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特許7394790N-1分枝状シクロアルキル置換イミダゾ[4,5-c]キノリン化合物、組成物、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】N-1分枝状シクロアルキル置換イミダゾ[4,5-c]キノリン化合物、組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C07D471/04 105C
A61K31/4745
A61K39/00 A
A61K39/39
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/04
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07D471/04 CSP
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020565441
(86)(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2019054273
(87)【国際公開番号】W WO2019224765
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】62/675,980
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】グリースグラバー,ジョージ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ハンナ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ニンコヴィッチ,ジャナ
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-503484(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0139441(US,A1)
【文献】国際公開第2007/106854(WO,A2)
【文献】特表2004-532810(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/4745
A61K 39/00
A61K 39/39
A61P 31/00
A61P 35/00
A61P 37/02
A61P 37/04
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】
[式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、-C 1-7 アルキル、-C 1-7 アルコキシ、及び-C(O)-O-C 1-5 アルキルらなる群から選択され、
は、直鎖状又は分岐状の-C 1-4 アルキルであり、
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、-CHOCH、-CHOCHCH、及び-CHCHOCHからなる群から選択され、
Zは、CHCH-、-CHOCH-、-CHCHCH-、は-C=C-である]
の化合物又はその塩。
【請求項2】
Rが、C(O)-O-C1-5アルキルである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項3】
nが0である、請求項1又は2に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
が-CH 又は-CH CH である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
Zが-CH CH -、-CH CH CH -、又は-CH=CH-である、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項6】
が、-CH又は-CHCHであり、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zが、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-C=C-であり、nが0である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又は塩。
【請求項7】
前記化合物が、
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール、
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール、
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタ-3-エン-オール、又は、
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロヘキサノール
である、請求項に記載の化合物又は塩。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の化合物又は塩の有効量、製薬上許容される担体と含む、医薬組成物。
【請求項9】
抗原を更に含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
ヒト又は動物における感染性疾患の治療、及び
ヒト又は動物におけるサイトカイン生合成の誘導
の1つ以上において使用するための、請求項又はに記載の医薬組成物。
【請求項11】
ヒト又は動物における感染性疾患の治療、及び
ヒト又は動物におけるサイトカイン生合成の誘導
の1つ以上のための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又は塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年5月24日に出願された米国特許仮出願第62/675980号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(背景技術)
いくつかの薬剤化合物は、免疫システムの特定の重要な側面を刺激することによって、及び特定の他の側面を抑制することによって、作用する(例えば、米国特許第6,039,969号(Tomai et al.)及び同第6,200,592号(Tomai et al.))。これらの化合物は、時として、免疫応答調節剤(immune response modifier、IRM)と呼ばれる。いくつかのIRM化合物は、ウイルス性疾患、腫瘍形成、及びT2媒介性疾患を治療するのに有用である。いくつかのIRM化合物は、ワクチンアジュバントとして有用である。
【0003】
IRM化合物は、次の二環系及び三環系に基づいて報告されてきた:1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(例えば、米国特許第4,689,338号(Gerster));1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-アミン(例えば、米国特許第5,446,153号(Lindstrom et al.));1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-4-アミン(例えば、米国特許第6,194,425号(Gerster et al.));チアゾロ[4,5-c]キノロン-4-アミン及びオキサゾロ[4,5-c]キノロン-4-アミン(例えば、米国特許第6,110,929号(Gerster et al.));6,7,8,9-1H-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(例えば、米国特許第5,352,784号(Nikolaides et al.));2H-ピラゾロ[3,4-c]キノロン-4-アミン(例えば、米国特許第7,544,697号(Hays et al.));並びにN-1及び2-置換1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン(例えば、米国特許第6,331,539号(Crooks et al.)、同第6,451,810号(Coleman et al.)、同第6,664,264号(Dellaria et al.)、同第8,691,837号(Krepski et al.)、同第8,088,790号(Kshirsagar et al.)、同第8,673,932号(Kshirsagar et al.)、同第8,697,873号(Krepski et al.)、及び同第7,915,281号(Krepski et al.))。
【発明の概要】
【0004】
例えば、ヒト及び動物においてサイトカイン生合成を誘導するのに有用であり得る、新たな化合物、その塩、並びにそのような化合物及び塩を含む組成物が開示される。このような化合物は、一般式(I):
【化1】
[式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
は、アルキルであり、
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、-CHOCH、-CHOCHCH、及び-CHCHOCHからなる群から選択され、
Zは、結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、又は-C=C-である]のものである。
【0005】
式(I)の化合物及びその塩は、N-1分枝鎖中にキラル中心を有する。そのため、式(I)の化合物及びその塩は、周知の技術及びキラル出発物質を使用して、式(II):
【化2】
及び式(III):
【化3】
(式中、R、R、R、及びZは、上で定義されたものである)の化合物及びそれらの塩へと分割及び/又は合成され得る。
【0006】
化合物、及びこれらの化合物の、特に式(II)の化合物の、製薬上許容される塩などの塩は、ヒト又は動物に投与された場合に、サイトカイン生合成を誘導する(例えば、少なくとも1つのサイトカインの合成を誘導する)それらの能力、又はさもなければ免疫応答を調節するそれらの能力に起因して、免疫応答調節剤として使用することができる。したがって、特に式(II)のものの化合物、及びその塩は、このような免疫応答の変化に応答性であるウイルス性疾患及び腫瘍などの様々な状態の治療に使用され得る。特に式(II)のものである、化合物及びその塩は、ワクチンと組み合わせて投与される場合、ワクチンアジュバントとしても使用され得る。本明細書では、式(I)、(II)、及び(III)の化合物が記載される場合、そのような記述はまたそれらの塩も指すことが、概して想定される。
【0007】
式(II)、式(III)、又はこれらの組み合わせの化合物などの、式(I)の化合物(又は製薬上許容されるその塩を含む、その塩)の有効量を含有する医薬組成物が開示される。
【0008】
更に、式(II)、式(III)、又はこれらの組み合わせの化合物などの式(I)の化合物、及び/又は製薬上許容されるその塩を、ヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてサイトカイン生合成を誘導する方法、ヒト又は動物においてウイルス性疾患を治療する方法、及びヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療する方法も開示される。
【0009】
用語「アルキル」は、アルカンの基である一価の基を指し、直鎖、分枝鎖、環式、及び二環式のアルキル基、並びにこれらの組み合わせを含む。別段の指示がない限り、アルキル基は、典型的には、1~20個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、1~4個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子を含有する。「アルキル基」の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、t-ブチル、イソプロピル、n-オクチル、n-ヘプチル、エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0010】
用語「アルコキシ」は、アルキル基に直接結合しているオキシ基を有する一価の基を指す。
【0011】
用語「Cx-yアルキル」及び「Cx-yアルコキシ」は、X~Y個の炭素原子を有する直鎖基、分枝鎖基、環状基、及びこれらの組み合わせを含む。例えば、「C1~5アルキル」は、1個の炭素、2個の炭素、3個の炭素、4個の炭素、又は5個の炭素のアルキル基を含む。「C1-5アルキル」のいくつかの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、異性体ペンチル、シクロプロピル、シクロペンチル、及び-CH-シクロプロピルが挙げられる。
【0012】
化合物の「塩」としては、Berge,Stephen M.,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,1977,66,pages1-19に記載されている塩などの、製薬上許容される塩が挙げられる。例えば、塩は、遊離塩基化合物(すなわち、塩形態でない化合物)を、無機酸又は有機酸、例えば、塩酸、硫酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、リンゴ酸、マレイン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラ-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、パモ酸、キシナホ酸、シュウ酸などと反応させることによって調製され得る。典型的な製薬上許容される塩としては、塩酸塩及び二塩酸塩が挙げられる。
【0013】
本明細書で使用されるとき、「製薬上許容される担体」としては、治療有効量又は予防有効量の本開示の化合物又は塩のうちの1つ以上を、選択した投与経路によって対象に送達することができ、対象によって概ね耐容され、かつ許容される毒性プロファイル(好ましくは、投与用量で微毒~無毒)を有する担体が挙げられる。いくつかの好適な製薬上許容される担体は、Remington’s Pharmaceutical Science,18th Edition(1990),Mack Publishing Co.に記載されており、当業者であれば容易に選択することができる。
【0014】
「有効量」(「治療有効量」及び「予防有効量」を含む)は、サイトカイン誘導、免疫調節、抗腫瘍活性、及び/又は抗ウイルス活性などの治療的又は予防的効果を誘導するのに十分な化合物又は塩の量であると定義される。疾患又は状態に応じて、所望のサイトカインプロファイル、及び/又は許容されるレベルの副作用、有効量は、変化し得る。例えば、少量の非常に活性な化合物若しくは塩、又は多量の低活性の化合物若しくは塩を、望ましくない副作用を回避するために使用することができる。
【0015】
「治療する」及び「治療」、並びにそれらの変形は、進行を低減する、制限する、状態に関連する兆候又は徴候をある程度まで寛解させる、予防する、又は解決することを指す。
【0016】
「寛解させる」及び「寛解している」は、特定の疾患又は状態の兆候又は臨床的特徴の範囲、重症度、頻度、及び/又は尤度の任意の減少を指す。
【0017】
「抗原」は、ある程度免疫特異的な方法で、抗体によって結合され得る任意の物質を指す。
【0018】
本明細書では、用語「を含む」及びその変化形は、これらの用語が明細書及び特許請求の範囲に記載されている場合、限定的な意味を有するものではない。このような用語は、記述される1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群が含まれることを示唆するが、いかなる他の1つの工程若しくは要素、又は複数の工程若しくは要素の群も除外されないことを示唆すると理解される。「からなる」により、この語句「からなる」の前のいかなるものも含み、これらに限定することを意味する。したがって、語句「からなる」は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」は、この語句の前に列挙されるあらゆる要素を含み、これらの列挙された要素に関して本開示で特定した作用若しくは機能に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の作用若しくは機能に実質的に影響を及ぼすか否かに応じて存在してもよい、又は、しなくてもよいことを示す。オープンエンド言語(例えば、「を含む」とその派生語)で本明細書に記載される要素又は要素の組み合わせのいずれかは、クローズドエンド言語(例えば、「からなる」とその派生語)及び部分的クローズドエンド言語(例えば、「から本質的になる」とその派生語)で更に記載されると考えられる。
【0019】
「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、特定の状況下で特定の利益を提供できる、本開示の実施形態を指す。ただし、同一又は他の状況下では、他の請求項もまた好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい請求項についての詳細な説明は、他の請求項が有用でないことを示唆するものではなく、かつ他の請求項を本開示の範囲から除外することを意図するものでもない。
【0020】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、一般分類を含み、その一般分類の具体例は、例示のために使用し得る。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。列挙に後続する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、列挙内の項目のうちのいずれか1つ、及び、列挙内の2つ以上の項目のいずれかの組み合わせを指す。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「又は」は、内容がそうでない旨を明示しない限り、概して「及び/又は」を含む通常の意味で使用される。
【0022】
用語「及び/又は」は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0023】
更に本明細書では、全ての数は用語「約」によって修飾されるものとみなされ、特定の実施形態では、好ましくは、用語「正確に」によって修飾されるものとみなされる。本明細書で使用されるとき、測定した量との関連において、用語「約」は、測定を行い、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合う水準の注意を払う当業者によって予測されるような測定量の変動を指す。本明細書では、「最大」数字(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0024】
更に本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数及びその端点を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「周囲温度」又は「室温」は、20℃~25℃、又は22℃~25℃の温度を指す。
【0026】
用語「の範囲(in the range)」又は「の範囲内(within a range)」(及び類似の記載)は、その記載された範囲の端点を含む。
【0027】
本明細書に開示の代替要素又は実施形態の群分けは、限定されるものと解釈するべきではない。各群のメンバーは、個々に、又は、その群の他のメンバー若しくはその群の中に見出される他の要素との任意の組み合わせで、言及及び特許請求することができる。便宜上及び/又は特許性の理由から、群の1つ以上のメンバーが群に含まれ得るか、又は、群から削除され得ることが見込まれる。任意のこのような包含又は削除が生じた場合、本明細書は、本明細書において改変された群を含むものとみなされ、したがって、添付の特許請求の範囲で用いられた全てのマーカッシュ群の記載内容を実現する。
【0028】
ある基が本明細書に記載の式中に複数存在する場合、具体的に記載されているか否かに関わらず、各基は「独立して」選択される。例えば、式中に2つ以上のR基が存在するとき、各R基は独立して選択される。
【0029】
本明細書を通しての「一実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、又は「いくつかの実施形態(some embodiments)」などへの言及は、実施形態に関して記載された特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所にこのような語句が記載されている場合、必ずしも、本発明の同一の実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構成、組成、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0030】
本開示の上記の「発明の概要」は、本発明の各開示された実施形態又は全ての実施態様の記載を意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願を通し、数箇所において、例の列挙を通して指針が提供されており、これらの例は、様々な組み合わせで用いることができる。いずれの場合にも、記載された列挙項目は、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的な列挙として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書に記載の特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、少なくとも特許請求の範囲の文言によって説明される構造、及びこれらの構造の同等物にまで拡大する。本明細書において選択肢として積極的に記載されている要素はいずれも、所望に応じた任意の組み合わせで、請求項に明示的に含めてもよい、又は請求項から除外してもよい。様々な理論及び可能な機構が本明細書で検討され得るが、いかなる場合であっても、このような検討は、特許請求可能な主題を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、式(I):
【化4】
の化合物(又はその塩)を提供する。
【0032】
式(I)の化合物及びその塩は、N-1分枝鎖中にキラル中心を有する。したがって、式(I)の化合物及びその塩は、周知の技術及びキラル出発物質を使用して、式(II):
【化5】
及び式(III):
【化6】
[式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
は、アルキルであり、
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、-CHOCH、-CHOCHCH、及び-CHCHOCHからなる群から選択され、
Zは、結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、又は-C=C-である]の化合物及びその塩へと分割及び/又は合成され得る。
【0033】
疾患若しくは状態、所望のサイトカインプロファイル、及び/又は許容されるレベルの副作用に応じて、式(II)の化合物又はその塩は、式(III)の化合物又はその塩よりも望ましい場合がある。典型的には、式(II)の化合物又はその塩は、式(III)の化合物又はその塩よりもサイトカイン生合成を誘導することに関して、より活性である。一方で、概して、より活性な式(II)の化合物又は塩が使用に望ましいであろうが、式(III)の、より低活性な化合物又はその塩が、特定の状況、例えば望ましくない副作用を回避するため及び/又は腫瘍性治療において使用されてもよい。
【0034】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、-C1-7アルキル、-C1-7アルコキシ、及び-C(O)-O-C1-5アルキルから選択される。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシ、F、及びClからなる群から選択される。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、F及びClからなる群から選択される。
【0035】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、nは0である。
【0036】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-C1-4アルキルであり、これは直鎖又は分枝鎖であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、-CH、-CHCH-、-CHCHCH、又は-CHCHCHCHである。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHである。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHCHである。
【0037】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、水素又はメチルである。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0038】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Zは、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-C=C-である。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Zは-CHCH-である。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Zは-CHCHCH-である。式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Zは-C=C-である。
【0039】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、-CH又は-CHCHであり、Rは、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zは、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-C=C-であり、nは0である。
【0040】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、-CH又は-CHCHであり、Rは、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zは-CHCH-であり、nは0である。
【0041】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、-CH又は-CHCHであり、Rは、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zは-CHCHCH-であり、nは0である。
【0042】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは、-CH又は-CHCHであり、Rは、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zは-C=C-であり、nは0である。
【0043】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0044】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHであり、Rは水素であり、Zは-CHCH-であり、nは0である。いくつかの実施形態では、化合物は、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール(実施例1)である。
【0045】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHであり、Rは水素であり、Zは-C=C-であり、nは0である。いくつかの実施形態では、化合物は、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタ-3-エン-オール(実施例3)である。
【0046】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHCHであり、Rは水素であり、Zは-CHCH-であり、nは0である。いくつかの実施形態では、化合物は、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール(実施例4)である。
【0047】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、Rは-CHCHであり、Rは水素であり、Zは-CHCHCH-であり、nは0である。いくつかの実施形態では、化合物は、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロヘキサノール(実施例6)である。
【0048】
式(I)、(II)、及び(III)のいくつかの実施形態では、特に式(II)のいくつかの実施形態では、化合物は塩の形態で存在する。塩は、典型的には、製薬上許容される塩である。最も一般的には、塩は塩酸塩である。
【0049】
いくつかの実施形態では、式(II)及び(III)の鏡像異性体化合物又はそれらの塩の混合物が存在する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率(80%ee)の鏡像異性体純度を有する。式(II)の化合物又はその塩の鏡像異性体純度は、式(III)の化合物又はその塩に対するものである。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率(90%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率(95%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも97%の鏡像異性体過剰率(97%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも98%の鏡像異性体過剰率(98%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも99%の鏡像異性体過剰率(99%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも99.5%の鏡像異性体過剰率(99.5%ee)の鏡像異性体純度を有する。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物又はその塩は、少なくとも99.8%の鏡像異性体過剰率(99.8%ee)の鏡像異性体純度を有する。
【0050】
式(I)、(II)、及び(III)の例示的な化合物を表1~12に示す。表1~12において、各列は、定義されたn、R、R、及びRを有する特定の化合物を表す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0051】
本開示は、式(II)又はその塩の上記実施形態のいずれか1つからなる群から選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてサイトカイン生合成を誘導する方法を提供する。
【0052】
本開示は、式(II)又はその塩の上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてIFN-α生合成を誘導する方法を提供する。
【0053】
本開示は、式(II)又はその塩の上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてIFN-γ生合成を誘導する方法を提供する。
【0054】
本開示は、式(II)又はその塩の上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてTNF-α生合成を誘導する方法を提供する。
【0055】
本開示は、式(II)又はその塩の上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてIP-10生合成を誘導する方法を提供する。
【0056】
本開示は、式(II)の上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてウイルス性疾患を治療する方法を提供する。
【0057】
本開示は、式(II)及び/又は式(III)の化合物であり得る式(I)、又はその塩の、上記実施形態のいずれか1つから選択される化合物又は塩の有効量を、ヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療する方法を提供する。
【0058】
本開示の化合物又はその塩は、特に本明細書に含まれる説明を考慮することで、化学技術分野において周知のプロセスに類似したプロセスを含む合成経路によって合成することができる。出発物質は、Sigma-Aldrich Company(St.Louis,MO)のような商業的供給源から一般的に入手可能であり、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser,Reagents for Organic Synthesis,v.1~26,Wiley,New York;Alan R.Katritsky,Otto Meth-Cohn,Charles W.Rees,Comprehensive Organic Functional Group Transformations,v.1~6,Pergamon Press,Oxford,England,(1995);Barry M.Trost and Ian Fleming,Comprehensive Organic Synthesis,v.1~8,Pergamon Press,Oxford,England,(1991);又はBeilsteins Handbuch der Organischen Chemie,4,Aufl.Ed.Springer-Verlag,Berlin,Germany(補遺を含む)(Beilsteinオンラインデータベースからも入手可能)に一般的に記載されている方法により調製される)。
【0059】
本開示の化合物は、例えば、反応スキームI及びII(式中、R、R、R、Z、及びnは、上記の通りである)に従って調製することができる。反応スキームIの工程(1)において、式(IV)の2-アミノ置換カルボン酸エステルをジ-tert-ブチルジカーボネート[BocO]及びトリエチルアミンと反応させて、式(V)のBoc保護アミン化合物を得ることができる。
【0060】
式(V)の化合物のカルボン酸エステル基を、工程(2)においてアルキル(ビスマグネシウムブロミド)と反応させて、式(VI)のシクロアルカノールを得ることができる(グリニャール反応)。あるいは、式(V)の化合物を、工程(3)において、ビニル置換アルキル基(例えば、アリルマグネシウムブロミド、3-ブテニルマグネシウムブロミド、及び4-ペンテニルマグネシウムブロミドなど)を含有するグリニャール試薬の少なくとも2当量と反応させて、カルボン酸エステル基を第三級アルコールに変換することができる。工程(4)における後続のGrubbの環閉鎖オレフィンメタセシス反応を用いて、式(VI)の化合物をシクロアルケノールとして得ることができる。環中の二重結合は、任意に、飽和シクロアルカノール環を得るために水素化条件(炭素担持パラジウムを有する水素及びメタノールなどの溶媒)を用いて還元することができる。
【0061】
式(VI)の化合物中のBocアミノ保護基は、式(VI)の化合物をアルコール溶媒(例えばメタノール又はエタノール)中の塩酸と反応させて、式(VII)の一級アミン化合物を得ることによって、工程(5)において除去することができる。
【0062】
反応スキームIIにおいて、式(VIII)の4-クロロ-3-ニトロキノリンを、工程(6)において、式(VII)の化合物と反応させて、式(IX)の3-ニトロキノリン-4-アミンを得る。反応は、トリエチルアミンなどの三級アミンの存在下で、ジクロロメタンなどの好適な溶媒中で、式(VII)のアミンを式(VIII)の溶液に添加することによって行うことができる。式(VIII)の4-クロロ-3-ニトロキノリン化合物及び置換類似体は、既知の化合物である(例えば、米国特許第3,700,674号(Diehl et al.)、同第5,389,640号(Gerster et al.)、同第6,110,929号(Gerster et al.)、同第7,923,560号(Wightman et al.)、及びそれらに引用されている参照文献を参照されたい)。多くの場合、式(VIII)の置換類似体(例えば、n=1であり、Rは、ハロゲン、アルコキシ又はベンジルオキシ基である)は、市販の置換アニリンから開始して調製することができる。
【0063】
反応スキームIIの工程(7)において、式(IX)のニトロ基をアミノ基に還元することができる。還元は、水素、触媒量の炭素担持パラジウム若しくは白金、並びにメタノール、アセトニトリル、トルエン、又はこれらの組み合わせなどの溶媒を使用して、圧力ボトル内で実施することができる。反応は、Parr装置で実施することができる。あるいは、所望の還元は、二相ジクロロメタン水溶媒系中のジチオン酸ナトリウム及び触媒ジオクチルビオロゲンを使用して達成することができる。反応スキームIIの工程(8)において、得られた3,4-ジアミン化合物をカルボン酸(RCOH)と反応させて、式(X)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを得ることができる。塩化アシル、チオエステル、及び1,1-ジアルコキシアルキルアルカノエートなどのカルボン酸に対する好適な等価物を使用することもできる。カルボン酸又は当量は、それが式(X)の化合物中に所望のR置換基を提供するように選択される。例えば、オルトギ酸トリエチルは、Rが水素である化合物を提供し、オルトバレ酸トリメチルは、Rがn-ブチルである化合物を提供する。この反応は、溶媒なしで、又は不活性溶媒ありで、実行することができる。任意に、ピリジン塩酸塩などの触媒を含ませることができる。
【0064】
反応スキームIIの工程(9)において、式(X)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリンを酸化して、N-オキシドを形成することができる従来の酸化剤を使用して、1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-5N-オキシドを提供することができる。好ましくは、クロロホルム又はジクロロメタンなどの好適な溶媒中の、式(X)の化合物の溶液を、周囲温度で、3-クロロ過安息香酸と反応させる。
【0065】
反応スキームIIの工程(10)において、N-オキシド化合物をアミノ化して、式(XI)の1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミンを得ることができる。工程(10)は、N-オキシド化合物を、ジクロロメタン又はクロロホルムなどの不活性溶媒中で、アシル化剤とアミノ化剤とを反応させることを含む。好適なアシル化剤としては、ベンゼンスルホニルクロリド、メタンスルホニルクロリド、又はパラ-トルエンスルホニルクロリドなどのアルキルスルホニルクロリド又はアリールスルホニルクロリドが挙げられる。水酸化アンモニウムは、好適なアミノ化剤である。式(XI)は、式(I)の実施形態である。
【化7】
【化8】
【0066】
式(II)及び/又は式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物は、高い鏡像異性体純度を有する反応物と共に反応スキームを開始することによって調製することができる。あるいは、反応物のラセミ混合物、又は低い鏡像異性体純度(例えば10~70%の鏡像異性体過剰率)の反応物を、鏡像異性体の混合物の分割のための任意の好適な手順を用いて、所望の式(II)鏡像異性体として単離された最終生成物と共に使用することができる。鏡像異性体の混合物の分割の周知の方法は、キラル固定相(chiral stationary phase、CSP)を有するカラムを用いるHPLCである。鏡像異性体の混合物の分割の別の標準的な方法は、混合物を、光学的に純粋なカルボン酸と反応させて、例えば再結晶又はクロマトグラフィー法によって容易に分離され得るジアステレオマー塩を形成することを含む。遊離塩基の再生が、この分割プロセスを完了する。高い鏡像異性体純度で利用可能な分割試薬の例としては、(+)-酒石酸、(-)-マンデル酸、(-)-リンゴ酸、(+)-カンファー-10-スルホン酸、及び(+)-2,3-ジベンゾイル酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、異なる種類の分割工程を組み合わせることができ、所望の鏡像異性体純度を達成するために、複数の分割工程を利用することができる。鏡像異性体純度は、鏡像異性体過剰百分率(%ee)として表される。異性体の分割方法は、参照文献:Y.Okamoto,Chemical Society Reviews,2008,37,pages 2593-2608;G.Gubitz,Biopharmaceutics and Drug Disposition,2001,22,pages 291-336;及びS.Mane,Analytical Methods,2016,8,pages 7567-7586に記載されている。
【0067】
本開示の化合物の調製において、中間体化合物の特定の官能基を保護しながら、他の官能基を反応させることが必要となり得ることは、当業者に理解される。このような保護の必要性は、特定の官能基の性質及び特定の反応工程の条件に応じて変動することになる。官能基の保護及び脱保護のための反応のレビューは、P.G.M.Wuts,Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,USA,2014において見出すことができる。
【0068】
分離及び精製の従来の方法及び技法を用いて、本開示の組成物中で使用されるIRM化合物を単離することができる。このような技法としては、例えば、あらゆる方式のクロマトグラフィー(高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、HPLC)、シリカゲルなどの一般的な吸着剤を使用したカラムクロマトグラフィー、及び薄層クロマトグラフィー)、再結晶化、及び分別(すなわち、液-液)抽出法を挙げることができる。
【0069】
本開示の化合物の鏡像異性体過剰率は、キラル固定相(CSP)を有するカラムでのガスクロマトグラフィー又はHPLCなどの標準分析アッセイを用いて決定され得る。CSPを有する好適なカラムは、Chiral Technologies,Inc.(Westchester,PA)から入手可能である。
【0070】
鏡像異性体過剰率(%ee)は、式1に従って計算される。
【数1】
【0071】
鏡像異性体過剰率(%ee)は、式2に従って、多量の鏡像異性体シグナルのピーク面積と、少量の鏡像異性体シグナルのピーク面積とを比較することによって、キラルHPLCクロマトグラムから計算することができる。
【数2】
【0072】
本開示の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で開裂され得る官能基を化合物に結合することによっても調製することができる。典型的には、開裂可能な官能基は、様々な機構(化学(例えば、加水分解)又は酵素変換など)によってin vivoで開裂され、本開示の化合物を与えることになる。プロドラッグの使用の検討は、T.Higuchi and W.Stella,「Prodrugs as Novel Delivery Systems」,vol.14 of the ACS Symposium Series、及びBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されている。
【0073】
医薬組成物及び生物活性
本開示の医薬組成物も想到される。本開示の医薬組成物は、治療有効量の本開示(本明細書に記載)の化合物又は塩を、製薬上許容される担体と組み合わせて含有する。
【0074】
式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩は、対象(ヒト又は動物)への投与に好適な任意の医薬組成物中に提供されてもよく、任意の好適な形態で(例えば、溶液、懸濁液、エマルション、又は任意の形態の混合物として)、医薬組成物中に存在してもよい。医薬組成物は、任意の製薬上許容される賦形剤、担体、又はビヒクルと共に製剤化され得る。いくつかの実施形態では、製薬上許容される担体は、水(例えば、リン酸緩衝生理食塩水又はクエン酸緩衝生理食塩水)を含む。いくつかの実施形態では、製薬上許容される担体は、油(例えば、トウモロコシ油、ゴマ油、綿実油、ダイズ油、又はベニバナ油)を含む。医薬組成物は、懸濁化剤、界面活性剤、分散剤、及び防腐剤(酸化防止剤など)を含む1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。
【0075】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩は、均一に分散した製剤中に組み込まれ得る。医薬組成物のいくつかの実施形態では、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩は、乳化製剤中に組み込まれ得る。医薬組成物のいくつかの実施形態では、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩は、水中油型製剤中に組み込まれ得る。水中油型製剤は、油成分、水性成分、及び1つ以上の界面活性剤(例えば、ダイズ油、TWEEN 80、SPAN85、及びリン酸緩衝生理食塩水を含む配合物)を含み得る。医薬組成物のいくつかの実施形態では、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩は、リポソーム製剤中に組み込まれ得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗原に対する免疫応答を生成するのに有効な量で、抗原を更に含み得る。いくつかの実施形態では、抗原はワクチンである。
【0077】
医薬組成物は、任意の好適な方法(非経口又は非非経口)で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、皮内、皮下、筋肉内、又は静脈内注射によって投与されてもよい。
【0078】
式(II)の化合物を含む医薬組成物の任意の実施形態では、式(II)の化合物は、組成物中に、式(III)の化合物に対して、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率、少なくとも96%の鏡像異性体過剰率、少なくとも96%の鏡像異性体過剰率、少なくとも97%の鏡像異性体過剰率、少なくとも98%の鏡像異性体過剰率、少なくとも99%の鏡像異性体過剰率、少なくとも99.5%の鏡像異性体過剰率、又は少なくとも99.8%の鏡像異性体過剰率で存在する。
【0079】
式(III)の化合物を含む医薬組成物の任意の実施形態では、式(II)の化合物と反対の鏡像異性体は、組成物中に、10%未満、5%未満、2.5%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、0.5%未満0.25%未満、又は0.1%未満で存在する。
【0080】
本開示の医薬組成物中で使用される化合物又は塩の正確な量は、化合物又は塩の物理的及び化学的性質、担体の性質、並びに意図される投与レジメンなどの当業者に既知の要因に応じて変動することになる。
【0081】
いくつかの実施形態では、医薬組成物中の、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩の濃度は、少なくとも0.0005mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、又は少なくとも0.05mg/mLであり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の、式(II)及び/若しくは式(III)の化合物であり得る式(I)の化合物又はその塩の濃度は、最大2.4mg/mL、最大0.06mg/mL、最大0.01mg/mL、又は最大0.005mg/mLであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、1キログラム当たり少なくとも100ナノグラム(ng/kg)、又は1キログラム当たり少なくとも10マイクログラム(μg/kg)の化合物若しくは塩の用量を対象に提供するのに十分な活性成分(すなわち、式(I)の化合物若しくはその塩)又はプロドラッグを含有する。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、1キログラム当たり最大50ミリグラム(mg/kg)、又は最大5mg/kgの用量の化合物若しくは塩を、対象に提供するのに十分な活性成分(すなわち、式(I)の化合物若しくはその塩)又はプロドラッグを含有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、例えば、Dubois法に従って計算して0.01mg/m~5.0mg/mの用量を提供するのに十分な活性成分(すなわち、式(I)の化合物若しくはその塩)又はプロドラッグを含有し、この方法では、対象の体表面積(m)を、対象の体重を用いて、m=(体重kg0.425×身長cm0.725)×0.007184と計算し、ただし、いくつかの実施形態では、本方法は、この範囲に入らない用量の化合物若しくは塩又はプロドラッグを投与することによって実施され得る。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m~2.0mg/mの用量、例えば、0.4mg/m~1.2mg/mの用量を対象に提供するのに十分な化合物若しくは塩又はプロドラッグを投与することを含む。
【0084】
種々の剤形を、本開示の化合物又は塩をヒト又は動物に投与するために使用することができる。使用され得る剤形としては、例えば、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、非経口製剤、クリーム剤、軟膏剤、局所ゲル剤、エアロゾル製剤、液体製剤(例えば、水性製剤)、経皮パッチなどが挙げられる。これらの剤形は、従来の製薬上許容される担体及び添加剤と共に、従来方法を用いて調製することができ、この方法は、概ね、活性成分を担体と会合させる工程を含む。好ましい剤形は、水性製剤中に溶解された本開示の化合物又は塩のうちの1つ以上を有する。
【0085】
本明細書に開示の化合物又は塩は、「実施例」の記載に従って実施した実験において、特定のサイトカインの産生を誘導する。これらの結果は、この化合物又は塩が、多数の異なる方法で免疫応答を増強するのに有用であり、それらを、様々な障害の治療に有用なものとすることを示す。
【0086】
本明細書に記載の化合物若しくは塩は、治療レジメンにおいて単一の治療剤として投与することができ、又は本明細書に記載の化合物若しくは塩は、抗ウイルス剤、抗生物質、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、抗体などの他の活性剤と組み合わせて投与することができる。
【0087】
本明細書に記載の化合物又は塩は、下記の試験により行われる実験において、サイトカイン(例えば、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、IP-10)の産生を誘導する。これらの結果は、特に式(II)の実施形態の、本開示の化合物又はその塩が、多数の異なる方法で免疫応答を活性化するのに有用であり、それらを、様々な障害の治療に有用なものとすることを示す。それゆえ、特に式(II)の実施形態の、本開示の化合物又はその塩は、サイトカイン生合成及び産生のアゴニストであり、特にIFN-α、IFN-γ、TNF-α、及びIP-10のサイトカイン生合成及び産生のアゴニストである。
【0088】
特に式(II)の実施形態の、本開示の化合物又は塩がサイトカイン産生を誘導し得る1つの方法が、免疫システムにおけるToll様受容体(Toll-like receptor、TLR)、具体的にはTLR-7及び/又はTLR-8の活性化によるものと考えられるが、他の機構も関与し得る。サイトカイン誘導の免疫システム経路(すなわち、機構)において、特に式(II)の実施形態の、本開示の化合物又は塩が、主にTLR-7及び/又はTLR-8のアゴニストとして作用すると考えられるが、他の経路又は活性も関与し得る。
【0089】
本明細書に記載の化合物又は塩の投与は、細胞において、インターフェロン-α(IFN-α)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、及びIP-10の産生を誘導することができる。本開示の化合物又は塩によって生合成を誘導できるサイトカインとしては、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、IP-10、及びその他の種々のサイトカインが挙げられる。他の作用の中でも、これらのサイトカインはウイルスの産生及び腫瘍細胞の増殖を阻害することができ、この化合物又は塩を、ウイルス性疾患及び腫瘍性疾患の治療に有用であるようにする。したがって、本開示は、本開示の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物においてサイトカイン生合成を誘導する方法を提供する。サイトカイン産生の誘導のために化合物又は塩が投与されるヒト又は動物は、下記の1つ以上の疾患、障害、又は状態、例えば、ウイルス性疾患又は腫瘍性疾患を有してもよく、化合物又は塩の投与は、治療処置を提供し得る。あるいは、化合物又は塩の投与が予防処置を提供し得るように、ヒト又は動物が疾患を獲得する前に化合物又は塩がヒト又は動物に投与されてもよい。
【0090】
サイトカインの産生を誘導する性質に加え、本明細書に記載の化合物又は塩は、自然免疫応答の他の側面にも影響し得る。例えば、ナチュラルキラー細胞の活性が刺激され得るが、これはサイトカイン誘導による作用と考えられる。化合物又は塩は、マクロファージも活性化する場合があり、これは次に一酸化窒素の分泌及び追加のサイトカインの産生を刺激する。加えて、化合物又は塩は、Bリンパ球の増殖及び分化を引き起こす場合がある。
【0091】
本明細書で特定した化合物若しくは塩又は組成物が治療剤として使用され得る状態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
ウイルス性疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV-I、HSV-II、CMV、又はVZV)、ポックスウイルス(例えば、天然痘若しくはワクシニアなどのオルソポックスウイルス、又は伝染性軟属腫)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス、鳥インフルエンザ)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus、RSV)、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、性器疣贅、尋常性疣贅、又は足底疣贅を引き起こすものなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス又はデングウイルス)、又はレトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)、エボラウイルスによる感染によって引き起こされる疾患;
腫瘍性疾患、例えば、膀胱がん、子宮頸部異形成、子宮頸がん、日光角化症、基底細胞癌腫、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、HPV関連頭部及び頸がん(例えば、HPV陽性口腔咽頭扁平上皮癌腫)、カポジ肉腫、黒色腫、扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、食道がん、及びその他のがん;
アトピー性皮膚炎又は湿疹、好酸球増加、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、及びオメン症候群などのT2媒介性アトピー性疾患;
創傷修復に関連する疾患、例えば、ケロイド形成及び他の種類の瘢痕化の阻害(例えば、慢性創傷を含む創傷治癒の促進)など;
マラリア、リーシュマニア症、クリプトスポリジア症、トキソプラズマ症、及びトリパノソーマ感染症などが挙げられるがこれらに限定されない寄生虫疾患。
【0092】
更に、本明細書に記載の化合物、塩、又は医薬組成物は、体液性免疫応答及び/又は細胞媒介性免疫応答のいずれかを増大させる任意の物質、例えば、腫瘍抗原(例えば、MAGE-3、NY-ESO-1);生存の、ウイルスイムノゲン、細菌イムノゲン、又は寄生虫のイムノゲン;不活化の、ウイルスイムノゲン、原生動物イムノゲン、真菌イムノゲン、又は細菌イムノゲン;トキソイド;毒素;多糖類;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;自家ワクチン;組換えタンパク質などと併用して、ワクチンアジュバントとして使用されてもよい。
【0093】
本明細書で特定される化合物、塩、又は組成物のワクチンアジュバントとしての使用が有益となり得るワクチンの例としては、BCGワクチン、コレラワクチン、ペストワクチン、腸チフスワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、C型肝炎ワクチン、A型インフルエンザワクチン、B型インフルエンザワクチン、マラリアワクチン、パラインフルエンザワクチン、ポリオワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、黄熱病ワクチン、破傷風ワクチン、ジフテリアワクチン、ヘモフィルスインフルエンザb型ワクチン、結核ワクチン、髄膜炎菌ワクチン及び肺炎球菌ワクチン、アデノウイルスワクチン、HIVワクチン、水痘ワクチン、サイトメガロウイルスワクチン、デング熱ワクチン、ネコ白血病ワクチン、家禽ペストワクチン、HSV-1ワクチン及びHSV-2ワクチン、豚コレラワクチン、日本脳炎ワクチン、RSウイルスワクチン、ロタウイルスワクチン、パピローマウイルスワクチン、黄熱病ワクチン、エボラウイルスワクチンが挙げられる。
【0094】
本明細書で特定される化合物、塩、又は医薬組成物は、大腸がん、頭頸部がん、乳がん、肺がん及び黒色腫に関連する腫瘍抗原と併用して使用された場合に、ワクチンアジュバントとして特に有用となり得る。
【0095】
本明細書で特定される化合物、塩、又は医薬組成物は、免疫機能が低下した個体に特に有用となり得る。例えば、化合物、塩、又は組成物は、例えば、臓器移植患者、がん患者、及びHIV患者における細胞媒介性免疫の抑制後に発症する日和見感染症及び腫瘍の治療に使用されてもよい。
【0096】
上記疾患又は疾患の種類の1つ以上、例えば、ウイルス性疾患又は腫瘍性疾患は、それを必要とする(その疾患を有する)ヒト又は動物において、この化合物、塩、又は組成物の治療有効量をヒト又は動物に投与することによって治療され得る。
【0097】
ヒト又は動物はまた、本明細書に記載の化合物、塩、又は組成物の有効量を、ワクチンアジュバントとして投与することによって予防接種されてもよい。一実施形態では、ヒト又は動物を予防接種する方法は、本明細書に記載の化合物、塩、又は組成物の有効量を、ワクチンアジュバントとしてヒト又は動物に投与することを含む。ワクチンアジュバントは、1つ以上の体液性免疫応答及び細胞媒介性免疫応答を増大させる物質と共投与されてもよく、それは、同じ組成物中にそれぞれを含むことによる。あるいは、ワクチンアジュバントと、体液性免疫応答及び/又は細胞媒介性免疫応答のいずれかを増大させる物質とは、別々の組成物中にあってもよい。
【0098】
本明細書で特定される化合物、塩、又は組成物は、獣医学用途において予防又は治療のワクチンアジュバントとして使用することができる。本明細書で特定される化合物、塩、又は組成物は、例えば、ブタ、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、家禽(鶏又は七面鳥など)などに投与することができる。
【0099】
本明細書で特定される化合物若しくは塩又は組成物は、膀胱がん、子宮頸部形成異常、日光角化症、基底細胞癌腫、性器疣贅、ヘルペスウイルス感染症、又は皮膚T細胞リンパ腫を治療するための有効量がヒト又は動物に投与されたときに、特に有用となり得る。上記の状態の場合、本開示の化合物、塩、又は組成物の投与は、好ましくは局所的(すなわち、腫瘍、病変、疣贅、又は感染した組織などの表面への直接適用)である。
【0100】
一実施形態では、本明細書に記載の化合物、塩、又は組成物、例えば、水性組成物の有効量は、少なくとも1つの膀胱腫瘍を有するヒト又は動物の膀胱に、膀胱内注入(例えば、カテーテルを用いた投与)によって投与される。
【0101】
サイトカイン生合成の誘導に有効な化合物又は塩の量は、典型的には、単球、マクロファージ、樹状細胞、及びB細胞などの1つ以上の細胞種に、1つ以上のサイトカイン、例えば、IFN-α、IFN-γ、TNF-α、及びIP-10を、これらのサイトカインのバックグラウンドレベルを超えて増大(誘導)された量で産生させるであろう。正確な用量は、当該技術分野で既知の要因に応じて変動することになるが、典型的には、100ng/kg~50mg/kg、又は10μg/kg~5mg/kgの用量である。他の実施形態では、この量は、例えば、0.01mg/m~5.0mg/m(上記のDubois法に従って計算)であり得るが、他の実施形態では、サイトカイン生合成の誘導は、この範囲外の用量で化合物又は塩を投与することによって実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m~2.0mg/mの用量、例えば、0.4mg/m~1.2mg/mの用量を対象に提供するのに十分な化合物若しくは塩又は組成物を投与することを含む。
【0102】
ヒト又は動物においてウイルス感染症を治療する方法、及びヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療する方法は、本明細書に記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含み得る。
【0103】
ウイルス感染症を治療又は阻害するための有効量は、未治療のヒト又は動物と比較して、ウイルス性病変、ウイルス負荷、ウイルス産生速度、及び死亡率などのウイルス感染症の発現のうちの1つ以上の低減を引き起こす量であることができる。こうした治療に有効な正確な量は、当該技術分野で既知の要因に応じて変動することになるが、それは、通常、100ng/kg~50mg/kg、又は10μg/kg~5mg/kgの用量である。
【0104】
腫瘍性状態を治療するために有効な化合物又は塩の量は、腫瘍のサイズの低減、又は腫瘍病巣の数の低減を引き起こす量であることができる。正確な量は、当該技術分野で既知の要因に応じて変動することになるが、典型的には、100ng/kg~50mg/kg、又は10μg/kg~5mg/kgである。他の実施形態では、この量は、典型的には、例えば、0.01mg/m~5.0mg/m(上記のDubois法に従って計算)であるが、いくつかの実施形態では、サイトカイン生合成の誘導は、この範囲外の用量で化合物又は塩を投与することによって実施されてもよい。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、0.1mg/m~2.0mg/mの用量、例えば、0.4mg/m~1.2mg/mの用量を対象に付与するのに十分な化合物若しくは塩又は組成物を投与することを含む。
【0105】
実施形態
実施形態1は、式(I):
【化9】
[式中、
nは、0又は1の整数であり、
Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、及び-C(O)-O-アルキルからなる群から選択され、
は、アルキルであり、
は、水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、-CHOCH、-CHOCHCH、及び-CHCHOCHからなる群から選択され、
Zは、結合、-CH-、-CHCH-、-CHOCH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-、又は-C=C-である]の化合物又はその塩である。
【0106】
実施形態2は、式(II)の化合物又はその塩である、実施形態1に記載の化合物又は塩である。
【化10】
【0107】
実施形態3は、式(III)の化合物又はその塩である、実施形態1に記載の化合物又は塩である。
【化11】
【0108】
実施形態4は、Rが、ハロゲン、ヒドロキシ、-C1-7アルキル、-C1-7アルコキシ、及び-C(O)-O-C1-5アルキルからなる群から選択される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0109】
実施形態5は、Rが、ヒドロキシ、F、及びClからなる群から選択される、実施形態4に記載の化合物又は塩である。
【0110】
実施形態6は、Rが、F及びClからなる群から選択される、実施形態5に記載の化合物又は塩である。
【0111】
実施形態7は、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0112】
実施形態8は、Rが-C1-4アルキルであり、これが、直鎖状又は分枝状であり得る、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0113】
実施形態9は、Rが、-CH、-CHCH-、-CHCHCH、又は-CHCHCHCHである、実施形態8に記載の化合物又は塩である。
【0114】
実施形態10は、Rが-CHである、実施形態9に記載の化合物又は塩である。
【0115】
実施形態11は、Rが-CHCHである、実施形態9に記載の化合物又は塩である。
【0116】
実施形態12は、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0117】
実施形態13は、Rが水素である、実施形態12に記載の化合物又は塩である。
【0118】
実施形態14は、Zが、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-C=C-である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0119】
実施形態15は、Zが-CHCH-である、実施形態14に記載の化合物又は塩である。
【0120】
実施形態16は、Rが、-CH又は-CHCHであり、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zが、-CHCH-、-CHCHCH-、又は-C=C-であり、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0121】
実施形態17は、Rが、-CH又は-CHCHであり、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zが-CHCH-であり、nが0である、実施形態16に記載の化合物又は塩である。
【0122】
実施形態18は、Rが、-CH又は-CHCHであり、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zが-CHCHCH-であり、nが0である、実施形態16に記載の化合物又は塩である。
【0123】
実施形態19は、Rが、-CH又は-CHCHであり、Rが、水素、メチル、及びエチルからなる群から選択され、Zが-C=C-であり、nが0である、実施形態16に記載の化合物又は塩である。
【0124】
実施形態20は、Rが水素である、実施形態16~19のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0125】
実施形態21は、Rが-CHであり、Rが水素であり、Zが-CHCH-であり、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0126】
実施形態22は、化合物が、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール(実施例1)である、実施形態21に記載の化合物又は塩である。
【0127】
実施形態23は、Rが-CHCHであり、Rが水素であり、Zが-CHCH-であり、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0128】
実施形態24は、化合物が、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール(実施例4)である、実施形態23に記載の化合物又は塩である。
【0129】
実施形態25は、Rが-CHであり、Rが水素であり、Zが-C=C-であり、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0130】
実施形態26は、化合物が、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタ-3-エン-オール(実施例3)である、実施形態25に記載の化合物又は塩である。
【0131】
実施形態27は、Rが-CHCHであり、Rが水素であり、Zが-CHCHCH-であり、nが0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0132】
実施形態28は、化合物が、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロヘキサノール(実施例6)である、実施形態27に記載の化合物又は塩である。
【0133】
実施形態29は、製薬上許容される塩が、塩酸塩である、実施形態1~28のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0134】
実施形態30は、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量を、製薬上許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物である。
【0135】
実施形態31は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態30に記載の医薬組成物である。
【0136】
実施形態32は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態31に記載の医薬組成物である。
【0137】
実施形態33は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態32に記載の医薬組成物である。
【0138】
実施形態34は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも97%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態33に記載の医薬組成物である。
【0139】
実施形態35は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも98%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態34に記載の医薬組成物である。
【0140】
実施形態36は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも99%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態35に記載の医薬組成物である。
【0141】
実施形態37は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも99.5%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態36に記載の医薬組成物である。
【0142】
実施形態38は、式(II)の化合物又はその塩が、少なくとも99.8%の鏡像異性体過剰率で存在する、実施形態37に記載の医薬組成物である。
【0143】
実施形態39は、抗原を更に含む、実施形態30~38のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0144】
実施形態40は、ヒト又は動物における感染性疾患の治療における使用のための、実施形態30~39のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0145】
実施形態41は、ヒト又は動物において、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫感染症を治療する際に使用するための、実施形態40に記載の医薬組成物である。
【0146】
実施形態42は、ヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療する際に使用するための、実施形態30~38のいずれか1つに記載の医薬組成物である。
【0147】
実施形態43は、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物においてサイトカイン生合成を誘導する方法である。
【0148】
実施形態44は、実施形態2に準拠して、実施形態2及び4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物においてIFN-αの生合成を誘導する方法である。
【0149】
実施形態45は、実施形態2に準拠して、実施形態2及び4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物においてIFN-γの生合成を誘導する方法である。
【0150】
実施形態46は、実施形態2に準拠して、実施形態2及び実施形態4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物においてTNF-αの生合成を誘導する方法である。
【0151】
実施形態47は、実施形態2に準拠して、実施形態2及び4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することを含む、ヒト又は動物においてIP-10の生合成を誘導する方法である。
【0152】
実施形態48は、ヒト又は動物における感染性疾患の治療におけるワクチンアジュバントとしての使用のための、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0153】
実施形態49は、ヒト又は動物において、ウイルス、細菌、真菌、又は寄生虫感染を治療する際のワクチンアジュバントとして使用するための、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩である。
【0154】
実施形態50は、治療が、治療的又は予防的治療である、実施形態48又は49に記載の化合物又は塩である。
【0155】
実施形態51は、実施形態1~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量をヒト又は動物に投与することによって、ヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療する方法である。
【0156】
実施形態52は、実施形態2に準拠して、実施形態2及び実施形態4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量を投与することによって、ヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療することを含む、実施形態51に記載の方法である。
【0157】
実施形態53は、実施形態3に準拠して、実施形態3及び実施形態4~29のいずれか1つに記載の化合物又は塩の有効量を投与することによって、ヒト又は動物において腫瘍性疾患を治療することを含む、実施形態51に記載の方法である。
【0158】
実施形態54は、腫瘍性疾患が、膀胱がん、子宮頸部異形成、子宮頸がん、日光角化症、基底細胞癌腫、皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、HPV関連頭部及び頸がん(例えば、HPV陽性口腔咽頭扁平上皮癌腫)、カポジ肉腫、黒色腫、扁平上皮癌腫、腎細胞癌腫、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、食道がん、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態51~53のいずれか1つに記載の方法である。
【実施例
【0159】
本開示の目的及び利点を、本明細書に記載の実施例によって更に例示する。これらの実施例で引用される特定の物質及びそれらの量、並びにその他の条件及び詳細は、単なる例示にすぎず、本開示を制限することを意図するものではない。当業者は、本開示の全体を注意深く検討した後で、実施例に具体的に記載されたものに追加して、物質及び条件を使用できるであろう。
【0160】
化合物のカラムクロマトグラフィー精製は、ISOLARA HPFCシステム(Biotage,Inc(Charlottesville,VA)から入手可能な自動高性能フラッシュクロマトグラフィー精製器具)を用いて実施した。各精製に使用した溶離剤は、実施例中に記載する。
【0161】
プロトン核磁気共鳴(H NMR)分析は、BRUKER A500 NMR分光計(Bruker Corporation(Billerica,MA))を用いて行った。
【0162】
鏡像異性体過剰率(%ee)は、Daicel Chiralpak AGPカラム[100mm×4.0mm(5ミクロン)](株式会社ダイセル(日本、東京))を装備したAgilent 6130 LC-MS(Agilent Technologies(Santa Clara,CA))を用いて決定した。溶離剤組成物は、95%の、6mM酢酸アンモニウムを有する水、及び5%のアセトニトリルとした。流量は0.5mL/分とし、カラム温度は30℃とした。試料をアセトニトリル中で調製し、注入量は1マイクロリットルとした。
【0163】
ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)を、VWR International(Radnor,PA)から入手した。
【0164】
D-アラニンメチルエステル塩酸塩、炭素担持10%パラジウム、3-クロロ過安息香酸(57~86%、MCPBA)、N-メチルモルホリン、ジエチルエーテル(1.0M)中のアリルマグネシウムブロミド、テトラヒドロフラン(0.5M)中のペンタメチレン(ビスマグネシウムブロミド)、及びレザズリンナトリウム塩を、Sigma-Aldrich Company(St.Louis,MO)から入手した。
【0165】
オルトギ酸トリエチル、炭素担持3%白金、酢酸n-プロピル、パラ-トルエンスルホニルクロリド、及びピリジン塩酸塩を、Alfa Aesar Company(Haverhill,MA)から入手した。
【0166】
(2R)-2-アミノ酪酸、ジ-tert-ブチルジカーボネート、3-クロロ過安息香酸(80%、MCPBA)、及びテトラブチルアンモニウムクロリドを、Oakwood Products Incorporated(Estill,SC)から入手した。
【0167】
1,1’-ジ-n-オクチル-4,4’-ビピリジニウムジブロミドを、TCI America(Portland,OR)から入手した。
【0168】
ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム[CAS番号246047-72-3]を、Oxchem Corporation(Wood Dale,IL)から入手した。
【0169】
抗生物質/抗真菌溶液(ペニシリンG10,000U/mL、ストレプトマイシン10,000マイクログラム/mL、アンホテリシンB 25マイクログラム/mLを含有)を、HyClone Laboratories(South Logan,UT)から入手した。
【0170】
実施例1
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール
【化12】
A剤
D-アラニンメチルエステル塩酸塩(13.9g、100mmol)のジクロロメタン250mL中懸濁液を、トリエチルアミン(42mL、300mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(24.5g、110mmol)と合わせた。周囲温度で24時間撹拌した後、反応混合物を5%NaHPO溶液と合わせ、層を分離した。有機部分を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、メチル(2R)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパノエート17.6gを無色の油として得た。
【0171】
B剤
メチル(2R)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパノエート(2.46g、12.1mmol)の無水ジエチルエーテル200mL中撹拌溶液を、窒素雰囲気下で-40℃に冷却した。アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル(50mL、50mmol)中1.0M溶液を10分かけて滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を周囲温度に加温し、更に3.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NHClの飽和水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。層を分離し、有機部分を水及びブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、7~20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1R)-2-アリル-2-ヒドロキシ-1-メチル-ペンタ-4-エニル]カルバメート2.36gを無色の油として得た。
【0172】
C剤
tert-ブチルN-[(1R)-2-アリル-2-ヒドロキシ-1-メチル-ペンタ-4-エニル]カルバメート(2.31g、9.06mmol)の乾燥ジクロロメタン50mL中溶液を、窒素流で脱気し、次いで、ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィ)ルテニウム(40mg)と合わせた。この溶液を37℃で加熱し、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を通して空気をバブリングし、次いで、反応混合物を5mLの体積まで減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、25%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)エチル]カルバメート1.72gを淡橙色シロップとして得た。
【0173】
D剤
tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)エチル]カルバメート(1.72g、7.76mmol)のエタノール10mL中溶液を、濃塩酸2mLと合わせた。撹拌した反応混合物を還流下で90分間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、褐色シロップを得た。アセトニトリルから結晶化して、1-[(1R)-1-アミノエチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール塩酸塩702mgを淡褐色結晶として得た。
【0174】
E剤
4-クロロ-3-ニトロキノリン(892mg、4.29mmol)のジクロロメタン30mL中溶液を、1-[(1R)-1-アミノエチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール塩酸塩(702mg、4.29mmol)及びトリエチルアミン(1.79mL、12.9mmol)と合わせた。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、次いで濃縮して、黄色固体を得た。この固体を、酢酸エチル50mLに溶解し、水(2回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。酢酸エチルから結晶化して、1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール975mgを黄色結晶として得た。
【0175】
F剤
1-[(1R)-1-[3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(975mg、3.26mmol)のアセトニトリル30mL中懸濁液を圧力瓶に入れ、炭素担持3%白金100mgと合わせた。次いで、この瓶を水素雰囲気下(40PSI)で2時間振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチルシクロペンタ-3-エン-1-オールと1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノールとの1:1混合物851mgを橙色の泡として得た。
【0176】
G剤
酢酸n-プロピル20mL中のF剤(851mg、3.15mmol)からの混合物の溶液を、オルトギ酸トリエチル(1.1mL、6.6mmol)及びピリジン塩酸塩100mgと合わせ、この混合物を100℃で一晩加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル50mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の泡を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタ-3-エン-1-オールと1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタノールとの1:1混合物670mgを白色固体として得た。
【0177】
H剤
メタノール10mLに溶解したG剤からの混合物の溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持10%パラジウム50mgと合わせた。次いで、この瓶を水素雰囲気下(40PSI)で一晩振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、1-[(1R)-1-[3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノール760mgをオフホワイト色の泡として得た。
【0178】
I剤
1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタノール(670mg、2.38mmol)のジクロロメタン25mL中溶液を、MCPBA(57~86%)718mgと合わせ、45分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分を、ジクロロメタンの2つの追加の部分で更に抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0179】
琥珀色の泡をジクロロメタン20mLに溶解し、次いで、濃NHOH溶液8mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(499mg、2.62mmol)と合わせた。50分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、淡褐色シロップを得、これをアセトニトリルから結晶化して、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール222mgを淡黄色結晶として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.56(s、1H)、8.31(d、J=8.3Hz、1H)、7.74(dd、J=1.1、8.3Hz、1H)、7.52(m、1H)、7.37(m、1H)、5.30(m、1H)、1.94-1.87(m、3H)、1.80-1.75(m、2H)、1.78(d、J=6.9Hz、3H)、1.63-1.56(m、2H)、1.28(m、1H)。鏡像異性体過剰率は、上記のLC-MSアッセイを用いて、>99%であると判定した。
【0180】
実施例2
1-[(1S)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール
【化13】
A剤
L-アラニンメチルエステル塩酸塩(13.9g、100mmol)のジクロロメタン250mL中懸濁液を、トリエチルアミン(42mL、300mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(24.5g、110mmol)と合わせた。周囲温度で24時間撹拌した後、反応混合物を5%NaHPO溶液と合わせ、層を分離した。有機部分を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、メチル(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパノエート18.6gを無色の油として得た。
【0181】
B剤
メチル(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]プロパノエート(2.14g、10.5mmol)の無水ジエチルエーテル200mL中撹拌溶液を、窒素雰囲気下で-40℃に冷却した。アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル(42mL、42mmol)中1.0M溶液を10分かけて滴下添加した。添加が完了した後、反応混合物を周囲温度に加温し、更に3.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NHClの飽和水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。層を分離し、有機部分を水及びブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、tert-ブチルN-[(1S)-2-アリル-2-ヒドロキシ-1-メチル-ペンタ-4-エニル]カルバメート2.65gを無色シロップとして得た。
【0182】
C剤
tert-ブチルN-[(1S)-2-アリル-2-ヒドロキシ-1-メチル-ペンタ-4-エニル]カルバメート(2.65g、10.4mmol)の乾燥ジクロロメタン100mL中溶液を、窒素流で脱気し、次いで、ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(111mg)と合わせた。溶液を37℃で加熱し、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムの追加の71mgを添加し、反応を37℃で更に24時間継続した。反応混合物を通して空気をバブリングし、次いで、反応混合物を減圧下で濃縮して、褐色シロップを得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、10~35%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)エチル]カルバメート1.47gを無色シロップとして得た。
【0183】
D剤
tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)エチル]カルバメート(1.47g、6.48mmol)のメタノール15mL中溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持10%パラジウム100mgと合わせた。次いで、この瓶を水素雰囲気下(39PSI)で2時間振盪した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンチル)エチル]カルバメート1.48gを無色シロップとして得た。
【0184】
E剤
tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンチル)エチル]カルバメート(1.48g、6.46mmol)のエタノール10mL中溶液を、濃塩酸2mLと合わせた。撹拌した反応混合物を還流下で90分間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、シロップを得た。シロップをエタノールから、次いでアセトニトリルから濃縮して、1-[(1S)-1-アミノエチル]シクロペンタノール塩酸塩1.04gを淡紫色シロップとして得た。
【0185】
F剤
4-クロロ-3-ニトロキノリン(1.31g、6.30mmol)のジクロロメタン40mL中溶液を、1-[(1S)-1-アミノエチル]シクロペンタノール塩酸塩(1.04g、6.30mmol)及びトリエチルアミン(2.63mL、18.9mmol)と合わせた。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、次いで濃縮して、黄色固体を得た。この固体を酢酸エチル50mLに溶解し、水(2回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。酢酸エチルから結晶化して、1-[(1S)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノール1.13gを黄色結晶として得た。
【0186】
G剤
1-[(1S)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノール(1.13g、3.75mmol)のアセトニトリル25mL中溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持3%白金100mgと合わせた。次いで、この瓶を水素雰囲気下(40PSI)で4時間振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、1-[(1S)-1-[3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノール1.02gをオフホワイト色固体として得た。
【0187】
H剤
1-[(1S)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタノール(1.02g、3.75mmol)の酢酸n-プロピル40mL中溶液を、オルトギ酸トリエチル(1.88mL、11.3mmol)及びピリジン塩酸塩50mgと合わせ、この混合物を100℃で一晩加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル25mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の油を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1S)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタノール780mgをオフホワイト色の泡として得た。
【0188】
I剤
1-[(1S)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル」シクロペンタノール(780mg、2.78mmol)のジクロロメタン20mL中溶液を、MCPBA(57~86%)597mgと合わせ、45分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分を、ジクロロメタンの2つの追加の部分で更に抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0189】
琥珀色の泡をジクロロメタン30mLに溶解し、次いで、濃NHOH溶液10mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(583mg、3.06mmol)と合わせた。50分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%メタノール/クロロホルム~15%メタノール/クロロホルム)により精製して、淡橙色シロップを得、これをアセトニトリルから結晶化して、1-[(1S)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタノール194mgを淡黄色結晶として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.56(s、1H)、8.31(d、J=8.3Hz、1H)、7.74(dd、J=1.1、8.3Hz、1H)、7.52(m、1H)、7.37(m、1H)、5.30(m、1H)、1.94-1.87(m、3H)、1.80-1.75(m、2H)、1.78(d、J=6.9Hz、3H)、1.63-1.56(m、2H)、1.28(m、1H)。鏡像異性体過剰率は、上記のLC-MSアッセイを用いて、>99%であると判定した。
【0190】
実施例3
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール
【化14】
A剤
1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(870mg、2.91mmol)のジクロロメタン20mL中懸濁液を、炭酸カリウム2.20g、及び水10mLに溶解したジチオン酸ナトリウム2.53gを含有する溶液と合わせた。次いで、1,1’-ジ-n-オクチル-4,4’-ビピリジニウムジブロミド(77mg)を添加し、深青緑色の溶液を38℃で一晩加熱した。次いで、反応混合物を、炭酸カリウムの追加の220mg及び亜ジチオン酸ナトリウム253mgと合わせ、加熱を2時間継続した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水(2回)及びブラインで順次洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、橙色シロップを得た。このシロップを、ジクロロメタンで溶出するシリカゲルの小さなカラムに通した。溶離液を濃縮して、1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール770mgを淡橙色の泡として得た。
【0191】
B剤
1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(770mg、2.86mmol)の酢酸n-プロピル20mL中溶液を、オルトギ酸トリエチル(1.5mL、9.0mmol)及びピリジン塩酸塩100mgと合わせた。この混合物を100℃で一晩加熱した。次いで、反応混合物を数滴の水と合わせ、加熱を更に30分間継続した。冷却した反応混合物を酢酸エチル50mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の泡を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール293mgを白色固体として得た。
【0192】
C剤
1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルエチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(293mg、1.05mmol)のジクロロメタン10mL中溶液を、MCPBA(80%)227mgと合わせ、15分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分を、ジクロロメタンの2つの追加の部分で抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0193】
琥珀色の泡をジクロロメタン8mLに溶解し、次いで、濃NHOH溶液3mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(220mg、1.16mmol)と合わせた。50分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、淡褐色シロップを得、これをアセトニトリルから結晶化して、1-(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール60mgを淡黄色結晶として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.62(s、1H)、8.27(dd、J=0.8、8.3Hz、1H)、7.74(dd、J=1.0、8.4Hz、1H)、7.52(ddd、J=1.3、7.1、8.3Hz、1H)、7.35(ddd、J=1.3、7.1、8.3Hz、1H)、5.77(m、1H)、5.61(m、1H)、5.39(q、J=6.9Hz、1H)、2.88(m、1H)、2.58(m、1H)、2.45(m、1H)、2.08(m、1H)、1.79(d、J=6.9Hz、3H)。
【0194】
実施例4
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール
【化15】
A剤
(2R)-2-アミノ酪酸(5.00g、48.5mmol)の無水エタノール75mL中懸濁液に、パラ-トルエンスルホン酸一水和物(11.3g、59.5mmol)を添加した。混合物を還流下で一晩加熱し、次いで減圧下で濃縮した。得られたガラス状残留物をジエチルエーテル150mLと合わせ、混合物を数時間迅速に撹拌して白色粉末を生成した。粉末を濾過により単離し、ジエチルエーテルですすぎ、真空下で乾燥させて、エチル(2R)-2-アミノブタノエート塩酸塩14.0gを白色粉末として得た。
【0195】
B剤
エチル(2R)-2-アミノブタノエート塩酸塩(7.58g、25.0mmol)のジクロロメタン100mL中懸濁液を、トリエチルアミン(10.4mL、75.0mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(6.00g、27.5mmol)と合わせた。周囲温度で24時間撹拌した後、反応混合物を5%NaHPO溶液と合わせ、層を分離した。有機部分を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、エチル(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノエート5.40gを無色の油として得た。
【0196】
C剤
エチル(2R)-2-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノエート(2.31g、10.0mmol)の無水ジエチルエーテル200mL中撹拌溶液を、窒素雰囲気下で-40℃に冷却した。アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル(50mL、50mmol)中1.0M溶液を10分かけて滴下添加した。添加を完了した後、反応混合物を周囲温度に加温し、更に3.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NHClの飽和水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。層を分離し、有機部分を水及びブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、15~20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1R)-2-アリル-1-エチル-2-ヒドロキシ-ペンタ-4-エニル]カルバメート1.85gを無色の油として得た。
【0197】
D剤
tert-ブチルN-[(1R)-2-アリル-1-エチル-2-ヒドロキシ-ペンタ-4-エニル]カルバメート(1.85g、6.88mmol)の乾燥ジクロロメタン50mL中溶液を、窒素流で脱気し、次いで、ベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィ)ルテニウム(60mg)と合わせた。この溶液を37℃で加熱し、窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を通して空気をバブリングし、次いで、反応混合物を減圧下で5mLの体積まで濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、12~25%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)プロピル]カルバメート942mgを藤色シロップとして得た。
【0198】
E剤
tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)プロピル]カルバメート(942g、3.91mmol)のエタノール10mL中溶液を、濃塩酸1mLと合わせた。撹拌した反応混合物を還流下で90分間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、1-[(1R)-1-アミノプロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール塩酸塩693mgを褐色シロップとして得た。
【0199】
F剤
トリエチルアミン(1.62mL、11.7mmol)及び4-クロロ-3-ニトロキノリン(808mg、3.89mmol)を、1-[(1R)-1-アミノプロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール塩酸塩(690mg、3.89mmol)のジクロロメタン20mL中懸濁液に添加し、得られた反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して、黄色固体を得た。固体を酢酸エチル50mLに溶解し、水(2回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、褐色シロップを得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~5%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル」シクロペンタ-3-エン-1-オール1.22gを黄色シロップとして得た。
【0200】
G剤
1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(1.22g、3.90mmol)のジクロロメタン20mL中懸濁液を、炭酸カリウム2.97g及びジチオン酸ナトリウム3.39gを含有する水溶液10mLと合わせた。次いで、1,1’-ジ-n-オクチル-4,4’-ビピリジニウムジブロミド(105mg)を添加し、深青緑色の溶液を38℃で一晩加熱した。次いで、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、水(2回)及びブラインで順次洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、橙色シロップを得た。シロップを、10%メタノール/クロロホルムで溶出させるシリカゲルの小さいカラムに通した。回収した溶出液を濃縮して、1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール942mgを淡橙色の泡として得た。
【0201】
H剤
1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]エチル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(942mg、3.33mmol)の酢酸n-プロピル20mL中溶液を、オルトギ酸トリエチル(0.83mL、4.99mmol)及びピリジン塩酸塩100mgと合わせた。混合物を100℃で一晩加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル50mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の泡を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~7.5%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール625mgを藤色の泡として得た。
【0202】
I剤
1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール(625mg、2.13mmol)のメタノール15mL中溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持10%パラジウム50mgと合わせた。次いで、この瓶を、水素雰囲気下(32PSI)で一晩振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色シロップを得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~5%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタ-3-エン-1-オール625mg及び1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタノール465mgをオフホワイト色の泡として得た。
【0203】
J剤
1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタノール(465mg、1.58mmol)のジクロロメタン20mL中溶液を、MCPBA(80%)339mgと合わせ、45分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分を、ジクロロメタンの2つの追加の部分で更に抽出した。合わせた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0204】
この泡をジクロロメタン20mLに溶解し、次いで、濃NHOH溶液7mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(331mg、1.74mmol)と合わせた。90分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、2%メタノール/クロロホルム~15%メタノール/クロロホルム)により精製して、淡褐色の泡を得、これをアセトニトリルから結晶化して、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール160mgを琥珀色針状物質として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.49(s、1H)、8.36(dd、J=0.8、8.3Hz、1H)、7.74(dd、J=1.0、8.4Hz、1H)、7.52(ddd、J=1.2、7.0、8.4Hz、1H)、7.36(ddd、J=1.3、7.0、8.3Hz、1H)、5.12(dd、J=3.4、11.6Hz、1H)、2.31(m、1H)、2.21(m、1H)、1.95-1.88(m、3H)、1.81-1.70(m、2H)、1.61-1.54(m、2H)、1.17(m、1H)、0.83(t、J=7.4Hz、3H)。鏡像異性体過剰率は、上記のLC-MSアッセイを用いて、>99%であると判定した。
【0205】
実施例5
1-[(1S)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール
【化16】
A剤
メタノール150mLを含有する丸底フラスコを氷浴に入れ、塩化チオニル(8.03mL、110mmol)をゆっくりと15分かけて、撹拌しながら添加した。次に、(2S)-2-アミノ酪酸(10.3g、100mmol)をフラスコに添加し、反応物を還流下で2時間加熱した。次いで、反応物を冷却し、減圧下で濃縮した。残留物を、アセトニトリルから、次いでトルエンから、順次濃縮して、メチル(2S)-2-アミノブタノエート塩酸塩15.3gを白色粉末として得た。
【0206】
B剤
メチル(2S)-2-アミノブタノエート塩酸塩(15.0g、98mmol)のジクロロメタン300mL中懸濁液を氷浴中で冷却し、次いで、トリエチルアミン(40.9mL、294mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(21.3g、98mmol)を添加した。氷浴を外し、反応物を周囲温度で24時間撹拌した。次いで、NaHPOの5%溶液を反応混合物に添加し、層を分離した。有機部分を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液(2回)、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、メチル(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ブタノエート19.5gを無色の油として得た。
【0207】
C剤
メチル(2S)-2-アミノブタノエート塩酸塩(15.0g、98mmol)のジクロロメタン300mL中懸濁液を氷浴中で冷却し、次いで、トリエチルアミン(40.9mL、294mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(21.3g、98mmol)を添加した。氷浴を外し、反応物を周囲温度で24時間撹拌した。次いで、NaHPOの5%溶液を反応混合物に添加し、層を分離した。有機部分を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液(2回)、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、メチル(2S)-2-[(tert-ブトキシカルボニルアミノ]ブタノエート19.5gを無色の油として得た。
【0208】
D剤
メチル(2S)-2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)ブタノエート(3.00g、13.8mmol)の無水ジエチルエーテル200mL中撹拌溶液を、窒素雰囲気下で-20℃に冷却した。アリルマグネシウムブロミドのジエチルエーテル(60mL、60mmol)中1.0M溶液を、10分かけて滴下添加した。添加を完了した後、反応混合物を周囲温度に加温し、更に4時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷浴に入れ、NHClの飽和水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。層を分離し、有機部分を水及びブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮して、tert-ブチルN-[(1S)-2-アリル-1-エチル-2-ヒドロキシ-ペンタ-4-エニル]カルバメート3.54gを無色の油として得た。
【0209】
E剤
丸底フラスコに、3-ブロモピリジン(0.5mL)及びベンジリデン[1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(110mg)を充填し、反応物を5分間撹拌した。ヘキサン(15mL)をフラスコに加え、混合物を濾過して、淡緑色固体102mgを得た。この固体を、tert-ブチルN-[(1S)-2-アリル-1-エチル-2-ヒドロキシ-ペンタ-4-エニル]カルバメート(3.54g、13.2mmol)の、窒素流下で脱気した乾燥ジクロロメタン50mL中撹拌溶液に添加した。反応物を45℃で加熱し、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。反応混合物を通して空気をバブリングし、次いで、反応混合物を減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5~30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)プロピル]カルバメート1.79gを淡橙色シロップとして得た。
【0210】
F剤
tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンタ-3-エン-1-イル)プロピル]カルバメート(1.79g、7.43mmol)のメタノール15mL中溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持10%パラジウム100mgと合わせた。次いで、この瓶を水素雰囲気下(40PSI)で2時間振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、淡黄色のシロップを得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンチル)プロピル]カルバメート1.21gを白色固体として得た。
【0211】
G剤
tert-ブチルN-[(1S)-1-(1-ヒドロキシシクロペンチル)プロピル]カルバメート(1.21g、4.98mmol)のエタノール15mL中溶液を、濃塩酸2mLと合わせた。撹拌した反応混合物を還流下で90分間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、シロップを得た。アセトニトリルからこのシロップを濃縮して、1-[(1S)-1アミノプロピル]シクロペンタノール塩酸塩840mgを藤色固体として得た。
【0212】
H剤
4-クロロ-3-ニトロキノリン(972mg、4.67mmol)のジクロロメタン25mL中溶液を、1-[(1S)-1-アミノプロピル]シクロペンタノール塩酸塩(840mg、4.67mmol)及びトリエチルアミン(1.95mL、14.0mmol)と合わせた。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、次いで濃縮して、黄色固体を得た。この固体を酢酸エチル50mLに溶解し、水(2回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、褐色シロップを得た。ヘキサン/酢酸エチルから結晶化して、1-[(1S)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタノール840mgを黄色固体として得た。結晶の第2のクロップ(260mg)を入手した。
【0213】
I剤
1-[(1S)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタノール(1.02g、3.24mmol)のアセトニトリル25mL中溶液を圧力瓶に入れ、炭素担持3%白金70mgと合わせた。次いで、この瓶を、水素雰囲気下(44PSI)で90分間振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、1-[(1S)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタノール0.91gを黄色固体として得た。
【0214】
J剤
1-[(1S)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタノール(0.91g、3.19mmol)の酢酸n-プロピル40mL中溶液を、オルトギ酸トリエチル(1.59mL、9.58mmol)及びピリジン塩酸塩50mgと合わせ、この混合物を100℃で一晩加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル25mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の泡を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1S)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタノール840mgを琥珀色固体として得た。
【0215】
K剤
1-[(1S)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロペンタノール(840mg、2.85mmol)のジクロロメタン25mL中溶液を、MCPBA(80%)612mgと合わせ、45分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分を、ジクロロメタン部分の2つの追加の20mLの部分で更に抽出した。合わせた有機部分を、水(2回)及びブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0216】
この泡をジクロロメタン25mLに溶解し、次いで、濃NHOH溶液10mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(597mg、3.14mmol)と合わせた。60分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、NHOHで飽和させた5%メタノール/クロロホルム~NHOHで飽和させた7.5%メタノール/クロロホルム)により精製して、ガラス状固体を得、これをアセトニトリル/メタノールから結晶化して、1-[(1S)-1-[4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロペンタノール251mgを琥珀色針状物質として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.49(s、1H)、8.37(dd、J=1.0、8.3Hz、1H)、7.75(dd、J=1.0、8.4Hz、1H)、7.53(ddd、J=1.3、7.0、8.3Hz、1H)、7.37(ddd、J=1.3、7.0、8.3Hz、1H)、5.13(dd、J=3.5、11.6Hz、1H)、2.31(m、1H)、2.21(m、1H)、1.95-1.88(m、3H)、1.81-1.70(m、2H)、1.61-1.54(m、2H)、1.17(m、1H)、0.83(t、J=7.4Hz、3H)。鏡像異性体過剰率は、上記のLC-MSアッセイを用いて、>99%であると判定した。
【0217】
実施例6
1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロヘキサノール
【化17】
A剤
エチル(2R)-2-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ブタノエート(1.78g、7.71mmol)の無水ジエチルエーテル30mL中撹拌溶液を、窒素雰囲気下で-78℃に冷却した。ペンタメチレン(ビスマグネシウムブロミド)のジエチルエーテル(18mL、9.0mmol)中0.5M溶液を、10分かけて滴下添加した。添加を完了した後、反応混合物を0℃に加温し、更に2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、NHCl飽和水溶液を注意深く添加することによってクエンチした。層を分離し、有機部分を水及びブラインで洗浄し、MgSOで脱水し、濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、10~20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロヘキシル)プロピル]カルバメート0.59gを無色の油として得た。
【0218】
B剤
tert-ブチルN-[(1R)-1-(1-ヒドロキシシクロヘキシル)プロピル]カルバメート(0.59g、2.30mmol)のエタノール10mL中溶液を、濃塩酸3mLと合わせた。撹拌した反応混合物を還流下で2時間加熱し、次いで減圧下で濃縮して、藤色シロップを得た。
【0219】
C剤
B剤からの藤色シロップをジクロロメタン10mL中に懸濁し、次いで、トリエチルアミン(0.80mL、5.75mmol)及び4-クロロ-3-ニトロキノリン(404mg、1.94mmol)と合わせた。反応混合物を窒素雰囲気下で一晩撹拌し、次いで濃縮して、黄色固体を得た。この固体を、酢酸エチル50mLに溶解し、水(2回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。酢酸エチル/ヘキサンから結晶化して、1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロヘキサノール262mgを黄色結晶として得た。
【0220】
D剤
1-[(1R)-1-[(3-ニトロ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロペンタノール(262mg、0.80mmol)のアセトニトリル10mL中懸濁液を圧力瓶に入れ、炭素担持3%白金100mgと合わせた。この瓶を、水素雰囲気下(40PSI)で90分間振盪した。反応混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロヘキサノール230mgを琥珀色シロップとして得た。
【0221】
E剤
1-[(1R)-1-[(3-アミノ-4-キノリル)アミノ]プロピル]シクロヘキサノール(230mg、0.77mmol)の酢酸n-プロピル10mL中溶液を、オルトギ酸トリエチル(0.25mL、1.51mmol)及びピリジン塩酸塩75mgと合わせた。得られた混合物を100℃で一晩加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチル50mLで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及びブラインで、順次洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、淡褐色の泡を得た。カラムクロマトグラフィー(SiO、1%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロヘキサノール188mgを琥珀色シロップとして得た。
【0222】
F剤
1-[(1R)-1-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イルプロピル]シクロヘキサノール(188mg、0.61mmol)のジクロロメタン15mL中溶液を、MCPBA(57~86%)184mgと合わせ、45分間撹拌した。反応混合物を10%炭酸ナトリウム水溶液と合わせ、層を分離した。水性部分をジクロロメタンの2つの追加の部分で更に抽出し、合わせた有機部分をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、濃縮して、琥珀色の泡を得た。
【0223】
この泡をジクロロメタン15mLに溶解し、濃NHOH溶液5mL及びパラ-トルエンスルホニルクロリド(127mg、0.67mmol)と合わせた。50分間迅速に撹拌した後、反応混合物をジクロロメタン25mLで希釈し、水(3回)及びブラインで洗浄した。有機部分をNaSOで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、5%メタノール/クロロホルム~10%メタノール/クロロホルム)により精製して、淡褐色シロップを得た。このシロップをエタノールに溶解し、続いて濃塩酸0.25mLを添加した。混合物を減圧下で濃縮し、続いてイソプロパノール/ヘキサンから結晶化して、1-[(1R)-1-(4-アミノイミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)プロピル]シクロヘキサノール塩酸塩51mgを白色粉末として得た。H NMR(500MHz、CDOD)δ8.62(dd、J=0.6、8.4Hz、1H)、8.58(s、1H)、7.82(dd、J=1.0、8.4Hz、1H)、7.77(m、1H)、7.65(m、1H)、5.07(dd、J=3.5、11.8Hz、1H)、2.32(m、1H)、2.20(m、1H)、1.98(m、1H)、1.74-1.62(m、4H)、1.55(m、1H)。1.42-1.22(m、3H)、1.09(m、1H)、0.81(t、J=7.4Hz、3H)。
【0224】
ヒト細胞におけるサイトカイン誘導
健康なヒト供与者からの全血を、静脈穿刺によって、EDTAを含有するバキュテイナー管又はシリンジに採取した。密度勾配遠心分離により、ヒト末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)を全血から分離した。Histopaque 1077(15mL、Sigma(St.Louis,MO))を、6×50mL滅菌ポリプロピレン製の円錐形の管に移した。Histopaqueに、ハンクス平衡塩溶液(Hank’s Balanced Salts Solution、HBSS)(Gibco,Life Technologies(Grand Island NY))中で1:2に希釈した血液15~25mLを重層した。次いで、この管を、1370rpm、30分、20℃、中断なしで遠心分離した(400×g、GH 3.8A Rotor)。
【0225】
PBMCを含有する境界面(軟膜)を回収し、新たな滅菌50mL円錐形ポリプロピレン製の遠心管に入れた。PBMCを等量のHBSSと混合し(境界面から約20mL、及びHBSS約20mL)、次いで、1090rpm、10分、20℃、中断ありで遠心分離した(270×g、GH 3.8A Rotor)。遠心分離を完了した後、細胞を、2~3mLのACK赤血球溶解バッファー(塩化アンモニウムカリウム溶液、Gibco,Life Technologies)に再懸濁し、20℃で2~5分間インキュベートした。次に、HBSS(40mL)を細胞に添加し、この試料を、270×g、10分、20℃で遠心分離した。上清をデカンテーションし、細胞ペレットを5mLのAIM V培地(Gibco,Life Technologies)に再懸濁した。細胞溶液をBD Falcon 70ミクロンナイロンセルストレーナ(BD Biosciences(San Jose,CA))を通して濾過することによって、細胞凝集体及び破片を除去した。
【0226】
生存細胞数を、Miltenyi FACS装置(Miltenyi Biotec Inc.(San Diego,CA))で計数することによって、又は血球計を用いることによって、決定した。血球計を用いて細胞生存率を決定するために、細胞を、0.4%トリパンブルー及びHBSS(具体的には、トリパンブルー50マイクロリットル+HBSS40マイクロリットル+細胞溶液10マイクロリットルをマイクロチューブに添加して混合した)中、1/10に希釈した。次いで、希釈した細胞10μLを血球計に適用し、生存PBMCの数を、顕微鏡により決定した。
【0227】
次いで、PBMC試料を、96ウェルプレート内で、8×10細胞/ウェルの濃度で、0.1mLのAIM-V培地中に再懸濁した。各化合物をDMSOに可溶化し、3mMの原液を調製した。次いで、原液をAIM-V培地で更に希釈して、段階希釈液を調製した。次いで、希釈化合物(100マイクロリットル)をPBMCに移し、最終化合物濃度が30、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.01マイクロモルの試験セット、又は最終化合物濃度が100、33.3、11.1、3.7、1.2、及び0.4マイクロモルの試験セットを得た。プレートは、陽性対照と陰性対照との両方も有した。陰性対照のウェルには、実施例の化合物なしで、AIM-V培地のみを含有させた。陽性対照ウェルには、30、10、3.3、1.1、0.37、0.12、0.04、0.01マイクロモルの濃度に段階的に希釈されたイミキモドの対照セット、又は100、33.3、11.1、3.7、1.2、及び0.4マイクロモルの濃度に段階的に希釈されたイミキモドの対照セットを含有させた。対照セットにおいて用いた濃度は、試験セットにおいて用いた濃度と一致するように選択した。次いで、プレートを、37℃/5%COで21~24時間培養した。96ウェルプレートを2100rpm、23℃で10分間遠心分離することによって、無細胞の上清を回収した。次いで、約160マイクロリットルの上清をNUNC 96ウェルプレートに保存し、圧縮キャップで覆い、サイトカイン分析を実施するまで-80℃で保管した。
【0228】
IFN-αサイトカインレベル(ピコグラム/mL)を、ELISA(ヒトIFN-α、pan特異的、Mabtech(Cincinnati,OH))によって測定した。IFN-γ及びTNF-αレベル(ピコグラム/mL)を、製造業者の指示に従って多重ビーズアッセイ(磁気ビーズ、R&D Systems(Minneapolis,MN)によって測定した。
【0229】
データを解析し、各化合物について、アッセイにおいて特定のサイトカインの誘導が観察された最小有効濃度(minimum effective concentration、MEC)を決定した。具体的には、各化合物の最小有効濃度(μM)は、測定されたサイトカイン応答を、陰性対照のウェルで観察されたレベルよりも少なくとも2倍高いレベル(ピコグラム/mL)で誘導した化合物の最低濃度として決定した。結果を表13に示す。表記「≦0.01」は、アッセイにおいて評価された化合物の最低濃度でサイトカイン誘導が観察されたことを示す。
【0230】
比較例は、米国特許第7,884,207号(Stoermer et al.)の実施例154に記載されている1-[(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル]シクロペンタノール(CAS番号879509-85-0)とした。
【表13】
【0231】
細胞生存率の決定
各化合物を、個々にDMSOに溶解し、次いで10%ウシ胎児血清(Corning Life Sciences(Tewksbury,MA))及び1倍の抗生物質/抗真菌液を含有するダルベッコ最小必須細胞培養培地(DMEM、Gibco,Life Technologies)に溶解した。200マイクロモルの化合物濃度中の最終DMSO濃度は、0.5%であった。
【0232】
ヒト真皮成体線維芽細胞(ATCC(Manassas,VA))を、10%ウシ胎児血清及び1倍の抗生物質/抗真菌液を含有する100マイクロリットルDMEM細胞培養培地に播種した(96ウェル組織培養ポリスチレンプレート中、7,500細胞/ウェル)。5%COを用いて37℃での加湿環境下で約18~24時間インキュベートした後、このウェルを、化合物濃度200マイクロモルでの細胞培養培地において化合物のうちの1つで個々に処理し、又はビヒクル(未処理)対照として細胞培養培地において0.5%DMSOで個々に処理した。次いで、この細胞を、5%COを使用して37℃での加湿環境下で24時間インキュベートした。細胞生存率は、O’Brien,J.et al.,European Journal of Biochemistry,2000,267(17):5421-5426に記載の手順に従って、レザズリンを使用して決定した。細胞生存率を、ビヒクル(未処理の)細胞対照に対して正規化した。表14では、実施例1、2、4、5の化合物について、及び1-[(4-アミノ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)メチル]シクロペンタノール(比較例の化合物)について、平均細胞生存百分率(n=3)を報告している。
【表14】
【0233】
本明細書に引用した特許、特許文献、及び刊行物の全開示は、それぞれが個別に組み込まれたかのごとく、それらの全体が参照により組み込まれる。本発明に対する様々な改変及び変更は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載の例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、このような実施例及び実施形態は例としてのみ提示されており、本発明の範囲は、本明細書で以下のとおり記載される特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図しているものと理解されたい。