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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】安定なレドックス組成物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/20 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20231201BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20231201BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20231201BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20231201BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20231201BHJP
【FI】
A61K8/20
A61K8/891
A61K8/24
A23L33/16
A23L33/10
A61Q19/00
A61Q19/08
A23L2/52
A23L2/00 F
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020534206
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018066902
(87)【国際公開番号】W WO2019126560
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】62/609,714
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/125,344
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518098036
【氏名又は名称】レオキシン・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カート・リチャーズ
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0202877(US,A1)
【文献】特開2014-180235(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0017746(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0096504(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A23L31/00-33/29
A23L 2/00- 2/84
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒマラヤンシーソルトを含む電気分解された塩類溶液、
1から1000 ppmの量で存在するハイポクロライトを含む活性酸素種、
エモリエント剤、及び
pH調整剤
を含む、組成物。
【請求項2】
塩類溶液が、塩を0.01%から1%w/vまでの量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
塩が、0.05%w/vの量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
塩が、原料のままの未加工塩である、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
活性酸素種が、5から100ppmまでの量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
活性酸素種が、72ppmの量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
エモリエント剤が、シリコーンポリマーである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
シリコーンポリマーが、ジメチコン、シクロメチコン、又はこれらのブレンドである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
エモリエント剤が、0.5%から10%w/vまでの量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
エモリエント剤が、5%w/vの量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
pH調整剤が、一塩基性リン酸ナトリウムである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
pH調整剤が、0.05%から5%w/vまでの量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
pH調整剤が、0.3%w/vの量で存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
レオロジー調整剤を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
レオロジー調整剤が金属ケイ酸塩である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
金属ケイ酸塩が、ケイ酸マグネシウムナトリウムである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
レオロジー調整剤が、0.5%から10%w/vまでの量で存在する、請求項14から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
レオロジー調整剤が、3.25%w/vの量で存在する、請求項14から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
ゲル剤、ゾル剤、ゾル-ゲル剤、ハイドロゲル剤、クリーム剤、フォーム剤、バーム、リニメント剤、アングエント、コロイド、乳剤、分散剤、サルブ、エモリエント剤、ローション剤、融解性固形剤、ムース剤、軟膏剤、ペースト剤、セラム、溶液剤、スプレー剤、スティック剤、液剤、又は懸濁剤の形態である、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
塩としてヒマラヤンシーソルトを0.05%w/vの量で、
ハイポクロライトを72ppmの量で、
ジメチコンを5%w/vの量で、及び
一塩基性リン酸ナトリウムを0.3%w/vの量で
含む、組成物。
【請求項21】
塩としてヒマラヤンシーソルトを0.05%w/vの量で、
ハイポクロライトを72ppmの量で、
ケイ酸マグネシウムナトリウムを3.25%w/vの量で、
ジメチコンを5%w/vの量で、及び
一塩基性リン酸ナトリウムを0.3%w/vの量で
含む、ゲル組成物。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法であって、塩類溶液を準備する工程を含み、活性酸素種を準備する工程を含み、エモリエント剤を準備する工程を含み、これらの成分を混合して組成物を形成する工程を含む、方法。
【請求項23】
レオロジー調整剤を準備する工程、及び、記載した成分を混合してゲル組成物を形成する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
レオロジー調整剤が、100から100,000センチポアズ(cP)までの粘度を有するゲル組成物を生成するのに十分な量で提供される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象の皮膚に適用するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塩類溶液、活性酸素種、エモリエント剤、及びpH調整剤を含む安定なレドックス組成物であって、塩類溶液が塩を含む、安定なレドックス組成物に関する。また、レオロジー剤を更に含む組成物をも提供する。本開示はまた、組成物を製造する方法及び組成物を使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
活性酸素種を有する、塩分添加組成物は、化粧、パーソナル、医薬、又は産業用途に頻繁に使用される。多種多様な製剤が知られており、例えば、皮膚の外観を改善するため、皮膚老化を防止するため、保湿のため、創傷治癒のための局所適用のための、又は一般的適用のための製剤を含みうる。
【0003】
活性酸素種 (ROS) は、種々の分野において重要である。医学において、ROSと老化、疾患過程、及び酸化ストレスの軽減を関連付ける証拠がある。更に、ROSは、家庭、病院、及び他の状況において、殺菌剤として使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製剤が安定で、効果的であり、且つ所望の特徴を有する、活性酸素種を含む、改良された製剤に対する当技術分野におけるニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、活性酸素種を有する組成物及びそれらを製造及び使用する方法を対象とする。
【0006】
一部の実施形態において、組成物は、塩類溶液、活性酸素種、エモリエント剤、及びpH調整剤を含む。一部の実施形態において、組成物はレオロジー剤(レオロジー調整剤)を更に含む。一部の実施形態において、塩類溶液は、塩を約0.001%から約15%w/v、例えば、0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%w/v等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で含む。一部の実施形態において、塩は、食卓塩等の、精製塩 (purified salt) 又は精製塩 (refined salt) である。一部の実施形態において、塩は、原料のままの未加工塩である。一部の実施形態において、塩は、ヒマラヤン-シーソルトである。
【0007】
一部の実施形態において、活性酸素種は、スーパーオキシド (O2*-、HO2*)、ハイポクロライト (OCl-、HOCl、NaClO)、ハイポクロレート (HClO2、ClO2、HClO3、HClO4)、酸素誘導体 (O2、O3、O4*-、O)、水素誘導体 (H2、H-)、過酸化水素 (H2O2)、ヒドロキシルフリーラジカル (OH*-)、イオン性化合物 (Na+、Cl-、H+、OH-、NaCl、HCl、NaOH)、塩素 (Cl2)、水クラスター (イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層)、及びこれらの組合せを含む。一部の実施形態において、活性酸素種はハイポクロライトである。一部の実施形態において、活性酸素種は、約5から約100ppmまで、例えば5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100ppm等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。
【0008】
一部の実施形態において、エモリエント剤は、シリコーンポリマー又はそのブレンド、例えば、ジメチコン、シクロメチコン、又はこれらのブレンド等である。一部の実施形態において、エモリエント剤は、約0.5%から約10%w/vまで、例えば0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、又は10.0%w/v等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、pH調整剤は、緩衝剤、塩基、又は酸、例えば一塩基性リン酸ナトリウム等である。一部の実施形態において、pH調整剤は、約0.05%から約5%w/vまで、例えば0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、又は5.0%等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。
【0009】
一部の実施形態において、レオロジー剤 (レオロジー調整剤) はケイ酸マグネシウムナトリウムである。一部の実施形態において、レオロジー剤は、約0.5%から約10%w/vまで、例えば0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、又は10.0%w/v等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。
【0010】
一部の実施形態において、組成物は、塩を約0.05%w/vの量で、ハイポクロライトを約72ppmの量で、ケイ酸マグネシウムナトリウムを約3.25%w/vの量で、シリコーンポリマーを約5%w/vの量で、及び一塩基性リン酸ナトリウムを約0.3%w/vの量で有する、塩類溶液を含む。
【0011】
一部の実施形態において、組成物は、ゲル剤、ゾル剤、ゾル-ゲル剤、ハイドロゲル剤、クリーム剤、フォーム剤、バーム、リニメント剤、アングエント(unguent)、コロイド、乳剤、分散体、サルブ(salve)、エモリエント剤、ローション剤、融解性固形剤、ムース、軟膏剤、ペースト剤、セラム、溶液剤、液剤、スプレー剤、スティック剤、又は懸濁剤として製剤化される。
【0012】
一部の実施形態は、本明細書で開示の組成物の1種又は複数を製造する方法に関する。一部の実施形態において、その方法はその中に活性酸素種を有する塩類溶液を用意する工程と、エモリエント剤をその塩類溶液と混合する工程とを含む。一部の実施形態において、活性酸素種を有する塩類溶液は、塩類溶液を電気分解することによって製造されうる。一部の実施形態において、その方法は、更にレオロジー剤を用意し、レオロジー剤を塩類溶液と混合することによって、ゲル組成物を製造する工程を更に含む。
【0013】
本明細書で提供される一部の実施形態は、本明細書に記載されているような組成物を使用する方法に関する。一部の実施形態において、その方法は、一定量の組成物を、それを必要とする対象に投与する工程又は適用する工程を含む。一部の実施形態において、組成物は、経口摂取用に、注射用に、又は局所適用用に製剤化される。本明細書で提供される一部の実施形態は、組成物を使用する方法に関する。一部の実施形態において、その方法は、本明細書に記載のような組成物を対象に投与する工程を含む。一部の実施形態において、その方法は本明細書に記載のような組成物を局所用製剤で対象に提供する工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で提供される実施形態は、塩分添加活性酸素組成物に関する。一部の実施形態において、この組成物は、塩類溶液、活性酸素種、エモリエント剤、及びpH調整剤を含む。一部の実施形態において、この組成物は、レオロジー剤(レオロジー調整剤)を更に含む。更に、この組成物を製造する方法及び組成物を使用する方法も提供される。
【0015】
本明細書において一般に記載されているような本開示の態様は、多種多様な異なる構成に配置し、置換し、組み合わせ、分割し、及び設計することができ、それらの全てが本明細書において明示的に企図されていることは、容易に理解されよう。
【0016】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって、通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において参照される特許、出願、公開された出願及び他の出版物は全て、別段の記載がない限り、それらの全体が、参照することによって明確に本明細書に組み込まれる。本開示の目的において、以下の用語が、以下に定義される。
【0017】
「約」とは、参照の数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、大きさ、量、質量又は長さに対して30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%ほど変動する、数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、大きさ、量、質量又は長さを意味する。用語「約」が値に先行する場合、構成要素は、その値によって厳密に限定されることを意図されず、その値から変動する量を含むことが意図される。
【0018】
本明細書を通じて、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」は、記載された工程又は構成要素或いは工程又は構成要素のグループの包含を含意するが、いかなる他の工程又は構成要素或いは工程又は構成要素のグループの除外をも含意するものではないことが理解されよう。
【0019】
I. レドックス組成物
本明細書で提供される一部の実施形態は、塩分添加活性酸素組成物(reactive oxygen salinated composition)に関する。本明細書で使用するとき、本明細書で使用の用語「組成物」又は「製剤」は、所与の目的のために共に提示される要素、成分、又は組成物の組合せを表す。
【0020】
一部の実施形態において、組成物中の任意の所与の薬剤 (例えば、次亜塩素酸又は緩衝剤) の「純度」は、具体的に規定されてよい。例えば、ある組成物は、例えば、決して限定ではなく、分析化学的方法によって測定したとき、例えば、その間の全ての小数も含め、少なくとも80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%純粋である薬剤を含んでよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「塩類溶液」は、ある量の塩を有する溶液を表す。一部の実施形態において、塩類溶液は、精製塩 (purified salt) 又は精製塩 (refined salt) を含む。一部の実施形態において、塩類溶液は、原料塩又は未加工塩を含む。一部の実施形態において、塩は、ハライト、食卓塩、精製塩、塩漬け用塩、フレーク塩、エプソム塩、海塩、アラエア (Alaea) 塩 (別名ハワイアンシーソルト)、Alpenbergkern塩、アングルシー (Anglesey) 海塩、ケルト海塩、死海塩、ヒマラヤンシーソルト (ヒマラヤンピンクシーソルトを含む)、カラハリ塩、マラス塩、マレーリバーソルトフレーク、ナミビアソルトパール、ペルシアンブルー細塩、ポーランドの塩坑塩、原始海塩、タヴィラの塩 (Sal de Tavira)、サーレマリーノディトラパニ (Sale Marino di Trapani)、ゲランドの塩 (Sel de Guerande)、南アフリカ海塩、ユタ塩、黒溶岩塩、ブライン、岩塩、赤岩塩、フルールドセル (fleur de sel)、又はコーシャソルトである。塩類溶液中に存在する塩は、アクチニウム、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、アスタチン、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、臭素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、セシウム、塩素、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、フランシウム、フッ素、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、水素、ヨウ素、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ネプツニウム、ネオジム、ニッケル、ニオブ、窒素、オスミウム、酸素、パラジウム、リン、白金、プルトニウム、ポロニウム、カリウム、プラセオジム、プロメチウム、プロトアクチニウム、ラジウム、レニウム、ロジウム、ルビジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、タンタル、テクネチウム、テルル、テルビウム、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、チタン、ウラン、バナジウム、イッテルビウム、亜鉛、又はジルコニウムを含む、幾つかの元素を含むことができる。一部の実施形態において、塩中に存在する元素は、0.001ppm未満の量から400,000ppmより多い量までの量で存在してよい。一部の実施形態において、塩類溶液は、塩を0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15%(w/v)の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で含む。一部の実施形態において、塩類溶液は、塩を0.05%の量で含む。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「活性酸素種 (ROS)」は、酸素を含有する化学的に反応性の分子をいう。例には、オゾン、過酸化物、活性塩素、活性酸素、スーパーオキシド、活性水素、ヒドロキシルラジカル、及び一重項酸素が含まれる。ROSは、酸素の正常な代謝の自然な副産物として形成され、細胞のシグナル伝達及び恒常性において重要な役割を果たす。ROSは、スーパーオキシド (O2*-、HO2*)、ハイポクロライト (OCl-、HOCl、NaClO)、ハイポクロレート (HClO2、ClO2、HClO3、HClO4)、酸素誘導体 (O2、O3、O4*-、O)、水素誘導体 (H2、H-)、過酸化水素 (H2O2)、ヒドロキシルフリーラジカル (OH*-)、イオン性化合物 (Na+、Cl-、H+、OH-、NaCl、HCl、NaOH)、塩素 (Cl2)、水クラスター (イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層)、及びこれらの組合せを含みうるが、これらに限定されるものではない。幾つかのROSは、電子受容体であってよく、幾つかは電子供与体であってよい。一部の実施形態において、活性酸素種はハイポクロライトである。一実施形態において、組成物は、少なくとも1種の活性酸素種、例えばO2、H2、Cl2、OCl-、HOCl、NaOCl、HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、H2O2、Na+、Cl-、H+、H-、OH-、O3、O4*-1O、OH*-、HOCl-O2*-、HOCl-O3、O2*-、HO2*、NaCl、HCl、NaOH、水クラスター、又はこれらの組合せ等を含んでよい。
【0023】
レドックスシグナル伝達は、糖の代謝時に細胞内部に存在するミトコンドリアによって大部分が産生される幾つかの単純な反応性シグナル伝達分子セットの作用に関連する。これらの反応性シグナル伝達分子は、酸化体(oxidant)を含有するROSと、還元体(reductant)を含有する還元種 (RS) の2つの大きなグループに分類される。体内のこれら根本的普遍的なシグナル伝達分子は、細胞内部を満たしている塩類浴 (saline bath) (細胞質基質) 内に容易に見られる原子 (Na、Cl、H、O、N) の組合せにより形成される単純だが極めて重要な反応性シグナル伝達分子である。健常細胞内部の分子機構は全て、この塩類浴内に浮遊し、こうした反応性シグナル伝達分子の均衡化された混合物によって取り囲まれている。細胞内部でこれら原子から形成される20超の反応性分子の幾つかの例は、一部が本明細書において論じられており、スーパーオキシド、過酸化水素、ハイポクロライト、及び一酸化窒素である。
【0024】
こうした反応性シグナル伝達分子は、細胞内部の戦略的位置に配置された特殊な酵素によって化学的に分解される。これら防御酵素の幾つかは、グルタチオンペルオキシダーゼ及びスーパーオキシドジムスターゼ等の抗酸化物質に分類される。健常細胞において、これら反応性シグナル伝達分子の混合物は、ミトコンドリアによって産生されるのと同じ速度で、抗酸化酵素によって分解される。この恒常性バランスが維持される限り、細胞の化学は平衡状態にあり、全てが順調である。
【0025】
細菌又はウイルスの侵入、DNA損傷、物理的損傷又は毒素を含む、幾つの理由からであっても、細胞に損傷が発生すると、この恒常性バランスは乱され、細胞内で酸化体又は還元体の蓄積が起こる。この状況は酸化ストレスとして知られ、何か異常があることの明確なシグナルとして細胞に働く。細胞は、損傷の修復を試みるのに必要な酵素及び修復分子を産生することによりこのシグナルに反応し、細胞はまた、脅威を識別し、除去する免疫系を活性化するメッセンジャーを送ることができる。酸化ストレスが、細胞内で数時間を超えて持続する場合、細胞の修復の試みは不成功と考えられ、細胞は自死して分解し、健常な隣接細胞の自然な細胞分裂によって置き換えられる。
【0026】
細胞レベルで、これは本質的に健常な組織維持プロセス:損傷細胞が検知され、且つ健常細胞によって、修復又は置き換えられるプロセスである。この細胞修復及び再生プロセスは、身体の全部分において、1時間に何百万回と、絶えず起こっている。
【0027】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1種の活性酸素種、例えばH2、Cl2、OCl-、HOCl、NaOCl、HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、H2O2、O3、O4*-1O2、OH*-、HOCl-O2*-、HOCl-O3、O2*-、HO2*、水クラスター、又はこれらの組合せ等を含んでよい。
【0028】
一実施形態において、組成物は、少なくとも1種の活性酸素種、例えばHClO3、HClO4、H2O2、O3、O4*-1O2、OH*-、HOCl-O2*-、HOCl-O3、O2*-、HO2*、水クラスター、又はこれらの組合せ等を含んでよい。一実施形態において、組成物は、少なくともO2*-及びHOClを含んでよい。
【0029】
一実施形態において、組成物はO2を含んでよい。一実施形態において、組成物はH2を含んでよい。一実施形態において、組成物はCl2を含んでよい。一実施形態において、組成物はOCl-を含んでよい。一実施形態において、組成物はHOClを含んでよい。一実施形態において、組成物はNaOClを含んでよい。一実施形態において、組成物はHClO2を含んでよい。一実施形態において、組成物はClO2を含んでよい。一実施形態において、組成物はHClO3を含んでよい。一実施形態において、組成物はHClO4を含んでよい。一実施形態において、組成物はH2O2を含んでよい。一実施形態において、組成物はNa+を含んでよい。一実施形態において、組成物はCl-を含んでよい。一実施形態において、組成物はH+を含んでよい。一実施形態において、組成物はH-を含んでよい。一実施形態において、組成物はOH-を含んでよい。一実施形態において、組成物はO3を含んでよい。一実施形態において、組成物はO4*-を含んでよい。一実施形態において、組成物は1O2を含んでよい。一実施形態において、組成物はOH*-を含んでよい。一実施形態において、組成物はHOCl-O2*-を含んでよい。一実施形態において、組成物はHOCl-O3を含んでよい。一実施形態において、組成物はO2*-を含んでよい。一実施形態において、組成物はHO2*を含んでよい。一実施形態において、組成物はNaClを含んでよい。一実施形態において、組成物はHClを含んでよい。一実施形態において、組成物はNaOHを含んでよい。一実施形態において、組成物は水クラスターを含んでよい。実施形態は、これらの組合せを含んでよい。
【0030】
「次亜塩素酸」は、本明細書で使用するとき、化学式HClOを有する弱酸を表す。次亜塩素酸は、塩素(I)酸、クロラノール、又はヒドロキシドクロリンとしても知られる。ハイポクロライトは、次亜塩素酸のイオン (例えば、OCl-) を含む。ハイポクロライトの塩はまた、本明細書中で言及され、次亜塩素酸ナトリウム (NaClO)、次亜塩素酸カルシウム (Ca(ClO)2)、又は次亜塩素酸カリウム (KClO)を含んでよい。ハイポクロライト、又はその酸及び塩は、本明細書に記載の組成物中に、0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、又はそれを超えるw/v%の量で、又は前述の量のいずれか2つによって規定される範囲内で存在してよい。一部の実施形態において、ハイポクロライト、又はその酸又は塩のw/v%は、0.072%w/vである。一部の実施形態において、ハイポクロライト、又はその酸又は塩は、組成物に直接、添加される。一部の実施形態において、ハイポクロライト、又はその酸又は塩は、電気分解によって組成物中で生成される。一部の実施形態において、ハイポクロライトの最終量は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、150、175、200、300ppm未満、それを超える若しくはそれに等しい、又は前述の量のいずれか2つによって規定される範囲内である。一部の実施形態において、組成物中のハイポクロライトの量は、約50から約100ppmまでである。一部の実施形態において、組成物中のハイポクロライトの量は、約72ppmである。
【0031】
本明細書で使用するとき、「エモリエント剤」は、皮膚を鎮静させる化合物をいう。一部の実施形態において、エモリエント剤は、保湿剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、塗擦剤 (rub)、サルブ、アングエント、又はバームである。一部の実施形態において、エモリエント剤は、シリコーンポリマーである。一部の実施形態において、シリコーンポリマーは、ジメチコンであり、ポリジメチルシロキサン (PDMS)、ジメチルポリシロキサン、E900、又は重合シロキサンとも称され、式中、nが繰り返しモノマー[Si(CH3)2]単位の数である、化学式CH3[Si(CH3)2O]nSi(CH3)3を有する。シリコーンポリマーはまた、環状シロキサンであるシクロメチコンをも含む。一部の実施形態において、組成物に使用されるシリコーンポリマーは、ジメチコン及びシクロメチコンのブレンドである。一部の実施形態において、シリコーンポリマーは低分子量及び高分子量の直鎖状シリコーンの混合物であるジメチコンサテンである。一部の実施形態において、シリコーンポリマーは、アモジメチコン、シクロジメチコン、シクロメチコン、ジメチコン500、ジメチコンサテン、イソジメチコンコポリマー、又はこれらのブレンドである。一部の実施形態において、シリコーンポリマーは、保湿剤、スリップ剤、又は潤滑剤として作用する。エモリエント剤は、組成物中に約0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、又はそれを超えるw/v%の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内又はこれらの値によって規定される範囲の間の量で存在してよい。一部の実施形態において、シリコーンポリマーの量は、約5%w/vである。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「pH調整剤」は、組成物のpHを変化又は安定化させるために使用されうる、酸、塩基又は薬剤をいう。pH調整剤は、溶液又は組成物のpHを調製するための薬剤、例えば、塩酸、リン酸及び硫酸等の鉱酸、安息香酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸等の有機酸、及びそれらの塩、並びに水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の塩基を含む、酸又は塩基等を含んでよい。一部の実施形態において、pH調整剤は、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩緩衝剤等の緩衝剤を含め、溶液又は組成物のpHを所望のpHで安定化させるための薬剤を含んでよい。一部の実施形態において、pH調整剤は、一塩基性リン酸ナトリウムである。一部の実施形態において、pH調整剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%又は15%w/vの量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、pH調整剤は、約0.3%w/vの量で存在する。本明細書で使用するとき、組成物のpHは、組成物の酸性度又は塩基性度を規定する数値スケールである。一部の実施形態において、組成物のpHは、約5.0から約8.5まで、例えば、5.0、5.5、6.0、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、又は8.5等、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内である。一部の実施形態において、組成物のpHは、約6.0から約7.8までの範囲内である。
【0033】
一部の実施形態において、本明細書に記載の組成物は、約0.5から100 mOsm/kgまでの、例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90又は100 mOsm/kg等、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の重量モル浸透圧濃度測定値を有する。一部の実施形態において、組成物は、約3から5 mOsm/kgまでの重量モル浸透圧濃度測定値を有する。
【0034】
一部の実施形態において、組成物はレオロジー剤(レオロジー調整剤)を更に含む。本明細書で使用するとき、用語「レオロジー剤」(レオロジー調整剤)は、組成物の粘度を、組成物の他の特性を変えることなく調整する物質を表す。一部の実施形態において、レオロジー剤は、組成物の粘度を増大させることによって増粘剤として作用する。一部の実施形態において、レオロジー剤は、金属ケイ酸塩を含む。一部の実施形態において、レオロジー剤は、ナトリウム及びマグネシウムのケイ酸塩であるケイ酸マグネシウムナトリウムである。一部の実施形態において、ケイ酸マグネシウムナトリウムは、マグネシウム及びナトリウムケイ酸塩を有する合成ケイ酸塩クレイである。一部の実施形態において、レオロジー剤は、その吸水力もあって、化粧品及びパーソナルケア製品において、結合剤及び増量剤として使用される。ケイ酸マグネシウムナトリウムは、配合物の分解を緩やかにするのに有効であり、組成物の早期暗色化の防止及び悪臭の早期発生の防止が可能であり、これにより化粧用組成物の有効期間を改善する。一部の実施形態において、ケイ酸マグネシウムナトリウムは、例えば、Laponite XL21(商標)、Laponite RD(商標)、Laponite RDS(商標)、Laponite S482(商標)、Laponite SL25(商標)、Laponite EP(商標)、Laponite JS(商標)、Laponite XLS(商標)、Laponite D(商標)、又はLaponite XLG(商標)を含む、Laponiteである。レオロジー剤は、組成物において、約0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、10%、15%、又はそれを超えるw/v%の量で、或いは前述の値のいずれか2つ以内又はこれらの値によって規定される範囲の間の量で、使用してよい。一部の実施形態において、レオロジー剤の量は、約3%w/vである。
【0035】
一部の実施形態において、組成物の粘度は、投与様式に適したいかなる粘度であってもよい。したがって、組成物が経口投与のための液体として製剤化される場合等、経口投与に対して、粘度は、純水の粘度に類似している。一部の実施形態において、組成物は、組成物が対象に局所的に適用されうるのに適した粘度である。一部の実施形態において、組成物の粘度は、1、100cP、200cP、300cP、400cP、500cP、600cP、700cP、800cP、900cP、1,000cP、2,000cP、3,000cP、4,000cP、5,000cP、10,000cP、15,000cP、20,000cP、25,000cP、30,000cP、35,000cP、40,000cP、45,000cP、50,000cP、55,000cP、60,000cP、65,000cP、70,000cP、75,000cP、80,000cP、85,000cP、90,000cP、又は95,000cPであってよい。一部の実施形態において、組成物の粘度は、約100から20,000cPまで、又は1,000cPから約20,000cPまでの範囲であってよい。他の実施形態において、組成物の粘度は、約12,000cPから約20,000cPまでの範囲であってよい。これらの粘度範囲は、近似であってよく、組成物において所望の及び/又は必要な特定の特徴を達成するために変更してよい。
【0036】
本明細書に記載の組成物は、当技術分野において公知の添加剤を更に含んでよい。一部の実施形態において、添加剤は、投与様式のために組成物を改良する化合物を含む。一部の実施形態において、添加剤は、組成物の有効性を改善する。一部の実施形態において、添加剤は、組成物の有効期間を改善する。一部の実施形態において、添加剤は、組成物の外観、テクスチャ、香り、又は感触を改善する審美的目的のために含まれる。本明細書に記載の組成物に含まれる典型的な添加剤は、保湿剤、湿潤剤、顔料、染料、真珠光沢化合物、真珠層顔料、オキシ塩化ビスマス被覆マイカ、二酸化チタン被覆マイカ、着色剤、香料、殺生物剤、防腐剤、脂肪分解剤、利尿剤、キサンチン (カフェイン、テオフィリン、及びアミノフィリン等)、アルファヒドロキシ酸、抗酸化剤、リンパドレナージ剤、制汗剤、剥離剤、ホルモン、酵素、薬用化合物、ビタミン、ミネラル、電解質、アルコール、ポリオール、ポリプロピレングリコール、レチノイド、レチノール、ポリイソブテン、ポリオキシエチレン、ベヘン酸、ベヘニル、糖アルコール、紫外放射吸収剤、植物抽出物、界面活性剤、シリコーン油、有機油、ワックス、アルカリ剤又は酸性剤又は緩衝剤、フィルム形成剤、増粘剤、ヒアルロン酸、フュームドシリカ、含水シリカ、タルク、カオリン、デンプン、加工デンプン、マイカ、ナイロン、クレイ、ベントナイト、有機修飾クレイ、及びこれらの組合せを含む。
【0037】
剥離剤の例は、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のアルファヒドロキシ酸、又は前述のいずれかの任意の組合せ、サリチル酸等のベータヒドロキシ酸、ラクトビオン酸及びグルコン酸等のポリヒドロキシ酸、並びにマイクロダームアブレージョン等の機械的剥離を含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
一部の実施形態において、組成物は、ゲル剤、ゾル剤、ゾル-ゲル剤、ハイドロゲル剤、クリーム剤、フォーム剤、バーム、リニメント剤、アングエント、コロイド、乳剤、分散体、サルブ、エモリエント剤、ローション剤、融解性固形剤、ムース剤、軟膏剤、ペースト剤、セラム、溶液剤、スプレー剤、スティック剤、液剤、又は懸濁剤として製剤化される。
【0039】
II. 組成物を製造する方法
本明細書で提供される一部の実施形態は、本明細書に記載の組成物を製造する方法に関する。組成物を製造する方法は、塩類溶液を用意する工程を含む。一部の実施形態において、塩類溶液は、活性酸素種を含み、活性酸素種は、塩類溶液に直接添加されてよく、或いは、例えばその塩類溶液の電気分解によって、塩類溶液中で生成させてもよい。この方法は、塩類溶液にエモリエント剤を添加する工程を更に含む。一部の実施形態において、その方法は、塩類溶液にレオロジー剤(レオロジー調整剤)を更に添加して、所望の粘度の組成物を生成させる工程を含む。所望の粘度は、最終組成物及びその組成物の適用方法に依存する。例えば、所望の粘度は低粘度組成物であってよく、或いは所望の粘度は高粘度組成物であってもよい。
【0040】
塩類溶液は、56 amp等の約50~60 ampの電流量の一組の電極を用いて、10.75gNaCl/gal等の約10g NaCl/galの塩濃度を有する塩類溶液を電気分解して、電気分解された塩類溶液を生成することを含むことができ、ここで、水は室温未満に低温化され、且つ水は電気分解の間、循環される。一部の実施形態において、電気分解は十分な量又は濃度のハイポクロライトを発生させるのに十分に行われる。一部の実施形態において、電気分解は、1から1000ppmまで、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、120、150、175、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000ppm等の範囲の、或いは前述の量のいずれか2つによって規定される範囲内の量のハイポクロライトを発生させるのに十分に行われる。
【0041】
開示された組成物を生成する方法は、(1) 塩化ナトリウムの超純粋均一水溶液の調製、(2) 一組の不活性触媒電極による温度制御及び流量調整、並びに(3) こうした安定な分子部分及び錯体の形成をもたらすモジュレートされた電気分解プロセスの1つ又は複数の工程を含みうる。一実施形態において、こうした方法はこれら工程の全てを含む。一部の実施形態において、その方法は、レオロジー剤を、所望の粘度まで、電気分解された塩類溶液と混合する工程を更に含む。
【0042】
塩類溶液は一般に、有機及び無機のどちらの夾雑物も含まず、且つ分子レベルに至るまで均一である。特に、金属イオンは電極-触媒表面反応を妨げることがあり、したがって金属を避けることは有用でありうる。一実施形態において、ブライン溶液が水に塩分添加するために使用される。ブライン溶液は、約540g NaCl/gal、例えば537.5g NaCl/galのNaCl濃度を有してよい。
【0043】
一実施形態において、本明細書に記載した組成物を製造する方法は、逆浸透を含みうる。本明細書で使用するとき、用語「逆浸透」は、原水に、原水の浸透圧よりも高い圧力を加えることによって、半透膜を介して原水から水を抽出するプロセスをいう。水は、都市用水、濾過水、蒸留水、ナノ純水 (nanopure water) 等を含むが、これらに限定されることなく、種々の供給源から供給されてよい。
【0044】
逆浸透プロセスは、変わりうるが、約10ppm未満、例えば約9ppm、約8ppm、約7ppm、約6ppm、約5ppm、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm又はそれ以下の全溶解固体含有量を有する水を用意する工程を含んでよい。
【0045】
逆浸透プロセスは、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃の温度において、又は前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の温度において行われてよい。逆浸透工程は、特定の全溶解固体レベルを達成するために必要に応じて反復されてよい。一部の実施形態において、逆浸透工程の前に、後に、又はそれと同時に、蒸留工程もまた行われてよい。本明細書で使用される蒸留は、水を沸騰させ、別の容器に蒸気を凝縮させて蒸留水を得るプロセスをいう。蒸留水には、精製して、カルシウム及びマグネシウム等の無機物、微量元素、又は他の不純物を、蒸留によって除去した水が含まれる。一部の実施形態において、蒸留水は購入され、前述のプロセスの1つ又は複数において使用される。
【0046】
夾雑物を低減する他の手段は、脱イオン化、炭素濾過、二重蒸留、電気脱イオン化、Milli-Q精製等の樹脂濾過、マイクロ濾過、限外濾過、紫外線酸化、電気透析、又はこれらの組合せを用いること等による濾過及び/又は精製を含む。
【0047】
蒸留プロセスは変わるうるが、約5ppm未満、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、約0.1ppm又はそれ以下、又は前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量の全溶解固体含有量を有する水をもたらすことができる。蒸留プロセスを行うことができる温度は、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃の温度、又は前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の温度である。
【0048】
蒸留工程は、特定の全溶解固体レベルを達成するために必要に応じて反復されてよい。水が、逆浸透、蒸留、その両方に供されたか、又はいずれにも供されなかった後で、水中の全溶解固体レベルは、約5ppm未満、約4ppm、約3ppm、約2ppm、約1ppm、約0.9ppm、約0.8ppm、約0.7ppm、約0.6ppm、約0.5ppm、約0.4ppm、約0.3ppm、約0.2ppm、約0.1ppm又はそれ以下、又は前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量であってよい。
【0049】
逆浸透、蒸留、その両方が行われうるか、又はいずれも行わない前に、炭素濾過工程を行ってもよい。精製水は、本明細書に記載のシステム及び方法に、直接、使用されてよい。
【0050】
一実施形態において、夾雑物は以下の手順で水の商業的供給源から除去されうる:水を、活性炭フィルターを通して流し、芳香族及び揮発性夾雑物を除去し、次いで逆浸透 (RO) 濾過にかけて、溶解固体及び大部分の有機及び無機夾雑物を除去する。得られた濾過RO水は、約8ppm未満の溶解固体を含有しうる。残存夾雑物の大部分を、蒸留プロセスを通じて除去することができ、1ppm未満の溶解固体測定値がもたらされる。蒸留は、夾雑物の除去に加えて、水を正しい構造及び酸化還元電位 (ORP) をもつよう調整し、続いての電極-触媒プロセスにおいて白金電極上の酸化及び還元反応電位を促進する役割をも果たすことができる。
【0051】
水が、逆浸透、蒸留、その両方に供されたか、又はいずれにも供されなかった後で、加塩工程において、塩が水に添加されてよい。塩は、未精製である、精製されている、ケーキ状である、ケーキ状でない (de-caked) 等であってよい。一部の実施形態において、塩は、ハライト、食卓塩、精製塩、塩漬け用塩、フレーク塩、エプソム塩、海塩、アラエア塩 (別名ハワイアンシーソルト)、Alpenbergkern塩、アングルシー海塩、ケルト海塩、死海塩、ヒマラヤンシーソルト (ヒマラヤンピンクシーソルトを含む)、カラハリ塩、マラス塩、マレーリバーソルトフレーク、ナミビアソルトパール、ペルシアンブルー細塩、ポーランドの塩坑塩、原始海塩、タヴィラの塩、サーレマリーノディトラパニ、ゲランドの塩、南アフリカ海塩、ユタ塩、黒溶岩塩、ブライン、岩塩、赤岩塩、フルールドセル、又はコーシャソルトである。組成物中に存在する塩は幾つかの元素を含むことができ、それには、アクチニウム、アルミニウム、アンチモン、ヒ素、アスタチン、バリウム、ベリリウム、ビスマス、ホウ素、臭素、カドミウム、カルシウム、炭素、セリウム、セシウム、塩素、クロム、コバルト、銅、ジスプロシウム、エルビウム、ユウロピウム、フランシウム、フッ素、ガドリニウム、ガリウム、ゲルマニウム、金、ハフニウム、ホルミウム、水素、ヨウ素、インジウム、イリジウム、鉄、ランタン、鉛、リチウム、ルテチウム、マグネシウム、マンガン、水銀、モリブデン、ネプツニウム、ネオジム、ニッケル、ニオブ、窒素、オスミウム、酸素、パラジウム、リン、白金、プルトニウム、ポロニウム、カリウム、プラセオジム、プロメチウム、プロトアクチニウム、ラジウム、レニウム、ロジウム、ルビジウム、ルテニウム、サマリウム、スカンジウム、セレン、ケイ素、銀、ナトリウム、ストロンチウム、硫黄、タンタル、テクネチウム、テルル、テルビウム、タリウム、トリウム、ツリウム、スズ、チタン、ウラン、バナジウム、イッテルビウム、亜鉛、又はジルコニウムが含まれる。一部の実施形態において、塩中に存在する元素は、0.001ppm未満の量から400,000ppmより多い量で存在してよい。
【0052】
一部の実施形態において、塩は、アルミニウムを114.8ppmの量で、アンチモンを0.022ppmの量で、ヒ素を0.066ppmの量で、バリウムを0.664ppmの量で、ベリリウムを0.051ppmの量で、ビスマスを0.005ppmの量で、臭素を56.006ppmの量で、カドミウムを0.017ppmの量で、カルシウムを2101.000ppmの量で、クロムを0.207ppmの量で、コバルトを0.033ppmの量で、銅を0.116ppmの量で、ゲルマニウムを0.072ppmの量で、ヨウ化物を0.001ppm未満の量で、鉄を81.722ppmの量で、鉛を0.093ppmの量で、マグネシウムを1944.000ppmの量で、マンガンを1.911ppmの量で、水銀を0.016ppmの量で、モリブデンを0.011ppmの量で、ニッケルを0.096ppmの量で、リンを5.125ppmの量で、カリウムを1728.000ppmの量で、セレンを0.269ppmの量で、銀を0.004ppmの量で、ナトリウムを388690.000ppmの量で、ストロンチウムを32.223ppmの量で、スズを0.169ppmの量で、又は亜鉛を1.261ppmの量で、或いはこれらの任意の組合せを、含む。一部の実施形態において、塩は、上に列挙した量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%多いか又は少ない量で存在する前述の元素の1種又は複数を含んでもよい。
【0053】
一部の実施形態において、塩は、アルミニウムを32.473ppmの量で、アンチモンを0.013ppmの量で、ヒ素を0.046ppmの量で、バリウムを0.343ppmの量で、ベリリウムを0.030ppmの量で、ビスマスを0.004ppmの量で、臭素を70.607ppmの量で、カドミウムを0.010ppmの量で、カルシウムを1290.000ppmの量で、クロムを0.195ppmの量で、コバルトを0.013ppmの量で、銅を0.090ppmの量で、ゲルマニウムを0.085ppmの量で、ヨウ化物を0.001ppm未満の量で、鉄を23.292ppmの量で、鉛を0.077ppmの量で、マグネシウムを1304.000ppmの量で、マンガンを1.040ppmの量で、水銀を0.009ppmの量で、モリブデンを0.014ppmの量で、ニッケルを0.086ppmの量で、リンを3.548ppmの量で、カリウムを1174.000ppmの量で、セレンを0.235ppmの量で、銀を0.002ppmの量で、ナトリウムを391706.000ppmの量で、ストロンチウムを18.328ppmの量で、スズを0.135ppmの量で、又は亜鉛を1.045ppmの量で、或いはこれらの任意の組合せを、含む。一部の実施形態において、塩は、上に列挙した量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%多いか又は少ない量で存在する前述の元素の1種又は複数を含んでもよい。
【0054】
一部の実施形態において、塩は、アルミニウムを241.700ppmの量で、アンチモンを0.026ppmの量で、ヒ素を0.076ppmの量で、バリウムを7.615ppmの量で、ベリリウムを0.070ppmの量で、ビスマスを0.006ppmの量で、臭素を7.789ppmの量で、カドミウムを0.024ppmの量で、カルシウムを1860.000ppmの量で、クロムを0.175ppmの量で、コバルトを0.058ppmの量で、銅を0.279ppmの量で、ゲルマニウムを0.092ppmの量で、ヨウ化物を0.001ppm未満の量で、鉄を141.400ppmの量で、鉛を0.210ppmの量で、マグネシウムを217.900ppmの量で、マンガンを11.804ppmの量で、水銀を0.012ppmの量で、モリブデンを0.037ppmの量で、ニッケルを0.113ppmの量で、リンを39.541ppmの量で、カリウムを149.300ppmの量で、セレンを0.226ppmの量で、銀を0.006ppmの量で、ナトリウムを390600.000ppmの量で、ストロンチウムを11.251ppmの量で、スズを0.177ppmの量で、又は亜鉛を1.883ppmの量で、或いはこれらの任意の組合せを、含む。一部の実施形態において、塩は、上に列挙した量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%多いか又は少ない量で存在する前述の元素の1種又は複数を含んでよい。
【0055】
一部の実施形態において、塩は、アルミニウムを0.747ppmの量で、アンチモンを0.014ppmの量で、ヒ素を0.039ppmの量で、バリウムを0.012ppmの量で、ベリリウムを0.038ppmの量で、ビスマスを0.005ppmの量で、臭素を81.414ppmの量で、カドミウムを0.007ppmの量で、カルシウムを10.625ppmの量で、クロムを0.027ppmの量で、コバルトを0.001ppmの量で、銅を0.053ppmの量で、ゲルマニウムを0.081ppmの量で、ヨウ化物を0.001ppm未満の量で、鉄を0.639ppmの量で、鉛を25.908ppmの量で、マグネシウムを3.753ppmの量で、マンガンを0.040ppmの量で、水銀を0.013ppmの量で、モリブデンを0.007ppmの量で、ニッケルを0.016ppmの量で、リンを3.690ppmの量で、カリウムを60.756ppmの量で、セレンを0.202ppmの量で、銀を0.002ppmの量で、ナトリウムを391290.000ppmの量で、ストロンチウムを0.230ppmの量で、スズを0.166ppmの量で、又は亜鉛を0.791ppmの量で、或いはこれらの任意の組合せを、含む。一部の実施形態において、塩は、上に列挙した量よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10%多いか又は少ない量で存在する前述の元素の1種又は複数を含んでよい。
【0056】
一部の実施形態において、塩は、0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15%(w/v)の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で、含まれる。
【0057】
一実施形態において、塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化水素(HCl)、塩化銅(II)(CuCl2)、硫酸銅(II)(CuSO4)、塩化カリウム(KCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、又は硫酸塩又はリン酸塩である。一部の実施形態において、塩は添加物を含んでよい。塩添加物は、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ブドウ糖、フッ化ナトリウム、フェロシアン化ナトリウム、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、脂肪酸、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カルシウム、フマル酸第一鉄、鉄又は葉酸を含んでよいが、これらに限定されるものではない。これら添加物のいずれも、この時点又は記載のプロセス中の任意の時点で、添加されてよい。例えば、上記の添加物は、組成物の包装の直前に添加されてもよい。
【0058】
別の実施形態において、本プロセスは、いかなるイオン性、溶解性塩混合物、特に塩化物を含有するイオン性、溶解性塩混合物に対しても適用することができる。NaClに加え、他の非限定的例には、LiCl、HCl、CuCl2、CuSO4、KCl、MgCl、CaCl2、硫酸塩及びリン酸塩が含まれる。例えば、硫酸 (H2SO4) 等の強酸、並びに水酸化カリウム (KOH) 及び水酸化ナトリウム (NaOH) 等の強塩基は、それらの強い導電性能によって電解質として頻繁に使用される。好ましくは、塩は、塩化ナトリウム (NaCl) である。塩を水に導入するために、ブライン溶液を使用することができる。ブライン又は塩の量は、当業者には明らかでありうる。
【0059】
塩は、ブライン溶液の形態で、水に添加されてよい。ブライン溶液を混合するために、物理的混合装置を使用することができ、或いは循環又は再循環を使用できる。一実施形態において、純粋な医薬品グレードの塩化ナトリウムを、調製した蒸留水に溶解して15質量%の未飽和 (sub-saturated) ブライン溶液を形成し、塩が完全に溶解して0.1ミクロン超の全粒子が除去されるまで連続的に再循環及び濾過する。この工程には、数日かかることがある。一実施形態において、濾過され、溶解されたブライン溶液は、蒸留水のタンクに、約1:352 (塩:水) の比で注入して0.3%塩類溶液を形成する。一実施形態において、水1ガロン当たり10.75gの塩という比が、組成物を形成するために使用されうる。別の実施形態において、約3~4gの水、例えば3,787.5gの水中の10.75gの塩が組成物を形成するのに使用されうる。この溶液は次いで、分子スケールでの均一性が達成されるまで、再循環及び拡散されうる。
【0060】
一実施形態において、均一な塩類溶液は、約4.8±0.5℃まで低温化される。電気分解プロセス自体から発生する熱エネルギーは加熱を引き起こすことがあるため、全体の電極-触媒プロセス中の温度調整が典型的には必要とされる。一実施形態において、電極における処理温度は、常に冷却され、電気分解の間中、約4.8℃に維持されうる。
【0061】
ブラインは次いで、予め処理された水又は新鮮な未処理水に添加されてよく、約1gNaCl/gal水から約25gNaCl/gal水まで、約8gNaCl/gal水から約12gNaCl/gal水まで、又は約4gNaCl/gal水から約16gNaCl/gal水までのNaCl濃度を達成する。ブラインが適切な量で水に添加されたら、その溶液を十分に混合してよい。混合時の液体の温度は、室温であってよく或いは、所望の温度又は温度範囲に制御されてよい。
【0062】
溶液を混合するために、物理的混合装置を使用することができ、或いは循環又は再循環を使用できる。塩溶液は、冷却工程において低温化されてよい。
【0063】
大量の電気分解された溶液のためには、種々の低温化及び冷却方法を用いることができる。例えば、液体窒素冷却ラインを用いる超低温冷却を使用することができる。同様に、溶液をプロピレングリコール熱交換器に通して、所望の温度を達成してよい。低温化時間は、液体の量、出発温度及び所望の低温化温度に応じて変動しうる。
【0064】
アノード反応による生成物は、カソードに効率的に輸送されて、カソード表面上で反応原料が安定な錯体を形成することをもたらしうる。触媒表面間で循環する流体において高度の均一性を維持することもまた、有用でありうる。大きなタンクの中で2cm離れた典型的なメッシュ電極間距離で、1秒当たり約2~8mL/cm2の一定流量を用いてよい。この流量は、部分的に、電気分解中に電極から放出されるガスの対流によって維持されうる。
【0065】
低温化されたか又はされていない混合溶液は、次いで、電気分解工程において少なくとも1つの電極を用いることにより、電気化学処理を受けてよい。各電極は、導電性金属でありうるか又は導電性金属を含みうる。金属は、銅、アルミニウム、チタン、ロジウム、白金、銀、金、鉄、これらの組合せ、或いは鋼又は真鍮等の合金を含んでよいが、これらに限定されるものではない。電極は、以下のものに限定されないが、アルミニウム、金、白金、又は銀等の様々な金属により、被覆又はめっきされてよい。一実施形態において、各電極は、チタンから形成され、白金でめっきされている。電極上の白金表面は、それ自体で、必要とされる反応を触媒するのに最適でありうる。粗い二重層の白金めっきにより、確実に、局所的な「反応中心」(鋭く尖った突出)が活性であるように、且つ反応原料が、下にある電極チタン基材と接触しないようにすることができる。
【0066】
一実施形態において、アノードとカソード間の距離が、例えば2.5cm以下、5cm以下、10cm以下、20cm以下又は50cm以下の、垂直同軸円柱形状の粗い白金めっきメッシュ電極が最適でありうる。各電極に通す電流量は、約2ampから約15ampまで、約4ampから約14ampまで、少なくとも約2amp、少なくとも約4amp、少なくとも約6amp又はこれらの値のいずれかを用いて作り出される任意の範囲であってよい。一実施形態において、各電極で7ampが用いられる。
【0067】
電流量は、塩類溶液を電気分解するのに十分な時間、電極に流してよい。溶液は、電気化学プロセス中、低温化されてよい。溶液はまた、電気化学プロセス中に混合されてよい。この混合は、実質的に完全な電気分解を確実にするために行われうる。
【0068】
電極間の電界は、イオンの動きを引き起こしうる。陰イオンは、アノードに向かって動き、陽イオンは、カソードに向かって動くことができる。これにより、電極間で反応原料と生成物の交換が可能になる。一部の実施形態において、電極間に障壁は必要でない。
【0069】
電流量が溶液に十分な時間、通された後、電気分解された溶液が作り出されている。溶液は、貯蔵/試験工程において、保存され及び/又は特定の特性について試験されうる。
【0070】
この電気分解プロセスの最終生成物は、塩類溶液中で反応して、多くの異なる活性酸素種(ROS)を生成しうる。ROSは、スーパーオキシド (O2*-、HO2*)、ハイポクロライト (OCl-、HOCl、NaClO)、ハイポクロレート (HClO2、ClO2、HClO3、HClO4)、酸素誘導体 (O2、O3、O4*-、O)、水素誘導体 (H2、H-)、過酸化水素 (H2O2)、ヒドロキシルフリーラジカル (OH*-)、イオン性化合物 (Na+、Cl-、H+、OH-、NaCl、HCl、NaOH)、塩素(Cl2)、水クラスター (イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層)、及びこれらの組合せを含みうるが、これらに限定されるものではない。幾つかのROSは、電子受容体であってよく、幾つかは電子供与体であってよい。一部の実施形態において、活性酸素種はハイポクロライトである。幾つかの活性酸素種は電子受容体であり、HOCl、NaClO、O2、H2、H+、ClO、Cl2、H2O2を含み、幾つかの活性酸素種は電子供与体であり、O2 -、HO2、Cl-、H-、*OCl、O3、*O2 -及びOH-を含む。
【0071】
電気分解された溶液の塩素濃度は、約5ppmから約34ppmまで、約10ppmから約34ppmまで、又は約15ppmから約34ppmまでであってよい。一実施形態において、塩素濃度は約32ppmである。
【0072】
組成物は、一般に、ヒト細胞の中及び周囲に見出される天然の塩水化合物のレドックスシグナル伝達分子組成物を模倣する純粋な塩類の電気分解及び/又は触媒生成物を含みうる。組成物は、種々の生物学的媒体の分子組成を模倣又は忠実に反映するように微調整されてよい。組成物は、存在する塩素以外の活性種を有してよい。記載されているように、本明細書に記載の組成物中に存在する種には、O2、H2、Cl2、OCl-、HOCl、NaOCl、HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、H2O2、Na+、Cl-、H+、H-、OH-、O3、O4*-1O2、OH*-、HOCl-O2*-、HOCl-O3、O2*-、HO2*、NaCl、HCl、NaOH、及び水クラスター:イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層等を含まれうるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
一部の実施形態において、塩類溶液は電気分解されて、ある量の活性種を生成し、活性種は、オゾン、活性塩素、活性酸素、又は活性水素種を含んでよい。一部の実施形態において、オゾンは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又は300ppmの量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、活性塩素種は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又は300ppmの量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、活性酸素種は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又は300ppmの量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。一部の実施形態において、活性水素種は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、又は300ppmの量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で存在する。電気分解のプロセスは、活性種の所望の濃度に応じて塩類溶液を調製するために、いかなる適切な電圧、電流、時間、又は条件を用いて行われてもよい。
【0074】
生成ユニットの電源におけるパルス状電位 (pulsing potential) は、組成物を製造するシステムに組み込まれてよい。整流電源中のフィルターキャパシタの欠如は、電圧を1秒当たり120回、ゼロまで低下させる原因となることがあり、屋内電気系統の交流電流が極性を変えるときに、強いスパイクをもたらしうる。この強いスパイクは、フーリエ変換下で、大きな周波数帯域幅を発することがある。本質的に、電圧は、高い電位からゼロまで、1秒間に120回、変動する。他の実施形態において、電圧は、高い電位からゼロまで、1秒間に約1000回、1秒間に約500回、1秒間に約200回、1秒間に約150回、1秒間に約120回、1秒間に約100回、1秒間に約80回、1秒間に約50回、1秒間に約40回、1秒間に約20回、1秒間に約200回から1秒間に約20回まで、1秒間に約150回から1秒間に約100回まで、少なくとも1秒間に約100回、少なくとも1秒間に約50回、又は少なくとも1秒間に約120回、変動してよい。この電力変調は、電極に全ての電圧を試すことを可能にし、また分子自体の形成において共鳴を励起するのに十分な周波数帯域幅をももたらす。非常に低電圧での時間もまた、同種電荷のイオンが電極に極めて接近することが可能な低電界環境を提供する。これらの要因全てが一緒になって、ROSフリーラジカルを生成及び保持する能力のある安定な錯体を形成する可能性を提供することができる。
【0075】
交流電流(AC)リップルのある波形は、電極に電力をもたらすために使用されうる。こうしたACリップルはまた、パルス又はスパイク波形とも称され、例えばパルス波、パルス列、矩形波、鋸波、パルス幅変調 (PWM)、パルス期間変調 (PDM)、単相半波整流AC、単相全波整流AC又は三相全波整流等のいかなる正パルス化電流をも含む。
【0076】
ブリッジ整流器が使用されてよい。他のタイプの整流器は、単相整流器、全波整流器、三相整流器、12パルスブリッジ、電圧逓倍整流器、フィルター整流器、シリコーン整流器、SCR型整流器、高周波数(RF)整流器、インバータデジタルコントローラー整流器、真空管ダイオード、水銀アークバルブ、ソリッドステートダイオード、シリコーン制御整流器等が使用されうる。パルス波形は、トランジスタ制御電源、ドロッパー型電源、スイッチング電源等によって製造することができる。
【0077】
このパルス状波形モデルは、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、及びOOH*を多種多様な成分から安定化するために用いることができ、電圧、アンペア数、周波数、磁束(電流密度)又は電流等のいかなる特定の変数には限定されない。変数は、使用される成分に特有である。例えば、水及びNaClは合わさって、溶液中に分子及びイオンをもたらすことができる。60Hz電流を使用することができ、これは電圧(V)に1秒当たり60サイクル/120スパイクが存在すること又はVが毎秒120回、0であることを意味する。Vが0に下がると、0Vは、次にVが大きくなる前に、イオンを離れ離れに漂わせ/移動させ且つ再編させると考えられる。理論に縛られることを望むものではないが、Vにおけるスパイキングは、種々の範囲の周波数を可能にし、且つ促進し、多くの様々な化合物及び/又はイオンに影響を与える。
【0078】
ダイオードもまた使用されてよい。Vは、毎秒、周波数が調節されるのと同じ回数だけ0に下がりうる。周波数が増えると共に、V下降の回数も増加する。
【0079】
イオンは電極からの電気によって影響を受けると変化する。依然として理論に縛られることを望むものではないが、電気は一部のイオン/化合物の状態を変えると考えられる。この変更により、電子が元の軌道及び/又はスピン状態から、より高いエネルギー状態及び/又は単一スピン状態へと押し出される。この電気分解が、フリーラジカルを形成するエネルギーをもたらし、フリーラジカルは最終的に、電気分解プロセス中の反応原料及び生成物の多世代循環の間に形成される。言い換えると、化合物及び/又はイオンが、初めに電気分解され、それにより、形成される生成物それ自体が次いで、他の化合物及び/又はイオン及び/又はガスと反応して、第2の世代の反応原料及び生成物を形成する。次いで、電圧が再びスパイクしたときに、この世代プロセスが再び起こり、それにより、第2の世代からの生成物が溶液中で他の化合物及び/又はイオンと反応する。
【0080】
一部の実施形態において、レドックス電位は約840mVでありうる。一部の実施形態において、周波数は約1Hzから無限大まで又は約100MHzまででありうる。
【0081】
一部の実施形態において、電気分解プロセスの最終生成物は、塩類溶液中で反応して、種々の化学物質を生成しうる。本明細書に記載の組成物は、これら化学物質の1種又は複数を含みうる。これらの最終生成物は、スーパーオキシド:O2*-、HO2*、ハイポクロライト:OCl-、HOCl、NaOCl、ハイポクロレート:HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、酸素誘導体:O2、O3、O4*-1O、水素誘導体:H2、H-、過酸化水素:H2O2、ヒドロキシルフリーラジカル:OH*-、イオン性化合物:Na+、Cl-、H+、OH-、NaCl、HCl、NaOH、塩素:Cl2、及び水クラスター:イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層、幾つかの変形物を含みうるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
電気分解の間のこれら各々の相対濃度及び生産率を決定するために、特定の一般的化学原理が有用である可能性がある:
【0083】
1) 分子の構築には、特定の量のギブス自由エネルギーが必要である。ギブス自由エネルギーは、電極電位の差に比例する。大きなエネルギー必要量を伴う反応は起こる可能性が低く、例えば、金属ナトリウムを製造する:Na++e-→Na(s)ためには (0.00vでの水素還元と比較して) -2.71Vの電極電位が必要である。
【0084】
こうした大きなエネルギー差要件は、より小さなエネルギー必要量を伴う他の反応と比較して、この反応が起こる可能性を低くする。電極からの電子は、水素ガスの生成等の、
より少量のエネルギーを必要とする反応において優先的に使用されうる。
【0085】
2) 電子及び反応原料は、電極上で同一の微局在性 (micro-locality) であることが必要とされる。幾つかの反応原料を必要とする反応、例えば:Cl2+6H2O→10e-+2ClO3 -+12H+は起こる可能性が低い。
【0086】
この反応は、6個の水分子と1個のCl2分子が、電極の同じ位置に同時に存在し、且つ10個の電子の放出が同時に生じることを必要とする。これが起こる可能性は、一般に、同時に起こるためにより少数のより濃縮された反応原料を必要とする他の反応よりも低いが、こうした反応は依然として起こる可能性がある。
【0087】
3) 先行世代で生成された反応原料は、反応が起こる電極へ輸送又は拡散されうる。例えば、第1の世代からのアノード上に生成された溶存酸素 (O2) は、第2の世代においてスーパーオキシド及び過酸化水素を生成するためにカソードへと輸送されうる。イオンは、より容易に輸送されうる。イオンは、その電荷のために電界によって引っ張られることがある。塩素酸塩を発生させるために、例えば、HClO2が先ず生成されてカスケードを開始することがあり、HClO2生成に対する制限が、任意の続いての塩素酸塩生成をもまた制限することがある。低温はHClO2生成を妨げうる。
【0088】
上記生成物の安定性及び濃度は、場合によっては実質的に、周囲環境に左右される可能性がある。錯体及び水クラスターの形成は、化学種の、特にフリーラジカルの寿命に影響を及ぼす可能性がある。
【0089】
pHが中性の水溶液 (pH約7.0) 中、室温において、スーパーオキシドフリーラジカル (O2*-) は10ミリ秒台の半減期を有し、溶存オゾン(O3)は約20分の半減期を有する。過酸化水素 (H2O2) は、中性水溶液環境において、比較的長く存続するが、これはレドックス電位及び紫外線に左右されることがある。他の物質、例えばHCl及びNaOHは、存続し続けるためには、それぞれ、酸性又は塩基性環境に依存する。pHが中性の溶液において、H+イオン及びOH-イオンは、電極から離れたバルクの水溶液中で、約10,000,000分の1の濃度を有する。H-及び1Oは、迅速に反応しうる。上述したこれら化学種の大部分の安定性はそれらの微小環境に左右されうる。
【0090】
スーパーオキシド及びオゾンは、ハイポクロライトとの安定なファンデワールス分子錯体を形成することができる。荷電イオン周囲での、分極した水クラスターのクラスター形成は、ハイポクロライト-スーパーオキシド錯体及びハイポクロライ-トオゾン錯体を保持する効果をも有しうる。こうした錯体は、触媒基材上における分子レベルでの電気分解によって構築されることがあり、成分を一緒に混合することによっては自発的には生じない可能性がある。ハイポクロライトはまた、溶存塩素ガス (Cl2) と水の反応によっても自発的に生成されうる。したがって、中性塩類溶液中では、1種又は複数の安定な分子及び錯体の形成が存在する可能性があり、溶存ガス:O2、H2、Cl2、ハイポクロライト:OCl-、HOCl、NaOCl、ハイポクロレート:HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、過酸化水素:H2O2、イオン:Na+、Cl-、H+、H-、OH-、オゾン:O3、O4*-、一重項酸素:1O、ヒドロキシルフリーラジカル:OH*-、スーパーオキシド錯体:HOCl-O2*-、及びオゾン錯体:HOCl-O3が存在しうる。上記分子の1種又は複数は、本明細書に記載の組成物内に見出される可能性がある。
【0091】
完全な量子化学理論が有用でありえ、なぜなら、生成は、さまざまな温度、電極形状、流量、及びイオン輸送機構、並びに電流変調が、実質的にこれらの成分の相対/絶対濃度を変えることができ、そのことが、異なる明確な組成物を生成することをもたらしうるという事実によって、複雑化されるからである。したがって、生産パラメーターの選択は重要でありうる。全ての変量を実験的に調べるのに要する時間は、非常に長くなりうる。
【0092】
電気分解された溶液の塩素濃度は、約5ppm、約10ppm、約15ppm、約20ppm、約21ppm、約22ppm、約23ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約27ppm、約28ppm、約29ppm、約30ppm、約31ppm、約32ppm、約33ppm、約34ppm、約35ppm、約36ppm、約37ppm、約38ppm、約38ppm未満、約35ppm未満、約32ppm未満、約28ppm未満、約24ppm未満、約20ppm未満、約16ppm未満、約12ppm未満、約5ppm未満、約30ppmから約34ppmまで、約28ppmから約36ppmまで、約26ppmから約38ppmまで、約20ppmから約38ppmまで、約5ppmから約34ppmまで、約10ppmから約34ppmまで、又は約15ppmから約34ppmまでであってよい。一実施形態において、塩素濃度は約32ppmである。別の実施形態において、塩素濃度は約41ppm未満である。
【0093】
電気分解された溶液中の塩類濃度は、約0.10%w/v、約0.11%w/v、約0.12%w/v、約0.13%w/v、約0.14%w/v、約0.15%w/v、約0.16%w/v、約0.17%w/v、約0.18%w/v、約0.19%w/v、約0.20%w/v、約0.30%w/v、約0.40%w/v、約0.50%w/v、約0.60%w/v、約0.70%w/v、約0.10%w/vから約0.20%w/vまで、約0.11%w/vから約0.19%w/vまで、約0.12%w/vから約0.18%w/vまで、約0.13%w/vから約0.17%w/vまで、又は約0.14%w/vから約0.16%w/vまでであってよい。
【0094】
組成物は、一般に、ヒト細胞の中及び周囲に見出される天然の塩水化合物のレドックスシグナル伝達分子組成物を模倣する純粋な塩類の電気分解及び/又は触媒生成物を含みうる。組成物は、種々の生物学的媒体の分子組成を模倣又は忠実に反映するように微調整されうる。組成物は、存在する塩素以外の活性種を有してよい。記載したように、本明細書に記載した組成物中に存在する化学種は、O2、H2、Cl2、OCl-、HOCl、NaOCl、HClO2、ClO2、HClO3、HClO4、H2O2、Na+、Cl-、H+、H-、OH-、O3、O4*-1O、OH*-、HOCl-O2*-、HOCl-O3、O2*、HO2*、NaCl、HCl、NaOH、及び水クラスター:イオン周囲のn*H2O-誘導双極子層、幾つかの変形物を含みうるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
一部の実施形態において、ヒドロキシルラジカルは、ラジカル複合体(radical complex)の形成によって、組成物中で安定化されうる。ラジカル複合体は水素結合によって一緒に結び付けられることがある。組成物中に存在しうる別のラジカルは、OOH*ラジカルである。更に別のラジカル複合体には、ニトロキシル-過酸化物ラジカル (HNO-HOO*) 及び/又はハイポクロライト-過酸化物ラジカル (HOCl-HOO*) が含まれうる。
【0096】
蛍光分光法 (fluorescence photo spectroscopy) によって検出される、電気分解された塩類溶液中の活性種の濃度は、経時的に著しくは低下しない可能性がある。数学的モデルは、結合したHOCl-*O2 -複合体が室温で存在しうることを示している。分子複合体は、活性種の揮発成分を保持することができる。例えば、分子複合体の結果としての全血中の活性種濃度は、活性種の経時的な分解を防止する可能性がある。
【0097】
活性酸素種を有する電気分解された塩類溶液は、レオロジー剤(レオロジー調整剤)と更に混合されてよい。
【0098】
III. 組成物の使用方法
本明細書で提供する組成物は、経口、注射、又は局所投与のための製剤として、調製、包装、又は販売されてよい。組成物は適切な包装 (容器)、例えば、注射器、チューブ、カートン、カプセル、ジャー、ボトル、キャニスター、スクイーズパック、パウチ、パッケージ、パケット、袋、タンク、又は他の容器に充填されてよい。一部の実施形態において、組成物は、経口摂取され、又は注射され、あるいは皮膚に直接適用されてもよい。一部の実施形態において、組成物は、アプリケーター、ブラシ、又は皮膚に適用するための他のデバイスによって適用されてよい。
【0099】
経口適用のためには、組成物は、経口摂取に適した液体、ゲル、又は他の組成物として、製剤化されてよい。同様に、注射用に、組成物は、非経口投与 (例えば、皮下、静脈内、筋肉内、髄内、髄腔内、又は非経口投与用の他の組成物) に適した注射可能な溶液又は液体として製剤化されてよい。一部の実施形態において、組成物は経口又は非経口で、例えば0.1オンスから20オンスまで、又は対象の要望に応じて、オンス単位で投与される。各投与は、約0.1オンス、0.2オンス、0.3オンス、0.4オンス、0.5オンス、0.6オンス、0.7オンス、0.8オンス、0.9オンス、1オンス、約2オンス、約3オンス、約4オンス、約5オンス、約6オンス、約7オンス、約8オンス、約9オンス、約10オンス、約11オンス、約12オンス、約16オンス、又は約20オンスでありうる。組成物は1日に1回、2回、3回、4回又はそれ以上、投与されてよい。一実施形態において、組成物は、約4オンスを1日2回のペースで投与される。一部の実施形態において、経口投与用に製剤化された組成物は、対象に飲料として提供又は投与される。一部の実施形態において、経口製剤は、優れた味を呈する。一部の実施形態において、飲料は継続性を改善し、代謝活性を向上し、エネルギーを増大させ、健康及び幸福感を高め、水分補給を改善し、疾患又は障害を治療し又は寛解させ、或いはメタボリックシンドロームと闘う。
【0100】
一部の実施形態において、組成物は、局所適用のため、例えば、適用により恩恵を受けるであろう皮膚領域等の皮膚に直接適用される局所適用のために製剤化される。他の実施形態において、組成物は、1つ又は複数のドロッパー、アプリケータースティックにより、ミスト剤又はエアロゾル剤として、経皮パッチ剤として、ワイプで拭くことによって、或いは指又は他のアプリケーターで組成物を部位に塗り広げることによって、皮膚に直接適用される。組成物は任意の適切な治療量で、皮膚に適用されてよい。一部の実施形態において、組成物は、例えば0.1オンスから20オンスまで、又は対象の要望に応じて、オンス単位で皮膚に投与及び/又は適用される。皮膚への各適用は、約0.1オンス、0.2オンス、0.3オンス、0.4オンス、0.5オンス、0.6オンス、0.7オンス、0.8オンス、0.9オンス、1オンス、約2オンス、約3オンス、約4オンス、約5オンス、約6オンス、約7オンス、約8オンス、約9オンス、約10オンス、約11オンス、約12オンス、約16オンス、又は約20オンスでありうる。皮膚に適用する場合、組成物は1日に1回、2回、3回、4回又はそれ以上、適用されてよい。一実施形態において、組成物は、約4オンスを1日2回のペースで皮膚に適用される。一部の実施形態において、局所投与用に製剤化された組成物は、対象に提供又は投与される。一部の実施形態において、局所用製剤は、優れた滑らかさ又は潤滑性を示す。一部の実施形態において、局所用製剤は皮膚の外観を改善し、シワ又はシミを減少させ、皮膚の弾力性を増大させ、健康及び幸福感を高め、或いは疾患又は障害を治療又は寛解させる。
【0101】
包装は、パウチ等の使い捨て包装に入った、1回のみ使用分のアリコートを含んでよい。組成物は、約0.1オンス、約0.2オンス、約0.5オンス、約1オンス、約2オンス、約4オンス、約8オンス、約16オンス、約32オンス、約48オンス、約64オンス、約80オンス、約96オンス、約112オンス、約128オンス、約144オンス、約160オンスの容積、又は前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量の容積を有する、適切な包装中に、包装されてよい。包装はまた、同様な容積を有する絞り出し可能なパウチであってもよい。
【0102】
一部の実施形態において、包装は、酸又は酸化剤によって溶解されうる染料、金属細片、又は化学物質を含まないことができる。他の実施形態において、包装に使用される任意のボトル、パッケージキャップ、瓶詰フィルター、バルブ、ライン及びヘッドは、酸及び酸化剤に対して特に評価されることがある。幾つかの場合、酸化に対して感受性の任意の有機接着剤、シール、又は他の部材を含むパッケージキャップは、経時的に製品を中和し、且つ弱化させる可能性があるため、避けることができる。
【0103】
本明細書で使用するとき、「対象」又は「患者」は、治療、投与、観察、又は実験の対象である動物を表す。「動物」は、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば魚類、甲殻類、爬虫類、及び特に哺乳類を含む。「哺乳類」は、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類動物、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに、特にヒトを含むが、これらに限定されるものではない。幾つかの代替例において、対象はヒトである。
【0104】
本明細書に開示の一部の実施形態は、それを必要とする対象又は患者の選択に関する。一部の実施形態において、疾患症状の治療、寛解、抑制、進行、予防、又は改善を必要とする患者、或いは根治療法を必要とする患者が選択される。一部の実施形態において、活性酸素種を有する組成物の適用から恩恵を受けるであろう患者が選択される。必要としている前記対象又は患者のこうした識別又は選択は、臨床的及び/又は診断的評価によって行われてよい。一部の実施形態において、疾患状態を有してはいないが、疾患状態の防止を望む対象が選択される。
【0105】
用語「治療有効量」は、指示された生物学的又は医薬的応答を誘発する組成物の量を示すために用いられる。例えば、組成物の治療有効量は、疾患又は状態或いは疾患又は状態の兆候を防止し、軽減し、又は寛解させるのに必要な量であってよい。治療有効量の決定は、本明細書で提供される開示を考えると、当業者の能力の範囲内にある。本明細書で開示の組成物の1用量として必要な治療有効量は、投与経路、ヒトを含め、治療される動物の種類、及び検討下にある特定の動物の身体的特徴に依存することになる。用量は所望の効果を達成するために調整されてよいが、体重、食事、併用投薬のような因子及び医療分野の当業者であれば認識するであろう他の因子に依存することになる。
【0106】
一部の実施形態において、用量は、約0.1オンスから約12オンスまでの量、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12オンス等の量で、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の量で、与えられる。一部の実施形態において、用量は、1日4回から月1回までの頻度で、例えば4回/日、3回/日、2回/日、1回/日、1日おき、6回/週、5回/週、4回/週、3回/週、2回/週、1回/週、1週間おき、月2回、又は月1回等、或いは前述の頻度のいずれか2つによって規定される範囲内の量で投与される。一部の実施形態において、用量は、1日から10年以上までの期間、例えば1日、1週間、1カ月、6カ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、又はそれ以上の期間、或いは前述の値のいずれか2つによって規定される範囲内の期間、投与される。
【0107】
本明細書で使用するとき、薬理学的に活性な化合物の「同時投与」という用語は、インビトロであれインビボであれ、2種以上の別個の化学物質又は別個の療法の送達を表す。同時投与は、別個の薬剤又は療法の同時送達、薬剤の混合物の同時送達、1薬剤の送達に続いての第2の薬剤又は追加の薬剤の送達、或いは1療法に続いての又はそれと同時のもう1つの療法の実施を表す。全ての場合において、同時投与される薬剤又は療法は、互いに連動して働くよう意図されている。同様に、2種以上の化合物の投与に関連して、用語「併用で」は、ある1種の化合物とある1種又は複数の化合物との同時送達を表す。化合物は、同時投与によって、或いはある1種の化合物の、別の化合物の投与前又は後の投与によって、併用で投与されてよい。
【0108】
一部の実施形態において、組成物は、他の治療、療法、又は薬剤の非存在下に単独で、或いは疾患又は状態の治療のための1つ又は複数の療法と併用で、投与又は適用されてよい。
【0109】
一部の実施形態において、組成物は、直接皮膚に適用されてよく、したがって、組成物は局所適用用に製剤化されてよい。したがって、組成物は、局所適用に適したいかなる形態を有してもよい。一部の実施形態において、組成物は、クリーム剤、ハイドロゲル剤、ローション剤、ゲル剤、セラム、液剤、フォーム剤、ミスト剤、又は軟膏剤の形態である。一部の実施形態において、組成物は、皮内又は皮下投与のために製剤化されてよい。
【0110】
本開示は、一般に、数多くの実施形態を記載するために肯定的な言葉を用いて、本明細書に記載されている。本開示はまた、主題が全て又は一部、例えば物質又は材料、方法の工程及び条件、プロトコール又は手順等が、除外された実施形態をも含む。
【実施例
【0111】
上記で論じられた実施形態の幾つかの態様は、以下の実施例において更に詳細に開示されるが、決して本開示の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、多くの他の実施形態もまた、本明細書において上記及び特許請求の範囲において記載されるように、本開示の範囲内であることが理解されよう。
【0112】
(実施例1)
レドックス組成物の調製
以下の実施例は、組成物及び組成物を製造する方法の一実施形態を記載する。
【0113】
表1に示す成分を用いて、組成物を調製した。下記に示す成分を塩類溶液に添加し、最終pHが6.5~7.0になるよう調節した。塩類溶液は、0.05%塩で調製した。
【0114】
【表1】
【0115】
塩類溶液の調製に食卓塩等の精製塩を使用することができ、塩類溶液は、表2に挙げた成分を含んでよい。
【0116】
【表2】
【0117】
表2に記載した塩組成物は、精製食卓塩であり、元素の量を誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS) により決定した。当技術分野における教示は、精製された (purified)、精製された (refined) 塩のみが、ハイポクロライト等の活性酸素種を有する塩類溶液に使用されうること、及び原料塩又は未加工塩は、活性酸素種を有する塩類溶液での使用に不適合であることを示唆する。結果として、原料のままの未加工塩は、塩類溶液に使用することが可能であるばかりか、原料のままの未加工塩は意外にも、従来の精製塩を用いて調製した組成物よりも優れた機能を果たす改良された組成物をもたらす。原料塩を用いた改良された塩組成物のための成分を、3種の別個の塩組成物について、表3に示す。
【0118】
【表3A】
【表3B】
【0119】
表3に示す原料塩組成物を、ICP-MSによって分析し、元素の量を決定した。使用された塩組成物は様々な種類の原料海塩であった(組成物1及び2-ヒマラヤンピンクシーソルト、組成物3-海塩)。
【0120】
表1に記載した組成物は、塩類溶液が、表3に示した塩、又は本明細書に記載の他の形態の原料塩を用いて調製されると、意外にも優れた結果を示す。
【0121】
(実施例2)
ゲル組成物の調製
以下の実施例は、ゲル組成物及びゲル組成物を製造する方法の一実施形態を記載する。
【0122】
実施例1に記載したようにして、表4に示すようにレオロジー剤を更に含むゲル組成物を調製した。表に示した成分を塩類溶液に添加し、最終pHを6.5~7.0に調節した。塩類溶液は、実施例1に記載の原料塩の成分を用いて、0.05%塩で調製した。
【0123】
【表4】
【0124】
このように、原料のままの未加工塩は、塩類溶液に使用することが可能であるばかりか、原料のままの未加工塩は意外にも、従来の精製塩を用いて調製したゲル組成物よりも優れた機能を果たす改良されたゲル組成物をもたらす。
【0125】
(実施例3)
改良された経口組成物
以下の実施例は、経口摂取用の飲料として製剤化された本明細書に記載の組成物の使用方法を記載する。
【0126】
表3の原料塩を用いて電気分解された塩類溶液を有する経口組成物を、本明細書に記載したように製剤化する。組成物は、経口摂取用に対象に提供され、対象は、処置期間にわたる製剤の摂取に続いて、製剤の味に関して、並びに自己の全般的幸福感及び健康に関して、製剤についてのフィードバックを提供する。各対象は、0.1オンスから20オンスまでの量の製剤を、処置期間中、1日1回、2回、3回、4回又はそれ以上、摂取するよう指示される。
【0127】
対照の対象は、表2に列挙された精製塩を用いた、電気分解された塩類溶液を有する対照製剤を提供されるか、或いは当技術分野において公知の飲料を提供される。対照の対象は、処置期間にわたる製剤の摂取後に、製剤の味に関して、並びに自己の全般的幸福感及び健康に関して、製剤についてのフィードバックを提供するよう指示される。
【0128】
試験対象と対照の対象の両方からのフィードバックを回収し、試験製剤及び対照製剤に関して、結果を比較する。表3の原料塩を有する試験製剤は意外にも、表2の精製塩を有する対照製剤に比べて優れた特性を示す。更に、試験製剤は、当技術分野において公知の既存飲料に比べ、改良された特性を示す。具体的には、原料塩を用いた試験製剤は、対照製剤と比較して、及び当技術分野において公知の飲料と比較して、改良された味を呈し、対象により大きな継続性を与え、対象により大きなエネルギーを与え、メタボリックシンドロームとより効果的に闘い、より良好な水分補給を提供し、対象の全般的健康及び幸福感を増大する。したがって、原料のままの未加工塩を有する経口製剤は意外にも、対照製剤と比較して及び当技術分野において公知の飲料と比較して、優れた結果を示す。
【0129】
(実施例4)
改良された局所組成物
以下の実施例は、局所適用のために製剤化された本明細書に記載の組成物の使用方法を記載する。
【0130】
表3に記載の原料塩を用いた局所組成物を、表4に記載のように、製剤化する。組成物は、対象に提供され、対象は、処置期間にわたり製剤を使用した後に、製剤の感触及びテクスチャに関して並びに皮膚の身体的外観の改善に関して、製剤についてのフィードバックを提供する。各対象は、製剤を0.1オンスから20オンスまでの量で、処置期間中、1日1回、2回、3回、4回又はそれ以上、適用するよう指示される。
【0131】
表4の原料塩を用いた試験製剤は、皮膚に局所的に適用すると、優れた滑らかさをもたらし、シワ又はシミの減少を助け、皮膚の全般的外観を改善する。このように、表4に記載のゲル組成物は意外にも、塩類溶液が原料のままの未加工塩を用いて調製された場合、優れた結果を示す。
【0132】
原料のままの未加工塩(表3に記載のもの等)を用いた実施例1~4に記載の製剤は、驚くべき追加の特徴を示す。特に、原料のままの未加工塩を使用している電気分解された塩類溶液を製造する方法は、精製塩を用いて調製した組成物と比較して、より効率的である。更に、組成物は、精製塩を用いて調製した組成物と比較して、改良された安定性を示す。例えば、組成物は、少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、少なくとも9カ月、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、少なくとも21カ月、少なくとも24カ月、少なくとも30カ月、少なくとも50カ月、少なくとも100カ月、又はそれ以上、安定な状態を保ち、精製塩を用いて製剤化した組成物と比較して改良された安定性を示す。
【0133】
前述の実施形態の少なくとも幾つかにおいて、ある実施形態において使用された構成要素の1つ又は複数は、そうした置き換えが技術的に実行不可能でない限り、別の実施形態において互換的に使用されうる。特許請求の範囲に記載された主題の範囲から逸脱することなく、前述の方法及び構造に対して種々の他の省略、追加及び修正がなされてよいことは、当業者であれば理解されよう。こうした修正及び変更は全て、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、主題の範囲内であるよう意図されている。
【0134】
本明細書において、実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は応用に適するように、複数形から単数形へ及び/又は単数形から複数形へと言い換えることが可能である。明瞭化のために、種々の単数形/複数形の交換が、本明細書において明確に示されることがある。
【0135】
当業者には、一般に、本明細書において、及び特に添付の特許請求の範囲 (例えば、添付の特許請求の範囲の本体部) において使用される用語は一般に、「オープンな」用語として意図されていると理解されよう (例えば、用語「を含む(including)」は、「を含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「を有する(having)」は、「を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「を含む(includes)」は、「を含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである等)。当業者には更に、導入された請求項の記載の特定の数が意図される場合、そうした意図は請求項中に明示的に記載され、そうした記載がない場合、そうした意図はないことが理解されよう。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するために「少なくとも1つ(種)の」及び「1つ(種)又は複数の」という導入句の使用を含みうる。しかし、こうした句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の導入が、たとえ同じ請求項が導入句「1つ(種)又は複数の」又は「少なくとも1つ(種)の」及び「a」又は「an」等の不定冠詞を含む場合でも、そのように導入された請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、こうした記載1つ(種)のみを含む実施形態に限定することを含意すると解釈されるべきではなく(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つ(種)の」又は「1つ(種)又は複数の」を意味すると解釈されるべきである)、同じことは、請求項の記載を導入するための定冠詞の使用にも、当てはまる。更に、たとえ導入された請求項の記載の特定の数が明示的に記載されている場合でも、そうした記載は、少なくとも記載されている数を意味する(例えば、他に修飾語のない単なる「2つの記載」という記載は、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)と解釈されるべきであることが当業者には認識されよう。更に、「A、B、及びCの少なくとも1つ等」に類似の慣例的な表現が使用されている例において、一般にこうした構造は、当業者がその慣例的な表現を理解するであろうという意味を意図される(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、及び/又はA、B
、及びCを共に有するシステムを含むが、これに限定されない等)。「A、B、又はCの少なくとも1つ等」に類似の慣例的な表現が使用されている例において、一般にこうした構造は、当業者がその慣例的な表現を理解するであろうという意味を意図される(例えば、「A、B、又はCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、及び/又はA、B、及びCを共に有するシステムを含むが、これに限定されない等)。2つ以上の代替用語を表す事実上いかなる離接語及び/又は句も、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにおいてであろうと、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は用語の両方を含む可能性を企図するものと理解されるべきであることが、当業者には更に、理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されよう。
【0136】
更に、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュグループの用語で記載される場合、本開示がまたそれにより、マーカッシュグループのいかなる個々のメンバー又はメンバーのサブグループの用語に関しても記載されることを、当業者は認識されよう。
【0137】
当業者には理解されるように、明細書の記載を提供する観点から等、いずれか及び全ての目的で、本明細書に開示の全ての範囲はまた、その可能な部分範囲のいずれか及び全て並びにその部分範囲の組合せも含む。列挙されたいかなる範囲も、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分等に分けられる同じ範囲を十分に記載し、且つ可能にすると容易に認識されうる。非限定的な例として、本明細書で論じられた各範囲は下方の3分の1、中央の3分の1及び上方の3分の1等に容易に分けられうる。同様に当業者には理解されるように、「最大で」、「少なくとも」、「超」、「未満」等のような全ての言語は記載されている数を含み、且つその後、上述のように部分範囲に分けることができる範囲を表す。最後に、当業者には理解されるように、ある範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3のアーティクルを有する群は1、2、又は3のアーティクルを有する群を表す。同様に、1~5のアーティクルを有する群は1、2、3、4、又は5のアーティクルを有する群等を表す。
【0138】
種々の態様及び実施形態が本明細書において開示されている一方で、他の態様及び実施形態が当業者には、明らかとなろう。本明細書において開示された種々の態様及び実施形態は、例証を目的とするものであって、限定することを意図するものではなく、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。