(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】圧電アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H10N 30/50 20230101AFI20231201BHJP
H10N 30/88 20230101ALI20231201BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20231201BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20231201BHJP
H02N 2/04 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H10N30/50
H10N30/88
H10N30/20
H10N30/853
H02N2/04
(21)【出願番号】P 2021563916
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(86)【国際出願番号】 JP2020045207
(87)【国際公開番号】W WO2021117626
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2019223798
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 聖詞
(72)【発明者】
【氏名】田中 良季
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-066980(JP,A)
【文献】特開2018-007360(JP,A)
【文献】特開昭63-283180(JP,A)
【文献】特開平06-188471(JP,A)
【文献】特開平04-352480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/50
H10N 30/88
H10N 30/20
H10N 30/853
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する圧電素子と、
蓋部と底部と筒状部とを有し、内部に前記圧電素子を収容するケースと、
前記筒状部に位置する歪ゲージと、を備え、
前記筒状部は、前記圧電素子の伸縮により屈曲する屈曲部を、前記長手方向に複数有し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部に位置
し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部のうち凸面に位置している圧電アクチュエータ。
【請求項2】
長手方向を有する圧電素子と、
蓋部と底部と筒状部とを有し、内部に前記圧電素子を収容するケースと、
前記筒状部に位置する歪ゲージと、を備え、
前記筒状部は、前記圧電素子の伸縮により屈曲する屈曲部を、前記長手方向に複数有し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部に位置
し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部のうち凹面に位置している圧電アクチュエータ。
【請求項3】
長手方向を有する圧電素子と、
蓋部と底部と筒状部とを有し、内部に前記圧電素子を収容するケースと、
前記筒状部に位置する歪ゲージと、を備え、
前記筒状部は、前記圧電素子の伸縮により屈曲する屈曲部を、前記長手方向に複数有し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部に位置
し、
前記歪ゲージは、前記屈曲部のうち凸面から凹面にかけて位置している圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記歪ゲージは、前記ケースの内側に位置する請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記歪ゲージは、前記ケースの外側に位置する請求項1
乃至請求項3のいずれか1つに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記筒状部は蛇腹状であり、
前記歪ゲージは、前記筒状部のうち蛇腹状の部位に位置している請求項1乃至請求項
5のいずれか
1つに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記歪ゲージは、前記圧電素子を中心として対称の位置に複数位置する請求項1乃至請求項
6のいずれか
1つに記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
第2の歪ゲージを更に有しており、
該第2の歪ゲージは、前記圧電素子の表面に設けられている請求項1乃至請求項
7のいずれか
1つに記載の圧電アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マスフローコントローラ、XYテーブルの精密位置決め装置等に用いられる圧電アクチュエータとして、例えば特開昭63-66980号公報(以下、特許文献1という)に開示の積層型圧電体が知られている。積層型圧電体は、圧電素子と、該圧電素子を内部に収容したケースとを備えている。積層型圧電体は、ケースの表面に歪ゲージが貼り付けられており、これにより、積層型圧電体の変位を検出することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示の圧電アクチュエータは、長手方向を有する圧電素子と、蓋部と底部と筒状部とを有し、内部に前記圧電素子を収容するケースと、前記筒状部に位置する歪ゲージと、を備え、前記筒状部は、前記圧電素子の伸縮により屈曲する屈曲部を、前記長手方向に複数有し、前記歪ゲージは、前記屈曲部に位置し、前記歪ゲージは、前記屈曲部のうち、凸面に、凹面に、または、凸面から凹面にかけて、位置していることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】圧電アクチュエータの一例を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1に示す圧電アクチュエータの一例の概略縦断面図である。
【
図3】圧電アクチュエータの他の例の概略縦断面図である。
【
図4】圧電アクチュエータの他の例の要部拡大断面図である。
【
図5】圧電アクチュエータの他の例の要部拡大断面図である。
【
図6】圧電アクチュエータの他の例の要部拡大断面図である。
【
図7】圧電アクチュエータの他の例の要部拡大断面図である。
【
図8】圧電アクチュエータの他の例の拡大断面図である。
【
図9】圧電アクチュエータの他の例を示す概略斜視図である。
【
図10】圧電アクチュエータの他の例を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本開示の圧電アクチュエータの実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0006】
図1に示す圧電アクチュエータ10は、圧電素子1と、圧電素子1を内部に収容した、底部21、筒状部22および蓋部23を含むケース2とを備えている。
【0007】
圧電アクチュエータ10を構成する圧電素子1は、
図2に示すように、例えば圧電体層と内部電極層とが交互に複数積層された活性部と、活性部の積層方向の両端に積層された圧電体層を含む不活性部とを有する積層体を備えた圧電素子である。ここで、活性部は駆動時に圧電体層が積層方向に伸長または収縮する部位であり、不活性部は駆動時に圧電体層が積層方向に伸長または収縮しない部位である。
【0008】
圧電素子1を構成する積層体は、例えば縦4mm~7mm、横4mm~7mm、高さ20mm~50mm程度の直方体状に形成されている。なお、積層体は、例えば六角柱形状や八角柱形状などであってもよい。
【0009】
積層体を構成する圧電体層は、圧電特性を有する圧電セラミックスからなり、当該圧電セラミックスは平均粒径が例えば1.6μm~2.8μmとされたものである。圧電セラミックスとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrO3-PbTiO3)からなるペロブスカイト型酸化物、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などを用いることができる。
【0010】
また、積層体を構成する内部電極層は、例えば銀、銀-パラジウム、銀-白金、銅などの金属を主成分とするものである。例えば、正極と負極とがそれぞれ積層方向に交互に配置されている。積層体の一つの側面に正極が引き出され、他の側面に負極が引き出されている。この構成により、活性部において、積層方向に隣り合う内部電極層同士の間に挟まれた圧電体層に駆動電圧を印加することができる。
【0011】
なお、積層体には、応力を緩和するための層であって内部電極層として機能しない金属層等が含まれていてもよい。
【0012】
そして、内部電極層の正極または負極(もしくはグランド極)が引き出された積層体の対向する一対の側面には、それぞれ外部電極が設けられ、引き出された内部電極層と電気的に接続されている。外部電極は、例えば銀およびガラスを含むメタライズ層である。
【0013】
一方、積層体の対向する他の一対の側面には、内部電極層の正極および負極(もしくはグランド極)の両極が露出しており、この側面には必要により絶縁体を含む被覆層が設けられている。被覆層を設けることにより、駆動時に高電圧をかけた際に発生する両極間での沿面放電を防止することができる。この被覆層となる絶縁体としては、セラミック材料が挙げられ、特に、圧電アクチュエータを駆動した際の積層体の駆動変形(伸縮)に追随でき、被覆層が剥がれて沿面放電が生じるおそれのないように、応力によって変形可能な材料を用いることができる。具体的には、応力が生じると局所的に相変態して体積変化して変形可能な部分安定化ジルコニア、Ln1-XSiXAlO3+0.5X(Lnは、Sn,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,TmおよびYbのうちから選ばれるいずれか少なくとも一種を示す。x=0.01~0.3)などのセラミック材料、あるいは、生じた応力を緩和するように結晶格子内のイオン間距離が変化するチタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの圧電材料が挙げられる。この被覆層は、例えばインク状にした後、ディッピングやスクリーン印刷によって積層体の側面に塗布され、焼結することによって形成される。
【0014】
圧電アクチュエータ10を構成するケース2は、底部21、筒状部22および蓋部23を含んでいる。そして、ケース2は圧電素子1を内部に収容しており、底部21の上面に圧電素子1の下端面が当接し、蓋部23の下面に圧電素子1の上端面が当接している。
【0015】
底部21、筒状部22および蓋部23は、例えばSUS304やSUS316Lなどの金属体であってもよい。また、底部21、筒状部22および蓋部23はそれぞれ一体に形成されたものであってもよいし、別々のものが例えば溶接または接着等の公知の技術により接合されていてもよい。
【0016】
筒状部22は、上下に延びる両端開口の筒状体である。筒状部22は、圧電素子1の伸縮により屈曲する屈曲部221を有している。圧電素子1の伸縮により、屈曲部221が長手方向に伸びるように屈曲し、これによって、ケース2全体として伸縮することができる。屈曲部221は、例えば、所定の形状でシームレス管を作製した後、圧延加工や静水圧プレスなどによりベロー(蛇腹)形状に形成されたものである。筒状部22は、圧電素子1に電圧を印加した際に圧電素子1の伸縮に追従できるように、所定のバネ定数を有しており、厚み、溝形状および溝数によってそのバネ定数を調整している。例えば、筒状部22の厚みは例えば0.1~0.5mmとされる。なお、筒状部22は、屈曲部221の他に、直線状の部位を有していてもよい。また、屈曲部221は、長手方向に複数存在している。これにより、ケース2が伸縮する際に屈曲部221に生じる応力を分散させることができる。そのため、屈曲部221に応力が集中し破損するおそれを低減することができる。
【0017】
蓋部23は、外径が筒状部22の一端側開口の内径と同じ程度に形成されたものである。蓋部23は、筒状部22の一端側開口から嵌め込まれ、筒状部22の一端側開口の近傍(上端近傍)の内壁にその側面(外周)を例えば溶接により接合されている。このとき、筒状部22と底部21との接合部を溶接部と呼ぶ。
【0018】
底部21は、例えば底板部と、該底板部に立設された環状の凸部とを有している。底板部は円板状のもので、図に示す例では周縁部が他の部位よりも薄肉になっている。なお、底部21にはリードピン33を挿通可能な貫通孔が2つ形成されており、この貫通孔にリードピン33を挿通させている。そして、貫通孔の隙間には例えば軟質ガラス34が充填されていて、リードピン33が固定されている。リードピン33の先端にはリード線31が接続されているとともに、このリード線31がはんだ32で圧電素子1の外部電極に取り付けられていて、これらを介して圧電素子1に駆動電圧を印加するようになっている。
【0019】
歪ゲージ4は、ケース2の変位を検出する部材である。歪ゲージ4は、例えば内部に金属線を有する板状の部材である。歪ゲージ4は、例えば長さが0.1mm~50mm、幅が2mm~120mmの長手方向を有する形状である。歪ゲージ4は、例えば直径が2~8mmの円板状であってもよい。歪ゲージ4は、例えば樹脂製の接着材により、測定対象であるケース2に貼り付けられている。歪ゲージ4は、ケース2の伸縮に伴い、内部の金属線が伸縮することで、金属線の抵抗値が変化する。この抵抗の変化を測定することで、ケース2の歪みを測定することができる。歪ゲージ4は、ケース2のうち筒状部22に貼り付けられている。
【0020】
図1に示すように、本開示の圧電アクチュエータ10によれば、歪ゲージ4は、屈曲部221に位置している。筒状部221が屈曲している屈曲部221を有しているため、屈曲部221において接着剤を溜めやすくすることができる。そのため、歪ゲージ4とケース2との接着強度を高めることができる。その結果、歪ゲージ4がケース2から剥がれてしまうおそれを低減できる。
【0021】
また、
図2に示すように、歪ゲージ4は、ケース2の外側に位置していてもよい。ケース2内部に歪ゲージ4が設けられている場合は、歪ゲージ4をケース2に貼り付ける接着剤が酸素と反応し、圧電素子1の短絡の原因となる水分が発生してしまうおそれがあった。これに対し、歪ゲージ4がケース2の外側に位置することにより、短絡の原因となる水分が発生してしまうおそれを低減することができる。その結果、圧電素子1の耐久性を高めることができる。
【0022】
なお、歪ゲージ4は、全体が屈曲部221に設けられている必要はなく、
図2に示すように、屈曲部221から直線状の部位にかけて設けられていてもよい。
【0023】
また、
図3に示すように、歪ゲージ4は、ケース2の内側に位置していてもよい。歪ゲージ4がケース2の外部に位置する場合は、外部環境によっては歪ゲージ4の接着剤が酸化してしまい、接着性が低下してしまうおそれがあった。これに対して、歪ゲージ4がケース2の内側に位置することにより、外部環境の影響を低減することができる。その結果、接着性の低下を抑制することができる。
【0024】
歪ゲージ4がケース2の内側に位置している場合は、リード線41は、底部21のうち、リードピン33が挿通された貫通孔に挿通されていてもよい。この場合は、歪ゲージ4の数を増やしたとしても、底部21の貫通孔の数を増やす必要がないため、底部21の強度を低下させることなく、歪ゲージ4に通電することができる。
【0025】
また、
図4に示すように、筒状部22は蛇腹状であり、歪ゲージ4は、筒状部22のうち蛇腹状の部位に位置していてもよい。ここで、蛇腹状とは、複数の凸部または凹部のくり返し形状であるが、直線状の部位を有していてもよい。また、蛇腹状とは、周方向に複数の溝が設けられている形状であってもよい。筒状部22が蛇腹状であることによって、屈曲部221に生じる応力を分散させることができる。このため、圧電アクチュエータ10を駆動した際に屈曲部221に加わる応力を低減することができる。その結果、圧電アクチュエータ10の耐久性を高めることができる。
【0026】
特に近年、圧電アクチュエータ10を高温環境下で使用されることが求められてきている。そのため、長期間使用しているうちに金属疲労によって蛇腹状の部位の伸縮挙動が局所的に変化するおそれがあった。蛇腹状の部分に歪ゲージ4が位置していることによって、伸縮挙動の局所的な変化を検知することができる。その結果、圧電アクチュエータ10の耐久性を高めることができる。
【0027】
また、
図4に示すように、歪ゲージ4は、屈曲部221のうち凸面に位置していてもよい。歪ゲージ4の曲率は、ケース2が伸びた際は大きくなり、ケース2が縮んだ際は小さくなる。つまり、ケース2の伸縮により、歪ゲージ4自体が屈曲する挙動を示す。そのため、凸部の局所的な応力計測を可能とすることができる。
【0028】
なお、
図4~8においては、分かりやすさを優先して、歪ゲージ4と筒状部22の一部のみを記載し、リード線41および接着剤等の他の部材を省略している。
【0029】
また、
図5に示すように、歪ゲージ4は、屈曲部221のうち凹面に位置していてもよい。この場合は、屈曲部221のうち凸面に位置している場合と比較して、ケース2の外径または内径を小さくすることができる。そのため、より小型な圧電アクチュエータ10を実現することができる。特に、ケース2の内側に歪ゲージ4を設ける場合においては、歪ゲージ4が屈曲部221のうち凹面に位置していることにより、圧電素子1と歪ゲージ4とが接触し、短絡するおそれを低減できる。
【0030】
さらに、ケース2のうち凸面と凸面との間に挟まれているため、歪ゲージ4がケース2からはがれにくい。また、ケース2が外部からの応力によって極端に圧縮された場合に、歪ゲージ4が凸部に挟まれることによって、歪を検知できるので、ケース2の破壊を事前に抑止できる。また、歪ゲージ4の全体が、圧電素子1の長手方向に垂直な方向において凸部の頂部よりも凹部側に位置していてもよい。
【0031】
また、
図6に示すように、歪ゲージ4は、屈曲部221のうち凸面から凹面にかけて位置していてもよい。この場合は、歪ゲージ4により、蛇腹の凹凸の二分の一周期分の変位を検出することができる。そのため、検出された変位の数値に蛇腹の数の2倍をかけることで、ケース2全体の変位を算出することができる。つまり、ケース2と歪ゲージ4との接着面積を増やすことなく、ケース2全体の変位を知ることができるため、ケース2と歪ゲージ4との間の応力を低減し、ケース2から歪ゲージ4がはがれるおそれを低減できる。
【0032】
また、
図7に示すように、歪ゲージ4は、凸部から凸部まで設けられていてもよい。これにより、歪ゲージ4自体がばね形状となり、素子と同様に伸縮することができる。そのため、歪ゲージ4がケースからはがれにくくすることができる。それと同時に、凸部、凹部、凸部の3カ所で歪ゲージ4が局所的に歪むことから、歪ゲージ4とケース2の接合部に生じる応力を分散させることができる。その結果、歪ゲージ4がケース2からはがれるおそれを低減できる。また、凸部と凹部との変曲点で生じるせん断応力も検知できるので、検知感度が向上する。
【0033】
同様に、歪ゲージ4は、凹部から凹部にかけて設けられていてもよい。この場合も、上記と同じ効果を得ることができる。
【0034】
また、
図8に示すように、歪ゲージ4は、圧電素子1を中心として対称の位置に位置していてもよい。屈曲部221のうち歪ゲージ4が設けられている部位は、応力が集中しやすい傾向にあったが、ケース2の変形を阻害したとしても、ケース2全体として対称に変位を生じさせることができるため、ケース2に生じる応力を分散させることができる。その結果、圧電アクチュエータ10の耐久性を高めることができる。
【0035】
また、
図9に示すように、歪ゲージ4は、長手方向を有する板状の部材であって、長手方向がケース2の周方向に重なるように位置していてもよい。これにより、圧電素子1の伸縮よって生じるねじれ方向の応力を検知することができる。
【0036】
また、歪ゲージ4は、溶接部の近傍に設けられていてもよい。これにより、本来変形してほしくない溶接部の近傍が歪むのを検知できる。具体的には、
図9に示すように、歪ゲージ4は、複数の屈曲部221のうち、最も溶接部に近い部位に位置していてもよい。
【0037】
また、複数の歪ゲージ4を付けることで、ケース2の局所的な経時変化を検知して、圧電アクチュエータ10の破壊を抑止することができる。
【0038】
また、
図10に示すように、歪ゲージ4は、ケース2の表面に設けられるとともに、第2の歪ゲージ5が、圧電素子1の側面に設けられていてもよい。これにより、ケース2の歪みを検知するとともに圧電素子1の経時変化を検知できる。そのため、例えば圧電素子1が歪まずにケース2だけが歪んだ場合、圧電素子が歪んだ影響でケース2が歪んだ場合、または圧電素子1に設けた歪ゲージ4またはケース2に設けた第2の歪ゲージ5のいずれかがはがれた場合において、ケース2の歪みを即座に検知することができる。
【0039】
特に、圧電素子2が歪まず、ケース2だけが歪む例として、ケース2の一部に応力集中に起因した金属疲労により亀裂や破壊が生じるような場合では、歪ゲージ4をケース2に設けるとともに第2の歪ゲージ5を圧電素子1に設けることで、ケース2に亀裂や破壊が生じる前にケース2の異常を検知してアクチュエータ10の破壊を抑止することができる。
【符号の説明】
【0040】
10・・・圧電アクチュエータ
1・・・圧電素子
2・・・ケース
21・・・底部
22・・・筒状部
221・・・屈曲部
23・・・蓋部
31・・・リード線
32・・・はんだ
33・・・リードピン
34・・・軟質ガラス
4・・・歪ゲージ
41・・・リード線
5・・・第2の歪ゲージ