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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】ターゲット及びターゲットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20231201BHJP
   C04B 35/58 20060101ALI20231201BHJP
   C04B 35/645 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C23C14/34 A
C04B35/58 050
C04B35/645
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020555886
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019059515
(87)【国際公開番号】W WO2019201795
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-08-25
(31)【優先権主張番号】GM50074/2018
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】515319954
【氏名又は名称】プランゼー コンポジット マテリアルズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ポルシク,ペーター
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-150462(JP,A)
【文献】特表2015-521150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/34
C04B 35/58
C04B 35/645
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理気相成長用のターゲットであって、
以下の化学組成:
-以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方))との混合相]のうちの少なくとも2つからなる混合物95モル%~99.99モル%、並びに
-炭素(C)0.01モル%~5モル%
を有し、
ここで、金属純度について、以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの少なくとも2つからなる前記混合物、並びに炭素(C)からの合計が、99.8モル%~100モル%であり、
且つ以下の物理的特性を有する、
物理気相成長用のターゲット。
-密度が、先に定義した化学組成の理論密度の90%超であり、
-以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及びホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの少なくとも2つからなる前記混合物の粒子の平均粒径が、10マイクロメートル未満である。
【請求項2】
以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]以外のホウ化物の含有量が0.01モル%未満である請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの少なくとも2つからなる前記混合物における、タンタル(Ta)対タングステン(W)のモル比が、1:99~99:1の範囲にある請求項1又は2に記載のターゲット。
【請求項4】
炭素(C)が黒鉛の形態で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項5】
以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のみがX線撮影で識別可能な相の形態で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項6】
以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの1つ以上が、前記ターゲット中に均質に存在しており、そのため、それぞれ少なくとも1mmのサイズの正方形又は円形の異なる測定領域を少なくとも5つ選んだ場合、前記それぞれの測定領域の表面で決定される平均化学組成が、選ばれた全測定領域から計算される平均化学組成から、20%よりも多くは逸脱していない、請求項1~5のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項7】
前記ターゲットのX線撮影検査において、優先的な結晶学的粒子配向を有しない等方性構造が確認でき、その際、以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの少なくとも1つの化合物の粒子のアスペクト比が、1.5未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項8】
タンタル(Ta)、タングステン(W)、ホウ素(B)及び炭素(C)以外の化学元素が、以下の化合物(1)~(3)[(1)二ホウ化タンタル(TaB)、(2)ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)、及び(3)二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)との混合相]のうちの少なくとも2つからなる前記混合物の組織中に溶解しており、X線撮影で別個の相として検出され得ない、
請求項1~7のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項9】
前記ターゲットのHV30ビッカース硬さが、1800HV30超である、請求項1~8のいずれか1項に記載のターゲット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の物理気相成長用のターゲットの製造方法であって、
-粉末形態で存在する二ホウ化タンタル(TaB)及び粉末形態で存在するホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)が、混合され、そのようにして作られた粉末バッチが、成形金型内で熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)により圧縮される、
製造方法において、
前記粉末バッチが、
-二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)からの混合物95モル%~99.99モル%、並びに
-炭素(C)0.01モル%~5モル%
からなること、ここで、金属純度について、二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及びホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)からなる前記混合物並びに炭素(C)からの合計が、99.8モル%~100モル%であること、
及び
前記熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、少なくとも1,750℃の温度で行なわれることを
特徴とする、製造方法。
【請求項11】
炭素が、二ホウ化タンタル(TaB)の相又はホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)の相のうちの一方又は双方の不純物の形態で、存在していない場合、粉末形態で存在する二ホウ化タンタル(TaB)及び粉末形態で存在するホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)に粉末状の炭素が混合される請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
二ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化タングステン(二ホウ化タングステン(WB)及び五ホウ化二タングステン(W)のいずれか一方又は両方)及び炭素の混合物が機械的に粉砕されて前記粉末バッチが作られる請求項10又は11の製造方法。
【請求項13】
前記熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、少なくとも20MPaの圧力で行なわれる、請求項10~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、真空中又は不活性保護ガス雰囲気中で行なわれる、請求項10~13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
基材上に薄層を堆積するための物理気相成長法(PVD)における、請求項1~9のいずれか1項に記載のターゲットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する物理気相成長のためのターゲット(被覆源)及び請求項10の特徴を有するターゲットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、物理気相成長は、多種多様な層を製造するために幅広く使用されている。そのような層の用途は広範囲に及ぶため、様々な種類の被覆材料を堆積することが可能である必要がある。
【0003】
その際、物理気相成長には、例えば、蒸着、陰極噴霧(Kathodenzerstaeubung)(スパッタ堆積)又はアーク蒸着(Lichtbogenverdampfung)(陰極アーク堆積又はアーク源蒸着技術)などの様々な技術が使用される。
【0004】
ターゲットは、この目的のための基板材料に層を堆積するためのPVD(物理気相成長)プロセスで使用するのに適している。本発明の文脈において、ターゲットという用語は、スパッタターゲット又はアーク陰極であると理解されるべきである。
【0005】
ターゲットは、材料に応じて異なる技術を使用して製造される。その際、基本的には、粉末冶金プロセスと溶融冶金プロセスとを区別することができる。粉末冶金技術の場合、多くの異なる選択肢があり、これらは、統合される要素の特性を考慮しつつ、ターゲットの組成に応じて選ばれる必要がある。例としては、加圧、焼結、熱間静水圧プレス(HIP)、鍛造、圧延、熱間プレス(HP)又はスパークプラズマ焼結(SPS)、並びに、これらの組み合わせが、挙げられる。
【0006】
一般的なターゲット及び方法は、特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されている。
【0007】
特に、特許文献3には、少なくとも2つの異なる二ホウ化物を有する焼結体の製造が記載されており、この製造では、比較的低い焼結温度での製造の気孔率が低いという欠点を補うために、ホウ化物の形態にあるニッケル、鉄及びコバルトなどの金属をバインダー及び焼結助剤として使用することが必須である。焼結体をターゲットとして使用する場合、これらの金属により堆積層の純度が損なわれることが欠点である。
【0008】
また、共スパッタリングにより二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(WB及び/又はW)からなる層を製造することも知られており、この場合、実質的に純粋な二ホウ化タンタル(TaB)及び実質的に純粋なホウ化タングステン(WB及び/又はW)からなる別個のターゲットが使用される。工業的なコーティングプロセスの場合、個々のターゲットが空間的に分離されているため、回転する基材により多重層が不可避的に生じ、化学的に均質な層が生じないことが欠点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2008/96648A1号
【文献】特開平05-195199号公報
【文献】特開昭55-128560号公報
【文献】国際公開第2011/137472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、高い密度を有し、高純度で化学的に均質な層を作ることが可能であり、微細で且つ等方性の微細構造を有する、一般的なターゲット及びターゲットの一般的な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、請求項1の特徴を有するターゲット及び請求項9の特徴を有する方法により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項において定義されている。基材上に薄層を堆積するための物理気相成長法(PVD)における本発明によるターゲットの使用についても保護が求められる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ターゲットを製造するための本発明による方法は比較的高温で行なわれるので、本発明は、ニッケル、コバルト又は鉄等の、バインダー又は焼結助剤を粉末添加物として使用しないで済む。しかしながら、それにより必然的に、組織は、これらの高温で大幅に粗大化し、これは、また、ターゲットとしての使用にとって不利であろう。本発明は、少なくとも2つの異なる相、即ち、二ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化タングステン(WB及び/又はW)及び、場合によって、炭素、好ましくは黒鉛(炭素が、二ホウ化タンタル(TaB)の相又はホウ化タングステン(WB及び/又はW)の相のうちの一方又は双方の不純物の形態で存在していない場合)、からなる粉末を使用することによって、この粗大化を回避する。それにより、比較的高い圧縮温度にも拘わらず、細かい微細構造の維持が確実になる。
【0013】
本発明によると、以下の少なくとも2つの化合物:二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(WB及び/又はW)からなる混合物並びに炭素(C)からの合計は、少なくとも99.8モル%である。これは、酸素(O)、窒素(N)又は水素(H)などの元素を考慮しない金属純度である。
本発明の物理気相成長のためのターゲットは、上述の化学組成の理論密度の90%超、好ましくは95%超の密度を有している。
また、本発明の物理気相成長のためのターゲットにおいて、二ホウ化タンタル(TaB )及び/又はホウ化タングステン(WB 及び/又はW )及び/又は二ホウ化タンタル(TaB )とホウ化タングステン(WB 及び/又はW )との混合相からの前記混合物の粒子の平均粒径は、10マイクロメートル未満、好ましくは3マイクロメートル未満である。
【0014】
本発明による方法に使用することが可能な粉末バッチは、
-二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(WB及び/又はW)からなる混合物95モル%~100モル%と、
-必要に応じて炭素(C)0.01モル%~5モル%と
からなる。
【0015】
二ホウ化タンタル(TaB)及び/又はホウ化タングステン(WB及び/又はW)の不純物に基づいて、二ホウ化タンタル(TaB)及びホウ化タングステン(WB及び/又はW)以外のホウ化物が、本発明によるターゲット中に検出され得る(0.01モル%未満)。
本発明のターゲットにおいて、二ホウ化タンタル(TaB )及び/又はホウ化タングステン(WB 及び/又はW )及び/又は二ホウ化タンタル(TaB )とホウ化タングステン(WB 及び/又はW )との混合相からの前記混合物における、タンタル(Ta)対タングステン(W)のモル比が、1:99~99:1の範囲があることが好ましく、10:90~90:10の範囲にあることがより好ましい。
【0016】
本発明の一実施例では、炭素(C)が黒鉛の形態で存在することが意図されている。
【0017】
35/65モル%のTaB/W組成を有するターゲット用の粉末バッチ混合物の場合、例えば、以下の粉末を使用した。
-粒径d50値が2.5μmのTaB
-粒径d50値が9.4μmのWB及び/又はW
-粒径が6μm未満の黒鉛粉末。
【0018】
これらの粉末を、35/65モル%のTaB/W比で混合した。粉砕済みの粉末混合物を、プレス圧力30MPa及び温度2,000℃で、直径165mmの金型内で、熱間プレスにより圧縮して、直径165×8mmの寸法の円形ブランクにした。
【0019】
本発明の一実施例では、二ホウ化タンタル(TaB)及び/又はホウ化タングステン(WB及び/又はW)及び/又は二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(WB及び/又はW)との混合相が、ターゲット中に均質に存在しており、これにより、それぞれ少なくとも1mmのサイズの正方形又は円形の異なる測定領域を少なくとも5つ選んだ場合、それぞれの測定領域の表面で決定される平均化学組成が、選ばれた全測定領域から計算される平均化学組成から、20%よりも多くは、好ましくは10%よりも多くは、逸脱していないことが意図されている。
【0020】
本発明の一実施例では、ターゲットのX線撮影検査において、優先的な結晶学的粒子配向を有しない等方性構造が確認でき、その際、二ホウ化タンタル(TaB)及び/又はホウ化タングステン(WB及び/又はW)及び/又は二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(WB及び/又はW)との混合相からの混合物の粒子のアスペクト比は、1.5未満、好ましくは1.2未満、特に好ましくは実質的に1、である。
本発明のターゲットにおいて、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ホウ素(B)及び炭素(C)以外の必要に応じて存在する化学元素が、二ホウ化タンタル(TaB )及び/又はホウ化タングステン(WB 及び/又はW )及び/又は二ホウ化タンタル(TaB )とホウ化タングステン(WB 及び/又はW )との混合相からの前記混合物の組織中に溶解しており、X線撮影で別個の相として検出され得ないことが好ましい。
【0021】
本発明の一実施例では、二ホウ化タンタル(TaB)及び/又はホウ化タングステン(WB及び/又はW)及び/又は二ホウ化タンタル(TaB)とホウ化タングステン(WB及び/又はW)との混合相のみが、X線撮影で識別可能な相の形態で存在することが意図されている。
【0022】
本発明の一実施例では、ターゲットのHV30ビッカース硬さが、1800HV30超、好ましくは2300HV30超、であることが意図されている。
本発明によれば、物理気相成長用のターゲットの製造方法であって、
-粉末形態で存在する二ホウ化タンタル(TaB )、粉末形態で存在するホウ化タングステン(WB 及び/又はW )並びに
-必要に応じて粉末状の炭素(炭素が不純物として存在していない場合)
が、混合され、必要に応じて機械的に粉砕され、そのようにして作られた粉末バッチが、成形金型内で熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)により圧縮される、
製造方法において、
前記粉末バッチが、
-二ホウ化タンタル(TaB )及びホウ化タングステン(WB 及び/又はW )からの混合物95モル%~100モル%、及び
-必要に応じて、炭素(C)0.01モル%~5モル%
からなること、ここで、金属純度について、二ホウ化タンタル(TaB )及びホウ化タングステン(WB 及び/又はW )からなる前記混合物並びに炭素(C)からの合計が、少なくとも99.8モル%であること、
並びに
前記熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、少なくとも1,750℃、好ましくは少なくとも1,850℃、特に好ましくは少なくとも1,950℃、の温度で行なわれること、を
特徴とする、製造方法が提供される。
【0023】
本方法に関して、本発明の一実施例では、熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、少なくとも20MPa、好ましくは少なくとも30MPa、の圧力で行なわれることが意図されている。
【0024】
本方法に関して、本発明の一実施例では、熱間プレス又はスパークプラズマ焼結(SPS)が、真空中又は不活性保護ガス雰囲気中で行なわれることが意図されている。