(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】物理層とリンク層とのインターフェース及び関連するシステム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H04L 12/413 20060101AFI20231201BHJP
【FI】
H04L12/413
(21)【出願番号】P 2022510904
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020070363
(87)【国際公開番号】W WO2021042106
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】201910785147.9
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー、ヴェンカトラマン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ディクソン
(72)【発明者】
【氏名】ザン、ジョン ジュンリン
(72)【発明者】
【氏名】アッキハル、シバナンド アイ
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0186996(US,A1)
【文献】特開2003-143150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって
、
共有伝送メディアからのデータ受信を開始するステップと、
前記共有伝送メディアでの衝突を検出するステップと、
前記衝突を検出することに少なくとも部分的に応答して、受信データをリンク層に送信するのを遅延期間後まで待機するステップと、
前記共有伝送メディアからの前記データ受信の終了後、前記共有伝送メディアがアクティブであることを示すための信号通信を生成するステップと、を含み、
前記共有伝送メディアがアクティブであることを示すための前記信号通信を生成する前記ステップは、
出力において、前記遅延期間からフレーム間ギャップに対応する期間を減じた期間
と等しい期間にわたって第1の信号をアサートすることを含む
、方法。
【請求項2】
前記第1の信号がアサートされる前記出力は、前記共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを排他的に信号化するために割り当てられる、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力において、前記フレーム間ギャップ
と等しい期間にわたって前記第1の信号をデアサートするステップ
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の信号がデアサートされた後、受信データを前記リンク層に送信するための出力への遅延受信データの提供を完了するステップ
を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の信号がアサートされる前記出力は、前記共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを排他的に信号化するために割り当てられる、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力において、フレーム間ギャップ
と等しい期間にわたって前記第1の信号をデアサートするステップ
を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記受信データを前記リンク層に送信するのを前記遅延期間後まで待機するステップは、
前記受信データを前記リンク層に送信するのを均一な遅延期間後まで待機することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
システムであって、
前記システムの物理層側及び前記システムのリンク層側を動作可能に結合す
るインターフェースと、
前記システムの前記物理層側の受信データを前記システムの前記リンク層側に向かって移動させ
る受信データ経路であって、
前記受信データの前記移動は、
共有伝送メディアからのデータ受信を開始することと、
前記共有伝送メディアでの衝突の検出に少なくとも部分的に応答して、前記受信データの前記移動の
少なくとも一部を遅延期間後まで遅延させることと、を含む、受信データ経路と、
前記物理層側のチューニング回路であって、前記共有伝送メディアからの前記データ受信の終了後に、
前記インターフェースの出力において、前記遅延期間からフレーム間ギャップに対応する期間を減じた期間に等しい期間にわたって第1の信号を少なくとも部分的にアサートすることによって、前記共有伝送メディアがアクティブであることを示すための信号通信を生成す
る、チューニング回路と、を備える、システム。
【請求項9】
前記受信データ経路は、前記共有伝送メディアにおける衝突を示す衝突信号を提供す
る感知回路を含み、前記受信データ経路は、前記衝突信号に応答して、前記受信データの前記移動の一部を前記遅延期間後まで遅延させ
る、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の信号がアサートされる前記インターフェースの前記出力は、前記共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを排他的に信号通信するためのものである、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の信号の前記期間は、前記受信データ経路が遅延受信データの送信を完了する前に終了するように選択される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
前記チューニング回路は、
前記出力において、フレーム間ギャップ
と等しい期間にわたって前記第1の信号をデアサートすることによって、前記共有伝送がアクティブであることを示すための前記信号通信を生成す
る、請求項
8に記載のシステム。
【請求項13】
前記チューニング回路は、
前記出力において、前記受信データ経路が遅延受信データの送信を完了した後に終了する期間にわたって前記第1の信号をデアサートすることによって、前記共有伝送がアクティブであることを示すための前記信号通信を生成す
る、請求項
8に記載のシステム。
【請求項14】
前記受信データ経路は、遅延受信データを記憶す
る遅延回路を含む、請求項
8に記載のシステム。
【請求項15】
前記遅延回路は、
受信データを一定期間保持す
る遅延線と、
前記遅延線が受信データを保持する前記期間を調整す
る遅延論理と、を含む、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記遅延論理は、衝突信号に応答して前記遅延線が前記受信データを保持する前記期間を開始す
る、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
前記受信データの前記移動の一部を前記遅延期間後まで遅延させることは、
前記受信データの前記移動の一部を均一な遅延期間後まで遅延させることを含む、請求項
8に記載のシステム。
【請求項18】
システムインパッケージ(SiP)を更に備え、前記SiPは、
前記システムの物理層側と、
前記システムのリンク層側と、
前記インターフェースと、を含み、前記インターフェースは、前記システムの前記物理層側と前記システムの前記リンク層側とを動作可能に結合する、請求項
8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2019年8月23日に出願された中国特許出願第201910785147.9号の、「Physical Layer To Link Layer Interface and Related Systems,Methods And Devices」についての出願日の利益を主張し、かつ2019年10月15日に出願された米国特許出願第16/653,688号の、「Physical Layer to Link Layer Interface and Related Systems,Methods and Devices」(係属中)についての出願日の利益を主張し、これらのそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
開示された実施形態は、一般に、物理層における改善されたデータ受信処理に関する。いくつかの実施形態は、場合によっては、レガシーメディアアクセス制御(MAC)での改善されたデータ受信処理を容易にする、改善されたデータ受信処理を実装するように構成されたPHYデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
相互接続は、ネットワークのデバイス間の通信を容易にするために広く使用されている。一般的に言えば、電気信号は、物理メディア(例えば、バス、同軸ケーブル、又はツイストペア-一般には、単に「回線」と称される)上で、その物理メディアに結合されたデバイスによって送信される。
【0004】
開放型システム間相互接続モデル(OSIモデル)によれば、イーサネットベースのコンピュータネットワーキング技術は、ベースバンド伝送(すなわち、電気信号は離散的な電気パルスである)を使用して、ネットワークデバイス間で通信されるデータパケット及び究極的にはメッセージを伝送する。OSIモデルによれば、回線のアナログドメインと、パケットシグナリングに従って動作するデータリンク層(本明細書では単に「リンク層」とも称される)のデジタルドメインとの間のインターフェースをとるために、物理層(PHY)デバイス又はコントローラと呼ばれる特殊回路が使用される。データリンク層は1つ以上の副層を含み得るが、イーサネットベースのコンピュータネットワーキングにおいて、データリンク層は、典型的には、物理層の制御抽象化を提供する少なくともメディアアクセス制御(MAC)層を含む。一例として、ネットワーク上の別のデバイスにデータを送信するとき、MACコントローラは、物理メディアのためのフレームを準備し、誤り訂正要素を追加し、衝突回避を実施し得る。更に、別のデバイスからデータを受信するとき、MACコントローラは、受信したデータの完全性を確保し、より高い層のフレームを準備し得る。
【0005】
物理層及びリンク層(並びに、限定することなく、他の層を含み得る)を実装する様々なネットワークトポロジーが存在する。1990年代初め頃から存在する、ペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)規格及びパラレルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(パラレルATA)は、マルチドロップバストポロジーを実装し得る。2000年代初め頃からの傾向は、ポイントツーポイントバストポロジーを使用するようになってきており、例えば、PCIエクスプレス規格及びシリアルATA(SATA)規格は、ポイントツーポイントトポロジーを実装する。
【0006】
典型的なポイントツーポイントバストポロジーは、各デバイス間の回線(例えば、専用ポイントツーポイント)又はデバイスとスイッチとの間の回線(例えば、限定することなく、スイッチドポイントツーポイント)を実装することができる。マルチドロップトポロジーでは、物理メディアは共有バスであり、それぞれのネットワークデバイスは、例えば、物理メディアの種類(例えば、限定することなく、同軸又はツイストペア)に基づいて選択される回路を介して共有バスに結合される。
【0007】
専用ポイントツーポイントトポロジー又はスイッチドポイントツーポイントトポロジーなどのポイントツーポイントバストポロジーは、デバイス間のリンクが多くなることに部分的に起因して、マルチドロップトポロジーよりも多くのワイヤ及びより高価な材料を必要とする。自動車などの特定の用途では、デバイスを直接接続することを困難にする物理的な制約が存在することがあり、したがって、ネットワーク又はサブネットワーク内において直接接続を必要としない、又は同数の直接接続を必要としないトポロジー(例えば、限定することなく、マルチドロップトポロジー)は、そのような制約の影響を受けにくい場合がある。
【0008】
ベースバンドネットワーク(例えば、限定することなく、マルチドロップネットワーク)にあるデバイスは、同じ物理伝送メディアを共有し、典型的には、伝送のためにそのメディアの帯域幅全体を使用する(すなわち、ベースバンド伝送において使用されるデジタル信号は、メディアの帯域幅全体を占有する)。その結果、ベースバンドネットワーク上の1つのデバイスのみが、所与の瞬間に伝送し得る。そのため、メディアアクセス制御方法が、共有伝送メディアに対する競合を処理するために使用される。
本開示は、特定の実施形態を具体的に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本開示の範囲内の実施形態の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読むと、以下の説明からより容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つ以上の実施形態によるネットワークセグメントを示す。
【
図2】1つ以上の実施形態による、衝突を検出した後、物理層で実行されるデータ受信処理のためのプロセスを示す。
【
図3A】1つ以上の実施形態によるシステムを示す。
【
図3B】1つ以上の実施形態による遅延回路を示す。
【
図4】1つ以上の実施形態によるタイミング図を示す。
【
図5】1つ以上の実施形態によるタイミング図を示す。
【
図6】1つ以上の実施形態によるタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、本開示を実施し得る具体的な例示的実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に説明される。しかしながら、他の実施形態が用いられ得、本開示の範囲から逸脱することなく、構造、材料、及びプロセスを変えられ得る。
【0011】
本明細書に提示する図は、任意の特定の方法、システム、デバイス、又は構造の実際の図であることを意図するものではなく、本開示の実施形態を説明するために用いられる理想化した表現にすぎない。本明細書に提示する図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。様々な図面における類似の構造又は構成要素は、読者の便宜のために同一又は類似の付番を保持し得る。しかしながら、付番における類似性は、構造又は構成要素が必ずしもサイズ、組成、構成、又は任意の他の特性において同一であることを意味するものではない。
【0012】
本明細書で概して説明され、図面に例示される実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施形態の以下の説明は、本開示の範囲を限定することを目的とするものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。
【0013】
以下の説明は、当業者が開示される実施形態を実施することを可能にするのを補助するための実施例を含み得る。「例示的な」、「例として」、「例えば」という用語の使用は、関連する説明が、説明的なものであることを意味し、本開示の範囲は、実施例及び法的等価物を包含することを意図するものであり、かかる用語の使用は、実施形態又は本開示の範囲を特定の構成要素、ステップ、特徴、機能などに限定することを意図するものではない。
【0014】
更に、図示及び説明する具体的な実装形態は、単なる例であり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実装する唯一の方式と解釈されるべきでない。要素、回路、及び機能は、不要に詳述して本開示を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示され得る。逆に、図示し、説明する具体的な実装形態は、単に例示的なものであり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実装する唯一の方法と解釈されるべきではない。更に、様々なブロック間での論理のブロック定義及びパーティショニングは、例示的な具体的な実装形態である。当業者には、本開示が多数の他のパーティショニングソリューションによって実施され得ることが容易に明らかになるであろう。大部分については、タイミングの考察などに関する詳細は省略されており、かかる詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要ではなく、当業者の能力の範囲内である。
【0015】
本明細書で説明される情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表され得る。例えば、本明細書を通して参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、及び記号は、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光学粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表され得る。いくつかの図面は、提示及び説明を明確にするために、単一の信号として信号を例示し得る。当業者は、信号が信号のバスを表し得、このバスは様々なビット幅を有し得、本開示は、単一のデータ信号を含む任意の数のデータ信号で実装され得ると理解されたい。
【0016】
本明細書で使用されるとき、所与のパラメータ、特性、又は条件に言及する際の「実質的に」及び「約」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は条件が、許容可能な製造許容差の範囲内などのある程度のばらつきを満たすことを当業者が理解するであろう程度を意味し、かつ含む。例えば、実質的に特定の値であるか、又は約特定の値であるパラメータは、特定の値の少なくとも約90%、特定の値の少なくとも約95%、特定の値の少なくとも約99%、又は更には特定の値の少なくとも約99.9%であってもよい。
【0017】
「第1」、「第2」などの表記を使用した、本明細書の要素に対する任意の言及は、かかる制限が明示的に記載されていない限り、それらの要素の数量又は順序を限定しないことを理解されたい。むしろ、これらの表記は、本明細書において、2つ以上の要素又は要素の例を区別する便利な方法として使用される。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること、又は何らかの方法で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味するものではない。また、特に明記しない限り、一組の要素は、1つ以上の要素を含み得る。同様に、時には、単数形で言及される要素もまた、要素の1つ以上の例を含み得る。
【0018】
本明細書に開示する実施形態に関連して記載する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載の機能を実行するように設計されている、これらの任意の組み合わせを用いて実装又は実行され得る。汎用プロセッサ(本明細書では、ホストプロセッサ又は単にホストとも称され得る)は、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械でもあってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPと、マイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のかかる構成と、の組み合わせとして実装され得る。プロセッサを含む汎用コンピュータは専用コンピュータと見なされ、汎用コンピュータは、本開示の実施形態に関連するコンピューティング命令(例えば、ソフトウェアコード)を実行するように構成されている。
【0019】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、構造図、又はブロック図として示すプロセスに関して説明され得ることを留意されたい。フローチャートは、順次プロセスとして動作行為を説明し得るが、これらの行為の多くは、別のシーケンスで、並行して、又は実質的に同時に実行され得る。加えて、行為の順序は再調整され得る。プロセスは、方法、スレッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、又はサブプログラムに対応し得るが、それらに限定されない。更に、本明細書に開示する方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読メディア上の1つ以上の命令又はコードとして記憶され得るか、又は送信され得る。コンピュータ可読メディアは、コンピュータ記憶メディア及び、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意のメディアなどの通信メディアの両方を含む。
【0020】
開示された実施形態では、特に明記しない限り、衝突は、論理衝突(すなわち、実際の衝突が予測されるが、2つのノードは、実際には共有伝送メディアで同時に信号を送信しない)を指すと理解されるべきである。
【0021】
プロトコルは、メディアアクセスチューニングのために物理層で実行され得る。非限定的な例として、10SPE(すなわち、10Mbpsのシングルペアイーサネット)は、IEEE802.3cg(商標)としての米国電気電子学会(Institue of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)による現在開発中のネットワーク技術仕様であり、本明細書は、理論上、マルチドロップバスでの衝突を回避するために使用され得る、任意選択の物理層衝突回避(PLCA)リコンシリエーション副層を含む。時間認識プロトコル及びトラフィックシェーピングプロトコルを含む他のメディアアクセスチューニングプロトコルは、PHYに実装され得る。
【0022】
一般的に言えば、メディアアクセスチューニングを実行する1つの利点は、衝突を引き起こした受信データ(別の言い方をすれば、衝突パケットの一部であったデータ)が送信データによって破損されないため、MACは、衝突が検出された後でも依然として、少なくとも部分的にデータを受信し得ることである。しかしながら、いくつかのレガシーMACは、あらゆる衝突は実際の衝突であると仮定し、バックオフして、衝突後の受信データ線のいずれの受信データも無視するように構成されている。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態は、一般に、いくつかのレガシーMACの挙動を考慮した、衝突後のデータ受信の改善された処理のためのプロセス、並びに関連するシステム、方法、及びデバイスに関する。
【0024】
図1は、リンク層デバイス、MAC104、及び物理層(PHY)デバイス、PHY102を含むネットワークセグメント100の機能ブロック図を示す。非限定的な例として、ネットワークセグメント100は、マルチドロップネットワークのセグメント、マルチドロップサブネットワークのセグメント、混合メディアネットワークのセグメント、又はこれらの組み合わせ若しくは部分的組み合わせであり得る。非限定的な例として、ネットワークセグメント100は、限定するものではないが、マイクロコントローラ型の埋め込みシステム、ユーザ型コンピュータ、コンピュータサーバ、ノートブックコンピュータ、タブレット、ハンドヘルドデバイス、モバイルデバイス、無線のイヤフォンデバイス若しくはヘッドフォンデバイス、有線のイヤフォンデバイス若しくはヘッドフォンデバイス、電化製品サブシステム、照明サブシステム、音声サブシステム、建物管理システム、住宅監視システム(例えば、限定するものではないが、セキュリティ又はユーティリティ使用のための)システム、エレベータのシステム若しくはサブシステム、公共交通機関制御システム(例えば、限定するものではないが、地上列車、地下鉄、トロリー、又はバスの場合)、自動車システム若しくは自動車サブシステム、又は産業制御システムであり得るか、それらの一部であり得るか、又はそれらのうちの1つ以上を含み得る。
【0025】
図1に示されるように、PHY102は、MAC104とインターフェースするように構成され得る。非限定的な例として、PHY102及び/又はMAC104は、本明細書に記載される実施形態の全て又は一部を実行するように構成されたメモリ及び/又はロジックを含むチップパッケージであってもよい。非限定的な例として、PHY102及びMAC104は、単一チップパッケージ(例えば、システムインパッケージ(system-in-a-package、SIP))内の別個のチップパッケージ又は回路(例えば、集積回路)として実装され得る。
【0026】
図1に示されるように、PHY102はまた、共有伝送メディア106と、ネットワークセグメント100の一部であるノードの通信経路である物理メディアと、又はPHY102及びMAC104のそれぞれを含むノードを含む、ネットワークセグメント100がその一部であるネットワークと、インターフェースするように構成され得る。非限定的な例として、共有伝送メディア106は、シングルペアイーサネットに使用されるような単一のツイストペアであってもよい。
【0027】
1つ以上の実施形態では、MAC104は、トラフィックを認識するように構成され得、より具体的には、衝突検出及び/又は回避プロトコルを実施するように構成され得る。1つ以上の実施形態では、MAC104は、搬送波感知多重アクセス(carrier-sense multiple access、CSMA)を実行するように構成され得る。より具体的には、MAC104は、共有伝送メディア106の搬送波をチェックするように構成され得、MAC104は、搬送波を検出した場合、搬送波が検出されなくなる(すなわち、チャネルがアイドル状態になる)まで待機してからデータ伝送を開始するように構成されている。
【0028】
1つ以上の実施形態では、MAC104は、衝突検出を伴うCSMA(CSMA/CD)を実行するように構成され得る。一実施形態では、MAC104は、シンボルの短いシーケンス(ジャムシーケンスと称されることもある)を伝送することによってデータ伝送を開始し、次いで、一定期間の送信又は受信からバックオフした後に、検出された衝突に応答するように構成されている。MAC104は、検出された衝突が論理衝突とは対照的に実際の衝突であると仮定するように構成されているため、MAC104は、バックオフしている間、受信データ線のいかなるデータ(すなわち、受信データ)も無視するように構成されている。実際の衝突の場合、受信データは破損することになる。しかしながら、論理衝突の場合、実際の衝突はないため、共有伝送メディア106の受信データは理論的には破損しない。したがって、MAC104がクリーンなパケット(すなわち、送信パケットによって破損しないパケット)を無視することは非効率的である。更に、IEEE802.3cg(商標)などのいくつかのネットワーク規格によれば、伝送は決定的であるため、MACは、検出された衝突を引き起こしたデータパケットを受信するものと仮定される。しかしながら、いくつかのレガシーMACは、衝突パケットの受信データを無視するため、かかる規格に準拠しない挙動を呈し得る。
【0029】
1つ以上の実施形態では、PHY102は、メディアアクセスチューニングを実行するように構成され、より具体的には、限定することなく、PLCA、時間認識プロトコル、及びトラフィックシェーピングのうちの1つ以上を実行するように構成され得る。1つ以上の実施形態では、PHY102は、本開示においてより完全に説明されるように、CSMA/CDを実行するためにMAC104によって使用される1つ以上の信号をチューニングするため、データ受信処理及び信号のチューニングを実行するように構成され得る。
【0030】
図2は、1つ以上の実施形態による、例えばネットワークセグメント100のPHY102において、衝突を検出した後の物理層でのデータ受信処理のためのプロセス200の一実施形態を示す。
【0031】
動作202では、プロセス200は、共有伝送メディアからのデータ受信を開始する。一実施形態では、有効なデータが共有伝送メディア106で検出されるため、データ受信の開始が検出され得る。
【0032】
動作204では、プロセス200は、共有伝送メディア106での衝突を検出する。一実施形態では、有効なデータが共有伝送メディア106で検出されている間に、MAC104からのデータ伝送の開始を検出することに応答して、衝突が検出され得る。いくつかの実施形態では、PHY102は、衝突が検出されたこと、及び/又は共有伝送メディア106において搬送波アクティビティが検出されたことを示す、MAC104のための信号をアサートし得る。一実施形態では、搬送波アクティビティが検出されたことを示すためにPHY102によってアサートされる信号は、非排他的に搬送波アクティビティを信号通信するためのものであり得、言い換えれば、その信号によって他の情報が示され得る。例えば、有効なデータの信号通信(共有伝送メディア106から有効なデータが受信可能であることを示すもの)は、搬送波アクティビティの信号通信と多重化され得る。別の実施形態では、信号は、排他的に搬送波アクティビティを信号通信するためのものであり得る。
【0033】
動作206では、プロセス200は、衝突の検出に応答して、遅延期間後までPHY102からMAC104に受信データを送信するのを待機する。いくつかの実施形態では、MAC104に受信データを送信するのを待機している間、MAC104は、ジャムメッセージを伝送することを試み、次いで伝送からバックオフし得る。
【0034】
動作208では、プロセス200は、PHY102からMAC104への信号通信を生成して、共有伝送メディア106からのデータ受信の終了後に(すなわち、終了に続いて)共有伝送メディアがアクティブであること(すなわち、共有伝送メディア106で搬送波アクティビティが検出されたこと)を示す。一実施形態では、PHY102は、動作206の遅延期間からフレーム間ギャップに対応する期間を減じた期間と等しい期間にわたって信号通信を生成する。別の実施形態では、PHY102は、動作206の遅延期間と等しい期間にわたって信号通信を生成する。
【0035】
プロセス200の動作208に関連付けられたPHY102からMAC104への信号通信のいくつかの実施例は、
図4、
図5、及び
図6を参照して論じられる。
【0036】
図3Aは、プロセス200に従ってデータ受信処理を実行するように構成されたPHY102の一実施形態を含む、システム300の一実施形態のブロック図を示す。この企図される実施例では、システム300は、インターフェース322によって動作可能に結合されたPHY102及びMAC104を含む。相互接続(すなわち、配線及び/又は導電路)は、システム300の物理層側の(例えば、PHY102の)ピンをシステム300のリンク層側(例えば、MAC104)のピンに動作可能に結合する。とりわけ、限定することなく、受信データ線314(RXD)、有効な受信データ線316(RXDV)、衝突線318(COL)、及び搬送波感知線320(CRS)を含む、PHY102とMAC104との間で様々な信号を搬送するための回線が、
図3Aに示されている。
図3Aに示される実施形態では、搬送波感知線320は、排他的に共有伝送メディア106の搬送波アクティビティをMAC104に信号通信するためのものである。別の実施形態では、回線は、非排他的にMAC104に搬送波アクティビティを信号通信するために使用され得る(例えば、縮小メディア非依存インターフェースと一貫性がある)。
【0037】
図3Aに示される実施形態では、PHY102は、受信データ経路302及びチューニング回路308を含む。受信データ経路302は、受信データ324を処理するための機能動作を実行するための様々な回路を含む。ここで、受信データ経路302は、感知回路304及びシンクロナイザ306(Rxバッファ)、並びにデータ回復を処理するための回路(例えば、限定することなく、オーバーサンプリング回路、弾性バッファ、デジタルクロックアンドデータ回復、アライナ、デコーダ)を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、シンクロナイザ306は、遅延受信データを記憶するための遅延線(例えば、限定することなく、円形バッファ)を含み得る。一実施形態では、シンクロナイザ306は、遅延期間にわたって遅延線で受信データを記憶し、次いで遅延期間の後に遅延受信データをMAC104に送信するように構成され得る。一実施形態では、遅延線は、全ての受信データに適用される均一な遅延期間である遅延期間に対して構成され得る(サービスの品質が重要である場合に有益であり得る)。
【0039】
いくつかの実施形態では、検出された衝突に応答して、シンクロナイザ306は、MAC104が衝突への応答(例えば、衝突線318で送信された信号への応答)を完了したことを検出するまで、受信データを送信することを遅延させるように構成され得る。一実施形態では、シンクロナイザ306は、衝突線318で送信された感知回路304からの衝突信号に応答して衝突を検出するように構成され得る。別の実施形態では、シンクロナイザ306は、感知回路304からの搬送波感知信号(接続は図示せず)と、伝送イネーブル線328で送信された伝送イネーブル信号(接続は図示せず)と、に応答して衝突を検出するように構成され得る。
【0040】
一実施形態では、シンクロナイザ306は、伝送イネーブル線328又は送信データ線326でMAC104によって送信されたジャムメッセージの最後を検出することによって(接続は図示されていないが、
図3Bを参照して論じられている)、MAC104が衝突への応答を完了したことを検出するように構成され得る。一実施形態では、シンクロナイザ306は、カウンタを実装し、検出された衝突に応答して、所定の期間にわたってカウントし、カウントの終了時に、MAC104への遅延受信データの送信を開始するように構成され得る。そのような所定の期間は、例えば、MAC104が検出された衝突に応答して伝送を遅延させるための標準期間と同等であり得る。
【0041】
1つ以上の実施形態では、感知回路304は、共有伝送メディア106で搬送波アクティビティを検出し、共有伝送メディア106での搬送波アクティビティの検出に応答して搬送波感知信号312を生成するように構成され得る。更に、感知回路304は、共有伝送メディア106での衝突を検出し、検出された衝突に応答して、衝突線318でアサートされた衝突信号を含む、衝突を示すための信号(すなわち、衝突信号)を生成するように構成されている。
【0042】
1つ以上の実施形態では、チューニング回路308は、一般に、(例えば、プロセス200に従って)搬送波感知線320における信号通信をチューニングするように構成され得る。チューニング回路308は、搬送波感知線320における信号通信をチューニングするためにエミュレートされた搬送波感知信号310を提供するように構成され得、この信号通信は、MAC104で受信される。より具体的には、インターフェース322は、搬送波感知線320にエミュレートされた搬送波感知信号310を提供するように構成され得る。チューニング回路308は、PHY102が受信データ線314への遅延受信データの移動を完了する間、MAC104が遅延状態(すなわち、MAC104が新しい伝送を開始していない状態)に留まるように、データ受信終了後(すなわち、共有伝送メディア106がアイドル状態になるとき)の一定期間(すなわち、延長期間)に、搬送波感知線320でエミュレートされた搬送波感知信号310をアサートするように構成され得る。
【0043】
1つ以上の実施形態では、チューニング回路308は、
図4、
図5、及び
図6を参照して後述するように、遅延期間に少なくとも部分的に基づく延長期間に、エミュレートされた搬送波感知信号310をアサートするように構成され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、チューニング回路308は、搬送波感知信号312及び受信データ経路302のうちの1つ以上を監視することによって、遅延期間を強制するように構成され得る。一実施形態では、チューニング回路308は、遅延期間を、搬送波感知信号312がデータ受信の開始時にアサートされるときに開始し、遅延受信データが受信データ線314に移動され始めるときに終了する期間として強制するように構成され得る。
【0045】
他の実施形態では、チューニング回路308は、例えば、本明細書で後述するように、遅延期間が均一な遅延期間である場合、指定の期間と等しい延長期間にわたってエミュレートされた搬送波感知
信号312をアサートするように構成され得る。信号チューニングの非限定的な例は、
図4、
図5、及び
図6を参照して後述される。
【0046】
1つ以上の実施形態では、シンクロナイザ306は、1つ以上の実施形態による、受信データを遅延させるための遅延回路を含み得る。
図3Bは、そのような遅延回路の実施形態、遅延回路330を示す。1つ以上の実施形態では、遅延回路330は、遅延線332及び遅延論理338を含み得る。
【0047】
遅延線332は、一般に、ある期間(例えば、遅延期間)に受信データ334を受信及び記憶し、次いで遅延受信データ336を出力するように構成され得る。遅延論理338は、一般に、遅延線332において遅延を開始するように構成され得る。一実施形態では、遅延論理338は、衝突信号342に応答して遅延線332(衝突信号がアサートされた衝突線318に対応し得る)において調整遅延340によって遅延を開始するように構成され得る。一実施形態では、遅延線332は、事前に指定された期間にわたって受信データ334を遅延させるように構成され得る。
【0048】
別の実施形態では、遅延線332は、調整遅延340が遅延論理338によってアサートされている間、受信データ334を遅延させるように構成され得る。この実施形態では、遅延論理338は、調整遅延340を一定期間アサートするように構成され得る。期間は事前に指定され得るか、又は、遅延論理338が、衝突信号342がアサートされていることを検出したときから、遅延論理338が、MAC104によって提供される伝送イネーブル344(接続は
図3Aには図示されていない)がデアサートされていることを検出するときまでの期間に対応し得る。
【0049】
遅延論理338はまた、遅延時間の量を表す任意選択のカウント346を送信するように構成され得、カウント346は、本明細書に記載されるように、MACにおいて遅延状態を強制するためにチューニング回路308によって使用され得る。
【0050】
図4、5、及び6は、開示された実施形態による例示的な使用例のタイミング図を示す。慣例に従い、時間は、それぞれの図の左から右に増加する。特定の実施形態に関して特定のタイミングの考慮事項が本明細書に記載されていない限り、
図4、
図5、及び
図6を参照して示され説明されるタイミングの変更は、本開示及びそれらの法的等価物に記載の実施形態の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0051】
図4は、1つ以上の実施形態に従って実行される例示的なデータ受信プロセスのタイミング
図400を示す。共有伝送メディア106(すなわち、共有伝送メディア)、搬送波感知線320、有効な受信データ線316、受信データ線314、衝突線318、伝送イネーブル線328、及び伝送データ線326の信号が示されている。便宜上、以下の考察において、信号は、それぞれの信号がアサート又はデアサートされる前述の線に関して説明される。
【0052】
時刻402では、有効なデータ、すなわち受信データ404が共有伝送メディア106において利用可能である。時刻408では、伝送イネーブル線328が(MAC104によって)アサートされ、実質的に同時に、伝送データ406がMAC104によって伝送データ線326に提供される。時刻410では、搬送波感知線320は、共有伝送メディア、共有伝送メディア106での搬送波アクティビティの検出に応答してアサートされる。とりわけ、搬送波感知線320は、ほぼ同時に、又は送信データ406が提供された直後にアサートされる。特定の感知回路304において、PHY102は、共有伝送メディア106での搬送波の検出(検出された搬送波は、システム300の搬送波感知線320に伝搬される)と、アサートされた伝送イネーブル線328(接続は
図3Aには示されていない)の検出とに応答して衝突を検出し、その結果、時刻412で衝突線318をアサートする。PHY102は、遅延期間420中に受信データ404を受信データ線314に送ることを待機する。MAC104は、伝送データ406の送信を停止し、その期間中に伝送データ線326で、
図4のジャムメッセージ422として示されたジャムメッセージを送信し、次いで、伝送からバックオフする。時刻416では、伝送イネーブル線328がデアサートされ(ジャムメッセージ422も終了)、時刻416と実質的に同時に、伝送データ線326はアイドル状態になる。
【0053】
時刻418では、遅延期間420の終了後、PHY102が有効な受信データ線316をアサートし、PHY102が受信データ線314に遅延受信データ414を移動させ始める。とりわけ、遅延期間420は、伝送イネーブル線328がデアサートされた後に、遅延受信データ414が受信データ線314に移動されることを確実にするのに十分である。
【0054】
図5は、1つ以上の実施形態に従って実行される例示的なデータ処理プロセスのタイミング
図500を示し、より具体的には、共有伝送メディア106がアイドル状態になった後、及びPHY102がMAC104への遅延受信データ414の送信を完了する間に実行されるメディアアクセスチューニングプロセスを示す。企図される使用例では、
図5に示されるデータ処理プロセスは、
図4に示される実施形態によるデータ受信プロセスに続いて発生し得る。
【0055】
時刻504では、受信データ40
4は、共有伝送メディア106にもはや存在しない。アイドル状態の共有伝送メディア106に応答して、PHY102、特にチューニング回路308は、時刻504から時刻506まで(すなわち、アイドル状態の共有伝送メディア106に応答して搬送波感知信号をデアサートする一部の従来のシステムと比較して、延長期間にわたって)搬送波感知線320をアサートする。とりわけ、データ受信後、MAC104は、新規伝送を開始する前のイーサネットネットワークのデータフレーム間で、フレーム間ギャップ(制限することなく、CRS信号通信を介してCSMA/CD MAC104に対してPHY102によって、又は伝送論理によりMAC104によって強制される標準期間であると少なくとも等しい期間にわたって待機する必要がある。したがって、時刻504では、PHY102は、MAC104に送信するために残された遅延受信データ414がフレーム間ギャップ量のみになるまで搬送波感知線320をアサートし、次いで時刻506において、IFG514に実質的に等しい期間にわたって搬送波感知線320をデアサートする。別の言い方をすれば、搬送波感知線320は、遅延期間508からIFG514を減じた期間と等しい期間にわたってアサートされる。いくつかの実施形態では、遅延期間508は、データ受信プロセス中に使用される遅延期間と実質的に同じ長さの時間、例えば、
図4の遅延期間420である。
【0056】
とりわけ、時刻512で伝送イネーブル線328がアサートされる直前の時刻510では、有効な受信データ線316がデアサートされ、遅延受信データ414は、受信データ線314で送信されなくなる。MAC104がデータ伝送を開始するときに、MAC104への遅延受信データ414の転送が依然として進行中である場合は、MAC104がエラー状態になり得る。
【0057】
図6は、1つ以上の実施形態による例示的なデータ受信プロセスのタイミング
図600を示し、より具体的には、例えば
図4に示されるように、遅延受信データがMAC104に送信された後にチューニング回路308の実施形態によって実行されるメディアアクセスチューニングを示す。この実施例では、搬送波感知線320は、時刻602から時刻608まで(遅延期間606と実質的に同じである)アサートされ、次いで、時刻608から時刻610まで(IFG604と実質的に同じである)デアサートされる。いくつかの実施形態では、遅延期間606は、データ受信プロセス中に使用される遅延期間と実質的に同じ長さの時間、例えば、
図4の遅延期間420である。
【0058】
したがって、
図5では、受信データ404の終了と送信データ406の開始との間のギャップは、遅延期間508に等しいが、
図6では、受信データ404の終了と送信データ406の開始との間のギャップは、遅延期間606とフレーム間ギャップ(IFG)604との合計に等しい。したがって、
図6に示すメディアアクセスチューニングプロセスの場合、衝突後、MAC104は、その次の伝送機会まで、
図5に示すメディアアクセスチューニングプロセスより長い時間待機する。
【0059】
本開示において、「典型的な」、「従来の」、又は「既知の」とされるものの特徴評価は、先行技術で開示されていること、又は考察された態様が先行技術で認識されていることを必ずしも意味しない。関連分野において、広く知られているか、十分理解されているか、又は日常的に使用されていることを必ずしも意味しない。
【0060】
本開示の更なる非限定的な実施形態は、以下のとおりである。
【0061】
実施形態1:共有伝送メディアでの衝突を検出した後にデータ受信を処理する方法であって、方法は、共有伝送メディアからのデータ受信を開始するステップと、遅延期間後まで受信データをリンク層に送信するのを待機するステップと、共有伝送メディアからのデータ受信を終了した後、共有伝送メディアがアクティブであることを示すための信号通信を生成するステップと、を含む、方法。
【0062】
実施形態2:遅延期間の終了後、リンク層に遅延受信データを送信し始めるステップを更に含む、実施形態1に記載の方法。
【0063】
実施形態3:共有伝送メディアがアクティブであることを示すための信号通信を生成するステップは、出力において、遅延期間からフレーム間ギャップに対応する期間を減じた期間と実質的に等しい期間にわたって第1の信号をアサートすることを含む、実施形態1及び2のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態4:第1の信号がアサートされる出力は、排他的に共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを信号化するために割り当てられる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
実施形態5:出力において、フレーム間ギャップと実質的に等しい期間にわたって第1の信号をデアサートするステップを更に含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
実施形態6:第1の信号がデアサートされた後、受信データをリンク層に送信するための出力への遅延受信データの提供を完了するステップを更に含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
実施形態7:出力において、遅延期間と実質的に等しい期間にわたって第1の信号をアサートするステップを更に含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
実施形態8:第1の信号がアサートされる出力は、排他的に共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを信号化するために割り当てられる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
実施形態9:出力において、フレーム間ギャップと実質的に等しい期間にわたって第1の信号をデアサートするステップを更に含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
実施形態10:第1の信号が再アサートされるとき又は第1の信号が再アサートされる前に、受信データをリンク層に送信するための出力への遅延受信データの提供を完了するステップを更に含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
実施形態11:共有伝送メディアでの衝突を検出するステップを更に含み、遅延期間後まで受信データをリンク層に送信するのを待機するステップは、衝突を検出するステップに応答する、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態12:遅延期間後までリンク層にデータを送信するのを待機するステップは、受信データをリンク層に送信するのを均一な遅延期間後まで待機することを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態13:システムであって、システムの物理層側及びシステムのリンク層側を動作可能に結合するように構成されたインターフェースと、システムの物理層側にある受信データをシステムのリンク層側に向かって移動させるように構成された受信データ経路であって、共有伝送メディアからのデータ受信を開始することと、受信データの移動の一部を遅延期間後まで遅延させることと、を含む、受信データ経路と、物理層側のチューニング回路であって、共有伝送メディアからのデータ受信の終了後、共有伝送メディアがアクティブであることを示すための信号通信を生成するように構成されている、チューニング回路と、を備える、システム。
【0074】
実施形態14:受信データ経路は、共有伝送メディアにおける衝突を示す衝突信号を提供するように構成された感知回路を含み、受信データ経路は、衝突信号に応答して、受信データの移動の一部を遅延期間後まで遅延させるように構成されている、実施形態13に記載のシステム。
【0075】
実施形態15:遅延期間の終了後、受信データ経路は、リンク層側に送信するためのインターフェースに遅延受信データを提供するように構成されている、実施形態13及び14のいずれか1つに記載のシステム。
【0076】
実施形態16:チューニング回路は、インターフェースの出力において、遅延期間からフレーム間ギャップに対応する期間を減じた期間と実質的に等しい期間にわたって第1の信号をアサートするステップによって、共有伝送がアクティブであることを示すための信号通信を生成するように構成されている、実施形態13~15のいずれか1つに記載のシステム。
【0077】
実施形態17:第1の信号がアサートされるインターフェースの出力は、排他的に共有伝送メディアでの搬送波アクティビティを信号通信するためのものである、実施形態13~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0078】
実施形態18:第1の信号の期間は、受信データ経路が遅延受信データの送信を完了する前に終了するように選択される、実施形態13~17のいずれか1つに記載のシステム。
【0079】
実施形態19:チューニング回路は、出力において、フレーム間ギャップと実質的に等しい期間にわたって第1の信号をデアサートするステップによって、共有伝送がアクティブであることを示すための信号通信を生成するように更に構成されている、実施形態13~18のいずれか1つに記載のシステム。
【0080】
実施形態20:チューニング回路は、出力において、受信データ経路が遅延受信データの送信を完了した後に終了する期間にわたって第1の信号をデアサートすることによって、共有伝送がアクティブであることを示すための信号通信を生成するように更に構成されている、実施形態13~19のいずれか1つに記載のシステム。
【0081】
実施形態21:受信データ経路は、遅延受信データを記憶するように構成された遅延回路を含む、実施形態13~20のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
実施形態22:遅延回路は、受信データを一定期間保持するように構成された遅延線と、遅延線が受信データを保持する期間を調整するように構成された遅延論理と、を含む、実施形態13~21のいずれか1つに記載のシステム。
【0083】
実施形態23:遅延論理は、衝突信号に応答して遅延線が受信データを保持する期間を開始するように構成されている、実施形態13~22のいずれか1つに記載のシステム。
【0084】
実施形態24:受信データの移動の一部を遅延期間後まで遅延させるステップは、受信データの移動の一部を均一な遅延期間後まで遅延させることを含む、実施形態13~23のいずれか1つに記載のシステム。
【0085】
実施形態25:システムインパッケージ(system-in-a-package、SiP)を更に備え、SiPは、システムの物理層側と、システムのリンク層側と、インターフェースと、を含み、インターフェースは、システムの物理層側とシステムのリンク層側とを動作可能に結合する、実施形態13~24のいずれか1つに記載のシステム。
【0086】
本開示は、特定の例示される実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識し、理解するであろう。むしろ、以下にそれらの法的等価物と共に特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく、例示され、説明される実施形態に対して数多くの追加、削除、及び修正を行うことができる。加えて、一実施形態の特徴は、本発明者によって想到されるように、別の開示した実施形態の特徴と組み合わせることができるが、それでも、本開示の範囲内に包含される。