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特許7394958施設およびプロジェクトの評価データを生成する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】施設およびプロジェクトの評価データを生成する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/063 20230101AFI20231201BHJP
   G06Q 50/26 20120101ALI20231201BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q50/26
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022504731
(86)(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2020073746
(87)【国際公開番号】W WO2021047901
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】19196341.2
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タマヨ ルイス エフライン
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】トマス ブライデン
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109142822(CN,A)
【文献】国際公開第2017/190795(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0268407(US,A1)
【文献】国際公開第2019/072292(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2018/0247302(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0057396(US,A1)
【文献】特開2019-028525(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109272243(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0163912(US,A1)
【文献】国際公開第2019/107565(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)ならびに/あるいは該グリーン施設に係る1つまたは複数のプロジェクトの評価データを生成する装置(10)であって、
ネットワーク(11)を介して、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)から測定データを自動的に受信するように構成された、1つまたは複数の第1のインターフェース(2)と、
前記1つまたは複数の第1のインターフェース(2)に接続された、1つまたは複数の評価ユニット(3)と、を備え、該評価ユニットが、
前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データを格納するように構成された、1つまたは複数のデータストレージ(4)と、
前記1つまたは複数のグリーン施設を評価するため、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データに基づいて、前記1つまたは複数のグリーン施設の重要な特性を査定する、重要業績評価指標(KPI)によって表される実績パラメータを計算するように構成された、1つまたは複数の計算ユニット(6a、6b、6c)と、
前記1つまたは複数のプロジェクトを評価するため、合算されたプロジェクトデータとして、所定の組み合わせに従って前記計算された実績パラメータを組み合わせるように構成された、1つまたは複数の合算ユニット(7)と、を含み、
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)が、分散されたコンピュータリソースにおいて、前記実績パラメータの計算および前記プロジェクトデータを合算するように構成される、装置(10)。
【請求項2】
1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)ならびに/あるいは該グリーン施設に係る1つまたは複数のプロジェクトの評価データを生成する装置(10)であって、
ネットワーク(11)を介して、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)から測定データを自動的に受信するように構成された、1つまたは複数の第1のインターフェース(2)と、
前記1つまたは複数の第1のインターフェース(2)に接続された、1つまたは複数の評価ユニット(3)と、を備え、該評価ユニットが、
前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データを格納するように構成された、1つまたは複数のデータストレージ(4)と、
前記1つまたは複数のグリーン施設を評価するため、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データに基づいて、実績パラメータを計算するように構成された、1つまたは複数の計算ユニット(6a、6b、6c)と、
前記1つまたは複数のプロジェクトを評価するため、合算されたプロジェクトデータとして、所定の組み合わせに従って前記計算された実績パラメータを組み合わせるように構成された、1つまたは複数の合算ユニット(7)と、を含み、
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)が、分散されたコンピュータリソースにおいて、前記実績パラメータの計算および前記プロジェクトデータを合算するように構成され、前記測定データは、測定された風速および測定された出力電力、ならびに前記1つまたは複数のグリーン施設の処理システムによって計算される風力タービンの効率を含み、
または、太陽放射、雲量、および風速を含む気象データ、施設の環境条件に関する更なるデータを含み、
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)が、前記測定データ、前記実績パラメータ、および前記合算されたプロジェクトデータを暗号化するように構成された、装置(10)。
【請求項3】
前記プロジェクトは、少なくとも再生可能エネルギーに関する環境技術プロジェクトであり、
前記測定データ、前記実績パラメータの計算命令、および前記合算されたプロジェクトデータの処理命令、ならびに前記計算された実績パラメータおよび前記合算されたプロジェクトデータをブロックチェーンに格納するように構成された、請求項1または2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)をそれぞれ含み、前記1つまたは複数の評価ユニットが、前記実績パラメータの前記計算命令および前記合算されたプロジェクトデータの前記処理命令を含むスマートコントラクトを実行するように構成された、複数のピア(12、12a~12g)と、
前記1つまたは複数のプロジェクトに対する各ピアの関与に従って、1つまたは複数のチャネルに対する各ピアの関与を定義し、前記スマートコントラクトを実行するピアを定義するように構成された、オーナーシップコントローラ(14)と、を更に備える、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記オーナーシップコントローラ(14)が、新しい測定データが前記第1のインターフェース(2)によって受信されると、スマートコントラクト実行を実施する第1のピア群(12、12a~12g)を選ぶように構成され、前記測定データが1つまたは複数のチャネルに割り付けられる、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記オーナーシップコントローラ(14)が、各ピア(12、12a~12g)の前記スマートコントラクトに含まれる前記計算命令および/または前記処理命令に関する情報に従って、前記第1のピア群(12、12a~12g)を選ぶように構成された、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記オーナーシップコントローラが、前記測定データが割り付けられる前記1つまたは複数のチャネルに関与する全てのピア(12、12a~12g)を、第2のピア群(12、12a~12g)として選ぶように構成され、前記第1のピア群(12、12a~12g)が前記第2のピア群(12、12a~12g)よりも多く、前記第2のピア群(12、12a~12g)が前記第1のピア群(12、12a~12g)に含まれる、請求項~6の少なくとも一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記第1のピア群に含まれるが前記第2のピア群(12、12a~12g)には含まれないピア(12、12a~12g)が、前記ブロックチェーンにおけるデータ確認が完了すると、前記スマートコントラクト実行の結果を消去するように構成され、
前記第1のピア群および第2のピア群(12、12a~12g)に含まれるピア(12、12a~12g)が、前記ブロックチェーンにおける前記データ確認が完了すると、前記スマートコントラクト実行の前記結果を前記データストレージ(4)に格納するように構成された、請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
プロジェクトに関する前記ブロックチェーンまたは統計の最終ブロックのデータを、オフチェーンデータベース(14)に格納するように構成された、請求項4~8の少なくとも一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)に接続され、前記実績パラメータおよび/または前記合算されたプロジェクトデータを含む評価データセットに基づいて報告を生成するため、1つまたは複数のユーザインターフェース(9)からの要求を受信するように構成された、1つまたは複数の第2のインターフェース(8)を更に備え、
要求された前記報告を、前記ネットワーク(11)を介して、前記1つまたは複数の第2のインターフェース(8)から前記1つまたは複数のユーザインターフェース(9)に出力する、請求項1~9の少なくとも一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)ならびに/あるいは該グリーン施設に係る1つまたは複数のプロジェクトの評価データを生成するシステムであって、
請求項1~10の少なくとも一項に記載の前記装置(10)と、
ネットワーク(11)を介して前記装置(10)に接続され、所定の時間間隔で測定データを前記装置(10)に自動的に送信するように構成された、1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)と、
前記ネットワーク(11)を介して前記装置(10)に接続され、実績パラメータおよび/または合算されたプロジェクトデータを含む評価データセットに基づいて、自動的に生成された報告を要求し受信するように構成された、1つまたは複数のユーザインターフェース(9)と、を備える、システム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のグリーン施設が、前記測定データを仮名化および/または匿名化するように構成された、1つまたは複数のエッジサーバ(100a、100b、100c)を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)ならびに/あるいは該グリーン施設に係る1つまたは複数のプロジェクトの評価データを生成する方法であって、
1つまたは複数の第1のインターフェース(2)に接続された、1つまたは複数の評価ユニットが、
ネットワーク(11)を介して前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)から測定データを自動的に受信するステップと、
1つまたは複数の評価ユニット(3)に含まれる1つまたは複数のデータストレージ(4)によって、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データを格納するステップと、
前記1つまたは複数のグリーン施設を評価するため、前記1つまたは複数のグリーン施設(1a、1b、1c)の前記測定データに基づいて、前記1つまたは複数のグリーン施設の重要な特性を査定する、重要業績評価指標(KPI)によって表される実績パラメータを計算するステップと、
前記1つまたは複数のプロジェクトを評価するため、合算されたプロジェクトデータとして、所定の組み合わせに従って前記計算された実績パラメータを組み合わせるステップと、を含み、
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)が、分散されたコンピュータリソースにおいて、前記実績パラメータの前記計算および前記プロジェクトデータの前記合算実施する、方法。
【請求項14】
前記測定データは、測定された風速および測定された出力電力、ならびに前記1つまたは複数のグリーン施設の処理システムによって計算される風力タービンの効率を含み、または、太陽放射、雲量、および風速を含む気象データ、施設の環境条件に関する更なるデータを含み、
前記測定データ、前記実績パラメータ、および前記合算されたプロジェクトデータが、前記1つまたは複数の評価ユニット(3)によって暗号化される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロジェクトは、少なくとも再生可能エネルギーに関する環境技術プロジェクトであり、
前記測定データ、前記実績パラメータの計算命令、および前記合算されたプロジェクトデータの処理命令、ならびに前記実績パラメータおよび前記合算されたプロジェクトデータが、ブロックチェーンに格納される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記実績パラメータの前記計算命令および前記合算されたプロジェクトデータの前記処理命令を含むスマートコントラクトを、ピア(12、12a~12g)にそれぞれ含まれる1つまたは複数の評価ユニットによって実行するステップと、
1つまたは複数のプロジェクトに対する各ピアの関与に従って、1つまたは複数のチャネルに対する各ピアの関与を定義し、オーナーシップコントローラ(14)によって、前記スマートコントラクトを実行するピアを定義するステップと、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
新しい測定データが前記第1のインターフェース(2)によって受信されると、スマートコントラクト実行を実施するため、前記オーナーシップコントローラ(14)によって第1のピア群(12、12a~12g)を選ぶステップであって、前記測定データが1つまたは複数のチャネルに割り付けられ、前記第1のピア群(12、12a~12g)が、各ピア(12、12a~12g)の前記スマートコントラクトに含まれる前記計算命令および/または前記処理命令に関する情報に従って選ばれる、ステップと、
前記オーナーシップコントローラ(14)によって、前記測定データが割り付けられる前記1つまたは複数のチャネルに属する前記ピア(12、12a~12g)を、第2のピア群(12、12a~12g)として選ぶステップであって、前記第1のピア群(12、12a~12g)が前記第2のピア群(12、12a~12g)よりも多く、前記第2のピア群(12、12a~12g)が前記第1のピア群(12、12a~12g)に含まれる、ステップと、を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ブロックチェーンにおけるデータ確認が完了すると、
前記スマートコントラクト実行の結果が、前記第1のピア群に含まれるが前記第2のピア群(12、12a~12g)には含まれないピア(12、12a~12g)によって消去され、前記スマートコントラクト実行の前記結果が、前記第1のピア群および第2のピア群(12、12a~12g)に含まれるピア(12、12a~12g)によって、前記データストレージ(4)に格納される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
プロジェクトに関する前記ブロックチェーンまたは統計の最終ブロックのデータが、オフチェーンデータベース(14)に格納される、請求項15~18の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1つまたは複数の評価ユニット(3)に接続された、1つまたは複数の第2のインターフェース(8)によって、前記実績パラメータおよび前記合算されたプロジェクトデータを含む評価データセットに基づいて報告を生成する、1つまたは複数のユーザインターフェース(9)からの要求を受信するステップと、
要求された前記報告を、前記ネットワーク(11)を介して、前記1つまたは複数の第2のインターフェース(8)から前記1つまたは複数のユーザインターフェース(9)に出力するステップと、を更に含む、請求項13~19の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項21】
コンピュータによって実施されたとき、前記コンピュータに請求項13~20のいずれかに記載の前記方法を実施させる命令を含む、メモリに格納可能なコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、環境に優しい施設および関連するプロジェクトの評価データを生成する装置、システム、方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の気候科学者は、工業化が始まってから一貫して増加し続けている温室効果ガス排出が、地球温暖化の主原因であるということで意見が一致している。パリ協定に適合し、今世紀末までに世界平均気温の上昇を産業革命以前のレベルから1.5~2℃以内に制限するには、低炭素経済へと広い範囲で移行することが必要である。これには、化石燃料エネルギーから再生可能エネルギーへの高価な技術的シフト、ならびにプラントおよび建物のエネルギー効率の向上、および環境に優しいインフラストラクチャが含まれる。
【0003】
グリーンローン、グリーンボンド、およびサステナビリティリンクローンを含む、サステナブルファイナンス商品を使用して資金調達されている、複数のプロジェクトがある。また、複数の公共および民間団体が、プロジェクトを実施する、より低炭素の持続可能な社会へ移行するために努力している。これら全ての活動に対して、環境面、社会面、または財務面で達成された実績に関して効率的に得ることができる確証が求められている。
【0004】
この文脈において、グリーンボンドは、気候目標を達成し更なる環境破壊を回避するために、環境に優しく持続可能なプロジェクトにおける投資を促進する重要な手段である。グリーンボンドは、その利益が環境技術プロジェクトに資金供給するのに使用される債券である。
【0005】
環境技術プロジェクトの主要なタイプは次の通りである。
-例えば太陽光、風力、およびバイオマスを含む、Green by Nature、
-例えば建物、低公害車を含む、Contributes to Green、ならびに、
-例えば送電および配電グリッド、ならびにスマートシティソリューションを含む、Enabling Green。
【0006】
換言すれば、環境技術は、例えば、再生可能エネルギー、エネルギー効率、クリーン交通、持続可能な水管理、公害防止、気候変動適応、生物多様性の保全、省資源およびリサイクル、環境に優しい製品および生産、ならびに自然資源の持続可能な管理に関する技術を含む。導入された技術が適切に機能することを担保し、達成された影響の証拠を提供し、異なる環境技術の影響を比較するため、各施設の好適な測定データを記録し、そこから適切な実績パラメータを作成することによって、環境技術プロジェクトの実績を評価することが重要である。異なる分野の環境技術を網羅するのに、異なる実績パラメータが求められることがある。例えば、再生可能エネルギー施設の実績を査定するのに、生成されたグリーン電力が好適な実績パラメータであることがあり、また工場または建物のエネルギー効率を査定するのに、消費エネルギーおよびそのCO排出量が適切な値であることがある。他の技術、例えば持続可能な資源管理に関する技術は、資源を節約するための改善手段を評価するのに適切な、他の実績パラメータを必要とすることがある。現在、関連する全ての出資者がアクセス可能であるべき、かかる信頼性が高い測定データおよび実績パラメータは、環境技術プロジェクトにおいて利用可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】US2019/057396A1
【0008】
特許文献1は、再生可能エネルギーおよび省エネルギー手段が採用された後の、エネルギー、工業、および輸送の分野における炭素排出量の低減を計算する炭素排出量測定モジュールを備える、ブロックチェーンベースのカーボントレードシステムについて記載している。しかしながら、上記カーボントレードシステムは、単に、所与の時点で所与の施設において測定された温室効果ガス排出量の変化に関する情報を提供するものである。これは、環境に影響を及ぼす1つのパラメータしか考慮されないことと、単一の施設で該パラメータしか検出することができない、特別な測定機器が必要であることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本主題の目的は、標準化された評価パラメータを使用して、異なる施設およびプロジェクトに含まれる環境技術の実績を査定し、該評価パラメータの信頼性を担保する、装置、システム、方法、およびコンピュータプログラムを実現することである。この目的は、独立請求項による主題によって解決される。更なる好ましい展開は従属請求項によって記載される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特許請求する主題は、1つもしくは複数の施設および/または1つもしくは複数のプロジェクトの評価データを生成する装置を含んでもよい。装置は、単一のコンピュータ、または直接、もしくは好ましくはインターネットなどのネットワークを介して互いに接続された、複数のコンピュータであってもよい。より好ましくは、装置は、クラウドベースのデジタルプラットフォームの一部として実現されてもよい。
【0011】
評価データは、環境および社会に対する影響に関して、施設またはプロジェクトの実績を示すのに適した任意のデータであってもよい。例えば、生成された風力エネルギー量、または工場によって排出される温室効果ガスの低減が、評価データに含まれてもよい。施設は、工場、発電所、配水網、または車両など、任意の種類の施設であってもよく、施設は、建物の断熱材、発電所の水力タービン、または車両の電動機など、少なくとも1つの環境技術を含んでもよい。以下、かかる施設を「グリーン施設」と呼ぶ。好ましくは、肯定的な環境影響を最適化するために、1つのグリーン施設は複数の多様な環境技術を含んでもよい。例えば、公益事業は、例えば太陽光発電所によって生成される、再生可能電力を提供してもよく、その保有車両において電気自動車を走らせてもよい。
【0012】
プロジェクトは、少なくとも1つのグリーン施設を、好ましくは複数のグリーン施設を含んでもよい。プロジェクトに関与するグリーン施設は、異なる場所に位置してもよく、肯定的な環境影響を最大限にすることができるような形で組み合わされてもよい。この文脈において、「組み合わされる」という用語は、好ましくは、2つ以上の施設の技術的組み合わせ、ならびに金融資産における2つ以上の施設の組み合わせの意味を含んでもよい。例えば、太陽光発電所および風力発電所など、2つ以上の再生可能エネルギー施設が、互いに相互作用することによって利益を得るため、共通の電力網で技術的に接続されてもよい。異なるグリーン施設が統合されて、プロジェクトとしてのグリーンボンドとなることも可能であってもよい。グリーンボンドポートフォリオにおけるグリーンボンドの組み合わせはまた、更なる金融資産におけるプロジェクトならびにグリーンボンドポートフォリオの組み合わせであってもよい。
【0013】
装置は、インターネットなどのネットワークを介して、1つまたは複数の施設から測定データを自動的に受信するように構成された、1つまたは複数の第1のインターフェースを備えてもよく、それによって特に、例えばヒューマンインタラクションを必要とすることなく、信頼性が高いデータの転送が可能になる。好ましくは、1つまたは複数の第1のインターフェースは、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを介して、1つまたは複数の施設に接続されてもよい。1つまたは複数の第1のインターフェースは、所定の時間間隔で測定データを受信してもよい。所定の時間間隔は、好ましくは、1時間から24時間の間の範囲内、最も好ましくは2時間から8時間の間の範囲内であってもよい。しかしながら、より長いまたは短い間隔が同様に可能であってもよい。1つまたは複数の第1のインターフェースは、インターネットなどのネットワークを介して、測定データを施設から自動的に受信するのに適した、任意の種類のインターフェースであってもよい。好ましくは、1つまたは複数の第1のインターフェースは、REST APIインターフェース(REST-Representational State Transfer、API-Application Programming Interface)であってもよい。他のタイプのインターフェースが同様に使用されてもよい。
【0014】
測定データは、1つまたは複数の第1のインターフェースに接続された異なる施設で記録された全ての測定値、ならびに施設の処理システムによって上記測定値から計算された全ての値を含んでもよい。例えば、グリーン施設が風力タービンを備える場合、測定データは、例えば、測定された風速および測定された出力電力、ならびにグリーン施設の処理システムによって計算される風力タービンの効率を含んでもよい。加えて、ダウンタイム、保守、および修理作業に関する情報も、測定データに含まれてもよい。換言すれば、測定データは、それぞれの施設の全ての運用データを含んでもよい。
【0015】
更に、施設の処理システムはまた、データのソース付近で測定データを処理するエッジサーバとして使用されてもよい。エッジサーバは、データのプライバシーおよびセキュリティ要件と一致するために、装置の1つまたは複数の第1のインターフェースに送信する前に、測定データの仮名化を実施してもよい。測定データのその後の使用に応じて、エッジサーバが測定データを仮名化できることも可能であってもよい。例えば、測定データが、データを特定のプロジェクトに割り付ける必要なしに、特定のタイプの施設の総合評価データを提供するのに使用された場合、測定データは仮名化されてもよい。
【0016】
更に、測定データは、例えば、太陽放射、雲量、および風速を含む気象データなど、施設の環境条件に関する更なるデータを含んでもよい。測定データは、ネットワークと互換性があるセンサを備えた機械類および機器からだけではなく、他のデータソースからも受信されてもよい。例えば、建物における断熱手段の成功を評価するには、手段の適用前および後に熱画像カメラによって撮影した写真を測定データとして役立てて、削減されたエネルギーを定量化することができる。更に、例えば、鉱山が位置するはずである地形の衛星写真を分析することによって、探鉱プロジェクトの環境影響が査定されてもよい。この場合、衛星写真は、結果としての影響指標を計算するのに測定データとして機能する。
【0017】
装置は更に、1つまたは複数の施設の測定データを格納してもよい1つまたは複数のデータストレージを含んでもよい、1つまたは複数の第1のインターフェースに接続された、1つまたは複数の評価ユニットを備えてもよい。あるいは、または加えて、測定データは、直接またはネットワークを介して評価ユニットに接続されてもよい、外部データストレージに格納されてもよい。評価ユニットは、単一のコンピュータまたは複数のコンピュータに統合されてもよい。
【0018】
評価ユニットは更に、施設を評価するため、1つまたは複数の施設の測定データに基づいて実績パラメータを計算してもよい、1つまたは複数の計算ユニットを含んでもよい。ここで、施設を「評価する」ことは、環境技術に対する寄与という観点で施設の「実績を示す」ことと理解されるべきである。実績パラメータは、簡潔な方法でグリーン施設の最も重要な特性を査定することを可能にする、いわゆる重要業績評価指標(KPI)によって表されてもよい。グリーン施設で使用される環境技術のタイプに応じて、異なるKPIを評価することが求められることがある。例えば、工場建物の屋根にソーラーパネルを有する生産プラントの場合、いくつかのKPIが関心対象であってもよい。例えば、生産の水消費および消費電力は、継続的に測定され、持続可能な水管理およびエネルギー効率を表すKPIの基礎として使用される、一般的な測定値であってもよい。持続可能な水管理を表すKPIは、例えば、水消費を低減する手段を生産ラインに導入することによって、または使用された水を処理する手段を適用することによって改善されてもよい。生産プラントのエネルギー効率を表すKPIは、例えば、消費電力に関して生産機械類を最適化することによって改善されてもよい。この2つの例示的なKPIは、所定の時点から始まり、時間経過に伴って施設に対して実施される個々の手段の業績を示す、既存の施設に対する改善を反映させるのに使用することができる。所定の時点は、例えば、生産プラントの環境への優しさを改善する第1の手段が導入される前であってもよい。更に、KPIは、工場建物の屋根に設置されたソーラーパネルを評価するために生成することができる。この場合、ソーラーパネルによって生成される電力は、一週間または一か月など、所定の時間間隔にわたって継続的に測定し集約することができる。集約した値は、生産された再生可能エネルギーを表すKPIとして直接役立つことができる。
【0019】
更に、評価ユニットは、1つまたは複数のプロジェクトを評価するための合算されたプロジェクトデータとして、所定の組み合わせに従って計算された実績パラメータを組み合わせてもよい、1つまたは複数の合算ユニットを備えてもよい。合算ユニットは、プロジェクトに含まれるグリーン施設に対するより幅広い視野を提供してもよい、プロジェクトレベルでKPIを提供してもよい。異なるグリーン施設がプロジェクトとしてのグリーンボンドに統合されてもよい場合、グリーンボンドのKPIは、グリーンボンドに含まれる全てのグリーン施設のKPIを組み合わせることによって生成されてもよい。所定の組み合わせは、グリーンボンドに含まれるグリーン施設のタイプに応じて実施されてもよい。例えば、グリーンボンドが再生可能エネルギーを生成する施設のみを含み、該生成された再生可能エネルギーがKPIとして直接役立つ場合、異なる施設のKPIを合計するだけでよい。あるいは、または加えて、グリーンボンドが再生可能エネルギーを生成する施設と、自身のエネルギー効率を改善する施設とを含む場合、異なるKPI、つまり生成された再生可能エネルギーおよび削減されたエネルギーが、因子によって独立して格付けされ、次に合計されて共通のKPIとなってもよい。計算ユニットによって計算されたグリーン施設のKPIを組み合わせる以外に、合算ユニットは、それぞれのプロジェクトに含まれるグリーン施設の未加工測定データに基づいて、プロジェクトレベルで新しい/追加のKPIを生成してもよい。また、プロジェクトレベルでのKPIがより複雑性の低い情報に変換されることが可能であってもよい。例えば、同じ場合には、生成された再生可能エネルギーの正確な値は重要ではないことがあるが、特定の閾値を上回っている場合のみを除く。そのような場合、プロジェクトレベルで計算されたKPIは、「はい」または「いいえ」のみを含むことがある。更に、合算されたプロジェクトデータは、プロジェクト所有者などに関する詳細など、プロジェクトに関する管理データを含んでもよい。
【0020】
上述のKPIは、個々のグリーン施設、ならびに異なるグリーン施設から成るプロジェクトの実績を効率的に査定することを可能にする。測定データを自動で定期的に受信することで、計算/合算された評価データの確実性が改善される。評価ユニットにおいて実現される計算および合算構造は、プロジェクトKPIの進捗を理解する上で、プロジェクト全体の概観、ならびに個々のグリーン施設の詳細図を提供することを可能にする。
【0021】
更に、1つまたは複数の評価ユニットは、実績パラメータを計算してもよく、分散されたコンピュータリソースにおいてプロジェクトデータを合算してもよい。分散されたコンピュータリソースを使用することで、結果の信頼性/確実性を更に改善する複数の冗長評価データが生じる。加えて、計算の効率が改善され、分散されたコンピューティングリソースを、単一のメインフレームと比較してより簡単に換算することができるので、新しい機構を既存のプロジェクトに簡単に追加することができる。従って、KPIなどの評価パラメータは、異なる施設およびプロジェクトに含まれる環境技術の業績を査定する上で、自動的に決定され使用され、決定された評価パラメータの信頼性が担保される。
【0022】
一態様によれば、1つまたは複数の評価ユニットは、測定データ、実績パラメータ、および合算されたプロジェクトデータを暗号化してもよい。これにより、例えばクラウドネットワークにおける、分散されたコンピュータリソース間での安全なデータ交換が可能になる。
【0023】
更に、装置は、測定データ、実績パラメータの計算命令、および合算されたプロジェクトデータの処理命令、ならびに計算された実績パラメータおよび合算されたプロジェクトデータを、ブロックチェーンに格納してもよい。計算命令は、実績パラメータを計算するための方程式ならびに係数を含んでもよい。ブロックチェーンは、評価ユニットによって実施される、実績パラメータおよび/または合算されたプロジェクトデータの全ての計算を記録する取引ログであってもよい。取引は、ブロックチェーンに付加され、ハッシュ値を介して互いに接続されてもよい、ブロック内部で収集されてもよい。ブロックチェーンは、ネットワーク(ブロックチェーンネットワーク)の分散されたリソースに対する評価データを計算できるようにし、加えて、生成された評価データの確実性を更に改善する、ハッシュおよび公開鍵暗号法による内部暗号化システムを含む。更に、ブロックチェーンネットワークは、中央のメインサーバを必要とせずに、分散されたコンピュータリソース間において直接ピア・ツー・ピア通信ができるようにする。
【0024】
一態様によれば、ブロックチェーンネットワークで実現される装置は更に、1つまたは複数の評価ユニットをそれぞれ含む複数のピアを備えてもよい。ピアは、ピア・ツー・ピア通信を介して互いに直接通信する、コンピュータまたはモバイルデバイスなど、ブロックチェーンネットワーク内における同等のネットワークユーザであってもよい。各ピアの1つまたは複数の評価ユニットは、実績パラメータの計算命令および合算されたプロジェクトデータの処理命令を含む、スマートコントラクト(または単に契約)を実行してもよい。
【0025】
加えて、装置は、1つまたは複数のプロジェクトに対する各ピアの関与に従って、1つまたは複数のチャネルに対するそれらの関与を定義し、スマートコントラクトを実行するピアを定義してもよい、オーナーシップコントローラを備えてもよい。チャネルは、プロジェクト内の秘匿通信を目的とする、2つ以上のピアの間のプライベートサブネットであってもよい。
【0026】
オーナーシップコントローラは更に、新しい測定データが第1のインターフェースによって受信されると、スマートコントラクト実行を実施する第1のピア群を選んでもよく、測定データは1つまたは複数のチャネルに割り付けられる。1つまたは複数のチャネルに対する測定データの割付けは、測定データセットのヘッドに含まれる識別子によって実現されてもよい。第1のピア群は、各ピアのスマートコントラクトに含まれる、計算命令および/または処理命令に関する情報に従って、オーナーシップコントローラによって選ばれてもよい。換言すれば、オーナーシップコントローラは、求められるKPIを計算するピアの能力を考慮して、第1の群のピアを選んでもよい。能力は、スマートコントラクトにおけるそれぞれの命令の実績および/または存在を演算することに関連して考慮されてもよい。例えば、測定データが施設の効率値を含む場合、効率値に基づいてCOの等価物を計算することができる全てのピアが、計算のために選択されてもよい。
【0027】
オーナーシップコントローラは更に、測定データが割り付けられるチャネルと関連付けられた全てのピアを第2のピア群として選んでもよく、第1のピア群は第2のピア群よりも大きく、第2のピア群は第1のピア群に含まれる。換言すれば、スマートコントラクトを実行するピアの数は、測定データが割り付けられる1つまたは複数のチャネルに関与するピアの数よりも多い。これにより、同じチャネルに属するピアのみがスマートコントラクトを実行する通常の場合と比較して、冗長性がより高いので、計算された結果の確実性を改善することが可能になる。
【0028】
更に、第1の群に含まれるが第2のピア群には含まれないピアは、ブロックチェーンにおけるデータ確認が完了すると、スマートコントラクト実行の結果を消去してもよく、第1および第2のピア群に含まれるピアは、ブロックチェーンにおけるデータ確認が完了すると、スマートコントラクト実行の結果をデータベースに格納してもよい。データ確認は、契約を実行した所定数のピアが、計算が有効と指定されるために、実行から得られた結果を承認しなければならないことを含んでもよい。好ましくは、計算を確認/承認する所定数のピアは、計算を実行するピアの30%~100%であってもよく、最も好ましくは、計算を確認/承認する所定数のピアは、計算を実行するピアの40%~70%であってもよい。
【0029】
これは、責任があるピアによって結果が確認/承認された後、測定データが割り付けられる1つまたは複数のチャネルに関与するピアのみが、結果を格納することが可能にされ、他のピアは全て、データ確認/承認の後、それを消去しなければならない。結果として、それと同時に結果の確実性を増加させることによって、チャネルのプライバシーが担保される。
【0030】
一態様によれば、装置は、ブロックチェーンの最終ブロックのデータをオフチェーンデータベースに格納してもよい。ブロックチェーンのブロックのうち最終ブロックのデータは、実績パラメータの計算および/またはプロジェクトデータ統計の合算の最新結果であってもよい。オフチェーンデータベースは、ブロックチェーンネットワークに含まれる全てのピアで維持される分散されたレッジャーの一部であってもよい。オフチェーンデータベース以外に、レッジャーはブロックチェーン自体を含んでもよい。最新データをオフチェーンデータベースに格納することで、現在のデータに対する高速で効率的なアクセスが可能になる。
【0031】
装置は更に、評価データセットに基づいて報告を生成する、1つまたは複数のユーザインターフェースからの要求を受信してもよい、1つまたは複数の評価ユニットに接続された、1つまたは複数の第2のインターフェースを備えてもよい。評価データセットは、受信された要求によって定義される要件に応じて、実績パラメータおよび/または合算されたプロジェクトデータを含んでもよい。報告は、各ユーザの特定の要件に適合された、カスタマイズされた評価データセットを含んでもよい。
【0032】
更に、1つまたは複数の第2のインターフェースは、要求された報告を、ネットワークを介して1つまたは複数のユーザインターフェースに出力してもよい。1つまたは複数の第2のインターフェースは、インターネットなどのネットワークを介してデータを送受信するのに適した、任意の種類のインターフェースであってもよい。好ましくは、1つまたは複数の第2のインターフェースは、REST APIインターフェース(REST-Representational State Transfer、API-Application Programming Interface)であってもよい。他のタイプのインターフェースが同様に使用されてもよい。好ましくは、1つまたは複数の第2のインターフェースは、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを介して、1つまたは複数のユーザインターフェースに接続されてもよい。
【0033】
一態様によれば、主題は、好ましくはクラウドベースのデジタルプラットフォームとして実現されてもよい、1つまたは複数の施設および/または1つまたは複数のプロジェクトの評価データを生成するシステムを含んでもよい。
【0034】
システムは、上述したような装置、ならびにネットワークを介して該装置に接続され、所定の時間間隔で装置に測定データを自動的に送信するように構成された、1つまたは複数の施設を備えてもよい。施設は、工場、発電所、配水網、または車両など、任意の種類の施設であってもよく、施設は、グリーン施設と呼ばれ、建物の断熱材、発電所の水力タービン、または車両の電動機など、少なくとも1つの環境技術を含んでもよい。所定の時間間隔は、好ましくは、1時間~24時間の間の範囲内、最も好ましくは2時間~8時間の間の範囲内であってもよい。
【0035】
更に、システムは、ネットワークを介して上記装置に接続され、実績パラメータおよび/または合算されたプロジェクトデータを含む評価データセットに基づいて、自動的に生成された報告を要求し受信するように構成された、1つまたは複数のユーザインターフェースを備えてもよい。1つまたは複数のユーザインターフェースは、好ましくは、インターネットなどのネットワークを介して装置の1つまたは複数の第2のインターフェースに接続された、ウェブポータルサーバであってもよい。好ましくは、1つまたは複数のユーザインターフェースは、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを介して装置に接続されてもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが必要とする情報を正確に含む、プロジェクトに対するカスタマイズされた報告を獲得することを可能にする。更に、高い柔軟性ならびにデータのアクセス性に関して高い安全性を提供する暗号化データ伝送を使用して、クラウドネットワークを介して所望の情報が利用可能である。
【0036】
あるいは、または加えて、ユーザインターフェースは、金融取引に従ったオーナーシップを実証する、出資者、プロジェクト所有者、発行者などに対する「マーケットプレース」として作用する、第2のブロックチェーンデータベースに接続されてもよい。これは、この第2のブロックチェーンデータベースで実施される取引に関する関連情報が、ユーザインターフェースを介して、第2のブロックチェーンで実施された取引に従ってそのチャネル構成を更新してもよい、第1のブロックチェーンのオーナーシップコントローラに(評価データを生成するため)送信されてもよいことを意味する。
【0037】
例えば、新しいグリーンプロジェクトが第2のブロックチェーンデータベースで提出された場合、情報は、第1のブロックチェーンのオーナーシップコントローラに送信されてもよく、そこでこの新しいグリーンプロジェクトに対してピアおよびチャネルを作成してもよい。次に、発行者は、上記グリーンプロジェクトを新しいグリーンボンドに含めてもよく、それがオーナーシップコントローラをトリガして、グリーンプロジェクトと発行者との間にリンクを追加することによって、第1のブロックチェーンにおける作成されたチャネルのチャネル構成を更新してもよい。加えて、外部レビュア(またはサービスプロバイダ)がグリーンボンドに割り付けられてもよい。この場合、オーナーシップコントローラは、グリーンプロジェクトと外部レビュア(またはサービスプロバイダ)との間にリンクを作成することによって、チャネル構成を更新してもよい。更に、発行後、複数の出資者がグリーンボンドを購入してもよい。次に、第1のブロックチェーンのオーナーシップコントローラは、出資者に対する複数の追加のリンクを作成することによって、チャネル構成を更新してもよい。グリーンボンドの存続期間の間、出資者は流通市場で自身の持ち分を売買してもよい。従って、オーナーシップコントローラは、第1のブロックチェーン内部で適宜チャネルを作成し除去してもよい。概して、第2のブロックチェーンで実施される複数の契約および取引は、関連するグリーンプロジェクトの評価データを提供する、第1のブロックチェーンのチャネル構成における影響を有してもよい。
【0038】
更に、システムの1つまたは複数の施設は、測定データを仮名化および/または匿名化してもよい、1つまたは複数のエッジサーバを含んでもよい。例えば、施設の処理システムはまた、データのソース付近で測定データを処理するエッジサーバとして使用されてもよい。1つまたは複数のエッジサーバは、データのプライバシーおよびセキュリティ要件と一致するために、装置の1つまたは複数の第1のインターフェースに送信する前に、測定データの仮名化を実施してもよい。測定データのその後の使用に応じて、1つまたは複数のエッジサーバが測定データを仮名化できることが可能であってもよい。これは、データの伝送および格納に関する権限に準拠するために、1つまたは複数のエッジサーバが、測定データをフィルタ処理または前処理して、測定データを評価ユニットに送信する前にエッジコンピューティングを使用して、特定の程度の仮名化および/または匿名化を達成できることを意味する。
【0039】
好ましくは、測定データを施設から装置の1つまたは複数の第1のインターフェースに送信するか、あるいはその逆を行うことが可能であってもよい。最も好ましくは、測定データを施設から装置の1つまたは複数の第1のインターフェースに送信することのみが可能であってもよい。
【0040】
あるいは、または加えて、地域のデータ保護規制を満たすため、許容可能な権限や規則などの中に位置するピアのみが、それぞれの評価データの計算を実施することが可能にされてもよい。
【0041】
データ保護規制との準拠に対する更なる代替例として、合算されたプロジェクトデータは、様々なサブチャネルの間で分割されて、ハードウェア、運用データ、プロジェクト特性、所有者、契約などに関する情報など、異なる情報を分離してもよい。
【0042】
一態様によれば、主題は、以下のステップを含む、1つもしくは複数の施設および/または1つもしくは複数のプロジェクト評価データを生成する方法を含んでもよい。
-1つまたは複数の第1のインターフェースによって、ネットワークを介して1つまたは複数の施設から測定データを自動的に受信するステップ、
-1つまたは複数の評価ユニットに含まれる1つまたは複数のデータストレージによって、1つまたは複数の施設の測定データを格納するステップ、
-1つまたは複数の施設を評価するため、1つまたは複数の評価ユニットに含まれる1つまたは複数の計算ユニットによって、1つまたは複数の施設の測定データに基づいて、実績パラメータを計算するステップ、ならびに/あるいは、
-1つまたは複数のプロジェクトを評価するため、1つまたは複数の評価ユニットに含まれる1つまたは複数の合算ユニットによって、計算された実績パラメータを、所定の組み合わせに従って合算されたプロジェクトデータとして組み合わせるステップ。
【0043】
この文脈において、実績パラメータの計算およびプロジェクトデータの合算は、分散されたコンピュータリソースにおいて1つまたは複数の評価ユニットによって実施されてもよい。
【0044】
更に、測定データ、実績パラメータ、および合算されたプロジェクトデータは、1つまたは複数の評価ユニットによって暗号化されてもよい。
【0045】
一態様によれば、測定データ、実績パラメータの計算命令、および合算されたプロジェクトデータの処理命令、ならびに実績パラメータおよび合算されたプロジェクトデータは、ブロックチェーンに格納されてもよい。
【0046】
方法は更に、以下のステップを含んでもよい。
-実績パラメータの計算命令および合算されたプロジェクトデータの処理命令を含むスマートコントラクトを、ピアにそれぞれ含まれる1つまたは複数の評価ユニットによって実行するステップ、
-1つまたは複数のプロジェクトに対する各ピアの関与に従って、1つまたは複数のチャネルに対するそれらの関与を定義し、オーナーシップコントローラによって、スマートコントラクトを実行するピアを定義するステップ、
-新しい測定データが第1のインターフェースによって受信されると、スマートコントラクト実行を実施するため、オーナーシップコントローラによって第1のピア群を選ぶステップであって、測定データが1つまたは複数のチャネルに割り付けられ、第1のピア群が、各ピアのスマートコントラクトに含まれる計算命令および/または処理命令に関する情報に従って選ばれる、ステップ、
-オーナーシップコントローラによって、第2のピア群として、測定データが割り付けられる1つまたは複数のチャネルに属するピアを選ぶステップであって、第1のピア群が第2のピア群よりも大きく、第2のピア群が第1のピア群に含まれる、ステップ。
【0047】
更に、ブロックチェーンにおけるデータ確認が完了すると、スマートコントラクト実行の結果は、第1の群に含まれるが第2のピア群には含まれないピアによって消去されてもよく、スマートコントラクト実行の結果は、第1および第2のピア群に含まれるピアによって、データベースに格納されてもよい。
【0048】
加えて、方法は、ブロックチェーンデータの最終ブロックのデータおよびプロジェクトに関する統計が、オフチェーンデータベースに格納されることを含んでもよい。これにより、プロジェクトに関する現在必要なデータおよび統計に対する、高速で効率的なアクセスが可能になる。
【0049】
一態様によれば、方法は更に、以下のステップを含んでもよい。
-1つまたは複数の評価ユニットに接続された、1つまたは複数の第2のインターフェースによって、実績パラメータおよび合算されたプロジェクトデータを含む評価データセットに基づいて、報告を自動的に生成する要求を受信するステップ、
-要求された報告を、ネットワークを介して、1つまたは複数の第2のインターフェースから1つまたは複数のユーザインターフェースに出力するステップ。
【0050】
更に、特許請求する主題は、コンピュータによって実施されると、コンピュータに上述の方法を実施させる命令を含む、メモリに格納可能なコンピュータプログラム製品を含んでもよい。「含む」は、制御ユニットがエンジンと物理的に統合されること、または遠隔に配置されるが、信号線などによって接続されることを意味してもよい。
【0051】
概して、特許請求する主題は、上記グリーン施設の測定データに基づいて実績パラメータを計算し合算することによって、環境に優しい環境に対する寄与を改善するために、グリーン施設およびプロジェクトの実績を示すことを可能にする。主題は、測定データをグリーン施設から自動的に受信し、例えば、クラウドベースのネットワークおよびブロックチェーン技術を使用して、分離されたリソースにおける実績パラメータの計算および合算を実施することによって、生成された評価データの確実性を改善する。
【0052】
以下、主題について、添付の例示的図面を参照して、特許請求する主題の1つまたは複数の優先的な実施例に基づいて更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】異なる施設と、評価データを生成する装置と、ユーザインターフェースとを含む、評価データを生成するシステムの一例を示す図である。
図2】評価データを生成する装置がブロックチェーンネットワークで実現される一例を示す図である。
図3】ブロックチェーンに格納された取引の一例を示す図である。
図4】ブロックチェーンに格納された取引の一例を示す図である。
図5】ブロックチェーンの取引によって生成され、オフチェーンデータベースに格納されるデータを示す、ブロックチェーンネットワークの更なる一例を示す図である。
図6】ブロックチェーンに含まれるオーナーシップコントローラの機能を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1では、異なるグリーン施設およびプロジェクトの評価データを生成するシステムが概略的に示されている。電気自動車、風力タービン、およびソーラーパネルなどの異なる環境技術を操作する/含む、グリーン施設1a,1b、1cは、測定データを所定の時間間隔で装置10の第1のインターフェース2に送信する。しかしながら、あるいはまたは加えて、要求に基づいてそれらを送信してもよい。所定の時間間隔は、例えば、毎時間、2~8時間ごと、もしくは毎日、またはそれ以上であってもよい。
【0055】
グリーン施設1a、1b、1cは、データセキュリティ規制に準拠するために、測定データを仮名化および/または匿名化するため、1つまたは複数のエッジサーバ100a、100b、100cを備えてもよい。
【0056】
第1のインターフェース2は、REST APIインターフェースなど、インターネットを介してデータを送受信するのに適した、既知のアーキテクチャを使用するインターフェースであってもよい。グリーン施設1a、1b、1cと第1のインターフェース2との間のデータ通信は、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを使用して実現されてもよい。グリーン施設1a、1b、1cは、記載する環境技術には限定されず、環境に対して肯定的な影響をもたらすことができる全ての環境技術であることができる。
【0057】
測定データを受信した後、第1のインターフェース2は評価ユニット3にデータを転送し、そこでデータはデータストレージ4に格納される。更に、測定データは、計算ユニット6a、6b、6cおよび合算ユニット7を含む計算部5に渡される。計算ユニット6a、6b、6cは、測定データを処理して、計算命令に従って、それぞれのグリーン施設の実績パラメータ(重要業績評価指標-KPI)を計算する。図示される施設1a、1b、1cの場合、KPIは、風力タービンおよびソーラーパネルの生成されたグリーンエネルギー、ならびに内燃機関を有する車両の代わりに電気自動車を使用することによるCO削減の割合であってもよい。個々のグリーン施設のKPIを計算して、計算ユニット6a、6b、6cは、計算された結果をデータストレージ4に格納し、それを合算ユニット7に渡す。合算ユニット7は、データストレージ4に格納された未加工測定データに対する更なるアクセスを有する。合算ユニット7は、処理命令に従って計算ユニット6a、6b、6cによって計算された、それぞれのプロジェクトに含まれるグリーン施設のKPIを組み合わせてもよく、ならびに/あるいはそれぞれのプロジェクトに含まれるグリーン施設の未加工測定データに基づいて、新しい/追加のプロジェクトKPIを決定してもよい。プロジェクトは、少なくとも1つのグリーン施設を含んでもよく、好ましくは複数のグリーン施設を備えてもよい。例えば、複数の異なるグリーン施設は、プロジェクトとしてのグリーンボンドに統合されてもよい。グリーンボンドポートフォリオにおけるグリーンボンドの組み合わせはまた、更なる金融資産におけるプロジェクトならびにグリーンボンドポートフォリオの組み合わせであってもよい。
【0058】
プロジェクトレベルでKPIを決定して、合算ユニット7は、結果をデータストレージ4に格納し、そこから第2のインターフェース8を介して呼び出すことができる。第2のインターフェース8は、REST APIインターフェースなど、インターネットを介してデータを送受信するのに適した、既知のアーキテクチャを使用するインターフェースであってもよい。第2のインターフェース8は、例えばウェブポータルサーバであってもよい、ユーザインターフェース9から到達することができる。定期的にプロジェクトレベルでKPIを決定する代わりに、特別なプロジェクトのKPIを決定する要求が第2のインターフェース8によって受信されたときのみ、該KPIを決定することも可能であってもよい。これにより、格納量を節約し、カスタマイズされた報告をユーザに提供することが可能になる。第2のインターフェース8とユーザインターフェース9との間のデータ通信は、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを使用して実現されてもよい。
【0059】
図2は、装置10がブロックチェーンで実現され、ブロックチェーンが中に含まれる全てのピアを代表する単一のピア12によって表される、一例を提示している。ブロックチェーンは、サーバクライアントシステムとは対照的に、同等のネットワークユーザ(ピア)間の直接ピア・ツー・ピア通信を可能にするネットワークである。図1に関連して記載されるような評価ユニット3は、各ピア12によって実行されるスマートコントラクト122に含まれる。スマートコントラクト(または単に契約)を含む取引の一例は、以下に記載する図3および図4に与えられる。ブロックチェーンの更なる特性は、取引管理120、コンセンサス管理121、および分散されたレッジャー123である。取引管理120は、スマートコントラクト122をどのように実行するかについての規則を定義する。責任を負う全ての当事者が前もって定義された条件に合意すると、2つのピア12の間で実施される取引が可能にされる。例えば、測定データが施設1a、1b、1cによってピア12に送信されると、実績パラメータの計算命令および/または合算されたプロジェクトデータの処理命令を含むスマートコントラクト122は、測定データを受信するピア12によって実施される。次に、該ピア12は、計算の結果を他の全てのピア12に送信し、そこで計算を承認する。コンセンサス管理121は、ブロックチェーンのブロックを含む一連の取引の正当性をどのピア12が検証するかを定義する。ブロックの取引の注文および結果が担当のピア12によって正当であると認められると、コンセンサスが達成される。そこで初めて、ブロックチェーンネットワークに含まれるすべてのピア12で維持されるブロックチェーンを備える、分散されたレッジャー123にブロックが格納される。
【0060】
上述したように、図3および図4は、ブロックチェーンのブロックに格納された取引の一例を示している。図示される取引は、グリーンエネルギーの生産の増加を表す、KPI1を決定する契約を含む。契約は、契約のタイプ、KPI1を決定するのに実施される関数およびロジックの定義、計算結果、エネルギー供給者、電子署名、および取引IDを含む。実績パラメータの計算命令および/または合算されたプロジェクトデータの処理命令は、関数の定義に含まれ、契約ロジックによって実施される。電子署名は取引に含まれるデータを暗号化し、取引IDはブロックチェーンに格納された各取引を識別する。ブロックチェーンの個々のブロックは、それぞれ前のブロックのハッシュ値によって接続される。図3は、ブロックチェーンに展開されたときの例示的な取引を示し、図4は、取引によって実施された計算の結果を示している。
【0061】
図5は、図2に示されるブロックチェーンの変形例を示しており、ブロックチェーンにおける取引によって生成されたデータの一部、つまり契約ロジック、評価結果、供給者、および電子署名が、オフチェーンデータベース13に格納される。これらの値は、プロジェクトに関する現在のデータおよび統計に対する効率的なアクセスを提供するために、ブロックチェーンのブロックから、好ましくは最後のものから抽出される。このオフチェーンデータベースは、ブロックチェーンネットワークに含まれるすべてのピア12で維持される分散されたレッジャー123の一部であってもよい。
【0062】
図6で、ブロックチェーンネットワークのオーナーシップコントローラ14の役割が例示的に記載される。オーナーシップコントローラ14はブロックチェーンネットワークのチャネルを定義し、ピア12a~12gは契約を実行し、ピア12a~12gは取引を承認する。チャネルは、プライベートおよび秘匿契約の実行を目的とする、2つ以上のピア12a~12gの間の通信のプライベートサブネットである。太線で示されるピア12a、12b、12f、12gはチャネル1に属し、点線で示される他のピア12c、12d、12eはチャネル2に属する。1つのチャネルに1つのレッジャーがあり、各チャネルがプロジェクトに割り当てられる。1つを超えるプロジェクトのデータがピア12a~12gに転送されるとき、単一のピア12a~12gが1つを超えるチャネルに属することが可能であってもよい。各ピア12a~12gは、それらがメンバーである各チャネルのレッジャーのコピーを維持する。更に、異なるチャネルのピア12a~12gが、同じタイプであるが異なるプロジェクトに対するKPIを決定するため、同じ計算命令および/または処理命令を備えてもよい。図示される例では、KPI1は施設1cのグリーンエネルギー生産を表し、KPI2は更なる任意のKPIを表す。
【0063】
例えば、最近の24時間で施設1cによって生成されたグリーンエネルギーの量(例えば、35MWh)を含む、新しい測定データが、第1のインターフェース2によって受信される。施設1aは、例えば、チャネル1で組織されるプロジェクトに属する。受信される測定データのタイプから、生成されたグリーンエネルギーを表すKPI1を計算しなければならないことは明らかである。従って、オーナーシップコントローラ4は、それらのチャネルの関与を考慮することなくKPI1を計算することができる、全てのピア12a~12gを選択し、それらをトリガして契約を実行する。これにより、KPI1を計算することができるピア12a~12gの数が、チャネル1にマージされたピア12a、12b、12f、12gの数よりも多いので、結果として得られる評価データの信頼性を改善することが可能になる。更なるステップで、責任を負うチャネル(図示なし)によって結果が確認/承認されると、オーナーシップコントローラ4は、チャネル1に属するピア12a、12b、12f、12gをトリガして、計算された結果をデータストレージ4に格納するが、他の全てのピア12c、12d、12eは、チャネル1のプライバシーを保証するために、オーナーシップコントローラ4によって計算された結果を消去するように命令される。コンセンサス管理(図示なし)の担当のピアが、データストレージ4に格納された一連の取引の正当性を検証している場合、新しいブロックがブロックチェーンに付加されてもよく、オフチェーンデータベース13が更新されてもよい。
【0064】
ブロックチェーンネットワークの各ピア12a~12gは、図1に従って、例えばウェブポータルサーバであってもよい、ユーザインターフェース9から到達することができる、第2のインターフェース8に接続される。チャネル1に関与するユーザは、決定されたKPI1、およびプロジェクトに含まれる更なる施設1a、1b、1cの更なるKPIを含む、報告を求める要求を送信してもよい。報告はまた、異なる施設のKPIを組み合わせ集約する、プロジェクトレベルのKPIを含んでもよい。また、特別なプロジェクトのKPIを決定する要求が第2のインターフェース8によって受信されたときのみ、KPIが計算されることも可能であってもよい。これにより、格納量を節約し、カスタマイズされた報告をユーザに提供することが可能になる。第2のインターフェース8とユーザインターフェース9との間のデータ通信は、暗号化データ伝送を提供するクラウドネットワークを使用して実現されてもよい。
【0065】
特許請求するシステムはプラットフォームとして実現されてもよく、追加の機能の実装など、プラットフォームの保守および更なる展開は、プラットフォーム所有者によって提供されてもよい。更に、プロジェクトは、プロジェクトに投資するかまたは施設を運営するユーザ以外のユーザによって定義されてもよい。各ユーザは、プラットフォームに対して異なるアクセス権を有してもよい。それに応じて、各ユーザは、例えば、プラットフォームに格納されたユーザアクセスデータに基づいて決定されてもよい、チャネルのアクセスを許可または制限されてもよい。例えば、グリーンプロジェクトの一部を所有するユーザは、合算されたプロジェクト情報を提供するチャネルへのアクセスを有してもよく、新しいプロジェクトを定義/開始するユーザは、異なる施設に対する自信の評価パラメータを提供するチャネルのアクセスを許可されてもよい。スマートコントラクトの構成、およびブロックチェーンの取扱いは更に、プラットフォーム所有者のみによって、または特別に指定されたホスティングユーザ/管理者によってアクセスを制限されてもよい。従って、記載した装置、システム、方法、およびコンピュータプログラムは、上記に加えて、分散された安全なコンピュータプラットフォームを介した、グリーンボンドのより効率的な取扱いもできるようにする。
【0066】
概して、特許請求する主題は、中でも特に、複数のグリーン施設およびプロジェクトの業績を示すのに適した信頼性の高い評価データを生成できるようにする。これは、測定データをグリーン施設から自動的に受信し、例えば、クラウドベースのネットワークおよびブロックチェーン技術を使用して、分散されたリソースにおける重要業績評価指標(KPI)の計算および合算を実施することによって実現される。
【符号の説明】
【0067】
1a、1b、1c 施設
2 第1のインターフェース
3 評価ユニット
4 データストレージ
5 計算部
6a、6b、6c 計算ユニット
7 合算ユニット
8 第2のインターフェース
9 ユーザインターフェース
10 装置
11 ネットワーク
12、12a~12g ピア
100a、100b、100c エッジサーバ
120 コンセンサス管理
121 取引管理
122 スマートコントラクト
123 分散されたレッジャー
13 オフチェーンデータベース
14 オーナーシップコントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6