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特許7394819倉庫内商品取引システム、倉庫内商品取引方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】倉庫内商品取引システム、倉庫内商品取引方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231201BHJP
【FI】
G06Q10/087
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021187436
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074443
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2022-03-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 高志
(72)【発明者】
【氏名】前田 久米男
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-104622(JP,A)
【文献】特許第7066921(JP,B1)
【文献】NEWSスクランブル,月刊マテリアルフロー,第56巻、第12号,株式会社流通研究社,2015年12月01日,第97、99ページ
【文献】入出庫在庫管理システムORBIS-VI冷蔵倉庫,2022年01月24日,https://web.archive.org/web/20220124223223/https://www.nsw.co.jp/solution/detail.html?ssid=orbis_reizou
【文献】鈴木邦成,図解 物流センターのしくみと実務,初版,日刊工業新聞社,2014年03月25日,第158-159ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引システムであって、
荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する管理部と、
前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部と、
前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管する移管部と、
前記仮想倉庫に移管された商品を出し取引を行わせる取引部と、を備え、
前記管理部が、異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更する倉庫内商品取引システム。
【請求項2】
前記管理部は、商品について、少なくとも前記取引部での取引の内容を、分散型台帳に記録して管理する請求項1に記載の倉庫内商品取引システム。
【請求項3】
前記管理部は、前記倉庫に保管している商品に設定されている商品期限を管理し、
前記判断部は、前記商品期限が、前記所定の条件を満たすかどうかを判断する請求項1または請項2に記載の倉庫内商品取引システム。
【請求項4】
前記判断部は、前記所定の条件を、複数段階のレベルで判定し、
前記取引部は、前記レベルに応じて、取引条件を変更可能である請求項1から3のいずれか1項に記載の倉庫内商品取引システム。
【請求項5】
前記商品が、複数個の商品を含むセット商品であって、
前記取引部は、前記セット商品の一部の商品の取引が可能であって、
前記管理部は、前記セット商品の一部の商品の取引が成立した場合に、当該取引された一部の商品の荷主および保管期間と、前記セット商品の他部の商品の荷主および保管期間とを管理する請求項1から4のいずれか1項に記載の倉庫内商品取引システム。
【請求項6】
倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引装置が実行する倉庫内商品取引方法であって、
荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理するステップと、
前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断するステップと、
前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管する移管ステップと、
前記仮想倉庫に移管された商品を出し取引を行わせるステップと、
異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更するステップと、
を含む倉庫内商品取引方法。
【請求項7】
倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引システムを、
荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する管理部、
前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部、
前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管する移管部、
前記仮想倉庫に移管された商品を出品し取引を行わせる取引部、
として機能させ、
更に、前記管理部が、異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更する機能を有するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷主から預かって保管している商品を、荷主同士で取引する倉庫内商品取引システム、倉庫内商品取引方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者が商品を購入する際、EC(electronic commerce)販売が主流になっているところ、倉庫に保管した商品の取引に関する技術が注目されている。例えば、特許文献1には、オンラインで注文を受けた商品を倉庫から指定の店舗に送り当該店舗で購入者に受け渡す販売形態を管理する技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、物理倉庫内に、流通チャネル毎の論理倉庫を作成し、チャネル別の在庫管理を行う技術が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-61036号公報
【文献】特開2019-109605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同じ倉庫(同一倉庫だけでなく、同一事業者の倉庫も含む)に保管している同一商品であっても、荷主によって販売チャネルが異なるため、出荷回転率が異なり、保管期間も異なる。そのため、ある荷主にとって出荷回転率が低く保管期間が長い商品であっても、他の荷主では出荷回転率が高く保管期間が短い商品である場合がある。そこで、荷主通りで取引して商品の荷主を変更することで、商品の出荷回転率を向上することが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1および2の技術では、同じ倉庫に商品を預けている荷主間で取引することができないため、出荷回転率が低く保管期間が長い商品の荷主を変更できず、商品の出荷回転率を向上することができない。
【0007】
また、商品を倉庫で保管し、保管している商品を消費者や小売店のもとに出荷する物流会社にとっても、倉庫保管手数料よりも、出荷手数料の方が高いため、商品の出荷回転率を上げることが望ましいという事情もある。
【0008】
そこで、本発明は、これらの課題に鑑み、倉庫に商品を預けている荷主間で取引することで、保管日数が長い商品であっても出荷回転率を向上することが可能な倉庫内商品取引システム、倉庫内商品取引方法、およびプログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引システムであって、荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する管理部と、前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部と、前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管する移管部と、前記仮想倉庫に移管された商品を出品し取引を行わせる取引部と、を備え、前記管理部が、異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更する倉庫内商品取引システムを提供する。
【0011】
(2)(1)の倉庫内商品取引システムであって、前記管理部は、商品について、少なくとも前記取引部での取引の内容を、分散型台帳に記録して管理する倉庫内商品取引システムを提供する。
【0012】
(3)(1)またはから(2)の倉庫内商品取引システムであって、前記管理部は、前記倉庫に保管している商品に設定されている商品期限を管理し、前記判断部は、前記商品期限が、前記所定の条件を満たすかどうかを判断する倉庫内商品取引システムを提供する。
【0013】
(4)(1)から(3)の倉庫内商品取引システムであって、前記判断部は、前記所定の条件を、複数段階のレベルで判定し、前記取引部は、前記レベルに応じて、取引条件を変更可能である倉庫内商品取引システムを提供する。
【0014】
(5)(1)から(4)の倉庫内商品取引システムであって、前記商品が、複数個の商品を含むセット商品であって、前記取引部は、前記セット商品の一部の商品の取引が可能であって、前記管理部は、前記セット商品の一部の商品の取引が成立した場合に、当該取引された一部の商品の荷主および保管期間と、前記セット商品の他部の商品の荷主および保管期間とを管理する倉庫内商品取引システムを提供する。
【0015】
(6)倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引装置が実行する倉庫内商品取引方法であって、荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理するステップと、前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断するステップと、前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管するステップと、前記仮想倉庫に移管された商品を出品し取引を行わせるステップと、異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更するステップと、を含む倉庫内商品取引方法を提供する。
【0016】
(7)倉庫に商品を預けている荷主間で、当該倉庫に保管している商品の取引を行う倉庫内商品取引システムを、荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する管理部、前記保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する判断部、前記所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を仮想倉庫に移管する移管部、前記仮想倉庫に移管された商品を出品し取引を行わせる取引部、として機能させ、更に、前記管理部が、異なる荷主間で前記取引が成立した場合に、当該取引された商品の荷主および保管期間を変更する機能を有するプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、倉庫に商品を預けている荷主間で取引することで、保管日数が長い商品であっても出荷回転率を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1の概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1の機能構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る倉庫商品管理データベースを模式的に示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る取引判断データベースを模式的に示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る仮想倉庫商品管理データベースを模式的に示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システムが実行する倉庫内商品取引処理フローを示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システムの端末における表示例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システムの端末における表示例を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システムの端末における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0020】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1の概要を説明するための図である。
【0021】
倉庫内商品取引システム1は、荷主から預かって倉庫に保管している商品を荷主同士で取引する倉庫内商品取引装置10と、倉庫内商品取引システム1にネットワークを介して接続され、倉庫に保管されている商品を管理する倉庫管理装置20と、荷主に操作される端末30と、を含む。なお、商品を販売/譲渡する荷主(売主)の端末を30A、商品を購入/譲受する荷主(買主)の端末を30Bとする。
【0022】
倉庫内商品取引システム1において、倉庫内商品取引装置10は、倉庫の管理者(物流会社等)に管理され、オンプレミスでもクライドサーバであってもよいが、本実施形態では、クラウドサーバとする。
【0023】
倉庫内管理システム(WMS)20は、例えば、複数の荷主(図1に示す例では、荷主A、荷主B、荷主C:小売会社、小売グループ等)から、それぞれ、預かり保管され出荷される商品を管理している。図1おいて、倉庫および倉庫内管理システム20は1つしか図示していないが、倉庫および倉庫内管理システム20は複数であってもよい。
【0024】
倉庫内商品取引システム1は、荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する。また、倉庫内商品取引システム1は、保管期間が、所定の条件(例えば、保管期間が予め設定された期間以上になっているか等)を満たすかどうか判断する。そして、倉庫内商品取引システム1は、所定の条件(例えば、保管期間が予め設定された期間以上になっている等)を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品を、荷主同士で電子商取引(BtoB EC)させる。
【0025】
図1に示す例では、倉庫に保管されて保管期間が所定の条件を満たす、荷主Aの商品が、荷主Aと荷主Bとで取引され、取引後に荷主Bの所有となったことを示す。
【0026】
詳細には、まず、倉庫内商品取引システム1は、倉庫に保管されて保管期間が所定の条件を満たすと判断した場合に、当該商品所定条件を満たす商品を、他の荷主(荷主B、荷主C)が購入可能なBtoB_ECマーケットに出品する。次に、荷主Bが、端末30BにBtoB_ECマーケットを表示させる。図示しないが、荷主Cも自身の端末にBtoB_ECマーケットを表示させることができる(S1)。
【0027】
荷主Bが、端末30Bに取引を要求する商品(取引商品)として荷主Aの商品を入力すると、倉庫内商品取引システム1は、荷主Aの端末30Aに取引商品の取引が要求されたことを送信し、受信した要求を荷主Aが受諾/拒否したことを端末30Aから受信する(S2)。端末Aから受諾を受信すると、倉庫内商品取引システム1は、取引が成立したと判断し、取引商品の荷主を荷主Aから荷主Bに変更し、保管期間を変更する(S3)。一方、端末Aから拒否を受信すると、倉庫内商品取引システム1は、取引を終了させる。
【0028】
なお、S2の取引商品の荷主Aへの取引の受諾/拒否の確認処理なしに、倉庫内商品取引システム1が、取引商品の荷主Aと荷主Bとの取引を成立させてもよい。その場合には、荷主Bが、取引商品として荷主Aの商品を入力すると、倉庫内商品取引システム1が、取引商品の取引が成立したと判断し、取引商品の荷主を荷主Aから荷主Bに変更し、保管期間を変更してもよい(S3)。
【0029】
このような倉庫内商品取引システム1によれば、倉庫に保管されている保管期間が所定の条件を満たす商品を、荷主同士での取引させることができる。そして、倉庫に保管されている保管期間が所定の条件を満たす商品は、荷主同士で取引されると、移動を伴うことなく、倉庫内に保管されたまま、荷主および保管期間を変更できる。
【0030】
したがって、保管期間が長い商品を有する売主となる荷主にとっては、在庫の出荷回転率を向上させることができ、一方、買主となる荷主にとっては、同じ倉庫を利用する荷主から必要な商品を入手することができ、在庫不足を防ぎやすくすることができる。また、物流会社にとっては、保管期間の長い商品の出荷回転率を向上させ、さらには倉庫内の商品全体の出荷回転率を向上につなげることができる。
【0031】
(機能構成)
図2は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1の機能構成を示す図である。倉庫内商品取引システム1は、倉庫内商品取引装置10と、倉庫内商品取引装置10にネットワークを介して接続された、倉庫管理装置20と、端末30と、分散管理台帳を構成する複数の格納部100と、を備える。なお、本実施形態では、倉庫管理装置20を倉庫内商品取引装置10とは別の装置として説明するが、倉庫管理装置20を省略し、後述する倉庫管理装置20の機能を、倉庫内商品取引装置10が備えてもよい。
【0032】
(倉庫内商品取引装置の機能構成)
倉庫内商品取引装置#は、管理部11と、判断部12と、移管部13と、取引部14と、を備える。
【0033】
管理部11は、荷主から預かって倉庫に保管している商品の荷主および保管期間を管理する。また、管理部11は、倉庫に保管している商品に設定されている商品期限を管理する。
【0034】
詳細には、管理部11は、倉庫管理装置20から、倉庫に搬入された商品毎に当該商品に関する商品情報を受け付け、商品情報に基づき、倉庫商品管理データベース(DB)を生成・更新し、複数の格納部100に分散して記録して管理する。なお、管理部11は、倉庫管理装置20が複数ある場合には、倉庫管理装置20それぞれに対応する倉庫商品管理DBを複数生成・更新し、複数の格納部100に分散して記録して管理する。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に係る倉庫商品管理データベースを模式的に示す図である。商品情報には、商品を識別する商品識別情報、当該商品の荷主、当該商品の搬入日、商品期限(例えば、消費期限、品質保証期限等)、販売単価、商品がセット商品である場合に含む商品の個数である内容個数等を示す情報が含まれている。
【0036】
管理部11は、商品情報に基づき、商品識別情報に、当該商品の荷主、当該商品の搬入日、商品期限、販売単価、内容個数等を対応付け、倉庫商品管理DBを生成する。そして、管理部11は、所定間隔(例えば、1日毎等)で、倉庫商品管理DBを更新する。具体的には、管理部11は、搬入日と更新した日とに基づき、倉庫に搬入されてから更新した日までの日数である保管期間を算出し、倉庫商品管理DBにおいて、算出した保管期間を商品識別情報に対応付ける。また、管理部11は、更新した日と商品期限とに基づき、更新した日から商品期限までの日数である商品期限残り日数を算出し、倉庫商品管理DBにおいて、算出した商品期限残り日数を商品識別情報に対応付ける。
【0037】
図3を用いて、具体的に説明すると、更新日2021/5/31において、例えば、図3中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)であれば、管理部11は、更新する処理で、搬入日(2021/2/29)から更新した日(2021/5/31)までの日数である保管期間として、92日を算出し、商品識別情報に対応付けている。
【0038】
また、更新日2021/5/31において、例えば、図3中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)であれば、管理部11は、更新する処理で、更新した日(2021/5/31)から商品期限(2021/6/8)までの日数である商品期限残り日数として、8日を算出し、商品識別情報に対応付けている。
【0039】
また、管理部11は、商品について、少なくとも出品及び取引に関する取引内容を、分散型台帳に記録して管理する。具体的には、例えば、管理部11は、所定間隔で更新した倉庫商品管理DBを累積したデータ(例えば、2021/5/1~2021/5/31までの商品管理DBを全て含むデータ)のハッシュ値を生成し、この生成したハッシュ値を、分散型台帳の一例である複数の格納部100に、それぞれ記憶する。
【0040】
また、この場合、管理部11は、任意のタイミング(例えば、倉庫商品管理DBを更新するタイミング等)で、倉庫商品管理DBが累積されたデータのハッシュ値が、複数の格納部100からそれぞれ抽出し、抽出したハッシュ値を互いに対比してもよい。正常であれば、複数の格納部100からそれぞれ抽出したハッシュ値は、全て同じである。しかしながら、例えば、いずれかの格納部100に記憶されたハッシュ値が改ざんされていた場合や正常に記憶されていなかった場合、全て同じにならない。この場合、管理部11は、複数の格納部#100からそれぞれ抽出した複数のハッシュ値のうち、半数以上同一のハッシュ値を、正規のハッシュ値と判定する。また、管理部11は、この場合、互いに異なるハッシュ値を対比し、差分から、差分が発生したタイミングを特定してもよい。このように構成することで、倉庫商品管理DBの正確性とセキュリティを向上することが可能となる。
【0041】
判断部12は、保管期間が、所定の条件を満たすかどうかを判断する。また、判断部12は、商品期限が、所定の条件を満たすかどうかを判断する。詳細には、判断部12は、倉庫商品管理DBの更新に応じて、倉庫商品管理DB及び取引判断データベース(DB)を参照し、倉庫商品管理DBに記憶されている各商品が、保管期間や商品期限が所定の条件を満たすか否かを判断し、所定の条件を満たす商品を抽出する。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る取引判断データベース(DB)を模式的に示す図である。取引判断DBは、複数段階の判断レベルに、各レベルの保管期間の下限値、各レベルの商品期限残り日数の上限値及び値引き率を示す情報が対応付けられている。
【0043】
図4に示す例では、判断部12は、取引判断DBを参照することで、倉庫商品管理DBにおいて、例えば、ある商品の保管期間が30日以上60日未満であるか、または、商品期限残り日数が21日以上30日以下である場合、レベル1と判断する。
【0044】
また、判断部12は、ある商品の保管期間に基づき判断したレベルと、商品期限残り日数に基づき判断したレベルと、が異なる場合、より高いレベルの方を、当該商品のレベルと判断する。具体的には、判断部12は、例えば、ある商品の保管期間が30日であり(レベル1)、商品期限残り日数が20日である(レベル2)場合、当該商品のレベルをレベル2と判断する。
【0045】
なお、判断部12は、保管期間が30日未満、かつ、商品期限残り日数が31日以上の場合、所定の条件を満たさないと判断する。また、判断部12は、保管期間にのみ基づき判断してもよいし、保管期間及び商品期限残り日数以外の条件を、所定の条件に加え、レベルを判定してもよい。
【0046】
図2に戻って、移管部13は、所定の条件を満たすと判断した場合に、当該所定の条件を満たす商品の商品情報に基づいて、仮想倉庫商品管理データベース(DB)を生成・更新し、複数の格納部100に分散して記録する。仮想倉庫商品管理DBは、倉庫商品管理DBと同様に管理部11で管理される。
【0047】
図5は、本発明の実施形態に係る仮想倉庫商品管理データベースを模式的に示す図である。商品情報には、商品識別情報、当該商品の荷主、当該商品の搬入日、商品期限(例えば、消費期限、品質保証期限等)、販売単価、内容個数等を示す情報が含まれている。
【0048】
移管部13は、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品の商品情報に基づき、商品識別情報に、当該商品の荷主、当該商品の搬入日、商品期限、販売単価、内容個数等を対応付け、仮想倉庫商品管理DBを生成する。具体的には、移管部13は、判断部12が判断を行う毎に、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品の商品情報を、倉庫商品管理DBから取得し、仮想倉庫商品管理DBを生成する。
【0049】
このように、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品の商品情報を、仮想倉庫商品情報管理DBに移管して管理することで、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を、実際には複数の物理倉庫で別々に保管されてても、1つの仮想倉庫で管理し、1つの倉庫内での商品取引が可能となる。
【0050】
図2に戻って、取引部14は、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を、荷主同士で取引させる。詳細には、まず、取引部14は、仮想倉庫商品管理DBに格納されている商品を、荷主同士で取引させるためのBtoB_ECマーケットデータを生成する。このBtoB_ECマーケットデータは、荷主が端末30でアクセスすることで、当該端末30において、BtoB_ECマーケット画面の表示を可能とするデータである。
【0051】
取引部14は、端末30にBtoB_ECマーケットデータを送信する。これにより、端末30にBtoB_ECマーケットデータ画面が表示され、荷主は、このBtoB_ECマーケット画面において、出品されている商品の取引を行うことが可能となる。
【0052】
また、取引部14は、取引判断DB(図4参照)を参照して、商品毎に、判断部12が判断したレベルに応じた価格を決定し、決定した価格を示す情報を含むECマーケットデータを生成する。具体的には、図4に示す例によれば、取引部14は、判断部12が、例えば、レベル1と判断した商品の価格を販売単価の70%に決定し、レベル2と判断した商品の価格を販売単価の60%に決定する。すなわち、取引部14は、レベルに応じて、取引条件を変更可能である。このように、BtoB_ECマーケットに出品される商品の価格を割り引くことで、荷主同士の取引を促進させ、保管期間の長い商品の出荷回転率を伸ばすことが可能となる。
【0053】
取引部14は、買主の端末30Bから、BtoB_ECマーケットに出品される商品のうちの一商品(取引商品)の取引要求を示す取引要求情報を受信する。取引部14は、取引要求情報を受信した場合、取引商品の売主の端末30Aに取引要求情報を送信し、取引要求情報の取引を受諾することを示す受諾情報または取引要求情報の取引を拒否することを示す拒否情報を売主の端末30Aから受信する。
【0054】
取引部14は、受諾情報を受信した場合、取引商品の売主と買主との間で取引が成立したと判断し、金銭的価値による決済処理を行う。一方、取引部#14は、拒否情報を受信した場合、取引商品の売主と買主との間で取引が成立しなかったと判断し、処理を終了する。なお、取引部14は、買主の端末30Bから取引要求情報を受信したことに応じて、取引商品の売主と買主との間で取引が成立したと判断し、買主の端末30Bに取引が成立したことを示す取引成立情報を送信し、金銭的価値による決済処理を行ってもよい。
【0055】
また、管理部11は、倉庫商品管理DB(図3参照)において、取引部14により決済処理が完了した商品の荷主および保管期間を変更する。詳細には、管理部11は、倉庫商品管理DBにおいて、取引部14により決済処理が完了した商品の荷主を売主から買主に変更し、保管期間をこれまでの保管期間よりも短い任意の期間(例えば、0日やこれまでの保管期間の半分の日数等)に変更する。更に、管理部11は、仮想倉庫商品管理DB(図5参照)において、取引部14により決済処理が完了した商品に関する商品情報を削除する。
【0056】
なお、取引部14は、商品がセット商品である場合に、セット商品の一部の商品を荷主同士で取引させてもよい。セット商品を分けて取引することで、取引機会を増やすことができる。
【0057】
ここで、セット商品の一部の商品とは、例えば、図3を用いて、具体的に説明すると、図3中の五段目の商品(商品識別情報:B・・・01)は100個の商品からなるセット商品であって、その一部は、例えば20個の商品である。買主がセット商品の一部の商品の取引を要求する場合には、取引要求情報に取引数が含まれ、取引部14での処理はセットでない商品の場合と同様である。
【0058】
管理部11は、倉庫商品管理DB(図3参照)において、取引部14により決済処理が完了した商品の商品情報の荷主および保管期間と併せて内容個数を変更する。内容個数の変更について詳細には、管理部11は、決済処理が完了したセット商品の取引数、すなわち取引要求情報に含まれる取引数に、倉庫商品管理DBの内容個数を更新する。また、管理部11は、仮想倉庫商品管理DBにおいて、取引部14により決済処理が完了した商品の内容個数を変更する。内容個数の変更について詳細には、倉庫商品管理DBと同様に、管理部11は、決済処理が完了したセット商品の取引数、すなわち取引要求情報に含まれる取引数を、仮想倉庫商品管理DBの内容個数から引いた個数に内容個数を更新する。
【0059】
このように、セット商品の一部の商品が取引された場合には、取引が完了した一部の商品の商品情報は倉庫商品管理DBに格納し、取引が完了していない他部の商品の商品情報は、仮想倉庫商品管理DBに残すことで、取引が完了していない他部の商品についてはBtoB_ECマーケットに継続して出品することができる。
【0060】
(倉庫管理装置の機能構成)
倉庫管理装置#20は、倉庫に搬入された商品毎に、倉庫に搬入された商品毎に当該商品に関する商品情報(商品識別情報、当該商品の荷主、当該商品の搬入日、商品期限、販売単価、内容個数等を示す情報を含む。)を生成し、倉庫内商品取引装置10に送信する。
【0061】
倉庫管理装置20は、倉庫の管理者等の操作に基づき、商品情報を生成してもよいし、例えば、倉庫の搬入口に設置された撮像部(例えば、カメラ等)で撮像された画像を解析し(例えば、商品の包装容器に記載された商品期限を撮像した画像を文字認識する等)、商品情報を生成してもよいし、例えば、荷主が操作する装置等の外部装置から送信された、搬入された商品に関する情報に基づき、商品情報を生成してもよい。
【0062】
(端末の機能構成)
端末30は、荷主(買主または売主)に操作される、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等で構成され、それぞれ倉庫内商品取引装置10とネットワークを介して情報を送受信可能に接続され、端末制御部31と、入出力部#32と、送受信部33と、を備える。
【0063】
また、端末制御部31は、買主による入出力部32の操作に応じて、倉庫内商品取引装置10から送信されたBtoB_ECマーケットデータを、送受信部33を介して受信し、入出力部32にBtoB_ECマーケット画面を表示する。
【0064】
また、端末制御部31は、BtoB_ECマーケット画面において、買主が所望する商品を取引するための操作を受け付け、送受信部33を介して、当該商品の取引要求を示す取引要求情報を、倉庫内商品取引装置10に送信する。なお、端末制御部31は、買主が所望する商品について、取引数量を含む取引要求情報を、倉庫内商品販取引装置10に送信してもよい。
【0065】
また、端末制御部31は、倉庫内商品取引装置10を介して買主の端末30Aから送信された取引要求情報を、送受信部32を介して受信し、入出力部32に取引要求情報画面を表示する。端末制御部31は、取引要求情報画面において、取引を受諾するまたは拒否する操作を受け付け、送受信部33を介して、取引を受諾することを示す受諾情報または取引要求情報の取引を拒否することを示す拒否情報を、倉庫内商品取引装置10に送信する。
【0066】
入出力部32は、例えば、タッチパネルで構成され、荷主の操作を受け付けるとともに、端末制御部31の制御により、例えば、倉庫内商品取引装置10にアクセスすることで表示されるBtoB_ECマーケット画面や取引要求情報画面を表示する。
【0067】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0068】
(処理フロー)
図6は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1が実行する倉庫内商品取引処理フローを示す図である。倉庫内商品取引処理は、本実施形態では、倉庫内商品取引装置10が実行する。
【0069】
まず、判断部12は、管理部11が生成し更新する、荷主から預かって倉庫に保管している商品の保管期間を管理する倉庫商品管理DB(図3参照)及び取引判断DB(図4参照)を参照し、倉庫商品管理DBに記憶されている各商品が、保管期間や商品期限が所定の条件を満たすか否か(レベル)を判断し、所定の条件を満たす商品を抽出する(S10)。
【0070】
次に、移管部13は、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を当該所定の条件を満たす商品の商品情報に基づいて、仮想倉庫商品管理DB(図5参照)を生成することで、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を仮想倉庫に移管する(S11)。
【0071】
次に、取引部14は、仮想倉庫商品管理DBに格納されている商品を販売するBtoB_ECマーケットを開催するためのBtoB_ECマーケットデータを生成する。また、取引部14は、取引判断DB(図3参照)を参照して、商品毎に、ステップS1で判断部12が判断したレベルに応じた価格を決定し、決定した価格を示す情報を含むBtoB_ECマーケットマーケットデータを生成する。取引部14は、生成したBtoB_ECマーケットマーケットデータを荷主の端末30に送信する(S12)。
【0072】
次に、取引部14は、買主の端末30Bから、取引商品の取引要求を示す取引要求情報を受信し、当該取引要求情報を取引商品の売主の端末30Aに送信する(S13)。取引部14は、取引要求情報の取引を受諾することを示す受諾情報または取引要求情報の取引を拒否することを示す拒否情報を、売主の端末30Aから受信する(S14)。取引部14は、、受諾情報を受信した場合、取引商品について決済処理を行い、S16に処理を進める。一方、取引部14は、、拒否情報を受信した場合、取引商品についての取引を終了する(S15)。
【0073】
管理部11が、S15で決済処理が完了したら、倉庫商品管理DB(図3参照)において、取引部14により決済処理が完了した取引商品の荷主および保管期間を変更する。また、管理部11は、仮想倉庫商品管理DB(図5参照)において、取引部14により決済処理が完了した取引商品の商品情報を削除する。
【0074】
図7図9は、本発明の実施形態に係る倉庫内商品取引システム1の端末30(30A,30B)における表示例を示す図である。倉庫内の他荷主と取引したい買主は、端末30Bを操作して倉庫内商品取引装置10にBtoB_ECマーケットデータの要求を送信する。例えば、買主が端末30BのWebブラウザに予め通知されているURLを入力すると、倉庫内商品取引装置10からBtoB_ECマーケットデータが端末30Bに送信され、図7に示すように、端末30BにはBtoB_ECマーケット画面が表示される。
【0075】
BtoB_ECマーケット画面には、倉庫内の荷主同士の商品取引である旨の表示(倉庫内BtoBフリマ)や、倉庫内商品取引装置10の仮想倉庫商品管理DBに格納されている商品の情報が表示される。商品の情報には、商品の写真(図示省略)、商品識別情報、判断部12が判断したレベルに応じた価格、判断部12が判断したレベルに応じた価格に対する割引き率等が含まれる。
【0076】
具体的には、図7は、図5に示す仮想倉庫商品管理DBに基づき生成されたBtoB_ECマーケット画面である。図5に示す例では、保管期間や商品期限残り日数が所定の条件(図5に示す例では、保管期間がレベル1の30日以上、または、商品期限残り日数がレベル1の30以下)を満たす商品は、「商品識別情報:A・・・01」、「商品識別情報:A・・・02」、「商品識別情報:B・・・01」である。このため、図7に示すBtoB_ECマーケット画面の表示例では、この3つの商品が表示されている。このように、BtoB_ECマーケット画面は、倉庫内商品取引装置10において、買主がBtoB_ECマーケットデータの要求をしたことに応じて、現在取引可能な商品を通知する機能を有する。
【0077】
また、各商品の表示枠中には、BtoB_ECマーケットにおける価格と、価格に対する割引き率と、が表示されている。例えば、図5中最上段の商品(商品識別情報:A・・・01)は、図4に示す取引判断DBの例で判断すると、レベル3である。このため、図5に示す仮想倉庫商品管理DBの例に示す「商品識別情報:A・・・01」の定価「1,000円」に、レベル3の割引き率である50%を乗じた価格である「500円」と、定価に対する割引き率である「50%引き」と、表示されている。
【0078】
例えば、図7に示すBtoB_ECマーケット画面において、図7中最下段の商品(商品識別情報:B・・・01)を、買主が選択する操作することで、図8に示す商品購入画面に遷移する。商品購入画面には、買主に選択された商品の情報と、取引個数および取引個数に基づく購入金額、「購入」ボタンが表示されている。
図5中最下段の商品(商品識別情報:B・・・01)は、100個の商品を含むセット商品であるので、買い手荷主は、取引個数を指定することができる。図8においては、商品購入画面において、買主は取引個数として「20個」を入力し、「購入」ボタンを操作することで、端末30Bは、取引要求情報を倉庫内商品取引装置10に送信し、倉庫内商品取引装置10は、受信した取引要求情報を売主の端末30Aに送信する。
【0079】
取引が要求された商品の売主の端末30Aに、倉庫内商品取引装置10から取引要求情報が送信され、図9に示すように、端末30Aには取引確認画面を表示する。取引確認画面には、倉庫内の荷主同士の商品取引である旨の表示(倉庫内BtoBフリマ)や、買主から取引が要求された商品の情報、買主、取引内容が表示される。商品の情報は、BtoB_ECマーケット画面に表示された情報と同じである。
【0080】
具体的には、図9は、取引要求情報に基づき生成された取引確認画面である。図9に示す例では、買主が取引を要求した「商品識別情報:B・・・01」の商品情報、購入者である買主、取引内容である取引個数および取引個数と価格とに基づく金額、「受諾」および「拒否」ボタンが表示されている。
【0081】
図9に示す取引確認画面において、売主は「受諾」または「拒否」ボタンを操作することで、端末30Aは、取引を受領するか拒否するかを倉庫内商品取引装置10に送信し、倉庫内商品取引装置10は、取引が受諾されたの場合には、決済処理、商品情報の更新を実行し、一方、取引が拒否された場合には、処理を終了する。
【0082】
このような倉庫内商品取引システム1によれば、倉庫に保管されている保管期間が所定の条件を満たす商品を、荷主同士での取引させることができる。そして、倉庫に保管されている保管期間が所定の条件を満たす商品は、同じ倉庫(同一倉庫だけでなく、同一事業者の倉庫も含む)の荷主同士で取引されると、倉庫内での移動を伴うことなく、保管期間および荷主が変更できる。したがって、保管期間が長い商品を有する売り手の荷主にとっては、在庫の出荷回転率を向上させることができ、一方、買い手の荷主にとっては、同じ倉庫を利用する荷主から必要な商品を入手することができ、在庫不足を防ぎやすくすることができる。また、物流会社にとっては、保管期間の長い商品の出荷回転率を向上させ、さらには倉庫内の商品全体の出荷回転率を向上につなげることができる。
【0083】
また、倉庫内商品取引システム1によれば、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品の商品情報を、仮想倉庫商品情報管理DBに移管して管理することで、判断部12が所定の条件を満たすと判断した商品を、実際には複数の物理倉庫で別々に保管されてても、1つの仮想倉庫で管理し、1つの倉庫内での商品取引が可能となる。
【0084】
また、倉庫内商品取引システム1によれば、管理部11が、商品について、少なくとも出品及び取引に関する取引内容が記憶された倉庫商品管理DBまたは仮想倉庫商品管理DBを、分散型台帳としての複数の格納部100に記録して管理する。これにより、倉庫商品管理DBまたは仮想倉庫商品管理DBの改ざんや、一部の格納部の破損によるデータ喪失を防止できるので、倉庫商品管理DBまたは仮想倉庫商品管理DBの正確性やセキュリティを向上することが可能となる。
【0085】
また、倉庫内商品取引システム1によれば、判断部12は、商品の保管期間のみでなく、商品期限が、所定の条件を満たすかどうかを判断し、この判断に応じてBtoB_ECマーケットで商品を取引させる。これにより、倉庫で預かっている商品が、商品期限切れになってしまい、商品価値が喪失するのを防止することが可能となる。
【0086】
また、倉庫内商品取引システム1によれば、取引部14は、判断部12が判断したレベルに応じて、商品の取引条件を変更可能である。これにより、例えば、レベルに応じた価格を設定することも可能となり、例えば、より長い期間、売れ残っている商品の価格を下げる等の売荷主の商品販売に対する意向を反映させることが可能となる。
【0087】
また、倉庫内商品取引システム1によれば、複数個の商品を含むセット商品の一部の商品を取引することが可能である。これにより、セット商品を分けて取引することで、取引機会を増やし、商品の出荷回転率を向上につなげることができる。
【0088】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、倉庫内商品取引システムについて説明したが、本発明において倉庫内商品取引システムが実行する方法や、倉庫内商品取引システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 倉庫内商品取引システム
10 倉庫内商品取引装置
11 管理部
12 判断部
13 移管部
14 取引部
20 倉庫管理装置
30 端末
31 端末制御部
32 入出力部
33 送受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9