(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】コンポスト化可能なホットメルト接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 167/04 20060101AFI20231201BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20231201BHJP
C09J 5/06 20060101ALI20231201BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231201BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
C09J167/04
B65D81/38 D
C09J5/06
C09J11/06
C09J167/00
(21)【出願番号】P 2021512710
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(86)【国際出願番号】 US2019049897
(87)【国際公開番号】W WO2020051422
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-01
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カンデルスキ,モニナ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトラノ,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クーラー,デイビッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】プサンパラムビル,ディーパ
(72)【発明者】
【氏名】ランバート,ジャクリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】モロー,ブライアン ジェイ.
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-002201(JP,A)
【文献】特開平09-118869(JP,A)
【文献】特表平09-505615(JP,A)
【文献】特開平05-339557(JP,A)
【文献】特開昭52-148378(JP,A)
【文献】特開2006-044724(JP,A)
【文献】特開2001-011425(JP,A)
【文献】特開2001-040323(JP,A)
【文献】特開2002-088334(JP,A)
【文献】特開2010-155951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 167/04
B65D 81/38
C09J 5/06
C09J 11/06
C09J 167/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤組成物であって、
(a)ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマー;
(b)スルホン化コポリエステル;及び
(c)可塑剤
を含み、
前記可塑剤は、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートを含み、
接着剤は、コンポスト化可能である、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸並びにラクト
ンのコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリ乳酸、前記スルホン化コポリエステル及び前記可塑剤は、少なくとも80
%の接着性能を達成するのに有効な量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリ乳酸、前記スルホン化コポリエステル及び前記可塑剤は
、175゜Fの温度において
、前記接着性能を達成するのに有効な量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリ乳酸及び前記スルホン化コポリエステルは、重量
で1:1
~9:
5の重量比で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
(a)前記ポリ乳酸は
、25
~43重量
%の量で存在し;
(b)前記スルホン化コポリエステルは
、15
~35重量
%の量で存在し;及び
(c)前記可塑剤は
、5~60重量
%の量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記スルホン化コポリエステルは、水分散性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
第二の可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記第二の可塑剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記第二の可塑剤は
、1~5重量
%の量で存在する、請求項
9に記載の組成物。
【請求項12】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗酸化剤は、ヒンダードフェノールを含む、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ヒンダードフェノールは、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(6-tertブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;2-(n-オクチルチオ)-エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群から選択される、請求項
13に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗酸化剤は
、0.1
~1重量
%の量で存在する、請求項
12に記載の組成物。
【請求項16】
5重量
%以下の、100mgKOH/gより大きいヒドロキシル価を有する構成成分を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記スルホン化コポリエステルは
、20,000g/mol~80,000g/mo
lの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ASTM方法D1238に従い、2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも50g/10
分のメルトインデックスを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
接着剤は、(1)ASTM D 6400-12(ISO 20200を使用する)によって定義される崩壊試験、及び(2)ASTM D 6400-12(ASTM 5338-15を使用する)によって定義される好気性生分解の両方の要件を満たす、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記接着剤は
、180゜F
~300゜
Fの、ASTM E28-99によって求められる環球式軟化点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
二重壁容器を形成するための方法であって、
(a)請求項1に記載のホットメルト接着剤組成物を、溶融状態において、第一の一般的に円筒状の板紙基材の外部表面に適用する工程;
(b)一般的に長方形の第二の板紙基材を前記第一の板紙基材に嵌合させる工程であって、前記第二の板紙基材は、前記第一の板紙基材の円周より長く、それによ
りストリップを提供し、前
記ストリップにおいて、前記第二の板紙基材の末端は、重なる、工程;及び
(c)前記ホットメルト接着剤組成物を溶融状態で前
記ストリップの嵌合表面の一方に適用する工程;及び
(d)前
記ストリップの前記嵌合表面を嵌合させて、前記二重壁容器を提供する工程
を含む方法。
【請求項22】
工程(a)は、前記ホットメルト接着剤をラジアルパターンで適用することを含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
工程(a)及び(c)は、ビーズの形態の前記ホットメルト接着剤組成物を適用することを含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項24】
前記板紙は、コンポスト化可能である、請求項
21に記載の方法。
【請求項25】
請求項
21に記載の方法によって形成される容器。
【請求項26】
前記容器のために使用される前記板紙は、コンポスト化可能であり、且つ前記容器は、飲料用コップである、請求項
25に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づき、2018年9月7日出願の米国特許出願第62/728,424号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、コンポスト化可能であり、且つ特にホット及びコールド飲料の両方のための板紙製飲料用コップのための接着剤として使用するように適合されるホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト接着剤は、広く多様な商業的用途で使用されている。ホットメルト接着剤の1つの利点は、それらの系では、基材に適用する際にキャリア流体又は溶媒を必要とせず、その結果、適用後に溶媒又はキャリア流体を蒸発させる必要がないことである。乾燥工程又は蒸発工程が存在しないことにより、ホットメルト接着剤系は、溶媒使用に伴う危険性及び揮発性有機化合物(VOC)の環境影響をなくすことを可能になる。ホットメルト接着剤の使用は、接着剤の一部としての水を必要としないことにより、水の消費量も低下させる。ホットメルト接着剤の配合物は、感圧性から非感圧性まで接着剤の性能を広い範囲で変化させることができる。
【0004】
ホットメルト接着剤は、従来、石油由来のポリマーをベースとしてきた。熱可塑性プラスチックがホットメルト接着剤のポリマー成分として使用されており、それらは、一般的に3つのタイプに類別される:(1)石油由来のポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル、スチレンブロックコポリマー(例えば、スチレンイソプレンスチレン、スチレンブタジエンスチレン);(2)ポリウレタン;及び(3)ポリエステル/ポリカーボネート物質。
【0005】
それらの製品の多くは、環境における分解性が乏しいという欠点を有する。再生可能な資源物質、例えば紙、デンプン及びある種の分解可能なプラスチック(脂肪族ポリエステル、ポリラクチドなど)が使用される包装材料が強く求められている。紙製品の場合、環境的に分解可能な接着剤を使用することにより、紙、板紙又は厚紙製品をリサイクルする場合に接着剤をコンポスト化させることが可能になるであろう。又は代わりに、環境的に分解可能な接着剤を使用することにより、典型的な石油ベースのホットメルト配合物を用いてシールした物品と異なり、組立て物品全体をコンポスト化させることが可能になるであろう。
【0006】
ある種の接着剤用途では、他の場合よりも要求性能が厳しく、コンポスト化可能であり、且つ板紙製飲料用コップで性能を発揮する接着剤は、いくつかの機能を果たさなければならない。板紙製飲料用コップをシールするために使用される接着剤の場合、コップにコールド飲料(例えば、ジュース若しくはソーダ)又はホット飲料(例えば、コーヒー若しくは紅茶)を入れるとすれば、それは、広い温度範囲で接着剤として機能できなければならない。例えば、接着剤は、コップに熱水(例えば、約180゜F~190゜F)を入れて裂け目ができたとすると、その結果が接着剤のすべてのシール(半径方向及び末端方向のシール)で100%の繊維の裂け目でなければならないという要求性能に適合しなければならない。換言すると、凝集破壊又は接着層破壊があってはならず、まずコップが裂けなければならない。さらに、この試験は、初期(オフライン)及びエージング条件下(すなわち72゜Fで5日間)の両方で合格しなければならない。加えて、接着剤は、接着性能を犠牲にすることなく、コンポスト化可能でなければならない。さらに、既存のホットメルト接着剤の適用装置上でホットメルト接着剤の作業を実施できることが望ましく、これは、適用温度において、粘度も含めて同等の流動特性を有さなければならないことを意味する。
【0007】
ホットメルト接着剤は、飲料(例えば、コーヒー又は紅茶)を入れるために使用される使い捨ての紙コップの外側壁面と、二次壁面として機能する他の基材(例えば、紙/ラベル)とを接着させるために使用されてきた。コップをラベルに接着させるために、コップの外周部の周りに多数のホットメルト接着剤のラジアルビーズを、且つラベルの端部が接するコップの長さ方向にシームビーズ(又はエンドシール)を適用することが従来から知られている。ホット飲料条件(例えば、180゜F~190゜F)で受容可能な耐熱性を有するコンポスト化可能なホットメルト接着剤は、今日の市場では知られていない。さらに、広い使用温度範囲(例えば、0゜F~160゜F)を有するコンポスト化可能なホットメルト接着剤も今日の市場では知られていない。
【0008】
米国特許第号5,753,724明細書は、乳酸由来のポリエステルを使用して作製されたホットメルト接着剤組成物を開示している。熱可塑性樹脂グレードのポリエステルは、接着剤成分を使用して配合することにより、機能性接着剤となる。低分子量の物質を、配合ホットメルト接着剤中において、生分解性/コンポスト化可能な樹脂を用いて増粘性樹脂として使用することができる。接着剤物質は、感圧性とすることも可能であり、且つポリエステルポリマーを他の生分解性/コンポスト化可能な成分と組み合わせることにより、完全に分解性とすることもできる。そのようにして得られた接着剤組成物は、多様な用途で使用することができる。生分解性/コンポスト化可能な接着剤物質は、バクテリア、真菌類及び他の微生物類による攻撃に対して抵抗性を有する市販のポリマーから作製された非生分解性物質の代替物として使用することができる。それらのホットメルト接着剤は、包装材料において且つ分解性材料から作製された使い捨て物品の製造において使用することができる。完全に使い捨ての物品は、コンポスト化が完全に可能な接着剤及び構造材料から作製することができる。
【0009】
米国特許第7,868,101号明細書は、環境的に分解可能なポリマー化合物を調製するための方法並びにさらにそのような化合物自体及びその使用を開示している。この発明の化合物は、500~50,000g/molの分子量(Mw)を有する、重縮合された乳酸を含むポリマーを含み、それに対して、500~50,000g/molの分子量を有する、軟化のための脂肪族ポリエステルが組み合わされる。ポリマー化合物中の乳酸を含む基の量は、50~99%の範囲であり、軟化のためのポリエステル基の量は、1~50%の範囲である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、従来技術の多くの問題点及び制約を回避する。本発明の1つの実施形態は、多様な用途、例えばケース及びカートン用途で使用するのに適し、且つ二重壁の板紙製コップに特に適切であるコンポスト化可能なホットメルト接着剤に関する。この実施形態のホットメルト接着剤組成物は、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマー;スルホン化コポリエステル;及び可塑剤を含み、且つコンポスト化可能である。ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸並びにラクトン、好ましくはグリコリド及びカプロラクトンのコポリマーからなる群から選択され得る。可塑剤は、好ましくは、固体であり、且つベンゾエート、好ましくは1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートを含み得る。接着剤組成物は、エチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールの少なくとも1つから選択され得る第二の可塑剤を含み得る。接着剤組成物は、抗酸化剤、例えばヒンダードフェノールをさらに含み得る。1つの実施形態では、接着剤組成物は、5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、最も好ましくは3重量%以下の、100mgKOH/gより大きいヒドロキシル価を有する構成成分を含有する。
【0011】
本発明の別の実施形態では、二重壁容器を形成するための方法は、
(a)本明細書に記載された本発明のホットメルト接着剤組成物を、溶融状態において、第一の一般的に円筒状の板紙基材の外部表面に適用する工程;
(b)一般的に長方形の第二の板紙基材を第一の板紙基材に嵌合させる工程であって、第二の板紙基材は、第一の板紙基材の円周より長く、それによりアキシャルストリップを提供し、アキシャルストリップにおいて、第二の板紙基材の末端は、重なる、工程;及び
(c)ホットメルト接着剤組成物を溶融状態でアキシャルストリップの嵌合表面の一方に適用する工程;及び
(d)アキシャルストリップの嵌合表面を嵌合させて、二重壁容器を提供する工程
を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載された本発明の方法によって形成される容器に関する。本発明のこの実施形態の1つの態様では、容器のために使用される板紙は、コンポスト化可能であり、且つ容器は、飲料用コップである。
【0013】
本発明の実施形態は、従来のコンポスト化不能なホットメルト接着剤、例えばポリオレフィン、エチレン酢酸ビニル又はスチレンブロックコポリマーをベースとするものと類似の接着性能及び耐熱性能を有する、コンポスト化可能なホットメルト接着剤を提供する。本発明による接着剤は、ケース及びカートン用途、コンポスト化可能なフィルムとの使用、バーラップ又は他のコンポスト化可能な基材に包まれた木の球根又は植物の種子との使用並びに各種の物品の構成、例えば二重壁飲料用コップの構成などの多様な末端用途で有用である。コンポスト化可能な二重壁飲料用コップの構成におけるその使用に関して、使い捨ての紙コップの内側基材の外壁面と、二次壁面として機能する他の外側基材(例えば、紙/ラベル)とを接着させるために接着剤を使用することができる。さらに、同一の接着剤は、内側基材の外側基材への接着と、二次壁面の末端シール領域での外側基材の接着との両方に使用され得る。
【0014】
当業者であれば、以下の記述を読むことにより、本発明の他の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の1つの実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、コンポスト化可能であり、且つポリラクチドのホモポリマー又はコポリマー;スルホン化コポリエステル;及び可塑剤を含む。
【0016】
ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸並びにラクトン、好ましくはグリコリド及びカプロラクトンのコポリマーからなる群から選択される。好ましい実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸を含むか、それから実質的になるか又はそれからなる。他の実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ASTM方法D1238に従い、2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも50g/10分、好ましくは少なくとも55g/10分、最も好ましくは少なくとも60g/10分のメルトインデックスを有する。ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ASTM方法D1238に従い、2.16kgの重量を使用して210℃で多くとも500g/10分、好ましくは多くとも200g/10分、より好ましくは多くとも150g/10分、最も好ましくは多くとも100g/10分のメルトインデックスを有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、少なくとも20モルパーセントのラクチドコモノマーを含む。ポリラクチドの一般構造を以下に示す。
【化1】
【0018】
本明細書で用いるのに好適なポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、3,000~200,000g/molの範囲内の数平均分子量(Mn)を有する(本明細書で言及される分子量は、すべてポリスチレン標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したものである)。ポリ(D,L-ラクチド)及びそのメゾ体は、本質的に非晶質であるのに対して、ポリ(L-ラクチド)及びポリ(D-ラクチド)は、本質的に結晶性であり、その分子量及び立体純度に応じて186℃の結晶融点を有する。それらのポリマーは、乳酸の二分子環状エステルを、酸触媒又は塩基触媒、例えばPbO、SnCl2、SnCl4、ZnCl2、SbF5、Sb2O3又はトリエチルアミンを用い、溶液法、沈降法又は溶融法を使用して開環重合させることによって調製することができる。代わりに、Henley Chemicals,Inc.からResomer(登録商標)の商標において、又はPoly Sciences Inc.若しくはEcological Chemical Products Company(EcoChem)から商業的にそれらを得ることも可能である。
【0019】
ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D-ラクチド)のホモポリマーに加えて、ポリ(D,L-ラクチド)及びポリ(メソ-ラクチド)も本明細書で用いるのに好適なポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーであり、他のラクトン、例えばグリコリド又はカプロラクトンと共重合させることによって調製することが可能である。ラクチド成分とグリコリド成分とを等量で含むポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)ポリマーは、Henley chemicalsからResomer(登録商標)RG502、503、504、505及び506として入手可能であり、本明細書で用いるのに適している。さらに、75%のラクチド成分を含むResomer(登録商標)RG752、755及び756として知られているポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)ポリマー、さらに85%のラクチドを含むResomer(登録商標)858ポリマーも好適である。
【0020】
1つの実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、再生可能な原料由来の熱可塑性樹脂である。ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、非晶質であり、低い融点を有することが好ましい。本発明の実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーの比重は、ASTM D792に従って測定して約1.1~約1.5、好ましくは約1.15~約1.4、最も好ましくは約1.2~約1.3である。本発明の実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーのガラス転移温度は、ASTM D3417に従って測定して約40℃~約70℃、好ましくは約45℃~約65℃、最も好ましくは約50℃~約60℃である。本発明の実施形態では、ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーのメルトインデックスは、2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも約50g/10分、好ましくは2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも約55g/10分、最も好ましくは2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも約60g/10分であり、且つそれは、2.16kgの重量を使用して210℃で多くとも約500g/10分、好ましくは2.16kgの重量を使用して210℃で多くとも約200g/10分、より好ましくは2.16kgの重量を使用して210℃で多くとも約150g/10分、最も好ましくは2.16kgの重量を使用して210℃で多くとも約100g/10分のメルトインデックスを有する(すべてASTM方法D1238に従って測定)。本明細書では、すべての場合、任意の性質又は濃度の範囲について、下限として複数の数値が提示され、且つ上限として複数の数値が提示される場合、本発明は、任意の下限を含むものから且つ任意の上限を含むものまでにわたる任意の範囲を想定する。
【0021】
ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーの一例は、Nature Works LLCから市販されているVercet系列の樹脂、特にVercet A1000である。これは、年次的に再生可能な原料由来の熱可塑性樹脂であって、ペレットの形態で入手可能であり、非晶質、低温溶融性、高流動性の熱可塑性樹脂である。
【0022】
ホットメルト接着剤組成物は、スルホン化コポリエステルをさらに含む。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルの比重は、ASTM D792に従って測定して約1~約1.5g/cm3、好ましくは約1.1~約1.3g/cm3、最も好ましくは約1.2~約1.3g/cm3である。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルのガラス転移温度は、ASTM E1356-08に従ったDSCを使用する試験法で約30℃~約70℃、好ましくは約35℃~約60℃、最も好ましくは約40℃~約50℃であり、ここで、変曲点は、第二加熱サイクル時の変曲の中点(二次転移)として求める。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルの固有粘度は、ASTM D5225-14に従って測定して約0.15dL/g~約0.45dL/g、好ましくは約0.2dL/g~約0.4dL/g、最も好ましくは約0.25dL/g~約0.35dL/gである。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルの酸価は、ゼロ又は少なくとも約0.01mgKOH/gのいずれか、好ましくは少なくとも約0.1mgKOH/gであり、且つ多くとも約10mgKOH/g、好ましくは多くとも約5mgKOH/g、最も好ましくは多くとも約3mgKOH/gである。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルのヒドロキシル価は、ゼロ又は少なくとも約0.01mgKOH/gのいずれか、好ましくは少なくとも約0.1mgKOH/gであり、且つ多くとも約15mgKOH/g、好ましくは多くとも約10mgKOH/g、最も好ましくは多くとも約5mgKOH/gである。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルは、約20,000g/mol~80,000g/mol、好ましくは約25,000g/mol~60,000g/mol、最も好ましくは約28,000g/mol~42,000g/molの重量平均分子量を有する。ポリエステルの粘度は、350゜Fで好ましくは1000cP~100,000cP、最も好ましくは5000~60,000cPである。粘度は、ブルックフィールド粘度計で#27スピンドルを使用して測定する。粘度は、一般的に分子量に関連し、粘度が高いほど高い分子量に対応する。
【0023】
本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルは、米国特許第6,410,627号明細書に記載されているものから選択され得る(この特許は、参照により本明細書に組み込まれる)。この特許は、
a.少なくとも1種の二官能ジカルボン酸又は対応するメチルエステル(これは、スルホモノマーではない);
b.2~25モルパーセントの、芳香族又は脂環族核に結合された少なくとも1種の金属スルホネート基又は窒素含有非金属スルホネート基並びにヒドロキシル、カルボキシル及びアミノからなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む少なくとも1種のスルホモノマー;
c.グリコール又はグリコールと、2個の-NRH基を有するジアミンとの混合物、2個の-C(R1)2-OH基を含むグリコールから選択される少なくとも1種の二官能反応物質(ここで、反応物質中のRは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基であり、且つ反応物質中のR1は、水素原子、1~5個の炭素原子のアルキル基又は6~10個の炭素原子のアリール基である);
d.0~40モルパーセントの、1個の-C(R)2-OH基を有するヒドロキシカルボン酸、1個の-NHR基を有するアミノカルボン酸、1個の-C(R)2-OH基と1個の-NHR基とを有するアミノ-アルコール又は前記二官能反応物質の混合物から選択される二官能反応物質(ここで、反応物質中のRは、水素又は1~6個の炭素原子のアルキル基である);及び
e.0~40モルパーセントの、ヒドロキシル、カルボキシル及びそれらの混合物から選択される少なくとも3個の官能基を含む多官能反応物質(ここで、多官能反応物質の少なくとも一部は、少なくとも3個のヒドロキシル基を含む)
の反応生成物を含む縮合ポリマーを記載しており、ここで、記載されたモルパーセントは、すべて酸含有、ヒドロキシル含有及びアミノ基含有反応物質をすべて合計したもの(200モルパーセントに等しい)を基準にしており、ここで、ポリマーは、酸基含有反応物質(100モルパーセントの酸)のヒドロキシ基及びアミノ基含有反応物質(100モルパーセントの塩基)に対する比率を、(当量値)EQ(塩基)を(当量値)EQ(酸)で除した数値が0.5~2になるように含む。この発明のホットメルト接着剤の成分として使用されるポリエステル組成物は、好ましくは、60~100モルパーセントの(a)、4~20モルパーセントの(b)、80~100モルパーセントの(c)、0~10モルパーセントの(d)及び0~20モルパーセントの(e)を含む。この発明の別のより好ましい実施形態では、ポリエステルは、60~100モルパーセントの1,4-シクロヘキサンジカルボン酸;4~20モルパーセントの5-ソジオスルホイソフタル酸ナトリウム又は5-ソジオスルホイソフタル酸ナトリウムジメチル;及び80~100モルパーセントのジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール又はシクロヘキサンジメタノールを含む。
【0024】
本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルは、米国特許第4,910,292号明細書、米国特許第4,973,656号明細書及び米国特許第4,990,593号明細書に記載されているものから選択され得る(これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる)。本発明のさらに別の実施形態では、スルホン化コポリエステルは、Bostik,Inc.から市販されているVitel(登録商標)1831044コポリエステルポリマーを含む。スルホン化コポリエステルをベースとするホットメルト接着剤は、米国特許第5,750,605号明細書に記載されている(この特許は、参照により本明細書に組み込まれる)。スルホン化コポリエステルの例としては、Eastman Chemicalから市販されているEastman AQ系列の固体のコポリエステルも挙げられる。
【0025】
本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルは、水分散性である。水分散度は、樹脂が分散し、且つ混合後に均質な分散体として留まる性能によって求めることができる。この特性は、加熱下(例えば、95℃)において剪断をかけて製品を水と組み合わせることによって求めることができる。最初に、樹脂を加熱によって軟化させる(すなわち透明で非晶質であるが、次いで水と混合すると濁りが出て、軟化する)。混合が完結したとき、それが、重力下で沈降するか又は相分離しなければ、製品は、水分散性であると呼ばれる。
【0026】
スルホン化コポリエステルを使用することにより、ある程度の水感受性を与えるというさらなる利点が得られ、これは、水性環境のイオン強度に依存する。したがって、接着剤は、使用時に遭遇するイオン的環境(例えば、おむつ及び女性用ナプキンで遭遇する体液に対する暴露)に対する十分な抵抗性を有し、さらにまたイオン強度がより低い水道水中で分散及び/又は剥離するように配合することができる。したがって、これらの接着剤は、コンポスト化可能な物品を構成する場合に特に有用である。
【0027】
ホットメルト接着剤組成物は、可塑剤をさらに含む。可塑剤が固体可塑剤であることが好ましく、それは、高い耐熱性が必要とされる実施形態で特に有用である。固体可塑剤としては、ベンゾエートを挙げることができる。ベンゾエートは、以下からなる群から選択することができる:グリセロールトリベンゾエート、スクロースベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート。ベンゾエートは、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートを含むか、それから実質的になるか又はそれからなることが最も好ましく、そのようなものは、Eastman ChemicalからBenzoflex 352の商標で市販されている。ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーを使用することの欠点の1つは、耐熱性に乏しいことである。配合物中に固体可塑剤を組み込むと、ホット飲料のために使用される使い捨てのコップのための接着剤として使用するのに必要な耐熱性能が得られることが見出された。植物性ワックスをベースとする固体可塑剤も適切である。
【0028】
1つの実施形態では、固体可塑剤は、DSCを使用するASTM D7138に従って測定して約80℃~約160℃、好ましくは約90℃~約150℃、より好ましくは約100℃~約140℃、さらにより好ましくは約110℃~約130℃、最も好ましくは約110℃~約125℃の融点を有する。本発明の実施形態では、固体可塑剤の酸価は、ゼロ又は少なくとも約0.001mgKOH/gのいずれか、好ましくは少なくとも約0.01mgKOH/gであり、且つ多くとも約3mgKOH/g、好ましくは多くとも約1mgKOH/g、最も好ましくは多くとも約0.2mgKOH/gである。本発明の実施形態では、スルホン化コポリエステルのヒドロキシル価は、ゼロ又は少なくとも約0.01mgKOH/gのいずれか、好ましくは少なくとも約0.1mgKOH/gであり、且つ多くとも約10mgKOH/g、好ましくは多くとも約5mgKOH/g、最も好ましくは多くとも約3mgKOH/gである。
【0029】
本発明の実施形態では、接着剤は、第二の可塑剤をさらに含む。第二の可塑剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される。より低い粘度を有するポリエチレングリコール(例えば、PEG400)は、接着剤の粘度を下げるのに役立つ。固体可塑剤が第一の可塑剤として使用され、且つ配合物の粘度を下げる必要がある実施形態では、液体の可塑剤が特に有利である。配合物で所望される粘度に応じて、ある範囲のポリエチレングリコールを使用することができる。
【0030】
ホットメルト接着剤組成物で使用するのに適した他の可塑剤は、米国特許第5,753,724号明細書に記載されている(この特許は、参照により本明細書に組み込まれる)。可塑剤により、接着剤の溶融特性を改良することが可能になり、感圧性を付与することが可能になり、接着剤のコスト削減を推進させることが可能になり、且つホットメルト接着剤の可撓性と溶融特性を向上させることが可能になる。本発明のホットメルト接着剤と共に使用するのに好ましい可塑剤は、生分解性/コンポスト化可能な可塑剤である。そのような可塑剤は、典型的には、天然由来のオイル又はエステル、若しくは尿素カルバミル、若しくはアミド基を含んで製造された合成物質を含む。可塑剤は、典型的には、接着剤組成物の他の構成成分と異なる分子量を有する。第一の可塑剤として固体可塑剤が使用され、配合物の粘度を下げる必要がある場合、液体の可塑剤、例えば約5,000g/mol未満、好ましくは1,000g/mol未満の分子量を有する物質が使用され、それは、本発明の組成物に対して可塑剤的性質を与えることができる。本発明において使用するための好ましいタイプの可塑剤物質としては、本明細書に開示されている他の成分と相溶性がある天然の油脂が挙げられる。本発明の接着剤において使用するためのさらに好ましいタイプの可塑剤としては、典型的には、芳香族又は脂肪族の小分子のモノオール、ジオール又はトリオールを芳香族又は脂肪族の酸組成物と反応させることによって作製されるエステル系可塑剤が挙げられる。追加の可塑剤の具体例としては、以下が挙げられる:ヒマシ油、TegMer 809-PEG400ジ-2-エチルヘキソエートエステル、Plasthall DBS-ジブチルセバケート、Plasthall DIBAジイソブチルセバケート、Santizer 160(これは、ブチルベンジルフタレートである)、約500g/moleの分子量と約25℃未満の融点とを有するポリカプロラクトンジオール、エチレングリコールジベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート及びジプロピレングリコールジベンゾエート。
【0031】
本発明の実施形態では、接着剤は、安定剤又は抗酸化剤をさらに含む。本発明のホットメルト接着剤組成物において有用な安定剤/抗酸化剤を組み入れて、上述の他の構成成分、したがって接着剤系全体を熱分解及び酸化分解の影響から保護するのに役立たせ、そのような分解は、通常、接着剤の製造及び適用時、さらに最終製品の周囲環境への通常の曝露時に起きる。抗酸化剤は、ヒンダードフェノールを含み得る。ヒンダードフェノールは、以下からなる群から選択される:1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(6-tertブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;2-(n-オクチルチオ)-エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]。本発明のホットメルト接着剤は、有効量、好ましくは約0.1重量%~約5重量%の量で安定剤及び/又は抗酸化剤をさらに含み得る。組成物中に約0.1%~2%の安定剤又は抗酸化剤が組み込まれることが好ましい。適用可能な安定剤の中でも、ヒンダードフェノール及び多機能フェノール、例えば硫黄及びリン含有フェノールが好ましい。
【0032】
本発明の接着剤中にポリオレフィン成核剤がさらに存在し得る。本発明に好適な成核剤は、一般的に、清澄剤として知られているサブクラスの成核剤であり、これは、ポリオレフィン添加剤包装材料において、高速結晶化を促進させる目的で一般的に採用されている。好適な物質としては、ジベンジリデンソルビトール誘導体、例えばMillikenから供給されるMillad 3988及びMillad NX8000、さらにBASF製のIrgaclear Dが挙げられる。他の好適な薬剤としては、芳香族アミド系、例えばNew Japan Chemical Companyから提供されるNJ Star NU-100が挙げられる。成核剤が含まれる場合、成核剤は、接着剤組成物中において、一般的に組成物の約0.05~5重量%、好ましくは約0.1~2.5重量%の量で使用され、最も好ましくは約0.2~1.0重量%である。2種以上の成核剤のブレンド物を使用し得る。例えば、1つの成核剤と、第一の成核剤と異なる第二の成核剤とのブレンド物を採用し得る。必要に応じて、第一の成核剤は、約0.05重量%~約5重量%の1種又は複数の追加の成核剤とブレンドされ得る。成核剤は、粉体として直接、適切な可塑剤の一部のスラリーとして、又は適切なポリマーのマスターバッチ、例えばMilliken NX-10のマスターバッチにおける一成分として使用することができる。成核剤のパッケージ、例えば米国特許出願公開第2015/0299526号明細書に記載されているようなものが含められて、ホットメルト接着剤のセットアップ速度及び接着性を調節することもできる。
【0033】
特定の物理的性質を修正する目的で、本発明の接着剤組成物中に他の任意の添加剤を組み込み得ることを理解されたい。そのようなものとしては、例えば、以下が挙げられる:紫外線(UV)吸収剤、ワックス、界面活性剤、不活性な着色剤、二酸化チタン、蛍光剤及び充填剤。典型的な充填剤として、タルク、炭酸カルシウム、クレーシリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスのミクロスフェア、セラミックのミクロスフェア、熱可塑性プラスチックのミクロスフェア、バライト及び木粉が挙げられ、それらは、40重量%まで、好ましくは1~30重量%の量で含むことができる。
【0034】
本発明の接着剤は、コンポスト化することが可能である。本明細書で使用するとき、接着剤に適用した場合の「コンポスト化可能な」という用語は、以下のいずれかの要件を満たす接着剤である:(1)ASTM D 6400-12(ISO 20200を使用する)(84日間のコンポスト化曝露)によって定義される崩壊試験、又は(2)ASTM D 6400-12(ASTM 5338-15を使用する)(58±2℃、141日間)によって定義される好気性生分解。換言すると、接着剤は、崩壊試験条件下で84日以内に最低でも90%の重量損失に達するか、又は好気性生分解試験に従って141日以内に少なくとも90%の炭素転換率(CO2発生基準)に達するかのいずれかであり、これについては、実施例の項でさらに詳細に説明する。好ましい実施形態では、接着剤は、以下の両方の要件を満たす:(1)ASTM D 6400-12(ISO 20200を使用する)(84日間のコンポスト化曝露)によって定義される崩壊試験、及び(2)ASTM D 6400-12(ASTM 5338-15を使用する)(58±2℃、141日間)によって定義される好気性生分解。
【0035】
所望の用途で必要とされる各種の特性を接着剤に達成させるために、各種の構成成分の相対量が重要であることが見出された。これは、飲料用コップにおいて、接着剤が2つの壁面を合わせてシールするために接着剤が使用される場合(これには、耐熱性、広い温度範囲にわたる耐性及びコンポスト化性能が必要である)に特に当てはまることが見出された。1つの実施形態では、ポリ乳酸、スルホン化コポリエステル及び可塑剤は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは100%の接着性能を達成するのに有効な量で存在する。本明細書で使用するとき、「接着性能」という用語は、コーティングされていない板紙の上に適用し、以下の方法で試験したときの接着剤の性能を指す:ひだ付きのフラップを1.5”×4”の板状試験片に切断した。3/8”のビーズの形態の接着剤を、350゜Fで、2秒のオープンタイム及び2秒の加圧を用いて適用した。室温で一晩かけて接着物を硬化させた。それぞれの接着剤を用いて作製した3つの接着物を0゜Fのフリーザー内及び160゜Fのオーブン内に24時間入れた。その時間になったら、それらの接着物を取り出した直後に繊維引裂けパーセントについて試験した。「繊維引裂け」という用語は、接着的又は凝集的のいずれかで破壊された接着剤の面積に対する、引裂かれた基材の面積を指す。好ましい実施形態では、ポリ乳酸、スルホン化コポリエステル及び固体可塑剤は、約175゜Fの温度において、最も好ましくは0゜F~175゜Fの温度の範囲にわたって上述の接着性能を達成するのに有効な量で存在する。他の実施形態では、ポリ乳酸及びスルホン化コポリエステルは、重量で約1:1~約9:5、好ましくは重量で約6:5~8:5、最も好ましくは重量で約13:10~約3:2の重量比で存在する。
【0036】
本発明の実施形態では、配合物は、以下の構成成分をほぼ以下の重量パーセントで含む:
・ポリ乳酸は、接着剤に凝集性を与えるためのベースポリマーとして機能する量で存在し、且ついくつかの実施形態では約25~約43重量%、好ましくは約30~約38重量%、最も好ましくは約31~約37重量%の量で存在し;
・スルホン化コポリエステルは、多孔質の基材、例えば板紙又はラベルに対して接着促進剤として機能するのに有効な量で存在し、且ついくつかの実施形態では約15~約35重量%、好ましくは約20~約30重量%、最も好ましくは約22~約28重量%の量で存在し;
・可塑剤は、配合物の耐熱性を所望のレベル(例えば、高温での前述の接着性能)まで改良するのに有効な量で存在し、且ついくつかの実施形態では約5~約60重量%、好ましくは約15~約55重量%、より好ましくは約20~約50重量%、最も好ましくは約36~約42重量%の量で存在し;及び
・使用する場合、第二の可塑剤は、接着剤の粘度を所望の値まで低下させるのに有効な量で存在し、且ついくつかの実施形態では約1~5重量%、好ましくは約1.3~約3重量%、最も好ましくは約1.5~約2重量%の量で存在し;
・使用する場合、抗酸化剤、例えばヒンダードフェノールは、酸化を防止するか又は接着剤を安定化させるのに有効な量で存在し、且ついくつかの実施形態では、抗酸化剤は、約0.1~約1重量%、好ましくは約0.25~約0.75重量%、最も好ましくは約0.4~約0.6重量%の量で存在する。
【0037】
組成物は、好ましくは、5重量%以下、より好ましくは約4重量%以下、最も好ましくは約3重量%以下の、100mgKOH/gより大きいヒドロキシル価を有する構成成分を含有する。そのような構成成分は、例えば、米国特許第6,410,627号明細書(この特許は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているようなスチレンアリルコポリマー、オルトフタレートネオペンチルグリコール、ポリエステルポリオール又はそれらの組合せであり得る。
【0038】
本発明の接着剤組成物の作製では、特定の順序は、必要とされず、慣用されるプロセス工程を使用して作製することができる。接着剤は、各種の構成成分を混合し、次いで基材に適用する直前に加熱され得る。
【0039】
本発明による接着剤物質の粘度は、一般的に、加工して、ホットメルト接着剤としてその基材に適用するのに適した適用温度での粘度であるべきである。標準的なホットメルト接着装置によって加工し、所望のパターンが得られ、その結果、適用温度で適切な接着性能を発揮させるには、低い適用温度で相対的に低い粘度を有する接着剤が必要とされる。一般的に、粘度は、ASTM D3236に従って測定して、適用温度で約50,000cP以下、好ましくは適用温度で約40,000cP以下、さらにより好ましくは適用温度で約35,000cP以下、さらにより好ましくは適用温度で約30,000cP以下である。本明細書で特定される粘度は、すべてこの修正ASTM標準に従って測定したものである。組成物の粘度は、適用温度で好ましくは少なくとも1,000cP、より好ましくは少なくとも5,000cP、さらにより好ましくは少なくとも約7,500cP、最も好ましくは少なくとも約15,000cPである。したがって、粘度は、121℃で1,000cP~35,000cP及び5,000cP~20,000cPであり得る。他の実施形態では、組成物の粘度は、各種の典型的に使用される適用温度において、本明細書で考慮された任意の範囲間であり、その値は、接着剤の特定の適用に依存し、121℃~180℃、例えば121℃、127℃、135℃、149℃及び177℃である。接着剤が、ホット飲料のための二重壁コップを接着させるために使用される1つの実施形態では、接着剤の粘度は、177℃で好ましくは約5,000cP~約50,000cP、より好ましくは約15,000cP~約35,000cP、最も好ましくは約20,000cP~約30,000cPである。
【0040】
末端使用用途での要件は、接着剤の配合物の所望の軟化点の特定における重要な配慮点である。ホット飲料のための二重壁コップを接着させるために接着剤を使用する用途では、ASTM E28-99に従って測定した接着剤の環球式軟化点は、約180゜F~約300゜F、より好ましくは約200゜F~約280゜F、最も好ましくは約220゜F~約260゜Fである。
【0041】
多様なコーティング方法を用いて、ホットメルト接着剤を基材に適用することができる。例としては、以下が挙げられる:ホットメルトスロットダイコーティング法、ホットメルトホイールコーティング法、ホットメルトローラーコーティング法、メルトブローンコーティング法、さらにスロット法、スパイラルスプレー法及びラッピングスプレー法、例えば弾性ストランドを貼り付けるために使用されるもの。スプレー法は、多く存在し、接着剤のスプレーパターンを形成するであろう圧縮空気の補助の存在下又は非存在下で実施することができる。ホットメルト接着剤物質は、一般的に、溶融物を、ホースを通して、基材の上の最終的なコーティングスポットにポンプ輸送される。
【0042】
本発明の1つの実施形態では、二重壁容器を形成するための方法は、
(a)本明細書に記載されたホットメルト接着剤組成物を、溶融状態において、第一の一般的に円筒状の板紙基材の外部表面に適用する工程;
(b)一般的に長方形の第二の板紙基材を第一の板紙基材に嵌合させる工程であって、第二の板紙基材は、第一の板紙基材の円周より長く、それによりアキシャルストリップを提供し、アキシャルストリップにおいて、第二の板紙基材の末端は、重なる、工程;及び
(c)ホットメルト接着剤組成物を溶融状態でアキシャルストリップの嵌合表面の一方に適用する工程;及び
(d)アキシャルストリップの嵌合表面を嵌合させて、二重壁容器を提供する工程
を含む。
【0043】
本発明の1つの実施形態では、工程(a)は、ホットメルト接着剤をラジアルパターンで適用することを含む。他の実施形態では、工程(a)及び(c)は、ビーズの形態のホットメルト接着剤組成物を適用することを含む。板紙は、コンポスト化可能であることが好ましい。容器のために使用する板紙がコンポスト化可能であり、且つ容器が飲料用コップである場合、さらにより好ましい。そのような二重壁容器の1つは、米国特許第6,109,518号明細書に記載されている(この特許は、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0044】
本発明のコンポスト化可能なホットメルト接着剤は、多くの用途、とりわけ最終物品(接着剤も含む)がコンポスト化可能であることを望まれるもので使用することができる。先に述べたように、本発明の接着剤の実施形態は、二重壁の板紙製飲料用コップに特に適している。他の用途の例としては、以下が挙げられる:ケース及びカートン用途、木の球根又は植物の種子のためのバーラップ又は他のコンポスト化可能な基材との使用並びに他のコンポスト化可能なフィルムとの使用。これらのそれぞれにおいて、接着剤が第一の基材に溶融状態で適用され、次いで第二の基材(又は第一の基材の一部)が接着剤と接触され、次いでそれが放冷されると、それによって第一の基材が第二の基材(又は第一の基材の上に重ねられ、嵌合された第一の基材の他の部分)に接着される。例えば、1つの実施形態では、木の球根又は植物の種子を、コンポスト化可能なバーラップ中に包み込み、バーラップの嵌合部分に接着剤を適用し、次いでバーラップをそれ自体の上に重ねて、バーラップの2つの嵌合表面がホットメルト接着剤の冷却に伴って相互に接着されるようにする。別の実施形態では、コンポスト化可能な第一のフィルム又は基材を本発明の接着剤と接触させ、次いで第二のコンポスト化可能なフィルムを接着剤と接触させ、それを冷却させると、それによりそれらの2つのコンポスト化可能なフィルムが共に接着されて、コンポスト化可能な積層物が形成される。
【0045】
本発明の態様
態様1.ホットメルト接着剤組成物であって、
(a)ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマー;
(b)スルホン化コポリエステル;及び
(c)可塑剤
を含み、接着剤は、コンポスト化可能である、ホットメルト接着剤組成物。
態様2.ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸並びにラクトン、好ましくはグリコリド及びカプロラクトンのコポリマーからなる群から選択される、態様1に記載の組成物。
態様3.ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ポリ乳酸を含むか、それから実質的になるか又はそれからなる、態様1に記載の組成物。
態様4.ポリ乳酸、スルホン化コポリエステル及び可塑剤は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは100%の接着性能を達成するのに有効な量で存在する、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
態様5.ポリ乳酸、スルホン化コポリエステル及び固体可塑剤は、約175゜Fの温度において、最も好ましくは0゜F~175゜Fの温度の範囲にわたって接着性能を達成するのに有効な量で存在する、態様4に記載の組成物。
態様6.ポリ乳酸のホモポリマー又はコポリマー及びスルホン化コポリエステルは、重量で約1:1~約9:5、好ましくは重量で約6:5~約8:5、最も好ましくは重量で約13:10~約3:2の重量比で存在する、態様1~5のいずれかに記載の組成物。
態様7.(a)ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、約25~約43重量%、好ましくは約30~約38重量%、最も好ましくは約31~約37重量%の量で存在し;
(b)スルホン化コポリエステルは、約15~約35重量%、好ましくは約20~約30重量%、最も好ましくは約22~約28重量%の量で存在し;及び
(c)可塑剤は、約5~約60重量%、好ましくは約15~約55重量%、より好ましくは約20~約50重量%、最も好ましくは約36~約42重量%の量で存在する、態様1~6のいずれかに記載の組成物。
態様8.スルホン化コポリエステルは、水分散性である、態様1~7のいずれかに記載の組成物。
態様9.可塑剤は、固体可塑剤を含む、態様1~8のいずれかに記載の組成物。
態様10.固体可塑剤は、ベンゾエートを含む、態様9に記載の組成物。
態様11.ベンゾエートは、グリセロールトリベンゾエート、スクロースベンゾエート、ペンタエリスリトールテトラベンゾエート及び1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートからなる群から選択される、態様10に記載の組成物。
態様12.ベンゾエートは、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートを含むか、それから実質的になるか又はそれからなる、態様10に記載の組成物。
態様13.第二の可塑剤をさらに含む、態様1~12のいずれかに記載の組成物。
態様14.第二の可塑剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群から選択される、態様13に記載の組成物。
態様15.第二の可塑剤は、約1~5重量%、好ましくは約1.3~約3重量%、最も好ましくは約1.5~約2重量%の量で存在する、態様13又は14に記載の組成物。
態様16.抗酸化剤をさらに含む、態様1~15のいずれかに記載の組成物。
態様17.抗酸化剤は、ヒンダードフェノールを含むか、それから実質的になるか又はそれからなる、態様16に記載の組成物。
態様18.ヒンダードフェノールは、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(6-tertブチル-o-クレゾール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;2-(n-オクチルチオ)-エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]からなる群から選択される、態様17に記載の組成物。
態様19.抗酸化剤は、約0.1~約1重量%、好ましくは約0.25~約0.75重量%、最も好ましくは約0.4~約0.6重量%の量で存在する、態様16~18のいずれかに記載の組成物。
態様20.5重量%、より好ましくは4重量%、最も好ましくは3重量%以下の、100mgKOH/gより大きいヒドロキシル価を有する構成成分を含有する、態様1~19のいずれかに記載の組成物。
態様21.スルホン化コポリエステルは、約20,000g/mol~80,000g/mol、好ましくは約25,000g/mol~60,000g/mol、最も好ましくは約28,000g/mol~42,000g/molの重量平均分子量を有する、態様1~20のいずれかに記載の組成物。
態様22.ポリラクチドのホモポリマー又はコポリマーは、ASTM方法D1238に従い、2.16kgの重量を使用して210℃で少なくとも50g/10分、好ましくは少なくとも55g/10分、最も好ましくは少なくとも60g/10分のメルトインデックスを有する、態様1~21のいずれかに記載の組成物。
態様23.接着剤は、(1)ASTM D 6400-12(ISO 20200を使用する)によって定義される崩壊試験、及び(2)ASTM D 6400-12(ASTM 5338-15を使用する)によって定義される好気性生分解の両方の要件を満たす、態様1~22のいずれかに記載の組成物。
態様24.接着剤は、約180゜F~約300゜F、より好ましくは約200゜F~約280゜F、最も好ましくは約220゜F~約260゜Fの、ASTM E28-99によって求められる環球式軟化点を有する、態様1~23のいずれかに記載の組成物。
態様25.二重壁容器を形成するための方法であって、
(a)態様1~24のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物を、溶融状態において、第一の一般的に円筒状の板紙基材の外部表面に適用する工程;
(b)一般的に長方形の第二の板紙基材を第一の板紙基材に嵌合させる工程であって、第二の板紙基材は、第一の板紙基材の円周より長く、それによりアキシャルストリップを提供し、アキシャルストリップにおいて、第二の板紙基材の末端は、重なる、工程;及び
(c)ホットメルト接着剤組成物を溶融状態でアキシャルストリップの嵌合表面の一方に適用する工程;及び
(d)アキシャルストリップの嵌合表面を嵌合させて、二重壁容器を提供する工程
を含む方法。
態様26.工程(a)は、ホットメルト接着剤をラジアルパターンで適用することを含む、態様25に記載の方法。
態様27.工程(a)及び(c)は、ビーズの形態のホットメルト接着剤組成物を適用することを含む、態様25又は26に記載の方法。
態様28.板紙は、コンポスト化可能である、態様25~27のいずれかに記載の方法。
態様29.態様25~28のいずれかに記載の方法によって形成される容器。
態様30.容器のために使用される板紙は、コンポスト化可能であり、且つ容器は、飲料用コップである、態様29に記載の容器。
【実施例】
【0046】
以下の実施例により、本発明のある種の好ましい実施形態のいくつかの態様を説明するが、それらの実施例が本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0047】
二重壁飲料用コップのために本発明による接着剤を使用することの実行可能性を検討した。具体的には、3種の配合物を下記の基準に従って接着性能について試験した。
【0048】
以下の表1に示した接着剤の構成成分を室温で混合してから加熱した。溶融させた接着剤を加熱して350゜Fとし、次いでラジアルビーズの形態でコップの外側のコーティングされていない板紙の壁面に適用した。市販されている板紙製コップの外側の壁面を、内側の壁面に適用されたばかりの接着剤に外側の壁面を嵌合させることにより内側の壁面に付着させた。別のラビアルビーズを第二の壁面の嵌合表面の一方に、第二の表面がそれ自体で重なりあってアキシャルストリップを形成している第二の壁面の部分において適用した。次いで、第二の壁面を、アキシャルストリップの嵌合表面を嵌合させることによりそれ自体に付着させた。内側の壁面と外側の壁面との間でギャップを作り出したラビアルビーズ(コップの内側の壁面の周りの接着剤)が断熱性を与える。接着剤は、慣用される接着剤適用装置を使用して350゜Fで適用した。
【0049】
接着剤の接着強度は、エンドシールを引き剥がして、100%の繊維引裂け(すなわち壁面のみがそれら自体で引き裂かれ、接着剤が破損されない)であるがどうかによって測定し、且つ耐熱性能は、接着剤を適用した直後に1分間、コップ内に熱水を注入することによって試験した。試験に合格するには、エンドシールが上から下までシールに層間剥離があってはならない。0゜F及び沸騰水条件での接着剤の接着強度を、対照として示した現行の従来のホットメルト接着剤と比較した。
【0050】
表1に示した使用された構成成分は、以下である:Nature Works LLCにより商標Vercet A1000として販売されているポリ乳酸(「PLA」);Bostik,Inc.により商標Vitel(登録商標)1831044として販売されているスルホン化コポリエステル(「スルホン化コポリエステル」);Eastman Chemicalにより商標Benzoflex 352として販売されている固体可塑剤(「固体の可塑剤」);Dow Chemicalにより商標Carbowax Sentry PEG 400として販売されている液体の可塑剤;並びに慣用されている抗酸化剤(「AO」)。表1は、各種の構成成分の重量(単位:グラム)を示す。見られるように、配合物1は、約30重量%の固体可塑剤を含む。配合物1は、この用途で望まれる熱水試験に合格しなかった。配合物1よりも固体可塑剤を多く含むが、液体の可塑剤を含まない配合物2は、配合物1とは対照的に、オフライン直後では極めて良好な接着性を有し、熱水試験に合格した。しかしながら、室温で10分後、接着剤は、脆くなり、ラジアルシール及びエンドシール用途の両方で接着剤的に不合格となった。配合物3は、オフライン及び経時(1日、5日、2か月;各種の温度(0、40、72、140、160゜F))の両方で接着剤の接着強度試験に合格した。
【0051】
加えて、驚くべきことに、混合物3は、より広い使用温度性能(0゜F~160゜F)及び沸騰水条件(3.0分の電子レンジ、約210゜Fの水温))を示した。配合物1及び2は、この用途(すなわちホット飲料のためのコップ)の厳しい要件を満たさなかったものの、これらの配合物は、コンポスト化可能な接着剤を必要とする他の用途で適している可能性がある。
【0052】
【0053】
配合物3の接着剤組成物が、ASTM D 6400-12(ISO 20200を使用する)によって定義される崩壊試験の要件を満たすかどうかを測定するための分析を実施した。具体的には、31.5mgの最大厚みを有するこの接着剤のドローダウンフィルムを、ASTM D 6400-12に従ったISO 20200(58±2℃で84日間まで)を使用して評価した。この試験のコンポスト化物質は、30:1の炭素対窒素比を有し、これは、この試験のための規格値の範囲内である。試験開始時のコンポスト化物質のpHは、約7.0であり、105℃で恒量になるまで乾燥させたときの全乾燥固形分含量は、44.5%であった。試験で使用した成熟マッシュルームコンポストは、Monterey Mushrooms(Princeton、Illinois)から購入し、入手したままの状態で使用し、それは、13:1のC:N比を有した。この要件を満たすために、試験サンプルは、84日の試験期間内に最低でも90%の重量損失に達しなければならない。試験した接着剤のサンプルは、84日後に完全に分解していた(重量損失100%)。
【0054】
配合物3の接着剤組成物が、ASTM 5338-15によって定義される好気性生分解の要件を満たすかどうかを測定するための分析を実施した。具体的には、コンポスト化媒体と接触させることによる、58±2℃でのASTM D-5338-15の無機質化を使用した、好気性生分解の曝露させた接着剤サンプルのASTM D 6400-12の無機質化(2階層試験)を評価した。試験の実験室原料コンポストは、29:1のC:N比を有し、これは、この試験のための規格値の範囲内である。試験開始時のコンポスト化物質のpHは、約7.0であり、105℃で恒量になるまで乾燥させたときの全乾燥固形分含量は、50.0%であった。試験で使用した成熟マッシュルームコンポストは、Monterey Mushrooms(Princeton、Illinois)から購入し、入手したままの状態で使用し、それは、14:1のC:N比を有した。この要件を満たすために、試験にかけるサンプルは、ASTM D 5338-15の無機質化で45日以内に最低でも70%の炭素転化率、且つASTM D 5338-15の無機質化で141日以内に90%の炭素転化率に達していなければならない。試験をした接着剤のサンプルは、141日間で平均91.83%の炭素転化率に達したことでこれらの両方の要件を満たした。
【0055】
値の範囲が与えられている場合、その範囲の上限と下限との間のそれぞれ中間の値及び中間の値の任意の組合せ又は二次的組合せ及びその記述された範囲内にある任意の他に記述されるか又は中間の値は、表記された値の範囲内に含まれることを理解されたい。加えて、本発明は、成分の第一の範囲の下限及び第二の範囲の上限の範囲のその成分を含む。
【0056】
他の定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び学術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書において具体的に挙げたすべての刊行物及び特許は、本発明に関連して使用される可能性のある、それらの刊行物に記載される化学製品、機器、統計的解析及び方法論の記述及び開示も含め、すべての目的のために参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書におけるいずれも、本発明が、先願発明を理由にして、そのような開示に先行する権利が与えられていないことを認めたと解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書では、ある種の特定の実施形態を参照しながら説明し、記述してきたが、それにも関わらず、提示された詳細に本発明を限定することは、意図されていない。むしろ、請求項の均等物の範囲内において且つ本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細における各種の修正形態がなされ得る。