(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】検査装置、樹脂成形装置、切断装置、樹脂成形品の製造方法、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/01 20060101AFI20231201BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
G01N21/01 D
G01N21/84 E
(21)【出願番号】P 2021019795
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】尾関 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】水田 彩香
(72)【発明者】
【氏名】金山 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】陳 沿佑
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5761540(US,A)
【文献】特開平7-45197(JP,A)
【文献】特開2011-127993(JP,A)
【文献】特開2002-350355(JP,A)
【文献】特開2007-24873(JP,A)
【文献】特開2013-36948(JP,A)
【文献】特開2010-71721(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112284285(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
B29C 41/00-B29C 41/52
B29C 70/00-B29C 70/88
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像するように構成されたカメラと、
前記検査対象物に光を照射するように構成された同軸照明と、
を備え、
前記同軸照明は、
前記検査対象物と前記カメラとを結ぶ観察軸上において、前記観察軸に対して斜めになるように配置されたハーフミラーと、
前記観察軸とは異なる方向から前記ハーフミラーに向かって光を発するように構成された光源
部と、
前記光源部と前記ハーフミラーとの間に配置された板状部材であって、互いに略平行な複数のスリットが形成された板状部材と、
前記板状部材の配置を調整するように構成された調整部と、
を含
み、
前記光源部によって発された光は、前記ハーフミラーで反射して前記検査対象物に照射され、
前記調整部は、
前記板状部材と前記光源部との間の距離を調整するように構成された位置調整部と、
前記ハーフミラーに対する前記板状部材の角度を調整するように構成された角度調整機構と、
を含み、
前記位置調整部は、前記光源部と前記ハーフミラーとの間において前記板状部材を直線的に移動させるように構成された移動部材を含み、
前記角度調整機構は、
前記板状部材を保持するように構成されたクランパと、
前記クランパの回転軸となる軸部材と、
を含み、
前記移動部材と前記軸部材とは高さ方向においてずれている、検査装置。
【請求項2】
前記角度調整機構は、
前記軸部材の回転を停止させるように構成されたストッパ
を更に含む、請求項
1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記クランパは、前記軸部材の一部分を収容する孔部を含む、請求項
1又は請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記角度調整機構は、前記軸部材を支持すると共に前記移動部材に取り付けられている支持部材を含み、
前記支持部材は、
前記移動部材に取り付けられた支持部材本体部と、
前記支持部材本体部における前記移動部材の近傍と前記クランパとを連結する連結部とを含み、
前記支持部材本体部及び前記連結部の各々には、前記軸部材が貫通する貫通孔が形成されている、請求項
1から請求項3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記同軸照明は、前記調整部を覆うように構成された遮光カバーを含む、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
樹脂成形品を製造するように構成された樹脂成形機構と、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の検査装置と、
を備える、樹脂成形装置。
【請求項7】
切断対象物を切断することによって切断品を製造するように構成された切断機構と、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の検査装置と、
を備える、切断装置。
【請求項8】
樹脂成形品を製造するステップと、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の検査装置を用いて前記検査対象物を検査するステップと、
を含み、
前記検査対象物は、前記樹脂成形品を含む、樹脂成形品の製造方法。
【請求項9】
切断対象物を切断することによって切断品を製造するステップと、
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の検査装置を用いて前記検査対象物を検査するステップと、
を含み、
前記検査対象物は、前記切断対象物又は前記切断品を含む、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置、樹脂成形装置、切断装置、樹脂成形品の製造方法、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-187296号公報(特許文献1)は、同軸照明装置を開示する。この同軸照明装置は、ハーフミラーと、ハーフミラーに光を照射する光源部とを備えている。ハーフミラーは、観察対象であるワークとカメラ等の観察部とを結ぶ観察軸上に斜めに配置されている。光源部から射出された光は、ハーフミラーで反射してワークに照射される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているような同軸照明装置においては、観察対象に照射される光をなるべく均一にするために、ハーフミラーに入射する光の角度が所定角度であることが望ましい。ハーフミラーへの光の入射角度を調整するために、光源部とハーフミラーとの間に、互いに平行な複数のスリットが形成された板状部材を配置するという方法が考えられる。しかしながら、このような方法を採用したとしても、板状部材に形成されたスリットの精度次第では、多くの光のハーフミラーへの入射角度が所定角度にならない。その結果、観察対象(検査対象)に照射される光の偏りが大きくなる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、検査対象に照射される光の偏りを抑制可能な検査装置、樹脂成形装置、切断装置、樹脂成形品の製造方法、及び、切断品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う検査装置は、カメラと、同軸照明とを備えている。カメラは、検査対象物を撮像するように構成されている。同軸照明は、検査対象物に光を照射するように構成されている。同軸照明は、ハーフミラーと、光源部と、板状部材と、調整部とを含んでいる。ハーフミラーは、検査対象物とカメラとを結ぶ観察軸上において、観察軸に対して斜めになるように配置されている。光源部は、観察軸とは異なる方向からハーフミラーに向かって光を発するように構成されている。光源部によって発された光はハーフミラーで反射して検査対象物に照射される。板状部材は、光源部とハーフミラーとの間に配置されている。板状部材には、互いに略平行な複数のスリットが形成されている。調整部は、板状部材の配置を調整するように構成されている。
【0007】
本発明の他の局面に従う樹脂成形装置は、樹脂成形品を製造するように構成された樹脂成形機構と、上記検査装置とを備えている。
【0008】
本発明の他の局面に従う切断装置は、切断対象物を切断することによって切断品を製造するように構成された切断機構と、検査装置とを備えている。
【0009】
本発明の他の局面に従う樹脂成形品の製造方法は、樹脂成形品を製造するステップと、上記検査装置を用いて検査対象物を検査するステップとを含む。検査対象物は、樹脂成形品を含む。
【0010】
本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、切断対象物を切断することによって切断品を製造するステップと、上記検査装置を用いて検査対象物を検査するステップとを含む。検査対象物は、切断対象物又は前記切断品を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検査対象に照射される光の偏りを抑制可能な検査装置、樹脂成形装置、切断装置、樹脂成形品の製造方法、及び、切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】板状部材内で各スリットが想定よりも傾くことによって生じる問題点を説明するための図である。
【
図6】拡散板と板状部材との間の距離が短くなった状態における検査装置を模式的に示す図である。
【
図7】ハーフミラーに対する板状部材の角度を傾けた状態における検査装置を模式的に示す図である。
【
図8】樹脂成形装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図9】切断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
[1.概要]
図1は、本実施の形態に従う検査装置10を模式的に示す図である。検査装置10に含まれる同軸照明100に関しては、
図1において、その断面が示されている。矢印UDFBLRの各々が示す方向は、各図面において共通である。
【0015】
図1に示されるように、検査装置10は、同軸照明100と、カメラ200とを含んでいる。同軸照明100は、カメラ200と検査対象物300との間に配置される。同軸照明100は、検査対象物300の上方から検査対象物300に光を照射するように構成されている。カメラ200は、光が照射された状態の検査対象物300を検査対象物300の上方から撮像するように構成されている。検査装置10においては、カメラ200によって撮像された画像に基づいて、検査対象物300の表面の状態が検査される。
【0016】
検査対象物300は、例えば、電子素子が接続された樹脂成形前の基板、又は、電子素子が接続された基板が樹脂成形された後のパッケージ基板等である。パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板、QFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0017】
同軸照明100は、光源部125と、板状部材140と、ハーフミラー150と、筐体110とを含んでいる。光源部125は、基板121と、LED120と、拡散板130とを含んでいる。基板121の形状は略矩形状であり、基板121には複数のLED120が実装されている。基板121は、カメラ200の観察軸C1と略平行となるように配置されている。複数のLED120の各々は、ハーフミラー150に向かって光を発するように構成されている。
【0018】
拡散板130は、すりガラス状の薄板であり、LED120と板状部材140との間に配置されている。拡散板130の形状は、略矩形状である。拡散板130は、カメラ200の観察軸C1と略平行となるように配置されている。LED120によって発された光は、拡散板130において拡散する。すなわち、光源部125は、LED120により発された光が拡散板130において拡散することによって面発光する。
【0019】
板状部材140は、光源部125とハーフミラー150との間に配置されている。板状部材140の形状は、略矩形状である。板状部材140は、カメラ200の観察軸C1と略平行となるように配置されている。板状部材140においては、互いに略平行な複数のスリット(ルーバー)142が形成されている。板状部材140は、光源部125によって発される光の拡散を抑制し、光の平行度を向上させるように構成されている。板状部材140としては、例えば、ライトコントロールフィルム(Light Control Film)を適用することができる。
【0020】
ハーフミラー150は、カメラ200の観察軸C1上に配置されている。ハーフミラー150の反射面は、筐体110の内部において、観察軸C1に対して斜めになっている。ハーフミラー150の反射面は、例えば、観察軸C1に対して略45度傾いている。ハーフミラー150は、例えば、表面が誘電体多層膜又は金属薄膜等でコーティングされたガラス板で構成される。ハーフミラー150は、例えば、入射角が45度の光に対して、反射率が略50%となり、かつ、透過率が略50%となるように構成されている。
【0021】
筐体110は、光源部125、板状部材140及びハーフミラー150等を内部に収容している。筐体110は、例えば、アルミ合金等で構成される。筐体110の形状は、例えば、直方体状である。筐体110の内壁面のうち、例えば、ハーフミラー150と板状部材140との間の領域は、鏡面になっている。筐体110においては、カメラ200によって検査対象物300を観察するために、例えば、カメラ200側の面に、ガラスで構成された窓(不図示)が形成されている。また、筐体110においては、検査対象物300側の面に、光が射出するための光射出口(不図示)が形成されている。
【0022】
板状部材140を通過した光の多くが板状部材140に対して略垂直な方向に向くことによって、ハーフミラー150で反射した光は検査対象物300の全体に略均一に照射される。すなわち、板状部材140を通過した光の多くが板状部材140に対して略垂直となる場合には、照射される光の強さが検査対象物300の領域毎に大きく異なるという事態が生じにくい。
【0023】
[2.板状部材に起因して生じ得る問題点]
矢印FB方向において、板状部材140の面のうち拡散板130と対向する面に対して各スリット142が略垂直な方向に延びている場合には、板状部材140を通過した光の多くが板状部材140に対して略垂直な方向に向く。しかしながら、板状部材140内において各スリット142が延びる方向を板状部材140の生産時に制御することは困難である。
【0024】
図2は、板状部材140内で各スリット142が想定よりも傾くことによって生じる問題点を説明するための図である。
図2においては、理解の容易のため、スリット142の傾きが誇張されている。
図2に示されるように、この板状部材140においては、板状部材140の面のうち拡散板130と対向する面に対して各スリット142が略垂直な方向に延びていない。そのため、板状部材140を通過した光の多くが板状部材140に対して略垂直となっていない。その結果、ハーフミラー150で反射した光が検査対象物300の全体に略均一に照射されない。この例においては、検査対象物300の上面のうち、矢印F方向寄りの領域の方に矢印B方向寄りの領域よりも強い光が照射される。このように、検査対象物300に照射される光が偏ることによって、検査装置10においては、検査対象物300の表面状態の検査精度が低下する。
【0025】
このような問題を抑制するために、検査装置10においては、構成上の工夫が施されている。以下、検査装置10の構成について詳細に説明する。
【0026】
[3.検査装置の構成]
図3は、同軸照明100の上面を模式的に示す図である。
図4は、同軸照明100の正面を模式的に示す図である。
図5は、
図3のV-V断面を模式的に示す図である。なお、説明の容易のために、各図においては、同軸照明100の一部の内部が透過した状態が示されている。
【0027】
図3、
図4及び
図5を参照して、同軸照明100においては、矢印LR方向の各々の端部に調整部160が設けられている。調整部160は、板状部材140の配置を調整するように構成されている。具体的には、調整部160は、矢印FB方向における板状部材140の位置を調整可能であると共に、矢印LR方向に延びる軸(後述の軸部材166)を回転中心とする板状部材140の回転角度を調整可能である。すなわち、調整部160は、板状部材140の位置を調整する「位置調整部」と、板状部材140の回転角度を調整する「角度調整機構」とを含んでいる。
【0028】
調整部160は、クランパ163と、支持部材170(
図5)と、移動部材161と、操作部材162と、軸部材166と、ストッパ169(
図5)と、遮光カバー167とを含んでいる。調整部160に含まれる各部材は、金属製又は樹脂製である。また、調整部160に含まれる各部材の色は、黒色であることが好ましい。調整部160内に入り込んだ光が乱反射し、検査対象物300に照射される光に悪影響を与える可能性を低減するためである。
【0029】
上述の位置調整部は、光源部125とハーフミラー150との間において板状部材140を直線的に移動させるように構成された移動部材161を含んでいる。また、上述の角度調整機構は、主に、板状部材140を保持するように構成されたクランパ163と、クランパ163の回転軸となる軸部材166と、軸部材166の回転を停止させるように構成されたストッパ169とを含んでいる。また、角度調整機構は、軸部材166を支持すると共に移動部材161に取り付けられている支持部材170を含んでいる。支持部材170は、移動部材161に取り付けられた支持部材本体部165と、支持部材本体部165における移動部材161の近傍とクランパ163とを連結する連結部164とを含んでいる。支持部材本体165部及び連結部164の各々には、軸部材166が貫通する貫通孔が形成されている。
【0030】
クランパ163は、板状部材140を挟むことによって、板状部材140を保持するように構成されている。クランパ163は、支持部材170に接続されている。支持部材170は、略S字状の連結部164と、ブロック状の支持部材本体部165と、軸部材保持部168とを含んでいる。連結部164、支持部材本体部165及び軸部材保持部168は、一体的に形成されていてもよいし、別体として形成されていてもよい。連結部164、支持部材本体部165及び軸部材保持部168の各々が別体として形成される場合には、連結部164と支持部材本体部165との間が固定されると共に、支持部材本体部165と軸部材保持部168との間が固定される。
【0031】
支持部材本体部165の上端寄りの位置には孔が形成されており、該孔には、例えば、ねじ切り加工が施されている。該孔には移動部材161が貫通している。移動部材161は、例えば、矢印FB方向に延びるボールねじで構成される。支持部材本体部165に形成されている孔の位置は、矢印UD方向(高さ方向)において、軸部材166の位置よりも上方向にずれている。言い換えれば、移動部材161と前記軸部材とは高さ方向においてずれている。したがって、仮に移動部材161の色が黒色以外の色であったとしても、軸部材166とクランパ163との接続部付近から調整部160内に進入した光が移動部材161において乱反射する可能性は高くない。連結部164は、支持部材本体部165における移動部材161の近傍とクランパ163の端面とを連結している。
【0032】
移動部材161には、操作部材162が取り付けられている。操作部材162を回転操作することによって、移動部材161が回転する。移動部材161の回転に伴なって、支持部材170が矢印FB方向に移動する。その結果、板状部材140が矢印FB方向に移動する。すなわち、移動部材161の回転に伴なって、板状部材140は、拡散板130とハーフミラー150との間を直線的に移動する。このように、検査装置10において、調整部160の位置調整部は、操作部材162の回転操作によって、拡散板130とハーフミラー150との間における板状部材140の位置を調整することができる。
【0033】
クランパ163の端面には、軸部材166の一部分を収容する孔部H1が形成されている。孔部H1には、ねじ切り加工が施されている。軸部材166の一方の端部には、ねじ部S1が形成されている。孔部H1には、ねじ部S1が収容されている。これにより、軸部材166とクランパ163とは固定されている。
【0034】
支持部材170において、連結部164、支持部材本体部165及び軸部材保持部168の各々には、軸部材166が貫通する孔が形成されている。これらの孔に軸部材166を貫通させることによって、支持部材170は、軸部材166を支持している。連結部164、支持部材本体部165及び軸部材保持部168の各々に形成された孔にはねじ切り加工が施されておらず、軸部材166は、連結部164、支持部材本体部165及び軸部材保持部168の各々に対して回転可能である。
【0035】
軸部材166を回転させることによって、クランパ163が軸部材166を中心に回転する。クランパ163の回転に伴なって、クランパ163に保持された板状部材140も回転する。このように、検査装置10において、調整部160の角度調整機構は、軸部材166の回転操作によって、ハーフミラー150に対する板状部材140の角度を調整することができる。
【0036】
軸部材保持部168には、ストッパ169を収容する孔が形成されている。該孔は、軸部材166が貫通する孔とは略垂直な方向に延びている。例えば、該孔にはねじ切り加工が施されており、ストッパ169はねじで構成される。この場合に、軸部材保持部168の孔にストッパ169をねじ止めすることによって、ストッパ169と軸部材166との間に摩擦が生じる。この摩擦によって、軸部材166の回転が規制される。すなわち、ストッパ169は、軸部材166の回転を停止させる。ストッパ169によって、軸部材166の回転角度を固定すると共に、ハーフミラー150に対する板状部材140の角度を固定することができる。
【0037】
遮光カバー167は、軸部材保持部168及びストッパ169を覆うように構成されている。これにより、軸部材166と軸部材保持部168との接続部付近から調整部160内部への光の進入を抑制することができる。
【0038】
このように、検査装置10においては、拡散板130とハーフミラー150との間における板状部材140の位置が調整可能である。
【0039】
図6は、拡散板130と板状部材140との間の距離が短くなった状態における検査装置10を模式的に示す図である。
図6に示されるように、この検査装置10においては、例えば
図2で示される例と比較して、拡散板130と板状部材140との間の距離が短くなっている。
【0040】
板状部材140の面のうち拡散板130と対向する面に対して各スリット142が略垂直な方向に延びていなかったとしても、拡散板130と板状部材140との間の距離が短くなれば、拡散板130と板状部材140との間の距離が長い場合と比較して、板状部材140に対して略垂直な光がスリット142を通過しやすくなる。その結果、照射される光の強さが検査対象物300の領域毎に大きく異なるという事態が生じにくくなる。
【0041】
図7は、ハーフミラー150に対する板状部材140の角度を傾けた状態における検査装置10を模式的に示す図である。なお、
図7においては、理解の容易のため、スリット142の傾きが誇張されている。
【0042】
図7に示されるように、この検査装置10においては、板状部材140の面のうち拡散板130と対向する面に対して各スリット142が延びる方向が略垂直に近づくように、板状部材140が傾けられている。板状部材140の面のうち拡散板130と対向する面に対して各スリット142が延びる方向が略垂直に近づいているため、板状部材140を通過した光の多くが板状部材140に対して略垂直となる。その結果、ハーフミラー150で反射した光は検査対象物300の全体に略均一に照射される。
【0043】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う検査装置10においては、板状部材140の配置が調整可能となっている。したがって、検査装置10によれば、板状部材140の配置を調整することによって板状部材140を通過した光の進行方向を調整可能であるため、ハーフミラー150で反射して検査対象物300に照射される光の偏りを抑制することができる。
【0044】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0045】
上記実施の形態においては、本発明が検査装置に適用された例について説明したが、本発明は検査装置以外にも、例えば、樹脂成形装置又は切断装置に適用することができる。
【0046】
図8は、樹脂成形装置400の構成を模式的に示すブロック図である。
図8に示されるように、樹脂成形装置400は、樹脂成形機構410と、検査装置10とを含んでいる。樹脂成形機構410は、主に、成形型(不図示)と成形型を型締めする型締め機構(不図示)とを含んでいる。樹脂成形機構410は、成形型を型締めして成形対象物を樹脂成形することによって樹脂成形品を製造するように構成されている。検査装置10は、例えば、樹脂成形前の基板、又は、樹脂成形されたパッケージ基板である樹脂成形品を検査する。この場合には、樹脂成形前の基板、又は、樹脂成形されたパッケージ基板である樹脂成形品が検査対象物300ということになる。検査の例としては、樹脂成形前の基板に接続された電子素子の位置ずれ検査及びカウント検査、並びに、パッケージ基板の外観検査等が挙げられる。
【0047】
図9は、切断装置500の構成を模式的に示すブロック図である。
図9に示されるように、切断装置500は、切断機構510と、検査装置10とを含んでいる。切断機構510は、主に、ブレードを有するスピンドル部(不図示)を含んでおり、高速回転するブレードにより切断対象物を切断することによって切断品を製造するように構成されている。検査装置10は、例えば、切断対象物又は切断品を検査する。この場合には、切断対象物又は切断品が検査対象物300ということになる。検査の例としては、切断対象物であるパッケージ基板の樹脂成形された面の外観検査、及び、切断対象物であるパッケージ基板の樹脂成形されていない面の検査等が挙げられる。
【0048】
また、上記実施の形態において、検査装置10は、矢印FB方向における板状部材140の位置を調整可能であると共に、軸部材166を回転中心とする板状部材140の回転角度を調整可能となっていた。しかしながら、必ずしも両方の調整が可能である必要はない。すなわち、矢印FB方向における板状部材140の位置の調整、及び、軸部材166を回転中心とする板状部材140の回転角度の調整のいずれか一方のみが可能であってもよい。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれていることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が本発明において必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0050】
また、上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 検査装置、100 同軸照明、110 筐体、120 LED、121基板、125 光源部、130 拡散板、140 板状部材、142 スリット、150 ハーフミラー、160 調整部、161 移動部材、162 操作部材、163 クランパ、164 連結部、165 支持部材本体部、166 軸部材、167 遮光カバー、168 軸部材保持部、169 ストッパ、170 支持部材、200 カメラ、300 検査対象物、400 樹脂成形装置、410 樹脂成形機構、500 切断装置、510 切断機構、C1 観察軸、H1 孔部、S1 ねじ部。