(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】車両の車軸アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20231201BHJP
B60B 35/14 20060101ALI20231201BHJP
F16H 3/62 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
B60K1/00
B60B35/14 V
F16H3/62 Z
(21)【出願番号】P 2021572398
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 US2020036029
(87)【国際公開番号】W WO2020247568
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-02-01
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515294101
【氏名又は名称】エーヴィーエル パワートレイン エンジニアリング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・フォールス
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン・キンタナ
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-001774(JP,A)
【文献】特開2005-231428(JP,A)
【文献】特開2013-224139(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0114422(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0178041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0245862(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0162221(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0075960(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0377162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60B 35/14
F16H 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の車軸アセンブリであって、
第1の遠位端と第2の遠位端との間に延在するフレームであって、前記第2の遠位端は、前記第1の遠位端の反対側にある、フレームと、
前記フレームに前記第1の遠位端と前記第2の遠位端との間で固定されたモータと、
前記第1の遠位端および前記第2の遠位端に回転可能に結合され、前記モータから一対のホイールまで回転を駆動するように構成された一対のギア減速サブアセンブリであって、各ギア減速サブアセンブリは、複数のギア比を定義する複数のギアを含む、一対のギア減速サブアセンブリと、
を備
え、
各ギア減速サブアセンブリは、前記ホイールのそれぞれに固定されるように構成されたハブと、前記ハブと回転方向で位置を合わせたブレーキロータと、を含み、前記ハブおよび前記ブレーキロータは、前記複数のギアと前記モータとの間に配置されている、車軸アセンブリ。
【請求項2】
前記複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、前記第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、を含む、請求項
1に記載の車軸アセンブリ。
【請求項3】
前記複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、前記第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、前記モータに結合されたシンクロメッシュギアと、を含み、前記シンクロメッシュギアは、前記第1の遊星ギアセットおよび前記第2の遊星ギアセットと選択的に係合するように構成されている、請求項
1に記載の車軸アセンブリ。
【請求項4】
前記車軸アセンブリは、前記シンクロメッシュギアと前記第1の遊星ギアセットおよび前記第2の遊星ギアセットとの間に配置された空洞と流体連通する一対の油圧チャネルをさらに備え、前記油圧チャネルは、前記空洞内へおよび前記シンクロメッシュギア上に油圧力を向けるように構成されている、請求項
3に記載の車軸アセンブリ。
【請求項5】
前記ギア減速サブアセンブリは、前記シンクロメッシュギアの各側に配置された一対のばねを含み、前記一対のばねは、前記シンクロメッシュギアを非係合位置に向けて付勢する、請求項
4に記載の車軸アセンブリ。
【請求項6】
前記油圧力により、前記シンクロメッシュギアが前記一対のばねの前記付勢に打ち勝ち、前記第1の遊星ギアセットまたは前記第2の遊星ギアセットのうちの一方と選択的に係合する、請求項
5に記載の車軸アセンブリ。
【請求項7】
一対のホイールと、
車軸アセンブリであって、
互いに反対側にある遠位端間に延在するフレームと、
前記フレームに前記遠位端間で固定されたモータと、
前記フレームに回転可能に結合され、前記モータから前記一対のホイールまで回転を駆動するように構成された一対のギア減速サブアセンブリであって、各ギア減速サブアセンブリは、複数のギア比を定義する複数のギアを含む、一対のギア減速サブアセンブリと、
を含む、車軸アセンブリと、
を備
え、
各ギア減速サブアセンブリは、前記ホイールのそれぞれに固定されるように構成されたハブと、前記ハブと回転方向で位置を合わせたブレーキロータと、を含み、前記ハブおよび前記ブレーキロータは、前記複数のギアと前記モータとの間に配置されている、車両。
【請求項8】
前記複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、前記第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、を含む、請求項
7に記載の車両。
【請求項9】
前記複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、前記第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、前記モータに結合されたシンクロメッシュギアと、を含み、前記シンクロメッシュギアは、前記第1の遊星ギアセットおよび前記第2の遊星ギアセットと選択的に係合するように構成されている、請求項
7に記載の車両。
【請求項10】
前記車軸アセンブリは、前記シンクロメッシュギアと前記第1の遊星ギアセットおよび前記第2の遊星ギアセットとの間に配置された空洞と流体連通する一対の油圧チャネルを含み、前記油圧チャネルは、前記空洞内へおよび前記シンクロメッシュギア上に油圧力を向けるように構成されている、請求項
9に記載の車両。
【請求項11】
前記ギア減速サブアセンブリは、前記シンクロメッシュギアの各側に配置された一対のばねを含み、前記一対のばねは、前記シンクロメッシュギアを非係合位置に向けて付勢する、請求項
10に記載の車両。
【請求項12】
前記油圧力により、前記シンクロメッシュギアが前記一対のばねの前記付勢に打ち勝ち、前記第1の遊星ギアセットまたは前記第2の遊星ギアセットのうちの一方と選択的に係合する、請求項
11に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
このPCT国際出願は、2019年6月5日に出願された米国仮特許出願第62/857,692号の米国特許法第119条(e)項の下で優先権を主張する、2020年6月4日に出願された米国特許出願第16/892,410号の優先権を主張するものであり、これらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、一般に、車両の車軸アセンブリに関し、より具体的には、ホイール減速アセンブリを含む車両の車軸アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、本開示に関する背景情報を提供するものであり、必ずしも先行技術とは限らない。
【0004】
自動車用の従来の電気推進システムは、車軸に結合された1つまたは複数のホイールを駆動する電気モータを含む。電気モータは大抵、単一速度ギア減速機を含む。いくつかの例において、電気モータは、従来の車軸およびギア減速アセンブリを通してホイールを駆動し、最適なレベルのトルクおよび速度を生成する。他の例において、電気モータおよびギア減速アセンブリは車軸アセンブリに組み込まれ、そこから電気モータがギア減速アセンブリを通してホイールを駆動し、最適なレベルのトルクおよび速度を生成する。既知の車軸アセンブリは、その意図された目的に適していると証明されているが、関連技術において改善の必要性が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0006】
本開示の一態様は、フレーム、モータ、およびギア減速サブアセンブリを含む車両の車軸アセンブリを提供する。フレームは、中央部および中央部から離間した遠位端を有する。モータはステータおよびロータを有する。ステータはフレームに中央部の近くで固定され、ロータはステータに回転可能に結合されている。ギア減速サブアセンブリは、ハブ、第1の遊星ギアセット、第2の遊星ギアセット、およびシンクロメッシュギアを含む。ハブは、ホイールに固定されるように構成されている。第1の遊星ギアセットは、第1のギア比を有し、ハブを回転させるように構成されている。第2の遊星ギアセットは、第1のギア比とは異なる第2のギア比を有し、ハブを回転させるように構成されている。シンクロメッシュギアは、ロータに結合され、第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットと選択的に係合するように構成されている。
【0007】
本開示の実装形態は次の任意選択の特徴の1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実装形態において、車両の車軸アセンブリは、シンクロメッシュギアと第1の遊星ギアセットまたは第2の遊星ギアセットのうちの一方との間に配置された空洞と流体連通する油圧チャネルを含み、油圧チャネルは、空洞内へおよびシンクロメッシュギア上に油圧力を向けるように構成されている。車両の車軸アセンブリは第1のばねおよび第2のばねを含むことができる。第1のばねはシンクロメッシュギアの第1の側に配置することができ、第2のばねは第1のばねの反対側のシンクロメッシュギアの第2の側に配置することができる。第1のばねおよび第2のばねはシンクロメッシュギアを非係合位置に向けて付勢することができる。油圧力により、シンクロメッシュギアが第1のばねおよび第2のばねの付勢に打ち勝ち、第1の遊星ギアセットまたは第2の遊星ギアセットのうちの一方と選択的に係合することができる。
【0008】
ギア減速サブアセンブリは、ハブと回転方向で位置を合わせたブレーキロータを含むことができる。第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットは、ブレーキロータよりフレームの中央部から遠くに配置することができる。
【0009】
第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットは、ハブよりフレームの中央部から遠くに配置することができる。
【0010】
本開示の他の一態様は、フレーム、モータ、および一対のギア減速サブアセンブリを含む車両用の車軸アセンブリを提供する。フレームは第1の遠位端と第2の遠位端との間に延在する。第2の遠位端は第1の遠位端の反対側にある。モータはフレームに第1の遠位端と第2の遠位端との間で固定されている。一対のギア減速サブアセンブリは、第1の遠位端および第2の遠位端に回転可能に結合され、モータから一対のホイールまで回転を駆動するように構成されている。各ギア減速サブアセンブリは、複数のギア比を定義する複数のギアを含む。この態様は次の任意選択の特徴の1つまたは複数を含むことができる。
【0011】
いくつかの実装形態において、複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、を含む。
【0012】
各ギア減速サブアセンブリは、ホイールのそれぞれに固定されるように構成されたハブと、ハブと回転方向で位置を合わせたブレーキロータと、を含むことができる。ハブおよびブレーキロータは複数のギアとモータとの間に配置することができる。
【0013】
いくつかの実装形態において、複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、モータに結合されたシンクロメッシュギアと、を含み、シンクロメッシュギアは、第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットと選択的に係合するように構成されている。車軸アセンブリは、シンクロメッシュギアと第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットとの間に配置された空洞と流体連通する一対の油圧チャネルを含むことができる。油圧チャネルは、空洞内へおよびシンクロメッシュギア上に油圧力を向けるように構成することができる。ギア減速サブアセンブリは、シンクロメッシュギアの各側に配置された一対のばねを含むことができる。一対のばねはシンクロメッシュギアを非係合位置に向けて付勢することができる。油圧力により、シンクロメッシュギアが一対のばねの付勢に打ち勝ち、第1の遊星ギアセットまたは第2の遊星ギアセットのうちの一方と選択的に係合することができる。
【0014】
本開示の他の一態様は、一対のホイールと、フレーム、モータ、および一対のギア減速サブアセンブリを含む車軸アセンブリと、を含む車両を提供する。フレームは、互いに反対側にある遠位端間に延在する。モータはフレームに遠位端間で固定されている。一対のギア減速サブアセンブリは、フレームに回転可能に結合され、モータから一対のホイールまで回転を駆動するように構成されている。各ギア減速サブアセンブリは、複数のギア比を定義する複数のギアを含む。この態様は次の任意選択の特徴の1つまたは複数を含むことができる。
【0015】
いくつかの実装形態において、複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、を含む。
【0016】
各ギア減速サブアセンブリは、ホイールのそれぞれに固定されるように構成されたハブと、ハブと回転方向で位置を合わせたブレーキロータと、を含むことができる。ハブおよびブレーキロータは複数のギアとモータとの間に配置することができる。
【0017】
いくつかの実装形態において、複数のギアは、第1のギア比を有する第1の遊星ギアセットと、第1のギア比とは異なる第2のギア比を有する第2の遊星ギアセットと、モータに結合されたシンクロメッシュギアと、を含み、シンクロメッシュギアは、第1の遊星ギアセットおよび第2の遊星ギアセットと選択的に係合するように構成されている。車軸アセンブリは、シンクロメッシュギアと第1の遊星ギアセットとの間に配置された空洞と流体連通する一対の油圧チャネルを含むことができる。油圧チャネルは、空洞内へおよびシンクロメッシュギア上に油圧力を向けるように構成することができる。ギア減速サブアセンブリは、シンクロメッシュギアの各側に配置された一対のばねを含むことができる。一対のばねはシンクロメッシュギアを非係合位置に向けて付勢することができる。油圧力により、シンクロメッシュギアが一対のばねの付勢に打ち勝ち、第1の遊星ギアセットまたは第2の遊星ギアセットのうちの一方と選択的に係合することができる。
【0018】
適用可能性のさらなる領域が、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要における説明および具体的な例は、例示という目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0019】
本明細書で説明する図面は、すべての可能な実装形態ではなく、選択された構成の例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の原理による車軸アセンブリを含む車両の斜視図である。
【
図4】明確化のためにいくつかのコンポーネントを隠した、
図1の車軸アセンブリの他の斜視図である。
【
図5A】
図2の線5-5に沿った、
図1の車軸アセンブリのギア減速アセンブリの断面図であり、ギア減速アセンブリを第1の動作モードで示している。
【
図5B】
図2の線5-5に沿った、
図1の車軸アセンブリのギア減速アセンブリの断面図であり、ギア減速アセンブリを第2の動作モードで示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【0022】
次に添付の図面を参照して例の構成をより完全に説明する。この開示が完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように、例の構成が提供される。本開示の構成の完全な理解を提供するため、具体的なコンポーネント、デバイス、および方法の例のような具体的な詳細を記載する。具体的な詳細を使用する必要がないこと、例の構成を多くの異なる形態で実施することができること、ならびに具体的な詳細および例の構成は本開示の範囲を限定するように解釈されるべきでないことは、当業者に明らかであろう。
【0023】
本明細書で用いる用語は、特定の例示的な構成を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で用いるとき、単数の冠詞「a」、「an」、および「the」は、文脈によりそうでないことが明確に示されない限り、複数形も含むように意図することができる。「comprises(含む)」、「comprising(含む)」、「including(含む)」、および「having(有する)」という用語は包括的であり、したがって特徴、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント、および/またはこれらの群の存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載の方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、議論または例示された特定の順序でそれらを実行することが必ず要求されるとして解釈されるべきではない。追加または代替のステップを使用することができる。
【0024】
要素または層が他の要素または層に「接し」、「係合され」、「接続され」、「取り付けられ」、または「結合され」ているとして言及されるとき、これは他の要素または層に直接接し、係合され、接続され、取り付けられ、または結合されていてもよく、または介在する要素または層が存在してもよい。対照的に、要素が他の要素または層に「直接接し」、「直接係合され」、「直接接続され」、「直接取り付けられ」、または「直接結合され」ているとして言及されるとき、介在する要素または層が存在することはない。要素間の関係を説明するために用いられる他の言葉も、同様の方法で解釈すべきである(たとえば、「間」対「直接の間」、「隣接」対「直接的に隣接」など)。本明細書で用いるとき、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0025】
第1の、第2の、第3の、などの用語を本明細書で用いて、さまざまな要素、コンポーネント、領域、層および/またはセクションを説明することができる。これらの要素、コンポーネント、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、コンポーネント、領域、層またはセクションを他の領域、層またはセクションから区別するためにのみ用いることができる。「第1の」、「第2の」のような用語、および他の数字用語は、文脈によって明確に示されない限り、連続または順序を意味するものではない。したがって、以下で議論する第1の要素、コンポーネント、領域、層またはセクションは、例の構成の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、層またはセクションと呼ぶこともできる。
【0026】
図1を参照すると、車両10が示され、本体12、車軸アセンブリ14、および複数のホイール16を含む。車両10は商用ユーティリティビークルとして大まかに示されているが、車両10は、本開示の範囲内の他のタイプの車両(たとえば、乗用車、バン、トラックなど)を含むことができるということが理解されよう。これに関して、本体12は、車両10の一人または複数の乗員またはユーザを収容するための乗員室18を画定することができる。以下でより詳細に説明するように、車軸アセンブリ14は、車両10を地面に対して前方向および後方向に移動させるため、ホイール16に結合され、その回転を駆動することができる。
【0027】
図2に示すように、車軸アセンブリ14は、互いに反対側にある遠位端22間に延在するフレーム20と、遠位端22間に配置された中央部24と、を含むことができる。車軸アセンブリ14は、遠位端22間で(たとえば、中央部24またはその近くで)フレーム20に固定されたモータ28を含むことができる。一対のギア減速サブアセンブリ50を、フレーム20に回転可能に結合し、モータ28を介してホイール16(たとえば、一対のホイール16)の回転を駆動するように構成することができる。
図3に示すように、各ギア減速サブアセンブリ50は、複数のギア比を定義する、外側遊星ギアセット92および内側遊星ギアセット114を含む複数のギアを含むことができる。
【0028】
図1および
図2を参照すると、フレーム20は、遠位端22、遠位端22間に配置された中央部24、および中央部24またはその近くに配置された受け台26を含む。車両10に設置されたとき、フレーム20は、ホイール16の一方またはその近くでの遠位端22の一方から、ホイール16の他方またはその近くでの遠位端22の他方まで、車両10を横切って横方向に延在することができる。たとえば、
図1に示すように、車軸アセンブリ14は車両10の前輪16と関連付けることができ、フレーム20が右前輪16と左前輪16との間に延在するようにする。他の実装形態において、車軸アセンブリ14は、車両10の後輪16と、または任意の他の適切なホイール16と関連付けることができる。
【0029】
フレーム20の中央部24は、モータ28を収容するように構成された受け台26を含むことができる。いくつかの実装形態において、受け台26は、モータ28を受け台26に固定するため、取り付け手段(たとえば、溶接、機械的留め具など)を有する4つの横方向に延在する部材27、27a~dを含むことができる。横方向に延在する部材27は、モータ28を受容するように構成された開口を画定することができる。たとえば、開口は、フレーム20の底部、頂部、および/または側部からアクセス可能とすることができ、モータ28は、フレーム20の底部、頂部、または側部に受容することができる。いくつかの実装形態において、取り付け手段は、モータ28を適切に配置してホイール16と位置を合わせるように構成された一対のブラケット29を含む。フレーム20は、潤滑液を受容するように構成された、中央部24から遠位端22まで延在する、封止された部材を画定することができる。フレーム20は、鋼、炭素鋼、クロムモリブデン鋼、アルミニウムなどを含むが、これらに限定されない、任意の適切な材料で形成することができる。
【0030】
図2および
図3に示すように、モータ28はステータ30およびロータ32を含むことができる。上記のように、モータ28(すなわち、ステータ30)は、受け台26でフレーム20に取り付けることができる。他の実装形態において、モータ28は、たとえば、本体12のような、フレーム20以外の車両10上の場所に取り付けることができる。ロータ32は、ステータ30に回転可能に結合することができ、中央部24から遠位端22のそれぞれを越えて延在することができる。ロータ32は、軸A
1(
図3)に沿って延在し、これを中心に回転することができる。いくつかの実装形態において、単一のステータ30、および遠位端22を越えて延在する単一のロータ32を有する単一のモータ28を設けることができる。他の実装形態において、単一のステータ30、およびそれぞれが遠位端22の一方を越えて延在する2つのロータ32を有する単一のモータ28を設けることができる。さらに他の一実装形態において、それぞれが単一のステータ30、および遠位端22の一方を越えて延在する単一のロータ32を有する、2つのモータ28を設けることができる。いくつかの実装形態において、モータ28は、少なくとも1つのギアボックスを含む電気車軸(「eアクスル」)とすることができる。
【0031】
ロータ32は、ステータ30の両側に配置された遠位端34を含むことができる。たとえば、
図4~
図5Bに示すように、ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると(
図1、
図5A、および
図5Bに示すように)、遠位端34は、外側キャリア80の中央孔82を通って延在することができる。
図3を参照すると、ステータ30は、ステータ30の外面に配置されたロータ歯36を含むことができる。以下に記載するように、ロータ歯36は、シンクロメッシュギア136の中央歯140と噛み合って係合するように構成することができる。
【0032】
いくつかの実装形態において、モータ28は、たとえば、ブラシレスACモータ、ブラシ付きDCモータ、ブラシレスDCモータ、またはAC誘導モータのような電気モータとすることができる。さらに、モータ28は、たとえば、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池、ナトリウム電池、リチウムイオン電池のような電池(図示せず)に接続することができる。他の実装形態において、モータ28は、内燃機関を含むが、これに限定されない、任意の適切なモータとすることができる。
【0033】
図2を参照すると、車軸アセンブリ14は、ブレーキキャリパマウント38、ブレーキロータ40、およびハブ42を含むことができる。いくつかの実装形態において、車軸アセンブリ14は、一対のブレーキキャリパマウント38、一対のブレーキロータ40、および一対のハブ42を含むことができ、対のそれぞれ一方が対の他方の1つと実質的に類似している。ブレーキキャリパマウント38は、車両10にブレーキ力を提供するためにブレーキロータ40と係合可能なブレーキキャリパ(図示せず)を受容するように構成することができる。ブレーキキャリパマウント38はフレーム20に固定することができ、ブレーキロータ40はハブ42に固定することができる。ハブ42は、軸A
1を中心にフレーム20に回転可能に結合することができ、フレーム20の周りに延在する第1のフランジ44を含むことができる。第1のフランジ44は、複数のホイールボルト46および複数の外側ケーシングボルト48を含むことができる。ホイールボルト46はホイール16を車軸アセンブリ14に固定することができ、ホイール16が車軸アセンブリ14に固定されると、ハブ42がホイール16と回転方向で位置を合わせることができるようになる。すなわち、ホイール16が回転するにつれて、ハブ42も同様に回転し、逆もまた同様である。以下に記載するように、外側ケーシングボルト48は、外側ケーシング52をハブ42に固定することができる。
【0034】
図3~
図5Bを参照すると、車軸アセンブリ14は一対のギア減速サブアセンブリ50を含むことができ、これらは実質的に互いに同じとすることができる。したがって、一対のギア減速サブアセンブリ50の一方(たとえば、右ギア減速サブアセンブリ50)のみを以下に説明する。ギア減速アセンブリ50は、外側ケーシング52、キャリアハウジング64、外側キャリア80、内側キャリア86、外側遊星ギアセット92、内側遊星ギアセット114、シンクロメッシュギア136、外側ばね154、および内側ばね156を含むことができる。いくつかの実装形態において、ギア減速サブアセンブリ50はブレーキロータ40およびハブ42を含む。ギア減速サブアセンブリ50の構成要素は、同じ材料、異なる材料、または材料の組み合わせで形成することができる。たとえば、ギア減速サブアセンブリ50の構成要素は、鋼、アルミニウム、真鍮、銅、鉄、炭素繊維、プラスチックなどで形成することができる。
【0035】
外側ケーシング52は本体54および第2のフランジ58を含むことができる。外側ケーシング52の本体54は略円筒形とすることができ、第2のフランジ58は本体54の一端から径方向に延在することができる。本体54は、本体54の内面に配置された外側ケーシング歯56を含むことができる。以下に記載するように、外側ケーシング歯56は、キャリアハウジング64のキャリアハウジング歯68と噛み合って係合するように構成することができる。第2のフランジ58はホイールボルト孔60および外側ケーシングボルト孔62を含むことができる。ホイールボルト孔60はホイールボルト46を受容するように構成することができ、外側ケーシングボルト孔62は外側ケーシングボルト48を受容するように構成することができる。すなわち、外側ケーシング52の第2のフランジ58は、ケーシングボルト孔62を介してハブ42の第1のフランジ44に固定することができ、外側ケーシング52はハブ42と回転方向で位置を合わせることができる。加えて、外側ケーシング52は、ホイールボルト孔60と係合するホイールボルト46によって軸A1を中心にハブ42と回転方向で位置を合わせることができる。他の実装形態において、外側ケーシング52は、溶接、接着などのような、任意の適切な方法でハブ42に固定することができる。
【0036】
図2および
図3を参照すると、キャリアハウジング64は外側リング66および内壁70を含むことができる。外側リング66は、外側リング66の外面に配置されたキャリアハウジング歯68を含むことができる。キャリアハウジング歯68は外側ケーシング歯56と噛み合って係合するように構成することができ、キャリアハウジング64が回転するにつれて、外側ケーシング52も同様に回転し、逆もまた同様であるようになっている。キャリアハウジング64の内壁70は、中央ステム72、外側凹部76、76a~d、および内側凹部78、78a~d(
図5A)を含むことができる。中央ステム72は、内壁70の両面から延在することができ、キャリアハウジング64を通って延在する中央孔74を画定することができる。明らかになるように、中央孔74は、モータ28のロータ32、外側太陽ギア94、内側太陽ギア116、シンクロメッシュギア136、外側ばね154、および内側ばね156を受容するように構成することができる。
【0037】
外側キャリア80は中央孔82および複数の径方向孔84、84a~dを含むことができる。外側キャリア80は、キャリアハウジング64の外側リング66の半径に等しい、またはこれよりわずかに小さい半径を備えた略円形の断面を有することができる。外側キャリア80の中央孔82は、ロータ32を受容するように構成することができる。同様に、内側キャリア86は中央孔88および複数の径方向孔90、90a~dを含むことができる。内側キャリア86は、キャリアハウジング64の外側リング66の半径に等しい、またはこれよりわずかに小さい半径を備えた略円形の断面を有することができる。内側キャリア86の中央孔88は、ロータ32を受容するように構成することができる。外側キャリア80および内側キャリア86は、たとえば、機械的係合、機械的留め具、溶接、接着剤などのような、任意の適切な方法でキャリアハウジング64に固定することができる。
【0038】
図3~
図5Bを参照すると、外側遊星ギアセット92は、ロータ32に回転可能に結合された外側太陽ギア94と、複数の外側遊星ギア104、104a~dと、を含むことができる。外側太陽ギア94は軸A
1を中心に回転可能とすることができる。外側太陽ギア94は、外側太陽ギア94の遠位面から延在する中央ステム96を含むことができ、中央ステム96は、外側太陽ギア94を通って延在する中央孔98を画定することができる。中央孔98はロータ32を受容するように構成することができ、中央ステム96は外側キャリア80の中央孔82と係合してこれに対して回転するように構成することができる。すなわち、中央ステム96が外側キャリア80の中央孔82によって支持されるが、それでも外側キャリア80に対して回転することができるように、外側キャリア80の中央孔82の内径を中央ステム96の外径よりわずかに大きくすることができる。
【0039】
外側太陽ギア94は第1の外側太陽歯100および第2の外側太陽歯102を含むことができる。ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると、第1の外側太陽歯100は、第2の外側太陽歯102よりフレーム20の中央部24の近くに配置することができる。第1の外側太陽歯100は、第2の外側太陽歯102が配置されている外側太陽ギア94の径方向表面より大きな半径を有する外側太陽ギア94の径方向表面上に配置することができる。
【0040】
複数の外側遊星ギア104、104a~dはそれぞれ、ステム106、106a~dおよび外側遊星歯112、112a~dを含むことができる。各ステム106は、近位端108、108a~dから遠位端110、110a~dまで延在することができる。他の実装形態において、外側遊星ギア104のそれぞれの両側に配置された2つの別個のステム106があり得る。各近位端108はキャリアハウジング64の外側凹部76と係合するように構成することができ、各ステム106が外側凹部76の1つによって支持され得るが、それでもキャリアハウジング64の内壁70に対して回転することができるようにする。外側遊星歯112は、第2の外側太陽歯102と噛み合って係合するように構成することができる。外側遊星ギアセット92は第1のギア比を定義することができる。
【0041】
内側遊星ギアセット114は、ロータ32に回転可能に結合された内側太陽ギア116と、複数の内側遊星ギア126、126a~dと、を含むことができる。内側太陽ギア116は軸A1を中心に回転可能とすることができる。内側太陽ギア116は、内側太陽ギア116の遠位面から延在する中央ステム118を含むことができ、中央ステム118は、内側太陽ギア116を通って延在する中央孔120を画定することができる。中央孔120はロータ32を受容するように構成することができ、中央ステム118は外側キャリア80の中央孔82と係合してこれに対して回転するように構成することができる。すなわち、中央ステム118が外側キャリア80の中央孔82によって支持され得るが、それでも外側キャリア80に対して回転することができるように、外側キャリア80の中央孔82の内径を中央ステム118の外径よりわずかに大きくすることができる。
【0042】
内側太陽ギア116は第1の内側太陽歯122および第2の内側太陽歯124を含むことができる。ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると、第2の内側太陽歯124は、第1の内側太陽歯122よりフレーム20の中央部24の近くに配置することができる。第1の内側太陽歯122は、第2の内側太陽歯124が配置されている内側太陽ギア116の径方向表面より大きな半径を有する内側太陽ギア116の径方向表面上に配置することができる。
【0043】
複数の内側遊星ギア126、126a~dはそれぞれ、ステム128、128a~dおよび内側遊星歯134、134a~dを含むことができる。各ステム128は、近位端130、130a~dから遠位端132、132a~dまで延在することができる。他の実装形態において、内側遊星ギア126のそれぞれの両側に配置された2つの別個のステム128があり得る。各近位端130はキャリアハウジング64の内側凹部78と係合するように構成することができ、各ステム128が内側凹部78の1つによって支持され得るが、それでもキャリアハウジング64の内壁70に対して回転することができるようにする。内側遊星歯134は、第2の内側太陽歯124と噛み合って係合するように構成することができる。内側遊星ギアセット114は第2のギア比を定義することができる。第2のギア比は第1のギア比とは異なり得る。たとえば、第2のギア比は第1のギア比より大きくても小さくてもよい。
【0044】
ギア減速サブアセンブリ50は、外側遊星ギアセット92および内側遊星ギアセット114を含み、ブレーキロータ40およびハブ42よりフレーム20の中央部24から遠くに配置することができる。たとえば、ギア減速サブアセンブリ50は、ブレーキロータ40およびハブ42よりモータ28のステータ30から遠くに配置することができる。たとえば、ハブ42およびブレーキロータ40は、ギア減速サブアセンブリ50とモータ28のステータ30との間に配置することができる。いくつかの実装形態において、ギア減速サブアセンブリ50は実質的に車両10のホイールウェル内に配置することができる。すなわち、ギア減速サブアセンブリ50は実質的にホイール16のタイヤによって取り囲むことができる。他の実装形態において、ギア減速サブアセンブリ50は、モータ28のステータ30とハブ42との間に配置することができる。このような実装形態において、ギア減速サブアセンブリ50はフレーム20に固定することができ、ハブ42はホイール16の回転を駆動することができる。
【0045】
図3~
図5Bを引き続き参照すると、ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると、シンクロメッシュギア136は外側太陽ギア94と内側太陽ギア116との間に配置することができる。シンクロメッシュギア136および外側太陽ギア94は外側空洞146を画定することができる。シンクロメッシュギア136および内側太陽ギア116は内側空洞148を画定することができる。シンクロメッシュギア136は、シンクロメッシュギア136を通って延在する中央孔138を含むことができ、中央孔138は、モータ28のロータ32を受容するように構成されている。中央孔138を画定する内面の周りに配置されているのは、ロータ32のロータ歯36と噛み合って係合し、ロータ32がシンクロメッシュギア136の回転を駆動することができるように構成された中央歯140である。すなわち、シンクロメッシュギア136は、ロータ32に結合されてこれと回転方向で位置を合わせることができる。シンクロメッシュギア136が軸A
1に沿って摺動可能であり、ロータ32が軸A
1を中心とするシンクロメッシュギア136の回転を駆動するように、シンクロメッシュギア136をロータ32に結合することができる。他の実装形態において、シンクロメッシュギア136は、たとえば、溶接、機械的留め具などのような、任意の適切な方法でロータ32と回転方向で位置を合わせることができる。
【0046】
シンクロメッシュギア136は、外側シンクロメッシュ歯142を有する遠位内周面と、外側シンクロメッシュ歯142の反対側にある内側シンクロメッシュ歯144を有する近位内周面と、を含むことができる。たとえば、ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると、外側シンクロメッシュ歯142は、内側シンクロメッシュ歯144よりフレーム20の中央部24から遠くに配置することができる。シンクロメッシュギア136は、外側遊星ギアセット92および内側遊星ギアセット114と選択的に係合するように構成されている。たとえば、外側シンクロメッシュ歯142は外側太陽ギア94の第1の外側太陽歯100と噛み合って係合するように構成することができ、内側シンクロメッシュ歯144は内側太陽ギア116の第1の内側太陽歯122と噛み合って係合するように構成することができる。シンクロメッシュギア136は、非係合位置(
図4)と、外側位置(
図5A)と、内側位置(
図5B)と、の間で移動可能(たとえば、軸A
1に対して並進可能)とすることができる。非係合位置において、シンクロメッシュギア136は、外側太陽ギア94と内側太陽ギア116との間に配置されてこれらから離間することができる。外側位置において、シンクロメッシュギア136の外側シンクロメッシュ歯142は外側太陽ギア94の第1の外側太陽歯100と噛み合って係合することができ、シンクロメッシュギア136は内側太陽ギア116から離間することができる。内側位置において、シンクロメッシュギア136の内側シンクロメッシュ歯144は内側太陽ギア116の第1の内側太陽歯122と噛み合って係合することができ、シンクロメッシュギア136は外側太陽ギア94から離間することができる。いくつかの実装形態において、シンクロメッシュギア136はドッグクラッチまたは任意の他の適切なタイプのギアとすることができる。
【0047】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、外側ばね154は、シンクロメッシュギア136の第1の側の外側空洞146に配置することができ、内側ばね156は、第1の側の反対側のシンクロメッシュギア136の第2の側の内側空洞148に配置することができる。たとえば、ギア減速サブアセンブリ50が組み立てられると、内側ばね156は、外側ばね154よりフレーム20の中央部24の近くに配置することができる。外側ばね154および内側ばね156はそれぞれシンクロメッシュギア136に当接することができ、それぞれシンクロメッシュギア136を非係合位置へ付勢することができる。たとえば、外側ばね154は外側太陽ギア94からシンクロメッシュギア136まで延在し、外側太陽ギア94およびシンクロメッシュギア136に対立する力を及ぼすことができ、内側ばね156は内側太陽ギア116からシンクロメッシュギア136まで延在し、内側太陽ギア116およびシンクロメッシュギア136に対立する力を及ぼすことができる。外側ばね154および内側ばね156は実質的に互いに類似していてもよく、または外側ばね154および内側ばね156は互いに異なっていてもよい。外側ばね154および内側ばね156はそれぞれ、たとえば、らせんばね、円錐ばね、皿ばねなどのような、任意の適切なタイプのばねとすることができる。
【0048】
図5Aおよび
図5Bを引き続き参照すると、ロータ32は第1の油圧チャネル150および第2の油圧チャネル152を含む。第1の油圧チャネル150は第2の油圧チャネル152を取り囲んでこれから離間することができ、第1の油圧チャネル150は、ロータ32を通って外側空洞146内へ(たとえば、内側太陽ギア116とシンクロメッシュギア136との間のキャリアハウジング64の中央孔74内へ)延在することができる。第2の油圧チャネル152は、ロータ32の中心を通って内側空洞148内へ(たとえば、外側太陽ギア94とシンクロメッシュギア136との間のキャリアハウジング64の中央孔74内へ)延在することができる。第1の油圧チャネル150および第2の油圧チャネル152はそれぞれ、油圧力をそれぞれ外側空洞146および内側空洞148内へ、およびシンクロメッシュギア136上へ向けるように構成することができる。各油圧力は、車軸アセンブリ14の一部または車両10上の任意の適切な場所に固定することができる油圧システム(図示せず)から供給することができる。第1の油圧チャネル150によって向けられる油圧力により、シンクロメッシュギア136は外側ばね154の付勢に打ち勝ち、シンクロメッシュギア136の外側シンクロメッシュ歯142が外側太陽ギア94の第1の外側太陽歯100と噛み合って係合する外側位置へ移動することができる。第2の油圧チャネル152によって向けられる油圧力により、シンクロメッシュギア136は内側ばね156の付勢に打ち勝ち、シンクロメッシュギア136の内側シンクロメッシュ歯144が内側太陽ギア116の第1の内側太陽歯122と噛み合って係合する内側位置へ移動することができる。
【0049】
動作の一例として、モータ28は軸A1を中心とするロータ32の回転を駆動し、これが軸A1を中心とするシンクロメッシュギア136の回転を駆動する。シンクロメッシュギア136が非係合位置にあれば、シンクロメッシュギア136は、外側太陽ギア94または内側太陽ギア116に接触することなく回転する。外側ばね154の付勢に打ち勝つのに十分な油圧力が第1の油圧チャネル150を通して向けられれば、シンクロメッシュギア136は、シンクロメッシュギア136の外側シンクロメッシュ歯142が外側太陽ギア94の第1の外側太陽歯100と噛み合って係合する外側位置へ移動する。ロータ32が回転すると、外側位置におけるシンクロメッシュギア136は回転し、外側シンクロメッシュ歯142と第1の外側太陽歯100の係合によって軸A1を中心とする外側太陽ギア94の回転を駆動する。外側太陽ギア94は、第2の外側太陽歯102と外側遊星歯112の係合によって各ステム106の中心を通って延在する軸を中心としてのかつ軸A1の周りの外側遊星ギア104の回転を駆動する。外側遊星ギア104が軸A1の周りで回転するにつれて、外側遊星ギア104は、径方向孔84と係合するステム106によって軸A1を中心とする外側キャリア80の回転を駆動する。キャリアハウジング64に固定されることによって、外側キャリア80はキャリアハウジング64の回転を駆動し、これは、次に、キャリアハウジング歯68と外側ケーシング歯56の係合によって軸A1を中心とする外側ケーシングの回転を駆動する。ホイールボルト46および外側ケーシングボルト48を介してハブ42に固定されることによって、外側ケーシング52は軸A1を中心とするハブ42の回転を駆動する。ホイールボルト46を介してホイール16に固定されることによって、ハブ42は軸A1を中心とするホイール16の回転を駆動し、これにより車両10は地面に対して前方または後方のいずれかの方向に移動する。
【0050】
動作の他の一例として、モータ28は軸A1を中心とするロータ32の回転を駆動し、これが軸A1を中心とするシンクロメッシュギア136の回転を駆動する。シンクロメッシュギア136が非係合位置にあれば、シンクロメッシュギア136は、外側太陽ギア94または内側太陽ギア116に接触することなく回転する。内側ばね156の付勢に打ち勝つのに十分な油圧力が第2の油圧チャネル152を通して向けられれば、シンクロメッシュギア136は、シンクロメッシュギア136の内側シンクロメッシュ歯144が内側太陽ギア116の第1の内側太陽歯122と噛み合って係合する内側位置へ移動する。ロータ32が回転すると、内側位置におけるシンクロメッシュギア136は回転し、内側シンクロメッシュ歯144と第1の内側太陽歯122の係合によって軸A1を中心とする内側太陽ギア116の回転を駆動する。内側太陽ギア116は、第2の内側太陽歯124と内側遊星歯134の係合によって各ステム128の中心を通って延在する軸を中心としてのかつ軸A1の周りの内側遊星ギア126の回転を駆動する。内側遊星ギア126が軸A1の周りで回転するにつれて、内側遊星ギア126は、径方向孔90と係合するステム128によって軸A1を中心とする内側キャリア86の回転を駆動する。キャリアハウジング64に固定されることによって、内側キャリア86はキャリアハウジング64の回転を駆動し、これは、次に、キャリアハウジング歯68と外側ケーシング歯56の係合によって軸A1を中心とする外側ケーシングの回転を駆動する。ホイールボルト46および外側ケーシングボルト48を介してハブ42に固定されることによって、外側ケーシング52は軸A1を中心とするハブ42の回転を駆動する。ホイールボルト46を介してホイール16に固定されることによって、ハブ42は軸A1を中心とするホイール16の回転を駆動し、これにより車両10は地面に対して前方または後方のいずれかの方向に移動する。
【0051】
上記のように、シンクロメッシュギア136は、第1の油圧チャネル150または第2の油圧チャネル152のいずれかを通してそれぞれ向けられる油圧力によって外側遊星ギアセット92および内側遊星ギアセット114の一方と選択的に係合することができる。シンクロメッシュギア136の選択的係合により、ホイール16が第1のギア比または第2のギア比のどちらを介して駆動されるかが決まる。ギア比により、ロータ32が回転する速度に対してホイール16が回転する速度が決まる。第1のギア比は、(i)外側シンクロメッシュ歯142、(ii)第1の外側太陽歯100、(iii)第2の外側太陽歯102、(iv)外側遊星歯112、(v)キャリアハウジング歯68、および/または(vi)外側ケーシング歯56のそれぞれにおける歯の数によって決定することができる。第2のギア比は、(i)内側シンクロメッシュ歯144、(ii)第1の内側太陽歯122、(iii)第2の内側太陽歯124、(iv)内側遊星歯134、(v)キャリアハウジング歯68、および/または(vi)外側ケーシング歯56のそれぞれにおける歯の数によって決定することができる。
【0052】
いくつかの実装形態において、車軸アセンブリ14は、少なくとも1つのギアボックスを含むeアクスルとすることができるモータ28を組み込むことができる。車軸アセンブリ14は、独立したリアサスペンションを有する車両用に構成することができる。たとえば、車軸アセンブリ14は、乗用車(たとえば、軽量トラック)に伝統的に組み込まれる高容量のeアクスルを利用することができ、ギア減速サブアセンブリ50は、商用車用途(たとえば、貨物バン)のトルクおよび/または速度要件に一致するように動作することができる。第1のギア比を有する外側遊星ギアセット92および第2のギア比を有する内側遊星ギアセット114を用いることによって、車軸アセンブリ14は、異なるeアクスルに適応する能力を有することができる。たとえば、車軸アセンブリ14は、eアクスルからのトルクおよび/または速度入力を、所望の車両用途に適したトルク/速度出力に変換することができる。
【0053】
他の利点は、主要コンポーネント(たとえば、eモータ、インバータ、ギア減速機など)のために高容量の用途を活用することによって電気推進システムについてコストが低くなる、最小限の変更および最小限のスペース要件で従来のフレーム間隔および取り付けを可能にするように車軸アセンブリを構成することができる、かつ高容量のeアクスルの広範囲の使用が可能になるトルク/速度のために特定の車両用途に合わせて車軸アセンブリを調整することができることを含むが、これらに限定されない。
【0054】
前述の説明は、例示および説明という目的のために提供されてきた。これは網羅的であること、または開示を限定することを意図していない。特定の構成の個々の要素または特徴は一般にその特定の構成に限定されず、適用可能な場合、交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された構成において用いることができる。これらは多くの方法で変形することもできる。このような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのこのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0055】
10 車両
12 本体
14 車軸アセンブリ
16 ホイール
18 乗員室
20 フレーム
22 遠位端
24 中央部
26 受け台
27a~d 横方向に延在する部材
28 モータ
29 ブラケット
30 ステータ
32 ロータ
34 遠位端
36 ロータ歯
38 ブレーキキャリパマウント
40 ブレーキロータ
42 ハブ
44 第1のフランジ
46 ホイールボルト
48 外側ケーシングボルト
50 ギア減速サブアセンブリ
52 外側ケーシング
54 本体
56 外側ケーシング歯
58 第2のフランジ
60 ホイールボルト孔
62 外側ケーシングボルト孔
64 キャリアハウジング
66 外側リング
68 キャリアハウジング歯
70 内壁
72 中央ステム
74 中央孔
76a~d 外側凹部
78a~d 内側凹部
80 外側キャリア
82 中央孔
84a~d 径方向孔
86 内側キャリア
88 中央孔
90a~d 径方向孔
92 外側遊星ギアセット
94 外側太陽ギア
96 中央ステム
98 中央孔
100 第1の外側太陽歯
102 第2の外側太陽歯
104a~d 外側遊星ギア
106a~d ステム
108a~d 近位端
110a~d 遠位端
112a~d 外側遊星歯
114 内側遊星ギアセット
116 内側太陽ギア
118 中央ステム
120 中央孔
122 第1の内側太陽歯
124 第2の内側太陽歯
126a~d 内側遊星ギア
128a~d ステム
130a~d 近位端
132a~d 遠位端
134a~d 内側遊星歯
136 シンクロメッシュギア
138 中央孔
140 中央歯
142 外側シンクロメッシュ歯
144 内側シンクロメッシュ歯
146 外側空洞
148 内側空洞
150 第1の油圧チャネル
152 第2の油圧チャネル
154 外側ばね
156 内側ばね