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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】白色光蛍光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20231201BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20231201BHJP
   G03B 21/20 20060101ALI20231201BHJP
   F21V 7/26 20180101ALI20231201BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20231201BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20231201BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231201BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20231201BHJP
   H01S 5/0239 20210101ALI20231201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231201BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231201BHJP
【FI】
H01L33/50
G03B21/14 A
G03B21/20
F21V7/26
F21V9/30
F21S2/00 311
G02B5/20
H01L33/60
H01S5/0239
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020564929
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2019032838
(87)【国際公開番号】W WO2019226479
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】62/675,844
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューウェル マイケル ピー.
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0038559(US,A1)
【文献】特表2011-519162(JP,A)
【文献】特開2010-040810(JP,A)
【文献】特表2013-539229(JP,A)
【文献】国際公開第2009/005311(WO,A2)
【文献】特開2015-149469(JP,A)
【文献】特開2010-192762(JP,A)
【文献】特開2014-086566(JP,A)
【文献】国際公開第2009/004740(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0117106(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0377430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0024191(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104100898(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103576322(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光を出射する光源と、
前記短波長光を変換光に変換するのに有効な蛍光体を備える光変換層を含む蛍光体変換コンポーネントと、
を備える白色光源であって、
前記光変換層は光通路を有し、当該光通路は、蛍光体を含まず、前記短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備え、
前記光源は、前記出射された短波長光で前記光変換層を照射すると共に、前記短波長光を前記光通路に通過させるように、前記蛍光体変換コンポーネントに配置され、
前記光変換層は、前記光変換層における前記短波長光の光侵入深さの少なくとも3倍の厚さを有する、白色光源。
【請求項2】
前記蛍光体変換コンポーネントは、前記短波長光に対して光透過性である光透過性基板と、前記光透過性基板上に設けられた前記光変換層とを備える、請求項1に記載の白色光源。
【請求項3】
前記光透過性基板が光散乱粒子を備える、請求項2に記載の白色光源。
【請求項4】
前記光透過性基板が光透過性プレートを備える、請求項2又は3に記載の白色光源。
【請求項5】
前記光源は、前記短波長光を、前記光透過性プレートの表面に垂直に向けられた平行光
ビームとして放射する、請求項4に記載の白色光源。
【請求項6】
前記蛍光体変換コンポーネントは、前記短波長光及び前記変換光に対して反射性を有する反射性基板と、前記反射性基板上に配置された前記光変換層と、を備え、前記光源は、前記出射された短波長光で前記光変換層を照射し、前記短波長光を、前記光通路に通過させ、前記反射性基板により反射させて前記光通路に戻すように前記蛍光体変換コンポーネントに配置されている、請求項1に記載の白色光源。
【請求項7】
前記蛍光体変換コンポーネントは、中心軸の周りを回転するように配置されたディスクと、前記ディスクの少なくとも周縁に配置された前記光変換層とを含む蛍光体ホイールを備える、請求項1に記載の白色光源。
【請求項8】
前記光通路が前記短波長光のピーク波長の20倍以下の横方向寸法を有する、請求項1
に記載の白色光源。
【請求項9】
前記光通路は、前記光変換層の領域に点在する様々な寸法及び/又は様々なサイズを有する、請求項1に記載の白色光源。
【請求項10】
前記変換光が490ナノメートル以上のピーク波長を有する、請求項1に記載の白色光源。
【請求項11】
前記光変換層の前記厚さによって、前記短波長光及び前記変換光の混合は、前記光変換層の全領域に対する前記光変換層における前記光通路の全領域の比によって制御され、前記光変換層の前記全領域は、前記光変換層における前記光通路の前記全領域を有する、請求項1に記載の白色光源。
【請求項12】
基板と、
前記基板に配置され、570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光を変換光に変換するのに有効な蛍光体を備える光変換層と、
を備える蛍光体変換コンポーネントであって、
前記光変換層は光通路を有し、当該光通路は、蛍光体を含まず、前記短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備え、
前記光変換層は、前記光変換層における前記短波長光の光侵入深さの少なくとも3倍の厚さを有する、蛍光体変換コンポーネント。
【請求項13】
前記基板が前記短波長光に対して光透過性である光透過性基板である、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項14】
前記光透過性基板が光散乱粒子を備える、請求項13に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項15】
前記光透過性基板が光透過性プレートを備える、請求項13又は14に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項16】
前記基板が前記短波長光及び前記変換光に対して反射性を有する反射性基板である、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項17】
前記蛍光体変換コンポーネントは、中心軸の周りを回転するように配置されたディスクと、前記ディスクの少なくとも周縁に配置された前記光変換層とを含む蛍光体ホイールを備える、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項18】
前記光通路が前記短波長光のピーク波長の20倍以下の横方向寸法を有する、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項19】
前記変換光が490ナノメートル以上のピーク波長を有する、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項20】
前記光変換層の前記厚さによって、前記短波長光及び前記変換光の混合は、前記光変換層の全領域に対する前記光変換層における前記光通路の全領域の比によって制御され、前記光変換層の前記全領域は、前記光変換層における前記光通路の前記全領域を有する、請求項12に記載の蛍光体変換コンポーネント。
【請求項21】
570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光を出射するステップと、
前記短波長光に、蛍光体変換コンポーネントの少なくとも光変換層を通過させるステップと、を備える白色光発生方法であって、
前記光変換層は前記短波長光を変換光に変換する蛍光体を備え、
前記光変換層は光通路を有し、当該光通路は、蛍光体を含まず、前記短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備え、よって前記短波長光の一部が、変換光に変換されることなく前記光通路を通過し、
前記光変換層は、前記光変換層における前記短波長光の光侵入深さの少なくとも3倍の厚さを有する、白色光発生方法。
【請求項22】
さらに、前記蛍光体変換コンポーネントは反射性基板を含み、
前記短波長光に、前記蛍光体変換コンポーネントの少なくとも前記光変換層を通過させるステップは、前記変換光と、前記反射性基板により変換光に変換されることなく前記光通路を通過する前記短波長光の一部とを反射することをさらに含む、請求項21に記載の白色光発生方法。
【請求項23】
前記蛍光体変換コンポーネントは蛍光体ホイールを備え、前記白色光発生方法は、前記出射、通過、及び出力動作の間に、前記蛍光体ホイールを軸を中心に回転させることをさらに含む、請求項21又は22に記載の白色光発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年5月24日出願の米国仮特許出願62/675,844に対する優先権を主張するものであり、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
以下は、照明技術、蛍光体ホイール技術、光干渉フィルタ製造技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの公知の蛍光体ベースの光源は、青色LED又はレーザによって励起される黄色蛍光体を使用している。白色光を作り出すために、追加の青色光を設け、適当な比率で黄色光と混合し、所望の色温度を有する白色光を作り出す。公知のアプローチは、青色光の一部のみを変換する黄色蛍光体層を採用するものであり、青色光の残りは変換されずに黄色蛍光体層を透過して変換黄色光と混合される。黄色蛍光体層の厚さは、混合された状態で直接青色光及び変換黄色光が所望の比率に同調するように選択される。
【0004】
ここでは、いくつかの改良点を開示する。
【発明の概要】
【0005】
1つの開示された態様では、光源と蛍光体変換コンポーネントとを含む白色光源が開示される。光源は、570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光を出射する。蛍光体変換コンポーネントは、短波長光を変換光に変換するのに有効な蛍光体を備える光変換層を含む。光変換層は、蛍光体を含まず、短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備える光通路を含む。光源は、出射された短波長光で光変換層を照射し、当該短波長光が光通路を通過するように、蛍光体変換コンポーネントに配置されている。
【0006】
別の開示された態様では、蛍光体変換コンポーネントは、基板と、基板上に配置された光変換層とを含む。光変換層は、570ナノメートル以下のピーク波長を有する短波長光を変換光に変換するのに有効な蛍光体を含む。光変換層は、蛍光体を含まず、短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備える光通路を含む。
【0007】
別の開示された態様では、白色光発生方法が開示される。570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光が出射される。短波長光は、少なくとも蛍光体変換コンポーネントの光変換層を通過する。光変換層は、短波長光を変換光に変換する蛍光体を含む。さらに、光変換層は、蛍光体を備えず、短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備える光通路を有し、これにより、短波長光の一部が変換光に変換されることなく光通路を通過する。白色光が出力され、当該白色光は、変換光と、変換光に変換されずに光通路を通過する短波長光の一部との混合光を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、例示的な短波長可視光源によるフィルム側照明と共に、側面断面図で示される蛍光体変換コンポーネントを含む白色光源を図式的に示す。
図2図2は、図1の白色光源の蛍光体変換コンポーネントの平面図を図式的に示す。
図3図3は、図1の白色光源の蛍光体変換コンポーネントの側面断面図を図式的に示す。
図4図4は、反射蛍光体ホイールを備える蛍光体変換コンポーネントを含む白色光源を図式的に示す。
図5図5は、図4の蛍光体ホイールの一部の側面断面図を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
黄色蛍光体と併せて青色発光体を採用する公知の白色光源には、ある種の欠点がある。蛍光体の厚さは、変換されずに基板を通過する一次光の割合と、蛍光体層によって変換される一次光の割合の両方を同時に最適化するように設計される。しかし、通過する一次光を増加させるために蛍光体層を薄くすると、同時に変換光の発生を減少させることとなり、同様に、通過する一次光を減少させるために蛍光体層を厚くすると、同時に変換光の発生を増加させることとなるため、設計の柔軟性を制限してしまう。さらに、蛍光体層を通る一次光の通路は、例えば一次光の部分的な吸収によって、一次光の特性を変化させ得る。このような吸収は効率を低下させ、波長依存型であれば、一次光の色成分を変化させる。特に、より短い波長の光成分が、より長い波長の光成分よりも優先的に吸収されることが一般的であり、これは、一次光の「青味」を減少させる。一次光及び変換光の出力に関する様々な装置パラメータの相互関係により、色温度又は演色などの照明特性をある製造ランから次の製造ランまで維持することは困難であったり、又は異なるランで異なる特性を有する白色光装置を確実に製造する(例えば、あるランで2700Kの温白色光を提供し、次のランで5000Kの冷白色光を提供する)ことは困難である。
【0010】
これらの問題は、黄色蛍光体を励起するための光源と、青色光を混合して最終的な出力白色光を生成するための光源とを別個に設けることによって克服することができる。しかしながら、このアプローチは、第2の短波長光源を必要とするか、又は代わりに、単一の短波長光源からの光を2つの光路に分割するためのビームスプリッタのような光学系を必要とするため、複雑さ及びコストを増大させる。
【0011】
本明細書に開示される白色光源においては、蛍光体を備える光変換層が設けられ、当該光変換層は、本明細書に開示されるように、蛍光体を備えず、短波長光に対して光透過性である開口又は通路材料を備える光通路をさらに有するように変更される。このアプローチでは、単一の光源が短波長(例えば青色)光で光変換層を照射する。短波長光は、光通路を除いて、蛍光体によって変換光(例えば、黄色光)に変換される-これらの通路では、短波長光は、変換(例えば、黄色)光といくらかの短波長(例えば、青色)光とを混合するように通過する。この設計の青/黄白色光源では、光通路を通過する青色光と、蛍光体によって変換された黄色光の(適切な割合による)混合光が、白色光を生成する。
【0012】
一つの製造アプローチでは、蛍光体が塗布された領域と、蛍光体が塗布されていない他の領域(短波長光通路)とがあるような方法で、蛍光体を基板表面に塗布させることによって、部分的に透明な蛍光体が作成される。所与の青色光源及び所与の蛍光体を所定の厚みで有する所与の光変換層において、充填率(すなわち、全領域に対する蛍光体被覆領域の比率)は、光の白色度及び色温度を制御する青色/黄色比を決定する。典型的には、充填率は、所望の色温度を有する白色光を作り出すために、50%から95%の範囲内にあるであろう。有利には、青色光源のスペクトル及び/又は蛍光体の種類のようなデバイスの他の特性を独立して調整して、白色光特性をさらに最適化することができる。考えられる1つのアプローチでは、光通路を有する光変換層は、蛍光体を均一に塗布し、次いで、湿式化学エッチング、レーザアブレーション等を用いて領域をエッチングオフして、光通路における層を除去することによって製造される。湿式化学エッチングの場合、光通路のパターンは、フォトリソグラフィー技術を用いて規定することができる。
【0013】
そのような白色光源は、(限定的でない、例示的な実施例として)透過性蛍光体ホイール、反射性蛍光体ホイール、光透過性マイクロディスプレイ(例えば、LCDベース)を使用するプロジェクタ、DLPやLCOS(反射型液晶)のような反射型マイクロディスプレイを使用するプロジェクタにおいて有利に展開されてもよい。照明用途のために、パターン化された光変換層は、LED又はレーザに直接適用することができ、又はアーキテクチャに応じて補助基板/外部フィルタに適用することができる。
【0014】
考えられるいくつかの実施形態では、短波長光が光変換層を通過するサイズ(すなわち、開口)を選択することによって、短波長光に対して所望の出力空間分布を形成するように、設計された量の光回折が通過する短波長光に導入される。いくつかの実施形態では、短波長光の空間分布は、黄色蛍光体光の空間分布(典型的には、ほぼランベルト空間分布である)に近くなるように設計される。青色光におけるほぼランベルトの空間分布は、一部の実施形態では、大角度回折成分を導入するように、十分に小さい領域の開口を使用することによって達成され得る。さらなる変形例として、好ましくは、様々なサイズ/寸法の光通路が層の領域上に点在するように、サイズ及び/又は寸法の分布を有する光通路を形成することが考えられる。この設計では、短波長光の空間分布は、様々なサイズ/寸法の光通路によって達成される空間分布の重み付け重ね合わせであり、重みは様々なサイズ/寸法の比によって制御される。より一般的には、いくつかの実施形態における目標は、黄色変換光との混合を容易にする所望の程度に青色光を拡散させる効果を生じることである。(又は、下流の拡散要素を追加することによってこれを達成することができる。)
【0015】
次に、図1~3を参照すると、白色光源は、570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光12を出射する光源10を備える。例示的な光源10は、平面基板14、例えばプリント回路基板(PCB)を含み、その上には、短波長光12を出射する発光ダイオード(LED)16のアレイが配置されている。しかしながら、適切な短波長光を出射する他種の光源、例えば、半導体レーザ、白熱光源などが使用されてもよい。蛍光体変換コンポーネント20は、短波長光12を変換光24に変換するのに有効な蛍光体を備える光変換層22を含む。例示的な蛍光体変換コンポーネント20は、光変換層22が配置された、例えばガラス板、サファイア板、透明プラスチック板等の光透過性基板26を含む。図1の例示的な白色光源は、蛍光体変換コンポーネント20の光変換層22が配置された側に入射する短波長光12を有する。しかし、短波長光が蛍光体変換コンポーネント20の基板側に入射し、光透過性基板26を通過して光変換層22に到達するように、白色光源を配置することも考えられる。図1の例示的な例では、蛍光体変換コンポーネント20はプレートであり、光源10は、光透過性プレートの表面に垂直に向けられる平行光ビームとして短波長光12を出射する。
【0016】
図1の白色光源の蛍光体変換コンポーネント20の平面図(図2)及び側面断面図(図3)を示す図2及び図3に最もよく見られるように、光変換層22は、蛍光体を備えず、短波長光12に対して光透過性である開口又は通路材料を備える光通路30を含む。また、光源10は、出射された短波長光12を光変換層22に照射し、短波長光12が光通路30を通過するように、蛍光体変換コンポーネント20に配置されている。これにより、光通路30を通過する短波長光12と変換光24との混合物を含む混合光32が生成される。
【0017】
光源10は、570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光12を出射する。LEDアレイ16が図示されているが、より一般的には、光源10は、570ナノメートル以下の発光線で単色光を出射する単色レーザ光源を備えてもよく、あるいは570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する可視スペクトルにわたって発光するLED、白熱灯、又は他の多色光源を含んでもよい。570ナノメートルの波長は、ほぼ、緑色光から黄色光への遷移点に対応する。緑色の光を黄色の範囲の蛍光体発光(すなわち、変換光24)と強く混合すると、比較的質の悪い白色光32を生成する可能性が高く、したがって、いくつかの好ましい実施形態では、光源10は、500ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する短波長光(例えば、500ナノメートル又はそれより短い発光線での単色光、又は500ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する可視スペクトルにわたる多色光)を出射する。500ナノメートルの波長は、青色光から緑色光への遷移点にほぼ対応し、したがって、この特定のより短い波長特性で出射する光源10を採用することにより、より純粋な青みを帯びた光が提供され、これは、蛍光体発光(すなわち、変換光24)と混合して、より良好な品質の白色光32を生成する。多色短波長光源の場合には、短波長光の全スペクトルが、さらに近紫外光にまで延びる可視スペクトルを含むことが考えられ、このような紫外光は、人間の目には可視ではない。同様に、単色光源(例えば、レーザ)の場合、出力は、複数のラインであってもよく、そのうちのいくつかは、紫外線であって、したがって、可視範囲外となってもよい。
【0018】
変換光24は、短波長光12により通電された光変換層22の蛍光体により出力される。白色光源設計の場合、変換光24は、好ましくは、緑色、黄色、オレンジ色、及び赤色の可視スペクトル領域に対応する490ナノメートル以上のピーク波長を有する。青色/黄色の設計では、変換光24は、好ましくは、例えば、約560~590ナノメートルのスペクトル範囲の黄色がかった光である。代替的な青/緑/赤色の設計では、変換光24は、2つのピーク、すなわち、緑がかった光に対応する約490~570ナノメートルの第1のピークと、赤色みがかった光に対応する約580ナノメートル以上の第2のピークとを有することができる。このような実施形態では、光変換層22の蛍光体は、所望の緑色/赤色光比を与えるように選択された比率で別々の緑色蛍光体及び赤色蛍光体を好適に含む。これらは単なる例示的な例であり、短波長光12の正確な蛍光体組成及び正確なスペクトル組成は、所望の色温度、演色指数(CRI)、又はその他の所望のスペクトル及び/又は「白色度」特性の白色光32を提供するように選択され得る。
【0019】
光変換層22は、図3に示すように厚さtを有する。いくつかの実施形態では、光変換層22は十分な厚さを有し、光変換層22に入射する短波長光12の実質的に全てが変換光24に変換され、及び/又は光変換層22によって部分的に吸収される。この場合、実質的に短波長光は光変換層22を通過しない。これを定量化するために、光変換層22の光侵入深さδは、短波長光12の初期光強度がその初期値の1/e≒0.368に減少する深さとして定義される。この光侵入深さδの定義は、従来の光吸収モデルに基づいて構築された従来の定義であり、このモデルでは、層内への距離xにおける光強度はl=lαx(ここで、δ=1/αである)で表される。これらの従来技術を用いると、光変換層22が3δの厚さを有する場合、初期短波長光12をその初期強度の5%未満まで減衰させる。これは、光変換層22に入射し、光変換層22によって変換(又は吸収)される短波長光12の実質的に全てを構成しているとみなされる。いくつかの実施形態では、光変換層22は、少なくとも3δの厚さを有し、したがって、短波長光12と変換光24との混合は、光変換層22(光通路30を含む)の全領域に対する光通路30の全領域の比Rによって、(ほぼ)完全に制御される。極限条件をとると、R=0は、光通路30を有さないことに対応し、一方、R=0.5は、光通路30の全領域が光変換層22の全領域の2分の1であることに対応する。Rが増加すると、これは、光通路30を通過する短波長光12の割合がより大きくなり、変換光24に変換されるその光の割合がより小さくなることに対応することが理解されよう。有利には、比Rは、光通路30のアレイの幾何学的形状(それらの数又は密度、及びそれらのサイズ)によって完全に制御され、これらの幾何学的形状は、フォトリソグラフィーによる湿式エッチング又はドライエッチングのような適切な技術によって正確に制御することができる。
【0020】
均一な白色光32を得るためには、光通路30を通過する短波長光12と変換光24とを十分に混合(すなわち、十分にブレンド)すべきである。光通路30を通過する短波長光12と変換光24とのブレンド又は混合を促進するために、様々なアプローチを採用することができる。1つのアプローチでは、光通路30は、比較的小さく、密接に間隔を置いて配置される。光通路30は、選択的に、光通路30を通過する短波長光12の回折を生成するのに十分に小さい横方向サイズ(例えば、円形断面を有する光通路30の例示的な場合の直径)を有してもよい。いくつかの実施態様においては、光通路30は、より強い及び/又はより高い角度の回折を得るために、ピーク波長の20倍以下の横方向寸法を有する。(他の実施形態では、所望の空間分布を提供するため、回折が得られないように又は不十分な回析が得られるようにより大きな直径の光通路が採用され、光分布を形作るために、下流の拡散器又は他の追加的光学系が提供される。)光通路30を形成するための形成プロセスに応じて、それらは、光散乱をさらに促進し、その結果としてのブレンディングをさらに促進する、粗面化された側壁を有してもよい。別の選択肢として、光透過性基板26は、光散乱粒子(例えば、ガラス又はプラスチック基板中に分散されたAl粒子)を含むことができ、粗面の裏側表面を有することができ、光散乱層で被覆された裏側表面を有することができ、又は別の方法で光拡散板として構成することができる。このアプローチは、典型的には、短波長光12が光変換層22に入射する図1に示される配向において最も効果的であり、白色光32が続けて光拡散基板26を通過するようになる。さらに別の考えられるアプローチとして、光通路30は、蛍光体を含まず、短波長光12に対して光透過性であり、かつ、光散乱粒子(例えば、反射及び/又は屈折効果による散乱)を含む通路材料で満たされてもよい。例えば、通路材料は、反射性Al粒子が分散された透明エポキシ樹脂充填剤であってもよく、これにより、エポキシ樹脂充填光通路30を通過する短波長光12が散乱する。
【0021】
図4及び図5を参照すると、別の実施形態が記載されており、この実施形態では、570ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する(及び幾つかの実施形態では、500ナノメートル以下のピーク波長でピークを有する)短波長光12を放射する白色光源110がレーザ110の形態であり、蛍光体変換コンポーネント120が、短波長光12及び変換光に対して反射性である反射性基板126上に配置された光変換層22を有する回転反射性蛍光体ホイール120の形態である。反射型構成では、光源100は、出射した短波長光12で光変換層22を照射し、短波長光12を光通路30に通過させ、反射性基板126により反射して光通路30に戻すように、蛍光体変換コンポーネント120に配置されている。例示的な蛍光体変換コンポーネント120は、ディスクの中心軸127周りに回転するように配置されたディスク126を含む蛍光体ホイール120を備え、光変換層22は、図4の例示的な例において、ディスクの少なくとも一部、すなわちディスク126の外側環状領域に配置される。金属ディスク又は「ホイール」126は、非限定的な例示として、銅、銅合金、アルミニウム合金、銀被覆ガラス等で作ることができる。光変換層22は、ホイール126の外周に取り付けられるか、又は被覆される。すなわち、ホイール126の外縁、又はその近傍に配置される。金属ホイール126が中心軸127周りを回転する動作において、例えば、中心軸127にモータ(図示せず)のモータシャフトを接続し、モータを動作させて蛍光体ホイール126を図示の時計回り方向CWに回転させる(反時計回りの回転も考えられる)。回転と同時に、レーザ110は、短波長光12を局所領域に印加する-これは、例示的なポンプレーザビームスポットLを印加するレーザ110によって図4に示されている。金属ホイール126が、環状光変換層22の部分を回転させると、スポットLの位置が変化し、発生した熱を制限する(又は広げる)。これにより、より高い出力動作が可能になる。図5は、側面断面図を図式的に示す。例示的な光学構成では、短波長光12がある角度で印加され、得られる白色光32は、図5に見られるような反射角度で出射される。他の構成、例えば、ミラー、レンズ、及び/又は光路を構成する他の光学部品を使用することが考えられる。角度付き光入射及び反射のために、光変換層22の厚さは、光通路30を通過する短波長光12が(同じ)通路を反射して戻ることができるように、十分に薄くなる。いくつかの実施態様では、光通路30を光変換層22内の細長いスロット又はスリットとして構成し、スロット又はスリットの長手方向を入射/反射の角度と整列させることによって、これを容易にすることが考えられる。
【0022】
蛍光体ホイール120として形成された例示的な蛍光体変換素子120は、反射性基板126を有する反射構成を採用する。但し、反射性基板126を図1図3の実施形態の光透過性基板26に置き換えることによって、光透過性蛍光体ホイールを同様に構成することができることが理解されよう。この代替の光透過性蛍光体ホイールの実施形態は、(図1を参照して説明したように、いくらかの部分が変換光24に変換されている状態で)白色光32が蛍光体ホイールを通過する透過光となるように、短波長光12を蛍光体ホイールの表面に垂直に印加することができるという利点を有する。
【0023】
図4及び図5の回転蛍光体ホイール120の場合の回転によって熱負荷が広がることに加えて、又はその代わりに、他の冷却機構を設けることができ、これは、図1図3の静的実施形態にも適用することができる。例えば、基板26、126は、熱伝導性材料で作ることができる。反射性基板の場合、熱を除去又は放射するために、熱伝導性金属板を使用してもよい。光透過性基板の場合、熱除去又は熱放射を改善するために、熱伝導性の透明ポリマー材料が考えられる。さらに、又は代替的に、光変換層22を冷却するためのその他の機構、例えば、液体冷却、熱電冷却(高フルエンス用途のための固定蛍光体又は回転蛍光体に適用可能)、選択的に強制空冷を伴う専用ヒートシンクの追加等を設けることができる。用途に応じて、光源10、110は、冷却間隔を提供するために時間的にパルス化することができ、そのパルスは、特定の用途に適するように選択された周波数及びデューティサイクルである。
【0024】
本発明を、好ましい実施形態を参照して説明した。上述の詳細な説明を読み、理解した上で、修正や変更が他に起こる可能性がある。これら例示的な実施形態は、そのような修正及び変更が請求の範囲及びその均等物の範囲に包含される限りにおいて、それら全てを含むと解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5