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特許7394974酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、並びにその製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-30
(45)【発行日】2023-12-08
(54)【発明の名称】酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、並びにその製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20231201BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231201BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231201BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231201BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20231201BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231201BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/10
A61P35/00
A61P13/08
A61P35/04
A61K9/48
A61K31/573
A61P43/00 121
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022519512
(86)(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020090866
(87)【国際公開番号】W WO2021057042
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】201910916636.3
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522120635
【氏名又は名称】湖南慧▲澤▼生物医▲薬▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】易 木林
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105055314(CN,A)
【文献】国際公開第2014/009434(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105535979(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸アビラテロン(Abiraterone acetate)を含む医薬組成物であって、
酢酸アビラテロンである有効成分と、添加物とを含み、
前記添加物は、油相が硬化ヒマシ油及びモノオレイン酸グリセロールであり、乳化剤がポリオキシエチレン (35) ヒマシ油であり、乳化助剤がエタノールとプロピレングリコールの混合物であり、又は、
油相がモノリノール酸グリセリド及び中鎖トリグリセリドであり、乳化剤がポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油であり、乳化助剤がジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、又は、
油相がモノリノール酸グリセリドであり、乳化剤がポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油であり、乳化助剤がジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、又は、
油相がモノリノール酸グリセリド及び中鎖トリグリセリドであり、乳化剤がポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油であり、乳化助剤がエタノールとプロピレングリコールの混合物であり、
前記乳化助剤の質量は、前記医薬組成物の総質量の20-80%である、
医薬組成物。
【請求項2】
前記添加物の全容積に基づき、前記酢酸アビラテロンの濃度は20-100 mg/mLの範囲内であり、及び/又は
前記酢酸アビラテロンの質量は前記医薬組成物の総質量の2-20%である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記油相の質量は前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物の総質量の20-50%であり、及び/又は
前記乳化剤の質量は前記医薬組成物の総質量の8-70%である、
請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
質量パーセントで換算すると、前記医薬組成物の総質量に基づき、前記医薬組成物は、以下質量パーセントの成分、即ち、
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相は硬化ヒマシ油及びモノオレイン酸グリセロールである油相と、
20-60%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレン(35)ヒマシ油である乳化剤と、
20-30%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はエタノールとプロピレングリコールの混合物である乳化助剤と、を含み、
又は、
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相はモノリノール酸グリセリル及び中鎖トリグリセリドから選択される一つ又は二つである油相と、
8-70%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油である乳化剤と、
20-80%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はジエチレングリコールモノエチルエーテルである乳化助剤と、を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記添加物は、酸化防止剤及び防腐剤から選択される一つ又は二つをさらに含み、
前記酸化防止剤又は防腐剤の質量は前記医薬組成物の総質量の0.005%-0.1%であり、
前記酸化防止剤はtert-ブチル-p-ヒドロキシアニソールBHA、ブチル化ヒドロキシトルエンBHTから選択される一つ又は二つである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記油相の質量は、前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物の総質量の25%-45%であり、
前記乳化剤の質量は、前記医薬組成物の総質量の8-50%であり、
前記乳化助剤の質量は、前記酢酸アビラテロンを含む医組成物の総質量の20%-60%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物の、前立腺がんの治療のための医薬品の製造における使用。
【請求項8】
内容物及びカプセルシェルを含む酢酸アビラテロンカプセル剤であって、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記内容物とし、
前記カプセルシェルは、硬カプセル又はソフトカプセル材料で製造され、
酢酸アビラテロンで換算すると、単回経口用量は25-200mgである、酢酸アビラテロンカプセル剤。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物及び請求項8に記載の酢酸アビラテロンカプセル剤から選択される一つと、
プレドニゾンと、含む医薬の組み合わせ物。
【請求項10】
請求項8に記載の酢酸アビラテロンカプセル剤及び/又は請求項9に記載の医薬の組み合わせの、前立腺がんの治療のための医薬品の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月26日に中国特許庁に提出された中国特許出願(出願番号は201910916636.3であり、名称は「酢酸アビラテロンを含む医薬組成物及びその製造方法」である)の優先権を主張し、該出願の内容は、全部引用して本出願に組み込まれる。
【0002】
本願発明は薬物剤の技術分野に関し、特に酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
酢酸アビラテロンは白からオフホワイト、非吸湿性結晶性粉末であり、化学名は(3β)-17-(3-ピリジル)アンドロスト-5,16-ジエン-3-イルアセテート、その分子式はC26H33NO2である。酢酸アビラテロンはインビボでアンドロゲン生合成阻害剤アビラテロンに変換され、17α-ヒドロキシラーゼ/C17、20-リアーゼ(CYP17)を阻害し、プレドニゾンとともに併用して以前にドセタキセルを含む化学療法を受けた去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者の治療に使用される。しかしながら、酢酸アビラテロンは親油性化合物であり、オクタノール-水分配係数は5.12(LogP)で、芳香族窒素のpKaは5.19であり、水にほとんど溶けず(0.01mg/ml未満)、透過性が低く、BCS4-経口吸収される場合のタイプの薬物は、バイオアベイラビリティが非常に低い。
【化1】
【0004】
酢酸アビラテロンの原薬であるZytigaは錠剤であり、各Zytiga錠には250mgの酢酸アビラテロンが含まれている。不活性成分には、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、ポビドン、ドデカン硫酸ナトリウムが含まれる。Zytigaの経口バイオアベイラビリティは非常に低く(10%未満)、1000 mgまでの単回投与で有効であるが、有効な薬剤は10%未満である。
【0005】
また、食品は酢酸アビラテロンの吸収に大きな影響を及ぼし、市販の製剤では、食事前の特定の時間にのみ摂取する必要がある。Zytigaの説明書は、酢酸アビラテロンを食物と一緒に投与すると、酢酸アビラテロンへの全身曝露が増加することを強調している。アビラテロンCmaxとAUC0-∞は、酢酸アビラテロンを低脂肪食(7%脂肪、300カロリー)と一緒に投与した場合、それぞれ約7倍と5倍に増加し、825カロリー)、CmaxとAUC0-∞が増加し、それぞれ約17倍と10倍である。アビラテロンの血漿中濃度を制御するために、食事の含有量と組成の通常の変動を考慮に入れると、食事と一緒に摂取すると曝露が増加し、非常に変動する可能性がある。空腹時に、記載された用量の少なくとも2時間前に服用する必要があるとともに、服用後少なくとも1時間は、食べ物を食べてはいけない。酢酸アビラテロンは進行性前立腺がんに対して優れた経口治療効果があるが、その低い溶解性と低い透過性は、製剤設計に障害をもたらす。
【0006】
インドのSunPharmaceutical Industries LtdがSoluMatrix粒子技術を使用して製造したYonsaは、改良された酢酸アビラテロン錠剤を提供する。これにより、酢酸アビラテロンの溶解を促進し、元の薬剤であるZytigaの経口バイオアベイラビリティを2倍にすることができる。Yonsaの投与量は500mgに減らされたが、それは薬物の結晶形とサイズを変えるだけであり、薬物の溶解速度を増加させ、胃腸上皮細胞への酢酸アビラテロンの透過性を増加させることができなかった。そのため、Yonsaの経口バイオアベイラビリティは低いままである。
【0007】
特許文献CN107278152Aは、酢酸アビラテロンの化合物、その調製方法、及びそれらを含む医薬組成物に関するものであり、5~40重量%の酢酸アビラテロン、5~80重量%のポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニルエステル-ポリエチレングリコール、グラフト共重合体、デオキシコール酸ナトリウムの0.1~50重量%を含む。この化合物は、食物の影響を減らし、空腹時に薬を服用する必要性をあきらめることができ、経口バイオアベイラビリティを最大5倍まで高めることができるが、化合物の調製プロセスは複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の目的は、酢酸アビラテロンの経口吸収を著しく改善することができる医薬組成物を提供することである。
【0009】
当業者は以下のことを知っている:
酢酸アビラテロンの溶解度が低く透過性が低いため、自己乳化溶液に調製されることが期待されるが、酢酸アビラテロンの食事の前後の違いは解消されると予想され、薬物の経口バイオアベイラビリティが向上する。さまざまな溶媒や乳化剤へのビトロンの溶解度が低く、薬物は高温で急速に溶解するが、室温で保存すると結晶が沈殿しやすく、自己乳化特性が失われる。しかし、酢酸アビラテロンの投与量が多く、設計が必要な自己乳化液は、薬物含有量が高く、室温で安定して存在できる必要がある。上記の技術的困難は、製剤の設計、さらに、自己乳化溶液が水と均一で安定したナノエマルジョンを自発的に形成できるかどうかは、製剤の設計における別の困難である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らは、鋭意研究の結果、酢酸アビラテロンと特定の賦形剤の組成物を調製することにより、その経口バイオアベイラビリティを元の薬剤であるZytigaの10倍に高めることができることを発見した。
【0011】
本願発明は、以下の技術案を提供する。
本願発明の酢酸アビラテロン(Abiraterone acetate)を含む医薬組成物は、酢酸アビラテロンである有効成分と、添加物とを含み、前記添加物は、少なくとも一つの油相と、少なくとも一つの乳化剤、及び少なくとも一つの乳化助剤を含む。
本願発明の酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、添加物の全容積に基づき、前記酢酸アビラテロンの濃度は20-100 mg/mLの範囲内である。
【0012】
本願発明の医薬組成物は、水とナノエマルジョンを形成するが容易な溶液であり、薬物の溶解を増加させ、吸収を促進し、バイオアベイラビリティを改善することができる。
【0013】
本願発明によって提供される医薬組成物のアジュバント(油相、乳化剤、及び共乳化剤から構成される均一で透明な溶液)は、疎水性、吸収の困難、または容易に加水分解されるドラッグの担体として使用することができる。経口投与後、胃腸の蠕動運動下で自然に分散し、O/Wナノエマルジョン(水中油型ナノエマルジョン)を形成する。形成されたナノエマルジョンは粒子サイズが小さいため、腸上皮細胞の透過性が高まり、薬物のバイオアベイラビリティを大幅に向上させることができる。マイクロエマルジョンと比較して、自己乳化溶液は安定性が高く、長期保存の要件を満たすことができると同時に、ソフトカプセルまたはハードカプセルに直接充填することもできる。
【0014】
本願発明の酢酸アビラテロンは、医薬組成物の総質量の2~20%、好ましくは5~15%、より好ましくは5~10%を占める。
【0015】
本願発明の酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
a)粒子サイズが250nm未満、透明度が高く、粒子サイズが均一で、水と混合すると安定した特性を持つナノエマルジョンを自発的に形成できる。
b)内容物は室温で安定した溶液に保存することができる。
c)原薬Zytigaと比較して、食事の前後の違いは大幅に減少する。
d)原薬Zytigaと比較して、経口バイオアベイラビリティは数倍から10倍に増加する。
【0016】
本願発明は前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、好ましくは、前記油相は、モノリノール酸グリセリル、硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、モノカプリ酸プロピレングリコール、コーン油、大豆油、中鎖トリグリセリドまたはオレイン酸エチルから選択される1つまたは少なくとも2つであり、
【0017】
前記油相は、前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物の総質量の20-50%であり、好ましくは20-45%であり、より好ましくは25-45%である。
【0018】
本願発明は前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、好ましくは、
前記乳化剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35、スパン80、トゥイーン80、ポリエチレングリコール-15ヒドロキシステアリン酸塩Solutol、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Soluplus)、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油から選択される1つまたは少なくとも2つであり、
【0019】
好ましくは、前記乳化剤の質量は前記医薬組成物の総質量の8~70%、好ましくは8~50%、より好ましくは8~35%、好ましくは20~70%、好ましくは20~50%、より好ましくは20~35%を占める。
【0020】
好ましくは、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油、スパン80、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト共重合体(Soluplus)から選択される1つまたは少なくとも2つである;より好ましくは、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35又はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油である。
【0021】
本願発明の酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、好ましくは、
前記乳化助剤は、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジエチレングリコールモノエチルエーテルから選択される1つまたは少なくとも2つである。
前記乳化助剤は、前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物の総質量の20-80%、好ましくは、20-60%、より好ましくは20-50%、さらにより好ましくは20-45%である。
より好ましくは、前記乳化助剤は、プロピレングリコール及びエタノールの組み合わせから選択され、該組み合わせの含有量はより好ましくは20-30%;又はジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、その含有量のより好ましくは25-45%である。
【0022】
本願発明の組成物において、明示的に記載されたすべての成分の総含有量は、100質量%以下である。
理論に限定されることなく、本願発明の発明者は、本願発明の特定の共乳化剤が、油相及び乳化剤と一緒に均一で透明な溶液を形成し、それにより、疎水性、吸収が不十分または容易に加水分解される薬物の担体として使用できることを予想せず発見した。経口投与後、本願発明の共乳化剤を含む医薬組成物は、胃腸蠕動下で胃腸液の存在下で自発的に分散して、O/Wナノエマルジョン(水中油型ナノエマルジョン)を形成する。形成されたナノエマルジョンは粒子サイズが小さく、腸上皮細胞の透過性を高め、吸収を大幅に促進し、バイオアベイラビリティを向上させることができます。本願発明の医薬組成物はまた、酢酸アビラテロンの吸収に対する食物の影響を有意に低減し、食事の前後の差を低減することができるので、薬は空腹時及び満腹時で服用することができ、制限薬の服用を減らすことができる。
【0023】
本願発明の好ましい技術案として、酢酸アビラテロンを含む記載された医薬組成物は、好ましくは、質量パーセントで、以下の成分を含む(以下の成分で構成される)。
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相は硬化ヒマシ油及びモノオレイン酸グリセロールから選択される一つ又は二つである油相と、
20-60%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35又はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油である乳化剤と、
20-30%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はエタノール及びプロピレングリコールの混合物である乳化助剤と、を含み、
又は、
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相は硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロールから選択される一つ又は二つである油相と、
20-60%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35、スパン80から選択される一つ又は二つである乳化剤と、
20-30%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はエタノール及びプロピレングリコールの混合物である乳化助剤と、を含み、
又は、
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相はモノリノール酸グリセリル及び中鎖トリグリセリドから選択される一つ又は二つである油相と、
8-70%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35又はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油である乳化剤と、
20-80%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はジエチレングリコールモノエチルエーテルである乳化助剤と、を含む、
【0024】
本願発明は前記酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、好ましくは、
前記添加物は、酸化防止剤及び防腐剤から選択される一つ又は二つをさらに含み、
前記酸化防止剤又は防腐剤は前記医薬組成物の総質量の0.005%-0.3%である(好ましくは0.005%-0.1%である);好ましくは、前記酸化防止剤はtert-ブチル-p-ヒドロキシアニソールBHA、ブチル化ヒドロキシトルエンBHTから選択される一つ又は二つである。
【0025】
本願発明の好ましい技術案として、酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、好ましくは、質量パーセントで、以下の成分(以下の成分で構成される)。
5-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相は硬化ヒマシ油及びモノオレイン酸グリセロールである油相と、
20-60%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35又はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油から選択される一つ又は二つである乳化剤と、
20-30%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はエタノール及びプロピレングリコールである乳化助剤と、
0.005-0.1% BHA及び/又はBHTと、を含み、
又は、
5-20%の酢酸アビラテロンと、
25-40%の油相であって、前記油相はモノリノール酸グリセリル及び中鎖トリグリセリドから選択される一つ又は二つである油相と、
25-70%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35又はポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油である乳化剤と、
20-80%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はジエチレングリコールモノエチルエーテルである乳化助剤と、
0.005-0.1% BHA及び/又はBHTと、を含み、
又は、
2-20%の酢酸アビラテロンと、
20-50%の油相であって、前記油相は硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロールから選択される一つ又は二つである油相と、を含み、
20-60%の乳化剤であって、前記乳化剤はポリオキシエチレンヒマシ油EL35、スパン80から選択される一つ又は二つである乳化剤と、
20-30%の乳化助剤であって、前記乳化助剤はエタノール及びプロピレングリコールの混合物である乳化助剤と、
0.005-0.1% BHA及び/又はBHTと、を含み、
【0026】
本願発明の好ましい技術案として、酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、好ましくは、質量部及び体積部で、以下の成分(以下の成分で構成される)。
1-2質量部の酢酸アビラテロンと、
3-5容積部の硬化ヒマシ油と、
3-5容積部のモノオレイン酸グリセロールと、
6-10容積部のポリオキシエチレンヒマシ油EL35と、
1-3容積部のプロピレングリコールと、
2-5容積部のエタノールと、を含み、
又は、
3-5質量部の酢酸アビラテロンと、
5-10容積部のスパン80と、
5-10容積部のポリオキシエチレンヒマシ油EL35と、
5-8容積部のモノオレイン酸グリセロールと、
8-12容積部の硬化ヒマシ油と、
3-5容積部のプロピレングリコールと、
5-10容積部のエタノールと、
0.005-0.01質量部のBHAと、
0.01-0.02質量部のBHTと、を含み
又は、
1-2質量部の酢酸アビラテロンと、
3.5-5容積部のモノリノール酸グリセリルと、
2-3.5容積部の中鎖トリグリセリドと、
2-5容積部のポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油と、
3-5.5容積部のジエチレングリコールモノエチルエーテルと、
0.002-0.005質量部のBHAと、
0.01-0.018質量部のBHTと、を含み
又は、
1.1-1.8質量部の酢酸アビラテロンと、
3-5容積部のモノリノール酸グリセリルと、
3-8容積部のポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油と、
6-12容積部のジエチレングリコールモノエチルエーテルと、
0.002-0.0045質量部のBHAと、
0.01-0.015質量部のBHTと、を含む。
【0027】
説明として、上記技術案では、1質量部:1容積部=1g:1mL。
【0028】
本願発明の酢酸アビラテロンを含む医薬組成物、好ましくは、前記有効成分は、プレドニゾンをさらに含む。
【0029】
本願発明の医薬組成物は、医薬品として優れた治療効果を有し、特に17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)に対して優れた阻害活性を有する。本願発明の医薬組成物は、食前と食後の差別を有意に低減し、経口バイオアベイラビリティを改善することができるため、以前にドセタキセル含有化学療法を受けた去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者の治療に対してプレドニゾンと組み合わせて使用することができ、且つ、治療効果は抜群である。
【0030】
本願発明で提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、疾患を治療するために、例えば、前立腺がんを含むがこれに限定されない疾患を治療するために単独で使用することができる。特定の実施プロセスにおいて、本願発明によって提供される医薬組成物は、以下の方法で投与することができる(例に過ぎず、これらに限定されない)。
【0031】
成人への1日間隔で投与(例えば、1日1回投与)する。好ましくは、投与あたりの酢酸アビラテロンの有効量は、25mg~200mg;より好ましくは50mg~150mg、さらに好ましくは75mg~100mgである。
【0032】
本願発明はまた、医薬製剤の製造における医薬組成物の使用を提供する;好ましくは、前立腺がんの治療のための医薬製剤の製造における使用;より好ましくは、前立腺がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん、転移性の高リスク去勢感受性前立腺がんの一方または両方から選択される。
【0033】
本願発明はまた、上記医薬組成物のいずれか1つを含む医薬製剤を提供し、好ましくは、医薬製剤はカプセルである。
【0034】
本願発明のカプセルは、酢酸アビラテロン及びカプセルシェルを含む上記医薬組成物のいずれかを含む;カプセルシェルは、ハードゼラチンカプセルまたはソフトゼラチンカプセルなどの当技術分野で周知のハードカプセル及び/またはソフトカプセル材料であり、ここで特に限定されない商業ルートを通じて購入または準備されたものである。
【0035】
本願発明のカプセルにおいて、好ましくは、各カプセルに含まれる酢酸アビラテロンは100mg以内である。
【0036】
本願発明は、酢酸アビラテロンに基づき換算すると、酢酸アビラテロンカプセルが、50~200mgの単回経口投与量を有することを限定する。
【0037】
本願発明はまた、上記技術案のいずれか1つに記載の医薬組成物の一つ、及び上記技術案のいずれか1つに記載の酢酸アビラテロンカプセルから選択される一つと、プレドニゾンとを含む薬物の組み合わせを提供する。
【0038】
本願発明において本明細書に記載される医薬の組み合わせは、プレドニゾンを有効成分の1つとしての使用、医薬組成物またはカプセルと投与前または投与後のプレドニゾンとの使用などの方法を含むが、これらに限定されず、当技術分野における通常の操作に従って行うことができる。
【0039】
本願発明はさらに、前立腺がんの治療のための薬物の調製における上記技術案のいずれか1つに記載の酢酸アビラテロンカプセル及び/または上記技術案のいずれか1つに記載の薬物の組み合わせを提供する。
【0040】
好ましくは、前立腺がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん及び転移性高リスク去勢感受性前立腺がんの一方または両方から選択される。
【0041】
本願発明はまた、上記技術案のいずれかによる酢酸アビラテロンを含む医薬組成物の調製方法を提供する。油相、乳化剤及び有効成分を混合した後、補助乳化剤が添加されて(抗酸化剤及び/または防腐剤をさらに含んでもいい)得られる。
【0042】
当業者は、調製方法が機械的攪拌、乳化及び超音波処理のステップを含み得ることを理解することができ、好ましい技術案は以下の通り提供される:
油相と乳化剤とを攪拌し(室温または加熱で)、均一化した後に酢酸アビラテロンを加えて光を避け攪拌し、最後に共乳化剤(酸化防止剤及び/または防腐剤も含む)を加えて混合する。
【0043】
具体的には、次のステップが含まれる。
油相と乳化剤を攪拌し(室温または加熱)、均一化した後に酢酸アビラテロンを添加し、光を避ける条件下で10~20分間超音波処理し、100~400rpmの速度で10~30分間機械的に攪拌し、最後に共乳化剤を添加してよく混ぜて完了する。
【0044】
本願発明に記載の医薬製剤の調製方法は、当業者が従来の方法に従って操作することもできる。カプセルを準備する際の好ましい技術案は、次のとおりである。
【0045】
酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、前述の方法に従って調製される;医薬組成物は、ソフトカプセルまたはハードカプセルに密封される;好ましくは、各カプセルは、0.5~1mlの医薬組成物を含む。
【0046】
本願発明により提供される酢酸アビラテロンを含有する医薬組成物において、酢酸アビラテロンの濃度は、50~100mg/mLに制御することができ、単回経口投与は、75~100mgである。水、生物学的に関連する媒体(SGF、SGF、FessiF、FassiF媒体など)または胃腸液と混合すると、粒子サイズが250 nm未満で、透明度が高く、粒子サイズが均一で、安定した特性を持つO/Wナノエマルジョンを自発的に形成できる。室温で安定な溶液に保存することができ、影響因子の条件下(40°C±2°C、または90%の相対湿度)でも、本願発明の医薬組成物は含有量が安定している。
【0047】
原薬Zytigaと比較して、食事の前後の差は大幅に減少し、経口バイオアベイラビリティは数倍から10倍に増加する。医薬組成物はさらにカプセルに調製することができ、カプセルは安定しており、内容物は均一である。
【0048】
本願発明はまた、酢酸アビラテロンまたは酢酸アビラテロンカプセルを含む前述の医薬組成物を投与することを含む、前立腺がんを治療するための方法に関する。好ましくは、単回投与用量は、酢酸アビラテロンとして計算して25mg~200mg;より好ましくは50mg~200mg;さらに好ましくは50mg-150mgで、さらにより好ましくは75mg-100mgである。 好ましくは、医薬組成物またはカプセルは、食事の前または後に投与することができる。好ましくは、前立腺がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がん及び転移性高リスク去勢感受性前立腺がんの一方または両方から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本願発明の実施例または先行技術の技術案をより明確に説明するために、以下に、実施例または先行技術の説明に使用する必要のある図面を簡単に説明する。以下の説明に関する図面は、本願発明のいくつかの実施例に過ぎない。当業者にとって、これらの図面に基づいて創造的な努力なしに他の図面を得ることができる。
【0050】
図1】水中でマイクロエマルジョンが形成された後の実施例1の酢酸アビラテロンカプセルの含有量の粒度分布図である。
図2】マイクロエマルジョンが水中で形成された後の実施例2の酢酸アビラテロンカプセルの含有量の粒子サイズ分布図である。
図3】水中でのマイクロエマルジョン後の実施例8の酢酸アビラテロンカプセルの含有量の粒子サイズ分布図である。
図4】試験例4における錠剤及びカプセルの断食試験の薬物-時間グラフである。
図5】断食及び食後試験における試験例4のカプセルの薬物-時間グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本願発明の実施例における技術案は、本願発明の実施例の図面を参照しながら以下に明確かつ完全に説明される。明らかに、記載された実施例は、本願発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。本願発明の実施例に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本願発明の請求範囲に含まれるものとする。
【0052】
実施例1
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 1.65g
硬化ヒマシ油 4.0mL
モノオレイン酸グリセロール 4.0mL
ポリオキシエチレンヒマシ油EL35 8.0mL
プロピレングリコール 2.0mL
エタノール 4.0mL
【0053】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0054】
調製方法は以下のとおりであった。
水素化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、暗所で10分間超音波処理し、機械的攪拌(300 rpm)を使用し、20分間撹拌し、完全に溶解させてから、プロピレングリコールとエタノールを加えた。透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0055】
実施例2
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 4.00g
スパン(Span)80 9.0mL
ポリオキシエチレンヒマシ油EL35 7.0mL
モノオレイン酸グリセロール 7.0mL
硬化ヒマシ油 9.0mL
プロピレングリコール 4.0mL
エタノール 8.0mL
BHA 0.009g
BHT 0.014g
【0056】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0057】
調製方法は以下のとおりであった。
スパン80、水素化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、機械的攪拌(300rpm)を使用し、25分間撹拌し、完全に溶解させ、BHA、BHT、プロピレングリコール、エタノールを加えた。透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0058】
実施例3
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 1.17g
モノリノール酸グリセリル 4.4mL
中鎖トリグリセリド 2.8mL
ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油 3.6mL
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 4.8mL
BHA 0.004g
BHT 0.012g
【0059】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0060】
調製方法は以下のとおりであった。
中鎖トリグリセリド、モノリノール酸グリセリル、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、機械的攪拌(300 rpm)を使用し、30分間撹拌し、完全に溶解させてから、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、BHT、BHAを加えた。透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0061】
実施例4
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 1.47g
モノリノール酸グリセリル 4.4mL
ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油 3.6mL
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 7.6mL
BHA 0.004g
BHT 0.012g
【0062】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0063】
調製方法は以下のとおりであった。
モノリノール酸グリセリル、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、機械的攪拌(300 rpm)を使用し、30分間撹拌し、完全に溶解させてから、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、BHT 、BHAを加えた。透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0064】
実施例5
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
【0065】
酢酸アビラテロン 1.32g
モノリノール酸グリセリル 5.6mL
中鎖トリグリセリド 2.8mL
ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油 4.8mL
プロピレングリコール 2.8mL
エタノール 1.6mL
BHA 0.004g
BHT 0.009g
【0066】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0067】
調製方法は以下のとおりであった。
中鎖トリグリセリド、モノリノール酸グリセリル、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、機械的攪拌(300 rpm)を使用し、30分間撹拌し、完全に溶解させてから、エタノール、プロピレングリコール、BHT 、BHAを加えた。透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0068】
実施例 6
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 2.2g
トゥイーン80 5.0mL
ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油 8.0mL
モノオレイン酸グリセロール 9.0mL
コーン油 10.0mL
プロピレングリコール 4.0mL
エタノール 8.0mL
【0069】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0070】
また、調製方法も提供される。トゥイーン80、コーン油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、完全に融合した後、プロピレングリコール及びエタノールを加え、水浴中で加熱した状態で透明で均一な溶液を形成した。
【0071】
実施例 7
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 4.40g
トゥイーン80 3.0mL
ポリオキシエチレンヒマシ油EL35 5.0mL
ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油 8.0mL
モノオレイン酸グリセロール 8.0mL
硬化ヒマシ油 8.0mL
プロピレングリコール 2.0mL
エタノール 10.0mL
【0072】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0073】
また、調製方法も提供される。トゥイーン80、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、完全に融合した後、プロピレングリコール及びエタノールを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0074】
実施例 8
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 4.40g
スパン80 8.4mL
Solutol 2.6mL
ポリオキシエチレンヒマシ油EL35 5.0mL
モノオレイン酸グリセロール 8.0mL
硬化ヒマシ油 8.0mL
プロピレングリコール 2.0mL
エタノール 10.0mL
【0075】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
【0076】
また、調製方法も提供される。スパン80、Solutol、硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、完全に溶解させた後、プロピレングリコール及びエタノールを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0077】
実施例 9
本実施例により提供される酢酸アビラテロンを含む医薬組成物は、以下の成分を含んでいた。
酢酸アビラテロン 4.40g
スパン80 8.8mL
ポリオキシエチレンヒマシ油EL35 4.4mL
モノオレイン酸グリセロール 8.0mL
硬化ヒマシ油 9.6mL
プロピレングリコール 4.4mL
エタノール 8.8mL
【0078】
本実施例はさらに、上記医薬組成物を内容物として使用する酢酸アビラテロンカプセルを提供し、内容物はカプセルシェルに充填された。
また、調製方法も提供される。スパン80、硬化ヒマシ油、モノオレイン酸グリセロール、ポリオキシエチレンヒマシ油EL35を取り、次に酢酸アビラテロンを加え、完全に溶解させた後、プロピレングリコール及びエタノールを加え、透明で均一な自己乳化溶液を形成してから、ソフトカプセルに充填するか、窒素保護下でハードカプセルに密封して保存した。
【0079】
実施例10
他の条件は、2.0mLのプロピレングリコールが1.0mLに置き換えられ、4.0mLのエタノールが2.0mLに置き換えられたことを除いて、実施例1と同じであった。
【0080】
実施例11
他の条件は、4.8mLのジエチレングリコールモノエチルエーテルを1.6mLに置き換えたことを除いて、実施例3と同じであった。
【0081】
実施例12
他の条件は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを4.8mLから17.6mLに置き換えたことを除いて、実施例3と同じであった。
【0082】
実施例13
その他の条件はジエチレングリコールモノエーテルを4.8mLから36.8mLに置き換えたことを除いて、実施例3と同じであった。
【0083】
試験例1
本試験例は、実施例1~4で提供された酢酸アビラテロンカプセル及び原薬Zytiga錠剤の溶解試験を行った。
【0084】
試験方法:「米国薬局方」酢酸アビラテロン溶解試験法によると、37℃、900mLの放出媒体1、50rpm条件で、それぞれ酢酸アビラテロンカプセル(実施例1、2、3で調製)及び原薬Zytiga錠剤は溶解試験を行った。
【0085】
pH値4.5のリン酸緩衝液は、56.5 mMリン酸二水素ナトリウムを水に加え、水酸化ナトリウムまたはリン酸でpH値を4.5に調整する方法で調製された。
【0086】
具体的な方法は次のとおりです。
【表A】
【表1】
【表2】
【0087】
表1と表2の比較結果は、下記のことを示している。本願発明の酢酸アビラテロンカプセル(実施例1、2、3、及び4)は媒体1に15分で完全に溶解し、市販の酢酸アビラテロン錠剤Zytigaは45分まだ完全には溶解していなかった;本願発明の酢酸アビラテロンカプセル(実施例1、2、3、及び4)は媒体2に大体完全に溶解したが、市販の酢酸アビラテロン錠剤Zytigaの溶解度は非常に低い。
【0088】
上記の実験結果から、本願発明の酢酸アビラテロンカプセルは、USP条件下及び非UPS条件下で酢酸アビラテロンの溶解速度を効果的に改善することができ、これは、酢酸アビラテロンの経口バイオアベイラビリティを改善し、個人差を減らした。
【0089】
試験例2
この試験例は、実施例1~9で提供される酢酸アビラテロンカプセルの安定性試験を行った。
(1)長期試験:酢酸アビラテロンカプセルをポリエチレンプラスチックボトルに入れた後、温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件でサンプルを用意し、物理的安定性を観察した。カプセル内の医薬組成物試験結果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】
表3から、本願発明の特定の乳化剤、油相及び共乳化剤、ならびに酢酸アビラテロンによって形成された医薬組成物は、良好な物理的安定性を有することが分かる。特に、特定の共乳化剤及び特定の乳化剤((ポリオキシエチレンヒマシ油EL35、ポリオキシエチレン40硬化ヒマシ油、スパン80、ポリエチレングリコール-15ヒドロキシステアレート)の20%~80%(組成物の総質量に対する質量パーセント)は、大幅に優れた物理的安定性を実現した。さらに、薬物の安全性、化学的安定性、調製物の製造などの要因を考慮して、共乳化剤の質量パーセントは、好ましくは60%未満、特に20%~60%である。
【0092】
(2)加速試験:酢酸アビラテロンカプセルをポリエチレンプラスチックボトルに入れた後、サンプルを温度40°C±2°C、相対湿度60%±10%に設定して、医薬組成物の含有量を試験し、関連物質結果を表4に示す。実施例1、2、3、及び4で調製された酢酸アビラテロンカプセルの含有量は安定していた。
【0093】
【表4】
【0094】
試験例3
この試験例は、実施例1~9で提供される医薬組成物の自己乳化能力及び粒子サイズ試験を行った。
【0095】
実施例1~9で調製した医薬組成物を精製水に加え、わずかに振とうした後に外観特性を観察し、形成されたエマルジョンの粒子サイズを、表5-1に示すようにナノメートル粒子サイズ分析器によって測定した。
【0096】
【表5-1】
【0097】
本試験例はまた、実施例1~9の医薬組成物を乳化した後に得られたナノエマルジョンの安定性の検出を行い、検出方法は以下の通りである。
長期試験:温度25℃±2℃、相対湿度60%±10%の条件でサンプルを用意し、医薬組成物の乳化後のナノエマルジョンの安定性を観察し、結果を表5-2に示す。
【0098】
【表5-2】
【0099】
図面を参照し、図1は、実施例1の酢酸アビラテロンカプセルの含有量が水中のマイクロエマルジョンになった後の粒子サイズ分布図であり、図2は、実施例2の酢酸アビラテロンカプセルの含有量が水中のマイクロエマルジョンになった後の粒子サイズ分布図であり、図3は、実施例8の酢酸アビラテロンカプセル内容物の粒子サイズ分布図である。
【0100】
試験例4
本試験例は、実施例1及び酢酸アビラテロンの原薬Zytigaの薬物動態試験を行った。
【0101】
テスト方法と対象:
6匹の健康なビーグル犬をランダムに3つのグループに分け、各グループに2匹ずつ、3つの周期を行い、周期の間のウォッシュアウト期間は3日であった。
実験計画は、空腹時試験と食後試験に分けられた。
空腹試験:試験前に10時間断食させ、空腹時に投与し、投与後4時間給餌した。
食後試験:試験前に10時間断食させ、高脂肪食を与えた後、投与した(給餌と投与は30分以内に完了した)。
【0102】
試験錠は、酢酸アビラテロンの原薬Zytigaであり、1錠に250mgの酢酸アビラテロンが含まれていた。
【0103】
試験カプセルは、実施例1で提供される酢酸アビラテロンカプセルであり、単一のカプセルは、50mgの酢酸アビラテロンを含んでいた。
【0104】
サンプリング設計:投与後15分、30分、1時間、1.5時間、2.0時間、2.5時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間後に、2 mLの血液サンプルを収集し、遠心分離によって血漿を分離した。
【0105】
【表6】
【0106】
その中で、T1は空腹時試験-原薬Zytigaグループ(図4で空腹時錠剤グループとして示される)、T2は空腹時試験-酢酸アビラテロンカプセルグループ(図4及び図5で空腹時カプセルとして示される)、T3は食後試験-酢酸アビラテロンカプセルグループ(図5で食後カプセルグループとして示される。
【0107】
【表7】
【0108】
その中で、T1/2は薬物の半減期、Tmaxはピークまでの時間、Cmaxは最大血漿濃度(ピーク濃度)、AUClastは投与開始から最終時点までの継続期間のAUC(薬物-時間曲線の面積)。
【0109】
結果を図4に示される。ビーグル犬の空腹状態での空腹試験における実施例1の高脂肪食後の酢酸アビラテロンカプセル50mg(T2)及び原薬Zytiga 500mg(T1)の薬物-時間曲線である。
【0110】
表7から、原薬Zytiga(250mg /錠)の2錠と比較し、酢酸アビラテロン(酢酸アビラテロン50mgを含む)の1粒のカプセルの経口バイオアベイラビリティはビーグル犬で98%に達したことがわかる。原物Zytiga(250mg /錠)と比較して、本願発明の酢酸アビラテロン医薬組成物は、経口バイオアベイラビリティが10倍増加し、薬物のピーク時間、ピーク濃度、及び個人間の吸収レベルの変動がすべて原薬Zytigaよりも大幅に低い。
【0111】
【表8】
【0112】
その中で、T1/2は薬物の半減期、Tmaxはピークまでの時間、Cmaxは最大血漿濃度(ピーク濃度)、AUClastは投与開始から最終時点までの継続期間のAUC(薬物-時間曲線の面積)。
【0113】
結果を図5に示す。食後試験の実施例1において、ビーグル犬の食前(T2)及び食後(T3)の酢酸アビラテロンカプセル50mgの薬物-時間曲線である。
【0114】
表8から、空腹時に酢酸アビラテロンカプセル(酢酸アビラテロン50mgを含む)を服用し、高脂肪食を摂取した後、ビーグル犬の薬のピーク時間に有意差がなかったことがわかる。食後の経口バイオアベイラビリティは、食前のわずか1.2倍であった。
【0115】
原薬Zytigaの説明書に記載のZytigaの高脂肪食後ピーク濃度及び吸収値は空腹時の17倍及び10倍高いことに対し、本願発明によって提供される酢酸アビラテロンカプセルは食前と食後の違いを減少することができる。
【0116】
本願発明は、上記一般的な説明、特定の実施例及び試験で詳細に説明されたが、本願発明に基づいていくつかの修正または改善を行うことができ、これは当業者にとり明らかである。したがって、本願発明の精神から逸脱せず行われたこれらの修正または改善は、本願発明の特許の請求範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5