などが必要となる。
疎水性基結合ヌクレオシドや擬似固相保護ヌクレオシド等を用いた合成法は、液相法と同様、均一系で反応することができるため、固相法と比較して反応効率は高く、反応速度は速い。さらに、反応後、反応混合物から目的とする化合物を析出させることで不要な反応試薬や反応溶媒を除去することができる(例えば、特許文献4を参照。)。
これらの均一系の反応方法では、縮合反応においてクロロホルムのような非極性溶媒が使用されているが、例えば、モルフォリノ核酸の合成で報告されているように(例えば、特許文献5を参照。)、非極性溶媒中での縮合反応は非常に長い時間を必要とするため、均一系の反応において非極性溶媒を使用するということは、縮合反応の反応効率および反応速度を向上するという側面から好ましいとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開公報第1991/09033A1
【文献】国際公開公報第2014/077292A1
【文献】国際公開公報第2013/122236A1
【文献】日本特許第5548852号
【文献】国際公開公報第2016/060135A1
【非特許文献】
【0007】
【文献】Acc.Chem.Res.,Vol.24,278-284,1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、オリゴ核酸化合物の製造期間を短縮しうる、新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、オリゴ核酸化合物の縮合反応において極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒を反応溶媒として使用することにより、効率よくリン結合を形成しうることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、例えば、水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有する化合物[A]と次の一般式[1]:
【化1】
[式中、
**は化合物[B]の残基との結合位置を表し;
Dはハロゲン、5~6員の飽和環状アミノまたはジ(C
1-6アルキル)アミノを表し;
W
0は孤立電子対、酸素原子または硫黄原子を表し;および
Xは中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、1,1,3,3-テトラ(C
1-6アルキル)グアニジル、C
1-6アルコキシ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C
1-6アルキル)アミノまたは次の一般式[2]:
【化2】
(式中、
*はPとの結合位置を表し;
aは0~2の整数を表し;
EはCH
2、CH-A
1またはN-A
2を表し;
A
1はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ、ジ(C
1-6アルキル)アミノ、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミジノで置換されているアミノまたは次の一般式[3]:
【化3】
(式中、
*はEとの結合位置を表し;
bは0~2の整数を表し;
cは0または1を表し;
R
11はC
1-6アルキルを表し;
MはCH
2、酸素原子、硫黄原子またはN-(塩基性条件下で脱離可能な基)を表す。)
で表される置換基(以下、「置換基[3]」という。)を表し;および
A
2はC
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、ジ(C
1-6アルキル)アミノ-C
1-6アルキル、トリ(C
1-6アルキル)アンモニオ-C
1-6アルキル、塩基性条件下で脱離可能な基、アリールまたはヘテロアリールを表す。)
で表される置換基(以下、「置換基[2]」という。)を表す。]
で表されるリン原子を含む置換基(以下、「置換基[1]」という。)を有する化合物[B]を縮合反応に付し、次の一般式[C]:
【化4】
(式中、
W
0およびXは前記と同義であり;
Aは化合物[A]から当該化合物が有する水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基の1個の水素原子を除いた残基を表し;および
Bは化合物[B]から置換基[1]を除いた残基を表す。)
で表される化合物(以下、「化合物[C]」という。)を製造するための方法であって、反応溶媒として極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中において行われることを特徴とする方法を挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
オリゴ核酸化合物は、2個~複数個のヌクレオシドユニットがリン結合を介して連なった構造を有する化合物である。オリゴ核酸化合物を製造するためには、何度も縮合反応を行い、隣接するヌクレオシドユニット間でリン結合を形成する必要がある。
本発明によれば、効率的にリン結合を形成しうるため、結果的にオリゴ核酸化合物の製造時間を短くすることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】連続反応に使用する反応器の模式図を例示したものである。 F-1~F-5は溶液容器を示し、P-1~P-5はポンプを示し、R-1~R-4は流通反応器を示し、そしてS-1~S-5は供給流路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有する化合物[A]と置換基[1]を有する化合物[B]を縮合反応に付し、化合物[C]を製造するための方法であって、反応溶媒として極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中において行われることを特徴とする。
【0014】
(A) 化合物[A]について
本製造方法で使用しうる化合物[A]としては、例えば、水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有する化合物を挙げることができる。
【0015】
化合物[A]の具体的な態様の1つとしては、その分子内に1個~複数個のヌクレオシドユニットを含む化合物を挙げることができる。具体的には、1個~50個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物が適当であり、1個~30個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物が好ましく、1個~25個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物がより好ましい。
化合物[A]に含まれるヌクレオシドユニットとしては、例えば、次の一般式[4a]~[4d]:
【化5】
[式中、
*は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)次の一般式[6]:
【化6】
(式中、
*は化合物[A]の残基との結合位置を表し;
Gは、
(1)ケイ素置換基、
(2)長鎖アルキル-カルボニル、
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは
(4)次の一般式[7]:
【化7】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、
(1)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ、
(2)(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ、
(3)長鎖アルキルオキシ、
(4)固相担体または
(5)次の一般式[8A]~[8N]:
【化8】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
jは0~4の整数を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]~[9E]:
【化9】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基(以下、それぞれ「置換基[9A]」、「置換基[9B]」、「置換基[9C]」、「置換基[9D]」、「置換基[9E]」という。)を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基(以下、それぞれ「置換基[8A]」、「置換基[8B]」、「置換基[8C]」、「置換基[8D]」、「置換基[8E]」、「置換基[8F]」、「置換基[8G]」、「置換基[8H]」、「置換基[8I]」、「置換基[8J]」、「置換基[8K]」、「置換基[8L]」、「置換基[8M]」、「置換基[8N]」という。)を表し;および
Lは一般式[10]:
【化10】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基(以下、「置換基[10]」という。)を表す。)
で表される置換基(以下、「置換基[7]」という。)を表し;および
Tは単結合または次の一般式[11]:
【化11】
(式中、
XおよびWは前記と同義であり;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基(以下、「置換基[11]」という。)を表すが、Gがケイ素置換基である場合、Tは単結合である。)
で表される置換基(以下、「置換基[6]」という。)との結合位置を表し;
**は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)置換基[6]との結合位置を表し;
dは0または1を表し;
B
Pは保護されていてもよい核酸塩基を表し;
R
4aは水素原子、中性条件下で脱離可能な基で置換されている水酸基、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシ-C
1-6アルキル、ハロゲン、ニトロまたはシアノを表し;
R
4b1およびR
4b2は、それぞれ同一または異なって、水素原子またはC
1-6アルキルを表すか、R
4b1とR
4b2とが隣接する炭素原子と一緒になって、カルボニルを形成し;および
Jは酸素原子またはN-R
4b3(R
4b3は、C
1-6アルキルを表す。)を表す。]
で表されるヌクレオシドユニット(以下、それぞれ「ヌクレオシドユニット[4a]」、「ヌクレオシドユニット[4b]」、「ヌクレオシドユニット[4c]」、「ヌクレオシドユニット[4d]」という。)を挙げることができる。
【0016】
ヌクレオシドユニット[4a]~[4d]の好ましい態様としてはそれぞれ、例えば、次の一般式[4a1]~[4d1]:
【化12】
[式中、
d、B
P、J、R
4a、R
4b1およびR
4b2は前記と同義であり;
*は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)置換基[6]との結合位置を表し;および
**は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)水素原子との結合位置または
(3)置換基[6]との結合位置を表す。]
で表されるヌクレオシドユニット(以下、それぞれ「ヌクレオシドユニット[4a1]」、「ヌクレオシドユニット[4b1]」、「ヌクレオシドユニット[4c1]」、「ヌクレオシドユニット[4d1]」という。)を挙げることができる。
【0017】
化合物[A]がその分子内に複数個のヌクレオシドユニットを含む場合には、当該化合物中の隣接するヌクレオシドユニットは互いにリン結合を介して結合されていることが好ましい。
化合物[A]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合としては、それぞれ同一または異なって、例えば、次の一般式[5]:
【化13】
[式中、
Xは前記と同義であり;
*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子または3’位の窒素原子との結合位置を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表し;および
Wは酸素原子または硫黄原子を表す。]
で表される結合(以下、「リン結合[5]」という。)を挙げることができる。
【0018】
以下に、化合物[A]の代表例を示す。
【0019】
(A-1) 1個~複数個のヌクレオシドユニット[4d]で構成される化合物[A]
前記一般式[4d]で表されるヌクレオシドユニットにおいて、
*が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)水素原子との結合位置であり;
**が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)置換基[6]との結合位置である。
【0020】
化合物[A]の態様の1つとしては、例えば、5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子が、例えば、置換基[6]で置換されている化合物を挙げることができる。
その場合、化合物[A]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合としては、例えば、それぞれ同一または異なって、リン結合[5]を挙げることができる。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子との結合位置を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
【0021】
より具体的な化合物[A]の態様としては、例えば、次の一般式[A-1]:
【化14】
[式中、
B
P、G、T、XおよびWは前記と同義であり;および
nは1~50の整数を表す。]
で表される化合物(以下、「化合物[A-1]」という。)を挙げることができる。
nは1~50の整数が適当であり、1~30の整数が好ましく、1~25の整数がより好ましい。
より具体的な化合物[A]の態様としては、例えば、次の一般式[A-1-2]:
式[A-1-2]:
【化15】
[式中、
B
Pが、保護されていてもよい核酸塩基であり;
Q
2が、Hであるか、または酸性条件下で脱離可能な基であり;
Wが、酸素原子であり;
X、ジ(C1-6アルキル)アミノであり;
Gが、下記の式:
【化16】
[式中、
*はTとの結合位置を表す。]からなる群より選択され;
Tが、単結合であり;
nは、1~25である。]
の化合物が挙げられる。
【0022】
(A-2) ヌクレオシドユニット[4a]、ヌクレオシドユニット[4b]およびヌクレオシドユニット[4c]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットで構成される化合物[A]
前記一般式[4a]、[4b]および[4c]で表されるヌクレオシドユニットにおいて、
*が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)置換基[6]との結合位置であり;
**が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)水素原子との結合位置である。
【0023】
化合物[A]の態様の1つとしては、例えば、3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子が、例えば、置換基[6]で置換されている化合物を挙げることができる。
その場合、化合物[A]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合は、例えば、リン結合[5]が適当である。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
より具体的な化合物[A]の態様としては、例えば、次の一般式[A-2]:
【化17】
[式中、
n、B
P、G、R
4a、T、XおよびWは前記と同義である。]
で表される化合物(以下、「化合物[A-2]」という。)を挙げることができる。
【0024】
化合物[A-1]および化合物[A-2]における置換基[7]の具体例としては、例えば、以下の置換基を挙げることができる。
【化18】
[式中、
*はTとの結合位置を表す。]
【0025】
(B) 化合物[B]について
本製造方法で使用しうる化合物[B]としては、例えば、置換基[1]を有する化合物を挙げることができる。
【0026】
化合物[B]の具体的な態様の1つとしては、例えば、その分子内に1個~複数個のヌクレオシドユニットを含む化合物を挙げることができる。より具体的には、1個~10個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物が適当であり、1個~7個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物が好ましく、1個~5個の範囲内のヌクレオシドユニットを含む化合物がより好ましい。
【0027】
化合物[B]に含まれるヌクレオシドユニットとしては、例えば、次の一般式[4e]~[4h]:
【化19】
[式中、
d、B
P、J、R
4a、R
4b1およびR
4b2は前記と同義であり;
***は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)置換基[1]との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表し;
****は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)置換基[1]との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表す。]
で表されるヌクレオシドユニット(以下、それぞれ「ヌクレオシドユニット[4e]」、「ヌクレオシドユニット[4f]」、「ヌクレオシドユニット[4g]」、「ヌクレオシドユニット[4h]」という。)を挙げることができる。
【0028】
ヌクレオシドユニット[4e]~[4h]の好ましい態様としてはそれぞれ、例えば、次の一般式[4e1]~[4h1]:
【化20】
[式中、
d、B
P、J、R
4a、R
4b1およびR
4b2は前記と同義であり;
***は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)置換基[1]との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表し;および
****は、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子もしくは3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置、
(2)置換基[1]との結合位置または
(3)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置を表す。]
で表されるヌクレオシドユニット(以下、それぞれ「ヌクレオシドユニット[4e1]」、「ヌクレオシドユニット[4f1]」、「ヌクレオシドユニット[4g1]」、「ヌクレオシドユニット[4h1]」という。)を挙げることができる。
【0029】
化合物[B]がその分子内に複数個のヌクレオシドユニットを含む場合には、当該化合物中の隣接するヌクレオシドユニットは互いにリン結合を介して結合されていることが好ましい。
その場合、化合物[B]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合としては、例えば、それぞれ同一または異なって、リン結合[5]を挙げることができる。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
【0030】
以下に、化合物[B]の代表例を示す。
【0031】
(B-1) 1個~複数個のヌクレオシドユニット[4h]で構成される化合物[B]
前記一般式[4h]で表されるヌクレオシドユニットにおいて、
***が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置であり;
****が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)置換基[1]との結合位置である。
【0032】
化合物[B]の態様の1つとしては、例えば、3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子が酸性条件下で脱離可能な基で置換されている化合物を挙げることができる。
その場合、化合物[B]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合としては、例えば、それぞれ同一または異なって、リン結合[5]を挙げることができる。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
また、化合物[B]の5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子には、次の一般式[1A]:
【化21】
[式中、
D、WおよびXは前記と同義であり;および
**は化合物[B]の残基との結合位置を表す。]
で表されるリン原子を含む置換基を有することが適当である。
より具体的な化合物[B]の態様としては、例えば、次の一般式[B-1]:
【化22】
[式中、
B
P、D、XおよびWは前記と同義であり;
pは1~10の整数を表し;および
Q
1は酸性条件下で脱離可能な基を表す。]
で表される化合物(以下、「化合物[B-1]」という。)を挙げることができる。
なお、pは1~10の整数が適当であり、1~7の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましい。
【0033】
p=1である、化合物[B-1]の具体例としては、例えば、以下の表1に記載の化合物を挙げることができる。
【0034】
【0035】
(B-2) ヌクレオシドユニット[4e]、ヌクレオシドユニット[4f]およびヌクレオシドユニット[4g]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットで構成される化合物[B]
前記一般式[4e]、[4f]および[4g]で表されるヌクレオシドユニットにおいて、
***が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)置換基[1]との結合位置であり;
****が、
(1)隣接するヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子と結合しているリン結合との結合位置または
(2)酸性条件下で脱離可能な基との結合位置である。
【0036】
化合物[B]の態様の1つとしては、例えば、5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子が、酸性条件下で脱離可能な基で置換されている化合物を挙げることができる。
この場合、化合物[B]を構成する各ヌクレオシドユニット間のリン結合としては、例えば、それぞれ同一または異なって、リン結合[5]を挙げることができる。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
また、化合物[B]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子には、次の一般式[1B]:
【化23】
[式中、
DおよびXは前記と同義であり;および
**は化合物[B]の残基との結合位置を表す。]
で表されるリン原子を含む置換基を有することが適当である。
より具体的な化合物[B]の態様の1つとしては、例えば、次の一般式[B-2]:
【化24】
[式中、
p、B
P、D、Q
1、R
4a、XおよびWは前記と同義である。]
で表される化合物(以下、「化合物[B-2]」という。)を挙げることができる。
【0037】
p=1である、化合物[B-2]の具体例としては、例えば、以下の表2に記載の化合物を挙げることができる。表2中のDMTrはジメトキシトリチルを表し、TBDMSはtert-ブチルジメチルシリルを表す。
【0038】
【0039】
(C) 化合物[C]について
化合物[C]としては、例えば、化合物[A]と化合物[B]とを縮合反応に付すことにより製造しうる化合物を挙げることができる。
【0040】
以下に、化合物[C]の代表例を示す。
【0041】
(C-1) 1個~複数個のヌクレオシドユニット[4d]および1個~複数個のヌクレオシドユニット[4h]から構成される化合物[C]
具体的な化合物[C]の態様としては、例えば、次の一般式[C-1]:
【化25】
[式中、
n、p、B
P、G、Q
1、T、WおよびXは前記と同義である。]
で表される化合物(以下、「化合物[C-1]」という。)を挙げることができる。
後述するが、化合物[A-1]と化合物[B-1]を反応させることにより化合物[C-1]を製造する方法において新たに形成されるリン結合としては、例えば、リン結合[5]を挙げることができる。但し、前記一般式[5]で表されるリン結合において、*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。
【0042】
(C-2) ヌクレオシドユニット[4a]、ヌクレオシドユニット[4b]およびヌクレオシドユニット[4c]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットならびにヌクレオシドユニット[4e]、ヌクレオシドユニット[4f]およびヌクレオシドユニット[4g]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットから構成される化合物[C]
【0043】
具体的な化合物[C]の態様の1つとしては、例えば、次の一般式[C-2]:
【化26】
[式中、
n、p、B
P、G、Q
1、R
4a、T、WおよびXは前記と同義である。]
で表される化合物(以下、「化合物[C-2]」という。)を挙げることができる。
後述するが、化合物[A-2]と化合物[B-2]を反応させることにより化合物[C-2]を製造する方法において新たに形成されるリン結合としては、例えば、次の一般式[5a]:
【化27】
[式中、
Xは前記と同義であり;および
*および**の一方はヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子との結合位置を表し、もう一方は前記ヌクレオシドユニットと異なるヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子との結合位置を表す。]
で表されるリン原子を含む結合(以下、「リン結合[5a]」という。)を挙げることができる。
【0044】
化合物[C-2]を酸化剤と反応させることによって、その分子内のリン結合上のリン原子が酸化された次の一般式[D-2]:
【化28】
[式中、
n、p、B
P、G、Q
1、R
4a、T、WおよびXは前記と同義である。]
で表される化合物(「化合物[D-2]」という。)に変換することができる。
【0045】
(D) 用語の説明
ここで、「核酸塩基」としては、例えば、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、チミン、ウラシルまたはそれらの修飾塩基を挙げることができる。かかる修飾塩基としては、例えば、シュードウラシル、3-メチルウラシル,ジヒドロウラシル、5-アルキルシトシン(例えば、5-メチルシトシン)、5-アルキルウラシル(例えば、5-エチルウラシル)、5-ハロウラシル(5-ブロモウラシル)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(6-メチルウラシル)、2-チオウラシル、4-チオウラシル、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5’-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、1-メチルアデニン、1-メチルヒポキサンチン、2,2-ジメチルグアニン、3-メチルシトシン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メチルカルボニルメチルウラシル、5-メチルオキシウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸、2-チオシトシン、プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、イソグアニン、インドール、イミダゾール、キサンチンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、BPに係る核酸塩基のアミノ基または水酸基は保護されていてもよい。
アミノ基の保護基としては、核酸の保護基として使用されるものであれば特に制限されず、具体的には、例えば、ベンゾイル、4-メトキシベンゾイル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4-tert-ブチルフェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレンを挙げることができる。アミノ基の保護基としては、ベンゾイル、アセチル、フェニルアセチル、4-tert-ブチルフェノキシアセチルが好ましい。水酸基の保護基としては、例えば、2-シアノエチル、4-ニトロフェネチル、フェニルスルホニルエチル、メチルスルホニルエチル、トリメチルシリルエチル、置換可能な任意の位置で1~5個の電子吸引性基で置換されていてもよいフェニル、ジフェニルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、1-ピロリジニルカルバモイル、モルホリノカルバモイル、4-(tert-ブチルカルボキシ)ベンジル、4-[(ジメチルアミノ)カルボキシ]ベンジル、4-(フェニルカルボキシ)ベンジルを挙げることができる(例えば、国際公開公報第2009/064471A1を参照。)。水酸基の保護基としては、2-シアノエチル、4-ニトロフェネチル、4-(tert-ブチルカルボキシ)ベンジルが好ましい。グアニンの6位水酸基の保護基は、2-シアノエチルが好ましい。
「保護されていてもよい核酸塩基」は、保護されていない「核酸塩基」および/または保護されている核酸塩基であり、例えば、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、チミン、ウラシル、アミノ基がベンゾイルで保護されたアデニン(A
Bz
)、アミノ基がベンゾイルで保護されたシトシン(CBz)、水酸基が2-シアノエチルで保護され、そしてアミノ基がフェノキシアセチルで保護されたグアニン(G
CE,Pac
)が挙げられる。
「長鎖アルキル」は、例えば、直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~300のアルキルを示し、好ましくは直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~100のアルキルを示し、より好ましくは直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~30のアルキルを示す。
「長鎖アルキル-カルボニル」および「長鎖アルキルオキシ」の「長鎖アルキル」部分は、前記「長鎖アルキル」と同じものを挙げることができる。
「長鎖アルケニル」例えば、直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~300のアルケニルを示し、好ましくは直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~100のアルケニルを示し、より好ましくは直鎖状または分枝鎖状の炭素数10~30のアルケニルを示す。
「長鎖アルケニルオキシ」および「長鎖アルケニル-カルボニル」の「長鎖アルケニル」部分は、前記「長鎖アルケニル」と同じものを挙げることができる。
「ハロゲン」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
「5~6員の飽和環状アミノ」としては、例えば、環構成原子として、O又はSを1個有していてもよい、Nを1個又は2個有する5員~6員の飽和環状アミノ基、具体的には、1-ピロリジニル、1-イミダゾリジニル、ピペリジノ、1-ピペラジニル、1-テトラヒドロピリミジニル、4-モルホリノ、4-チオモルホリノ、1-ホモピペラジニル、オキサゾリジン-3-イルを挙げることができる。
「C1-6アルキル」は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~6のアルキルを示し、具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルを挙げることができる。
「C1-6アルコキシ」は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~6のアルコキシを示し、具体的には、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシを挙げることができる。
「C1-6アルコキシ-C1-6アルキル」の「C1-6アルコキシ」部分は、前記「C1-6アルコキシ」と同じものを挙げることができる。
「ジ(C1-6アルキル)アミノ」、モノ(塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミノ-C1-6アルキル)アミノ、ジ(塩基性条件下で除去可能な基で置換されているアミノ-C1-6アルキル)アミノ、モノ(C1-6アルキル)アミノ-C1-6アルキル、ジ(C1-6アルキル)アミノ-C1-6アルキル、トリ(C1-6アルキル)アンモニオ-C1-6アルキル、モノ(C1-6アルキル)アミノ、ジ(C1-6アルキル)アミノ、トリ(C1-6アルキル)アンモニオ、モノ(アミノ-C1-6アルキル)アミノおよびジ(アミノ-C1-6アルキル)アミノの「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同じものを挙げることができる。
「C2-10アルキレン」は、直鎖状または分枝鎖状の炭素数2~10のアルキルから異なる構成炭素原子に結合している1つの水素原子を除去することにより生成される2価の基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基を挙げることができる。かかる「アルキレン」は、置換可能な任意の位置で、1個~12個のハロゲンで置換されていてもよい。L1に係る「アルキレン」としては、エチレンが特に好ましい。
「C6-10アリーレン」は、炭素数6~10の単環式または多環式の芳香族炭化水素から2個の異なる環構成炭素原子に結合している2個の水素原子を除去することにより生成される2価の基であり、例えば、フェニレン、ナフチレンを挙げることができる。かかる「アリーレン」は、置換可能な任意の位置で、1個~6個のハロゲンで置換されていてもよい。L1に係る「アリーレン」としては、フェニレンが特に好ましい。
「1,1,3,3-テトラ(C1-6アルキル)グアニジル」、「C1-6アルコキシ-C1-6アルキル」「ジ(C1-6アルキル)アミノ」、「ジ(C1-6アルキル)アミノ-C1-6アルキル」、「トリ(C1-6アルキル)アンモニオ」、「トリ(C1-6アルキル)アンモニオ-C1-6アルキル」、「塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C1-6アルキル)アミノ」、「塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているモノ(C1-6アルキル)アミノ-C1-6アルキル」、「モノ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C1-6アルキル)アミノ」、「ジ(塩基性条件下で脱離可能な基で置換されているアミノ-C1-6アルキル)アミノ」の「C1-6アルキル」部分は、前記「C1-6アルキル」と同じものを挙げることができる。
「酸性条件下で除去可能な基」としては、例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチルを挙げることができる。
「塩基性条件下で除去可能な基」としては、例えば、トリフルオロアセチルを挙げることができる。
「中性条件下で除去可能な基」としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドまたは三フッ化水素・トリエチルアミン塩を作用させることによって脱離させることができる基を挙げることができ、例えば、2-シアノエトキシメトキシ、2-シアノエトキシ-2-エトキシ、tert-ブチルジメチルシリルを挙げることができる。
「ケイ素置換基」としては、例えば、トリフェニルシリル、ジイソプロピルフェニルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、tert-ブチルジフェニルシリルを挙げることができる。
「アリール」は、例えば、フェニルを挙げることができる。
「ヘテロアリール」は、例えば、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジニル、チエニル、フラニルを挙げることができる。
「固相担体」としては、一般的に、核酸、ペプチド、ペプチド核酸、糖などの固相合成に使用しうるものであれば、特に問題なく使用することができ、例えば、定孔ガラス(controlled pore glass;CPG)、オキサリル化-定孔ガラス(例えば、Nucleic Acids Research,Vol.19,1527(1991)を参照。)、TentaGel支持体-アミノポリエチレングリコール誘導体化支持体(例えば、Tetrahedron Letters,Vol.34,3373(1993)を参照。)、Poros-ポリスチレン/ジビニルベンゼンのコポリマー、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂を挙げることができる。
「有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー」としては、例えば、架橋のないスチレンポリマーやポリエチレングリコール誘導体を挙げることができる。
「(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-オキシ」および「(有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー)-アミノ」の「有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー」部分は、前記「有機溶媒に溶解する可溶性ポリマー」と同じものを挙げることができる。
「架橋のないスチレンポリマー」としては、例えば、ジビニルベンゼンで架橋されていないポリスチレンでポリエチレングリコール等のスペーサーを持つ誘導体(TentaGelシリーズ、ArgoGelシリーズ)を挙げることができる。
「ポリエチレングリコール誘導体」としては、例えば、分子量100~40000のポリエチレングリコールで置換基を持つ誘導体等(SUNBRIGHT(登録商標)シリーズ)を挙げることができる。
【0046】
(E) 化合物[C]の製造方法
例えば、水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有する化合物[A]と、置換基[1]を有する化合物[B]とを縮合反応に付すことにより、化合物[C]を製造することができる。
後述する実施例および試験例に記載するように、化合物[C]の製造において極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒を反応溶媒として使用することにより、効率よくリン結合を形成しうる。
【0047】
本製造方法で使用しうる極性溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、N-メチルピペリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素またはそれらの混合溶媒を挙げることができる。なかでも、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピぺリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素が好ましい。
本製造方法で使用しうるハロゲン系溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレンまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。なかでも、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタンが好ましい。
本製造方法で使用しうる極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、その下限は1.0重量%、好ましくは2.0重量%、より好ましくは3.0重量%、更に好ましくは5.0重量%である。また、その上限は90重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは50重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができ、例えば、1%~90%の範囲内が適当であり、5%~75%の範囲内が好ましく、5%~50%の範囲内が特に好ましい。
本製造方法においては、必要に応じて、塩基を使用してもよい。本製造方法で使用しうる「塩基」としては、例えば、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-エチルモルフォリン、2,6-ルチジンを挙げることができる。
本製造方法で使用しうる塩基の使用量としては、例えば、化合物[A]1モルに対して、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~10倍量の範囲内が好ましく、1倍量~5倍量の範囲内が更に好ましい。
本製造方法においては、必要に応じて、添加剤を使用してもよい。本製造方法で使用しうる「添加剤」としては、例えば、LiBr、LiCl、LiI、NaIが好ましい。
本製造方法で使用しうる添加剤の使用量としては、例えば、化合物[A]1モルに対して、モル比で0.2倍量~6.0倍量の範囲内が適当であり、0.4倍量~3.0倍量の範囲内が好ましく、1.0倍量~2.5倍量の範囲内が更に好ましい。
反応温度としては、例えば、-78℃~130℃の範囲内が適当であり、-40℃~100℃の範囲内が好ましく、0℃~80℃の範囲内が更に好ましい。
反応時間としては、使用する化合物[A]の種類、化合物[B」の種類、反応溶媒の種類、塩基の種類、反応温度によって異なるが、例えば、1分~300分の範囲内が適当であり、5分~120分の範囲内が好ましい。
【0048】
オリゴ核酸化合物である化合物[C]を製造しうる場合、本製造方法は、バッチ法でも、フロー法でも適用しうる。
また、本製造方法は、オリゴ核酸化合物の製造方法として知られた、固相法、液相法、疎水性基結合ヌクレオシドや擬似固相保護ヌクレオシド等を用いた液相法においても適用しうる。
【0049】
固相法を利用してオリゴ核酸化合物である化合物[C]を製造しうる場合、化合物[A]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子においてまたは化合物[A]の5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子において、固相担体に担持されたものを使用することができる。
【0050】
液相法を利用してオリゴ核酸化合物を製造しうる場合、化合物[A]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子においてまたは化合物[A]の5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子において、有機溶媒に溶解する可溶性ポリマーに担持されたものを使用することができる。
【0051】
疎水性基結合ヌクレオシドや擬似固相保護ヌクレオシド等を用いた液相法を利用してオリゴ核酸化合物を製造しうる場合、化合物[A]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の酸素原子においてまたは化合物[A]の5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子において、例えば、疎水性基が結合されたものまたは擬似固相に担持されたものを使用することができる(例えば、特開2010-275254号公報、国際公開第2012/157723号を参照。)。
【0052】
以下、化合物[C-1]および化合物[C-2]を例にして詳細に説明する。
【0053】
(E-1) 化合物[C-1]の製造方法
【化29】
[式中、
n、p、B
P、D、G、Q
1、T、WおよびXは前記と同義である。]
【0054】
化合物[A-1]を化合物[B-1]と縮合反応に付すことによって、化合物「C-1」を製造することができる。
本製造方法で使用しうる極性溶媒としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、スルホラン、N-メチルピペリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素またはそれらの混合溶媒を挙げることができる。なかでも、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピぺリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素が好ましい。
本製造方法で使用しうるハロゲン系溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレンまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。なかでも、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタンが好ましい。
本製造方法で使用しうる極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、その下限は1.0重量%、好ましくは2.0重量%、より好ましくは3.0重量%、更に好ましくは5.0重量%である。また、その上限は90重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは50重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができ、例えば、1%~90%の範囲内が適当であり、5%~75%の範囲内が好ましく、5%~50%の範囲内が特に好ましい。
本製造方法においては、必要に応じて、塩基を使用してもよい。本製造方法で使用しうる「塩基」としては、例えば、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-エチルモルフォリン、2,6-ルチジンを挙げることができる。
本製造方法で使用しうる塩基の使用量としては、例えば、化合物[A]1モルに対して、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~10倍量の範囲内が好ましく、1倍量~5倍量の範囲内が更に好ましい。
本製造方法においては、必要に応じて、添加剤を使用してもよい。本製造方法で使用しうる「添加剤」としては、例えば、LiBr、LiCl、LiI、NaIが好ましい。
本製造方法で使用しうる添加剤の使用量としては、例えば、化合物[A]1モルに対して、モル比で0.2倍量~6.0倍量の範囲内が適当であり、0.4倍量~3.0倍量の範囲内が好ましく、1.0倍量~2.5倍量の範囲内が更に好ましい。
反応温度としては、例えば、-78℃~130℃の範囲内が適当であり、-40℃~100℃の範囲内が好ましく、0℃~80℃の範囲内が更に好ましい。
反応時間としては、使用する化合物[A]の種類、化合物[B」の種類、反応溶媒の種類、塩基の種類、反応温度によって異なるが、例えば、1分~300分の範囲内が適当であり、5分~120分の範囲内が好ましい。
【0055】
化合物[A-1]がその分子内に固相担体を有する場合、すなわち、化合物[A-1]においてGが置換基[7]であって、Zが固相担体である場合、例えば、(1)化合物[A-1]を適当なカラムに充填し化合物[B-1]を含む反応溶液を溶出するか、または(2)フィルター付きの反応容器内に化合物[A-1]と化合物[B-1]を含む反応溶液を振とうもしくは撹拌することによって、本縮合反応を実施することができる。
【0056】
化合物[A-1]において、Gが(1)ケイ素置換基、(2)長鎖アルキル-カルボニル、(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(4)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)場合、例えば、(1)化合物[A-1]を適当な反応容器内に化合物[A-1]と化合物[B-1]を反応溶媒中で撹拌するか、または(2)化合物[A-1]を含有する溶液と化合物[B-1]を含有する溶液をそれぞれ独立して供給流路を介して流通反応器内または反応流路に供給し、流通反応器等内においてそれら溶液を混合することによって、本縮合反応を実施することができる。
【0057】
ここで、「供給流路」とは、溶液を連続的に供給するための流路を意味し、「反応流路」とは、溶液を流通させながら反応させることができる流路を意味し、流通反応器とは、溶液の投入、反応、生成物の回収を同時に行い、操作の途切れ目のない反応器を意味する。
化合物[A-1]を含有する溶液および化合物[B-1]を含有する溶液を供給流路に供給するための手段としては、通常この分野で用いられる液体を供給するためのポンプ、具体的には、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプを挙げることができる。
流通反応器としては、例えば、マイクロリアクター、スタティックミキサーのようなインラインミキサーを挙げることができる。
化合物[A-1]を含有する溶液および化合物[B-1]を含有する溶液を供給流路から反応流路に導くための手段としては、例えば、多段衝突型マイクロミキサーを挙げることができる。
供給流路および反応流路の材質としては、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂および芳香族ポリエーテルケトン系樹脂からなる群から選択される合成樹脂製のチューブ、またはステンレス、銅およびその合金ならびにチタンおよびその合金からなる群から選択される金属製の管を挙げることができる。
供給流路および反応流路の内径は、例えば、通常0.1mm~1.0mmの範囲内の大きさから適宜選択すればよいが、例えば、0.2mm~1.0mmの範囲内の大きさから選択するのが好ましい。
【0058】
(E-2) 化合物[C-2]の製造方法
【化30】
[式中、
n、p、B
P、D、G、Q
1、R
4a、T、WおよびXは前記と同義である。]
【0059】
化合物[A-2]を化合物[B-2]と縮合反応に付すことによって、化合物「C-2」を製造することができる。
本製造方法においては、必要に応じて、塩基を使用してもよい。本製造方法で使用しうる「塩基」としては、例えば、ジイソプロピルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N-エチルモルフォリン、2,6-ルチジンを挙げることができる。
【0060】
化合物[A-2]がその分子内に固相担体を有する場合、すなわち、化合物[A-2]においてGが置換基[7]であって、Zが固相担体である場合、例えば、(1)化合物[A-1]を適当なカラムに充填し化合物[B-2]を含む反応溶液を溶出するか、または(2)フィルター付きの反応容器内に化合物[A-2]と化合物[B-2]を含む反応溶液を振とうまたは撹拌することによって、本縮合反応を実施することができる。
【0061】
化合物[A-2]において、Gが(1)ケイ素置換基、(2)長鎖アルキル-カルボニル、(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(4)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)場合、例えば、(1)化合物[A-2]を適当な反応容器内に化合物[A-2]と化合物[B-2]を反応溶媒中で撹拌するか、または(2)化合物[A-2]を含有する溶液と化合物[B-2]を含有する溶液をそれぞれ独立して供給流路を介して流通反応器内または反応流路に供給し、流通反応器等内においてそれら溶液を混合することによって、本縮合反応を実施することができる。
さらに、縮合反応した後、(1)反応混合物からカラムを用いて精製することによって化合物[C-2]を得るか、または(2)反応混合物に適当な溶媒を添加して得られる析出物をろ取し、適当な溶媒で洗浄することによって化合物[C-2]を得ることができる。
【0062】
化合物「C-2」は、当該化合物を構成する各ヌクレオシドユニットがヌクレオシドユニット[4a]およびヌクレオシドユニット[4e]である化合物であるが、ヌクレオシドユニット[4a]またはヌクレオシドユニット[4e]の全てまたは一部が、ヌクレオシドユニット[4b]、ヌクレオシドユニット[4c]、ヌクレオシドユニット[4f]またはヌクレオシドユニット[4g]に置き換わった化合物であったとしても、上記と同様の方法で製造することができる。
【0063】
(F) 化合物[C]の精製方法について
化合物[C]がその分子内に非常に高い脂溶性を示す置換基を有する場合、カラム精製等の煩雑な操作を要することなく、晶析や抽出操作のみで簡便に単離・精製することができる。
そのような化合物としては、例えば、化合物[C-1]および化合物[C-2]において、Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)化合物を挙げることができる。
一方、化合物[C]がその分子内に固相担体を有する場合、例えば、化合物[C]を適当なカラムに充填し、適当な溶媒を用いて化合物[C]を洗浄し不要物を取り除くことによって精製することができる。
そのような化合物としては、例えば、化合物[C-1]および化合物[C-2]において、Gが置換基[7]であって、Zが固相担体である化合物を挙げることができる。
また、化合物[C-1]および化合物[C-2]において、Gがケイ素置換基である場合、適当な溶媒を使用してカラム精製等の操作を行うことにより、目的とする化合物を単離・精製することができる。
【0064】
(G) 化合物[C]の分子内のQ
1
の脱離方法
化合物[C]が2個~複数個のヌクレオシドユニットを含む化合物である場合、その分子内に酸性条件下で脱離可能な基で保護された水酸基または1級のもしくは2級のアミノ基を有することがあり得る。
そのような場合には、分子内の酸性条件下で脱離可能な基を選択的に除去することにより製造される新たな化合物に対して、前記「(E) 化合物[C]の製造方法」に記載した縮合反応を実施することにより、さらにヌクレオシドユニットが1つ増えた化合物[C]を製造することができる。
【0065】
以下、化合物[C-1]および化合物[C-2]を例にして詳細に説明する。
【0066】
(G-1) 化合物[C-1]の分子内のQ
1
の脱離方法
化合物[C-1]を酸と反応させることによって、化合物[C-1]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の窒素原子に置換されているQ1を脱離することができる。化合物[C-1]の分子内のQ1を脱離することによって、次の一般式[E-1]で表される化合物(以下、「化合物[E-1]」という。)を製造することができる。
【0067】
【化31】
[式中、
n、p、B
P、G、Q
1、T、WおよびXは前記と同義である。]
【0068】
化合物[C-1]において、Gが置換基[7]であって、Zが固相担体である場合、例えば、(1)化合物[C-1]を適当なカラムに充填し酸を含有する溶液を溶出するか、または(2)フィルター付きの反応容器内に化合物[C-1]と酸を含有する溶液を振とうまたは撹拌することによって、本脱離反応を実施することができる。
本脱離反応において使用しうる溶媒は、特に限定されないが、例えば極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒を使用することができる。極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、その下限は1.0重量%、好ましくは2.0重量%、より好ましくは3.0重量%、更に好ましくは5.0重量%である。また、その上限は90重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは50重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができ、例えば、1%~50%の範囲内が適当であり、1%~40%の範囲内が好ましく、1%~30%の範囲内が特に好ましい。
本脱離反応において使用しうる「酸」としては、例えば、トリフルオロ酢酸、シアノピリジントリフルオロ酢酸塩、トリエチルアミントリフルオロ酢酸塩、シアノ酢酸、トリクロロ酢酸、リン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、塩酸を挙げることができる。これら酸を使用する際には、塩基(例えば、トリエチルアミン)と組み合わせて、酸性度を調整して使用してもよい。
本脱離反応において使用しうる酸の使用量としては、化合物[C-1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本脱離反応において使用しうる酸は、適当な溶媒を用いて、例えば、5%~80%の範囲内の濃度になるように希釈することが適当であり、5%~50%の範囲内の濃度になるように希釈することが好ましい。
本脱離反応において使用しうる酸を溶解するための溶媒としては、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本脱離反応において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本脱離反応において使用しうる「スカベンジャー」としては、例えば、エタノール、トリイソプロピルシラン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ピロール、インドール、2,2,2-トリフルオロエタノール、メタノール、アニソール、メルカプトエタノール、チオアニソールを挙げることができる。
本脱離反応において使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[C-1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0069】
化合物[C-1]において、Gが(1)ケイ素置換基、(2)長鎖アルキル-カルボニル、(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(4)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)場合、例えば、(1)化合物[C-1]を適当な反応容器内に化合物[C-1]と酸を適当な反応溶媒中で撹拌するか、または(2)化合物[C-1]を含有する溶液と酸を含有する溶液をそれぞれ独立して供給流路を介して流通反応器内または反応流路に供給し、流通反応器等内においてそれら溶液を混合することによって、本脱離反応を実施することができる。
本脱離反応において使用しうる溶媒は、特に限定されないが、例えば極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒を使用することができる。極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、その下限は1.0重量%、好ましくは2.0重量%、より好ましくは3.0重量%、更に好ましくは5.0重量%である。また、その上限は90重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは50重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができ、極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、例えば、1%~50%の範囲内が適当であり、1%~40%の範囲内が好ましく、1%~30%の範囲内が特に好ましい。
本脱離反応において使用しうる「酸」としては、前記と同じものを挙げることができる。これら酸を使用する際には、塩基(例えば、トリエチルアミン)と組み合わせて、酸性度を調整して使用してもよい。
本脱離反応において使用しうる酸の使用量としては、化合物[C-1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本脱離反応において使用しうる酸は、適当な溶媒を用いて、例えば、5%~80%の範囲内の濃度になるように希釈することが適当であり、5%~50%の範囲内の濃度になるように希釈することが好ましい。
本脱離反応において使用しうる酸を溶解するための溶媒としては、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本脱離反応において使用しうる「スカベンジャー」としては、前記と同じものを挙げることができる。
本脱離反応において使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[C-1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
本脱離反応において使用しうる供給流路に供給するための手段としては、通常この分野で用いられる液体を供給するためのポンプ、具体的には、例えば、シリンジポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤポンプを挙げることができる。
本脱離反応において使用しうる流通反応器としては、例えば、マイクロリアクター、スタティックミキサーのようなインラインミキサーを挙げることができる。
本脱離反応において使用しうる供給流路から反応流路に導くための手段としては、例えば、多段衝突型マイクロミキサーを挙げることができる。
本脱離反応において使用しうる供給流路および反応流路の材質としては、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂および芳香族ポリエーテルケトン系樹脂からなる群から選択される合成樹脂製のチューブ、またはステンレス、銅およびその合金ならびにチタンおよびその合金からなる群から選択される金属製の管を挙げることができる。
本脱離反応において使用しうる供給流路および反応流路の内径は、例えば、通常0.1mm~1.0mmの範囲内の大きさから適宜選択すればよいが、例えば、0.2mm~1.0mmの範囲内の大きさから選択するのが好ましい。
【0070】
後述する試験例および実施例に記載するように、化合物[E-1]を製造する方法において、反応溶媒として極性溶媒とハロゲン系溶媒の混合溶媒を使用することによって、化合物[A-1]と化合物[B-1]とを縮合反応に付すことで製造される化合物[C-1]を含む反応混合物に酸を含む溶液を添加することにより、Q
1の脱離反応を同一系内で本連続反応として実施することができる。また、化合物[C-1]を製造する方法において、反応溶媒として極性溶媒とハロゲン系溶媒の混合溶媒を使用して、化合物[A-1-1]のQ
1の脱離反応を実施して、同一系内で、化合物[A-1]と化合物[B-1]とを縮合反応に付して化合物[C-1]を形成することを含む、本連続反応として実施することができる。
本連続反応において使用しうる溶媒は、特に限定されないが、例えば極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒を使用することができる。極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、その下限は1.0重量%、好ましくは2.0重量%、より好ましくは3.0重量%、更に好ましくは5.0重量%である。また、その上限は90重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは50重量%、更に好ましくは40重量%、特に好ましくは30重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができ、極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中における極性溶媒の割合は、例えば、1%~50%の範囲内が適当であり、1%~40%の範囲内が好ましく、1%~30%の範囲内が特に好ましい。
本連続反応としては、例えば
極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中、
式[A-1-1]:
【化32】
[式中、
B
Pは、保護されていてもよい核酸塩基であり;
Q
1は、酸性条件下で脱離可能な基であり;
Wは、酸素原子または硫黄原子であり;
Xは、ジ(C1-6アルキル)アミノであるか、または一般式[2-1]~[2-8]:
【化33】
[式中、*はPとの結合位置を表す]
で表される置換基から選択され、、好ましくはジ(C1-6アルキル)アミノであり、更に好ましくはジメチルアミノであり;
Gは、一般式[7]:
【化34】
(式中、
*はTとの結合位置を表し;
Zは、一般式[8A]~[8D]、[8E]、[8G]、[8H]、[8J]、[8K]、[8N]:
【化35】
(式中、
*はLとの結合位置を表し;
kは0~5の整数を表し;
R
8aは水素原子またはC
1-6アルキルを表し;
R
8bは、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルを表し;
R
8cは、それぞれ同一または異なって、次の一般式[9A]:
【化36】
(式中、
*は結合位置を表し;および
R
9は長鎖アルキルおよび/または長鎖アルケニルを表す。)
で表される置換基を表し;
R
8dは、それぞれ同一または異なって、水素原子、ハロゲン、1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルまたは1個~13個のハロゲンで置換されていてもよい長鎖アルキルオキシを表し;
R
8eは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルを表し;および
R
8fは、
(1)長鎖アルキル、
(2)長鎖アルキル-カルボニルまたは
(3)長鎖アルケニル-カルボニルを表す。)
で表される置換基であり;
Lは一般式[10]:
【化37】
(式中、
*はZとの結合位置を表し;
**は酸素原子との結合位置を表し;および
L
1は置換されていてもよいC
2-10アルキレンまたは置換されていてもよいC
6-10アリーレンを表す。)
で表される置換基である。)
で表される置換基であり;
Tは単結合であるか、または次の一般式[11]:
【化38】
(式中、
XおよびWは、前記と同義であり;
*はOとの結合位置を表し;
**はGとの結合位置を表し;および
qは0~10の整数を表す。)
で表される置換基であり、
nは、1~25である。]
の化合物より、Q1を除去して、
式[A-1]:
【化39】
[式中、B
P、W、X、G、T、およびnは前記と同義である。]
の化合物とし、
式[B-1]:
【化40】
[式中、B
P、Q
1、W、X、G、およびTは前記と同義であり;
Dは、ハロゲンであり、
pは1~10の整数である]
の化合物とを反応させて、
式[C-1]:
【化41】
[式中、n、p、B
P、Q
1、W、X、G、およびTは前記と同義である。]
の化合物を調製する方法が挙げられる。
本連続反応としては、例えば
極性溶媒とハロゲン系溶媒との混合溶媒中、
式[A-1-1]:
【化42】
[式中、
Q
1が、トリチル、モノメトキシトリチル、またはジメトキシトリチルであり、そして
n、B
P、W、X、G、およびTが前記と同義である。]
の化合物より、
トリフルオロ酢酸及び2,2,2-トリフルオロエタノール、場合によりトリイソプロピルシラン又はエタノールの存在下、
Q1を除去することを含むことができる。
本連続反応は、流通反応器中で行うことができる。例えば、
前記一般式[A-1-1]の化合物を含有する溶液と酸を含有する溶液を流通反応器に供給してQ1を除去して式[A-1]の化合物とし、そして、
前記一般式[A-1]の化合物を含有する溶液と前記一般式[B-1]の化合物を含有する溶液を次の流通反応器に供給して、前記一般式[C-1]の化合物を調製する方法が挙げられる。
場合により、式[A-1]の化合物を含有する溶液とスカベンジャーを含有する溶液を供給する流通反応器や、余剰の式[B-1]の化合物及び式[C-1]の化合物を含有する溶液と、モルホリン、1-メチルピペラジン、及びN-エチルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する溶液を供給する流通反応器を使用することができる。
【0071】
(G-2) 化合物[C-2]の分子内のQ
1
の脱離方法
【0072】
化合物[C-2]は不安定な化合物であるため、化合物[C-2]から、その5’末端側のヌクレオシドの5’位の酸素原子に置換されているQ1を脱離する前に、まず酸化剤を使用して前記縮合反応で形成されるリン結合上のリン原子を3価から5価に酸化し、次の一般式[D-2]で表される化合物(以下、「化合物[D-2]」という。)に変換することが好ましい。
【0073】
【化43】
[式中、
n、p、B
P、G、Q
1、R
4a、T、WおよびXは前記と同義である。]
【0074】
工程1 化合物[D-2]の製造
化合物[C-2]において、Gが置換基[7]であって、Zが固相担体である場合、リン原子の酸化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる(Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry)。
本工程で使用しうる酸化剤としては、例えば、市販の核酸合成用の酸化溶液[酸化溶液-2、0.1mol/L ヨウ素/78%テトラヒドロフラン/20%ピリジン/2%水、富士フイルム和光純薬株式会社製;酸化溶液、0.5M (1S)-(+)-(10-カンファースルホニル)-オキサジリジンの0.5Mアセトン溶液、グレンリサーチ社製)を挙げることができる。
また、リン原子を酸化してホスホロチオエート化する場合、リン原子の酸化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる(例えば、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistryを参照。)。
本工程で使用しうる酸化剤としては、例えば、市販の核酸合成用の硫化試薬[3-{(N,N-ジメチルアミノメチリデン)アミノ})-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン(DDTT)、グレンリサーチ社製; 核酸合成用 5-フェニル-3H-1,2,4-ジチアゾール-3-オン、富士フイルム和光純薬株式会社社製]を挙げることができる。 本工程においては、これら酸化剤を適当な溶媒に溶解して使用することが適当である。
【0075】
化合物[C-2]において、Gが(1)ケイ素置換基、(2)長鎖アルキル-カルボニル、(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(4)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)場合、リン原子の酸化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる(例えば、Nucleic Acids Research,Vol.21,No.5,1213-1217(1993)を参照。)。
本工程で使用しうる酸化剤としては、例えば、(+)-カンフォリルスルホニルオキサジリジン(CSO)(+)-(8,8-ジクロロカンフォリルスルホニル)-オキサジリジン(DCSO)、メチルエチルケトン過酸化物、tert-ブチルハイドロペルオキシド(TBHP)を挙げることができる。
【0076】
工程2 化合物[E-2]の製造
化合物[D-2]を酸と反応させることによって、化合物[D-2]の5’末端側のヌクレオシドユニットの5’位の酸素原子に置換されているQ1を脱離することができる。化合物[D-2]から、その分子内のQ1を脱離させることにより、上記一般式[E-2]で表される化合物(以下、「化合物[E-2]」という。)を製造することができる。
【0077】
化合物[D-2]においてGが置換基[7]であって、Zが固相担体である場合、例えば、化合物[D-2]を適当なカラムに充填し酸を含有する溶液を溶出するか、またはフィルター付きの反応容器内に化合物[D-2]と酸を含有する溶液を振とうまたは撹拌することにより実施することができる。
化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応は、それ自体公知の方法に準じて行うことができる(例えば、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistryを参照。)。
本工程に使用しうる酸としては、例えば、市販の核酸合成用のデブロック溶液[例えば、デブロッキング溶液-1,3w/v%トリクロロ酢酸/ジクロロメタン溶液(富士フイルム和光純薬株式会社製)、Deblocking Mix 3% ジクロロ酢酸/ジクロロメタン溶液(グレンリサーチ社製)]を挙げることができる。
【0078】
化合物[D-2]において、Gが(1)ケイ素置換基、(2)長鎖アルキル-カルボニル、(3)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(4)置換基[7]である(但し、Zが固相担体である場合を除く。)場合、例えば、(1)化合物[D-2]を適当な反応容器内に化合物[D-2]と酸を適当な反応溶媒中で撹拌するか、または(2)化合物[D-2]を含有する溶液と酸を含有する溶液をそれぞれ独立して供給流路を介して流通反応器内または反応流路に供給し、流通反応器等内においてそれら溶液を混合することにより実施することができる。
化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応は、それ自体公知の方法に準じて行うことができる(例えば、Nucleic Acids Research,Vol.21,No.5,1213-1217(1993)を参照。)。
本工程に使用しうる酸としては、例えば、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸を挙げることができる。
【0079】
(H) 最終脱保護、核酸化合物の単離工程について
【0080】
化合物[C-1]、化合物[D-2]、化合物[E-1]または化合物[E-2]がその分子内に保護基を有する場合には、保護基の種類または性質に応じた脱保護処理を実施することにより、全ての保護基が脱離された化合物を製造することができる。例えば、「Green’s PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS,第4版、2006年」に記載されている脱保護方法に従い、化合物が有する全ての保護基を除去することができる。具体的には、例えば、(1)アンモニア水、(2)アンモニア水/エタノールまたは(3)アンモニア水とメチルアミン水溶液の混合溶液で処理することにより、化合物[C-1]、化合物[D-2]、化合物[E-1]または化合物[E-2]がその分子内に有する置換基[6]および核酸塩基のアミノ基または水酸基の保護基を除去することができる。
また、例えば、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「酸」と同じもの、前記「化合物[C-2]の分子内のQ1の脱離方法」の「工程2 化合物[E-2]の製造」に記載した「酸」と同じもの、または塩酸もしくは酢酸を適当な溶媒で希釈した溶液で処理することにより、化合物[C-1]の3’末端側のヌクレオシドの3’位のアミノ基の保護基および化合物[D-2]の5’末端側のヌクレオシドの5’位の水酸基に置換されている酸性条件下で脱離可能な基を除去することができる。
核酸塩基部の保護基を脱離した後に、化合物[D-2]の5’末端側のヌクレオシドの5’位の水酸基に置換されている酸性条件下で脱離可能な基を除去する場合には、酸を水で希釈したものを用い、核酸塩基部が保護されている場合は、酸を適当な有機溶媒で希釈したものを用いる。
【0081】
(I) 精製分離工程について
【0082】
化合物[C-1]または化合物[E-1]が有する全ての保護基が除去された化合物は、反応混合物から通常の分離精製手段、例えば、抽出、濃縮、中和、濾過、遠心分離、再結晶、C8からC18の逆相カラムクロマトグラフィー、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、透析、限界ろ過などの手段を単独または組み合わせて用いることによって単離することができる(例えば、国際公開公報第1991/09033A1を参照。)。
逆相クロマトグラフィーを用いて所望の化合物を精製する場合には、溶出溶媒として、例えば20mMのトリエチルアミン/酢酸緩衝液とアセトニトリルの混合溶液を使用することができる。
また、イオン交換クロマトグラフィーを用いて所望の化合物を精製する場合には、例えば、1Mの食塩水と10mMの水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液または50 mMのリン酸緩衝液の0.3Mの食塩水を使用することができる。
【0083】
化合物[D-2]または化合物[E-2]が有する全ての保護基が除去された化合物は、上記反応混合物から通常の分離精製手段、例えば、抽出、濃縮、中和、濾過、遠心分離、再結晶、C8からC18の逆相カラムクロマトグラフィー、C8からC18逆相カートリッジカラム、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、透析、限界ろ過などの手段を単独または組み合わせて用いることによって単離精製することができる。
「溶出溶媒」としては、例えば、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールもしくは水の単独溶媒またはそれら溶媒の任意の比率の混合溶媒を挙げることができる。この場合、添加物として、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリス塩酸またはエチレンジアミン四酢酸を1mM~2Mの濃度で添加し、溶液のpHを1~9の範囲で調整することもできる。
【0084】
(J) 化合物[A]の製造
化合物[A]は、例えば、化合物[A]に対応する化合物が有する水酸基に置換基[6]を公知の方法に従って導入することにより製造される。
【0085】
以下に、代表的な例を紹介し、化合物[A]の製造方法を説明する。
【0086】
(J-1) 化合物[A-1]の製造
1個~複数個のヌクレオシドユニット[4d]で構成され、各ヌクレオシドユニット間のリン結合がリン結合[5]である化合物[A]を、例えば、以下の(i)~(iv)に記載の方法に従って製造することができる。
【0087】
(i) Gがケイ素置換基であって、Tが単結合である、化合物[A-1]の製造
【化44】
[式中、
n、B
P、Q
1、XおよびWは、前記と同義であり;
Halはハロゲンを表し;
G
1は、ケイ素置換基を表す。]
上記一般式[A-1a]で表される化合物(以下、「化合物[A-1a]」という。)は、Gがケイ素置換基であって、Tが単結合である、化合物[A-1]である。
以下に、化合物[A-1a]の製造方法の一例を記載する。
【0088】
工程1 上記一般式[A-1a-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-1a-Q1]」という。)の製造
上記一般式[21]で表される化合物(以下、「化合物[21]」という。)に上記一般式[20A]で表される化合物(以下、「化合物[20A]」という。)を用いて、化合物[21]の5’末端の水酸基にケイ素置換基を導入することにより、化合物[A-1a-Q1]を製造することができる。このケイ素置換基の導入反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0089】
工程2 化合物[A-1a]の製造
化合物[A-1a-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-1a]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-1a-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0090】
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-1a-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0091】
(ii) Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-1]の製造
【化45】
[式中、
n、B
P、Q
1、XおよびWは前記と同義であり;
G
2は(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]を表し;および
Yは水酸基またはハロゲンを表す。]
【0092】
上記一般式[A-1b]で表される化合物(以下、「化合物[A-1b]」という。)は、Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であり、Tが単結合である、化合物[A-1]である。
以下に、化合物[A-1b]の製造方法の一例を記載する。
【0093】
工程1 上記一般式[A-1b-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-1b-Q1]」という。)の製造
化合物[21]を上記一般式[20B]で表される化合物(以下、「化合物[20B]」という。)と縮合することにより、化合物[A-1b-Q1]を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
本工程においてYが水酸基である化合物[20B]を使用する場合、塩基の存在または非存在下において、縮合剤を使用して、-20℃~100℃の範囲内で行うことができる。
本工程においてYがハロゲンである化合物[20B]を使用する場合、塩基の存在おいて、-20℃~100℃の範囲内で行うことができる。
本工程に使用しうる縮合剤としては、例えば、1,1’-オキサリルジイミダゾール、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを挙げることができる。
本工程に使用しうる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンの有機塩基を挙げることができる。
本工程に使用しうる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、THF、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程においてYが水酸基である化合物[20B]を使用する場合には、必要に応じて、添加剤を使用することができる。
本工程に使用しうる添加剤としては、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールを挙げることができる。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常、10分~24時間の範囲内が適当である。
化合物[21]および縮合剤の使用量としては、例えば、化合物[20B]1モルに対して1倍モル~1.5倍モルの範囲内が適当である。
塩基の使用量としては、例えば、化合物[20B]に対して1当量~10当量の範囲内、好ましくは1当量~4当量の範囲内である。
【0094】
工程2 化合物[A-1b]の製造
化合物[A-1b-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-1b]を製造することができる。
【0095】
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-1b-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0096】
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-1b-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0097】
(iii) Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であって、Tが置換基[11]である、化合物[A-1]の製造
【化46】
[式中、
n、q、B
P、D、G
2、Q
1、T、XおよびWは前記と同義であり;
Trtはトリチルである。]
【0098】
上記一般式[A-1c]で表される化合物(以下、「化合物[A-1c]」という。)は、Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であって、Tが置換基[11]である、化合物[A-1]である。
以下に、化合物[A-1c]の製造方法の一例を記載する。
【0099】
工程1 上記一般式[23]で表される化合物(以下、「化合物[23]」という。)の製造
上記一般式[20C]で表される化合物(以下、「化合物[20C]」という。)と上記一般式[22]で表される化合物(以下、「化合物[22]」という。)を縮合することにより、化合物[23]を製造することができる。
化合物[20C]はカルボン酸体であるが、本工程においてその反応性誘導体を使用することもできる。化合物[20C]の反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド(例えば、酸クロリド、酸ブロミド)などのエステル縮合形成反応に通常用いられるものを挙げることができる。
なお、化合物[22]は公知の方法(例えば、米国特許出願公開公報第2014/0330006A1を参照。)に準じて製造することができる。
また、公知の方法(例えば、国際公開公報第2014/077292A1を参照。)に準じて、Gが1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/または長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルである、化合物[20C]を製造することができる。
【0100】
工程2 上記一般式[24]で表される化合物(以下、「化合物[24]」という。)の製造
化合物[23]を酸で分子内のトリチル基を脱離することにより、化合物[24]を製造することができる。
【0101】
工程3 上記一般式[A-1c-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-1c-Q1]」という。)の製造
化合物[24]と上記一般式[25]で表される化合物(以下、「化合物[25]」という。)を縮合することにより、化合物[A-1c-Q1]を製造することができる。縮合反応、脱保護反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0102】
工程4 化合物[A-1c]の製造
化合物[A-1c-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-1c]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-1c-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0103】
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-1c-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0104】
(iv) Gが置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-1]の製造
【化47】
[式中、
n、B
P、L
1、Q
1、X、WおよびZは前記と同義である。]
【0105】
上記一般式[A-1d]で表される化合物(以下、「化合物[A-1d]」という。)は、Gが置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-1]である。
以下に、化合物[A-1d]の製造方法の一例を記載する。
【0106】
工程1 上記一般式[A-1d-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-1d-Q1]」という。)の製造
上記一般式[20D]で表される化合物(以下、「化合物[20D]」という。)を上記一般式[21]で表される化合物(以下、化合物[21])という。)と縮合することにより、化合物[A-1d-Q1]を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
化合物[20D]はカルボン酸体であるが、本工程においてその反応性誘導体を使用することもできる。化合物[20D]の反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド(例えば、酸クロリド、酸ブロミド)など、エステル縮合形成反応に通常用いられるものを挙げることができる。
化合物[20D]を用いる場合には、塩基の存在または非存在下において、縮合剤を使用して、-20℃~100℃の範囲内で反応を行うことができる。
本工程に使用しうる縮合剤としては、例えば、1,1’-オキサリルジイミダゾール、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを挙げることができる。
本工程に使用しうる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンなどの有機塩基を挙げることができる。
本工程に使用しうる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、THF、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。また、必要に応じて、添加剤を使用することができる。
本工程に使用しうる添加剤としては、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールを挙げることができる。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常、10分~24時間の範囲内が適当である。
化合物[21]および縮合剤の使用量としては、例えば、化合物[20D]1モルに対して1倍モル~1.5倍モルの範囲内が適当である。
塩基の使用量としては、例えば、化合物[20D]に対して1当量~10当量の範囲内、好ましくは1当量~4当量の範囲内である。
【0107】
工程2 化合物[A-1d]の製造
化合物[A-1d-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-1d]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-1d-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[C-1]の分子内のQ1の脱離方法」に記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-1d-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0108】
なお、例えば、以下に記載の製法に従って、化合物[20D]を製造することができる。
【化48】
[式中、
L
1およびZは前記と同義であり;
RはC
1-6アルキルを表す。]
【0109】
工程1 上記一般式[28]で表される化合物(以下、「化合物[28]」という。)の製造
上記一般式[26]で表される化合物(以下、「化合物[26]」という。)を上記一般式[27]で表される化合物(以下、「化合物[27]」という。)と縮合することによって、化合物[28]を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
本工程に使用しうる試薬、反応条件などは、上記「化合物[A-1b-Q1]の製造」と同様のものを用いることができる。
【0110】
工程2 化合物[20D]の製造
化合物[28]をエステル加水分解することによって、化合物[20D]を製造することができる。エステル加水分解反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
本工程に使用しうる溶媒は、特に限定されないが、例えば、水やメタノール、エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本工程は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの塩基の存在下、20℃~100℃の範囲内で行われる。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常、10分~24時間の範囲内が適当である。
【0111】
また、化合物[26]は、例えば、以下の(a)~(j)に記載の方法にしたがって製造することができる。
(a) 例えば、市販品として入手可能な1級アミン化合物を使用するか、または市販品として入手可能なハロゲン化アルキルをアミノ化することによって、Zが置換基[8A]であって、R8aが水素原子であり、R8bが長鎖アルキルである、化合物[26]を製造することができる。
(b) 例えば、市販品として入手可能な1級アミン化合物をアルキル化することによって、Zが置換基[8A]または置換基[8B]であって、R8aがC1-6アルキルであり、R8bが、それぞれ同一または異なって、長鎖アルキルである、化合物[26]を製造することができる。アルキル化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
(c) 公知の方法(例えば、Cancer Res.,2008 Nov 1;68(21):8843-8851、Chem.Sci.,2016,7,2308-2321を参照。)に準じて、Zが置換基[8C]である化合物[26]を製造することができる。
(d) 例えば、フタル酸メチルを1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジンと縮合し、その後水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いてエステル部分を加水分解し、さらにZが置換基[8A]である化合物[26]と縮合した後、トリフルオロ酢酸などの酸を用いてtert-ブトキシカルボニル基を脱離することによって、Zが置換基[8D]である化合物[26]を製造することができる。縮合反応、アルカリを用いた加水分解反応、および酸を用いたtert-ブトキシカルボニル基の脱保護反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
(e) 例えば、エタン-1,2-ジオールの片方のヒドロキシル基を、ハロゲン化アルキルを用いてアルキル化することによって、Zが置換基[8E]であって、R8eが長鎖アルキル基である、化合物[26]を製造することができる。
例えば、エタン-1,2-ジオールの片方のヒドロキシル基を、長鎖アルキル-カルボニル化することによってZが置換基[8E]であって、R8eが長鎖アルキル-カルボニルである、化合物[26]を製造することができる。長鎖アルキル-カルボニル化するために使用する化合物としては、例えば、対応するカルボン酸化合物またはその反応性誘導体を使用することができる。反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド(例えば、酸クロリド、酸ブロミド)など、エステル縮合形成反応に通常用いられるものを挙げることができる。
例えば、エタン-1,2-ジオールの片方のヒドロキシル基を、化合物[20C]と縮合することによって、Zが置換基[8E]であって、R8eが1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/または長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイル基である、化合物[26]を製造することができる。
(f) 例えば、エタン-1,2-ジオールの代わりに2-アミノ-エタノールを用いて、上記Zが置換基[8E]である化合物(18)の製造方法と同様の方法に従って、Zが置換基[8F]である化合物[26]を製造することができる。
(g) 例えば、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル-フェニルアラニンを、Zが置換基[8A]である化合物[26]と縮合した後、ピペリジンで9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基を脱離することによって、Zが置換基[8G]である化合物[26]を製造することができる。縮合反応および9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基の脱保護反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
(h) 例えば、エタン-1,2-ジオールの代わりに1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペラジンを用いて、上記Zが置換基[8E]である化合物[26]の製造方法と同様の方法に従って製造した後、分子内のtert-ブトキシカルボニル基を酸で脱保護することによって、Zが置換基[8H]である化合物[26]を製造することができる。
(i) 公知の方法(例えば、日本特許第5705512号、Tetrahedron Letters,Vol.53,1936-1939(2012)、国際公開公報第2014/189142A1、国際公開公報第2016/060135A1、国際公開公報第2016/140232A1を参照。)に従って、Zが置換基[8I]、置換基[8J]、置換基[8K]、置換基[8L]、置換基[8N]である、化合物[26]を製造することができる。
(j) 例えば、水酸基を有する9H-キサンテン-9-オンと水素化ナトリウムのような塩基で処理し、適当なハロゲン化-長鎖アルキルを作用することにより、対応する長鎖アルキルオキシを有する9H-キサンテン-9-オンを製造することができる。さらに置換されていてもよいフェニルマグネシウムブロミドを作用させることにより、Zが置換基[8M]である化合物[26]を製造することができる。なお、様々な置換基を有する、9H-キサンテン-9-オン誘導体またはフェニルマグネシウムブロミド誘導体を公知の方法に従って調整することにより、所望のZが置換基[8M]である化合物[26]を製造することができる。
【0112】
また、公知の方法(例えば、国際公開公報第91/09033A1を参照。)に準じて、n=1である化合物[21]を製造することができ、次に記載の方法に従って、n>1である化合物[21]を製造することができる。
【化49】
[式中、
n、B
P、D、Q
1、XおよびWは前記と同義であり、
Acはアセチルを表す。]
【0113】
工程1 上記一般式[30]で表される化合物(以下、「化合物[30]」という。)の製造
塩基の存在下、上記一般式[29]で表される化合物(例えば、国際公開公報第91/09033A1を参照。)を無水酢酸でアセチル化することにより、化合物[30]を製造することができる。アセチル化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0114】
工程2 上記一般式[31]で表される化合物(以下、「化合物[31]」という。)の製造
化合物[30]を酸処理することにより、化合物[31]を製造することができる。Q1の脱離反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0115】
工程3 上記一般式[33]で表される化合物(以下、「化合物[33]」という。)の製造
化合物[31]を上記一般式[32]で表される化合物(以下、「化合物[32]」という。)と縮合することにより、化合物[33]を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法(例えば、国際公開公報第91/09033A1を参照。)に準じて行うことができる。なお、化合物[32]は、例えば、公知の方法(例えば、国際公開公報第91/09033A1を参照。)に従って製造することができる。
【0116】
工程4 化合物[21]の製造
例えば、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドを用いて、化合物[33]のアセチル基を選択的に脱離することにより、化合物[21]を製造することができる。アセチルの脱離反応はそれ自体公知の方法(例えば、Tetrahedron Letters,Vol.50,1751-1753(2009)を参照。)に準じて行うことができる。
【0117】
(J-2) 化合物[A-2]の製造
ヌクレオシドユニット[4a]、ヌクレオシドユニット[4b]およびヌクレオシドユニット[4c]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットで構成され、各ヌクレオシドユニット間のリン結合がリン結合[5]である化合物[A]を、例えば、以下の(i)~(iv)に記載の方法に従って製造することができる。
【0118】
(i) Gがケイ素置換基であって、Tが単結合である、化合物[A-2]の製造
【化50】
[式中、
n、B
P、G
1、Hal、Q
1、R
4a、XおよびWは、前記と同義である。]
上記一般式[A-2a]で表される化合物(以下、「化合物[A-2a]」という。)は、Gがケイ素置換基であって、Tが単結合である、化合物[A-2]である。
以下に、化合物[A-2a]の製造方法の一例を記載する。
【0119】
工程1 上記一般式[A-2a-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-2a-Q1]」という。)の製造
上記一般式[34]で表される化合物(以下、「化合物[34]」という。)に化合物[20A]を用いて、化合物[34]の3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の水酸基にケイ素置換基を導入することにより、化合物[A-2a-Q1]を製造することができる。このケイ素置換基の導入反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0120】
工程2 化合物[A-2a]の製造
化合物[A-2a-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-2a]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-2a-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0121】
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-2a-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0122】
(ii) Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-2]の製造
【化51】
[式中、
n、B
P、G
2、Q
1、R
4a、X、YおよびWは前記と同義である。]
【0123】
上記一般式[A-2b]で表される化合物(以下、「化合物[A-2b]」という。)は、Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-2]である。
【0124】
以下に、化合物[A-2b]の製造方法の一例を記載する。
【0125】
工程1 上記一般式[A-2b-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-2b-Q1]」という。)の製造
化合物[20B]を化合物[34]と縮合することにより、化合物[A-2b-Q1]を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
本工程においてYが水酸基である化合物[20B]を使用する場合、塩基の存在または非存在下において、縮合剤を使用して、-20℃~100℃の範囲内で行うことができる。
本工程においてYがハロゲンである化合物[20B]を使用する場合、塩基の存在おいて、-20℃~100℃の範囲内で行うことができる。
本工程に使用しうる縮合剤としては、例えば、1,1’-オキサリルジイミダゾール、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを挙げることができる。
本工程に使用しうる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンの有機塩基を挙げることができる。
本工程に使用しうる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、THF、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程においてYが水酸基である化合物[20B]を使用する場合には、必要に応じて、添加剤を使用することができる。
使用しうる添加剤としては、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールを挙げることができる。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常、10分~24時間の範囲内が適当である。
化合物[20B]および縮合剤の使用量としては、例えば、化合物[34]1モルに対して1倍モル~1.5倍モルの範囲内が適当である。
塩基の使用量としては、例えば、化合物[34]に対して1当量~10当量の範囲内、好ましくは1当量~4当量の範囲内である。
【0126】
工程2 化合物[A-2b]の製造
化合物[A-2b-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-2b]を製造することができる。
【0127】
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-2b-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0128】
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-2b-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0129】
(iii) Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であり、Tが置換基[11]である、化合物[A-2]の製造
【化52】
[式中、
n、q、B
P、D、G
2、Q
1、R
4a、T、XおよびWは前記と同義である。]
【0130】
上記一般式[A-2c]で表される化合物(以下、「化合物[A-2c]」という。)は、Gが(1)長鎖アルキル-カルボニル、(2)1個~5個の、長鎖アルキルオキシおよび/もしくは長鎖アルケニルオキシで置換されているベンゾイルまたは(3)置換基[7]であり、Tが置換基[11]である、化合物[A-2]である。
【0131】
以下に、化合物[A-2c]の製造方法の一例を記載する。
【0132】
工程1 上記一般式[36]で表される化合物(以下、「化合物[36]」という。)の製造
化合物[24]と上記一般式[35]で表される化合物(以下、「化合物[35]」という。)を縮合することにより、化合物[36]を製造することができる。縮合反応、脱保護反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
【0133】
工程2 上記一般式[A-2c-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-2c-Q1]」という。)の製造
化合物[36]に酸化剤を作用させることによって、化合物[A-2c-Q1]を製造することができる。酸化反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
「酸化剤」としては、例えば、ヨウ素、tert-ブチルヒドロペルオキシドを挙げることができる。また、本工程で使用しうる酸化剤は、0.05~2Mの濃度になるように適当な溶媒で希釈して使用することもできる。溶媒としては、特に限定されないが、ピリジン、テトラヒドロフラン、水またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。例えば、ヨウ素/水/ピリジン―テトラヒドロフランあるいはヨウ素/ピリジン―酢酸や過酸化剤(tert-ブチルハイドロパーオキシド/メチレンクロライドなど)を用いることができる。
反応温度は、20℃~50℃が好ましい。
反応時間は、使用する酸化剤の種類、反応温度によって異なるが、通常1分~30分が適当である。
酸化剤の使用量は、化合物[36]に対して1~100倍モル量がよく、より好ましくは10~50倍モル量である。
【0134】
工程3 化合物[A-2c]の製造
化合物[A-2c-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-2c]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-2c-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-2c-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0135】
(iv) Gが置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-2]の製造
【化53】
[式中、
n、B
P、L
1、Q
1、R
4a、X、WおよびZは前記と同義である。]
上記一般式[A-2d]で表される化合物(以下、「化合物[A-2d]」という。)は、Gが置換基[7]であって、Tが単結合である、化合物[A-2]である。
【0136】
以下に、化合物[A-2d]の製造方法の一例を記載する。
【0137】
工程1
化合物[20D]を化合物[34]と縮合することにより、上記一般式[A-2d-Q1]で表される化合物(以下、「化合物[A-2d-Q1]」という。)を製造することができる。縮合反応はそれ自体公知の方法に準じて行うことができる。
化合物[20D]はカルボン酸体であるが、本工程においてその反応性誘導体を使用することもできる。化合物[20D]の反応性誘導体としては、例えば、酸ハライド(例えば、酸クロリド、酸ブロミド)など、エステル縮合形成反応に通常用いられるものを挙げることができる。
化合物[20D]を用いる場合には、塩基の存在または非存在下において、縮合剤を使用して、-20℃~100℃の範囲内で反応を行うことができる。
本工程に使用しうる縮合剤としては、例えば、1,1’-オキサリルジイミダゾール、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、シアノホスホン酸ジエチル、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスファート、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスファート、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを挙げることができる。
本工程に使用しうる塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンの有機塩基を挙げることができる。
本工程に使用しうる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、THF、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。また、必要に応じて、添加剤を使用することができる。
本工程に使用しうる添加剤としては、例えば、4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールを挙げることができる。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常、10分~24時間の範囲内が適当である。
化合物[20D]および縮合剤の使用量としては、例えば、化合物[34]1モルに対して1倍モル~1.5倍モルの範囲内が適当である。
塩基の使用量としては、例えば、化合物[34]に対して1当量~10当量の範囲内、好ましくは1当量~4当量の範囲内である。
【0138】
工程2
化合物[A-2d-Q1]を酸処理することにより、化合物[A-2d]を製造することができる。
本工程に使用しうる「酸」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「酸」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうる酸の使用量としては、化合物[A-2d-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~500倍量の範囲内が適当であり、2倍量~200倍量の範囲内が好ましい。
本工程に使用しうる酸は適当な溶媒で希釈してもよく、特に限定されないが、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,2-ジクロロエチレン、2,2,2-トリフルオロエタノールまたはそれらの混合溶媒を挙げることができる。
また、本工程において、必要に応じてスカベンジャーを使用してもよい。
本工程に使用しうる「スカベンジャー」は、前記「化合物[D-2]の分子内のQ1の脱離反応」において記載した「スカベンジャー」と同じものを挙げることができる。
本工程に使用しうるスカベンジャーの使用量としては、化合物[A-2d-Q1]1モルに対して、例えば、モル比で1倍量~100倍量の範囲内が適当であり、1倍量~50倍量の範囲内が好ましい。
【0139】
また、公知の方法(Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry)に準じて、n=1である化合物[34]を製造することができ、また、公知の方法(例えば、米国特許出願公開公報第2010/273999A1を参照。)に従って、n>1である化合物[34]を製造することができる。
【0140】
化合物「A-2」は、当該化合物を構成する各ヌクレオシドユニットがヌクレオシドユニット[4a]である化合物であるが、ヌクレオシドユニット[4a]の全てまたは一部がヌクレオシドユニット[4b]またはヌクレオシドユニット[4c]に置き換わった化合物も、上記と同様の方法を用いることによって製造することができる。
【0141】
(K) 化合物[B]の製造
化合物[B]は、例えば、化合物[B]に対応する化合物が有する水酸基に置換基[1]を公知の方法に従って導入することにより製造される。
【0142】
以下に、代表的な例を紹介し、化合物[B]の製造方法を説明する。
【0143】
(K-1) 化合物[B-1]の製造
1個~複数個のヌクレオシドユニット[4h]で構成され、各ヌクレオシドユニット間のリン結合がリン結合[5]である化合物[B]を、例えば、次に記載の方法に従って製造することができる。
【化54】
[式中、
p、B
P、Q
1、D、XおよびWは前記と同義である。]
【0144】
工程1 上記一般式[39]で表される化合物(以下、「化合物[39]」という。)の製造
上記一般式[37]で表される化合物(以下、「化合物[37]」という。)を上記一般式[38]で表される化合物(以下、「化合物[38]」という。)と縮合することによって、化合物[39]を製造することができる。当該縮合反応はそれ自体公知の方法(例えば、米国特許出願公開公報第2014/0330006A1、国際公開公報第2012/043730A1、国際公開公報第2013/082548A1を参照。)に準じて実施することができる。
【0145】
工程2 化合物[B-1]の製造
上記一般式[40]で表される化合物(以下、「化合物[40]」という。)を化合物[39]と縮合することによって、化合物[B-1]を製造することができる。当該縮合反応はそれ自体公知の方法(例えば、米国特許出願公開公報第2014/0330006A1、国際公開公報第2012/043730A1、国際公開公報第2013/082548A1、国際公開公報第91/09033A1を参照。)に準じて実施することができる。
なお、前記化合物[21]の製造方法と同様の方法を用いることによって、化合物[40]を製造することができる。
【0146】
(K-2) 化合物[B-2]の製造
ヌクレオシドユニット[4e]、ヌクレオシドユニット[4f]およびヌクレオシドユニット[4g]からなる群から選択される1個~複数個のヌクレオシドユニットで構成され、各ヌクレオシドユニット間のリン結合がリン結合[5]である化合物[B]を、例えば、以下に記載の方法に従って製造することができる。
【化55】
[式中、
p、B
P、Hal、Q
1、D、R
4a、XおよびWは前記と同義である。]
【0147】
工程1 上記一般式[42]で表される化合物(以下、「化合物[42]」という。)の製造
化合物[37]を上記一般式[41]で表される化合物(以下、「化合物[41]」という。)と反応することによって、化合物[42]を製造することができる。当該反応はそれ自体公知の方法(例えば、Helvetica Chimica Acta,Vol.70,175-186(1987)、国際公開公報第2003/106468A1、Acta Nature,6,116-118(2014)、Russian Journal of General Chemistry,Vol.67,No.1,62-64(1997)を参照。)に準じて行うことができる。
【0148】
工程2 化合物[B-2]の製造
公知の方法に従って、化合物[42]に上記一般式[43]で表される化合物(以下、「化合物[43]」という。)を作用させ、3’末端側のヌクレオシドユニットの3’位の水酸基にリン原子を含む置換基を導入することによって、化合物「B-2]を実施することができる。
本工程において、必要に応じて、活性化剤を使用することもできる。
本工程に使用する溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフランを挙げることができる。
化合物[42]の使用量は、化合物[43]に対して、1~20倍モル量が適当であり、1~10倍モル量が好ましい。
「活性化剤」としては、例えば、1H-テトラゾール、5-エチルチオテトラゾール、4,5-ジクロロイミダゾール、4,5-ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート、ピリジニウムトリフラート、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、2,4,6-コリジン/N-メチルイミダゾールを挙げることができる。
「活性化剤」の使用量は、化合物[43]に対して、1~20倍モル量が適当であり、1~10倍モル量が好ましい。
反応温度は、0℃~120℃が適当である。
反応時間は、使用する原料の種類、反応温度等によって異なるが、通常30分~24時間が適当である。
【0149】
化合物[B-2]は、当該化合物を構成する各ヌクレオシドユニットがヌクレオシドユニット[4e]である化合物であるが、ヌクレオシドユニット[4e]の全てまたは一部がヌクレオシドユニット[4f]またはヌクレオシドユニット[4g]に置き換わった化合物も、上記と同様の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0150】
以下に、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
なお、「変換収率(%)」とは原料が目的物に変換された割合を意味し、「{高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」という。)で検出された目的物に対応するピーク面積(%)}÷{HPLCで検出された原料に対応するピーク面積(%)+HPLCで検出された目的物に対応するピーク面積(%)}×100」で算出される。
HPLCの条件:
生成物は0.5mgをアセトニトリルまたは20%水/アセトニトリルに溶解し、以下の条件でHPLC分析を行ない、カップリング効率は、HPLCにてUV=264nmでの吸収によって得られるピーク面積の積分値を用いることにより算出した。
<ODS条件>
Column:Waters XBridge C18(2.5μm,4.6×50mm),60℃
検出波長:264nm
移動相A:20mM AcONH4aq.
移動相B:MeCN
流速:0.75mL/min
グラジェント:40-95%B(0-15min)95%B(15-24min)40%B(24-30min)
LC/MSの条件:
使用機器 超高速流体クロマトグラフACQUITY UPLC(waters)
四重極飛行時間型質量分析計SYNAPT-MS(waters)
Column:ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm,2.1×50mm(waters)
温度:50℃
流速:0.2mL/min
移動相:10mMアンモニア水
移動相:MeCN
グラジェント:50-95%B(4min)
検出器1:UV264nm
検出器2:四重極飛行時間型質量分析計
イオン化法:ESI+
測定範囲:100-2000m/z
【0151】
実施例1 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-morT-OFF」という。)
【0152】
工程1 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸(以下、「G1-suc」という。)の製造
オクタデカン-1-アミン(21.94g)のジクロロメタン(500mL)溶液中に、無水コハク酸(8.96g,1.1eq)とトリエチルアミン(17mL,1.5eq.)を加え、室温で7時間撹拌した。減圧濃縮し、残渣にアセトン150mL加え、16時間攪拌した。沈殿物を吸引ろ過し、アセトンで洗浄(400mL)後、30℃で3時間減圧乾燥し、G1-suc(29.1g,96.6%)を白色粉体として得た。
【0153】
工程2 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-morT-OFF」という。)の製造
G1-suc(14.4g)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(8.56g,1.2eq.)を加えて室温で撹拌した。その後、1-((2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル)-5-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(以下、「morT-OH」という。)(18g,1.0eq.)および4-(N,N‐ジメチルアミノ)ピリジン4.57gを加えて、70℃湯浴上で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、0.1Mのリン酸二水素ナトリウム水溶液を加えて暫く撹拌した後、水層を除き、有機層を0.1Mのリン酸二水素ナトリウム水溶液および水で二倍希釈した飽和食塩水で1回ずつ洗浄した。水層を1つにまとめてジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過した後、溶媒を溜去し、減圧乾燥し4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-morT-ON」という。)(白色アモルファス、28.1g,89.5%)を得た。これをジクロロメタン140mLに溶かし氷浴上で撹拌しながら2,2,2-トリフルオロエタノール20mLおよびトリイソプロピルシラン10.3mLを加えて暫く撹拌した後、トリフルオロ酢酸5.1mLを滴下した。滴下終了から1時間後に、飽和重炭酸ナトリウム水溶液100mLに氷を加えて冷却した液に撹拌しながら反応液を注ぎこんだ。水層がpH7~8である事を確認後、ジクロロメタンを用いて水層から抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し濃縮した。ジクロメタン-メタノール混液を移動相として用いてシリカゲルでカラムクロマト精製を行い、減圧乾燥する事で、G1-suc-morT-OFFを粉末として19.89g得た。
【0154】
1H-NMR(CDCl3):δ8.90(1H,bs);7.25(1H,d,J=1.6Hz);5.72(1H,dd,J=9.6Hz,2.6Hz);5.65(1H,m);4.14(2H,d,J=5.2Hz);3.98(1H,m);3.23(2H,dd、J=12.8Hz,7.0Hz);3.12(2H,dd,J=12Hz,2.6Hz);2.95(2H,dd,J=12.8Hz,1.8Hz);2.60~2.75(4H,m);2.47(2H,t,J=6.8Hz);1.95(3H,d,J=1.6Hz);1.48(2H、m)、1.21~1.34(29H,m);0.88(3H,t,J=6.4Hz)
ESI-MS(+):593.36(M+H)
【0155】
実施例2 コハク酸{[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4‐ジヒドロピリミジン-1-イル)モルフォリン-2-イル]メチル}{2-オクタデカノイルオキシ-1-[(オクタデカノイルオキシメチル)エチル]}(以下、「G2-suc-morT-OFF」という。)
【0156】
工程1 4-{[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸(以下、「G2-suc」という。)の製造
オクタデカン酸(2-ヒドロキシ-3-オクタデシノイルオキシ-プロピル)1g(1.60mmol)にジクロロメタン(8mL)を加え、ついで無水コハク酸176mg(1.76mmol)、4-(N,N‐ジメチルアミノ)ピリジン293mg(2.40mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応液に1Mのリン酸2水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去し、G2-sucを得た(1.40g)。
【0157】
工程2 コハク酸{[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4‐ジヒドロピリミジン-1-イル)‐4‐トリチル-モルフォリン-2-イル]メチル}{2-オクタデカノイルオキシ-1-[(オクタデカノイルオキシメチル)エチル]}(以下、「G2-suc-morT-ON」という。)の製造
G2-suc(900mg,1.24mmol)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩277mg(1.45mmol)にジクロロメタン(5.2mL)を加え、ついでmorT-OH 500mg(1.03mmol)、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン132mg(1.09mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応終了後、反応液に0.1Mのリン酸2水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、G2-suc-morT-ONを得た(1.09g,89%)。
【0158】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.04(1H,s);7.17~7.51(15H,m);6.98(1H,s);6.12(1H,dd,J=9.6Hz,2.4Hz);5.25(1H,m);4.34~4.37(1H,m);4.26~4.30(2H,m);4.11~4.16(2H,m);4.00~4.08(2H,m);3.35(1H,d,J=11.2Hz);3.10(1H,d,J=11.6Hz);2.60(4H,s);2.30(4H,t,J=7.6Hz);1.83(3H,s);1.38~1.44(2H,m);1.24(60H,m);0.87(6H,t,J=6.8Hz)
【0159】
工程3 G2-suc-morT-OFFの製造
G2-suc-morT-ONにジクロロメタン(4.2mL)を加え、0℃で撹拌した。ついでトリイソプロピルシラン127μL(0.62mmol)、トリフルオロ酢酸64μL(0.82mmol)を0℃で加え、室温で1時間撹拌。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、G2-suc-morT-OFFを得た(373mg,95%)。
【0160】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.04(1H,bs);7.24(1H,s);5.70(1H,d,J=2Hz);5.21~5.26(1H,m);4.28~4.31(2H,m);4.13~4.17(4H,m);3.96~4.00(1H,m);3.11(1H,dd,J=12.4,2Hz);2.94(1H,dd,J=12.8,2.4Hz);2.57~2.65(6H,m);2.32(4H,t,J=7.6Hz);1.95(3H,s);1.25(60H,m);0.88(6H,t,J=7.6Hz)
【0161】
実施例3 [{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル]コハク酸1,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-2-イル(以下、「G3-suc-morT-OFF」という。)
【0162】
工程1 [{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル]コハク酸1,3-ビス(オレオイルオキシ)プロパン-2-イル(以下、「G3-suc-morT-ON」という。)の製造
実施例2工程2と同様の方法で製造した。
【0163】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.00(1H,s);7.17~7.51(15H,m);6.99(1H,s);6.09~6.12(1H,m);5.29~5.38(4H,m);5.20~5.25(1H,m);4.33~4.37(1H,m);4.26~4.30(2H,m);4.12~4.16(2H,m);4.00~4.09(2H,m);3.35(1H,d,J=11.6Hz);2.15(1H,d,J=11.6Hz);2.60(4H,m);2.30(4H,t,J=7.2Hz);1.97~2.02(8H,m);1.83(3H,s);1.57~1.61(2H,m);1.28(44H,m);0.89(6H,t,J=6.8Hz)
【0164】
工程2 G3-suc-morT-OFFの製造
実施例2工程3と同様の方法で製造した。
【0165】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.97(1H,bs);7.24(1H,s);5.69~5.72(1H,m);5.29~5.38(4H,m);5.21~5.25(1H,m);4.27~4.31(2H,m);4.13~4.17(4H,m);3.97~3.99(1H,m);3.11(1H,d,J=12Hz);2.94(1H,d,J=13.2Hz);2.57~2.67(4H,m)2.31(4H,t,J=7.6Hz);1.99~2.00(11H,m);1.26~1.29(46H,m);0.87(6H,t,J=6.8Hz)
【0166】
実施例4 4-オキソ-4-(4-ステアロイルピペラジン-1-イル)ブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G4-suc-morT-OFF」という。)
工程1 4-オキソ-4-(4-ステアロイルピペラジン-1-イル)ブタン酸(以下、「G4-suc」という。)の製造
ステアリン酸1.68g(5.91mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.13g(5.91mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール0.79g(5.91mmol)にテトラヒドロフラン26mLを加え、ついでトリエチルアミン1.45mL(10.7mmol)、ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチル1g(5.37mmol)を加え、室温で16時間撹拌。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、4-ステアロイルピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルを得た(1.64g;67%)。これにジクロロメタン18mLを加え0℃で撹拌し、トリフルオロ酢酸2.77mL(36.2mmol)を0℃で加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去し、1-(ピペラジン-1-イル)オクタデカン-1-オンを得た(1.30g)。粗体1.3g(3.70mmol)にジクロロメタン18mLを加え、ついで無水コハク酸0.41g(4.10mmol)、トリエチルアミン0.77mL(5.50mmol)を加えて室温で2時間撹拌。反応終了後、反応液を留去、残渣にアセトンを加えて室温で16時間スラリー洗浄。不溶物を吸引ろ過で集め、アセトンで洗浄、乾燥し、G4-sucを得た(1.20g)。
【0167】
工程2 4-オキソ-4-(4-ステアロイルピペラジン-1-イル)ブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G4-suc-morT-ON」という。)の製造
G4-suc(982mg,2.17mmol)と1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩555mg(2.90mmol)にテトラヒドロフラン(10mL)を加え70℃で撹拌した。ついでmorT-OH(1g,2.07mmol)、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン265mg(2.17mmol)を加え、70℃で30分撹拌した。反応終了後、室温に放冷し、反応液に0.1Mのリン酸2水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、G4-suc-morT-ONを得た(1.68g,89%)。
【0168】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.00(1H,s);7.16~7.50(15H,m);6.97(1H,s);6.10(1H,d,J=8Hz);4.34~4.36(1H,m);4.04(2H,d,J=4.8Hz);3.57~3.64(4H,m);3.44~3.48(4H,m);3.32~3.34(1H,m);3.09~3.12(1H,m);2.60~2.64(4H,m);2.31(2H,t,J=7.6Hz);1.82(3H,s);1.23~1.42(32H,m);0.86(3H,t,J=6.8)
【0169】
工程3 G4-suc-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法で製造した。
【0170】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.32(1H,bs);7.23(1H,s);5.67~5.70(1H,m);4.12~4.19(2H,m);3.96~4.01(1H,m);3.47~3.67(8H,m)3.10~3.13(1H,m);2.95~2.98(1H,m);2.60~2.72(4H,m);2.33(2H,t,J=7.2Hz);1.95(3H,s);1.25~1.31(32H,m);0.88(3H,t,J=7.6Hz)
【0171】
実施例5 4-(オクタデシルカルバモイル)安息香酸[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G5-tpa-morT-OFF」という。)
工程1 4-(オクタデシルカルバモイル)安息香酸[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G5-tpa-morT-ON」という。)の製造
4-(オクタデシルカルバモイル)安息香酸を用い、実施例2の工程2と同様の方法で製造した。
【0172】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.24(1H,s);7.97(2H,d,J=8Hz);7.77(2H,d,J=8Hz);7.17~7.46(15H,m);6.95(1H,s);6.12~6.16(1H,m);4.49~4.51(1H,m);4.25~4.33(2H,m);3.42~3.47(2H,m);3.35~3.38(1H,m);3.21~3.24(1H,m);1.79(3H,s);1.23~1.44(34H,m);0.86(3H,t,J=6.8Hz)
【0173】
工程2 G5-tpa-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法で製造した。
【0174】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.24(1H,bs);8.11(2H,d,J=8.4Hz);7.84(2H,d,J=8.4Hz);7.24(1H,s);6.14~6.17(1H,m);5.74~5.77(1H,m);4.40~4.45(2H,m);4.13~4.19(1H,m);3.45~3.50(2H,m);3.14~3.18(1H,m);3.05~3.08(1H,m);1.93(3H,s);1.26~1.41(34H,m);0.89(3H,t,J=7.6Hz)
【0175】
実施例6 4-(4-(4-(オクダデシルカルバモイル)ベンゾイル)ピペラジン-1-イル)-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G6-suc-morT-OFF」という。)
工程1 4-(4-(4-(オクタデシルカルバモイル)ベンゾイル)ピペラジン-1-イル)-4-オキソブタン酸(以下、「G6-suc」という。)の製造
ステアリン酸のかわりに4-(オクタデシルカルバモイル)安息香酸を用い、実施例4の工程1と同様の方法で製造した。
【0176】
工程2 4-[4-{4-(オクダデシルカルバモイル)ベンゾイル}ピペラジン-1-イル]-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G6-suc-morT-ON」という。)の製造
実施例2の工程2と同様の方法で製造した。
【0177】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.08(1H,bs);7.81(2H,d,J=7.6Hz);7.16~7.50(17H,m);6.97(1H,s);6.08~6.10(1H,m);4.33~4.39(1H,m);4.02~4.04(2H,m);3.31~3.79(11H,m);3.08~3.11(1H,m);2.60~2.69(4H,m);1.81(3H,s);1.23~1.44(34H,m);0.86(3H,t,J=6.4Hz)
【0178】
工程3 G6-suc-morT-OFFの製造
G6-suc-morT-ON493mg(0.47mmol)にジクロロメタン4.6mL、2,2,2-トリフルオロエタノール0.4mLを加え、0℃で撹拌した。ついでトリイソプロピルシラン145μL(0.70mmol)、トリフルオロ酢酸53μL(0.70mmol)を0℃で加え、室温で1時間撹拌。反応終了後、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、G6-suc-morT-OFFを得た(372mg;98%)。
【0179】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.05(1H,bs);7.79(2H,d,J=7.6Hz);7.45(2H,d,J=7.6Hz);7.23(1H,s);6.08~6.11(1H,m);5.67~5.69(1H,m);4.10~4.15(2H,m);3.96~3.99(1H,m);3.36~3.79(8H,m);3.08~3.11(1H,m);2.93~2.96(1H,m);2.57~2.70(6H,m);1.92(3H,s);1.23~1.38(34H,m);0.86(3H,t,J=7.2Hz)
【0180】
実施例7 3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)安息香酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G7-morT-OFF」という。)
【0181】
工程1 3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)安息香酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチル-モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G7-morT-ON」という。)の製造
3,4,5-トリオクタデコキシ安息香酸を用い、実施例2の工程2と同様の方法で製造した。
【0182】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.90(1H,bs);7.12~7.45(17H,m);6.97(1H,s);6.12~6.14(1H,m);4.46~4.51(1H,m);4.28~4.32(1H,m);4.16~4.20(1H,m);3.90~4.00(6H,m);3.37~3.40(1H,m);3.22~3.25(1H,m);1.78~1.82(5H,m);1.23~1.50(96H,m);0.86(9H,t,J=6.8Hz)
【0183】
工程2 G7-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法で製造した。
【0184】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.98(1H,bs);7.22(3H,m);5.69~5.72(1H,m);4.32~4.36(2H,m);4.08~4.12(1H,m);3.94~4.01(6H,m);3.11~3.14(1H,m);3.02~3.05(1H,m);2.64~2.72(2H,m);1.90(3H,m);1.23~1.45(96H,m)0.86(9H,t,J=7.2Hz)
【0185】
実施例8 コハク酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル (2-[{3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイルオキシ}オキシ]エチル)(以下、「G8-suc-morT-OFF」という。)
【0186】
工程1 3,4,5-トリオクタデシルオキシ安息香酸2-ヒドロキシエチルの製造
3,4,5-トリオクタデシルオキシ安息香酸1.5g(1.60mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩370mg(1.90mmol)、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン240mg(1.90mmol)にクロロホルム8.1mLを加え、ついでエチレングリコール120mg(1.90mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液に1Mのリン酸二水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、3,4,5-トリオクタデシルオキシ安息香酸2-ヒドロキシエチルを得た(882mg;56%)
【0187】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.26(2H,s);4.45~4.47(2H,m);3.95~4.03(8H,m);1.25~1.52(96H,m);0.88(9H,t,J=7.2Hz)
【0188】
工程2 コハク酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル (2-[{3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイルオキシ}オキシ]エチル)(以下、「G8-suc-morT-ON」という。)の製造
実施例2の工程1と同様の方法で、4-オキソ-4-(2-[{3,4,5-トリス(オクタデシルオキシ)ベンゾイル}オキシ]エトキシ)ブタン酸(以下、「G8-suc」という。)を得た後、実施例2の工程2と同様の方法でG8-suc-morT-ONを得た。
【0189】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.87(1H,bs);7.12~7.43(17H,m);6.97(1H,s);6.07~6.10(1H,m);4.33~4.46(5H,m);3.91~4.07(8H,m);3.31~3.34(1H,m);3.07~3.10(1H,m);2.56~2.60(4H,m);1.68~1.80(5H,m);1.23~1.50(96H,m);0.86(9H,t,J=7.2Hz)
【0190】
工程3 G8-suc-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法でG8-suc-morT-OFFを得た。
【0191】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.96(1H,bs);7,23(3H,m);5.67~5.69(1H,m);4.40~4.47(5H,m);3.94~4.11(8H,m);3.09~3.12(1H,m);2.89~2.92(1H,m);2.53~2.65(6H,m)1.90(3H,s);1.23~1.45(96H,m);0.86(9H,t,J=6.8Hz)
【0192】
実施例9 4-(ジオクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G9-suc-morT-OFF」という。)
工程1 4-(ジオクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G9-suc-morT-ON」という。)の製造
N-オクタデシルオクタデカン-1-アミンを原料に、実施例2の工程1と同様の方法で4-(ジオクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸(以下、「G9-suc」という。)を製造した。ついで実施例2の工程2と同様の方法でG9-suc-morT-ONを製造した。
【0193】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.88(1H,bs);7.17~7.43(15H,m);6.98(1H,s);6.06~6.09(1H,m);4.31~4.35(1H,m);4.01~4.03(2H,m);3.08~3.34(8H,m);2.52~2.64(4H,m);1.82(3H,s);1.23~1.52(64H,m);0.85(6H,t,J=6.8Hz)
【0194】
工程2 G9-suc-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法で製造した。
【0195】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.14(1H,bs);7.27(1H,s);5.68~5.72(1H,m):4.12~4.20(2H,m);3.98~4.01(1H,m);3.10~3.29(5H,m);2.94~2.97(1H,m);2.60~2.70(6H,m);1.95(3H,s);1.25~1.49(64H,m);0.88(6H,t,J=7.2Hz)
【0196】
実施例10 4-[{1-(オクタデシルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル}アミノ]-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G10-suc-morT-OFF」という。)
工程1 4-[{1-(オクタデシルアミノ)-1-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル}アミノ]-4-オキソブタン酸{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メチル(以下、「G10-suc-morT-ON」という。)の製造
2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-フェニル-プロパン酸500mg(1.88mmol)にテトラヒドロフラン9.4mLを加え、ついでN-エチル-N-イソプロピル-プロパン-2-アミン652μL(3.77mmol)、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン46mg(0.38mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩505mg(2.64mmol)、オクタデカン-1-アミンを加え、室温で5時間撹拌した。反応終了後、反応液に1Mのリン酸二水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出、硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、tert-ブトキシカルボニルアミノ-N-オクタデシル-3-フェニル-プロパンアミドを得た(779mg,80%)
【0197】
1H‐NMR(CDCl3):δ7.18~7.28(5H,m);5.57(1H,bs);5.06(1H,bs);4.20~4.26(1H,m);2.95~3.12(4H,m);1.40(9H,s);1.14~1.28(32H,m);0.86(3H,t,J=6.8Hz)
【0198】
tert-ブトキシカルボニルアミノ-N-オクタデシル-3-フェニル-プロパンアミド779mg(1.51mmol)にジクロロメタン15mLを加え、ついでトリフルオロ酢酸1.74mL(22.61mmol)を加え、室温で3時間撹拌。反応終了後、溶媒を留去し、2-アミノ-N-オクタデシル-3-フェニル-プロパンアミドを得た(620mg)。粗生成物のまま実施例2の工程1と同様の反応を行いG10-sucを製造した。ついで実施例2の工程2と同様の反応を行い、G10-suc-morT-ONを製造した。
【0199】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.08(1H,bs);7.16~7.32(20H,m);6.98(1H,s);6.29~6.31(1H,m);6.10~6.12(1H,m);5.56~5.59(1H,m);4.51~4.57(1H,m);4.35~4.37(1H,m);4.02(2H,d,J=5.6Hz);3.73~3.77(1H,m);2.92~3.33(6H,m);2.39~2.67(4H,m);1.84(3H,s);1.21~1.45(32H,m);0.88(3H,t,J=7.6Hz)
【0200】
工程2 G10-suc-morT-OFFの製造
実施例2の工程3と同様の方法で目的物を得た。
【0201】
1H‐NMR(CDCl3):δ8.33(1H,bs);7.16~7.32(6H,m);6.38~6.40(1H,m);5.67~5.71(2H,m);4.54~4.58(1H,m);4.08~4.16(3H,m);3.94~4.01(1H,m);2.91~3.17(5H,m);2.46~2.79(5H,m);1.94(3H,s);1.13~1.36(32H,m);0.88(3H,t,J=7.6Hz)
【0202】
以下、上記実施例1~実施例10に記載の化合物の化学構造式を表3に示す。
【0203】
【0204】
比較例1 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸 [(2S,6R)-4-{(ジメチルアミノ)[{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルフォリン-2-イル}メトキシ]ホスホリル}-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-PMO[T-T]-ON」という。)の製造(縮合反応の溶媒としてシクロヘキサン/クロロホルム混合溶媒を使用、反応時間(60分))
G1-suc-morT-OFF 270mg(0.46mmol)とmorT 360mg(0.59mmol)をクロロホルム4.8mLに溶解させた。この溶液160μLにシクロヘキサン20μLおよび50%N,N-ジイソプロピルエチルアミンのクロロホルム溶液20μLを加えて25℃で60分間振とうした。60分後、反応液20μLに10%モルフォリン/アセトニトリル溶液180μLを加えて25℃で10分間振とうした。この溶液をさらにアセトニトリルで5倍希釈しHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:18.72min、変換収率86.8%)。
ESI-MS(+):1165.65(M+H)
【0205】
試験例1 G1-suc-PMO[T-T]-ONの製造(縮合反応の溶媒としてジメチルアセトアミド/ジクロロメタン混合溶媒を使用、反応時間(30分))
G1-suc-morT-OFF 534mg(0.90mmol)とmorT 731mg(1.20mmol)をジクロロメタン9.6mLに溶解させた。この溶液320μLにジメチルアセトアミド40μLおよび50%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン溶液40μLを加えて5秒間ボルデックスした後、25℃で30分間振とうした。30分後、反応液50μLに10%モルフォリン/アセトニトリル溶液450μLを加えて25℃で10分間振とうした。この溶液をさらにアセトニトリルで10倍希釈しHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:18.72min、変換収率94.6%)。
【0206】
試験例2 G1-suc-PMO[T-T]-ONの製造(縮合反応の溶媒としてジメチルスルホキシド/ジクロロメタン混合溶媒を使用、反応時間(30分))
ジメチルアセトアミドの代わりにジメチルスルホキシドを使用して、試験例1と同様の実験を行った(変換収率97.7%)。
【0207】
試験例3 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸 [(2S,6R)-4-{(ジメチルアミノ)[{(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル}メトキシ]ホスホリル}-6-(5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-PMO[T-T]-OFF」という。)の製造
G1-suc-morT-OFF 20mg(0.033mmol)とmorT 26mg(0.043mmol)にクロロホルム300μL、ジメチルスルホキシド33μL、N,N-ジイソプロピルエチルアミン14μL(0.083mmol)を加え、40℃で2時間撹拌した。モルフォリン2.8μL(0.033mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。ついで2,2,2-トリフルオロエタノール132μL、表4に記載の脱保護液(酸/25%、スカベンジャー/5%、2,2,2-トリフルオロエタノール/10%、クロロホルム/60%)を加え、室温で撹拌後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン10μLを加え、HPLC分析した。
ESI-MS(+):923.51(M+H)
【0208】
【0209】
実施例11 G1-suc-PMO[T-T]-ONの製造(縮合反応の溶媒としてジメチルスルホキシド/1,1-ジクロロエチレン混合溶媒を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ流速0.167mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で50℃にて30分間反応を行い、比較例1と同様の方法で変換収率を求めた(原料Rt:16.17min、目的物Rt:18.72min、変換収率98.7%)。
【0210】
a液: G1-suc-morT-OFF356mg(0.6mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン209μL(1.2mmol)を10%ジメチルスルホキシド/1,1-ジクロロエチレン溶液12mLに溶解させた。
b液: morT475mg(0.78mmol)を1,1-ジクロロエチレン12mLに溶解させた。
【0211】
実施例12 G1-suc-PMO[T-T]-ONの製造(縮合反応の溶媒としてジメチルスルホキシド/ジクロロメタン混合溶媒を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ流速0.167mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で40℃にて30分間反応を行い、比較例1と同様の方法で変換収率を求めた(原料Rt:16.17min、目的物Rt:18.72min、変換収率98.1%)。
【0212】
a液: G1-suc-morT-OFF148mg(0.25mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン131μL(0.75mmol)を50%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液2.5mLに溶解させた。
b液: morT304mg(0.5mmol)をジクロロメタン2.5mLに溶解させた。
【0213】
実施例13 G1-suc-PMO[T-T]-OFFの製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてトリフロオロ酢酸を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ2mLずつ流速0.2mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で40℃にて25分間反応を行った。反応後、流速0.4mL/分で送液された下記に示すc液1mLと混合させ、8mLチューブリアクター中で室温にて10分間反応を行った。反応後さらに、流速0.4mL/分で送液された下記に示すd液2mLと混合させ、20mLスタティックミキサーおよび10mLチューブリアクター中で室温にて25分間反応を行った。アセトニトリルにより押し出された溶液のデッドボリューム分を廃棄した後、3.0mLを回収し、20%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/アセトニトリル溶液5mLで中和した後、アセトニトリルで2倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:16.25min、変換収率97.9%)。
【0214】
a液: G1-suc-morT-OFF 148mg(0.25mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン131μL(0.75mmol)を50%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液2.5mLに溶解させた。
b液: morT304mg(0.5mmol)をジクロロメタン2.5mLに溶解させた。
c液: モルフォリン131μL(1.5mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させた。
d液: 2,2,2-トリフルオロエタノール1mL、トリイソプロピルシラン50μLをジクロロメタン3mLに溶解させた後、トリフルオロ酢酸1mLを溶解させた。
【0215】
実施例14 G1-suc-PMO[T-T]-OFFの製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてp-トルエンスルホン酸を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ2mLずつ流速0.2mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で40℃にて25分間反応を行った。反応後、流速0.4mL/分で送液された下記に示すc液2mLと混合させ、10mLチューブリアクター中で25℃にて12.5分間反応を行った。反応後さらに、流速0.4mL/分で送液された下記に示すd液2mLと混合させ、20mLstaticmixerリアクターおよび10mLチューブリアクター中で室温にて25分間反応を行った。アセトニトリルにより押し出された溶液のデッドボリューム分を廃棄した後3.0mLを回収し、10%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/アセトニトリル溶液5mLで中和した後、アセトニトリルで2倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:15.25min、変換収率98.0%)。
【0216】
a液: G1-suc-morT-OFF148mg(0.25mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン131μL(0.75mmol)を50%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液2.5mLに溶解させた。
b液: morT305mg(0.5mmol)をジクロロメタン2.5mLに溶解させた。
c液: モルフォリン175μL(2.0mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させた。
d液: p-トルエンスルホン酸913mgと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール163mgを40%2,2,2-トリフルオロエタノール/ジクロロメタン溶液10mLに溶解させた。
【0217】
実施例15 G1-suc-PMO[T-T]-OFFの製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド/1,1-ジクロロエチレン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてp-トルエンスルホン酸を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ2mLずつ流速0.2mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で50℃にて25分間反応を行った。反応後、流速0.4mL/分で送液された下記に示すc液2mLと混合させ、10mLチューブリアクター中で25℃にて12.5分間反応を行った。反応後さらに、流速0.4mL/分で送液された下記に示すd液2mLと混合させ、20mLstaticmixerリアクターおよび10mLチューブリアクター中で室温にて25分間反応を行った。アセトニトリルにより押し出された溶液のデッドボリューム分を廃棄した後3.0mLを回収し、10%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/アセトニトリル溶液5mLで中和した後、アセトニトリルで2倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:15.25min、変換収率96.1%)。
【0218】
a液: G1-suc-morT-OFF74mg(0.125mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン44μL(0.25mmol)を10%ジメチルスルホキシド/1,1-ジクロロエチレン溶液2.5mLに溶解させた。
b液: morT99mg(0.163mmol)を1,1-ジクロロエチレン2.5mLに溶解させた。
c液: モルフォリン87.5μL(1.0mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させた。
d液: パラトルエンスルホン酸913mgと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール163mgを40%2,2,2-トリフルオロエタノール/ジクロロメタン溶液10mLに溶解させた。
【0219】
実施例16 G1-suc-PMO[T-T]-OFFの製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド/1,2-ジクロロエタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてp-トルエンスルホン酸を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ2mLずつ流速0.2mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で40℃にて25分間反応を行った。反応後、流速0.4mL/分で送液された下記に示すc液2mLと混合させ、10mLチューブリアクター中で25℃にて12.5分間反応を行った。反応後さらに、流速0.4mL/分で送液された下記に示すd液2mLと混合させ、20mLstaticmixerリアクターおよび10mLチューブリアクター中で室温にて25分間反応を行った。アセトニトリルにより溶液のデッドボリューム分を廃棄した後3.0mLを回収し、10%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/アセトニトリル溶液5mLで中和した後、アセトニトリルで2倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:16.17min、目的物Rt:15.25min、変換収率98.6%)。
【0220】
a液: G1-suc-morT-OFF148mg(0.25mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン131μL(0.75mmol)を10%ジメチルスルホキシド/1,2-ジクロロエタン溶液2.5mLに溶解させた。
b液: morT305mg(0.5mmol)を1,2-ジクロロエタン2.5mLに溶解させた。
c液: モルフォリン175μL(2.0mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させた。
d液: パラトルエンスルホン酸913mgと1-ヒドロキシベンゾトリアゾール163mgを40%2,2,2-トリフルオロエタノール/ジクロロメタン溶液10mLに溶解させた。
【0221】
実施例17 4-(オクタデシルアミノ)-4-オキソブタン酸 [(2S,6R)-4-{(ジメチルアミノ)[{(2S,6R)-4-[(ジメチルアミノ){[(2S,6R)-6-{5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル}-4-トリチルモルフォリン-2-イル]メトキシ}ホスホリル]-6-[5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル]モルフォリン-2-イル}メトキシ]ホスホリル}-6-{5-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル}モルフォリン-2-イル]メチル(以下、「G1-suc-PMO[T-T-T]-ON」という。)の製造
流速0.278mL/分で送液された下記に示すa液2mLと流速0.111mL/分で送液された下記に示すb液2mLを混合した後に10mLチューブリアクター中で25℃にて25.7分間反応を行った。反応後、流速0.051mL/分で送液されたN,N-ジイソプロピルエチルアミン1mLと混合させ、2mLチューブリアクター中で25℃にて4.5分間反応を行った。反応後さらに、流速0.238mL/分で送液された下記に示すc液2mLと混合させ、20mLチューブリアクター中で45℃にて29.5分間反応を行った。アセトニトリルにより押し出された溶液のデッドボリューム分を廃棄した後、1.0mLを回収し、10%モルフォリン/アセトニトリル溶液4mLを加えて反応を終結させ、アセトニトリルで5倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:18.72min、目的物Rt:17.79min、変換収率99%以上)。
ESI-MS(+):1495.56(M+H)
【0222】
a液: G1-suc-PMO[T-T]-ON 278mg(0.24mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン21μL(0.12mmol)およびモルフォリン10.5μL(0.12mmol)を4%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液3mLに溶解させた。
b液: 2,2,2-トリフルオロエタノール0.6mL、トリイソプロピルシラン30μLをジクロロメタン2.1mLに溶解させた後、トリフルオロ酢酸0.3mLを溶解させた。
c液: morT438mg(0.72mmol)をジメチルアセトアミド3mLに溶解させた。
【0223】
実施例18 化合物18(以下、「G1-suc-PMO[T-C
Bz
-A
Bz
-T-C
Bz
-T-C
Bz
-C
Bz
-T-A
Bz
-T-G
CE,Pac
]-ON」という。)の製造
流速0.2mL/分で送液された下記に示すa液6.0mLと流速0.05mL/分で送液された下記に示すb液1.5mLを混合した後に15mLチューブリアクター中で45℃にて60分間反応を行った。得られた溶液を10%モルフォリン/アセトニトリル溶液を加えて反応を終結させ、10%ジメチルスルホキシド/アセトニトリルで希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:14.92min、目的物Rt:16.79min、変換収率98.8%)。
【0224】
a液: G1-suc-PMO[T-CBz-ABz-T-CBz-T-CBz-CBz-T-ABz-T]-OFF 3224mg(0.72mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン376μL(2.16mmol)を12.5%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液5mLに溶解させた。
b液: morG887mg(1.08mmol)をジクロロメタン1.5mLに溶解させた。
【0225】
実施例19 化合物19(以下、「G1-suc-PMO[T-C
Bz
-A
Bz
-T-C
Bz
-T-C
Bz
-C
Bz
-T-A
Bz
-T-G
CE,Pac
-A
Bz
]-ON」という。)の製造
流速0.2mL/分で送液された下記に示すa液8.0mLと流速0.05mL/分で送液された下記に示すb液2.0mLを混合した後に20mLチューブリアクター中で45℃にて80分間反応を行った。得られた溶液を10%モルフォリン/アセトニトリル溶液を加えて反応を終結させ、10%ジメチルスルホキシド/アセトニトリルで希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:15.09min、目的物Rt:16.84min、変換収率99%以上)。
【0226】
a液: G1-suc-PMO[T-CBz-ABz-T-CBz-T-CBz-CBz-T-ABz-T-GCE,Pac]-OFF 3213mg(0.64mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン334μL(1.92mmol)を12.5%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液7.6mLに溶解させた。
b液: morA924mg(1.28mmol)をジクロロメタン2.0mLに溶解させた。
【0227】
実施例20 化合物20(以下、「G1-suc-PMO[T-C
Bz
-A-T-C
Bz
-T-C
Bz
-C
Bz
-T-A
Bz
-T-G
CE,Pac
-A
Bz
-T-T-C
Bz
]-ON」という。)の製造
流速0.2mL/分で送液された下記に示すa液6.0mLと流速0.05mL/分で送液された下記に示すb液1.5mLを混合した後に15mLチューブリアクター中で45℃にて60分間反応を行った。得られた溶液を10%モルフォリン/アセトニトリル溶液を加えて反応を終結させ、10%ジメチルスルホキシド/アセトニトリルで希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:14.88min、目的物Rt:16.39min、変換収率98.8%)。
【0228】
a液: G1-suc-PMO[T-CBz-ABz-T-CBz-T-CBz-CBz-T-ABz-T-GCE,Pac-ABz-T-T]-OFF 4410mg(0.72mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン376μL(2.16mmol)を12.5%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液5.6mLに溶解させた。
b液: morC754mg(1.08mmol)をジクロロメタン1.5mLに溶解させた。
【0229】
実施例21 化合物21(以下、「G1-suc-PMO[A
Bz
-G
CE,Pac
]-OFF」という。)の製造(反応溶媒として1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてトリフルオロ酢酸を使用)
下記に示すa液(34mL)およびb液(8mL)をそれぞれ流速0.2,0.05mL/分にて送液し、2液を混合した後に30mLチューブリアクター中で40℃にて120分間反応を行った。反応後、流速0.6mL/分で送液された下記に示すc液と混合させ、5mLチューブリアクター中で40℃にて5.5分間反応を行った。反応流路の途中に設けたサンプリングコックを用いて少量反応液を回収後、アセトニトリルで10倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(カップリングの変換収率を算出した、原料Rt:16.84min、目的物Rt:19.67min、変換収率99.6%)。反応後流速0.85mL/分で送液された下記に示すd液と混合させ、重力分離により有機相と水相を分離した。分離した有機相を流速0.8mL/分で送液し、流速0.4mL/分で送液された下記に示すe液と混合させ、15.7mLチューブリアクター中で室温にて13分間反応を行った。3%N-エチルモルフォリン/ジクロロメタン溶液で中和した後、アセトニトリルで5倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(デブロックの変換収率を算出した、原料Rt:19.67min、目的物Rt:16.87min、変換収率100%)。
ESI-MS(+):1248.73(M+H)
【0230】
a液: G1-suc-morA-OFF3.4g(4.8mmol)とN-エチルモルフォリン1.8mL(14mmol)を12.5%1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン/ジクロロメタン溶液32mLに溶解させた。
b液: morG7.9g(9.6mmol)をジクロロメタン6.8mLに溶解させた。
c液: 1-メチルピペラジン/ジクロロメタンの0.2M溶液を調製した。
d液: 5%エタノール/1Mリン酸二水素ナトリウム:飽和食塩水=1:1の溶液を調製した。
e液: 5%トリフルオロ酢酸、1%エタノール、40%トリフルオロエタノール、54%ジクロロメタンの溶液を調製した。
【0231】
実施例22 化合物22(以下、「G1-suc-PMO[A
Bz
-G
CE,Pac
]-OFF」という。)の製造(反応溶媒としてN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてトリフルオロ酢酸を使用)
下記に示すa液(80mL)およびb液(20mL)をそれぞれ流速0.6,0.15mL/分にて送液し、2液を混合した後に30mLチューブリアクター中で40℃にて40分間反応を行った。反応後、流速0.3mL/分で送液された下記に示すc液と混合させ、5mLチューブリアクター中で40℃にて5分間反応を行った。反応流路の途中に設けたサンプリングコックを用いて少量反応液を回収後、アセトニトリルで10倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(カップリングの変換収率を算出した、原料Rt:16.84min、目的物Rt:19.67min、変換収率98.1%)。反応後流速1.05mL/分で送液された下記に示すd液と混合させ、重力分離により有機相と水相を分離した。分離した有機相を流速1.0mL/分で送液し、流速0.4mL/分で送液された下記に示すe液と混合させ、15.7mLチューブリアクター中で室温にて11分間反応を行った。3%N-エチルモルフォリン/ジクロロメタン溶液で中和した後、アセトニトリルで5倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(デブロックの変換収率を算出した、原料Rt:19.67min、目的物Rt:16.87min、変換収率100%)。
【0232】
a液: G1-suc-morA-OFF1.7g(2.4mmol)とN-エチルモルフォリン0.9mL(7mmol)、ヨウ化ナトリウム720mg(4.8mmol)を3%N,N-ジメチルアセトアミド/ジクロロメタン溶液80mLに溶解させた。
b液: morG4.0g(4.8mmol)をジクロロメタン24mLに溶解させた。
c液: 1-メチルピペラジン/ジクロロメタンの0.2M溶液を調製した。
d液: 0.1M酢酸:飽和食塩水=1:1の溶液を調製した。
e液: 4%トリフルオロ酢酸、1%エタノール、40%トリフルオロエタノール、54%ジクロロメタンの溶液を調製した。
【0233】
実施例23 化合物23(以下、「G1-suc-PMO[T-C
Bz
]-OFF」という。)の製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてトリフルオロ酢酸を使用)
下記に示すa液(40mL)およびb液(10mL)をそれぞれ流速0.16,0.04mL/分にて送液し、2液を混合した後に20mLチューブリアクター中で45℃にて80分間反応を行った。反応後、流速0.6mL/分で送液された下記に示すc液と混合させ、10mLチューブリアクター中で40℃にて12.5分間反応を行った。反応流路の途中に設けたサンプリングコックを用いて少量反応液を回収後、アセトニトリルで10倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(カップリングの変換収率を算出した、原料Rt:19.09min、目的物Rt:17.614min、変換収率99.8%)。反応後流速0.8mL/分で送液された下記に示すd液と混合させ、液液セパレーターSep-10により有機相と水相を分離した。分離した有機相に流速0.4mL/分で送液された下記に示すe液と混合させ、15.7mLチューブリアクター中で室温にて13分間反応を行った。5%N,N-ジイソプロピルエチルアミン/ジクロロメタン溶液で中和した後、アセトニトリルで5倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(デブロックの変換収率を算出した、原料Rt:19.09min、目的物Rt:16.06min、変換収率100%)。
ESI-MS(+):1012.53(M+H)
【0234】
a液: G1-suc-morT-OFF4.7g(7.9mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン4.1mL(24mmol)を12.5%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液40mLに溶解させた。
b液: morC11g(15.8mmol)をジクロロメタン13mLに溶解させた。
c液: 1-メチルピペラジン/ジクロロメタンの0.05M溶液を調製した。
d液: 5%エタノール/1Mリン酸二水素ナトリウム:飽和食塩水=1:1の溶液を調製した。
e液: 4%トリフルオロ酢酸、1%エタノール、30%トリフルオロエタノール、65%ジクロロメタンの溶液を調製した。
【0235】
実施例24 化合物24(以下、「G1-suc-PMO[T-C
Bz
-A
Bz
-T-C
Bz
-T-C
Bz
]-OFF」という。)の製造(反応溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)/ジクロロメタン混合溶媒を使用、脱保護時の酸としてトリフルオロ酢酸を使用)
下記に示すa液およびb液をそれぞれ10mLずつ流速0.1mL/分にて送液し、2液を混合した後に10mLチューブリアクター中で45℃にて50分間反応を行った。反応後、流速0.2mL/分で送液された下記に示すc液17.12mLと混合させ、5mLチューブリアクター中で45℃にて12.5分間反応を行った。反応流路の途中に設けたサンプリングコックを用いて少量反応液を回収後、アセトニトリルで10倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(カップリングの変換収率を算出した、原料Rt:15.37min、目的物Rt:17.61min、変換収率99.4%)。反応後に下記に示すd液と混合させ、液液セパレーターSep-10により有機相と水相を分離した。分離した有機相に流速0.2mL/分で送液された下記に示すe液と混合させ、10mLチューブリアクター中で室温にて16.7分間反応を行った。10%トリエチルアミン/クロロホルム溶液で中和した後、アセトニトリルで5倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(デブロックの変換収率を算出した、原料Rt:17.61min、目的物Rt:15.47min、変換収率100%)。
【0236】
a液: G1-suc-PMO[T-CBz-ABz-T-CBz-T]-OFF 3.21g(1.3mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン 0.84mL(4.8mmol)を50%ジメチルスルホキシド/ジクロロメタン溶液10mLに溶解させた。
b液: morC2.23g(2.5mmol)をジクロロメタン10mLに溶解させた。
c液: 1-メチルピペラジン/ジクロロメタンの0.3M溶液を調製した。
d液: 1Mリン酸二水素ナトリウム水溶液を調製した。
e液: 10%トリフルオロ酢酸、5%トリイソプロピルシラン、20%トリフルオロエタノール、65%ジクロロメタンの溶液を調製した。
【0237】
実施例25 G1-suc-PMO[A
Bz
-A
Bz
]-ONの製造(反応溶媒として1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)/ジクロロメタン混合溶媒を使用
G1-suc-morA-OFF(10mg,0.014mmol)を10%1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン/ジクロロメタン溶液(0.1M)に溶解し、N-エチルモルフォリン(5μL,0.042mmol)、morA(15mg,0.021mmol)を加えて45℃で40分撹拌した。反応液を1%1-メチルピペラジン/アセトニトリルで100倍希釈した溶液をHPLCにて分析した(原料Rt:16.84min、目的物Rt:19.54min、変換収率99.8%)。
ESI-MS(+):1391.84(M+H)