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特許7394774空間の中に成長させた菌類学的バイオポリマーの高均質性
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】空間の中に成長させた菌類学的バイオポリマーの高均質性
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/14 20060101AFI20231201BHJP
   C12M 1/18 20060101ALN20231201BHJP
   A01G 18/60 20180101ALN20231201BHJP
   A01G 18/69 20180101ALN20231201BHJP
【FI】
C12N1/14 B
C12M1/18
A01G18/60
A01G18/69
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020544385
(86)(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-04
(86)【国際出願番号】 US2018060983
(87)【国際公開番号】W WO2019099474
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】62/707,704
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520165401
【氏名又は名称】エコベイティブ デザイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】カプラン-ビー ジェシー ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】グリーサム ルーシー
(72)【発明者】
【氏名】ボーンスティール イアン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア ギャヴィン レイム
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0033620(US,A1)
【文献】国際公開第2017/151684(WO,A1)
【文献】米国特許第03810327(US,A)
【文献】米国特許第03717953(US,A)
【文献】特開2016-049049(JP,A)
【文献】登録実用新案第3098819(JP,U)
【文献】特開昭52-066679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 1/00-7/08
A01G 18/00-80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオポリマー材料を成長させる方法であって、
複数の容器を準備するステップを含み、前記複数の容器の各々は、栄養基材及び真菌を含む成長用培地を収容するキャビティを有し、
更に、前記複数の容器を、閉鎖された培養室内に配置するステップと、
前記閉鎖された培養室を、湿度、温度、二酸化炭素含有量、及び酸素含有量の所定の環境を有するように維持するステップと、を含み、前記所定の環境は、全体的に真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーを生成するのに十分な環境であり、
更に、前記二酸化炭素含有量を含む空気流を、前記培養室を通るように差し向けるステップと、
真菌が栄養基材を消化して、全体的に真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーを前記容器の各々の中で生成するのに十分な期間、成長用培地を前記容器の各々の中で培養するステップと、
前記空気流を前記容器の各々の中の成長用培地の上で移動させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記空気流は、前記閉鎖された培養室の中に且つ前記容器の横方向に差し向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空気流は前記容器の水平方向に差し向けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の容器は、上下方向に離間した複数の列で前記培養室の中に上下方向に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記培養するステップの間、前記所定の環境は、99%の相対湿度、5%の二酸化炭素含有量、及び29.4~35℃(85~95°F)の変動温度に維持される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記空気流は、前記閉鎖された培養室の中に且つ前記容器の横方向に差し向けられる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記空気流は前記容器の水平方向に差し向けられる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記培養するステップの間、前記空気流は、脈動流である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記空気流は、5~7容量%の二酸化炭素を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
真菌の菌糸体は、気中菌糸体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記空気流は、気中菌糸体の構造を調整する力を差し向ける、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記空気流を前記容器の各々の中の成長用培地の上で移動させるステップは、前記空気流を前記容器の各々の中の成長用培地の面を横切るように移動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
全体的に真菌の菌糸体で構成される前記菌糸体バイオポリマーは、全体的に真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーのパネルである、請求項に記載の方法。
【請求項14】
更に、前記空気流を前記容器の各々の成長している菌糸体の上で移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記容器は、蓋を備えていない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
更に、前記容器の各々の中の成長用培地の上を移動させるように、ミストを前記培養室の中に分散させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ミストは、水分と溶質を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
気中菌糸は、前記培養期間中、前記容器の各々から外方に成長し、前記ミストは、調整された量で、気中菌糸の上面に分散される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
バイオポリマー材料を成長させる方法であって、
複数の容器を準備するステップを含み、前記複数の容器の各々は、栄養基材及び真菌を含む成長用培地を収容するキャビティを有し、
更に、前記複数の容器を、閉鎖された培養室内に配置するステップと、
前記閉鎖された培養室を、湿度、温度、二酸化炭素含有量、及び酸素含有量の所定の環境を有するように維持するステップと、を含み、前記所定の環境は、全体的に真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーを生成するのに十分な環境であり、
更に、ミストを、前記閉鎖された培養室中に且つ前記複数の容器の各々の中の成長用培地の上を移動させるように分散させるステップと、
真菌が栄養基材を消化して、実質的な形態学的変化なしに、全体的に真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーを前記容器の各々の中で生成するのに十分な期間、前記容器の各々の中で成長用培地を培養するステップと、を含む方法。
【請求項20】
前記ミストは、水分及び溶質を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶質はミネラルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記培養する前記期間の間、気中菌糸を前記容器の各々から外方に成長させ、調整された量のミストを、気中菌糸の上面に分散させる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は仮特許出願ではなく、2017年11月14日に出願した仮特許出願62/707,704号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、特許文献1に記載されている菌類学的バイオポリマーよりも高い均質性、強度及び密度を有する生体材料を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に記載されているように、菌類学的バイオポリマー製品を生成するための環境条件、すなわち、高含有量(5~7容量%)の二酸化炭素(C02)の及び高温(85~95°F(29.4~35℃))は、真菌をキノコに完全に分化させることを防ぎ、茎、かさ、又は胞子は、生成されない。高温は、組織の生成を加速させる。バイオポリマー製品は、ツールの隙間空間の中に成長し、この隙間空間を、分化していない菌糸体キチンポリマーで満たし、引き続いて、バイオポリマー製品を基材から抽出して乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0033625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概略的には、本発明は、丈夫で柔軟な材料の生産を可能にし、かかる材料は、室内装飾品、アパレル/ファッション、軍服、運動服、及び靴等の多くの適用例において、皮革、革のような材料、繊維、及び高密度かつ高強度の発泡体の代わりに使用される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、菌類学的バイオポリマーを、空気流が差し向けられる条件下で成長させること、水分及びミネラル等の溶質を、成長している有機体の表面上に堆積させること、スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスの中での成長、及び、より均質な材料を誘導して或る範囲の材料密度を生じさせるために、成長の間の湿度プロファイルを変動させることに関わる。菌類学的バイオポリマー製品は、全体的に真菌の菌糸体で構成される。
【0007】
本発明の第1の実施形態は、菌類学的バイオポリマーを生成するのに使用され、収容され且つ接種された成長用培地を、成長用培地の表面の少なくとも1つを横切るように差し向けられた空気流を送出するように構成された成長用包囲体の中に配置することを含む。
【0008】
この実施形態において、バイオポリマー材料を成長させる方法は、複数の容器を準備するステップを含み、複数の容器の各々は、栄養基材及び真菌を含む成長用培地を収容するキャビティを有し、更に、複数の容器を、閉鎖された培養室内に配置するステップと、閉鎖された培養室を、湿度、温度、二酸化炭素、及び酸素の所定の環境を有するように維持するステップと、を含み、所定の環境は、真菌がキノコに完全に分化するのを防止しながら、菌糸体バイオポリマーを生成するのに十分な環境であり、更に、高含有量の二酸化炭素を含む空気流を、培養室を通って容器の各々の中の成長用培地の上を移動するように差し向けるステップと、真菌が栄養基材を消化して、完全な真菌の菌糸体で構成される菌糸体バイオポリマーを容器の各々の中で生成するのに十分な期間、容器の各々の中で成長用培地を培養するステップと、を含む。
【0009】
各容器は、培養室内の「空気流ボックス」の中の配置されるのがよく、それにより、容器の高さは、空気流と相互作用し、すなわち、各容器は、空気流ボックスの全断面積が利用されるように空気流ボックスの中に沈められる。
【0010】
本発明によれば、空気流は、閉鎖された培養室の中に、且つ、容器の横方向又は上下方向に差し向けられる。
【0011】
本発明の第2の実施形態は、水分及びミネラルの堆積容量に基づいてある範囲の密度の均質性を誘導するために、水分及びミネラルを、成長している表面の少なくとも1つの上に堆積させることを制御することを利用する。
【0012】
この実施形態において、バイオポリマー材料を成長させる方法は、複数の容器を準備するステップを含み、複数の容器の各々は、栄養基材及び真菌を含む成長用培地を収容するキャビティを有し、更に、複数の容器を、閉鎖された培養室内に配置するステップと、閉鎖された培養室を、湿度、温度、二酸化炭素、及び酸素の所定の環境を有するように維持するステップと、ミストを、培養室に中に且つ複数の容器の各々の中の成長用培地の上を移動させるように分散させるステップと、菌糸体バイオポリマーを容器の各々の中で生成するのに十分な期間、容器の各々の中で成長用培地を培養するステップと、を含む。
【0013】
本発明によれば、ミストは、水分及びミネラル等の溶質を含む。
【0014】
本発明の第3の実施形態は、スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスの中での菌類学的バイオポリマーの成長に関わり、このクリム又はロフテッド非基材母材は、基材成長表面に直接接触するか又はこの上側に持ち上げられ、蓋を使用することなく容器内で成長する。
【0015】
第4の実施形態は、高均質性の高密度材料を誘導するために、サイクルの持続時間にわたる成長期間におけるパーセント湿度の変動を採用する。
【0016】
第5の実施形態は、ある範囲の気中菌糸体密度及び機械的性能を達成するために、特定の空気流量を使用する。
【0017】
本発明のすべての実施形態において、菌類学的バイオポリマーを、栄養基材から、0.5~4ポンド/立方フィート(8~64キログラム/立方メートル)あたりの乾燥密度のパネルに成長させる。スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスを使用する実施形態を除いて、一様な成長を各パネルにおいて及び大きい成長室全体にわたって達成するために、局所的な環境条件、即ち、二酸化炭素高含有の空気、水分堆積、及び温度は、均質でなければならない。
【0018】
特許文献1に更に記載されているように、菌類学的バイオポリマーの成長に影響を与える局所的な環境条件を制御するために、蓋の使用が求められていた。
【0019】
本発明によれば、差し向けられた空気流の下で、容器の蓋は除去され、局所的な環境条件は、空気流を介して均質にされる。空気流の使用により、成長容器の全表面からの成長を可能にすると共に、成長した組織の均質性及び均一性を向上させるのを助ける。このことは、成長している組織への湿度、水、ミネラル等の溶質の供給を促進させる空気流、微小環境の廃止、及び/又は、増大させた機械力に起因すると考えられる。大容量の均質な材料を必要とする生物学的繊維及び発泡体のための多くの適用例が存在する。
【0020】
食用キノコの生産に使用される成長環境は、特別品及びアガリクスの両方において、現在、成長室の中を通るいくらかの制御されない空気流を採用し、これは、加熱、冷却、成長しているキノコによって生じた二酸化炭素のガス処理、又は、成長室内への酸素の導入のためである。この空気流は、食用キノコを作るように任意の及び全ての真菌を子実体に分化させることを防止し且つ菌類学的バイオポリマーを成長させる均一な環境を提供するのに採用される空気流技術と異なる。
【0021】
さらに、キノコの栽培における空気流は、二酸化炭素及びその他の揮発性物質等の代謝副産物を除去するところに差し向けられ、実際には、断続的である。菌類学的バイオポリマーを成長させるのに使用される空気流は、培養環境の一貫した均質化を局所的な変動なしに提供するところに差し向けられ、菌糸体がキノコに分化することができないように十分に制御されたパラメーター(例えば、高含有量の二酸化炭素)を有する。また、空気流量は、密度に影響を及ぼす気中菌糸体の構造を調整する力を差し向ける。
【0022】
食用キノコの生産に使用される成長環境は、成長室の中を通る空気流の使用を採用するけれども、空気流は、間接的であり、環境の加湿のための再循環システムの一部である。空気流は、成長用培地の表面を横切るように差し向けられず、本発明に従う場合と異なる。
【0023】
これらの及びその他の目的及び利点は、添付図面を参照する以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A】本発明による、組織形態の分化が極めて少ない、空気流量が多い直接的な空気流環境内で成長したパネルの上面の写真である。
図1B】多くの分化した組織を含む、空気流量が少ない間接的な空気流環境内で成長したパネルの上面の写真である。
図1C】多くの分化した組織が生じ且つ気中成長が少ない、ゼロ空気流環境内で成長したパネルの上面の写真である。
図2】本発明による、処理と密度のチャートを示す。
図3A1】本発明による横方向空気流システムの概略図である。
図3A2】本発明による2容器式培養に利用される空気ボックスの斜視図である。
図3B】本発明による横方向空気流システムの変形例の概略図である。
図3C】本発明による横方向空気流システムの別の変形例の概略図である。
図4A】空気を成長用培地の表面の上を通過させる、本発明による上下方向空気流システムの概略図である。
図4B図4Aの上下方向空気流システムで成長したパネルの上面の写真である。
図4C図4Aの上下方向空気流システムの成長用培地の上の空気流パターンの概略図である。
図5A】本発明によるミスト分散システムの概略図である。
図5B】本発明によらない、加湿空気の再循環のための間接空気流システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図3A1を参照すると、第1の実施形態において、バイオポリマー材料を成長させる方法は、閉鎖された培養室10を採用し、培養室10は、上下方向に離間した複数の棚11と、培養室10の内部を見るための透明な前壁(図示せず)を有する。
【0026】
加えて、空気流システム12が、培養室10に接続され、矢印13で示すように、空気流を培養室10の一方の側からその反対側まで培養室10を横方向に横切るように差し向ける。図示のように、空気流システム12は、加湿空気を培養室10の上部全体に分散させるマニホールドMを培養室10の上部に含み、それにより、加湿空気は、複数の棚11を上下方向に下降し、その後、右下のところで再加湿のために再循環される。
【0027】
培養室10の各棚11は、空気ボックスBを受け入れるように寸法決めされ、空気ボックスBは、2つの容器14を収容し、各容器14は、栄養基材及び真菌からなる成長用培地15を収容する。
【0028】
図3A2を参照すると、各容器14は、上方に開いた矩形トレイの形態を有し、11.5インチ×18.5インチ(29.21センチメートル×46.99センチメートル)の大きさのキャビティを定め、キャビティの外周に沿って延びる容器全体の周りの1インチ(2.54センチメートル)のリップを有する。各容器14は、空気ボックスBの中に配置される。
【0029】
容器14は、ポリカーボネート等の十分に剛性のある非反応性材料で構成され、容器のオリフィスは、所望の空気流量を達成するために空気流装置と対をなしている。容器の長さ及び空気流量は、空気流の一貫性に影響し、空気流が成長部分に到達する前の入口長さは、空気流の層流又は乱流の性質を制御するために設けられる。容器は、流れの均質化を助ける傾斜路、翼形部等の整形板、又はバッフルを含んでいてもよい。
【0030】
空気ボックスBは、成長用トレイ14を受入れる矩形形状のものであり、開放した側面16を一方の端面に有し、かかる側面よりも小さいオリフィス17を反対側の端面に有する。
【0031】
空気流システム12は、各空気ボックスBのオリフィス17のところに位置するファン12’を含み、ファン12’は、水平方向矢印によって示すように、空気を容器14内の成長用培地15及び成長部分の上に引く。オリフィス17は、ファン12’によって覆われ、それにより、全ての空気がファン12’を通過することを確保する。変形例として、ファン12’は、空気ボックスBの開放した側面16に位置決めされて、空気を成長用培地15の上に押してもよい。
【0032】
前述したように、マニホールドMから下降する加湿空気は、オリフィス16、17を介して、各空気ボックスBに入ってその中を通過する。
【0033】
成長用培地15は、具体的には、バッグに封入された基材と、接種材料を含み、基材の材料及びそのおおまかな量は、トウモロコシ茎葉6000g、ケシの実1440g、マルトデキストリン256g、硫酸カルシウム80g、都市用水16000gであり、接種材料及びそのおおまかな量は、Ecovativeの菌株(Strain)ID 045-08-003spawn2880gである。
【0034】
バイオポリマー材料を成長させる方法の間、培養室10は、湿度、温度、二酸化炭素及び酸素の所定の環境に維持される。具体的には、培養室10は、培養ステップの間、99%の相対湿度(RH)、5%のCO2、及び85~95°F(29.4~35℃)の変動温度に維持される。
【0035】
培養室10、すなわち、成長用包囲体は、一方の端部で開放し、他方の端部に、空気を容器14の上に矢印13で示すように横方向に移動させるためのファン又は装置が取付けられるのがよく、空気の移動は、空気を5~10,000立方フィート/分(141.6~283168リットル/分)の範囲の流量の定常流又は脈動流で引くか押すかの何れかによる。培養室10は、湿度、温度、二酸化炭素及び酸素を含む環境条件を維持することができるもっと大きい培養室(図示せず)の中にあるのがよい。
【0036】
培養室10の形状及び構造は、空気流の向き及び空気流の層流又は乱流の特性を助けるように特別に作られるのがよい。
【0037】
図3A1を参照して、横方向空気流を差し向けるプロセスステップを説明する。
【0038】
1.栄養のある成長用培地及び有機体接種物15を複数の容器14に詰める。これは、容器14が蓋を備えていないこと以外、特許文献1に記載されていることと同じである。
【0039】
2.複数の容器14を、包囲された培養室10の棚11上の複数の空気ボックスBの中に配置する。
【0040】
3.空気流を、矢印13で示すように、培養室10の中を通るように空気流システム12によって差し向け、各容器14内の成長用培地15の上を横方向に通行させる。
【0041】
4.各容器14内の成長用培地15を、各容器14内において菌糸体バイオポリマーのパネルPを生成するのに十分な期間にわたって培養し、例えば、かかるパネルを培養室10の中で4~14日間成長させる。
【0042】
空気流を、培養室10に取付けられたファンによって発生させ、容器14の上に差し向けて、それよりも大きい培養空間に戻す。
【0043】
図1Aを参照すると、上述した方法によって生成された1対のパネル17が、全体的に真菌の菌糸体で構成され、組織形態の最小の分化しか示していない。
【0044】
99%を超える一定の相対湿度における100立方フィート/分(2832リットル/分)の空気流量により、1.98pcf(31.7Kg/m3)の乾燥密度及び17.5psi(120658Pa)の引張強度を有する組織を生じさせた。これらのパネルは、高度な一貫性を示した。
【0045】
100~175立方フィート/分(2832~4955リットル/分)の空気流量において、48時間の間、相対湿度を96%まで低下させると、1.45pcf(23.2Kg/m3)の乾燥密度及び13.6psi(93769Pa)の引張強度を有する組織を生じさせた。これらの成長したパネルは、高度な一貫性を生じさせた。
【0046】
300~350立方フィート/分(8495~9911リットル/分)の空気流量及び99%を超える一定の相対湿度は、3.32pcf(53.2Kg/m3)の乾燥密度及び31.2psi(215116Pa)の引張強度を有する組織を生じさせた。
【0047】
図1Bを参照すると、差し向けられる空気流がない条件で生成された複数対のパネルは、多くの分化した組織を有する点で特徴付けられる。
【0048】
図1Cを参照すると、空気流ゼロの環境で成長した複数対のパネルは、多くの分化した組織を有する点及び気中成長が少ない点で特徴付けられる。
【0049】
図3Bを参照すると、同様の参照符号が上述した部品と同じ部品を指示し、培養室10は、上下方向に離間した複数の棚11(又はラック)を有するように構成され、延長された長さの容器14との協働のためにシート材(図示せず)によって包囲され、各棚11が単一の容器14のみを含む空気ボックスBを受入れるように構成されている。
【0050】
加えて、横方向空気流システム12’が、培養室10に取り付けられ、ファンを有し、ファンは、矢印18で示すように、空気流を培養環境から空気ボックスBの中及び容器14の上に差し向けて、もっと大きい培養空間に戻すために培養室10’に取付けらている。
【0051】
図3Cを参照すると、同様の参照符号が上述した部品と同じ部品を指示し、培養室10’は、開放した棚11を有し、成長用培地15を含む容器14が、空気ボックスを使用することなしに棚11の上に配置される。加えて、横方向空気流システムが、培養室10’に取付けられ、培養室10’の右側面に配置されたファン(図示せず)を有し、ファンは、空気流を培養室10’の中に引いて外に出すと共に、容器14の上を横方向に通行させる。
【0052】
図4Aを参照すると、同様の参照符号が上述した部品と同じ部品を指示し、菌類学的バイオポリマーの成長は、空気流を容器14の上下方向に通行させることによって達成される。
【0053】
例えば、包囲された培養室10”は、1又は2以上の空気流装置(図示せず)を備え、かかる空気流装置は、調整された空気を、成長している菌糸体の上に押したり引いたりするように成長用培地15の上方に位置決めされる。図4Aに示すような空気流装置12は、成長用容器14’の上方の所望の高さのところに静的に保持されるか、成長の過程にわたって線形アクチュエータ(図示せず)の上にモジュール化されるかの何れかである。
【0054】
図示のように、2つの容器14’が、培養室10”の中の各棚11の上に位置決めされ、各容器14’は、上下方向スペーサ18を有し、上下方向スペーサ18は、カバー19(屋根)を容器14’から隔てる。上下方向スペーサ18は、ポリ塩化ビニル(PVC)等の非反応性基材で製造され、空気流装置による力に抵抗するのに十分な剛性を有する。
【0055】
培養室10”は、一方の端部で開放され、他方の端部にファンが取付けられ、ファンは、空気を、矢印13”で示すように、成長表面と垂直な方向に容器14’の上に移動させるための装置であり、空気の移動は、空気を5~10,000立方フィート/分(141.6~283168リットル/分)の範囲の流量の定常流又は脈動流で引く又は押すことによる。
【0056】
培養室10”は、湿度、温度、二酸化炭素、及び酸素を含む環境条件を維持することができるもっと大きい培養室(図示せず)の中に配置されるのがよい。
【0057】
図4Bを参照すると、空気を、図1Aに示すように成長している部分を横切るのではなく、図4Cに示すように成長している表面の上の上方に引いたときに、培養室10”内で生成された菌類学的バイオポリマーのパネルは、菌糸体の集中部を空気流装置の下方に有する点で特徴付けられる。図4Bに示すように、空気流装置が空気を成長用培地の中心領域から上方に引いたとき、成長している菌糸体は、パネルの中心領域に集中していた。
【0058】
図4Aを参照して、上下方向空気流を差し向けるプロセスステップを説明する。
【0059】
1.栄養のある成長用培地及び有機体接種物を複数の容器14”に詰める。これは、容器14”が蓋を備えていないこと以外、特許文献1に記載されていることと同じである。
【0060】
2.複数の容器14”を、包囲された培養室10”の中に配置する。
【0061】
3.空気流を、矢印13”で示すように、培養室10”の中を通るように空気流システム12によって差し向け、各容器14”内の成長用培地に上下方向に通行させる。
【0062】
4.成長用包囲体の形状及びデザインは、空気流の向き及び空気流の層流又は乱流の特性を助けるように特別に作られるのがよい。
【0063】
5.各容器14”内の成長用培地15を、各容器14”内において菌糸体バイオポリマーのパネルを生成するのに十分な期間にわたって培養し、例えば、かかるパネルを培養室10”の中で4~14日間成長させる。
【0064】
6.空気の移動は、空気流を用いて形状決めされる最終製品のための成長の間、材料を特定の形状及びパターンに成形し及び構造化するのに利用される。
【0065】
上記のステップ6において、(175立方フィート/分(4955リットル/分)よりも大きい)引かれた水平方向の空気流量により、密なホタテ貝状(波形)パターンを形成する。上下方向空気流は、空気流と一致する形態(鍾乳洞の床にできた石灰質の石(stalagmite)のように上方に引かれた形態)を有する示す構造物を空気流装置の下方に形成する。空気流(160立方フィート/分(4530リットル/分))に反する波形パターンを、押すことにより形成する。空気流装置への接近及び空気流パターンにより、空気流に似た組織パターンを生成する。
【0066】
グラフを示す図2を参照することにより、成長用培地の水分及び溶質の含有量は、成長している材料の密度に直接関係することが見出された。水分含有量が多いほど、成長した材料の密度が小さくなり、この傾向は、基材の種類の分類を越えて示された。
【0067】
図2は、トウモロコシ茎葉材料の4つの異なる水分含有量と比較した3つの他の基材の種類を示す。これにより、最終製品の密度の変化を生じさせ、水分含有量が多いほど、低い密度の組織になる。
【0068】
チューキークレーマー(Tukey-Kramer)は、試験と試験の間の著しい相違を決定する平均比較検定である。0.05は信頼の間隔であり、かくして、データ間の関係において95%の信頼性がある。
【0069】
真菌細胞が隙間空間を満たす能力は、成長中の有機体が利用できる水及び溶質に依存する。利用できる水が多いほど、有機体はより積極的に拡張することができ、それにより、材料の密度を低下させる。
【0070】
従って、図5Aを参照すると、同様の参照符号が上述した部品と同じ部品を指示し、ミスト分散システム21が、包囲された培養室20に取付けられ、それにより、生成された菌類学的バイオポリマーにおける様々な材料密度の範囲を生成する目的で、水分及び溶質が、成長している組織に複数の経路を介して付与される。
【0071】
図示のように、培養室20は、上下方向に離間した複数の棚21と、培養室20の内部を見るための透明な前壁(図示せず)を有する。培養室20は、複数の容器14を受入れるように寸法決めされ、各容器14は、成長用培地15で満たされる。
【0072】
上述したように、培養室20は、湿度、温度、二酸化炭素、及び酸素を含む一様な環境条件を維持することができるように、もっと大きい培養室の中に配置されるのがよい。
【0073】
ミスト分散システム21は、水分及びミネラル等の溶質を各容器14内の成長している組織の一番上の面に供給するように位置決めされ、また、材料密度を制御し且つ材料の均質性を調整するのに使用されるのがよい。この材料は、気中菌糸で構成され、気中菌糸は、成長して、栄養のある空間から出て、栄養のない環境に入る。かかる環境内での成長を制御するために、有機体は、膨圧の使用を採用して、頂部又は菌糸先端における菌糸の拡張を調整する。かくして、成長している材料の上面にわたって堆積された利用可能な水分及び溶質の量、分散、及び/又は液滴サイズを調整することにより、菌糸内に形成された浸透圧勾配、それに続く、菌糸の成長速度、及びコロニー形成のパターンを制御するのがよい。
【0074】
溶質は、浸透圧ポテンシャルを生じさせることができる任意の化学物質である。逆浸透圧(RO)水又は蒸留水は、かかる化学物質を含んでいない。他の溶質は、タンパク質、炭水化物、ポリマー、ミネラルを含んでいてもよい。
【0075】
溶質は、浸透圧ポテンシャルを溶液内に引き起こす材料である。溶質は、ミネラル、炭水化物、タンパク質、又は脂質であるのがよい。細胞膜及び/又は細胞壁等の膜の一方の側の溶質の濃度は、膜の反対側溶液が溶質よりも低い濃度しか有していなければ、膜を横切るポテンシャルを生じさせる。
【0076】
水分及び溶質の堆積は、特定の材料密度を達成し且つ材料の均質性を増大させるために採用されてもよい。
【0077】
水を蒸気又はミストに霧化する「加湿パック(puck)」を装備した水槽を使用して、水分及び溶質を、成長用培地の成長している表面全体に分散させるのがよい。「加湿パック」は、超音波加湿器であり、低品質であり且つ液体を多く含有する5~22ミクロンの寸法範囲の液滴を生成する。液体である水滴は、蒸気と異なり、液滴が溶質を運ぶことができるので重要である。スプレー又はバブラー(bubbler)についても同じことが言えるが、蒸気では達成できない。蒸気は、湿度を調整するのに使用されるが、溶質を運ぶ水の代わりに使用されない。
【0078】
ミストを、ファン又は同様の装置からの間接的な空気流を使用して、又は、スプレーノズルによって、成長用培地の表面全体に分散させ、スプレーノズルは、水分をノズルの外に放出して成長用培地の成長している表面に差し向ける圧縮空気又はその他の手段に接続される。
【0079】
水分及びミネラルの量、分散、及び液滴サイズは、様々な密度の均質な菌糸体バイオポリマーを生成するように調整される。
【0080】
成長サイクル中のパーセント湿度の変動が、材料の密度及び均質性を増大させる方法として採用されてもよい。特許文献1に記載された方法では、材料の成長を達成するために、湿度は、成長サイクルの持続期間にわたって一定に保持されていた。この実施例を変更して、成長サイクル中の目標ステージにおける培養室の湿度を変動させることによって、密度及び均質性を増大させる。
【0081】
湿潤環境は、一般的には、真菌が成長するために必要である。多くの菌種は、乾燥環境に遭遇したときに自身を湿り損失に対して保護する方法を発達させた。気中菌糸に関して、局所的な高湿度環境が、継続的な拡張を可能にし且つ菌糸が成長表面に向かって崩れることを防止するのに必要である。成長室内の湿度の変動は、乾燥環境に対する有機体の生理学的反応を引き起こすために使用され、所望の材料特性を得るように気中菌糸の成長を操作するために使用される。
【0082】
成長する材料の上へのミストの管理された堆積を、空気流を使用することなしに可能にするシステムデザインを試作して、図5Aの培養室を採用して試験した。このミストシステムの試作型は、空気流量が多い制御された空気流システムと同じように、均等な容積のミストを、成長している材料の上に均一に分散した。ミストシステムは、SF1010SSサイフォン供給式噴霧ノズル、即ち、特許文献1に記載された方法で採用されているものと同じMycoFlex(登録商標)制御技術と同等のサイズの微細な水滴のファン形状スプレーを、直接的な空気流を用いることなしに、実験部分の成長表面全体にわたって放出する「アトマイザー」を使用した。
【0083】
アトマイザーミストシステムを取付けて、ノズルを目標の成長表面の右側の方の培養室の壁から26.5インチ(67.31センチメートル)のところに位置決めした。ノズルは、目標の容器14の上方のところに、棚11に対して45度の角度で固定され、ノズルを90度回転させて、上下方向に差し向けられた扇形のスプレーパターンを生じさせた。1分間にわたって2.4%の時間ミストのミスト実施例を使用して、1分当たり0.28±7マイクロジーメンス/センチメートル(μS/cm)の水分の目標全体容量、並びに、0.00014g/分のパネルの表面全体の水分の目標偏差を達成した。目標容量は、図3A1の空気流量が多い直接的な空気流培養システムで収集したTDS値に基づいた。
【0084】
このアトマイザーミストシステムを、空気流と無関係な水分の堆積の影響を評価するために、バイオマスで試験した。7つの部分を、空気流なしのアトマイザーミストシステムを備えた研究用培養器の中に配置した(図5A)。
【0085】
このシステムの加湿を、アトマイザーでシステム内に導入した水分によって達成した。
【0086】
2つのコントロール用培養器を、標準のバイオポリマー加湿システム及び環境条件を使用して、同時に運転した。一方のコントロール用培養器を、空気流量が多い標準の直接的な空気流用のボックスシステム及び加湿再循環システム(図3A1)を使用してセットアップし、他方のコントロール用培養器を、加湿空気の再循環に利用される空気流量が少ない間接的な空気流のみに採用した(図5B)。3つの培養器の全てを、9日間の成長の間、相対湿度99%、CO25%、変動温度85~90°F(29.4~32.2℃)の標準バイオポリマー環境条件にセットした。
【0087】
空気流量が多い直接的な空気流は、培養器全体にわたって、パネル内の成長の均質性を増大させ、図1Aのパネルの生産を、組織形態の最小の分化で可能にした。
【0088】
アトマイザーミストシステムを備えたゼロ空気流培養器は、上下方向の成長による容量が小さく且つ多く分化したパネルを生じさせた(図1C)。この技術によって成長したパネルは、直径0.1~1インチ(0.25~2.54センチメートル)の菌糸繊維の「球状部」又は束を有する点、及び、結合組織がほとんどない別々の密度領域を有する点で特徴付けられる。
【0089】
また、空気流量が少ない間接的な空気流の培養器は、多くの分化した材料及び低減した空中成長を生じさせたが、上下方向の成長による容量を増大させた(図1B)。この技術によって成長したパネルは、直径0.6インチ(1.52センチメートル)又はそれ以上、例えば0.6~4インチ(1.52~10.16センチメートル)の菌糸繊維の「球状部」又は束を有する点で特徴付けられる。比較すると、図1Cのパネルの菌糸繊維の「球状部」は、0.6インチ(1.52センチメートル)未満である。
【0090】
さらに、図1Bのパネルは、結合組織が少なく、均質的な美感を生じさせるが、不均一な性能を生じさせる.で特徴付けられる。これは、表面が滑らかに見えても、機械的性能が部分の断面にわたって変化し得ることを意味する。
【0091】
空気流量が多い直接的な空気流の成長環境は、著しく均質なパネルを生じさせ、分化がパネル全体にわたって非常に少なかった(図1A)。
【0092】
次に、水分及びミネラルを成長中の物質表面の上に堆積させるプロセスステップを説明する。
【0093】
1.栄養のある成長用培地及び有機体接種物を容器14に詰めた。これは、容器14が蓋を備えていないこと以外、特許文献1に記載されていることと同じである。
【0094】
2.複数の容器14を、湿度、温度、二酸化炭素及び酸素を含む所定の環境条件下に維持された培養室10の中に配置した。
【0095】
3.水を蒸気又はミストに霧化する加湿パックを備えた水槽を使用して、水分及びミネラルを、複数の容器内の成長用培地の成長表面全体に分散させた。
【0096】
4.パネルを培養室10の中で4~14日間成長させた。
【0097】
次に、組織密度を制御するための基材内の水分及びミネラルの調整を説明する。
【0098】
菌類学的バイオポリマーの生成されたパネルの密度について、基材(成長用培地)内の水分及びミネラルを、包囲された培養室内での培養の前に調整する効果を決定するための試験を行った。
【0099】
1つの試験は以下のステップを使用した。
【0100】
1.栄養のある成長用培地及び有機体接種物を複数の容器14に詰めた。これは、容器14が蓋を備えていないこと以外、特許文献1に記載されていることと同じである。
【0101】
2.20~95%の間の特定の水分を達成するために、水分及びミネラルを、成長用培地内に分布させた。
【0102】
3.各容器14内の成長用培地15を、各容器14内において菌糸体バイオポリマーのパネルを生成するのに十分な期間にわたって培養し、パネルを培養室10の中で4~14日間培養した。
【0103】
試験の結果は、培養室内に配置する前の成長用培地内の水分及びミネラルの量を、所望の密度の菌類学的バイオポリマーの均質パネルを生成するように調整することができた。特に、トウモロコシ茎葉基材上の65%の水分含有量は、1.7pcf(27.2Kg/m3)の密度を生じさせ、55%の水分含有量は、2.7pcf(43.2Kg/m3)の密度を生じさせた。
【0104】
別の実施形態では、菌類学的バイオポリマーを、スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスの中で成長させてもよい。この実施形態では、スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスは、本質的には有機であってもよいし無機であってもよく、菌糸体が材料に進入するのに十分な多孔性を有する。スクリム(scrim)又は複数層非基材マトリクスは、栄養のある基材の上又はその上方に配置され、組立体全体を、上述した形態の1つの中で培養した。スクリム(scrim)又は複数層非基材は、菌糸体の補強材として、組織成長の向きを定めて差し向ける手段として、成長した組織を栄養基材から確実に取外すための方法として、又は、これらの組合せとして使用される。
【0105】
第4の実施形態では、高い均質性の高密度材料を生じさせるために、サイクルの持続期間にわたる成長期間でパーセント湿度の変動を利用する。この実施形態では、成長の0日から5日の間に開始する菌糸体の気中誘導の期間中、相対湿度を高いパーセンテージに維持する。いったん菌糸体を誘導したら、湿度を、4~72時間の期間にわたって98%未満に低減させ、先端組織の緻密化を誘導する。次いで、湿度を再び上昇させて、新たに分化させる成長を誘導し、製品の断面にわたってある範囲の密度、組織形態、及び向きを提供する。これを必要な回数だけ繰り返して、菌類学的発泡体による性能の所望の変化を得てもよい。
【0106】
第5の実施形態では、特定の空気流量を使用して、或る範囲の気中菌糸体密度及び機械的性能を達成する。この実施形態では、空気流量を一定の流量に設定することにより、空気流速度を組織の成長において受動的に調整し、又は、空気流量を培養の過程の間ずっと調整して、成長している組織の上に一定の流量を送出する。空気流量が多いほど、高い密度の組織を生成することを示し、空気流量が少ないほど、乾燥時に小さい密度を有し且つ高さのある組織を生じさせる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A1
図3A2
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B