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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】半導体装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20231201BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L29/78 616M
H01L29/78 617S
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022136690
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2019131598の分割
【原出願日】2015-03-12
(65)【公開番号】P2022164771
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2014051798
(32)【優先日】2014-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】神長 正美
(72)【発明者】
【氏名】島 行徳
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016785(JP,A)
【文献】特開2013-175718(JP,A)
【文献】特開2013-168646(JP,A)
【文献】特開2013-131582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタを有する半導体装置の作製方法であって、
In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に接して、インジウム又は亜鉛を有する第1の金属酸化物膜を形成し、
前記第1の金属酸化物膜及び前記第1の絶縁膜に酸素を添加し、
前記酸素を添加する工程の後、熱処理を行い、
前記熱処理後、前記第1の金属酸化物膜上に第1の導電膜を形成し、
前記酸化物半導体膜の第1の領域及び第2の領域を露出するように、前記第1の絶縁膜、前記第1の金属酸化物膜及び前記第1の導電膜の各々を加工して、ゲート絶縁膜としての機能を有する第2の絶縁膜、第2の金属酸化物膜、及びゲート電極としての機能を有する第2の導電膜を形成し、
前記第2の導電膜をマスクとして、前記酸化物半導体膜に不純物元素を添加し、
前記第1の領域上、前記第2の領域上、及び前記第2の導電膜上に、水素を有する第3の絶縁膜を形成し、
前記トランジスタのチャネル方向における断面視において、前記第2の絶縁膜の両端部は、前記酸化物半導体膜の上面に位置し、
前記断面視において、前記第2の導電膜の下面の長さは、前記第2の絶縁膜の下面の長さよりも小さく、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の領域の上面と接する領域と、前記第2の領域の上面と接する領域と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に第3の領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記第2の金属酸化物膜及び前記第2の絶縁膜を介して、前記第3の領域と重なる領域を有する、半導体装置の作製方法。
【請求項2】
トランジスタを有する半導体装置の作製方法であって、
In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に接して、インジウム又は亜鉛を有する第1の金属酸化物膜を形成し、
前記第1の金属酸化物膜を形成後、熱処理を行い、
前記熱処理後、前記第1の金属酸化物膜上に第1の導電膜を形成し、
前記酸化物半導体膜の第1の領域及び第2の領域を露出するように、前記第1の絶縁膜、前記第1の金属酸化物膜及び前記第1の導電膜の各々を加工して、ゲート絶縁膜としての機能を有する第2の絶縁膜、第2の金属酸化物膜、及びゲート電極としての機能を有する第2の導電膜を形成し、
前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第2の導電膜上に、水素を有する第3の絶縁膜を形成し、
前記トランジスタのチャネル方向における断面視において、前記第2の絶縁膜の両端部は、前記酸化物半導体膜の上面に位置し、
前記断面視において、前記第2の導電膜の下面の長さは、前記第2の絶縁膜の下面の長さよりも小さく、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の領域の上面と接する領域と、前記第2の領域の上面と接する領域と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に第3の領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記第2の金属酸化物膜及び前記第2の絶縁膜を介して、前記第3の領域と重なる領域を有する、半導体装置の作製方法。
【請求項3】
トランジスタを有する半導体装置の作製方法であって、
In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に接して、インジウム又は亜鉛を有する第1の金属酸化物膜を形成し、
前記第1の金属酸化物膜を形成後、熱処理を行い、
前記熱処理後、前記第1の金属酸化物膜上に第1の導電膜を形成し、
前記酸化物半導体膜の第1の領域及び第2の領域を露出するように、前記第1の絶縁膜、前記第1の金属酸化物膜及び前記第1の導電膜の各々を加工して、ゲート絶縁膜としての機能を有する第2の絶縁膜、第2の金属酸化物膜、及びゲート電極としての機能を有する第2の導電膜を形成し、
前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第2の導電膜上に、窒素を有する第3の絶縁膜を形成し、
前記トランジスタのチャネル方向における断面視において、前記第2の絶縁膜の両端部は、前記酸化物半導体膜の上面に位置し、
前記断面視において、前記第2の導電膜の下面の長さは、前記第2の絶縁膜の下面の長さよりも小さく、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の領域の上面と接する領域と、前記第2の領域の上面と接する領域と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に第3の領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記第2の金属酸化物膜及び前記第2の絶縁膜を介して、前記第3の領域と重なる領域を有する、半導体装置の作製方法。
【請求項4】
トランジスタを有する半導体装置の作製方法であって、
In、Ga、及びZnを含む酸化物半導体膜を形成し、
前記酸化物半導体膜上に第1の絶縁膜を形成し、
前記第1の絶縁膜上に接して、インジウム又は亜鉛を有する第1の金属酸化物膜を形成し、
前記第1の金属酸化物膜を形成後、熱処理を行い、
前記熱処理後、前記第1の金属酸化物膜上に第1の導電膜を形成し、
前記酸化物半導体膜の第1の領域及び第2の領域を露出するように、前記第1の絶縁膜、前記第1の金属酸化物膜及び前記第1の導電膜の各々を加工して、ゲート絶縁膜としての機能を有する第2の絶縁膜、第2の金属酸化物膜、及びゲート電極としての機能を有する第2の導電膜を形成し、
前記第1の領域上、前記第2の領域上及び前記第2の導電膜上に、酸素を有する第3の絶縁膜を形成し、
前記トランジスタのチャネル方向における断面視において、前記第2の絶縁膜の両端部は、前記酸化物半導体膜の上面に位置し、
前記断面視において、前記第2の導電膜の下面の長さは、前記第2の絶縁膜の下面の長さよりも小さく、
前記第2の絶縁膜は、前記第1の領域の上面と接する領域と、前記第2の領域の上面と接する領域と、を有し、
前記酸化物半導体膜は、前記第1の領域と前記第2の領域との間に第3の領域を有し、
前記第2の導電膜は、前記第2の金属酸化物膜及び前記第2の絶縁膜を介して、前記第3の領域と重なる領域を有する、半導体装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシ
ン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特
に、本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、それら
の駆動方法、またはそれらの製造方法に関する。特に、本発明の一態様は、電界効果トラ
ンジスタを有する半導体装置に関する。
【0002】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる
装置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶
装置は、半導体装置の一態様である。撮像装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、電
気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、入出力装置、およ
び電子機器は、半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0003】
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタ(薄膜トランジ
スタ(TFT)ともいう)を構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路
(IC)や画像表示装置(表示装置)のような電子デバイスに広く応用されている。トラ
ンジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコンを代表とする半導体材料が広く知られて
いるが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0004】
また、チャネルが形成される酸化物半導体膜の下地絶縁膜として、加熱により酸素を放
出する絶縁膜を用いる半導体装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-9836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸化物半導体膜を用いたトランジスタにおいて、酸化物半導体膜のチャネル領域に含ま
れる酸素欠損は、トランジスタの電気特性の不良に繋がる。例えば、酸化物半導体膜のチ
ャネル領域に酸素欠損が含まれているトランジスタは、しきい値電圧がマイナス方向に変
動しやすく、ノーマリーオン特性となりやすい。これは、チャネル領域に含まれる酸素欠
損に起因して電荷が生じてしまい、低抵抗化するためである。
【0007】
また、酸化物半導体膜のチャネル領域に酸素欠損が含まれると、経時変化や光ゲートB
T(Bias-Temperature)ストレス試験により、トランジスタの電気特性
、代表的にはしきい値電圧が変動してしまうという問題がある。
【0008】
上記問題に鑑み、本発明の一態様は、電気特性の変動が抑制されると共に、信頼性が向
上した半導体装置の作製方法を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様
は、消費電力が低減された半導体装置の作製方法を提供することを課題の一とする。また
は、本発明の一態様は、新規な半導体装置の作製方法を提供することを課題の一とする。
または、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変
動を抑制すると共に、信頼性を向上させることを課題の一とする。または、本発明の一態
様は、消費電力が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、本発
明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、酸化物半導体膜上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に緩衝膜を形成し、
緩衝膜及び絶縁膜に酸素を添加し、酸素が添加された緩衝膜上に導電膜を形成し、導電膜
をマスクとして、酸化物半導体膜に不純物元素を添加する半導体装置の作製方法である。
【0011】
なお、酸化物半導体膜に不純物元素を添加した後、酸化物半導体膜と重なる水素を有す
る絶縁膜を形成してもよい。
【0012】
または、酸素が添加された絶縁膜及び酸素が添加された緩衝膜をエッチングして、酸化
物半導体膜の一部を露出させた後、導電膜をマスクとして、酸化物半導体膜に不純物元素
を添加し、酸化物半導体膜と重なる水素を有する絶縁膜を形成してもよい。
【0013】
本発明の一態様は、酸化物半導体膜上に絶縁膜を形成し、酸化物半導体膜と重なる端部
を有する緩衝膜を絶縁膜上に形成し、緩衝膜及び絶縁膜に酸素を添加し、酸素が添加され
た緩衝膜上に導電膜を形成し、導電膜をマスクとして、酸化物半導体膜に不純物元素を添
加する半導体装置の作製方法である。
【0014】
なお、酸化物半導体膜に不純物元素を添加した後、酸化物半導体膜と重なる水素を有す
る絶縁膜を形成してもよい。
【0015】
または、酸素が添加された絶縁膜をエッチングして、酸化物半導体膜の一部を露出させ
た後、導電膜をマスクとして、酸化物半導体膜に不純物元素を添加し、酸化物半導体膜と
重なる水素を有する絶縁膜を形成してもよい。
【0016】
または、緩衝膜及び絶縁膜に酸素を添加した後、加熱処理を行ってもよい。
【0017】
なお、酸素が添加された緩衝膜が絶縁体の場合、導電膜はゲート電極として機能する。
または、酸素が添加された緩衝膜が半導体の場合、導電膜及び酸素が添加された緩衝膜は
ゲート電極として機能する。
【0018】
また、緩衝膜が、インジウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル
、及びモリブデンの一以上を有してもよい。
【0019】
なお、不純物元素は、水素、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン、および希ガ
スの一以上である。または、不純物元素は、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、リン
、および希ガスの一以上と、水素とである。
【0020】
また、酸化物半導体膜は、水素を有する絶縁膜と接する領域を有する。水素を有する絶
縁膜の代表例としては、窒化物絶縁膜があり、窒化物絶縁膜の代表例としては、窒化シリ
コン膜がある。
【0021】
また、ゲート電極は、酸化物半導体膜と同じ金属元素を有してもよい。その場合、ゲー
ト電極は、導電性を有する酸化物半導体膜で形成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様により、電気特性の変動が抑制されると共に、信頼性が向上した半導体
装置を作製することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半
導体装置を作製することができる。または、本発明の一態様により、新規な半導体装置の
作製方法を提供することができる。
【0023】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果
は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図
面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図2】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図3】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図4】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図5】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図6】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図7】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図8】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図9】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図10】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図11】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図12】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図13】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図14】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図15】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図16】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図17】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図18】半導体装置の作製工程の一形態を説明する断面図。
図19】計算モデルを説明する図。
図20】初期状態と最終状態を説明する図。
図21】活性化障壁を説明する図。
図22】初期状態と最終状態を説明する図。
図23】活性化障壁を説明する図。
図24】VHの遷移レベルを説明する図。
図25】抵抗率の温度依存性を説明する図。
図26】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図27】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図28】本発明の一形態に係るトランジスタの構造およびバンド構造を説明する図。
図29】半導体装置の一形態を説明する断面図。
図30】CAAC-OSの断面におけるCs補正高分解能TEM像、およびCAAC-OSの断面模式図。
図31】CAAC-OSの平面におけるCs補正高分解能TEM像。
図32】CAAC-OSおよび単結晶酸化物半導体のXRDによる構造解析を説明する図。
図33】CAAC-OSの電子回折パターンを示す図。
図34】In-Ga-Zn酸化物の電子照射による結晶部の変化を示す図。
図35】実施の形態に係る入出力装置の構成を説明する投影図。
図36】実施の形態に係る入出力装置の構成を説明する断面図。
図37】実施の形態に係る検知回路19および変換器CONVの構成および駆動方法を説明する図。
図38】電子機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する
。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱するこ
となく、その形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される
。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない
【0026】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、
実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、
必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0027】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の
混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0028】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」ま
たは「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁膜上のゲート電
極」の表現であれば、ゲート絶縁膜とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外
しない。
【0029】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に
限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり
、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「
配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0030】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含
む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイ
ン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間
にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すこ
とができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として
流れる領域をいう。
【0031】
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合
や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このた
め、本明細書等においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いること
ができるものとする。
【0032】
なお、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するも
の」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するも
の」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない
。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジス
タなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有
する素子などが含まれる。
【0033】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置
されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略
平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態
をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、
二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0034】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表
す。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置および半導体装置の作製方法の一形態を、図1乃至図4
を用いて説明する。
【0036】
<半導体装置の構成>
図1(A)乃至図1(D)に、半導体装置に含まれるトランジスタの一例として、トッ
プゲート・セルフアライン構造のトランジスタの断面図を示す。
【0037】
図1(A)に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55と、酸化物半導体膜55に接す
る絶縁膜57と、絶縁膜57上の緩衝膜60と、緩衝膜60と接し且つ酸化物半導体膜5
5と重畳する導電膜61と、を有する。
【0038】
酸化物半導体膜55は、第1の領域55aおよび該第1の領域55aを挟む第2の領域
55b、55cを有する。第1の領域55aは、チャネル領域としての機能を有する。第
2の領域55b、55cは、ソース領域およびドレイン領域の機能を有する。なお、第2
の領域55b、55cは、第1の領域55aと比較して抵抗率が低いため、低抵抗領域と
いうこともできる。
【0039】
また、トランジスタにおける酸化物半導体膜55は、基板51上の絶縁膜53上に形成
される。また、酸化物半導体膜55における第2の領域55b、55cに接して、水素を
有する絶縁膜65が設けられてもよい。
【0040】
また、水素を有する絶縁膜65に接して、絶縁膜67が設けられてもよい。また、水素
を有する絶縁膜65および絶縁膜67の開口部において、酸化物半導体膜55における第
2の領域55b、55cと接する一対の導電膜68、69が、設けられてもよい。また、
絶縁膜67、一対の導電膜68、69上に、絶縁膜79が設けられてもよい。
【0041】
酸化物半導体膜55において、第1の領域55aは、第2の領域55b、55cと比較
して、酸素欠損が少ないことを特徴とする。
【0042】
トランジスタのチャネル領域において、酸素欠損が形成されると、酸素欠損に起因して
キャリアである電子が生じ、ノーマリーオン特性になりやすい。酸化物半導体膜55にお
いて第1の領域55aはチャネル領域としての機能を有するため、第1の領域55aの酸
素欠損を減らすことが、安定したトランジスタ特性を得る上でも重要となる。
【0043】
本実施の形態のトランジスタの作製方法においては、絶縁膜(図1に示す絶縁膜57と
なる絶縁膜)上に緩衝膜(図1に示す緩衝膜60となる膜)を形成し、緩衝膜を介して絶
縁膜に過剰な酸素を添加する。緩衝膜は、酸素の添加工程において、酸素の脱離を抑制す
ると共に、絶縁膜へのダメージを低減する。この結果、絶縁膜に過剰な酸素が添加される
。また、加熱処理によって、絶縁膜に含まれる過剰な酸素を酸化物半導体膜(図1に示す
酸化物半導体膜55となる酸化物半導体膜)に移動させる。この結果、酸化物半導体膜の
酸素欠損を低減することができる。上記過剰な酸素を導入する方法としては、例えば、イ
オン注入法、イオンドーピング法、プラズマ処理等を用いることができる。
【0044】
なお、緩衝膜を絶縁膜上に形成せず、過剰な酸素を絶縁膜に直接導入すると、絶縁膜の
表面が数nm程度エッチングされてしまう。絶縁膜の表面には添加された酸素が含まれる
ため、該エッチングにより、添加された酸素の一部が放出されてしまう。この結果、酸化
物半導体膜の酸素欠損を低減するのに十分な量の酸素が、絶縁膜に添加されない。しかし
ながら、絶縁膜上に緩衝膜を設けて、絶縁膜に酸素を添加することで、緩衝膜が、絶縁膜
の表面のエッチングを防ぐことが可能である。この結果、酸化物半導体膜の酸素欠損を低
減するのに十分な酸素を絶縁膜に添加することができる。
【0045】
また、緩衝膜を介して絶縁膜に酸素を添加するため、絶縁膜に与えるダメージを軽減し
つつ、絶縁膜に過剰な酸素を添加することができる。したがって、緩衝膜を介して絶縁膜
に過剰な酸素を導入することで、緩衝膜は、絶縁膜の緩衝材としての機能を有する。
【0046】
緩衝膜60は、インジウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル、
及びモリブデンの一以上を有する。例えば、上述した金属元素を有する金属酸化物、また
は上述した金属元素を有する金属酸化窒化物等を用いて形成する。
【0047】
また、緩衝膜60は、金属元素の種類によって、絶縁体または半導体の特性を有する。
緩衝膜60が絶縁体で形成される場合、即ち、緩衝膜60が絶縁膜の場合、絶縁膜57及
び緩衝膜60がゲート絶縁膜としての機能を有し、導電膜61はゲート電極としての機能
を有する。または、緩衝膜60が半導体で形成される場合、即ち、緩衝膜60が半導体膜
の場合、絶縁膜57がゲート絶縁膜としての機能を有し、緩衝膜60及び導電膜61がゲ
ート電極としての機能を有する。
【0048】
酸化物半導体膜55において、第2の領域55b、55cは、不純物元素を有する領域
を有する。
【0049】
また、酸化物半導体膜の原料ガスに不純物元素が含まれる場合、第1の領域55aおよ
び第2の領域55b、55cは、不純物元素を有する。この場合、第2の領域55b、5
5cは、第1の領域55aと不純物元素の濃度が異なる領域を有する。代表的には、第2
の領域55b、55cは、第1の領域55aと比較して不純物元素の濃度が高い領域を有
する。例えば、スパッタリングガスとして希ガスを用いたスパッタリング法により酸化物
半導体膜55が形成される場合、酸化物半導体膜55に希ガスが含まれる。一方、酸素欠
損を形成するために、第2の領域55b、55cに意図的に希ガスを添加することで、第
2の領域55b、55cにおいて、希ガスの濃度が高い領域が形成される。これらの結果
、第2の領域55b、55cにおいて、第1の領域55aと比較して希ガスの濃度が高い
領域が形成される。なお、第2の領域55b、55cにおいて、第1の領域55aと異な
る不純物元素が添加されていてもよい。
【0050】
不純物元素の代表例としては、希ガス、水素、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、
およびリンの一以上がある。希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ク
リプトンおよびキセノンがある。
【0051】
不純物元素として、ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、またはリンが第2の領域5
5b、55cに含まれる場合、第1の領域55aと比較して、第2の領域55b、55c
の方が、不純物元素の濃度が高い。
【0052】
また、酸化物半導体膜55において、第2の領域55b、55cは、希ガス、ホウ素、
窒素、フッ素、アルミニウム、およびリンの一以上と、水素とを有する。さらに、第2の
領域55b、55cは、第1の領域55aと水素の濃度が異なる領域を有する。具体的に
は、第2の領域55b、55cは、第1の領域55aと比較して、水素の濃度が高い領域
を有する。これは、酸化物半導体膜55が水素を有する絶縁膜65と接することで、もし
くは絶縁膜57を介して、絶縁膜65に含まれる水素が酸化物半導体膜55に含まれる第
2の領域55b、55cに拡散するためである。
【0053】
第2の領域55b、55cの二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary
Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度は、8×10
atoms/cm以上、好ましくは1×1020atoms/cm以上、より好ま
しくは5×1020atoms/cm以上である。なお、第1の領域55aの二次イオ
ン質量分析法により得られる水素濃度は、5×1019atoms/cm以下、より好
ましくは1×1019atoms/cm以下、5×1018atoms/cm以下、
好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atom
s/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下である。
【0054】
第1の領域55aの水素濃度を上記範囲とすることで、第1の領域55aにおけるキャ
リアである電子の生成を抑制することが可能であり、トランジスタは、しきい値電圧がプ
ラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0055】
不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体膜に水素が含まれると、酸
素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、酸化物半導
体膜は、導電性が高くなり、導電体化する。導電体化された酸化物半導体膜を酸化物導電
体膜ということができる。即ち、酸化物半導体膜55において、第1の領域55aは、酸
化物半導体で形成され、第2の領域55b、55cは酸化物導電体で形成されるといえる
。酸化物半導体膜55において、第2の領域55b、55cは、第1の領域55aと比較
して水素濃度が高く、且つ不純物元素の添加による酸素欠損量が多い。代表的には、第2
の領域55b、55cの抵抗率は、1×10-3Ωcm以上1×10Ωcm未満、さら
に好ましくは、抵抗率が1×10-3Ωcm以上1×10-1Ωcm未満であることが好
ましい。
【0056】
なお、一般に、酸化物半導体は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透
光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する酸化物半導体で
ある。したがって、該ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して酸化物半導
体と同程度の透光性を有する。
【0057】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図1(A)に示すトランジスタは、第1
の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致して
もよい。この場合、チャネル長は、第2の領域55bと、第2の領域55cとの間の距離
となる。
【0058】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図1(B)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なる領域を有してもよい
。該領域をオーバーラップ領域Lovということができる。なお、オーバーラップ領域L
ovの長さは、チャネル長Lの20%未満、または10%未満、または5%未満、または
2%未満であることが好ましい。この場合、チャネル長は、第2の領域55bと、第2の
領域55cとの間の距離となる。
【0059】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図1(C)に示すトランジスタのよう
に、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの間に、第3の領域55d、55
eを有してもよい。なお、第3の領域55d、55eは、第2の領域55b、55cより
、不純物元素濃度が低く、抵抗率が高く、電界緩和領域として機能する。この場合、チャ
ネル長は、第3の領域55dと、第3の領域55eとの間の距離となる。
【0060】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図1(D)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならなくともよい。即ち、第1
の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61より外側に位置して
もよい。第1の領域55aにおいて、導電膜61と重ならない領域をオフセット領域Lo
ffということができる。この場合、チャネル長は、第1の領域55aであって、且つ導
電膜61と重なる領域の幅となる。なお、オフセット領域Loffの長さは、チャネル長
の20%未満、または10%未満、または5%未満、または2%未満であることが好まし
い。
【0061】
なお、図1(A)乃至図1(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60が半導体膜
で形成される場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0062】
このため、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図1(A)において、第1の領域
55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよい
【0063】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図1(B)において、オーバーラップ
領域Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領域
である。
【0064】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図1(D)において、チャネル長は、
第1の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0065】
以下に、図1に示す構成の詳細について説明する。
【0066】
基板51としては、様々な基板を用いることができ、特定のものに限定されることはな
い。基板の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板またはシリコン基板)、SOI
基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、
ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを
有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィ
ルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウ
ケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム
、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォ
ン(PES)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合
成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化
ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイ
ミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基
板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、
特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいト
ランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると
、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
【0067】
また、基板51として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成
してもよい。または、基板51とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、
その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板51より分離し、他の基板に
転載するのに用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の
基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン
膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成
等を用いることができる。
【0068】
トランジスタが転載される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成すること
が可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィ
ルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン
、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、
再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板
を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの
形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる
【0069】
絶縁膜53は、酸素を有する絶縁膜または窒素を有する絶縁膜を、単層または積層して
形成することができる。酸素を有する絶縁膜の代表例としては、酸化物絶縁膜がある。ま
た、窒素を有する絶縁膜の代表例としては、窒化物絶縁膜がある。なお、酸化物半導体膜
55との界面特性を向上させるため、絶縁膜53において少なくとも酸化物半導体膜55
と接する領域は、酸素を有する絶縁膜で形成されることが好ましい。また、絶縁膜53と
して、加熱処理により酸素を放出する機能を有する酸化物絶縁膜を用いることで、該加熱
処理によって、絶縁膜53が有する酸素を、酸化物半導体膜55に移動させることが可能
であるため好ましい。
【0070】
絶縁膜53として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化
シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn酸化物な
どを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
【0071】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸
素の含有量が多い膜を指し、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1
原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原
子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、
その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指し、好ましくは窒素が55乃至6
5原子%、酸素が1乃至20原子%、シリコンが25乃至35原子%、水素が0.1乃至
10原子%の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0072】
酸化物半導体膜55は、代表的には、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In-M
-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、Sn、La、Ce、またはNd)等の金属酸
化物で形成される。
【0073】
なお、酸化物半導体膜55がIn-M-Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率
は、InおよびMの和を100atomic%としたとき、Inが25atomic%以
上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%以上、M
が66atomic%未満とする。
【0074】
酸化物半導体膜55は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上
、より好ましくは3eV以上である。
【0075】
酸化物半導体膜55の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上10
0nm以下、さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。
【0076】
酸化物半導体膜55がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、Zr、Sn、La
、Ce、またはNd)の場合、In-M-Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリ
ングターゲットの金属元素の原子数比は、Inの原子数がMの原子数以上、且つZnの原
子数がMの原子数以上であることを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングタ
ーゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=
1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:2.3、
In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2等が好ましい。なお、成膜さ
れる酸化物半導体膜55の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲ
ットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0077】
また、酸化物半導体膜55において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含ま
れると、酸化物半導体膜55において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、
酸化物半導体膜55におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られ
る濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms
/cm以下とする。この結果、トランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性
(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0078】
また、酸化物半導体膜55において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金
属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは
2×1016atoms/cm以下にする。アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、
酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増
大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜55のアルカリ金属またはアルカリ
土類金属の濃度を低減することが好ましい。この結果、トランジスタは、しきい値電圧が
プラスとなる電気特性(ノーマリーオフ特性ともいう。)を有する。
【0079】
また、酸化物半導体膜55に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャ
リア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を用い
たトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、当該酸化物半導体膜55の
第1の領域55aにおいて、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、
二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下
にすることが好ましい。
【0080】
酸化物半導体膜55の第1の領域55aの不純物を低減することで、酸化物半導体膜5
5の第1の領域55aのキャリア密度を低減することができる。このため、酸化物半導体
膜55の第1の領域55aは、キャリア密度が8×1011/cm未満であること、好
ましくは1×1011/cm未満であること、さらに好ましくは、1×1010/cm
未満1×10-9/cm以上であることが好ましい。
【0081】
酸化物半導体膜55の第1の領域55aとして、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低
い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気特性を有するトランジスタを作製す
ることができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない
)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度
真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすること
ができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜55の第1の領域55aにチャネル領
域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がプラスとなる電気特性(ノーマリーオフ
特性ともいう。)になりやすい。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化
物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また
、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さ
く、チャネル幅が1×10μmでチャネル長Lが10μmの半導体素子であっても、ソ
ース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オ
フ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10-13A以下
という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜55の第1の領域55aに
チャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトラ
ンジスタとなる場合がある。
【0082】
また、酸化物半導体膜55は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば
、後述するCAAC-OS(C Axis Aligned Crystalline
Oxide Semiconductor)、多結晶構造、後述する微結晶構造、または
非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CA
AC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0083】
なお、酸化物半導体膜55が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領
域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域の二種以上を有する混合膜であってもよい
。混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAA
C-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域を有する単層構造がある。
また、混合膜は、例えば、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、C
AAC-OSの領域、単結晶構造の領域のいずれか二種以上の領域の積層構造を有する場
合がある。
【0084】
絶縁膜57は、酸素を有する絶縁膜または窒素を有する絶縁膜を、単層または積層して
形成することが好ましい。代表的には、酸素を有する絶縁膜として酸化物絶縁膜を用いる
ことが可能であり、窒素を有する絶縁膜として窒化物絶縁膜を用いることが可能である。
なお、酸化物半導体膜55との界面特性を向上させるため、絶縁膜57において少なくと
も酸化物半導体膜55と接する領域は酸素を有する絶縁膜で形成することが好ましく、代
表的には酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。
【0085】
酸化物絶縁膜として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸
化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa-Zn酸化物などを用いることができる。また、
窒化物絶縁膜として、窒化酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0086】
また、絶縁膜57として、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を設け
ることで、酸化物半導体膜55における第1の領域55aからの酸素の外部への拡散と、
外部から酸化物半導体膜55における第1の領域55aへの水素、水等の侵入を防ぐこと
ができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、酸化アルミニ
ウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸
化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等を用いて形成することがで
きる。
【0087】
また、絶縁膜57として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加された
ハフニウムシリケート(HfSi)、窒素が添加されたハフニウムアルミネー
ト(HfAl)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh-k材料
を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
【0088】
導電膜61は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、ニッケル
、鉄、コバルト、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分と
する合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。ま
た、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いても
よい。また、導電膜61は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、
シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、マンガンを含む銅膜の単層構造、アルミニウ
ム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、
窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タング
ステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、マンガンを含む銅膜上に銅膜を積層す
る二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチ
タン膜を形成する三層構造、マンガンを含む銅膜上に銅膜を積層し、さらにその上にマン
ガンを含む銅膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル
、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複
数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
【0089】
また、導電膜61は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物
、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、
酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを含むイン
ジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光
性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
【0090】
また、図2に示すように、導電膜61は、積層構造であり、緩衝膜60と接する導電膜
61a、および導電膜61aに接する導電膜61bを有してもよい。また、導電膜61a
の端部は、導電膜61bの端部より外側に位置してもよい。即ち、導電膜61aが、導電
膜61bから迫り出した形状を有してもよい。
【0091】
水素を有する絶縁膜65は、窒化物絶縁膜を用いて形成することが好ましい。窒化物絶
縁膜として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウ
ム等を用いて形成することができる。絶縁膜65に含まれる水素濃度は、1×1022
toms/cm以上であると、酸化物半導体膜に水素を拡散させることが可能であるた
め、好ましい。
【0092】
一対の導電膜68、69は、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリ
ウム、ジルコニウム、モリブデン、鉄、コバルト、銀、タンタル、またはタングステンな
どの金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いる。例え
ば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、マンガンを含む銅膜の単層構造、チタン
膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層す
る二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタ
ン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、マンガ
ンを含む銅膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン
膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチ
タン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と
、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層
し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造、マンガン
を含む銅膜上に銅膜を積層し、さらにその上にマンガンを含む銅膜を形成する三層構造等
がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよ
い。
【0093】
絶縁膜67、79は、絶縁膜53または絶縁膜57の材料を適宜用いることができる。
【0094】
なお、一対の導電膜68、69が銅を含む場合、絶縁膜79は、窒素を有する絶縁膜を
用いて形成することで、銅の拡散を防ぐことが可能であり好ましい。窒素を有する絶縁膜
の代表例としては、窒化物絶縁膜がある。窒化物絶縁膜は、窒化シリコン、窒化酸化シリ
コン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等を用いて形成することができる。
【0095】
<半導体装置の作製方法>
次に、図1(A)に示すトランジスタの作製方法について、図3および図4を用いて説
明する。
【0096】
トランジスタを構成する膜(絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化物膜、導電膜等)は、
スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PL
D)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成することができ
る。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代
表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機金属化学
堆積:Metal Organic Chemical Vapor Depositi
on)法やALD(原子層成膜:Atomic Layer Deposition)法
を使ってもよい。また、ロードロック室を備えたマルチチャンバー方式の成膜装置を用い
て各膜を大気に触れさせることなく連続して積層することで、各膜の界面における不純物
量を低減できるため好ましい。
【0097】
熱CVD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、原料ガスと酸化剤を同時にチ
ャンバー内に送り、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を
行う。このように、熱CVD法は、プラズマを発生させない成膜方法であるため、プラズ
マダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
【0098】
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが
順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行う。例えば
、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブともよぶ。)を切り替えて2種類以上の原
料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガ
スと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の
原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリ
アガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。
また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第
2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の単原子層
を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の単原子層が第1の単原子
層上に積層されて薄膜が形成される。
【0099】
このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆
性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数に
よって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なトランジスタを
作製する場合に適している。
【0100】
図3(A)に示すように、基板51上に、絶縁膜53および酸化物半導体膜54を形成
する。次に、酸化物半導体膜54上に絶縁膜56を形成し、絶縁膜56上に緩衝膜58を
形成する。次に、緩衝膜58を介して、絶縁膜56に、酸素62を添加する。
【0101】
絶縁膜53は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)
法、印刷法、塗布法等を適宜用いて形成することができる。また、基板51上に絶縁膜を
形成した後、該絶縁膜に酸素を添加して、絶縁膜53を形成することができる。絶縁膜に
添加する酸素としては、酸素ラジカル、酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン等が
ある。また、添加方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処理法等
がある。
【0102】
酸化物半導体膜54の形成方法について以下に説明する。絶縁膜53上にスパッタリン
グ法、塗布法、パルスレーザー蒸着法、レーザーアブレーション法、熱CVD法等により
酸化物半導体膜を形成する。次に、酸化物半導体膜上にリソグラフィ工程によりマスクを
形成した後、該マスクを用いて酸化物半導体膜の一部をエッチングすることで、図3(A
)に示すように、酸化物半導体膜54を形成することができる。この後、マスクを除去す
る。
【0103】
また、酸化物半導体膜54として印刷法を用いることで、素子分離された酸化物半導体
膜54を直接形成することができる。
【0104】
スパッタリング法で酸化物半導体膜を形成する場合、プラズマを発生させるための電源
装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
【0105】
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガスお
よび酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガスおよび酸素の混合ガスの場合、希ガスに
対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
【0106】
また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜の組成にあわせて、適宜選択すればよい
【0107】
なお、酸化物半導体膜を形成する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合、基板
温度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好まし
くは200℃以上350℃以下として、酸化物半導体膜を成膜することで、CAAC-O
S膜を形成することができる。
【0108】
また、後述するCAAC-OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ま
しい。
【0109】
成膜時の不純物混入を抑制することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制で
きる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)
を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点
が-80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0110】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメー
ジを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100
体積%とする。
【0111】
また、酸化物半導体膜を形成した後、加熱処理を行い、酸化物半導体膜の脱水素化また
は脱水化をしてもよい。加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、
好ましくは250℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする
【0112】
加熱処理は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、クリプトン等の希ガス、または
窒素を含む不活性ガス雰囲気で行う。または、不活性ガス雰囲気で加熱した後、酸素雰囲
気で加熱してもよい。なお、上記不活性雰囲気および酸素雰囲気に水素、水などが含まれ
ないことが好ましい。処理時間は3分以上24時間以下とする。
【0113】
該加熱処理は、電気炉、RTA装置等を用いることができる。RTA装置を用いること
で、短時間に限り、基板の歪み点以上の温度で熱処理を行うことができる。そのため加熱
処理時間を短縮することができる。
【0114】
酸化物半導体膜を加熱しながら成膜することで、さらには酸化物半導体膜を形成した後
、加熱処理を行うことで、酸化物半導体膜において、水素濃度を5×1019atoms
/cm以下、より好ましくは1×1019atoms/cm以下、5×1018at
oms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは
5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm
以下とすることができる。
【0115】
ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜、例えばInGaZnO(X>0)
膜を成膜する場合には、In(CHガスとOガスを順次繰り返し導入してInO
層を形成し、その後、Ga(CHガスとOガスを同時に導入してGaO層を形
成し、更にその後Zn(CHとOガスを同時に導入してZnO層を形成する。な
お、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてInGaO
やInZnO層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層を形
成してもよい。なお、Oガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングしたHOガス
を用いてもよいが、Hを含まないOガスを用いる方が好ましい。また、In(CH
ガスにかえて、In(Cガスを用いてもよい。また、Ga(CHガス
にかえて、Ga(Cガスを用いてもよい。また、Zn(CHガスにかえ
て、Zn(Cガスを用いてもよい。
【0116】
ここでは、スパッタリング法により、厚さ35nmの酸化物半導体膜を形成した後、当
該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、酸化物半導体膜の一部を選択的にエッチングする
。次に、マスクを除去した後、窒素および酸素を含む混合ガス雰囲気で加熱処理を行うこ
とで、酸化物半導体膜54を形成する。
【0117】
なお、加熱処理は、350℃より高く650℃以下、好ましくは450℃以上600℃
以下で行うことで、後述するCAAC化率が、60%以上100%未満、好ましくは80
%以上100%未満、より好ましくは90%以上100%未満、さらに好ましくは95%
以上98%以下である酸化物半導体膜を得ることができる。また、水素、水等の含有量が
低減された酸化物半導体膜を得ることが可能である。すなわち、不純物濃度が低く、欠陥
準位密度の低い酸化物半導体膜を形成することができる。
【0118】
絶縁膜56は、のちの工程によりゲート絶縁膜となる絶縁膜である。絶縁膜56は、ス
パッタリング法、CVD法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、熱CVD法
等で形成する。
【0119】
絶縁膜56として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合、原料ガス
としては、シリコンを含む堆積性気体および酸化性気体を用いることが好ましい。シリコ
ンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等
がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
【0120】
また、絶縁膜56として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD法を用いて形成す
ることができる。
【0121】
また、絶縁膜56として、MOCVD法やALD法などの熱CVD法を用いて、酸化ハ
フニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体化合物を含む液体(ハフニウム
アルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH)などのハフニウム
アミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O)の2種類のガスを用いる
。なお、テトラキスジメチルアミドハフニウムの化学式はHf[N(CHであ
る。また、他の材料液としては、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどがあ
る。
【0122】
また、絶縁膜56として、MOCVD法やALD法などの熱CVD法を用いて、酸化ア
ルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体化合物を含む液体(トリメ
チルアルミニウムTMAなど)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてHOの2種類の
ガスを用いる。なお、トリメチルアルミニウムの化学式はAl(CHである。また
、他の材料液としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミ
ニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナ
ート)などがある。なお、ALD法で形成することで、被覆率が高く、膜厚の薄い絶縁膜
56を形成することが可能である。
【0123】
また、絶縁膜56として、MOCVD法やALD法などの熱CVD法を用いて、酸化シ
リコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、吸着物に含
まれる塩素を除去し、酸化性ガス(O、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と
反応させる。
【0124】
ここでは、絶縁膜56として、プラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成する
【0125】
緩衝膜58は、インジウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル、
またはモリブデンの中から選ばれる少なくとも1以上を有する。例えば、上述した金属元
素を有する合金、上述した金属元素を有する金属酸化物、上述した金属元素を有する金属
窒化物、または上述した金属元素を有する金属窒化酸化物等の導電性を有する材料を用い
て形成する。
【0126】
緩衝膜58としては、例えば、窒化タンタル膜、チタン膜、インジウム錫酸化物(以下
ITOともいう)膜、アルミニウム膜、酸化物半導体膜(例えば、IGZO膜(In:G
a:Zn=1:4:5(原子数比))等)を用いることができる。
【0127】
緩衝膜58の厚さは、1nm以上20nm以下、または2nm以上10nm以下とする
ことができる。緩衝膜58の厚さを上記範囲とすることで、緩衝膜58と共に、絶縁膜5
6により多くの酸素を添加することができる。
【0128】
また、緩衝膜58の物性が、半導体または導電体の場合、イオンドーピング法、イオン
注入法、プラズマ処理法等において、イオン化された酸素が緩衝膜58に引きよせられや
すい。このため、半導体または導電体を用いて形成された緩衝膜58を用いることで、緩
衝膜58を介して絶縁膜56により多くの酸素を添加することが可能であり、好ましい。
【0129】
本実施の形態では、緩衝膜58としては、スパッタリング装置を用いて、厚さ5nmの
窒化タンタル膜を形成する。
【0130】
緩衝膜58を介して絶縁膜56に酸素62を添加する方法としては、イオンドーピング
法、イオン注入法、プラズマ処理法等がある。該プラズマ処理としては、例えば、ドライ
エッチング装置またはアッシング装置を用いて、平行平板のカソード側に基板を設置し、
基板側にバイアスが印加されるようにRF電力を供給すればよい。基板側にバイアスを印
加することによって、酸素62を絶縁膜56に効率よく導入することができるため好適で
ある。絶縁膜56上に緩衝膜58を設けることで、酸素62を添加する際に、絶縁膜56
に与えられるダメージを緩和することができる。また、緩衝膜58が絶縁膜56から酸素
が脱離することを抑制する保護膜として機能する。このため、絶縁膜56により多くの酸
素を添加することができる。または、絶縁膜56と、緩衝膜58との界面近傍に酸素を添
加することができる。
【0131】
また、プラズマ処理で酸素の導入を行う場合、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸
素プラズマを発生させることで、絶縁膜56への酸素導入量を増加させることができる。
【0132】
なお、緩衝膜58に酸素が添加されることで形成された緩衝膜59を図3(B)に示す
図3(A)に示す緩衝膜58は、酸素62が添加されることにより、緩衝膜58に含ま
れる金属元素の一部が酸化される場合がある。この場合、図3(B)に示す緩衝膜59は
、金属元素(インジウム、亜鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル、また
はモリブデン)を有する金属酸化物、または上述した金属元素を有する金属酸化窒化物と
なる。なお、緩衝膜59の物性は、絶縁体または半導体である。
【0133】
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板
歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450
℃以下とする。当該工程により、絶縁膜56に含まれる酸素が酸化物半導体膜54に移動
し、酸化物半導体膜54に含まれる酸素欠損量を低減することができる。なお、ここで加
熱処理を行わず、のちに行われる加熱処理によって、絶縁膜56に含まれる酸素を酸化物
半導体膜54に移動させてもよい。
【0134】
次に、緩衝膜59上に導電膜61を形成する(図3(C)参照)。
【0135】
導電膜61の形成方法を以下に示す。はじめに、スパッタリング法、真空蒸着法、パル
スレーザー堆積(PLD)法、熱CVD法等により導電膜を形成し、導電膜上にリソグラ
フィ工程によりマスクを形成する。次に、該マスクを用いて導電膜の一部をエッチングし
て、導電膜61を形成する。この後、マスクを除去する。
【0136】
なお、導電膜61は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェッ
ト法等で形成してもよい。
【0137】
また、ALDを利用する成膜装置により導電膜としてタングステン膜を成膜することが
できる。この場合には、WFガスとBガスを順次繰り返し導入して初期タングス
テン膜を形成し、その後、WFガスとHガスを同時に導入してタングステン膜を形成
する。なお、Bガスに代えてSiHガスを用いてもよい。
【0138】
次に、図3(D)に示すように、導電膜61をマスクとして絶縁膜56及び緩衝膜59
をエッチングして、絶縁膜57及び緩衝膜60を形成する。
【0139】
次に、図4(A)に示すように、導電膜61をマスクとして、酸化物半導体膜54に不
純物元素63を添加する。この結果、酸化物半導体膜54の露出部に不純物元素が添加さ
れる。不純物元素63の添加によるダメージを受け、酸化物半導体膜54には、欠陥、代
表的には酸素欠損が形成される。なお、不純物元素によっては、酸化物半導体膜54に酸
素欠損を形成するが、酸化物半導体膜54内には残存せず、放出される不純物元素もある
が、このような現象も含めて、ここでは、酸化物半導体膜に不純物元素を添加する、と表
記して説明する。
【0140】
不純物元素63の添加方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処
理法等がある。プラズマ処理法の場合、添加する不純物元素を含むガス雰囲気にてプラズ
マを発生させて、プラズマ処理を行うことによって、加速させた不純物元素イオンを酸化
物半導体膜54に衝突させ、酸化物半導体膜54に酸素欠損を形成することができる。上
記プラズマを発生させる装置としては、ドライエッチング装置やプラズマCVD装置、マ
イクロ波を用いた高密度プラズマCVD装置等を用いることができる。また、プラズマ処
理を行う場合は、平行平板のカソード側に基板を設置し、基板51側にバイアスが印加さ
れるように、RF電力を供給すればよい。該RF電力としては、例えば、電力密度を0.
1W/cm以上2W/cm以下とすればよい。この結果、酸化物半導体膜54へ不純
物元素の添加量を増加させることが可能であり、酸化物半導体膜54により多くの酸素欠
損を形成できる。
【0141】
なお、不純物元素63の原料ガスとして、B、PH、CH、N、NH
AlH、AlCl、SiH、Si、F、HF、Hおよび希ガスの一以上
を用いることができる。または、希ガスで希釈されたB、PH、N、NH
AlH、AlCl、F、HFおよびHの一以上を用いることができる。希ガスで
希釈されたB、PH、N、NH、AlH、AlCl、F、HFおよび
の一以上を用いて酸化物半導体膜54に添加することで、希ガスと、水素、ホウ素、
炭素、窒素、フッ素、アルミニウム、シリコン、リンおよび塩素の一以上とを同時に酸化
物半導体膜54に添加することができる。
【0142】
または、希ガスを酸化物半導体膜54に添加した後、B、PH、CH、N
、NH、AlH、AlCl、SiH、Si、F、HFおよびHの一以
上を酸化物半導体膜54に添加してもよい。
【0143】
または、B、PH、CH、N、NH、AlH、AlCl、SiH
、Si、F、HFおよびHの一以上を酸化物半導体膜54に添加した後、希ガ
スを酸化物半導体膜54に添加してもよい。
【0144】
イオンドーピング法またはイオン注入法を用いる場合、加速電圧、ドーズ量などの注入
条件を適宜設定して制御すればよい。例えば、イオン注入法でアルゴンの添加を行う場合
、加速電圧10kV、ドーズ量は1×1013ions/cm以上1×1016ion
s/cm以下とすればよく、例えば、1×1014ions/cmとすればよい。ま
た、イオン注入法でリンイオンの添加を行う場合、加速電圧30kV、ドーズ量は1×1
13ions/cm以上5×1016ions/cm以下とすればよく、例えば、
1×1015ions/cmとすればよい。
【0145】
なお、不純物元素63の代わりに、酸化物半導体膜54に紫外線等を照射して、酸化物
半導体膜54に酸素欠損を形成してもよい。または、酸化物半導体膜54にレーザ光を照
射して、酸化物半導体膜54に酸素欠損を形成してもよい。
【0146】
なお、導電膜61が露出した状態で不純物元素63を添加すると、導電膜61の一部が
剥離し、絶縁膜57の側面に付着してしまう場合がある。この結果、トランジスタのリー
ク電流が増大してしまう。このため、導電膜61の上面をマスクで覆った状態で、酸化物
半導体膜54に不純物元素63を添加することで、導電膜61の一部が絶縁膜57の側壁
に付着することを防ぐことができる。
【0147】
次に、図4(B)に示すように、酸化物半導体膜54、絶縁膜57、緩衝膜60および
導電膜61上に、水素を有する絶縁膜64を形成する。水素を有する絶縁膜64の形成方
法としては、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)
法等がある。なお、水素を有する絶縁膜64の成膜方法として、ALD(原子層成膜)法
を用いることで、段差被覆性に優れた水素を有する絶縁膜64を形成することができる。
【0148】
水素を有する絶縁膜64には水素が含まれている。このため、酸化物半導体膜54にお
いて不純物元素が添加された領域と、水素を有する絶縁膜64とが接することで、絶縁膜
64に含まれる水素が、酸化物半導体膜54において不純物元素が添加された領域に移動
する。この結果、不純物元素が添加されない第1の領域55aと、不純物元素および水素
を有する第2の領域55b、55cとが形成される。また、第1の領域55a及び第2の
領域55b、55cを有する酸化物半導体膜55が形成される。なお、絶縁膜64に含ま
れる水素は、絶縁膜57の一部を介して酸化物半導体膜55の一部に拡散する。この結果
、第2の領域55b、55cの一部は、絶縁膜57と重なる場合がある。以上の工程によ
り、導電膜61の一部と重なる第2の領域55b、55cを形成することができる。
【0149】
また、第2の領域55b、55cは、不純物元素の添加により生じた酸素欠損、および
水素を有する。酸素欠損および水素の相互作用により、第2の領域55b、55cは導電
性が高くなる。すなわち、第2の領域55b、55cは、低抵抗領域となる。
【0150】
次に、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板
歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450
℃以下とする。当該工程により、第2の領域55b、55cの導電性がさらに高まる。ま
た、当該工程により、絶縁膜57に含まれる酸素を酸化物半導体膜55に移動させること
ができる。
【0151】
次に、水素を有する絶縁膜64上に、のちに開口部を有する絶縁膜67となる絶縁膜を
形成してもよい。該絶縁膜を形成することで、のちに形成される一対の導電膜68、69
と、導電膜61との間における寄生容量を低減することができる。
【0152】
次に、水素を有する絶縁膜64の一部をエッチングして、開口部を有する絶縁膜65を
形成し、第2の領域55b、55cの一部を露出させる。その後、一対の導電膜68、6
9を形成する。次に、絶縁膜67、一対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成する(
図4(C)参照。)。
【0153】
一対の導電膜68、69は、導電膜61と同様の形成方法を適宜用いることができる。
絶縁膜79は、絶縁膜53、絶縁膜56と同様に形成することができる。
【0154】
以上の工程により、図1(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0155】
本実施の形態では、緩衝膜を介して絶縁膜に酸素を添加し、該絶縁膜に含まれる酸素を
酸化物半導体膜に移動させることで、酸化物半導体膜の酸素欠損量を低減することができ
る。また、ゲート電極としての機能を有する導電膜をマスクとして、酸化物半導体膜に不
純物元素を添加する。酸化物半導体膜において、ゲート電極としての機能を有する導電膜
と重畳する領域は、チャネル領域としての機能を有し、不純物元素が添加された領域はソ
ース領域及びドレイン領域としての機能を有する。このため、本実施の形態に示すトラン
ジスタにおいて、チャネル領域は酸素欠損量が少なく、且つ不純物元素が添加されない。
一方、ソース領域及びドレイン領域には、不純物元素が添加されるため、抵抗率が低い。
以上のことから、本実施の形態では、ノーマリーオフ特性を有し、且つオン電流の高いト
ランジスタを作製することができる。また、信頼性の高いトランジスタを作製することが
できる。
【0156】
また、本実施の形態に示すトランジスタは、抵抗率の変動量の小さい領域を形成できる
ため、従来と比べ、オン電流が向上すると共に、トランジスタのばらつきを低減できる。
【0157】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0158】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1に示す半導体装置の構造及び作製方法と異なる形態を
図5乃至図9を用いて説明する。
【0159】
本実施の形態に示すトランジスタは、導電膜61の側面より、緩衝膜60の側面が外側
にせり出している点が実施の形態1と異なる。
【0160】
<半導体装置の構成1>
半導体装置が有するトランジスタの構造について、図5(A)乃至(D)を用いて説明
する。
【0161】
図5(A)に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55と、酸化物半導体膜55に接す
る絶縁膜57と、絶縁膜57上の緩衝膜60と、緩衝膜60と接し且つ酸化物半導体膜5
5と重畳する導電膜61と、を有する。緩衝膜60は、導電膜61の側面より外側にせり
出している。即ち、緩衝膜60の上面形状における面積は、導電膜61より大きい。また
、絶縁膜57の側面は、緩衝膜60の側面と、略一致している。
【0162】
その他の構造は、実施の形態1に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳
細な説明を省略する。
【0163】
本実施の形態に示すトランジスタの作製工程において、少なくともチャネル領域を覆う
島状の緩衝膜(図5に示す緩衝膜60となる緩衝膜)を介して、酸化物半導体膜(図5
示す酸化物半導体膜55となる酸化物半導体膜)と接する絶縁膜(図5に示す絶縁膜57
となる絶縁膜)に酸素を添加する。この結果、絶縁膜に過剰な酸素が添加される。また、
加熱処理により、絶縁膜に含まれる過剰な酸素を酸化物半導体膜に移動させる。この結果
、少なくともチャネル領域の酸素欠損を低減することができる。一方、ソース領域及びド
レイン領域は抵抗率が低い方が好ましいため、酸素欠損が多くてもよい。このため、少な
くともチャネル領域を覆う島状の緩衝膜を介して絶縁膜に酸素を添加し、該絶縁膜に含ま
れる酸素を選択的に酸化物半導体膜55に添加することで、オフ電流が小さく、オン電流
が大きいトランジスタを作製することができる。即ち、電気特性の優れたトランジスタを
作製することができる。
【0164】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図5(A)に示すトランジスタは、第1
の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致して
もよい。
【0165】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図5(B)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なるオーバーラップ領域
Lovを有してもよい。
【0166】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図5(C)に示すトランジスタのよう
に、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの間に、第3の領域55d、55
eを有してもよい。
【0167】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図5(D)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならず、オフセット領域Lof
fを有してもよい。
【0168】
なお、図5(A)乃至図5(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60が半導体膜
で形成される場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0169】
このため、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図5(A)において、第1の領域
55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよい
【0170】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図5(B)において、オーバーラップ
領域Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領域
である。
【0171】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図5(D)において、チャネル長は、
第1の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0172】
<半導体装置の構成2>
半導体装置が有するトランジスタの構造について、図6(A)乃至(D)を用いて説明
する。
【0173】
図6(A)乃至(D)に示すトランジスタは、図5に示すトランジスタと比較して、酸
化物半導体膜55と緩衝膜60の間に設けられる絶縁膜56が分離されていない点が異な
る。即ち、絶縁膜56は、酸化物半導体膜55の緩衝膜60側の面を覆う。
【0174】
その他の構造は、実施の形態1に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳
細な説明を省略する。
【0175】
なお、絶縁膜56の厚さは、絶縁膜56を介して酸化物半導体膜55に不純物元素が移
動する厚さで形成することが好ましい。絶縁膜56の厚さは、代表的には5nm以上10
0nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下とすることができる。
【0176】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図6(A)に示すトランジスタは、第1
の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致して
もよい。
【0177】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図6(B)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なるオーバーラップ領域
Lovを有してもよい。
【0178】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図6(C)に示すトランジスタのよう
に、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cの間に、第3の領域55d、55e
を有してもよい。
【0179】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図6(D)に示すトランジスタのよう
に、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならず、オフセット領域Lof
fを有してもよい。
【0180】
なお、図6(A)乃至図6(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60が半導体膜
で形成される場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0181】
このため、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図6(A)において、第1の領域
55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよい
【0182】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図6(B)において、オーバーラップ
領域Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領域
である。
【0183】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図6(D)において、チャネル長は、
第1の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0184】
<半導体装置の作製方法1>
次に、図5(A)に示すトランジスタの作製方法について、図7および図8を用いて説
明する。
【0185】
実施の形態1と同様に、図7(A)に示すように、基板51上の絶縁膜53と、絶縁膜
53上の酸化物半導体膜54と、酸化物半導体膜54上の絶縁膜56と、絶縁膜56上の
緩衝膜58aとを形成する。なお、緩衝膜58aは分離されており、緩衝膜58aの側面
が酸化物半導体膜54と重なる。
【0186】
また、ゲート電極としての機能を有する導電膜61が形成される領域と重なる領域に、
緩衝膜58aを形成する。即ち、のちに酸化物半導体膜55のチャネル領域となる領域と
重なる領域に、緩衝膜58aを形成する。即ち、絶縁膜56のゲート絶縁膜として機能す
る領域と重なる領域に、緩衝膜58aを形成する。なお、絶縁膜56においてゲート絶縁
膜として機能する領域は、酸化物半導体膜54及び導電膜61の間の領域を少なくとも含
む。
【0187】
次に、図7(B)に示すように、実施の形態1と同様に、緩衝膜58aに酸素62を添
加する。絶縁膜56において、酸素62が直接添加される領域においては、酸素62の添
加と共に、絶縁膜56の表面が数nm程度エッチングされてしまい、添加された酸素の一
部が放出してしまう。このため、絶縁膜56に十分な量の酸素が添加されない場合がある
。一方、絶縁膜56において、緩衝膜58aを介して酸素62が添加される領域において
は、緩衝膜58aが、絶縁膜56の表面の数nm程度のエッチングを防ぐ保護膜として機
能するため、のちに酸化物半導体膜55のチャネル領域となる領域の酸素欠損を低減する
のに十分な酸素を、絶縁膜56に添加することができる。
【0188】
また、緩衝膜58aを介して絶縁膜56に酸素を添加するため、絶縁膜56においてゲ
ート絶縁膜として機能する領域に与えるダメージを軽減しつつ、絶縁膜56に過剰な酸素
を添加することができる。
【0189】
のちに酸化物半導体膜55のチャネル領域となる領域と重なる領域に島状に形成された
緩衝膜58aを介して絶縁膜56に酸素を添加する。このため、絶縁膜56に含まれる酸
素を、のちに酸化物半導体膜55のチャネル領域となる領域に選択的に添加することがで
きる。
【0190】
なお、緩衝膜58aは、酸素62が添加されることにより、金属元素(インジウム、亜
鉛、チタン、アルミニウム、タングステン、タンタル、またはモリブデン)を有する金属
酸化物、または上述した金属元素を有する金属酸化窒化物で形成される緩衝膜60となる
図7(C)参照)。なお、緩衝膜60の物性は、絶縁体または半導体である。
【0191】
次に、実施の形態1と同様に、加熱処理を行ってもよい。当該工程により、絶縁膜56
に含まれる酸素が酸化物半導体膜54に移動し、酸化物半導体膜54に含まれる酸素欠損
量を低減することができる。なお、ここで加熱処理を行わず、のちに行われる加熱処理に
よって、絶縁膜56に含まれる酸素が酸化物半導体膜54に移動させてもよい。
【0192】
次に、図7(D)に示すように、実施の形態1と同様に、緩衝膜60上に導電膜61を
形成する。
【0193】
次に、図8(A)に示すように、緩衝膜60及び導電膜61をマスクとして、絶縁膜5
6をエッチングして、絶縁膜57を形成する。
【0194】
次に、図8(B)に示すように、実施の形態1と同様に、緩衝膜60及び導電膜61を
マスクとして、酸化物半導体膜54に不純物元素63を添加する。
【0195】
次に、実施の形態1と同様に、加熱処理を行って、第2の領域55b、55cとなる領
域の導電性を高めてもよい。また、当該工程により、絶縁膜57に含まれる酸素を酸化物
半導体膜54に移動させることができる。
【0196】
次に、図8(C)に示すように、実施の形態1と同様に、酸化物半導体膜54、絶縁膜
57、緩衝膜60および導電膜61上に水素を有する絶縁膜64を形成する。この結果、
不純物元素が添加されない第1の領域55aと、不純物元素および水素を有する第2の領
域55b、55cとが形成される。また、第1の領域55a及び第2の領域55b、55
cを有する酸化物半導体膜55が形成される。
【0197】
次に、実施の形態1に示すように、水素を有する絶縁膜64上に、のちに開口部を有す
る絶縁膜67となる絶縁膜を形成してもよい。次に、水素を有する絶縁膜64の一部をエ
ッチングして、開口部を有する絶縁膜65を形成し、第2の領域55b、55cの一部を
露出させる。その後、一対の導電膜68、69を形成してもよい。次に、絶縁膜67、一
対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成してもよい(図8(D)参照。)。
【0198】
以上の工程により、図5(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0199】
<半導体装置の作製方法2>
次に、図6(A)に示すトランジスタの作製方法について、図7及び図9を用いて説明
する。
【0200】
上述した<半導体装置の作製方法1>に示す図7(A)乃至図7(D)の工程を経て、
図9(A)に示すように、基板51上の絶縁膜53と、絶縁膜53上の酸化物半導体膜5
4と、酸化物半導体膜54上の絶縁膜56と、絶縁膜56上の緩衝膜60と、緩衝膜60
上の導電膜61とを形成する。
【0201】
次に、図9(A)に示すように、緩衝膜60及び導電膜61をマスクとして、絶縁膜5
6を介して酸化物半導体膜54に不純物元素63を添加する。
【0202】
次に、図9(B)に示すように、絶縁膜56、緩衝膜60および導電膜61上に水素を
有する絶縁膜64を形成する。この結果、不純物元素が添加されない第1の領域55aと
、不純物元素および水素を有する第2の領域55b、55cとが形成される。また、第1
の領域55a及び第2の領域55b、55cを有する酸化物半導体膜55が形成される。
【0203】
次に、実施の形態1に示すように、水素を有する絶縁膜64上に、のちに開口部を有す
る絶縁膜67となる絶縁膜を形成してもよい。次に、水素を有する絶縁膜64の一部をエ
ッチングして、開口部を有する絶縁膜65を形成し、第2の領域55b、55cの一部を
露出させる。その後、一対の導電膜68、69を形成してもよい。次に、絶縁膜67、一
対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成してもよい(図9(C)参照。)。
【0204】
以上の工程により、図6(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0205】
本実施の形態では、緩衝膜を介して絶縁膜に酸素を添加し、該絶縁膜に含まれる酸素を
酸化物半導体膜に移動させることで、酸化物半導体膜の酸素欠損量を低減することができ
る。また、ゲート電極としての機能を有する導電膜をマスクとして、酸化物半導体膜に不
純物元素を添加する。酸化物半導体膜において、ゲート電極としての機能を有する導電膜
と重畳する領域は、チャネル領域としての機能を有し、不純物元素が添加された領域はソ
ース領域及びドレイン領域としての機能を有する。このため、本実施の形態に示すトラン
ジスタにおいて、チャネル領域は酸素欠損量が少なく、且つ不純物元素が添加されない。
一方、ソース領域及びドレイン領域には、不純物元素が添加されるため、抵抗率が低い。
以上のことから、本実施の形態では、ノーマリーオフ特性を有し、且つオン電流の高いト
ランジスタを作製することができる。また、信頼性の高いトランジスタを作製することが
できる。
【0206】
また、本実施の形態では、酸化物半導体膜のチャネル領域と重なる絶縁膜に選択的に酸
素を添加することが可能であるため、選択的にチャネル領域の酸素欠損量を低減する。こ
の結果、本実施の形態では、ノーマリーオフ特性を有し、且つオン電流の高いトランジス
タを作製することができる。また、信頼性の高いトランジスタを作製することができる。
【0207】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0208】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2に示す半導体装置の構造及び作製方
法と異なる一形態を、図3図7図10乃至図13を用いて説明する。
【0209】
本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55または絶縁膜57上に、水素
を有する絶縁膜が形成されない点が実施の形態1及び実施の形態2と異なる。
【0210】
<半導体装置の構成1>
半導体装置が有するトランジスタの構造について、図10(A)乃至(D)を用いて説
明する。
【0211】
図10(A)に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55と、酸化物半導体膜55に接
する絶縁膜57と、絶縁膜57上の緩衝膜60と、緩衝膜60と接し且つ酸化物半導体膜
55と重畳する導電膜61と、を有する。
【0212】
また、トランジスタに含まれる酸化物半導体膜55は、基板51上の絶縁膜53上に形
成される。また、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cに接する絶縁
膜67と、絶縁膜67の開口部において、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55
b、55cと接する一対の導電膜68、69が、設けられてもよい。また、絶縁膜67、
一対の導電膜68、69上に絶縁膜79が、設けられてもよい。
【0213】
その他の構造は、実施の形態1に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳
細な説明を省略する。
【0214】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図10(A)に示すトランジスタは、第
1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致し
てもよい。
【0215】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図10(B)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なるオーバーラップ領
域Lovを有してもよい。
【0216】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図10(C)に示すトランジスタのよ
うに、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの間に、第3の領域55d、5
5eを有してもよい。
【0217】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図10(D)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならず、オフセット領域Lo
ffを有してもよい。
【0218】
なお、図10(A)乃至図10(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60が半導
体膜で形成される場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0219】
このため、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図10(A)において、第1の領
域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよ
い。
【0220】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図10(B)において、オーバーラッ
プ領域Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領
域である。
【0221】
また、緩衝膜60が半導体膜で形成される場合、図10(D)において、チャネル長は
、第1の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0222】
<半導体装置の構成2>
半導体装置が有するトランジスタの構造について、図11(A)乃至(D)を用いて説
明する。
【0223】
図11(A)に示すトランジスタは、図10に示すトランジスタと比較して、緩衝膜6
0が、導電膜61の側面より外側にせり出している点が異なる。即ち、緩衝膜60の上面
形状における面積は、導電膜61より大きい。また、絶縁膜57の側面は、緩衝膜60の
側面と、略一致している。
【0224】
その他の構造は、図10に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳細な説
明を省略する。
【0225】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図11(A)に示すトランジスタは、第
1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致し
てもよい。
【0226】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図11(B)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なるオーバーラップ領
域Lovを有してもよい。
【0227】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図11(C)に示すトランジスタのよ
うに、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cの間に、第3の領域55d、55
eを有してもよい。
【0228】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図11(D)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならず、オフセット領域Lo
ffを有してもよい。
【0229】
なお、図11(A)乃至図11(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60の物性
が半導体の場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0230】
このため、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図11(A)において、第1の領域55
aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよい。
【0231】
また、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図11(B)において、オーバーラップ領域
Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領域であ
る。
【0232】
また、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図11(D)において、チャネル長は、第1
の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0233】
<半導体装置の構成3>
半導体装置が有するトランジスタの構造について、図12(A)乃至(D)を用いて説
明する。
【0234】
図12(A)に示すトランジスタは、図11に示すトランジスタと比較して、酸化物半
導体膜55と緩衝膜60の間に設けられる絶縁膜56が分離されていない点が異なる。即
ち、絶縁膜56は、酸化物半導体膜55の緩衝膜60側の面を覆う。
【0235】
その他の構造は、図11に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳細な説
明を省略する。
【0236】
なお、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図12(A)に示すトランジスタは、第
1の領域55aと、第2の領域55b、55cとの界面は、導電膜61の端部と略一致し
てもよい。
【0237】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図12(B)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61の一部と重なるオーバーラップ領
域Lovを有してもよい。
【0238】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図12(C)に示すトランジスタのよ
うに、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cの間に、第3の領域55d、55
eを有してもよい。
【0239】
または、緩衝膜60が絶縁膜で形成される場合、図12(D)に示すトランジスタのよ
うに、第2の領域55b、55cの一部は、導電膜61と重ならず、オフセット領域Lo
ffを有してもよい。
【0240】
なお、図12(A)乃至図12(D)に示すトランジスタにおいて、緩衝膜60の物性
が半導体の場合、緩衝膜60及び導電膜61がゲート電極として機能する。
【0241】
このため、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図12(A)において、第1の領域55
aと、第2の領域55b、55cとの界面は、緩衝膜60の端部と略一致してもよい。
【0242】
また、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図12(B)において、オーバーラップ領域
Lovは、第2の領域55b、55cにおいて、少なくとも緩衝膜60と重なる領域であ
る。
【0243】
また、緩衝膜60の物性が半導体の場合、図12(D)において、チャネル長は、第1
の領域55aであって、且つ緩衝膜60と重なる領域の幅となる。
【0244】
<半導体装置の作製方法1>
次に、図10(A)に示すトランジスタの作製方法について、図3および図13を用い
て説明する。
【0245】
上述した実施の形態1の<半導体装置の作製方法>に示すように、図3の工程を経て、
基板51上の絶縁膜53と、絶縁膜53上の酸化物半導体膜54と、酸化物半導体膜54
上の絶縁膜57と、絶縁膜57上の緩衝膜60と、緩衝膜60上の導電膜61とを形成す
る。
【0246】
次に、図13(A)に示すように、緩衝膜60及び導電膜61をマスクとして、酸化物
半導体膜54に不純物元素63を添加する。ここでは、不純物元素63として、希ガス、
ホウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、およびリンの一以上と、水素とを同時または別々
に添加することで、図13(B)に示すように、不純物元素が添加されない第1の領域5
5aと、不純物元素および水素を有する第2の領域55b、55cとを形成することがで
きる。また、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとを有する酸化物半導体膜
55を形成することができる。
【0247】
次に、酸化物半導体膜55、絶縁膜57、緩衝膜60および導電膜61上に、開口部を
有する絶縁膜67を形成してもよい。次に、一対の導電膜68、69を形成してもよい。
次に、絶縁膜67、一対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成してもよい(図13
C)参照。)。
【0248】
以上の工程により、図10(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0249】
<半導体装置の作製方法2>
次に、図11(A)に示すトランジスタの作製方法について、図7(A)乃至(D)お
よび図8(A)(B)を用いて説明する。
【0250】
上述した実施の形態2の<半導体装置の作製方法1>に示すように、図7及び図8(A
)の工程を経て、基板51上の絶縁膜53と、絶縁膜53上の酸化物半導体膜54と、酸
化物半導体膜54上の絶縁膜57と、絶縁膜57上の緩衝膜60と、緩衝膜60上の導電
膜61とを形成する。
【0251】
次に、図8(B)に示すように、緩衝膜60及び導電膜61をマスクとして、酸化物半
導体膜54に不純物元素63を添加する。ここでは、不純物元素63として、希ガス、ホ
ウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、およびリンの一以上と、水素とを同時または別々に
添加することで、図11(A)に示すように、不純物元素が添加されない第1の領域55
aと、不純物元素および水素を有する第2の領域55b、55cとを形成することができ
る。また、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとを有する酸化物半導体膜5
5を形成することができる。
【0252】
次に、酸化物半導体膜55、絶縁膜57、緩衝膜60および導電膜61上に、開口部を
有する絶縁膜67を形成してもよい。次に、一対の導電膜68、69を形成してもよい。
次に、絶縁膜67、一対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成してもよい。
【0253】
以上の工程により、図11(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0254】
<半導体装置の作製方法3>
次に、図12(A)に示すトランジスタの作製方法について、図7(A)乃至(D)お
よび図9(A)を用いて説明する。
【0255】
上述した実施の形態2の<半導体装置の作製方法1>に示すように、図7の工程を経て
、基板51上の絶縁膜53と、絶縁膜53上の酸化物半導体膜54と、酸化物半導体膜5
4上の絶縁膜56と、絶縁膜56上の緩衝膜60と、緩衝膜60上の導電膜61とを形成
する。
【0256】
次に、図9(A)に示すように、緩衝膜60及び導電膜61をマスクとして、酸化物半
導体膜54に不純物元素63を添加する。ここでは、不純物元素63として、希ガス、ホ
ウ素、窒素、フッ素、アルミニウム、およびリンの一以上と、水素とを同時または別々に
添加することで、図12(A)に示すように、不純物元素が添加されない第1の領域55
aと、不純物元素および水素を有する第2の領域55b、55cとを形成することができ
る。また、第1の領域55aと、第2の領域55b、55cとを有する酸化物半導体膜5
5を形成することができる。
【0257】
次に、絶縁膜56、緩衝膜60および導電膜61上に、開口部を有する絶縁膜67を形
成してもよい。また、絶縁膜56に開口部を形成し、酸化物半導体膜55に含まれる第2
の領域55b、55cの一部を露出してもよい。次に、一対の導電膜68、69を形成し
てもよい。次に、絶縁膜67、一対の導電膜68、69上に絶縁膜79を形成してもよい
【0258】
以上の工程により、図12(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0259】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0260】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至実施の形態3において、絶縁膜53に過剰な酸素を添加する方法を、
図14を用いて説明する。
【0261】
図14(A)に示すように、基板51上に絶縁膜53を形成する。次に、絶縁膜53上
に緩衝膜81を形成する。次に、実施の形態1と同様に、緩衝膜81に酸素82を添加す
る。この結果、図14(B)に示すように、酸素が添加された絶縁膜53aと、酸素が添
加された緩衝膜83を形成することができる。
【0262】
緩衝膜81は、実施の形態1に示す緩衝膜58と同様の材料及び形成方法を適宜用いる
ことができる。また、緩衝膜83は、実施の形態1に示す緩衝膜59と同様に形成される
【0263】
こののち、図14(C)に示すように、緩衝膜83を除去してもよい。さらには、酸素
が添加された絶縁膜53a上に酸化物半導体膜を形成してもよい。この結果、のちの加熱
処理工程において、絶縁膜53aに含まれる酸素を酸化物半導体膜に移動させることが可
能であり、酸化物半導体膜の酸素欠損量を低減することができる。
【0264】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0265】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4に適用可能な構成を有するトランジ
スタおよびトランジスタの作製方法の一形態を、図15乃至図18を用いて説明する。こ
こでは、実施の形態1を用いて説明する。
【0266】
<半導体装置の構成>
図15に、半導体装置に含まれるトランジスタの一例として、トップゲート・セルフア
ライン構造のトランジスタの断面図を示す。本実施の形態に示すトランジスタは、実施の
形態1に示すトランジスタと比較して、ゲート絶縁膜が積層構造である点が異なる。
【0267】
図15(A)に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55と、酸化物半導体膜55に接
するゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜と接し、且つ酸化物半導体膜55と重畳する導電膜6
1と、を有する。ゲート絶縁膜は、絶縁膜57および緩衝膜60が、酸化物半導体膜55
側から順に積層されている。即ち、絶縁膜57は、酸化物半導体膜55に接する。緩衝膜
60は、絶縁膜57および導電膜61の間に設けられる。なお、ここでは、図示しないが
、絶縁膜57及び緩衝膜60の間に、別途絶縁膜を有してもよい。または、緩衝膜60及
び導電膜61の間に、別途絶縁膜を有してもよい。
【0268】
絶縁膜57は、実施の形態1に示す絶縁膜57を適宜用いることが可能である。なお、
絶縁膜57は、酸化物半導体膜55との界面において欠陥準位を形成しにくい材料を用い
て形成することが好ましい。
【0269】
緩衝膜60は、実施の形態1に示す緩衝膜60を適宜用いることが可能である。なお、
緩衝膜60は、エッチングされる際において、等方的にエッチングされる材料を用いて形
成することが好ましい。
【0270】
その他の構造は、実施の形態1に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳
細な説明を省略する。
【0271】
本実施の形態に示すトランジスタは、緩衝膜60が、側面において、凹部を有すること
を特徴とする。具体的には、緩衝膜60が、導電膜61と比較して、幅が狭い領域を有す
る。即ち、緩衝膜60の側面が、導電膜61の側面の一部より内側である領域を有する。
【0272】
絶縁膜57は、第2の領域55b、55cに不純物元素を添加することが可能な厚さと
することが好ましい。絶縁膜57の厚さは、代表的には5nm以上100nm以下、好ま
しくは10nm以上30nm以下とすることができる。
【0273】
緩衝膜60は、絶縁膜57と共に、ゲート絶縁膜として機能できる厚さとすることが好
ましい。
【0274】
また、本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域
55b、55cが、導電膜61の一部と重なる領域を有することを特徴とする。
【0275】
ここで、図15(B)乃至図15(D)に、図15(A)に示すトランジスタに含まれ
る酸化物半導体膜55近傍の拡大断面図を示す。
【0276】
図15(B)に示すように、緩衝膜60の側面の一部または全部は、導電膜61の側面
より内側に位置する。さらに、絶縁膜57の幅は、導電膜61と比較して、狭い。また、
酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cは、導電膜61の一部と重なる
領域を有する。該領域をオーバーラップ領域Lovということができる。
【0277】
または、図15(C)に示すように、緩衝膜60の側面の一部または全部は、導電膜6
1の側面より内側に位置する。さらに、絶縁膜57の幅は、導電膜61と比較して、広い
。また、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cは、導電膜61の一部
と重なるオーバーラップ領域Lovを有する。
【0278】
または、図15(D)に示すように、緩衝膜60の側面の一部または全部は、導電膜6
1の側面より内側に位置する。さらに、絶縁膜57の幅は、導電膜61の幅と略同一であ
る。また、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cは、導電膜61の一
部と重なるオーバーラップ領域Lovを有する。
【0279】
なお、オーバーラップ領域Lovの長さは、チャネル長Lの20%未満、または10%
未満、または5%未満、または2%未満であることが好ましい。
【0280】
絶縁膜57は、酸化物半導体膜55との界面における欠陥準位を形成しにくい材料を用
いて形成される。このため、絶縁膜57が酸化物半導体膜55と接することから、酸化物
半導体膜55および絶縁膜57の界面における欠陥準位密度を低くすることができる。ま
た、緩衝膜60は、等方的にエッチングすることが可能な材料を用いて形成される。この
ため、導電膜61をマスクとしてエッチングすることで、導電膜61より幅の狭い緩衝膜
60を形成することができる。なお、緩衝膜60は、エッチング工程におけるエッチング
速度が酸化物半導体膜と異なってもよい。この場合、酸化物半導体膜が露出した状態にお
いて、緩衝膜60を選択的に、且つ等方的に、エッチングすることができる。
【0281】
また、絶縁膜57は膜厚が薄いため、絶縁膜57を介して、第2の領域55b、55c
に不純物元素を添加することが可能である。さらには、絶縁膜65に含まれる水素を第2
の領域55b、55cに拡散させることが可能である。この結果、絶縁膜57の下に第2
の領域55b、55cを形成することが可能である。
【0282】
図15に示すトランジスタは、緩衝膜60が、側面において、凹部を有する。このため
、酸素欠損を形成するために酸化物半導体膜55に不純物元素を添加する際に、ゲート絶
縁膜の側面の凹部内にも不純物元素が侵入する。さらには、絶縁膜57は、膜厚が薄いた
め、絶縁膜57を介して、酸化物半導体膜55に不純物元素が添加される。これらの結果
、酸化物半導体膜55であって、導電膜61の一部と重なる領域に、不純物元素が添加さ
れると共に、酸素欠損が形成される。
【0283】
また、不純物元素が添加された領域に水素を有する絶縁膜65が接することで、もしく
は絶縁膜57を介して、絶縁膜65に含まれる水素が、酸化物半導体膜55における不純
物元素が添加された領域に拡散する。
【0284】
これらの結果、酸化物半導体膜55において、導電膜61の一部と重なる領域に、酸素
欠損及び水素を有する第2の領域55b、55cが形成される。
【0285】
即ち、本実施の形態は、緩衝膜60及び絶縁膜57の形状を利用して酸化物半導体膜に
選択的に不純物元素を添加すること、あるいは緩衝膜60及び絶縁膜57の形状を利用し
て酸化物半導体膜に選択的に水素を拡散させること、により、酸化物半導体膜に酸素欠損
及び水素を有する第2の領域55b、55cを選択的に形成する。実施の形態6で後述す
るが、水素は、酸素欠損において安定であり、酸素欠損から水素は放出されにくい。この
ため、第2の領域55b、55cに含まれる水素は、チャネル領域である第1の領域55
aへ拡散しにくく、トランジスタの電気特性の劣化を低減することができる。
【0286】
また、酸素欠損に水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成され、導電性が高くなる。
このため、第2の領域55b、55cは、ソース領域およびドレイン領域としての機能を
有する。第2の領域55b、55cが導電膜61の一部と重なる領域は、オーバーラップ
領域Lovとなる。本実施の形態に示すトランジスタは、オーバーラップ領域Lovを有
するため、チャネル領域とソース領域およびドレイン領域との間に、高抵抗領域が形成さ
れない。この結果、本実施の形態に示すトランジスタは、オン電流が高い。また、トラン
ジスタにおいて、チャネル領域とソース領域およびドレイン領域との間に高抵抗領域を有
すると、トランジスタの電気特性の劣化が生じやすいが、本実施の形態に示すトランジス
タは、オーバーラップ領域Lovを有するため、電気特性の劣化が少なく、信頼性が高い
【0287】
また、本実施の形態に示すトランジスタにおいて、第2の領域55b、55cは、不純
物元素の添加により酸素欠損が形成されると共に、水素を有する。このため、第2の領域
55b、55cにおける抵抗率を低減することが可能であるとともに、トランジスタごと
の第2の領域55b、55cの抵抗率のばらつきを低減することが可能である。すなわち
、酸化物半導体膜に不純物元素を添加し、酸素欠損を形成することで、第2の領域55b
、55cの抵抗率の制御が可能である。
【0288】
<半導体装置の作製方法1>
次に、図15(A)に示すトランジスタの作製方法について、図16および図17を用
いて説明する。
【0289】
実施の形態1と同様に、図16(A)に示すように、基板51上の絶縁膜53と、絶縁
膜53上の酸化物半導体膜54と、酸化物半導体膜54上の絶縁膜56と、絶縁膜56上
の緩衝膜58とを形成する。次に、緩衝膜58に酸素62を添加する。この結果、絶縁膜
56に、より多くの酸素を添加することができる。
【0290】
ここでは、絶縁膜56として、酸化シリコン膜を形成し、緩衝膜58として、ITO膜
を形成する。
【0291】
なお、緩衝膜58に酸素が添加されることで形成された緩衝膜59を図16(B)に示
す。次に、緩衝膜59上に、導電膜61を形成する。
【0292】
次に、図16(C)に示すように、導電膜61をマスクとして緩衝膜59をエッチング
して、緩衝膜60を形成する。ここでは、絶縁膜56と比較して、緩衝膜59のエッチン
グ速度の速いエッチャントを用いたウエットエッチング法を用いることができる。または
、絶縁膜56と比較して、緩衝膜59のエッチング速度が速く、且つ等方的にエッチング
することが可能なエッチングガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。こ
の結果、側面に凹部を有する緩衝膜60を形成することができる。
【0293】
ここでは、エッチャントとしてシュウ酸を含む水溶液を用いることで、絶縁膜56を残
存させつつ、緩衝膜59を選択的にエッチングすることができる。また、等方的に緩衝膜
59をエッチングすることが可能である。これらの結果、側面が凹状である緩衝膜60を
形成することができる。
【0294】
次に、図16(D)に示すように、導電膜61をマスクとして、絶縁膜56をエッチン
グして、絶縁膜57を形成する。以上の工程により、絶縁膜57を形成すると共に、酸化
物半導体膜54の一部を露出させることができる。ここでは、歩留まりを高めるために、
酸化物半導体膜54をエッチングせず、絶縁膜56を選択的にエッチングすることが好ま
しく、ドライエッチング法を用いることが好ましい。
【0295】
次に、実施の形態1と同様に、図17(A)に示すように、導電膜61をマスクとして
、酸化物半導体膜54に不純物元素63を添加する。この結果、酸化物半導体膜54の露
出部に不純物元素が添加される。また、絶縁膜57を介して、酸化物半導体膜54に不純
物元素が添加される。なお、不純物元素63の添加によるダメージを受け、酸化物半導体
膜54には、欠陥、代表的には酸素欠損が形成される。
【0296】
次に、実施の形態1と同様に、図17(B)に示すように、酸化物半導体膜54、絶縁
膜57、および導電膜61上に、水素を有する絶縁膜64を形成する。
【0297】
水素を有する絶縁膜64には水素が含まれている。このため、酸化物半導体膜54にお
いて不純物元素が添加された領域と、水素を有する絶縁膜64とが接することで、絶縁膜
64に含まれる水素が、酸化物半導体膜54において不純物元素が添加された領域に移動
する。この結果、不純物元素が添加されない第1の領域55aと、不純物元素および水素
を有する第2の領域55b、55cとを有する酸化物半導体膜55が形成される。なお、
絶縁膜64に含まれる水素は、絶縁膜57を介して酸化物半導体膜55の一部に拡散する
。この結果、第2の領域55b、55cの一部は、絶縁膜57と重なる場合がある。以上
の工程により、導電膜61の一部と重なる第2の領域55b、55cを形成することがで
きる。
【0298】
次に、加熱処理を行って、第2の領域55b、55cの導電性を高めてもよい。
【0299】
次に、図17(C)に示すように、水素を有する絶縁膜64上に、のちに開口部を有す
る絶縁膜67となる絶縁膜を形成してもよい。該絶縁膜を形成することで、のちに形成さ
れる一対の導電膜68、69と、導電膜61との間における寄生容量を低減することがで
きる。
【0300】
次に、実施の形態1と同様に、水素を有する絶縁膜64の一部をエッチングして、開口
部を有する絶縁膜65を形成し、第2の領域55b、55cの一部を露出させる。その後
、一対の導電膜68、69を形成してもよい。次に、絶縁膜67、一対の導電膜68、6
9上に絶縁膜79を形成してもよい。
【0301】
以上の工程により、図15(A)に示すトランジスタを作製することができる。
【0302】
<半導体装置の作製方法2>
絶縁膜57および緩衝膜60の形成方法の変形例を説明する。
【0303】
実施の形態1と同様に、図18(A)に示すように、基板51上の絶縁膜53と、絶縁
膜53上の酸化物半導体膜54と、酸化物半導体膜54上の絶縁膜56と、絶縁膜56上
の緩衝膜59と、緩衝膜59上の導電膜61とを形成する。
【0304】
次に、図18(B)に示すように、導電膜61をマスクとして、絶縁膜56および緩衝
膜59をそれぞれエッチングして、絶縁膜57および緩衝膜60aを形成する。
【0305】
歩留まりを高めるために、酸化物半導体膜54をエッチングせず、絶縁膜56および緩
衝膜59を選択的にエッチングすることが好ましい。このため、ここでは、ドライエッチ
ング法を用いる。
【0306】
次に、図18(C)に示すように、緩衝膜60aをエッチングして、側面に凹部を有す
る緩衝膜60を形成する。
【0307】
こののち、上記の<半導体装置の作製方法1>と同様の工程を経て、トランジスタを作
製することができる。
【0308】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0309】
(実施の形態6)
本実施の形態では、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cが、酸素
欠損及び水素を有することで、抵抗率が低減することについて説明する。具体的には、酸
化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cに形成されるVHについて説明
する。なお、ここでは、酸素欠損V中に水素原子Hがある状態をVHと表記する。
【0310】
<(1). VHの形成しやすさおよび安定性>
酸化物半導体膜(以下、IGZOと示す。)が結晶の場合、室温では、Hは、優先的に
ab面に沿って拡散する。また、450℃の加熱処理の際には、Hは、ab面およびc軸
方向それぞれに拡散する。そこで、ここでは、IGZOに酸素欠損Vが存在する場合、
Hは酸素欠損V中に入りやすいか否かについて説明する。
【0311】
計算には、図19に示すInGaZnO結晶モデルを用いた。ここで、VH中のH
がVから出ていき、酸素と結合する反応経路の活性化障壁(E)を、NEB(Nud
ged Elastic Band)法を用いて計算した。計算条件を表1に示す。
【0312】
【表1】
【0313】
また、InGaZnO結晶モデルにおいて、酸素が結合する金属元素およびその数の
違いから、図19に示すように酸素サイト1乃至酸素サイト4がある。ここでは、酸素欠
損Vを形成しやすい酸素サイト1および酸素サイト2について計算を行った。
【0314】
はじめに、酸素欠損Vを形成しやすい酸素サイト1として、3個のInと1個のZn
と結合した酸素サイトについて計算を行った。
【0315】
初期状態のモデルを図20(A)に示し、最終状態のモデルを図20(B)に示す。ま
た、初期状態および最終状態において、算出した活性化障壁(E)を図21に示す。な
お、ここでの初期状態とは、酸素欠損V中にHがある状態(VH)であり、最終状態
とは、酸素欠損Vと、1個のGaおよび2個のZnと結合した酸素とHとが結合した状
態(H-O)を有する構造である。
【0316】
計算の結果、酸素欠損V中のHが他のOと結合するには約1.52eVのエネルギー
が必要であるのに対して、Oと結合したHが酸素欠損V中に入るには約0.46eVの
エネルギーが必要であった。
【0317】
ここで、計算により得られた活性化障壁(E)と式(1)より、反応頻度(Γ)を算
出した。なお、式(1)において、kはボルツマン定数であり、Tは絶対温度である。
【0318】
【数1】
【0319】
頻度因子ν=1013/sと仮定して350℃における反応頻度を算出した。図20
A)に示すモデルから図20(B)に示すモデルへHが移動する頻度は5.52×10
/sであった。また、図20(B)に示すモデルから図20(A)に示すモデルへHが移
動する頻度は1.82×10/sであった。このことから、IGZO中を拡散するHは
、近くに酸素欠損VがあるとVHを形成しやすく、一旦VHを形成すると酸素欠損
から放出されにくいと考えられる。
【0320】
次に、酸素欠損Vを形成しやすい酸素サイト2として、1個のGaと2個のZnと結
合した酸素サイトについて計算を行った。
【0321】
初期状態のモデルを図22(A)に示し、最終状態のモデルを図22(B)に示す。ま
た、初期状態および最終状態において、算出した活性化障壁(E)を図23に示す。な
お、ここでの初期状態とは、酸素欠損V中にHがある状態(VH)であり、最終状態
とは、酸素欠損Vと、1個のGaおよび2個のZnと結合した酸素とHとが結合した状
態(H-O)を有する構造である。
【0322】
計算の結果、酸素欠損V中のHが他のOと結合するには約1.75eVのエネルギー
が必要であるのに対して、Oと結合したHが酸素欠損V中に入るには約0.35eVの
エネルギーが必要であった。
【0323】
また、計算により得られた活性化障壁(E)と上記の式(1)より、反応頻度(Γ)
を算出した。
【0324】
頻度因子ν=1013/sと仮定して350℃における反応頻度を算出した。図22
A)に示すモデルから図22(B)に示すモデルへHが移動する頻度は7.53×10
/sであった。また、図22(B)に示すモデルから図22(A)に示すモデルへHが
移動する頻度は1.44×1010/sであった。このことから、一旦VHを形成する
と酸素欠損VからHは放出されにくいと考えられる。
【0325】
以上のことから、加熱処理時にIGZO中のHは拡散し易く、酸素欠損Vがある場合
は酸素欠損Vの中に入ってVHとなりやすいことが分かった。
【0326】
<(2). VHの遷移レベル>
IGZO中において酸素欠損VとHが存在する場合、<(1). VHの形成しや
すさおよび安定性>で示した、NEB法を用いた計算より、酸素欠損VとHはVHを
形成しやすく、さらにVHは安定であると考えられる。そこで、VHがキャリアトラ
ップに関与するかを調べるため、VHの遷移レベルの算出を行った。
【0327】
計算にはInGaZnO結晶モデル(112原子)を用いた。図19に示す酸素サイ
ト1および酸素サイト2に対してVHモデルを作成し、遷移レベルの算出を行った。計
算条件を表2に示す。
【0328】
【表2】
【0329】
実験値に近いバンドギャップが出るよう、交換項の混合比を調整したことで、欠陥のな
いInGaZnO結晶モデルのバンドギャップは3.08eVとなり、実験値の3.1
5eVと近い結果となった。
【0330】
欠陥Dをもつモデルの遷移レベル(ε(q/q’))は、以下の式(2)により算出さ
れる。なお、ΔE(D)は欠陥Dの電荷qにおける形成エネルギーであり、式(3)よ
り算出される。
【0331】
【数2】
【0332】
【数3】
【0333】
式(2)および式(3)において、Etot(D)は欠陥Dを含むモデルの電荷qに
おける全エネルギー、Etot(bulk)は欠陥のないモデルの全エネルギー、Δn
は欠陥に関する原子iの増減数、μは原子iの化学ポテンシャル、εVBMは欠陥のな
いモデルにおける価電子帯上端のエネルギー、ΔVは静電ポテンシャルに関する補正項
、Eはフェルミエネルギーである。
【0334】
算出したVHの遷移レベルを図24に示す。図24中の数値は伝導帯下端からの深さ
である。図24より、酸素サイト1に対するVHの遷移レベルは伝導帯下端の下0.0
5eVに存在し、酸素サイト2に対するVHの遷移レベルは伝導帯下端の下0.11e
Vに存在するため、それぞれのVHは電子トラップに関与すると考えられる。すなわち
、VHはドナーとして振る舞うことが明らかになった。また、VHを有するIGZO
は抵抗率が低く、導電性を有することが明らかになった。
【0335】
<(3)抵抗率の温度依存性>
ここで、酸化物導電体で形成される膜(以下、酸化物導電体膜という。)における、抵
抗率の温度依存性について、図25を用いて説明する。
【0336】
ここでは、酸化物導電体膜を有する試料を作製した。酸化物導電体膜としては、酸化物
半導体膜が窒化シリコン膜に接することで形成された酸化物導電体膜(OC_SiN
、ドーピング装置において酸化物半導体膜にアルゴンが添加され、且つ窒化シリコン膜と
接することで形成された酸化物導電体膜(OC_Ar dope+SiN)、およびプ
ラズマ処理装置において酸化物半導体膜がアルゴンプラズマに曝され、且つ窒化シリコン
膜と接することで形成された酸化物導電体膜(OC_Ar plasma+SiN)を
作製した。なお、窒化シリコン膜は、水素を有する。
【0337】
酸化物導電体膜(OC_SiN)を含む試料の作製方法を以下に示す。ガラス基板上
に、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した後、酸素プ
ラズマに曝し、酸素イオンを酸化窒化シリコン膜に添加することで、加熱により酸素を放
出する酸化窒化シリコン膜を形成した。次に、加熱により酸素を放出する酸化窒化シリコ
ン膜上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2のスパッタリングターゲットを
用いたスパッタリング法により、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物膜を形成し、
450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素および酸素の混合ガス雰囲気で
加熱処理した。次に、プラズマCVD法で、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した
。次に、350℃の窒素および酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理した。
【0338】
酸化物導電体膜(OC_Ar dope+SiN)を含む試料の作製方法を以下に示
す。ガラス基板上に、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形
成した後、酸素プラズマに曝し、酸素イオンを酸化窒化シリコン膜に添加することで、加
熱により酸素を放出する酸化窒化シリコン膜を形成した。次に、加熱により酸素を放出す
る酸化窒化シリコン膜上に、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1.2のスパッタリ
ングターゲットを用いたスパッタリング法により、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸
化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で加熱処理した後、450℃の窒素および酸素の
混合ガス雰囲気で加熱処理した。次に、ドーピング装置を用いて、In-Ga-Zn酸化
物膜に、加速電圧を10kVとし、ドーズ量が5×1014/cmのアルゴンを添加し
て、In-Ga-Zn酸化物膜に酸素欠損を形成した。次に、プラズマCVD法で、厚さ
100nmの窒化シリコン膜を形成した。次に、350℃の窒素および酸素の混合ガス雰
囲気で加熱処理した。
【0339】
酸化物導電体膜(OC_Ar plasma+SiN)を含む試料の作製方法を以下
に示す。ガラス基板上に、厚さ400nmの酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法によ
り形成した後、酸素プラズマに曝すことで、加熱により酸素を放出する酸化窒化シリコン
膜を形成した。次に、加熱により酸素を放出する酸化窒化シリコン膜上に、原子数比がI
n:Ga:Zn=1:1:1.2のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法
により、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物膜を形成し、450℃の窒素雰囲気で
加熱処理した後、450℃の窒素および酸素の混合ガス雰囲気で加熱処理した。次に、プ
ラズマ処理装置において、アルゴンプラズマを発生させ、加速させたアルゴンイオンをI
n-Ga-Zn酸化物膜に衝突させることで酸素欠損を形成した。次に、プラズマCVD
法で、厚さ100nmの窒化シリコン膜を形成した。次に、350℃の窒素および酸素の
混合ガス雰囲気で加熱処理した。
【0340】
次に、各試料の抵抗率を測定した結果を図25に示す。ここで、抵抗率の測定は4端子
のvan-der-Pauw法で行った。図25において、横軸は測定温度を示し、縦軸
は抵抗率を示す。また、酸化物導電体膜(OC_SiN)の測定結果を四角印で示し、
酸化物導電体膜(OC_Ar dope+SiN)の測定結果を丸印で示し、酸化物導
電体膜(OC_Ar plasma+SiN)の測定結果を三角印で示す。
【0341】
なお、図示しないが、窒化シリコン膜と接しない酸化物半導体膜は、抵抗率が高く、抵
抗率の測定が困難であった。このため、酸化物導電体膜は、酸化物半導体膜より抵抗率が
低いことがわかる。
【0342】
図25からわかるように、酸化物導電体膜(OC_Ar dope+SiN)および
酸化物導電体膜(OC_Ar plasma+SiN)が、酸素欠損および水素を含む
場合、抵抗率の変動が小さい。代表的には、80K以上290K以下において、抵抗率の
変動率は、プラスマイナス20%未満である。または、150K以上250K以下におい
て、抵抗率の変動率は、プラスマイナス10%未満である。即ち、酸化物導電体は、縮退
半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。こ
のため、酸化物導電体膜をトランジスタのソース領域およびドレイン領域として用いるこ
とで、酸化物導電体膜とソース電極およびドレイン電極として機能する導電膜との接触が
オーミック接触となり、酸化物導電体膜とソース電極およびドレイン電極として機能する
導電膜との接触抵抗を低減できる。また、酸化物導電体の抵抗率は温度依存性が低いため
、酸化物導電体膜とソース電極およびドレイン電極として機能する導電膜との接触抵抗の
変動量が少なく、信頼性の高いトランジスタを作製することが可能である。
【0343】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0344】
(実施の形態7)
実施の形態1乃至実施の形態6に適用可能なゲート電極の構成について、図26を用い
て説明する。
【0345】
本実施の形態では、酸化物半導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cと同様に
、導電性を有する酸化物半導体膜を用いて導電膜61を形成してもよい(図26参照。)
。導電性を有する酸化物半導体膜は、酸化物半導体膜55と同様に透光性を有するため、
透光性を有するトランジスタを作製することができる。
【0346】
なお、導電性を有する酸化物半導体膜は、金属で形成された導電膜と比較すると抵抗率
が高いため、基板51として大面積基板を用いる場合、導電膜61に接続する導電膜77
を絶縁膜67上に設けることが好ましい。
【0347】
図26に示すトランジスタの作製方法を、図3および図4を用いて説明する。
【0348】
図3(C)の工程において、導電膜61の代わりに酸化物半導体膜を形成する。
【0349】
次に、図4(A)に示すように、絶縁膜57を形成した後、酸化物半導体膜54および
絶縁膜57上の酸化物半導体膜に不純物元素63を添加する。
【0350】
次に、図4(B)に示すように、水素を有する絶縁膜64を形成することで、酸化物半
導体膜55に含まれる第2の領域55b、55cと同様に、導電膜61(図26参照。)
を形成することができる。
【0351】
次に、開口部を有する絶縁膜67を形成した後、一対の導電膜68、69を形成する。
次に、開口部を有する絶縁膜79を形成した後、一対の導電膜68、69と同様の方法を
用いて、導電膜61に接続する導電膜77(図26参照。)を作製する。
【0352】
以上の工程により、セルフアライン構造のトランジスタを作製することが可能である。
【0353】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0354】
(実施の形態8)
本実施の形態では、先に示す実施の形態に適用可能な酸化物半導体膜の構造について、
図27を用いて説明する。なお、ここでは、実施の形態1に示すトランジスタを用いて説
明するが、適宜先に示す実施の形態に示すトランジスタに本実施の形態を適用することが
可能である。
【0355】
図27(A)に示すトランジスタは、実施の形態1の図1(A)に示すトランジスタと
同じ構造であるが、酸化物半導体膜55の構造が異なる。酸化物半導体膜55近傍を囲む
領域71の拡大図を図27(B)乃至図27(D)に示す。
【0356】
図27(B)に示すように、酸化物半導体膜55は、絶縁膜53と接する第1の酸化物
半導体膜55_1と、第1の酸化物半導体膜55_1および絶縁膜57と接する第2の酸
化物半導体膜55_2を有する。
【0357】
または、図27(C)に示すように、酸化物半導体膜55は、絶縁膜53と接する第2
の酸化物半導体膜55_2と、第2の酸化物半導体膜55_2および絶縁膜57と接する
第3の酸化物半導体膜55_3を有する。
【0358】
または、図27(D)に示すように、酸化物半導体膜55は、絶縁膜53と接する第1
の酸化物半導体膜55_1と、第1の酸化物半導体膜55_1と接する第2の酸化物半導
体膜55_2と、第2の酸化物半導体膜55_2および絶縁膜57と接する第3の酸化物
半導体膜55_3を有する。
【0359】
第1の酸化物半導体膜55_1、第2の酸化物半導体膜55_2、および第3の酸化物
半導体膜55_3がIn-M-Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、Sn、L
a、Ce、NdまたはHf)の場合、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物
半導体膜55_3をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]、第2の酸化物半導
体膜55_2をIn:M:Zn=x:y:z[原子数比]とすると、y/x
/xよりも大きく、好ましくは、y/xがy/xよりも1.5倍以上であ
る。さらに好ましくは、y/xがy/xよりも2倍以上大きく、より好ましくは
、y/xがy/xよりも3倍以上大きい。このとき、第1の酸化物半導体膜55
_1および第3の酸化物半導体膜55_3において、yがx以上であると、当該第2
の酸化物半導体膜55_2を用いたトランジスタに安定した電気特性を付与できるため好
ましい。一方、yがxの3倍以上になると、当該第2の酸化物半導体膜55_2を用
いたトランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、yはxの3倍未満である
と好ましい。
【0360】
第2の酸化物半導体膜55_2がIn-M-Zn酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La
、Ce、またはNd)の場合、第2の酸化物半導体膜55_2を成膜するために用いるタ
ーゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると
/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であって、z/yは、1/
3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。なお、z/yを1以上
6以下とすることで、第2の酸化物半導体膜55_2としてCAAC-OS膜が形成され
やすくなる。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:
1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M
:Zn=2:1:2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2等
がある。
【0361】
第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半導体膜55_3がIn-M-Zn
酸化物(Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、第1の酸化物半導体
膜55_1および第3の酸化物半導体膜55_3を成膜するために用いるターゲットにお
いて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとすると/y
/yであって、z/yは、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であるこ
とが好ましい。なお、z/yを1以上6以下とすることで、第1の酸化物半導体膜5
5_1および第3の酸化物半導体膜55_3としてCAAC-OS膜が形成されやすくな
る。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、
In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:
8、In:M:Zn=1:4:3、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:
4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:6:3、In:M:Zn=
1:6:4、In:M:Zn=1:6:5、In:M:Zn=1:6:6、In:M:Z
n=1:6:7、In:M:Zn=1:6:8、In:M:Zn=1:6:9等がある。
【0362】
なお、第1の酸化物半導体膜55_1、第2の酸化物半導体膜55_2および第3の酸
化物半導体膜55_3の原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナ
ス40%の変動を含む。
【0363】
なお、原子数比はこれらに限られず、必要とする半導体特性に応じて適切な原子数比の
ものを用いればよい。
【0364】
また、第1の酸化物半導体膜55_1または/および第3の酸化物半導体膜55_3と
して、酸化ガリウムを用いて形成することができる。第1の酸化物半導体膜55_1およ
び第3の酸化物半導体膜55_3として、酸化ガリウムを用いることで、トランジスタの
リーク電流を低減することが可能である。
【0365】
また、図27(D)において、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半導
体膜55_3は同じ組成でもよい。例えば、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の
酸化物半導体膜55_3としてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:4、または1:
4:5の原子数比のIn-Ga-Zn酸化物を用いてもよい。
【0366】
または、図27(D)において、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半
導体膜55_3は異なった組成でもよい。例えば、第1の酸化物半導体膜55_1として
In:Ga:Zn=1:3:2の原子数比のIn-Ga-Zn酸化物を用い、第3の酸化
物半導体膜55_3としてIn:Ga:Zn=1:3:4または1:4:5の原子数比の
In-Ga-Zn酸化物を用いてもよい。
【0367】
第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半導体膜55_3の厚さは、3nm
以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下とする。第2の酸化物半導体膜
55_2の厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上100nm以下、
さらに好ましくは3nm以上50nm以下とする。なお、第1の酸化物半導体膜55_1
および第3の酸化物半導体膜55_3はそれぞれ第2の酸化物半導体膜55_2より厚さ
を薄くすることで、トランジスタのしきい値電圧の変動量を低減することが可能である。
また、第3の酸化物半導体膜55_3に含まれる酸素が一対の導電膜68、69に拡散し
、一対の導電膜68、69が酸化するのを防ぐため、第3の酸化物半導体膜55_3の膜
厚は薄い方が好ましい。
【0368】
第1の酸化物半導体膜55_1、第2の酸化物半導体膜55_2、および第3の酸化物
半導体膜55_3それぞれの界面は、STEM(Scanning Transmiss
ion Electron Microscopy)を用いて観察することができる。
【0369】
第1の酸化物半導体膜55_1、第2の酸化物半導体膜55_2、および第3の酸化物
半導体膜55_3は、実施の形態1に示す酸化物半導体膜55の結晶構造を適宜用いるこ
とができる。
【0370】
第2の酸化物半導体膜55_2と比較して酸素欠損の生じにくい酸化物半導体膜を第2
の酸化物半導体膜55_2の上または/および下に接して設けることで、第2の酸化物半
導体膜55_2における酸素欠損を低減することができる。また、第2の酸化物半導体膜
55_2は、第2の酸化物半導体膜55_2を構成する金属元素の一以上を有する第1の
酸化物半導体膜55_1または/および第3の酸化物半導体膜55_3と接するため、第
1の酸化物半導体膜55_1と第2の酸化物半導体膜55_2との界面、第2の酸化物半
導体膜55_2と第3の酸化物半導体膜55_3との界面における界面準位密度が極めて
低い。このため、第2の酸化物半導体膜55_2に含まれる酸素欠損を低減することが可
能である。
【0371】
また、第2の酸化物半導体膜55_2が、構成元素の異なる絶縁膜(例えば、酸化シリ
コン膜を含むゲート絶縁膜)と接する場合、界面準位が形成され、該界面準位はチャネル
を形成することがある。このような場合、しきい値電圧の異なる第2のトランジスタが出
現し、トランジスタの見かけ上のしきい値電圧が変動することがある。しかしながら、第
2の酸化物半導体膜55_2を構成する金属元素を一種以上含む第1の酸化物半導体膜5
5_1が第2の酸化物半導体膜55_2と接するため、第1の酸化物半導体膜55_1と
第2の酸化物半導体膜55_2の界面に界面準位を形成しにくくなる。よって第1の酸化
物半導体膜55_1を設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性の
ばらつきを低減することができる。
【0372】
また、絶縁膜57と第2の酸化物半導体膜55_2との界面にチャネルが形成される場
合、該界面で界面散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなる。しかしなが
ら、第2の酸化物半導体膜55_2を構成する金属元素を一種以上含む第3の酸化物半導
体膜55_3が第2の酸化物半導体膜55_2に接して設けられるため、第2の酸化物半
導体膜55_2と第3の酸化物半導体膜55_3との界面ではキャリアの散乱が起こりに
くく、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
【0373】
また、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半導体膜55_3は、絶縁膜
53および絶縁膜57の構成元素が第2の酸化物半導体膜55_2へ混入して、不純物に
よる準位が形成されることを抑制するためのバリア膜としても機能する。
【0374】
例えば、絶縁膜53および絶縁膜57がシリコンを有する場合、絶縁膜53および絶縁
膜57中のシリコン、または絶縁膜53および絶縁膜57中に混入されうる炭素が、第1
の酸化物半導体膜55_1または/および第3の酸化物半導体膜55_3の中へ界面から
数nm程度まで混入することがある。シリコン、炭素等の不純物が第2の酸化物半導体膜
55_2中に入ると不純物準位を形成し、不純物準位がドナーとなり電子を生成すること
でn型化することがある。
【0375】
しかしながら、第1の酸化物半導体膜55_1および第3の酸化物半導体膜55_3の
膜厚が、数nmよりも厚ければ、混入したシリコン、炭素等の不純物が第2の酸化物半導
体膜55_2にまで到達しないため、不純物準位の影響は低減される。
【0376】
以上のことから、本実施の形態に示すトランジスタは、しきい値電圧などの電気特性の
ばらつきが低減されたトランジスタである。
【0377】
<バンド構造>
次に、本実施の形態に示すトランジスタの代表例として、図28(A)に示すトランジ
スタの任意断面におけるバンド構造について説明する。なお、図28(A)に示す破線で
囲まれた領域71aの拡大図を図28(B)に示し、破線で囲まれた領域71bの拡大図
図28(C)に示し、破線で囲まれた領域71cの拡大図を図28(D)に示す。即ち
図28(A)に示すトランジスタは、第1の領域55a、第2の領域55b、55cを
有する酸化物半導体膜55を有する。また、図28(B)に示すように、第1の領域55
aは、第1の領域55_2aおよび第1の領域55_3aが、絶縁膜53および絶縁膜5
7の間に設けられる。また、図28(C)に示すように、第2の領域55bは、第2の領
域55_2bおよび第2の領域55_3bが、絶縁膜53および水素を有する絶縁膜65
の間に設けられる。また、図28(D)に示すように、第2の領域55cは、第2の領域
55_2cおよび第2の領域55_3cが、絶縁膜53および水素を有する絶縁膜65の
間に設けられる。
【0378】
図28(E)に、図28(A)に示すトランジスタのチャネル領域を含むO-P断面に
おけるバンド構造を示す。なお、第1の領域55_3aは、第1の領域55_2aよりも
エネルギーギャップが少し大きいとする。また、絶縁膜53および絶縁膜57は、第1の
領域55_2aおよび第1の領域55_3aよりも十分にエネルギーギャップが大きいと
する。また、第1の領域55_2a、第1の領域55_3a、絶縁膜53および絶縁膜5
7のフェルミ準位(Efと表記する。)は、それぞれの真性フェルミ準位(Eiと表記す
る。)の位置とする。また、導電膜61の仕事関数は、該フェルミ準位と同じ位置とする
。また、伝導帯下端のエネルギーをEcと表記し、価電子帯上端のエネルギーをEvと表
記する。
【0379】
ゲート電圧をトランジスタのしきい値電圧以上としたとき、第1の領域55_2aと第
1の領域55_3aとの間の伝導帯下端のエネルギーの差により、電子は第1の領域55
_2aを優先的に流れる。即ち、第1の領域55_2aに電子が埋め込まれると推定する
ことができる。
【0380】
したがって、本発明の一態様に係るトランジスタは、電子の埋め込みによって界面散乱
の影響が低減されている。そのため、本発明の一態様に係るトランジスタは、チャネル領
域における抵抗が小さい。
【0381】
次に、図28(F)に、図28(A)に示すトランジスタのソース領域またはドレイン
領域を含むQ-R断面におけるバンド構造を示す。なお、第2の領域55_2b、55_
2c、第2の領域55_3b、55_3cは、縮退状態とする。また、第2の領域55_
2bにおいて、伝導帯下端のエネルギーは第1の領域55_2aのフェルミ準位と同程度
とする。また、第2の領域55_3bにおいて、伝導帯下端のエネルギーは第1の領域5
5_3aのフェルミ準位と同程度とする。第2の領域55_2cおよび第2の領域55_
3cも同様である。
【0382】
このとき、導電膜68と、第2の領域55_3bと、はエネルギー障壁が十分小さいた
め、オーミック接触となる。また、第2の領域55_3bと、第2の領域55_2bと、
はオーミック接触となる。同様に、導電膜69と、第2の領域55_3cと、はエネルギ
ー障壁が十分小さいため、オーミック接触となる。また、第2の領域55_3cと、第2
の領域55_2cと、はオーミック接触となる。したがって、導電膜68および導電膜6
9と、第1の領域55_2aおよび第1の領域55_3aと、の間で、電子の授受がスム
ーズに行われることがわかる。
【0383】
以上に示したように、本発明の一態様に係るトランジスタは、ソース電極およびドレイ
ン電極と、チャネル領域との間の電子の授受がスムーズに行われるため、チャネル領域に
おける抵抗の小さいトランジスタである。即ち、優れたスイッチング特性を有するトラン
ジスタであることがわかる。
【0384】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0385】
(実施の形態9)
本実施の形態では、先に示す実施の形態に適用可能なトランジスタの構造について、図
29を用いて説明する。なお、ここでは、実施の形態1に示すトランジスタを用いて説明
するが、適宜先に示す実施の形態に示すトランジスタに本実施の形態を適用することが可
能である。図29(A)は、トランジスタのチャネル長方向における断面図であり、図2
9(B)は、トランジスタのチャネル幅方向における断面図である。
【0386】
本実施の形態に示すトランジスタは、図29に示すように、絶縁膜53を介して酸化物
半導体膜55と重なるゲート電極73を有することを特徴とする。
【0387】
ゲート電極73の電位を導電膜61と異なる電位とすることで、トランジスタのしきい
値電圧を制御することが可能であり、ノーマリーオフのトランジスタを作製することがで
きる。または、図29(B)に示すように、絶縁膜53および絶縁膜57に設けられる開
口部において、導電膜61およびゲート電極73が接続されることで、ゲート電極73の
電位を導電膜61と同じ電位とすることが可能であり、トランジスタのオン電流を増大さ
せることが可能である。
【0388】
その他の構造は、実施の形態1に示すトランジスタと同じ構造であるため、ここでは詳
細な説明を省略する。
【0389】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0390】
(実施の形態10)
本実施の形態では、先に示す実施の形態に適用可能な酸化物半導体の詳細について、以
下説明する。
【0391】
<酸化物半導体の構造>
以下では、酸化物半導体の構造について説明する。
【0392】
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体とに分けら
れる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC-OS(C Axis Aligned
Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物
半導体、nc-OS(nanocrystalline Oxide Semicond
uctor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous l
ike Oxide Semiconductor)、非晶質酸化物半導体などがある。
【0393】
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物
半導体とに分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC-
OS、多結晶酸化物半導体、nc-OSなどがある。
【0394】
非晶質構造の定義としては、一般に、準安定状態で固定化していないこと、等方的であ
って不均質構造を持たないことなどが知られている。また、結合角度が柔軟であり、短距
離秩序性は有するが、長距離秩序性を有さない構造と言い換えることもできる。
【0395】
逆の見方をすると、本質的に安定な酸化物半導体の場合、完全な非晶質(comple
tely amorphous)酸化物半導体と呼ぶことはできない。また、等方的でな
い(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化
物半導体と呼ぶことはできない。ただし、a-like OSは、微小な領域において周
期構造を有するものの、鬆(ボイドともいう。)を有し、不安定な構造である。そのため
、物性的には非晶質酸化物半導体に近いといえる。
【0396】
<CAAC-OS>
まずは、CAAC-OSについて説明する。
【0397】
CAAC-OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物
半導体の一つである。
【0398】
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Micr
oscope)によって、CAAC-OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高
分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一
方、高分解能TEM像ではペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーと
もいう。)を明確に確認することができない。そのため、CAAC-OSは、結晶粒界に
起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
【0399】
以下では、TEMによって観察したCAAC-OSについて説明する。図30(A)に
、試料面と略平行な方向から観察したCAAC-OSの断面の高分解能TEM像を示す。
高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberratio
n Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を
、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像の取得は、例えば、
日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fなどによって行う
ことができる。
【0400】
図30(A)の領域(1)を拡大したCs補正高分解能TEM像を図30(B)に示す
図30(B)より、ペレットにおいて、金属原子が層状に配列していることを確認でき
る。金属原子の各層の配列は、CAAC-OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)
または上面の凹凸を反映しており、CAAC-OSの被形成面または上面と平行となる。
【0401】
図30(B)に示すように、CAAC-OSは特徴的な原子配列を有する。図30(C
)は、特徴的な原子配列を、補助線で示したものである。図30(B)および図30(C
)より、ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあり、ペレッ
トとペレットとの傾きにより生じる隙間の大きさは0.8nm程度であることがわかる。
したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともでき
る。また、CAAC-OSを、CANC(C-Axis Aligned nanocr
ystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0402】
ここで、Cs補正高分解能TEM像をもとに、基板5120上のCAAC-OSのペレ
ット5100の配置を模式的に示すと、レンガまたはブロックが積み重なったような構造
となる(図30(D)参照。)。図30(C)で観察されたペレットとペレットとの間で
傾きが生じている箇所は、図30(D)に示す領域5161に相当する。
【0403】
また、図31(A)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC-OSの平面のC
s補正高分解能TEM像を示す。図31(A)の領域(1)、領域(2)および領域(3
)を拡大したCs補正高分解能TEM像を、それぞれ図31(B)、図31(C)および
図31(D)に示す。図31(B)、図31(C)および図31(D)より、ペレットは
、金属原子が三角形状、四角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しか
しながら、異なるペレット間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
【0404】
次に、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)によって解析したC
AAC-OSについて説明する。例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-O
Sに対し、out-of-plane法による構造解析を行うと、図32(A)に示すよ
うに回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGa
ZnOの結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC-OSの結晶がc軸配向
性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
【0405】
なお、CAAC-OSのout-of-plane法による構造解析では、2θが31
°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°
近傍のピークは、CAAC-OS中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれること
を示している。より好ましいCAAC-OSは、out-of-plane法による構造
解析では、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さない。
【0406】
一方、CAAC-OSに対し、c軸に略垂直な方向からX線を入射させるin-pla
ne法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、I
nGaZnOの結晶の(110)面に帰属される。CAAC-OSの場合は、2θを5
6°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析
(φスキャン)を行っても、図32(B)に示すように明瞭なピークは現れない。これに
対し、InGaZnOの単結晶酸化物半導体であれば、2θを56°近傍に固定してφ
スキャンした場合、図32(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属される
ピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC-OSは
、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
【0407】
次に、電子回折によって解析したCAAC-OSについて説明する。例えば、InGa
ZnOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nm
の電子線を入射させると、図33(A)に示すような回折パターン(制限視野透過電子回
折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO
の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に
略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプロー
ブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図33(B)に示す。図3
3(B)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、電子回折によっても
、CAAC-OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる
。なお、図33(B)における第1リングは、InGaZnOの結晶の(010)面お
よび(100)面などに起因すると考えられる。また、図33(B)における第2リング
は(110)面などに起因すると考えられる。
【0408】
上述したように、CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の
結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、逆の見方をす
るとCAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
【0409】
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金
属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸
素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、
二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列
を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
【0410】
酸化物半導体が不純物や欠陥を有する場合、光や熱などによって特性が変動する場合が
ある。例えば、酸化物半導体に含まれる不純物は、キャリアトラップとなる場合や、キャ
リア発生源となる場合がある。また、酸化物半導体中の酸素欠損は、キャリアトラップと
なる場合や、水素を捕獲することによってキャリア発生源となる場合がある。
【0411】
不純物および酸素欠損の少ないCAAC-OSは、キャリア密度の低い酸化物半導体で
ある。具体的には、8×1011/cm未満、好ましくは1×1011/cm未満、
さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上のキャリ
ア密度の酸化物半導体とすることができる。そのような酸化物半導体を、高純度真性また
は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ。CAAC-OSは、不純物濃度が低く、欠
陥準位密度が低い。即ち、安定な特性を有する酸化物半導体であるといえる。
【0412】
<nc-OS>
次に、nc-OSについて説明する。
【0413】
nc-OSは、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明
確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc-OSに含まれる結晶部は
、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。な
お、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸
化物半導体と呼ぶことがある。nc-OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界
を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC-OSにおけるペレット
と起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc-OSの結晶部をペレットと
呼ぶ場合がある。
【0414】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるペ
レット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導
体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OSに対し、ペレットよりも大きい径の
X線を用いた場合、out-of-plane法による解析では、結晶面を示すピークは
検出されない。また、nc-OSに対し、ペレットよりも大きいプローブ径(例えば50
nm以上)の電子線を用いる電子回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが
観測される。一方、nc-OSに対し、ペレットの大きさと近いかペレットより小さいプ
ローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、
nc-OSに対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高
い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域内に複数のスポットが観測され
る場合がある。
【0415】
このように、ペレット(ナノ結晶)間では結晶方位が規則性を有さないことから、nc
-OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有
する酸化物半導体、またはNANC(Non-Aligned nanocrystal
s)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
【0416】
nc-OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため
、nc-OSは、a-like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くな
る。ただし、nc-OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのた
め、nc-OSは、CAAC-OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
【0417】
<a-like OS>
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物
半導体である。
【0418】
a-like OSは、高分解能TEM像において鬆が観察される場合がある。また、
高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認
することのできない領域と、を有する。
【0419】
鬆を有するため、a-like OSは、不安定な構造である。以下では、a-lik
e OSが、CAAC-OSおよびnc-OSと比べて不安定な構造であることを示すた
め、電子照射による構造の変化を示す。
【0420】
電子照射を行う試料として、a-like OS(試料Aと表記する。)、nc-OS
(試料Bと表記する。)およびCAAC-OS(試料Cと表記する。)を準備する。いず
れの試料もIn-Ga-Zn酸化物である。
【0421】
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試
料は、いずれも結晶部を有することがわかる。
【0422】
なお、どの部分を一つの結晶部と見なすかの判定は、以下のように行えばよい。例えば
、InGaZnOの結晶の単位格子は、In-O層を3層有し、またGa-Zn-O層
を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。こ
れらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度
であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、格子縞
の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnOの結晶部と
見なすことができる。なお、格子縞は、InGaZnOの結晶のa-b面に対応する。
【0423】
図34は、各試料の結晶部(22箇所から45箇所)の平均の大きさを調査した例であ
る。ただし、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図34より、a-li
ke OSは、電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。具体
的には、図34中に(1)で示すように、TEMによる観察初期においては1.2nm程
度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、累積照射量が4.2×10/n
においては2.6nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc-O
SおよびCAAC-OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×10
/nmまでの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。具体的には、
図34中の(2)および(3)で示すように、電子の累積照射量によらず、nc-OSお
よびCAAC-OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.4nm程度および2.1nm程度
であることがわかる。
【0424】
このように、a-like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合が
ある。一方、nc-OSおよびCAAC-OSは、電子照射による結晶部の成長がほとん
ど見られないことがわかる。即ち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-
OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
【0425】
また、鬆を有するため、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比
べて密度の低い構造である。具体的には、a-like OSの密度は、同じ組成の単結
晶の密度の78.6%以上92.3%未満となる。また、nc-OSの密度およびCAA
C-OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満となる。単結
晶の密度の78%未満となる酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
【0426】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、
菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnOの密度は6.357g/cmとなる。よ
って、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体におい
て、a-like OSの密度は5.0g/cm以上5.9g/cm未満となる。ま
た、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において
、nc-OSの密度およびCAAC-OSの密度は5.9g/cm以上6.3g/cm
未満となる。
【0427】
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異な
る単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積も
ることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わ
せる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少な
い種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
【0428】
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。
なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a-like OS、nc-OS
、CAAC-OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
【0429】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと
適宜組み合わせて用いることができる。
【0430】
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置の構成について、図35および図36
を参照しながら説明する。なお、入出力装置はタッチパネルということもできる。
【0431】
図35(A)(B)は本発明の一態様の入出力装置の構成を説明する投影図である。
【0432】
図35(A)は本発明の一態様の入出力装置500の投影図であり、図35(B)は入
出力装置500が備える検知ユニット10Uの構成を説明する投影図である。
【0433】
図36(A)乃至(C)は本発明の一態様の入出力装置500の構成を説明する断面図
である。
【0434】
図36(A)は図35(A)に示す本発明の一態様の入出力装置500のZ1-Z2に
おける断面図である。
【0435】
<入出力装置の構成例>
本実施の形態で説明する入出力装置500は、可視光を透過する窓部14を具備し且つ
マトリクス状に配設される複数の検知ユニット10U、行方向(図中に矢印Rで示す)に
配置される複数の検知ユニット10Uと電気的に接続する走査線G1、列方向(図中に矢
印Cで示す)に配置される複数の検知ユニット10Uと電気的に接続する信号線DLなら
びに、検知ユニット10U、走査線G1および信号線DLを支持する可撓性の基材16を
備える可撓性の入力装置100と、窓部14に重なり且つマトリクス状に配設される複数
の画素502および画素502を支持する可撓性の第2の基材510を備える表示部50
1と、を有する(図35(A)乃至図35(C)参照)。
【0436】
検知ユニット10Uは、窓部14に重なる検知素子Cおよび検知素子Cと電気的に接続
される検知回路19を備える(図35(B)参照)。
【0437】
検知素子Cは、絶縁膜13、絶縁膜13を挟持する第1の電極11および第2の電極1
2を備える(図36(A)参照)。
【0438】
検知回路19は、選択信号を供給され且つ検知素子Cの容量の変化に基づいて検知信号
DATAを供給する。
【0439】
走査線G1は、選択信号を供給することができ、信号線DLは、検知信号DATAを供
給することができ、検知回路19は、複数の窓部14の間隙に重なるように配置される。
【0440】
また、本実施の形態で説明する入出力装置500は、検知ユニット10Uおよび検知ユ
ニット10Uの窓部14と重なる画素502の間に、着色膜を備える。
【0441】
本実施の形態で説明する入出力装置500は、可視光を透過する窓部14を具備する検
知ユニット10Uを複数備える可撓性の入力装置100と、窓部14に重なる画素502
を複数備える可撓性の表示部501と、を有し、窓部14と画素502の間に着色膜を含
んで構成される。
【0442】
これにより、入出力装置は容量の変化に基づく検知信号およびそれを供給する検知ユニ
ットの位置情報を供給すること、検知ユニットの位置情報と関連付けられた画像情報を表
示すること、ならびに曲げることができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規
な入出力装置を提供することができる。
【0443】
また、入出力装置500は、入力装置100が供給する信号を供給されるフレキシブル
基板FPC1または/および画像情報を含む信号を表示部501に供給するフレキシブル
基板FPC2を備えていてもよい。
【0444】
また、傷の発生を防いで入出力装置500を保護する保護膜17pまたは/および入出
力装置500が反射する外光の強度を弱める反射防止膜567pを備えていてもよい。
【0445】
また、入出力装置500は、表示部501の操作線に選択信号を供給する走査線駆動回
路503g、信号を供給する配線511およびフレキシブル基板FPC2と電気的に接続
される端子519を有する。
【0446】
以下に、入出力装置500を構成する個々の要素について説明する。なお、これらの構
成は明確に分離できず、一つの構成が他の構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合
がある。
【0447】
例えば、複数の窓部14に重なる位置に着色膜を備える入力装置100は、入力装置1
00であるとともにカラーフィルタでもある。
【0448】
また、例えば入力装置100が表示部501に重ねられた入出力装置500は、入力装
置100であるとともに表示部501でもある。
【0449】
<全体の構成>
入出力装置500は、入力装置100と、表示部501と、を備える(図35(A)参
照)。
【0450】
<入力装置100>
入力装置100は複数の検知ユニット10Uおよび検知ユニットを支持する可撓性の基
材16を備える。例えば、40行15列のマトリクス状に複数の検知ユニット10Uを可
撓性の基材16に配設する。
【0451】
<窓部14、着色膜および遮光膜BM>
窓部14は可視光を透過する。
【0452】
窓部14に重なる位置に所定の色の光を透過する着色膜を備える。例えば、青色の光を
透過する着色膜CFB、緑色の光を透過する着色膜CFGまたは赤色の光を透過する着色
膜CFRを備える(図35(B)参照)。
【0453】
なお、青色、緑色または/および赤色に加えて、白色の光を透過する着色膜または黄色
の光を透過する着色膜などさまざまな色の光を透過する着色膜を備えることができる。
【0454】
着色膜に金属材料、顔料または染料等を用いることができる。
【0455】
窓部14を囲むように遮光膜BMを備える。遮光膜BMは窓部14より光を透過しにく
い。
【0456】
カーボンブラック、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等を遮光
膜BMに用いることができる。
【0457】
遮光膜BMと重なる位置に走査線G1、信号線DL、配線VPI、配線RESおよび配
線VRESならびに検知回路19を備える。
【0458】
なお、着色膜および遮光膜BMを覆う透光性のオーバーコート膜を備えることができる
【0459】
<検知素子C>
検知素子Cは、第1の電極11、第2の電極12および第1の電極11と第2の電極1
2の間に絶縁膜13を有する(図36(A)参照)。
【0460】
第1の電極11は他の領域から分離されるように、例えば島状に形成される。特に、入
出力装置500の使用者に第1の電極11が識別されないように、第1の電極11と同一
の工程で作製することができる層を第1の電極11に近接して配置する構成が好ましい。
より好ましくは、第1の電極11および第1の電極11に近接して配置する層の間隙に配
置する窓部14の数をできるだけ少なくするとよい。特に、当該間隙に窓部14を配置し
ない構成が好ましい。
【0461】
第1の電極11と重なるように第2の電極12を備え、第1の電極11と第2の電極1
2の間に絶縁膜13を備える。
【0462】
例えば、大気中に置かれた検知素子Cの第1の電極11または第2の電極12に、大気
と異なる誘電率を有するものが近づくと、検知素子Cの容量が変化する。具体的には、指
などのものが検知素子Cに近づくと、検知素子Cの容量が変化する。これにより、近接検
知器に用いることができる。
【0463】
例えば、変形することができる検知素子Cの容量は、変形に伴い変化する。
【0464】
具体的には、指などのものが検知素子Cに触れることにより、第1の電極11と第2の
電極12の間隔が狭くなると、検知素子Cの容量は大きくなる。これにより、接触検知器
に用いることができる。
【0465】
具体的には、検知素子Cを折り曲げることにより、第1の電極11と第2の電極12の
間隔が狭くなる。これにより、検知素子Cの容量は大きくなる。これにより、屈曲検知器
に用いることができる。
【0466】
第1の電極11および第2の電極12は、導電性の材料を含む。
【0467】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを第1
の電極11および第2の電極12に用いることができる。
【0468】
具体的には、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステ
ン、ニッケル、銀またはマンガンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする
合金または上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いることができる。なお、光が
透過する厚さとすることが好ましい。
【0469】
または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガ
リウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。
【0470】
または、グラフェンまたはグラファイトを用いることができる。グラフェンを含む膜は
、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還
元する方法としては、熱を加える方法や還元剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0471】
または、導電性高分子を用いることができる。
【0472】
<検知回路19>
検知回路19は例えばトランジスタM1乃至トランジスタM3を含む。また、検知回路
19は電源電位および信号を供給する配線を含む。例えば、信号線DL、配線VPI、配
線CS、走査線G1、配線RES、配線VRESなどを含む。なお、検知回路19の具体
的な構成は実施の形態12で詳細に説明する。
【0473】
なお、検知回路19を窓部14と重ならない領域に配置してもよい。例えば、窓部14
と重ならない領域に配線を配置することにより、入力装置100の一方の側から他方の側
にあるものを視認し易くできる。
【0474】
例えば、同一の工程で形成することができるトランジスタをトランジスタM1乃至トラ
ンジスタM3に用いることができる。
【0475】
トランジスタM1は半導体膜を有する。例えば、4族の元素、化合物半導体または酸化
物半導体を半導体膜に用いることができる。具体的には、シリコンを含む半導体、ガリウ
ムヒ素を含む半導体またはインジウムを含む酸化物半導体などを適用できる。また、トラ
ンジスタM1は、先の実施の形態で説明したトランジスタを適宜用いることができる。
【0476】
導電性を有する材料を配線に適用できる。
【0477】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを配線
に用いることができる。具体的には、第1の電極11および第2の電極12に用いること
ができる材料と同一の材料を適用できる。
【0478】
アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン
、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を走
査線G1、信号線DL、配線VPI、配線RESおよび配線VRESに用いることができ
る。
【0479】
基材16に形成した膜を加工して、基材16に検知回路19を形成してもよい。
【0480】
または、他の基材に形成された検知回路19を基材16に転置してもよい。
【0481】
<基材16>
有機材料、無機材料または有機材料と無機材料の複合材料を可撓性の基材16に用いる
ことができる。
【0482】
5μm以上2500μm以下、好ましくは5μm以上680μm以下、より好ましくは
5μm以上170μm以下、より好ましくは5μm以上45μm以下、より好ましくは8
μm以上25μm以下の厚さを有する材料を、基材16に用いることができる。
【0483】
また、不純物の透過が抑制された材料を基材16に好適に用いることができる。例えば
、水蒸気の透過率が10-5g/(m・day)以下、好ましくは10-6g/(m
・day)以下である材料を好適に用いることができる。
【0484】
また、線膨張率がおよそ等しい材料を基材16および基材510に好適に用いることが
できる。例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、好ましくは5×10-5/K以下、
より好ましくは1×10-5/K以下である材料を好適に用いることができる。
【0485】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチックフィルム等の有機材料を、基材16に
用いることができる。
【0486】
例えば、金属板または厚さ10μm以上50μm以下の薄板状のガラス板等の無機材料
を、基材16に用いることができる。
【0487】
例えば、金属板、薄板状のガラス板または無機材料の膜を、樹脂膜を用いて樹脂フィル
ム等に貼り合せて形成された複合材料を、基材16に用いることができる。
【0488】
例えば、繊維状または粒子状の金属、ガラスもしくは無機材料を樹脂または樹脂フィル
ムに分散した複合材料を、基材16に用いることができる。
【0489】
例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を樹脂膜に用いることができる。
【0490】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムまたは樹脂板を用いることができる。
【0491】
具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラス若しくはクリスタルガ
ラス等を用いることができる。
【0492】
具体的には、金属酸化物膜、金属窒化物膜若しくは金属酸窒化物膜等を用いることがで
きる。例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、アルミナ膜等を適用でき
る。
【0493】
具体的には、開口部が設けられたステンレス・スチルまたはアルミニウム等を用いるこ
とができる。
【0494】
具体的には、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹脂など
の樹脂を用いることができる。
【0495】
例えば、可撓性を有する基材16bと、不純物の拡散を防ぐバリア膜16aと、基材1
6bおよびバリア膜16aを貼り合わせる樹脂膜16cと、が積層された積層体を基材1
6に好適に用いることができる(図36(A)参照)。
【0496】
具体的には、600nmの酸化窒化シリコン膜および厚さ200nmの窒化シリコン膜
が積層された積層材料を含む膜を、バリア膜16aに用いることができる。
【0497】
具体的には、厚さ600nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ200nmの窒化シリコン膜
、厚さ200nmの酸化窒化シリコン膜、厚さ140nmの窒化酸化シリコン膜および厚
さ100nmの酸化窒化シリコン膜がこの順に積層された積層材料を含む膜を、バリア膜
16aに用いることができる。
【0498】
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート若しくは
アクリル樹脂等の樹脂フィルム、樹脂板または積層体等を基材16bに用いることができ
る。
【0499】
例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリ
イミド、ポリカーボネートまたはアクリル、ウレタン、エポキシもしくはシロキサン結合
を有する樹脂を含む材料を樹脂膜16cに用いることができる。
【0500】
<保護基材17、保護膜17p>
可撓性の保護基材17または/および保護膜17pを備えることができる。可撓性の保
護基材17または保護膜17pは傷の発生を防いで入力装置100を保護する。
【0501】
例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート
若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルム、樹脂板または積層体等を保護基材17に用いる
ことができる。
【0502】
例えば、ハードコート層またはセラミックコート層を保護膜17pに用いることができ
る。具体的には、紫外線硬化樹脂または酸化アルミニウムを含む層を第2の電極12に重
なる位置に形成してもよい。
【0503】
<表示部501>
表示部501は、マトリクス状に配置された複数の画素502を備える(図35(C)
参照)。
【0504】
例えば、画素502は副画素502B、副画素502Gおよび副画素502Rを含み、
それぞれの副画素は表示素子と表示素子を駆動する画素回路を備える。
【0505】
なお、画素502の副画素502Bは着色膜CFBと重なる位置に配置され、副画素5
02Gは着色膜CFGと重なる位置に配置され、副画素502Rは着色膜CFRと重なる
位置に配置される。
【0506】
本実施の形態では、白色の光を射出する有機エレクトロルミネッセンス素子を表示素子
に適用する場合について説明するが、表示素子はこれに限られない。
【0507】
例えば、副画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なる有機エレクトロル
ミネッセンス素子を副画素毎に適用してもよい。
【0508】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の他、電気泳動方式や電子粉流体(登録商標
)方式やエレクトロウェッティング方式などにより表示を行う表示素子(電子インクとも
いう)、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、液晶素子
など、様々な表示素子を表示素子に用いることができる。
【0509】
また、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ
、直視型液晶ディスプレイなどにも適用できる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射
型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極と
しての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アル
ミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、S
RAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減
することができる。また、適用する表示素子に好適な構成を様々な画素回路から選択して
用いることができる。
【0510】
また、表示部において、画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方式、または、
画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を用いることが出来る。
【0511】
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)として、ト
ランジスタだけでなく、さまざまな能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を用いるこ
とが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、または
TFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素
子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、または歩留まりの向上を図ることがで
きる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることが
でき、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
【0512】
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子(アクティブ素子、非線形素子
)を用いないパッシブマトリクス型を用いることも可能である。能動素子(アクティブ素
子、非線形素子)を用いないため、製造工程が少ないため、製造コストの低減、または歩
留まりの向上を図ることができる。または、能動素子(アクティブ素子、非線形素子)を
用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、または高輝度化などを図
ることが出来る。
【0513】
<基材510>
可撓性を有する材料を基材510に用いることができる。例えば、基材16に用いるこ
とができる材料を基材510に適用することができる。
【0514】
例えば、可撓性を有する基材510bと、不純物の拡散を防ぐバリア膜510aと、基
材510bおよびバリア膜510aを貼り合わせる樹脂膜510cと、が積層された積層
体を基材510に好適に用いることができる(図36(A)参照)。
【0515】
<封止材560>
封止材560は基材16と基材510を貼り合わせる。封止材560は空気より大きい
屈折率を備える。また、封止材560側に光を取り出す場合は、封止材560は封止材5
60と接する層との屈折率段差を低減することができる。
【0516】
画素回路および発光素子(例えば発光素子550R)は基材510と基材16の間にあ
る。
【0517】
<画素の構成>
副画素502Rは発光モジュール580Rを備える。
【0518】
副画素502Rは、発光素子550Rおよび発光素子550Rに電力を供給することが
できるトランジスタ502tを含む画素回路を備える。また、発光モジュール580Rは
発光素子550Rおよび光学素子(例えば着色膜CFR)を備える。
【0519】
発光素子550Rは、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極の間に発光性の有機化
合物を含む層を有する。
【0520】
発光モジュール580Rは、光を取り出す方向に着色膜CFRを有する。着色膜は特定
の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色、緑色または青色等を呈する
光を選択的に透過するものを用いることができる。なお、他の副画素を着色膜が設けられ
ていない窓部に重なるように配置して、着色膜を透過しないで発光素子の発する光を射出
させてもよい。
【0521】
また、封止材560が光を取り出す側に設けられている場合、封止材560は、発光素
子550Rと着色膜CFRに接する。
【0522】
着色膜CFRは発光素子550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子550R
が発する光の一部は着色膜CFRを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール5
80Rの外部に射出される。
【0523】
着色膜(例えば着色膜CFR)を囲むように遮光膜BMがある。
【0524】
<画素回路の構成>
画素回路に含まれるトランジスタ502tを覆う絶縁膜521を備える。絶縁膜521
は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための膜として用いることができる。また、不純
物の拡散を抑制できる層を含む積層膜を、絶縁膜521に適用することができる。これに
より、不純物の拡散によるトランジスタ502t等の信頼性の低下を抑制できる。
【0525】
絶縁膜521の上に下部電極が配置され、下部電極の端部に重なるように隔壁528が
絶縁膜521の上に配設される。
【0526】
下部電極は、上部電極との間に発光性の有機化合物を含む層を挟持して発光素子(例え
ば発光素子550R)を構成する。画素回路は発光素子に電力を供給する。
【0527】
また、隔壁528上に、基材16と基材510の間隔を制御するスペーサを有する。
【0528】
<走査線駆動回路の構成>
走査線駆動回路503g(1)は、トランジスタ503tおよび容量503cを含む。
なお、画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができるトランジスタを駆動回
路に用いることができる。
【0529】
<変換器CONV>
検知ユニット10Uが供給する検知信号DATAを変換してフレキシブル基板FPC1
に供給することができるさまざまな回路を、変換器CONVに用いることができる(図3
5(A)および図36(A)参照)。
【0530】
例えば、トランジスタM4を変換器CONVに用いることができる。
【0531】
<他の構成>
表示部501は、反射防止膜567pを画素に重なる位置に備える。反射防止膜567
pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0532】
表示部501は、信号を供給することができる配線511を備え、端子519が配線5
11に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができる
フレキシブル基板FPC2が端子519に電気的に接続されている。
【0533】
なお、フレキシブル基板FPC2にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられてい
ても良い。
【0534】
表示部501は、走査線、信号線および電源線等の配線を有する。様々な導電膜を配線
に用いることができる。
【0535】
具体的には、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステ
ン、ニッケル、イットリウム、ジルコニウム、銀またはマンガンから選ばれた金属元素、
上述した金属元素を成分とする合金または上述した金属元素を組み合わせた合金等を用い
ることができる。とくに、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、
タングステンの中から選択される一以上の元素を含むと好ましい。特に、銅とマンガンの
合金がウエットエッチング法を用いた微細加工に好適である。
【0536】
または、アルミニウム膜上にチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、
ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化
膜を積層する積層構造を用いることができる。
【0537】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタ
ン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タ
ンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と
、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構
造等を用いることができる。
【0538】
また、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透光性を有する導電材料を用いて
もよい。
【0539】
<表示部の変形例>
様々なトランジスタを表示部501に適用できる。
【0540】
ボトムゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を図36(A)お
よび図36(B)に図示する。
【0541】
例えば、酸化物半導体、アモルファスシリコン等を含む半導体膜を図36(A)に図示
するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0542】
トップゲート型のトランジスタを表示部501に適用する場合の構成を、図36(C)
に図示する。
【0543】
例えば、多結晶シリコン膜または単結晶シリコン基板等から転置された単結晶シリコン
膜等を含む半導体膜を、図36(C)に図示するトランジスタ502tおよびトランジス
タ503tに適用することができる。または、先の実施の形態に示すトランジスタをトラ
ンジスタ502tおよびトランジスタ503tに用いることができる。
【0544】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0545】
(実施の形態12)
本実施の形態では、本発明の一態様の入出力装置の検知ユニットに用いることができる
検知回路の構成および駆動方法について、図37を参照しながら説明する。
【0546】
図37は本発明の一態様の検知回路19および変換器CONVの構成および駆動方法を
説明する図である。
【0547】
図37(A)は本発明の一態様の検知回路19および変換器CONVの構成を説明する
回路図であり、図37(B-1)および図37(B-2)は駆動方法を説明するタイミン
グチャートである。
【0548】
本発明の一態様の検知回路19は、ゲートが検知素子Cの第1の電極11と電気的に接
続され、第1の電極が例えば接地電位を供給することができる配線VPIと電気的に接続
される第1のトランジスタM1を備える(図37(A)参照)。
【0549】
また、ゲートが選択信号を供給することができる走査線G1と電気的に接続され、第1
の電極が第1のトランジスタM1の第2の電極と電気的に接続され、第2の電極が例えば
検知信号DATAを供給することができる信号線DLと電気的に接続される第2のトラン
ジスタM2を備える構成であってもよい。
【0550】
また、ゲートがリセット信号を供給することができる配線RESと電気的に接続され、
第1の電極が検知素子Cの第1の電極11と電気的に接続され、第2の電極が例えば接地
電位を供給することができる配線VRESと電気的に接続される第3のトランジスタM3
を備える構成であってもよい。
【0551】
検知素子Cの容量は、例えば、第1の電極11または第2の電極12にものが近接する
こと、もしくは第1の電極11および第2の電極12の間隔が変化することにより変化す
る。これにより、検知回路19は検知素子Cの容量の変化に基づく検知信号DATAを供
給することができる。
【0552】
なお、検知素子Cの第1の電極11、第1のトランジスタM1のゲートおよび第3のト
ランジスタの第1の電極が電気的に接続される結節部をノードAという。
【0553】
配線VRESおよび配線VPIは例えば接地電位を供給することができ、配線VPOお
よび配線BRは例えば高電源電位を供給することができる。
【0554】
また、配線RESはリセット信号を供給することができ、走査線G1は選択信号を供給
することができ、配線CSは検知素子の第2の電極12の電位を制御する制御信号を供給
することができる。
【0555】
また、信号線DLは検知信号DATAを供給することができ、端子OUTは検知信号D
ATAに基づいて変換された信号を供給することができる。
【0556】
なお、検知信号DATAを変換して端子OUTに供給することができるさまざまな回路
を、変換器CONVに用いることができる。例えば、変換器CONVを検知回路19と電
気的に接続することにより、ソースフォロワ回路またはカレントミラー回路などが構成さ
れるようにしてもよい。
【0557】
具体的には、トランジスタM4を用いた変換器CONVを用いて、ソースフォロワ回路
を構成できる(図37(A)参照)。なお、第1のトランジスタM1乃至第3のトランジ
スタM3と同一の工程で作製することができるトランジスタをトランジスタM4に用いて
もよい。
【0558】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM3は半導体膜を有する。例えば、4族の元
素、化合物半導体または酸化物半導体を半導体膜に用いることができる。具体的には、シ
リコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体またはインジウムを含む酸化物半導体な
どを適用できる。また、トランジスタM1乃至トランジスタM3として、先の実施の形態
に示すトランジスタを用いることができる。
【0559】
<検知回路19の駆動方法>
検知回路19の駆動方法について説明する。
【0560】
<第1のステップ>
第1のステップにおいて、第3のトランジスタを導通状態にした後に非導通状態にする
リセット信号をゲートに供給し、検知素子Cの第1の電極の電位を所定の電位にする(図
37(B-1)期間T1参照)。
【0561】
具体的には、リセット信号を配線RESに供給させる。リセット信号が供給された第3
のトランジスタは、ノードAの電位を例えば接地電位にする(図37(A)参照)。
【0562】
<第2のステップ>
第2のステップにおいて、第2のトランジスタM2を導通状態にする選択信号をゲート
に供給し、第1のトランジスタの第2の電極を信号線DLに電気的に接続する。
【0563】
具体的には、走査線G1に選択信号を供給させる。選択信号が供給された第2のトラン
ジスタM2は、第1のトランジスタの第2の電極を信号線DLに電気的に接続する(図3
7(B-1)期間T2参照)。
【0564】
<第3のステップ>
第3のステップにおいて、制御信号を検知素子の第2の電極に供給し、制御信号および
検知素子Cの容量に基づいて変化する電位を第1のトランジスタM1のゲートに供給する
【0565】
具体的には、配線CSに矩形の制御信号を供給させる。矩形の制御信号を第2の電極1
2に供給された検知素子Cでは、検知素子Cの容量に基づいてノードAの電位が上昇する
図37(B-1)期間T2の後半を参照)。
【0566】
例えば、検知素子が大気中に置かれている場合、大気より誘電率の高いものが、検知素
子Cの第2の電極12に近接して配置された場合、検知素子Cの容量は見かけ上大きくな
る。
【0567】
これにより、矩形の制御信号がもたらすノードAの電位の変化は、大気より誘電率の高
いものが近接して配置されていない場合に比べて小さくなる(図37(B-2)実線参照
)。
【0568】
<第4のステップ>
第4のステップにおいて、第1のトランジスタM1のゲートの電位の変化がもたらす信
号を信号線DLに供給する。
【0569】
例えば、第1のトランジスタM1のゲートの電位の変化がもたらす電流の変化を信号線
DLに供給する。
【0570】
変換器CONVは、信号線DLを流れる電流の変化を電圧の変化に変換して供給する。
【0571】
<第5のステップ>
第5のステップにおいて、第2のトランジスタを非導通状態にする選択信号をゲートに
供給する。
【0572】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0573】
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を用いることができる電子機器につい
て、図38を用いて説明を行う。
【0574】
図38(A)乃至図38(D)は、電子機器を示す図である。これらの電子機器は、筐
体600、表示部601、スピーカ603、LEDランプ604、操作キー605(電源
スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子606、センサ607(力、変位、位
置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間
、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外
線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン608、等を有することができる。
【0575】
図38(A)はモバイルコンピュータであり、上述したものの他に、スイッチ609、
赤外線ポート620、等を有することができる。図38(B)は記録媒体を備えた携帯型
の画像再生装置(たとえば、DVD再生装置)であり、上述したものの他に、第2表示部
602、記録媒体読込部621、等を有することができる。図38(C)はテレビ受像器
であり、上述したものの他に、チューナ、画像処理部、等を有することができる。図38
(D)は持ち運び型テレビ受像器であり、上述したものの他に、信号の送受信が可能な充
電器627等を有することができる。
【0576】
図38(E)乃至図38(G)に、折りたたみ可能な携帯情報端末610を示す。図3
8(E)に展開した状態の携帯情報端末610を示す。図38(F)に展開した状態また
は折りたたんだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の携帯情報端末610を示す。
図38(G)に折りたたんだ状態の携帯情報端末610を示す。携帯情報端末610は、
折りたたんだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域によ
り表示の一覧性に優れる。
【0577】
表示部612はヒンジ613によって連結された3つの筐体615に支持されている。
ヒンジ613を介して2つの筐体615間を屈曲させることにより、携帯情報端末610
を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。本発明の一態
様を適用して作製された表示装置を表示部612に用いることができる。例えば、曲率半
径1mm以上150mm以下で曲げることができる表示装置を適用できる。
【0578】
図38(A)乃至図38(G)に示す電子機器は、様々な機能を有することができる。
例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッ
チパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(
プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々な
コンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信ま
たは受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して表
示部に表示する機能、等を有することができる。さらに、複数の表示部を有する電子機器
においては、一つの表示部を主として画像情報を表示し、別の一つの表示部を主として文
字情報を表示する機能、または、複数の表示部に視差を考慮した画像を表示することで立
体的な画像を表示する機能、等を有することができる。さらに、受像部を有する電子機器
においては、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を自動または手
動で補正する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能
、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図38(A)
乃至図38(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々
な機能を有することができる。
【0579】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有す
ることを特徴とする。なお、本発明の一態様の半導体装置は、表示部を有さない電子機器
にも適用することができる。
【0580】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0581】
なお、明細書の中の図面や文章において規定されていない内容について、その内容を除
くことを規定した発明の一態様を構成することが出来る。または、ある値について、上限
値と下限値などで示される数値範囲が記載されている場合、その範囲を任意に狭めること
で、または、その範囲の中の一点を除くことで、その範囲を一部除いた発明の一態様を規
定することができる。これらにより、例えば、従来技術が本発明の一態様の技術的範囲内
に入らないことを規定することができる。
【0582】
具体例としては、ある回路において、第1乃至第5のトランジスタを用いている回路図
が記載されているとする。その場合、その回路が、第6のトランジスタを有していないこ
とを発明として規定することが可能である。または、その回路が、容量素子を有していな
いことを規定することが可能である。さらに、その回路が、ある特定の接続構造をとって
いるような第6のトランジスタを有していない、と規定して発明を構成することができる
。または、その回路が、ある特定の接続構造をとっている容量素子を有していない、と規
定して発明を構成することができる。例えば、ゲートが第3のトランジスタのゲートと接
続されている第6のトランジスタを有していない、と発明を規定することが可能である。
または、例えば、第1の電極が第3のトランジスタのゲートと接続されている容量素子を
有していない、と発明を規定することが可能である。
【0583】
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、3V以上10V以下で
あることが好適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、-2
V以上1V以下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または
、例えば、ある電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが
可能である。なお、例えば、その電圧が、5V以上8V以下であると発明を規定すること
も可能である。なお、例えば、その電圧が、概略9Vであると発明を規定することも可能
である。なお、例えば、その電圧が、3V以上10V以下であるが、9Vである場合を除
くと発明を規定することも可能である。なお、ある値について、「このような範囲である
ことが好ましい」、「これらを満たすことが好適である」となどと記載されていたとして
も、ある値は、それらの記載に限定されない。つまり、「好ましい」、「好適である」な
どと記載されていたとしても、必ずしも、それらの記載には、限定されない。
【0584】
別の具体例としては、ある値について、例えば、「ある電圧が、10Vであることが好
適である」と記載されているとする。その場合、例えば、ある電圧が、-2V以上1V以
下である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、あ
る電圧が、13V以上である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。
【0585】
別の具体例としては、ある物質の性質について、例えば、「ある膜は、絶縁膜である」
と記載されているとする。その場合、例えば、その絶縁膜が、有機絶縁膜である場合を除
く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば、その絶縁膜が、無機
絶縁膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。または、例えば
、その膜が、導電膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが可能である。ま
たは、例えば、その膜が、半導体膜である場合を除く、と発明の一態様を規定することが
可能である。
【0586】
別の具体例としては、ある積層構造について、例えば、「A膜とB膜との間に、ある膜
が設けられている」と記載されているとする。その場合、例えば、その膜が、4層以上の
積層膜である場合を除く、と発明を規定することが可能である。または、例えば、A膜と
その膜との間に、導電膜が設けられている場合を除く、と発明を規定することが可能であ
る。
【0587】
なお、本明細書等において記載されている発明の一態様は、さまざまな人が実施するこ
とが出来る。しかしながら、その実施は、複数の人にまたがって実施される場合がある。
例えば、送受信システムの場合において、A社が送信機を製造および販売し、B社が受信
機を製造および販売する場合がある。別の例としては、トランジスタおよび発光素子を有
する発光装置の場合において、トランジスタが形成された半導体装置は、A社が製造およ
び販売する。そして、B社がその半導体装置を購入して、その半導体装置に発光素子を成
膜して、発光装置として完成させる、という場合がある。
【0588】
このような場合、A社またはB社のいずれに対しても、特許侵害を主張できるような発
明の一態様を、構成することが出来る。つまり、A社のみが実施するような発明の一態様
を構成することが可能であり、別の発明の一態様として、B社のみが実施するような発明
の一態様を構成することが可能である。また、A社またはB社に対して、特許侵害を主張
できるような発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断する事が
出来る。例えば、送受信システムの場合において、送信機のみの場合の記載や、受信機の
みの場合の記載が本明細書等になかったとしても、送信機のみで発明の一態様を構成する
ことができ、受信機のみで別の発明の一態様を構成することができ、それらの発明の一態
様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断することが出来る。別の例として
は、トランジスタおよび発光素子を有する発光装置の場合において、トランジスタが形成
された半導体装置のみの場合の記載や、発光素子を有する発光装置のみの場合の記載が本
明細書等になかったとしても、トランジスタが形成された半導体装置のみで発明の一態様
を構成することができ、発光素子を有する発光装置のみで発明の一態様を構成することが
でき、それらの発明の一態様は、明確であり、本明細書等に記載されていると判断するこ
とが出来る。
【0589】
なお、本明細書等においては、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子
(容量素子、抵抗素子など)などが有するすべての端子について、その接続先を特定しな
くても、当業者であれば、発明の一態様を構成することは可能な場合がある。つまり、接
続先を特定しなくても、発明の一態様が明確であると言える。そして、接続先が特定され
た内容が、本明細書等に記載されている場合、接続先を特定しない発明の一態様が、本明
細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。特に、端子の接続先が複数
のケース考えられる場合には、その端子の接続先を特定の箇所に限定する必要はない。し
たがって、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、受動素子(容量素子、抵抗素子
など)などが有する一部の端子についてのみ、その接続先を特定することによって、発明
の一態様を構成することが可能な場合がある。
【0590】
なお、本明細書等においては、ある回路について、少なくとも接続先を特定すれば、当
業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。または、ある回路について、少
なくとも機能を特定すれば、当業者であれば、発明を特定することが可能な場合がある。
つまり、機能を特定すれば、発明の一態様が明確であると言える。そして、機能が特定さ
れた発明の一態様が、本明細書等に記載されていると判断することが可能な場合がある。
したがって、ある回路について、機能を特定しなくても、接続先を特定すれば、発明の一
態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。また
は、ある回路について、接続先を特定しなくても、機能を特定すれば、発明の一態様とし
て開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。
【0591】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章にお
いて、その一部分を取り出して、発明の一態様を構成することは可能である。したがって
、ある部分を述べる図または文章が記載されている場合、その一部分の図または文章を取
り出した内容も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成す
ることが可能であるものとする。そして、その発明の一態様は明確であると言える。その
ため、例えば、能動素子(トランジスタ、ダイオードなど)、配線、受動素子(容量素子
、抵抗素子など)、導電膜、絶縁膜、半導体膜、有機材料、無機材料、部品、装置、動作
方法、製造方法などが単数もしくは複数記載された図面または文章において、その一部分
を取り出して、発明の一態様を構成することが可能であるものとする。例えば、N個(N
は整数)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を有して構成される回路図から、M個
(Mは整数で、M<N)の回路素子(トランジスタ、容量素子等)を抜き出して、発明の
一態様を構成することは可能である。別の例としては、N個(Nは整数)の層を有して構
成される断面図から、M個(Mは整数で、M<N)の層を抜き出して、発明の一態様を構
成することは可能である。さらに別の例としては、N個(Nは整数)の要素を有して構成
されるフローチャートから、M個(Mは整数で、M<N)の要素を抜き出して、発明の一
態様を構成することは可能である。さらに別の例としては、「Aは、B、C、D、E、ま
たは、Fを有する」と記載されている文章から、一部の要素を任意に抜き出して、「Aは
、BとEとを有する」、「Aは、EとFとを有する」、「Aは、CとEとFとを有する」
、または、「Aは、BとCとDとEとを有する」などの発明の一態様を構成することは可
能である。
【0592】
なお、本明細書等においては、ある一つの実施の形態において述べる図または文章にお
いて、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位概念を導き出すこと
は、当業者であれば容易に理解される。したがって、ある一つの実施の形態において述べ
る図または文章において、少なくとも一つの具体例が記載される場合、その具体例の上位
概念も、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが
可能である。そして、その発明の一態様は、明確であると言える。
【0593】
なお、本明細書等においては、少なくとも図に記載した内容(図の中の一部でもよい)
は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能
である。したがって、ある内容について、図に記載されていれば、文章を用いて述べてい
なくても、その内容は、発明の一態様として開示されているものであり、発明の一態様を
構成することが可能である。同様に、図の一部を取り出した図についても、発明の一態様
として開示されているものであり、発明の一態様を構成することが可能である。そして、
その発明の一態様は明確であると言える。
【符号の説明】
【0594】
10U 検知ユニット
11 電極
12 電極
13 絶縁膜
14 窓部
16 基材
16a バリア膜
16b 基材
16c 樹脂膜
17 保護基材
17p 保護膜
19 検知回路
51 基板
53 絶縁膜
53a 絶縁膜
54 酸化物半導体膜
55 酸化物半導体膜
55_1 酸化物半導体膜
55_2 酸化物半導体膜
55_2a 領域
55_2b 領域
55_2c 領域
55_3 酸化物半導体膜
55_3a 領域
55_3b 領域
55_3c 領域
55a 領域
55b 領域
55c 領域
55d 領域
55e 領域
56 絶縁膜
57 絶縁膜
58 緩衝膜
58a 緩衝膜
59 緩衝膜
60 緩衝膜
60a 緩衝膜
61 導電膜
61a 導電膜
61b 導電膜
62 酸素
63 不純物元素
64 絶縁膜
65 絶縁膜
67 絶縁膜
68 導電膜
69 導電膜
71 領域
71a 領域
71b 領域
71c 領域
73 ゲート電極
77 導電膜
79 絶縁膜
81 緩衝膜
82 酸素
83 緩衝膜
100 入力装置
500 入出力装置
501 表示部
502 画素
502B 副画素
502G 副画素
502R 副画素
502t トランジスタ
503c 容量
503g 走査線駆動回路
503t トランジスタ
510 基材
510a バリア膜
510b 基材
510c 樹脂膜
511 配線
519 端子
521 絶縁膜
528 隔壁
550R 発光素子
560 封止材
567p 反射防止膜
580R 発光モジュール
600 筐体
601 表示部
602 表示部
603 スピーカ
604 LEDランプ
605 操作キー
606 接続端子
607 センサ
608 マイクロフォン
609 スイッチ
610 携帯情報端末
612 表示部
613 ヒンジ
615 筐体
620 赤外線ポート
621 記録媒体読込部
627 充電器
5100 ペレット
5120 基板
5161 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38